JP2017010637A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温保存時のガス発生量を低減する。【解決手段】非水電解液二次電池は、正極活物質と、負極活物質とを備える。正極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む第1被膜が形成されている。負極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、ビニレンカーボネートに由来する成分とを含む第2被膜が形成されている。第2被膜において、ビニレンカーボネートに由来する成分の量は、負極活物質の単位表面積当たり29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
特開2009−187940号公報(特許文献1)には、正極活物質に、アルキルスルホン酸金属塩を含む被膜を形成する技術が開示されている。
特開2009−187940号公報
特許文献1によれば、正極活物質の表面に、アルキルスルホン酸金属塩を含む被膜を形成することにより、高温保存時のガス発生を抑制できるとされている。本発明では、こうした従来技術に比し、高温保存時のガス発生量を更に低減することを目的とする。
非水電解液二次電池は、正極活物質と、負極活物質とを備える。正極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む第1被膜が形成されている。負極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、ビニレンカーボネートに由来する成分とを含む第2被膜が形成されている。第2被膜において、ビニレンカーボネートに由来する成分の量は、負極活物質の単位表面積当たり29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下である。
特許文献1では、正極側でのガス発生に主眼が置かれている。しかしながら、ガス発生は、正極側のみならず、負極側でも起こり得る。上記の非水電解液二次電池では、負極活物質の表面にも、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む第2被膜が形成されている。よって上記の非水電解液二次電池では、負極側でもガス発生を抑制できる。
ジスルホン酸ジリチウム塩は金属塩である。金属塩単体に由来する被膜は、負極活物質の膨張収縮に追随できず、それにより被膜に期待される効果が低減することが考えられる。そこで上記の非水電解液二次電池では、負極活物質の表面に形成される第2被膜を、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、ビニレンカーボネート(以下「VC」と略記する。)に由来する成分とを含む混合被膜としている。金属塩と有機化合物とを含む混合被膜であることにより、第2被膜の膨張収縮耐性が向上する。
さらに上記の非水電解液二次電池では、第2被膜において、VCに由来する成分の量を29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下としている。この理由は、同量が29μmоl/m2未満になると、第2被膜の膨張収縮耐性が不十分になる可能性があり、同量が58μmоl/m2を超えると、ガス発生量がむしろ増加する可能性もあるためである。
上記によれば、高温保存時のガス発生量を低減できる。
本発明の実施形態に係る非水電解液二次電池の構成の一例を示す概略図である。 電極群の変形例を示す第1概略図である。 電極群の変形例を示す第2概略図である。
以下、本発明の実施形態(以下「本実施形態」と記す)の一例について説明する。ただし、本実施形態は以下の説明に限定されるものではない。以下の説明では、非水電解液二次電池を単に「電池」と記すこともある。また正極および負極を総称して「電極」と記すことがある。たとえば「電極活物質」は、正極活物質または負極活物質を示し、「電極合材層」は、正極合材層または負極合材層を示し、「電極板」は、正極板または負極板を示す。
〔非水電解液二次電池〕
図1は、本実施形態に係る非水電解液二次電池の構成の一例を示す概略図である。図1に示す電池100は、密閉型電池である。電池100は、電池ケース50を備える。図示していないが、電池ケース50は、注液口、安全弁および圧力型電流遮断機構(Current Interrupt Device:CID)等を有していてもよい。圧力型CIDとは、電池の内圧が所定の圧力(「作動圧」ともいう)を超えると、電流経路を物理的に遮断する素子である。
〔電極群〕
電池ケース50には、電極群10および電解液が内蔵されている。電極群10の外形は、扁平状である。電極群10は、積層式(「スタック式」ともいう)の電極集合体である。電極群10は、少なくとも正極板、負極板およびセパレータを含む。正極板、負極板およびセパレータの平面形状は、いずれも矩形である。電極群10において、正極板と負極板とは、セパレータを間に挟んで交互に積層されている。セパレータは袋状でもよい。正極板および負極板は、袋状のセパレータに収容されていてもよい。
正極板は、たとえば正極集電箔と、該正極集電箔上に形成された正極合材層とから構成される。正極合材層は、正極集電箔の両主面に形成されていてもよい。正極合材層は、正極活物質、導電助材および結着材等を含有する。正極集電箔、正極活物質、導電助材および結着材には、非水電解液二次電池の正極用材料として通常使用され得る材料を特に制限なく使用できる。
負極板は、たとえば負極集電箔と、該負極集電箔上に形成された負極合材層とから構成される。負極合材層は、負極集電箔の両主面に形成されていてもよい。負極合材層は、負極活物質、増粘材および結着材等を含有する。負極集電箔、負極活物質、増粘材および結着材には、非水電解液二次電池の負極用材料として通常使用され得る材料を特に制限なく使用できる。
電極群10は、正極板および負極板の積層方向と交差する方向に、4つの開口端部OEを有している。「開口端部」とは、電解液が電極群に出入りすることができる端部を示す。電極群の端部は、凹凸を有していてもよいし、略平坦でもよいし、R部(曲面)でもよい。図1において、液面Lv1は、電極群10の上端よりも高い位置にある。
正極板および負極板は、充放電サイクルに伴って、膨張収縮を繰り返す。これにより、電解液が電極群から徐々に押し出され、電極群の内部では、電解液および支持塩分布に斑が生じることになる。支持塩分布の斑は、電解液に浸っていない部分で顕著に現れる。支持塩分布に斑が生じると、電極板の面内方向において、充放電反応が不均一となり、サイクル劣化が促進されることになる。
本実施形態では、4つの開口端部OEを有する積層式の電極群10を採用している。さらにすべての開口端部OEが、電解液に完全に浸るように、電解液量を調整している。これにより、充放電サイクルに伴う支持塩分布の斑が抑制される。
上記のように液面位置を高くすると、電池内の空間容積が減少することになる。「空間容積」とは、電池ケースの内容積から、内蔵物(電極群および電解液等)の体積を差し引いた容積である。本実施形態によれば、空間容積は50mL以下になってもよい。通常、空間容積が50mL以下まで小さくなると、電池の内圧が上昇しやすくなり、異常時(たとえば過充電時)以外の少量のガス発生でも、安全弁および圧力型CIDが作動する可能性がある。こうした誤作動を避けるためには、安全弁および圧力型CIDの作動圧を高くしなければならず、通常使用時(たとえば高温保存時)のガス発生量が多いことも相俟って、ロバスト設計が困難になる。これに対して本実施形態では、通常使用時のガス発生量を低減できるため、電池内の空間容積を50mL以下にしても、圧力型CID等の作動圧を低く維持できる可能性がある。
〔電解液〕
電解液は、非プロトン性溶媒に支持塩を溶解させた液体電解質である。非プロトン性溶媒(以下、単に「溶媒」ともいう)は、たとえばエチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等を混合した混合溶媒でもよい。混合溶媒の組成は、たとえばEC:DMC:EMC=3:4:3等でもよい。支持塩は、たとえばLiPF6、Li[(FSO22N]等のLi塩でもよい。支持塩の濃度は、たとえば0.5〜2.0mоl/L程度でもよい。
本実施形態の電解液には、ジスルホン酸ジリチウム塩が添加されている。本明細書において、ジスルホン酸ジリチウム塩とは、
化学式(I):LiO3S−(CH2)m−SO3Li
によって表される化合物を示す。
化学式(I)中、mは1以上の任意の整数を示す。mは、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは2〜6の整数であり、特に好ましくは3〜5の整数である。
ジスルホン酸ジリチウム塩の添加量は、電解液の全質量に対して、たとえば0.5〜2.0質量%程度である。電解液に添加されたジスルホン酸ジリチウム塩は、初回の充放電あるいはエージング時に、正極活物質の表面に第1被膜を形成し、負極活物質の表面に第2被膜を形成することになる。
第1被膜および第2被膜は、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む。こうした被膜は、ジスルホン酸骨格の分子内分極および大きな立体障害により、ガス発生を引き起こす反応種(たとえばフッ化物イオン、溶媒和していない溶媒分子等)が、電極活物質に接近することを抑制すると考えられる。また被膜がリチウム塩を含むため、リチウムイオンの接近を促進する効果も期待できる。
本明細書では、被膜を構成する成分の量を、電極活物質の単位表面積(1m2)当たりの物質量で表す。正極活物質の表面に形成された第1被膜において、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分の量(以下「SOxLi成分量」とも記す)は、正極活物質の単位表面積当たり、1.1μmоl/m2以上1.7μmоl/m2以下が好ましい。かかる範囲において、正極側でのガス発生量の低減効果が大きいからである。SOxLi成分量は、電解液におけるジスルホン酸ジリチウム塩の添加量、正極活物質の比表面積等によって調整可能である。SOxLi成分量は、イオンクロマトグラフィ(IC)によって測定できる。測定手順は次のとおりである。
〔SOxLi成分量の測定方法〕
(1)電池を解体し、電極板を回収する。電極板から所定面積の試験片を採取する。試験片は、たとえば直径40mmの円板状試験片とする。試験片をたとえばEMC等の適当な溶媒で洗浄する。洗浄後の試験片を50%アセトニトリル(ACN)水溶液に10分程度浸漬する。これにより被膜成分を含む抽出液を得る。IC装置を用いて、抽出液に含まれるSOxイオン(たとえば、SO3 2-、SO4 2-等)を定量する。各SOxイオンの合計量を、測定に供された電極板の面積で除することより、単位面積当たりのSOxLi成分量[単位:μmоl/cm2]を求める。
(2)予め窒素ガスを用いたBET法により、電極活物質の比表面積[単位:m2/g]を測定しておく。電極活物質の比表面積と、電極合材層の目付量[単位:g/cm2]と、電極合材層における電極活物質の質量比率[単位:%]とを乗ずることにより、電極合材層の単位面積に含まれる、電極活物質の合計表面積[単位:m2/cm2]を求める。
(3)上記(1)で求めた単位面積当たりのSOxLi成分量を、上記(2)で求めた電極活物質の合計表面積で除することにより、電極活物質の単位表面積当たりのSOxLi成分量[単位:μmоl/m2]が求められる。
さらに本実施形態の電解液には、VCも添加されている。それゆえ負極活物質の表面では、VCの還元分解、分解物の重合も起こり、第2被膜は、ジスルホン酸ジリチウム塩およびVCに由来する成分を含む混合被膜になる。第2被膜は、VCに由来する有機成分を含むことにより、負極活物質の膨張収縮に追随できる被膜となり得る。VCの添加量は、電解液の全質量に対して、たとえば0.5〜2.0質量%程度である。
第2被膜におけるSOxLi成分量も、前述の方法によって測定、算出できる。第2被膜におけるSOxLi成分量は、0.6μmоl/m2以上0.9μmоl/m2以下が好ましい。
本実施形態では、第2被膜におけるVCに由来する成分の量(以下「VC成分量」とも記す)を、29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下とする。VC成分量が29μmоl/m2未満になると、第2被膜の膨張収縮耐性が不十分になる可能性がある。またVC成分量が58μmоl/m2を超えると、ガス発生量がむしろ増加する可能性もある。VC成分量は上記範囲内である限り、35μmоl/m2以上としてもよいし、44μmоl/m2以下としてもよい。これにより、ガス発生量の低減効果が大きくなることが期待される。VC成分量は、電解液におけるVCの添加量、負極活物質の比表面積等によって調整可能である。VC成分量は、ガスクロマトグラフィ(GC)によって測定できる。測定手順は次のとおりである。
〔VC成分量の測定方法〕
(1)初期エージング後の電池から、所定量の電解液を採取する。測定試料(電解液)は、たとえばACN等の適当な溶媒を用いて10倍程度に希釈してもよい。GC装置を用いて、電解液に残存するVCの濃度(残存VC濃度)を測定する。初期電解液のVCの濃度(初期VC濃度)と、残存VC濃度との差を求める。当該差に、電解液の注液量を乗ずることにより、被膜化したVC量[単位:μmоl]を求める。
(2)予め窒素ガスを用いたBET法により、負極活物質の比表面積[単位:m2/g]を測定しておく。負極活物質の比表面積と、負極合材層の目付量[単位:g/cm2]と、負極合材層における負極活物質の質量比率[単位:%]と、負極合材層の面積[単位:cm2]とを乗ずることにより、電池内に含まれる負極活物質の合計表面積[単位:m2]を求める。
(3)上記(1)で求めた被膜化したVC量を、上記(2)で求めた負極活物質の合計表面積で除することにより、負極活物質の単位表面積当たりのVC成分量[単位:μmоl/m2]が求められる。
前述のように、第2被膜は、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、VCに由来する成分とを含む混合被膜である。本明細書では、VC成分量に対するSOxLi成分量の比率(百分率)を、混合比率と定義する。混合比率は1.2%以上2.5%以下が好ましい。これによりガス発生量の低減効果が大きくなることが期待される。混合比率は、上記範囲内であれば、1.3%以上としてもよいし、2.0%以下としてもよい。
本実施形態の電解液は、上記の成分に加え、過充電時に圧力型CIDの作動を促進するガス発生剤(「過充電添加剤」ともいう)等を含有していてもよい。ガス発生剤としては、たとえばシクロヘキシルベンゼン(CHB)、ビフェニル(BP)等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本実施形態を説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。以下の説明において、電流値の単位「C」は、電池の定格容量を1時間で放電しきる電流値を示すものとする。
〔非水電解液二次電池の作製〕
以下のように、試料A1〜A7ならびにB1〜B4に係る非水電解液二次電池を作製し、電池性能を評価した。試料A1〜A7が実施例であり、試料B1〜B4が比較例である。
〔試料A1〕
1.正極板の作製
以下の材料を準備した
正極活物質:LiNi0.4Co0.4Mn0.22(比表面積0.8m2/g)
導電助材 :アセチレンブラック
結着材 :ポリフッ化ビニリデン
溶媒 :N−メチル−2−ピロリドン
正極集電箔:アルミニウム箔(厚さ12μm)。
攪拌装置の攪拌槽に、正極活物質、導電助材、結着材および溶媒を投入し、攪拌することにより、正極スラリーを作製した。正極スラリーにおいて固形分の配合は、質量比で、正極活物質:導電助材:結着材=93:4:3とした。
ダイコータを用いて、正極集電箔の両主面に正極スラリーを塗工し、乾燥させることにより、正極合材層を形成した。ロール圧延機を用いて、正極合材層を圧延し、さらに正極集電箔および正極合材層を所定の寸法に裁断することにより、平面形状が矩形状である正極板を得た。
2.負極板の作製
以下の材料を準備した
負極活物質:黒鉛(比表面積2.3m2/g)
増粘材 :カルボキシメチルセルロース
結着材 :スチレンブタジエンゴム
溶媒 :水
負極集電箔:銅箔(厚さ8μm)。
攪拌装置の攪拌槽に、負極活物質、増粘材、結着材および溶媒を投入し、攪拌することにより、負極スラリーを作製した。負極スラリーにおいて固形分の配合は、質量比で、負極活物質:増粘材:結着材=99:0.5:0.5とした。
ダイコータを用いて、負極集電箔の両主面に負極スラリーを塗工し、乾燥させることにより、負極合材層を形成した。ロール圧延機を用いて、負極合材層を圧延し、さらに負極集電箔および負極合材層を所定の寸法に裁断することにより、平面形状が矩形状である負極板を得た。
3.セパレータの準備
セパレータ基材として、厚さ12μmの微多孔膜セパレータを準備した。セパレータ基材は、ポリエチレン(PE)からなる微多孔膜と、ポリプロピレン(PP)からなる微多孔膜とが、PP/PE/PPの順で積層された3層構造を有するものとした。
乳化分散装置を用いて、アルミナ粒子およびアクリル樹脂を、溶媒中に分散させることにより、スラリーを作製した。グラビアコータを用いて、セパレータ基材の表面に、当該スラリーを塗工し、乾燥させた。これにより厚さ4μmの耐熱層を形成した。さらに所定の寸法に裁断することにより、平面形状が矩形状である耐熱層付セパレータ(厚さ16μm)を得た。
4.電極群の作製
セパレータを挟んで、正極板と負極板とを積層することにより、積層ユニットを作製した。積層ユニットを複数積み上げることにより、図1に示す積層式の電極群10を作製した。電極群10は、4つの開口端部OEを有するものである。
5.電解液の準備
以下の組成を有する電解液を準備した
溶媒組成 :[EC:DMC:EMC=3:4:3(体積比)]
支持塩 :LiPF6(1.1mоl/L)
ガス発生剤:CHB(4質量%)、BP(1質量)。
ジスルホン酸ジリチウム塩として、1,4−ブタンジスルホン酸ジリチウムを準備した。上記の電解液に、ジスルホン酸ジリチウム塩およびVCを表1に示す量で添加した。
Figure 2017010637
6.組み立て
図1に示すように、電池ケース50に、電極群10を収容した。電池ケース50の注液口(図示せず)から電解液を注液した。注液後の液面Lv1は、4つの開口端部OEよりも高い位置にあった。すなわち、試料A1において、液面と接するかまたは液面より下に位置する開口端部の数は「4」である。注液口を封止することにより、電池ケースを密閉した。
7.初期エージング
25℃に設定された恒温槽内に電池を配置し、定電流−定電圧方式の充電により、電池電圧が3.95Vになるように充電を行った。次いで、60℃に設定された恒温槽内に電池を配置し、24時間静置した。以上より、試料A1に係る非水電解液二次電池を得た。
〔試料A2〜A4、B1〜B4〕
表1に示すように、電解液におけるジスルホン酸ジリチウム塩添加量およびVC添加量を変更することを除いては、試料A1と同様にして、試料A2〜A4ならびにB1〜B4に係る非水電解液二次電池を得た。
〔試料A5〕
正極板、負極板およびセパレータを長尺帯状に裁断した。巻取装置を用いて、セパレータを挟んで、正極板と負極板とを積層し、さらにこれらを巻回することにより、巻回体を得た。平板プレス装置を用いて、巻回体を扁平状に成形することにより、図2に示す巻回式の電極群20を得た。電極群20は、巻回軸Awの両端に2つの開口端部OEを有するものである。電極群20において、巻回軸Awと交差する方向にある2つのR部は、電解液が出入りできないため、開口端部に該当しない。
図2に示すように、巻回軸Awが液面Lv1と平行になるように、電極群20を電池ケース50に収容した。液面Lv1は、2つ開口端部OEよりも高い位置にあった。すなわち、試料A5において、液面と接するかまたは液面より下に位置する開口端部OEの数は「2」である。これらを除いては、試料A1と同様にして、試料A5に係る非水電解液二次電池を得た。表1中、試料A5に係る電極群の群構成は「横巻回式」と記している。
〔試料A6〕
試料A6では、電解液の注液量を変更することを除いては、試料A1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。図1に示す液面Lv2は、試料A6における液面を示している。液面Lv2は、液面Lv1の半分程度の高さとした。試料A6において、液面と接するか、または液面より下に位置する開口端部OEの数は「3」である。
〔試料A7〕
長尺帯状の正極板、負極板およびセパレータを準備した。各部材の幅および長さは、試料A5と異なる。これらの部材を用いて、図3に示す巻回式の電極群30を作製した。電極群30は、巻回軸Awの両端に2つの開口端部OEを有するものである。前述の電極群20(図2を参照)と同様に、巻回軸Awと交差する方向にある2つのR部は、電解液が出入りできないため、開口端部に該当しない。
図3に示すように、巻回軸Awが液面Lv1と垂直になるように、電極群30を電池ケース50に収容した。液面Lv1は、2つの開口端部OEよりも高い位置とした。試料A7において、液面と接するか、または液面より下に位置する開口端部の数は「2」である。これらを除いては、試料A1と同様にして、試料A7に係る非水電解液二次電池を得た。表1中、試料A7に係る電極群の群構成は「縦巻回式」と記している。
〔評価〕
1.被膜の分析
初期エージング後の電池から、正極板、負極板および電解液を回収した。前述の方法に従って、「第1被膜における、正極活物質の単位表面積当たりのSOxLi成分量」、「第2被膜における、負極活物質の単位表面積当たりのSOxLi成分量」および「第2被膜における、負極活物質の単位表面積当たりのVC成分量」を測定、算出した。結果を表1に示す。分析機器の設定、測定条件は次のとおりとした。
(IC測定条件)
装置 :DIONEX社製「ICS−3000」
ガードカラム:Thermo社製「AG−9HC(50×2mm)」
分離カラム :Thermo社製「AS−9HC(250×2mm)」
カラム温度 :25℃
溶離液 :2.5mM NaHCO3(50%ACN溶液)+α
(A液)0.17mM Na2CO3、(B液)10mM Na2CO3
グラジエント溶出法(A液のみ→A液およびB液の混合)
溶離液流量 :0.3mL/min
試料導入量 :10μL。
(GC測定条件)
装置:アジレント・テクノロジー社製「Agilent 3000 MicroGC」
カラム :アジレント・テクノロジー社製「Molsieve」
カラム温度 :(A)80℃、(B)80℃、(C)60℃
気化室温度 :90℃
キャリアガス:(A)Ar、(B)He、(C)He
キャリア流量:5mL/min
試料注入量 :0.667mL。
2.ハイレートサイクル試験
25℃環境において、以下の「充電パルス」と「放電パルス」とのセットを1サイクルとする、ハイレートパルスサイクルを3000サイクル行った
充電パルス:電流値4C、20秒間
放電パルス:電流値1C、80秒間。
3000サイクル後の電池抵抗を初期の電池抵抗で除することにより、抵抗増加率(百分率)を求めた。結果を表1に示す。表1中、抵抗増加率が低いほど、ハイレートサイクル特性が良好である。
3.高温保存試験
電池のSOC(State Of Charge)を85%に調整した。電池に内圧センサを取り付け、保存前の内圧を測定した。60℃に設定された恒温槽内に、電池を配置し、100日間保存した。100日後、内圧センサにより保存後の内圧を測定した。保存後の内圧から保存前の内圧を差し引くことにより、内圧上昇量を算出し、さらに内圧上昇量と電池内の空間容積との関係から、ガス発生量を求めた。結果を表1に示す。
〔結果と考察〕
表1から分かるように、正極活物質の表面にはジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む第1被膜が形成されており、負極活物質の表面にはジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、VCに由来する成分とを含む第2被膜が形成されており、かつ第2被膜におけるVCに由来する成分の量が、負極活物質の単位表面積当たり29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下である、試料A1〜A7では、かかる条件を満たさない試料B1〜B4に比し、ガス発生量が顕著に低減されていた。
試料A1〜A4の結果を比較すると、第2被膜におけるVCに由来する成分の量が35μmоl/m2以上44μmоl/m2以下の範囲において、ガス発生量の低減効果が大きいことが分かる。
試料A1〜A4は、試料A5〜A7に比し、ハイレートサイクル特性が良好であった。試料A1〜A4は、液面と接するかまたは液面より下に位置する開口端部が多いため、電極群において、ハイレートサイクルに伴う支持塩分布の斑が生じ難いと考えられる。
以上、角形電池を例示して本実施形態を説明したが、本実施形態は、角形電池に限定されず、たとえば円筒形電池、ラミネート式電池等に適用してもよい。本実施形態は、上記の特徴に基づき、車載用の大型電池(たとえばエネルギー密度が360Wh/L以上の電池)に対して、特に好適といえる。
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,20,30 電極群、50 電池ケース、100 電池、Aw 巻回軸、Lv1,Lv2 液面、OE 開口端部。

Claims (1)

  1. 正極活物質と、負極活物質とを備え、
    前記正極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分を含む第1被膜が形成されており、
    前記負極活物質の表面には、ジスルホン酸ジリチウム塩に由来する成分と、ビニレンカーボネートに由来する成分とを含む第2被膜が形成されており、
    前記第2被膜において、前記ビニレンカーボネートに由来する成分の量は、前記負極活物質の単位表面積当たり29μmоl/m2以上58μmоl/m2以下である、非水電解液二次電池。
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