JP2016190433A - インクジェット記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性のあるインクジェット記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも片方の面上に、無機顔料及びバインダー並びにカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類のカチオン性物質を含有する顔料塗工層Aと、カオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類の無機顔料及びバインダーを含有し、カチオン性物質を含有しない顔料塗工層Bとが、他の塗工層を介することなく接して成るインクジェット記録媒体であって、更にインクジェット記録媒体の吸水度が60g/m以上であり、75度光沢度が25%以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、支持体上に、無機顔料とバインダーとを含有する顔料塗工層を少なくとも2層有するインクジェット記録媒体に関し、より詳細には、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性を有するインクジェット記録媒体に関する。
インクジェット記録方式は、フルカラー化が容易なことや印字時の騒音が少ないことなどから、印字性能の急速な向上に伴い多くの用途に利用されてきている。これらの用途として、例えば、文書作成ソフトからの文書記録、デジタル写真などのデジタル画像の記録、銀塩写真や本などの美麗な印刷体をスキャナーで取り込んでの複製、比較的少枚数のポスターなどの展示用画像作成が挙げられる。
これらの用途には、それぞれに適した構成のインクジェット記録媒体が提案されている。例えば、主に文字を記録する場合は、紙基材上に直接記録する普通紙タイプの媒体が使用され、より高精細な画質と高い発色性を得たい場合は、基材上にインク受容層を塗工して設けた塗工紙タイプの媒体が使用される。特に、銀塩写真に匹敵するような高い光沢度が要求される場合は、インク受容層などの塗工層の最外層をキャストコート法により形成したキャスト紙タイプの媒体などが使用される。
インクジェット記録方式の種々の分野への展開の一つとして、印刷分野が挙げられる。従来この分野では、主にオフセット印刷方式が用いられてきたが、この方式は印刷用の版を製版する必要がある。一方、インクジェット記録方式は、印刷用の版を製版する必要がないため、少ロット印刷への対応が容易で安価であり、環境にも優しい。また、一部毎に異なる可変情報の連続印刷が可能であること、色調整等が容易で印刷機の操作に熟練する必要がないことなどのメリットがある。
ここで、インクジェット記録方式によりオフセット印刷方式を代替することを考慮すると、インクジェット記録方式による印刷物にも、従来のオフセット印刷方式による印刷物と同等の風合いと光沢性が求められる。また、オフセット印刷方式はインクが媒体の表面に留まりやすいのに対し、インクジェット記録方式はインクが媒体の中まで浸透しやすいため、オフセット印刷方式と比較すると発色性が劣る傾向が見られる。
インクジェット記録方式において発色性を向上させるためには、前述のとおり塗工紙タイプのインクジェット記録媒体を用いることが知られている。塗工紙タイプのインクジェット記録媒体は、一般にシリカ、酸化アルミニウム(アルミナ)など空隙の多い嵩高な顔料と、ポリビニルアルコール、澱粉などのバインダーを主体とするインク受容層を基材上に塗工して設けることにより、インク吸収性に優れ、高精細な画質・高い発色性を発現できる。しかし、一般にカオリン、クレーなどの顔料を塗工するオフセット印刷用記録媒体とは風合いが異なること、光沢性が劣ることに加え、基材からインク受容層が脱落する現象(粉落ち)が起きやすいという問題がある。
塗工紙タイプのインクジェット記録媒体におけるこれらの問題を改善するため、特定の填料とサイズ剤を用いた基材に非球状カチオン性コロイダルシリカを含有するインク受容層を設けたインクジェット記録シート(特許文献1〜3)、特定の基材の表面を酸化アルミニウム(アルミナ)を主体とする組成物の微粒子無機顔料で被覆したインクジェット印字用シート(特許文献4)など、基材上にインク受容層を片面あたり固形分で塗工量0.1〜10g/m程度設けたインクジェット記録媒体が開示されている。
特開平07−017126号 特開平07−017127号 特開平07−025131号 特開2001−246831号
しかし、特許文献1〜3、あるいは特許文献4のインクジェット記録媒体は、インク受容層の顔料としてコロイダルシリカや酸化アルミニウム(アルミナ)といった非常に高価なものを使用しているため、得られるインクジェット記録媒体は高価であることに加え、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が劣る。また、オフセット印刷用記録媒体とは風合いが異なり、光沢性が劣る。
また、一般にインクジェット記録媒体は、印刷画像に耐水性を付与するため媒体中にカチオン性の化合物を含有させ、インクジェットインク中のアニオン性の色剤とイオン結合によるイオンコンプレックスを作らせて定着させる。インク受容層の顔料として炭酸カルシウムを使用すると、インク受容層の塗工液を調製する際に、塗工液の安定性が劣るという問題が発生する。すなわち、炭酸カルシウムは通常アニオン性の分散剤を用いて分散し、スラリーの状態で使用するが、前記インクジェットインク中の色剤の定着作用を有するカチオン性の化合物は、インク受容層の塗工液を調製するため炭酸カルシウムのスラリーと混合すると、アニオン性の分散剤がカチオン性の化合物と反応してその効果を失い、炭酸カルシウムが凝集、沈降するため塗工液の安定性が劣る。
一方、インク受容層の顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーを使用すると、塗工液中のバインダーが基材に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくくなるため、インク受容層の塗工ムラが小さく、高い発色性が得られると共に、インク受容層の表面強度が良好となる。また、オフセット印刷用記録媒体と同じ顔料を使用するため、オフセット印刷用記録媒体と類似する風合いと光沢感が得られる。
また、炭酸カルシウムを使用した場合と異なり、カチオン性の化合物をカオリン、焼成カオリン、クレーのスラリーと混合しても上記の問題が発生しにくいため、印字画像の耐水性に優れたインクジェット記録媒体が得られる。
しかし、インク受容層の顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーを使用すると、インク受容層が密な状態となるため、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生する。更に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなり、高精細な画質が得られない。
従って、本発明の課題は、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性のあるインクジェット記録媒体を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、支持体上に、無機顔料とバインダーとを含有する顔料塗工層を少なくとも2層有するインクジェット記録媒体において、
該支持体側の塗工層、即ち下側の顔料塗工層Aにはインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類のカチオン性物質を含有させ、該インクジェット記録媒体の表面側の塗工層、即ち上側の顔料塗工層Bでは無機顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類を含有し、カチオン性物質を含有させない構成とすると共に、
該支持体及び該顔料塗工層A、並びに該顔料塗工層A及び該顔料塗工層Bは他の塗工層を介することなく接して成る構成として、
更に該インクジェット記録媒体の吸水度試験方法−コッブ法(JIS P8140)を用い接触時間10秒により測定した吸水度が60g/m以上として、JIS Z8741に規定された75度光沢度が25%以上とすることにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の少なくとも片方の面上に、無機顔料及びバインダーを含有し、更にカチオン性物質を含有する顔料塗工層Aと、無機顔料及びバインダーを含有し、カチオン性物質を含有しない顔料塗工層Bとをこの順に有するインクジェット記録媒体であって、
該支持体及び該顔料塗工層A、並びに該顔料塗工層A及び該顔料塗工層Bは他の塗工層を介することなく接して成り、
該顔料塗工層Aがカチオン性物質としてカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類を含有し、該顔料塗工層Bが無機顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類を含有し、
更に該インクジェット記録媒体の吸水度試験方法−コッブ法(JIS P8140)を用い接触時間10秒により測定した吸水度が60g/m以上であり、JIS Z8741に規定された75度光沢度が25%以上、であることを特徴とする。
前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しカオリン、焼成カオリン、クレーの合計が75重量%以上であることが好ましい。
前記顔料塗工層Aが無機顔料として重質炭酸カルシウムを含有し、かつ前記顔料塗工層Aが含有する無機顔料全量に対し重質炭酸カルシウムが80重量%以上であることが好ましい。
前記顔料塗工層Aの塗工量が、インクジェット記録媒体の片面あたり固形分で2〜10g/mであり、前記顔料塗工層Bの塗工量が、インクジェット記録媒体の片面あたり固形分で10〜30g/mであることが好ましい。
前記重質炭酸カルシウムをレーザー光散乱法により測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.1〜5.0μmであることが好ましい。
前記顔料塗工層Bが無機顔料としてさらにシリカを含有し、かつ前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しシリカが5重量%以上20重量%以下であることが好ましい。
前記顔料塗工層Bがさらに有機顔料を含有し、かつ前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料100重量部に対し有機顔料が5重量部以上25重量部以下であることが好ましい。
本発明によれば、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性のあるインクジェット記録媒体が得られる。
本発明のインクジェット記録媒体は、支持体の少なくとも片方の面上に、無機顔料及びバインダーを含有し、更にカチオン性物質を含有する顔料塗工層Aと、無機顔料及びバインダーを含有し、カチオン性物質を含有しない顔料塗工層Bとをこの順に有するインクジェット記録媒体であって、
該支持体及び該顔料塗工層A、並びに該顔料塗工層A及び該顔料塗工層Bは他の塗工層を介することなく接して成り、
該顔料塗工層Aがカチオン性物質としてカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類を含有し、該顔料塗工層Bが無機顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類を含有し、
更に該インクジェット記録媒体の吸水度試験方法−コッブ法(JIS P8140)を用い接触時間10秒により測定した吸水度が60g/m以上であり、JIS Z8741に規定された75度光沢度が25%以上、であるインクジェット記録媒体である。
(顔料)
本発明の顔料塗工層A及び顔料塗工層Bは顔料を含有する。顔料塗工層A及び顔料塗工層Bに含有する顔料としては、炭酸カルシウム、シリカ、カオリン、焼成カオリン、クレー、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム、タルク、ゼオライト等の公知の無機顔料、及びプラスチックピグメント等の公知の有機顔料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
(カオリン、焼成カオリン、クレー)
本発明では、インク受容層の塗工液中のバインダーが基材に浸透する現象(マイグレーション)が起こりにくく、インク受容層の塗工ムラが小さく高精細な画質が得られること、インク受容層の表面強度が良好となること、及び、高い発色性を有し、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性を有するインクジェット記録媒体が容易に得られることから、顔料塗工層Bに無機顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類を含有させる。
本発明の顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しカオリン、焼成カオリン、クレーの合計が75重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。また、カオリン、焼成カオリン、クレーの合計に対しカオリンが50重量%以上であることが好ましい。
(炭酸カルシウム)
本発明では、顔料塗工層Aに無機顔料として炭酸カルシウムを含有させることが好ましい。
本発明の炭酸カルシウムは、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムのいずれでも良い。また、その結晶型は、カルサイト結晶型、アラゴナイト結晶型、バテライト結晶型のいずれでも良い。更に、粒子形態として、立方形、紡錘形、柱状、針状、球状、不定形の塊状やこれらが3次元的に絡み合った形など、特に限定されずいずれも使用可能である。
本発明の顔料塗工層Aが含有する無機顔料全量に対し炭酸カルシウムが80重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましい。
本発明で使用する炭酸カルシウムの粒子径は特に限定されないが、通常、レーザー光散乱法で測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.1〜10.0μmの物を使用する。特にD50が0.3〜5.0μmの物を使用すると、顔料塗工層Aの塗工液の高濃度化が容易であり、顔料塗工層Aの塗工ムラが小さく塗工適性にも優れるため好ましい。レーザー光散乱法によるD50の測定は、MALVERN社製MASTER SIZER Sなどを使用して行うことが可能である。
(シリカ)
本発明では、顔料塗工層Bに無機顔料としてさらにシリカを含有させると、インクジェット印字の際のインクの乾燥性が優れるため好ましい。
本発明の顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しシリカが5重量%以上20重量%以下であることが好ましく、6重量%以上16重量%以下であることがより好ましく、8重量%以上13重量%以下であることがさらに好ましい。シリカが5重量%未満であると、インクの乾燥性の改善効果が十分に得られないことがある。また、20重量%を超えると、インクの乾燥性は良好であるが、インクジェット記録媒体の光沢性が低下する可能性がある。
(有機顔料)
本発明では、顔料塗工層Bにさらに有機顔料を含有させると、インクジェット記録媒体の光沢性が向上するため好ましい。
本発明の顔料塗工層Bが含有する無機顔料100重量部に対し、有機顔料が5重量部以上25重量部以下であることが好ましく、10重量部以上20重量部以下であることがより好ましい。
また、有機顔料のガラス転移点(Tg)は20℃以上であることが好ましい。Tgの上限は特に限定されないが、製造上の上限は140℃程度である。
有機顔料の具体例としては、日本ゼオン社製、製品名:LX407BP9(ポリスチレン系有機顔料の周囲をスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスで被覆、Tg:60℃)、製品名:LX407BP6(Tg:75℃)、製品名:MH8101(Tg:105℃)等が挙げられる。
(バインダー)
本発明の顔料塗工層A及び顔料塗工層Bはバインダーを含有する。
顔料塗工層A及び顔料塗工層Bに含有するバインダーとしては、一般的な塗工紙に使用される公知のバインダーが使用可能であり特に制限されないが、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、末端アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロースなどのセルロースエーテル及びその誘導体;澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉(例えば、ヒドロキシエチル化澱粉など)、カチオン化澱粉などの澱粉類;ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、アニオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミドなどのポリアクリルアミド類;ポリエステルポリウレタン系樹脂、ポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリウレタン系アイオノマー樹脂などのウレタン系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリル共重合体などのスチレン−ブタジエン系樹脂;ブタジエン−アクリロニトリル共重合体;不飽和ポリエステル樹脂;ポリ酢酸ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリアクリル酸エステル;カゼイン;ゼラチン;アラビヤゴム;ポリビニルブチラール;ポリスチロース及びそれらの共重合体;シリコーン樹脂;石油樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;クマロン樹脂などを例示することができる。これらは併用してもよい。
これらのバインダーの中では、ポリビニルアルコール類、澱粉類、スチレン−ブタジエン系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。顔料塗工層Aに含有するバインダーとしてはポリビニルアルコール類がより好ましく、顔料塗工層Bに含有するバインダーとしては澱粉類、スチレン−ブタジエン系樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体がより好ましい。
顔料塗工層A中のバインダーの配合量は、顔料塗工層A100重量部に対し、好ましくは固形分で1〜10重量部であり、より好ましくは2〜8重量部であり、さらに好ましくは3〜7重量部である。バインダーの配合量を上記範囲にすることで、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性が良好となる。
また、本発明の顔料塗工層B中のバインダーの配合量は、顔料塗工層B100重量部に対し、好ましくは固形分で1〜15重量部であり、より好ましくは3〜12重量部であり、さらに好ましくは5〜10重量部である。バインダーの配合量を上記範囲にすることで、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性と画質(滲み)のバランスが良好となる。
(カチオン性物質)
本発明のインクジェット記録媒体は、顔料塗工層Aのみがカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類のカチオン性物質を含有し、顔料塗工層Bはカチオン性物質を含有しない。
顔料塗工層Aのみがカチオン性物質を含有することにより、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れる。その機構については明らかではないが、次のように推測される。
顔料塗工層Bがカチオン性物質を含有しないことにより、顔料インクは顔料塗工層B中に滞留しにくくなり、顔料塗工層Bを貫通して、接する顔料塗工層Aに浸透しやすくなる。その結果、インクがインクジェット記録媒体の表層に滞留せず、速やかに拡散して行くため、インクの乾燥性に優れる。
一方、顔料塗工層Aはカチオン性物質を含有するため、顔料塗工層Bを貫通して顔料塗工層Aに浸透してきた顔料インク中の発色成分、即ち顔料はここで保持されるが、インク中の溶媒成分は顔料塗工層Aには保持されず、顔料塗工層Aを貫通して、接する支持体に速やかに浸透するため、インクの拡散が加速され、インクの乾燥性が特に優れる。
本発明の顔料塗工層Aに使用するカチオン性物質としては、一般的なインクジェット記録媒体に使用される公知のカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩が使用可能であり特に制限されないが、カチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤としては、ポリエチレンイミン4級アンモニウム塩誘導体、ポリアミンポリアミドエピハロヒドリン縮重合体、アンモニアとモノアミンやポリアミン等のアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物(ジアルキルアミン・アンモニア・エピクロロヒドリン縮重合体等)、ジシアンジアミド・ホルムアルデヒド樹脂、ジエチレントリアミン・ジシアンジアミド・アンモニウムクロライド重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物等のカチオン性の水溶性高分子が例示可能である。また、水溶性金属塩としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化マグネシウム等の多価陽イオン塩等が例示可能である。本発明では、インクジェット印字の際の印字画像の耐水性が特に優れるため、カチオン性の水溶性高分子が好ましく、アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物がより好ましい。
前記アミン類の例としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、ポリアルキレンポリアミン、及びアルカノールアミンモノアミン等を挙げることができる。第2級アミンの具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルオクチルアミン、メチルラウリルアミン、ジベンジルアミン等を、第3級アミンの具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリ−tert−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリオクチルアミン、トリベンジルアミン等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、第2級アミンであるジメチルアミン及びジエチルアミンが特に好ましい。
前記エピハロヒドリン類の例としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、エピヨードヒドリン、メチルエピクロルヒドリン等を挙げることができ、これらは単独あるいは2種類以上を混合して使用可能である。本発明では、エピクロロヒドリンが特に好ましい。
前記アンモニアとアミン類とエピハロヒドリン類とを反応させてなる縮重合物の合成方法としては、例えば、特開平10−152544号公報や、特開平10−147057号公報記載の公知の方法を用いることができる。
本発明の顔料塗工層A中のカチオン性物質の配合量は、顔料塗工層A100重量部に対し、固形分で5〜20重量部であり、好ましくは7〜18重量部であり、より好ましくは10〜15重量部である。カチオン性物質の配合量を上記範囲にすることで、画質とインクジェット印字の際の印字画像の耐水性が良好となる。
(その他の成分)
本発明の顔料塗工層A及び顔料塗工層Bには、その他必要に応じて、顔料分散剤、増粘剤、保水剤、滑剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、サイズ剤、発泡剤、着色染料、着色顔料、蛍光染料、防腐剤、耐水化剤、界面活性剤、pH調整剤、耐電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の助剤を適宜添加することができる。
(支持体)
本発明の支持体としては、シート状のものであれば、公知であるもの全て使用する事ができるが、価格や入手が安易である事から、木材パルプを主成分とする紙を用いる事が好ましい。木材パルプとしては、化学パルプ(針葉樹の晒または未晒クラフトパルプ、広葉樹の晒または未晒クラフトパルプ等)、機械パルプ(グラウンドパルプ、サーモメカニカルパルプ、ケミカルサーモメカニカルパルプ等)、脱墨パルプ等のパルプを単独または任意の割合で混合して使用することができる。
支持体に填料を含有させると、支持体の不透明度と平滑性が向上するため好ましい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、合成樹脂填料等の公知の填料が例示可能である。又、要求品質に応じてこれらを併用することも可能である。
本発明では、支持体に填料として炭酸カルシウムを含有させると、オフセット印刷タイプの風合いが得られやすいため好ましい。
支持体を抄紙する際のpHは、酸性、中性、アルカリ性のいずれでも良く、支持体の坪量は特に制限されない。また、支持体には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて硫酸バンド、紙力増強剤、歩留まり向上剤、着色剤、染料、消泡剤、pH調整剤等の助剤を含有しても良い。
支持体には、紙力増強やサイズ性付与などを目的とし、澱粉、ポリビニルアルコール、サイズ剤などを含有するサイズ液を含浸または塗工しても良い。また、サイズ液には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて蛍光染料、導電剤、保水剤、耐水化剤、pH調整剤、消泡剤、潤滑剤、防腐剤、界面活性剤等の助剤を含有しても良い。サイズ液の含浸または塗工の方法については特に制限されないが、ポンド式サイズプレスに代表される含浸法、または、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーターに代表される塗工法が例示可能である。
(層構成)
本発明の顔料塗工層A及び顔料塗工層Bは、支持体の片面のみに設けても支持体の両面に設けて良いが、支持体のインクジェット記録を行う面には、少なくとも2層の顔料塗工層、即ち顔料塗工層A及び顔料塗工層Bの両方を有する必要があり、且つ支持体及び顔料塗工層A、並びに顔料塗工層A及び顔料塗工層Bは、他の塗工層を介することなく接して成る必要がある。また、インクジェット記録媒体の最表層は顔料塗工層Bであることが好ましい。
支持体のインクジェット記録を行う面に顔料塗工層を1層のみ、即ち顔料塗工層Aのみを有する構成であると、目的とするオフセット印刷タイプの風合いと光沢性が得られない。また、顔料塗工層Bのみを有する構成であると、特に顔料インクによるインクジェット印字の際に、インクが顔料塗工層B中、即ちインクジェット記録媒体の表層に滞留するため、インクの乾燥性が劣る。
一方、支持体と顔料塗工層Aとの間に他の塗工層を有する構成であると、特に顔料インクによるインクジェット印字の際に、顔料塗工層Aを貫通したインク中の溶媒成分が他の塗工層中に滞留し、支持体への浸透が遅くなるためインクの乾燥性に劣る。顔料塗工層Aと顔料塗工層Bとの間に他の塗工層を有する構成であると、特に顔料インクによるインクジェット印字の際に、インクが顔料塗工層B中及び他の塗工層中に滞留するため、インクの乾燥性が劣る。
なお、本発明の顔料塗工層A及び/又は顔料塗工層Bは、それぞれ他の塗工層を介さない複数の塗工層から構成されていてもよい。例えば、支持体上に他の塗工層を介することなく顔料塗工層A1、顔料塗工層A2、顔料塗工層A3を有し、更に顔料塗工層A3上に他の塗工層を介することなく顔料塗工層B1、顔料塗工層B2を有し、且つ顔料塗工層A3及び顔料塗工層B1は他の塗工層を介することなく接して成る構成であってもよい。また、顔料塗工層A1、A2、A3、並びに顔料塗工層B1、B2は、それぞれ同じ処方であってもよく、顔料やバインダー等の種類、含有量等が異なる処方であってもよい。
(塗工量)
本発明の顔料塗工層A及び顔料塗工層Bの塗工量は、所望の品質に応じて適宜選択可能であり、特に制限を設けないが、顔料塗工層Aにおいては、片面あたり固形分で2g/m以上10g/m以下であることが好ましく、片面あたり3g/m以上7g/m以下であることがより好ましく、片面あたり3g/m以上5g/m以下であることが特に好ましい。顔料塗工層Aの塗工量が片面あたり固形分で2g/m未満であると、特に顔料インクによるインクジェット印字の際に、インクが顔料塗工層B中、即ちインクジェット記録媒体の表層に滞留しやすくなるため、インクの乾燥性が劣ることがある。また、顔料塗工層Aの塗工量が片面あたり固形分で10g/mを超えると、インク中の溶媒成分が顔料塗工層Aに保持されやすくなり、支持体への浸透が遅くなるため、かえってインクの乾燥性が低下する可能性がある。
また、顔料塗工層Bにおいては、片面あたり固形分で10g/m以上30g/m以下であることが好ましく、片面あたり10g/m以上25g/m以下であることがより好ましく、片面あたり15g/m以上20g/m以下であることが特に好ましい。顔料塗工層Bの塗工量が片面あたり固形分で10g/m未満であると、目的とするオフセット印刷タイプの風合いと光沢性が得られないことがある。また、顔料塗工層Bの塗工量が多いと光沢性は高くなるが、30g/mを超えると、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性と画質(滲み)が低下する傾向が見られる。
なお、本発明の顔料塗工層A及び/又は顔料塗工層B他の塗工層を介さない複数の塗工層から構成されている場合、それらの他の塗工層を介さない複数の塗工層の塗工量を合計したものを顔料塗工層A及び/又は顔料塗工層Bの塗工量とする。
(塗工方法)
本発明において、支持体上に顔料塗工層A及び顔料塗工層Bを塗工して設ける方法は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができる。また、塗工装置としては、一般的な塗工装置であるブレードコーター、ロールコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、フレキソグラビアコーター、スプレーコーター、サイズプレス等の各種装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。
(カレンダー処理方法)
本発明のインクジェット記録媒体は、必要に応じて表面の平滑性、光沢、風合いなどを調整するために、顔料塗工層A又は顔料塗工層Bを設けた後に、ハードニップカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、シューカレンダー等の各種カレンダー処理装置を、オンマシンまたはオフマシンで適宜使用することができる。カレンダー処理を行う場合の温度、速度、線圧、処理段数、カレンダーロールの径、材質等の各種処理条件も、必要に応じて適宜調整可能である。
(吸水度)
本発明のインクジェット記録媒体は、吸水度試験方法−コッブ法(JIS P8140)を用い接触時間10秒により測定した吸水度が60g/m以上である。
本発明では、インクジェット記録媒体の吸水度をJIS P8140に基づき接触時間を10秒に変更して測定する。この場合、水を捨てるまでの時間を5±0.5秒とし、吸い取りを開始するまでの時間を10±1秒とする。
本発明において、吸水度が60g/m以上とすることによりインクジェット印字の際のインクの乾燥性と画質が良好となる。吸水度が60g/m未満であると、インクの乾燥性が劣り、印字後のインクジェット記録媒体から他のインクジェット記録媒体などに未乾燥のインクが転写して汚れる問題が発生する。更に、画像の周辺部の滲み、特に文字の縁における毛羽立ち(フェザリング)や、異なる色の境界で色が混ざり合って発生する滲み(ブリーディング)が著しくなり、高精細な画質が得られない。
(75度光沢度)
本発明のインクジェット記録媒体は、JIS Z8741に規定された75度光沢度が25%以上である。75度光沢度を25%以上とすることにより、従来のオフセット印刷方式による印刷物と同等の光沢性が得られる。
なお、インクジェット記録媒体の75度光沢度を25%以上とする方法としては、顔料塗工層の塗工量、塗工方法、あるいはカレンダー処理方法、処理条件等の調整が挙げられる。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、これにより限定されるものではない。また、特に断らない限り、以下に記載する「部」及び「%」は、それぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
[実施例1]
下記のように支持体を用意した。
(支持体)
パルプ原料としてCSF390mlの広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)87部とCSF480mlの針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)13部を使用し、パルプ100部に対して、紙力増強剤(カチオン化澱粉)0.5部、硫酸アルミニウム0.55部、炭酸カルシウム13部を配合した紙料を長網抄造機で抄造して、坪量80g/mの支持体を得た。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して顔料塗工層A用塗工液とした。
<顔料塗工層A用塗工液1>
炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm)100.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA117) 3.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA103) 1.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 232.0部
次いで、顔料塗工層A用塗工液1を支持体の片面に、固形分で塗工量4.0g/mとなるようにしてゲートロールコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、顔料塗工層A塗工紙を得た。
下記配合からなる配合物を攪拌分散して顔料塗工層B用塗工液とした。
<顔料塗工層B用塗工液1>
カオリン
(イメリス社製、製品名:カピムDG、D50:2.6μm) 89.0部
シリカ
(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200、D50:2.2μm) 11.0部
スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ラテックス
(JSR社製、製品名:NP100D) 5.0部
澱粉
(日本食品化工社製、製品名:スターコート#14) 3.0部
水 60.0部
次いで、前記顔料塗工層A塗工紙の顔料塗工層A上に、顔料塗工層B用塗工液1を、固形分で塗工量15.0g/mとなるようにしてゲートロールコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、ソフトニップカレンダー(線圧:40kN/m、ロール温度:40℃)で2回カレンダー処理を行い、インクジェット記録媒体を作製した。
[実施例2]
顔料塗工層A用塗工液1中の炭酸カルシウムを、炭酸カルシウム(三共製粉社製、製品名:エスカロン#200、D50:4.9μm)100.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例3]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して顔料塗工層B用塗工液とした。
<顔料塗工層B用塗工液2>
カオリン
(イメリス社製、製品名:カピムDG、D50:2.6μm) 89.0部
シリカ
(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200、D50:2.2μm) 11.0部
有機顔料
(日本ゼオン社製、製品名:LX407BP9、Tg:60℃) 7.0部
スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ラテックス
(JSR社製、製品名:NP100D) 5.0部
澱粉
(日本食品化工社製、製品名:スターコート#14) 3.0部
水 60.0部
次いで、顔料塗工層B用塗工液1に代えて顔料塗工層B用塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例4]
顔料塗工層B用塗工液2中の有機顔料の配合量を17.0部に変更した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例5]
顔料塗工層A用塗工液1を固形分で塗工量2.0g/mとなるようにして塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例6]
顔料塗工層A用塗工液1を固形分で塗工量10.0g/mとなるようにして塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例7]
顔料塗工層B用塗工液1を固形分で塗工量10.0g/mとなるようにして塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例8]
顔料塗工層B用塗工液1を固形分で塗工量30.0g/mとなるようにして塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例9]
顔料塗工層B用塗工液1中のカオリンを、焼成カオリン(イメリス社製、製品名:アルファテックス、D50:1.8μm)89.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例10]
顔料塗工層A用塗工液1中の炭酸カルシウムを、炭酸カルシウム(三共製粉社製、製品名:エスカロン特級、D50:13.0μm)100.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例11]
顔料塗工層B用塗工液1中のカオリンの配合量を75.0部に変更し、シリカの配合量を25.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[実施例12]
顔料塗工層A用塗工液1中のインクジェットインク用定着剤を、硫酸マグネシウム15.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例1]
顔料塗工層B用塗工液1を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例2]
顔料塗工層A用塗工液1を塗工しなかった以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例3]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して顔料塗工層B用塗工液とした。
<顔料塗工層B用塗工液3>
カオリン
(イメリス社製、製品名:カピムDG、D50:2.6μm) 89.0部
シリカ
(東ソー・シリカ社製、製品名:AY−200、D50:2.2μm) 11.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ラテックス
(JSR社製、製品名:NP100D) 5.0部
澱粉
(日本食品化工社製、製品名:スターコート#14) 3.0部
水 60.0部
次いで、顔料塗工層B用塗工液1に代えて顔料塗工層B用塗工液3を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例4]
顔料塗工層A用塗工液1中のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部に変更した以外は、比較例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例5]
顔料塗工層B用塗工液1を支持体の片面に、固形分で塗工量15.0g/mとなるようにしてゲートロールコーターを用いて塗工した後、乾燥を行ない、顔料塗工層B塗工紙を得た。次いで、顔料塗工層B上に、顔料塗工層A用塗工液1を、固形分で塗工量4.0g/mとなるようにしてゲートロールコーターを用いて塗工した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例6]
顔料塗工層A用塗工液1中のインクジェットインク用定着剤の配合量を0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例7]
顔料塗工層B用塗工液1中のカオリンの配合量を0部に変更し、シリカの配合量を100.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例8]
顔料塗工層B用塗工液1中のカオリンの配合量を65.0部に変更し、シリカの配合量を35.0部に変更した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例9]
顔料塗工層B用塗工液2中の有機顔料の配合量を40.0部に変更した以外は、実施例3と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
[比較例10]
下記配合からなる配合物を攪拌分散して顔料塗工層A用塗工液とした。
<顔料塗工層A用塗工液2>
炭酸カルシウム
(ファイマテック社製、製品名:FMT−90、D50:1.2μm) 50.0部
カオリン
(イメリス社製、製品名:カピムDG、D50:2.6μm) 50.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA117) 3.0部
完全ケン化ポリビニルアルコール
(クラレ社製、製品名:PVA103) 1.0部
インクジェットインク用定着剤
(星光PMC社製、製品名:DK6800、ポリアミンエピハロヒドリン系樹脂)
15.0部
水 232.0部
次いで、顔料塗工層A用塗工液1に代えて顔料塗工層A用塗工液2を使用した以外は、実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を作製した。
作製したインクジェット記録媒体について、下記評価を行った。
<発色性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して、黒、シアン、マゼンタ、イエローのベタ印字(各々の大きさ:縦2cm×横3cm)を行った。1日後にマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて各色の印字濃度を測定し、4色の合計値で発色性を評価した。
<画質(筋抜け)>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して、マゼンタのベタ印字(大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、筋状の未印字部(筋抜け)の発生について以下の基準で評価した。
◎:筋抜けがなく均一なベタとなっている。
○:部分的に多少筋抜けが見られるが、概ね均一なベタとなっている。
△:部分的な筋抜けが見られる。
×:筋抜けが目立つ。
<画質(滲み)>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して、赤のベタ(大きさ:縦2cm×横3cm)と緑のベタ(大きさ:縦2cm×横3cm)が横方向に隣接する印字パターンの印字を行い、赤のベタと緑のベタの境界での滲みの発生について以下の基準で評価した。
◎:ベタの境界においてインクが全く混合することなく、明確に境界を識別できる。
○:ベタの境界においてインクがやや混合しているが、境界は識別できる。
△:ベタの境界においてインクが混合しているが、概ね境界は識別できる。
×:ベタの境界においてインクが混合しており、境界の識別が困難。
<インクの乾燥性>
作製したインクジェット記録媒体について、市販の顔料インクジェットプリンター(製品名:PX−V630、セイコーエプソン社製、印字条件:スーパーファイン/きれいモード)を使用して黒のベタ印字(大きさ:縦2cm×横3cm)を行い、印字5秒後に印字面の上に坪量80g/mの上質紙(npi上質/日本製紙株式会社製)1枚を重ね、直径10cm、幅13cm、質量2.7kgのゴムローラーで1回加圧した後、上質紙に転写された黒ベタの濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth RD−19)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
◎:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10未満である。
○:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.10以上0.15未満である。
△:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.15以上0.20未満である。
×:上質紙に転写された黒ベタの濃度が0.20以上である。
<風合い>
作製したインクジェット記録媒体について、インク受容層表面の面感を目視にて下記の基準で評価した。
○:オフセット印刷タイプの風合いが得られている。
△:オフセット印刷タイプに近い風合いが得られている。
×:オフセット印刷タイプの風合いが得られない。
<吸水度>
吸水度試験方法−コッブ法:JIS P8140に基づき、接触時間を10秒に変更してインクジェット記録媒体の吸水度を測定した。この場合、水を捨てるまでの時間を5±0.5秒とし、吸い取りを開始するまでの時間を10±1秒とした。
<75度光沢度>
JIS Z8741に基づき、インクジェット記録媒体の光沢度(75度光沢度)を測定した。
実施例及び比較例で得られたインクジェット記録媒体の紙質及び評価結果を表1〜表5に示す。
Figure 2016190433
Figure 2016190433
Figure 2016190433
Figure 2016190433
Figure 2016190433
表1〜表5から明らかなように、無機顔料及びバインダー並びにカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類のカチオン性物質を含有する顔料塗工層Aと、カオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類の無機顔料及びバインダーを含有し、カチオン性物質を含有しない顔料塗工層Bとが、他の塗工層を介することなく接して成り、更にインクジェット記録媒体の吸水度が60g/m以上であり、75度光沢度が25%以上である各実施例の場合、特に顔料インクによるインクジェット印字の際のインクの乾燥性に優れ、高精細な画質と高い発色性を有し、且つ、オフセット印刷タイプの風合いと光沢性が得られた。

Claims (7)

  1. 支持体の少なくとも片方の面上に、無機顔料及びバインダーを含有し、更にカチオン性物質を含有する顔料塗工層Aと、無機顔料及びバインダーを含有し、カチオン性物質を含有しない顔料塗工層Bとをこの順に有するインクジェット記録媒体であって、
    該支持体及び該顔料塗工層A、並びに該顔料塗工層A及び該顔料塗工層Bは他の塗工層を介することなく接して成り、
    該顔料塗工層Aがカチオン性物質としてカチオン性の化合物からなるインクジェットインク用定着剤又は水溶性金属塩から選択される少なくとも1種類を含有し、該顔料塗工層Bが無機顔料としてカオリン、焼成カオリン、クレーから選択される少なくとも1種類を含有し、
    更に該インクジェット記録媒体の吸水度試験方法−コッブ法(JIS P8140)を用い接触時間10秒により測定した吸水度が60g/m以上であり、JIS Z8741に規定された75度光沢度が25%以上、であることを特徴とするインクジェット記録媒体。
  2. 前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しカオリン、焼成カオリン、クレーの合計が75重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録媒体。
  3. 前記顔料塗工層Aが無機顔料として炭酸カルシウムを含有し、かつ前記顔料塗工層Aが含有する無機顔料全量に対し炭酸カルシウムが80重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録媒体。
  4. 前記顔料塗工層Aの塗工量が、インクジェット記録媒体の片面あたり固形分で2〜10g/mであり、前記顔料塗工層Bの塗工量が、インクジェット記録媒体の片面あたり固形分で10〜30g/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  5. 前記炭酸カルシウムをレーザー光散乱法により測定した体積50%平均粒子径(D50)が0.1〜10.0μmであることを特徴とする請求項3又は4に記載のインクジェット記録媒体。
  6. 前記顔料塗工層Bが無機顔料としてさらにシリカを含有し、かつ前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料全量に対しシリカが5重量%以上20重量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
  7. 前記顔料塗工層Bがさらに有機顔料を含有し、かつ前記顔料塗工層Bが含有する無機顔料100重量部に対し有機顔料が5重量部以上25重量部以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録媒体。
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