以下、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されない。本発明の目的の範囲内で適宜変更を加えて、本発明を実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨は限定されない。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。更に、化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。
以下、平均値は、何ら規定していなければ、算術平均値を意味する。また、粉体(例えば、後述する、トナー粒子、トナー母粒子、第一無機酸化物、第二無機酸化物、トナーコア、外添剤、又はトナー)に関する評価値(形状又は物性などを示す値)も、何ら規定していなければ、算術平均値を意味する。算術平均値は、相当数の測定対象について測定した値の和を、測定した個数で除算した値である。更に、粉体の粒子径は、何ら規定していなければ、粒子の円相当径である。円相当径は、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径である。
本発明の実施形態は、トナーに関する。以下、図1、及び図2を参照して、本実施形態のトナーについて説明する。図1(a)、及び(b)は、それぞれ、トナーに含まれるトナー粒子1の構造の一例を示す断面図である。図2(a)、及び(b)は、それぞれ、トナーに含まれるトナー粒子1の構造の別の例を示す断面図である。
トナーは、トナー粒子1を複数含む。トナーは、カプセルトナーであってもよい。あるいは、トナーは、シェル層4を有しない非カプセルトナーであってもよい。更に、トナーは、カプセルトナーと非カプセルトナーの混合物であってもよい。
トナーが非カプセルトナーである場合、図1(a)に示すように、トナー粒子1は、トナー母粒子2と、第一無機酸化物5とを有する。図1(b)に示すように、トナー粒子1は、第二無機酸化物6を更に有してもよい。
トナーがカプセルトナーである場合、図2(a)に示すように、トナー粒子1は、トナー母粒子2と、第一無機酸化物5とを有する。トナー母粒子2は、トナーコア3と、シェル層4とを有する。シェル層4は、トナーコア3を被覆するように備えられる。図2(b)に示すように、トナー粒子1は、第二無機酸化物6を更に有してもよい。
既に述べたように、トナーは第一無機酸化物5を有する。これにより、トナーのクリーニング性を向上させることができる。以下、図3を参照して、トナーのクリーニング性が向上する理由を説明する。図3は、画像形成装置の一部を示す。画像形成装置は、感光体10と、クリーニングブレード20とを備える。トナーを用いて画像形成装置により画像を形成する場合、画像形成工程(特に、現像工程)で、第一無機酸化物5の一部はトナー母粒子2から感光体10上に脱離する傾向にある。脱離した第一無機酸化物5は、感光体10とクリーニングブレード20の先端との間で、ブロッキング層を形成すると考えられる。円形度の高いトナー母粒子2(例えば、平均円形度が0.960以上のトナー母粒子2)を含むトナーは、感光体10とクリーニングブレード20との間をすり抜け易い。しかし、第一無機酸化物5のブロッキング層が形成されることにより、円形度の高いトナー母粒子2を含むトナーであっても、感光体10とクリーニングブレード20との間をすり抜け難くなる。その結果、感光体10上に残留するトナーをクリーニングブレード20により掻き取り易くなり、トナーのクリーニング性が向上すると考えられる。
また既に述べたように、第一無機酸化物5は、トナー母粒子2の質量に対して所定の含有量で、トナー母粒子2の表面に備えられる。そのため、トナーのクリーニング性に加えて、トナーの流動性も向上させることができると考えられる。
以下、トナー母粒子2、第一無機酸化物5、及び第二無機酸化物6について説明する。また、トナーを二成分現像剤において使用する場合に用いられるキャリア、及びトナーの製造方法について説明する。
<1.トナー母粒子>
トナー母粒子2の平均円形度は、0.960以上であり、好ましくは0.960以上0.995以下である。トナー母粒子2の円形度が0.960以上であると、形状が均質なトナー母粒子2が得られ易い。形状が均質なトナー母粒子2を含むトナーを用いることにより、高画質な画像が安定的に形成される傾向にある。一方、トナー母粒子2の平均円形度が0.960未満であると、トナーのクリーニング性及び流動性が低下し易い。
トナー母粒子2の平均円形度は、例えば、以下のようにして求めることができる。フロー式粒子像分析装置(例えば、マルバーン社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、トナー母粒子2の円形度を測定する。相当数のトナー母粒子2について、同様にして円形度を測定する。測定した円形度の和を、測定したトナー母粒子2の個数で除算することにより、トナー母粒子2の平均円形度(算術平均値)を求める。
トナー母粒子2の平均表面粗さ(Rz)は、50nm以上150nm以下であることが好ましく、85nm以上105nm以下であることがより好ましい。トナー母粒子2の平均表面粗さが50nm以上であると、トナー母粒子2と第一無機酸化物5との接触面積が小さくなる傾向にある。そのため、第一無機酸化物5がトナー母粒子2から脱離し易くなる。これにより、感光体10とクリーニングブレード20との間に、脱離した第一無機酸化物5のブロッキング層が形成され易くなる。その結果、円形度の高いトナー母粒子2を含むトナーを使用する場合であっても、トナーのクリーニング性が一層向上すると考えられる。トナー母粒子2の平均表面粗さを調整することにより、第一無機酸化物5がトナー母粒子2から脱離する程度を制御することができる。その結果、トナーのクリーニング性を一層向上させることができると考えられる。一方、トナー母粒子2の平均表面粗さが150nm以下であると、トナーの流動性が向上する傾向にある。
ここで、図4を参照して、トナー母粒子2の表面粗さについて説明する。図4は、トナーに含まれるトナー母粒子2の表面部分を拡大した断面図である。トナー母粒子2の表面には、凹凸aと凹凸bとが存在する。凹凸aは、凹凸bよりも大きい。凹凸aは、トナー母粒子2の表面のうねりを示す。凹凸aは、上述のトナー母粒子2の円形度に影響を与える。一方、凹凸bは、トナー母粒子2の表面粗さを示す。
トナー母粒子2の表面粗さは、例えば、以下のようにして求めることができる。トナー母粒子2の表面粗さを、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(株式会社日立ハイテクサイエンス製「多機能型ユニットAFM5200S」)を用いて測定する。相当数のトナー母粒子2について、同様にして表面粗さを測定する。測定した表面粗さの和を、測定したトナー母粒子2の個数で除算することにより、トナー母粒子2の平均表面粗さ(算術平均値)を求める。なお、トナー母粒子2の平均表面粗さを調整する方法については、トナーの製造方法で後述する。
トナーが非カプセルトナーである場合、トナー母粒子2は、例えば、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び/又は磁性粉を含有してもよい。トナーがカプセルトナーである場合、トナー母粒子2が有するトナーコア3は、例えば、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び/又は磁性粉を含有してもよい。
以下、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び磁性粉について説明する。また、トナーがカプセルトナーである場合にトナー母粒子2が有するシェル層4について説明する。
<1−1.結着樹脂>
結着樹脂は、トナーの調製に用いられる結着樹脂である限り、特に限定されない。結着樹脂としては、トナーの定着性を向上させるという観点から、熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の例としては、アクリル酸系樹脂、スチレンアクリル酸系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、又はビニルアルコール系樹脂が挙げられる。着色剤の分散性、トナーの帯電性、及び記録媒体(例えば、紙)に対するトナーの定着性を向上させる点で、結着樹脂としてはポリエステル樹脂が特に好ましい。以下、ポリエステル樹脂について説明する。
ポリエステル樹脂は、例えばアルコールとカルボン酸とを縮重合又は共縮重合させることで得られる。
ポリエステル樹脂を合成する際に用いられるアルコールの例としては、2価アルコール、又は3価以上のアルコールが挙げられる。
2価アルコールの例としては、ジオール類、又はビスフェノール類が挙げられる。ジオール類の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールが挙げられる。ビスフェノール類の例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、又はポリオキシプロピレンビスフェノールAエーテルが挙げられる。
3価以上のアルコールの例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、又は1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
ポリエステル樹脂を合成する際に用いられるカルボン酸の例としては、2価カルボン酸、又は3価以上のカルボン酸が挙げられる。
2価カルボン酸の例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、コハク酸、アルキルコハク酸、又はアルケニルコハク酸が挙げられる。アルキルコハク酸の例としては、n−ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、又はイソドデシルコハク酸が挙げられる。アルケニルコハク酸の例としては、n−ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、又はイソドデセニルコハク酸が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、又はエンポール三量体酸が挙げられる。
アルコール、及びカルボン酸は、各々1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。更に、カルボン酸を、エステル形成性の誘導体に誘導体化して使用してもよい。エステル形成性の誘導体の例としては、酸ハライド、酸無水物、又は低級アルキルエステルが挙げられる。ここで、「低級アルキル」とは、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を意味する。
ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂の水酸基価は、15mgKOH/g以上80mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は、ポリエステル樹脂を調製する際の、アルコールの使用量とカルボン酸の使用量とをそれぞれ変更することで、調整することができる。ポリエステル樹脂の分子量を上げると、ポリエステル樹脂の酸価及び水酸基価は低下する傾向がある。ポリエステル樹脂の酸価、及び水酸基価は、JIS(日本工業規格)K0070−1992に準拠する方法に従って測定することができる。
結着樹脂としてポリエステル樹脂が使用される場合、結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
結着樹脂として熱可塑性樹脂が使用される場合、熱可塑性樹脂の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、熱可塑性樹脂に、架橋剤又は熱硬化性樹脂を添加してもよい。結着樹脂内に部分的に架橋構造を導入すると、トナーの定着性を確保しながら、トナーの保存安定性、形態保持性、及び耐久性を向上させ易くなる。
熱可塑性樹脂と共に使用できる熱硬化性樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、又はシアネート系樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
結着樹脂のガラス転移点(Tg)は、30℃以上60℃以下であることが好ましい。結着樹脂のガラス転移点は、例えば、以下の方法に従って測定される。
[ガラス転移点測定方法]
示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)を用いて結着樹脂の吸熱曲線を測定する。結着樹脂(測定試料)10mgをアルミパン中に入れる。リファレンスとして空のアルミパンを使用する。測定温度範囲25℃以上200℃以下、昇温速度10℃/分という条件で、結着樹脂の吸熱曲線を測定する。得られた吸熱曲線(詳しくは、結着樹脂の比熱の変化点)から結着樹脂のガラス転移点を求める。
結着樹脂の軟化点(Tm)は、60℃以上150℃以下であることが好ましい。結着樹脂の軟化点がこのような範囲内になるように、異なる軟化点を有する複数種類の樹脂を組み合わせて用いることもできる。結着樹脂の軟化点は、例えば、以下の方法に従って測定される。
[軟化点測定方法]
結着樹脂(試料)を高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製「CFT−500D」)にセットする。ダイス細孔径1mm、プランジャー荷重20kg/cm2、及び昇温速度6℃/分という条件で、1cm3の試料を溶融流出させる。これにより、温度(℃)/ストローク(mm)に関するS字カーブを得る。得られたS字カーブから、試料の軟化点を読み取る。具体的には、得られたS字カーブに関して、ストロークの最大値をS1とし、低温側のベースラインのストローク値をS2とする。ストロークの値が(S1+S2)/2となる温度を、試料の軟化点とする。これにより、結着樹脂(試料)の軟化点を求める。
<1−2.着色剤>
着色剤には、トナー粒子1の色に合わせて、公知の顔料又は染料を用いることができる。
着色剤が黒色着色剤である場合、黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。後述するイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された黒色着色剤を使用することもできる。
着色剤が黒色着色剤以外の着色剤である場合、このような着色剤の例としては、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、又はシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、又はアリールアミド化合物が挙げられる。より具体的には、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、又は194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、又はC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤の例としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、又はペリレン化合物が挙げられる。より具体的には、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、又は254)が挙げられる。
シアン着色剤の例としては、銅フタロシアニン、銅フタロシアニン誘導体、アントラキノン化合物、又は塩基染料レーキ化合物が挙げられる。より具体的には、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、又は66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、又はC.I.アシッドブルーが挙げられる。
着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
<1−3.電荷制御剤>
電荷制御剤は、帯電レベル、及び帯電立ち上がり特性を向上させる目的で使用される。また、耐久性及び安定性に優れたトナーを得る目的で使用される。帯電立ち上がり特性は、所定の帯電レベルに短時間で帯電可能か否かの指標である。電荷制御剤は、公知の電荷制御剤から適宜選択することができる。
<1−4.離型剤>
離型剤は、例えばトナーの定着性及び耐オフセット性を向上させる目的で使用される。トナーの定着性及び耐オフセット性を向上させるためには、離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
離型剤の例としては、脂肪族炭化水素ワックス、脂肪族炭化水素ワックスの酸化物、植物由来のワックス、動物由来のワックス、鉱物由来のワックス、脂肪酸エステルを主成分とするワックス、又は脂肪酸エステルの一部もしくは全部が脱酸化されたワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素ワックスの例としては、エステルワックス、ポリエチレワックス(例えば、低分子量ポリエチレン)、ポリプロピレンワックス(例えば、低分子量ポリプロピレン)、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、又はフィッシャートロプシュワックスが挙げられる。脂肪族炭化水素ワックスの酸化物の例としては、酸化ポリエチレンワックス、又は酸化ポリエチレンのブロック共重合体が挙げられる。植物由来のワックスの例としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう、又はライスワックスが挙げられる。動物由来のワックスの例としては、みつろう、ラノリン、又は鯨ろうが挙げられる。鉱物由来のワックスの例としては、オゾケライト、セレシン、又はペトロラタムが挙げられる。脂肪酸エステルを主成分とするワックスの例としては、モンタン酸エステルワックス、又はカスターワックスが挙げられる。脂肪酸エステルの一部もしくは全部が脱酸化されたワックスの例としては、脱酸カルナバワックスが挙げられる。
離型剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
離型剤の融点は、50℃以上100℃以下であることが好ましい。離型剤の融点がこのような範囲内であると、離型剤を含有するトナーの低温定着性が向上し、トナーの高温でのオフセットの発生が抑制される傾向にある。離型剤の融点は、例えば、示差走査熱量計(DSC)(例えば、セイコーインスツル株式会社製「DSC−6220」)用いて測定することができる。
<1−5.磁性粉>
磁性粉の例としては、鉄、強磁性金属、鉄及び/又は強磁性金属を含む合金、鉄及び/又は強磁性金属を含む化合物、強磁性化処理を施された強磁性合金、あるいは二酸化クロムが挙げられる。鉄の例としては、フェライト、又はマグネタイトが挙げられる。強磁性金属の例としては、コバルト、又はニッケルが挙げられる。強磁性化処理の例としては、熱処理が挙げられる。
磁性粉の粒子径は、0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。このような範囲の粒子径を有する磁性粉を用いる場合、結着樹脂中に磁性粉を均一に分散させ易い。
<1−6.シェル層>
トナーがカプセルトナーである場合、トナー母粒子2はシェル層4を有する。カプセルトナーでは、トナー母粒子2の表面(シェル層4)の硬度が高いため、トナーのクリーニング性が低下し易い。しかし、本実施形態のトナーは、トナー母粒子2の表面に第一無機酸化物5を備える。そのため、トナーがカプセルトナーであっても、トナーのクリーニング性を向上させることができる。
シェル層4を形成する樹脂としては、トナー粒子1の凝集を抑制し、シェル層4の成膜性に優れることから、メラミン樹脂、尿素樹脂(例えば、尿素レゾルシン樹脂)、ウレタン樹脂、アミド樹脂、オレフィン樹脂、又はゼラチン・アラビアゴムが好ましい。なかでも、吸水性が低く貯蔵安定性に優れる樹脂であることから、メラミン樹脂、又は尿素樹脂がより好ましい。このような吸水性の低い樹脂を使用してトナー粒子1を形成すると、トナー粒子1を乾燥させる際に、トナー粒子1同士の結着が抑制される傾向にある。その結果、トナー粒子1を含むトナーの平均粒子径の変化、及び粒子径分布の変化が抑制される傾向にある。また、トナーの貯蔵中のトナー粒子1の凝集及び腐敗を抑制できる傾向にある。
メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとの重縮合物である。メラミン樹脂の形成に使用されるモノマーは、メラミン、及びホルムアルデヒドである。尿素樹脂は尿素とホルムアルデヒドとの重縮合物である。尿素樹脂の形成に使用されるモノマーは、尿素、及びホルムアルデヒドである。これらのモノマーは、公知の変性(例えば、メチロール化)を受けてもよい。
シェル層4の厚さは、1nm以上20nm以下であることがより好ましい。シェル層4が1nm以上であると、輸送時の衝撃によってシェル層4が破壊され難い。シェル層4が20nm以下であると、トナーを記録媒体へ定着させる際に加えられる圧力によりシェル層4が破壊され易い。
シェル層4の厚さは、トナー粒子1の断面のTEM撮影像を市販の画像解析ソフトウェアを用いて解析することにより計測される。市販の画像解析ソフトウェアの例としては、WinROOF(三谷商事株式会社製)が挙げられる。具体的には、トナーの断面の略中心で直交する2本の直線を引き、これら2本の直線上の、シェル層4と交差する4箇所の長さを測定する。このようにして測定される4箇所の長さの平均値を、測定対象の1個のトナー粒子1が備えるシェル層4の厚さとする。このようなシェル層4の厚さの測定を、10個以上のトナー粒子1に対して行う。測定対象の複数のトナー粒子1がそれぞれ備えるシェル層4の膜厚の平均値を求める。求めた平均値を、トナー粒子1が備えるシェル層4の膜厚とする。
シェル層4が薄過ぎる場合、TEM撮影像上でシェル層4とトナーコア3との界面が不明瞭であるため、シェル層4の厚さの測定が困難な場合がある。このような場合、TEM撮影と電子エネルギー損失分光法(EELS)とを組み合わせて、TEM撮影像中に、シェル層4に特徴的な元素(例えば、窒素)のマッピングを行い、シェル層4とトナーコア3との界面を明確化して、シェル層4の厚さを計測すればよい。
トナー母粒子2がシェル層4を有する場合、シェル層4によって被覆されるトナーコア3は以下の性質を有することが好ましい。
トナーコア3は、アニオン性を有することが好ましい。これにより、シェル層4の形成時にカチオン性のシェル層4を形成するための材料(以下「シェル材料」と記載する場合がある)を、トナーコア3の表面に引き付け易くなる。詳しくは、例えば水性媒体中で負に帯電するトナーコア3に、水性媒体中で正に帯電するシェル材料が電気的に引き寄せられる。そして、例えばin−situ重合によりトナーコア3の表面にシェル層4が形成される。これにより、分散剤を用いて水性媒体中にトナーコア3を過度に分散させずとも、トナーコア3の表面に均一なシェル層4が形成され易くなる。
トナーコア3においては、トナーコア3の大部分(例えば、85質量%以上)を結着樹脂が占める。このため、結着樹脂の極性がトナーコア3の全体の極性に大きな影響を与える。結着樹脂が、例えば、エステル基、水酸基、エーテル基、酸基、又はメチル基を有している場合には、トナーコア3はアニオン性を有する傾向が強い。結着樹脂が、例えば、アミノ基、アミン、又はアミド基を有している場合には、トナーコア3はカチオン性を有する傾向が強い。
トナーの製造方法で後述するように、本実施形態のトナーに含まれるトナー粒子1は、シェル材料(例えば、熱硬化性樹脂のモノマー)を硬化させ、シェル層4でトナーコア3を被覆することにより調製される。そのため、シェル材料(例えば、熱硬化性樹脂のモノマー)と反応し得る官能基(例えば、水酸基又はカルボキシル基)を有する結着樹脂を用いることが好ましい。このような結着樹脂を用いることにより、結着樹脂を含むトナーコア3の表面に、シェル材料と反応し得る官能基が露出すると考えられる。トナーコア3の表面に露出する官能基(例えば、水酸基又はカルボキシル基)は、トナーコア3の表面をシェル層4で被覆する際に、熱硬化性樹脂のモノマー(例えば、メチロールメラミン)と反応する。そのため、トナーコア3とシェル層4との間に共有結合を形成し易い。このため、シェル材料(例えば、熱硬化性樹脂のモノマー)と反応し得る官能基(例えば、水酸基又はカルボキシル基)を有する結着樹脂を用いることで、シェル層4とトナーコア3とを強固に結合させ易くなる。その結果、長期間にわたってトナー粒子1にストレスが加わる場合であっても、トナーコア3からシェル層4が剥離し難くなる。
トナーコア3がアニオン性を有することの指標は、pHが4に調整された水性媒体中で測定されるトナーコア3のゼータ電位が負極性(0V未満)を示すことである。pH4に調整された水性媒体中で測定されるトナーコア3のゼータ電位は、負極性(0V未満)を有することが好ましく、−10mV以下であることがより好ましい。トナーコア3とシェル層4との結合を強めるためには、トナーコア3のpH4におけるゼータ電位が0Vよりも小さく、トナー粒子1(ひいては、シェル層4)のpH4におけるゼータ電位が0Vよりも大きいことが好ましい。なお、pH4はシェル層4を形成する時の水性媒体のpHに相当する。
ゼータ電位の測定方法の例としては、電気泳動法、超音波法、又はESA(電気音響)法が挙げられる。
電気泳動法は、粒子分散液に電場を印加して分散液中の帯電粒子を電気泳動させ、電気泳動速度に基づきゼータ電位を算出する方法である。電気泳動法の例としては、レーザードップラー法が挙げられる。レーザードップラー法は、電気泳動している粒子にレーザー光を照射し、得られた散乱光のドップラーシフト量から電気泳動速度を求める方法である。レーザードップラー法は、分散液中の粒子濃度を高濃度とする必要がなく、ゼータ電位の算出に必要なパラメーターの数が少なく、加えて電気泳動速度を感度よく検出できるという利点を有する。
超音波法は、粒子分散液に超音波を照射して分散液中の帯電粒子を振動させ、振動によって生じる電位差に基づきゼータ電位を算出する方法である。
ESA法では、粒子分散液に高周波電圧を印加して分散液中の帯電粒子を振動させて超音波を発生させる。そして、その超音波の大きさ(強さ)からゼータ電位を算出する。
超音波法及びESA法は、粒子濃度が高い(例えば、20質量%を超える)粒子分散液であっても、ゼータ電位を感度よく測定することができるという利点を有する。
[pH4の水性媒体中でのトナーコアのゼータ電位の測定方法]
以下、pH4に調整された水性媒体中でのトナーコア3のゼータ電位の具体的な測定方法を説明する。0.2gのトナーコア3、イオン交換水80g、及び1質量%濃度のノニオン界面活性剤(例えば、日本触媒株式会社製「K−85」、ポリビニルピロリドン)20gを、マグネットスターラーを用いて混合し、液中にトナーコア3を均一に分散させる。その結果、分散液が得られる。その後、分散液に希塩酸を加えて、分散液のpHを4に調整し、pH4のトナーコア3の分散液(測定試料)を得る。ゼータ電位・粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「Delsa Nano HC」)を用いて、測定試料中のトナーコア3のゼータ電位を測定する。
トナーコア3がアニオン性を有することの別の指標としては、標準キャリアを用いて測定されるトナーコア3の摩擦帯電量が、負極性(0μC/g未満)を示すことである。摩擦帯電量は、トナーコア3が帯電され易いかの指標となる。また、帯電摩擦量は、トナーコア3が正極性と負極性との何れの極性に帯電されるかの指標となる。トナーコア3の摩擦帯電量は、負極性(0μC/g未満)を示すことが好ましく、−10μC/g以下であることがより好ましい。以下、摩擦帯電量の具体的な測定方法を説明する。
[摩擦帯電量の測定方法]
日本画像学会から提供される標準キャリアN−01(負帯電極性トナー用標準キャリア)100質量部と、トナーコア3の7質量部とを、ターブラー(登録商標)ミキサーを用いて30分間混合する。混合後、Q/mメーター(トレック社製「MODEL 210HS−2A」)を用いて、トナーコア3の摩擦帯電量を測定する。このようにして測定されるトナーコア3の摩擦帯電量は、トナーコア3の帯電し易さ(又はトナーコア3が正負何れの極性に帯電し易いか)の指標となる。
<2.第一無機酸化物>
第一無機酸化物5は、トナー母粒子2の表面に備えられる。既に述べたように、トナーを用いて画像形成装置により画像を形成する際に、第一無機酸化物5の一部はトナー母粒子2から脱離する傾向にある。脱離した第一無機酸化物5は、画像形成装置に備えられる感光体10とクリーニングブレード20の先端との間でブロッキング層を形成する。ブロッキング層が形成されることにより、円形度の高いトナー母粒子2を含むトナーであっても、感光体10とクリーニングブレード20との間をトナーがすり抜け難くなる。その結果、トナーのクリーニング性が向上すると考えられる。
第一無機酸化物5の例としては、シリカ、又は金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、アルミナ、酸化チタン(例えば、チタン(IV)ジオキシド)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムが挙げられる。
第一無機酸化物5の平均長軸径は、500nm以上3000nm以下であり、平均短軸径は100nm以上250nm以下であり、アスペクト比は2以上20以下である。第一無機酸化物5のアスペクト比は、11以上20以下であることが好ましく、11以上18以下であることがより好ましい。第一無機酸化物5の平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比がこのような範囲内であると、トナー母粒子2に対する第一無機酸化物5の付着力が低下し、第一無機酸化物5がトナー母粒子2から脱離し易くなる。また、第一無機酸化物5が、現像器内のストレス(摩擦)によって、トナー母粒子2の表面に埋没することを抑制できる。更に、第一無機酸化物5が所定の形状を有することで、第一無機酸化物5が感光体10の軸方向(図3のD1−D2方向)に並び易くなり、感光体10とクリーニングブレード20の先端との間を塞ぎ止め易くなる。加えて、第一無機酸化物5自体が、感光体10とクリーニングブレード20との間をすり抜け難くなる。その結果、感光体10とクリーニングブレード20の先端との間に、第一無機酸化物5のブロッキング層が効果的に形成され、トナーのクリーニング性が向上する。また、第一無機酸化物5の平均長軸径、平均短軸径、又はアスペクト比が過大であると、トナーの流動性が低下し易い。
第一無機酸化物5の平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比は、例えば、以下のようにして求められる。第一無機酸化物5を、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製「JSM−7500F」)を用いて観察し、撮影画像を得る。得られた画像を、画像解析ソフトウェアを用いて解析する。これにより、第一無機酸化物5の長軸径及び短軸径を測定する。相当数の第一無機酸化物5について、同様にして長軸径及び短軸径を測定する。測定した長軸径の和、及び短軸径の和を、各々測定した個数で除算することにより、平均長軸径(算術平均値)、及び平均短軸径(算術平均値)を求める。また、求めた平均長軸径を平均短軸径で除算することにより、第一無機酸化物5のアスペクト比(平均長軸径/平均短軸径)を算出する。
以下、所定の平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比を有する第一無機酸化物5の製造方法の一例を説明する。第一無機酸化物5が酸化チタン粒子である場合、酸化チタン粒子は、液体状のチタンアルコキシド(原料)を溶媒に滴下し、一定時間攪拌又は超音波処理をすることにより製造される。
溶媒として、アルコールを使用する。アルコールは、メタノール及び水を少なくとも含有する。溶媒の使用量は、チタンアルコキシド1mLに対し、5mL以上500mL以下である。反応系の圧力は、例えば、常圧(0.09MPa以上0.11MPa以下)である。溶媒の温度は、例えば、10℃以上60℃以下である。攪拌処理をする場合、攪拌の速度は、例えば、500rpm以上1000rpm以下である。超音波処理をする場合、超音波の照射周波数は、例えば、10kHz以上60kHz以下である。チタンアルコキシドの滴下時だけでなく、滴下終了後も針状酸化チタンの成長がほぼ停止するまで、超音波を照射することができる。チタンアルコキシドの滴下の速度は、例えば、溶媒の量が0.1L以上0.2L以下であり、チタンアルコキシドの滴下量が1.0mL以上5.0mLである場合、10秒以上1分以下である。
上述の反応により、固体の針状酸化チタン粒子が析出する。上述の反応では、針状酸化チタン粒子の平均短軸径は、ほぼ一定に維持される。一方、平均長軸径は経時的に増加(成長)する。針状酸化チタン粒子の平均長軸径の成長の様子は、例えば、走査型電子顕微鏡により観察される。針状酸化チタン粒子の平均長軸径の成長速度は、粒子間でほぼ同一である。そのため、反応時間を調整することにより、針状酸化チタン粒子の平均短軸径を固定したまま、アスペクト比を制御することができる。更に、平均短軸径、及び平均長軸径が均一で、粒度分布の狭い針状酸化チタン粒子を得ることができる。
また、上述の反応では、反応温度、及び溶媒の組成を変更することにより、針状酸化チタン粒子の平均短軸径を制御することができる。例えば、反応温度を高くすると、平均短軸径が大きくなる。以上の方法により、所定の平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比を有する酸化チタン粒子を得ることができる。
第一無機酸化物5としては、市販品を使用してもよい。市販される第一無機酸化物5の例としては、FTL−100(石原産業株式会社製、平均長軸径:1680nm、平均短軸径:130nm、アスペクト比:12.9)、又はFTL−200(石原産業株式会社製、平均長軸径:2860nm、平均短軸径:210nm、アスペクト比:13.6)が挙げられる。また、市販の針状無機酸化物をジェットミル(例えば、超音速ジェット粉砕機「ジェットミルIDS−2」日本ニューマチック工業株式会社製)を用いて粉砕し、所定の平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比に調整して使用することもできる。
第一無機酸化物5の表面は、導電処理されることが好ましい。第一無機酸化物5は、感光体10とクリーニングブレード20の先端との間でブロッキング層を形成し易い。そのため、第一無機酸化物5は、感光体10の表面と長時間接触する傾向にある。第一無機酸化物5の表面を導電処理することにより、第一無機酸化物5の抵抗を低下させ電荷を蓄積し難くすることができる。これにより、感光体10の絶縁破壊が抑制される傾向にある。導電処理は、第一無機酸化物5を導電性材料で被覆することにより行われる。導電処理に使用される導電性材料の例としては、錫、又はアンチモンが挙げられる。
第一無機酸化物5は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第一無機酸化物5の含有量は、トナー母粒子2の質量に対して、1.0質量%以上2.0質量%以下である。第一無機酸化物5の含有量が過小であると、画像形成時にトナー母粒子2から脱離する第一無機酸化物5の量が減少する傾向にある。その結果、感光体10とクリーニングブレード20の先端との間に、第一無機酸化物5のブロッキング層が効果的に形成されず、トナーのクリーニング性が低下し易い。一方、第一無機酸化物5の含有量が過大であると、トナーの流動性が低下し易い。
トナーを用いて、感光体10を備える画像形成装置により画像を形成するときに、第一無機酸化物5の総数に対して50個数%以上90個数%以下の第一無機酸化物5が、トナー母粒子2から感光体10上に脱離することが好ましい。以下、トナーを用いて感光体10を備える画像形成装置により画像を形成する場合に、第一無機酸化物5の総数に対する、トナー母粒子2から感光体10上に脱離する第一無機酸化物5の個数の比率を、「脱離率」と記載する場合がある。脱離率がこのような範囲内であると、第一無機酸化物5のブロッキング層が効果的に形成され、トナーのクリーニング性が一層向上する傾向にある。脱離率は、70個数%以上85個数%以下であることがより好ましい。
脱離率は、下記式1に従って算出される。式1中、P1は、画像形成に使用される前のトナーに含まれるトナー母粒子2の表面に存在する単位面積あたりの第一無機酸化物5の個数を示す。P2は、画像形成後に現像器内に残存するトナーに含まれるトナー母粒子2の表面に存在する単位面積あたりの第一無機酸化物5の個数を示す。P1、及びP2は、例えば、走査型電子顕微鏡(例えば、日本電子株式会社製「JSM−7500F」)を用いて、画像形成に使用される前後のトナー粒子1の表面を観察することにより、求めることができる。なお、トナー母粒子2からの第一無機酸化物5の脱離のほとんどは感光体10上で引き起こされるため、感光体10上での第一無機酸化物5の脱離率と、現像器内に残存したトナーを測定することにより得られる第一無機酸化物5の脱離率とは、ほぼ一致する。
式1:脱離率[個数%]=100×(P1−P2)/P1
図5(a)、及び(b)に、走査型電子顕微鏡を用いてトナー粒子1の表面を観察することにより撮影された写真の一例を示す。図5(a)は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7500F」)により、拡大倍率10000倍で観察したトナー粒子1の表面の写真である。図5(b)は、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7500F」)により、拡大倍率30000倍で観察したトナー粒子1の表面の写真である。図5(a)、及び(b)中、スケールバーは、各々1μm、及び100nmを示す。トナー粒子1の表面を、同様の方法で観察することにより、P1、及びP2を求めることができる。
脱離率は、例えば、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いて画像を形成することにより、算出することができる。画像形成条件は、例えば、実施例で後述する条件に設定することができる。
<3.第二無機酸化物>
第一無機酸化物5に加えて、第二無機酸化物6が更にトナー粒子1に含まれてもよい。第二無機酸化物6がトナー粒子1に含まれる場合、第二無機酸化物6は、トナー母粒子2を被覆するように備えられる。第二無機酸化物6が被覆するように備えられたトナー母粒子2の表面に、更に第一無機酸化物5が備えられる。換言すると、トナー母粒子2の外側に第二無機酸化物6が備えられ、第二無機酸化物6の外側に第一無機酸化物5が備えられる。
トナー粒子1が第二無機酸化物6を含む場合、以下のようにしてトナーを製造することが好ましい。先ず、トナー母粒子2の表面に第二無機酸化物6を付着させる(第一外添工程)。次に、第二無機酸化物6が付着したトナー母粒子2の表面に、第一無機酸化物5を付着させる(第二外添工程)。
このようにして製造されるトナー粒子1では、第一無機酸化物5が、トナー母粒子2の表面に直接接触し難くなる。これにより、第一無機酸化物5がトナー母粒子2から一層脱離し易くなる。その結果、脱離した第一無機酸化物5が形成するブロッキング層により、トナーのクリーニング性が一層向上すると考えられる。
第二無機酸化物6の例としては、シリカ、又は金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例としては、アルミナ、酸化チタン(例えば、チタン(IV)ジオキシド)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、又はチタン酸バリウムが挙げられる。
第二無機酸化物6の体積中位径(D50)は、50nm以下であることが好ましく、10nm以上50nm以下であることがより好ましく、15nm以上50nm以下であることが特に好ましい。
第二無機酸化物6の含有量は、トナー母粒子2の質量に対して、0.5質量%以上3.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上1.0質量%以下であることが特に好ましい。
第二無機酸化物6の被覆率は、トナー母粒子2の表面積に対して、50%以上100%以下であることが好ましい。
第二無機酸化物6は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
トナー粒子1は、第一無機酸化物5及び第二無機酸化物6以外の別の外添剤を更に有してもよい。別の外添剤としては、公知の外添剤を適宜選択することができる。別の外添剤の数平均粒子径は、1nm以上1μm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましい。外添剤の使用量は、100質量部のトナー母粒子2に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
<4.キャリア>
トナーは、所望のキャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。二成分現像剤を調製する場合、磁性キャリアを用いることが好ましい。
キャリアとして、樹脂により被覆されたキャリアコアを使用してもよい。また、キャリアとして、樹脂中にキャリアコアを分散させた樹脂キャリアを用いてもよい。
キャリアコアの例としては、鉄、酸化処理鉄、還元鉄、マグネタイト、銅、ケイ素鋼、フェライト、ニッケル、又はコバルトの粒子;これらの材料と金属(例えば、マンガン、マグネシウム、亜鉛、及び/又はアルミニウム)との合金の粒子;鉄−ニッケル合金の粒子;鉄−コバルト合金の粒子;セラミックスの粒子;あるいは高誘電率物質の粒子が挙げられる。セラミックスの例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化銅、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、チタン酸マグネシウム、チタン酸バリウム、チタン酸リチウム、チタン酸鉛、ジルコン酸鉛、又はニオブ酸リチウムが挙げられる。高誘電率物質の例としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、又はロッシェル塩が挙げられる。これらのキャリアコアは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアコアを被覆する樹脂の例としては、アクリル酸系重合体、スチレン系重合体、スチレン−アクリル酸系共重合体、オレフィン重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、又はアミノ樹脂が挙げられる。オレフィン重合体の例としては、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、又はポリプロピレンが挙げられる。フッ素樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、又はポリフッ化ビニリデンが挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
キャリアの粒子径は、20μm以上120μm以下であることが好ましく、25μm以上80μm以下であることがより好ましい。キャリアの粒子径は、電子顕微鏡により測定することができる。
トナーを二成分現像剤において用いる場合、トナーの含有量は、二成分現像剤の質量に対して、3質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
<5.トナーの製造方法>
以下、トナーの製造方法の一例を説明する。トナーが非カプセルトナーである場合、トナーコア3の形成工程で得られたトナーコア3には、シェル層4の形成工程が行われることなく、洗浄工程が行われる。つまり、トナーコア3がトナー母粒子2に相当する。一方、トナーがカプセルトナーである場合、トナーコア3の形成工程、及びシェル層4の形成工程を経て、トナー母粒子2が製造される。
<5−1.トナーコアの形成工程>
トナーコア3の製造方法の例としては、凝集法、又は粉砕法が挙げられる。凝集法は、粉砕法よりも、円形度の高いトナーコア3を製造し易い。また、凝集法は、均一な形状及び粒子径を有するトナーコア3を製造し易い。一方、粉砕法は、凝集法よりも簡単にトナーコア3を製造できる。
トナーがカプセルトナーであり、シェル層4が熱硬化性樹脂を含む場合、シェル層4の形成工程においてシェル材料が加熱されて硬化する。その際に、トナーコア3は軟化しながら表面張力によって収縮する傾向がある。トナーコア3が収縮すると、トナーコア3の円形度が高くなる。このため、熱硬化性樹脂を含むシェル層4を有するトナー母粒子2を製造する場合には、粉砕法を用いてトナーコア3を製造しても、シェル層4形成工程においてトナーコア3の円形度を高めることで、円形度の高いトナー母粒子2が製造される傾向にある。
以下、粉砕法の一例を説明する。先ず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び/又は磁性粉を混合する。続けて、得られた混合物を溶融し混練する。続けて、得られた溶融混練物を粉砕し分級する。その結果、所望の粒子径を有するトナーコア3が得られる。
次に、凝集法の一例を説明する。先ず、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤、及び/又は磁性粉を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を得る。凝集において、pH4に調整された水性媒体中で測定されるトナーコア3のゼータ電位は、負極性(0V未満)であることが好ましく、−10mV以下であることがより好ましい。続けて、得られた凝集粒子を加熱して、凝集粒子に含まれる成分を合一化させる。その結果、トナーコア3を含む水性分散液が得られる。その後、水性分散液からトナーコア3以外の成分(例えば、分散剤)を除去することにより、トナーコア3を得る。
トナーコア3の表面にシェル層4を好適に形成するために、トナーコア3の摩擦帯電量は、負極性(0μC/g未満)であることが好ましく、−10μC/g以下であることがより好ましい。トナーコア3の摩擦帯電量は、標準キャリア100質量部と、トナーコア3の7質量部とを、ターブラー(登録商標)ミキサーを用いて30分間混合することにより測定される。
<5−2.シェル層の形成工程>
シェル層4の形成工程では、トナーコア3をシェル材料で被覆する。シェル層4の形成は、水性媒体中で行われることが好ましい。トナーコア3に含まれる成分(例えば、結着樹脂、又は離型剤)の溶出を抑制するためである。被覆方法としては、水性媒体中のシェル材料をトナーコア3に供給する方法が挙げられる。この方法によれば、固体状であり粉体状であるトナーコア3の表面にシェル層4を形成させ易い。被覆方法の例としては、in−site重合法、液中硬化皮膜法、又はコアセルベーション法が挙げられる。なかでも、トナーコア3とシェル層4との反応性が高いことから、in−site重合法が好ましい。in−site重合法では、水性媒体にのみシェル材料が存在しており、シェル材料がトナーコア3表面で反応することにより樹脂化し、シェル層4が形成される。
水性媒体としては、シェル材料(例えば、メチロール化メラミン)が溶解する溶媒が好ましい。このような溶媒の例としては、極性溶媒が挙げられ、より具体的には水、メタノール、又はエタノールが挙げられる。
先ず、シェル材料(例えば、メチロールメラミン)を水性媒体に溶解(又は分散)させる。次に、シェル材料が溶解(又は分散)した水性媒体に、トナーコア3を分散させる。トナーコア3をシェル材料で均一に被覆するために、水性媒体中にトナーコア3を高度に分散させることが好ましい。
水性媒体中にトナーコア3を高度に分散させるために、水性媒体を強力に攪拌できる装置(例えば、プライミクス株式会社製「ハイビスミックス」)を用いて、トナーコア3を機械的に分散させてもよい。
また、水性媒体にトナーコア3を高度に分散させるために、水性媒体に分散剤を含有させてもよい。分散剤の例としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリパラビニルフェノール、部分鹸化ポリ酢酸ビニル、イソプレンスルホン酸、ポリエーテル、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアスパラギン酸ナトリウム、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、又はリグニンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの分散剤は、1種を単独で又は2種以上を組合せて使用してもよい。分散剤の使用量は、例えば、トナーコア3の100質量部に対して、75質量部以下であることが好ましい。
シェル層4を形成する際の水性媒体の温度は、40℃以上80℃以下であることが好ましく、55℃以上80℃以下であることがより好ましい。水性媒体の温度がこのような範囲内であると、トナーコア3の表面へのシェル層4の形成が良好に進行し易い。
トナー母粒子2の平均表面粗さ(Rz)は、シェル層4を形成する際の水性媒体の温度、及び反応時間を変更することにより調整される。例えば、水性媒体の温度が70℃であり、反応時間が1.5時間以上3時間未満である場合、50nm以上150nm以下の平均表面粗さを有するトナー母粒子2が得られる傾向にある。50nm以上150nm以下の平均表面粗さを有するトナー母粒子2を得るためには、水性媒体の温度が70℃であり、反応時間が2時間であることが好ましい。例えば、水性媒体の温度が70℃であり、反応時間が3時間以上である場合、50nm未満の平均表面粗さを有するトナー母粒子2が得られる傾向にある。或いは、水性媒体の温度が75℃であり、反応時間が1時間以上である場合も、50nm未満の平均表面粗さを有するトナー母粒子2が得られる傾向にある。例えば、水性媒体の温度が65℃であり、反応時間が1時間以下である場合、150nm超の平均表面粗さを有するトナー母粒子2が得られる傾向にある。
シェル材料を水性媒体に溶解(又は分散)した後、トナーコア3を添加する前に、水性媒体のpHは酸性物質を用いて4程度に調整されることが好ましい。水性媒体のpHを酸性側に調整することで、水性媒体に含まれるシェル材料の重縮合反応が促進される。
必要に応じて水性媒体のpHを調整した後、シェル材料を含む水性媒体にトナーコア3を添加する。その後、例えば水性媒体を加熱して、水性媒体中でトナーコア3の表面とシェル材料との反応を進行させる。これにより、トナーコア3の表面がシェル層4で被覆される。シェル層4で被覆されたトナーコア3を含む水性媒体を常温まで冷却して、トナー母粒子2の分散液を得る。
<5−3.洗浄工程>
洗浄工程では、水を用いてトナー母粒子2を洗浄する。洗浄方法の例としては、トナー母粒子2を含む分散液から、固液分離によりウェットケーキ状のトナー母粒子2を回収し、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子2を、水を用いて洗浄する方法が挙げられる。固液分離により分離される濾過液の導電率は、10μS/cm以下であることが好ましい。導電率の測定には、例えば、株式会社堀場製作所製の電気伝導率計「Horiba COND METER ES−51」を用いることができる。洗浄方法の別の例としては、分散液中のトナー母粒子2を沈降させ、上澄み液を水と置換し、置換後にトナー母粒子2を水に再分散させる方法が挙げられる。
<5−4.乾燥工程>
乾燥工程では、トナー母粒子2を乾燥させる。トナー母粒子2を乾燥させる方法の例としては、乾燥機(例えば、スプレードライヤー、流動層乾燥機、真空凍結乾燥機、又は減圧乾燥機)を用いる方法が挙げられる。これらの方法の中では、乾燥中のトナー母粒子2の凝集を抑制するため、スプレードライヤーを用いる方法が好ましい。スプレードライヤーを用いる場合、乾燥工程と後述の第一外添工程及び/又は第二外添工程とを同時に行うことができる。具体的には、トナー母粒子2の分散液と共に、第一無機酸化物5及び/又は第二無機酸化物6の分散液を噴霧する。これにより、トナー母粒子2の表面に第一無機酸化物5及び/又は第二無機酸化物6を付着させることができる。
<5−5.第一外添工程>
第一外添工程では、トナー母粒子2の表面に第二無機酸化物6を付着させる。第二無機酸化物6を付着させる方法の例としては、第二無機酸化物6がトナー母粒子2の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー、又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、トナー母粒子2と第二無機酸化物6とを混合する方法が挙げられる。なお、トナー粒子1が第二無機酸化物6を有しない場合は、第一外添工程は割愛される。
<5−6.第二外添工程>
第二外添工程では、第二無機酸化物6が付着したトナー母粒子2の表面に、第一無機酸化物5を更に付着させる。第一無機酸化物5を付着させる方法の例としては、第一無機酸化物5がトナー母粒子2の表面に埋没しないような条件で、混合機(例えば、FMミキサー、又はナウターミキサー(登録商標))を用いて、第二無機酸化物6が付着したトナー母粒子2と、第一無機酸化物5とを混合する方法が挙げられる。
トナーの製造方法は、要求されるトナーの構成又は特性に応じて任意に変更することができる。例えば、水性媒体にシェル材料を溶解又は分散させる工程よりも前に、水性媒体中にトナーコア3を添加する工程を行ってもよい。また、必要のない工程は割愛してもよい。効率的にトナーを製造するためには、多数のトナー粒子1を同時に形成することが好ましい。
以上、図1〜図5を参照して、本実施形態のトナーについて説明した。本実施形態のトナーによれば、トナーのクリーニング性を向上させることにより、画像不良の発生を抑制することができる。また、本実施形態のトナーによれば、トナーの流動性も向上させることができる。このため、本実施形態のトナーは、種々の画像形成装置で好適に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されない。
<1.測定方法>
先ず、実施例で使用される物性値の測定方法を説明する。
<1−1.平均長軸径、平均短軸径、及びアスペクト比>
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7500F」)を用いて、試料(トナー)の第一無機酸化物を倍率50000倍で撮影し、無作為に選択した100個の第一無機酸化物の画像を得た。続けて、得られた画像を、画像解析ソフトウェアを用いて解析して、100個の第一無機酸化物の各々について、長軸径及び短軸径を測定した。続けて、測定された全ての長軸径の和を、測定された第一無機酸化物の個数(100個)で除算した。また、測定された全ての短軸径の和を、測定された第一無機酸化物の個数(100個)で除算した。これにより、第一無機酸化物の平均長軸径(算術平均値)及び平均短軸径(算術平均値)を得た。また、平均長軸径を平均短軸径で除算することで、第一無機酸化物のアスペクト比(平均長軸径/平均短軸径)を求めた。
<1−2.平均円形度>
フロー式粒子像分析装置(マルバーン社製「FPIA(登録商標)−3000」)を用いて、トナー母粒子の平均円形度を測定した。具体的には、100個のトナー母粒子の各々について、円形度を測定した。続けて、測定された全ての円形度の和を、測定されたトナー母粒子の個数(100個)で除算した。これにより、トナー母粒子の平均円形度(算術平均値)を得た。
<1−3.平均表面粗さ(Rz)>
トナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)を、走査型プローブ顕微鏡(SPM)(株式会社日立ハイテクサイエンス製「多機能型ユニットAFM5200S」、旧:SII S−image)を用いて以下の条件で測定した。具体的には、20個のトナー母粒子の各々について、表面粗さ(Rz)を測定した。続けて、測定された全ての表面粗さ(Rz)の和を、測定されたトナー母粒子の個数(20個)で除算した。これにより、トナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)(算術平均値)を得た。
(平均表面粗さの測定条件)
スキャナー :100μm(Small Unit)
測定モード :SIS−DFM(共振モード)、形状像
カンチレバー:OMCL−AC−240TS−C3(オリンパス株式会社製)
解像度 :Xデータ数256、Yデータ数256
測定範囲 :トナー母粒子の表面の1μm×1μm
<1−4.体積中位径(D50)>
体積中位径(D50)は、精密粒度分布測定装置(ベックマン・コールター株式会社製「コールターカウンターマルチサイザー3」)を用いて測定した。
<2.トナー(A−1)の調製>
次に、以下に示す方法によって、トナー(A−1)を調製した。
<2−1.トナーコアの形成>
トナーコアの調製には、表1に示す種類の結着樹脂、離型剤、着色剤、及び電荷制御剤を使用した。結着樹脂100質量部、離型剤5質量部、着色剤5質量部、及び電荷制御剤1質量部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて、2400rpmの速度で混合した。得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM−30」)を用いて、材料投入速度5kg/時、軸回転数160rpm、及び設定温度範囲80℃以上130℃以下の条件で、溶融し混練した。得られた溶融混練物を圧延し冷却した。圧延し冷却された溶融混錬物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)16/8型」)を用いて粗粉砕した。次いで、粗粉砕品をジェットミル(日本ニューマチック工業株式会社製「超音波ジェットミルI型」)で微粉砕した。得られた微粉砕品をエルボージェット(日鉄工業株式会社製「EJ−LABO型」)を用いて分級した。その結果、トナーコアが得られた。得られたトナーコアの体積中位径(D50)は、6.5μmであった。
<2−2.シェル層の形成>
容量1Lの三つ口フラスコを30℃のウォーターバス(アズワン株式会社「IWB−250型」)中にセットし、フラスコ内にイオン交換水300mLを添加した。続けて、フラスコ内に塩酸を添加して、フラスコ内容物のpHを4に調整した。
続けて、フラスコ内に、シェル材料としてメチロールメラミン(日本カーバイド工業株式会社製「ニカレジン(登録商標)S−260」)2mLを添加した。続いて、フラスコ内でメチロールメラミンを溶解させ、シェル材料の溶液を得た。
続けて、得られたシェル材料の溶液に、トナーコア300gを添加し、十分に攪拌した。更に、フラスコ内にイオン交換水500mLを添加し、フラスコ内容物を攪拌しながら、フラスコ内容物の温度を70℃まで昇温させた。その後、フラスコ内容物を70℃で2時間攪拌した。次いで、フラスコ内に水酸化ナトリウム水溶液を添加して、フラスコ内容物のpHが7になるように中和した。その結果、トナーコアの表面を被覆するシェル層が形成され、トナー母粒子を含む分散液が得られた。
続けて、ブフナーロートを用いて、トナー母粒子を含む分散液からウェットケーキ状のトナー母粒子を濾取した。続けて、得られたウェットケーキ状のトナー母粒子をイオン交換水に分散させて、トナー母粒子を洗浄した。更に、トナー母粒子のイオン交換水による洗浄操作を、同様の方法で5回繰り返した。続けて、洗浄されたウェットケーキ状のトナー母粒子を乾燥して、乾燥したトナー母粒子を得た。得られたトナー母粒子の表面平均粗さ(Rz)は90nmであった。
<2−4.第一外添工程>
乾燥させたトナー母粒子100質量部、導電性酸化チタン微粒子(チタン工業株式会社製「EC−100」、体積中位径(D50):0.36±0.04μm)1.0質量部、及び疎水性シリカ微粒子(日本アエロジル株式会社製「RA−200H」、体積中位径(D50):20nm)0.7質量部を、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて回転数3500rpmで5分間混合した。これにより、導電性酸化チタン微粒子と疎水性シリカ微粒子とを、トナー母粒子の表面に付着させた。
<2−5.第二外添工程>
第一外添工程で得られたトナー母粒子に、1.0質量部(トナー母粒子の質量に対して1.0質量%の含有量)の第一無機酸化物Aを添加し、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM−10B」)を用いて回転数3500rpmで5分間混合した。続いて、得られた混合物を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別し、トナー(A−1)を得た。トナー(A−1)の調製に使用した第一無機酸化物Aの詳細を、表2に示す。
<3.トナー(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−10)の調製>
以下の点を変更した以外は、トナー(A−1)の調製と同様の方法で、トナー(A−2)〜(A−4)及び(B−1)〜(B−10)を調製した。
シェル層の形成における水性媒体の温度(フラスコ内容物の温度に相当)及び反応時間を、トナー(A−1)の調製における70℃及び2時間から、以下の温度及び反応時間に変更した。これにより、トナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)を、表3に示す値に変更した。トナー(A−2)〜(A−4)では、水性媒体の温度を70℃に、反応時間を1.5時間以上3時間未満に変更した。そして、表3に示すトナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)になった時点でシェル層の形成反応を終了した。トナー(B−1)〜(B−4)及び(B−9)では、水性媒体の温度を70℃に、反応時間を3時間以上に変更した。そして、表3に示すトナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)になった時点でシェル層の形成反応を終了した。トナー(B−5)〜(B−8)及び(B−10)では、水性媒体の温度を65℃に、反応時間を1時間以下に変更した。そして、表3に示すトナー母粒子の平均表面粗さ(Rz)になった時点でシェル層の形成反応を終了した。
第一無機酸化物の種類及び含有量を、トナー(A−1)の調製における第一無機酸化物Aの1.0質量部(トナー母粒子の質量に対して1.0質量%の含有量)から、表3に示す種類及び含有量に変更した。各トナーの調製に使用した第一無機酸化物A、B、C、及びDの詳細を、表2に示す。
<4.流動性の評価>
調製した各トナーの見掛け密度(AD)を、日本工業規格(JISK5101−12−1)に準拠する方法により測定した。測定された見掛け密度から、下記評価基準に従って、トナーの流動性を評価した。トナーの見掛け密度、及びトナーの流動性の評価結果を、表3に示す。見掛け密度が高い程、トナーの流動性が高いことを示す。
(流動性の評価基準)
○(良好):見掛け密度が0.390g/cm3超である。
△(普通):見掛け密度が0.370g/cm3超0.390g/cm3以下である。
×(不良):見掛け密度が0.370g/cm3以下である。
<5.二成分現像剤の調製>
各トナーを用いて、二成分現像剤を調製した。具体的には、トナー10質量部と、フェライトキャリア90質量部とを混合して二成分現像剤を得た。二成分現像剤の調製に使用したフェライトキャリアは、以下のように調製した。
キャリアコアとして、体積中位径(D50)35μmのマンガンマグネシウム(Mn−Mg)フェライトコアを使用した。キャリアコアへの塗布溶液として、シリコーン樹脂30質量部をトルエン200質量部に溶解させた塗布溶液を使用した。フェライトコア1000質量部に対して、塗布溶液230質量部を噴霧により塗布した後、200℃で60分間熱処理を行った。これにより、フェライトキャリアを得た。
<6.クリーニング性の評価>
調製した各二成分現像剤と評価機とを用いて、用紙に画像を形成した。得られた画像からトナーのクリーニング性を評価した。評価機として、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa 5550ci」)を用いた。画像形成は下記の条件で行った。
(画像形成条件)
帯電 :スコロトロン帯電方式
露光 :レーザー露光方式
現像 :タッチダウン現像方式
転写 :中間転写ベルト転写方式、ローラー転写方式
クリーニング :ブレードクリーニング方式
感光体 :アモルファスシリコンドラム(直径30mm)
感光体の線速 :300mm/秒
感光体の表面電位 :200V
現像ローラーの材質:ウレタン
現像ローラーの直径:20mm
現像ローラーの周速:500mm/秒
現像バイアス :300V
感光体と現像ローラーとの間のギャップ幅:150μm
一次転写バイアス :2kV
感光体と転写ローラーとのニップ幅:2mm
クリーニングブレード当接角度:20度
先ず、二成分現像剤を評価機のブラック用の現像器に投入した。トナーを評価機のブラック用のトナーコンテナに投入した。続いて、常温常湿環境(23℃、50%RH)下、5%の印字率で、10000枚の用紙に連続して画像を印刷した。次に、印字率を5%から40%に変更し、常温常湿環境(23℃、50%RH)下で、10000枚の用紙に連続して画像を印刷した。次に、印字率を40%から0.2%に変更し、常温常湿環境(23℃、50%RH)下で、10000枚の用紙に連続して画像を印刷した。印字率5%、40%、及び0.2%での印刷において、各々最後に印刷された用紙(10000枚目の用紙)を、評価用画像とした。評価用画像の画像不良の有無を肉眼で観察した。観察結果に基づいて、下記評価基準に従ってトナーのクリーニング性を評価した。トナーのクリーニング性の評価結果を、表3に示す。クリーニングブレードによる感光体上のトナーのクリーニングが不十分である程、形成された画像に画像不良(例えば、縦筋)が現れる傾向にある。
(クリーニング性の評価基準)
○(良好):印字率5%、40%、及び0.2%での印刷の何れにおいても、形成された画像にクリーニング不良による縦筋が観察されない。
△(普通):印字率5%、40%、及び0.2%での印刷の何れかにおいて、形成された画像にクリーニング不良による縦筋がわずかに確認される。
×(不良):印字率5%、40%、及び0.2%での印刷の何れかにおいて、形成された画像にクリーニング不良による縦筋が明確に確認される。
<7.脱離率の測定>
各トナーについて、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7500F」)を用いて、トナー粒子の表面を観察し、写真を撮影した。得られた写真から、トナー母粒子表面に存在する単位面積あたりの第一無機酸化物の個数(P1)を求めた。
次に、二成分現像剤を用いて、クリーニング性の評価と同様の方法により、常温常湿環境(23℃、50%RH)下、5%の印字率で、10000枚の用紙に連続して画像を印刷した。印刷後、現像器内から二成分現像剤を取り出した。取り出された二成分現像剤に含まれるトナー粒子の表面を、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7500F」)を用いて観察し、写真を撮影した。得られた写真から、トナー母粒子の表面に存在する単位面積あたりの第一無機酸化物の個数(P2)を求めた。
求めたP1、及びP2から、下記式1に従って、脱離率を算出した。算出された脱離率を、表3に示す。
式1:脱離率[個数%]=100×(P1−P2)/P1
表3中、「Rz」はトナー母粒子の表面粗さを、「AD」はトナーの見掛け密度を示す。
表3に示すように、トナー(A−1)〜(A−4)は、トナーのクリーニング性に優れていた。そのため、これらのトナーを用いて形成された画像では、クリーニング不良に起因する画像不良の発生が抑制されていた。更に、これらのトナーは流動性にも優れていた。
トナー(B−1)、及び(B−5)では、第一無機酸化物の含有量が1.0質量%未満であった。更に、トナー(B−5)では、トナー母粒子の平均円形度が0.960未満であった。トナー(B−2)、及び(B−6)では、第一無機酸化物の平均長軸径が3000nm超であり、平均短軸径が250nm超であった。トナー(B−3)、及び(B−7)では、第一無機酸化物の平均長軸径が500nm未満であり、平均短軸径が100nm未満であった。そのため、これらのトナーはクリーニング性に劣った。その結果、これらのトナーを用いて形成された画像では、クリーニング不良に起因する画像不良が発生した。また、これらのトナーは流動性にも劣った。
トナー(B−4)、及び(B−8)には、第一無機酸化物が含有されていなかった。そのため、これらのトナーはクリーニング性に劣った。その結果、これらのトナーを用いて形成された画像では、クリーニング不良に起因する画像不良が発生した。
トナー(B−9)では、第一無機酸化物の含有量がトナー母粒子の質量に対して、2.0質量%超であった。そのため、これらのトナーは流動性に劣った。
トナー(B−10)では、トナー母粒子の平均円形度0.960未満であった。そのため、これらのトナーはクリーニング性に劣った。その結果、これらのトナーを用いて形成された画像では、クリーニング不良に起因する画像不良が発生した。また、これらのトナーは流動性にも劣った。