JP2016214667A - ファントム - Google Patents
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Abstract
【課題】生体を模擬した光音響装置用ファントムを提供する。
【解決手段】被検体に光を照射することで被検体から伝搬した音響波に基づいて被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、第1の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第1の層と、第1の層と積層構造を形成するとともに第2の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第2の層とを有し、第2の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、第2の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下であるファントムを用いる。
【選択図】図1
【解決手段】被検体に光を照射することで被検体から伝搬した音響波に基づいて被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、第1の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第1の層と、第1の層と積層構造を形成するとともに第2の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第2の層とを有し、第2の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、第2の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下であるファントムを用いる。
【選択図】図1
Description
本発明は、ファントムに関する。
従来、超音波診断装置は医療の診断目的で用いられている。これらの装置では、生体内で反射した超音波エコー像から生体内をモニタリングして診断を行っている。また、近年では、光を用いた診断装置として光音響装置の開発が進められている。光音響装置とは、医療の診断目的で使用される装置である。この装置は、生体の被検部に光照射を行い、測定対象の熱膨張に起因して発生した音響波(典型的には超音波)の検出信号に基づいて画像を表示する装置である。この診断装置では、被検部内の特定物質、例えば血液中に含まれるグルコースやヘモグロビン等の検査を行うことができる。
このような医療目的の診断装置の精度管理は正確な診断を行うために必須であり、診断装置の精度管理や校正に用いる標準試料、すなわちファントムがその目的で用いられている。また、生体を忠実に再現したファントムを用いることで、臨床研究の代替検討を実施したり、医師の訓練を行ったりすることも可能となる。
光音響装置用ファントムにおいては、照射した光が内部にある腫瘍を模擬したターゲット(光吸収体)で吸収され、ターゲットから超音波が発生する必要がある。ファントムによって生体を忠実に再現するためには、ファントムが生体の構造を模し、各構造体が人体に近似した光伝搬および超音波伝搬特性を有している必要がある。
従来、このような光音響装置用ファントムには、物性が時間の経過によって変化しにくく、生体に音響物性が近いことから、ウレタンゲルが利用されている。特許文献1では、光音響装置用ファントムに対して、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体をイソシアネート化合物で硬化させて製造した、光学物性および音響物性を調整したウレタンゲルの利用が開示されている。特許文献2では、光音響装置用ファントムとして、ポリビニルアルコールの薄層とアクリル樹脂を積層したファントムが開示されている。
このような医療目的の診断装置の精度管理は正確な診断を行うために必須であり、診断装置の精度管理や校正に用いる標準試料、すなわちファントムがその目的で用いられている。また、生体を忠実に再現したファントムを用いることで、臨床研究の代替検討を実施したり、医師の訓練を行ったりすることも可能となる。
光音響装置用ファントムにおいては、照射した光が内部にある腫瘍を模擬したターゲット(光吸収体)で吸収され、ターゲットから超音波が発生する必要がある。ファントムによって生体を忠実に再現するためには、ファントムが生体の構造を模し、各構造体が人体に近似した光伝搬および超音波伝搬特性を有している必要がある。
従来、このような光音響装置用ファントムには、物性が時間の経過によって変化しにくく、生体に音響物性が近いことから、ウレタンゲルが利用されている。特許文献1では、光音響装置用ファントムに対して、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体をイソシアネート化合物で硬化させて製造した、光学物性および音響物性を調整したウレタンゲルの利用が開示されている。特許文献2では、光音響装置用ファントムとして、ポリビニルアルコールの薄層とアクリル樹脂を積層したファントムが開示されている。
しかしながら、特許文献1記載の音響物性を模した従来の光音響装置用ファントムにおいては、光学物性制御のため散乱体や吸収体を入れるようにしていた。これにより、ファントムの音響物性が変化してしまい十分に生体に近似した物性を得ることができないという課題がある。
本発明の目的は、上記に鑑み、生体を模擬したファントムを提供することにある。
本発明の目的は、上記に鑑み、生体を模擬したファントムを提供することにある。
上記課題を達成するため、本発明は、
被検体に光を照射することで前記被検体から伝搬した音響波に基づいて前記被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、
第1の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第1の層と、
前記第1の層と積層構造を形成するとともに第2の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第2の層とを有し、
前記第2の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、
前記第2の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下であるファントムを提供する。
被検体に光を照射することで前記被検体から伝搬した音響波に基づいて前記被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、
第1の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第1の層と、
前記第1の層と積層構造を形成するとともに第2の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第2の層とを有し、
前記第2の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、
前記第2の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下であるファントムを提供する。
上記のように、本発明によれば、生体を模擬したファントムが提供される。
以下に図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。ただし、以下に記載されている詳細な計算式、計算手順などは、発明が適用されるものの構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
説明中の被検体情報取得装置には、被検体(ファントムを含む)に近赤外線等の光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。説明中の被検体情報取得装置には、例えば、光音響波診断装置等が含まれる。
光音響効果を利用した装置の場合、取得される被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布、トータルヘモグロビン濃度分布、酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
また、複数位置の被検体情報である特性情報を、2次元または3次元の特性分布として取得するものでもよい。特性分布は被検体内の特性情報を示す画像データとして生成され得る。
説明中の音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。音響検出器(例えば探触子)は、被検体内で発生または反射した音響波を受信する。
説明中の被検体情報取得装置には、被検体(ファントムを含む)に近赤外線等の光(電磁波)を照射することにより被検体内で発生した音響波を受信して、被検体情報を画像データとして取得する光音響効果を利用した装置を含む。説明中の被検体情報取得装置には、例えば、光音響波診断装置等が含まれる。
光音響効果を利用した装置の場合、取得される被検体情報とは、光照射によって生じた音響波の発生源分布、被検体内の初期音圧分布、あるいは初期音圧分布から導かれる光エネルギー吸収密度分布や吸収係数分布、組織を構成する物質の濃度分布を示す。物質の濃度分布とは、例えば、酸素飽和度分布、トータルヘモグロビン濃度分布、酸化・還元ヘモグロビン濃度分布などである。
また、複数位置の被検体情報である特性情報を、2次元または3次元の特性分布として取得するものでもよい。特性分布は被検体内の特性情報を示す画像データとして生成され得る。
説明中の音響波とは、典型的には超音波であり、音波、超音波と呼ばれる弾性波を含む。光音響効果により発生した音響波のことを、光音響波または光超音波と呼ぶ。音響検出器(例えば探触子)は、被検体内で発生または反射した音響波を受信する。
<実施例1>
図1は、本発明の実施の形態に係る光音響装置用ファントムの実施例1を示す断面図である。実施例1の光音響装置用ファントム(以下、「ファントム」と略称する)100は、脂肪模擬層2(以下、「層2」と略称し、他の層についても同様とする)、乳腺模擬層
4をベースに構成される。層2,4は、生体の軟部組織に近似した音響物性および光学物性を有する高分子組成物からなる層である軟部組織模擬層である。軟部組織模擬層とは、軟部組織に近似した音響物性および光学物性を有する高分子組成物からなる層のことである。ただし、光音響装置(被検体情報取得装置に対応する)で検出すべき対象である腫瘍などの病理組織は、この軟部組織模擬層には含まれないものとする。軟部組織とは、血管、皮膚、乳腺、脂肪、筋肉、臓器といった、容易に変形ができる生体組織を指す。また、骨、歯のような変形が難しい組織は、一般に硬組織と呼ばれ、本明細書においてもこれらの組織を指す。
図1は、本発明の実施の形態に係る光音響装置用ファントムの実施例1を示す断面図である。実施例1の光音響装置用ファントム(以下、「ファントム」と略称する)100は、脂肪模擬層2(以下、「層2」と略称し、他の層についても同様とする)、乳腺模擬層
4をベースに構成される。層2,4は、生体の軟部組織に近似した音響物性および光学物性を有する高分子組成物からなる層である軟部組織模擬層である。軟部組織模擬層とは、軟部組織に近似した音響物性および光学物性を有する高分子組成物からなる層のことである。ただし、光音響装置(被検体情報取得装置に対応する)で検出すべき対象である腫瘍などの病理組織は、この軟部組織模擬層には含まれないものとする。軟部組織とは、血管、皮膚、乳腺、脂肪、筋肉、臓器といった、容易に変形ができる生体組織を指す。また、骨、歯のような変形が難しい組織は、一般に硬組織と呼ばれ、本明細書においてもこれらの組織を指す。
ファントム100は、例えば、乳房を模擬したものである。層2,4の厚みは、実際の乳房の脂肪層、乳腺層に近似していることが好ましく、例えば、0.1ミリメートル以上50ミリメートル以下であることが好ましい。層2,4は、XY平面と平行に積層された積層構造を形成している。しかし、層2と層4との接触面は、必ずしもXY平面と平行でなくとも良い。層2,4の接触面では、光の散乱あるいは超音波の伝搬の疎外となる気泡が可能な限り存在していないことが好ましい。この接触面は、実際の脂肪層と乳腺層との界面形状を模擬する場合には、凹凸構造を有していても良い。層2、4は、互いに圧着により一体化されても良いし、層2と層4との間に設けられる接着層により互いに接着されても良い。このことは、以下の軟部組織模擬層についても同様である。なお、層2および層4は、非反応性の低分子化合物を含有するようにしても良い。
層2は、乳房の脂肪に近似した音響物性および光学物性を有することが好ましい。層2の音響物性および光学物性は、以下の「ファントムの音響物性」および「ファントムの光学物性」において詳細に説明する。層2は、静脈や動脈などの脈管成分を模擬した構造物を配置してもよい。
層4は、乳房の乳腺に近似した音響物性および光学物性を有することが好ましい。層4の音響物性および光学物性については、以下の「ファントムの音響物性」および「ファントムの光学物性」において詳細に説明する。
光吸収体(以下、「吸収体」と略称する)6は、生体内の腫瘍部を模擬したものであり、ほかの正常組織を模擬した層2,4とは別個のものであり、軟部組織模擬層には含まれないものである。吸収体6は、光吸収係数を調整し、実際の腫瘍に近似した光吸収係数を有するように構成することが好ましい。吸収体6は、層4内に内包されて配置されることが好ましい。実際の腫瘍は乳腺層内に発生することが多いからである。吸収体6は、層4および層2の両方にまたがって配置されたり、層2内に内包されて配置されても良い。実際の腫瘍は乳腺の周辺組織へと浸潤することがあるからである。吸収体6は、球体であっても良いし、他の形状であっても良い。
<実施例2>
図2は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例2を示す断面図であり、実施例1と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また実施例1と類似する構成については、二百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例2のファントム200も層2,4、並びに吸収体6を有し、さらに層2と同一の脂肪模擬層202を有する。ファントム200は、層202,層4,層2の順に積層されて構成されている。
図2は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例2を示す断面図であり、実施例1と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また実施例1と類似する構成については、二百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例2のファントム200も層2,4、並びに吸収体6を有し、さらに層2と同一の脂肪模擬層202を有する。ファントム200は、層202,層4,層2の順に積層されて構成されている。
<実施例3>
図3は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例3を示す断面図であり、実施例1または実施例2と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。実施例3のファントム300も実施例1または実施例2と同様の層2,4,並びに吸収体6を有し
、さらに軟部組織模擬層である皮膚模擬層8を有する。層8は、例えば、乳房の皮膚層を模擬したものである。層8および層2とは接触しており、層2および層4とは接触している。それぞれの層の接触面は、必ずしもXY平面と平行でなくても良いし、それぞれの層の接触面は、視認できるような或いは微細な凸凹形状や湾曲形状を有するようにしても良い。層8と層2との接触面は、層2と層4との接触面とは必ずしも平行でなくともよい。
図3は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例3を示す断面図であり、実施例1または実施例2と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。実施例3のファントム300も実施例1または実施例2と同様の層2,4,並びに吸収体6を有し
、さらに軟部組織模擬層である皮膚模擬層8を有する。層8は、例えば、乳房の皮膚層を模擬したものである。層8および層2とは接触しており、層2および層4とは接触している。それぞれの層の接触面は、必ずしもXY平面と平行でなくても良いし、それぞれの層の接触面は、視認できるような或いは微細な凸凹形状や湾曲形状を有するようにしても良い。層8と層2との接触面は、層2と層4との接触面とは必ずしも平行でなくともよい。
層4,2,8それぞれの接触面では、光の散乱や超音波伝搬の疎外となる気泡は可能な限り存在していないことが好ましい。層4,2,8それぞれの接触面は、凹凸構造を有していてもよい。実際の生体内での界面形状を模擬できるからである。層8は、表皮や真皮の物性を平均した物性を有するようにしても良いし、表皮模擬層および真皮模擬層から構成される2層構造にしても良い。この表皮模擬層は、表皮の層構造を模擬するとともに物性もそれに近似させるものである。この真皮模擬層は、真皮の層構造を模擬するとともに物性もそれに近似させるものである。層8は、例えば、人の乳房の皮膚に近似した音響物性および光学物性を有することが好ましい。その音響物性および光学物性については、以下の「ファントムの音響物性」および「ファントムの光学物性」で詳細に説明する。
<実施例4>
図4は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例4を示す断面図であり、実施例1乃至実施例3のいずれかと共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例1乃至実施例3のいずれかと類似する構成については、四百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。上記のように実施例4のファントム400も実施例1乃至実施例3と同様の層8,2,6,4,202、並びに吸収体6を有しており、さらに層202の裏面に層8と同一の皮膚模擬層408が接触して設けられている。層408は、上記同様に、層202に圧着または接着されて設けられている。
図4は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例4を示す断面図であり、実施例1乃至実施例3のいずれかと共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例1乃至実施例3のいずれかと類似する構成については、四百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。上記のように実施例4のファントム400も実施例1乃至実施例3と同様の層8,2,6,4,202、並びに吸収体6を有しており、さらに層202の裏面に層8と同一の皮膚模擬層408が接触して設けられている。層408は、上記同様に、層202に圧着または接着されて設けられている。
<実施例5>
図5は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例5を示す断面図であり、実施例1と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例1と類似する構成については、五百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。脂肪模擬層502は、層2と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、乳房の脂肪層の形状に近似させるように形成されている。乳腺模擬層504は、層4と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、乳房の乳腺層の形状に近似させるように形成されている。吸収体6は、層504の内部に設けられる。吸収体6は、上記同様、乳腺層の内部に存在しやすい癌等を模擬したものだからである。しかしこれに限られず、吸収体6は、層502および層504の両方にまたがって設けられても良い。上記同様に、癌細胞等は、乳腺層から脂肪層に浸潤し得るため、これを模擬可能だからである。層502,504の厚みは、0.1ミリメートル以上50ミリメートル以下であることが好ましい。実際の乳房等における軟部組織の層構造に近似できるからである。上記音響物性および光学物性についても、以下の「ファントムの音響物性」および「ファントムの光学物性」で詳細に説明する。層502は、適宜、静脈や動脈などの脈管成分を模擬した構造物を自身の内部に形成されても良い。層502,504は、略ドーム形状に構成されている。
図5は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例5を示す断面図であり、実施例1と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例1と類似する構成については、五百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。脂肪模擬層502は、層2と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、乳房の脂肪層の形状に近似させるように形成されている。乳腺模擬層504は、層4と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、乳房の乳腺層の形状に近似させるように形成されている。吸収体6は、層504の内部に設けられる。吸収体6は、上記同様、乳腺層の内部に存在しやすい癌等を模擬したものだからである。しかしこれに限られず、吸収体6は、層502および層504の両方にまたがって設けられても良い。上記同様に、癌細胞等は、乳腺層から脂肪層に浸潤し得るため、これを模擬可能だからである。層502,504の厚みは、0.1ミリメートル以上50ミリメートル以下であることが好ましい。実際の乳房等における軟部組織の層構造に近似できるからである。上記音響物性および光学物性についても、以下の「ファントムの音響物性」および「ファントムの光学物性」で詳細に説明する。層502は、適宜、静脈や動脈などの脈管成分を模擬した構造物を自身の内部に形成されても良い。層502,504は、略ドーム形状に構成されている。
<実施例6>
図6は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例6を示す断面図であり、実施例4または実施例5と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例4または実施例5と類似する構成については、六百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例6のファントム600は、実施例5のファントム500の層502の湾曲面を覆うように皮膚模
擬層608が形成されている。層608は、層4と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、人間の乳房の皮膚層の形状に近似させるように形成されている。層608は、略ドーム形状に構成されている。層608の音響物性および光学物性は、乳房あるいはそれ以外の生体の皮膚層のそれらと略等しいものとしても良い。
図6は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例6を示す断面図であり、実施例4または実施例5と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例4または実施例5と類似する構成については、六百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例6のファントム600は、実施例5のファントム500の層502の湾曲面を覆うように皮膚模
擬層608が形成されている。層608は、層4と同一の音響物性および光学物性、ならびに同一の組成からなり、人間の乳房の皮膚層の形状に近似させるように形成されている。層608は、略ドーム形状に構成されている。層608の音響物性および光学物性は、乳房あるいはそれ以外の生体の皮膚層のそれらと略等しいものとしても良い。
<実施例7>
図7は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例7を示す断面図であり、実施例4乃至実施例6のいずれかと共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例4乃至実施例6のいずれかと類似する構成については、七百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例7のファントムもなるべく実際の乳房に近いドーム形状に形成される。しかしこれに限れず、おおよそドーム形状に形成されていればよい。ファントム700内に形成された乳腺を模擬した構造物704は、ファントム500、600の層504とは異なり、より実際の乳腺層の形状に近いものである。構造物704の光学物性および音響物性、並びに材質は、実際の乳腺に近いものが好ましく、層4と同一または類似するものでも良い。ファントム700は、さらに、乳管を模擬した構造物10を有する。構造物10は、中空の管状、あるいは中空でない紐状に形成されても良いし、実際の乳管の形状と略同一な種々の形状のものであっても良い。
図7は、本発明の実施の形態に係るファントムの実施例7を示す断面図であり、実施例4乃至実施例6のいずれかと共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。また、実施例4乃至実施例6のいずれかと類似する構成については、七百番台の番号を付すとともにその十の位および一の位に共通の番号を付して、必要のない限り説明を省略する。実施例7のファントムもなるべく実際の乳房に近いドーム形状に形成される。しかしこれに限れず、おおよそドーム形状に形成されていればよい。ファントム700内に形成された乳腺を模擬した構造物704は、ファントム500、600の層504とは異なり、より実際の乳腺層の形状に近いものである。構造物704の光学物性および音響物性、並びに材質は、実際の乳腺に近いものが好ましく、層4と同一または類似するものでも良い。ファントム700は、さらに、乳管を模擬した構造物10を有する。構造物10は、中空の管状、あるいは中空でない紐状に形成されても良いし、実際の乳管の形状と略同一な種々の形状のものであっても良い。
光吸収体6は、構造物704の内部に設けられる。上記同様に、例えば、光吸収体6は、乳癌を模するものであり、乳癌は主に乳腺内部に発生するからである。
なお、上記各実施例のファントムを構成する層2,4,8、202、408、502,504、および608、ならびに構造物704は、軟部組織模擬層である。
≪軟部組織模擬層の音響物性≫
上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の音速は、1420m/s以上1560m/s以下のものが好ましい。上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の音響減衰係数は、0.1dB/(MHz・cm)以上1.5dB/(MHz・cm)以下の範囲内ものが好ましい。
上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の音速は、1420m/s以上1560m/s以下のものが好ましい。上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の音響減衰係数は、0.1dB/(MHz・cm)以上1.5dB/(MHz・cm)以下の範囲内ものが好ましい。
層2、202、502の音速は、1440m/s以上1480m/s以下のものがさらに好ましく、その音響減衰係数は、0.1dB/(MHz・cm)以上0.8dB/(MHz・cm)以下のものであることがさらに好ましい。軟部組織の内、特に実際の脂肪層の音響物性値をより忠実に模擬でき、例えば実際の乳房の脂肪層内を音響波が伝搬する様子を忠実に再現可能だからである。
層4、504、704の音速は、1480m/s以上1560m/s以下のものが好ましく、より好ましくは1460m/s以上1540m/s以下のものとしても良い。層4、504、704の音響減衰家数は、0.4dB/(MHz・cm)以上1.5dB/(MHz・cm)以下のものが好ましく、より好ましくは0.4dB/(MHz・cm)以上1.2dB/(MHz・cm)以下のものとしても良い。軟部組織の内、特に実際の乳腺層の音響物性値をより忠実に模擬でき、この実際の乳腺層内を音響波が伝搬する様子を忠実に再現可能だからである。
軟部組織模擬層を二層有するファントムでは、二層の内一方の脂肪模擬層の音速を1440m/s以上1480m/s以下のものとし、かつ、その音響減衰係数を0.2dB/(MHz・cm)以上0.8dB/(MHz・cm)以下のものとして構成しても良い。このファントムでは、さらに、他方の乳腺模擬層の音速を1460m/s以上1540m/s以下のものとし、かつ、その音響減衰係数を0.4dB/(MHz・cm)以上1.
2dB/(MHz・cm)以下のものとして構成しても良い。実際の例えば乳房内を音響波が伝搬する様子を忠実に再現できるからである。
2dB/(MHz・cm)以下のものとして構成しても良い。実際の例えば乳房内を音響波が伝搬する様子を忠実に再現できるからである。
≪軟部組織模擬層の光学物性≫
上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の吸収係数は、0.001/mm以上0.05/mm以下のものが好ましい。上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の等価散乱係数は、0.5/mm以上1.5/mm以下のものが好ましい。
上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の吸収係数は、0.001/mm以上0.05/mm以下のものが好ましい。上記各実施例のファントムの軟部組織模擬層の等価散乱係数は、0.5/mm以上1.5/mm以下のものが好ましい。
層2、202、502の吸収係数は、0.001/mm以上0.01/mm以下のものがさらに好ましく、その等価散乱係数は、0.6/mm以上1.2/mm以下のものがさらに好ましい。軟部組織の内、特に実際の脂肪層の光学物性値をより忠実に模擬できるからである。また、例えば実際の乳房の脂肪層内を光が伝搬する様子を忠実に再現できるからである。
層4、504、704の吸収係数は、0.01/mm以上0.04/mm以下のものが好ましく、その等価散乱係数は、0.8/mm以上1.4/mm以下のものが好ましい。これにより、軟部組織の内、特に実際の乳腺層の光学物性値をより忠実に模擬できるからである。
軟部組織模擬層を二層有するファントムでは、二層のうち一方の脂肪模擬層の吸収係数を0.001/mm以上0.01/mm以下のものとし、かつ、その等価散乱係数を0.6/mm以上1.2/mm以下のものとして構成しても良い。このファントムでは、さらに、他方の乳腺模擬層の吸収係数を0.01/mm以上0.04/mm以下のものとし、かつ、その等価散乱係数を0.6/mm以上1.4/mm以下のものとして構成しても良い。実際の例えば乳房の脂肪層および乳腺層内を光が伝搬する様子を忠実に再現できるからである。
≪皮膚模擬層の音響物性および光学物性≫
層8、408、608の音速は、1530m/s以上1700m/s以下のものが好ましく、その音響減衰係数は、1.5dB/(cm・MHz)以上5.5dB/(cm・MHz)以下のものが好ましい。層8、408、608の音速は、さらに、1570m/s以上1670m/s以下のものがより好ましく、その音響減衰係数は、2.0dB/(cm・MHz)以上5.0dB/(cm・MHz)以下のものがより好ましい。これにより、乳房等の皮膚層の音響物性値および光学物性値を忠実に再現でき、乳房等の皮膚層内を光および音響波が伝搬する様子を忠実に再現できる。
層8、408、608の音速は、1530m/s以上1700m/s以下のものが好ましく、その音響減衰係数は、1.5dB/(cm・MHz)以上5.5dB/(cm・MHz)以下のものが好ましい。層8、408、608の音速は、さらに、1570m/s以上1670m/s以下のものがより好ましく、その音響減衰係数は、2.0dB/(cm・MHz)以上5.0dB/(cm・MHz)以下のものがより好ましい。これにより、乳房等の皮膚層の音響物性値および光学物性値を忠実に再現でき、乳房等の皮膚層内を光および音響波が伝搬する様子を忠実に再現できる。
層8、408、608の光学物性値は、吸収係数を0.001/mm以上0.25/mm以下のものとし、等価散乱係数を1.0/mm以上4.5/mm以下のものとするのが好ましい。層8、408、608の光学物性値は、また、ネグロイド(黒色人種)、コーカソイド(白色人種)、モンゴロイド(黄色人種)などの人種に応じて適宜調整されても良い。層8、408、608の光学物性値は、光音響装置の検査対象となる人種の皮膚の光学物性値に近づけるようにしても良い。これにより、光音響装置を使用する地域や人種に応じたファントムを構成可能であり、その人種等に対してより装置校正の効果の大きいファントムを提供できる。
≪その他の軟部組織模擬層および硬組織模擬層≫
上記各ファントムあるいはこれから適宜設計変更して形成されるファントムの各構成要素の光学物性値および音響物性値は、筋肉、骨、靭帯、乳管、血管などを模擬する場合、各組織の実際の音響物性値および光学物性値に近似したものであることが好ましい。血管の動脈および静脈は、ヘモグロビンの状態に基づく酸素飽和度を再現することで、模擬で
きる。この酸素飽和度は、複数波長で光を照射したときの血液の波長毎の吸収係数から算出できる数値である。各実施例のファントムは、その内部に血管を模擬した構造物を設けるようにしても良い。この構造物の光学物性は、光音響装置で使用するレーザー光の波長に基づく所定の酸素飽和度によって定まる吸収係数を再現しているものであっても良い。
上記各ファントムあるいはこれから適宜設計変更して形成されるファントムの各構成要素の光学物性値および音響物性値は、筋肉、骨、靭帯、乳管、血管などを模擬する場合、各組織の実際の音響物性値および光学物性値に近似したものであることが好ましい。血管の動脈および静脈は、ヘモグロビンの状態に基づく酸素飽和度を再現することで、模擬で
きる。この酸素飽和度は、複数波長で光を照射したときの血液の波長毎の吸収係数から算出できる数値である。各実施例のファントムは、その内部に血管を模擬した構造物を設けるようにしても良い。この構造物の光学物性は、光音響装置で使用するレーザー光の波長に基づく所定の酸素飽和度によって定まる吸収係数を再現しているものであっても良い。
≪吸収体6≫
各実施例の吸収体6は、癌等の腫瘍の光学物性を模擬して構成したものである。吸収体6は、光が照射された際に、その光を吸収して熱膨張することで音響波を発生する。吸収体6の形状は、腫瘍の形状を模擬していることが好ましいが、円柱状や球状に構成することで簡易的にターゲットとしての機能を有するようにしても良い。吸収体6は、生体の正常組織に対して比較的吸収係数が高い場合や酸素飽和度が低い場合を模擬するように構成しても良い。吸収体6が癌を模擬する場合に、癌の吸収係数は、生体の正常組織のそれよりも高い場合が多く、癌の酸素飽和度は、生体の正常組織のそれよりも低い場合が多いからである。
各実施例の吸収体6は、癌等の腫瘍の光学物性を模擬して構成したものである。吸収体6は、光が照射された際に、その光を吸収して熱膨張することで音響波を発生する。吸収体6の形状は、腫瘍の形状を模擬していることが好ましいが、円柱状や球状に構成することで簡易的にターゲットとしての機能を有するようにしても良い。吸収体6は、生体の正常組織に対して比較的吸収係数が高い場合や酸素飽和度が低い場合を模擬するように構成しても良い。吸収体6が癌を模擬する場合に、癌の吸収係数は、生体の正常組織のそれよりも高い場合が多く、癌の酸素飽和度は、生体の正常組織のそれよりも低い場合が多いからである。
≪ファントムを構成する各層および構造物の耐水性≫
光音響装置は、被検体からの光音響波を受信してそれを電気信号に変換し、その電気信号をデジタル信号に変換して、そのデジタル信号に基づいて被検体の内部構造をイメージングする。この被検体には各実施例のファントムも含むものである。光音響装置は、生体と類似した音響物性を有するとともに音響減衰係数もきわめて小さな水もしくは、水を主成分としたハイドロゲルを被検体である生体と超音波探触子との間に設置して測定するものである。被検体からの光音響波を効率よく受信できるからである。ファントムは、光音響装置の校正あるいは精度管理を行う場合、水と接するように設置されることもある。したがって、各実施例のファントムの各層あるいは構造物は、非水溶性樹脂から構成されることが好ましい。水と接触した際の形状変化、あるいは、各層あるいは構造物を形成する成分の溶出を低減できるからである。
光音響装置は、被検体からの光音響波を受信してそれを電気信号に変換し、その電気信号をデジタル信号に変換して、そのデジタル信号に基づいて被検体の内部構造をイメージングする。この被検体には各実施例のファントムも含むものである。光音響装置は、生体と類似した音響物性を有するとともに音響減衰係数もきわめて小さな水もしくは、水を主成分としたハイドロゲルを被検体である生体と超音波探触子との間に設置して測定するものである。被検体からの光音響波を効率よく受信できるからである。ファントムは、光音響装置の校正あるいは精度管理を行う場合、水と接するように設置されることもある。したがって、各実施例のファントムの各層あるいは構造物は、非水溶性樹脂から構成されることが好ましい。水と接触した際の形状変化、あるいは、各層あるいは構造物を形成する成分の溶出を低減できるからである。
また、各実施例に係るファントムに対する比較技術は、光音響装置は良好な光音響波画像を得るため測定対象を水中に浸漬して測定するものである。この場合、例えば、ポリビニルアルコールなどの水溶性樹脂を使用すると、膨潤や水への溶出といった問題が生ずる。したがって、人体の皮膚、脂肪など各組織の構造を模し、かつ、各構造物が光学物性および音響物性を人体に近似させた光音響装置用ファントムは実現できていなかった。しかしながら、各実施例に係るファントムであって、上記非水溶性樹脂から構成されるものについては、このような問題も発生しない。
ここで言う水溶性とは、24時間室温に水中浸漬後、表面を水洗し、50℃の雰囲気下で重量変化が1%未満になるまで試料を乾燥させ、初期重量と水中浸漬後の試料の乾燥重量を比べて評価できる。試料は、ファントムであっても良いし、ファントムの構成要素のそれぞれであっても良い。また、ファントムの水溶性は、水中浸漬前後の重量変化が10%以下であることが好ましいが、各層あるいは構造物の物性変化や形状精度を一定に保つために、5%以下であることがより好ましい。
ファントムの吸水率は、その形状変化を効果的に抑制するために、なるべく低いことが好ましく、吸水率が50%以下であることが好ましい。ファントムの吸水率は、より高い寸法精度を保つ観点から、30%以下であることがより好ましい。吸水率は、JISK7209「プラスチック―吸水率の求め方」を用いて測定するものである。ファントムの吸水率は、自身が水と接触する時間を考慮し、短時間の吸水率で評価しても問題はないが、24時間の吸水率で評価することが好ましい。
≪ファントムの製造方法≫
図8は、本発明の実施の形態に係る実施例4のファントム400の製造方法を示す斜視図であり、実施例4と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。図8における第一の工程で、皮膚模擬層8が型枠部材15上に設けられた構造物800が形成され、第2の工程に移行する。この場合、構造物800は、あらかじめ準備した層8があらかじめ準備した型枠部材15の上部に接着部材により張り付けられて形成されても良い。または、型枠部材15が底面部材とされ、その周囲が液漏れ防止枠で囲まれ、その防止枠が側面部材とされて形成される層8形成用の型枠が構成される。そして、この型枠内に層8形成用の熱硬化樹脂が所定の厚みで流し込まれ、この樹脂が固まった後、この型枠のうち側面部材のみ取り外される。これにより、構造物800が形成されても良い。また、これによれば、接着部材を使用せずに層8が型枠部材15に密着した構造物800が形成される。また、これによれば、気泡を含まない層8を構築できる。この樹脂が型枠に流し込まれる際に巻き込まれた気泡が、この樹脂の硬化反応中に徐々に抜けていくからである。
図8は、本発明の実施の形態に係る実施例4のファントム400の製造方法を示す斜視図であり、実施例4と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。図8における第一の工程で、皮膚模擬層8が型枠部材15上に設けられた構造物800が形成され、第2の工程に移行する。この場合、構造物800は、あらかじめ準備した層8があらかじめ準備した型枠部材15の上部に接着部材により張り付けられて形成されても良い。または、型枠部材15が底面部材とされ、その周囲が液漏れ防止枠で囲まれ、その防止枠が側面部材とされて形成される層8形成用の型枠が構成される。そして、この型枠内に層8形成用の熱硬化樹脂が所定の厚みで流し込まれ、この樹脂が固まった後、この型枠のうち側面部材のみ取り外される。これにより、構造物800が形成されても良い。また、これによれば、接着部材を使用せずに層8が型枠部材15に密着した構造物800が形成される。また、これによれば、気泡を含まない層8を構築できる。この樹脂が型枠に流し込まれる際に巻き込まれた気泡が、この樹脂の硬化反応中に徐々に抜けていくからである。
第二の工程で、乳腺模擬層4が形成される。この場合、ウレタンゲルが型内で硬化されて形成される。この場合、後段の第三の工程でファントムが形成されるための型枠内に設置できる形状に形成されるようにする。この場合、その形状に層4を形成可能な乳腺模擬層形成用の型枠にウレタンゲルが流し込まれて、それが硬化されることで層4が形成され、第三の工程に移行する。この場合、流し込まれたウレタンゲルの他の層と接することになる面および内部に気泡が残留していないことが好ましい。なお、吸収体6が層4内に設けられる場合は、層4の形成工程で吸収体6がテグス等により乳腺模擬層形成用の型枠内の所望の位置に固定されるようにする。そして、その状態でウレタンゲルが流し込まれることで、流し込まれたウレタンゲルの内部に吸収体6が含まれるようにする。そして、その状態で硬化されるようにする。
図9は、本発明の実施の形態に係る実施例4のファントム400の製造方法を示す他の斜視図であり、上記説明中に出てきた構成と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。図9における第三の工程で、2つの構造物800の層8が形成されている側同士を互いに対向させるように構造物800が型枠部材18上に設けられる。この場合、型枠部材15の長手側側面が型枠部材18の長手方向に沿うとともに型枠部材18の主面に接触するように設けられる。そして、型枠部材20が、その短手側側面が型枠部材18の短手方向に沿うとともに型枠部材18の主面に接触するように設けられる。さらに、2つの構造物800の短手側側面が、型枠部材20の主面のうちその長手側側面と近い側の一方と他方に接触するようにそれぞれ設けられる。部材18,20,15は、ファントム400を形成するための型枠を構成するものであって、後段の工程において、最終的には取り外されるものである。そして、構造物800および部材18,20から構成される構造物の空間であって、2つの構造物800の間に設けられた間隙に層4が設けられる。この場合、層4の主面および裏面がそれぞれ層8の一方と他方に対向するように設けられるとともに、層4の長手側側面の一方が部材18の主面と接触するように設けられる。この場合、この層4の長手側側面が部材18の長手方向に沿うように固定して設けられる。この場合、それぞれの部材同士が接着部材により接着されても良いし、他の種々の方法で固定されても良い。層4の位置を固定するための位置固定機構をあらかじめ部材18に設けるようにしても良い。上記の方法により層4の位置が固定された後、第四の工程に移行する。
図10は、本発明の実施の形態に係る実施例4のファントム400の製造方法を示すさらに他の斜視図であり、上記説明中に出てきた構成と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。図10における第四の工程で、型枠部材22が部材20と対向するとともに、その主面が構造物800の側面、層4の側面、および部材18の主面に接触するように設けられる。これにより、層4と層8との間隙から形成される樹脂を流し込むための2つの空間24が形成される。そして、この空間24に脂肪模擬層2を形成するた
めのウレタンゲルが流し込まれて、それが硬化され、第五の工程に移行する。
めのウレタンゲルが流し込まれて、それが硬化され、第五の工程に移行する。
図11は、本発明の実施の形態に係る実施例4のファントム400の製造方法を示すさらに他の斜視図であり、上記説明中に出てきた構成と共通の構成については同一の番号を付して説明を省略する。図11において、第五の工程で、ファントム400の形状を形成するための型枠部材15,18,20が取り外されることでファントム400が取り出される。なお、これに限られず、例えば、吸収体6は層4内以外の層に含まれるようにしても良い。この場合は、吸収体6を含ませたい層の形成工程で適宜吸収体6が内部に含まれるように樹脂が流し込まれるとともに、硬化されるようにする。
≪各層を構成する材料≫
図12は、ウレタンゲルの架橋インデックスと音響減衰係数の相関を示す図である。図12の縦軸は、音響減衰係数[dB/(cm・MHz)]であり、横軸は、架橋インデックス(CI)である。本図について説明する前段で、各層を構成する材料等について説明する。まず、乳房に光学物性および音響物性が近似したファントムを実現するに至った、各模擬層を構成する材料について、ファントム400をその一例として説明する。ファントム400の各層2,4,8は、軟部組織を模擬する場合に、好適な光学物性値と音響物性値を有する材料から構成されている。この材料は、ポリオール(特にポリエーテルポリオール)とイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンゲルの架橋構造を制御することで、音響物性を軟部組織に近似するように制御したものである。この材料は、さらに、光散乱体と吸収体を添加することで、ウレタンゲルの音響物性を損なうことなく光学物性値も軟部組織に近似するようにしたものである。
図12は、ウレタンゲルの架橋インデックスと音響減衰係数の相関を示す図である。図12の縦軸は、音響減衰係数[dB/(cm・MHz)]であり、横軸は、架橋インデックス(CI)である。本図について説明する前段で、各層を構成する材料等について説明する。まず、乳房に光学物性および音響物性が近似したファントムを実現するに至った、各模擬層を構成する材料について、ファントム400をその一例として説明する。ファントム400の各層2,4,8は、軟部組織を模擬する場合に、好適な光学物性値と音響物性値を有する材料から構成されている。この材料は、ポリオール(特にポリエーテルポリオール)とイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタンゲルの架橋構造を制御することで、音響物性を軟部組織に近似するように制御したものである。この材料は、さらに、光散乱体と吸収体を添加することで、ウレタンゲルの音響物性を損なうことなく光学物性値も軟部組織に近似するようにしたものである。
≪ウレタンゲルの音響物性の制御手段≫
ファントム400を構成する各層は、ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物を硬化して得られるウレタンゲルを主成分とする。このウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は、1600以上5000以下のものである。これにより、各層は、軟部組織の音響物性を近似するように構成できる。この架橋インデックス(CI)は、以下の式(1)を満たすものである。
ファントム400を構成する各層は、ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物を硬化して得られるウレタンゲルを主成分とする。このウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は、1600以上5000以下のものである。これにより、各層は、軟部組織の音響物性を近似するように構成できる。この架橋インデックス(CI)は、以下の式(1)を満たすものである。
式(1)についての各パラメータは、以下のとおりである。
WU:ウレタンゲルの総重量[g]
Wi:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールである成分iの重量(iは1以上)[g]
W0:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート化合物の重量[g]
WOH:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールの総重量[g]Mi:ポリエーテルポリオールである成分iの数平均分子量(iは1以上)[g/mol]
Eqi:ポリエーテルポリオールである成分iの活性水酸基当量[g/eq]
Eq0:イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量[g/eq]
Ci:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオール全モル数[mol]
[OH]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれる水酸基の総モル数[mol]
[NCO]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート基の総モル数[mol]
WU:ウレタンゲルの総重量[g]
Wi:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールである成分iの重量(iは1以上)[g]
W0:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート化合物の重量[g]
WOH:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールの総重量[g]Mi:ポリエーテルポリオールである成分iの数平均分子量(iは1以上)[g/mol]
Eqi:ポリエーテルポリオールである成分iの活性水酸基当量[g/eq]
Eq0:イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量[g/eq]
Ci:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオール全モル数[mol]
[OH]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれる水酸基の総モル数[mol]
[NCO]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート基の総モル数[mol]
このウレタンゲルは、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる。このポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなどである。このポリオールは、特に、ポリエーテルポリオールが好ましい。これにより、形成されるウレタンゲルは、より軟部組織に近似した音響物性値および光学物性値を有するものとなる。なお、音響波の伝搬時のエネルギー損失は、音響減衰の主要因である。よって、上記ポリオールとしてポリエーテルポリオールを選択するのが、伝搬時のエネルギー損失が少ないように各層を形成できるという点で好適である。ポリエーテルポリオールは、分子間の相互作用が弱いことから、分子の運動性が高く、超音波伝搬時のエネルギー損失が少ないと考えられ、ファントム400を形成するにあたり好適である。
一方、ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールは、分子間の相互作用が強く、分子の運動性が低くなり、音響波の伝搬時にエネルギーの損失が大きくなるため、音響減衰係数が大きくなると考えられる。このため、層8を形成する際に用いるのが特に適している。皮膚層は、生体の中でも他の軟部組織層と比較して音響減衰係数が高いものだからである。
音響減衰を制御するためには、ウレタンゲルの架橋密度も大きく影響する。この架橋密度は、ポリエーテルポリオールの分子量によっておもに定まり、分子量が長くなることで、イソシアネートと反応して形成される架橋点の密度が低下する。その結果として、分子は運動しやすくなり、超音波伝搬時のエネルギー損失が低減され、音響減衰係数が小さくなる傾向にある。また、イソシアネート基の添加量が少ない場合、ポリエーテルポリオール中の1分子中の1つ以上の水酸基が反応せず、自由に運動できるポリエーテルポリオール鎖が増加する。また、分子鎖の運動を抑制する効果がある架橋点も減少する。この結果、ウレタンゲル中の分子の運動性が向上すると考えられ、超音波伝搬時のエネルギー損失が低減され、音響減衰係数は小さくなると考えられる。
以上の点から、ウレタンゲル中のポリオールの構造およびその分子量とイソシアネート化合物の添加量が音響減衰の制御に重要となる。
架橋インデックス(CI)は、架橋に寄与するポリエーテルポリオール成分と不十分な反応しかしていないポリエーテルポリオール成分のウレタンゲルにおける量を表す指標である。よって、CIは、ウレタンゲル中でのポリエーテルポリオールの運動性に大きく相関するものであり、音響減衰係数に影響を及ぼすものと考えられる。このCIに基づき設計したポリエーテルポリオールを用いたウレタンゲルにおいて、CIが1600以上において、音響減衰係数が1.5dB/cm−1以下のものを実現できる。
図12において、横軸CIが略1600を超えてから音響減衰係数の変動が緩やかになり、この領域内のCIでファントムを構成することで、高い精度で人体に近似した音響減衰係数を有するファントムを構成可能である。上記ウレタンゲルを形成するにあたり、水酸基当量(1g中の水酸基のモル数)や分子量の異なるポリエーテルポリオールについて、イソシアネート化合物の配合量を適宜調整することで、軟部組織に近似した音響減衰係数を実現することができる。
≪ポリエーテルポリオール≫
上記ウレタンゲルを形成するポリエーテルポリオールは、分子中にヒドロキシル基を2個以上有する種々のポリエーテルポリオールが適用可能である。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記ウレタンゲルを形成するポリエーテルポリオールは、分子中にヒドロキシル基を2個以上有する種々のポリエーテルポリオールが適用可能である。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いても良い。
このポリエーテルポリオールの成分は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1−メチル−1,3−ブチレングリコール、2−メチル−1,3−ブチレングリコール、1−メチル−1,4−ペンチレングリコール、2−メチル−1,4−ペンチレングリコール、1,2−ジメチル−ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチル−ネオペンチルグリコール、1−メチル−1,5−ペンチレングリコール、2−メチル−1,5−ペンチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンチレングリコール、1,2−ジメチルブチレングリコール、1,3−ジメチルブチレングリコール、2,3−ジメチルブチレングリコール、1,4−ジメチルブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等である。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて公知の方法で重合することで、所望のポリエーテルポリオールを得ることができる。
上記ポリエーテルポリオールは、入手の容易性の点から、その数平均分子量が500以上7000以下のものが好ましい。上記ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、1000以上5000以下のものがより好ましい。粘度が低くハンドリング性が高いからである。数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いることで測定できるものである。
上記ポリエーテルポリールの活性水酸基当量は、公知の方法で水酸基の量を測定し、求めることができる。以下、水酸基価から活性水酸基当量を求める方法の一例を説明する。ポリエーテルポリオールを、無水酢酸を含むピリジン溶液とし、水酸基をアセチル化させた後、過剰のアセチル化試薬は、水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化カリウムで滴定を行う。終点は滴定曲線上の変曲点とし、水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から、ポリエーテルポリオールの水酸基価を算出できる。この水酸基価から活性水酸基当量を求めることができる。
≪イソシアネート化合物≫
上記のウレタンゲルは、熱硬化性樹脂の一種であり、例えば、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。このイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有する種々のものが適用できる。このイソシアネート化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。以下、このイソシアネート化合物について、説明する。
上記のウレタンゲルは、熱硬化性樹脂の一種であり、例えば、ポリオールとイソシアネート化合物とを反応させることにより得られる。このイソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有する種々のものが適用できる。このイソシアネート化合物は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。以下、このイソシアネート化合物について、説明する。
このイソシアネート化合物は、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、3−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’−シクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4、4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート等である。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて、上記ウレタンゲルの形成に用いても良い。
このイソシネート化合物は、上記各実施例のファントムが有するべき所望の効果を阻害しない範囲で、変性体として調製することもできる。ポリイソシアネート変性体は、例えば、多量体ダイマー、トリマーなどである。あるいは、ビュレット変性体、アロファネート変性体、ポリオール変性体、オキサジアジントリオン変性体、カルボジイミド変性体などである。なお、多量体ダイマーは、例えば、ウレトジオン変性体などである。トリマーは、例えば、イソシアヌレート変性体、イミノオキサジアジンジオン変性体などである。ビュレット変性体は、例えば、水との反応により生成するビュレット変性体などである。アロファネート変性体は、例えば、モノオールまたは低分子量ポリオールとの反応より生成するアロファネート変性体などである。ポリオール変性体は、例えば、低分子量ポリオールまたは高分子量ポリオールとの反応より生成するポリオール変性体などである。オキサジアジントリオン変性体は、例えば、炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなどである。カルボジイミド変性体は、脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体などである。
イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量は、公知の方法で水酸基の量を測定し、求めることができる。以下、イソシアネート当量の測定方法の一例を説明する。イソシアネート化合物を脱水トルエンに溶解後、過剰のジノルマルブチルアミン溶液を加えて反応させ、残ったジノルマルブチルアミンを塩酸で逆滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とする。終点までの滴定量から、イソシアネート当量を算出することができる。
≪ウレタン化触媒≫
上記ポリオールおよびポリイソシネートの一方あるいは両方に、ポリオールが有する水酸基とイソシネート化合物が有するイソシアネート基の反応を促進する触媒を適量加えてもよい。触媒としては、公知のウレタン化触媒を用いることができる。この触媒は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩である。これらの触媒は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
上記ポリオールおよびポリイソシネートの一方あるいは両方に、ポリオールが有する水酸基とイソシネート化合物が有するイソシアネート基の反応を促進する触媒を適量加えてもよい。触媒としては、公知のウレタン化触媒を用いることができる。この触媒は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩である。これらの触媒は、単独または2種以上を併用して用いることができる。
≪ウレタンゲルの光学物性≫
上記ウレタンゲルは、各実施例のファントムを形成する場合に、光散乱体および吸収体を光学物性調整材として添加されるようにしても良い。光の散乱および吸収特性を生体に
近似させられるからである。この光散乱体は、光散乱性を有する化合物であり、ウレタンゲルに添加されることでウレタンゲルの等価散乱係数が調整される。これにより、このウレタンゲルの光伝搬特性を人体組織のものと近似できる。この光散乱体は、ウレタンゲルと屈折率が異なる無機粒子であっても良い。この無機粒子は、酸化ケイ素、金属酸化物、複合金属酸化物、金属硫化物、金属化合物半導体、金属、ダイヤモンドのいずれかからなることが好ましい。この金属酸化物の例としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫等が適用可能である。複合金属酸化物の例としては、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等が適用可能である。この金属化合物半導体の例としては、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属硫化物、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等が適用可能である。上記金属の例としては、金等が適用可能である。この光散乱体は、また、1種類の無機粒子に他の無機成分を被覆した、いわゆるコア−シェル型無機粒子から構成しても良い。また、この無機粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状等いずれの形状であっても良い。
上記ウレタンゲルは、各実施例のファントムを形成する場合に、光散乱体および吸収体を光学物性調整材として添加されるようにしても良い。光の散乱および吸収特性を生体に
近似させられるからである。この光散乱体は、光散乱性を有する化合物であり、ウレタンゲルに添加されることでウレタンゲルの等価散乱係数が調整される。これにより、このウレタンゲルの光伝搬特性を人体組織のものと近似できる。この光散乱体は、ウレタンゲルと屈折率が異なる無機粒子であっても良い。この無機粒子は、酸化ケイ素、金属酸化物、複合金属酸化物、金属硫化物、金属化合物半導体、金属、ダイヤモンドのいずれかからなることが好ましい。この金属酸化物の例としては、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化テルル、酸化イットリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫等が適用可能である。複合金属酸化物の例としては、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等が適用可能である。この金属化合物半導体の例としては、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の金属硫化物、セレン化亜鉛、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、テルル化カドミウム等が適用可能である。上記金属の例としては、金等が適用可能である。この光散乱体は、また、1種類の無機粒子に他の無機成分を被覆した、いわゆるコア−シェル型無機粒子から構成しても良い。また、この無機粒子の形状は、球状、楕円状、扁平状、ロッド状等いずれの形状であっても良い。
この無機粒子は、光音響装置の光源が被検体に照射する光であって、その光源が使用する波長領域のものをなるべく吸収しないものが好ましい。この無機粒子は、また、光を散乱するために、ウレタンゲルと屈折率が異なっていることが好ましい。この無機粒子は、このため、平均一粒子径は100nm以上100μm以下であることが好ましい。光散乱性を担保できるからである。この無機粒子は、平均一粒子径が200nm以上10μm以下のものから構成するのがより好ましい。光音響波の診断に用いる波長の光をより効果的に散乱できるからである。このような無機粒子としては、無機酸化物が適用可能であるが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の高屈折率の無機粒子を用いることが好ましい。
これらの無機微粒子は、表面を修飾処理してもよい。無機微粒子は、酸化チタンの場合、光による活性を有するため、シリカやアルミナ等の無機成分によって表面を被覆する修飾処理を行うことが好ましい。また、無機微粒子の表面に対して、有機物であるウレタンゲルへの分散性を向上するため、有機成分を有する分散助剤を使用してもよい。これら有機成分を有する分散剤は、ウレタンゲルに相溶性のある種々のものが適用できる。
吸収体6は、光音響装置の光源が被検体に照射する光であって、その光源が使用する波長領域のものを主に吸収するものが好ましい。この吸収体6は、そのような性質を持つ化合物から構成されても良い。光音響装置では、生体の窓と呼ばれる波長600nm以上1100nm以下の近赤外領域にある波長の光を被検体に照射するため、吸収体6は、この波長領域にある光を最も吸収する構成とすることが好ましい。
吸収体6は、例えば、以下の公知の顔料が適用可能である。吸収体6を形成可能な青色顔料としては、フタロシアニン系、アントラキノン系が適用可能である。また、これら以外にも、金属置換もしくは無置換のフタロシアニン化合物も使用することができる。吸収体6を形成可能な赤色顔料としては、モノアゾ系、ジスアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等が適用可能である。吸収体6を形成可能な緑色顔料としては、青色顔料同様にフタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系が適用可能である。黄色着色剤としてはモノアゾ系、ジスアゾ系、縮合アゾ系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アントラキノン系等が適用可能である。さらに、吸収体6を形成可能な黒色顔料としては、Pigment Black 7やカーボンブラック等が適用可能である。その他、紫、オレンジ、茶色顔料も、適宜、吸収体6に要求する光吸収特性に合わせて利用することもできる。
≪その他の添加剤≫
その他の添加剤として、ウレタンゲルの硬さや音響物性を制御するために、可塑剤等を上記ポリオール、イソシアネート化合物、あるいはウレタンゲルに添加してもよい。この可塑剤として、公知の可塑剤を使用することができる。公知の可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、多価アルコールのエステル等が適用可能である。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記フタル酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ(2−ブトキシエチル)、フタル酸ベンジル2−エチルヘキシル、フタル酸ベンジルn−ブチル、フタル酸ベンジルイソノニル、イソフタル酸ジメチル等が適用可能である。上記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等が適用可能である。上記ピロメリット酸エステルとしては、ピロメリット酸テトラブチル、ピロメリット酸テトラヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−2−エチルヘキシル、ピロメリット酸テトラデシル等が適用可能である。上記脂肪族一塩基酸エステルとしては、オレイン酸ブチル、オレイン酸メチル、オクタン酸メチル、オクタン酸ブチル、ドデカン酸メチル、ドデカン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸ブチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸ブチル、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等が適用可能である。上記脂肪族二塩基酸エステルとしては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ−n−プロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブチルジグリコール)、アジピン酸ヘプチルノニル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジ−n−オクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジブチル、フマル酸ジ(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)等が適用可能である。上記リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−n−アミル、リン酸トリフェニル、リン酸トリ−o−クレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸ジフェニル2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリス(2−ブトキシエチル)、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)等が適用可能である。上記多価アルコールのエステルとしては、ジエチレングリコールジアセチレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、グリセロールモノオレイエート、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、グリセリル−トリ(アセチルリシノレート)、トリエチレングリコールジアセテート等が適用可能である。
その他の添加剤として、ウレタンゲルの硬さや音響物性を制御するために、可塑剤等を上記ポリオール、イソシアネート化合物、あるいはウレタンゲルに添加してもよい。この可塑剤として、公知の可塑剤を使用することができる。公知の可塑剤としては、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、リン酸エステル、多価アルコールのエステル等が適用可能である。これらは、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記フタル酸エステルとしては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジ−n−ヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジフェニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジ(2−ブトキシエチル)、フタル酸ベンジル2−エチルヘキシル、フタル酸ベンジルn−ブチル、フタル酸ベンジルイソノニル、イソフタル酸ジメチル等が適用可能である。上記トリメリット酸エステルとしては、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリヘキシル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリイソデシル等が適用可能である。上記ピロメリット酸エステルとしては、ピロメリット酸テトラブチル、ピロメリット酸テトラヘキシル、ピロメリット酸テトラ−n−オクチル、ピロメリット酸テトラ−2−エチルヘキシル、ピロメリット酸テトラデシル等が適用可能である。上記脂肪族一塩基酸エステルとしては、オレイン酸ブチル、オレイン酸メチル、オクタン酸メチル、オクタン酸ブチル、ドデカン酸メチル、ドデカン酸ブチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸ブチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸ブチル、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート等が適用可能である。上記脂肪族二塩基酸エステルとしては、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジ−n−プロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジ(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ジ(ブチルジグリコール)、アジピン酸ヘプチルノニル、アゼライン酸ジメチル、アゼライン酸ジ−n−オクチル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、コハク酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジブチル、フマル酸ジ(2−エチルヘキシル)、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)等が適用可能である。上記リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−n−アミル、リン酸トリフェニル、リン酸トリ−o−クレジル、リン酸トリキシレニル、リン酸ジフェニル2−エチルヘキシル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリス(2−ブトキシエチル)、リン酸トリス(2−エチルヘキシル)等が適用可能である。上記多価アルコールのエステルとしては、ジエチレングリコールジアセチレート、ジエチレングリコールジベンゾエート、グリセロールモノオレイエート、グリセロールトリブチレート、グリセロールトリアセテート、グリセリル−トリ(アセチルリシノレート)、トリエチレングリコールジアセテート等が適用可能である。
≪ウレタンゲルの製造方法≫
ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物を主成分とする硬化性組成物が加熱処理されることで上記ウレタンゲルが製造される。この場合、硬化性組成物が任意の型に注がれ、加熱処理が行われる。この場合、この加熱温度がポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応性に合わせ適宜選択される。この場合、加熱温度が40℃以上200℃以下に設定されるのが好ましく、加熱処理時の分解反応や着色、泡の残留を低減す
るために60℃以上120℃以下に設定されるのがより好ましい。なお、硬化性組成物は、ポリエーテルポリオール、イソシアネート化合物を主成分とし、必要に応じて、光学物性調整材、ウレタン化触媒、可塑剤等の添加剤を適量加えて調合されるものである。
ポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物を主成分とする硬化性組成物が加熱処理されることで上記ウレタンゲルが製造される。この場合、硬化性組成物が任意の型に注がれ、加熱処理が行われる。この場合、この加熱温度がポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応性に合わせ適宜選択される。この場合、加熱温度が40℃以上200℃以下に設定されるのが好ましく、加熱処理時の分解反応や着色、泡の残留を低減す
るために60℃以上120℃以下に設定されるのがより好ましい。なお、硬化性組成物は、ポリエーテルポリオール、イソシアネート化合物を主成分とし、必要に応じて、光学物性調整材、ウレタン化触媒、可塑剤等の添加剤を適量加えて調合されるものである。
≪熱可塑性ポリウレタン≫
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ウレタンゲルと類似したポリオール骨格を有し、各実施例のファントムの軟部組織模擬層として好適に使用することができる。熱可塑性ポリウレタンは、ウレタンゲル同様に、光学物性調整材や可塑剤を添加し、光学物性と音響物性を適宜調整することができる。これらの添加材は、溶融混練法、溶液混合法を用いることができるが、溶融混練法がより好ましい。成形時の気泡発生を低減できるからである。各実施例の軟部組織模擬層の主成分となる熱可塑性ポリウレタンとしては、特に限定されることなく、公知の熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。熱可塑性ポリウレタンは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはポリカーボネート系ポリオールと、ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの水添体など)と、鎖延長剤(エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジオール、テトラメチレングリコールなど)との反応によって得られるポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンなどである。熱可塑性ポリウレタンは、ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤の三成分から合成されるものである。この熱可塑性ポリウレタンは、ウレタン結合の繰り返しユニットからなるいわゆるハードセグメント部分と、主にポリオールからなるいわゆるソフトセグメント部分とを有するブロックポリマーである。熱可塑性ポリウレタンは、特に、ジイソシアネートと鎖延長剤からなるハードセグメントの量に比べ、ポリエーテル成分を主成分とするソフトセグメントの含有量が少ないものが好ましい。柔軟性が高く、生体に類似した音響物性を有するので好適にファントムの形成に利用できるからである。このような特性を有する熱可塑性ポリウレタンは、市販品としては、Lubrizol Corporation製ESTANE(R)
ALR E72などである。なお、ポリエーテルポリオールの繰り返しユニットはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびテトラメチレンオキサイドのうち1種以上の繰り返し構造単位を有するものとしても良い。
熱可塑性ポリウレタン樹脂は、ウレタンゲルと類似したポリオール骨格を有し、各実施例のファントムの軟部組織模擬層として好適に使用することができる。熱可塑性ポリウレタンは、ウレタンゲル同様に、光学物性調整材や可塑剤を添加し、光学物性と音響物性を適宜調整することができる。これらの添加材は、溶融混練法、溶液混合法を用いることができるが、溶融混練法がより好ましい。成形時の気泡発生を低減できるからである。各実施例の軟部組織模擬層の主成分となる熱可塑性ポリウレタンとしては、特に限定されることなく、公知の熱可塑性ポリウレタンを用いることができる。熱可塑性ポリウレタンは、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、またはポリカーボネート系ポリオールと、ジイソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの水添体など)と、鎖延長剤(エチレンジアミン、1,6−ヘキサンジオール、テトラメチレングリコールなど)との反応によって得られるポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリカーボネート系ポリウレタンなどである。熱可塑性ポリウレタンは、ポリオール、ジイソシアネートおよび鎖延長剤の三成分から合成されるものである。この熱可塑性ポリウレタンは、ウレタン結合の繰り返しユニットからなるいわゆるハードセグメント部分と、主にポリオールからなるいわゆるソフトセグメント部分とを有するブロックポリマーである。熱可塑性ポリウレタンは、特に、ジイソシアネートと鎖延長剤からなるハードセグメントの量に比べ、ポリエーテル成分を主成分とするソフトセグメントの含有量が少ないものが好ましい。柔軟性が高く、生体に類似した音響物性を有するので好適にファントムの形成に利用できるからである。このような特性を有する熱可塑性ポリウレタンは、市販品としては、Lubrizol Corporation製ESTANE(R)
ALR E72などである。なお、ポリエーテルポリオールの繰り返しユニットはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびテトラメチレンオキサイドのうち1種以上の繰り返し構造単位を有するものとしても良い。
ポリエーテルポリオールの重合体の数平均分子量および活性水酸基当量、イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量、ウレタンゲルの密度、および音響減衰係数は、次に述べる方法で測定した。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、以下の方法で測定した。すなわち、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography、GPC)装置(ウォーターズ(WATERS)社製)で、Shodex KD−806M カラム(昭和電工株式会社製)2本、Shodex KD−802 カラム(昭和電工株式会社製)1本を直列に配置し、40℃、展開溶媒としてN、N’−ジメチルホルムアミドを用い、RI(Refractive Index、示差屈折率)検出器により測定した。得られた数平均分子量および重量平均分子量はポリエチレングリコール換算値である。
ポリエーテルポリオールの活性水酸基当量は、以下の方法で測定した。すなわち、ポリエーテルポリオールを、無水酢酸を含むピリジン溶液とし、水酸基をアセチル化させた後、過剰のアセチル化試薬を水によって加水分解し、生成した酢酸を水酸化カリウムで滴定を行った。終点は滴定曲線上の変曲点とし、水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から、ポリエーテルポリオールの水酸基価を算出できる。水酸基当量(水酸基1モルあたりのグラム数)=水酸化カリウムの分子量(56100mg)/水酸基価(mgKOH/g)であるので、水酸基価から活性水酸基当量を求めた。
イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量は、以下の方法で測定した。すなわち、イソシアネート化合物を脱水トルエンに溶解後、過剰のジノルマルブチルアミン溶液を加えて反応させ、残ったジノルマルブチルアミンを塩酸で逆滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とする。終点までの滴定量から、イソシアネート含有率を計算した。イソシアネート当量(イソシアネート基1モルあたりのグラム数)=イソシアネート基の分子量(1モルあたり42g)/(イソシアネート含有率/100)であるので、イソシアネート含有率から、活性イソシアネート当量を求めた。本実施例で使用したイソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアネートの三量体は、イソシアネート含量21.7%であり、活性イソシアネート当量は194(g/モル)であった。
ウレタンゲルの密度は、以下の方法で測定した。すなわち、プラスチック−非発泡プラスチックの密度および比重の測定方法(JIS K7112)に基づき、電子比重計(MD−300S、アルファーミラージュ株式会社製)を用いてウレタンゲルの密度を測定した。
ウレタンゲルの音響減衰係数は、以下の方法で測定した。すなわち、音響減衰係数測定に用いる探触子は、超音波トランスデューサー(送信部)(Olympus NDT Inc.製、V303(中心周波数1MHz))、および、ハイドロフォン(受信部)(東レエンジニアリング株式会社製、ニードル型ハイドロフォン)を用いた。治具によりトランスデューサーとハイドロフォンを音軸の中心が一致するように水槽内に固定した。トランスデューサーとハイドロフォンの距離は40mmとした。
試験片については、硬化させたウレタンゲルを100mm×100mm、厚さ10mmの型に注型し、90℃にて1時間加熱することによる樹脂を硬化させた。その後、型を取り外し、サイズ100mm×100mm、厚さ10mmの板状試験片を得た。試験片を、治具を用いて上記実験系のトランスデューサーとハイドロフォンの間に板状試験片に対する超音波信号の入射角が0°となるように固定した。トランスデューサーから8サイクルのサイン波(送信電圧100V)をファンクションジェネレーター(NF回路設計株式会社製、WF1946)を用いて送信し、各試験片設置時および試験片を設置していない場合のハイドロフォンの受信電圧最大振幅値をオシロスコープ(レクロイ・ジャパン株式会社製、WaveRunner 64Xi)を用いて求めた。試験片を測定系に設置した場合と設置しない場合における電圧最大振幅値から、下記式(2)を用いて、音響減衰係数を求めた。
α=−(20/t)log[(A’/A)・{(Z1+Z2)2}/(4Z1Z2)]
・・・(2)
なお、式(2)は、減衰係数α(dB/(cm・MHz))、試験片の厚みt(cm)、試験片設置時の受信電圧最大振幅値A’(mV)、試験片を設置していない時の受信電圧最大振幅値A0(mV)、水の音響インピーダンスZ1(MRayls)、試験片の音響インピーダンスZ2(MRayls)からなる。式(2)のパラメータである音響インピーダンスは、密度と音速の積として求められる。計算に必要となる音速と密度は実測して算出したものである。音速は、音響減衰係数の同様の測定系で、試験片を測定系に設置した場合と設置しない場合における受信波到達時間の差を、オシロスコープで得られた波形の交差相関をとることで求め、この受信波到達時間の差から下記式(3)を用いて音速を求めた。
C2=t/{τ+t/C1}
・・・(3)
なお、式(3)は、測定時の水温における水の音速C1(m/s)、試験片の音速C2(m/s)、試験片の厚みt(m)、試験片を設置した場合の受信波到達の遅れ時間τ(s)からなる。
α=−(20/t)log[(A’/A)・{(Z1+Z2)2}/(4Z1Z2)]
・・・(2)
なお、式(2)は、減衰係数α(dB/(cm・MHz))、試験片の厚みt(cm)、試験片設置時の受信電圧最大振幅値A’(mV)、試験片を設置していない時の受信電圧最大振幅値A0(mV)、水の音響インピーダンスZ1(MRayls)、試験片の音響インピーダンスZ2(MRayls)からなる。式(2)のパラメータである音響インピーダンスは、密度と音速の積として求められる。計算に必要となる音速と密度は実測して算出したものである。音速は、音響減衰係数の同様の測定系で、試験片を測定系に設置した場合と設置しない場合における受信波到達時間の差を、オシロスコープで得られた波形の交差相関をとることで求め、この受信波到達時間の差から下記式(3)を用いて音速を求めた。
C2=t/{τ+t/C1}
・・・(3)
なお、式(3)は、測定時の水温における水の音速C1(m/s)、試験片の音速C2(m/s)、試験片の厚みt(m)、試験片を設置した場合の受信波到達の遅れ時間τ(s)からなる。
≪ウレタンゲルの調整方法≫
図12は、ウレタンゲルの種々の調整を行った結果を示す表である。図12(a)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各実施例の結果を示す表である。図12(b)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各比較例の結果を示す表である。図12(c)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各参考例の結果を表に示す表である。ウレタンゲルの種々の調整は、基本的に以下のようにして行われる。すなわち、ポリエーテルポリオールに、適宜添加剤(ウレタン化触媒、光学物性調整材、可塑剤等)が添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が調合される。その後、調合液の脱法処理が行われた後、イソシアネート化合物が適量加えられ、気泡が巻き込まれないように均一に混合(混合物が構成される)され、所定の型に注型される。その後、90度に事前に加熱されたオーブンに注型したウレタンゲルが入れられ、2時間加熱されることでウレタンゲルが得られる。以下、実施例等により具体的に述べる。なお、音響測定および硬さ試験のために、100mm×100mm×厚10mmの型に注型され、ウレタンゲル試験片が得られた。また、密度測定用に、重さ約10gの試験片が別途作成された。
図12は、ウレタンゲルの種々の調整を行った結果を示す表である。図12(a)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各実施例の結果を示す表である。図12(b)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各比較例の結果を示す表である。図12(c)は、ウレタンゲルの種々の調整に関する各参考例の結果を表に示す表である。ウレタンゲルの種々の調整は、基本的に以下のようにして行われる。すなわち、ポリエーテルポリオールに、適宜添加剤(ウレタン化触媒、光学物性調整材、可塑剤等)が添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が調合される。その後、調合液の脱法処理が行われた後、イソシアネート化合物が適量加えられ、気泡が巻き込まれないように均一に混合(混合物が構成される)され、所定の型に注型される。その後、90度に事前に加熱されたオーブンに注型したウレタンゲルが入れられ、2時間加熱されることでウレタンゲルが得られる。以下、実施例等により具体的に述べる。なお、音響測定および硬さ試験のために、100mm×100mm×厚10mmの型に注型され、ウレタンゲル試験片が得られた。また、密度測定用に、重さ約10gの試験片が別途作成された。
<実施例8>
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2000、水酸基当量=988g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.002gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.6g添加された。調整した液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1951であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.03g/cm3、音速は1520m/s、音響減衰は0.9dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2000、水酸基当量=988g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.002gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.6g添加された。調整した液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1951であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.03g/cm3、音速は1520m/s、音響減衰は0.9dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例9>
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2000、水酸基当量=988g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.003gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、硬化剤を含めた全重量に対して、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)17.3wt%、カーボンブラック粉末0.0007重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.6g添加された。調整した液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1951であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.02g/cm3、音速は1495m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2000、水酸基当量=988g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.003gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、硬化剤を含めた全重量に対して、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)17.3wt%、カーボンブラック粉末0.0007重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.6g添加された。調整した液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1951であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.02g/cm3、音速は1495m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例10>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.012gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が13.1g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋イ
ンデックス(CI)は2907であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1526m/s、音響減衰は0.9dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.012gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が13.1g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋イ
ンデックス(CI)は2907であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1526m/s、音響減衰は0.9dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例11>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.012gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が15.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1880であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1425m/s、音響減衰は1.3dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.012gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が15.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1880であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1425m/s、音響減衰は1.3dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例12>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が9.8g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は3876であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.10g/cm3、音速は1523m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が9.8g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は3876であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.10g/cm3、音速は1523m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例13>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=5000、水酸基当量=2527g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が8.4g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は4645であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1508m/s、音響減衰は0.8dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=5000、水酸基当量=2527g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が8.4g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は4645であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1508m/s、音響減衰は0.8dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例14>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)20gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=2900、水酸基当量=1469g/mol)80gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.4g添加され、調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱さ
れ、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2490であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.05g/cm3、音速は1430m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)20gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=2900、水酸基当量=1469g/mol)80gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.4g添加され、調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱さ
れ、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2490であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.05g/cm3、音速は1430m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例15>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)30gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)70gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2345であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1467m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)30gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)70gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2345であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1467m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
<実施例16>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=4600、水酸基当量=1594g/mol)50gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)50gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が12.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2658であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1442m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=4600、水酸基当量=1594g/mol)50gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)50gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011gが添加される。そして、よく撹拌されることでポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の20重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が12.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2658であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1442m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織を模擬した層を形成するものとして好適であった。
実施例8乃至実施例16において、光散乱体として平均粒径210nmの酸化チタン粒子とカーボンブラック粉末が適宜添加される以外は、同様の処方で光学物性が制御されるものである。光学物性評価のため、試料が石英セル中で硬化された。このセルに対して分光光度計(日本分光株式会社製、V−670)が用いられて透過率と反射率が求められた。別途樹脂硬化されたサンプル(サイズ10×10×50mm)に対して、屈折率計(株式会社島津製作所製、KPR−2000)が用いられることにより屈折率が求められた。これらの結果に対してモンテカルロシミュレーションにより、測定値と計算値の差が最小となるように変数設定の最適化が行われ、各波長における吸収係数および等価散乱係数が算出された。結果、近赤外領域である800nmの波長において、吸収係数が0.001/mm以上0.05/mm以下および等価散乱係数が0.5以上1.5/mm以下である生体(人体の乳腺組織)に近似した光学物性が得られた。すなわち、軟部組織に近似した光学物性を有する軟部組織模擬層を形成するものとして音響物性および光学物性の双方において好適な材料が得られた。
実施例8乃至実施例16において、約5gの試験片が作製され、60℃に加熱されたオ
ーブンで24時間放置された後、重量が測定された。その後、室温水中にて24時間放置された。水中から取り出されて乾燥され、水中に浸漬され、その後、重量が測定された。この結果、水中浸漬時の吸水により体積膨張する試験片は存在したが、乾燥後の重量変化は微小であり、いずれの実施例についても、非水溶性であることが確認された。
ーブンで24時間放置された後、重量が測定された。その後、室温水中にて24時間放置された。水中から取り出されて乾燥され、水中に浸漬され、その後、重量が測定された。この結果、水中浸漬時の吸水により体積膨張する試験片は存在したが、乾燥後の重量変化は微小であり、いずれの実施例についても、非水溶性であることが確認された。
<比較例1>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=7000、水酸基当量=3117g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.002g、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)85g、が添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が5.7g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1880であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.01g/cm3、音速は1400m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織模擬層を形成するものとしては、音速が低かった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=7000、水酸基当量=3117g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.002g、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)85g、が添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が5.7g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1880であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.01g/cm3、音速は1400m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であり、軟部組織模擬層を形成するものとしては、音速が低かった。
<比較例2>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.005gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が6.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱された。しかし、この加熱により形成されたものは、粘調体で物性の評価を行えないものであった。その架橋インデックス(CI)は5813であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.005gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が6.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱された。しかし、この加熱により形成されたものは、粘調体で物性の評価を行えないものであった。その架橋インデックス(CI)は5813であった。
<比較例3>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=5000、水酸基当量=2527g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.005gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が5.7g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱された。しかし、この加熱により形成されたものは、粘調体で物性の評価を行えないものであった。その架橋インデックス(CI)は6812であった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=5000、水酸基当量=2527g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.005gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が5.7g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱された。しかし、この加熱により形成されたものは、粘調体で物性の評価を行えないものであった。その架橋インデックス(CI)は6812であった。
<比較例4>
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=650、水酸基当量=326g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.008gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が18.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は654であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.08g/cm3、音速は1614m/s、音響減衰は7.4dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=650、水酸基当量=326g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.008gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が18.6g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は654であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.08g/cm3、音速は1614m/s、音響減衰は7.4dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
<比較例5>
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=650、水酸基当量=326g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011g、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)58gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が59.4g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は654であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.08g/cm3、音速は1546m/s、音響減衰は3.7dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=650、水酸基当量=326g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.011g、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)58gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が59.4g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は654であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.08g/cm3、音速は1546m/s、音響減衰は3.7dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
<比較例6>
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=1000、水酸基当量=510g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.003gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が13.8g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1041であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1551m/s、音響減衰は2.5dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=1000、水酸基当量=510g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.003gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が13.8g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型され、90度で2時間加熱され、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1041であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1551m/s、音響減衰は2.5dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
<比較例7>
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.3g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1504であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1442m/s、音響減衰は2.8dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が19.3g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は1504であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1442m/s、音響減衰は2.8dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。
<参考例1>
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の15重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.12g/cm3、音速は1557m
/s、音響減衰は3.5dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の15重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.12g/cm3、音速は1557m
/s、音響減衰は3.5dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
<参考例2>
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の1重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.15g/cm3、音速は1592m/s、音響減衰は4.4dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の1重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.15g/cm3、音速は1592m/s、音響減衰は4.4dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
<参考例3>
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の30重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1532m/s、音響減衰は2.1dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の30重量%となるように添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.09g/cm3、音速は1532m/s、音響減衰は2.1dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
<参考例4>
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.15g/cm3、音速は1593m/s、音響減衰は5.0dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)100gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.006gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が14.5g添加された。調整された液が均一に混合された後、型に注型された後、90度で2時間加熱されることで、ウレタンゲルが得られた。得られたウレタンゲルの架橋インデックス(CI)は2686であった。得られたウレタンゲルの物性を測定したところ、密度は1.15g/cm3、音速は1593m/s、音響減衰は5.0dB/(cm・MHz)であり、音響減衰が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬層を形成するものとして用いることはできなかった。しかし、皮膚模擬層を形成するものとしては好適であった。
図13は、実施例、比較例、参考例の架橋インデックスと音響減衰係数との関係を示す図である。図13において、架橋インデックスが略1600以下の領域では、架橋インデ
ックスが増加するほど音響減衰係数が急峻に減少するものである。また、架橋インデックスが略1600以上略5000以下の領域(図中の一点鎖線で囲われた領域)では、架橋インデックスが増加するほど音響減衰係数が緩やかに減少していくものである。図13は、一点鎖線領域内に含まれるように架橋インデックスを調整したウレタンゲルが軟部組織模擬層を形成するものとして好適であることを示すものである。架橋インデックスの変化に対する音響減衰係数の変化が小さいため、ファントムの特性を安定して形成可能であるとともに、音響減衰係数も軟部組織に近似した値に構成可能だからである。また、分子間の自己凝集性が高いポリカーボネートポリオールについては、ポリエーテルポリオールに比べ、分子間の相互作用が強く、音響減衰係数が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬には不適当であるが、皮膚模擬層を形成するものとしては好適である。
ックスが増加するほど音響減衰係数が急峻に減少するものである。また、架橋インデックスが略1600以上略5000以下の領域(図中の一点鎖線で囲われた領域)では、架橋インデックスが増加するほど音響減衰係数が緩やかに減少していくものである。図13は、一点鎖線領域内に含まれるように架橋インデックスを調整したウレタンゲルが軟部組織模擬層を形成するものとして好適であることを示すものである。架橋インデックスの変化に対する音響減衰係数の変化が小さいため、ファントムの特性を安定して形成可能であるとともに、音響減衰係数も軟部組織に近似した値に構成可能だからである。また、分子間の自己凝集性が高いポリカーボネートポリオールについては、ポリエーテルポリオールに比べ、分子間の相互作用が強く、音響減衰係数が高く、皮膚模擬層以外の軟部組織模擬には不適当であるが、皮膚模擬層を形成するものとしては好適である。
図14は、実施例、比較例、参考例の架橋インデックスと音速との関係を示す図である。図14は、実施例、比較例、参考例における架橋インデックスと音速をプロットしたものである。図14は、二点鎖線の枠内の領域にポリエーテルポリオール系のウレタンゲルが含まれ、この枠内に収まる特性を有するウレタンゲルは、軟部組織模擬層を形成するものとして音速の点でも好適である。
以上から、架橋インデックス1600以上5000以下となるポリエーテルポリオールをポリオールとして使用したウレタンゲルは、音響物性について、好適に軟部組織模擬層の形成に利用できることが明らかとなった。加えて、これらの材料について、光散乱剤と吸収材を使用するようにしても良い。これにより、上記音響物性を模擬すると同時に光学物性をも模擬することが可能である。
<実施例17>
図15は、実施例17におけるファントム400の乳腺模擬層の調整方法を説明する図である。本実施例では、ファントム400の皮膚模擬層および乳腺模擬層の調整方法を以下に説明する。まず皮膚模擬層の調整方法は、以下のようなものである。すなわち、ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)300gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.018gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の5重量%となるように添加されるとともに、光散乱剤として酸化チタンが0.25重量%、カーボンブラックが0.003重量%添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が43.5添加された。調整した液が均一に混合された後、型(内寸、高さ160mm、幅220mm、厚さ2mm)に注型され、90度で2時間加熱され、皮膚模擬層が得られた。得られた皮膚模擬層の架橋インデックス(CI)は2523であった。得られた皮膚模擬層の物性を測定したところ、密度は1.14g/cm3、音速は1584m/s、音響減衰は4.6dB/(cm・MHz)であった。また、石英セル内で別途硬化したサンプルの光学物性を測定したところ、吸収係数0.05/mm、等価散乱係数2.6/mmであった。すなわち、皮膚模擬層としては好適な層が得られた。
図15は、実施例17におけるファントム400の乳腺模擬層の調整方法を説明する図である。本実施例では、ファントム400の皮膚模擬層および乳腺模擬層の調整方法を以下に説明する。まず皮膚模擬層の調整方法は、以下のようなものである。すなわち、ポリカーボネートポリオールとして、ヘキサンジオールとペンタンジオールの共重合体(数平均分子量=2000、水酸基当量=1004g/mol)300gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.018gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、フタル酸ジイソノニルが可塑剤として、硬化剤が含められた全重量の5重量%となるように添加されるとともに、光散乱剤として酸化チタンが0.25重量%、カーボンブラックが0.003重量%添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が43.5添加された。調整した液が均一に混合された後、型(内寸、高さ160mm、幅220mm、厚さ2mm)に注型され、90度で2時間加熱され、皮膚模擬層が得られた。得られた皮膚模擬層の架橋インデックス(CI)は2523であった。得られた皮膚模擬層の物性を測定したところ、密度は1.14g/cm3、音速は1584m/s、音響減衰は4.6dB/(cm・MHz)であった。また、石英セル内で別途硬化したサンプルの光学物性を測定したところ、吸収係数0.05/mm、等価散乱係数2.6/mmであった。すなわち、皮膚模擬層としては好適な層が得られた。
次に、乳腺模擬層の調整方法は、以下のようなものである。すなわち、ポリエーテルポリオールとして、ポリテトラメチレングリコール(数平均分子量=2000、水酸基当量=988g/mol)1254gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.015gが添加される。そして、よく撹拌され、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、硬化剤が含められた全重量に対して、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)17.3wt%、カーボンブラック粉末0.0007重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイ
ソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が246g添加された。調整された液が均一に混合された後、型1502(内寸、高さ160mm、幅220mm、厚さ30mm)に注型され、90度で2時間加熱され、乳腺模擬層が得られた。この場合、乳腺模擬層形成用の型1502に上記の調整された液が注がれる際、あらかじめ球体型の吸収体6a、6bが設置されるようにした。得られた乳腺模擬層の架橋インデックス(CI)は1951であった。得られた乳腺模擬層の物性を測定したところ、密度は1.02g/cm3、音速は1495m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であった。また、石英セル内で別途硬化したサンプルの光学物性を測定したところ、吸収係数0.01/mm、等価散乱係数0.9/mmであった。すなわち、乳腺模擬層として好適な層が得られた。
ソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が246g添加された。調整された液が均一に混合された後、型1502(内寸、高さ160mm、幅220mm、厚さ30mm)に注型され、90度で2時間加熱され、乳腺模擬層が得られた。この場合、乳腺模擬層形成用の型1502に上記の調整された液が注がれる際、あらかじめ球体型の吸収体6a、6bが設置されるようにした。得られた乳腺模擬層の架橋インデックス(CI)は1951であった。得られた乳腺模擬層の物性を測定したところ、密度は1.02g/cm3、音速は1495m/s、音響減衰は0.7dB/(cm・MHz)であった。また、石英セル内で別途硬化したサンプルの光学物性を測定したところ、吸収係数0.01/mm、等価散乱係数0.9/mmであった。すなわち、乳腺模擬層として好適な層が得られた。
乳腺模擬層の調整は、以下のようにしても良い。すなわち、熱可塑性ポリウレタン(ESTANE ALR E72(R)、Lubrizol Corporation製、セグ
メント化ポリウレタン)に、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]が40重量%、カーボンブラック粉末0.0008重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加され、密閉型混練機(PLASTI−CORDER、BRABENDER製)に投入され、15分100rpmで混練された。混練されて得られた樹脂が100μのシートに成形された後、複数枚積層されて熱プレス処理され、高さ160mm、幅220mm、厚さ30mmの板が作製された。シート積層時に、直径10mm厚さ1mmの高い吸収係数を有する板が挟まれることで、乳腺模擬層内に光音響装置用の光吸収体が形成されるようにした。
メント化ポリウレタン)に、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]が40重量%、カーボンブラック粉末0.0008重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加され、密閉型混練機(PLASTI−CORDER、BRABENDER製)に投入され、15分100rpmで混練された。混練されて得られた樹脂が100μのシートに成形された後、複数枚積層されて熱プレス処理され、高さ160mm、幅220mm、厚さ30mmの板が作製された。シート積層時に、直径10mm厚さ1mmの高い吸収係数を有する板が挟まれることで、乳腺模擬層内に光音響装置用の光吸収体が形成されるようにした。
この場合、得られた乳腺模擬層の密度は1.03g/cm3、音速は1491m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であった。また、板状試験片を作製して光学物性を測定したところ、吸収係数0.01/mm、等価散乱係数1.2/mmであった。光学物性の算出に際しては、プレス成形により厚さ2mm、50mm×50mmの試験片を作製し、分光光度計にて透過率および反射率を測定した。この値と熱可塑性ポリウレタンの屈折率を元に、モンテカルロシミュレーションを行い、測定値と計算値の差が最小となるように変数設定の最適化を行い、各波長における吸収係数および等価散乱係数を算出した。後段では、熱可塑性ポリウレタンからなる乳腺模擬層を図10と同様の型枠に配置してファントム400を形成した。
本実施例では、さらに脂肪模擬層の調整方法を以下に説明する。ポリエーテルポリオールとして、エチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1002g/mol)261gとエチレングリコールとプロピレングリコールの共重合体(数平均分子量=3000、水酸基当量=1476g/mol)609gに、ウレタン化触媒(ジラウリン酸ジブチル錫、DBTDL)0.010gが添加される。そして、よく撹拌されることで、ポリエーテルポリオール調整液が得られた。さらに、硬化剤を含めた全重量に対して、可塑剤(フタル酸ジイソノニル)20wt%、カーボンブラック粉末0.0002重量%、酸化チタン粉末0.12重量%が添加された。その後、調整液にイソシアネート化合物(ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソシアネート当量=194g/mol)が130g添加された。調整された液が均一に混合された後、ファントム作製用最終型(図10のすべての型枠部材から構成される型)内に注型され、90度で2時間加熱され、脂肪模擬層が得られた。得られた脂肪模擬層の架橋インデックス(CI)は2345であった。得られた脂肪模擬層の物性を測定したところ、密度は1.06g/cm3、音速は1467m/s、音響減衰は0.5dB/(cm・MHz)であった。また、石英セル内で別途硬化したサンプルの光学物性を測定したところ、吸収係数0.005/mm、等価散乱係数1.1/mmであった。すなわち、脂肪模擬層として好適な層が得られ、五層構造のファントム400が得られた。
≪光音響測定≫
ファントム400が光音響装置に設置され、所定のレーザー光がファントム400に照射されるようにした。探触子によって受信されたファントム400から発生する音響波に基づくデジタルデータに基づき画像再構成された。これにより、吸収体6a、6bが確認されたが、音響波の音圧は各層の音響物性の影響を受けていることが明らかとなった。
ファントム400が光音響装置に設置され、所定のレーザー光がファントム400に照射されるようにした。探触子によって受信されたファントム400から発生する音響波に基づくデジタルデータに基づき画像再構成された。これにより、吸収体6a、6bが確認されたが、音響波の音圧は各層の音響物性の影響を受けていることが明らかとなった。
≪光音響装置の校正方法≫
ファントム400を用いた光音響装置の校正方法は例えば以下のようなものが考えられる。すなわち、まず、ファントムが装置に設置される。そして、そのファントムに対して光が照射されるとともに、その照射に基づき発生する音響波が装置により受信される。その受信された音響波が電気信号として出力され、その出力に基づいてデジタル電気信号が生成される。そのデジタル電気信号に基づいて画像再構成が行われることで、ファントムの内部構造に応じた画像データが生成される。この画像データ(特性情報に対応する)が表示装置により画像として表示される。そして、ユーザーによりこの画像が、このファントムの吸収体6の位置を正しく反映されたものであるか否かが判断される。正しく反映していないものと判断されれば、装置の調整が行われたうえで、再度上記のステップが行われる。そして、吸収体6の位置が正しく反映されているものと判断された場合は、装置の校正が完了したとして、校正処理を終了するようにする。
ファントム400を用いた光音響装置の校正方法は例えば以下のようなものが考えられる。すなわち、まず、ファントムが装置に設置される。そして、そのファントムに対して光が照射されるとともに、その照射に基づき発生する音響波が装置により受信される。その受信された音響波が電気信号として出力され、その出力に基づいてデジタル電気信号が生成される。そのデジタル電気信号に基づいて画像再構成が行われることで、ファントムの内部構造に応じた画像データが生成される。この画像データ(特性情報に対応する)が表示装置により画像として表示される。そして、ユーザーによりこの画像が、このファントムの吸収体6の位置を正しく反映されたものであるか否かが判断される。正しく反映していないものと判断されれば、装置の調整が行われたうえで、再度上記のステップが行われる。そして、吸収体6の位置が正しく反映されているものと判断された場合は、装置の校正が完了したとして、校正処理を終了するようにする。
上記のように、各実施例のファントムは、実際の生体(例えば乳房等)の光学物性を模擬すると同時に音響物性も模擬可能なものであり、しかも積層構造を形成するものである。さらに、このファントムは、主に光音響装置の校正や特性の評価に用いられるものである。しかし、本発明の種々の特徴の実施は上記に説明した実施例等に限るものではない。例えば、各層を単一でこの装置の校正等に用いても良い。さらに、それぞれの層を着脱可能に構成しても良い。
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給するようにしても良い。そして、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給するようにしても良い。そして、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
2 脂肪模擬層、4 乳腺層
Claims (18)
- 被検体に光を照射することで前記被検体から伝搬した音響波に基づいて前記被検体の特性情報を取得する被検体情報取得装置の校正に用いるファントムであって、
第1の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第1の層と、
前記第1の層と積層構造を形成するとともに第2の軟部組織を模擬した光学物性および音響物性を有する第2の層とを有し、
前記第2の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、
前記第2の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下であるファントム。 - 前記第2の層は脂肪を模擬した層である請求項1に記載のファントム。
- 前記第2の層の吸収係数は0.001/mm以上かつ0.05/mm以下であり、
前記第2の層の等価散乱係数は0.5/mm以上かつ1.5/mm以下である請求項1または2に記載のファントム。 - 前記第2の層の音速は1420m/s以上かつ1480m/s以下であり、
前記第2の層の音響減衰係数は0.2dB/(MHz・cm)以上かつ0.8dB/(MHz・cm)以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファントム。 - 前記第2の層の吸収係数は0.001/mm以上かつ0.01/mm以下であり、
前記第2の層の等価散乱係数は0.6/mm以上かつ1.2/mm以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のファントム。 - 前記第1の層の音速は1420m/s以上かつ1560m/s以下であり、
前記第1の層の音響減衰係数は0.1dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下である請求項1に記載のファントム。 - 前記第1の層は乳腺を模擬した層である請求項6に記載のファントム。
- 前記第1の層の音速は1480m/s以上かつ1560m/s以下であり、
前記第1の層の音響減衰係数は0.4dB/(MHz・cm)以上かつ1.5dB/(MHz・cm)以下である請求項6または7に記載のファントム。 - 前記第1の層の吸収係数は0.01/mm以上かつ0.04/mm以下であり、
前記第1の層の等価散乱係数は0.6/mm以上かつ1.4/mm以下である請求項6乃至8のいずれか1項に記載のファントム。 - 前記第2の層は脂肪を模擬した層であり、
前記第2の層の音速は1440m/s以上かつ1480m/s以下であり、
前記第2の層の音響減衰係数は0.2dB/(MHz・cm)以上かつ0.8dB/(MHz・cm)以下であり、
前記第2の層の吸収係数は0.001/mm以上かつ0.01/mm以下であり、
前記第2の層の等価散乱係数は0.6/mm以上かつ1.2/mm以下であり、
前記第1の層は乳腺を模擬した層であり、
前記第1の層の音速は1460m/s以上かつ1540m/s以下であり、
前記第1の層の音響減衰係数は0.4dB/(MHz・cm)以上かつ1.2dB/(MHz・cm)以下であり、
前記第1の層の吸収係数は0.01/mm以上かつ0.04/mm以下であり、
前記第1の層の等価散乱係数は0.6/mm以上かつ1.4/mm以下である請求項1に記載のファントム。 - 前記第2の層と積層構造を形成するとともに皮膚を模擬した皮膚模擬層をさらに有し、
前記皮膚模擬層の音速は1530m/s以上かつ1700m/s以下であり、
前記皮膚模擬層の音響減衰係数は1.5dB/(MHz・cm)以上かつ5.5dB/(MHz・cm)以下であり、
前記皮膚模擬層の吸収係数は0.001/mm以上かつ0.25/mm以下であり、
前記皮膚模擬層の等価散乱係数は1.0/mm以上かつ4.5/mm以下である請求項1乃至10のいずれか1項に記載のファントム。 - 前記第1および第2の層はポリエーテルポリオールおよびイソシアネート化合物から形成されるウレタンゲルを主成分とし、
前記ウレタンゲルの架橋インデックスは、以下の式(1)を満たすものであるとともに1600以上かつ5000以下である請求項1乃至11のいずれか1項に記載のファントム。
CI:架橋インデックス
WU:ウレタンゲルの総重量[g]
Wi:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールである成分iの重量(iは1以上)[g]
W0:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート化合物の重量[g]
WOH:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオールの総重量[g]Mi:ポリエーテルポリオールである成分iの数平均分子量(iは1以上)[g/mol]
Eqi:ポリエーテルポリオールである成分iの活性水酸基当量[g/eq]
Eq0:イソシアネート化合物の活性イソシアネート当量[g/eq]
Ci:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるポリエーテルポリオール全モル数[mol]
[OH]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれる水酸基の総モル数[mol]
[NCO]:WU[g]のウレタンゲル中に含まれるイソシアネート基の総モル数[mol] - 前記ポリエーテルポリオールの繰り返しユニットはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびテトラメチレンオキサイドのうち1種以上の繰り返し構造単位を有する請求項12に記載のファントム。
- 前記イソシアネート化合物はヘキサメチレンジイソシアネートの三量体を含有する請求項12または13に記載のファントム。
- 前記第1および第2の層は非反応性の低分子化合物を含有する請求項1乃至14のいずれか1項に記載のファントム。
- 前記第1および第2の層は光学物性を調整する材料を含有する請求項1乃至15のいずれか1項に記載のファントム。
- 前記光学物性を調整する材料はカーボンブラックおよびフタロシアニン化合物の少なくとも一方から構成される材料である請求項16に記載のファントム。
- 前記光学物性を調整する材料は酸化チタンである請求項16に記載のファントム。
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