JP2017003052A - ピストンリング - Google Patents

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Abstract

【課題】合口部の加工容易性とシール性とを良好に確保できるピストンリングを提供する。【解決手段】ピストンリング1の合口部3において、本体部2の側面2a側には、一方の合口端部11から他方の合口端部12に向かって突出する第1の突出部13と、他方の合口端部12において第1の突出部13を受ける第1の受け部14とが設けられる。本体部2の側面2b側には、他方の合口端部12から一方の合口端部11に向かって突出する第2の突出部15と、一方の合口端部11において第2の突出部15を受ける第2の受け部16とが設けられる。第2の突出部15の先端面15aは、凸状及び凹状の一方をなす湾曲面となっており、第2の受け部16の先端面16aは、凸状及び凹状の他方をなすと共に、第2の突出部15の先端面15aの湾曲形状に対応する湾曲面となっている。【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関に用いられるピストンリングに関する。
自動車の内燃機関等に用いられるピストンリングは、例えばピストン外周面のリング溝に設けられ、ピストンリングの外周面がボア内周面に摺接し、かつピストンリングの一側面がリング溝の側面に当接することで燃焼室側からクランク室側へのブローバイガスの防止機能を有している。かかるピストンリングは、リング溝への装着の都合上、合口部を有する割りリング形状をなしているため、合口部におけるブローバイガスを抑制することが課題となっている。
このような課題に対し、例えば特許文献1に記載のピストンリングでは、合成樹脂製のピストンリングにステップ状の合口部を形成したものが開示されている。このピストンリングでは、幅方向及び厚さ方向のそれぞれにおいて一方の合口端部に凸部が、他方の合口端部に凹部が設けられている。この構成においては、凸部及び凹部の合せ面同士が閉鎖されることで、凸部及び凹部の合せ面同士の間を介してピストンリングの幅方向及び厚さ方向に漏れる流体の遮断を図り、ブローバイガスのシール性を向上している。
実開平4−41153号公報
上記特許文献1のような合口構造では、例えば厚さ方向において矩形の凹部及び凸部を形成しているため、複数の角部あるいは隅部が存在している。このため、合口構造の形成には高い加工精度が要求され、加工コストが上昇してしまう問題があった。ピストンリングの性能上、良好なシール性も必要となっており、合口部の加工容易性とシール性とを良好に確保できる技術が求められている。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、合口部の加工容易性とシール性とを良好に確保できるピストンリングを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るピストンリングは、互いに対向する内周面及び外周面を有する環状の本体部と、本体部に形成された合口部とを備えたピストンリングであって、合口部において、本体部の一側面側には、一方の合口端部から他方の合口端部に向かって突出する第1の突出部と、他方の合口端部において第1の突出部を受ける第1の受け部とが設けられ、本体部の他側面側には、他方の合口端部から一方の合口端部に向かって突出する第2の突出部と、一方の合口端部において第2の突出部を受ける第2の受け部とが設けられ、第2の突出部の先端面は、凸状及び凹状の一方をなす湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、凸状及び凹状の他方をなすと共に、第2の突出部の先端面の湾曲形状に対応する湾曲面となっている。
このピストンリングでは、本体部の一側面側に位置する第2の突出部及び第2の受け部において、第2の突出部の先端面は、凸状及び凹状の一方をなす湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、凸状及び凹状の他方をなすと共に、第2の突出部の先端面の湾曲形状に対応する湾曲面となっている。これにより、第2の突出部及び第2の受け部に矩形の凸部及び凹部が設けられる場合と比較して、第2の突出部及び第2の受け部の先端面には角部、隅部が存在しなくなるので、合口部の加工容易性を確保できる。また、第2の突出部と第2の受け部との間に形成される厚さ方向のガス流路を長くできると共に、当該ガス流路が延在する方向をピストンリングの径方向から変化させることができる。これにより、該ガス流路での圧力損失が大きくなり、ピストンリングの厚さ方向へのガスの抜けを低減できる。さらには、このピストンリングでは、本体部の一側面側で第1の突出部及び第1の受け部が対向する位置と、本体部の他側面側で第2の突出部及び第2の受け部が対向する位置とが互いにずれることでクランクが形成されている。これにより、ピストンリングの使用時に、第1の突出部と第2の突出部とが本体部の幅方向に合わさりクランクが閉鎖することで、ピストンリングの幅方向に抜けるガスを遮断できる。したがって、上記ピストンリングによれば、合口部の加工容易性とシール性とを良好に確保できる。
また、第2の突出部の先端面は、内周面側を向く凹状の湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、外周面側を向く凸状の湾曲面となっていることが好ましい。ピストンの外周面にピストンリングを装着したときに、合口部の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリングの径方向に沿って内周面側から外周面側に流れる。このとき、第2の突出部及び第2の受け部の先端面が上述した湾曲面となっているので、第2の突出部と第2の受け部との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面側に向かうにしたがってピストンリングの径方向から周方向へと徐々に変化する。このように内周面側では、元々のガス流路の向きと、先端面間に形成されるガス流路の向きとが一致するため、ガスの滞留が抑制される。したがって、ガスの滞留の抑制により合口端部にヒートスポットが発生しにくくなり、合口部の摩耗及び破損が抑制される。
また、第2の突出部の先端面は、外周面側を向く凸状の湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、内周面側を向く凹状の湾曲面となっていることが好ましい。ピストンの外周面にピストンリングを装着したときに、合口部の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリングの径方向に沿って内周面側から外周面側に流れる。このとき、第2の突出部及び第2の受け部の先端面が上述した湾曲面となっているので、第2の突出部と第2の受け部との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面側に向かうにしたがってピストンリングの径方向から周方向へと徐々に変化する。このように内周面側では、元々のガス流路の向きと、先端面間に形成されるガス流路の向きとが一致するため、ガスの滞留が抑制される。したがって、ガスの滞留の抑制により合口端部にヒートスポットが発生しにくくなり、合口部の摩耗及び破損が抑制される。
また、第2の突出部の先端面は、外周面側を向く凹状の湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、内周面側を向く凸状の湾曲面となっていることが好ましい。この場合、一側面側から見て、第2の突出部及び第2の受け部のうち、より先鋭な形状を有する方が、内周面側に位置する。これにより、ピストンの外周面にピストンリングを装着したときに、合口部の摩耗及び破損が抑制される。加えて、合口部の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリングの径方向に沿って内周面側から外周面側に向かう方向に流れる。このとき、第2の突出部及び第2の受け部の先端面が上述した湾曲面となっているので、第2の突出部と第2の受け部との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面側に向かうにしたがってピストンリングの周方向から径方向へと徐々に変化する。このように内周面側では、元々のガス流路の向きと、先端面間に形成されるガス流路の向きとが大きくずれるため、ガスが他側面側の合口部に入りにくくなる。したがって、先端面間に形成されるガス流路を介したガスの抜けを一層確実に抑制できる。
また、第2の突出部の先端面は、内周面側を向く凸状の湾曲面となっており、第2の受け部の先端面は、外周面側を向く凹状の湾曲面となっていることが好ましい。この場合、一側面側から見て、第2の突出部及び第2の受け部のうち、より先鋭な形状を有する方が、内周面側に位置する。これにより、ピストンの外周面にピストンリングを装着したときに、合口部の摩耗及び破損が抑制される。加えて、合口部の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリングの径方向に沿って内周面側から外周面側に向かう方向に流れる。このとき、第2の突出部及び第2の受け部の先端面が上述した湾曲面となっているので、第2の突出部と第2の受け部との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面側に向かうにしたがってピストンリングの周方向から径方向へと徐々に変化する。このように内周面側では、元々のガス流路の向きと、先端面間に形成されるガス流路の向きとが大きくずれるため、ガスが他側面側の合口部に入りにくくなる。したがって、先端面間に形成されるガス流路を介したガスの抜けを一層確実に抑制できる。
また、第2の突出部の先端面、及び第2の受け部の先端面は、一方の合口端部と他方の合口端部とを正対させたときに、一側面側から見た第2の突出部と第2の受け部との隙間が内周面側から外周面側に向かって狭くなるように湾曲していることが好ましい。ピストンの外周面にピストンリングを装着したときに、ピストンリングの合口部において厚さ方向に流れるガスは、内周面側から外周面側に向かって流れる。したがって、上記隙間が内周面側から外周面側に向かって狭くなるように互いの先端面が湾曲していることにより、上記ガスの抜けを一層確実に抑制できる。
また、第2の突出部の幅が先端側に向かって狭くなるように、第2の突出部における第1の突出部との合わせ面が、第1の突出部における第2の突出部との合わせ面に対して傾斜していることが好ましい。この場合、第1の突出部と第2の突出部とによって形成されるクランクの長さを十分に確保できるので、クランクでの圧力損失が大きくなり、ピストンリングの幅方向へのガスの抜けを一層確実に抑制できる。また、第2の突出部の基端部が肉厚になるため、第2の突出部の強度をより確保することが可能となる。
また、第1の受け部の先端面が、第1の突出部の先端面に対して傾斜していることが好ましい。これにより、先端面同士の接触を回避でき、第1の突出部の摩耗を抑制できる。
また、第2の突出部の先端面が、第2の受け部の先端面に対して傾斜していることが好ましい。これにより、先端面同士の接触を回避でき、第2の突出部の摩耗を抑制できる。
また、本体部は、金属又は合金によって形成されていることが好ましい。これにより、ピストンリングの耐熱性を十分に確保できる。
本発明に係るピストンリングによれば、合口部の加工容易性とシール性とを良好に確保できる。
本発明の一態様に係るピストンリングの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示したピストンリングの合口部を一側面側から示す要部拡大斜視図である。 図1に示したピストンリングの合口部を他側面側から示す要部拡大斜視図である。 図1に示したピストンリングの合口部を他側面側から見た要部拡大図である。 図1に示したピストンリングの合口部を外周面側から見た要部拡大図である。 第1変形例〜第3変形例に係るピストンリングの合口部を他側面側から見た要部拡大図である。 第4変形例に係るピストンリングの合口部を他側面側から見た要部拡大図である。 第5変形例に係るピストンリングの合口部を他側面側から見た要部拡大図である。 第6変形例に係るピストンリングの合口部を外周面側から見た要部拡大図である。 第7変形例に係るピストンリングの合口部を外周面側から見た要部拡大図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の一態様に係るピストンリングの好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の一態様に係るピストンリングの一実施形態を示す斜視図である。同図に示すピストンリング1は、例えば自動車の内燃機関においてピストン外周面のリング溝に設けられる。ピストンリング1の外周面2dがボア内周面に摺接し、かつピストンリング1の側面2b側がリング溝の側面に当接してシール面となることで、燃焼室側からクランク室側へのブローバイガスの防止機能を奏するようになっている。
このピストンリング1は、環状の本体部2と、本体部2の一部に形成された合口部3とを備えている。本体部2は、幅方向の端面である側面(一側面)2a及び側面(他側面)2bと、厚さ方向の端面である内周面2c及び外周面2dとによって、厚さ方向が長辺かつ幅方向が短辺となる断面略長方形状をなしている。この本体部2は、例えば金属又は合金(複数の金属元素を含有する鋳鉄或いは鋼材)によって十分な強度、耐熱性、及び弾性をもって形成されている。また、本体部2の表面には、例えば硬質クロムめっき層、クロムの窒化物層、或いは鉄の窒化物層などによる表面改質が施され、本体部2の耐摩耗性の向上が図られている。
図2は、図1に示したピストンリング1の合口部3を側面2a側から示す要部拡大斜視図であり、図3は、図1に示したピストンリング1の合口部3を側面2b側から示す要部拡大斜視図である。図4は、図1に示したピストンリングの合口部3を側面2b側から見た要部拡大図である。図2〜4に示すように、合口部3は、本体部2の一部に形成された切れ目であり、ピストンリング1をピストン外周面のリング溝に装着する際の装着性の確保を目的として設けられている。合口部3では、ピストンリング1をリング溝に装着する前の状態において、一方の合口端部11と他方の合口端部12とが所定の間隔をもって互いに対向した状態となっている。
この合口部3において、図2に示すように、本体部2の側面2a側には、一方の合口端部11から他方の合口端部12に向かって突出する第1の突出部13と、他方の合口端部12において第1の突出部13を受ける第1の受け部14とが設けられている。より具体的には、第1の突出部13では、一方の合口端部11から本体部2の側面2a側の略半分部分が断面略長方形状に突出した状態となっている。第1の受け部14では、他方の合口端部12において本体部2の側面2a側の略半分部分が第1の突出部13の形状に対応して断面略長方形状に切り欠かれた状態となっている。したがって、第1の突出部13における第1の受け部14との対向面である先端面13a、及び第1の受け部14における第1の突出部13との対向面である先端面14aは、それぞれ周方向に対して垂直又は略垂直に延在する略長方形状である。側面2a側においては、第1の突出部13及び第1の受け部14によっていわゆるストレート合口が形成されている。
また、図3及び図4に示すように、本体部2の側面2b側には、他方の合口端部12から一方の合口端部11に向かって突出する第2の突出部15と、一方の合口端部11において第2の突出部15を受ける第2の受け部16とが設けられている。より具体的には、第2の突出部15は、第2の受け部16との対向面である先端面15aが内周面2c側を向く凹状の湾曲面となるように、第2の受け部16に向かって突出した状態となっている。つまり、第2の突出部15の先端面15aは、ピストンリング1の幅方向から見て内周面2c側から外周面2d側にかけて、第2の受け部16に向かって突出度合が大きくなるように湾曲している。第2の受け部16は、第2の突出部15との対向面である先端面16aが外周面2d側を向く凸状の湾曲面となるように、第2の突出部15の先端面15aの湾曲形状に対応して切り欠かれた状態となっている。よって、第2の受け部16の先端面16aは、ピストンリング1の幅方向から見て、第2の突出部15の先端面15aの湾曲形状に隙間なく接触可能に湾曲している。
図4に示すように、側面2b側から見た先端面15a,16aは、弧状となっている。先端面15aと先端面16aとは、合口端部11,12同士を正対させたときに、側面2b側から見た第2の突出部15と第2の受け部16との隙間の距離d1が一定になるように湾曲している。
側面2b側においては、第2の突出部15の先端面15a及び第2の受け部16の先端面16aによって、ストレート合口とは異なる形状の合口が形成されている。第2の突出部15は、第2の受け部16よりも先鋭な形状である先鋭部分21を有している。この先鋭部分21は、外周面2d側に位置しており、第2の受け部16に向かって先細りとなっている。先鋭部分21に研磨又は面取り等が施され、先鋭部分21の少なくとも一部が除去されてもよい。これにより、ピストンリング1をピストンの外周に装着して先鋭部分21がシリンダに衝突したとしても、該先鋭部分21の摩耗及び破損を抑制できる。
以上のような構成を有するピストンリング1では、第2の突出部15及び第2の受け部16には厚さ方向において矩形の凸部及び凹部が設けられない。これにより、第2の突出部15及び第2の受け部16に角部あるいは隅部が形成される場合と比較して、第2の突出部15及び第2の受け部16の先端面15a,16aには角部、隅部が存在しなくなる。したがって、例えば加工治具の挿入角度及び大きさ等の制限が緩くなり、側面2b側における合口部3の加工容易性を確保できる。また、第2の突出部15と第2の受け部16との間に形成される厚さ方向のガス流路は、例えば第1の突出部13と第1の受け部14によって形成されるストレート合口と比較して長くなる。これにより、ピストンリング1の厚さ方向のガス流路を長くできると共に、当該ガス流路が延在する方向をピストンリング1の径方向から変化させることができる。したがって、該ガス流路での圧力損失が大きくなり、ピストンリング1の厚さ方向へのガスの抜けを低減できる。
また、本体部2の側面2a側で第1の突出部13及び第1の受け部14が対向する位置と、本体部2の側面2b側で第2の突出部15及び第2の受け部16が対向する位置とが、本体部2の周方向に互いにずれている。これにより、合口部3を外周面2d側から見た場合、図5に示すように、第1の突出部13の先端面13a、第1の受け部14の先端面14a、第1の突出部13における第2の突出部15との合わせ面13b、第2の突出部15における第1の突出部13との合わせ面15b、第2の突出部15の先端面15a、及び第2の受け部16の先端面16aによってクランクC1が形成されている。
したがって、ピストンリング1がピストン外周面のリング溝に装着されてピストンの上下運動による荷重を受けた場合に、第1の突出部13の合わせ面13bと第2の突出部15の合わせ面15bとが本体部2の幅方向に合わさり、クランクC1が閉鎖することで、ピストンリング1の幅方向に抜けるガスを遮断できる。
また、ピストンリング1では、第2の突出部15及び第2の受け部16には矩形の凸部及び凹部が形成されず、先端面15a,16aが湾曲面となっている。このため、ピストンリング1に突き当たり等が生じた場合、湾曲面である先端面15aが湾曲面である先端面16aの表面を滑りやすくなり、互いの先端面15a,16aにかかる応力が特定の箇所に集中しにくくなる。加えて、第1の突出部13は第2の突出部15よりも突出しているため、第2の突出部15が片持ち構造とならずに第1の突出部13によって支持される。このような構造により、合口部3の強度を確保できる。
また、ピストンリング1では、第2の突出部15の先端面15aは、内周面2c側を向く凹状の湾曲面となっており、第2の受け部16の先端面16aは、外周面2d側を向く凸状の湾曲面となっている。ピストンの外周面にピストンリング1を装着したときに、合口部3の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリング1の径方向に沿って内周面2c側から外周面2d側に向かう方向に流れる。このとき、第2の突出部15及び第2の受け部16の先端面15a,16aが上述した湾曲面となっているので、第2の突出部15と第2の受け部16との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面2d側に向かうにしたがってピストンリング1の径方向から周方向へと徐々に変化する。このように内周面2c側では、元々のガス流路の向きと、先端面15a,16a間に形成されるガス流路の向きとが一致するため、ガスの滞留が抑制される。したがって、ガスの滞留の抑制により合口端部11,12にヒートスポットが発生しにくくなり、合口部3の摩耗及び破損が抑制される。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、本体部2を金属又は合金によって形成することを例示しているが、加工容易性をより重視する場合には、合成樹脂等によってピストンリング1の本体部2を形成してもよい。
また、上記実施形態では、先鋭部分21が第2の突出部15の外周面2d側に設けられているが、例えば図6(a)に示す第1変形例のように、先鋭部分21が内周面2c側に設けられてもよい。この場合、第2の突出部15の先端面15aは、外周面2d側を向く凹状の湾曲面となり、第2の受け部16の先端面16aは、内周面2c側を向く凸状の湾曲面となる。このような第1変形例においても、上記実施形態と同様に、合口部3の加工容易性とシール性とを良好に確保できる。また、ピストンの外周面にピストンリング1を装着したときに、先鋭部分21がシリンダに衝突しなくなり、合口部3の摩耗及び破損が抑制される。加えて、合口部3の厚さ方向に流れるガスは、ピストンリング1の径方向に沿って内周面2c側から外周面2d側に向かう方向に流れる。このとき、第2の突出部15及び第2の受け部16の先端面15a,16aが上述した湾曲面となっているので、第2の突出部15と第2の受け部16との間に形成される厚さ方向のガス流路は、外周面2d側に向かうにしたがってピストンリング1の周方向から径方向へと徐々に変化する。このように内周面2c側では、元々のガス流路の向きと、先端面15a,16a間に形成されるガス流路の向きとが大きくずれるため、ガスが側面2b側の合口部3に入りにくくなる。したがって、先端面15a,16a間に形成されるガス流路を介したガスの抜けを一層確実に抑制できる。
図6(b)に示す第2変形例のように、例えば先鋭部分21が第2の受け部16に設けられると共に、先鋭部分21が第2の受け部16の外周面2d側に設けられてもよい。この場合、第2の突出部15の先端面15aは、外周面2d側を向く凸状の湾曲面となり、第2の受け部16の先端面16aは、内周面2c側を向く凹状の湾曲面となる。第2変形例の場合、上記実施形態と同様に、合口部3の加工容易性とシール性とを良好に確保できると共に、合口端部11,12にヒートスポットが発生しにくくなり、合口部3の摩耗及び破損が抑制される。
図6(c)に示す第3変形例のように、例えば先鋭部分21が第2の受け部16に設けられると共に、先鋭部分21が第2の受け部16の内周面2c側に設けられてもよい。この場合、第2の突出部15の先端面15aは、内周面2c側を向く凸状の湾曲面となり、第2の受け部16の先端面16aは、外周面2d側を向く凹状の湾曲面となる。第3変形例の場合、上記第1変形例と同様に、合口部3の加工容易性を良好に確保でき、先鋭部分21がシリンダに衝突しなくなることで合口部3の摩耗及び破損が抑制されると共に、ガスが側面2b側の合口部3に入りにくくなることでシール性をより良好に確保できる。
また、上記実施形態では、側面2b側から見た先端面15a,16aは、弧状となっているが、例えば図7に示すように、第4変形例では、側面2b側から見た先端面15a,16aを楕円形状の一部としてもよい。もしくは、側面2b側から見た先端面15a,16aを、インボリュート曲線を描くように湾曲してもよい。これらの場合、第2の突出部15と第2の受け部16との間に形成される厚さ方向のガス流路がより長くなる。なお、インボリュート曲線とは、該曲線の法線が常に一つの定円に接することにより描かれる曲線である。側面2b側から見た先端面15a,16aがインボリュート曲線を描くように湾曲する場合、例えば側面2b側から見た先端面16aの曲率半径は、内周面2c側から外周面2d側にかけて連続的に増加する。また、側面2b側から見た先端面15a,16aを、円形状又は真円形状の一部としてもよい。第4変形例にて示された、側面2b側から見た先端面15a,16aの形状は、上記実施形態、第1〜第3変形例、及び後述する第5〜第8変形例に適用できる。
また、上記実施形態では、側面2b側から見た先端面15a,16aの曲率半径は同一となっているが、これらの曲率半径は互いに異なってもよい。例えば図8に示すように、第5変形例では、第2の突出部15の先端面15aは、外周面2d側を向く凸状の湾曲面となり、第2の受け部16の先端面16aは、内周面2c側を向く凹状の湾曲面となると共に、側面2b側から見て、第2の突出部15の先端面15aの曲率半径R1は、第2の受け部16の先端面16aの曲率半径R2よりも小さくなっている。また、曲率半径R2を描く中心点P2は、曲率半径R1を描く中心点P1よりも内周面2c側に位置している。この場合、第2の突出部15の先端面15a、及び第2の受け部16の先端面16aは、一方の合口端部11と他方の合口端部12とを正対させたときに、側面2b側から見た第2の突出部15と第2の受け部16との隙間が内周面2c側から外周面2d側に向かって狭くなるように湾曲している。例えば、内周面2cにおける先端面15a,16a同士の隙間の距離d1は、外周面2dにおける先端面15a,16a同士の隙間の距離d2よりも大きくなる。ピストンの外周面にピストンリング1を装着したときに、ピストンリング1の合口部3において厚さ方向に流れるガスは、内周面2c側から外周面2d側に向かって流れる。したがって、上記隙間が内周面2c側から外周面2d側に向かって狭くなるように先端面15a,16aが湾曲していることにより、上記ガスの抜けを一層確実に抑制できる。第5変形例にて示された、一方の合口端部11と他方の合口端部12とを正対させたときの第2の突出部15の先端面15aと第2の受け部16の先端面16aとの関係は、上記実施形態、第1〜第4変形例、及び後述する第6〜第8変形例に適用できる。
また、上記実施形態では、第1の突出部13及び第2の突出部15の断面形状がいずれも長方形状となっているが、第6変形例として、例えば第2の突出部15を図9に示すような形状としてもよい。具体的には、第1の突出部13及び第2の受け部16を断面長方形状のまま維持する一方、第2の突出部15の幅が先端側に向かって狭くなるように、第2の突出部15における第1の突出部13との合わせ面15bを、第1の突出部13における第2の突出部15との合わせ面13bに対して傾斜させてもよい。この場合、クランクC1の長さをより拡張できるので、クランクC1での圧力損失が大きくなり、ピストンリング1の幅方向へのガスの抜けを一層確実に抑制できる。加えて、第2の突出部15の基端部がより肉厚になるため、第2の突出部15の強度をより確保できる。
また、図9の例では、第1の受け部14の先端面14aが、第1の突出部13の先端面13aに対して傾斜していると共に、第2の突出部15の先端面15aが、第2の受け部16の先端面16aに対して傾斜している。これにより、先端面13a,14a同士の接触を回避でき、第1の突出部13の摩耗を抑制できる。同様に、先端面15a,16a同士の接触を回避でき、第2の突出部15の摩耗を抑制できる。第6変形例にて示された、第2の突出部15の形状は、上記実施形態、第1〜第5変形例、及び後述する第8変形例に適用できる。
さらに、図9の例では、第1の突出部13及び第2の受け部16を断面長方形状としているが、第7変形例として、例えば図10に示すように、第1の突出部13の先端面13a、第1の受け部14の先端面14a、第1の突出部13における第2の突出部15との合わせ面13b、第2の突出部15における第1の突出部13との合わせ面15b、第2の突出部15の先端面15a、及び第2の受け部16の先端面16aを、それぞれ側面2a,2bに対して傾斜させてもよい。
この場合、クランクC1の長さを更に拡張できるので、ピストンリング1の幅方向へのガスの抜けを一層確実に抑制できる。また、第1の突出部13の基端部がより肉厚になるため、第1の突出部13の強度をより確保できる。なお、第1の突出部13は、ピストンリング1の使用時において幅方向にガス圧のバランスが取れるため、第2の突出部15に比べて強度が多少小さくてもよい。また、図10において、先端面13a,14a同士及び先端面15a,16a同士は、いずれも非平行であることが好ましい。こうすると、先端面13a,14a同士の接触及び先端面15a,16a同士の接触を回避でき、第1の突出部13及び第2の突出部15の摩耗を回避できる。第7変形例にて示された、第1の突出部13の先端面13a,第1の受け部14の先端面14a、第1の突出部13における第2の突出部15との合わせ面13b、第2の突出部15における第1の突出部13との合わせ面15b、第2の突出部15の先端面15a、及び第2の受け部16の先端面16aの関係は、上記実施形態、第1〜第5変形例、及び後述する第8変形例に適用できる。
また、上記実施形態及び第1〜第7変形例では、側面2a側に位置する第1の突出部13及び第1の受け部14はストレート合口を形成しているが、本発明ではこれに限定されない。例えば、第1の突出部13及び第1の受け部14は斜め合口又は段付き合口であってもよい。もしくは、第1の突出部13及び第1の受け部14は、第2の突出部15及び第2の受け部16と同様に、第1の突出部13の先端面13aが凸状及び凹状の一方をなす湾曲面となっており、第1の受け部14の先端面14aが凸状及び凹状の他方をなすと共に、第1の突出部13の先端面13aの湾曲形状に対応する湾曲面となってもよい。この場合、先端面13aが凹状の湾曲面でもよく、凸状の湾曲面でもよい。また、先端面13aは内周面2c側を向いてもよく、外周面2d側を向いてもよい。第1の突出部13の先端面13a、及び第1の受け部14の先端面14aは、一方の合口端部11と他方の合口端部12とを正対させたときに、側面2a側から見た第1の突出部13と第1の受け部14との隙間が一定になるように湾曲してもよく、内周面2c側から外周面2d側に向かって狭くなるように湾曲してもよい。
1…ピストンリング、2…本体部、2a…側面(一側面)、2b…側面(他側面)、2c…内周面、2d…外周面、3…合口部、11…一方の合口端部、12…他方の合口端部、13…第1の突出部、13a…先端面、13b…合わせ面、14…第1の受け部、14a…先端面、15…第2の突出部、15a…先端面、15b…合わせ面、16…第2の受け部、16a…先端面、21…先鋭部分、C1…クランク、P1、P2…中心点。

Claims (10)

  1. 互いに対向する内周面及び外周面を有する環状の本体部と、前記本体部に形成された合口部とを備えたピストンリングであって、
    前記合口部において、
    前記本体部の一側面側には、一方の合口端部から他方の合口端部に向かって突出する第1の突出部と、前記他方の合口端部において前記第1の突出部を受ける第1の受け部とが設けられ、
    前記本体部の他側面側には、前記他方の合口端部から前記一方の合口端部に向かって突出する第2の突出部と、前記一方の合口端部において前記第2の突出部を受ける第2の受け部とが設けられ、
    前記第2の突出部の先端面は、凸状及び凹状の一方をなす湾曲面となっており、
    前記第2の受け部の先端面は、凸状及び凹状の他方をなすと共に、前記第2の突出部の前記先端面の湾曲形状に対応する湾曲面となっている、
    ピストンリング。
  2. 前記第2の突出部の前記先端面は、前記内周面側を向く凹状の湾曲面となっており、
    前記第2の受け部の前記先端面は、前記外周面側を向く凸状の湾曲面となっている、請求項1記載のピストンリング。
  3. 前記第2の突出部の前記先端面は、前記外周面側を向く凸状の湾曲面となっており、
    前記第2の受け部の前記先端面は、前記内周面側を向く凹状の湾曲面となっている、請求項1記載のピストンリング。
  4. 前記第2の突出部の前記先端面は、前記外周面側を向く凹状の湾曲面となっており、
    前記第2の受け部の前記先端面は、前記内周面側を向く凸状の湾曲面となっている、請求項1記載のピストンリング。
  5. 前記第2の突出部の前記先端面は、前記内周面側を向く凸状の湾曲面となっており、
    前記第2の受け部の前記先端面は、前記外周面側を向く凹状の湾曲面となっている、請求項1記載のピストンリング。
  6. 前記第2の突出部の前記先端面、及び前記第2の受け部の前記先端面は、前記一方の合口端部と前記他方の合口端部とを正対させたときに、前記一側面側から見た前記第2の突出部と前記第2の受け部との隙間が前記内周面側から前記外周面側に向かって狭くなるように湾曲している、請求項1〜5のいずれか一項記載のピストンリング。
  7. 前記第2の突出部の幅が先端側に向かって狭くなるように、前記第2の突出部における前記第1の突出部との合わせ面が、前記第1の突出部における第2の突出部との合わせ面に対して傾斜している、請求項1〜6のいずれか一項記載のピストンリング。
  8. 前記第1の受け部の先端面が、前記第1の突出部の先端面に対して傾斜している、請求項1〜7のいずれか一項記載のピストンリング。
  9. 前記第2の突出部の前記先端面が、前記第2の受け部の前記先端面に対して傾斜している、請求項1〜8のいずれか一項記載のピストンリング。
  10. 前記本体部は、金属又は合金によって形成されている、請求項1〜9のいずれか一項記載のピストンリング。
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