ヒト抗体配列をはじめとする免疫グロブリン配列の生成に有用である改善された遺伝子改変マウスの作製が当該技術分野において依然として必要とされている。有用な再構成免疫グロブリン遺伝子を形成するように免疫グロブリン遺伝子セグメントを再構成できるマウス、または変更された免疫グロブリン遺伝子座からタンパク質を作製することができ、同時に、遺伝子改変の結果として生じ得る有害な変化を低減させるまたは消去することができるマウスも、依然として必要とされている。
1つの態様では、非機能的内因性マウスADAM6タンパク質またはADAM6遺伝子(例えば、内因性ADAM6遺伝子のノックアウトまたは内因性ADAM6遺伝子内での欠失)を生じさせる結果となる改変を含むマウスであって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列を含むマウスを作製するための、核酸構築物、細胞、胚、マウスおよび方法を提供する。
1つの態様では、内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座の改変を含むマウスであって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含むマウスを作製するための、核酸構築物、細胞、胚、マウスおよび方法を提供する。1つの実施形態において、前記内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座は、免疫グロブリン重鎖遺伝子座であり、前記改変は、雄マウスの細胞または組織のADAM6活性を低減させるまたは消去する。
1つの態様では、マウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする異所性ヌクレオチド配列を含むマウスを提供する;マウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする内因性ヌクレオチド配列を含み、重鎖免疫グロブリン遺伝子座の少なくとも1つの遺伝子改変を含むマウスも提供する。
1つの態様では、内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座の改変を含むマウスであって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含むマウスを作製するための方法を提供する。本発明によるマウスは、例えば本明細書に記載する方法によって得ることができる。
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の遺伝子改変を含むマウスを作製するための方法を提供し、これらの方法の適用により、改変された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはその欠失)を含む雄マウスが得られ、該雄マウスは、交配によって子孫を産生することができる。1つの実施形態において、前記雄マウスは、マウス子宮からマウス卵管を通って移行してマウス卵子を受精させることができる精子を産生できる。
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の遺伝子改変を含むマウスを作製するための方法を提供し、これらの方法の適用により、改変された免疫グロブリン重鎖遺伝子座(またはその欠失)を含む雄マウスが得られ、該雄マウスは妊性の低減を示し、および該マウスは、その妊性低減を全部または一部回復させる遺伝子改変を含む。様々な実施形態において、前記妊性の低減は、雄マウスの精子が、マウス子宮からマウス卵管を通って移動してマウス卵子を受精させることができないことを特徴とする。様々な実施形態において、前記妊性の低減は、in vivo移動欠陥を示す精子を特徴とする。様々な実施形態において、前記妊性の低減を全部または一部回復させる遺伝子改変は、雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列である。
1つの実施形態において、前記遺伝子改変は、内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の、別の種(例えば、非マウス種)の免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座での置換を含む。1つの実施形態において、前記遺伝子改変は、オルソロガス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座への挿入を含む。特定の実施形態において、前記種はヒトである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変は、内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座の全部または一部欠失を含み、該欠失は、内因性ADAM6機能の喪失を生じさせる結果となる。特定の実施形態において、前記内因性ADAM6機能の喪失は、雄マウスにおける妊性の低減に関連づけられる。
1つの態様では、内因性ADAM6対立遺伝子からのマウスADAM6発現を低減させるまたは消去する改変を有する雄マウスが、内因性ADAM6機能の低減または消去に起因して、妊性低減(例えば、交配による子孫産生能力の高度低減)を示すまたは本質的に不妊性であるように、該改変を含み、さらに、異所性ADAM6配列またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む、マウスを提供する。1つの態様において、マウスADAM6発現を低減させるまたは消去する改変は、マウス免疫グロブリン遺伝子座の改変(例えば、挿入、欠失、置換など)である。
1つの実施形態において、ADAM6機能の低減または喪失は、マウスが、マウス子宮からマウス卵管を通って進んでマウス卵子を受精させることのできる精子を産生できないことまたは実質的に産生できないこと含む。特定の実施形態において、前記マウスの射精体積中の産生された精子細胞の少なくとも約95%、96%、97%、98%または99%は、交尾後にin vivoで卵管を通って進むことができず、マウス卵子を受精させることができない。
1つの実施形態において、ADAM6機能の低減または喪失は、前記マウスの精子細胞の表面でADAM2および/またはADAM3および/またはADAM6の複合体を形成できないことまたは実質的に形成できないことを含む。1つの実施形態において、ADAM6機能の喪失は、雌マウスとの交尾によってマウス卵子を受精させることが実質的にできないことを含む。
1つの態様において、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠いているマウスであって、該マウスにADAM6機能性を付与するタンパク質(またはタンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列)を含むマウスを提供する。1つの実施形態において、前記マウスは雄マウスであり、前記機能性は、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠いているマウスと比較して強化された妊性を含む。
1つの実施形態において、前記タンパク質は、前記マウスの生殖細胞系における免疫グロブリン遺伝子座内にあるゲノム配列によってコードされている。特定の実施形態において、前記免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝子座である。もう1つの特定の実施形態において、前記重鎖遺伝子座は、少なくとも1つのヒトVH、少なくとも1つのヒトDHおよび少なくとも1つのヒトJH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記異所性タンパク質は、前記マウスの生殖細胞系における非免疫グロブリン遺伝子座内にあるゲノム配列によってコードされている。1つの実施形態において、前記非免疫グロブリン遺伝子座は、転写活性遺伝子座である。特定の実施形態において、前記転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。特定の実施形態において、前記転写活性遺伝子座は、組織特異的発現と関連づけられる。1つの実施形態において、前記組織特異的発現は、生殖組織に存在する。1つの実施形態において、前記タンパク質は、前記マウスの生殖細胞系にランダムに挿入されたゲノム配列によってコードされている。
1つの実施形態において、前記マウスは、ヒトまたはキメラヒト/マウスまたはキメラヒト/ラット軽鎖(例えば、ヒト可変、マウスまたはラット定常)とキメラヒト可変/マウスまたはラット定常重鎖とを含む。特定の実施形態において、前記マウスは、転写活性プロモーター、例えばROSA26プロモーター、に作動可能に連結されているキメラヒト可変/ラットまたはマウス定常軽鎖遺伝子を含む導入遺伝子を含む。さらなる特定の実施形態において、前記キメラヒト/マウスまたはラット軽鎖導入遺伝子は、前記マウスの生殖細胞系内に再構成ヒト軽鎖可変領域配列を含む。
1つの実施形態において、前記異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスの生殖細胞系における免疫グロブリン遺伝子座内にある。特定の実施形態において、前記免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝子座である。1つの実施形態において、前記重鎖遺伝子座は、少なくとも1つのヒトVH、少なくとも1つのヒトDHおよび少なくとも1つのヒトJH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスの生殖細胞系における非免疫グロブリン遺伝子座内にある。1つの実施形態において、前記非免疫グロブリン遺伝子座は、転写活性遺伝子座である。特定の実施形態において、前記転写活性遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。1つの実施形態において、前記異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスの生殖細胞系にランダムに挿入された位置にある。
1つの態様では、機能的内因性ADAM6遺伝子を欠いているマウスであって、マウスADAM6機能の喪失を補う異所性ヌクレオチド配列を含むマウスを提供する。1つの実施形態において、前記異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスに、機能的内因性ADAM6遺伝子を含有する対応する野生型マウスに匹敵する子孫産生能力を付与する。1つの実施形態において、前記配列は、前記マウスの精子細胞の表面でADAM2および/またはADAM3および/またはADAM6の複合体を形成する能力を、前記マウスに付与する。1つの実施形態において、前記配列は、前記マウスに、マウス子宮からマウス卵管を通ってマウス卵子へと進んで該卵子を受精させる能力を付与する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは、同じ年齢および系統の野生型マウスが6ヶ月の期間に産生する同腹子の数の少なくとも約50%、60%、70%、80%または90%の数の同腹子を産生する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは、6ヶ月に期間にわたって交配させたとき、実質的に同じ期間にわたって実質的に同じ条件下で交配させた、該機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き該異所性ヌクレオチド配列を欠いている同じ年齢および同じまたは類似系統のマウスに比べて、少なくとも約1.5倍、約2倍、約2.5倍、約3倍、約4倍、約6倍、約7倍、約8倍または約10以上後代を産生する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは、4または6ヶ月の交配期間中に、該機能的内因性ADAM6遺伝子を欠いており該異所性ヌクレオチド配列が無い、同じ期間交配させたマウスより、同腹子あたり平均少なくとも約2倍、3倍、4倍多い数の子を産生する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは雄マウスであり、該雄マウスは、交尾後約5〜6時間の時点で卵管から回収したとき、該機能的内因性ADAM6遺伝子を欠いており該異所性ヌクレオチド配列が無いマウスに比べて少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくとも40倍、少なくとも50倍、少なくとも60倍、少なくとも70倍、少なくとも80倍、少なくとも90倍、100倍、110倍または120倍以上である卵管移動を表わす精子を産生する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは、雌マウスと交尾させたとき、野生型マウスからの精子にほぼ等しい効率で約6時間以内に子宮を通り抜けて卵管に入って卵管を通り抜けることができる精子を産生する。
1つの実施形態において、前記機能的内因性ADAM6遺伝子を欠き、前記異所性ヌクレオチド配列を含む前記マウスは、該機能的ADAM6遺伝子を欠いており該異所性ヌクレオチド配列が無いマウスに比べて、匹敵する期間内に約1.5倍、約2倍、約3倍または約4倍以上の同腹子を産生する。
1つの態様では、免疫グロブリンタンパク質をコードする非マウス核酸配列をその生殖細胞系内に含むマウスを提供し、前記非マウス免疫グロブリン配列は、マウスADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片の挿入を含む。1つの実施形態において、前記非マウス免疫グロブリン配列は、ヒト免疫グロブリン配列を含む。1つの実施形態において、前記配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列を含む。1つの実施形態において、前記配列は、ヒト免疫グロブリン軽鎖配列を含む。1つの実施形態において、前記配列は、1つ以上のV遺伝子セグメント、1つ以上のD遺伝子セグメントおよび1つ以上のJ遺伝子セグメントを含む;1つの実施形態において、前記配列は、1つ以上のV遺伝子セグメントおよび1つ以上のJ遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のV、DおよびJ遺伝子セグメント、または1つ以上のVおよびJ遺伝子セグメントは、再構成されない。1つの実施形態において、前記1つ以上のV、DおよびJ遺伝子セグメント、または1つ以上のVおよびJ遺伝子セグメントは、再構成される。1つの実施形態において、前記1つ以上のV、DおよびJ遺伝子セグメント、または1つ以上のVおよびJ遺伝子セグメントの再構成後、前記マウスは、マウスADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコードする少なくとも1つの核酸配列をそのゲノム内に含む。1つの実施形態において、再構成後、前記マウスは、マウスADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコードする少なくとも2つの核酸配列をそのゲノム内に含む。1つの実施形態において、再構成後、前記マウスは、マウスADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコードする少なくとも1つの核酸配列をそのゲノム内に含む。1つの実施形態において、前記マウスは、前記ADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をB細胞内に含む。1つの実施形態において、前記マウスは、前記ADAM6遺伝子またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を非B細胞内に含む。
1つの態様では、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域またはその機能的断片を内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座から発現するマウスであって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6活性を含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記雄マウスは、単一の未改変内因性ADAM6対立遺伝子またはそのオルソログもしくは(of)ホモログもしくは機能的断片を内因性ADAM6遺伝子座に含む。
1つの実施形態において、前記雄マウスは、ADAM6機能を付与するタンパク質をコードする異所性マウスADAM6配列またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む。
1つの実施形態において、前記雄マウスは、内因性マウスADAM6対立遺伝子の場所、例えば、最後のV遺伝子セグメント配列の3’および最初のD遺伝子セグメントの5’に近いマウスゲノム内の場所にADAM6配列またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む。
1つの実施形態において、前記雄マウスは、免疫グロブリン可変遺伝子セグメントをコードする核酸配列の(ADAM6配列の転写方向を基準にして)上流、下流、または上流および下流に隣接するADAM6配列またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片を含む。特定の実施形態において、前記免疫グロブリン可変遺伝子セグメントは、ヒト遺伝子セグメントである。1つの実施形態において、前記免疫グロブリン可変遺伝子セグメントは、ヒト遺伝子セグメントであり、マウスにおいて機能的なマウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする配列は、ヒトV遺伝子セグメント間にある;1つの実施形態において、前記マウスは、2つ以上のV遺伝子セグメントを含み、前記配列は、前記最後のV遺伝子セグメントと最後から二番目のV遺伝子セグメントの間の位置にある。1つの実施形態において、前記配列は、前記最後のV遺伝子セグメントおよび前記最初のD遺伝子セグメントの次に来る位置にある。
1つの態様では、非機能的内因性ADAM6遺伝子、または内因性ADAM6遺伝子の欠失をその生殖細胞系内に含む雄マウスを提供し、該マウスの精子細胞は、雌マウスの卵管を通過することができ、卵子を受精させることができる。1つの実施形態において、前記マウスは、雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片の染色体外コピーを含む。1つの実施形態において、前記マウスは、雄マウスにおいて機能的である異所性マウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片を含む。
1つの態様において、内因性マウスADAM6機能を低減させる遺伝子改変を含むマウスであって、全部もしくは一部機能的である内因性未改変対立遺伝子(例えば、ヘテロ接合体)によってあるいは雄マウスにおいて機能的であるADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする異所性配列からの発現によってもたらされる、少なくともいくらかのADAM6機能性を含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、機能的ADAM6を欠いている雄マウスと比較して、交配により子孫を産生する能力を雄マウスに付与するのに十分なADAM6機能を含む。1つの実施形態において、前記ADAM6機能は、マウスADAM6またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコードする異所性ヌクレオチド配列の存在によって付与される。雄マウスにおいて機能的であるADAM6ホモログもしくはオルソログまたはその断片としては、十分な内因性マウスADAM6活性が無い雄マウスにおいて観察される子孫産生能力の喪失、例えば、ADAM6ノックアウトマウスにおいて観察される能力の喪失を全部または一部回復させるものが挙げられる。この意味で、ADAM6ノックアウトマウスには、内因性遺伝子座またはその断片を含むが機能的でない、すなわち、ADAM6(ADAM6aおよび/もしくはADAM6b)をまったく発現しない、または野生型雄マウスの本質的に正常な子孫産生能力を支持するのに不十分であるレベルでADAM6(ADAM6aおよび/もしくはADAM6b)を発現するマウスが含まれる。機能の喪失は、例えば、前記遺伝子座の構造遺伝子(すなわちADAM6aもしくはADAM6bコーディング領域)の改変、または前記遺伝子座の調節領域(例えば、ADAM6a遺伝子に対して5’のまたはADAM6aもしくはADAM6bコーディング領域の3’の配列であって、ADAM6遺伝子の転写、ADAM6 RNAの発現またはADAM6タンパク質の発現を全部または一部制御する配列)の改変に起因し得る。様々な実施形態において、雄マウスにおいて機能的であるオルソログもしくはホモログまたはその断片は、雄マウスの精子(または雄マウスの射精液中の大部分の精子細胞)がマウス卵管を通過してマウス卵子を受精させることを可能にするものである。
1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン可変領域またはその機能的断片を発現する雄マウスは、雌マウスとの交配により子孫を産生する能力を該雄マウスに付与するのに十分なADAM6活性を含み、1つの実施形態において、雌マウスと交配するとき、前記雄マウスは、1つまたは2つの内因性未改変ADAM6対立遺伝子を有するマウスの子孫産生能力の、1つの実施形態では少なくとも25%、1つの実施形態では少なくとも30%、1つの実施形態では少なくとも40%、1つの実施形態では少なくとも50%、1つの実施形態では少なくとも60%、1つの実施形態では少なくとも70%、1つの実施形態では少なくとも80%、1つの実施形態では少なくとも90%、および1つの実施形態では該マウスの子孫産生能力とほぼ同じである、子孫産生能力を示す。
1つの実施形態において、雄マウスは、該雄マウスからの精子細胞が雌マウス卵巣を通り抜けることおよびマウス卵子を受精させることを可能にするために十分なADAM6(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)を発現する。
1つの実施形態において、前記ADAM6機能性は、マウス染色体配列に隣接する核酸配列によって付与される(例えば、前記核酸は、マウス染色体にランダムに組み込まれている;または例えば、前記核酸を特定の場所にターゲティングすることにより、例えば部位特異的リコンビナーゼ媒介(例えば、Cre媒介)挿入もしくは相同組換えにより、特定の場所に配置されている)。1つの実施形態において、前記ADAM6配列は前記マウスの染色体とは異なる核酸上に存在する(例えば、前記ADAM6配列は、エピソーム上に、すなわち染色体外に、例えば、発現構築物、ベクター、YAC、導入染色体などに存在する)。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含む遺伝子改変マウスおよび細胞を提供し、該マウスは、免疫グロブリン重鎖配列の少なくとも一部分、例えば、ヒト配列の少なくとも一部分を発現し、該マウスは、雄マウスにおいて機能的であるADAM6活性を含む。1つの実施形態において、前記改変は、前記マウスのADAM6活性を低減させるまたは根絶する。1つの実施形態では、前記マウスは、ADAM6活性をコードする両方の対立遺伝子が、不在であるように、または雄マウスにおいて正常交配を支持するように実質的に機能しないADAM6を発現するように、改変される。1つの実施形態において、前記マウスは、マウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする異所性核酸配列をさらに含む。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含む遺伝子改変マウスおよび細胞を提供し、該改変は、該遺伝子座のADAM6配列から発現するADAM6活性を低減させるまたは消去するものであり、および該マウスは、ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片を含む。様々な実施形態において、前記ADAM6タンパク質またはその断片は、異所性ADAM6配列によってコードされている。様々な実施形態において、前記ADAM6タンパク質またはその断片は、内因性ADAM6対立遺伝子から発現する。様々な実施形態において、前記マウスは、第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子からの機能的ADAM6の発現を低減させるまたは消去する第一の改変を含む第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子と、第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子からの機能的ADAM6の発現を実質的に低減させないまたは消去しない第二の改変を含む第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子とを含む。
1つの実施形態において、前記第二の改変は、最後のマウスV遺伝子グメントの(マウスV遺伝子セグメントの転写方向性を基準にして)3’にあり、およびマウス(またはキメラヒト/マウス)免疫グロブリン重鎖定常遺伝子またはその断片(例えば、ヒトおよび/またはマウス:CH1および/またはヒンジおよび/またはCH2および/またはCH3をコードする核酸配列)の(定常配列の転写方向性を基準にして)5’にある。
1つの実施形態において、前記改変は、第一のADAM6対立遺伝子をコードする第一の遺伝子座の第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子におけるものであり、および前記ADAM6機能は、機能的ADAM6をコードする第二の遺伝子座の第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子での内因性ADAM6の発現の結果として生じ、前記第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子は、V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントの少なくとも1つの改変を含む。特定の実施形態において、前記V、DおよびまたはJ遺伝子セグメントの前記少なくとも1つの改変は、欠失、ヒトV、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントでの置換、ラクダ科動物V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントでの置換、ヒト化またはラクダ化V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントでの置換、重鎖配列の軽鎖配列での置換、ならびにその組み合わせである。1つの実施形態において、前記少なくとも1つの改変は、前記重鎖遺伝子座における1つ以上の重鎖V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントの欠失ならびに1つ以上の軽鎖Vおよび/またはJ遺伝子セグメント(例えば、ヒト軽鎖Vおよび/またはJ遺伝子セグメント)での置換である。
1つの実施形態において、前記改変は、第一の遺伝子座の第一の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子、および第二の遺伝子座の第二の免疫グロブリン重鎖対立遺伝子におけるものであり、前記ADAM6機能は、前記マウスの生殖細胞系における非免疫グロブリン遺伝子座での異所性ADAM6発現の結果として生ずる。特定の実施形態において、前記非免疫グロブリン遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。特定の実施形態において、前記非免疫グロブリン遺伝子座は、生殖組織において転写活性である。
1つの態様では、ADAM6のヘテロ接合またはホモ接合ノックアウトを含むマウスを提供する。1つの実施形態において、前記マウスは、ヒトもしくはヒト化免疫グロブリン配列またはラクダ科動物もしくはラクダ化ヒトもしくはマウス免疫グロブリン配列である、改変免疫グロブリン配列をさらに含む。1つの実施形態において、前記改変免疫グロブリン配列は、内因性マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座に存在する。1つの実施形態において、前記改変免疫グロブリン配列は、内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座にヒト重鎖可変遺伝子配列を含む。1つの実施形態において、前記ヒト重鎖可変遺伝子配列は、前記内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の内因性マウス重鎖可変遺伝子配列を置換する。
1つの態様では、内因性マウスADAM6遺伝子座から機能的内因性マウスADAM6を発現できないマウスを提供する。1つの実施形態において、前記マウスは、該マウスにおいて機能的であるADAM6またはその機能的断片をコードする異所性核酸配列を含む。特定の実施形態において、前記異所性核酸配列は、ADAM6ノックアウトに関してホモ接合性である雄マウスによって示される子孫産生能力の喪失をレスキューするタンパク質をコードする。特定の実施形態において、前記異所性核酸配列は、マウスADAM6タンパク質をコードする。
1つの態様では、機能的内因性ADAM6遺伝子座を欠いているマウスであって、該マウスにADAM6機能を付与する異所性核酸配列を含むマウスを提供する。1つの実施形態において、前記核酸配列は、内因性マウスADAM6配列またはその機能的断片を含む。1つの実施形態において、前記内因性マウスADAM6配列は、野生型マウスにおける最も3’側の(the 3’−most)マウス免疫グロブリン重鎖V遺伝子セグメント(VH)と最も5’側の(the 5’−most)マウス免疫グロブリン重鎖D遺伝子セグメント(DH)の間にあるADAM6aおよびADAM6bコード配列を含む。
1つの実施形態において、前記核酸配列は、マウスADAM6aもしくはその機能的断片をコードする配列、および/またはマウスADAM6bもしくはその機能的断片をコードする配列を含み、該ADAM6aおよび/もしくはADAM6bまたはその機能的断片(単数もしくは複数)は、プロモーターに作動可能に連結されている。1つの実施形態において、前記プロモーターは、ヒトプロモーターである。1つの実施形態において、前記プロモーターは、マウスADAM6プロモーターである。特定の実施形態において、前記ADAM6プロモーターは、最も5’側のマウスDH遺伝子セグメントに最も近い第一のADAM6遺伝子の第一コドンと、最も5’側のDH遺伝子セグメントの組換えシグナル配列との間にある配列を含み、この場合の5’は、マウス免疫グロブリン遺伝子の転写方向を基準にして示される。1つの実施形態において、前記プロモーターは、ウイルスプロモーターである。特定の実施形態において、前記ウイルスプロモーターは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターである。1つの実施形態において、前記プロモーターは、ユビキチンプロモーターである。
1つの実施形態において、前記プロモーターは、誘導性プロモーターである。1つの実施形態において、前記誘導性プロモーターは、非生殖組織での発現を調節する。1つの実施形態において、前記誘導性プロモーターは、生殖組織での発現を調節する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6aおよび/もしくはADAM6b配列またはその機能的断片(単数もしくは複数)の発現は、生殖組織において誘導性プロモーターによって発生調節される。
1つの実施形態において、前記マウスADAM6aおよび/またはADAM6bは、配列番号1のADAM6aおよび/または配列番号2(sequence SEQ ID NO:2)のADAM6bから選択される。1つの実施形態において、前記マウスADAM6プロモーターは、配列番号3のプロモーターである。特定の実施形態において、前記ADAM6プロモーターは、ADAM6aの第一コドンの(ADAM6aの転写方向を基準にして)直ぐ上流の配列番号3の核酸配列であって、ADAM6コーディング領域の上流の配列番号3の端にわたる(extending)核酸配列を含む。もう1つの特定の実施形態において、前記ADAM6プロモーターは、ADAM6aの開始コドンの上流約5から約20ヌクレオチド以内からADAM6aの開始コドンの約0.5kb、1kb、2kbまたは3kb以上上流にわたる断片である。
1つの実施形態において、前記核酸配列は、ADAM6欠如のため不妊性であるまたは妊性が低いマウスの体内に配置されたとき、妊性を向上させるまたは妊性をほぼ野生型の妊性に回復させる、配列番号3またはその断片を含む。1つの実施形態において、配列番号3またはその断片は、雌マウス卵管を通り抜けてマウス卵子を受精させることができる精子細胞を産生する能力を雄マウスに付与する。
1つの態様では、ADAM6タンパク質をコードする内因性ヌクレオチド配列の欠失と、内因性マウスVH遺伝子セグメントの、ヒトVH遺伝子セグメントでの置換と、雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする異所性ヌクレオチド配列とを含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、内因性ADAM6遺伝子を含む内因性免疫グロブリン遺伝子座ヌクレオチド配列の欠失を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含み、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列を含み、および前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、該1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列内にある、または該1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列に直接隣接する。
1つの実施形態において、前記マウスは、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列でのすべてのまたは実質的にすべての内因性VH遺伝子セグメントの置換を含み、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、該1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列内にあるか、該1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列に直接隣接する。1つの実施形態において、前記マウスは、内因性DH遺伝子遺伝子座における1つ以上の内因性DH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントでの置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、内因性JH遺伝子遺伝子座における1つ以上の内因性JH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトJH遺伝子セグメントでの置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、すべてのまたは実質的にすべての内因性VH、DHおよびJH遺伝子セグメントの置換、ならびに内因性VH、DHおよびJH遺伝子遺伝子座における、ヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントでの置換を含み、この場合のマウスは、マウスADAM6タンパク質をコードする異所性配列を含む。特定の実施形態において、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性配列は、存在するヒトVH遺伝子セグメントの最も3’側の末端から二番目のVH遺伝子セグメントと、存在するヒトVH遺伝子セグメントの最終(ultimate)3’VH遺伝子セグメントとの間に配置される。特定の実施形態において、前記マウスは、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの欠失、およびすべてのまたは実質的にすべてのヒトVH遺伝子セグメントでの置換を含み、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、ヒト遺伝子セグメントVH1−2の下流かつヒト遺伝子セグメントVH6−1の上流に配置されている。
特定の実施形態において、前記マウスは、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド配列での、すべてのまたは実質的にすべての内因性VH遺伝子セグメントの置換を含み、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、該1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチド内にあるか、該1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントをコードするヌクレオチドに直接隣接する。
1つの実施形態において、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスのゲノム内の導入遺伝子上に存在する。1つの実施形態において、前記マウスADAM6タンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスの染色体外に存在する。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含むマウスであって、重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されている再構成免疫グロブリン配列を含むB細胞を発現するマウスを提供し、該B細胞は、雄マウスにおいて機能的であるADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする遺伝子をそのゲノム内(例えば、B細胞染色体上)に含む。1つの実施形態において、前記重鎖定常領域遺伝子配列に作動可能に連結されている再構成免疫グロブリン配列は、ヒト重鎖V、Dおよび/またはJ配列;マウス重鎖V、Dおよび/またはJ配列;ヒトまたはマウス軽鎖Vおよび/またはJ配列を含む。1つの実施形態において、前記重鎖定常領域遺伝子配列は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3およびその組み合わせからなる群より選択されるヒトまたはマウス重鎖配列を含む。
1つの態様では、遺伝子改変マウスであって、機能的にサイレンシングされた免疫グロブリン軽鎖遺伝子を含み、1つ以上の内因性免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントの、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントでの置換をさらに含み;機能的内因性ADAM6遺伝子座を欠き;および雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を発現する異所性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マウス提供する。
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6遺伝子座または配列を欠き、およびマウスADAM6遺伝子座またはマウスADAM6遺伝子座もしくは配列の機能的断片をコードする異所性ヌクレオチド配列を含むマウスであって、異性のマウスと交配して、該異所性ADAM6遺伝子座または配列を含む後代を産生することができるマウスを提供する。1つの実施形態において、前記マウスは雄である。1つの実施形態において、前記マウスは雌である。
1つの態様では、遺伝子改変マウスであって、内因性マウス免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝子座にヒト免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子セグメントを含み;該内因性マウス免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝子座に内因性機能的ADAM6配列を欠き;および雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を発現する異所性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスADAM6タンパク質を発現する異所性ヌクレオチド配列は、染色体外のものである。1つの実施形態において、前記マウスADAM6タンパク質を発現する異所性ヌクレオチド配列は、前記マウスのゲノム内の1つ以上の遺伝子座に組み込まれている。特定の実施形態において、前記1つ以上の遺伝子座は、免疫グロブリン遺伝子座を含む。
1つの態様では、ヒトV遺伝子セグメント、D遺伝子セグメントおよびJ遺伝子セグメントに由来する免疫グロブリン重鎖配列を改変内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座から発現するマウスであって、該マウスにおいて機能的であるADAM6活性を含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、複数のヒトV遺伝子セグメント、複数のD遺伝子セグメント、および複数のJ遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記D遺伝子セグメントは、ヒトD遺伝子セグメントである。1つの実施形態において、前記J遺伝子セグメントは、ヒトJ遺伝子セグメントである。1つの実施形態において、前記マウスは、ヒト化重鎖定常領域配列をさらに含み、該ヒト化は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3およびその組み合わせから選択される配列の置換を含む。特定の実施形態において、前記重鎖は、ヒトV遺伝子セグメント、ヒトD遺伝子セグメント、ヒトJ遺伝子セグメント、ヒトCH1配列、ヒトまたはマウスヒンジ配列、マウスCH2配列、およびマウスCH3配列に由来する。もう1つの特定の実施形態において、前記マウスは、ヒト軽鎖定常配列をさらに含む。
1つの実施形態において、前記D遺伝子セグメントは、(該D遺伝子セグメントの転写方向を基準にして)5’が、前記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコードする配列に隣接する。
1つの実施形態において、前記マウスにおいて機能的であるADAM6活性は、前記改変内因性マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座の(V遺伝子セグメントの転写の方向を基準して)最も5’側のD遺伝子セグメントの5’および最も3’側のV遺伝子セグメントの3’にあるヌクレオチド配列の発現の結果として生ずる。
1つの実施形態において、前記マウスにおいて機能的であるADAM6活性は、前記改変内因性マウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座における2つのヒトV遺伝子セグメントの間にあるヌクレオチド配列の発現の結果として生ずる。1つの実施形態において、前記2つのヒトV遺伝子セグメントは、ヒトVH1−2遺伝子セグメントおよびVH6−1遺伝子セグメントである。
1つの実施形態において、前記ヌクレオチド配列は、マウスADAM6b配列またはその機能的断片、マウスADAM6a配列またはその機能的断片、およびその組み合わせから選択される配列を含む。
1つの実施形態において、前記2つのヒトV遺伝子セグメント間のヌクレオチド配列は、該ヒトV遺伝子セグメントを基準にして反対の転写配向に配置されている。特定の実施形態において、ヌクレオチド配列は、ADAM6遺伝子の転写方向を基準にして5’から3’へ、ADAM6a配列、続いてADAM6b配列をコードする。
1つの実施形態において、前記マウスは、ヒトV遺伝子セグメントVH1−2とVH6−1の間のヒトADAM6偽遺伝子配列の、マウスADAM6配列またはその機能的断片での置換を含む。
1つの実施形態において、前記マウスにおいて機能的であるADAM6活性をコードする配列は、マウスADAM6配列またはその機能的断片である。
1つの実施形態において、前記マウスは、内因性マウスDFL16.1遺伝子セグメント(例えば、前記改変内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に関してヘテロ接合性のマウスの場合)またはヒトDH1−1遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記マウスによって発現される免疫グロブリン重鎖のD遺伝子セグメントは、内因性マウスDFL16.1遺伝子セグメントまたはヒトDH1−1遺伝子セグメントに由来する。
1つの態様では、非再構成B細胞系列のDNA保有細胞内にマウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を含むが、再構成免疫グロブリン遺伝子座を含むB細胞内に該マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を含まないマウスを提供し、該マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列は、マウスADAM6遺伝子が野生型マウスにおいて出現する位置とは異なる、ゲノム内の位置に存在する。1つの実施形態において、前記マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列は、再構成B細胞系列のものではないすべてのまたは実質的にすべてのDNA保有細胞に存在する;1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記マウスの生殖細胞系細胞には存在するが、再構成B細胞の染色体には存在しない。
1つの態様では、再構成免疫グロブリン遺伝子座を含むB細胞をはじめとするすべてのまたは実質的にすべてのDNA保有細胞内にマウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を含むマウスを提供し、該マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列は、マウスADAM6遺伝子が野生型マウスにおいて出現する位置とは異なる、ゲノム内の位置に存在する。1つの実施形態において、前記マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列は、前記再構成免疫グロブリン遺伝子座に隣接する核酸上にある。1つの実施形態において、前記再構成免疫グロブリン遺伝子座に隣接する核酸は、染色体である。1つの実施形態において、前記染色体は、野生型マウスにおいて見出される染色体であり、該染色体は、マウス免疫グロブリン遺伝子座の改変を含む。
1つの態様では、ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログをそのゲノムに含むB細胞を含む、遺伝子改変マウスを提供する。1つの実施形態において、前記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログは、免疫グロブリン重鎖遺伝子座にある。1つの実施形態において、前記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログは、免疫グロブリン遺伝子座ではない遺伝子座にある。1つの実施形態において、前記ADAM6配列は、異種プロモーターによって駆動される導入遺伝子上にある。特定の実施形態において、前記異種プロモーターは、非免疫グロブリンプロモーターである。特定の実施形態において、B細胞は、ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログを発現する。
1つの実施形態において、前記マウスのB細胞の90%以上は、該マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはそのホモログまたはその断片をコードする遺伝子を含む。特定の実施形態において、前記マウスは雄マウスである。
1つの実施形態において、前記B細胞ゲノムは、前記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログを含む、第一の対立遺伝子および第二の対立遺伝子を含む。1つの実施形態において、前記B細胞ゲノムは、前記ADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログを含む、第一の対立遺伝子を含むが第二の対立遺伝子を含まない。
1つの態様において、1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子での改変を含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記改変は、前記マウスを、前記1つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子の少なくとも1つから機能的ADAM6タンパク質を発現できなくさせる。特定の実施形態において、前記マウスは、前記内因性ADAM6対立遺伝子のそれぞれから機能的ADAM6タンパク質を発現できない。
1つの実施形態において、前記マウスは、各内因性ADAM6対立遺伝子から機能的ADAM6タンパク質を発現できず、および該マウスは、異所性ADAM6配列を含む。
1つの実施形態において、前記マウスは、各内因性ADAM6対立遺伝子から機能的ADAM6タンパク質を発現できず、および該マウスは、マウス免疫グロブリン重鎖定常領域配列の(マウス重鎖遺伝子座の転写の方向を基準にして)上流1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110または120kb以内またはそれ以上上流にある異所性ADAM6配列を含む。特定の実施形態において、前記異所性ADAM6配列は、前記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座に(例えば、遺伝子間V−D領域内、2つのV遺伝子セグメント間、V遺伝子セグメントとD遺伝子セグメントとの間、D遺伝子セグメントとJ遺伝子セグメントとの間などに)ある。特定の実施形態において、前記異所性ADAM6配列は、最後のマウスV遺伝子セグメントと最初のマウスD遺伝子セグメントの間の90から100kb遺伝子間配列内にある。もう1つの特定の実施形態では、前記内因性90から100kb遺伝子間V−D配列が除去され、前記異所性ADAM6配列が、最後のV遺伝子セグメントと最初のD遺伝子セグメントとの間に配置されている。
1つの態様では、2つ以上の内因性ADAM6対立遺伝子の欠失を含む、不妊性雄マウスを提供する。1つの態様では、雄性不妊形質の保有者である雌マウスであって、非機能的ADAM6対立遺伝子または内因性ADAM6対立遺伝子ノックアウトをその生殖細胞系に含む雌マウスを提供する。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメントが無いマウスであって、該マウスのB細胞の大部分がADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログを含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスには、2つ以上のV遺伝子セグメント、2つ以上のD遺伝子セグメント、2つ以上のJ遺伝子セグメントおよびその組み合わせから選択される内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントが無い。1つの実施形態において、前記マウスには、少なくとも1つ、かつ89以下のV遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ13以下のD遺伝子セグメント、少なくとも1つ、かつ4以下のJ遺伝子セグメント、およびその組み合わせから選択される免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントが無い。1つの実施形態において、前記マウスには、約3メガ塩基の前記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む染色体12由来のゲノムDNA断片が無い。特定の実施形態において、前記マウスには、すべての機能的内因性重鎖V、DおよびJ遺伝子セグメントが無い。特定の実施形態において、前記マウスには、89のVH遺伝子セグメント、13のDH遺伝子セグメントおよび4つのJH遺伝子セグメントが無い。
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含むゲノムを生殖細胞系に有し、該免疫グロブリン重鎖遺伝子座への改変が、1つ以上のマウス免疫グロブリン可変領域配列の、1つ以上の非マウス免疫グロブリン可変領域配列での置換を含むものであるマウスであって、マウスADAM6タンパク質をコードする核酸配列を含むマウスを提供する。好ましい実施形態において、前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座のDHおよびJH配列ならびに少なくとも3、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60または少なくとも80のVH配列は、非マウス免疫グロブリン可変領域配列によって置換されている。さらなる好ましい実施形態において、前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座のDH、JHおよびすべてのVH配列は、非マウス免疫グロブリン可変領域配列によって置換されている。前記非マウス免疫グロブリン可変領域配列は、再構成されていない場合がある。好ましい実施形態において、前記非マウス免疫グロブリン可変領域配列は、非マウス種の完全な非構成DHおよびJH領域ならびに少なくとも3、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60または少なくとも80の非再構成VH配列を含む。さらなる好ましい実施形態において、前記非マウス免疫グロブリン可変領域配列は、前記非マウス種の、VH、DHおよびJH領域すべてを含む、完全可変領域を含む。前記非マウス種は、ホモサピエンスである場合があり、前記非マウス免疫グロブリン可変領域配列は、ヒト配列である場合がある。
1つの態様では、少なくとも1つのヒト可変ドメイン/非ヒト定常ドメイン免疫グロブリンポリペプチドを含む抗体を発現するマウスであって、免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座からマウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログを発現するマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログは、前記マウスのB細胞において発現され、該B細胞は、ヒト可変配列と非ヒト定常配列とを含む再構成免疫グロブリン配列を含む。
1つの実施形態において、前記非ヒト定常配列は、齧歯動物配列である。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。
1つの態様では、不妊性雄マウスを作製するための方法を提供し、この方法は、ドナーES細胞の内因性ADAM6対立遺伝子を非機能的にすること(または該対立遺伝子をノックアウトすること)、該ドナーES細胞を宿主胚に導入すること、代理母において該宿主胚を妊娠させること、および該ドナーES細胞に全部または一部由来する後代を該代理母に出産させることを含む。1つの実施形態において、前記方法は、後代を交配させて不妊性雄マウスを得ることをさらに含む。
1つの態様では、対象となる遺伝子改変を有するマウスであって、不妊性であるマウスを作製するための方法を提供し、この方法は、(a)対象となる遺伝子改変をゲノム内で行う工程;(b)前記ゲノムを改変して、内因性ADAM6対立遺伝子をノックアウトするか、または内因性ADAM6対立遺伝子を非機能的にする工程;および(c)前記ゲノムをマウスの作製に用いる工程を含む。様々な実施形態において、前記ゲノムは、ES細胞からのものであり、または核移植実験で使用される。
1つの態様では、本明細書に記載のターゲティングベクター、ヌクレオチド構築物または細胞を使用して作製されるマウスを提供する。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスと、野生型マウスであるまたは遺伝子改変されている第二のマウスとの交配の後代を提供する。
1つの態様では、マウス免疫グロブリン重鎖配列の、一つ以上の異種免疫グロブリン重鎖配列での置換を含むマウス系統を維持するための方法を提供する。1つの実施形態において、前記1つ以上の異種免疫グロブリン重鎖配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列である。
1つの実施形態において、前記マウス系統は、1つ以上のマウスVH、DHおよび/またはJH遺伝子セグメントの欠失を含む。1つの実施形態において、前記マウスは、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメント、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントおよび/または1つ以上のヒトJH遺伝子セグメントをさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、少なくとも3、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60または少なくとも80のヒトVHセグメント、少なくとも27のヒトDH遺伝子セグメント、および少なくとも6のJH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記マウスは、定常領域遺伝子に作動可能に連結されている、少なくとも3、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも60または少なくとも80のヒトVHセグメント、前記少なくとも27のヒトDH遺伝子セグメントおよび前記少なくとも6のJH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子は、マウス定常領域遺伝子である。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3および/もしくはCH4またはその組み合わせから選択されるマウス定常領域遺伝子配列を含む。
1つの実施形態において、前記方法は、前記マウス免疫グロブリン重鎖配列の置換に関してヘテロ接合性の雄マウスを産生する工程、および前記ヘテロ接合雄マウスを野生型雌マウスとまたはヒト重鎖配列に関してホモ接合性もしくはヘテロ接合性である雌マウスと交配させる工程を含む。1つの実施形態において、前記方法は、ヘテロ接合雄と、野生型である雌またはヒト重鎖配列に関してホモ接合性もしくはヘテロ接合性である雌とを繰り返し交配させることにより前記系統を維持する工程を含む。
1つの実施形態において、前記方法は、ヒト重鎖配列に関してホモ接合性またはヘテロ接合性の雄または雌マウスから細胞を得る工程と、これらの細胞をドナー細胞として、またはこれらの細胞からの核をドナー核として利用する工程と、宿主細胞を使用してならびに/または代理母において該細胞および/もしくは核を妊娠させて遺伝子改変動物を作製するために該細胞または核を使用する工程とを含む。
1つの実施形態では、重鎖遺伝子座における置換に関してヘテロ接合性である雄マウスのみを雌マウスに交配させる。特定の実施形態において、前記雌マウスは、置換される重鎖遺伝子座に関してホモ接合性、ヘテロ接合性または野生型である。
1つの実施形態において、前記マウスは、内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座におけるλおよび/またはκ軽鎖可変配列の、異種免疫グロブリン軽鎖配列での置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記異種免疫グロブリン軽鎖配列は、ヒト免疫グロブリンλおよび/またはκ軽鎖可変配列である。
1つの実施形態において、前記マウスは、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座に導入遺伝子をさらに含み、該導入遺伝子は、免疫グロブリン軽鎖定常領域配列に(非再構成配列については)作動可能に連結されているまたは(再構成配列については)融合されている、再構成または非再構成異種λまたはκ軽鎖配列(例えば、非再構成VLおよび非再構成JL、または再構成VJ)をコードする配列を含む。1つの実施形態において、前記異種λまたはκ軽鎖配列はヒトのものである。1つの実施形態において、前記定常領域配列は、齧歯動物、ヒトおよび非ヒト霊長類から選択される。1つの実施形態において、前記定常領域配列は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。1つの実施形態において、前記導入遺伝子は、前記軽鎖配列の発現を駆動する非免疫グロブリンプロモーターを含む。特定の実施形態において、前記プロモーターは、転写活性プロモーターである。特定の実施形態において、前記プロモーターは、ROSA26プロモーターである。
1つの態様では、上流ホモロジーアームおよび下流ホモロジーアームを含む核酸構築物を提供し、該上流ホモロジーアームは、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域配列と同一または実質的に同一である配列を含み、該下流ホモロジーアームは、ヒトまたはマウス免疫グロブリン可変領域配列と同一または実質的に同一である配列を含み、マウスADAM6タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む配列が、該上流ホモロジーアームと該下流ホモロジーアームの間に配置されている。特定に実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子をコードする配列は、野生型マウスの場合に該マウスADAM6が連結されているマウスプロモーターに作動可能と連結されている。
1つの態様では、(a)ヒト可変領域遺伝子セグメントヌクレオチド配列と同一または実質的に同一であるヌクレオチド配列と(b)マウスにおいて機能的であるマウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードするヌクレオチド配列とを含むターゲティングベクターを提供する。
1つの実施形態において、前記ターゲティングベクターは、前記マウスADAM6をコードする配列に作動可能に連結されているプロモーターをさらに含む。特定の実施形態において、前記プロモーターは、マウスADAM6プロモーターである。
1つの態様では、マウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を改変するためのヌクレオチド構築物であって、少なくとも1つの部位特異的リコンビナーゼ認識部位と、マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする配列とを含む構築物を提供する。
1つの態様では、本明細書に記載の遺伝子改変を含む、ES細胞、多能性細胞および人工多能性(induced pluripotent)細胞をはじめとする(しかしこれらに限定されない)マウス細胞およびマウス胚を提供する。XXである細胞およびXYである細胞を提供する。本明細書に記載の改変、例えば、前核注入により細胞に導入される改変、を含有する核を含む細胞も提供する。ウイルス導入ADAM6遺伝子を含む細胞、胚およびマウス、例えば、該マウスにおいて機能的であるADAM6遺伝子を含む形質導入構築物を含む細胞、胚およびマウスも提供する。
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6遺伝子座を欠いている遺伝子改変マウス細胞であって、マウスADAM6タンパク質またはその機能的断片をコードする異所性ヌクレオチド配列を含む、遺伝子改変マウス細胞を提供する。1つの実施形態において、前記細胞は、内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列の改変をさらに含む。特定の実施形態において、前記内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子配列の改変は、マウスVH遺伝子セグメントの欠失、マウスDH遺伝子セグメントの欠失、マウスJH遺伝子セグメントの欠失およびその組み合わせから選択される欠失を含む。特定の実施形態において、前記マウスは、1つ以上のマウス免疫グロブリンVH、DHおよび/またはJH配列の、ヒト免疫グロブリン配列での置換を含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、ヒトVH、ヒトVL、ヒトDH、ヒトJH、ヒトJLおよびその組み合わせから選択される。
1つの実施形態において、前記細胞は、全能性細胞、多能性細胞、または人工多能性細胞である。特定の実施形態において、前記細胞は、マウスES細胞である。
1つの態様では、再構成免疫グロブリン重鎖遺伝子を含むマウスB細胞であって、雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列を該B細胞の染色体上に含むB細胞を提供する。1つの実施形態において、前記マウスB細胞は、前記核酸配列の2つの対立遺伝子を含む。
1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記再構成マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座に隣接する核酸分子(例えば、B細胞染色体)上にある。
1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記再構成マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む核酸分子とは異なる核酸分子(例えば、B細胞染色体)上にある。
1つの実施形態において、前記マウスB細胞は、マウスまたはヒト免疫グロブリン定常領域遺伝子に作動可能に連結されている再構成非マウス免疫グロブリン可変遺伝子配列を含み、この場合のB細胞は、雄マウスにおいて機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列を含む。
1つの態様では、改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座と、雄マウスにおいて機能的であるマウスADAM6またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片をコードする核酸配列とを含む染色体を含む、マウス体細胞を提供する。1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座と同じ染色体上にある。1つの実施形態において、前記核酸は、前記改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座とは異なる染色体上にある。1つの実施形態において、前記体細胞は、前記核酸配列の単一のコピーを含む。1つの実施形態において、前記体細胞は、前記核酸配列の少なくとも2つのコピーを含む。特定の実施形態において、前記体細胞は、B細胞である。特定の実施形態において、前記細胞は、生殖細胞である。特定の実施形態において、前記細胞は、幹細胞である。
1つの態様では、マウス生殖細胞であって、マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列を該生殖細胞の染色体上に含み、該マウスADAM6(またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片)をコードする核酸配列が、野生型マウス生殖細胞の染色体内の位置とは異なる染色体内の位置にあるマウス生殖細胞を提供する。1つの実施形態において、前記核酸配列は、マウス免疫グロブリン遺伝子座にある。1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記生殖細胞の、マウス免疫グロブリン遺伝子座と同じ染色体上にある。1つの実施形態において、前記核酸配列は、前記生殖細胞の、マウス免疫グロブリン遺伝子座とは異なる染色体上にある。1つの実施形態において、前記マウス免疫グロブリン遺伝子座は、少なくとも1つのマウス免疫グロブリン配列の、少なくとも1つの非マウス免疫グロブリン配列での置換を含む。特定の実施形態において、前記少なくとも1つの非マウス免疫グロブリン配列は、ヒト免疫グロブリン配列である。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスに由来する多能性細胞、人工多能性細胞または全能性細胞を提供する。特定の実施形態において、前記細胞は、マウス胚性幹(ES)細胞である。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスに由来する組織を提供する。1つの実施形態において、前記組織は、本明細書に記載のマウスの脾臓、リンパ節または骨髄に由来する。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスに由来する核を提供する。1つの実施形態において、前記核は、B細胞ではない2倍体細胞からのものである。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスにおいて作製される免疫グロブリン可変領域をコードするヌクレオチド配列を提供する。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスにおいて作製される抗体の免疫グロブリン重鎖可変領域アミノ酸配列または免疫グロブリン軽鎖可変領域アミノ酸配列を提供する。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスにおいて作製される抗体の可変領域をコードする免疫グロブリン重鎖可変領域ヌクレオチド配列または免疫グロブリン軽鎖可変領域ヌクレオチド配列を提供する。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスにおいて作製される抗体またはその抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab)2、scFv)を提供する。1つの態様では、遺伝子改変マウスを作製するための方法を提供し、この方法は、該マウスの内因性ADAM6遺伝子座の(免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントの転写を基準にして)上流の1つ以上の免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントを、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントで置換する工程、および該マウスの該ADAM6遺伝子座の(免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントの転写を基準にして)下流の1つ以上の免疫グロブリン遺伝子セグメントを、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖または軽鎖の遺伝子セグメントで置換する工程を含む。1つの実施形態において、前記マウスの内因性ADAM6遺伝子座の上流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、V遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記マウスの内因性ADAM6遺伝子座の上流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換するヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、VおよびD遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記マウスの内因性ADAM6遺伝子座の下流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、J遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記マウスの内因性ADAM6遺伝子座の下流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、DおよびJ遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記マウスの内因性ADAM6遺伝子座の下流の1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子セグメントを置換する、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、V、DおよびJ遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態では、前記ADAM6遺伝子の上流および/または下流の前記1つ以上の免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントを多能性細胞、人工多能性細胞、または全能性細胞中で置換して、遺伝子改変前駆細胞を形成し;該遺伝子改変前駆細胞を宿主に導入し;そして、該遺伝子改変前駆細胞を含む該宿主を妊娠させて、該遺伝子改変前駆細胞に由来するゲノムを含むマウスを形成する。1つの実施形態において、前記宿主は胚である。特定の実施形態において、前記宿主は、マウス前桑実胚(pre−morula)(例えば8または4細胞期)、4倍体胚、胚性細胞の集合体、または胚盤胞から選択される。
1つの態様では、遺伝子改変マウスを作製する方法を提供し、この方法は、マウス免疫グロブリン遺伝子セグメントとマウスADAM6(または雄マウスにおいて機能的なそのオルソログもしくはホモログもしくは断片)ヌクレオチド配列とを含むマウスヌクレオチド配列を、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む配列で置換して、第一のキメラ遺伝子座を形成する工程、その後、マウスADAM6コード配列(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする配列)を、前記ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを含む配列に挿入して、第二のキメラ遺伝子座を形成する工程を含む。
1つの実施形態において、前記第二のキメラ遺伝子座は、ヒト免疫グロブリン重鎖可変(VH)遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記第二のキメラ遺伝子座は、ヒト免疫グロブリン軽鎖可変(VL)遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記第二のキメラ遺伝子座は、ヒトDH遺伝子セグメントおよびヒトJH遺伝子セグメントに作動可能に連結されているヒトVH遺伝子セグメントまたはヒトVL遺伝子セグメントを含む。さらなる特定の実施形態において、前記第二のキメラ遺伝子座は、マウスCH2+CH3配列と融合するヒトCH1配列、またはヒトCH1およびヒトヒンジ配列を含む第三のキメラ遺伝子座に作動可能に連結されている。
1つの態様では、妊性雄マウスを作製するための、マウスADAM6遺伝子座または配列を含む異所性ヌクレオチド配列を含むマウスの使用を提供し、この使用は、前記マウスADAM6遺伝子座または配列を含む前記異所性ヌクレオチド配列を含むマウスを、機能的内因性マウスADAM6遺伝子座または配列を欠いているマウスと交配させること、および該異所性ADAM6遺伝子座もしくは配列を有する後代を産生できる雌である後代を得ること、または該異所性ADAM6遺伝子座もしくは配列を含む雄であって、野生型雄マウスによって示される妊性とほぼ同じである妊性を示す雄である後代を得ることを含む。
1つの態様では、免疫グロブリン可変領域ヌクレオチド配列を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、完全ヒトFabまたは完全ヒトF(ab)2を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、不死化細胞系を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、ハイブリドーマまたはクアドローマを作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、ヒト重鎖可変領域およびヒト軽鎖可変領域を含有するファージライブラリーを作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
1つの態様では、ヒト抗体を作製するための可変領域配列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免疫すること、(b)(a)の免疫したマウスからリンパ球を単離すること、(c)前記リンパ球を1つ以上の標識抗体に曝露すること、(d)前記対象となる抗原に結合できるリンパ球を同定すること、および(e)前記リンパ球からの1つ以上の可変領域核酸配列を増幅し、それによって可変領域配列を生成することを含む。
1つの実施形態では、前記リンパ球を前記マウスの脾臓に由来する。1つの実施形態では、前記リンパ球を前記マウスのリンパ節に由来する。1つの実施形態では、前記リンパ球を前記マウスの骨髄に由来する。
1つの実施形態において、前記標識抗体は、蛍光団結合体化抗体である。1つの実施形態において、1つ以上の前記蛍光団結合体化抗体は、IgM、IgGおよび/またはその組み合わせから選択される。
1つの実施形態において、前記リンパ球は、B細胞である。
1つの実施形態において、前記1つ以上の可変領域核酸配列は、重鎖可変領域配列を含む。1つの実施形態において、前記1つ以上の可変領域核酸配列は、軽鎖可変領域配列を含む。1つの特定の実施形態において、前記軽鎖可変領域配列は、免疫グロブリンκ軽鎖可変領域配列である。1つの実施形態において、前記1つ以上の可変領域核酸配列は、重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を含む。
1つの実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから脾臓を単離すること、(c)前記脾臓からのBリンパ球を1つ以上の標識抗体に曝露すること、(d)前記対象となる抗原に結合できる(c)のBリンパ球を同定すること、および(e)前記Bリンパ球からの重鎖可変領域核酸配列およびκ軽鎖可変領域核酸配列を増幅し、それによって該重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成することを含む。
1つの実施形態において、ヒト抗体を作製するための重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから1つ以上のリンパ節を単離すること、(c)前記1つ以上のリンパ節からのBリンパ球を1つ以上の標識抗体に曝露すること、(d)前記対象となる抗原に結合できる(c)のBリンパ球を同定すること、および(e)前記Bリンパ球からの重鎖可変領域核酸配列およびκ軽鎖可変領域核酸配列を増幅し、それによって該重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成することを含む。
1つの実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、(a)本明細書に記載のマウスを対象となる抗原で免疫すること、(b)(a)の免疫したマウスから骨髄を単離すること、(c)前記骨髄からのBリンパ球を1つ以上の標識抗体に曝露すること、(d)前記対象となる抗原に結合できる(c)のBリンパ球を同定すること、および(e)前記Bリンパ球からの重鎖可変領域核酸配列およびκ軽鎖可変領域核酸配列を増幅し、それによって該重鎖可変領域配列およびκ軽鎖可変領域配列を生成することを含む。様々な実施形態において、前記1つ以上の標識抗体は、IgM、IgGおよび/またはその組み合わせから選択される。
様々な実施形態では、ヒト抗体を作製するための重鎖およびκ軽鎖可変領域配列を生成するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、増幅重および軽鎖可変領域配列をヒト重および軽鎖定常領域配列に融合させること、融合した重および軽鎖配列を細胞において発現させること、および発現された重および軽鎖配列を回収し、それによってヒト抗体を産生させることをさらに含む。
様々な実施形態において、前記ヒト重鎖定常領域は、IgM、IgD、IgA、IgEおよびIgGから選択される。様々な特定の実施形態において、前記IgGは、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4から選択される。様々な実施形態において、前記ヒト重鎖定常領域は、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、CH4またはその組み合わせを含む。様々な実施形態において、前記軽鎖定常領域は、免疫グロブリンκ定常領域である。様々な実施形態において、前記細胞は、HeLa細胞、DU145細胞、Lncap細胞、MCF−7細胞、MDA−MB−438細胞、PC3細胞、T47D細胞、THP−1細胞、U87細胞、SHSY5Y(ヒト神経芽腫)細胞、Saos−2細胞、Vero細胞、CHO細胞、GH3細胞、PC12細胞、ヒト網膜細胞(例えば、PER.C6(商標)細胞)およびMC3T3細胞から選択される。特定の実施形態において、前記細胞は、CHO細胞である。
1つの態様において、対象となる抗原に対して特異的な逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生させるための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載のマウスを該抗原で免疫する工程、該抗原に対して特異的な逆キメラマウス−ヒト抗体を産生するマウスから少なくとも1つの細胞を単離する工程、該抗原に対して特異的な該逆キメラマウス−ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞を培養する工程、および該抗体を得る工程を含む。1つの実施形態において、前記逆キメラマウス−ヒト抗体は、マウスまたはラット重鎖定常遺伝子と融合するヒト重鎖可変ドメイン、およびマウスまたはラットまたはヒト軽鎖定常遺伝子と融合するヒト軽鎖可変ドメインを含む。
1つの実施形態において、前記抗原に対して特異的な前記逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞の培養は、前記マウスから単離された少なくとも1つの細胞から産生された少なくとも1つのハイブリドーマ細胞で行う。
1つの態様において、対象となる抗原に対して特異的な完全ヒト抗体を産生させるための方法を提供し、この方法は、本明細書に記載のマウスを該抗原で免疫する工程、該抗原に対して特異的な逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生するマウスから少なくとも1つの細胞を単離する工程、該抗原に対して特異的な該逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体に由来する完全ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞を産生させる工程、および該完全ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞を培養する工程、および該完全ヒト抗体を得る工程を含む。
様々な実施形態において、前記抗原に対して特異的な逆キメラ齧歯動物−ヒト抗体を産生するマウスから単離される少なくとも1つの細胞は、脾細胞またはB細胞である。
様々な実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体である。
様々な実施形態において、前記対象となる抗原での免疫を、タンパク質、DNA、DNAとタンパク質の組み合わせ、または該抗原を発現する細胞を用いて行う。
1つの態様では、免疫グロブリン可変領域またはその断片をコードする核酸配列を作製するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。1つの実施形態では、前記核酸配列を使用して、ヒト抗体またはその抗原結合断片を作製する。1つの実施形態では、前記マウスを使用して、抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、scFv、二重特異性scFv、ダイアボディー、トリアボディー、テトラボディー、V−NAR、VHH、VL、F(ab)、F(ab)2、DVD(すなわち、二重可変ドメイン抗原結合タンパク質)、SVD(すなわち、単一可変ドメイン抗原結合タンパク質)または二重特異性T細胞エンゲージャー(bispecific T−cell engager:BiTE)から選択される抗原結合タンパク質を作製する。
1つの態様では、機能的内因性マウスADAM6配列が無いマウスに異所性ADAM6配列を導入するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供し、この使用は、本明細書に記載のマウスと、該機能的内因性マウスADAM6配列が無いマウスとを交配させることを含む。
1つの態様では、異所性ADAM6配列を有するマウスを作製するための、本明細書に記載のマウスからの遺伝子材料の使用を提供する。1つの実施形態において、前記使用は、本明細書に記載のマウスの細胞の核を使用する核移植を含む。1つの実施形態において、前記使用は、本明細書に記載のマウスの細胞を、該細胞に由来する動物を産生するためにクローングすることを含む。1つの実施形態において、前記使用は、前記異所性ADAM6配列を含むマウスを作製するためのプロセスにおける、本明細書に記載のマウスの精子または卵子の利用を含む。
1つの態様では、改変免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む妊性雄マウスを作製するための方法であって、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含む第一のマウス生殖細胞を、雄マウスにおいて機能的であるADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含む第二のマウス生殖細胞で受精させる工程;受精細胞を形成する工程;前記受精細胞を胚へと発生させる工程;および代理母において前記胚を妊娠させてマウスを得る工程を含む方法を提供する。
1つの実施形態において、前記受精は、雄マウスと雌マウスを交配させることによって達成される。1つの実施形態では、前記雌マウスが前記ADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含む。1つの実施形態では、前記雄マウスが前記ADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは断片を含む。
1つの態様では、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含むゲノムを有するマウスの妊性を回復させるまたは強化するための、マウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログまたは対応するADAM6タンパク質の機能的断片をコードする核酸配列の使用を提供し、この場合の改変は、内因性ADAM6機能を低減させるまたは消去する。
1つの実施形態では、前記核酸配列を前記マウスのゲノムの異所位置に組み込む。1つの実施形態では、前記核酸配列を前記マウスのゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座に組み込む。特定の実施形態において、前記内因性免疫グロブリン遺伝子座は、重鎖遺伝子座である。1つの実施形態では、前記核酸配列を前記マウスのゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の位置に組み込む。
1つの態様では、ヒト疾患または障害の処置のために、薬物(例えば、抗原結合タンパク質)を製造するための、または薬物(例えば、抗原結合タンパク質)の可変配列をコードする配列を製造するための、本明細書に記載のマウスの使用を提供する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
マウスであって、該マウスは、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含むゲノムを有し、該改変は、内因性ADAM6機能の低減または消去を含み、そして該マウスは、マウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログまたは対応するADAM6タンパク質の機能的断片をコードする核酸配列をさらに含む、マウス。
(項目2)
前記核酸配列が、異所位置に位置する、項目1に記載のマウス。
(項目3)
前記核酸配列が、内因性免疫グロブリン遺伝子座にある、項目1または2に記載のマウス。
(項目4)
前記核酸配列が、前記マウスゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の位置に組み込まれている、項目1または2に記載のマウス。
(項目5)
前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座の前記改変が、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子配列の配置を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載のマウス。
(項目6)
前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座の前記改変が、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座内の1つ以上の配列の、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子配列での置換を含む、項目1〜4のいずれか一項に記載のマウス。
(項目7)
前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座の前記改変が、1つ以上の内因性重鎖V(VH)遺伝子セグメントの、1つ以上のヒト重鎖V(VH)遺伝子セグメントでの置換を含む、項目6に記載のマウス。
(項目8)
前記免疫グロブリン重鎖遺伝子座の前記改変が、内因性重鎖可変遺伝子配列の、ヒト重鎖可変遺伝子配列での置換を含む、項目1に記載のマウス。
(項目9)
前記核酸配列が、マウスADAM6aタンパク質および/もしくはADAM6bタンパク質、またはそのオルソログ、ホモログもしくは機能的断片をコードする、項目1〜8のいずれか一項に記載のマウス。
(項目10)
マウスの免疫グロブリン重鎖遺伝子座を改変するための方法であって、以下:
(a)雄マウスにおいて内因性マウスADAM6活性の低減または消去を結果としてもたらす、該マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の第一の改変を行う工程;および
(b)雄マウスにおいて機能的であるADAM6活性を該マウスに付与する核酸配列を付加するための該マウスに対する第二の改変を行う工程
を含む方法。
(項目11)
前記工程(b)の核酸配列が異所位置に付加される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記第一の改変が、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子配列の配置を含む、項目10または11に記載の方法。
(項目13)
前記第一の改変が、前記マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座内の1つ以上の配列の、1つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子配列での置換を含む、項目10または11に記載の方法。
(項目14)
前記第一の改変が、1つ以上の内因性VH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントでの置換を含む、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記第一の改変が、内因性重鎖可変遺伝子配列の、ヒト重鎖可変遺伝子配列での置換を含む、項目10に記載の方法。
(項目16)
前記第一および前記第二の改変が同時に行われる、項目10〜15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
項目10〜16のいずれか一項に記載の方法によって得ることができるマウス。
(項目18)
項目1〜9および17のいずれか一項に記載のマウスからの単離細胞。
(項目19)
項目1〜9および17のいずれか一項に記載のマウスからの単離組織。
(項目20)
ヒト−マウス逆キメラ抗体、完全ヒト抗体、完全ヒトFab断片および/または完全ヒトF(ab)2断片の産生のための、項目1〜9および17のいずれか一項に記載のマウスの使用。
(項目21)
抗原に対して特異的な逆キメラマウス−ヒト抗体を産生させるための方法であって、以下の工程:
a)項目1〜9および17のいずれか一項に記載のマウスを該抗原で免疫する工程;
b)該抗原に対して特異的な逆−キメラマウス−ヒト抗体を産生するマウスから少なくとも1つの細胞を単離する工程;および
c)工程b)の抗体を産生する少なくとも1つの細胞を培養し、そして該抗体を得る工程を含む方法。
(項目22)
工程c)における前記培養する工程が、工程b)において得た前記少なくとも1つの細胞から産生された少なくとも1つのハイブリドーマ細胞で行われる、項目21に記載の方法。
(項目23)
抗原に対して特異的な完全ヒト抗体を産生させるための方法であって、以下の工程:
a)項目1〜9および17のいずれか一項に記載のマウスを該抗原で免疫する工程;
b)該抗原に対して特異的な逆−キメラマウス−ヒト抗体を産生するマウスから少なくとも1つの細胞を単離する工程;
c)工程b)の該抗体に由来し、該抗原に対して特異な完全ヒト抗体を産生する少なくとも1つの細胞を産生させる工程;および
d)工程c)の抗体を産生する少なくとも1つの細胞を培養する工程、および該抗体を得る工程
を含む方法。
(項目24)
工程b)において得られる前記少なくとも1つの細胞が、脾細胞またはB細胞である、項目21および23のいずれか一項に記載の方法。
(項目25)
前記抗体がモノクローナル抗体である、項目21〜24のいずれか一項に記載の方法。
(項目26)
工程a)の前記抗原での免疫が、タンパク質、DNA、DNAとタンパク質の組み合わせ、または前記抗原を発現する細胞で行われる、項目21〜25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
内因性ADAM6機能を低減させるまたは消去する免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含むゲノムを有するマウスの妊性を回復または向上させるための、マウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログまたは対応するADAM6タンパク質の機能的断片をコードする核酸配列の使用。
(項目28)
前記核酸配列が、前記マウスの前記ゲノムの異所位置に組み込まれている、項目27に記載の使用。
(項目29)
前記核酸配列が、前記マウスの前記ゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座に組み込まれている、項目27または28に記載の使用。
(項目30)
前記核酸配列が、前記マウスのゲノムの内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の位置に組み込まれている、項目27または28に記載の使用。
本発明は、記載する特定の方法および実験条件に限定されない。かかる方法および条件は変わることがあるからである。本発明の範囲を特許請求の範囲によって定義するので、本明細書において用いる専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としたものであり、限定することを意図したものではないことを理解されたい。
別様に定義しない限り、本明細書において用いるすべての用語および句は、その用語または句が用いられている文脈から相反することが明確に指摘されるまたは明確に分かる場合を除き、その用語および句が当該技術分野において獲得している意味を含む。本明細書に記載するものに類似したまたは等価の任意の方法および材料を本発明の実施または試験に用いることができるが、今は特定の方法および材料を記載する。言及するすべての出版物は、参照により本明細書に援用されている。
遺伝子セグメントの量を指すために用いるときの句「実質的な」または「実質的に」(例えば、「実質的にすべての」V遺伝子セグメント)は、機能的遺伝子セグメントと非機能的遺伝子セグメントの両方を含み、および様々な実施形態において、例えば、すべての遺伝子セグメントの80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上または99%以上を含む;様々な実施形態において、「実質的にすべての」遺伝子セグメントは、例えば、機能的(すなわち、非偽遺伝子)遺伝子セグメントの少なくとも95%、96%、97%、98%または99%を含む。
用語「置換」は、ゲノム内の配列を該ゲノム配列の遺伝子座において異種配列(例えば、マウスにおけるヒト配列)で置換するようなやり方でDNA配列を細胞のゲノムに配置する場合のものを含む。そのようにして配置されたDNAは、そのようにして配置された配列を得るために使用した源DNAの一部である1つ以上の調節配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、5’または3’非翻訳領域、適切な組換えシグナル配列など)を含み得る。例えば、様々な実施形態において、前記置換は、そのように置かれた(placed)DNA配列(異種配列を含む)から遺伝子産物の産生をもたらす結果となる、異種配列に代えての内因性配列の置き換えであり、該内因性配列の発現ではない;前記置換は、内因性ゲノム配列の、該内因性ゲノム配列によってコードされているタンパク質と類似の機能を有するタンパク質をコードするDNA配列での置換である(例えば、前記内因性ゲノム配列は、免疫グロブリン遺伝子またはドメインをコードしており、前記DNA断片は、一つ以上のヒト免疫グロブリン遺伝子またはドメインをコードする)。様々な実施形態において、内因性遺伝子またはその断片は、対応するヒト遺伝子またはその断片で置換される。対応するヒト遺伝子またはその断片は、置換される内因性遺伝子もしくは断片のオルソログである、置換される内因性遺伝子もしくは断片のホモログである、または置換される内因性遺伝子もしくは断片と構造および/もしくは機能の点で実質的に同一もしくは同じである、ヒト遺伝子または断片である。
遺伝モデルとしてのマウスは、トランスジェニックおよびノックアウト技術によって大きく向上され、これらの技術により特定の遺伝子の指向性過発現または欠失の効果の研究が可能になった。あらゆるその利点にもかかわらず、前記マウスは、マウスをヒト疾患についての不完全なモデルにならしめるおよびヒト治療薬を試験するまたはそれらを作製するための不完全なプラットホームにならしめる遺伝的障害をやはり提示する。第一に、ヒト遺伝子の約99%はマウスホモログを有する(Waterstonら、2002、Initial sequencing and comparative analysis of the mouse genome、Nature 420:520−562)が、可能性のある治療薬は、多くの場合、所期のヒト標的のマウスオルソログと交叉反応することができない、または不適切に交叉反応する。この問題を未然に防ぐために、選択標的遺伝子を「ヒト化」することができる、すなわち、マウス遺伝子を消去して、対応するオルソロガスヒト遺伝子配列により置換することができる(例えば、米国特許第6,586,251号、同第6,596,541号および同第7,105,348号明細書;これらは参照により本明細書に援用されている)。最初、「ノックアウト・プラス・トランスジェニックヒト化(knockout−plus−transgenic humanization)」戦略によりマウス遺伝子をヒト化する努力は、前記内因性遺伝子の欠失(すなわち、ノックアウト)を保有するマウスとランダムに組み込まれたヒト導入遺伝子を保有するマウスとの交配を必要とした(例えば、Brilら、2006、Tolerance to factor VIII in a transgenic mouse expressing human factor VIII cDNA carrying an Arg(593) to Cys substitution、Thromb Haemost 95:341−347;Homanicsら、2006、Production and characterization of murine models of classic and intermediate maple syrup urine disease、BMC Med Genet 7:33;Jamsaiら、2006、A humanized BAC transgenic/knockout mouse model for HbE/beta−thalassemia、Genomics 88(3):309−15;Panら、2006、Different role for mouse and human CD3delta/epsilon heterodimer in preT cell receptor(preTCR)function:human CD3delta/epsilon heterodimer restores the defective preTCR function in CD3gamma− and CD3gammadelta−deficient mice、Mol Immunol 43:1741−1750参照)。しかし、これらの努力は、サイズ制限によって妨げられた;従来のノックアウト技術は、大きなマウス遺伝子を該遺伝子の大きなヒトゲノムカウンターパートで直接置換するのに十分なものではなかった。該マウス遺伝子の同じまさにその遺伝子の場所で(すなわち内因性マウス遺伝子座で)ヒトカウンターパート遺伝子により内因性マウス遺伝子を直接置換する直接相同置換の直接的なアプローチは、技術的な難しさのため、滅多に試みられない。今まで、直接置換に対する努力は手の込んだ厄介な手順を必要とし、それ故、取り扱うことができる遺伝子材料の長さおよび操作することができる精度が限定された。
外因的に導入されたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、マウスの前駆体B細胞内で再構成する(Altら、1985、Immunoglobulin genes in transgenic mice、Trends Genet 1:231−236)。この発見は、ヒト抗体を発現させるためにノックアウト・プラス・トランスジェニックアプローチを用いるマウスの工学的作製に活用された(Greenら、1994、Antigen−specific human monoclonal antibodies from mice engineered with human Ig heavy and light chain YACs、Nat Genet 7:13−21;Lonbergら、1994、Antigen−specific human antibodies from mice comprising four distinct genetic modifications、Nature 368:856−859;Jakobovitsら、2007、From XenoMouse technology to panitumumab,the first fully human antibody product from transgenic mice、Nat Biotechnol 25:1134−1143)。マウス免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座は、これらのマウスにおいて、各内因性遺伝子座の小さいが重大な部分の標的欠失、続いて、上に記載したようなランダムに組み込まれた大きな導入遺伝子としての、またはミニ染色体としてのヒト免疫グロブリン遺伝子遺伝子座の導入により不活性化された(Tomizukaら、2000、Double trans−chromosomic mice: maintenance of two individual human chromosome fragments containing Ig heavy and kappa loci and expression of fully human antibodies、PNAS USA 97:722−727)。かかるマウスは、遺伝子工学の重要な前進を象徴した;それらから単離された完全ヒトモノクローナル抗体は、様々なヒト疾患の処置に有望な治療的可能性をもたらした(Gibsonら、2006、Randomized phase III trial results of panitumumab、a fully human anti−epidermal growth factor receptor monoclonal antibody,in metastatic colorectal cancer、Clin Colorectal Cancer 6:29−31;Jakobovitsら、2007;Kimら、2007、Clinical efficacy of zanolimumab(HuMax−CD4):two Phase II studies in refractory cutaneous T−cell lymphoma、Blood 109(11):4655−62;Lonberg、2005、Human antibodies from transgenic animals、Nat Biotechnol 23:1117−1125;Makerら、2005、Tumor regression and autoimmunity in patients treated with cytotoxic T lymphocyte−associated antigen 4 blockade and interleukin 2:a phase I/II study、Ann Surg Oncol 12:1005−1016;McClungら、2006、Denosumab in postmenopausal women with low bone mineral density、New Engl J Med 354:821−831)。しかし、上で論じたように、これらのマウスは、野生型マウスと比較して、損なわれたB細胞発生および免疫不全を示す。かかる問題は、活発な体液性応答を維持するおよびしたがって一部の抗原に対する完全ヒト抗体を産生するマウスの能力を潜在的に制限する。前記不全は、(1)ヒト免疫グロブリン導入遺伝子のランダムな導入に起因する不十分な機能性、ならびに上流および下流制御要素の欠如に起因する結果としての不正確な発現(Garrettら、2005、Chromatin architecture near a potential 3’end of the IgH locus involves modular regulation of histone modifications during B−Cell development and in vivo occupancy at CTCF sites、Mol Cell Biol 25:1511−1525;Manisら、2003、Elucidation of a downstream boundary of the 3’IgH regulatory region、Mol Immunol 39:753−760;Pawlitzkyら、2006、Identification of a candidate regulatory element within the 5’flanking region of the mouse IgH locus defined by pro−B cell−specific hypersensitivity associated with binding of PU.1, Pax5,and E2A、J Immunol 176:6839−6851);(2)B細胞の正常な成熟、増殖および生存に要求されるシグナル伝達過程を害し得る、ヒト定常ドメインと細胞表面のB細胞受容体シグナル伝達複合体のマウス要素の間の非効率的種間相互作用(Hombachら、1990、Molecular components of the B−cell antigen receptor complex of the IgM class、Nature 343:760−762);および(3)親和性選択(Raoら、2002、Differential expression of the inhibitory IgG Fc receptor FcgammaRIIB on germinal center cells: implications for selection of high−affinity B cells、J Immunol 169:1859−1868)および免疫グロブリン血清濃度(Brambellら、1964、A Theoretical Model of Gamma−Globulin Catabolism、Nature 203:1352−1354;Junghans and Anderson、1996、The protection receptor for IgG catabolism is the beta2−microglobulin−containing neonatal intestinal transport receptor、PNAS USA 93:5512−5516;Raoら、2002;Hjelmら、2006、Antibody−mediated regulation of the immune response、Scand J Immunol 64:177−184;Nimmerjahn and Ravetch、2007、Fc−receptors as regulators of immunity、Adv Immunol 96:179−204)を低減させ得る、可溶性ヒト免疫グロブリンとマウスFc受容体の間の非効率的種間相互作用に起因し得る。これらの不全は、内因性重および軽鎖遺伝子座におけるその天然の場所の中のマウス免疫グロブリン遺伝子座の可変領域のみのin situヒト化によって修正することができる。これは、マウス定常領域の保持に基づきマウス環境で正常な相互作用および選択が可能であろう「逆キメラ」(すなわち、ヒトV:マウスC)抗体を作製するマウスを有効に生じさせる結果となるであろう。さらに、かかる逆キメラ抗体は、治療のために完全ヒト抗体に容易に再配列することができる。
内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座における置換と共に、または免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子(例えば、キメラ免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子もしくは完全ヒト完全マウスなど)と共に、前記内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座における異種(例えば、別の種からの)免疫グロブリン配列による置換を含む遺伝子改変動物を作製することができる。前記異種免疫グロブリン重鎖配列が由来する種は多種多様であり得、免疫グロブリン軽鎖配列置換に利用される免疫グロブリン軽鎖配列、または免疫グロブリン軽鎖導入遺伝子に関しても多種多様であり得る。
様々な実施形態において、免疫グロブリン可変領域核酸配列、例えば、V、Dおよび/またはJセグメントは、ヒトまたは非ヒト動物から得られる。V、Dおよび/またはJセグメントの供給に好適な非ヒト動物としては、例えば、硬骨魚、軟骨魚、例えばサメおよびエイ、両生類、爬虫類、哺乳類、鳥類(例えば、ニワトリ)が挙げられる。非ヒト動物としては、例えば、哺乳類が挙げられる。哺乳類としては、例えば、非ヒト霊長類、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ウシ(例えば、雌ウシ、雄ウシ、バッファロー)、シカ、ラクダ、フェレットおよび齧歯動物および非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、オランウータン、ゴリラ、マーモセット、アカゲザル、ヒヒ)が挙げられる。好適な非ヒト動物は、ラット、マウスおよびハムスターを含む齧歯動物のファミリーから選択される。1つの実施形態において、前記非ヒト動物はマウスである。この文脈から明白であるように、様々な非ヒト動物(例えば、サメ、エイ、哺乳類(例えば、ラクダ、齧歯動物、例えばマウスおよびラット))を可変ドメインまたは可変領域遺伝子セグメントの源として使用することができる。
前記文脈によると、非ヒト動物は、可変配列またはセグメントと併用される定常領域配列の源としても使用される。例えば、ヒトまたは非ヒト可変配列に作動可能に連結される導入遺伝子(例えば、齧歯動物、例えばマウスもしくはラットもしくはハムスター、定常配列に作動可能に連結されたヒトまたは非ヒト霊長類可変配列)において齧歯動物定常配列を使用することができる。したがって、様々な実施形態において、ヒトV、Dおよび/またはJセグメントを齧歯動物(例えば、マウスまたはラットまたはハムスター)定常領域遺伝子配列に作動可能に連結させる。一部の実施形態では、前記ヒトV、Dおよび/またはJセグメント(または1つ以上の再構成VDJもしくはVJ遺伝子)を、例えば内因性免疫グロブリン遺伝子座ではない遺伝子座に組み込まれる導入遺伝子におけるマウス、ラットまたはハムスター定常領域遺伝子配列に作動可能に連結または融合させる。
特定の実施形態では、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座におけるVH、DHおよびJHセグメントの、1つ以上のヒトVH、DHおよびJHセグメントでの置換を含み、該1つ以上のヒトVH、DHおよびJHセグメントが、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子に作動可能に連結されているものであるマウスを提供し、この場合のマウスは、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座に導入遺伝子を含み、該導入遺伝子は、マウスまたはラットまたはヒト定常領域に作動可能に連結された非再構成または再構成ヒトVLおよびヒトJLセグメントを含む。
子孫を産生するマウスの能力を維持しながら、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン可変遺伝子遺伝子座でマウス生殖細胞系免疫グロブリン可変遺伝子遺伝子座を大規模にin situ遺伝子置換するための方法を記載する。具体的には、前記マウス定常領域をインタクトで残しながら、6メガ塩基のマウス重鎖およびκ軽鎖免疫グロブリン可変遺伝子遺伝子座両方を該遺伝子のヒトカウンターパートでの正確に置換することを記載する。結果として、マウス定常領域を維持しながら、マウスの生殖細胞系免疫グロブリン可変レパートリーすべてが等価のヒト生殖細胞系免疫グロブリン可変配列で正確に置換されたマウスを生み出した。前記ヒト可変領域をマウス定常領域に連結させて、再構成して生理的に適切なレベルで発現するキメラヒト−マウス免疫グロブリン遺伝子座を形成する。発現する抗体は、「逆キメラ」である。すなわち、それらはヒト可変領域配列およびマウス定常領域配列を含む。ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する抗体を発現するヒト化免疫グロブリン可変領域を有するこれらのマウスは、VELCOIMMUNE(登録商標)マウスと呼ばれる。
VELOCIMMUNE(登録商標)ヒト化マウスは、野生型マウスのものと本質的に区別できない完全機能的体液性免疫系を示す。前記ヒト化マウスは、B細胞発生の全ての段階で正常な細胞集団を提示する。前記ヒト化マウスは、正常なリンパ器官形態を示す。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの抗体配列は、正常なV(D)J再構成および正常な体細胞超変異頻度を示す。これらのマウスにおける抗体集団は、正常なクラススイッチ(例えば、正常なアイソタイプシススイッチ)の結果として生ずるアイソタイプ分布を表わす。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを免疫することにより、治療候補としての使用に好適なヒト免疫グロブリン可変ドメインを有する大量の多様な抗体レパートリーを産生する頑強な体液性免疫応答が得られる。このプラットホームは、薬学的に許容され得る抗体および他の抗原結合タンパク質を作製するための豊富な自然親和性成熟ヒト免疫グロブリン可変領域配列源を提供する。
マウス免疫グロブリン可変配列の、ヒト免疫グロブリン可変配列での正確な置換により、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスを作製することができる。とはいえ、非常に大きな長さのヒト免疫グロブリン配列の逐次的リコンビニアリング(sequential recombineering)による、重および軽鎖遺伝子座における内因性マウス免疫グロブリン配列の、等価ヒト免疫グロブリン配列での正確の置換は、マウスとヒトの間の免疫グロブリン遺伝子座の分岐進化のため、一定の課題を提起し得る。例えば、免疫グロブリン遺伝子座内に散在する遺伝子間配列は、マウスとヒトの間で同一ではなく、一部の状況では、機能的に等価でないこともある。マウスとヒトの間の免疫グロブリン遺伝子座におけるその相違は、特に内因性マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の一定の部分をヒト化または操作するとき、やはりヒト化マウスに異常を生じさせる結果となる場合がある。マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座における一部の改変は有害である。有害な改変としては、例えば、改変されたマウスの交配および子孫産生能力の喪失を挙げることができる。すべてのマウス定常鎖遺伝子および遺伝子座転写制御領域を含むハイブリッド遺伝子座内の隣接マウス配列をインタクトなままおよび機能的なまま、マウス重および軽鎖免疫グロブリン遺伝子座(VH−DH−JHおよびVκ−Jκ)の6メガ塩基可変領域の、対応する1.4メガ塩基ヒトゲノム配列での正確な大規模in situ置換を行った(図1Aおよび図1B)。具体的には、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術(例えば、米国特許第6,586,251号明細書およびValenzuelaら、2003、High−throughput engineering of the mouse genome coupled with high−resolution expression analysis、Nat Biotechnol 21:652−659参照)を用いて、ヒトVH、DH、JH、VκおよびJκ遺伝子配列を、ヒト生殖細胞系可変遺伝子座のオーバーラップ断片を担持する13のキメラBACターゲティングベクターの段階的挿入により、マウスES細胞に導入した。
マウス免疫グロブリン遺伝子のヒト化は、今日までのマウスゲノムへの最大の遺伝子改変を代表する。ランダムに組み込まれたヒト免疫グロブリン導入遺伝子での以前の努力は、(上で論じた)ある程度の成果を上げたが、前記マウス免疫グロブリン遺伝子の、該遺伝子のヒトカウンターパートでの直接置換は、ほかの点では正常なマウスにおいて完全ヒト抗体を効率的に産生することができる効率を劇的に増加させる。さらに、かかるマウスは、無能化された内因性遺伝子座および完全ヒト抗体導入遺伝子を保有するマウスと比較して、実質的に任意の抗原での免疫後に得ることができる完全ヒト抗体の多様性の劇的増大を示す。様々な分化段階で有意に低減されたB細胞集団を示すランダムに組み込まれたヒト導入遺伝子を有するマウスとは対照的に、置換されヒト化された遺伝子座の多彩なバージョンが完全に正常な成熟および未熟B細胞レベルを示す。ヒト遺伝子導入マウスにおけるヒト遺伝子セグメント数を増加させる努力は、かかる欠陥を低減させたが、拡張されたそれらの免疫グロブリンレパートリーは、野生型マウスと比較してB細胞集団の低減を全部は修正しなかった。
免疫グロブリン遺伝子座が置換されたマウス(すなわち、VELOCIMMUNE(登録商標)マウス)において観察される野生型に近い体液性免疫機能にもかかわらず、ランダムに組み込まれた導入遺伝子を利用する一部のアプローチでは遭遇しない、免疫グロブリンの直接置換を利用すると遭遇する他の課題がある。マウスとヒトの間の免疫グロブリン遺伝子座の遺伝子組成の相違は、免疫グロブリン遺伝子セグメントが置換されたマウスの繁殖にとって有益な配列の発見をもたらした。具体的には、前記内因性免疫グロブリン遺伝子座内にあるマウスADAM遺伝子は、妊性におけるその役割のため、免疫グロブリン遺伝子座が置換されたマウスに最適に存在する。
マウスADAM6のゲノムの場所および機能
いずれかの機能的ADAM6タンパク質を発現する能力が無い雄マウスは、驚くべきことに、交配して子孫を産生する該マウスの能力の欠陥を示す。これらのマウスには、すべてのまたは実質的にすべてのマウス免疫グロブリン可変領域遺伝子セグメントをヒト可変領域遺伝子セグメントで置換することによって機能的ADAM6タンパク質を発現する能力が無い。ADAM6遺伝子座が、DH遺伝子セグメントの上流にあるVH遺伝子セグメント遺伝子座の3’端の近位の、前記内因性マウス免疫グロブリン重鎖可変領域遺伝子遺伝子座の領域内にあるため、このADAM6機能の喪失が生ずる結果となる。すべてのまたは実質的にすべての内因性マウス重鎖可変遺伝子セグメントの、ヒト重鎖可変遺伝子セグメントでの置換に関してホモ接合性であるマウスを交配させるために、それぞれが該置換に関してホモ接合性であり、生産的交配を待つ雄と雌を供給することは、一般に厄介なアプローチである。好結果の同腹子は、頻度が低く、サイズが小さい。その代り、前記置換に関してヘテロ接合性の雄を用いて、前記置換に関してホモ接合性の雌と交配させて、前記置換に対してヘテロ接合性の後代を産生し、その後、それらからホモ接合型マウスを繁殖させた。前記雄マウスの妊性の喪失についての可能性のある原因は、ホモ接合型雄マウスにおける機能的ADAM6タンパク質の不在であると本発明者らは決定した。
様々な態様において、損傷した(すなわち、非機能的またはわずかに機能的な)ADAM6遺伝子を含む雄マウスは、妊性の低減または消去を示す。マウス(および他の齧歯動物)ではADAM6遺伝子が免疫グロブリン重鎖遺伝子座にあるため、本発明者らは、置換された免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含むマウスを繁殖させるために、または該マウスの系統を作り、維持するために、様々な改変交配または繁殖スキームを利用することを決定した。内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座の置換に関してホモ接合性の雄マウスの低い妊性または不妊性は、マウス系統のかかる改変の維持を困難にする。様々な実施形態において、前記系統の維持は、前記置換に関してホモ接合性の雄マウスによって示される不妊問題の回避を含む。
1つの態様では、本明細書に記載のマウスの系統を維持するための方法を提供する。マウスの前記系統は、異所性ADAM6配列を含む必要がなく、様々な実施形態において、マウスの前記系統は、ADAM6のノックアウト(例えば、機能的ノックアウト)に関してホモ接合性またはヘテロ接合性である。
前記マウス系統は、雄マウスにおいて妊性の低減または喪失を生じさせる結果となる内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変を含む。1つの実施形態において、前記改変は、ADAM6遺伝子の調節領域および/またはコーディング領域の欠失を含む。特定の実施形態において、前記改変は、その改変を含む雄マウスの妊性を低減させるまたは消去する内因性ADAM6遺伝子(調節領域および/またはコーディング領域)の改変を含む;特定の実施形態において、前記改変は、その改変に関してホモ接合性である雄マウスの妊性を低減させるまたは消去する。
1つの実施形態において、前記マウス系統は、ADAM6遺伝子のノックアウト(例えば、機能的ノックアウト)または欠失に関してホモ接合性またはヘテロ接合性である。
1つの実施形態では、前記改変に関してホモ接合性またはヘテロ接合性であるマウスから細胞を単離すること、および宿主胚において前記ドナー細胞を用いること、および代理母において前記宿主胚およびドナー細胞を妊娠させること、および前記遺伝子改変を含む後代を前記代理母から得ることによって、前記マウス系統を維持する。1つの実施形態において、前記ドナー細胞は、ES細胞である。1つの実施形態において、前記ドナー細胞は、多能性細胞、例えば導入多能性細胞である。
1つの実施形態では、前記改変に関してホモ接合性またはヘテロ接合性であるマウスから、前記改変を含む核酸配列を単離すること、および前記核酸配列を宿主核に導入すること、および好適な動物において前記核酸配列および前記宿主核を含む細胞を妊娠させることによって、前記マウス系統を維持する。1つの実施形態では、前記核酸配列を宿主卵母細胞の胚に導入する。
1つの実施形態では、前記改変に関してホモ接合性またはヘテロ接合性であるマウスから核を単離すること、および前記核を宿主細胞に導入すること、および好適な動物において前記核および宿主細胞を妊娠させて、前記改変に関してホモ接合性またはヘテロ接合性である後代を得ることによって、前記マウス系統を維持する。
1つの実施形態では、前記遺伝子改変を含む雄マウスからの精液を用いる、雌マウス(野生型、前記改変に関してホモ接合性、または前記改変に関してヘテロ接合性)のin vitro受精(IVF)を用いることによって、前記マウス系統を維持する。1つの実施形態において、前記雄マウスは、前記遺伝子改変に関してヘテロ接合性である。1つの実施形態において、前記雄マウスは、前記遺伝子改変に関してホモ接合性である。
1つの実施形態では、前記遺伝子改変に関してヘテロ接合性である雄マウスを雌マウスと交配させて、前記遺伝子改変を含む後代を得ること、前記遺伝子改変を含む雄および雌後代を同定すること、および前記遺伝子改変に関してヘテロ接合性である雄を、野生型である、前記遺伝子改変に関してホモ接合性であるまたはヘテロ接合性である雌との交配に用いて、前記遺伝子改変を含む後代を得ることによって、前記マウス系統を維持する。1つの実施形態では、前記遺伝子改変に関してヘテロ接合性の雄と、野生型雌、前記遺伝子改変に関してヘテロ接合性の雌、または前記遺伝子改変に関してホモ接合性の雌とを交配させる工程を繰り返して、前記マウス系統での前記遺伝子改変を維持する。
1つの態様では、内因性免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座の、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖配列での置換を含むマウス系統を維持するための方法であって、前記マウス系統を交配させて、ヘテロ接合型雄マウスを産生する工程を含み、前記ヘテロ接合性雄マウスを交配させて、前記系統において前記遺伝子改変を維持する方法を提供する。特定の実施形態において、前記系統は、ホモ接合性雄と野生型雌、または前記遺伝子改変に関してホモ接合性もしくはヘテロ接合性の雌とのいずれの交配によっても維持されない。
前記ADAM6タンパク質は、タンパク質のADAMファミリーのメンバーであり、ADAMは、A Disintegrin And Metalloprotease(ディスインテグリンおよびメタロプロテアーゼ)の頭文字である。タンパク質のADAMファミリーは、大きく、多様であり、細胞接着をはじめとする多様な機能を有する。ADAMファミリーの一部のメンバーは、精子形成および受精に関与する。例えば、ADAM2は、精子−卵子相互作用に関与するタンパク質ファーティリンのサブユニットをコードする。ADAM3、すなわちシリテスティンは、透明帯への精子の結合に必要であるようである。ADAM2またはADAM3いずれかの不在は不妊性を生じさせる結果となる。ADAM2、ADAM3およびADAM6は、マウス精子細胞の表面で複合体を形成すると仮定されている。ヒトVH遺伝子セグメントVH1−2とVH6−1の間で通常見出されるヒトADAM6遺伝子は、偽遺伝子であるようである(図12)。マウスには2つのADAM6遺伝子−ADAM6aおよびADAM6b−があり、これらは、マウスVH遺伝子セグメントとDH遺伝子セグメントの間の遺伝子間領域において見つけられ、前記マウスにおいて、ADAM6a遺伝子およびADAM6b遺伝子は、周囲の免疫グロブリン遺伝子セグメントのものとは反対の転写配向に配向する(図12)。マウスの場合、正常な受精には機能的ADAM6遺伝子座が明らかに要求される。そこで、機能的ADAM6遺伝子座または配列は、内因性ADAM6遺伝子座が欠けているまたは非機能的内因性ADAM6遺伝子座を有する雄マウスにおいて示される受精の徹底的低減を補うまたはレスキューすることができる、ADAM6遺伝子座または配列を指す。
ADAM6aおよびADAM6bをコードする、マウスにおける前記遺伝子間配列の位置が、内因性マウス重鎖を改変するとき該遺伝子間配列に改変を受けやすくさせる。VH遺伝子セグメントを欠失させるもしくは置換するとき、またはDH遺伝子セグメントを欠失させるもしくは置換するとき、結果として得られるマウスは重度の妊性欠損を示す確率が高い。この欠損を補償するために、内因性マウスADAM6遺伝子座の改変に起因するADAM6活性の喪失を補うタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むようにマウスを改変する。様々な実施形態において、補足性ヌクレオチド配列は、妊性欠損をレスキューするマウスADAM6a、マウスADAM6b、またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片をコードするものである。
妊性をレスキューする前記ヌクレオチド配列を任意の好適な位置に配置することができる。前記配列を前記遺伝子間領域に配置することができ、またはゲノム内の任意の好適な位置に(すなわち、異所的に)配置することができる。1つの実施形態では、前記ヌクレオチド配列を、マウスゲノムにランダムに組み込む導入遺伝子に導入することができる。1つの実施形態では、前記配列をエピソームで、すなわちマウス染色体上ではなく別々の核酸上で、維持することができる。好適な位置としては、転写許容性または活性である位置、例えば、ROSA26遺伝子座(Zambrowiczら、1997、PNAS USA 94:3789−3794)、BT−5遺伝子座(Michaelら、1999、Mech.Dev.85:35−47)またはOct4遺伝子座(Wallaceら、2000、Nucleic Acids Res.28:1455−1464)が挙げられる。転写活性遺伝子座へのヌクレオチド配列のターゲティングは、例えば米国特許第7,473,557号明細書に記載されており、この参考文献は参照により本明細書に援用されている。
あるいは、妊性をレスキューする前記ヌクレオチド配列を誘導性プロモーターとカップリングさせて、適切な細胞および/または組織、例えば生殖組織、での最適な発現を促進することができる。例示的誘導性プロモーターとしては、物理的手段によって活性化されるプロモーター(例えば、熱ショックプロモーター)および/または化学的手段によって活性化されるプロモーター(例えば、IPTGもしくはテトラサイクリン)が挙げられる。
さらに、前記ヌクレオチド配列の発現を他の遺伝子に関連づけて、特定の発生段階または特定の組織内での発現を実現することができる。かかる発現は、前記ヌクレオチド配列を、特定の発生段階で発現する遺伝子のプロモーターと作動可能に連結させることによって実現することができる。例えば、宿主種のゲノムへと工学的に作製された1つの種からの免疫グロブリン配列を、その宿主種からのCD19遺伝子(B細胞特異的遺伝子)のプロモーター配列と作動可能に連結させる。免疫グロブリンが発現する正確な発生段階でのB細胞特異的発現が実現される。
挿入されたヌクレオチド配列の頑強な発現を実現するためのさらにもう1つの方法は、構成的プロモーターの利用である。例示的構成的プロモーターとしては、SV40、CMV、UBC、EF1A、PGKおよびCAGGが挙げられる。同様に、所望のヌクレオチド配列を選択された構成的プロモーターと作動可能に連結させ、それにより、該ヌクレオチド配列によってコードされているタンパク質(単数または複数)の高い発現レベルが得られる。
用語「異所性」は、自然界で通常は遭遇しない位置への転位または配置(例えば、核酸配列の、該核酸配列が野生型マウスにおいて見出されるのと同じ位置でない位置への配置)を含むことを意図したものである。様々な実施形態において、この用語は、その対象がその正常なまたは正しい位置外にあるという意味で用いられる。例えば、「...をコードする異所性ヌクレオチド配列」という句は、マウスでは通常遭遇しない位置に出現するヌクレオチド配列を指す。例えば、マウスADAM6タンパク質(または雄マウスに対して同じまたは同様の妊性の恩恵をもたらすそのオルソログもしくはホモログもしくは断片)をコードする異所性ヌクレオチド配列の場合、該配列は、野生型マウスにおいて通常見出される位置とは異なるマウスのゲノム内の位置に配置されることがある。かかる場合、野生型マウスにおける位置とは異なるマウスのゲノム内の位置に前記配列を配置することにより、マウス配列の新規配列接合部を生み出すこととなる。マウスADAM6の機能的ホモログまたはオルソログは、ADAM6−/−マウスにおいて観察される妊性喪失(例えば、交配により子孫を産生する雄マウスの能力の喪失)のレスキューをもたらす配列である。機能的ホモログまたはオルソログは、ADAM6aのアミノ酸配列に対しておよび/またはADAM6bのアミノ酸配列に対して少なくとも約89%以上の同一性、例えば99%以下の同一性を有するタンパク質、ならびにADAM6aおよび/またはADAM6bの欠失またはノックアウトを含む遺伝子型を有するマウスの首尾よく交配する能力を補うまたはレスキューすることができるタンパク質を含む。
前記異所位置は、(例えば、マウスADAM6配列を含有する導入遺伝子のランダム挿入の場合のように)どこでもよく、または例えば、野生型マウスにおける(例えば、改変内因性マウス免疫グロブリン遺伝子座内だがその天然の位置の上流または下流のいずれか、例えば、改変免疫グロブリン遺伝子座内だが、異なる遺伝子セグメント間、またはマウスV−D遺伝子間配列内の異なる位置における)その場所に近い(しかし、正確に同じではない)位置であってもよい。異所性配置の一例は、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座内への配置である。例えば、1つ以上の内因性VH遺伝子セグメントの、ヒトVH遺伝子セグメントでの置換であって、内因性ADAM6配列を除去する置換を含むマウスを、マウスADAM6配列がヒトVH遺伝子セグメントを含有する配列内に配置されるように工学的に作製することができる。結果として得られる改変は、ヒト遺伝子配列内に(異所性)マウスADAM6配列を生じさせることとなり、このヒト遺伝子配列内へのマウスADAM6配列の(異所性)配置は、ヒトADAM6偽遺伝子の位置(すなわち、2つのVセグメント間)に近い場合もあり、またはマウスADAM6配列の位置(すなわち、V−D遺伝子間領域内)に近い場合もある。マウスの生殖細胞系内のヒト遺伝子配列(例えば、免疫グロブリン遺伝子配列)内にまたは該ヒト遺伝子配列に隣接した(異所性)マウスADAM6配列の接合により作られる、結果として生ずる配列接合部は、野生型マウスのゲノム内の同じまたは同様の位置と比較して新しいものになる。
様々な実施形態において、ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログが無い非ヒト動物を提供し、この欠如が該非ヒト動物を不妊性にするか、該非ヒト動物の妊性を実質的に低減させる。様々な実施形態において、前記ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログ欠如は、内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変に起因する。妊性の実質的低減は、例えば、妊性(例えば、交配頻度、同腹子あたりの子、1年あたりの同腹子、など)の約50%、60%、70%、80%、90%または95%またはそれより多くの低減である。様々な実施形態では、非ヒト動物の雄において機能的であるマウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片を前記非ヒト動物に補充し、この補充されたADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片により、妊性低減の全部または実質的部分がレスキューされる。妊性の実質的部分のレスキューは、例えば、前記非ヒト動物が、非改変(すなわち、ADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログへの改変を有さない動物)重鎖遺伝子座と比較して少なくとも70%、80%または90%またはそれより多い妊性を示すような妊性の回復である。
様々な実施形態において、前記遺伝子改変動物(すなわち、例えば免疫グロブリン重鎖遺伝子座の改変に起因して、機能的ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログが無い動物)に付与する配列は、ADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログから選択される。例えば、マウスにおけるADAM6機能の喪失は、1つの実施形態では、マウスADAM6遺伝子の付加によってレスキューされる。1つの実施形態において、マウスにおけるADAM6機能の喪失は、マウス、例えば齧歯動物、に対して近縁の種、例えば、異なる系統または種のマウス、任意の種のラット、齧歯動物、のオルソログまたはホモログを付加することによってレスキューされ、この場合、前記マウスのオルソログまたはホモログの付加により、ADAM6機能の喪失またはADAM6遺伝子の喪失に起因する妊性の喪失がレスキューされる。他の種からのオルソログおよびホモログは、様々な実施形態において系統発生的に関連した種から選択され、および様々な実施形態において、約80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上または97%以上である内因性ADAM6(またはオルソログ)との同一性パーセントを示し、およびADAM6に関連したまたは(非マウスの場合は)ADAM6オルソログに関連した妊性喪失をレスキューする。例えば、ADAM6機能が無い遺伝子改変雄ラット(例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖可変領域で置換された内因性免疫グロブリン重鎖可変領域を有するラット、またはラット免疫グロブリン重鎖領域のノックアウトを有するラット)の場合、そのラットの妊性の喪失は、ラットADAM6の付加によって、または一部の実施形態ではラットADAM6のオルソログ(例えば、別のラット系統もしくは種からの、または1つの実施形態ではマウスからの、ADAM6オルソログ)の付加によってレスキューされる。
このように、様々な実施形態において、ADAM6タンパク質(またはそのオルソログもしくはホモログ)をコードする核酸配列、または該核酸配列と作動可能に連結された調節領域の改変に起因して妊性を示さないまたは妊性の低減を示す遺伝子改変動物は、妊性の喪失を補うまたは回復させる核酸配列を含み、この場合、妊性の喪失を補うまたは回復させる核酸配列は、同じ種の異なる系統からのものであるか、系統発生的に類縁の種からのものである。様々な実施形態において、前記補足性核酸配列は、ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片である。様々な実施形態において、前記補足性ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、妊性の欠陥を有する遺伝子改変動物に近縁である非ヒト動物からのものである。例えば、前記遺伝子改変動物が特定の系統のマウスである場合、ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片を、別の系統のマウスから得ることができ、類縁種のマウスから得ることができる。1つの実施形態において、前記妊性の欠陥を含む遺伝子改変動物が齧歯目(order Rodentia)のものである場合、前記ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、齧歯目の別の動物からのものである。1つの実施形態において、前記妊性の欠陥を含む遺伝子改変動物は、ネズミ亜目(suborder Myomoropha)(例えば、トビネズミ(jerboas)、ジャンピングマウス(jumping mice)、カンガルーハムスター、ハムスター、新世界ラットおよびマウス、ハタネズミ、純種のマウスおよびラット(true mice and rat)、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ、キノボリマウス、イワマウス、オジロキヌゲネズミ、マダガスカルラットおよびマウス、トゲヤマネ、デバネズミ、タケネズミ、モグラネズミ)のものであり、前記ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、齧歯目の動物、またはネズミ亜目の動物から選択される。
1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、トビネズミ上科(superfamily Dipodoidea)からのものであり、前記ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、ネズミ上科(superfamily Muroidea)からのものである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、ネズミ上科からのものであり、前記ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、トビネズミ上科からのものである。
1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は齧歯動物である。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ上科から選択され、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、ネズミ上科内の異なる種からのものである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、カンガルーハムスター科(Calomyscidae)(例えば、カンガルーハムスター)、キヌゲネズミ科(Cricetidae)(例えば、ハムスター、新世界ラットおよびマウス、ハタネズミ)、ネズミ科(Muridae)(純種のマウスおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)、アシナガマウス科(Nesomyidae)(キノボリマウス、イワマウス、オジロキヌゲネズミ、マダガスカルラットおよびマウス)、トゲヤマネ科(Platacanthomyidae)(例えば、トゲヤマネ)およびメクラネズミ科(例えば、デバネズミ、タケネズミおよびモグラネズミ)から選択される科からのものであり;および前記ADAM6オルソログまたはホモログは、同じ科の異なる種から選択される。特定の実施形態において、前記遺伝子改変齧歯動物は、純種のマウスまたはラット(ネズミ科)から選択され、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、アレチネズミ、トゲマウス、またはタテガミネズミから選択される種からのものである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変マウスは、ネズミ科のメンバーからのものであり、および前記ADAM6オルソログまたはホモログは、ネズミ科の異なる種からのものである。特定の実施形態において、前記遺伝子改変齧歯動物は、ネズミ科のマウスであり、および前記ADAM6オルソログまたはホモログは、ネズミ科のラット、アレチネズミ、トゲマウスまたはタテガミネズミからのものである。
様々な実施形態において、1つの科の中の齧歯動物の1つ以上の齧歯動物ADAM6オルソログもしくはホモログまたはその機能的断片は、ADAM6オルソログまたはホモログが無い同じ科(例えば、キヌゲネズミ科(例えば、ハムスター、新世界ラットおよびマウス、ハタネズミ);ネズミ科(例えば、純種のマウスおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ))の遺伝子改変齧歯動物に妊性を回復させる。
様々な実施形態において、ADAM6オルソログ、ホモログおよびその断片を、該オルソログ、ホモログまたは断片が、ADAM6活性が無い遺伝子改変雄非ヒト動物(例えば、ADAM6またはそのオルソログのノックアウトを含む齧歯動物、例えばマウスまたはラット)に妊性を回復させるかどうか確認することにより、機能性について評価する。様々な実施形態において、機能性は、内因性ADAM6またはそのオルソログもしくはホモログが無い遺伝子改変動物の精子の、遺伝子改変動物の同じ種の卵管を移動して卵子を受精させる能力と定義される。
様々な態様において、マウスADAM6(例えば、雄マウスにおいて機能的であるそのオルソログまたはホモログまたは断片)に同様の妊性の恩恵をもたらすタンパク質をコードする異所性ヌクレオチド配列を含有する、内因性重鎖可変領域遺伝子座またはその部分の欠失または置換を含むマウスを作製することができる。前記異所性ヌクレオチド配列としては、異なるマウス系統または異なる種、例えば異なる齧歯動物種、のADAM6ホモログまたはオルソログ(またはその断片)であるタンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、妊性の恩恵、例えば、指定された期間にわたっての同腹子数の増加、および/または同腹子あたりの子の数の増加、および/またはマウス卵管を通り抜けてマウス卵子を受精させる雄マウスの精子細胞の能力、を付与するヌクレオチド配列が挙げられる。
1つの実施形態において、前記ADAM6は、マウスADAM6タンパク質と少なくとも89%から99%同一である(例えば、マウスADAM6aまたはマウスADAM6bと少なくとも89%から99%同一である)ホモログまたはオルソログである。1つの実施形態において、前記異所性ヌクレオチド配列は、マウスADAM6aと少なくとも89%同一のタンパク質、マウスADAM6bと少なくとも89%同一のタンパク質、およびその組み合わせから独立して選択される1つ以上のタンパク質をコードする。1つの実施形態において、前記ホモログまたはオルソログは、マウスADAM6aおよび/またはマウスADAM6bと同一であるまたはマウスADAM6aおよび/またはマウスADAM6bと約89%以上同一であるように改変されているラット、ハムスター、マウス、またはモルモットタンパク質である。1つの実施形態において、前記ホモログまたはオルソログは、マウスADAM6aおよび/またはマウスADAM6bと同一であるか、マウスADAM6aおよび/またはマウスADAM6bと少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である。
ヒト化重鎖マウスにおける異所性ADAM6
遺伝子ターゲティングの進展、例えば、細菌人工染色体(BAC)の開発により、今や、比較的大きいゲノム断片の組換えが可能である。BAC工学は、マウスES細胞に大きな欠失および大きな挿入を施すことをできるようにした。
ヒト抗体を作るマウスは、ここしばらくの間に利用可能になった。これらのマウスは、ヒト治療用抗体の開発の重要な前進の代表であるが、その有用性を制限する多数の重大な異常を提示する。例えば、これらのマウスは、損なわれたB細胞発生を提示する。この損なわれた発生は、トランスジェニックマウスと野生型マウスの間の様々な相違に起因し得る。
ヒト抗体は、成熟、増殖、またはクローン選択中の生存についてのシグナルを伝達するマウス細胞の表面のマウスプレB細胞受容体またはB細部受容体と最適に相互作用しない可能性がある。完全ヒト抗体は、マウスFc受容体系と最適に相互作用しない可能性があるし、マウスは、ヒトFc受容体との1対1の対応を提示しないFc受容体を発現する。結局、完全ヒト抗体を作る様々なマウスは、野生型B細胞発生に要求され得るすべての真正マウス配列を含まない、例えば、下流エンハンサー要素および他の遺伝子座制御要素を含まない。
完全ヒト抗体を作製するマウスは、何らかの形で無能化されている内因性免疫グロブリン遺伝子座を一般に含み、可変および定常免疫グロブリン遺伝子セグメントを含むヒト導入遺伝子が、そのマウスゲノム内のランダムな場所に導入される。内因性遺伝子座が、機能的免疫グロブリン遺伝子を形成するように遺伝子セグメントを再構成できないほど無能化されている限り、たとえB細胞発生が損なわれていたとしても、かかるマウスにおいて完全ヒト抗体を作製するという目的を達成することができる。
ヒト導入遺伝子遺伝子座から完全ヒト抗体を作製せざるを得ないのだが、マウスにおけるヒト抗体の産生は、好ましくない過程であるようである。一部のマウスでは、この過程は、トランススイッチの機序によりキメラヒト可変/マウス定常重鎖(軽鎖ではなく)が形成される結果をもたらすには好ましいものではない。この機序により、完全ヒト抗体をコードする転写産物は、ヒトアイソタイプからマウスアイソタイプへとトランスでアイソタイプスイッチされる。完全ヒト導入遺伝子は、マウス重鎖定常領域遺伝子の非損傷コピーを保持する内因性遺伝子座から離れた場所にあるため、この過程はトランスでの過程となる。かかるマウスではトランススイッチが容易に分かるが、この現象はB細胞発生のレスキューにやはり不十分であり、B細胞発生は明らかに害されたままである。いずれにせよ、トランススイッチ現象は軽鎖に関して起こらないので、かかるマウスにおいてトランススイッチされた抗体は、完全ヒト軽鎖を保持する;おそらく、トランススイッチは、シスでの正常なアイソタイプスイッチに(それとは異なるにせよ)用いられる内因性遺伝子座におけるスイッチ配列に依存する。したがって、完全ヒト抗体を作製するように工学的に作製されたマウスが、マウス定常領域を有する抗体を作製するためにトランススイッチ機序を選択する場合であっても、その戦略は、正常B細胞発生のレスキューにやはり不十分である。
抗体ベースのヒト治療薬の作製における主な関心事は、特定のエピトープを特異的に認識し、望ましい親和性で、通常は−常にではないが−高い親和性で、そのエピトープを結合する有用な可変ドメインを同定するために十分多様なヒト免疫グロブリン可変領域配列を作製することである。(本明細書に記載する)VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの開発前は、マウス定常領域と共にヒト可変領域を発現するマウスが、導入遺伝子からヒト抗体を作製するマウスとの何らかの有意差を示すことになるという指摘はなかった。しかし、その仮定は間違っていた。
内因性マウス遺伝子座におけるヒト免疫グロブリン可変領域でのマウス免疫グロブリン可変領域の正確な置換を含有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、B細胞発生に関して野生型マウスとの驚くべき、また注目すべき類似性を提示する。驚くべき、また実にすばらしい発生の点で、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、免疫に応答して産生される可変領域が完全ヒトのものであるという1つの重要な点のみが野生型マウスと異なる、本質的に正常な野生型応答を免疫に対して提示した。
VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、内因性遺伝子座におけるマウス免疫グロブリン重鎖(IgH)および免疫グロブリン軽鎖(例えば、κ軽鎖、Igκ)の生殖細胞系可変領域の、対応するヒト免疫グロブリン可変領域での正確な大規模置換を含有する。合計で約6メガ塩基のマウス遺伝子座が約1.5メガ塩基のヒトゲノム配列で置換される。この正確な置換により、結果として、ヒト可変領域とマウス定常領域を有する重および軽鎖を作製するハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスが得られる。マウスVH−DH−JHおよびVκ−Jκセグメントの正確な置換は、隣接するマウス配列をインタクトなままおよび機能的なままハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座に残す。前記マウスの体液性免疫系は、野生型マウスのものと同様に機能する。B細胞発生はいずれの重要な点でも妨害されず、抗原チャレンジすると前記マウスにおいて多様性に富んだヒト可変領域が産生される。
VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、重およびκ軽鎖についての免疫グロブリン遺伝子セグメントがヒトおよびマウスにおいて同様に再構成するので実現可能であるのだが、その遺伝子座は同じまたはほぼ同じであるというわけではない――明らかにそれらはそうではない。しかし、その遺伝子座は、すべてのVH、DHおよびJH遺伝子セグメントを含有する約300万塩基対の連続するマウス配列を、ヒト免疫グロブリン遺伝子座からの等価の配列を基本的にカバーする約100万塩基の連続するヒトゲノム配列で置換することによって重鎖可変遺伝子遺伝子座のヒト化を達成することができるほどに類似する。
一部の実施形態では、一定のマウス定常領域遺伝子配列の、ヒト遺伝子配列でのさらなる置換(例えば、マウスCH1配列の、ヒトCH1での置換、およびマウスCL配列の、ヒトCL配列での置換)により、結果として、例えば完全ヒト抗体断片、例えば完全ヒトFabの作製に好適な、ヒト可変領域および部分ヒト定常領域を有する抗体を作製するハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスが得られる。ハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスは、正常な可変遺伝子セグメント再構成、正常な体細胞超変異頻度および正常なクラススイッチを示す。これらのマウスは、野生型マウスと区別できない体液性免疫系を示し、および、マウスにヒト可変領域遺伝子セグメントの完全レパートリーが無い場合でさえ、正常な細胞集団をすべてのB細胞発生段階で提示し、正常なリンパ器官構造を提示する。これらのマウスの免疫は、可変遺伝子セグメント使用量の広範な多様性を提示する頑強な体液性応答を生じさせる結果となる。
マウス生殖細胞系可変領域遺伝子セグメントの正確な置換により、部分ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスの作製が可能になる。部分ヒト免疫グロブリン遺伝子座は、再構成し、超変異し、正常にクラススイッチするため、ヒト可変領域を含むマウスでは部分ヒト免疫グロブリン遺伝子座により抗体が産生される。その可変領域をコードするヌクレオチド配列を同定し、クローニングして、選ばれた任意の配列、例えば、特定の用途に好適な任意の免疫グロブリンアイソタイプと(例えばin vitro系において)融合させ、その結果、全部がヒト配列に由来する抗体または抗原結合タンパク質を得ることができる。
リコンビニアリング法による大規模ヒト化を用いてマウス胚性幹(ES)細胞を改変して、マウスVH、DHおよびJH遺伝子セグメントの本質的にすべてを含む3メガ塩基以下のマウス重鎖免疫グロブリン遺伝子座を、いくつかのまたは本質的にすべてのヒトVH、DHおよびJH遺伝子セグメントを含有する1メガ塩基以下のヒトゲノム配列を有する等価のヒト遺伝子セグメントで正確に置換した。本質的にすべてのヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントをコードする2つのリピートの一方を含むヒトゲノムの二分の一メガ塩基以下のセグメントを使用して、マウスVκおよびJκ遺伝子セグメントの本質的にすべてを含有するマウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の3メガ塩基セグメントを置換した。
かかる置換免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスは、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の最も3’側のVH遺伝子セグメントと最も5’側のDH遺伝子セグメントの間で通常は見出される内因性マウスADAM6遺伝子座の破壊または欠失を含み得る。この領域の破壊は、内因性マウスADAM6遺伝子座の機能性の低減または消去をもたらし得る。ヒト重鎖レパートリーの最も3’側のVH遺伝子セグメントを置換に使用すると、ヒトADAM6偽遺伝子であるように見える偽遺伝子を含有する遺伝子間領域がこれらのVH遺伝子セグメント間、すなわち、ヒトVH1−2とVH1−6の間に存在する。しかし、このヒト遺伝子間配列を含む雄マウスは、妊性の低減を示す。
上記の置換遺伝子座を含み、マウスADAM6をコードする異所性核酸配列も含むマウスであって、本質的に正常な妊性を示すマウスを記載する。1つの実施形態において、前記異所性核酸配列は、改変内因性重鎖遺伝子座のヒトVH1−2とヒトVH6−1の間に配置されたマウスADAM6a配列および/またはマウスADAM6b配列またはその機能的断片を含む。1つの実施形態において、前記異所性核酸配列は、改変内因性重鎖遺伝子座のヒトVH1−2とヒトVH6−1の間に配置された配列番号3である。配列番号3のADAM6遺伝子の転写方向は、周囲のヒトVH遺伝子セグメントの転写の方向に対して逆である。本明細書における例は、示されるヒトVH遺伝子セグメント間に異所性配列を配置することによる妊性のレスキューを示すが、マウスゲノム内の任意の好適な転写許容遺伝子座への(またはさらには染色体外への)異所性配列の配置が雄マウスの妊性を同様にレスキューすると予想されることは、当業者であれば認める。
マウスADAM6遺伝子またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片を含む異所性配列を有する機能的ADAM6遺伝子座を欠いているマウスを補足する現象は、非機能的なまたは最小機能的な内因性ADAM6遺伝子座を有する任意のマウスのレスキューに適用できる一般的な方法である。それ故、免疫グロブリン重鎖遺伝子座のADAM6破壊改変を含む非常に多数のマウスを本発明の組成物および方法でレスキューすることができる。したがって、本発明は、内因性ADAM6機能を含む免疫グロブリン重鎖遺伝子座の多種多様な改変を有するマウスを含む。一部の(非限定的)例を本明細書に提供する。記載するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスに加えて、ADAM6に関する組成物および方法を非常に多くの用途に、例えば、重鎖遺伝子座を多種多様な方法で改変するときに用いることができる。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントでの置換と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスDH遺伝子セグメントおよびJH遺伝子セグメントの、ヒトDH遺伝子セグメントおよびヒトJH遺伝子セグメントでの置換とを含むマウスであって、CH1領域および/またはヒンジ領域が無いマウスを提供する。1つの実施形態において、前記マウスは、(a)ヒトVH−マウスCH1−マウスCH2−マウスCH3;(b)ヒトVH−マウスヒンジ−マウスCH2−マウスCH3;および(c)ヒトVH−マウスCH2−マウスCH3から選択される免疫グロブリン鎖の二量体である単一可変ドメイン結合タンパク質を作製する。
1つの態様では、1つ以上のマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメント(mVH、mDHおよび/またはmJH)の、1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメント(hVH、hDHおよび/またはhJH)での置換を有するマウスであって、1つ以上のマウス免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(mVκおよび/またはmJκ)の、1つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメント(hVκおよび/またはhJκ)での置換をさらに含むマウスにおいて、妊性をレスキューするヌクレオチド配列をヒト免疫グロブリン重鎖可変領域配列内(例えば、ヒトVH1−2遺伝子セグメントとVH1−6遺伝子セグメントの間)に配置する。
1つの実施形態において、前記1つ以上のマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、約3メガ塩基のマウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座の少なくとも89のVH遺伝子セグメント、少なくとも13のDH遺伝子セグメント、少なくとも4のJH遺伝子セグメントまたはその組み合わせを含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、約1メガ塩基のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座の少なくとも80のVH遺伝子セグメント、少なくとも27のDH遺伝子セグメント、少なくとも6のJH遺伝子セグメントまたはその組み合わせを含む。
1つの実施形態において、前記1つ以上のマウス免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、約3メガ塩基のマウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のマウス免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、マウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の少なくとも137のVκ遺伝子セグメント、少なくとも5のJκ遺伝子セグメントまたはその組み合わせを含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、約二分の一メガ塩基のヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の(免疫グロブリンκ定常領域に関して)近位リピートを含む。1つの実施形態において、前記1つ以上のヒト免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントは、ヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座の少なくとも40のVκ遺伝子セグメント、少なくとも5のJκ遺伝子セグメントまたはその組み合わせを含む。
1つの実施形態では、前記ヌクレオチド配列を2つのヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントの間に配置する。特定の実施形態において、前記2つのヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントは、重鎖遺伝子セグメントである。1つの実施形態では、前記ヌクレオチド配列をVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるヒトVH1−2遺伝子セグメントとヒトVH1−6遺伝子セグメントとの間に配置する(米国特許第6,596,541号および同第7,105,348号明細書;これらは参照により本明細書に援用されている)。1つの実施形態において、そのように改変されたVELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、少なくとも80のヒトVH遺伝子セグメント、27のヒトDH遺伝子セグメントおよび6のヒトJH遺伝子セグメントでのマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子セグメントの置換、および少なくとも40のヒトVκ遺伝子セグメントおよび5のヒトJκ遺伝子セグメントでのマウス免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子セグメントの置換を含む。
1つの態様において、機能的マウスADAM6遺伝子座(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)は、内因性マウスVH遺伝子セグメントを置換するヒトVH遺伝子セグメントの中央に存在する。1つの実施形態では、少なくとも89のマウスVH遺伝子セグメントを除去し、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントで置換し、およびマウスADAM6遺伝子座は、ヒトVH遺伝子セグメントの3’端に直ぐ隣接して存在するか、2つのヒトVH遺伝子セグメント間に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、挿入されたヒトVH遺伝子セグメントの3’末端の約20キロ塩基(kb)から約40キロ塩基(kb)以内の2つのVH遺伝子セグメント間に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、挿入されたヒトVH遺伝子セグメントの3’末端の約29kbから約31kb以内の2つのVH遺伝子セグメント間に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、挿入されたヒトVH遺伝子セグメントの3’末端の約30kb以内に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、挿入されたヒトVH遺伝子セグメントの3’末端の約30,184bp以内に存在する。特定の実施形態において、前記置換は、ヒトVH遺伝子セグメントVH1−2およびVH6−1を含み、前記マウスADAM6遺伝子座は、該VH1−2遺伝子セグメントの下流かつ該VH6−1遺伝子セグメントの上流に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、ヒトVH1−2遺伝子セグメントとヒトVH6−1遺伝子セグメントの間に存在し、この場合、該マウスADAM6遺伝子座の5’端は、該ヒトVH1−2遺伝子セグメントの3’末端から約13,848bpであり、および該ADAM6遺伝子座の3’端は、該ヒトVH6−1遺伝子セグメントから約29,737bp5’側に存在する。特定の実施形態において、前記マウスADAM6遺伝子座は、マウスの細胞内にADAM6機能を付与する配列番号3またはその断片を含む。そこで、特定の実施形態において、ヒトVH遺伝子セグメントの構成は、以下のものである(ヒトVH遺伝子セグメントの転写方向に関して上流から下流に):ヒトVH1−2−マウスADAM6遺伝子座−ヒトVH6−1。特定の実施形態では、ヒトVH1−2とヒトVH6−1間のADAM6偽遺伝子をマウスADAM6遺伝子座で置換する。1つの実施形態において、転写方向に関して、マウスADAM6遺伝子座のマウスADAM6aおよびマウスADAM6bのうちの1つ以上の配向は、ヒトVH遺伝子セグメントについての配向と比較して逆である。あるいは、マウスADAM6遺伝子座は、最も3’側のヒトVH遺伝子セグメントと最も5’側のDH遺伝子セグメントの間の遺伝子間領域に存在する。最も5’側のDHセグメントがマウスであろうと、ヒトであろうと、このとおりであるはずである。
同様に、すべてのまたは実質的にすべての内因性マウスVH遺伝子セグメントを置換する、前記1つ以上のヒトVL遺伝子セグメント(例えば、VκまたはVλセグメント)で改変されるマウスは、上に記載したように、例えばマウスADAM6遺伝子座もしくはその機能的断片を含む下流ホモロジーアームを有するターゲティングベクターを利用することにより、内因性マウスADAM6遺伝子座を維持するように改変することができ、あるいは2つのヒトVL遺伝子セグメント間に、またはヒトVL遺伝子セグメントとDH遺伝子セグメントとの間(ヒトであろうとマウスであろうと、例えば、Vλ+m/hDH)もしくはJ遺伝子セグメントとの間(ヒトであろうとマウスであろうと、例えば、Vκ+JH)に位置する異所配列で損傷マウスADAM6遺伝子座を置換するように改変することができる。1つの実施形態において、前記置換は、2つ以上のヒトVL遺伝子セグメントを含み、および前記マウスADAM6遺伝子座またはその機能的断片は、2つの最も3’側のVL遺伝子セグメント間に存在する。そこで、特定の実施形態において、ヒトVL遺伝子セグメントの構成は、以下のものである(ヒト遺伝子セグメントの転写方向に関して上流から下流に):ヒトVL3’−1−マウスADAM6遺伝子座−ヒトVL3’。1つの実施形態において、転写方向に関して、マウスADAM6遺伝子座のマウスADAM6aおよびマウスADAM6bのうちの1つ以上の配向は、ヒトVL遺伝子セグメントの配向と比較して逆である。あるいは、マウスADAM6遺伝子座は、最も3’側のヒトVL遺伝子セグメントと最も5’側のDH遺伝子セグメントの間の遺伝子間領域に存在する。最も5’側のDHセグメントがマウスであろうと、ヒトであろうとこのとおりであるはずである。
1つの態様では、1つ以上の内因性マウスVH遺伝子セグメントの置換を有する、および少なくとも1つの内因性マウスDH遺伝子セグメントを含むマウスを提供する。かかるマウスにおいて、前記内因性マウスVH遺伝子セグメントの改変は、最も5’側のDH遺伝子セグメントではなく、最も3’側のVH遺伝子セグメントの1つ以上についての改変を含み得、この場合、前記1つ以上の最も3’側のVH遺伝子セグメントの改変が、前記内因性マウスADAM6遺伝子座を破壊しないようにまたは非機能的にしないように注意する。例えば、1つの実施形態において、前記マウスは、すべてのまたは実質的にすべての内因性マウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントでの置換を含み、および前記マウスは、1つ以上の内因性DH遺伝子セグメントおよび機能的内因性マウスADAM6遺伝子座を含む。
もう1つの実施形態において、前記マウスは、最も3’側の内因性マウスVH遺伝子セグメントの改変、および1つ以上の内因性マウスDH遺伝子セグメントの改変を含み、該改変は、内因性ADAM6遺伝子座が機能的なままである程度まで該内因性マウスADAM6遺伝子座の完全性が維持されるように行う。一例では、かかる改変を二工程で行う:(1)上流ホモロジーアームと、機能的マウスADAM6遺伝子座のすべてまたは部分を含む下流ホモロジーアームとを有するターゲティングベクターを利用して、最も3’側の内因性マウスVH遺伝子セグメントを1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントで置換する工程;(2)次に、マウスADAM6遺伝子座のすべてまたは機能的部分を含む上流ホモロジーアームを有するターゲティングベクターで内因性マウスDH遺伝子セグメントを置換する工程。
様々な態様において、改変が内因性マウスADAM6の機能を破壊する場合、マウスADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的ホモログをコードする異所性配列を含有するマウスの利用は有用である。内因性マウスADAM6機能を破壊する確率は、マウス免疫グロブリン遺伝子座への改変を行うとき、特に、マウス免疫グロブリン重鎖可変領域および周囲の配列を改変するときに高い。したがって、かかるマウスは、全部もしくは一部が欠失している、全部もしくは一部がヒト化されている、または全部もしくは一部が(例えば、VκもしくはVλ配列で)置換されている免疫グロブリン重鎖遺伝子座を有するマウスを作製するときに特に有益である。下に記載するマウスに対して記載の遺伝子改変を行うための方法は当業者に公知である。
マウスADAM6タンパク質をコードする異所性配列またはマウスADAM6タンパク質の妊性の恩恵をもたらす実質的に同一もしくは同様のタンパク質をコードする異所性配列を含有するマウスは、内因性マウスADAM6配列を破壊するかまたは欠失させるマウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座への改変に関連して特に有用である。ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する抗体を発現するマウスに関連して主として記載したが、かかるマウスは、内因性マウスADAM6遺伝子を破壊する任意の遺伝子改変に関連して有用である。これが、マウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座の改変を含有する多種多様な遺伝子改変マウスを包含することは、当業者であれば認める。これらには、例えば、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントのすべてまたは一部分の欠失または置換を、他の改変にかかわらず有するマウスが含まれる。非限定的な例を下に記載する。
一部の態様では、マウスにおいて機能的な異所性マウス、齧歯動物または他のADAM6遺伝子(またはオルソログもしくはホモログもしくは断片)と1つ以上のヒト免疫グロブリン可変および/または定常領域遺伝子セグメントとを含む遺伝子改変マウスを提供する。様々な実施形態において、マウスにおいて機能的である他のADAM6遺伝子オルソログまたはホモログまたは断片は、ウシ、イヌ、霊長類、ウサギまたは他の非ヒト配列を含み得る。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントでの置換と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスDH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントでの置換と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスJH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトJH遺伝子セグメントでの置換とを含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、マウスCH1ヌクレオチド配列の、ヒトCH1ヌクレオチド配列での置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、マウスヒンジヌクレオチド配列の、ヒトヒンジヌクレオチド配列での置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、免疫グロブリン軽鎖可変遺伝子座(VLおよびJL)の、ヒト免疫グロブリン軽鎖可変遺伝子座での置換をさらに含む。1つの実施形態において、前記マウスは、マウス免疫グロブリン軽鎖定常領域ヌクレオチド配列の、ヒト免疫グロブリン軽鎖定常領域ヌクレオチド配列での置換をさらに含む。特定の実施形態において、前記VL、JLおよびCLは、免疫グロブリンκ軽鎖配列である。特定の実施形態において、前記マウスは、ヒトヒンジおよびヒトCH1配列と融合したマウスCH2およびマウスCH3免疫グロブリン定常領域配列を含むので、該マウス免疫グロブリン遺伝子座が再構成して、(a)ヒト可変領域、ヒトCH1領域、ヒトヒンジ領域ならびにマウスCH2およびマウスCH3領域を有する重鎖と、(b)ヒト可変ドメインおよびヒト定常領域を含む免疫グロブリン軽鎖をコードする遺伝子とを含む結合タンパク質をコードする遺伝子を形成する。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVL遺伝子セグメントでの置換と、必要に応じて、すべてのもしくは実質的にすべてのDH遺伝子セグメントおよび/もしくはJH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントおよび/もしくはヒトJH遺伝子セグメントでの置換と、または必要に応じて、すべてのもしくは実質的にすべてのDH遺伝子セグメントおよびJH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトJL遺伝子セグメントでの置換とを含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH、DHおよびJH遺伝子セグメントの、1つ以上のVL、1つ以上のDH、および1つ以上のJ遺伝子セグメント(例えば、JκまたはJλ)での置換を含み、これらの遺伝子セグメントは、内因性マウスヒンジ領域に作動可能に連結されており、該マウスは、転写方向に5’から3’へと、ヒトVL−ヒトまたはマウスDH−ヒトまたはマウスJ−マウスヒンジ−マウスCH2−マウスCH3を含有する再構成免疫グロブリン鎖遺伝子を形成する。1つの実施形態において、前記J領域は、ヒトJκ領域である。1つの実施形態において、前記J領域は、ヒトJH領域である。1つの実施形態において、前記J領域は、ヒトJλ領域である。1つの実施形態において、前記ヒトVL領域は、ヒトVλ領域およびヒトVκ領域から選択される。
特定の実施形態において、前記マウスは、マウスまたはヒト定常領域と、ヒトVκ、ヒトDHおよびヒトJκ;ヒトVκ、ヒトDHおよびヒトJH;ヒトVλ、ヒトDHおよびヒトJλ;ヒトVλ、ヒトDHおよびヒトJH;ヒトVκ、ヒトDHおよびヒトJλ;ヒトVλ、ヒトDHおよびヒトJκに由来する可変領域とを有する、単一可変ドメイン抗体を発現する。特定の実施形態では、列挙したV、DおよびJ遺伝子セグメント間でのまたは列挙したVおよびJ遺伝子セグメント間での生産的再構成の発生が可能になるように、組換え認識配列を改変する。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVL遺伝子セグメントでの置換と、すべてのもしくは実質的にすべてのDH遺伝子セグメントおよびJH遺伝子セグメントの、ヒトJL遺伝子セグメントでの置換とを含むマウスであって、CH1および/またはヒンジ領域が無いマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスにはCH1ドメインをコードする配列が無い。1つの実施形態において、前記マウスにはヒンジ領域をコードする配列が無い。1つの実施形態において、前記マウスにはCH1ドメインおよびヒンジ領域をコードする配列が無い。
特定の実施形態において、前記マウスは、マウスCH3ドメインに結合しているマウスCH2ドメインに融合しているヒト免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(λまたはκ)を含む結合タンパク質を発現する。
1つの態様では、機能的ADAM6タンパク質(またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片)をコードする異所性ADAM6配列と、すべてのまたは実質的にすべてのマウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVL遺伝子セグメントでの置換と、すべてのもしくは実質的にすべてのマウスDHおよびJH遺伝子セグメントの、ヒトJL遺伝子セグメントでの置換とを含むマウスを提供する。
1つの実施形態において、前記マウスは、CH1領域、ヒンジ領域、CH1およびヒンジ領域、またはCH1領域およびヒンジ領域およびCH2領域をコードする免疫グロブリン重鎖定常領域遺伝子配列の欠失を含む。
1つの実施形態において、前記マウスは、以下のものから選択されるホモ二量体を含む単一可変ドメイン結合タンパク質を作製する:(a)ヒトVL−マウスCH1−マウスCH2−マウスCH3;(b)ヒトVL−マウスヒンジ−マウスCH2−マウスCH3;(c)ヒトVL−マウスCH2−マウスCH3。
1つの態様では、無能化または欠失された内因性マウスADAM6遺伝子座を含む、無能化された内因性重鎖免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスであって、ヒトまたはマウスまたはヒト/マウスもしくは他のキメラ抗体を発現する核酸配列を含むマウスを提供する。1つの実施形態において、前記核酸配列は、組み込まれた導入遺伝子上に存在し、該導入遺伝子は、マウスゲノムにランダムに組み込まれている。1つの実施形態において、前記核酸配列は、野生型マウスでは見出さないエピソーム(例えば、染色体)上にある。
1つの実施形態において、前記マウスは、無能化された内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座をさらに含む。特定の実施形態において、前記内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖遺伝子座から選択される。特定の実施形態において、前記マウスは、無能化された内因性κ軽鎖遺伝子座および無能化されたλ軽鎖遺伝子座を含み、この場合のマウスは、ヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメインおよびヒト免疫グロブリン軽鎖ドメインを含む抗体を発現する。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖ドメインは、ヒトκ軽鎖ドメインおよびヒトλ軽鎖ドメインから選択される。
1つの態様では、キメラ抗体を発現する遺伝子改変動物であって、該遺伝子改変動物において機能的であるADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログを発現する遺伝子改変動物を提供する。
1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、マウスおよびラットから選択される。1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物はマウスであり、前記ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログは、該遺伝子改変動物とは異なる系統であるマウス系統からのものである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、キヌゲネズミ科の齧歯動物(例えば、ハムスター、新世界ラットまたはマウス、ハタネズミ)であり、および前記ADAM6タンパク質オルソログまたはホモログは、ネズミ科の齧歯動物(例えば、純種のマウスおよびラット、アレチネズミ、トゲマウス、タテガミネズミ)からのものである。1つの実施形態において、前記遺伝子改変動物は、ネズミ科の齧歯動物であり、前記ADAM6タンパク質オルソログまたはホモログは、キヌゲネズミ科の齧歯動物からのものである。
1つの実施形態において、前記キメラ抗体は、ヒト可変ドメインと齧歯動物の定常領域配列とを含む。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、キヌゲネズミ科の齧歯動物およびネズミ科の齧歯動物から選択される。特定の実施形態において、前記キヌゲネズミ科およびネズミ科の齧歯動物は、マウスである。特定の実施形態において、前記キヌゲネズミ科およびネズミ科の齧歯動物は、ラットである。1つの実施形態において、前記キメラ抗体は、ヒト可変ドメインと、マウスまたはラットから選択される動物からの定常ドメインとを含む;特定の実施形態において、前記マウスまたはラットは、キヌゲネズミ科およびネズミ科から選択される。1つの実施形態において、前記キメラ抗体は、ヒト重鎖可変ドメインと、ヒト軽鎖可変ドメインと、マウスおよびラットから選択される齧歯動物由来の定常領域配列とを含み、この場合のヒト重鎖可変ドメインおよびヒト軽鎖は同種のものである。特定の実施形態において、同種のものとしては、ヒト重鎖およびヒト軽鎖可変ドメインが、該ヒト軽鎖可変ドメインと該ヒト重鎖可変ドメインを一緒に発現してその可変ドメインを個々のB細胞の表面に一緒に提示する単一B細胞からのものである、同種のものが挙げられる。
1つの実施形態では、前記キメラ抗体を免疫グロブリン遺伝子座から発現させる。1つの実施形態では、前記キメラ抗体の重鎖可変ドメインを再構成内因性免疫グロブリン重鎖遺伝子座から発現させる。1つの実施形態では、前記キメラ抗体の軽鎖可変ドメインを再構成内因性免疫グロブリン軽鎖遺伝子座から発現させる。1つの実施形態では、前記キメラ抗体の重鎖可変ドメインおよび/または前記キメラ抗体の軽鎖可変ドメインを再構成導入遺伝子(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座の動物のゲノムに組み込まれている非再構成核酸配列から誘導された再構成核酸配列)から発現させる。1つの実施形態において、前記キメラ抗体の軽鎖可変ドメインを再構成導入遺伝子(例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子座以外の遺伝子座の動物のゲノムに組み込まれている非再構成核酸配列から誘導された再構成核酸配列)から発現させる。
特定の実施形態では、前記導入遺伝子を転写活性遺伝子座、例えば、ROSA26遺伝子座、例えばネズミ(例えばマウス)ROSA26遺伝子座から発現させる。
1つの態様では、非ヒト動物であって、ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含み、該ヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座が非ヒトADAM6配列またはそのオルソログもしくはホモログを含む、非ヒト動物を提供する。
1つの実施形態において、前記非ヒト動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される齧歯動物である。
1つの実施形態において、前記非ヒトADAM6オルソログまたはホモログは、マウスADAM6配列とオルソロガスおよび/または相同性である配列であり、そのオルソログまたはホモログは、非ヒト動物において機能的である。
1つの実施形態において、前記非ヒト動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択され、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、マウス、ラットおよびハムスターから選択される非ヒト動物からのものである。特定の実施形態において、前記非ヒト動物はマウスであり、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、異なるマウス種、ラットおよびハムスターから選択される動物からのものである。特定の実施形態において、前記非ヒト動物はラットであり、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、異なるラット種、マウスおよびハムスターから選択される齧歯動物からのものである。特定の実施形態において、前記非ヒト動物はハムスターであり、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、異なるハムスター種、マウスおよびラットから選択される齧歯動物からのものである。
特定の実施形態において、前記非ヒト動物は、ネズミ亜目からのものであり、前記ADAM6配列は、トビネズミ上科の齧歯動物およびネズミ上科の齧歯動物から選択される動物からのものである。特定の実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ上科のマウスであり、前記ADAM6オルソログまたはホモログは、ネズミ上科のマウスまたはラットまたはハムスターからのものである。
1つの実施形態において、前記ヒト化重鎖遺伝子座は、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメント、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントおよび1つ以上のヒトJH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のヒトVH遺伝子セグメント、1つ以上のヒトDH遺伝子セグメントおよび1つ以上のヒトJH遺伝子セグメントは、1つ以上のヒト、キメラおよび/または齧歯動物(例えば、マウスもしくはラット)定常領域遺伝子に作動可能に連結されている。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子はマウスである。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子はラットである。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子はハムスターである。1つの実施形態において、前記定常領域遺伝子は、ヒンジ、CH2、CH3およびその組み合わせから選択される配列を含む。特定の実施形態において、前記定常領域遺伝子は、ヒンジ、CH2およびCH3配列を含む。
1つの実施形態において、前記非ヒトADAM6配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列に隣接する。1つの実施形態において、前記非ヒトADAM6配列は、ヒト免疫グロブリン重鎖配列内に位置する。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン重鎖配列は、V、Dおよび/またはJ遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、前記非ヒトADAM6配列は、2つのV遺伝子セグメント間に位置する。1つの実施形態において、前記非ヒトADAM6配列は、V遺伝子セグメントとD遺伝子セグメントの間に並置されている。1つの実施形態において、前記マウスADAM6配列は、V遺伝子セグメントとJ遺伝子セグメントの間に位置する。1つの実施形態において、前記マウスADAM6配列は、D遺伝子セグメントとJ遺伝子セグメントの間に並置されている。
1つの態様では、免疫グロブリン遺伝子座からヒトVLドメインと同種のヒトVHドメインを発現するB細胞を含む遺伝子改変非ヒト動物であって、該免疫グロブリン遺伝子座から非免疫グロブリン非ヒトタンパク質を発現する遺伝子改変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、前記非免疫グロブリン非ヒトタンパク質は、ADAMタンパク質である。特定の実施形態において、前記ADAMタンパク質は、ADAM6タンパク質またはそのホモログもしくはオルソログもしくは機能的断片である。
1つの実施形態において、前記非ヒト動物は、齧歯動物(例えば、マウスまたはラット)である。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ科のものである。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ上科のものである。特定の実施形態において、前記ネズミ上科の齧歯動物は、マウスおよびラットから選択される。
1つの実施形態において、前記非免疫グロブリン非ヒトタンパク質は、齧歯動物タンパク質である。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ科のものである。1つの実施形態において、前記齧歯動物は、ネズミ上科のものである。特定の実施形態において、前記齧歯動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。
1つの実施形態において、前記ヒトVHおよびVLドメインは、免疫グロブリン定常ドメイン配列に直接またはリンカーによって結合する。特定の実施形態において、前記定常ドメイン配列は、ヒンジ、CH2、CH3およびその組み合わせから選択される配列を含む。特定の実施形態において、前記ヒトVLドメインは、VκまたはVλドメインから選択される。
1つの態様では、遺伝子改変非ヒト動物であって、その生殖細胞系にヒト免疫グロブリン配列を含み、雄非ヒト動物の精子がin vivo移動欠陥を特徴とする、遺伝子改変非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、前記in vivo移動欠陥は、前記雄非ヒト動物の精子が同じ種の雌非ヒト動物の子宮から卵管を通って移動することができないことを含む。1つの実施形態において、前記非ヒト動物には、ADAM6タンパク質またはその機能的断片をコードするヌクレオチド配列が無い。特定の実施形態において、前記ADAM6タンパク質またはその機能的断片は、ADAM6aおよび/もしくはADAM6bタンパク質またはその機能的断片を含む。1つの実施形態において、前記非ヒト動物は齧歯動物である。特定の実施形態において、前記齧歯動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。
1つの態様では、ADAM6タンパク質またはそのオルソログもしくはホモログもしくは機能的断片をコードする非ヒト配列に隣接するヒト免疫グロブリン配列を含む非ヒト動物を提供する。1つの実施形態において、前記非ヒト動物は齧歯動物である。特定の実施形態において、前記齧歯動物は、マウス、ラットおよびハムスターから選択される。
1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、免疫グロブリン重鎖配列である。1つの実施形態において、前記免疫グロブリン配列は、1つ以上のVH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、1つ以上のDH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、1つ以上のJH遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、1つ以上のVH遺伝子セグメント、1つ以上のDH遺伝子セグメントおよび1つ以上のJH遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、前記免疫グロブリン配列は、天然ヒトレパートリーにおいて高頻度である1つ以上のVH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のVH遺伝子セグメントは、2つ以下のVH遺伝子セグメント、3つ以下のVH遺伝子セグメント、4つ以下のVH遺伝子セグメント、5つ以下のVH遺伝子セグメント、6つ以下のVH遺伝子セグメント、7つ以下のVH遺伝子セグメント、8つ以下のVH遺伝子セグメント、9つ以下のVH遺伝子セグメント、10以下のVH遺伝子セグメント、11以下のVH遺伝子セグメント、12以下のVH遺伝子セグメント、13以下のVH遺伝子セグメント、14以下のVH遺伝子セグメント、15以下のVH遺伝子セグメント、16以下のVH遺伝子セグメント、17以下のVH遺伝子セグメント、18以下のVH遺伝子セグメント、19以下のVH遺伝子セグメント、20以下のVH遺伝子セグメント、21以下のVH遺伝子セグメント、22以下のVH遺伝子セグメントまたは23以下のVH遺伝子セグメントを含む。
特定の実施形態において、前記1つ以上のVH遺伝子セグメントは、5つのVH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のVH遺伝子セグメントは、10のVH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のVH遺伝子セグメントは、15のVH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記1つ以上のVH遺伝子セグメントは、20のVH遺伝子セグメントを含む。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH6−1、VH1−2、VH1−3、VH2−5、VH3−7、VH1−8、VH3−9、VH3−11、VH3−13、VH3−15、VH3−16、VH1−18、VH3−20、VH3−21、VH3−23、VH1−24、VH2−26、VH4−28、VH3−30、VH4−31、VH3−33、VH4−34、VH3−35、VH3−38、VH4−39、VH3−43、VH1−45、VH1−46、VH3−48、VH3−49、VH5−51、VH3−53、VH1−58、VH4−59、VH4−61、VH3−64、VH3−66、VH1−69、VH2−70、VH3−72、VH3−73およびVH3−74から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−2、VH1−8、VH1−18、VH1−46、VH1−69、VH3−7、VH3−9、VH3−11、VH3−13、VH3−15、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH3−33、VH3−43、VH3−48、VH4−31、VH4−34、VH4−39、VH4−59、VH5−51およびVH6−1から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−18、VH1−46、VH1−69、VH3−7、VH3−11、VH3−15、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH3−33、VH3−48、VH4−34、VH4−39、VH4−59およびVH5−51から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−18、VH1−69、VH3−7、VH3−11、VH3−15、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH3−43、VH3−48、VH4−39、VH4−59およびVH5−51から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−18、VH3−11、VH3−21、VH3−23、VH3−30、VH4−39およびVH4−59から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−18、VH3−21、VH3−23、VH3−30およびVH4−39から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH1−18、VH3−23およびVH4−39から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH3−21、VH3−23およびVH3−30から選択される。
様々な実施形態において、前記VH遺伝子セグメントは、VH3−23、VH3−30およびVH4−39から選択される。
特定の実施形態において、ヒト免疫グロブリン配列は、少なくとも18のVH遺伝子セグメント、27のDH遺伝子セグメントおよび6のJH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、少なくとも39のVH遺伝子セグメント、27のDH遺伝子セグメントおよび6のJH遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、少なくとも80のVH遺伝子セグメント、27のDH遺伝子セグメントおよび6のJH遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、前記非ヒト動物はマウスであり、該マウスは、内因性マウスVH遺伝子セグメントの、1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントでの置換を含み、該ヒトVH遺伝子セグメントはマウスCH領域遺伝子に作動可能に連結されているので、該マウスは、ヒトVH遺伝子セグメントを再構成し、およびヒトVHドメインとマウスCHを含む逆キメラ免疫グロブリン重鎖を発現する。1つの実施形態では、非再構成マウスVH遺伝子セグメントの90〜100%が、少なくとも1つの非構成ヒトVH遺伝子セグメントで置換されている。特定の実施形態では、前記内因性マウスVH遺伝子セグメントのすべてまたは実質的にすべてが、少なくとも1つの非再構成ヒトVH遺伝子セグメントで置換されている。1つの実施形態において、前記置換は、少なくとも19、少なくとも39、または少なくとも80もしくは81の非再構成ヒトVH遺伝子セグメントでのものである。1つの実施形態において、前記置換は、少なくとも12の機能的非再構成ヒトVH遺伝子セグメント、少なくとも25の機能的非再構成ヒトVH遺伝子セグメントまたは少なくとも43の機能的非再構成ヒトVH遺伝子セグメントでのものである。1つの実施形態において、前記マウスは、すべてのマウスDHおよびJHセグメントの、少なくとも1つの非再構成ヒトDHセグメントおよび少なくとも1つの非再構成ヒトJHセグメントでの置換を含む。1つの実施形態において、前記少なくとも1つの非再構成ヒトDHセグメントは、1−1、1−7、1−26、2−8、2−15、3−3、3−10、3−16、3−22、5−5、5−12、6−6、6−13、7−27およびその組み合わせから選択される。1つの実施形態において、前記少なくとも1つの非再構成ヒトJHセグメントは、1、2、3、4、5、6およびその組み合わせから選択される。特定の実施形態において、前記1つ以上のヒトVH遺伝子セグメントは、1−2、1−8、1−24、1−69、2−5、3−7、3−9、3−11、3−13、3−15、3−20、3−23、3−30、3−33、3−48、3−53、4−31、4−39、4−59、5−51、6−1ヒトVH遺伝子セグメントおよびその組み合わせから選択される。
様々な実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン配列は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス、ラットまたはハムスター)の生殖細胞系における定常領域と作動可能な連結状態にある。1つの実施形態において、前記定常領域は、ヒト、キメラヒト/マウスまたはキメラヒト/ラットまたはキメラヒト/ハムスター、マウス、ラットまたはハムスター定常領域である。1つの実施形態において、前記定常領域は、齧歯動物(例えば、マウスまたはラットまたはハムスター)定常領域である。特定の実施形態において、前記齧歯動物は、マウスまたはラットである。様々な実施形態において、前記定常領域は、少なくともCH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。
1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン重鎖配列は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス、ラットまたはハムスター)の生殖細胞系における免疫グロブリン重鎖遺伝子座にある。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン重鎖配列は、非ヒト動物の生殖細胞系における非免疫グロブリン重鎖遺伝子座にあり、この非重鎖遺伝子座は、転写活性遺伝子座である。特定の実施形態において、前記非重鎖遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。
様々な態様において、前記非ヒト動物は、該非ヒト動物の生殖細胞系にヒト免疫グロブリン軽鎖配列(例えば、1つ以上の非再構成軽鎖VおよびJ配列、または1つ以上の再構成VJ配列)をさらに含む。特定の実施形態において、前記免疫グロブリン軽鎖配列は、免疫グロブリンκ軽鎖配列である。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、1つ以上のVL遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、1つ以上のJL遺伝子セグメントを含む。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、1つ以上のVL遺伝子セグメントおよび1つ以上のJL遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、少なくとも16のVκ遺伝子セグメントおよび5つのJκ遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、少なくとも30のVκ遺伝子セグメントおよび5つのJκ遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、少なくとも40のVκ遺伝子セグメントおよび5つのJκ遺伝子セグメントを含む。様々な実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、非ヒト動物(例えば、齧歯動物、例えばマウス、ラットまたはハムスター)の生殖細胞系における定常領域と作動可能な連結状態にある。1つの実施形態において、前記定常領域は、ヒト、キメラヒト/齧歯動物、マウス、ラットまたはハムスター定常領域である。特定の実施形態において、前記定常領域は、マウスまたはラット定常領域である。特定の実施形態において、前記定常領域は、マウスκ定常(mCκ)領域またはラットκ定常(rCκ)領域である。
1つの実施形態において、前記非ヒト動物はマウスであり、該マウスは、すべてのまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントの、少なくとも6のヒトVκ遺伝子セグメントおよび少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントでの置換を含む。1つの実施形態では、すべてのまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントが、少なくとも16のヒトVκ遺伝子セグメント(ヒトVκ)および少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントで置換されている。1つの実施形態では、すべてのまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントが、少なくとも30のヒトVκ遺伝子セグメントおよび少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントで置換されている。1つの実施形態では、すべてのまたは実質的にすべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントが、少なくとも40のヒトVκ遺伝子セグメントおよび少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントで置換されている。1つの実施形態において、前記少なくとも1つのJκ遺伝子セグメントは、2、3、4または5つのヒトJκ遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、前記ヒトVκ遺伝子セグメントは、Vκ4−1、Vκ5−2、Vκ7−3、Vκ2−4、Vκ1−5およびVκ1−6を含む。1つの実施形態において、前記Vκ遺伝子セグメントは、Vκ3−7、Vκ1−8、Vκ1−9、Vκ2−10、Vκ3−11、Vκ1−12、Vκ1−13、Vκ2−14、Vκ3−15およびVκ1−16を含む。1つの実施形態において、前記ヒトVκ遺伝子セグメントは、Vκ1−17、Vκ2−18、Vκ2−19、Vκ3−20、Vκ6−21、Vκ1−22、Vκ1−23、Vκ2−24、Vκ3−25、Vκ2−26、Vκ1−27、Vκ2−28、Vκ2−29およびVκ2−30を含む。1つの実施形態において、前記ヒトVκ遺伝子セグメントは、Vκ3−31、Vκ1−32、Vκ1−33、Vκ3−34、Vκ1−35、Vκ2−36、Vκ1−37、Vκ2−38、Vκ1−39およびVκ2−40を含む。
特定の実施形態において、前記Vκ遺伝子セグメントは、Vκ4−1からVκ2−40までのヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にわたる連続したヒト免疫グロブリンκ遺伝子セグメントを含み、前記Jκ遺伝子セグメントは、Jκ1からJκ5までのヒト免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座にわたる連続した遺伝子セグメントを含む。
1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、非ヒト動物の生殖細胞系における免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態において、前記非ヒト動物の生殖細胞系における免疫グロブリン軽鎖遺伝子座は、免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座である。1つの実施形態において、前記ヒト免疫グロブリン軽鎖配列は、転写活性である非ヒト動物の生殖細胞系における非免疫グロブリン軽鎖遺伝子座にある。特定の実施形態において、前記非免疫グロブリン遺伝子座は、ROSA26遺伝子座である。
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物の細胞にコードされている1つ以上の可変領域核酸配列に由来する可変ドメインを含むヒト抗体の作製方法を提供する。
1つの態様では、本明細書に記載の非ヒト動物から単離された1つ以上の可変領域核酸配列に由来する抗体または抗体断片を含むポリペプチドを含む薬学的組成物を提供する。1つの実施形態において、前記ポリペプチドは抗体である。1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、重鎖のみの抗体である。1つの実施形態において、前記ポリペプチドは、一本鎖可変断片(例えば、scFv)である。
1つの態様では、抗体を作製するための、本明細書に記載の非ヒト動物の使用を提供する。様々な実施形態において、前記抗体は、前記非ヒト動物から単離された1つ以上の可変領域核酸配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。特定の実施形態において、前記可変領域核酸配列は、免疫グロブリン重鎖遺伝子セグメントを含む。特定の実施形態において、前記可変領域核酸配列は、免疫グロブリン軽鎖遺伝子セグメントを含む。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の作製および使用の仕方を説明するために提供するものであり、本発明者らが自分達の発明とみなすものの範囲を限定することを意図したものではない。別の指示が無い限り、温度は摂氏で示し、圧力は大気圧または近大気圧である。
実施例1
マウス免疫グロブリン遺伝子のヒト化
ヒトおよびマウス細菌人工染色体(BAC)を使用して、マウス免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座のヒト化のための13の異なるBACターゲティングベクター(BACvec)を工学的に作製した。表1および2は、マウス免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座のヒト化にそれぞれ利用したすべてのBACvecを構築するために行った工程の説明を示すものである。
ヒトおよびマウスBACの同定。BACライブラリーを用いてスポットしたフィルターのハイブリダイゼーションにより、またはマウスBACライブラリーDNAプールのPCRスクリーニングにより、免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座の5’および3’端にわたるマウスBACを同定した。対象となる領域に対応するプローブを使用して、標準条件下でフィルターをハイブリダイズした。対象となる標的領域に隣接するユニークなプライマーペアを使用してPCRによりライブラリープールをスクリーニングした。同じプライマーを使用する追加のPCRを行って、所与のウェルをデコンボリュートし、対象となる対応するBACを単離した。BACフィルターとライブラリープールの両方を129SvJマウスES細胞(Incyte Genomics/Invtrogen)から生成した。全免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖遺伝子座をカバーするヒトBACを、BACライブラリー(Caltech B、CもしくはDライブラリーおよびRPCI−11ライブラリー、Research Genetics/Invitrogen)を用いてスポットしたフィルターのハイブリダイゼーションとPCRベースの方法によるヒトBACライブラリープール(Caltechライブラリー、Invitrogen)のスクリーニングによるか、またはBAC末端配列データベース(Caltech D libraty、TIGR)の使用によるかの、いずれかによって同定した。細菌相同組換えおよびライゲーションによるBACvecの構築。細菌相同組換え(BHR)を記載されている(Valenzuelaら、2003;Zhangら、1998、A new logic for DNA engineering using recombination in Escherichia coli、Nat Genet 20:123−128)とおりに行った。殆どの場合、PCR生成ホモロジーボックスのクローン化カセットへのライゲーション、続いてライゲーション産物のゲル単離、そして標的BACを保有するBHRコンピテント細菌へのエレクトロポレーションによって線状断片を生成した。適切な抗生物質ペトリ皿での選択の後、正しく組換えられたBACを、両方の新規接合部にわたってのPCR、続いてパルスフィールドゲルでの制限酵素分析(Schwartz and Cantor、1984、Separation of yeast chromosome−sized DNAs by pulsed field gradient gel electrophoresis、Cell 37:67−75)、そしてヒト配列全域にわたって分布するプライマーを使用するPCRによるスポットチェックによって同定した。
3工程の逐次的BHR工程を用いて、免疫グロブリン重鎖遺伝子座の最初のヒト化工程のための3hVH BACvecを構築した(図4Aおよび表1)。第一工程(工程1)では、ヒト親BACのヒトVH1−3遺伝子セグメントから上流に、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座と相同性の領域(HB1)と細菌にカナマイシン耐性をおよび動物細胞にG418耐性を付与する遺伝子(kanR)と部位特異的組換え部位(例えば、loxP)とを含有するカセットを導入した。第二工程(工程2)では、最後のJHセグメントから直ぐ下流に、マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座と相同性の第二の領域(HB2)と細菌にスペクチノマイシンに対する耐性を付与する遺伝子(specR)とを含有する第二のカセットを導入した。この第二工程は、JH6から下流のヒト免疫グロブリン重鎖遺伝子座配列とBACベクタークロラムフェニコール耐性遺伝子(cmR)とを欠失させることを含んだ。次に、第三工程(工程3)では、最初の2工程の間に付加されたI−CeuI部位を使用して二重改変ヒトBAC(B1)を線形化し、2つの相同性領域(HB1およびHB2)によるBHRによってマウスBAC(B2)に組み込んだ。第一(cm/kan)、第二(spec/kan)および第三(cm/kan)工程のための薬剤選択は、所望の産物に特異的であるように設計した。制限酵素での消化後にパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)により改変BACクローンを分析して、適切な構築物を決定した(図4B)。
同様に、重鎖およびκ軽鎖遺伝子座のヒト化のために12の追加のBACvecを工学的に作製した。場合によっては、選択マーカーの注意深い配置と共に、BHRによる両方の親BACvecへの稀な制限酵素認識部位導入による、BHRの代わりにBACライゲーションを行って、2つの大きなBACを結合した。これにより、特定の薬剤マーカーの組み合わせでの選択の際に、所望のライゲーション産物の生残が可能になった。稀な制限酵素での消化後のライゲーションによって得た組換えBACを、BHRによって得たものと同様に(上に記載したように)同定し、スクリーニングした。
胚性幹(ES)細胞の改変およびマウスの産生。記載されている(Valenzuelaら、2003)ようなVELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学法を用いて、ES細胞(F1H4)ターゲティングを行った。胚盤胞(Valenzuelaら、2003)または8細胞注入(Poueymirouら、2007、F0 generation mice fully derived from gene−targeted embryonic stem cells allowing immediate phenotypic analyses、Nat Biotechnol 25:91−99)のいずれかによる改変ES細胞からのマウスの誘導は、記載されているとおりであった。PCRベースのアッセイでプローブとプライマーのユニークなセットを用いてES細胞またはマウスからのDNAをスクリーニグすることにより、標的ES細胞およびマウスを確認した(例えば、図3A、3Bおよび3C)。すべてのマウス研究は、Regeneronの施設内動物管理使用委員会(Institutional Animal Care and Use Committee:IACUC)によって監督され、承認された。核型分析および蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)。核型分析は、Coriell Cell Repositories(Coriell Institute for Medical Research、ニュージャージー州カムデン)によって行われた。FISHは、標的ES細胞を用いて、記載されている(Valenzuelaら、2003)とおりに行った。マウスBAC DNAまたはヒトBAC DNAのいずれかに対応するプローブを、ニック翻訳(Invitrogen)により蛍光標識dUTPヌクレオチドスペクトルオレンジまたはスペクトルグリーン(Vysis)で標識した。
免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座。重鎖遺伝子座の可変領域のヒト化は、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術(例えば、米国特許第6,586,251号明細書およびValenzuelaら、2003参照)を用いて、9工程の逐次的工程で、すべてのVH、DHおよびJH遺伝子セグメントを含有する約3百万塩基対(Mb)の連続するマウスゲノム配列を、等価ヒト遺伝子セグメントを含有する約1Mbの連続するヒトゲノム配列で直接置換することによって達成した(図1Aおよび表1)。
JH遺伝子セグメントと定常領域遺伝子の間のイントロン(J−Cイントロン)は、転写エンハンサー(Neuberger、1983、Expression and regulation of immunoglobulin heavy chain gene transfected into lymphoid cells、EMBO J 2:1373−1378)、その後にアイソタイプスイッチ中の組換えに必要な単純リピート領域(Kataokaら、1980、Rearrangement of immunoglobulin gamma 1−chain gene and mechanism for heavy−chain class switch、PNAS USA 77:919−923)を含有する。マウス内でのヒト化重鎖遺伝子座の効率的発現およびクラススイッチ両方を保存するために、マウス重鎖イントロンエンハンサーおよびスイッチドメインを維持するようにヒトVH−DH−JH領域とマウスCH領域の間の接合部(近位接合部)を選択した。合成オリゴヌクレオチドによって駆動される細菌相同組換えを用いるVELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学法(上記)の使用により、すべての置換においてこのおよび後続の接合部の正確なヌクレオチド位置が実現可能であった。このようにして、近位接合部を最後のJH遺伝子セグメントから約200bp下流に配置し、遠位接合部を、ヒト遺伝子座の最も5’側のVH遺伝子セグメントの数百上流、かつJ558.55としても公知のマウスVH1−86遺伝子セグメントから約9kb下流に配置した。前記マウスVH1−86(J558.55)遺伝子セグメントは最遠位重鎖可変遺伝子セグメントであり、このセグメントは、C57BL/6マウスでは偽遺伝子であるが、標的129対立遺伝子において不十分なRSS配列であるにもかかわらず潜在的に活性であると報告されている。前記マウス重鎖遺伝子座の遠位端は、報告によれば、遺伝子座発現および/または再構成を調節する制御要素を含有し得る(Pawlitzkyら、2006)。
ヒト免疫グロブリンDNA配列のマウスへの第一の挿入は、約75kbのマウスホモロジーアームを使用して、3つのVH、27すべてのDHおよび9つのJHヒト遺伝子セグメントを含有するヒト重鎖遺伝子座の144kbの近位端をマウスIgH遺伝子座の近位端に挿入し、相伴って16.6kbのマウスゲノムを欠失させることによって達成した(工程A、図2A;表1および3、3hVH)。この大きな144kb挿入および随伴する16.6kb欠失を単一の工程(工程A)で行い、この工程は0.2%の頻度で行われた(表3)。欠失マウス配列内のおよび欠失マウス配列に隣接するプローブならびに挿入ヒト配列内のプローブを使用する天然対立遺伝子の喪失(loss−of−native−allele:LONA)アッセイ(Valenzuelaら、2003)により、正しくターゲティングされたES細胞にスコアを付けし、全挿入にわたって複数のプローブを使用して大きなヒト挿入物の完全性を検証した(図3A、3Bおよび3C)。多ラウンドの逐次的ES細胞ターゲティングが予想されたので、この工程およびすべての後続の工程で標的ES細胞クローンを核型分析(上記)に付し、20のうち少なくとも17のスプレッドにおいて正常な核型を示すクローンのみを後続の工程に用いた。
工程Aからの標的ES細胞をBACvecで再ターゲティングし、それにより、重鎖遺伝子座の遠位端に19kb欠失を生じさせた(工程B、図2A)。工程BのBACvecは、工程AのBACvecに含有されているネオマイシン耐性遺伝子(neo)とは対照的にハイグロマイシン耐性遺伝子(hyg)を含有した。これら2つのBACvecからの耐性遺伝子は、同じ染色体へのターゲティング成功により、該2つの耐性遺伝子ばかりでなくVH1−86以外のすべてのマウスVH遺伝子セグメントおよびDQ52以外のすべてのDH遺伝子セグメントを含有するおおよそ3Mbのマウス重鎖可変遺伝子遺伝子座をloxP部位に隣接させるように、ならびにDQ52およびすべてのマウスJH鎖遺伝子セグメントが工程Aにおいて欠失されるように設計した。同じ染色体上に二重にターゲティングされたES細胞クローンを、3hVH近位カセットを高G418においてホモ接合性にさせること(Mortensenら、1992、Production of homozygous mutant ES cells with a single targeting construct、Mol Cell Biol 12:2391−2395)および遠位hygカセットの運命を追跡することによって同定した。loxP部位が隣接するような手法で改変された4Mb以下のサイズのマウスセグメントは、薬剤選択不在の場合でさえ、高効率(約11%以下)でのCREリコンビナーゼの一過的発現によりES細胞において首尾よく欠失した(Zhengら、2000、Engineering mouse chromosomes with Cre−loxP: range, efficiency, and somatic applications、Mol Cell Biol 20:648−655)。同様の手法で、本発明者らは、一過的CRE発現後に8%のES細胞クローンにおいて3Mb欠失を実現した(工程C、図2A、表3)。欠失マウス配列のいずれかの末端におけるプローブ、ならびにneoおよびhygの喪失、および唯一残存するloxP部位を含有する欠失点にわたるPCR産物の出現を用いるLONAアッセイによって欠失にスコアを付けた。さらに、蛍光in situハイブリダイゼーションによって欠失を確認した(データを示さない)。
各工程が210kb以下のヒト遺伝子配列の正確な挿入を含む、VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学法を用いる一連の5工程(工程E〜H、図2B)で、ヒト重鎖可変領域の残部を3hVH対立遺伝子に付加させた。各工程について、各新たなBACvecの近位端を前の工程の最遠位ヒト配列とオーバーラップするように設計し、各新たなBACvecの遠位端は、工程Aにおいて使用したのと同じ遠位マウス相同領域を含有した。工程D、FおよびHのBACvecはneo選択カセットを含有したが、工程EおよびGのものは、hyg選択カセットを含有し、したがって、G418とハイグロマイシンの間で交互に選択した。工程Dにおけるターゲティングを、3hVHハイブリッド対立遺伝子の遠位loxP部位にわたるユニークなPCR産物の喪失によってアッセイした。工程EからIについてのターゲティングは、前の選択カセットの喪失によってアッセイした。最後の工程(工程I、図2B)では、Frt部位(McLeodら、1986、Identification of the crossover site during FLP−mediated recombination in the Saccharomyces cerevisiae plasmid 2 microns circle、Mol Cell Biol 6:3357−3367)が隣接するneo選択カセットを、一過的FLPe発現(Buchholzら、1998、Improved properties of FLP recombinase evolved by cycling mutagenesis、Nat Biotechnol 16:657−662)によって除去した。工程D、EおよびGについてのBACvecのヒト配列は、2つの親ヒトBAC各々に由来したが、工程FおよびHからのヒト配列は、単一のBACからのものであった。挿入ヒト配列にわたって複数のプローブを使用して、ヒト配列の保持を工程ごとに確認した(上記したとおり、例えば図3A、3Bおよび3C)。各工程で、正常な核型および生殖細胞系の潜在力を有するクローンのみを次の工程に進めた。最後の工程からのES細胞は、9種の逐次的操作(表3)の後、依然として生殖細胞系に寄与することができた。重鎖対立遺伝子の各々についてホモ接合性のマウスは、生育可能であり、健常であるように見え、および本質的に野生型の体液性免疫系を実証した(実施例3参照)。
免疫グロブリンκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座。重鎖のものに類似した手法で、すべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントを含有する約3Mbのマウス配列を、近位ヒトVκおよびJκ遺伝子セグメントを含有する約0.5Mbのヒト配列で直接置換することにより、8工程の逐次的工程でκ軽鎖可変領域をヒト化した(図1B;表2および4)。
ヒトκ軽鎖遺伝子座の可変領域は、800kbスペーサーによって隔てられた2つのほぼ同一の400kbリピートを含有する(Weichholdら、1993、The human immunoglobulin kappa locus consists of two copies that are organized in opposite polarity、Genomics 16:503−511)。これらのリピートは非常に類似しているので、近位リピートを使用することによりマウスにおいてほぼすべての遺伝子座多様性を再現することができる。さらに、遠位リピートを欠くκ軽鎖遺伝子座の天然ヒト対立遺伝子が報告されている(Schaibleら、1993、The immunoglobulin kappa locus: polymorphism and haplotypes of Caucasoid and non−Caucasoid individuals、Hum Genet 91:261−267)。本発明者らは、約3Mbのマウスκ軽鎖可変遺伝子配列を約0.5Mbのヒトκ軽鎖可変遺伝子配列で置換して、すべてのマウスVκおよびJκ遺伝子セグメントを近位ヒトVκおよびすべてのヒトJκ遺伝子セグメントで有効に置換した(図2Cおよび2D;表2および4)。重鎖遺伝子座について実施例1において記載する方法とは対照的に、任意のヒト配列を付加する前に3工程のプロセスですべてのVκおよびJκ遺伝子セグメントを含有する全マウスVκ遺伝子領域を欠失させた。最初、neoカセットを可変領域の近位端に導入した(工程A、図2C)。次に、hygカセットをκ遺伝子座の遠位端に挿入した(工程B、図2C)。残存する3MbのマウスVκ領域と共に両方の耐性遺伝子の欠失がCRE処理により誘導されるように、リコンビナーゼ認識部位(例えば、loxP)を各選択カセットの中に再び置いた(工程C、図2C)。
重鎖について用いた方法(実施例1参照)に類似した方法を用いて、150kb以下のヒト免疫グロブリンκ軽鎖配列を1工程で挿入して、免全疫グロブリンκ軽鎖可変領域を含有する約480kbサイズのヒトゲノム断片を4工程の逐次的工程(図2D;表2および4)で挿入した。最後のハイグロマイシン耐性遺伝子を一過的FLPe発現によって除去した。重鎖と同様に、いずれの工程後にも、標的ES細胞クローンを全ヒト挿入物の完全性、正常な核型および生殖細胞系の潜在性について評価した。κ軽鎖対立遺伝子の各々についてホモ接合性のマウスが産生され、健常であることおよび正常な外観のものであることが判明した。
実施例2
複数のヒト化免疫グロブリン対立遺伝子の組み合わせによる完全ヒト化マウスの産生
幾つかの箇所に、実施例1に記載したようなヒト免疫グロブリン重鎖またはκ軽鎖可変レパートリーの一部分を保有するES細胞を微量注射し、得られたマウスを交配させて、ヒト生殖細胞系免疫グロブリンレパートリーの徐々に大きな断片(fraction)を有するVELOCIMMUNE(登録商標)マウスの複数のバージョンを生み出した(表5;図5Aおよび5B)。VELOCIMMUNE(登録商標)1(V1)マウスは、18のヒトV
H遺伝子セグメントおよびすべてのヒトD
HおよびJ
H遺伝子セグメントを、16のヒトVκ遺伝子セグメントおよびすべてのヒトκ遺伝子セグメントと併せて有する。VELOCIMMUNE(登録商標)2(V2)およびVELOCIMMUNE(登録商標)(V3)マウスは、合計39のV
Hおよび30のVκおよび80のV
Hおよび40のVκをそれぞれ保有する増加した可変レパートリーを有する。マウスV
H、D
HおよびJ
H遺伝子セグメント、ならびにVκおよびJκ遺伝子セグメントをコードするゲノム領域は完全に置換されたていたので、すべてのバージョンのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにより産生される抗体が、マウス定常領域に連結されたヒト可変領域を含有する。マウスλ軽鎖遺伝子座は、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの様々な実施形態においてインタクトなままであり、様々なVELOCIMMUNE(登録商標)κ軽鎖遺伝子座の発現効率についてのコンパレータとして役立つ。
免疫グロブリン重鎖およびκ軽鎖両方のヒト化について二重にホモ接合性のマウスを、実施例1で記載した対立遺伝子のサブセットから産生させた。二重ホモ接合型マウスを産生するための交配コースの間に観察されたすべての遺伝子型は、大体メンデル比で発生した。ヒト重鎖対立遺伝子の各々についてホモ接合性の雄後代は、妊性低減を実証し、これはマウスADAM6活性の喪失に起因した。マウス重鎖可変遺伝子遺伝子座は、2つのはめ込んだ機能的ADAM6遺伝子(ADAM6aおよびADAM6b)を含有する。マウス重鎖可変遺伝子遺伝子座のヒト化の間、挿入されたヒトゲノム配列は、ADAM6偽遺伝子を含有した。マウスADAM6は、妊性に要求され得、それ故、ヒト偽遺伝子の存在にもかかわらずヒト化重鎖可変遺伝子遺伝子座におけるマウスADAM6遺伝子の欠如が妊性の低減をもたらした可能性がある。実施例7〜11は、マウスADAM6遺伝子のヒト化重鎖可変遺伝子遺伝子座へのリエンジニアリング、およびヒト化重鎖免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスにおける野生型レベルの妊性の回復を記載する。
実施例3
ヒト化免疫グロブリン遺伝子を有するマウスにおけるリンパ球集団
3つの異なるバージョンのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおける成熟B細胞集団をフローサイトメトリーによって評価した。
簡単に言うと、標準的な方法を用いて、骨髄、脾臓および胸腺からの細胞懸濁液を作製した。BD Pharmingen FACS染色緩衝液中5×105細胞/mLで細胞を再懸濁させ、抗マウスCD16/32(BD Pharmingen)でブロッキングし、適切な抗体カクテルで染色し、BD CYTOFIX(商標)で固定し、これらの作業はすべて製造業者の指示に従って行った。最終細胞ペレットを0.5mL染色緩衝液に再懸濁させ、BD FACSCALIBUR(商標)およびBD CELLQUEST PRO(商標)ソフトウェアを使用して分析した。すべての抗体(BD Pharmingen)を質量希釈/カクテルで調製し、0.5mg/105細胞の最終濃度まで添加した。
骨髄(A〜D)染色用の抗体カクテルは、次のとおりであった:A:抗マウスIgMb−FITC、抗マウスIgMa−PE、抗マウスCD45R(B220)−APC;B:抗マウスCD43(S7)−PE、抗マウスCD45R(B220)−APC;C:抗マウスCD24(HSA)−PE;抗マウスCD45R(B220)−APC;D:抗マウスBP−1−PE、抗マウスCD45R(B220)−APC。
脾臓および鼠蹊リンパ節(E〜H)染色用の抗体カクテルは、次のとおりであった:E:抗マウスIgMb−FITC、抗マウスIgMa−PE、抗マウスCD45R(B220)−APC;F:抗マウスIg、λ1、λ2、λ3軽鎖−FITC、抗マウスIgκ軽鎖−PE、抗マウスCD45R(B220)−APC;G:抗マウスLy6G/C−FITC、抗マウスCD49b(DX5)−PE、抗マウスCD11b−APC;H:抗マウスCD4(L3T4)−FITC、抗マウスCD45R(B220)−PE、抗マウスCD8a−APC。結果を図6に示す。
ホモ接合型VELOCIMMUNE(登録商標)マウスの脾臓またはリンパ節から単離したリンパ球をマーカーB220およびIgMの表面発現について染色し、フローサイトメトリーを用いて分析した(図6)。試験したすべてのバージョンのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおけるB220+IgM+成熟B細胞集団のサイズは、それらが含有するVH遺伝子セグメントの数にかかわらず、実質的に野生型マウスのものと同一であった。加えて、ホモ接合性ハイブリッドヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含有するマウスも、正常マウス免疫グロブリンκ軽鎖遺伝子座を有するが3つしかVH遺伝子セグメントを有さないマウス、またはホモ接合性ハイブリッドヒト化κ軽鎖と正常マウス免疫グロブリン重鎖遺伝子座を含有するマウスでさえも、その末梢区画に正常な数のB220+IgM+細胞を有した(示さず)。これらの結果は、ヒト可変遺伝子セグメントおよびマウス定常領域を有するキメラ遺伝子座が、成熟B細胞区画に十分に集合できることを示している。さらに、重鎖またはκ軽鎖遺伝子座のいずれかにおける可変遺伝子セグメントの数、およびしたがって抗体レパートリーの理論的多様性は、成熟B細胞の野生型集団を産生する能力と相関しない。対照的に、ランダムに組み込まれた完全ヒト免疫グロブリン導入遺伝子および不活性化マウス免疫グロブリン遺伝子座を有するマウスは、これらの区画に低減数のB細胞を有し、その欠損の重度は、導入遺伝子に含まれている可変遺伝子セグメントの数に依存する(GreenおよびJakobovits、1998、Regulation of B cell development by variable gene complexity in mice reconstituted with human immunoglobulin yeast artificial chromosomes、J Exp Med 188:483−495)。これは、「in situ遺伝子ヒト化」戦略が、「ノックアウト・プラス・トランスジェニック」アプローチで実現されるランダムに組み込まれる導入遺伝子とは基本的に異なる機能的帰結をもたらす結果となることの証拠となる。
対立遺伝子排除および遺伝子座選択
対立遺伝子排除を維持する能力を、異なるバージョンのヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座についてヘテロ接合性のマウスで調査した。
129S6/SvEvTacおよびC57BL/6NTacヘテロ接合胚に由来するF1 ES系列(F1H4、Valenzuelaら、2003)で免疫グロブリン遺伝子座のヒト化を行った。ヒト重鎖生殖細胞系可変遺伝子配列を129S6対立遺伝子にターゲティングする。この対立遺伝子はIgMaハプロタイプを保有するが、未改変マウスC576BL/6N対立遺伝子はIgMbハプロタイプを有する。IgMのこれらの対立遺伝子形態は、IgMaまたはIgMb対立遺伝子において見出される多型に特異的な抗体を使用してフローサイトメトリーにより区別することができる。図6(最下段)に示されているように、各バージョンのヒト化重鎖遺伝子座についてヘテロ接合性のマウスにおいて同定されたB細胞は、単一の対立遺伝子、IgMa(ヒト化対立遺伝子)またはIgMb(野生型対立遺伝子)のいずれか、しか発現しない。これは、対立遺伝子排除に関与する機序が、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいてインタクトであることの証拠となる。加えて、ヒト化対立遺伝子(IgMa)について陽性のB細胞の相対数は、存在するVH遺伝子セグメントの数に大体比例する。ヒト化免疫グロブリン遺伝子座は、18のヒトVH遺伝子セグメントを有するVELOCIMMUNE(登録商標)1ヘテロ接合体マウスではB細胞のおおよそ30%において発現し、ならびに39および80のヒトVH遺伝子セグメントをそれぞれ有するVELOCIMMUNE(登録商標)2および3(示さず)ヘテロ接合体マウスではB細胞の50%において発現する。注目に値することとして、ヒト化マウス対立遺伝子を発現する細胞の、野生型マウス対立遺伝子を発現する細胞に対する比(VELOCIMMUNE(登録商標)1マウスについては0.5およびVELOCIMMUNE(登録商標)2マウスについては0.9)は、ヒト化遺伝子座に含有される可変遺伝子セグメント数の、野生型遺伝子座に含有される可変遺伝子セグメントの数に対する比(VELOCIMMUNE(登録商標)1マウスについては0.2およびVELOCIMMUNE(登録商標)2マウスについては0.4)より大きい。これは、対立遺伝子選択の確率が、1つもしくは他の染色体のランダム選択と任意の特定のVセグメントRSSのランダム選択の間の中間であることを示している。さらに、一方の対立遺伝子が組み換えに利用できるようになり、その過程を完了し、組換えを遮断し、その後、他方の対立遺伝子が利用能になるB細胞が、すべてではないが、一部存在し得る。加えて、ハイブリッドヒト化重鎖遺伝子座または野生型マウス重鎖遺伝子座のいずれかに由来する表面IgM(sIgM)を有する細胞の一様な分布は、該ハイブリッド遺伝子座が正常レベルで動作している証拠である。対照的に、ランダムに組み込まれたヒト免疫グロブリン導入遺伝子は、野生型マウス免疫グロブリン遺伝子座との競合が不十分である(Bruggemannら、1989、A repertoire of monoclonal antibodies with human heavy chains from transgenic mice、PNAS 86:6709−6713;Greenら、1994;Tuaillonら、1993、Human immunoglobulin heavy−chain minilocus recombination in transgenic mice:gene−segment use in mu and gamma transcripts、PNAS USA 90:3720−3724)。これは、さらに、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスによって産生される免疫グロブリンが、「ノックアウト・プラス・トランスジェニック」アプローチによって作製されるマウスにおけるランダムに組み込まれた導入遺伝子によって産生されるものとは機能的に異なることの証拠となる。
129S6またはC57BL/6Nでは、非ヒト化κ軽鎖遺伝子座に対するヒト化κ軽鎖遺伝子座の対立遺伝子排除の調査にCκ領域の多型を利用できない。しかし、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスすべてが野生型マウスλ軽鎖遺伝子座を有するので、ヒト化κ軽鎖遺伝子座の再構成および発現がマウスλ軽鎖発現を防止できるかどうかを観察することが可能である。マウスλ軽鎖を発現する細胞の数に対するヒト化κ軽鎖を発現する細胞の数の比は、κ軽鎖遺伝子座に挿入されたヒトVκ遺伝子セグメントの数にかかわらず、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスでは野生型マウスと比べて比較的不変であった(図6、上から三段目)。加えて、二重陽性(κ+λ)細胞数の増加は無く、このことから、ハイブリッドκ軽鎖遺伝子座での生産的組換えが、マウスλ軽鎖遺伝子座の組換えの適切な抑制をもたらす結果となることが示された。対照的に、ランダムに組み込まれたκ軽鎖導入遺伝子と−野生型マウスλ軽鎖遺伝子座ではなく−不活性化されたマウスκ軽鎖遺伝子座を含有するマウスは、λ/κ比の劇的増大を示す(Jakobovits、1998)。これは、導入されたκ軽鎖導入遺伝子が、かかるマウスでは十分に機能しないことを意味する。これは、さらに、「ノックアウト・プラス・トランスジェニック」マウスによって作製されるものと比較してVELOCIMMUNE(登録商標)マウスによって作製される免疫グロブリンにおいて観察される異なる機能的帰結の証拠となる。
B細胞発生。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおける成熟B細胞集団は、(上に記載したように)野生型マウスのものと似ているため、早期B細胞分化の欠陥を成熟B細胞集団の増殖によって補償することが可能である。フローサイトメトリーを用いてB細胞集団を分析することによって、様々なB細胞分化段階を調査した。表6は、特定の細胞表面マーカーを使用して、野生型同腹子と比較したVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおける、FACにより定義した各B細胞系列の細胞の画分の比を示すものである。
早期B細胞発生は骨髄で起こり、異なるB細胞分化段階は、細胞表面マーカー発現のタイプおよび量の変化によって特徴づけられる。これらの表面発現における差異は、細胞内部の免疫グロブリン遺伝子座で起こる分子の変化と相関する。プロB細胞からプレB細胞への移行には機能的重鎖タンパク質の再構成および発現の成功が必要であるが、プレBから成熟B期への移行は、κまたはλ軽鎖の正しい再構成および発現によって支配される。したがって、B細胞分化段階間の非効率的移行は、所与の段階のB細胞の関連集団の変化によって検出することができる。
いずれのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいてもB細胞分化に大きな欠陥は認められなかった。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいて、ヒト重鎖遺伝子セグメントの導入はプロBからプレBへの移行に影響を及ぼすようには見えず、またヒトκ軽鎖遺伝子セグメントの導入はプレBからBへの移行に影響を及ぼさない。これは、ヒト可変領域およびマウス定常領域(constant)を保有する「逆キメラ」免疫グロブリン分子が、B細胞シグナル伝達および共受容体分子に関連して正常に機能して、マウス環境で適切なB細胞分化をもたらすことを実証している。対照的に、ランダムに組み込まれた免疫グロブリン導入遺伝子および不活性化された内因性重鎖またはκ軽鎖遺伝子座を含有するマウスでは、B細胞分化中の異なる集団間のバランスが様々な程度に摂動される(GreenおよびJakobovits、1998)。
実施例4
ヒト化免疫グロブリンマウスにおける可変遺伝子レパートリー
脾細胞およびハイブリドーマ細胞を含む複数の源からのヒト可変領域の逆転写酵素・ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)により、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスのヒト化抗体レパートリーにおけるヒト可変遺伝子セグメントの使用量を分析した。可変領域配列、遺伝子セグメント使用量、体細胞超変異、および再構成可変領域遺伝子セグメントの接合部多様性を決定した。
簡単に言うと、TRIZOL(商標)(Invitrogen)またはQiagen RNEASY(商標)Mini Kit(Qiagen)を使用して1×107〜2×107脾細胞または約104〜105ハイブリドーマ細胞から全RNAを抽出し、SUPERSCRIPT(商標)III One−Step RT−PCRシステム(Invitrogen)を使用してマウス定常領域特異的プライマーでプライミングした。重鎖とκ軽鎖の両方についてのヒト可変領域の各ファミリーのためのプールされたリーダープライマーとペアで上述の3’定常特異的プライマーを個々に使用して、各試料からの2〜5μLのRNAを用いて反応を行った。試薬およびプライマーの容量、およびRT−PCR/PCR条件は、製造業者の指示に従って行った。プライマー配列は、複数の源の基づいた(WangおよびStollar、2000、Human immunoglobulin variable region gene analysis by single cell RT−PCR、J Immunol Methods 244:217−225;Ig−primer sets、Novagen)。適宜、プールされたファミリー特異的フレームワークプライマーと第一の反応で使用したのと同じマウス3’免疫グロブリン定常特異的プライマーとを用いて第二のネステッドPCR反応を行った。各反応からのアリコート(5μL)をアガロース電気泳動によって分析し、MONTAGE(商標)Gel Extraction Kit(Millipore)を使用してアガロースから反応生成物を精製した。TOPO(商標)TA Cloning System(Invitrogen)を使用して精製生成物をクローニングし、エレクトロポレーションによりDH10β大腸菌(E.coli)細胞に形質転換した。各形質転換反応から個々のクローンを選択し、2mLのLBブロス培養液(LB broth culture)中で抗生物質選択しながら一晩37℃で成長させた。キットベースアプローチ(Qiagen)により細菌培養物からプラスミドDNAを精製した。
免疫グロブリン可変遺伝子の使用量。ABI 3100 Genetic Analyzer(Applied Biosystems)を用いて、重鎖クローンとκ軽鎖クローン両方のプラスミドDNAをT7リバースプライマーまたはM13リバースプライマーのいずれかで配列決定した。生配列データをSEQUENCHER(商標)(v4.5、Gene Codes)にインポートした。各配列をコンティグに組み立て、IMGT V−Quest(Brochetら、2008、IMGT/V−QUEST:the highly customized and integrated system for IG and TR standardized V−J and V−D−J sequence analysis、Nucleic Acids Res 36:W503−508)検索機能を用いてヒト免疫グロブリン配列にアラインして、ヒトVH、DH、JHおよびVκ、Jκセグメント使用量を同定した。体細胞超変異および組換え接合部分析のために配列を生殖細胞系配列と比較した。
RAG相補性(Chenら、1993、RAG−2−deficient blastocyst complementation: an assay of gene function in lymphocyte development、PNAS USA 90:4528−4532)による最初の重鎖改変(3hVH−CREハイブリッド対立遺伝子、図2Aの最下部)を含有するES細胞からマウスを産生させ、脾細胞RNAからcDNAを調製した。挿入されたヒト遺伝子セグメント内でのV(D)J組換えおよびその後のマウスIgM定常ドメインまたはIgG定常ドメインのいずれかへのスプライシングによって生ずることになる予測キメラ重鎖mRNAに特異的なプライマーセット(上記)使用して、そのcDNAを増幅させた。これらのcDNAクローンに由来する配列(示さず)は、正しいV(D)J組換えがヒト可変遺伝子配列内で発生したこと、再構成されたヒトV(D)J遺伝子セグメントがインフレームでマウス定常ドメインへと正しくスプライシングしたこと、およびクラススイッチ組換えが発生したことを実証した。後続のハイブリッド免疫グロブリン遺伝子座のmRNA産物のさらなる配列分析を行った。
同様の実験で、免疫していない野生型およびVELOCIMMUNE(登録商標)マウスからのB細胞をフローサイトメトリーによりB220およびIgMまたはIgGの表面発現に基づいて分離した。B220+IgM+または表面IgG+(sIgG+)細胞をプールし、RT−PCR増幅およびクローニング(上記)の後にVHおよびVκ配列を得た。非免疫VELOCIMMUNE(登録商標)1マウス(表7)およびVELOCIMMUNE(登録商標)3マウス(表8)からの1セットのRT−PCR増幅cDNAにおける代表的な遺伝子使用量を記録した(*不完全RSS(defective RSS);†欠けているか偽遺伝子)。アステリスク:不完全RSSを有する遺伝子セグメント。†:遺伝子セグメントが欠けているまたは偽遺伝子である。
表7および8に示したように、機能的ヒトV
H、D
H、J
H、VκおよびJκ遺伝子セグメントのほぼすべてが利用される。この実験のVELOCIMMUNE(登録商標)マウスでは検出されなかったが記載した機能的可変遺伝子セグメントのうちの幾つかは、不完全組換えシグナル配列(RSS)を保有すると報告されており、それ故、発現することは期待されないことになる(Feeney、2000、Factors that influence formation of B cell repertoire、Immunol Res 21:195−202)。ナイーブレパートリーと免疫レパートリーの両方から単離された、様々なVELOCIMMUNE(登録商標)マウスからの免疫グロブリン配列の幾つかの他のセットの分析は、これらの遺伝子セグメントの使用量を、より低い頻度においてではあるが示した(データを示さない)。集合体遺伝子使用量データは、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスが含有するすべての機能的ヒトV
H、D
H、J
H、VκおよびJκ遺伝子セグメントが、様々なナイーブおよび免疫レパートリーにおいて観察されることを示した(データを示さない)。ヒトV
H7−81遺伝子セグメントは、ヒト重鎖遺伝子座配列の分析で同定されている(Matsudaら、1998、The complete nucleotide sequence of the human immunoglobulin heavy chain variable region locus、J Exp Med 188:2151−2162)が、全VELOCIMMUNE(登録商標)3マウスゲノムの再配列決定により確認したところ、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスには存在しない。
抗体の重および軽鎖の配列が、特に再構成可変ドメイン内の短鎖ポリペプチドセグメントにおいて、例外的な可変性を示すことは公知である。これらの領域は、超可変領域または相補性決定領域(CDR)として公知であり、抗体分子の構造内に抗原の結合部位を作る。介在ポリペプチド配列は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。重鎖と軽鎖の両方に3つのCDR(CDR1、CDR2、CDR3)および4つのFR(FR1、FR2、FR3、FR4)がある。1つのCDR、CDR3、は、このCDRがVH、DHおよびJH遺伝子セグメントとVκおよびJκ遺伝子セグメントの両方の組換えによって作られ、抗原と遭遇する前に相当量のレパートリー多様性を生じさせる点でユニークである。この接合は、エキソヌクレアーゼ活性によるヌクレオチド欠失と末端デオキシヌクレオチヂルトランスフェラーゼ(TdT)による非テンプレートコード付加(non−template encoded addition)の両方のため正確ではなく、それ故、組換え過程の結果として新規配列を可能とする。FRは、全体としては可変領域の高い変異性のため実質的な体細胞変異を示すことができるが、しかし、可変性は、可変領域全域に均等に分布されない。CDRは、抗原結合を可能にする、抗体分子の表面に集中および局在する高可変領域である。接合部多様性を実証する、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスからの選択された抗体のCDR3接合部周囲の重鎖および軽鎖配列を、図7Aおよび7Bにそれぞれ示す。
図7Aに示すように、非テンプレートコードヌクレオチド付加(N−付加)が、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスからの抗体におけるVH−DH接合とDH−JH接合の両方において認められ、これは、ヒトセグメントに関するTdTの正しい機能を示している。VH、DHおよびJHセグメントの、該セグメントの生殖細胞系カウンターパートと比較しての終点は、エンドヌクレアーゼ活性も発生したことを示している。重鎖遺伝子座とは異なり、ヒトκ軽鎖再構成は、VκおよびJκセグメントの組換えによって形成されるCDR3でのTdT付加が殆どまたは全く示さない(図7B)。これは、プレB細胞からB細胞への移行のときの軽鎖再構成中にマウスにおけるTdT発現の欠如に起因すると予想される。再構成ヒトVκ領域のCDR3で観察される多様性は、主として、組換え事象中にエキソヌクレアーゼ活性によって導入される。
体細胞超変異。体細胞超変異と呼ばれるプロセスにより、胚中心反応中に再構成免疫グロブリン遺伝子の可変領域にさらなる多様性が加えられる。体細胞変異可変領域を発現するB細胞は、濾胞樹状細胞によって提示される抗原への接近について他のB細胞と競合する。抗原に対してより高い親和性を有するこれらのB細胞は、末梢へと出ていく前にさらに増殖し、クラススイッチされる。それ故、スイッチされたアイソタイプを発現するB細胞は、典型的に抗原に遭遇し、胚中心反応を経たものであり、ナイーブB細胞に比べて増加した変異数を有する。さらに、主としてナイーブsIgM+B細胞からの可変領域配列は、抗原選択を受けたsIgG+B細胞からの可変配列より相対的に少ない変異を有すると予想されよう。
免疫していないVELOCIMMUNE(登録商標)マウスからのsIgM+もしくはsIgG+B細胞または免疫したマウスからのsIgG+B細胞からの、ランダムVHまたはVκクローンからの配列を、その生殖細胞系可変遺伝子セグメントと比較し、生殖細胞系配列に対する変化に注釈を付けた。得られたヌクレオチド配列をコンピュータで翻訳し、アミノ酸変化をもたらす変異にも注釈を付けた。すべての可変領域からデータを照合し、所与の位置での変化率を算定した(図8)。
図8に示すように、免疫していないVELOCIMMUNE(登録商標)マウスからのsIgG+B細胞に由来するヒト重鎖可変領域は、同じ脾細胞プールからのsIgM+B細胞に比べてより多くのヌクレオチドを示し、免疫したマウスに由来する重鎖可変領域は、さらに多くの変化を示す。変化の数は、フレームワーク領域に比べて相補性決定領域(CDR)において増えており、これは抗原選択を示す。ヒト重鎖可変領域からの対応するアミノ酸配列も、IgMに比べてIgGのほうが有意に多い変異の数、および免疫したIgGほうがさらにいっそう多い数を示す。これらの変異もまた、フレームワーク配列と比較してCDR内においてのほうが頻度が高いようであり、これは、抗体がin vivoで抗原選択されたことを示唆している。ヌクレオチド変異数とアミノ酸変異数の同様の増加が、免疫したマウスからのIgG+B細胞に由来するVκ配列に見出される。
VELOCIMMUNE(登録商標)マウスにおいて観察された遺伝子使用量および体細胞超変異頻度は、これらのマウスにおいて、存在する本質的にすべての遺伝子セグメントが、完全機能性逆キメラ抗体を形成するように再構成できることを実証している。さらに、VELOCIMMUNE(登録商標)抗体は、マウス免疫系内で、親和性選択および成熟に至るよう充分に関与して、その標的抗原を効果的に中和できる完全成熟ヒト抗体を作製する。VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、複数のクラスの抗原への頑強な免疫応答を開始することができ、その結果、高親和性でもあり治療使用に好適でもある広範なヒト抗体の利用がもたらされる(データを示さない)。
実施例5
リンパ系構造および血清アイソタイプの分析
H&Eで染色した野生型またはVELOCIMMUNE(登録商標)マウスからの組織試料の脾臓、鼠蹊リンパ節、バイエル板および胸腺の全体構造を光学顕微鏡法によって調査した。野生型およびVELOCIMMUNE(登録商標)マウスから採集した血清中の免疫グロブリンアイソタイプのレベルを、LUMINEX(商標)技術を用いて分析した。
リンパ系器官構造。リンパ系組織の構造および機能は、造血細胞の正しい発生に一部依存する。B細胞発生または機能の欠陥は、リンパ系組織の構造の変化として示され得る。染色組織切片の分析により、野生型マウスとVELOCIMMUNE(登録商標)マウスの間に二次リンパ系器官の外観の有意差は特定認されなかった(データを示さない)。
血清免疫グロブリンレベル。各アイソタイプの発現レベルは、野生型マウスとVELOCIMMUNE(登録商標)マウスで類似している(図9A、9Bおよび9C)。これは、可変遺伝子セグメントのヒト化が、クラススイッチまたは免疫グロブリン発現および分泌に明白な有害作用を及ぼさず、したがって、これらの機能に必要なすべての内因性マウス配列を明白に維持することを実証している。
実施例6
ヒト化免疫グロブリンマウスにおける免疫および抗体産生
異なるバージョンのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスを抗原で免疫して、外来抗原攻撃に対する体液性応答を調査した。
免疫およびハイブリドーマ開発。VELOCIMMUNE(登録商標)および野生型マウスをタンパク質、DNA、DNAとタンパク質の組み合わせ、または抗原を発現する細胞の形態の抗原で免疫することができる。典型的には、動物に3週間ごとに合計2から3回、追加免疫する。各抗原を追加免疫後、各動物から血清試料を採集し、血清力価決定により抗原特異的抗体応答について分析する。融合前に、必要に応じて5μgのタンパク質またはDNAの融合前最終追加免疫を、腹腔内注射および/または静脈内注射によってマウスに施した。脾細胞を回収し、電気融合チャンバ内で製造業者の提案プロトコル(Cyto Pulse Sciences Inc.、メリーランド州グレンバーニー)に従ってAg8.653骨髄腫細胞に融合させる。培養の10日後、ELISAアッセイ(HarlowおよびLane、1988、Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press、New York)を用いてハイブリドーマを抗原特異性についてスクリーニングする。あるいは、免疫したVELOCIMMUNE(登録商標)マウスから抗原特異的B細胞を直接単離し、本明細書に記載のものを含む標準的な技術を用いてスクリーニングして、対象となる抗原に特異的なヒト抗体を得る(例えば、米国特許出願公開第2007/0280945号A1明細書参照(この参考文献はその全体が参照により本明細書に援用されている))。
血清力価決定。動物抗抗原血清応答をモニターするために、各追加免疫の約10日後に血清試料を採集し、抗原特異的ELISAを用いてその力価を決定する。簡単に言うと、Nunc MAXISORP(商標)96ウエルプレートを2μg/mLの抗原で一晩、4℃で被覆し、それをウシ血清アルブミン(Sigma、ミズーリ州セントルイス)でブロッキングする。3倍希釈系列の血清試料を1時間、室温でプレートに結合させる。その後、0.05%Tween−20を含有するPBSでそのプレートを洗浄し、全IgG力価についてはHRP結合体化ヤギ抗マウスFc(Jackson Immuno Research Laboratories,Inc.、ペンシルバニア州ウエストグローヴ)をまたはアイソタイプ特異的力価についてはビオチン標識アイソタイプ特異的ポリクローナル抗体もしくは軽鎖特異的ポリクローナル抗体(Southern Biotech Inc.)をそれぞれ使用して結合IgGを検出する。ビオチン標識抗体については、プレート洗浄後、HRP結合体化ストレプトアビジン(Pierce、イリノイ州ロックフォード)を添加する。BD OPTEIA(商標)(BD Biosciences Pharmingen、カリフォルニア州サンディエゴ)などの比色基質を使用してすべてのプレートを顕色させる。1Mリン酸で反応を停止させた後、450nmでの光吸収を記録し、Graph PadからのPRISM(商標)ソフトウェアを使用してデータを分析する。バックグラウンドシグナルの2倍のシグナルを得るために必要な希釈度を力価と定義する。
1つの実験では、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスをヒトインターロイキン−6受容体(hIL−6R)で免疫した。hIL−6Rで免疫したVELOCIMMUNE(登録商標)および野生型マウスについての血清力価の代表セットを図10Aおよび10Bに示す。
VELOCIMMUNE(登録商標)および野生型マウスは、同様の力価範囲でIL−6Rに対する強い応答を開始した(図10A)。VELOCIMMUNE(登録商標)および野生型コホートからの数匹のマウスは、単回抗原追加免疫後に最大応答に達した。これらの結果は、この抗原に対する免疫応答強度および動態は、VELOCIMMUNE(登録商標)および野生型マウスにおいて同様であったことを示す。これらの抗原特異的抗体応答をさらに分析して、血清中で見出される抗原特異的抗体の特定のアイソタイプを調査した。VELOCIMMUNE(登録商標)群と野生型群の両方が主としてIgG1応答を惹起した(図10B)。これは、体液性応答中のクラススイッチが各タイプのマウスにおいて同様であることを示唆している。
溶液中の抗原への抗体結合の親和性決定。抗原に対する抗体結合親和性を決定するために、ELISAベースの溶液競合アッセイが典型的に設計される。
簡単に言うと、順化培地中の抗体を、0から10mg/mLの範囲の抗原タンパク質の希釈系列とプレミックスする。次に、その抗体と抗原の混合物の溶液を2から4時間、室温で、結合平衡に達するまでインキュベートする。次に、その混合物中の遊離抗体の量を、定量的サンドイッチELISAを用いて測定する。PBS溶液中の1μg/mLの抗原タンパク質で一晩、4℃で96ウェルMAXISORB(商標)プレート(VWR、ペンシルバニア州ウエストチェスター)を被覆し、その後、BSAでの非特異的ブロッキングを行う。次に、その抗体−抗原混合物溶液をこれらのプレートに移し、その後、1時間インキュベートする。次に、そのプレートを洗浄緩衝液で洗浄し、プレートに結合した抗体をHRP結合体化ヤギ抗マウスIgGポリクローナル抗体試薬(Jackson Immuno Research Lab)で検出し、BD OPTEIA(商標)(BD Biosciences Pharmingen、カリフォルニア州サンディエゴ)などの比色基質を使用して顕色させた。1Mリン酸で反応を停止させた後、450nmでの光吸収を記録し、Graph PadからのPRISM(商標)ソフトウェアを使用してデータを分析する。溶液中の抗原の濃度に対するシグナルの依存度を4パラメータフィット分析で分析し、IC50(溶液中に抗原が存在しない抗体試料からのシグナルの50%低減を達成するために必要な抗原濃度)として報告する。
1つの実験では、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスをhIL−6Rで免疫した(上記のとおり)。図11Aおよび11Bは、VELOCIMMUNE(登録商標)および野生型マウスからの抗hIL6R抗体についての親和性測定値の代表セットを示すものである。
免疫したマウスに3回目の抗原追加免疫を施した後、ELISAアッセイを用いて血清力価を決定する。選択した野生型およびVELOCIMMUNE(登録商標)マウスコホートから脾細胞を単離し、Ag8.653骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを形成し、選択下で成長させた(上記のとおり)。産生された合計671の抗IL−6Rハイブリドーマのうち、236は、抗原特異的抗体を発現することが判明した。抗原陽性ウェルから回収した培地を使用して、溶液競合ELISAを用いて抗原への結合の抗体親和性を決定した。VELOCIMMUNE(登録商標)マウス由来の抗体は、溶液中の抗原への結合に関して広範な親和性を示す(図11A)。さらに、236の抗IL−6Rハイブリドーマのうちの49は、in vitroバイオアッセイにおいてIL−6の受容体への結合を遮断することが判明した(データを示さない)。さらに、これらの49の抗IL−6R遮断抗体は、野生型マウスの並行免疫に由来する遮断抗体のものと同様の範囲の高い溶液親和性を示した(図11B)。
実施例7
マウスADAM6ターゲティングベクターの構築
マウス免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座の、ヒト免疫グロブリン重鎖可変遺伝子遺伝子座での置換のため、初期バージョンのVELOCIMMUNE(登録商標)マウスにはマウスADAM6遺伝子の発現が無い。特に、雄VELOCIMMUNE(登録商標)マウスは、妊性の低減を明らかに示す。それ故、妊性の欠陥をレスキューするために、ADAM6を発現する能力をVELOCIMMUNE(登録商標)マウスに再設計した。
VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術(上記)を用いて、マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子のヒト化重鎖遺伝子座への挿入のためのターゲティングベクターを構築して、Dr.Frederick Alt(Harvard University)から入手した細菌人工染色体(BAC)929d24を改変した。マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子を含有するゲノム断片と、ヒト化重鎖遺伝子座のヒトVH1−2遺伝子セグメントとヒトVH6−1遺伝子セグメントの間にあるヒトADAM6偽遺伝子(hADAM6Ψ)の標的欠失のためのハイグロマイシンカセットとを含有するように、929d24 BAC DNAを工学的に作製した(図12)。
先ず、マウスADAM6b遺伝子と約800bpの上流(5’)配列と約4800bpの下流(3’)配列とを含有するゲノム断片を929d24 BACクローンからサブクローニングした。マウスADAM6a遺伝子と約300bpの上流(5’)配列と約3400bpの下流(3’)配列とを含有する第二のゲノム断片を、別途、929d24 BACクローンからサブクローニングした。マウスADAM6b遺伝子およびADAM6a遺伝子を含有する2つのゲノム断片を、Frt組換え部位が隣接するハイグロマイシンカセットにライゲートして、ターゲティングベクター(マウスADAM6ターゲティングベクター、図12;配列番号3)を作製した。ヒト化重鎖遺伝子座へのライゲーションのためにマウスADAM6b遺伝子に続いてそのターゲティングベクターの5’末端上およびマウスADAM6a遺伝子に続いてその3’末端上に異なる制限酵素認識部位を工学的に作製した(図12の下部)。
マウス重鎖可変遺伝子遺伝子座の、ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座での置換を含有するBACクローンには、マウスADAM6ターゲティングベクターの後続のライゲーションのために、ヒト化遺伝子座のヒトVH1−2遺伝子セグメントとヒトVH6−1遺伝子セグメントの間にあるヒトADAM6偽遺伝子(hADAM6Ψ)を含む別の改変を施した(図13)。
簡単に言うと、loxP組換え部位が隣接するネオマイシンカセットを、ヒトVH1−2遺伝子セグメントの3’(hADAM6Ψに対して5’)およびヒトVH6−1遺伝子セグメントの5’(hADAM6Ψに対して3’;図13の中央参照)の位置に、ヒトゲノム配列を含有するホモロジーアームを含有するように、工学的に作製した。このターゲティング構築物の挿入部位の場所は、ヒトADAM6偽遺伝子の約1.3kb5’側かつ約350bp3’側であった。このターゲティング構築物にマウスADAM6ターゲティングベクターと同じ制限酵素認識部位も含めて、ヒトADAM6偽遺伝子の欠失を含有する改変BACクローンとマウスADAM6ターゲティングベクターの間での後続のBACライゲーションを可能にした。
両方の構築物に由来するBAC DNAの消化後、そのゲノム断片を互いにライゲートして、マウスADAM6aおよびADAM6bヌクレオチド配列を含む、異所に配置されたゲノム配列を含有するヒト化重鎖遺伝子座を含有する、工学的に作製したBACクローンを構築した。ヒト化重鎖遺伝子座内のヒトADAM6遺伝子の欠失と、ES細胞へのマウスADAM6aおよびADAM6b配列の挿入のための最終のターゲティング構築物は、5’から3’へ、ヒトVH1−2遺伝子セグメントの3’の約13kbのヒトゲノム配列を含有する5’ゲノム断片;マウスADAM6b遺伝子の下流の約800bpのマウスゲノム配列;マウスADAM6b遺伝子;マウスADAM6b遺伝子の上流の約4800bpのゲノム配列;5’Frt部位;ハイグロマイシンカセット;3’Frt部位;マウスADAM6a遺伝子の下流の約300bpのマウスゲノム配列;マウスADAM6a遺伝子;マウスADAM6a遺伝子の上流の約3400bpのマウスゲノム配列;そしてヒトVH6−1遺伝子セグメントの5’の約30kbのヒトゲノム配列を含有する3’ゲノム断片を含有した(図13の下部)。
工学的に作製したBACクローン(上記)を使用して、ヒト化重鎖遺伝子座を含有するマウスES細胞をエレクトロポレートして、ヒト化重鎖遺伝子座内にマウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む、異所に配置されたマウスゲノム配列を含む改変ES細胞を作製した。ヒト化重鎖遺伝子座内に異所性マウスゲノム断片を含有する陽性ES細胞を、TAQMAN(商標)プローブを使用する定量的PCRアッセイ(LieおよびPetropoulos、1998、Advances in quantitative PCR technology: 5’nuclease assays、Curr Opin Biotechnol 9(1):43−48)によって同定した。ヒト化重鎖遺伝子座の改変部分の外側の上流および下流領域を、該改変領域内に配置したプライマーおよびプローブを使用してPCRにより確認して、ヒト化重鎖遺伝子座内の異所性マウスゲノム配列の存在およびハイグロマイシンカセットの存在を確認した。上流挿入点にわたるヌクレオチド配列には、次のものが含まれ、これは、該挿入点の上流のヒト重鎖ゲノム配列と、該挿入点に存在するマウスゲノム配列に隣接して連結されている(下のカッコ内に入っている)I−CeuI制限酵素認識部位とを示すものである:(CCAGCTTCAT TAGTAATCGT TCATCTGTGG TAAAAAGGCA GGATTTGAAG CGATGGAAGA TGGGAGTACG GGGCGTTGGA AGACAAAGTG CCACACAGCG CAGCCTTCGT CTAGACCCCC GGGCTAACTA TAACGGTCCT AAGGTAGCGA G)GGGATGACAG ATTCTCTGTT CAGTGCACTC AGGGTCTGCC TCCACGAGAA TCACCATGCC CTTTCTCAAG ACTGTGTTCT GTGCAGTGCC CTGTCAGTGG(配列番号4)。標的領域の3’端の下流挿入点にわたるヌクレオチド配列には、次のものが含まれ、これは、マウスゲノム配列と、該挿入点の下流のヒト重鎖ゲノム配列に隣接して連結されている(下のカッコ内に入っている)PI−SceI制限酵素認識部位とを示すものである:(AGGGGTCGAG GGGGAATTTT ACAAAGAACA AAGAAGCGGG CATCTGCTGA CATGAGGGCC GAAGTCAGGC TCCAGGCAGC GGGAGCTCCA CCGCGGTGGC GCCATTTCAT TACCTCTTTC TCCGCACCCG ACATAGATAAAGCTT)ATCCCCCACC AAGCAAATCC CCCTACCTGG GGCCGAGCTT CCCGTATGTG GGAAAATGAA TCCCTGAGGT CGATTGCTGC ATGCAATGAA ATTCAACTAG(配列番号5)。
上に記載した標的ES細胞をドナーES細胞として使用し、VELOCIMOUSE(登録商標)マウスの工学的作製方法(例えば、米国特許第7,6598,442号、同第7,576,259号および同第7,294,754号参照)により8細胞期マウス胚に導入した。マウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む異所性マウスゲノム配列を含有するヒト化重鎖遺伝子座を保有するマウスを、該ヒト化重鎖遺伝子座内のマウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子の存在を検出する対立遺伝子アッセイ(Valenzuelaら、2003)の改良法を用いる遺伝子型解析によって同定した。
マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子を含有するヒト化重鎖遺伝子座を保有するマウスをFLPeデリーターマウス系統(例えば、Rodriguezら、2000、High−efficiency deleter mice show that FLPe is an alternative to Cre−loxP.Nature Genetics 25:139−140参照)と交配させて、例えばES細胞期でまたは胚で除去されないターゲティングベクターによって導入された一切のFrt’edハイグロマイシンカットを除去した。必要に応じて、ハイグロマイシンカセットをマウス内に保持した。
子を遺伝子型解析し、マウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む異所性マウスゲノム断片を含有するヒト化重鎖遺伝子座についてヘテロ接合性の子を、マウスADAM6遺伝子発現および妊性の特徴づけのために選択した。
実施例8
ADAM6レスキューマウスの特徴づけ
フローサイトメトリー。ヒト重およびヒトκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性(H+/+κ+/+)の25週齢の3匹のマウスと、ヒト重鎖遺伝子座の両方の対立遺伝子内にマウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子をコードする異所性マウスゲノム断片を有するヒト重およびヒトκ軽鎖についてホモ接合性(H+/+A6resκ+/+)の18〜20週齢の3匹のマウスを、BD LSR II System(BD Bioscience)でのFACsによるリンパ球細胞集団の同定および分析のために屠殺した。リンパ球を特定の細胞系列についてゲートし、B細胞発生の様々な段階を経る発達について分析した。動物から採集した組織としては、血液、脾臓および骨髄が挙げられる。EDTAが入っているBDマイクロテイナーチューブ(BD Biosciences)に血液を採集した。ウシ胎仔血清とピルビン酸ナトリウムとHEPESと2−メルカプトエタノールと非必須アミノ酸とゲンタマイシンとを補充した完全RPMI培地でフラッシュすることにより大腿骨から骨髄を採集した。血液、脾臓および骨髄調製物からの赤血球を塩化アンモニウム系溶解緩衝液(例えば、ACK溶解緩衝液)で溶解し、その後、完全RPMI培地で洗浄した。
細胞集団を染色するために、様々な組織源からの1×106細胞を氷上で10分間、抗マウスCD16/CD32(2.4G2、BD Biosciences)と共にインキュベートし、その後、下記の抗体カクテルの1つまたは組み合わせで30分間、氷上で標識した。
骨髄:抗マウスFITC−CD43(1B11、BioLegend)、PE−ckit(2B8、BioLegend)、PeCy7−IgM(II/41、eBioscience)、PerCP−Cy5.5−IgD(11−26c.2a、BioLegend)、APC−eFluor780−B220(RA3−6B2、eBioscience)、A700−CD19(1D3、BD Biosciences)。
末梢血および脾臓:抗マウスFITC−κ(187.1、BD Biosciences)、PE−λ(RML−42、BioLegend)、PeCy7−IgM(II/41、eBioscience)、PerCP−Cy5.5−IgD(11−26c.2a、BioLegend)、APC−CD3(145−2C11、BD)、A700−CD19(1D3、BD)、APC−eFluor780−B220(RA3−6B2、eBioscience)。標識された抗体と共にインキュベートした後、細胞を洗浄し2%ホルムアルデヒドで固定した。データ収集をLSRIIフローサイトメーターで行い、FlowJo(Treestar,Inc.)で分析した。代表H+/+κ+/+およびH+/+A6resκ+/+マウスからの結果を図14〜18に示す。
結果は、H+/+A6resκ+/+マウスのB細胞が、骨髄および末梢区画においてH+/+κ+/+マウスと同様の様式でB細胞発生段階を経て発達すること、それらが末梢に入ると正常な成熟パターンを示すを実証している。H+/+A6resκ+/+マウスは、H+/+κ+/+マウスと比較して増大したCD43intCD19+細胞集団を明示した(図16B)。これにより、H+/+A6resκ+/+マウスにおける、マウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む異所性マウスゲノム断片を含有するヒト化重鎖遺伝子座からIgM発現の促進を示すことができる。末梢では、H+/+A6resκ+/+マウスのBおよびT細胞集団は、正常であり、H+/+κ+/+マウスと同様であるようである。
精巣の形態および精子の特徴づけ。ヒト化免疫グロブリン重鎖可変遺伝子座を有するマウスにおける不妊性が、精巣および/または精子産生の欠陥に起因するかどうかを決定するために、精巣の形態および精巣上体の精子含有量を調査した。
簡単に言うと、2群(1群につきn=5;群1:ヒト重鎖およびκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウス、H+/+κ+/+;群2:ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座についてヘテロ接合性およびκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウス、H+/−κ+/+)から精巣をインタクトな精巣上体と共に切開し、計量した。次に、その検体を固定し、パラフィンに包埋し、切片にし、ヘマトキシリンおよびエオシン(HE)染色剤で染色した。精巣切片(マウス1匹につき2つの精巣、合計20)を形態の欠陥および精子産生の証拠について調査し、一方、精巣上体切片を精子の存在について調査した。
この実験では、H+/+κ+/+マウスとH+/−κ+/+マウスの間で精巣重量または形態の差は観察されなかった。すべての遺伝子型の精巣および精巣上体の両方において、精子が観察された。これらの結果は、マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子の不在が、精巣形態の検出可能な変化をもたらさないこと、ならびにマウスにおいてこれら2つの遺伝子の存在下および不在下で精子が産生されることを確証する。したがって、雄H+/+κ+/+マウスの妊性の欠陥が低い精子産生量に起因する可能性は低い。
精子の運動能および移動。他のADAM遺伝子ファミリーメンバーが無いマウスは、精子の運動能または移動の欠陥に起因して不妊性である。精子の移動は、子宮から卵管に進む精子の能力と定義され、通常、マウスの受精に必要である。マウスADAM6aおよびADAM6bの欠失がこのプロセスに影響を及ぼすかどうかを決定するために、H+/+κ+/+マウスにおける精子の移動および運動能を評価した。
簡単に言うと、(1)ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座についてヘテロ接合性およびヒトκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウス(H+/−κ+/+);(2)ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性およびヒトκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウス(H+/+κ+/+); (3)ヒト重鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性および野生型κ軽鎖についてホモ接合性のマウス(H+/+mκ);および(4)野生型C57BL/6マウス(WT)の精巣から精子を得た。検査により精子数または総合的精子運動能に重大な異常は認められなかった。すべてのマウスについて、卵丘細胞分散(cumulus dispersal)が観察された。これは、各精子試料がin vitroで卵丘細胞に侵入して透明帯を結合できることを示していた。これらの結果は、H+/+κ+/+マウスが、卵丘に侵入して透明帯を結合し得る精子を有することを確証する。
in vitroでのマウス卵子の受精(IVF)を、上記のマウスからの精子を使用して行った。IVFの翌日にH+/+κ+/+マウスについてやや少ない数の卵割胚が観察され、卵子に結合した精子の低減数も観察された。これらの結果は、H+/+κ+/+マウスからの精子が、卵子に曝露されると、卵丘に侵入して透明帯を結合し得ることを確証する。
もう1つの実験では、子宮から卵管を通って移動するH+/+κ+/+マウスからの精子の能力を精子移動アッセイで決定した。
簡単に言うと、過排卵雌マウスの第一の群(n=5)をH+/+κ+/+雄(n=5)を用意し、過排卵雌マウスの第二の群(n=5)をH+/−κ+/+雄(n=5)を用意した。これらの交配ペアを交尾について観察し、交尾の5から6時間後、分析のためにすべての雌から子宮および付属の卵管を除去し、フラッシュした。フラッシュ溶液を卵子について点検して排卵を検証し、精子数を得た。精子移動を2つの異なる方法で評価した。第一に、両方の卵管を子宮から除去し、食塩水でフラッシュし、確認された一切の精子を計数した。卵子の存在も排卵の証拠として書き留めた。第二に、卵管を子宮に付属したまま残し、両方の組織を固定し、パラフィンに包埋し、切片にして染色した(上記のとおり)。切片を子宮内の精子の存在についても、両方の卵管における精子の存在についても調査した。
5匹のH+/+κ+/+雄と交配させた雌については、卵管からのフラッシュ溶液中に精子が殆ど見つからなかった。H+/―κ+/+雄と交配させた雌の卵管からのフラッシュ溶液は、H+/+κ+/+雄と交尾させた雌の卵管からのフラッシュ溶液中に存在するものより約25から30倍多い精子レベル(平均、n=10卵管)を示した。H+/+κ+/+およびH+/+A6resκ+/+マウスの代表交配比較を表9に示す。
子宮および卵管の組織学的切片を調製した。その切片を子宮および卵管(colliculus tubarius)においての精子の存在について調査した。卵管および子宮の組織学的切片の検査により、H+/+κ+/+マウスと交配させた雌マウスについては子宮では精子を認めるが卵管では認められないことが明らかにされた。さらに、H+/+κ+/+マウスと交配させた雌からの切片により、精子が子宮卵管境界(UTJ)で認められないことが明らかになった。H+/−κ+/+マウスと交配させた雌からの切片では、UTJおよび卵管において精子が同定された。
これらの結果は、ADAM6aおよびADAM6b遺伝子を欠いているマウスがin vivo移動欠陥を示す精子を作ることを確証する。すべての場合、精子が子宮内に観察された。これは、交配および精子放出は正常に行われたようであるが、精子数または組織学的観察のいずれかによって測定すると、交配後に卵管内で精子は殆どまたは全く観察されなかったことを示していた。これらの結果は、ADAM6aおよびADAM6b遺伝子を欠いているマウスが、子宮から卵管への移動不能を示す精子を産生することを確証する。精子が子宮卵管境界(uterine−tubule junction)を越えて、卵子が受精する卵管へと移動することができないため、この欠陥は不妊性をもたらすようである。纏めると、これらの結果のすべてが、マウスADAM6遺伝子は、正常移動能を有する精子を子宮から出て子宮卵管境界および卵管を通って移動するように方向づけ、そうして卵子に近づいて受精事象を実現するという仮説の支持に向けられる。ADAM6がこれを実現する機序は、前記ADAM6タンパク質の一方もしくは両方によって方向づけられることもあり、または下に記載するような、精子細胞における他のタンパク質、例えば他のADAMタンパク質、との協調発現により方向づけられることもある。
ADAM遺伝子ファミリー発現。ADAMタンパク質の複合体が、成熟中の精子の表面に複合体として存在することは公知である。他のADAM遺伝子ファミリーメンバーが無いマウスは、精子が成熟するにつれてこの複合体を喪失し、成熟精子において複数のADAMタンパク質の低減を示す。ADAM6aおよびADAM6b遺伝子の欠如が、他のADAMタンパク質に対して同様に影響を及ぼすかどうかを決定するために、精巣(未熟精子)および精巣上体(成熟中の精子)からのタンパク質抽出物のウエスタンブロットを分析して、他のADAM遺伝子ファミリーメンバーの発現レベルを決定した。
この実験では、H+/+κ+/+およびH+/−κ+/+マウスの群(1群あたりn=4)からのタンパク質抽出物を分析した。その結果は、ADAM2およびADAM3の発現が影響を受けないことを精巣抽出物中で示した。しかし、ADAM2とADAM3の両方が、精巣上体抽出物中では劇的に低減していた。これは、H+/+κ+/+マウスの精液中のADAM6aおよびADAM6bの不在が、精子が成熟するにつれて他のADAMタンパク質(例えば、ADAM2およびADAM3)の発現およびおそらく機能に対して直接影響を及ぼし得ることを明示する。これは、ADAM6aおよびADAM6bが、精子の表面にADAMタンパク質複合体の部分として存在し、そのことが正しい精子移動にとって極めて重要であり得ることを示唆している。
実施例9
ADAM6レスキューマウスにおけるヒト重鎖可変遺伝子使用
TAQMAN(商標)プローブを使用する定量的PCRアッセイ(上記のとおり)によりマウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子を欠いている(H+/+κ+/+)か、マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子をコードする異所性ゲノム断片を含有する(H+/+A6resκ+/+)かのいずれかの、ヒト重およびκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウスについて、選択ヒト重鎖可変遺伝子使用量を決定した。
簡単に言うと、マウスCD19 Microbeads(Miltenyi Biotec)を使用してH+/+κ+/+およびH+/+A6resκ+/+マウスの脾臓からのCD19+B細胞を精製し、RNEASY(商標)Mini kit(Qiagen)を使用して全RNAを精製した。RNase不含DNaseオンカラム処理剤(Qigaen)を使用してゲノムRNAを除去した。First Stand cDNA Synthesisキット(Invitrogen)を使用して約200ngのmRNAをcDNAに逆転写し、その後、ABI 7900 Sequence Detection System (Applied Biosystems)を使用してTAQMAN(商標) Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)で増幅した。各遺伝子の相対発現をマウスκ軽鎖定常領域(mCκ)の発現に正規化した。表10は、この実験に使用したセンス/アンチセンス/TAQMAN(商標)MGBプローブの組み合わせを示すものである。
この実験では、分析した試料において4つすべてのヒトV
H遺伝子の発現が観察された。さらに、発現レベルは、H
+/+κ
+/+マウスとH
+/+A6
resκ
+/+マウスの間で類似するものであった。これらの結果は、改変部位に対して遠位にあるヒトV
H遺伝子(V
H3−23およびV
H1−69)および改変部位に対して近位にあるヒトV
H遺伝子(V
H1−2およびV
H6−1)の両方ともすべてが、機能的に発現するヒト重鎖を形成するように組み換えることができた。これらの結果は、ヒト重鎖ゲノム配列に挿入されたマウスADAM6aおよびADAM6b配列を含む異所性ゲノム断片が、その遺伝子座内でのヒト重鎖遺伝子セグメントのV(D)J組換えに影響を及ぼさなかったこと、およびこれらのマウスが、通常の様式でヒト重鎖遺伝子セグメントを組換えて、機能的重鎖免疫グロブリンタンパク質を産生することができることを明示している。
実施例10
ADAM6レスキューマウスにおける体液性免疫応答
マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子を欠いている(H+/+κ+/+)か、マウスADAM6aおよびADAM6b遺伝子をコードする異所性ゲノム断片を含有する(H+/+A6resκ+/+)かのいずれかの、ヒト重およびκ軽鎖可変遺伝子遺伝子座についてホモ接合性のマウスについて、多価抗原免疫スキーム、続いて抗体単離および特徴づけにより、体液性免疫応答を決定した。結果を、ヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントを含むV(D)J組換えに対する任意の作用の決定、血清力価の推移、ハイブリドーマによる抗体の産生および抗原に対する親和性の評価のために比較した。
免疫プロトコル。ヒト細胞表面受容体(抗原A)、ヒト受容体チロシン・プロテインキナーゼに対して特異的なヒト抗体(抗原B)、TGF−βシグナル伝達経路を調節する機能を果たす分泌ヒトタンパク質(抗原C)、およびヒト受容体チロシンキナーゼ(抗原D)を、マウスの群における比較免疫に利用した。上記抗原での免疫の前にマウスの群から血清を採集した。初回抗原刺激免疫では、アジュバントとして10μgのCpGオリゴヌクレオチド(Invivogen)と混合して各抗原(各2.3μg)を投与した。マウス1匹につき25μLの容量の免疫原を足蹠(footpad)(f.p.)経由で投与した。その後、2.3μgの抗原をアジュバントとしての10μgのCpGおよび25μgのAdju−Phos(Brenntag)と共に用いて、合計6回の追加免疫のために第3、6、11、13、17および20日にf.p.経由でマウスに追加免疫した。4回目および6回目の追加免疫後、それぞれ第15および22日にマウスを交配させ、抗血清を各特異的抗原に対する抗体力価についてアッセイした。
ELISAアッセイを用いて免疫したマウスの血清における抗体力価を決定した。リン酸緩衝食塩水(PBS、Irvine Scientific)中のそれぞれの抗原(2μg/mL)で96ウェルマイクロタイタープレート(Thermo Scientific)を一晩、4℃で被覆した。翌日、プレート洗浄機(Molecular Devices)を使用して、0.05%Tween 20を含有するリン酸緩衝食塩水(PBS−T、Sigma−Aldrich)で4回、プレートを洗浄した。その後、PBS中0.5%ウシ血清アルブミン(BSA、Sigma−Aldrich)、250μLでプレートをブロッキングし、1時間、室温でインキュベートした。その後、4回、PBS−Tでプレートを洗浄した。免疫したマウスからの血清および免疫する前の血清を、1:300または1:1000で開始して0.5%BSA−PBS中で3倍段階希釈し、ブロッキングしたプレートに2つひと組で添加し、1時間、室温でインキュベートした。最後の2つのウェルは空のままにして、二次抗体対照として使用した。プレートをプレート洗浄機においてPBS−Tで再び4回洗浄した。ヤギ抗マウスIgG−Fc−ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP、Jackson Immunoresearch)またはヤギ抗マウスIgG−カッパ−HRP(Southern Biotech)結合体化二次抗体の1:5000/1:10,000希釈物をプレートに添加し、1時間、室温でインキュベートした。PBS−Tで8回、プレートを再び洗浄し、TMB/H2O2を基質として使用して顕色させた。その基質を20分間インキュベートし、2N H2SO4(VWR)または1N H3PO4(JT Baker)で反応を停止させた。分光光度計(Victor、Perkin Elmer)を用いて450nmでプレートを読み取った。Graphpad PRISMソフトウェアを使用して抗体力価を算定した。
バックグラウンドより2倍上に相当する抗原結合のシグナルにおける、実験的滴定範囲内の血清希釈度として血清力価を算定した。体液性免疫応答についての結果を図19(抗原A)、図20(抗原B)、図21(抗原C)および図22(抗原D)に示す。選択した免疫の各群からのマウスから単離した2つの脾臓を使用して作製したハイブリドーマの抗原陽性スコアを図11に示す(抗原スコアは、2X/バックグラウンドに等しい)。
この実施例に示すように、Adam6レスキューマウス(H+/+A6resκ+/+)において産生された抗体の力価は、ADAM6aおよびADAM6bが無く、ヒト化重鎖を有するマウス(H+/+κ+/+)に匹敵した。さらに、H+/+A6resκ+/+マウスからの脾臓は、高親和性の抗体を含めて、試験したすべての抗原について抗原陽性ハイブリドーマをH+/+κ+/+マウスに匹敵するレベルで生じさせた。したがって、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含有する高い親和性を有する抗体の産生にかんがみて、Adam6レスキューマウスにおいてヒト免疫グロブリン遺伝子セグメントのV(D)J組換えの欠陥は存在しないと考えられる。
実施例11
抗原結合親和性の決定
抗原Bへの特異的結合を示す抗体の結合親和性を、リアルタイム表面プラズモン共鳴バイオセンサー(BIAcore 2000)を使用してスクリーニングした。抗原Bで免疫した2系統のマウス(H
+/+κ
+/+およびH
+/+A6
resκ
+/+)から単離したハイブリドーマからの順化培地をBIAcoreスクリーニング中に使用した。BIAcoreセンサー表面を、先ず、ポリクローナルウサギ抗マウス抗体(GE)で誘導体化して、順化培地から抗抗原B抗体を捕捉した。全スクリーニング法の間、HBST(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005% v/v Surfactant P20)をランニング緩衝液として使用した。抗原BのFab断片を50μL/分の流量で、100nM濃度で、抗抗原B抗体捕捉表面にわたって注入した。HBSTランニング緩衝液中で、抗体−抗原会合を3分間モニターし、そして一方、捕捉された抗体からの抗原の解離を5分間モニターした。この実験を25℃で行った。Scrubber 2.0曲線フィッティングソフトウェアを使用する1:1結合モデルへの、データの処理およびフィッティングによって、会合(ka)および解離(kd)反応速度定数を決定した。結合解離平衡定数(K
D)および解離半減期(T
1/2)をその反応速度定数から次のように算定した:K
D(M)=kd/ka;およびT1/2(分)=(ln2/(60
*kd)。選択抗抗原B抗体の結果を表12に示す。
同様の実験で、抗原Aに結合するハイブリドーマ−順化培地に存在する異なるモノクローナル抗体の動態を、リアルタイム表面プラズモン共鳴バイオセンサー(BIAcore 4000)アッセイを用いて決定した。このアッセイで使用したすべてのハイブリドーマクローンは、H
+/+A6
resκ
+/+マウスにおいて産生された。
簡単に言うと、抗原A特異的抗体を捕捉するために、先ず、ポリクローナルウサギ抗マウス抗体(GEカタログ#BR−1008−38)をセンサーチップ上に固定した。2つの異なる緩衝液−PBSP、pH7.2およびPBSP、pH6.0−で、BIAcoreスクリーニングを行った。両方の緩衝液に0.1mg/mLのBSAを補充した。順化培地からの抗抗原A抗体の捕捉後、1μMの抗原A単量体(それぞれのランニング緩衝液中で調製したもの)を、1.5分間、30μL/分で捕捉抗体表面にわたって注入し、25℃のそれぞれのランニング緩衝液で1.5分間、結合抗原A単量体の解離をモニターした。Scrubber 2.0曲線フィッティングソフトウェアを使用する1:1結合モデルへの、データの処理およびフィッティングにより、会合(ka)および解離(kd)反応速度定数を決定した。結合解離平衡定数(KD)および解離半減期(T1/2)をその反応速度定数から次のように算定した:KD(M)=kd/ka;およびT1/2(分)=(ln2/(60*kd)。pH7.2およびpH6.0で抗原A単量体に結合する選択抗抗原A抗体についての結合動態パラメータを表13に示す。NB:この実験条件下で結合が検出されなかった。
上に示したように、H
+/+A6
resκ
+/+マウスとH
+/+κ
+/+マウスの両方から、類似する特徴の高親和性抗体を得た。表12に提示した25の抗体の中で、H
+/+A6
resκ
+/+マウスにおいて産生された20の抗体は、0.5nMから1μMの範囲の親和性を明白に示し、そして一方で、H
+/+κ
+/+マウスにおいて産生された5つの抗体は、10nMから150nMの範囲の親和性を明白に示した。さらに、図13に示した55の抗体は、抗原A単量体への結合について20pMから350nMの範囲の親和性を明白に示した。
この実施例で実証されるように、マウスAdam6遺伝子のヒト化免疫グロブリン重鎖遺伝子座への再挿入は、工学的に作製された生殖細胞系から再構成されたヒト遺伝子セグメントに由来する、ナノモル濃度以下の範囲(subnanomolar range)の多様な親和性を有するヒト抗体のレパートリーを特徴とする複数の抗原に対する頑強な免疫応答を開始させるマウスの能力を害さない。