JP2017014449A - 押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents

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Koichi Hirayama
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Abstract

【課題】フィルムやシートに加工した際に高濃度で配合しても添加剤が表面へブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても添加剤濃度が変化せず、従って長期耐候性能に優れ、且つ耐白化性、耐変色性や押出ラミネート加工性に優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)プロピレン系樹脂、(B)分岐構造を有するポリプロピレン樹脂、(C)トリアリールトリアジン系化合物、(D)ヒンダードアミン系光安定剤及び(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を含有し、MFRが2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、押出ラミネート成形加工性に優れ、また高濃度で耐候剤を配合してもラミネート加工したときに耐候剤の揮散ブリードアウトが防止され、透明性の低下や長期耐候性能の低下がなく、耐白化特性や耐変色性に優れた押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物に関する。
ポリオレフィン系熱可塑性樹脂シートやフィルムの耐候性を向上させるために、ヒンダードアミン系の光安定剤や紫外線吸収剤を配合することは、広く実施されている。
特に、農業用フィルムや建築、土木用途でのフィルムやシートには高い耐候性能が要求されている。この様なフィルムやシートへ使用されている樹脂には、ポリエチレンやポリプロピレンをベースとして、各種の耐候性安定剤が配合されている。耐候性に関してはフィルムやシートの劣化を防止し、より長寿命で性能の良いフィルムやシートを得るために、種々の開発がなされてきた。
フィルムやシートは、空気中の酸素の存在下、太陽光中の紫外線により劣化し、強伸度が低下し破損する。これの改良のために種々の耐候性安定剤が配合されている。配合される耐候性安定剤を大別してみると、紫外線吸収剤と光安定剤とに分けられる。紫外線吸収剤については、従来はニッケル系化合物が中心であったが、近年、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系等の紫外線吸収剤が開発され、種々の用途へ展開されている。また、光安定剤については立体障害性アミン系化合物が開発されており、これらはその優れた性能から、現在の耐候性安定剤の主流となっている。
これら耐候性安定剤は、単独または併用して用いられるが、特にフィルムやシートが他の基材との積層体であったり、内包するものを光劣化から保護する必要のある場合には、光安定剤と紫外線吸収剤を必ず併用する必要がある。しかしながら、上記紫外線吸収剤も、光安定剤も長期使用すると、樹脂中から表面へブリードアウトし、フィルムやシートの表面から洗い流される等により当初の配合濃度よりも低い濃度となり、結果として長期耐候性能としては不満足な性能しか得られなかった。従って、長期耐候性能が必要な場合は、高濃度の光安定剤や紫外線吸収剤を予め配合しておく必要があるが、フィルムやシートの表面にブリードアウトした紫外線吸収剤や光安定剤により、フィルムやシートが白く濁るなど透明性が損なわれる問題もあった。特に他のポリオレフィン系基材フィルムやシートと積層されて使用される場合においては、添加剤のブリードアウトにより基材との界面接着強度が落ちる、ということが問題となっていた。
例えば、特許文献1などに示されるように特定のトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤を添加することで上記問題はかなり改善されたが、耐白化性に劣り、特に低温での折り曲げ加工で問題が生じることが発生していた。
また、例えば、特許文献2などに示されるように特定のポリプロピレンと紫外線吸収剤および光安定剤を添加することで耐候性と耐白化性は改善されたが、耐変色性に劣っていた。
特開2004−43596号公報 特開平11−147981号公報
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、フィルムやシートに加工した際に高濃度で配合しても添加剤が表面へブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても添加剤濃度が変化せず、従って長期耐候性能に優れ、且つ耐白化性、耐変色性や押出ラミネート加工性に優れたポリオレフィン樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のポリオレフィン樹脂組成物に特定の光安定剤と特定の紫外線吸収剤とジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を含有し、さらに必要に応じて、有機過酸化物を配合して溶融混練することにより、押出ラミネート加工性に優れ、フィルムやシートに加工しても添加剤がブリードアウトして透明性を損なうことなく、長期使用しても耐候性能が低下することがなく、耐白化性や耐変色性に優れた押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成からなる押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物を提供する。
[1] 下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、「MFR」と略称することがある。)が2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
(B)以下の(i)〜(iv)の特性を満たす、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂
(i)MFRが0.1〜30g/10分
(ii)GPCによる分子量分布において、Mw/Mnが3.0〜10.0
(iii)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満
(iv)溶融張力(MT)(単位:g)が、
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または、 MT≧15
のいずれかを満たす。
(C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
Figure 2017014449
(式中、Rはイソオクチル基)
(D)ヒンダードアミン系光安定剤
(E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物
[2] 分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、以下の(v)の特性を満たすことを特徴とする[1]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(v)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(B)全量に対して5.0重量%未満
[3] 分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、以下の(vi)の特性を満たすことを特徴とする[1]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
(vi)13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上
[4] プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする[1]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[5] プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする[4]に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
[6] さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、特定のプロピレン系樹脂と特定の構造のポリプロピレン樹脂に特定のトリアリールトリアジン系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤およびジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を組み合わせることにより、ブリードアウトを抑制し透明性や長期耐候性に優れ、さらに、押出ラミネート加工性に優れ、しかも耐白化性及び耐変色性に優れており良好な表面外観を有しており、フィルム又はシート状に押出し、他の基材とラミネートしてラミネート成形品とするのに適している。
以下、各成分、製造方法、用途について説明する。
[プロピレン系樹脂(A):ポリプロピレン、プロピレン系ランダム共重合体]
プロピレン系樹脂(A)としては、MFRが1〜50g/10分のポリプロピレン及び/又はプロピレンランダム共重合体を用いる。
プロピレン系樹脂(A)は、ポリプロピレンのホモポリマーであってもよいし、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体であってもよいし、またはそれらの複数の成分の混合物でもよい。プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いる場合は、コモノマーとしてのエチレンやα−オレフィンの重量分率は、好ましくは5重量%まで、より好ましくは8重量%までのものが好適に用いられる。
プロピレン系樹脂(A)のMFRは、1〜50g/10分であることが必要であり、好ましくは3〜40g/10分、より好ましくは5〜30g/10分である。MFRが1〜50g/10分の範囲にあることでポリプロピレン樹脂(B)との相溶性が良いものとなり、押出ラミネート加工の加工性が良好であり、延展性に優れ高速での押出ラミネートが可能となる。
プロピレン系樹脂(A)の融点は、好ましくは130〜170℃、より好ましくは135〜168℃、また、分子量分布はMw/Mnで好ましくは3.0〜10.0、より好ましくは3.2〜8.0の範囲のものが好適に用いることができる。
なお、融点は示差操作熱量測定(DSC)を用い、一旦200℃まで温度を上げて熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再び昇温速度10℃/分にて測定した際の、吸熱ピークトップの温度とする。Mw/Mnは後述と同じ方法によって求める。
プロピレン系樹脂(A)は、その製造法に制限はなく、チーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものでもよく、メタロセン系触媒により製造されたものでもよい。
チーグラー・ナッタ系触媒は、たとえば「ポリプロピレンハンドブック」エドワード・P・ムーアJr.編著、保田哲男・佐久間暢翻訳監修、工業調査会(1998)の2.3.1節(20〜57ページ)に概説されているような触媒系のことであり、例えば、三塩化チタンとハロゲン化有機アルミニウムからなる三塩化チタニウム系触媒や、塩化マグネシウム、ハロゲン化チタン、電子供与性化合物を必須として含有する固体触媒成分と有機アルミニウムと有機珪素化合物からなるマグネシウム担持系触媒や、固体触媒成分を有機アルミニウム及び有機珪素化合物を接触させて形成した有機珪素処理固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物成分を組み合わせた触媒のことを指す。
メタロセン触媒としては、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されているもの等が好ましく使用できる。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。
上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。また、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することも好ましい。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基又はアズレニル基を珪素又はゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が特に好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が好ましく挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が好ましく挙げられる。
上記のうち、ポリプロピレンはチーグラー・ナッタ系触媒で製造されたものがこのましく、プロピレン系ランダム共重合体はメタロセン系触媒により製造されたものを使用することが好ましい。
プロピレン系樹脂(A)の製造方法については、特に制限はなく、従来公知のスラリー重合法、バルク重合法、気相重合法等のいずれでも製造可能であり、また、範囲内であれば、多段重合法を利用して、ポリプロピレン及びプロピレン系ランダム共重合体を製造することも可能である。
[ポリプロピレン樹脂(B)]
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(B)は、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂であり、上記(i)〜(iv)の特性を満足する。
上記各特性及びポリプロピレン樹脂(B)の製造方法などについて、以下、具体的に説明する。
特性(i):MFR
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(B)のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30g/10分の範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜20.0g/10分、さらに好ましくは0.5〜10.0g/10分である。0.1g/10分以上であると、流動性が十分となり、押出ラミネート時の押出機の負荷が高すぎるなどの問題が生じない、一方、30g/10分以下のものは、張力が十分となり、高溶融張力材としての特性に適するものとなる。
MFR値の制御の方法は周知であり、ポリプロピレン樹脂(B)の重合条件である温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
なお、本発明において、プロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定され、単位はg/10分である。
特性(ii):GPCによる分子量分布
また、ポリプロピレン樹脂(B)は、分子量分布が比較的広いことが必要であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られる分子量分布Mw/Mn(ここで、Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量)が3.0以上10.0以下であることが必要である。また、ポリプロピレン樹脂(B)の分子量分布Mw/Mnは、その好ましい範囲としては3.5〜8.0、更に好ましくは4.1〜6.0の範囲である。
さらに、分子量分布の広さをより顕著に表すパラメータとして、Mz/Mw(ここで、MzはZ平均分子量)が2.5以上10.0以下であることが好ましい。Mz/Mwのより好ましい範囲は2.8〜8.0、更に好ましくは3.0〜6.0の範囲である。
分子量分布の広いものほど成形加工性が向上するが、Mw/MnおよびMz/Mwがこの範囲にあるものは、押出ラミネート加工性に特に優れる。
なお、Mn、Mw、Mzの定義は「高分子化学の基礎」(高分子学会編、東京化学同人、1978)等に記載されており、GPCによる分子量分布曲線から計算可能である。
そして、GPCの具体的な測定手法は、以下の通りである。
・装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
・検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
・カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本直列)
・移動相溶媒:オルトジクロロベンゼン(ODCB)
・測定温度:140℃
・流速:1.0ml/min
・注入量:0.2ml
・試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレン(PS)による検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
なお、分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
Mw/Mnを3.0以上、10.0以下、Mz/Mwを2.5以上10.0以下にするには、プロピレン重合の温度や圧力条件を変えるか、または、最も一般的な手法としては、水素等の連鎖移動剤をプロピレン重合時に添加する方法により、容易に調整を行なうことができる。さらに、後述するメタロセン触媒の種類、触媒を2種以上使用する場合は、その量比を変えることで制御することができる。
特性(iii):分岐指数g’
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(B)が長鎖分岐を有することの直接的な指標として、分岐指数g’を挙げることができる。g’は、長鎖分岐構造を有するポリマーの固有粘度[η]brと同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度[η]linの比、すなわち、[η]br/[η]lin によって与えられ、長鎖分岐構造が存在すると、1よりも小さな値をとる。
定義は、例えば「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V.Dawkins ed. Applied Science Publishers,1983)に、記載されており、当業者にとって公知の指標である。
分岐指数g’は、例えば、下記に記すような光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(B)は、光散乱によって求めた絶対分子量Mabsが100万の時に、g’が0.30以上1.00未満であり、好ましくは0.55以上0.98以下、より好ましくは0.75以上0.96以下、さらに好ましくは0.78以上0.95以下である。
本発明で使用するポリプロピレン樹脂(B)は、分子構造としては好ましくは櫛型鎖が生成していると考えられ、分岐指数g’が0.30未満であると、主鎖が少なく側鎖の割合が極めて多いこととなり、このような場合には、溶融張力が向上しなかったり、ゲルが生成するおそれがあるため、押出ラミネート加工において好ましくない。一方、1.00である場合には、これは長鎖分岐が存在しないことを意味し、溶融張力が不足しやすくなり、押出ラミネート加工に適さない。
なお、g’の下限値が上記の値であると好ましいのは、以下の理由による。
文献「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering vol.2」(John Wiley & Sons 1985 p.485)によると、櫛型ポリマーのg’値は、以下の式で表されている。
Figure 2017014449
ここで、gは、ポリマーの回転半径比で定義される分岐指数であり、εは分岐鎖の形状と溶媒によって決まる定数で、上記文献のp.487のTable3によれば、良溶媒中の櫛型鎖では、おおよそ0.7〜1.0程度の値が報告されている。λは櫛型鎖における主鎖の割合、pは平均の分岐数である。この式によると、櫛型鎖であれば、分岐数が極めて大きくなる、すなわち、pが無限大の極限で、g’=gε=λεとなり、λεの値以下にはならないことになり、一般に下限値が存在することになる。
一方、電子線照射や過酸化物変成の場合において生じると考えられる従来公知のランダム分岐鎖の式は、同文献中の485頁の式(19)で与えられており、これによると、ランダム分岐鎖では、分岐点が多くなるにつれ、g’およびg値は、特に下限値が存在することなく、単調に減少する。つまり、本発明において、g’値に下限値があるということは、本発明に用いる長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、櫛型鎖に近い構造を有しているということを意味しており、これにより、従来の電子線照射や過酸化物変成によって生成されるランダム分岐鎖との区別が、より明確となる。
また、g’が上記の範囲にある櫛型鎖に近い構造を有する分岐状ポリマーにおいては、混練を繰り返した際の溶融張力の低下度合いが小さく、工業的にシート、フィルムを生産する工程で、例えば端部をカットすることで生じる端材等を、リサイクル材として再度成形に供する際に、物性や成形性の低下が小さくなることになる。
なお、分岐指数g’の具体的な算出方法は、以下の通りである。
示差屈折計(RI)および粘度検出器(Viscometer)を装備したGPC装置として、Waters社のAlliance GPCV2000を用いる。また、光散乱検出器として、多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)Wyatt Technology社のDAWN−Eを用いる。検出器は、MALLS、RI、Viscometerの順で接続する。移動相溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼン(BASFジャパン社製酸化防止剤Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)である。
流量は1mL/分で、カラムは、東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結して用いる。カラム、試料注入部および各検出器の温度は、140℃である。試料濃度は1mg/mLとし、注入量(サンプルループ容量)は0.2175mLである。
MALLSから得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)およびViscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V.Dawkins ed. Applied Science Publishers,1983.Chapter1.)
2.Polymer,45,6495−6505(2004)
3.Macromolecules,33,2424−2436(2000)
4.Macromolecules,33,6945−6952(2000)
分岐指数g’は、サンプルを上記Viscometerで測定して得られる極限粘度([η]br)と、別途、線状ポリマーを測定して得られる極限粘度([η]lin)との比([η]br/[η]lin)として算出する。
ポリマー分子に長鎖分岐構造が導入されると、同じ分子量の線状のポリマー分子と比較して慣性半径が小さくなる。慣性半径が小さくなると、極限粘度が小さくなることから、長鎖分岐構造が導入されるに従い同じ分子量の線状ポリマーの極限粘度([η]lin)に対する分岐ポリマーの極限粘度([η]br)の比([η]br/[η]lin)は、小さくなっていく。
したがって、分岐指数(g’=[η]br/[η]lin)が1より小さい値になる場合には、分岐が導入されていることを意味する。ここで、[η]linを得るための線状ポリマーとしては、市販のホモポリプロピレン(日本ポリプロ社製ノバテックPP(登録商標)、グレード名:FY6)を用いる。線状ポリマーの[η]linの対数は分子量の対数と線形の関係があることは、Mark−Houwink−Sakurada式として公知であるから、[η]linは、低分子量側や高分子量側に適宜外挿して数値を得ることができる。
分岐指数g’を0.30以上、1.00未満にするには、長鎖分岐を多く導入することにより達成され、後述する好ましいメタロセン触媒の選択やその組み合わせ、およびその量比、ならびに予備重合条件を制御して重合することで可能となる。
特性(iv):溶融張力(MT)
さらに、本発明で使用するポリプロピレン樹脂(B)は、以下の溶融張力(MT)とMFRの関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7
又は
MT≧15
のうちのいずれかを満たすことを必要とする。
ここで、MTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムである。ただし、ポリプロピレン樹脂(B)のMTが極めて高い場合には、引き取り速度4.0m/分では、樹脂が破断してしまう場合があり、このような場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度における張力をMTとする。また、MFRの測定条件、単位は前述の通りである。
この規定は、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が押出ラミネート加工のために充分な溶融張力を有するための指標であり、一般に、MTは、MFRと相関を有していることから、MFRとの関係式によって記述している。
このように溶融張力MTをMFRとの関係式で規定する手法は、当業者にとって通常の手法であって、例えば、特開2003−25425号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
log(MS)>−0.61×log(MFR)+0.82
(ここで、MSは、MTと同義である。)
また、特開2003−64193号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
11.32×MFR−0.7854≦MT
さらに、特開2003−94504号公報には、高溶融張力を有するポリプロピレンの定義として、以下の関係式が提案されている。
MT≧7.52×MFR−0.576
本発明においては、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7 又は MT≧15
のいずれかを満たせば、充分に溶融張力の高い樹脂といえ、押出ラミネート加工に有用である。
また、ポリプロピレン樹脂(B)は、以下の関係式:
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.9 又は MT≧15
を満たすことがより好ましく、以下の関係式を満たすことが更に好ましい。
log(MT)≧−0.9×log(MFR)+1.1 又は MT≧15
MTの上限値については、これを特に設ける必要はないが、MTが40gを超えるような場合には、上記測定手法では引き取り速度が著しく遅くなり、測定が困難となる。このような場合は、樹脂の延展性も悪化しているものと考えられるため、好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、もっとも好ましくは30g以下である。
上記したMTとMFRの関係式を満足するためには、ポリプロピレン樹脂(B)の長鎖分岐量を増大させて、溶融張力を高くすればよく、後述する好ましいメタロセン触媒の選択やその組み合わせ、およびその量比、ならびに予備重合条件を制御して長鎖分岐を多く導入することにより可能となる。
特性(v):25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(B)は、立体規則性が高く、ラミネート製品となったときにベタツキやブリードアウトの原因となる低結晶性成分が少ないことが好ましい。この低結晶性成分は、25℃キシレン可溶成分量(CXS)によって評価され、それがポリプロピレン樹脂(B)全量に対して、好ましくは5.0重量%未満であり、より好ましくは3.0重量%以下であり、さらに好ましくは1.0重量%以下あり、特に好ましくは0.5重量%以下である。下限については、特に制限されないが、通常0.01重量%以上、好ましくは0.03重量%以上である。
なお、CXS測定法の詳細は、以下の通りである。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し室温キシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合(重量%)をCXSと定義する。
CXSを5.0重量%未満にするには、後述するように、メタロセン触媒を使用して製造することで可能となるが、触媒の純度を一定以上に保つことに加え、触媒の製造方法や重合時の反応条件を、極端に高温にしないことやメタロセン錯体に対する有機アルミニウム化合物の量比を上げすぎないことが必要である。
特性(vi):13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率
本発明に用いるポリプロピレン樹脂(B)は、立体規則性が高いことを特徴とする。立体規則性の高さは、13C−NMRによって評価することができ、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上であることが好ましい。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合の上限は100%である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。mm分率がこの値以上であると、機械的物性が向上する傾向にある。
従って、mm分率は、好ましくは95%以上であり、より好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
なお、13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃においてプロトン完全デカップリング法で測定する。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定する。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
データポイント数:32768
mm分率の解析は、測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer,30巻、1350頁(1989年)を参考に行う。
なお、mm分率決定のより具体的な方法は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]に詳細に記載されており、本願発明においても、この方法に従って行うものとする。
mm分率を95%以上にするには、高結晶性の重合体を達成する重合触媒により可能であり、後述する好ましいメタロセン触媒を使用して重合することで可能となる。
[分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)のその他の特性]
本発明に係る分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の更なる付加的特徴として、歪み速度0.1s−1での伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax(0.1))が6.0以上であることが挙げられる。
歪硬化度(λmax(0.1))は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。その結果、押出ラミネート加工を行う際のネックインを抑制することができ、歪硬化度は、6.0以上であることが好ましく、より好ましくは8.0以上である。
λmax(0.1)の算出方法の詳細は以下の通りである。
温度180℃、歪み速度=0.1s−1の場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度η(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似する。
具体的には、まず伸張粘度を時間に対してプロットした際の各々の時刻での傾きを求めるが、それに当っては伸張粘度の測定データは離散的であることを考慮し、種々の平均法を利用する。たとえば隣接データの傾きをそれぞれ求め、周囲数点の移動平均をとる方法等が挙げられる。
伸張粘度は、低歪み量の領域では、単純増加関数となり、次第に一定値に漸近し、歪み硬化がなければ充分な時間経過後にトルートン粘度に一致するが、歪み硬化のある場合には、一般的に歪み量(=歪み速度×時間)1程度から、伸張粘度が時間と共に増大を始める。すなわち、上記傾きは、低歪み領域では時間と共に減少傾向があるが、歪み量1程度から逆に増加傾向となり、伸張粘度を時間に対してプロットした際の曲線上に、変曲点が存在する。そこで歪み量が0.1〜2.5程度の範囲で、上記で求めた各々の時刻の傾きが最小値をとる点を求めて、その点で接線を引き、直線を歪み量が4.0となるまで外挿する。歪み量4.0となるまでの伸長粘度ηの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの上記近似直線上の粘度をηlinとする。ηmax/ηlinを、λmax(0.1)と定義する。
[分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の製造方法]
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)は、上記した(i)〜(iv)の特性を満たす限り、特に製造方法を限定するものではないが、前述のように、低い低結晶性成分量、高い立体規則性、比較的広い分子量分布、分岐指数g’の範囲、高い溶融張力の全ての条件を満足するための好ましい製造方法は、メタロセン触媒の組み合わせを利用したマクロマー共重合法を用いる方法である。このような方法の例としては、例えば、特開2009−57542号公報に開示される方法が挙げられる。
この手法は、マクロマー生成能力を有する特定の構造の触媒成分と、高分子量でマクロマー共重合能力を有する特定の構造の触媒成分とを組み合わせた触媒を用いて、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを製造する方法であり、これによれば、バルク重合や気相重合といった工業的に有効な方法で、特に実用的な圧力温度条件下の単段重合で、しかも、分子量調整剤である水素を用いて、目的とする物性を有する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の製造が可能である。
また、従来は、立体規則性の低いポリプロピレン成分を使用して結晶性を落とすことによって、分岐生成効率を高めなければならなかったが、上記の方法では、充分に立体規則性の高いポリプロピレン成分を、側鎖に簡便な方法で、導入することが可能であり、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(B)として好ましい、高い立体規則性と低い低結晶性成分量に係る前記(vi)及び(v)の特性を満足するのに好適である。
また、上記手法を用いれば、重合特性の大きく異なる二種の触媒を使用することで、分子量分布を広くでき、本発明に用いる分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)に必要な前記(ii)〜(iv)の特性を同時に満たすことが可能であり、好ましい。
そこで、以下に、本発明に使用される分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の好ましい製造法について、詳細に記載する。
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)を製造する好ましい方法として、プロピレン重合触媒に下記の触媒成分(G)、(H)および(I)を用いるプロピレン系重合体の製造方法が挙げられる。
(G):下記一般式(g1)で表される化合物である成分[G−1]から少なくとも1種類と、
後記一般式(g2)で表される化合物である成分[G−2]から少なくとも1種類の、2種以上の周期律表4族の遷移金属化合物。
(H):イオン交換性層状珪酸塩
(I):有機アルミニウム化合物
以下、触媒成分(G)、(H)および(I)について、詳細に説明する。
(1)触媒成分(G)
(i)成分[G−1]:下記一般式(g1)で表される化合物
Figure 2017014449
(一般式(g1)中、R11およびR12は、各々独立して、炭素数4〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基を示す。また、R13およびR14は、各々独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基を表す。さらに、X11およびY11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q11は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。)
上記R11およびR12の炭素数4〜16の窒素、酸素または硫黄を含有する複素環基としては、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
上記R13およびR14の炭素数6〜16の、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、アリール基としては、炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジ−t−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−i−プロピルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−トリメチルシリルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、R13およびR14が互いに同一である場合が好ましい。
一般式(g1)中、X11およびY11は、補助配位子であり、触媒成分(H)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X11とY11は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
一般式(g1)中、Q11は、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基のいずれかを示す。シリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(g1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムジクロライド、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウムなどを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−メチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−iプロピルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウムである。
(ii)成分[G−2]:一般式(g2)で表される化合物
Figure 2017014449
(一般式(g2)中、R21およびR22は、各々独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、R23およびR24は、それぞれ独立して、ハロゲン、ケイ素、酸素、硫黄、窒素、ホウ素、リン又はこれらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよい、炭素数6〜16のアリール基である。X21およびY21は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Q21は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基またはゲルミレン基を表す。M21は、ジルコニウムまたはハフニウムである。)
上記R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、上記R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜16の、好ましくは炭素数6〜12の、ハロゲン、ケイ素、又は、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)、4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、4−クロロ−2−ナフチル、3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル、3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
また、上記X21およびY21は、補助配位子であり、触媒成分(H)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX21およびY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。
また、上記Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基又は置換ゲルミレン基である。ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。
21の具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
さらに、上記M21は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
上記一般式(g2)で表されるメタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを好ましく挙げることができる。
ただし、以下は、煩雑な多数の例示を避けて代表的例示化合物のみ記載しており、本発明に用いる分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の製造方法において、成分[G−2]はこれら化合物に限定して解釈されるものではなく、種々の配位子や架橋結合基又は補助配位子を任意に使用しうることは自明なことである。また、以下では、中心金属がハフニウムの化合物を記載したが、ジルコニウムに代替した化合物も本願明細書に開示されたものとして取り扱われる。
ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムなどが挙げられる。
これらの中で好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
また、特に好ましくは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(3,5−ジクロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、である。
(2)触媒成分(H)
ポリプロピレン樹脂(B)を製造するのに好ましく使用される触媒成分(H)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(i)イオン交換性層状珪酸塩の種類
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある。)とは、イオン結合などによって構成される面が、互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然では主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)が含まれることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(B)に含まれる。
使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよく、また、それらを含んでもよい。
珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
すなわち、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等である。
珪酸塩は、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることが更に好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。層間カチオンの種類は、特に限定されないが、工業原料として比較的容易に且つ安価に入手し得る観点から、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を層間カチオンの主成分とする珪酸塩が好ましい。
(ii)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
触媒成分(Y)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。ここでイオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができ、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
<酸処理>:
酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造のAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部または全部を溶出させることができる。
酸処理で用いられる酸は、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、シュウ酸から選択される。
処理に用いる塩類(次項で説明する)および酸は、2種以上であってもよい。塩類および酸による処理条件は、特には制限されないが、通常、塩類および酸濃度は、0.1〜50重量%、処理温度は、室温〜沸点、処理時間は、5分〜24時間の条件を選択して、イオン交換性層状珪酸塩から成る群より選ばれた少なくとも一種の化合物を構成している物質の少なくとも一部を溶出する条件で行うことが好ましい。また、塩類および酸は、一般的には水溶液で用いられる。
なお、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
<塩類処理>:
塩類で処理される前の、イオン交換性層状珪酸塩の含有する交換可能な1族金属の陽イオンの好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上を、下記に示す塩類より解離した陽イオンと、イオン交換することが好ましい。
このようなイオン交換を目的とした塩類処理で用いられる塩類は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸および有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、Cl、Br、I、F、PO、SO、NO、CO、C、ClO、OOCCH、CHCOCHCOCH、OCl、O(NO、O(ClO、O(SO)、OH、OCl、OCl、OOCH、OOCCHCH、CおよびC等から成る群から選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから成る化合物である。
このような塩類の好ましい具体例としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI、LiSO、Li(CHCOO)、LiCO、Li(C)、LiCHO、LiC、LiClO、LiPO、CaCl、CaSO、CaC、Ca(NO、Ca(C、MgCl、MgBr、MgSO、Mg(PO、Mg(ClO、MgC、Mg(NO、Mg(OOCCH、MgC等が挙げられる。
また、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl、ZrOCl、ZrO(NO、ZrO(ClO、ZrO(SO)、HF(OOCCH、HF(CO、HF(NO、HF(SO、HFOCl、HFF、HFCl、V(CHCOCHCOCH、VOSO、VOCl、VCl、VCl、VBr等が挙げられる。
また、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(OOCCHOH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、Mn(OOCCH、Mn(CHCOCHCOCH、MnCO、Mn(NO、MnO、Mn(ClO、MnF、MnCl、Fe(OOCCH、Fe(CHCOCHCOCH、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF3、FeCl、FeC等が挙げられる。
また、Co(OOCCH、Co(CHCOCHCOCH、CoCO、Co(NO、CoC、Co(ClO、Co(PO、CoSO、CoF、CoCl、NiCO、Ni(NO、NiC、Ni(ClO、NiSO、NiCl、NiBr等が挙げられる。
さらに、Zn(OOCCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO、GeCl、GeBr、GeI等が挙げられる。
<アルカリ処理>:
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で用いられる処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
<有機物処理>:
また、有機物処理に用いられる有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、トリフェニルホスホニウム等が挙げられる。
また、有機物処理剤を構成する陰イオンとしては、塩類処理剤を構成する陰イオンとして例示した陰イオン以外にも、例えば、ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレートなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれる。本発明においては、これらの吸着水および層間水を除去して触媒成分(H)として使用するのが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩の吸着水および層間水の加熱処理方法は、特に制限されないが、層間水が残存しないように、また、構造破壊を生じないよう条件を選ぶことが必要である。加熱時間は0.5時間以上、好ましくは1時間以上である。その際、除去した後の触媒成分(H)の水分含有率が、温度200℃、圧力1mmHg(0.13kPa)の条件下で2時間脱水した場合の水分含有率を0重量%とした時、3重量%以下、好ましくは1重量%以下であることが好ましい。
以上のように、触媒成分(H)として特に好ましいものは、塩類処理及び/又は酸処理を行って得られた、水分含有率が3重量%以下の、イオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩は、触媒形成または触媒として使用する前に、後述する有機アルミニウム化合物の触媒成分(I)で処理を行うことが可能で、好ましい。イオン交換性層状珪酸塩1gに対する触媒成分(I)の使用量に制限は無いが、通常20mmol以下、好ましくは0.5mmol以上、10mmol以下で行う。処理温度や時間の制限は無く、処理温度は、通常0℃以上、70℃以下、処理時間は10分以上、3時間以下で行う。処理後に洗浄することも可能で、好ましい。溶媒は後述する予備重合やスラリー重合で使用する溶媒と同様の炭化水素溶媒を使用する。
また、触媒成分(H)は、平均粒径が5μm以上の球状粒子を用いるのが好ましい。粒子の形状が球状であれば、天然物又は市販品をそのまま使用してもよいし、造粒、分粒、分別等により粒子の形状および粒径を制御したものを用いてもよい。
ここで用いられる造粒法は、例えば攪拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられるが、市販品を利用することもできる。
また、造粒の際に、有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダ−を用いてもよい。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉の生成を抑制するためには0.2MPa以上、特に好ましくは0.5MPa以上の圧縮破壊強度を有することが望ましい。このような粒子強度の場合には、特に予備重合を行う場合に、粒子性状改良効果が有効に発揮される。
(3)触媒成分(I)
触媒成分(I)は、有機アルミニウム化合物である。触媒成分(I)として用いられる有機アルミニウム化合物は、一般式:(AlR31 3−q で示される化合物が適当である。
本発明では、この式で表される化合物を単独で、複数種混合して又は併用して使用することができることはいうまでもない。この式中、R31は、炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Zは、ハロゲン、水素、アルコキシ基またはアミノ基を示す。qは1〜3の、pは1〜2の整数を各々表す。
31としては、アルキル基が好ましく、またZは、それがハロゲンの場合には塩素が、アルコキシ基の場合には炭素数1〜8のアルコキシ基が、アミノ基の場合には炭素数1〜8のアミノ基が、好ましい。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、p=1、q=3のトリアルキルアルミニウムおよびアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、R31が炭素数1〜8のアルキル基であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の形成・予備重合について
触媒は、上記の各触媒成分(G)〜(I)を(予備)重合槽内で、同時にもしくは連続的に、又は一度にもしくは複数回にわたって、接触させることによって形成させることができる。
各成分の接触は、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒中で行うのが普通である。接触温度は、特に限定されないが、−20℃から150℃の間で行うのが好ましい。接触順序としては、合目的的な任意の組み合わせが可能であるが、特に好ましいものを各成分について示せば、次の通りである。
触媒成分(I)を使用する場合、触媒成分(G)と触媒成分(H)を接触させる前に、触媒成分(G)と、又は触媒成分(H)と、または触媒成分(G)および触媒成分(H)の両方に触媒成分(I)を接触させること、または、触媒成分(G)と触媒成分(H)を接触させるのと同時に触媒成分(I)を接触させること、または、触媒成分(G)と触媒成分(H)を接触させた後に触媒成分(I)を接触させることが可能であるが、好ましくは、触媒成分(G)と触媒成分(H)を接触させる前に、触媒成分(I)といずれかに接触させる方法である。
また、各成分を接触させた後、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素溶媒にて洗浄することが可能である。
使用する触媒成分(A)、(B)および(C)の使用量は任意である。例えば、触媒成分(B)に対する触媒成分(A)の使用量は、触媒成分(B)1gに対し、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。また触媒成分(A)に対する触媒成分(C)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは0.01〜5×10、特に好ましくは0.1〜1×10の範囲内が好ましい。
前記成分[G−1](一般式(g1)で表される化合物)と前記成分[G−2](一般式(g2)で表される化合物)の使用割合は、ポリプロピレン樹脂(B)の前記特性を満たす範囲において任意であるが、各成分[G−1]と[G−2]の合計量に対する[G−1]の遷移金属のモル比で、好ましくは0.30以上、0.99以下である。
この割合を変化させることで、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能である。つまり、成分[G−1]からは、低分子量の末端ビニルマクロマーを生成し、成分[G−2]からは、一部マクロマーを共重合した高分子量体を生成する。したがって、成分[G−1]の割合を変化させることで、生成する重合体の平均分子量、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、分岐指数g’や歪硬化度λmax、溶融張力、延展性といった溶融物性を制御することができる。
ポリプロピレン樹脂(B)を製造するためには、モル比は好ましくは0.30以上が必要であり、より好ましくは0.40以上であり、更に好ましくは0.5以上である。また、上限に関しては好ましくは0.99以下であり、高い触媒活性で効率的にポリプロピレン樹脂(B)を得るためには、好ましくは0.95以下であり、更に好ましくは0.90以下の範囲である。
また、上記範囲で成分[G−1]を使用することにより、水素量に対する、平均分子量と触媒活性のバランスを調整することが可能である。
触媒は、好ましくは、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付される。予備重合処理を行うことにより、本重合を行った際に、ゲルの生成を防止できる。その理由としては、本重合を行った際の重合体粒子間で長鎖分岐が均一に分布させることができるためと考えられ、また、そのことにより溶融物性を向上することができる。
予備重合時に使用するオレフィンは、特に限定はないが、プロピレン、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的に又は定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合の量は、予備重合ポリマー量が触媒成分(H)に対し、重量比で好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(I)を添加、又は追加することもできる。また、予備重合終了後に洗浄することも可能である。
また、上記の各成分の接触の際又は接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
(5)触媒の使用/プロピレン重合について
重合様式は、前記触媒成分(G)、触媒成分(H)および触媒成分(I)を含むオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。
具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いる、所謂バルク法、溶液重合法又は実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相法などが採用できる。また、連続重合、回分式重合を行う方法も適用される。また、単段重合以外に、2段以上の多段重合することも可能である。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。
また、重合温度は、通常0℃以上150℃以下である。特に、バルク重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は80℃以下が好ましく、更に好ましくは75度以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、40℃以上が好ましく、更に好ましくは50℃以上である。また上限は100℃以下が好ましく、更に好ましくは90℃以下である。
重合圧力は、1.0MPa以上5.0MPa以下であることが好ましい。特に、バルク重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは2.0MPa以上である。また上限は4.0MPa以下が好ましく、更に好ましくは3.5MPa以下である。
さらに、気相重合を用いる場合には、1.5MPa以上が好ましく、更に好ましくは1.7MPa以上である。また上限は2.5MPa以下が好ましく、更に好ましくは2.3MPa以下である。
さらに、分子量調節剤として、また活性向上効果のために、補助的に水素をプロピレンに対してモル比で、好ましくは1.0×10−6以上、1.0×10−2以下の範囲で用いることができる。
また、使用する水素の量を変化させることで、生成する重合体の平均分子量の他に、分子量分布、分子量分布の高分子量側への偏り、非常に高い分子量成分、分岐(量、長さ、分布)を制御することができ、そのことにより、MFR、分岐指数、歪硬化度、溶融張力MT、延展性といった、長鎖分岐構造を有するポリプロピレンを特徴付ける溶融物性を制御することができる。
そこで水素は、プロピレンに対するモル比で、1.0×10−6以上で用いるのがよく、好ましくは1.0×10−5以上であり、さらに好ましくは1.0×10−4以上用いるのがよい。また上限に関しては、1.0×10−2以下で用いるのがよく、好ましくは0.9×10−2以下であり、更に好ましくは0.8×10−2以下である。
また、プロピレンモノマー以外に、用途に応じて、プロピレンを除く炭素数2〜20のα−オレフィンコモノマー、例えば、エチレン及び/又は1−ブテンをコモノマーとして使用する共重合をおこなってもよい。
そこで、本発明に用いるポリプロピレン樹脂(B)として、触媒活性と溶融物性のバランスのよいものを得るためには、エチレン及び/又は1−ブテンを、プロピレンに対して15モル%以下で使用することが好ましく、より好ましくは10モル%以下であり、更に好ましくは7モル%以下である。
ここで例示した触媒、重合法を用いてプロピレンを重合すると、触媒成分[G−1]由来の活性種から、β−メチル脱離と一般に呼ばれる特殊な連鎖移動反応により、ポリマー片末端が主としてプロペニル構造を示し、所謂マクロマーが生成する。このマクロマーは、より高分子量を生成することができ、より共重合性がよい触媒成分[G−2]由来の活性種に取り込まれ、マクロマー共重合が進行すると考えられる。したがって、生成する長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂の分岐構造としては、櫛型鎖が主であると考えられる。
[トリアリールトリアジン系化合物(C)]
本発明で用いられるトリアリールトリアジン系化合物(C)は、紫外線吸収剤であって、式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物である。
Figure 2017014449
ここで、式(1)中、Rはイソオクチル基である。かかる特定構造の紫外線吸収剤は、従来ポリオレフィン系樹脂には使用されていなかったが、本発明ではこれをポリオレフィン系樹脂に含有することにより、ポリオレフィン系樹脂に一般的に使用されているベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系、更には上記式(1)においてRがノルマルオクチル基であるようなトリアリールトリアジン系の紫外線吸収剤を用いた場合に比べて、高濃度でも格段にブリードアウトを抑制することができる。上記式(1)において、Rがノルマルオクチル基では、超長期ではブリードアウトによる白化が生じやすくなるので好ましくなく、イソオクチル基以外のイソアルキル基でも、紫外線吸収性能とブリード性のバランスが得られないので好ましくない。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン型紫外線吸収剤としては、Rが1種類のイソオクチル基でも構わないし、2種類以上のイソオクチル基からなる混合物でも構わないが、2種類以上のイソオクチル基からなる混合物が好ましい。用いられるイソオクチル基としては、2−オクチル基、2−メチル−1−ヘプチル基、3−メチル−1−ヘプチル基、4−メチル−1−ヘプチル基、5−メチル−1−ヘプチル基、6−メチル−1−ヘプチル基、3−オクチル基、2−エチル−1−ヘキシル基、3−エチル−1−ヘキシル基、4−エチル−1−ヘキシル基、4−オクチル基、2−プロピル−1−ペンチル基、2−メチル−3−ヘプチル基、2−イソプロピル−1−ペンチル基、2−メチル−2−ヘプチル基、3−メチル−2−ヘプチル基、4−メチル−2−ヘプチル基、5−メチル−2−ヘプチル基、6−メチル−2−ヘプチル基、2,2−ジメチル−1−ヘキシル基、2,3−ジメチル−1−ヘキシル基、2,4−ジメチル−1−ヘキシル基、2,5−ジメチル−1−ヘキシル基、3,3−ジメチル−1−ヘキシル基、3,4−ジメチル−1−ヘキシル基、3,5−ジメチル−1−ヘキシル基、4,4−ジメチル−1−ヘキシル基、4,5−ジメチル−1−ヘキシル基、5,5−ジメチル−1−ヘキシル基、3−メチル−3−ヘプチル基、3−エチル−2−ヘキシル基、4−エチル−2−ヘキシル基、2−メチル−2−エチル−1−ペンチル基、2−メチル−3−エチル−1−ペンチル基、3−メチル−3−エチル−1−ペンチル基、4−メチル−3−ヘプチル基、5−メチル−3−ヘプチル基、6−メチル−3−ヘプチル基、2−エチル−3−メチル−1−ペンチル基、2−エチル−4−メチル−1−ペンチル基、3−エチル−4−メチル−1−ペンチル基、3−エチル−3−ヘキシル基、4−エチル−3−ヘキシル基、2,2−ジエチル−1−ブチル基、4−メチル−4−ヘプチル基、3−メチル−4−ヘプチル基、2−メチル−4−ヘプチル基、2,3−ジメチル−3−ヘキシル基、2,4−ジメチル−3−ヘキシル基、2,5−ジメチル−3−ヘキシル基、2,3−ジメチル−2−エチル−1−ブチル基、2−イソプロピル−3−メチル−1−ブチル基、3,3,4−トリメチル−1−ペンチル基、2−メチル−3−ヘプチル基などがある。
上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、通常のトリアリールトリアジンの合成方法により、容易に合成することが可能である。例えば、2,4,6−トリクロロトリアジンにルイス酸触媒の存在下でキシレン2モルと3−アルコキシフェノール1モルを付加させてもよく、また、2,6−ジメチルベンズアミジンのハロゲン化水素酸塩とハロゲン化ギ酸エステルより2−ヒドロキシ−4,6−ジアリールトリアジンを合成し、次いで塩化チオニルで処理して2−クロロ−4,6−ジアリールトリアジンとしたのち3−アルコキシフェノールとルイス酸触媒で反応してもよい。
また、上記式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物は、市販のものを使用することもできる。
本発明で用いるトリアリールトリアジン系化合物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、Rとして、イソオクチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であるトリアリールトリアジン系化合物が含まれていても構わない。Rとして、イソオクチル基以外のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であるトリアリールトリアジン系化合物の許容量は、トリアリールトリアジン系化合物の種類によって異なるが、全トリアリールトリアジン系化合物に対しておおよそ30モル%未満である。
[ヒンダードアミン系光安定剤(D)]
本発明で用いられる光安定剤は、ヒンダードピペリジン構造を含む化合物で、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、ビス−(1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミツクスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}等が挙げられる。これらの光安定剤は、単独で用いても2種類以上の混合物として用いてもよい。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、具体的には、BASF社の商品名:Tinuvin 622 、Chimassorb 944、Chimassorb 119、Chimassorb 2020、Tinuvin 765 、Tinuvin 144 、Tinuvin 123 、Sanol LS 2626 、Uvinul 4049H、Uvinul 4050H、Uvinul 5050H、Cytex 社のCyasorb 3346、Cyasorb UV 500等が挙げられる。
[ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E)]
本発明で用いられるジアルキルヒドロキシルアミン系化合物としては、N,N−ジアルキルヒドロキシルアミンが好ましく、一般式R12NOH(式中、R1及びR2は各々独立してアルキルを表す。)で示される化合物である。式中、好ましいR1またはR2は、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヘプタデシル基のものが好ましい。特に好ましいジアルキルヒドロキシルアミンはN,N−ジオクタデシルヒドロキシルアミンおよびN,N−ジヘキサデシルヒドロキシルアミンまたはこれらの混合物であり、市販品として、イルガスタブFS042(BASF社製)、イルガスタブFS301(リン系酸化防止剤とFS042の1:1(重量比)のブレンド品、BASF社製)等が挙げられる。
[有機過酸化物(F)]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物においては、必要に応じて、有機過酸化物(E)を配合することができる。有機過酸化物(E)を配合して溶融混練することにより、本発明のポリオレフィン樹脂組成物のMFR及びスウェル比を特定の範囲に容易に制御することができる。
有機過酸化物(E)としては、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル及びケトンパーオキサイド群に含まれるものが挙げられる。具体的には、例えば、ハイドロパーオキサイド群にはキュメンハイドロパーオキサイド、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイド等が含まれ、ジアルキルパーオキサイド群にはジクミルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイドなどがあり、ジアシルパーオキサイド群にはラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等が含まれる。同様にパーオキシエステル群にはターシャリーパーオキシアセテート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエイト等が、さらにケトンパーオキサイド群にはシクロヘキサノンパーオキサイド等がある。これらで例示されている有機過酸化物のうち1種又は数種を同時に用いてもよい。
[その他の配合成分]
本発明のポリオレフィン樹脂組成物には、上述した紫外線吸収剤及び光安定剤に加えて、他の付加的成分を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤を挙げることができる。
(7)各成分の配合割合
本発明のポリオレフィン樹脂組成物における上記各成分の配合割合は、(A)〜(E)の合計量100重量%に対して、次の範囲である。
プロピレン系樹脂(A)の含有割合は、50〜96.89重量%、好ましくは60〜90重量%である。(A)の割合が上記範囲内であれば耐候性、押出ラミネート加工性に優れるので好ましい。
分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)の含有割合は、3〜50重量%、好ましくは5〜40重量%である。(B)の割合が上記範囲内であれば成形加工性が優れるので好ましい。
トリアリールトリアジン系化合物(C)の含有割合は、好ましくは0.1〜5重量%である。(C)の割合が上記範囲内であれば耐候性に優れるので好ましく、色相、経済性の点でも好ましい。
ヒンダードアミン系光安定剤(D)の含有割合は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%であり、より好ましくは、0.01〜0.5重量%である。含有量が上記範囲内であると、耐候性が十分であり、フィルム表面へのブルーミング現象が起こりにくく好ましい。
ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物の含有割合は、成分(A)〜(E)100重量%に対して好ましくは0.005〜1重量%である。含有量が上記範囲内であると、溶融加工時の熱安定性や電子線照射時の変色耐性が優れ、経済性の点でも好ましい。より好ましい含有量は、0.01〜0.5重量%である。
有機過酸化物(F)の配合割合は、(A)〜(E)の合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜0.1重量部、より好ましくは0.01〜0.05重量部である。(E)の割合が上記範囲内であると押出ラミネート加工時の高速成形性に優れるので好ましく、材料強度が向上するほか、押出ラミネート加工時のネックインが小さくなり、好ましい。
(8)ポリオレフィン樹脂組成物の製造
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上記必須成分(A)〜(E)、必要に応じて配合される成分(F)及び付加的成分とを混合し、溶融混練することにより得られる。溶融混練については、例えば粉末状、ペレット状等の形状の各成分を一軸又は二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の混練機を使用して行う。混練温度は、一般に180〜270℃で行われる。また、混練機は上述したものを二種以上を組み合わせることもできる。
有機過酸化物(E)を加えた溶融混練は、上記成分(A)〜(E)を配合するときに、同時に行うこともできる。さらに、(A)と(B)に(F)を加えて溶融混練し変性を行った後に、(C)、(D)、(E)及び付加的成分を加えることもできる。
(9)ポリオレフィン樹脂組成物の物性
上記のようにして得られた本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、次の物性を有している。
MFR(JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値)は、2〜10g/10分、好ましくは4〜10g/10分である。MFRが上記範囲内であれば良好な押出ラミネート加工性が得られ、透明性が良好となる等の点で好ましい。また、Tダイ幅方向の肉厚調整が容易となり、加工時に圧着ロールへ付着しにくくなり作業性が向上する、材料強度が向上する等の点で好ましい。
MFRが高い樹脂材料は、一般に機械的強度が低く、長期耐候性に劣る傾向にある。一方、MFRの低い樹脂材料は機械的強度及び長期耐候性に優れるものの、樹脂の流れ性が悪く、加工速度が遅く押出ラミネート加工性に劣る傾向にある。これに対し、本発明のポリオレフィン樹脂組成物では、MFRが低く、しかもスウェル比が一定範囲にあるネックインの良好な押出ラミネート加工性に優れた樹脂組成物であり、この樹脂組成物は、高い機械的強度、長期耐候性、及び押出ラミネート加工性のいずれをもバランス良く備えた樹脂材料である。
(10)ポリオレフィン樹脂組成物の用途
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、押出ラミネート加工性に優れ、かつブリードアウトしにくい耐候剤を配合しているため、長期耐候性に優れ、しかも耐白化性及び耐変色性に優れており良好な表面外観を有している。よって、フィルム又はシート状に押出し、他の基材とラミネートしてラミネート成形品とするのに適している。
押出ラミネート加工する方法としては、従来公知のいずれの方法を採用してもよい。例えば、原料樹脂を押出機で加熱、溶融及び混練した後、Tダイよりフィルム状に押出し、一方基材原反部より繰り出された基材表面にこのフィルム状樹脂を被覆し、ゴムロールと冷却ロールとで圧着し、冷却してから巻取部に巻き取る方法、又は冷却ロール側から第二の基材を通し、上記フィルム状樹脂でサンドイッチされた三層被覆物を得る方法、又は2台の押出機を同時に併用して両面被覆加工を行うタンデム方式等の方法が挙げられる。ラミネート加工の対象となる基材は特に限定されず、例えばセロハン、紙、他の樹脂材料、金属等が挙げられる。
また、本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、特定の紫外線吸収剤、光安定剤およびジアルキルヒドロキシルアミン系化合物とを組み合わせることにより、ブリードアウトを抑制したままさらに格段に耐候性と耐変色性を高めることができる。よって、該ポリオレフィン樹脂組成物からなるフィルム又はシートそれ自身の劣化が防止されるだけではなく、該フィルム又はシートを透過する光によりラミネートした基材が劣化するのを有効に防止することができる。また、ラミネート成形品を包装材料として用いた場合に内包物の劣化を有効に防止することもできる。よって、かかる用途において本発明の効果が特に発揮される。また、ブリードアウトが抑えられ基材との接着性が低下しないという利点も有する。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例における樹脂組成物の特性評価方法及び実施例で使用した樹脂は次の通りである。
1.評価方法
(1)MFR:JIS−K6921−2:1997付属書(230℃、2.16kg荷重)に準拠し測定した。
(2)押出ラミネート加工性(引き取り速度、ネックイン):ポリオレフィン樹脂組成物を、Tダイスから押し出される樹脂の温度が250℃になるように設定した押出ラミネート装置(押出機90mmφ)を用い、冷却ロール表面温度25℃、ダイス幅560mm、ダイリップ開度0.7mmで、引き取り加工速度が80m/分の場合に被覆厚みが80μmになるように押出量を調整して押し出し、幅500mm、厚み25μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム上に、引き取り速度を20m/分から上昇させながら押出ラミネート加工を行い、安定して被覆加工ができる最高加工速度を測定し、また加工速度が80m/分で被覆厚みが80μmの時のネックインを測定した。押出ラミネート加工性としては、本評価において最高引き取り速度が130m/分以上、且つネックインが100mm以下であることが望ましい。
(3)耐候性1:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートをサンシャインウェザーメーター(槽内ブラックパネル温度63℃、JIS−B7753)で照射し、目視 観察により、前記シート表面において該表面積の50%に亀裂が発生するまでの時間を測定した。長期耐候性能としては、本評価において4000時間以上であることが望ましい。
(4)耐候性2:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成シートを(2)と同様にサンシャインウェザーメータで照射し2000〜5000時間後のシートのUV吸光度をUV分光光度計(島津製作所(株)社製UV1600PC)にて500〜250nmの範囲で測定し、下記の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価にて5000時間でも○であることが望ましい。
○:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が95%以上
△:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70〜95%未満
×:照射後の最大吸光度の、照射前の最大吸光度に対する割合が70%未満
(5)透明性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを(2)と同様にサンシャインウェザーメーターで照射し、2000時間〜5000時間後のシートをプラスチックの光学的特性試験方法(JIS−K7105 ヘーズ A法)にてヘーズを測定し、以下の評価基準にて○〜×にて評価した。長期耐候性能としては、本評価において5000時間後でも○であることが望ましい。
○:照射前からのヘーズの変化が3%未満
△:照射前からのヘーズの変化が3〜5%未満。
×:照射前からのヘーズの変化が5%以上。
(6)耐白化性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを10cm×10cmに切り出した。切り出したシートを0℃の雰囲気下で2つ折にした。ガラス板の上で2kgの重さの金属板で折り目を10往復擦った。折り目を平面に戻した後、偏光顕微鏡を用いて20倍の倍率で観察し、折り目の状態を下記の基準で判定して耐白化評価とした。耐白化性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:折り目が白化していない
△:折り目がやや白化している
×:折り目が著しく白化している
(7)耐変色性:ポリオレフィン樹脂組成物を原料として作成したシートを40℃のオーブンに入れ、1か月後の変色状態を以下の評価基準にて○〜×にて目視評価した。耐変色性能としては、本評価において○であることが望ましい。
○:変色がない。
△:わずかに変色。
×:著しく変色。
2.試料
[(A)成分]
A−1;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEA9H[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン単独重合体]
MFR=1.3(230℃、2.16kg荷重、JIS−K6921−2:1997付属書準拠)、Tm=165℃
A−2;日本ポリプロ(株)製、商品名:ノバテックEG7F[チーグラー・ナッタ触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=1.4、Tm=143℃
A−3;日本ポリプロ(株)製、商品名:ウィンテックWFX6[メタロセン触媒によるプロピレン−エチレンランダム共重合体]
MFR=2.0、Tm=125℃
[(PE)成分]
PE−1;日本ポリエチレン(株)製、商品名:「ノバテックLD・LC604」
MFR(190℃)=8g/10分(190℃、2.16kg荷重、JIS−K6922−2:1997付属書)、融点=107℃
[(C)成分]
C−1;サイテック社製、商品名「サイアソーブ UV−1164G」
式(1)におけるRが3−エチル−1−ヘキシル基である誘導体49モル%、4−メチル−1−ヘプチル基である誘導体20モル%、3−エチル−4−メチル−1−ペンチル基である誘導体19モル%、2−エチル−1−ヘキシル基である誘導体10モル%を含有する誘導体組成物、イソオクチル誘導体の合計量は98モル%である。
[(D)成分]
D−1;BASF社製「Chimassorb2020」
D−2;BASF社製「Chimassorb944」
D−3;BASF社製「Tinuvin622」
[(LS)成分]
LS−1;BASF社製「Uvinul3034」(ベンゾトリアゾール系光安定剤)
[(E)成分]
E−1;BASF社製「FS301」
[(F)成分]
F−1;ジ−t−ブチルパーオキサイド
[製造例1(ポリプロピレン樹脂B1の製造)]
<触媒成分(G)の合成例1>
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(成分[G−1](錯体1)の合成):
(i)4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、4−i−プロピルフェニルボロン酸15g(91mmol)、ジメトキシエタン(DME)200mlを加え、炭酸セシウム90g(0.28mol)と水100mlの溶液を加え、4−ブロモインデン13g(67mmol)、テトラキストリフェニルホスフィノパラジウム5g(4mmol)を順に加え、80℃で6時間加熱した。
放冷後、反応液を蒸留水500ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで抽出した。エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体15.4g(収率99%)を得た。
(ii)2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に4−(4−i−プロピルフェニル)インデン15.4g(67mmol)、蒸留水7.2ml、DMSO:200mlを加え、ここにN−ブロモスクシンイミド17g(93mmol)を徐々に加えた。そのまま室温で2時間撹拌し、反応液を氷水500ml中に注ぎ入れ、トルエン100mlで3回抽出した。トルエン層を飽和食塩水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸2g(11mmol)を加え、水分を除去しながら3時間加熱還流した。反応液を放冷後、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの黄色液体19.8g(収率96%)を得た。
(iii)2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−メチルフラン6.7g(82m1mol)、DME:100mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.59mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液51ml(81mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、そこにトリイソプロピルボレート20ml(87mmol)とDME50mlの溶液を滴下した。滴下後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水50mlを加え加水分解した後、炭酸カリウム223gと水100mlの溶液、2−ブロモ−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン19.8g(63mmol)を順に加え、80℃で加熱し、低沸分を除去しながら3時間反応させた。
放冷後、反応液を蒸留水300ml中に注ぎ、分液ロートに移しジイソプロピルエーテルで3回抽出した、エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデンの無色液体19.6g(収率99%)を得た。
(iv)ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの合成
500mlのガラス製反応容器に、2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデン9.1g(29mmol)、THF200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液17ml(28mmol)を滴下し、そのまま3時間撹拌した。−70℃に冷却し、1−メチルイミダゾール0.1ml(2mmol)、ジメチルジクロロシラン1.8g(14mmol)を順に加え、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
反応液に蒸留水を加え、分液ロートに移し食塩水で中性になるまで洗浄し、硫酸ナトリウムを加え反応液を乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過し、溶媒を減圧留去して、シリカゲルカラムで精製し、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シランの淡黄色固体8.6g(収率88%)を得た。
(v)ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドの合成
500mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)シラン8.6g(13mmol)、ジエチルエーテル300mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.66mol/Lのn−ブチルリチウム−n−ヘキサン溶液15ml(25mmol)を滴下し、3時間撹拌した。反応液の溶媒を減圧で留去し、トルエン400ml、ジエチルエーテル40mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム4.0g(13mmol)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら一夜撹拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン−ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−メチル−5−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体を黄色結晶として7.6g(収率65%)得た。
得られたラセミ体についてのH−NMRによる同定値を以下に記す。
H−NMR(C)同定結果:
ラセミ体:δ0.95(s,6H),δ1.10(d,12H),δ2.08(s,6H),δ2.67(m,2H),δ5.80(d,2H),δ6.37(d,2H),δ6.74(dd,2H),δ7.07(d,2H),δ7.13(d,4H),δ7.28(s,2H),δ7.30(d,2H),δ7.83(d,4H)。
<触媒成分(G)の合成例2>
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(成分[A−2](錯体2)の合成):
rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11―240909号公報の実施例1に記載の方法と同様にして、実施した。
<触媒合成例1>
(i)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水2,264gに96%硫酸(668g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製、商品名ベンクレイSL:平均粒径19μm)400gを加えた。このスラリーを90℃で210分加熱した。この反応スラリーに蒸留水4,000gを加えた後に、ろ過したところ、ケーキ状固体810gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム432g、蒸留水1,924gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ状固体を全量投入した。このスラリーを室温で120分反応させた。このスラリーに蒸留水4Lを加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH5〜6まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体760gを得た。
得られた固体を窒素気流下100℃で一昼夜予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に200℃、2時間、減圧乾燥することにより、化学処理スメクタイト220gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:6.45重量%、Si:38.30重量%、Mg:0.98重量%、Fe:1.88重量%、Li:0.16重量%であり、Al/Si=0.175[mol/mol]であった。
(ii)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(132mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(25mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を68.0mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率が1/100になるまで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(G)の合成例1で作製した前記触媒成分[G−1]の錯体1、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−i−プロピルフェニル)インデニル}]ハフニウム(210μmol)をトルエン(42mL)に溶解し(溶液1)、更に、別のフラスコ(容積200mL)中で、前記触媒成分(G)の合成例2で作製した前記触媒成分[G−2]の錯体2、rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム(90μmol)をトルエン(18mL)に溶解した(溶液2)。
先ほどの化学処理スメクタイトが入った1Lフラスコにトリイソブチルアルミニウム(0.84mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を1.2mL)を加えた後、上記溶液1を加えて20分間室温で撹拌した。その後更にトリイソブチルアルミニウム(0.36mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を0.50mL)を加えた後、上記溶液2を加えて、1時間室温で攪拌した。
その後、ヘプタンを338mL追加し、このスラリーを、1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのち、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、4時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、1時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(6mmol:濃度143mg/mLのヘプタン溶液を17.0mL)を加えて5分攪拌した。
この固体を1時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒52.8gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.64であった。
以下、このものを「予備重合触媒1」という。
<重合>
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに水素4.4リットル(標準状態の体積として)、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液470ml(0.12mol)を加えた後、内温を70℃まで昇温した。次いで、予備重合触媒1を2.4g(予備重合ポリマーを除いた重量で)、アルゴンで圧入して重合を開始させ、内部温度を70℃に維持した。2時間経過後に、エタノールを100ml圧入し、未反応のプロピレンをパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより重合を停止した。
得られたポリマーを90℃窒素気流下で1時間乾燥し、16.5kgのプロピレン重合体(以下、「B1」という)を得た。
触媒活性は、6880(g−PP/g−cat)であった。MFRは1.0g/10分であった。
[ポリプロピレン樹脂B1のペレット(B−1)の製造]
上記製造例1で製造したポリプロピレン樹脂(B1)100重量部に対し、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168、BASFジャパン株式会社製)0.125重量部を配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサー、商品名)を用い室温下で3分間混合した後、二軸押出機にて溶融混練して、ポリプロピレン樹脂(B)のペレット(B−1)を得た。
なお、二軸押出機には、テクノベル社製KZW−25を用い、スクリュー回転数は400RPM、混練温度は、ホッパ下から80、160、210、230(以降、ダイス出口まで同温度)℃設定とした。
このペレット(B−1)について、前記した各種の評価を行った。
MFR=1.0g/10min、CXS=0.1重量%、mm=98.4%、Mw/Mn=4.2、Mz/MW=3.7、Mabsが100万における分岐指数g’=0.85、溶融張力(MT)=23.3g、log(MT)=1.37、−0.9×log(MFR)+0.7=0.70であった。
[実施例1]
プロピレン系樹脂(A−1)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=7g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例2]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例3]
プロピレン系樹脂(A−3)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.07重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例4]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−2)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[実施例5]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−3)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例1]
プロピレン系樹脂(A−2)95.3重量%、ポリエチレン樹脂(PE−1)4重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%からなる組成物100重量部に対し、0.05重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=6g/10分、であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例2]
プロピレン系樹脂(A−2)69.3重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ヒンダードアミン系光安定剤(D−1)0.2重量%からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
[比較例3]
プロピレン系樹脂(A−2)69.1重量%、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B−1)30重量%、トリアリールトリアジン系化合物(C−1)0.5重量%、ベンゾトリアゾール系光安定剤(LS−1)0.2重量%、ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物(E−1)0.2重量部からなる組成物100重量部に対し、0.08重量部の有機過酸化物(F−1)とをブレンダーで良く混合した後、溶融押出してペレット化した。得られたペレットは、MFR=8g/10分であった。得られたペレットを口径が65mmの押出機に装着したTダイから、樹脂温度250℃、幅600mm、で溶融押出し、最高引き取り速度の評価を行うとともに引き取り速度80m/分、肉厚80μmの時のネックインを評価するシートを作成した。これを上記の方法で耐候性1、耐候性2、透明性、を評価した。評価の結果を表1に示す。
Figure 2017014449
表1より明らかなように、実施例1〜5では押出ラミネート加工性、耐候性、透明性、耐白化性および耐変色性に優れていた。一方、ポリエチレンを使用すると耐白化性に劣る(比較例1)。ヒンダードアミン系光安定剤を使用してかつジアルキルヒドロキシルアミン系化合物を使用しないと耐変色性に劣る(比較例2)。また、ベンゾトリアゾール系光安定剤を用いたポリオレフィン樹脂組成物は耐候性、透明性、耐変色性に劣った(比較例3)。

Claims (6)

  1. 下記の成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)を含有し、JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠したメルトフローレイト(以下、「MFR」と略称することがある。)が2〜10g/10分である樹脂組成物であって、(A)〜(E)の合計量100重量%に対する成分(A)、(B)、(C)、(D)、(E)の割合がそれぞれ、50〜96.89重量%、3〜50重量%、0.1〜5重量%、0.005〜1重量%、0.005〜1重量%であることを特徴とする押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (A)MFRが1〜50g/10分のプロピレン系樹脂
    (B)以下の(i)〜(iv)の特性を満たす、分岐構造を有するポリプロピレン樹脂
    (i)MFRが0.1〜30g/10分
    (ii)GPCによる分子量分布において、Mw/Mnが3.0〜10.0
    (iii)絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’が0.30以上1.00未満
    (iv)溶融張力(MT)(単位:g)が、
    log(MT)≧−0.9×log(MFR)+0.7、または、 MT≧15
    のいずれかを満たす。
    (C)式(1)で表されるトリアリールトリアジン系化合物の群から選択された少なくとも1つの化合物
    Figure 2017014449
    (式中、Rはイソオクチル基)
    (D)ヒンダードアミン系光安定剤
    (E)ジアルキルヒドロキシルアミン系化合物
  2. 分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、以下の(v)の特性を満たすことを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (v)25℃パラキシレン可溶成分量(CXS)がポリプロピレン樹脂(B)全量に対して5.0重量%未満
  3. 分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(B)が、以下の(vi)の特性を満たすことを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
    (vi)13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率が95%以上
  4. プロピレン系樹脂(A)の融点が110〜155℃のプロピレン・αオレフィン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
  5. プロピレン系樹脂(A)がメタロセン触媒を用いて重合されたプロピレン・エチレン共重合体であることを特徴とする請求項4に記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
  6. さらに、有機過酸化物(F)を、(A)〜(E)の合計100重量部に対して、0.005〜0.1重量部配合し、溶融混練してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の押出ラミネート用ポリオレフィン樹脂組成物。
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