JP2017008244A - エラストマー組成物の製造方法、エラストマー組成物、マスターバッチ、エラストマー混合物及びエラストマー混合物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、引張強度が改善されたカーボンブラック配合の天然ゴム及びイソプレンゴムが開示されている。
例えば、特許文献2には、プラズマ耐性の高いエラストマー組成物が開示されている。
このように、エラストマーに対して、その他の材料を徐々に添加しながら乾式の混練することでエラストマー組成物を得ることが当業者の技術常識であった。またエラストマーを溶媒に溶解させる湿式法は、エラストマーの組成が変化するおそれがあるため、当業者の間では忌避されていた。
すなわち、本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
以下の説明において例示される材質、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
エラストマー組成物は、エラストマー中に炭素質材料が分散したものを意味する。このエラストマー組成物は、マスターバッチとして機能することができる。
マスターバッチは、エラストマー組成物の一態様であり、エラストマー混合物及びエラストマー成形品を作製する際の基礎となる材料である。マスターバッチとその他のエラストマー組成物や添加剤を混ぜることによってエラストマー混合物を得ることができる。添加剤としては、炭素質材料、シリコン材料、架橋剤、架橋促進剤等の種々の材料を、使用される態様に合せて混ぜることができる。
エラストマー混合物は、マスターバッチに、その他のエラストマーや添加物を追加したものを意味する。そしてエラストマー成形品は、エラストマー混合物を最終製品の態様に合せて加工したものを意味する。エラストマー製品は、エラストマー成形品の一態様である。
本発明の一態様に係るエラストマー組成物の製造方法は、炭素質材料を溶媒中に分散させて炭素質材料含有スラリーを作製する工程と、炭素質材料含有スラリー中にエラストマーを溶解させエラストマー溶液を作製する工程と、エラストマー溶液から溶媒を除去する工程とを有する。
まず炭素質材料を溶媒中に分散させて炭素質材料含有スラリーを作製する。
エラストマー溶液の原料となるエラストマーを準備する。後述する工程でエラストマーを溶媒中に溶解させる際の溶解速度を速めるために、エラストマーのサイズを小さくすることが好ましい。
エラストマーは、そのサイズを1〜10mm程度にすることが好ましい。エラストマーのサイズを小さくすることで、エラストマーを溶媒中に添加した際に、短時間でエラストマー内部まで溶媒を浸透させることができる。その結果、エラストマーの溶解速度を高めることができる。
炭素質材料含有スラリーの作製工程を行った後は、エラストマー溶解工程を行う。
この処理は、エラストマーを十分溶解させるために、エラストマーを全て溶解させることのできる温度以上で行うことが好ましい。この処理中は、炭素質材料含有スラリーの溶媒が揮発しないよう密閉して、溶媒の沸点以下の温度に加温しながら行うことが好ましい。溶媒が揮発しないよう冷却器等を装備して加熱するのであれば、エラストマーが分解しない温度まで加温しても良い。ここで、エラストマーが分解しない温度とは、分子鎖が切断しない温度を意味する。加温する温度が高い方が、溶解度が高く、溶解速度も速くなるため好ましい。加温することで、エラストマーの溶解性及び溶解速度を高めることができる。また溶解したエラストマーは飽和溶解度以下の温度になると再凝集する可能性がある。そのため加温することにより、エラストマーが再凝集することを抑制することができる。
ここで、「十分溶解」とは、エラストマーを溶解して得られたエラストマー溶液を目視で観察し、エラストマー粒子が確認できない状態を意味する。目視で判別しにくい場合は、ガラス上にエラストマー溶液を1,2滴滴下して、カバーグラスで覆い、光学顕微鏡(500倍)でエラストマー粒子が確認できないことを確認する。カバーグラスが傾いたり、気泡が入って除去できないことがある場合は、エラストマー粒子が残っていると判断する。
溶解するエラストマーの量は、エラストマー組成物中の炭素質材料が所望の濃度となる量とする。前記エラストマーの量に対応して使用する溶媒量も変化する。エラストマー1g当たりの溶媒量は、3〜200mlが好ましい。前記溶媒量は、3ml以上であれば撹拌及び混合しやすい粘度となり、また200ml以下であれば次の工程の溶媒除去が容易である。
例えば、天然ゴムを用いる場合は、四塩化炭素、クロロホルム、クロロトルエン、シクロヘキサン、ジクロロベンゼン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチルベンゼン、二塩化エチレン、フロロベンゼン、ガソリン、ヘキサン、イソプロピルエーテル、石油、酢酸プロピル、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、トリクロルエチレン及びキシレンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
このようにして得られたエラストマー溶液から溶媒を除去することで、エラストマー組成物を製造する。
エラストマー溶液から溶媒を除去する方法は、加熱によって行ってもよいし、エバポレータ等を用いた減圧処理によって行ってもよい。またさらに真空乾燥を行ってもよい。
エラストマー組成物をフィルム状に成形し、光学顕微鏡等で観察した結果、10μmの平均膜厚換算で、5μm以上の粒子からなる炭素質材料が1mm2に対して20個以下とすることができる。この測定は、得られたエラストマー組成物の表面を光学顕微鏡で観測することで確認できる。
炭素質材料の分散性が高いため、炭素質材料の添加量が、従来の混練方法で作製したエラストマー組成物よりも少量でも、耐熱性や引張強度を高めることができる。
このようにして得られたエラストマー組成物、マスターバッチ、エラストマー混合物、エラストマー製品は、耐熱性が高い。
本実施例及び比較例において、エラストマー及び炭素質材料は下記のいずれかを用いた。
エラストマー
フッ素ゴム;ダイキン工業社製 G−912
ブチルゴム;JSR社製 BR01
塩素化ポリエチレン;昭和電工社製 エラスレン302NE−X5
クロロプレンゴム;昭和電工社製 ショウプレンW
炭素質材料
MTカーボン;旭カーボン社製 アサヒサーマル
膨張黒鉛;伊藤黒鉛工業社製 EC−1500
CB;Aldrich製カーボンブラック nanopowder
CNT;昭和電工社製カーボンナノチューブ VGCF−H
アセチレンブラック;電気化学工業社製 アセチレンブラック
ケッチェンブラック;キャボットジャパン社製 バルカンXC−72
(耐熱性試験)
耐熱性は、NETZSCH社製のASC7000Sを用い、大気中の熱重量特性によって確認した。加熱前の質量に対して質量が10%低下した温度を耐熱温度とした。表1において耐熱温度は、それぞれ炭素質材料を未添加(実施例1〜14に対して比較例1、実施例15に対して比較例8、実施例16に対して比較例10、実施例17に対して比較例12)の場合の耐熱温度を基準に相対的な温度を示している。
JIS K 6251で規定されるダンベル状試験片3号形を用いて引っ張り試験を行った。マスターバッチ50質量部をフッ素ゴム(ダイキン工業社製のG−912)450質量部、第1架橋剤(日本化成製のタイク(登録商標))20質量部、第2架橋剤(日本油脂製のパーヘキサ25B(登録商標))7.5質量部を混合し、170℃、10分の条件で厚さ1mmのシート(150mm角)を成形した。得られた成形品を180℃4時間で二次加硫を行い、ダンベル状試験片状に打ち抜いて試験片を作製した。引っ張り試験条件は、島津製作所製オートグラフ(型式 AGS−X 5kN)を用い、試験温度23℃、引っ張り速度500±50mm/minとした。表1において引張強度は、炭素質材料を未添加(比較例1)の場合の引張破断強度に対する比を示している。
炭素質材料としてカーボンブラック(MTカーボン;旭カーボン社製 アサヒサーマル)を用意した。この炭素質材料をトリフルオロメチルベンゼン中に混合し、炭素質材料の2質量%分散液を調製した。混合時には、高速回転粉砕機(IKA)で20000rpm/minで30分間処理し、凝集粒を粉砕した。処理後の分散液をジェットミル(スターバースト、株式会社スギノマシン製)を用いて150MPaの圧力条件で剪断応力を加えた。最後に得られた炭素質材料含有スラリーを45μm篩にかけて、凝集粒を除去した。
そして得られた炭素質材料の2質量%分散液をトリフルオロメチルベンゼンで希釈した炭素質材料含有スラリー700ml(炭素質材料を0.3g含む)にフッ素ゴム30gを添加した。フッ素ゴムは、上記の炭素質材料含有スラリーに添加する前に、予め約5mm角に切断しておいた。
このフッ素ゴムを添加した液を室温で2日間撹拌した。そして、撹拌後に、目視でゴムが溶解していることを確認してから、超音波ホモジナイザーで10分間処理を行った。このときのエラストマー溶液の温度は60℃に上昇していた。そして溶液温度を60℃に維持しながらエバポレータを用いて、エラストマー溶液から溶媒を一部留去し、エラストマー溶液を濃縮した。このときの温度は60℃とした。そして、得られたマスターバッチをさらに110℃で6時間真空乾燥させた。マスターバッチ中の炭素質材料の含有量は、フッ素ゴムに対して1.0質量%であった。エラストマー組成物中の溶媒量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)で測定した結果、質量換算で50ppm以下であった。
炭素質材料、マスターバッチに含有される炭素質材料の割合及び使用した溶媒を表1に記載の条件とした点が、実施例1と異なる。
フッ素ゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン単体を準備した。
表1の炭素質材料をエラストマー材料に、乾式で混練した。混練条件は、B型バンバリーミキサー(神戸製鋼社製)を用いて、ロータの回転速度を50rpm、混練時間を2分とした。
Claims (13)
- 炭素質材料を溶媒中に分散させて炭素質材料含有スラリーを作製する工程と、
前記炭素質材料含有スラリー中にエラストマーを溶解させるエラストマー溶解工程と、
前記エラストマー溶液から溶媒を除去する工程とを有するエラストマー組成物の製造方法。 - 前記エラストマーを予め切断し、そのサイズを1〜10mmにするエラストマーの前処理工程を含む請求項1に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記エラストマー溶解工程において、前記エラストマーが分解しない温度以下の温度に、前記炭素質材料含有スラリーを加温しながら行う請求項1または請求項2に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記溶媒を除去する工程の前に、前記エラストマー溶液に剪断応力を加える工程をさらに有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記剪断応力を加える工程において、前記エラストマー溶液の温度を前記エラストマー溶解工程における温度以下にならないように、前記エラストマー溶液を加温する請求項4に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記溶媒を除去する工程において、前記エラストマー溶液の温度を前記エラストマー溶解工程における温度以下にならないように、前記エラストマー溶液を加温する請求項1〜5のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記炭素質材料含有スラリーを作製する工程において、1μm以下のサイズの前記炭素質材料を用いる請求項1〜6のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記炭素質材料は、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、膨張黒鉛、カーボンナノチューブからなる群から選択された少なくとも一種である請求項1〜7のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 前記エラストマーは、ブチルゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム及びこれらエラストマーを構成するモノマーの共重合体からなる群から選択される少なくとも一種のゴムである請求項1〜8のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法で得られるエラストマー組成物であって、前記エラストマー組成物中に前記炭素質材料を0.01〜80質量%含むエラストマー組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法で得られるエラストマー組成物を用いたマスターバッチ。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法で得られるエラストマー組成物を含むエラストマー混合物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のエラストマー組成物の製造方法を用いたエラストマー混合物の製造方法。
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