以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。図1に示すエンジン100は、例えば直列3気筒であって、エンジン100の運転状態に応じて一対のカム(後述)を選択的に切り替えるカム切替機構1を備えている。また、エンジン100の各気筒には、吸排気バルブの開閉動作を停止させることで、気筒を休止させる気筒休止機構2がそれぞれ設けられている。これらのカム切替機構1と気筒休止機構2は電子制御ユニット3(ECU)によって動作が制御される。
カム切替機構1は、吸気側カム切替機構10と、排気側カム切替機構20を備えている。吸気側カム切替機構10は、吸気カム11が設けられた吸気側二重カム軸12と、吸気側二重カム軸12をスライド移動させる吸気側スライド溝13(図3参照)及び吸気側電磁ソレノイド14とを備えている。排気側カム切替機構20は、排気カム21が設けられた排気側二重カム軸22と、排気側二重カム軸22をスライド移動させる排気側スライド溝23及び排気側電磁ソレノイド24とを備えている。これらの中で、吸気側スライド溝13及び排気側スライド溝23は、本発明に係る案内溝の一例であり、吸気側電磁ソレノイド14及び排気側電磁ソレノイド24は、本発明に係る電磁アクチュエータの一例である。
吸気側二重カム軸12に設けられた吸気カム11は、カムプロフィールの異なる二種類のカム(標準吸気カム15,低速カム16)を備え、排気側二重カム軸22に設けられた排気カム21は、カムプロフィールの異なる二種類のカム(早開カム25,標準排気カム26)を備えている。そして、標準吸気カム15及び早開カム25は本発明に係る第1カムの一例であり、低速カム16及び標準排気カム26は本発明に係る第2カムの一例である。
気筒休止機構2は、吸排気バルブを閉弁状態にすることで気筒を休止させる機構である。図2に示すように、気筒休止機構2は、ロッカーアーム51と、ブラケット52と、油圧タペット53と、ニードル54と、休止用電磁ソレノイド55とを備えている。
ロッカーアーム51は、吸気カム11(標準吸気カム15,低速カム16)や排気カム21(標準排気カム26,早開カム25)によって揺動されて吸気バルブV1や排気バルブV2を開弁方向に動作させる部材である。ロッカーアーム51の一端部は、ロッカーシャフト軸51Bを中心にして、ブラケット52に回動可能な状態で取り付けられている。ロッカーアーム51の他端部は、吸気バルブV1や排気バルブV2の上端に上方から当接されている。ロッカーアーム51における長手方向の途中には、吸気カム11或いは排気カム21と当接するロッカーローラ51Aが設けられている。
ブラケット52は、ロッカーアーム51にロッカーシャフト軸51Bでピン連結された部材であり、気筒の休止状態においてロッカーアーム51の揺動に応じて上下動される。ブラケット52の内部には、ニードル54が収納されると共にエンジンオイルで満たされるニードル収納空部52Aが形成されている。ブラケット52の下側部分は、油圧タペット53に対して進退される有底円筒状のピストン部52Bになっている。ピストン部52Bの底面中心部には、エンジンオイルの通路になると共にニードル54の先端部が挿入される油孔52Cが、板厚方向を貫通した状態で形成されている。また、ピストン部52Bの側面には、エンジンオイルで満たされた油路OLとニードル収納空部52Aとを連通する連通孔52Dが形成されている。
油圧タペット53は、ブラケット52のピストン部52Bが進退可能に挿入されると共に、ブラケット52(ピストン部52B)を下側から支える部材であり、円筒形のボディ53Aと、チェックボールスプリング(不図示)によって上方に付勢されるチェックボール53Bと、ピストン部52Bの下端面に下側から当接すると共に、チェックボール53B及びチェックボールスプリングを収納する有底筒状の収納部53Cと、収納部53Cを下側から支えるピストンスプリング53D等を備えている。
気筒の動作状態において油圧タペット53は、チェックボール53Bが上方に付勢され、チェックボール53Bによってピストン部52Bの油孔52Cが塞がれている。油孔52Cが塞がれた状態において、ピストン部52Bよりも下側を満たすエンジンオイルは流れることができない。このため、ブラケット52(ピストン部52B)は下方へ移動できず、高さ方向の位置が固定される。
一方、気筒の休止状態において油圧タペット53は、ニードル54によってチェックボール53Bが下方に移動されており、ピストン部52Bの油孔52Cが開放されている。油孔52Cの開放状態において、ピストン部52Bよりも下側を満たすエンジンオイルは油孔52Cを通じてニードル収納空部52A内に流れ込むことができる。そして、ニードル収納空部52A内のエンジンオイルは、ピストン部52Bの側面に形成された連通孔52Dから油路OLへ流れ込むことができる。このため、油孔52Cが開放されると、ブラケット52(ピストン部52B)は下方への移動が可能になる。すなわち、カム11,21による押圧力がピストンスプリング53Dの復元力よりも高ければ、ピストンスプリング53Dが収縮してブラケット52が下方に移動する。そして、カム11,21による押圧力がピストンスプリング53Dの復元力よりも低くなれば、ピストンスプリング53Dの復元力によってブラケット52は上方へ移動する。
ニードル54は、チェックボール53Bを下方に移動させるための棒状部材であり、ブラケット52のニードル収納空部52Aに軸方向へ移動可能な状態で収納されると共に、下端がチェックボール53Bに当接されている。ニードル54の上端部は、休止用電磁ソレノイド55の内部に収納されており、休止用電磁ソレノイド55が備えるプランジャ55Cによって上下方向に移動される。
休止用電磁ソレノイド55は、ガイド軸55Aと、休止用コイル55Bと、プランジャ55Cとを備えている。
ガイド軸55Aは、上端が塞がれた筒状部材であり、上端部の内側にはプランジャ55Cをニードル54の軸方向に移動可能な状態で収納するプランジャ収納空間55Dが設けられ、収納空間55Dの下方にはニードル54が軸方向に移動可能な状態で収納されるニードル収納空部55Eが設けられている。さらに、ガイド軸55Aの下端部には、ブラケット52の上端部がニードル54の軸方向へスライド移動可能な状態で嵌合されるガイド空部55Fが設けられている。
休止用コイル55Bは、ガイド軸55Aの上端部に配置されており、通電によって磁界を発生させてプランジャ55Cを下方に付勢する。プランジャ55Cは、ニードル54の上端に上方から当接されており、休止用コイル55Bから発生された磁界によってニードル54を下方に押し下げる。そして、休止用コイル55Bへの通電が停止されると、磁界の発生が停止されるので、チェックボールスプリングの復元力によってチェックボール53Bが上方に移動され、これに伴ってニードル54とプランジャ55Cも上方に移動される。
以上のように構成された気筒休止機構2では、気筒の動作状態において休止用電磁ソレノイド55(休止用コイル55B)は非通電状態とされ、気筒の休止状態において休止用電磁ソレノイド55は通電状態とされる。
休止用電磁ソレノイド55の非通電状態では、チェックボール53Bが上方に移動されてピストン部52Bの油孔52Cが塞がれる。これにより、ブラケット52の高さ位置が固定される。そして、吸気カム11や排気カム21のカムプロフィールに沿ってロッカーローラ51Aが押圧されると、ロッカーアーム51の一端部はロッカーシャフト軸51Bを支点に回動し、他端部がバルブスプリングSPの復元力に抗して揺動し、吸気バルブV1や排気バルブV2を開閉動作させる。
休止用電磁ソレノイド55の通電状態では、チェックボール53Bが下方に移動されてピストン部52Bの油孔52Cが開放される。これにより、ブラケット52が上下方向(ニードル54の軸方向)へ移動可能な状態になる。そして、吸気カム11や排気カム21のカムプロフィールに沿ってロッカーローラ51Aが押圧されると、バルブスプリングSPの復元力が強力であることから、ロッカーアーム51の他端部は吸気バルブV1の上端や排気バルブV2の上端を支点に回動し、一端部はロッカーシャフト軸51Bを介してブラケット52と共に上下方向へ揺動する。このため、ロッカーアーム51が揺動しても排気バルブV2は閉弁状態で維持される。
次に、吸気側カム切替機構10、及び、排気側カム切替機構20について説明する。ここで、排気側カム切替機構20が備える各部、排気側二重カム軸22、排気側スライド溝23,及び、排気側電磁ソレノイド24については、切り替え対象である排気カム21が、早開カム25と標準排気カム26を備えている以外は、吸気側カム切替機構10の各部と同様に構成されている。このため、以下では、吸気側カム切替機構10について説明し、排気側カム切替機構20については説明を省略する。
図3に示すように、吸気側二重カム軸12は、エンジン100の図示しないクランク軸と連動して回転する内側カム軸12Aと、内側カム軸12Aの外周とスプライン嵌合し、内側カム軸12Aに対して軸方向にスライド移動可能な外側カム軸12Bとを備えている。
外側カム軸12Bには複数の吸気カム11が圧入され、外側カム軸12Bと一体的に回転可能な状態で取り付けられている。図1に示すように、本実施形態のエンジン100では、1つの気筒が2つの吸気バルブV1を備えているため、合計6個の吸気バルブV1及び6個の吸気カム11が設けられている。図3に示すように、各吸気カム11は、標準吸気カム15と低速カム16を備えており、外側カム軸32を内側カム軸31の軸方向にスライド移動させることで、標準吸気カム15と低速カム16の何れかが選択される。同じ気筒に対応する2つの吸気カム11は、カムプロフィールが同じ位相となるように取り付けられている。そして、3気筒であることから3組の吸気カム11は、気筒毎に位相が120°ずれた状態で取り付けられている。
外側カム軸12Bの端部には2条の吸気側スライド溝13(第1スライド溝13A,第2スライド溝13B)が設けられている。これらのスライド溝13A,13Bには、外側カム軸12Bを内側カム軸12Aの軸方向にスライド移動させる際に、吸気側電磁ソレノイド14が備える切替ピン41A,41Bの下端部が嵌合される(図5(B),図6(B)参照)。
次に吸気側電磁ソレノイド14について説明する。前述したように、この吸気側電磁ソレノイド14は、本発明に係る電磁アクチュエータの一例である。図4に示すように、吸気側電磁ソレノイド14は、ケース31と、ピンガイド32と、第1切替ピン41Aと、第2切替ピン41Bと、第1電磁ソレノイド42Aと、第2電磁ソレノイド42Bとを備えている。
ケース31は、下端が開放され天井が塞がれた筒状部材であり、内部空間が第1電磁ソレノイド42Aや第2電磁ソレノイド42Bなどを収納する収納空間とされ、下端部にはフランジが形成されている。
ピンガイド32は、第1切替ピン41Aの軸部45Aが挿入されて案内される第1ガイド孔32Aと、第2切替ピン41Bの軸部45Bが挿入されて案内される第2ガイド孔32Bが形成された直方体ブロック状の部材である。本実施形態では、このピンガイド32をステンレス鋼によって作製している。これは、ピンガイド32が磁性を帯びることを防止し、第1切替ピン41Aや第2切替ピン41Bの各軸部45A,45Bを円滑に案内するためである。また、ピンガイド32の高さは、各軸部45A,45Bの長さよりも低く設定してあり、第1切替ピン41Aや第2切替ピン41Bが移動範囲の下端まで移動した際に、各軸部45A,45Bの一部がピンガイド32の下面よりも下方に突出されるように構成している。
ケース31とピンガイド32の間には下部ヨーク33が設けられている。この下部ヨーク33は、本発明に係る係止部材の一例であり、軟磁性材料で作製されている。本実施形態において、下部ヨーク33は軟鉄によって作製されている。下部ヨーク33には、第1挿入開口33Aと第2挿入開口33Bが、板厚方向を貫通した状態に形成されている。これらの挿入開口33A,33Bは、第1切替ピン41Aの軸部45Aや第2切替ピン41Bの軸部45Bの直径よりも僅かに大きく、第1切替ピン41Aの頭部44Aや第2切替ピン41Bの頭部44Bの直径よりも十分に小さい円形状に形成されている。
これらの第1挿入開口33A及び第2挿入開口33Bに第1切替ピン41Aや第2切替ピン41Bの各軸部45A,45Bを挿入することで、第1切替ピン41Aが移動範囲の下端に位置した際に、第1切替ピン41Aの頭部44Aは第1挿入開口33Aを通り抜けられないことから下部ヨーク33に当接する。同様に、第2切替ピン41Bが移動範囲の下端に位置した際に、第2切替ピン41Bの頭部44Bは第2挿入開口33Bを通り抜けられないことから下部ヨーク33に当接する。そして、各頭部44A,44Bのそれぞれには永久磁石43A,43Bが設けられているため、各頭部44A,44Bは、永久磁石43A,43Bからの磁力によって下部ヨーク33に吸着され、がたつきが抑制される。
ケース31が形成する収納空間の上部には上部ヨーク34が配置されている。この上部ヨーク34は、第1電磁ソレノイド42Aが備える第1鉄心47Aと第2電磁ソレノイド42Bが備える第2鉄心47Bとを、各鉄心47A,47Bの上端部分で連結する部材であり、軟磁性材料によって作製されている。本実施形態では、上部ヨーク34を板状の軟鉄によって作製している。この上部ヨーク34が介在することで、第1鉄心47Aと第2鉄心47Bとが一連の軟磁性体になる。
第1切替ピン41Aは、本発明に係る第1案内ピンの一例であり、上面にS極を励起する第1永久磁石43Aが取り付けられた第1頭部44Aと、第1頭部44Aの下面から下方に設けられた第1軸部45Aを備えている。
第1頭部44Aは、第1電磁ソレノイド42Aの非通電状態において第1鉄心47Aに吸着し、第1電磁ソレノイド42Aの通電状態において第1鉄心47Aから離隔される。この第1頭部44Aは肉厚の円盤状とされ、円筒状の第1ピンガイド35Aの内周面に沿って上下方向に移動する。本実施形態において第1ピンガイド35Aはステンレス鋼によって作製されている。
第1頭部44Aにおける第1永久磁石43Aよりも上方には、第1蓋部材46Aが取り付けられている。この第1蓋部材46Aは、軟磁性体(本実施形態では板状の軟鉄)によって作製されており、第1蓋部材46Aの厚みによって第1永久磁石43Aと第1鉄心47Aとの間隔(両者間に作用する磁力の強さ)を調整している。
第1軸部45Aは、第1頭部44Aが第1鉄心47Aに吸着されている状態で、下側部分がピンガイド32(第1ガイド孔32A)に収納されている。また、第1切替ピン41Aが移動範囲の下端まで移動すると、下端部が第1スライド溝13A(第1案内溝の一例)に嵌合される。この嵌合状態では、第1スライド溝13Aに沿って、外側カム軸12Bが内側カム軸12Aに対してスライド移動される。
第2切替ピン41Bは、本発明に係る第2案内ピンの一例であり、上面にN極を励起する第2永久磁石43Bが取り付けられた第2頭部44Bと、第2頭部44Bの下面から下方に設けられた第2軸部45Bを備えている。
第2頭部44Bは、第2電磁ソレノイド42Bの非通電状態において第2鉄心47Bに吸着し、第2電磁ソレノイド42Bの通電状態において第2鉄心47Bから離隔される。この第2頭部44Bは肉厚の円盤状とされ、円筒状の第2ピンガイド35Bの内周面に沿って上下方向に移動する。本実施形態において第2ピンガイド35Bはステンレス鋼によって作製されている。
第2頭部44Bにおける第2永久磁石43Bよりも上方には、第2蓋部材46Bが取り付けられている。この第2蓋部材46Bは、軟磁性体(本実施形態では板状の軟鉄)によって作製されており、第2蓋部材46Bの厚みによって第2永久磁石43Bと第2鉄心47Bとの間隔(両者間に作用する磁力の強さ)を調整している。
第2軸部45Bは、第2頭部44Bが第2鉄心47Bに吸着されている状態で、下側部分がピンガイド32(第2ガイド孔32B)に収納されている。また、第2切替ピン41Bが移動範囲の下端まで移動すると、下端部が第2スライド溝13B(第2案内溝の一例)に嵌合される。この嵌合状態では、第2スライド溝13Bに沿って、外側カム軸12Bが内側カム軸12Aに対してスライド移動される。
第1電磁ソレノイド42Aは、第1鉄心47Aと、第1コイル48Aを備えている。第1鉄心47Aは第1切替ピン41Aの上方に配置され、第1コイル48Aは第1鉄心47Aの周囲に巻き付けられている。第1鉄心47Aは、軟磁性材料で作製されていることから、第1コイル48Aの非通電状態では消磁されている。そして、第1永久磁石43Aが吸着されると下端にN極が励起される。また、第1コイル48Aに通電されると、第1コイル48Aが生成する磁界によって下端にS極が励起される。
第2電磁ソレノイド42Bは、第2鉄心47Bと、第2コイル48Bを備えている。第2鉄心47Bは第2切替ピン41Bの上方に配置され、第2コイル48Bは第2鉄心47Bの周囲に巻き付けられている。第2鉄心47Bは、軟磁性材料で作製されていることから、第2コイル48Bの非通電状態では消磁されている。そして、第2永久磁石43Bが吸着されると下端にS極が励起される。また、第2コイル48Bに通電されると、第2コイル48Bが生成する磁界によって下端にN極が励起される。
次に、吸気側電磁ソレノイド14の動作、すなわち第1切替ピン41Aと第2切替ピン41Bを選択的に突出させる動作について説明する。この動作は、制御部の一例であるECU3によって制御される。
まず、第1切替ピン41Aの突出動作について説明する。図5(A)に示すように、第1コイル48Aと第2コイル48Bの非通電状態では、第1鉄心47Aの下端に第1切替ピン41Aが備える第1永久磁石43Aが吸着されていることから、第1鉄心47Aの下端にはN極が励起される。同様に、第2鉄心47Bの下端に第2切替ピン41Bが備える第2永久磁石43Bが吸着されていることから、第2鉄心47Bの下端にはS極が励起されている。加えて、第1鉄心47Aの上端部と第2鉄心47Aの上端部とが軟磁性材料で作製された上部ヨーク34で連結されていることから、第1鉄心47Aと第2鉄心47Aと上部ヨーク34が、あたかも全体で1つの磁石を構成した状態になっている。
図5(B)に示すように、ECU3によって第1コイル48Aに通電がなされると、第1コイル48Aが生成する磁界によって第1鉄心47Aの下端にはS極が励起される。これにより、第1永久磁石43Aとの間で反発が生じ、第1切替ピン41Aが落下し、第1切替ピン41A(第1軸部45A)の下端部が第1スライド溝13Aに嵌合される。また、この通電状態において、第1コイル48Aが生成する磁界により、第2鉄心47Bの下端にもS極が励起される。このため、第2鉄心47Bと第2切替ピン41Bの吸着状態は維持される。
図5(C)に示すように、第1コイル48Aへの通電が停止されると、第2永久磁石43Bの磁力によって第1鉄心47Aの下端にはN極が励起される。また、第1スライド溝13Aが浅くなることで、第1切替ピン41Aが上昇される。第1スライド溝13Aがさらに浅くなって、第1切替ピン41Aの上面が第1鉄心47Aの下端近傍まで近づくと、図5(D)に示すように、第1切替ピン41Aが第1鉄心47Aに吸着される。
次に、第2切替ピン41Bの突出動作について説明する。図6(A)に示すように、第1コイル48Aと第2コイル48Bの非通電状態では、図5(A)でも説明したように、第1鉄心47Aと第2鉄心47Aと上部ヨーク34が、あたかも全体で1つの磁石を構成した状態になり、第1鉄心47Aの下端に第1切替ピン41Aが吸着され、第2鉄心47Bの下端に第2切替ピン41Bが吸着される。
図6(B)に示すように、ECU3によって第2コイル48Bに通電がなされると、第2コイル48Bが生成する磁界によって第2鉄心47Bの下端にはN極が励起される。これにより、第2永久磁石43Bとの間で反発が生じ、第2切替ピン41Bが落下し、第2切替ピン41B(第2軸部45B)の下端部が第2スライド溝13Bに嵌合される。また、この通電状態において、第2コイル48Bが生成する磁界により、第1鉄心47Aの下端にもN極が励起される。このため、第1鉄心47Aと第1切替ピン41Aの吸着状態は維持される。
図6(C)に示すように、第2コイル48Bへの通電が停止されると、第1永久磁石43Aの磁力によって第2鉄心47Bの下端にはS極が励起される。また、第2スライド溝13Bが浅くなることで、第2切替ピン41Bが上昇される。第2スライド溝13Bがさらに浅くなって、第2切替ピン41Bの上面が第2鉄心47Bの下端近傍まで近づくと、図6(D)に示すように、第2切替ピン41Bが第2鉄心47Bに吸着される。
次に、ECU3によるカムの切替制御について説明する。ここで、吸気カム11が備える標準吸気カム15と低速カム16の間の切替制御と、排気カム21が備える標準排気カム26と早開カム25の間の切替制御は同等の内容である。このため、吸気カム11での切替制御について説明することとし、排気カム21での切替制御については説明を省略する。
図7(A)に示すように、標準吸気カム15の選択時には、同図において左側に位置する第1切替ピン41Aが下方に移動し、第1切替ピン41Aの下端部が第1スライド溝13Aに嵌合する。吸気側二重カム軸12が回転していることから、図7(B)に示すように、外側カム軸12Bは、内側カム軸12Aに対して図における右方向へスライド移動し、吸気カム11が備える標準吸気カム15がロッカーローラ51Aに当接する。これにより、標準吸気カム15のカムプロフィールに沿ってロッカーアーム51が揺動され、吸気バルブV1が開閉動作される。
図8(A)に示すように、低速カム16の選択時には、同図において右側に位置する第2切替ピン41Bが下方に移動し、第2切替ピン41Bの下端部が第2スライド溝13Bに嵌合する。吸気側二重カム軸12が回転していることから、図8(B)に示すように、外側カム軸12Bは、内側カム軸12Aに対して図における左方向へスライド移動し、吸気カム11が備える低速カム16がロッカーローラ51Aに当接する。これにより、低速カム16のカムプロフィールに沿ってロッカーアーム51が揺動され、吸気バルブV1が開閉動作される。
以上説明したように、本実施形態の吸気側電磁ソレノイド14は、上下方向に移動可能な一対の切替ピン41A,41Bを備えており、各切替ピン41A,41Bの下端部をスライド溝13A,13Bに嵌合させることで、スライド溝13A,13Bが形成された外側カム軸12Bを、スライド溝13A,13Bに応じて移動させている。そして、第1切替ピン41Aは、上端面にS極を励起する第1永久磁石43Aを備えており、下方に移動した突出状態で第1スライド溝13Aに下端部が嵌合される。第2切替ピン41Bは、上端面にN極を励起する第2永久磁石43Bを備えており、下方に移動した突出状態で第2スライド溝13Bに下端部が嵌合される。第1電磁ソレノイド42Aが備える第1鉄心47Aは、第1切替ピン41Aの上方に配置されており、第1コイル48Aへの通電によって下端にS極が励起される。第2電磁ソレノイド42Bが備える第2鉄心47Bは、第2切替ピン41Bの上方に配置されており、第2コイル48Bへの通電によって下端にN極が励起される。
ECU3は、第1コイル48Aと第2コイル48Bに対して選択的に通電を行っている。そして、第1コイル48Aが通電されると、第1鉄心47Aの下端と第1永久磁石43Aが反発し、第1切替ピン41Aを選択的に第1スライド溝13Aへ嵌合させることができる。同様に、第2コイル48Bが通電されると、第2鉄心47Bの下端と第2永久磁石43Bが反発し、第2切替ピン41Bを選択的に第2スライド溝13Bへ嵌合させることができる。
このように、本実施形態の吸気側電磁ソレノイド14では、切替ピン41A,41Bを落下させる期間についてコイル48A,48Bの一方に電流を流せばよいので、少ない電流量で動作させることができる。また、制御期間が短時間で済む。さらに、電磁ソレノイド42A,42Bを切替ピン41A,41Bの上方に配置すればよいので小型化にも適する。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。
例えば、前述の実施形態では、移動の対象物を二重カム軸が備える外側カム軸としたが、他の種類の対象物であってもよい。また、切替ピン41A,41Bの形状も前述の実施形態の形状に限られない。例えば、各軸部45A,45Bの上端に永久磁石43A,43Bを接合したものであってもよい。