JP2017018962A - 塑性加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】一対のパンチでワークを挟み、パンチを押圧してワークを塑性加工するに当たり、効率的にワークに対して略均等に加工歪を導入することのできる塑性加工方法を提供する。【解決手段】一対のアウターパンチ1とインナーパンチ2から構成される成形型10において、アウターパンチ1とインナーパンチ2の端面に板材4が配設され、板材4はアウターパンチ1の端面に固定されており、アウターパンチ1に対してインナーパンチ2が相対的に移動した際に板材4のインナーパンチ2に対応する箇所が塑性変形してインナーパンチ2の移動に追随する、成形型10を用意するステップ、一対のインナーパンチ2,2の間にワークSを配設し、一対のインナーパンチ2,2を押圧してワークSを鍛造することにより、ワークSが側方へ塑性変形するとともに、板材4のインナーパンチ2の端面に対応する箇所も側方へ塑性変形するステップからなる、塑性加工方法である。【選択図】図2

Description

本発明は、一対のパンチでワークを挟み、パンチを押圧してワークを塑性加工する塑性加工方法に関するものである。
ランタノイド等の希土類元素を用いた希土類磁石は永久磁石とも称され、その用途は、ハードディスクやMRIを構成するモータのほか、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用モータなどに用いられている。
この希土類磁石の磁石性能の指標として残留磁化(残留磁束密度)と保磁力を挙げることができるが、モータの小型化や高電流密度化による発熱量の増大に対し、使用される希土類磁石にも耐熱性に対する要求は一層高まっており、高温使用下で磁石の磁気特性を如何に保持できるかが当該技術分野での重要な研究課題の一つとなっている。
希土類磁石としては、組織を構成する結晶粒(主相)のスケールが3〜5μm程度の一般的な焼結磁石のほか、結晶粒を50nm〜300nm程度のナノスケールに微細化したナノ結晶磁石がある。
希土類磁石の製造方法の一例を概説すると、たとえばNd-Fe-B系の金属溶湯を急冷凝固して微粉末(磁石用粉末)を製作し、ダイとダイの内部で摺動する上パンチおよび下パンチとから構成された成形型のキャビティに磁石用粉末を充填し、加圧成形しながら成形体を製造する。次いで、成形体を高温雰囲気下で圧縮し、緻密化させて焼結体を製造し、この焼結体に磁気的異方性を付与するべく熱間塑性加工を施して希土類磁石(配向磁石)を製造する方法である。なお、この熱間塑性加工には、後方押出し加工や前方押出し加工といった押出し加工や、据え込み加工(鍛造加工)などが適用されている。
上記する熱間塑性加工として鍛造加工を適用して焼結体(ワーク)に加工歪を導入するに当たり、焼結体に導入される加工歪が焼結体の場所ごとに異なり、不均一になるといった問題がある。これは、焼結体とパンチの間に発生する摩擦力によるものであり、パンチに接する焼結体の表面は摩擦力によってその塑性変形が拘束される一方で、焼結体の内部はパンチからの直接的な拘束がないことから比較的自由に塑性変形する結果、焼結体に加工歪の分布が生じるというものである。
このように加工歪分布が生じることで、熱間塑性加工にて形成された希土類磁石の配向度は低くなり、残留磁化等の磁気特性の低下に繋がる。
ところで、上記する加工歪分布を解消する技術が特許文献1に開示されている。ここで開示される温間加工磁石の製造方法は、R-T-B系永久磁石用の磁性粉末を温間で緻密化と塑性加工によって温間加工磁石を製造するに当たり、事実上避けられないバルジ現象(ワークの端縁部が樽型に変形する現象)を予め考慮した上で緻密体(焼結体)の段階で形状を調整する製造方法である。
より具体的には、緻密化工程で予め緻密体形状の上下ダイスに接する面に含まれるコーナー部を除く直線または曲線部が最終塑性加工後の製品形状の相似形より上記する直線もしくは曲線部の長さに対して15%以下凹になる形状とし、その他の緻密体側面が緻密体の中心に向けて圧縮方向に対して平行もしくは側面の高さに対して15%以下凹になる形状に成形した後、塑性加工をおこなうものである。
この製造方法によれば、ほぼ均一に塑性変形することができ、割れのない磁気特性の良好な磁石を提供できるとしている。しかしながら、熱間塑性加工(鍛造加工)前の焼結体(ワーク)の形状を極めて特殊な形状に加工する必要があることから、加工が容易でなく、加工効率が悪く、現実的な方策とは言い難い。
特開平3−290906号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、一対のパンチでワークを挟み、パンチを押圧してワークを塑性加工するに当たり、効率的にワークに対して略均等に加工歪を導入することのできる塑性加工方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明による塑性加工方法は、アウターパンチと、アウターパンチの中空内を摺動するインナーパンチとを有し、一対のアウターパンチおよびインナーパンチから構成される成形型において、アウターパンチとインナーパンチの端面に板材が配設され、板材はアウターパンチの端面に固定されており、インナーパンチが中空内で摺動してアウターパンチに対してインナーパンチが相対的に移動した際に板材のインナーパンチに対応する箇所が塑性変形してインナーパンチの移動に追随する、成形型を用意する第1のステップ、一対のインナーパンチの間にワークを配設し、一対のインナーパンチを押圧してワークを鍛造することにより、ワークが側方へ塑性変形するとともに、板材のインナーパンチの端面に対応する箇所も側方へ塑性変形する第2のステップからなるものである。
本発明の塑性加工方法では、アウターパンチに対してインナーパンチが摺動自在に構成され、これらアウターパンチとインナーパンチが対となっている成形型を使用し、この使用に際して、アウターパンチとインナーパンチの端面(一対の各アウターパンチとインナーパンチの他方に対向する端面)に板材を配し、これをアウターパンチに固定した成形型を使用する点に一つの特徴を有するものである。したがって、ワークはその上下の一対のインナーパンチではなく、上下一対の板材に直接挟まれることになる。
そして、この板材は、アウターパンチに対してインナーパンチを摺動させ、アウターパンチに対してインナーパンチを相対的に移動させてワークを鍛造し、ワークを側方へ塑性変形させた際に、この板材も側方へ塑性変形するような変形性能や剛性を備えている。
ここで、「板材はアウターパンチの端面に固定され」とは、アウターパンチとインナーパンチの端面に亘って配設された板材のうち、アウターパンチの端面とは固定され、インナーパンチの端面とは固定されないことを意味している。このような構成とすることで、アウターパンチに対して相対的にインナーパンチが移動してアウターパンチから突出した際に、板材のアウターパンチの端面に対応する箇所は側方に塑性変形し、突出したインナーパンチの側面(アウターパンチから突出した側面)と端面に亘る長さに延びることができる。
このように、ワークの側方への塑性変形に応じて板材がワークと接触する箇所(板材のインナーパンチの端面に対応する箇所)も側方へ塑性変形することで、ワークと板材の間の摩擦力がワークの塑性変形に与える影響を格段に低下させることができる。
そして、ワークの側方への塑性変形の際にワークが板材から受ける摩擦力の影響が極めて低くなることで、ワークが板材と接する表面部の加工歪量と、ワークの内部の加工歪量の差が少なくなり、ワーク全体に可及的に均等な加工歪を導入することが可能になる。
ここで、インナーパンチの移動によって塑性変形する板材としては、金属製の板材が適用でき、たとえばSUS製の板材を適用できる。
また、第2のステップにおいて、ワークが側方へ塑性変形する際の流動速度に対し、板材が側方へ塑性変形する際の流動速度が近づくようにインナーパンチの移動速度を制御するのが望ましい。
仮にインナーパンチの移動速度が遅過ぎると、板材の側方への塑性変形がワークの側方への塑性変形に追い付かず、結果として、塑性変形するワークに対する板材からの摩擦力の影響が大きくなる。
そこで、ワークの素材(剛性、変形性能)や形状ごとにインナーパンチの移動速度を種々変化させながらワークを押圧し、ワークの側方への塑性変形の際に板材の側方への塑性変形が追随するインナーパンチの移動速度を特定し、この特定された移動速度でインナーパンチを押圧するのがよい。
また、ワークは特に限定されるものではないが、ワークの実施の形態として希土類磁石前駆体である焼結体を挙げることができる。
焼結体は、磁石用粉末を成形型に充填し、加圧成形することで製造され、この製造された成形体を高温雰囲気下で圧縮し、緻密化させることで焼結体が製造される。この焼結体に熱間塑性加工を施して加工歪を導入し、磁気的異方性を付与して希土類磁石を製造するに当たり、この熱間塑性加工(鍛造加工)に本発明の塑性加工方法が適用されるものである。
本発明の塑性加工方法によって焼結体に磁気的異方性が付与されて形成された希土類磁石は、希土類磁石の全体に可及的均等に加工歪が導入され、配向度が高くなっていることから、残留磁化に代表される磁気特性に優れた希土類磁石となる。
以上の説明から理解できるように、本発明の塑性加工方法によれば、アウターパンチに対してインナーパンチが摺動自在に構成され、これらアウターパンチとインナーパンチが対となっている成形型を使用し、この使用に際して、アウターパンチとインナーパンチの端面に板材を配してアウターパンチに固定し、一対のインナーパンチの間にワークを配設し、一対のインナーパンチを押圧してワークを鍛造する。この方法により、ワークを側方へ塑性変形させた際にこの板材も側方へ塑性変形することで、ワークの塑性変形の際にワークと板材の間の摩擦力の影響が極めて低くなり、ワーク全体に対して可及的に均等な加工歪を導入することができる。
本発明の塑性加工方法の第1のステップを説明した模式図である。 塑性加工方法の第2のステップを説明した模式図である。 1/4解析モデルを示した模式図であって、(a)は比較例のモデル図であり、(b)は実施例のモデル図である。 比較例、実施例の鍛造前後の焼結体のメッシュモデル図を示した図である。 比較例、実施例の測定点における圧縮歪量を比較した図である。
以下、図面を参照して本発明の塑性加工方法の実施の形態を説明する。なお、図示例は、ワークに希土類磁石前駆体である焼結体を適用したものであるが、ワークが焼結体に限定されるものでないことは勿論のことである。
(塑性加工方法の実施の形態)
図1は本発明の塑性加工方法の第1のステップを説明した模式図であり、図2は塑性加工方法の第2のステップを説明した模式図である。
図示する成形型10は、一対のアウターパンチ1とインナーパンチ2から構成され、アウターパンチ1の中空内でインナーパンチ2が摺動自在に構成されている。なお、成形型10の稼働に際しては、アウターパンチ1が不動でインナーパンチ2のみが摺動する形態や、アウターパンチ1も移動し、インナーパンチ2がアウターパンチ1よりもより速い速度で移動(摺動)する形態などがあり、成形型10の稼働制御は適宜選定できる。
図示例では、稼働前の状態において、アウターパンチ1の端面に対してインナーパンチ2の端面が対向するインナーパンチ2側に突出した状態となっている。
アウターパンチ1とインナーパンチ2の端面には、SUS製の板材4が配設され、板材4はアウターパンチ1の端面には押さえ部材3にて固定されており、インナーパンチ2の端面には固定されることなく、接しているのみである。
このように板材4を端面に備えたアウターパンチ1、インナーパンチ2からなる成形型10を用意する(第1のステップ)。
そして、一対のインナーパンチ2,2の間にワークである焼結体Sを配設する。この焼結体Sは希土類磁石前駆体であり、磁石用粉末を加圧成形して製造されたものである。
ここで、磁石用粉末の製作方法を概説すると、まず、50kPa以下に減圧した不図示の炉中で、単ロールによるメルトスピニング法により、合金インゴットを高周波溶解し、希土類磁石を与える組成の溶湯を銅ロールに噴射して急冷薄帯(急冷リボン)を製作する。次に、製作された急冷薄帯を粗粉砕して磁石用粉末を製作するものである。なお、磁石用粉末の粒径範囲は75〜300μmの範囲となるように調整される。
焼結体Sの組織構造は、ナノ結晶組織のNd-Fe-B系の主相(平均粒径が300nm以下で、たとえば50nm〜200nm程度の結晶粒径)と、主相の周りにあるNd-X合金(X:金属元素)の粒界相を備えたものである。そして、粒界相を構成するNd-X合金は、Ndと、Co、Fe、Ga等のうちの少なくとも一種以上の合金からなり、たとえば、Nd-Co、Nd-Fe、Nd-Ga、Nd-Co-Fe、Nd-Co-Fe-Gaのうちのいずれか一種、もしくはこれらの二種以上が混在したものであって、Ndリッチな状態となっている。
次に、図2で示すように、一対のインナーパンチ2,2を押圧して(X1方向、X2方向)焼結体Sを鍛造することにより、焼結体Sは側方に塑性変形し(変形:δ1)、この塑性変形によって焼結体Sに磁気的異方性が付与されて希土類磁石Jが製造される。
この鍛造加工において、焼結体Sが側方へ塑性変形する際に、板材4も塑性変形する。具体的には、板材4のインナーパンチ2の端面に対応する箇所(焼結体Sを挟んでいる箇所)は焼結体Sと同様に側方へ塑性変形し(変形:δ2)、板材4のアウターパンチ1に対して突出したインナーパンチ2の側面に対応する箇所はインナーパンチ2の突出方向に塑性変形する(変形:δ3)。すなわち、板材4は張出し成形の状態となる。
このように、焼結体Sの側方への塑性変形に応じて板材4が焼結体Sと接触する箇所(板材4のインナーパンチ2の端面に対応する箇所)も側方へ塑性変形することで、焼結体Sと板材4の間の摩擦力が焼結体Sの塑性変形に与える影響を格段に低下させることができる。
したがって、焼結体Sを塑性変形させた際に導入される加工歪は、板材4から摩擦力を受ける焼結体Sの表面も、板材4からの摩擦力を直接受けない焼結体Sの内部も同程度となり、塑性変形後の希土類磁石の配向度は高くなり、磁気特性に優れたものとなる。
ここで、焼結体Sが側方へ塑性変形する際の流動速度に対し、板材4が側方へ塑性変形する際の流動速度が近づくようにインナーパンチ2の移動速度を制御するのが望ましい。
仮にインナーパンチ2の移動速度が遅過ぎると、板材4の側方への塑性変形が焼結体Sの側方への塑性変形に追い付かず、結果として、塑性変形する焼結体Sに対する板材4からの摩擦力の影響が大きくなる。そこで、焼結体Sの素材(剛性、変形性能)や形状ごとにインナーパンチ2の移動速度を種々変化させながら焼結体Sを押圧し、焼結体Sの側方への塑性変形の際に板材4の側方への塑性変形が追随するインナーパンチ2の移動速度を予め特定しておき、この特定された移動速度でインナーパンチ2を押圧するのがよい。
(CAE解析とその結果)
本発明者等は、塑性変形自在な板材を介して焼結体を鍛造加工した際の効果を検証する解析をおこなった。ここで、図3(a)は板材を具備しない比較例の解析モデルのうち、1/4の部分を示したモデル図であり、図3(b)は板材を具備する実施例の1/4解析モデルを示した図である。
比較例では、焼結体に対し、インナーパンチを押し込み速度0.75mm/secで押し込んで鍛造した。なお、焼結体とインナーパンチの間の界面にはグラファイト潤滑剤を塗布するものとし、摩擦係数は0.1とした。
一方、実施例は、焼結体とインナーパンチの間にSUS304製の板材を介在させ、板材の端部はダイスと押え板で固定し、ダイスには50000Nの力を付与し、インナーパンチと押え板をともに0.75mm/secで押し込んで鍛造した。なお、インナーパンチと板材の間の摩擦係数は0.01とした。
解析結果を図4,5に示す。ここで、図4は比較例、実施例の鍛造前後の焼結体のメッシュモデル図を示したものであり、図5は比較例、実施例の測定点における圧縮歪量を比較した図である。
図4より、鍛造後の比較例では、測定点A,Bでつぶれ具合に大きな差があることが分かる。
一方、鍛造後の実施例では、板材が横に延びることで、測定点A,Bでつぶれ具合は同程度になっていることが分かる。
実際には、図5より、比較例の鍛造前後の圧縮歪量は摩擦力の影響を受ける測定点Aで0.59、摩擦力の影響を受け難い測定点Bで1.07となり、双方の値には大きな乖離がある。
対して、実施例の鍛造前後の圧縮歪量は、測定点Aで0.65、測定点Bで0.84と双方の値は格段に近接していることが分かる。
この解析結果より、塑性変形可能な板材を介して焼結体を鍛造加工することにより、板材と焼結体の間の摩擦力の影響が少なくなり、焼結体の全域で可及的均等な加工歪量を導入できることが分かった。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…アウターパンチ、2…インナーパンチ、3…押さえ部材、4…板材、10…成形型、S…焼結体(ワーク)、J…希土類磁石

Claims (1)

  1. アウターパンチと、アウターパンチの中空内を摺動するインナーパンチとを有し、一対のアウターパンチおよびインナーパンチから構成される成形型において、アウターパンチとインナーパンチの端面に板材が配設され、板材はアウターパンチの端面に固定されており、インナーパンチが中空内で摺動してアウターパンチに対してインナーパンチが相対的に移動した際に板材のインナーパンチに対応する箇所が塑性変形してインナーパンチの移動に追随する、成形型を用意する第1のステップ、
    一対のインナーパンチの間にワークを配設し、一対のインナーパンチを押圧してワークを鍛造することにより、ワークが側方へ塑性変形するとともに、板材のインナーパンチの端面に対応する箇所も側方へ塑性変形する第2のステップからなる、塑性加工方法。
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