JP2016152247A - 希土類系永久磁石 - Google Patents

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【課題】R−T−B系焼結磁石において、Rの一部を重希土類元素で置換して、高い保磁力を持たせることができる希土類系永久磁石を提供する。【解決手段】R2T14B構造の主相(ただし、RはYを含めた希土類元素の少なくとも1種で、TはFe又はその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)と、Ho−Y−N相を含む粒界相を有する焼結体からなり、焼結体において単位断面積あたりの全粒界相に対するHo−Y−N相の断面積割合が2.0%以上60%以下であり、Ho−Y−N相中のHoが5.0at%以上80at%以下、Yが5.0at%以上80at%以下とする。【選択図】なし

Description

本発明は、希土類系永久磁石に関し、特にR−T−B系焼結磁石においてRの一部を重希土類元素で置換した希土類系永久磁石に関する。
正方晶R14B化合物を主相とするR−T−B系焼結磁石(Rは希土類元素、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)は優れた磁気特性を有することが知られており、1982年の発明(特許文献1)以来、代表的な高性能永久磁石である。
希土類元素RがNd、Pr、Dy、Tb、HoからなるR−T−B系焼結磁石は異方性磁界Haが大きく永久磁石材料として好ましい。中でも希土類元素RをNdとしたNd−Fe−B系永久磁石は、飽和磁化Is、キュリー温度Tc、異方性磁界Haのバランスが良く、資源量、耐食性において他の希土類元素Rを用いたR−T−B系焼結磁石よりも優れているために民生、産業、輸送機器などに広く用いられている。
現在R−T−B系焼結磁石について磁気特性の向上が望まれており、特に残留磁束密度Brと保磁力HcJを上昇させる工夫は数多くなされている。
特開昭59−46008号公報
近年希土類磁石の用途は多岐にわたっており、従来に比してより高い磁気特性が求められている。特に、ハイブリッド自動車等へのR−T−B系焼結磁石の適用においては、磁石は比較的高温に晒されることになるため、熱による高温減磁を抑制することが重要となる。この高温減磁を抑制するには、R−T−B系焼結磁石の室温における保磁力を高めておく必要がある。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、R−T−B系焼結磁石に対して、従来よりも高い保磁力を持たせることができる永久磁石を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の希土類系永久磁石は、R14B構造の主相(ただし、RはYを含めた希土類元素の少なくとも1種で、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)と、Ho−Y−N相を含む粒界相を有する焼結体からなり、前記焼結体において単位断面積あたりの全粒界相に対するHo−Y−N相の断面積割合が2.0%以上60%以下であり、前記Ho−Y−N相中のHoが5.0at%以上80at%以下、Yが5.0at%以上80at%以下であることを特徴とする。
本発明において、焼結体断面の単位断面は50μm角の領域とする。
本発明者らはR−T−B系焼結磁石において保磁力を大きく向上させる方法はないか鋭意研究を行った。その結果、粒界相としてHo−Y−N相を導入することによって、高い保磁力を得られることを見出した。その理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように推察する。第一には、Ho−Y−N相はエネルギー的に安定で主相や他の粒界相と接しても固溶しにくく、粒界相に存在するだけで焼結時の主相の粒成長を抑制する効果があると考えられる。第二には、Ho−Y−N相は窒化物としてエネルギー的に安定であり、その安定性はHo−Y−O相よりも高いため酸化しにくく、焼結体の含有酸素量を低く抑えることが可能である。それにより酸素が希土類元素と酸化物を形成するために、磁性に大きく寄与している希土類元素の濃度が減少し、磁気特性が低下するという影響を減らすことができると考えられる。また希土類酸化物が低減できることで、加工性や耐食性が改善される。粒界相に占めるHo−Y−N相の断面積割合が2.0%以上60%以下であることにより、主相粒子の粒成長抑制効果が表れ、保磁力が向上する。
またHo−Y−N相の組成が、Hoが5.0at%〜80at%、Yが5.0at%〜80at%であることにより、希土類元素の酸化物を低減することができ、磁気特性を向上させることができる。
以上のように本発明によれば、R−T−B系焼結磁石に対して、従来よりも高い保磁力を持たせることができる。
以下、実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態及び実施例に記載した内容により限定されるものではない。また、以下に記載した実施形態及び実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した実施形態及び実施例で開示した構成要素は適宜組み合わせても良いし、適宜選択して用いてもよい。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を11〜18at%含有する。Rの濃度が11at%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが18at%を超えると主相であるR14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を5〜8at%含有する。Bが5at%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが8at%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を8at%とする。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、遷移金属元素Tを74〜83at%含有し、本発明におけるTはFeを必須とするが、この中でCoを4.0at%以下含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.01〜1.2at%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。
本実施形態に係るR−T−B系焼結磁石は、R14B結晶粒(主相粒子)を有しており、前記主相粒子の大きさは1〜10μm程度である。
前記焼結磁石は、隣り合う2つ以上の前記主相粒子によって形成された粒界に、前記R14B結晶粒よりもRが濃縮したRリッチ相(粒界相)を有している。Rリッチ相はR種がHo及びYであり窒素を含有したHo−Y−N相、R種がNdであるNdリッチ相含み、希土類窒化物相、希土類酸化物相、ホウ素(B)原子の濃度が高いBリッチ相を含んでも良い。
以下、本件発明の製造方法の好適な例について説明する。本実施形態のR−T−B系焼結磁石の製造においては、まず、所望の組成を有するR−T−B系焼結磁石が得られるような原料合金を準備する。原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはAr雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をArガス雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
本発明においてR−T−B系焼結磁石を得る場合、原料合金として、主相組成合金と、粒界相組成合金の2種類の合金から焼結磁石を作成するいわゆる二合金法の適用を基本とする。
本発明においては、粒界にHo−Y−N相を析出させることが重要となる。そのため二合金法として主相組成合金と供する粒界相組成合金にはHo,Yが含まれていなければならない。
原料合金は粉砕工程に供される。主相組成合金及び粒界相組成合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いる。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なうことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、窒素ガスフローにて行う。これによりHo−Y−N相を生成させることができる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体や炭化水素、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、炭化水素であるパラフィン、ナフタレン等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
上記微粉は磁場中成形に供される。磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、40〜60%である。
印加する磁場は、10〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
次いで、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、1000〜1200℃で 4時間〜48時間焼結する。焼結時間が4時間未満であると、粒界相組成合金が溶けて全体に完全に行きわたることができず、主相粒子を包むことができなくなり、特に保磁力に悪影響を与えるからである。また、48時間以上焼成すると、Ho−Y−N相による粒成長抑制効果が薄れ、粒成長が著しく進行し、特に保磁力に悪影響を与えるからである。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施す。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。通常、時効処理は真空中又はArガス中で行われる。時効処理を2段に分けて行なう場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行なうと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行なう場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明において製造工程はすべて酸素量が50ppm以下に抑えられた低酸素雰囲気中で行っている。
(実施例1)
12.2at%Nd−5.9at%B−81.9at%Feの主相組成合金と、6.0at%Nd−20.0at%Y−20.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alの粒界相組成合金を作製するために、それぞれ原料となる金属あるいは合金を配合し、ストリップキャスト法により原料合金薄板を溶解、鋳造した。粒界相組成合金については表1にも組成をまとめている。また表1においてTREは焼結体全体の総希土類濃度を表している。
得られた原料合金薄板をそれぞれ水素粉砕し、粗粉砕粉末を得た。この粗粉砕粉末に潤滑剤として、オレイン酸アミドを添加した。次いで、気流式粉砕機(ジェットミル)を使用し、高圧窒素ガス雰囲気中で微粉砕を行い、微粉砕粉末を得た。この時雰囲気中の窒素は3000ppm±100ppmとしている。
続いて、主相組成合金微粉と隆起相組成合金微粉を9:1の割合で混合し、磁場中成形した。具体的には、15kOeの磁場中で140MPaの圧力で成形を行い、20mm×18mm×13mmの成形体を得た。磁場方向はプレス方向と垂直な方向である。得られた成形体を1000〜1200℃で4〜48時間焼成した。その後、窒素量が1000ppmに保たれた雰囲気中で900℃で1時間、620℃で1時間の時効処理を行い、焼結体を得て、不活性ガス融解−非分散型赤外線吸収法を用いて含有酸素量及び含有窒素量を測定した。
得られた焼結体について、BHトレーサーを用いて残留磁束密度(Br)及び保磁力(HcJ)を測定した。その結果は表2に示す通りであった。
得られた焼結体を磁化容易軸に対して平行に切断した後、エポキシ系樹脂に樹脂埋めし、その断面を研磨した。研磨には市販の研磨紙を使い、番手の低い研磨紙から高い研磨紙へ変えながら研磨した。最後にバフとダイヤモンド砥粒を用いて研磨した。この際、水などをつけずに研磨を行った。水を用いると粒界相成分が腐食してしまう。
得られた焼結体断面にイオンミリング処理を行い、最表面の酸化膜や窒化膜等の影響を除いた後、R−T−B系焼結磁石の断面をEPMA(電子マイクロプローブアナライザー:Electron Probe Micro Analyzer)で観察し、分析した。50μm角の領域を単位断面とし、EPMAによる元素マッピング(256点×256点)を行った。断面における観察位置は任意とする。これにより主相粒子と粒界を判別した。粒界には少なくとも2種類の粒界相が存在した。定量分析により、前記2種類の粒界相はNdリッチ相とHo−Y−N相であることを確認した。そして粒界相に占めるHo−Y−N相の面積率と、主相粒子の平均粒子径を求めて表2に示した。
粒界相に占めるHo−Y−N相の面積率の算出方法について以下記述する。
(1)単位断面で観察した反射電子像から画像解析法を用いて、主相粒子部分と粒界部分を特定し、粒界部分の面積(B)を算出した。
(2)EPMAで得られたHo、Y、Nの特性X線強度のマッピングデータから元素濃度を算出し、上記(1)で特定された主相粒子部分におけるHo、Y、Nの各元素の濃度の平均値と標準偏差を算出した。
(3)粒界において、EPMAで得られた特性X線強度のマッピングデータから元素濃度を算出し、上記(2)で求めた主相粒子部分における元素濃度の(平均値+3×標準偏差)の値よりも元素濃度の値の大きい部分を、Ho、Y、Nについて特定した。そして特定した部分をHo,Y,Nの濃度が主相粒子よりも濃く分布する部分と定義した。
(4)上記(1)で特定された粒界と、上記(3)で特定されたHo、Y、Nの各元素の濃度が主相粒子内よりも濃く分布する部分がすべて重なり合う部分を、粒界におけるHo−Y−N相として特定し、その部分の面積(A)を算出した。
(5)上記(4)で算出したHo−Y−N相の面積(A)を、上記(1)で算出した粒界の面積(B)で割ることにより、粒界に占めるHo−Y−N相の面積率(A/B)を算出した。
反射電子像の画像から主相粒子部分と粒界部分を特定し、50μm角の視野内で確認されたすべての主相粒子の面積をそれぞれ1つずつ算出した。算出した面積を円相当径に換算して、すべての主相粒子の主相粒子径を得た。この一連の作業を20個の視野で行い、得られたすべての主相粒子径の平均値を、平均粒子径とした。
(実施例2)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−17.0at%Y−17.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(実施例3)
粒界相合金の組成が20.0at%Nd−13.0at%Y−13.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例1)
粒界相合金の組成が46.0at%Nd−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例2)
粒界相合金の組成が2.0at%Nd−22.0at%Y−22.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例3)
粒界相合金の組成が4.0at%Nd21.0at%Y−21.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例4)
粒界相合金の組成が22.0at%Nd−12.0at%Y−12.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例5)
粒界相合金の組成が24.0at%Nd−11.0at%Y−11.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
Figure 2016152247
Figure 2016152247

表1は使用した粒界相合金の組成を示している。比較例1〜5及び実施例1〜3を見ると、用いる粒界相合金の組成におけるNdの元素比率を下げることにより、Ho−Y−N相面積率を上昇させることができた。そしてHo−Y−N相の面積率の上昇に伴い、酸素含有量は減少し、窒素含有量は上昇した。窒素含有量が増加していることはHo−Y−N相の焼結体を占める比率が上昇していることに起因する。酸素量の低下は、先述の通りHo−Y−N相がエネルギー的に安定で、酸化しにくい材料であることに起因すると考えられる。なお、比較例1〜5及び実施例1〜3について、生成したHo−Y−N相におけるHo、Yの元素比率は共に41at%であった。Ho−Y−N相の面積率が2.0%以上60%以下の実施例1〜3では、高い保磁力を得ることができた。これはHo−Y−N相による粒成長抑制効果、及び含有酸素量の低下に起因するものと考えられる。Ho−Y−N相の面積率が62%以上の比較例2〜3では、Br、HcJ共に低下している。これはHo、Yの濃度が高すぎために、主相にHo,Yが取り込まれたことによるものと考えられる。Hoは主相に入ると、異方性磁界を下げることは無いが飽和磁化を大きく低下させ、Yは主相に入ると、異方性磁界と飽和磁化の両方を大きく低下させる。一方でHo−Y−N相の面積率が1.0%以下の比較例4〜5では、保磁力が十分に上昇していない。これはHo−Y−N相のもつ粒成長抑制効果を発現するには面積率が不十分だったことが原因と考えられる。
(比較例6)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−2.0at%Y−32.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例7)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−4.0at%Y−30.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(実施例4)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−6.0at%Y−28.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(実施例5)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−17.0at%Y−17.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(実施例6)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−28.0at%Y−6.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例8)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−30.0at%Y−4.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
(比較例9)
粒界相合金の組成が12.0at%Nd−32.0at%Y−2.0at%Ho−50.0at%Fe−2.0at%Co−1.0at%Cu−1.0at%Alであること以外は、実施例1と同様に作製して評価した。
Figure 2016152247
Figure 2016152247
比較例6〜9及び実施例4〜6で、粒界相合金におけるHoとYの濃度を変えることにより、Ho−Y−N相におけるHoとYの濃度が変化した。そして粒界相全体でHo−Y−N相が占める面積率はいずれも30%であった。また、Ho−Y−N相におけるYの比率が上がると、酸素含有量が増加した。これは、Y−N相はHo−Y−N相に比べて酸化しやすく、潤滑剤由来の炭素とも結びついてY−CON相を形成しやすいことが原因として考えられる。Hoが十分な濃度であることにより、Ho−Y−N相の安定性が保たれる。実施例4〜6を見ると、Ho、Yの濃度はともに5〜80at%であり、高いBr、HcJを得られている。これはHo−Y−N相による粒成長抑制効果、酸素量低減の効果によるものと考えられる。比較例6〜7を見ると、BrとHcJ共に低い値である。これは酸素含有量増加が原因と考えられる。比較例8〜9もまたBrとHcJが低い値となっている。Ho−Y−N相においてYの濃度が減少すると、Yの代わりにNdを取り込みやすくなる。そのために磁性に寄与するNdがHo−Y−N相に奪われ、特性が悪化することが原因と考えられる。
(比較例10)
微粉砕工程をArガス雰囲気中で、窒素が50ppm以下の低窒素雰囲気下で行ったこと以外は実施例5と同様に作製して評価した。
Figure 2016152247
比較例10ではHo−Y−N相が確認できなかった。Ho−Y−N相の存在により主相粒子の粒成長を抑えられた実施例2と比べると、比較例10の粒子径は大きくなっており、主相粒子が粒成長し、それに伴い保磁力は低下している。以上から、窒素雰囲気による微粉砕及び時効熱処理工程を経ることによりHo−Y−N相を生成し、粒成長抑制効果が発現し、磁気特性が向上した。
以上のように本発明に係るR−T−B系焼結磁石は、高い残留磁束密度及び高い保磁力を有しており、高出力や高効率が求められる民生・産業・輸送機器等に使われる永久磁石として好適である。

Claims (1)

  1. 14B構造の主相(ただし、RはYを含めた希土類元素の少なくとも1種で、TはFeまたはその一部がCoによって置換されたFe、Bはホウ素)と、Ho−Y−N相を含む粒界相を有する焼結体からなり、前記焼結体において単位断面積あたりの全粒界相に対するHo−Y−N相の断面積割合が2.0%以上60%以下であり、前記Ho−Y−N相中のHoが5.0at%以上80at%以下、Yが5.0at%以上80at%以下であることを特徴とする希土類系永久磁石。
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