JP2016186848A - 放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法 - Google Patents

放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】失透が生じることを抑制できる放電灯駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、放電灯駆動部を制御する制御部と、を備え、制御部は、放電灯に生じるアーク放電のアークフレアにおけるアークフレア角度を傾けるように放電灯駆動部を制御することを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、放電灯駆動装置、光源装置、プロジェクター、および放電灯駆動方法に関する。
例えば、特許文献1には、高圧放電ランプに交流電流が供給される高圧放電ランプ点灯装置が記載されている。
特開2006−59790号公報
ところで、上記のような放電ランプ(放電灯)においては、アーク放電によって生じる対流によって、蒸発した電極を構成する金属が発光管内を循環する。対流が電極の根本部分、例えばコイル部等に衝突すると、対流によって発光管内を循環する金属が電極の根本部分に析出する。そのため、電極の根本部分の同じ箇所に金属が順次析出することで、電極の根本部分に金属の突起が形成される場合がある。
電極の根本部分に金属の突起が形成されると、突起の先端と発光管の内壁との間に放電が生じ、発光管の内壁が劣化する虞がある。これにより、発光管の内壁における劣化した部分に、発光管内を循環する物質が析出しやすくなり、黒化や失透が生じる問題があった。
本発明の一つの態様は、上記問題点に鑑みて成されたものであって、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる放電灯駆動装置、そのような放電灯駆動装置を備えた光源装置、およびそのような光源装置を備えたプロジェクターを提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる放電灯駆動方法を提供することを目的の一つとする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、前記放電灯駆動部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記放電灯に生じるアーク放電のアークフレアにおけるアークフレア角度を傾けるように前記放電灯駆動部を制御することを特徴とする。
本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、アークフレア角度を傾けることによって、アーク放電から上昇する発光管内の対流が発光管の内壁と最初に衝突する位置を、一方の電極の側に近づけることができる。そのため、対流が発光管の内壁に最初に衝突してから第1電極および第2電極に到達するまでの時間を、一方の電極においては短くし、他方の電極においては長くすることができる。
これにより、一方の電極においては、対流の広がりを小さくすることで、電極の根本部分に対流が衝突することを抑制できる。また、他方の電極においては、対流の広がりを大きくすることで、対流が衝突する電極の根本部分の範囲を広くし、金属が局所的に析出することを抑制できる。以上により、本発明の放電灯駆動装置の一つの態様によれば、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる。
前記駆動電流は、前記放電灯に前記第1電極が陽極となる直流電流が供給される第1直流期間を有する第1駆動期間と、前記放電灯に前記第2電極が陽極となる直流電流が供給される第2直流期間からなる第2駆動期間と、を交互に有し、前記第1直流期間の長さの合計は、前記第2直流期間の長さの2倍以上である構成としてもよい。
この構成によれば、アークフレア角度を好適に傾けることができる。
前記第1直流期間の長さは、20ms以上である構成としてもよい。
この構成によれば、アークフレア角度を好適に傾けることができる。
前記第1駆動期間は、複数の前記第1直流期間を有し、1つの前記第1駆動期間における前記第1直流期間の長さの合計は、40ms以上であり、前記第2直流期間の長さは、20ms以上である構成としてもよい。
この構成によれば、アーク放電が不安定になることを抑制しつつ、アークフレア角度を好適に傾けることができる。
前記第1駆動期間は、複数の前記第1直流期間と、複数の前記第1直流期間同士の間に位置する接続期間と、を有し、前記接続期間の長さは、前記第1直流期間の長さの10%以下である構成としてもよい。
この構成によれば、回路構成によらず、第1駆動期間における第1交流期間の長さを大きくできる。そのため、第1電極の温度と第2電極の温度との差を大きくでき、アークフレア角度を好適に傾けることができる。
前記制御部は、前記アークフレア角度の絶対値が5°以上となるように前記放電灯駆動部を制御する構成としてもよい。
この構成によれば、金属突起が形成されることを効果的に抑制できる。
前記制御部は、前記アークフレア角度の絶対値が20°以下となるように前記放電灯駆動部を制御する構成としてもよい。
この構成によれば、アーク放電が不安定になることを抑制しつつ、金属突起が形成されることを抑制できる。
前記制御部は、前記アーク放電の傾きに基づいて前記放電灯駆動部を制御する構成としてもよい。
この構成によれば、第1電極と第2電極との相対位置がずれている場合であっても、所望のアークフレア角度を実現しやすい。
本発明の光源装置の一つの態様は、光を射出する前記放電灯と、上記の放電灯駆動装置と、を備えることを特徴とする。
本発明の光源装置の一つの態様によれば、上記放電灯駆動装置を備えるため、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる。
本発明のプロジェクターの一つの態様は、上記の光源装置と、前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、を備えることを特徴とする。
本発明のプロジェクターの一つの態様によれば、上記光源装置を備えるため、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様は、第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給して、前記放電灯を駆動する放電灯駆動方法であって、前記放電灯に生じるアーク放電のアークフレアにおけるアークフレア角度を傾けることを特徴とする。
本発明の放電灯駆動方法の一つの態様によれば、上記と同様にして、電極の根本部分に金属突起が形成されることを抑制できる。
本実施形態のプロジェクターの概略構成図である。 本実施形態における放電灯の断面図である。 本実施形態の放電灯の部分拡大断面図である。 本実施形態のプロジェクターの各種構成要素を示すブロック図である。 本実施形態の放電灯点灯装置の回路図である。 本実施形態の制御部の一構成例を示すブロック図である。 本実施形態の駆動電流波形を示すグラフである。 アークフレア角度を説明するための図である。 比較例の放電灯の部分拡大断面図である。 比較例のアークフレアを示す図である。 比較例の駆動電流波形を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るプロジェクターについて説明する。
なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
図1は、本実施形態のプロジェクター500を示す概略構成図である。図1に示すように、本実施形態のプロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ(光変調装置)330R,330G,330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投射光学系350と、を備えている。
光源装置200から射出された光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。平行化レンズ305は、光源装置200からの光を平行化する。
照明光学系310は、光源装置200から射出される光の照度を、液晶ライトバルブ330R,330G,330B上において均一化するように調整する。さらに、照明光学系310は、光源装置200から射出される光の偏光方向を一方向に揃える。その理由は、光源装置200から射出される光を液晶ライトバルブ330R,330G,330Bで有効に利用するためである。
照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を赤色光(R)、緑色光(G)、青色光(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色光に対応付けられた液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにより、映像信号に応じてそれぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R,330G,330Bは、後述する液晶パネル560R,560G,560Bと、偏光板(図示せず)と、を備えている。偏光板は、液晶パネル560R,560G,560Bのそれぞれの光入射側および光射出側に配置される。
変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340により合成される。合成光は投射光学系350に入射する。投射光学系350は、入射光をスクリーン700(図4参照)に投射する。これにより、スクリーン700上に映像が表示される。なお、平行化レンズ305、照明光学系310、色分離光学系320、クロスダイクロイックプリズム340、投射光学系350の各々の構成としては、周知の構成を採用することができる。
図2は、光源装置200の構成を示す断面図である。図2には、光源ユニット210の断面図が示されている。図2においては、3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、X軸方向は、第1電極92と第2電極93とが対向する方向と平行な方向、すなわち、図2における左右方向である。Z軸方向は、第1電極92と第2電極93とが対向する方向(X軸方向)と直交し、かつ、第1電極92と第2電極93とが対向する方向および鉛直方向を含む面と平行な方向である。Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向と直交する方向である。
本実施形態においてZ軸方向は、例えば、鉛直方向と平行である。そのため、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を鉛直方向上側、Z軸方向の負の側(−Z側)を鉛直方向下側とする。これは、後述する図3,8,9,10についても同様である。なお、以下の説明においては、X軸方向を、単に対向方向と呼び、Z軸方向を、単に直交方向と呼ぶ場合がある。
図2に示すように、光源装置200は、光源ユニット210と、放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)10と、を備えている。光源ユニット210は、放電灯90と、主反射鏡112と、副反射鏡50と、を有する。
放電灯点灯装置10は、放電灯90に駆動電流Iを供給して放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から射出された光を照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、放電灯90の光軸AXと平行である。照射方向Dは、例えば、対向方向(X軸方向)と平行である。
放電灯90は、発光管510と、第1電極92および第2電極93と、を有する。
発光管510の形状は、照射方向Dに沿って延びる棒状である。発光管510の一方の端部、すなわち、放電灯90の一方の端部を第1端部90e1とする。発光管510の他方の端部、すなわち、放電灯90の他方の端部を第2端部90e2とする。発光管510の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。発光管510の中央部は球状に膨らんでおり、その内部は放電空間91である。放電空間91には、水銀、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
放電空間91には、第1電極92および第2電極93の先端が突出している。第1電極92は、放電空間91の第1端部90e1側に配置されている。第2電極93は、放電空間91の第2端部90e2側に配置されている。第1電極92および第2電極93の形状は、光軸AXに沿って延びる棒状である。放電空間91には、第1電極92および第2電極93の電極先端部が、所定距離だけ離れて対向するように配置されている。第1電極92および第2電極93の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
図3は、放電灯90の部分を示す拡大断面図である。図3は、後述するアークフレア方向AFDが第2電極93側(+X側)に傾いた状態を示す図である。
第1電極92は、図3に示すように、芯棒533と、コイル部532と、本体部531と、突起531pと、を有する。第1電極92は、発光管510への封入前の段階において、芯棒533に電極材(タングステン等)の線材を巻き付けてコイル部532を形成し、形成されたコイル部532を加熱・溶融することにより形成される。これにより、第1電極92の先端側には、熱容量が大きい本体部531と、アーク放電ARの発生位置となる突起531pが形成される。
第2電極93は、芯棒543と、コイル部542と、本体部541と、突起541pと、を有する。第2電極93は、第1電極92と同様にして形成される。
なお、第1電極92と第2電極93とは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して第1電極92についてのみ説明する場合がある。また、第1電極92の先端の突起531pと第2電極93の先端の突起541pとは、同様の構成であるため、以下の説明においては、代表して突起531pについてのみ説明する場合がある。
図2に示すように、放電灯90の第1端部90e1には、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材534により電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2には、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93とは、放電灯90の内部を貫通する導電性部材544により電気的に接続されている。第1端子536および第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。導電性部材534,544の材料としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
第1端子536および第2端子546は、放電灯点灯装置10に接続されている。放電灯点灯装置10は、第1端子536および第2端子546に、放電灯90を駆動するための駆動電力を供給する。その結果、第1電極92および第2電極93の間でアーク放電ARが起きる。アーク放電ARにより発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
図3に示すように、放電灯90を点灯すると、放電空間91内に封入されたガスは、アーク放電ARの発生により加熱され、放電空間91内において対流する。詳細には、アーク放電ARおよびその付近の領域は極めて高温となるため、放電空間91内において、アーク放電ARから概ね鉛直方向上側(+Z側)に流れる対流AC(一点鎖線の矢印で示す)が形成される。対流ACは、発光管510の内壁に当たって発光管510の内壁に沿って移動し、第1電極92および第2電極93の芯棒533,543等を通過することによって冷却されつつ降下する。
降下した対流ACは、発光管510の内壁に沿って更に降下するが、アーク放電ARの鉛直方向下側で互いに衝突して上方のアーク放電ARに戻されるように上昇する。対流ACが、発光管510の内壁を沿って移動することによって、発光管510は加熱される。
図3は、第1電極92が陽極として動作し、第2電極93が陰極として動作する第1極性状態を示している。第1極性状態では、放電により、第2電極93(陰極)から第1電極92(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93)からは電子が放出される。陰極(第2電極93)から放出された電子は陽極(第1電極92)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、陽極(第1電極92)の先端(突起531p)の温度が上昇する。
一方、第1電極92が陰極として動作し、第2電極93が陽極として動作する第2極性状態では、第1極性状態とは逆に、第1電極92から第2電極93へ電子が移動する。その結果、第2電極93の先端(突起541p)の温度が上昇する。
このように、放電灯90に駆動電流Iが供給されることで、電子が衝突する陽極の温度は上昇する。一方、電子を放出する陰極の温度は、陽極に向けて電子を放出している間、低下する。
第1電極92と第2電極93との電極間距離は、突起531p,541pの劣化とともに大きくなる。突起531p,541pが損耗するためである。電極間距離が大きくなると、第1電極92と第2電極93との間の抵抗が大きくなるため、ランプ電圧Vlaが大きくなる。したがって、ランプ電圧Vlaを参照することによって、電極間距離の変化、すなわち、放電灯90の劣化度合いを検出することができる。
主反射鏡112は、図2に示すように、固定部材114により、放電灯90の第1端部90e1に固定されている。主反射鏡112は、放電光のうち、照射方向Dと反対側に向かって進む光を照射方向Dに向かって反射する。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電光を照射方向Dに向かって反射できる範囲内において、特に限定されず、例えば、回転楕円形状であっても、回転放物線形状であってもよい。例えば、主反射鏡112の反射面の形状を回転放物線形状とした場合、主反射鏡112は、放電光を光軸AXに略平行な光に変換することができる。これにより、平行化レンズ305を省略することができる。
副反射鏡50は、固定部材522により、放電灯90の第2端部90e2側に固定されている。副反射鏡50の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間91の第2端部90e2側の部分を囲む球面形状である。副反射鏡50は、放電光のうち、主反射鏡112が配置された側と反対側に向かって進む光を主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間91から放射される光の利用効率を高めることができる。
固定部材114,522の材料は、放電灯90からの発熱に耐え得る耐熱材料である範囲内において、特に限定されず、例えば、無機接着剤である。
以下、プロジェクター500の回路構成について説明する。
図4は、本実施形態のプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、図1に示した光学系の他、画像信号変換部511と、直流電源装置80と、液晶パネル560R,560G,560Bと、画像処理装置570と、CPU(Central Processing Unit)580と、を備えている。
画像信号変換部511は、外部から入力された画像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号512R,512G,512Bを生成し、画像処理装置570に供給する。
画像処理装置570は、3つの画像信号512R,512G,512Bに対してそれぞれ画像処理を行う。画像処理装置570は、液晶パネル560R,560G,560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R,572G,572Bを液晶パネル560R,560G,560Bに供給する。
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換する。直流電源装置80は、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある画像信号変換部511、画像処理装置570およびトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
放電灯点灯装置10は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生し、絶縁破壊を生じさせて放電路を形成する。以後、放電灯点灯装置10は、放電灯90が放電を維持するための駆動電流Iを供給する。
液晶パネル560R,560G,560Bは、前述した液晶ライトバルブ330R,330G,330Bにそれぞれ備えられている。液晶パネル560R,560G,560Bは、それぞれ駆動信号572R,572G,572Bに基づいて、前述した光学系を介して各液晶パネル560R,560G,560Bに入射される色光の透過率(輝度)を変調する。
CPU580は、プロジェクター500の点灯開始から消灯に至るまでの各種の動作を制御する。例えば、図4の例では、通信信号582を介して点灯命令や消灯命令を放電灯点灯装置10に出力する。CPU580は、放電灯点灯装置10から通信信号584を介して放電灯90の点灯情報を受け取る。
以下、放電灯点灯装置10の回路構成について説明する。
図5は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、図5に示すように、電力制御回路20と、極性反転回路30と、制御部40と、動作検出部60と、イグナイター回路70と、を備えている。
電力制御回路20は、放電灯90に供給する駆動電力を生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源装置80からの電圧を入力とし、入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23およびコンデンサー24を含んで構成される。スイッチ素子21は、例えば、トランジスターで構成される。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源装置80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子およびコイル23の一端に接続されている。
コイル23の他端にコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子および直流電源装置80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には、後述する制御部40から電流制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電流制御信号には、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
極性反転回路30は、電力制御回路20から入力される直流電流Idを所定のタイミングで極性反転させる。これにより、極性反転回路30は、制御された時間だけ継続する直流である駆動電流I、もしくは、任意の周波数を持つ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。本実施形態において、極性反転回路30は、インバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34を含んでいる。極性反転回路30は、直列接続された第1のスイッチ素子31および第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34と、が互いに並列接続された構成を有する。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33、および第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力される。この極性反転制御信号に基づいて、第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33および第4のスイッチ素子34のON/OFF動作が制御される。
極性反転回路30においては、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33と、を交互にON/OFFさせる動作が繰り返される。これにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性が交互に反転する。極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点、および第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ同一極性状態を継続する直流である駆動電流I、もしくは制御された周波数をもつ交流である駆動電流Iを生成し、出力する。
すなわち、極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がOFFであり、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がOFFのときには第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONであるように制御される。したがって、第1のスイッチ素子31および第4のスイッチ素子34がONのときには、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。第2のスイッチ素子32および第3のスイッチ素子33がONのときには、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせた部分が放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、放電灯90を駆動する駆動電流Iを放電灯90に供給する。
制御部40は、放電灯駆動部230を制御する。より詳細には、本実施形態において制御部40は、放電灯90に生じるアーク放電ARの後述するアークフレアAFにおけるアークフレア角度φが傾くように放電灯駆動部230を制御する。詳細については、後述する。
図5の例では、制御部40は、電力制御回路20および極性反転回路30を制御することにより、駆動電流Iが同一極性を継続する保持時間、駆動電流Iの電流値(駆動電力の電力値)、周波数等のパラメーターを制御する。制御部40は、極性反転回路30に対して、駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。
制御部40の構成は、特に限定されない。本実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42、および極性反転回路コントローラー43を含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部または全てを半導体集積回路で構成してもよい。
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20および極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、動作検出部60が検出したランプ電圧Vlaおよび駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42および極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
本実施形態においては、システムコントローラー41には、記憶部44が接続されている。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20および極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電流制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
制御部40は、専用回路を用いて実現され、上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることができる。これに対して、制御部40は、例えば、CPUが記憶部44に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。
図6は、制御部40の他の構成例について説明するための図である。図6に示すように、制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電流制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成されてもよい。
図5に示した例では、制御部40は、放電灯点灯装置10の一部として構成されている。これに対して、制御部40の機能の一部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
動作検出部60は、本実施形態においては、放電灯90のランプ電圧Vlaを検出して制御部40にランプ電圧情報を出力する電圧検出部を含む。また、動作検出部60は、駆動電流Iを検出して制御部40に駆動電流情報を出力する電流検出部などを含んでいてもよい。本実施形態においては、動作検出部60は、第1の抵抗61、第2の抵抗62および第3の抵抗63を含んで構成されている。
本実施形態において、動作検出部60の電圧検出部は、放電灯90と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61および第2の抵抗62で分圧した電圧によりランプ電圧Vlaを検出する。また、本実施形態において、電流検出部は、放電灯90に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作する。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を、放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
次に、制御部40の放電灯駆動部230の制御について説明する。図7は、本実施形態の駆動電流波形DW1を示すグラフである。図7において縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。図7において駆動電流Iは、第1極性状態である場合を正とし、第2極性状態となる場合を負として示している。
制御部40は、図7に示す駆動電流波形DW1に沿って駆動電流Iが放電灯90に供給されるように放電灯駆動部230を制御する。駆動電流波形DW1(駆動電流I)は、第1駆動期間PH11と、第2駆動期間PH12と、を交互に有する。第1駆動期間PH11は、少なくとも1つの第1直流期間PH11aと、接続期間PH11bと、を有する。
第1直流期間PH11aは、放電灯90に第1電極92が陽極となる直流電流が供給される期間である。図7の例では、第1直流期間PH11aにおいて駆動電流Iの値は、Imに一定に維持される。本実施形態において第1直流期間PH11aは、1つの第1駆動期間PH11内に、例えば、接続期間PH11bを挟んで2つ設けられている。すなわち、本実施形態において第1駆動期間PH11は、複数の第1直流期間PH11aを有する。
第1直流期間PH11aの長さt11aは、例えば、20ms(ミリ秒)以上である。言い換えると、第1直流期間PH11aの長さt11aは、例えば、25Hzの交流電流の半周期の長さ以上である。第1直流期間PH11aの長さt11aをこのように設定することで、後述するアークフレア角度φを好適に傾けることができる。本実施形態においては、第1直流期間PH11aが2つ設けられているため、1つの第1駆動期間PH11内における第1直流期間PH11aの長さt11aの合計は、40ms(ミリ秒)以上である。本実施形態において第1直流期間PH11aの長さt11aの合計は、例えば、第2直流期間PH12aの長さt12aの2倍以上である。
接続期間PH11bは、2つの第1直流期間PH11aを繋ぐ期間である。すなわち、接続期間PH11bは、2つの第1直流期間PH11a同士の間に位置する。接続期間PH11bにおいては、第1直流期間PH11aと反対の極性の駆動電流Iが放電灯90に供給される。すなわち、接続期間PH11bは、放電灯90に第1電極92が陰極となる直流電流が供給される期間である。図7の例では、接続期間PH11bにおいて駆動電流Iの値は、−Imに一定に維持される。
接続期間PH11bの長さt11bは、第1直流期間PH11aの長さt11aに対して、十分に小さい。接続期間PH11bの長さt11bは、例えば、第1直流期間PH11aの長さt11aの10%以下程度である。すなわち、接続期間PH11bの長さt11bは、例えば、2ms(ミリ秒)以下程度である。
第2駆動期間PH12は、第2直流期間PH12aからなる。第2直流期間PH12aは、極性が反転している点を除いて、第1直流期間PH11aと同様である。すなわち、第2直流期間PH12aは、放電灯90に第2電極93が陽極となる直流電流が供給される期間である。第2直流期間PH12aの長さt12aは、例えば、20ms(ミリ秒)以上である。
上記のような駆動電流波形DW1に沿って、放電灯90に駆動電流Iが供給されることで、アークフレア角度φを傾けることができる。以下、詳細に説明する。
まず、アークフレア角度φについて説明する。図8は、アークフレア角度φを説明するための図である。図8は、図3におけるアーク放電ARが生じている部分を拡大して示している。図8においては、アークフレア角度φが傾いた状態を示している。
図8に示すように、アーク放電ARの鉛直方向上側(+Z側)には、アークフレアAFが生じる。アークフレアAFは、放電空間91に封入された水銀等のガスが、アーク放電AR、あるいはアーク放電AR近傍を通過して発光する部分である。水銀等のガスは、アーク放電AR、あるいはアーク放電AR近傍を通過する際に膨張する。そのため、アークフレアAFは、例えば、対向方向(X軸方向)に広がる。
アークフレア角度φは、アークフレアAFの傾く方向であるアークフレア方向AFDが直交方向(Z軸方向)、すなわち本実施形態では鉛直方向に対して傾く角度である。
図3および図8に示すように、アークフレア方向AFDは、アークフレアAFを通りアークフレアAFの上側(+Z側)に流れる対流ACの中心となる方向である。より詳細には、アークフレア方向AFDは、図8に示す第1近似直線C11の直交方向(Z軸方向)に対する角度θ11と、第2近似直線C12の直交方向に対する角度θ12との平均角度である。すなわち、アークフレア方向AFDは、第1近似直線C11と第2近似直線C12とが成す角を二等分する直線の方向である。
第1近似直線C11は、アークフレアAFの外形線における、第1電極92の突起531pと接する箇所およびその近傍の近似直線である。第2近似直線C12は、アークフレアAFの外形線における、第2電極93の突起541pと接する箇所およびその近傍の近似直線である。
なお、アークフレアAFの外形線における第1電極92の突起531pと接する箇所の近傍とは、例えば、アークフレアAFの外形線における第1電極92の突起531pと接する箇所に対して、距離が0.1mm程度以内となる箇所を含む。これは、アークフレアAFの外形線における第2電極93の突起541pと接する箇所の近傍についても同様である。
なお、本明細書において、アークフレア角度φが傾く、とは、アークフレア方向AFDが直交方向に対して傾くことを含む。すなわち、本明細書において、アークフレア角度φが傾く、とは、アークフレア角度φの絶対値が0°よりも大きいことを含む。
図9は、放電灯90の部分を示す拡大断面図である。図9においては、比較例における放電灯90内部の状態を示している。すなわち、図9においては、アークフレア角度φが傾いていない状態(アークフレア角度φが0°)を示している。図10は、比較例のアークフレアAFを示す図である。図10は、図9におけるアーク放電ARが生じている部分を拡大して示している。
図9および図10に示すように、アークフレア方向AFDが直交方向(Z軸方向)、すなわち本実施形態では鉛直方向と平行な方向となる場合、アークフレア角度φは0°となり、アークフレア角度φは傾かない状態となる。この場合、図10に示す第1近似直線C21の直交方向に対する角度は、−θ21であり、第2近似直線C22の直交方向に対する角度は、θ21である。すなわち、第1近似直線C21と第2近似直線C22とは、直交方向を基準としてそれぞれ逆側に傾いている。第1近似直線C21は、傾きが異なる点を除いて、図8の第1近似直線C11と同様である。第2近似直線C22は、傾きが異なる点を除いて、図8の第2近似直線C12と同様である。
具体的なアークフレア角度φの計測方法としては、例えば、画像を用いた計測方法を採用できる。例えば、アークフレアAFを撮影した画像をグレースケール画像に変換して、明るさ情報の数値が所定の範囲内となる部分を検出する。これにより、発光するアークフレアAFの外形を検出する。検出したアークフレアAFの外形から求められた第1近似直線C11および第2近似直線C12から、アークフレア角度φを算出する。この計測方法を用いる場合、例えば、所定時間内で複数枚画像を撮影し、複数枚の画像のそれぞれから算出されたアークフレア角度φ値の平均の値を、アークフレア角度φとして算出してもよい。
次に、アークフレア角度φが傾く仕組みについて説明する。
本実施形態において、放電灯90に図7に示す駆動電流波形DW1に沿った駆動電流Iを供給すると、図3および図8に示すように、アークフレア方向AFD、すなわちアークフレア角度φが第2電極93側(+X側)に傾く。これは、以下の理由による。
例えば、第1駆動期間PH11では、第1直流期間PH11aが設けられるため、陽極となる第1電極92の温度が大きくなる。一方、第1駆動期間PH11では、陰極となる第2電極93の温度は低下する。これにより、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が大きくなり、第1電極92の上側(+Z側)から生じる上昇気流が、第2電極93の上側から生じる上昇気流に比べて大きくなる。したがって、第1電極92の上側から生じる上昇気流によってアークフレアAFが陰極である第2電極93側(+X側)に押され、アークフレアAFのアークフレア方向AFDが第2電極93側に傾く。その結果、アークフレア角度φが第2電極93側に傾く。
一方、第2駆動期間PH12においては、第2直流期間PH12aが設けられるため、陽極となる第2電極93の温度が上昇し、陰極となる第1電極92の温度が低下する。しかし、第2直流期間PH12aの長さt12aは、1つの第1駆動期間PH11に含まれる第1直流期間PH11aの長さt11aの合計よりも十分に小さい。これにより、第2駆動期間PH12においても、第1電極92の温度が第2電極93の温度よりも大きい状態が維持される。したがって、駆動電流波形DW1に沿った駆動電流Iが放電灯90に供給される間、アークフレア角度φが第2電極93側(+X側)に傾いた状態が維持される。
アークフレア角度φの絶対値は、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が大きいほど、大きくなり、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が小さいほど、小さくなる。第1駆動期間PH11と第2駆動期間PH12とが交互に繰り返されると、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差は変動する。そのため、第1駆動期間PH11と第2駆動期間PH12とが交互に繰り返されることで、アークフレア角度φは、第2電極93側(+X側)に傾いた状態を維持しつつ、数値が変化する。
本実施形態において制御部40は、例えば、アークフレア角度φの絶対値が5°以上、20°以下となるように、放電灯駆動部230を制御する。アークフレア角度φの絶対値をこのように調整することで、第1電極92の根本部分および第2電極93の根本部分に後述する金属突起WAが形成されることを好適に抑制できる。
具体的に制御部40は、例えば、第1直流期間PH11aの長さt11aと第2直流期間PH12aの長さt12aとを調整することで、第1電極92の温度および第2電極93の温度を制御し、アークフレア角度φの絶対値を制御する。
制御部40は、例えば、アークフレア角度φの絶対値が10°以上、15°以下となるように、放電灯駆動部230を制御することがより好ましい。第1電極92の根本部分および第2電極93の根本部分に後述する金属突起WAが形成されることをより好適に抑制できるためである。アークフレア角度φを10°以上、15°以下程度にする場合、一例として、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が200℃以上、400℃以下の範囲で変化するように、放電灯駆動部230を制御すればよい。
なお、例えば、放電灯90に複数の周波数を有する駆動電流Iを供給する場合等、においては、第1電極92の温度と第2電極93の温度とが同程度となる。この場合、図9および図10に示す比較例のように、アークフレア角度φは、ほぼ0°となる。
ここで、第1電極92の温度と第2電極93の温度とが同程度である、とは、例えば、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が100℃未満である場合を含む。このような場合においては、第1電極92の上側に生じる上昇気流と、第2電極93の上側に生じる上昇気流との差がほとんどなく、アークフレア角度φが変化しにくい。
以上に説明したようにして、アークフレア角度φを傾けることができる。なお、本実施形態においては、図7に示す駆動電流波形DW1に沿って放電灯90に駆動電流Iを供給する期間を一定期間設けた後には、駆動電流波形DW1の極性を反転させた駆動電流波形に沿って放電灯90に駆動電流Iを供給する期間を設ける。この期間においては、アークフレア角度φは、第1電極92側(−X側)に傾く。
本実施形態によれば、アークフレア角度φが傾くため、第1電極92の根本部分および第2電極93の根本部分に金属突起WAが形成されることを抑制できる。以下、詳細に説明する。
放電灯90の放電空間91内においては、アーク放電ARによって生じる対流ACによって、蒸発した第1電極92および第2電極93を構成する金属が循環する。第1電極92および第2電極93を構成する金属は、例えば、タングステンである。対流ACが第1電極92および第2電極93に衝突すると、対流ACによって循環する金属が、第1電極92および第2電極93に析出する。
このとき、例えば、放電灯90に複数の周波数を有する交流電流を供給するような場合、図9および図10に示すようにアークフレア角度φは傾かず、対流ACが第1電極92の根本部分、例えばコイル部532のアーク放電ARとは逆側の端部に衝突しやすい。そのため、図9に示すように、金属がコイル部532上に局所的に析出し、金属突起WAが形成される場合がある。同様に、第2電極93のコイル部542上にも金属突起WAが形成される場合がある。
金属突起WAが形成されると、金属突起WAと発光管510の内壁との間に放電EDが生じる場合がある。これにより、発光管510の内壁に、例えば茶輪BRが生じ、発光管510の内壁が劣化する虞がある。茶輪BRとは、放電EDによって発光管510の内壁のガラスが変質し、輪状に茶色くなる現象である。
茶輪BRが生じた部分は、光の透過率が低下するため、温度が上昇しやすい。これにより、茶輪BRが生じた部分には、失透が生じやすい。また、茶輪BRが生じた部分には、対流ACによって循環する金属が付着しやすく、黒化が生じやすい。これらにより、放電灯90の照度が低下し、放電灯90の寿命が低下する問題があった。
これに対して、本実施形態によれば、図3に示すように、アークフレア角度φ、すなわちアークフレア方向AFDは傾いた状態で維持される。この場合、アーク放電ARから上昇する対流ACが最初に衝突する発光管510の内壁の位置PA1は、アークフレア角度φが傾かない場合に比べて、アークフレア角度φが傾く側の電極側、すなわち図3の例では第2電極93側(+X側)となる。そのため、アークフレア角度φが傾かない場合に比べて、対流ACが位置PA1から第2電極93に到達するまでの距離が短くなり、第2電極93を上側から下側に通過する対流ACの広がりが小さくなる。これにより、対流ACが第2電極93のコイル部542の後側(+X側)を通過しやすく、対流ACがコイル部542に衝突することを抑制できる。したがって、第2電極93のコイル部542に金属突起WAが形成されることを抑制できる。
一方、本実施形態によれば、対流ACが位置PA1から第1電極92に到達するまでの距離は、アークフレア角度φが傾かない場合に比べて大きくなる。そのため、第1電極92を上側から下側に通過する対流ACの広がりは大きくなる。これにより、対流ACが衝突する第1電極92のコイル部532の範囲が広くなる。したがって、第1電極92のコイル部532に対して、金属が局所的に析出することが抑制され、結果として金属突起WAが形成されることを抑制できる。
以上により、本実施形態によれば、第1電極92の根本部分および第2電極93の根本部分に金属突起WAが形成されることを抑制できる。したがって、発光管510の内壁が茶輪BR等によって劣化することを抑制でき、結果として放電灯90の寿命を向上できる。
また、本実施形態によれば、第1直流期間PH11aの長さt11aの合計は、第2直流期間PH12aの長さt12aの2倍以上である。そのため、第1電極92の温度を、第2電極93の温度との差が大きい状態で、第2電極93よりも大きく維持しやすい。これにより、アークフレア角度φを好適な角度で維持しやすく、金属突起WAが形成されることをより抑制できる。
また、本実施形態によれば、第1直流期間PH11aの長さt11aは、20ms以上である。そのため、第1電極92の温度を、第2電極93よりも好適に大きくしやすい。これにより、アークフレア角度φを好適な角度としやすい。
また、例えば、第1電極92が陽極となる時間の長さに対して、第2電極93が陽極となる時間の長さが小さすぎると、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が大きくなり過ぎる場合がある。この場合、第1電極92の突起531pが過度に溶融され、アーク放電ARの形成が不安定になる虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、第2直流期間PH12aの長さt12aは、20ms以上である。そのため、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が大きくなり過ぎることを抑制できる。これにより、アーク放電ARの形成が不安定になることを抑制できる。
また、本実施形態においては、第1駆動期間PH11は、第1直流期間PH11aを接続する接続期間PH11bを有する。接続期間PH11bの長さt11bは、第1直流期間PH11aの長さt11aの10%以下である。そのため、第1駆動期間PH11において第1電極92の温度が低下することを抑制しつつ、第1直流期間PH11aを複数連結できる。これにより、例えば、一方の極性状態を連続できる時間が、回路構成等によって制限される場合であっても、第1駆動期間PH11において、第1極性状態となる期間の長さの合計を大きくできる。したがって、第1電極92の温度を大きくしやすく、アークフレア角度φを傾けやすい。
また、例えば、アークフレア角度φの絶対値が、5°よりも小さい場合には、アークフレア角度φが傾いていない状態に対して、第1電極92および第2電極93を上側から下側に通過する対流ACの広がりの変化が小さい。そのため、金属突起WAが形成されることを十分に抑制できない虞がある。
これに対して、本実施形態によれば、アークフレア角度φの絶対値は、5°以上となるように制御される。そのため、金属突起WAが形成されることを好適に抑制できる。
また、本実施形態によれば、アークフレア角度φの絶対値は、20°以下となるように制御される。そのため、第1電極92の温度と第2電極93の温度との差が大きくなり過ぎることを抑制できる。これにより、アーク放電ARを安定して生じさせつつ、金属突起WAが形成されることを好適に抑制できる。なお、一例として、第1駆動期間PH11内における第1直流期間PH11aの長さt11aの合計を、例えば、50ms(ミリ秒)以下程度とすることで、アークフレア角度φの絶対値を20°以下としやすい。
上記説明したアークフレア角度φは、本発明者らによって得られた新たな知見である。また、アークフレア角度φを第1電極92の温度と第2電極93の温度との差を変化させることで変化できることは、本発明者らによって得られた新たな知見である。また、アークフレア角度φを傾けることによって、金属突起WAが形成されることを抑制できることは、本発明者らによって得られた新たな知見である。
なお、本実施形態においては、以下の構成および方法を採用することもできる。
本実施形態においては、第1駆動期間PH11には、第1直流期間PH11aが3つ以上設けられてもよい。この場合、例えば、接続期間PH11bが2つ以上設けられ、複数の第1直流期間PH11a同士の間にそれぞれ接続期間PH11bが設けられる。
また、本実施形態においては、接続期間PH11bが設けられていなくてもよい。この場合、例えば、第1駆動期間PH11は、第1直流期間PH11aのみで構成される。
また、上記説明においては、第1駆動期間PH11および第2駆動期間PH12にそれぞれ直流期間を設けることで、第2電極93の温度に対する第1電極92の温度の差を大きくしたが、これに限られない。本実施形態においては、例えば、放電灯90に供給される交流電流のデューティー比を変えることによって、第2電極93の温度に対する第1電極92の温度の差を大きくしてもよい。これにより、アークフレア角度φを傾けてもよい。
また、本実施形態においては、直交方向(Z軸方向)が鉛直方向であるものとしたが、これに限られない。
また、例えば、第1電極92と第2電極93との相対位置がずれることによって、アーク放電ARが水平方向に対して傾き、アークフレア角度φにずれが生じる虞がある。この場合、金属突起WAが形成されることを十分に抑制できない虞がある。
これに対して、本実施形態においては、例えば、制御部40は、アーク放電ARの傾きに基づいて放電灯駆動部230を制御してもよい。この構成によれば、第1電極92と第2電極93との相対位置がずれた場合に、アーク放電ARの傾き分だけアークフレア角度φを補償でき、所望するアークフレア角度φを実現しやすい。
なお、上記の各実施形態において、透過型のプロジェクターに本発明を適用した場合の例について説明したが、本発明は、反射型のプロジェクターにも適用することも可能である。ここで、「透過型」とは、液晶パネル等を含む液晶ライトバルブが光を透過するタイプであることを意味する。「反射型」とは、液晶ライトバルブが光を反射するタイプであることを意味する。なお、光変調装置は、液晶パネル等に限られず、例えばマイクロミラーを用いた光変調装置であってもよい。
また、上記の各実施形態において、3つの液晶パネル560R,560G,560B(液晶ライトバルブ330R,330G,330B)を用いたプロジェクター500の例を挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクター、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
また、上記説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
本実施形態の実施例を、比較例と比較することで本発明の効果を検証した。実施例および比較例の両方において、放電灯は、定格電力140Wの高圧水銀ランプとした。実施例においては、放電灯に図7に示す駆動電流波形DW1に沿った駆動電流Iと、駆動電流波形DW1と反対極性の駆動電流波形に沿った駆動電流Iと、を交互に供給した。第1直流期間PH11aの長さt11aおよび第2直流期間PH12aの長さt12aは、20ms(ミリ秒)とした。接続期間PH11bの長さt11bは、0.5ms(ミリ秒)とした。
比較例においては、放電灯に図11に示す駆動電流波形DW2に沿った駆動電流Iを供給した。図11は、比較例の駆動電流波形DW2を示すグラフである。図11において縦軸は駆動電流Iを示しており、横軸は時間Tを示している。図11において駆動電流Iは、第1極性状態である場合を正とし、第2極性状態となる場合を負として示している。
図11に示すように、駆動電流波形DW2は、連続して設けられる複数の第1混合期間PH21と、連続して設けられる複数の第2混合期間PH22と、を交互に有する。第1混合期間PH21は、第1交流期間PH21aと、第2交流期間PH21bと、直流期間PH21cと、をこの順で有する。第1交流期間PH21aおよび第2交流期間PH21bは、駆動電流Iの値がIm1と−Im1との間で交互に切り替わる交流電流が放電灯に供給される期間である。直流期間PH21cは、駆動電流Iの値がIm1で一定に維持される直流電流が放電灯に供給される期間である。
比較例において、第1交流期間PH21aにおける交流電流の周波数は、200Hzとした。第1交流期間PH21aの長さt21aは、200Hzの交流電流の3周期分の長さ、すなわち、15ms(ミリ秒)とした。比較例1において、第2交流期間PH21bにおける交流電流の周波数は、190Hzとした。第2交流期間PH21bの長さt21bは、190Hzの交流電流の2周期分の長さ、すなわち、約11ms(ミリ秒)とした。直流期間PH21cの長さt21cは、5ms(ミリ秒)とした。
実施例および比較例のそれぞれを、駆動電力140Wで1500h(時間)点灯させ、アークフレア角度φおよび金属突起WAの形成の有無について観察した。その結果、比較例では、アークフレア角度φは、ほぼ傾かず、500h(時間)で金属突起WAが形成された。一方、実施例では、アークフレア角度φが傾いた状態で維持され、1500h(時間)が経過しても金属突起WAは形成されなかった。
したがって、本実施例によれば、アークフレア角度φを傾けることで、金属突起WAが形成されることを抑制できることが確かめられた。以上により、本発明の有用性を確認できた。
10…放電灯点灯装置(放電灯駆動装置)、40…制御部、90…放電灯、92…第1電極、93…第2電極、200…光源装置、230…放電灯駆動部、330R,330G,330B…液晶ライトバルブ(光変調装置)、350…投射光学系、500…プロジェクター、502,512R,512G,512B…画像信号、AF…アークフレア、AR…アーク放電、I…駆動電流、PH11…第1駆動期間、PH11a…第1直流期間、PH11b…接続期間、PH12…第2駆動期間、PH12a…第2直流期間、φ…アークフレア角度

Claims (11)

  1. 第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給する放電灯駆動部と、
    前記放電灯駆動部を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記放電灯に生じるアーク放電のアークフレアにおけるアークフレア角度を傾けるように前記放電灯駆動部を制御することを特徴とする放電灯駆動装置。
  2. 前記駆動電流は、前記放電灯に前記第1電極が陽極となる直流電流が供給される第1直流期間を有する第1駆動期間と、前記放電灯に前記第2電極が陽極となる直流電流が供給される第2直流期間からなる第2駆動期間と、を交互に有し、
    前記第1直流期間の長さの合計は、前記第2直流期間の長さの2倍以上である、請求項1に記載の放電灯駆動装置。
  3. 前記第1直流期間の長さは、20ms以上である、請求項2に記載の放電灯駆動装置。
  4. 前記第1駆動期間は、複数の前記第1直流期間を有し、
    1つの前記第1駆動期間における前記第1直流期間の長さの合計は、40ms以上であり、
    前記第2直流期間の長さは、20ms以上である、請求項3に記載の放電灯駆動装置。
  5. 前記第1駆動期間は、複数の前記第1直流期間と、複数の前記第1直流期間同士の間に位置する接続期間と、を有し、
    前記接続期間の長さは、前記第1直流期間の長さの10%以下である、請求項2から4のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。
  6. 前記制御部は、前記アークフレア角度の絶対値が5°以上となるように前記放電灯駆動部を制御する、請求項1から5に記載の放電灯駆動装置。
  7. 前記制御部は、前記アークフレア角度の絶対値が20°以下となるように前記放電灯駆動部を制御する、請求項6に記載の放電灯駆動装置。
  8. 前記制御部は、前記アーク放電の傾きに基づいて前記放電灯駆動部を制御する、請求項1から7のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置。
  9. 光を射出する前記放電灯と、
    請求項1から8のいずれか一項に記載の放電灯駆動装置と、
    を備えることを特徴とする光源装置。
  10. 請求項9に記載の光源装置と、
    前記光源装置から射出される光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
    前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学系と、
    を備えることを特徴とするプロジェクター。
  11. 第1電極および第2電極を有する放電灯に駆動電流を供給して、前記放電灯を駆動する放電灯駆動方法であって、
    前記放電灯に生じるアーク放電のアークフレアにおけるアークフレア角度を傾けることを特徴とする放電灯駆動方法。
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