JP2017013958A - エレベータ及びエレベータの制振方法 - Google Patents

エレベータ及びエレベータの制振方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡単なシステムで振動抑制効果を発揮するエレベータ及びエレベータの制振方法を提供する。【解決手段】エレベータ1は、かご停止検出部(停止判断部205及び停止検出部206)と、変位検出器203と、アクチュエータ202と、制御部204とを有する。かご停止検出部は、乗りかごが停止しているか否かを検出する。変位検出器203は、かご室とかご枠との相対的な横方向の変位を検出する。アクチュエータ202は、かご室とかご枠との間に配置され、かご室又はかご枠に横方向の力を作用する。制御部204は、変位検出器とかご停止検出部の情報に基づいて、アクチュエータに制御信号を出力する。【選択図】図2

Description

本発明は、エレベータ及びエレベータの制振方法に関する。
エレベータは、昇降路内に配置されており、乗客が搭乗する乗りかごと、乗りかご及び釣合いおもりを昇降させる巻上機と、乗りかごや釣合いおもりなどの昇降体を案内するガイドレール等を備えている。
また、エレベータは、乗りかごをガイドレールに沿って上下に安定して昇降させるために、ガイドレールに対して3方向からローラが接触するガイド装置を備えている。ガイド装置のローラがガイドレールに押し付けられる力は、ローラを取り付けたレバーに設置されるばねにより調整されている。例えば、ガイドレールが曲がって据え付けられていたり、ガイドレールのつなぎ目で段差があったりすると、ガイドレールに接触しているローラを介して乗りかごに外力が加わり、横方向に振動を発生させる。
このような乗りかごの横振動を抑制する方法としては、外乱源であるガイドレールを据え付ける際に、曲がりや段差を基準内に収めて、その後、保守・管理を行うことが挙げられる。しかし、近年、熟練の技術者を確保することが難しくなってきており、ガイドレールの据え付けを高精度に行うことが厳しくなってきている。
また、乗りかごは、人が乗り込むかご室と、ロープやガイド装置が取り付けられているかご枠から構成されている。そして、一般的なエレベータでは、かご室と、かご枠とを防振ゴムを介して接続し、かご枠からかご室へ振動が伝わり難くしている。しかし、かご室とかご枠との間に通常の防振ゴムを設置するだけでは、乗りかごの横振動を抑えきれないことがある。したがって、さらに制振効果を高めることが望まれている。例えば、特許文献1には、制振効果を高めるために、かご室とかご枠との間に、水平方向のばね定数が小さい弾性部材を配置することが記載されている。
また、特許文献2には、ガイドレールを挟んで両側に設けた2つのガイドローラのガイドレールに対する押圧力を1つのアクチュエータによって制御する構成を有するエレベータが記載されている。この特許文献2に記載されたエレベータでは、乗りかごの振動を検出して、その検出した振動情報に基づいてガイドローラのガイドレールへの押付力を変化させて、乗りかごの振動を抑制する。
特開平7−187548号公報 特開2006−131385号公報
しかし、特許文献1に記載されたエレベータでは、水平方向のばね定数を小さくしているため、乗りかごが停止して乗客が乗り込んでくる時に、かご室が揺れ易くなってしまう。一方、特許文献2に記載されたエレベータのように、乗りかご振動を積極的に抑制しようとすれば、システムが複雑化することになり、据付場所においてガイドローラのガイドレールに対する押圧力の調整等に時間がかかってしまう。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、簡単なシステムで振動抑制効果を発揮するエレベータ及びエレベータの制振方法を提供することにある。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベータは、かご室及びかご枠を有する乗りかごと、乗りかごを吊持するロープと、巻上機と、ガイドレールと、上下方向ばねと、上下方向減衰部と、横方向減衰部とを備える。巻上機は、ロープが巻き掛けられ、ロープを駆動して乗りかごを昇降させる。ガイドレールは、乗りかごの昇降を案内する。上下方向振動抑制部は、かご室とかご枠との間に配置され、かご室とかご枠との相対的な上下方向の振動を抑制する。横方向減衰部は、かご室とかご枠との間に配置され、かご室とかご枠との相対的な横方向の振動を減衰する。
また、本発明のエレベータは、かご停止検出部と、変位検出器と、アクチュエータと、制御部とを有する。かご停止検出部は、乗りかごが停止しているか否かを検出する。変位検出器は、かご室とかご枠との相対的な横方向の変位を検出する。アクチュエータは、かご室とかご枠との間に配置され、かご室又はかご枠に横方向の力を作用する。制御部は、変位検出器とかご停止検出部の情報に基づいて、アクチュエータに制御信号を出力する。
また、本発明のエレベータの制振方法は、まず、かご室及びかご枠を有する乗りかごが停止しているか否かをかご停止検出部により検出する。次に、かご停止検出部の検出結果と、かご室とかご枠との相対的な横方向の変位を検出する変位検出器の出力とに基づいて、制御部がかご室又はかご枠に横方向の力を作用するアクチュエータの出力を決定する。そして、制御部により決定された出力でアクチュエータを動作させる。
上記構成のエレベータ及びエレベータの制振方法によれば、簡単なシステムで振動抑制効果を発揮することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施形態に係るエレベータの構成例を示す構成図である。 本発明の第1の実施形態に係る乗りかごを示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に係る乗りかごを示す側面図である。 従来の乗りかごを示す正面図である。 従来の乗りかごの振動モードの第1の例を示す説明図である。 図5に示す振動モードにおける振動の伝達特性図である。 従来の乗りかごの振動モードの第2の例を示す説明図である。 図7に示す振動モードにおける振動の伝達特性図である。 本発明の第1の実施形態に係るエレベータの制振処理の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係るエレベータの制振処理の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明のエレベータ及びエレベータの制振方法を実施するための形態について、図1〜図10を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
<第1の実施形態>
[エレベータの構成]
まず、本発明の第1の実施形態に係るエレベータの構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るエレベータの構成例を示す構成図である。
図1に示すように、本発明のエレベータ1は、建物構造物内に形成された昇降路110と、人や荷物を載せる乗りかご120と、ロープ130と、釣合錘140と、ガイドレール150と、巻上機100とを備える。昇降路110は、建築構造物内に形成され、その頂部には機械室160が設けられている。
巻上機100は、機械室160に配置され、ロープ130を巻き掛けることにより乗りかご120を昇降させる。また、巻上機100の近傍には、ロープ130が装架される反らせ車170が設けられている。
乗りかご120は、ロープ130を介して、釣合錘140と連結され、昇降路110内を昇降する。以下、乗りかご120及び釣合錘140が昇降する方向を昇降方向とする。ガイドレール150は、昇降路110の壁に取り付けられており、乗りかご120を昇降方向に案内する。
[乗りかご]
次に、乗りかご120の構成について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、乗りかご120を示す正面図である。図3は、乗りかご120を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、乗りかご120は、人や物等の積載物を積載するかご室121と、かご室121の上下左右を囲うかご枠122とを有する。かご室121は、中空の略直方体状に形成されている。このかご室121の正面には、ドア121aが設けられている。
以下、ドア121aが開く方向を左右方向とする。また、左右方向及び上下方向(昇降方向)に直交する方向を前後方向とする。また、前後方向及び左右方向は、上下方向に垂直な横方向である。
かご枠122には、ローラガイド122a、122b、122c、122dが設置されている。ローラガイド122a、122b、122c、122dは、ガイドレール部材150a,150b、150c、150dに摺動可能に当接している。なお、図2では、一部のガイドレールのみを図示しているが、実際には、乗りかご120の昇降に必要な複数のガイドレールが昇降路110(図1参照)内において昇降方向に並べて配置されている。
かご枠122とかご室121の間には、かご室121の上下方向の振動を抑制する上下方向振動抑制部181が設けられている。この上下方向振動抑制部181は、複数のばね182と、複数の減衰装置183から構成されている。複数のばね182は、例えば、上下方向に圧縮可能な圧縮コイルばねであり、横方向へのばね定数(弾性変形)は小さい。これにより、複数のばね182は、かご室121に乗りこむ乗客の重量を弾性的に支えて、かご室121に加わる衝撃を吸収する。
複数の減衰装置183は、主に上下方向に作用し、横方向への作用が小さくなるように設置されている。これにより、複数の減衰装置183は、かご室121の上下方向の振動を減衰させる。
本実施形態では、複数のばね182と複数の減衰装置183により上下方向振動抑制部181を構成した。しかし、ばね182の機能と減衰装置183の機能を有する1つの部品により、上下方向振動抑制部を構成してもよい。1つの部品により構成した上下方向振動抑制部としては、例えば、横方向へのばね定数を非常に小さくした防振ゴムを適用することができる。
図2に示すように、ガイドレール部材150a,150bは、昇降方向に隣り合っている。例えば、ガイドレール部材150a,150bの継ぎ目に段差があったり、ガイドレール部材150a,150bが曲がって継がれたりしていると、ローラガイド122a、122bがガイドレール部材150a,150bの継ぎ目を通過するとき、段差や曲がりが強制変位となる。その結果、強制変位が乗りかご120に作用し、乗りかご120に横振動を発生させる。
そこで、本実施形態のエレベータ1には、かご室121の左右方向の振動を抑える制振装置200が設けられている。また、エレベータ1には、かご室121の前後方向の振動を抑える制振装置300が設けられている。
[制振装置]
制振装置200は、減衰装置201と、アクチュエータ202と、変位検出器203と、制御部204と、乗りかご停止判断部205と、かご停止検出部206とを備えている。
図2に示すように、かご室121の下部には、かご室側部材123が設けられており、かご枠122には、かご枠側部材124が設けられている。かご室側部材123とかご枠側部材124は、かご室121とかご枠122との間に配置されている。かご室側部材123及びかご枠側部材124は、剛性の高い材料(例えば、鉄などの金属)によって板状に形成されており、互いの平面が左右方向で対向している。
減衰装置201は、本発明に係る横方向減衰部の第1の具体例を示すものである。この減衰装置201は、かご室側部材123とかご枠側部材124に接続されており、かご室121とかご枠122との相対的な左右方向の振動を減衰させる。
アクチュエータ202は、かご枠122の下部に設置されており、左右方向に直線運動する直動シャフト202aを有している。アクチュエータ202の直動シャフト202aは、かご室側部材123に接続されている。したがって、アクチュエータ202は、直動シャフト202aを動作させることにより、かご室側部材123を介してかご室121に左右方向の力を作用する(加える)。
変位検出器203は、かご枠側部材124に取り付けられている。この変位検出器203は、かご枠側部材124に対するかご室側部材123の変位を計測する。すなわち、変位検出器203は、かご室121(かご枠側部材124)とかご枠122(かご室側部材123)の左右方向の相対変位を検出する。
なお、変位検出器203は、かご室側部材123に取り付けてもよい。この場合は、変位検出器203が、かご室側部材123に対するかご枠側部材124の左右方向の変位を計測する。
制御部204は、アクチュエータ202、変位検出器203及び乗りかご停止判断部205と電気的に接続されている。この制御部204は、変位検出器203の検出結果とかご停止判断部205の判断結果に基づいて、アクチュエータ202に出力する指令値を決定する。
制御部204は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMには、CPUにより実行される各種処理(例えば、アクチュエータ202に出力する後述の指令値を算出する処理)の制御プログラム、後述の第1の比例定数及び第2の比例定数等が記憶される。また、RAMには、制御プログラムの実行により決定された指令値等の各種データを一時的に格納する格納領域が設けられる。
乗りかご停止判断部205は、かご停止検出部206に電気的に接続されており、かご停止検出部206からの出力情報を受け取る。そして、乗りかご停止判断部205は、かご停止検出部206の出力情報に基づいて、乗りかご120が停止しているか否かを判断し、その判断結果を制御部204に送信する。なお、乗りかご停止判断部205は、後述する制御部204に送信するものと同じ判断結果を、制御部304に送信する。
かご停止検出部206としては、例えば、巻上機100(図1参照)に取り付けられているエンコーダを適用することができる。このエンコーダの出力により、巻上機100の回転量が把握できるため、乗りかご120の昇降速度が分かる。その結果、乗りかご120の昇降速度が「0」であれば、乗りかご120が停止していると判断することができる。
また、かご停止検出部206としては、乗りかご120のドア121aに設けられたドア開閉センサを適用してもよい。この場合に、ドア開閉センサの出力がドア121aの閉状態を示す信号であれば、乗りかご120が走行中(停止していない)と判断することができる。そして、ドア開閉センサの出力がドア121aの閉状態を示す信号でなければ(開状態を示す信号であれば)乗りかご120が停止していると判断することができる。
また、本発明に係るかご停止検出部としては、エレベータがエンコーダを有する調速機を備えている場合に、その調速機のエンコーダを適用することができる。このエンコーダの出力により、乗りかご120の昇降速度が分かる。その結果、乗りかご120の昇降速度が「0」であれば、乗りかご120が停止していると判断することができる。
図3に示すように、制振装置300は、減衰装置301と、アクチュエータ302と、変位検出器303と、制御部304と、乗りかご停止判断部205と、かご停止検出部206とを備えている。すなわち、乗りかご停止判断部205及びかご停止検出部206は、制振装置200を構成する部品と、制振装置300を構成する部品を兼ねている。
かご室121の下部には、かご室側部材125が設けられており、かご枠122には、かご枠側部材126が設けられている(図3参照)。かご室側部材125とかご枠側部材126は、かご室121とかご枠122との間に配置されている。かご室側部材123及びかご枠側部材124は、剛性の高い材料(例えば、鉄などの金属)によって板状に形成されており、互いの平面が左右方向で対向している。
減衰装置301は、本発明に係る横方向減衰部の第2の具体例を示すものである。この減衰装置301は、かご室側部材125とかご枠側部材126に接続されており、かご室121とかご枠122との相対的な前後方向の振動を減衰させる。
アクチュエータ302は、かご枠122の下部に設置されており、前後方向に直線運動する直動シャフト302aを有している。アクチュエータ302の直動シャフト302aは、かご室側部材125に接続されている。したがって、アクチュエータ302は、直動シャフト302aを動作させることにより、かご室側部材125を介してかご室121に前後方向の力を作用する(加える)。
変位検出器303は、かご枠側部材126に取り付けられている。この変位検出器303は、かご枠側部材126に対するかご室側部材125の変位を計測する。すなわち、変位検出器303は、かご室121(かご枠側部材126)とかご枠122(かご室側部材125)の前後方向の相対変位を検出する。
なお、変位検出器303は、かご室側部材125に取り付けてもよい。この場合は、変位検出器303が、かご室側部材125に対するかご枠側部材126の前後方向の変位を計測する。
制御部304は、アクチュエータ302、変位検出器303及び乗りかご停止判断部205と電気的に接続されている。この制御部304は、変位検出器303の検出結果とかご停止判断部205の判断結果に基づいて、アクチュエータ302に出力する指令値を決定する。
制御部304は、制御部204と同様に、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える。ROMには、CPUにより実行される各種処理(例えば、アクチュエータ302に出力する後述の指令値を算出する処理)の制御プログラム、後述の第1の比例定数及び第2の比例定数等が記憶される。また、RAMには、制御プログラムの実行により決定された指令値等の各種データを一時的に格納する格納領域が設けられる。
[従来の乗りかご]
次に、従来の乗りかごの振動抑制について、図4〜図8を参照して説明する。
図4は、従来の乗りかごを示す正面図である。図5は、従来の乗りかごの第1の例における振動モードを示す説明図である。図6は、図5に示す振動モードにおける振動の伝達特性図である。図7は、従来の乗りかごの第2の例における振動モードを示す説明図である。図8は、図7に示す振動モードにおける振動の伝達特性図である。
図4に示すように、従来の乗りかご520は、かご室521と、かご室521の上下左右を囲うかご枠522とを有する。かご室521は、中空の略直方体状に形成されている。このかご室521の正面には、ドア521aが設けられている。
かご枠522には、ローラガイド522a、522b、522c、522dが設置されている。ローラガイド522a、522b、522c、522dは、ガイドレール部材550a,550b、550c、550dに摺動可能に当接している。
かご枠522とかご室521の間には、かご室521の上下方向の振動を抑制する上下方向振動抑制部581と、左右方向(横方向)の振動を抑制する左右方向振動抑制部585が設けられている。上下方向振動抑制部581は、上述の上下方向振動抑制部281と同じ構成であり、複数のばね582と、複数の減衰装置583から構成されている。
左右方向振動抑制部585は、複数のばね586と、複数の減衰装置587から構成されている。複数のばね586は、例えば、左右方向に圧縮可能な圧縮コイルばねである。複数の減衰装置587は、主に左右方向に作用し、上下方向への作用が小さくなるように設置されている。これにより、複数の減衰装置587は、かご室521の左右方向の振動を減衰させる。
図5に示すように、従来の乗りかご520の第1の例における振動モードは、主要な振動モードであり、かご枠522とかご室521が同じ方向に変位する同相モードとなる。そのため、かご枠522とかご室521との間に設置されている減衰装置587はそれほど有効に作用しない。
図6において、点線は、従来の乗りかごにおける振動の伝達特性である。また、実線は、従来の乗りかごよりも振動を抑えるために減衰装置587の減衰係数をさらに大きくした従来の乗りかご520の第1の例の振動の伝達特性である。図6に示すように、減衰装置587の減衰係数を大きくすることにより、伝達率のピーク値が下がっており、振動の低減効果があることはわかる。しかし、伝達率のピーク値がそれほど小さくはなっておらず、振動の低減効果が十分であるとは言えない。
図7に示す振動モードに係る従来の乗りかご520の第2の例では、左右方向振動抑制部585の複数のばね586のばね定数を、図5に示す従来の乗りかご520の第1の例の1/10程度にした。図7に示すように、複数のばね586のばね定数を小さくすると、かご枠522とかご室521が逆方向に変位する逆相モードとなる。
図8において、点線は、図6に示す点線と同じであり、従来の乗りかごにおける振動の伝達特性である。また、実線は、従来の乗りかご520の第2の例の振動の伝達特性である。なお、従来の乗りかご520の第2の例における減衰装置587の減衰係数は、従来の乗りかご520の第1の例における減衰装置587の減衰係数と同じである。
図8に示すように、従来の乗りかご520の第2の例は、従来の乗りかご520の第1の例(図6参照)よりも、伝達率のピーク値が下がっており、振動の低減効果が大きくなることがわかる。これは、かご枠522とかご室521が逆方向に動くため、かご枠522とかご室521の相対変位が大きくなり、かご枠522とかご室521の間に設置した減衰装置187が有効に作用するためである。
したがって、左右方向の振動を抑制するために左右方向に弾性変形する複数のばね586のばね定数を小さくするとよい。しかし、左右方向に弾性変形する複数のばね586のばね定数を小さくすると、乗客が乗りかごに乗り降りするときに、かご室に力が作用し(加わり)、かご室が揺れてしまう。すなわち、ばね定数を小さくすると、走行中の乗りかごにおける振動の低減効果が大きくなるが、停止している乗りかごの揺れが大きくなる、というトレードオフが存在する。
そこで、本実施形態では、アクチュエータ202,302に、複数のばね586の役割を持たせる。そして、乗りかご120の走行中は、小さなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させて、乗りかご120の停止中は、大きなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させる。
[制振処理]
次に、エレベータ1において実行される制振処理(方法)について、図9を参照して説明する。
図9は、エレベータ1の制振処理の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態における制振処理は、かご室121とかご枠122の相対変位量に、比例定数(比例ゲイン)を掛け合わせてアクチュエータ202,302の指令値(制御出力)とするフィードバック制御を行う。また、制振処理は、所定の時間が経過する度に行ってもよく、連続して休みなく行ってもよい。
具体的には、まず、乗りかご120が走行中であるか否かを判別する(S1)。この処理では、乗りかご停止判断部205が、かご停止検出部206の出力情報に基づいて、乗りかご120が停止しているか否かを判断し、その判断結果を制御部204,304に送信する。
S1において、乗りかご120が走行中でないと判別したとき(S1がNO判定の場合)、制御部204,304は、かご室121とかご枠122の相対変位量と、第1の比例定数に基づいて、アクチュエータ202,302を動作させるための指令値を算出する(S2)。
S2の処理において、制御部204は、かご室側部材123とかご枠側部材124間の初期変位と、変位検出器203の出力(その時のかご室側部材123とかご枠側部材124間の距離)との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の左右方向の変位量を得る。そして、かご室121の左右方向の変位量に、第1の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ202に対する指令値を算出する。
また、制御部304は、かご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位と、変位検出器303の出力との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の前後方向の変位量を得る。そして、かご室121の前後方向の変位量に、第1の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ302に対する指令値を算出する。
なお、かご室側部材123とかご枠側部材124間の初期変位、及び、かご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位は、乗りかご121が停止する度に、変位検出器203,303の出力により得る。なお、初期変位は、かご室121に揺れを招く外力が加わらないときが好ましく、例えば、乗りかご121が停止してからドア121aが開く前、又は、ドア121aが閉じてから乗りかご121が動き始める前が好ましい。このようにして得たかご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位は、制御部204,304のRAMに記憶される。
S1において、乗りかご120が走行中であると判別したとき(S1がYES判定の場合)、制御部204,304は、かご室121とかご枠122の相対変位量と、第2の比例定数に基づいて、アクチュエータ202,302を動作させるための指令値を算出する(S3)。
S3の処理において、制御部204は、かご室側部材123とかご枠側部材124間の初期変位と、変位検出器203の出力との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の左右方向の変位量を得る。そして、かご室121の左右方向の変位量に、第2の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ202に対する指令値を算出する。
また、制御部304は、かご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位と、変位検出器303の出力との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の前後方向の変位量を得る。そして、かご室121の前後方向の変位量に、第2の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ302に対する指令値を算出する。
S2の処理後、又は、S3の処理後、制御部204,304は、算出した指令値をアクチュエータ202,302に出力する(S4)。これにより、アクチュエータ202,302が指令値に沿って動作し、かご室121の振動を抑制する。S4の処理後、制御部204,304は、制振処理を終了する。
なお、第1の比例定数は、第2の比例定数よりも大きい。したがって、乗りかご120が走行中でない(停止している)場合は、第1の比例定数を使用することにより、比較的大きなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させることができる。その結果、走行中でない乗りかご120の振動を抑制することができる。
また、乗りかご120が走行中である(停止していない)場合は、第2の比例定数を使用することにより、比較的小さなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させることができる。その結果、走行中の乗りかご120の振動を抑制することができる。
なお、第1の比例定数及び第2の比例定数は、かご室121とかご枠122の質量、ローラガイド122a、122b、122c、122dのガイドレール150に対する押圧力等に基づいて、適宜設定する。
本実施形態では、乗りかご120の状態(走行中であるか否か)によって比例定数を切り替えるだけの簡単なフィードバック制御により、走行中の乗りかご120の横方向の振動を抑制し、且つ、乗客の乗り降り時の乗りかご120の揺れを防止することができる。
<第2の実施形態>
[エレベータの構成]
第2の実施形態に係るエレベータは、第1の実施形態に係るエレベータ1と同様の構成を有しており、異なる点は、アクチュエータ202,302にブレーキが取り付けられている点である。このアクチュエータ202,302のブレーキは、かご室121とかご枠122が相対変位を生じないように、かご室121とかご枠122とを固定する。なお、かご室121とかご枠122が相対変位を生じるようにする場合は、ブレーキを開放する。
[制振処理]
次に、第2の実施形態に係るエレベータにおいて実行される制振処理(方法)について、図10を参照して説明する。
図10は、第2の実施形態に係るエレベータの制振処理の一例を示すフローチャートである。
本実施の形態における制振処理は、所定の時間が経過する度に行ってもよく、連続して休みなく行ってもよい。第2の実施形態に係る制振処理は、まず、乗りかご120が走行中であるか否かを判別する(S11)。この処理では、乗りかご停止判断部205が、かご停止検出部206の出力情報に基づいて、乗りかご120が停止しているか否かを判断し、その判断結果を制御部204,304に送信する。
S11において、乗りかご120が走行中でないと判別したとき(S11がNO判定の場合)、制御部204,304は、ブレーキを動作させる指令をアクチュエータ202,302へ出力する(S12)。これにより、走行中でない乗りかご120の振動を抑制することができる。S12の処理後、制御部204,304は、制振処理を終了する。
S11において、乗りかご120が走行中であると判別したとき(S11がYES判定の場合)、制御部204,304は、かご室121とかご枠122の相対変位量と、所定の比例定数に基づいて、アクチュエータ202,302を動作させるための指令値を算出する(S13)。
S13の処理において、制御部204は、かご室側部材123とかご枠側部材124間の初期変位と、変位検出器203の出力との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の左右方向の変位量を得る。そして、かご室121の左右方向の変位量に、所定の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ202に対する指令値を算出する。
また、制御部304は、かご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位と、変位検出器303の出力との差分を算出し、その時のかご枠122に対するかご室121の前後方向の変位量を得る。そして、かご室121の前後方向の変位量に、所定の比例定数を掛け合わせることにより、アクチュエータ302に対する指令値を算出する。
S13の処理後、制御部204,304は、算出した指令値をアクチュエータ202,302に出力する(S14)。これにより、アクチュエータ202,302が指令値に沿って動作し、かご室121の振動を抑制する。S14の処理後、制御部204,304は、制振処理を終了する。
なお、所定の比例定数は、第1の実施形態に係る第2の比例定数と同じ値に設定する。しかし、かご室とかご枠の質量、ローラガイドのガイドレールに対する押圧力等が異なる場合は、比較的小さなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させる値を所定の比例定数として適宜設定する。
乗りかご120が走行中である(停止していない)場合は、所定の比例定数を使用することにより、比較的小さなばね定数となるようにアクチュエータ202,302を動作させることができる。その結果、走行中の乗りかご120の振動を抑制することができる。
本実施形態では、乗りかご120の状態(走行中であるか否か)によってアクチュエータ202,302の動作を切り替えるだけの簡単なフィードバック制御により、走行中の乗りかご120の横方向の振動を抑制することができる。また、乗客の乗り降り時の乗りかご120の揺れを防止することができる。
以上、本発明のエレベータ及びエレベータの制振方法の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明のエレベータ及びエレベータの制振方法は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述の実施形態では、制御部204がアクチュエータ202の動作(駆動)を制御し、制御部304がアクチュエータ302の動作(駆動)を制御する構成とした。しかし、本発明に係るエレベータ及びエレベータの制振方法としては、1つの制御部が、2つのアクチュエータの動作(駆動)を制御する構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、アクチュエータ202,203を、かご枠122の下部に設置した。しかし、本発明に係るアクチュエータとしては、かご室121又はかご枠122に横方向の力を作用するものであれば、アクチュエータの設置位置を適宜設定することができる。
また、上述した実施形態では、かご室側部材123とかご枠側部材124間の初期変位、及び、かご室側部材125とかご枠側部材126間の初期変位を、乗りかご121が停止する度に検出する構成とした。しかし、本発明に係る初期変位としては、固定値であってもよい。初期変位を固定値にする場合は、例えば、エレベータの設置時に、かご室側部材123とかご枠側部材124間の距離、及び、かご室側部材125とかご枠側部材126間の距離を、変位検出器203,303で検出し、その検出結果を初期変位とする。
1…エレベータ、 100…巻上機、 110…昇降路、 121…かご室、 121a…ドア、 122…かご枠、 122a…ローラガイド、 123,125…かご室側部材、 124,126…かご枠側部材、 130…ロープ、 140…釣合錘、 150…ガイドレール、 150a,150b,150c,150d…ガイドレール部材、 160…機械室、 170…反らせ車、 181…上下方向振動抑制部、 182…ばね、 201,301…減衰装置、 200,300…制振装置、 202,302…アクチュエータ、 202a,302a…直動シャフト、 203,303…変位検出器、 204,304…制御部、 205…停止判断部、 206…停止検出部

Claims (8)

  1. かご室及びかご枠を有する乗りかごと、
    前記乗りかごを吊持するロープと、
    前記ロープが巻き掛けられ、前記ロープを駆動して前記乗りかごを昇降させる巻上機と、
    前記乗りかごの昇降を案内するガイドレールと、
    前記かご室と前記かご枠との間に配置され、前記かご室と前記かご枠との相対的な上下方向の振動を抑制する上下方向振動抑制部と、
    前記かご室と前記かご枠との間に配置され、前記かご室と前記かご枠との相対的な横方向の振動を減衰させる横方向減衰部と、
    を備えたエレベータにおいて、
    前記乗りかごが停止しているか否かを検出するかご停止検出部と、
    前記かご室と前記かご枠との相対的な横方向の変位を検出する変位検出器と、
    前記かご室と前記かご枠との間に配置され、前記かご室又は前記かご枠に横方向の力を作用するアクチュエータと、
    前記変位検出器と前記かご停止検出部の情報に基づいて、前記アクチュエータに制御信号を出力する制御部と、を有する
    ことを特徴とするエレベータ。
  2. 前記横方向減衰部、前記変位検出器、及び前記アクチュエータは、乗りかご前後方向用と左右方向用にそれぞれ1組以上設ける
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  3. 前記かご停止検出部は、前記巻上機に設置されたモータの回転を検出するエンコーダから出力される情報に基づいて乗りかごが停止しているか否かを判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  4. 前記かご停止検出部は、前記かご室に設けられたドアの開閉を検出するドア開閉検出器から出力される情報に基づいて乗りかごが停止しているか否かを判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  5. 前記かご停止検出部は、前記乗りかごの昇降速度を監視する調速機に設置されたエンコーダの出力に基づいて乗りかごが停止しているか否かを判断する
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  6. 前記制御部は、前記かご停止検出部により前記乗りかごが停止していると判断された場合に、前記変位検出器の出力と第1の比例定数に基づいて前記アクチュエータの出力を決定し、前記かご停止検出部により前記乗りかごが停止していないと判断された場合に、前記変位検出器の出力と第2の比例定数に基づいて前記アクチュエータの出力を決定し、
    前記第1の比例定数は、前記第2の比例定数よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  7. 前記制御部は、前記かご停止検出部により前記乗りかごが停止していると判断された場合に、前記アクチュエータに取り付けられたブレーキを作動させ、前記かご停止検出部により前記乗りかごが停止していないと判断された場合に、前記ブレーキを開放し、前記変位検出器の出力に比例した調整出力値を前記アクチュエータに出力させる
    ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ。
  8. かご室及びかご枠を有する乗りかごが停止しているか否かをかご停止検出部により検出し、
    前記かご停止検出部の検出結果と、前記かご室と前記かご枠との相対的な横方向の変位を検出する変位検出器の出力とに基づいて、制御部が前記かご室又は前記かご枠に横方向の力を作用するアクチュエータの出力を決定し、
    前記制御部により決定された出力でアクチュエータを動作させる
    ことを特徴とするエレベータの制振方法。
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