JP2017019165A - 金属/樹脂複合構造体および金属/樹脂複合構造体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
つまり、従来の金属/非晶性樹脂複合構造体は、接合強度と生産性との間にトレードオフの関係が存在し、そのトレードオフの関係は成形条件の変更のみでは改善できなかったのである。
微細凹凸表面を有する金属部材と、ポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成された樹脂部材と、が接合してなる金属/樹脂複合構造体であって、
上記ポリカーボネート樹脂組成物(C)は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が20,000以上60,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上15.0以下の範囲にあるポリカーボネート樹脂(A)、および
GPCにより測定される重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下の範囲にあるポリカーボネートオリゴマー(B)を含み、
上記ポリカーボネートオリゴマー(B)に対する上記ポリカーボネート樹脂(A)の質量比((A)/(B))が90/10以上99/1以下である金属/樹脂複合構造体。
[2]
上記金属部材の上記微細凹凸表面には間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立している、上記[1]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[3]
上記樹脂部材がさらに充填材(D)を含み、
上記樹脂部材中の上記充填材(D)の含有量が5質量%以上50質量%以下である、上記[1]または[2]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[4]
上記充填材(D)がガラス繊維を含む、上記[3]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[5]
上記金属部材がアルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される一種または二種以上の金属材料を含む、上記[1]乃至[4]いずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
[6]
上記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす、上記[1]乃至[5]いずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
[7]
上記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(3)をさらに満たす、上記[6]に記載の金属/樹脂複合構造体。
(3)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を1直線部以上含む
[8]
上記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、すべての直線部の上記十点平均粗さ(Rz)が5μmを超える、上記[6]または[7]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[9]
上記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、すべての直線部の上記十点平均粗さ(Rz)が15μm以上である、上記[8]に記載の金属/樹脂複合構造体。
[10]
上記[1]乃至[9]いずれか一つに記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に、微細凹凸表面を有する上記金属部材を配置する工程と、
上記キャビティ部に上記樹脂部材を射出することにより上記金属部材と上記樹脂部材とを接合する工程と、
を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法。
まず、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106について説明する。
図1は、本実施形態の金属/樹脂複合構造体106の構造の一例を模式的に示した外観図である。金属/樹脂複合構造体106は、金属部材103と、樹脂部材105とが接合されており、金属部材103と樹脂部材105とを接合することにより得られる。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、ポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成された樹脂部材105が、金属部材103の表面110に形成された微細凹凸に進入して金属とポリカーボネート樹脂組成物(C)が接合し、金属―樹脂界面を形成することにより得られる。
ここで、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物(C)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が20,000以上60,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上15.0以下の範囲にあるポリカーボネート樹脂(A)と、GPCにより測定される重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下の範囲にあるポリカーボネートオリゴマー(B)と、を含む。そして、ポリカーボネートオリゴマー(B)に対するポリカーボネート樹脂(A)の質量比((A)/(B))が90/10以上99/1以下である。
具体的には金属部材103の表面110の上記微細凹凸形状の中に樹脂部材105が進入することによって、金属部材103と樹脂部材105との間に物理的な抵抗力(アンカー効果)が効果的に発現し、通常では接合が困難な金属部材103と樹脂部材105とを強固に接合することが可能になる。
すなわち、本実施形態によれば、ポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成された樹脂部材105を用いることにより、金属部材103と樹脂部材105とを直接接合することができ、生産性と接合強度とのバランスに優れた金属/樹脂複合構造体106を実現できる。
以下、本実施形態に係る金属部材103について説明する。
本実施形態に係る金属部材103は微細凹凸表面を有する。上記微細凹凸表面は、金属部材103と樹脂部材105とをより一層強固に接合する観点から、間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立しているものであることが好ましい。
上記微細凹凸表面の間隔周期は凸部から隣接する凸部までの距離の平均値であり、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡で撮影した写真から求めることができる。
具体的には、電子顕微鏡またはレーザー顕微鏡により、金属部材103の表面110を撮影する。その写真から、任意の凸部を50個選択し、それらの凸部から隣接する凸部までの距離をそれぞれ測定する。凸部から隣接する凸部までの距離の全てを積算して50で除したものを間隔周期とする。
凸部の間隔周期が上記下限値以上であると、上記微細凹凸表面の凹部に樹脂部材105が十分に進入することができ、金属部材103と樹脂部材105との接合強度をより向上させることができる。また、凸部の間隔周期が上記上限値以下であると、得られる金属/樹脂複合構造体106の金属―樹脂界面に隙間が生じるのを抑制できる。その結果、金属―樹脂界面の隙間から水分等の不純物が浸入することを抑制できるため、金属/樹脂複合構造体106を高温、高湿下で用いた際、強度が低下することを抑制できる。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える
上記6直線部は、例えば、図3に示すような6直線部B1〜B6を選択することができる。まず、基準線として、金属部材103の接合部表面104の中心部Aを通る中心線B1を選択する。次いで、中心線B1と平行関係にある直線B2およびB3を選択する。次いで、中心線B1と直交する中心線B4を選択し、中心線B1と直交し、中心線B4と並行関係にある直線B5およびB6を選択する。ここで、各直線間の垂直距離D1〜D4は、例えば、2〜5mmである。
なお、通常、金属部材の表面110中の接合部表面104だけでなく、金属部材の表面110全体に対し、表面粗化処理が施されているため、例えば、図4に示すように、金属部材103の接合部表面104と同一面で、接合部表面104以外の箇所から6直線部を選択してもよい。
(1A)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を好ましくは2直線部以上、より好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1B)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が20%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
(1C)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を好ましくは1直線部以上、より好ましくは2直線部以上、さらに好ましくは3直線部以上、最も好ましくは6直線部含む
なお、上記負荷長さ率(Rmr)の平均値は、前述の任意の6直線部の負荷長さ率(Rmr)を平均したものを採用することができる。
本実施形態においては、とくにエッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング等が、上記各負荷長さ率(Rmr)を制御するための因子として挙げられる。
(2A)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が好ましくは5μm超、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上である
なお、上記十点平均粗さ(Rz)の平均値は、前述の任意の6直線部の十点平均粗さ(Rz)を平均したものを採用することができる。
(4)すべての直線部の、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μmを超え300μm未満であり、より好ましくは20μm以上200μm以下である
なお、上記粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の平均値は、前述の任意の6直線部のRSmを平均したものを採用することができる。
本実施形態においては、とくに粗化処理の温度および時間、エッチング量等が、上記十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を制御するための因子として挙げられる。
アルミニウム合金としては、JIS H4000に規定された合金番号1050、1100、2014、2024、3003、5052、6061、6063、7075等が好ましく用いられる。
また、樹脂部材105と接合する接合部表面104の形状は、特に限定されないが、平面、曲面等が挙げられる。
必要な形状に加工された金属部材103は、樹脂部材105と接合する面が酸化や水酸化されていないことが好ましく、長期間の自然放置で表面に酸化皮膜である錆の存在が明らかなものは研磨、化学処理等でこれを取り除くことが好ましい。
このような金属部材103は、例えば、エッチング剤を用いて粗化処理することにより形成することができる。
ここで、エッチング剤を用いて金属部材の表面を粗化処理すること自体は従来技術においても行われてきた。しかし、本実施形態では、エッチング剤の種類および濃度、粗化処理の温度および時間、エッチング処理のタイミング、等の因子を高度に制御している。上記要件(1)〜(4)、(1A)〜(1C)、(2A)等を満たす金属部材103を得るためには、これらの因子を高度に制御することが重要となる。
以下、上記要件(1)〜(4)、(1A)〜(1C)、(2A)等を満たす金属部材103を得るための金属部材表面の粗化処理方法の一例を示す。ただし、本実施形態に係る金属部材表面の粗化処理方法は、以下の例に限定されない。
まず、金属部材103は、樹脂部材105との接合側の表面に酸化膜や水酸化物等からなる厚い被膜がないことが望ましい。このような厚い被膜を除去するため、次のエッチング剤で処理する工程の前に、サンドブラスト加工、ショットブラスト加工、研削加工、バレル加工等の機械研磨や、化学研磨により表面層を研磨してもよい。また、樹脂部材105との接合側の表面に機械油等の著しい汚染がある場合は、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液等のアルカリ性水溶液による処理や、脱脂を行なうことが好ましい。
本実施形態において金属部材の表面粗化処理方法としては、後述する酸系エッチング剤による処理を特定のタイミングで行うことが好ましい。具体的には、該酸系エッチング剤による処理を表面粗化処理工程の最終段階で行うことが好ましい。
当該アルカリ系エッチング剤は、金属部材との反応が穏やかなため、作業性の観点からは好ましく用いられる。しかし、本発明者らの検討によれば、このようなアルカリ系エッチング剤は反応性が穏やかであるため、金属部材表面の粗化処理の度合いが弱く、深い凹凸形状を形成するのが困難であることが明らかになった。また、酸系エッチング剤処理を行った後アルカリ系エッチング剤やアルカリ系溶液を併用する場合には、酸系エッチング剤によって形成した深い凹凸形状を後のアルカリ系エッチング剤やアルカリ系溶液での処理により該凹凸形状を幾分か滑らかにしてしまうことが明らかになった。
本実施形態では、上記表面粗化処理工程の後、通常、水洗および乾燥を行うことが好ましい。水洗の方法については特に制限はないが浸漬または流水にて所定時間洗浄することが好ましい。
本実施形態において、金属部材表面の粗化処理に用いられるエッチング剤としては、後述する特定の酸系エッチング剤が好ましい。上記特定のエッチング剤で処理することにより、金属部材の表面に、樹脂部材との間の密着性向上に適した凹凸形状が形成され、そのアンカー効果により金属部材103と樹脂部材105との間の接合強度がより一層向上するものと考えられる。
上記第二鉄イオンは、金属部材を酸化する成分であり、第二鉄イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二鉄イオンを含有させることができる。上記第二鉄イオン源としては、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、塩化第二鉄等が挙げられる。上記第二鉄イオン源のうちでは、塩化第二鉄が溶解性に優れ、安価であるという点から好ましい。
上記第二銅イオンは金属部材を酸化する成分であり、第二銅イオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該第二銅イオン含有させることができる。上記第二銅イオン源としては、硫酸第二銅、塩化第二銅、硝酸第二銅、水酸化第二銅等が挙げられる。上記第二銅イオン源のうちでは、硫酸第二銅、塩化第二銅が安価であるという点から好ましい。
上記酸系エッチング剤には、金属部材表面をむらなく一様に粗化するために、マンガンイオンが含まれていてもよい。マンガンイオンは、マンガンイオン源を配合することによって、酸系エッチング剤中に該マンガンイオンを含有させることができる。上記マンガンイオン源としては、硫酸マンガン、塩化マンガン、酢酸マンガン、フッ化マンガン、硝酸マンガン等が挙げられる。上記マンガンイオン源のうちでは、硫酸マンガン、塩化マンガンが安価である等の点から好ましい。
上記酸は、第二鉄イオンおよび/または第二銅イオンにより酸化された金属を溶解させる成分である。上記酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、スルファミン酸等の無機酸や、スルホン酸、カルボン酸等の有機酸が挙げられる。上記カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、リンゴ酸等が挙げられる。上記酸系エッチング剤には、これらの酸を一種または二種以上配合することができる。上記無機酸のうちでは、臭気がほとんどなく、安価である点から硫酸が好ましい。また、上記有機酸のうちでは、粗化形状の均一性の観点から、カルボン酸が好ましい。
本実施形態において使用できる酸系エッチング剤には、指紋等の表面汚染物による粗化のむらを防ぐために界面活性剤を添加してもよく、必要に応じて他の添加剤を添加してもよい。他の添加剤としては、深い凹凸を形成するために添加されるハロゲン化物イオン源、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム等を例示できる。あるいは、粗化処理速度を上げるために添加されるチオ硫酸イオン、チオ尿素等のチオ化合物や、より均一な粗化形状を得るために添加されるイミダゾール、トリアゾール、テトラゾール等のアゾール類や、粗化反応を制御するために添加されるpH調整剤等も例示できる。これら他の成分を添加する場合、その合計含有量は、酸系エッチング剤中に0.01〜10質量%程度であることが好ましい。
以下、本実施形態に係る樹脂部材105について説明する。
本実施形態に係る樹脂部材105はポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成される。
ここで、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂組成物(C)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が20,000以上60,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上15.0以下の範囲にあるポリカーボネート樹脂(A)と、GPCにより測定される重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下の範囲にあるポリカーボネートオリゴマー(B)と、を含む。そして、ポリカーボネートオリゴマー(B)に対するポリカーボネート樹脂(A)の質量比((A)/(B))が90/10以上99/1以下である。
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が通常20,000以上60,000以下、好ましくは25,000以上60,000以下、より好ましくは30,000以上55,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が通常1.5以上15.0以下、好ましくは2.0以上15.0以下、より好ましくは2.1以上14.0以下、さらに好ましくは2.3以上12.5以下の範囲にある。
上記ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビスフェノールA」とも呼ぶ。)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニルなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げることができ、これらの中でもビスフェノールAが好ましい。また、ポリカーボネートは、必要に応じて、三官能以上のポリヒドロキシ化合物に誘導される構造単位の1種または2種以上を少量であれば有していてもよい。このようなポリカーボネート樹脂(A)としては、通常は市販品をそのまま用いる。
本実施形態に係るポリカーボネートオリゴマー(B)は、GPCにより測定される重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下、好ましくは1,000以上4,000以下、より好ましくは2,000以上3,500以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下、好ましくは1.0以上4.0以下、より好ましくは1.2以上3.0以下の範囲にある。
ポリカーボネートオリゴマー(B)を製造するための原料は、上記分子量特性を満たす限りは、特に制限されないが、通常はビスフェノールA等のジヒドロキシ化合物とホスゲン、炭酸ジエステルまたはハロゲンホルメート等の化合物類を例示することができる。
特定の分子量範囲、分子量分布範囲にあるポリカーボネートオリゴマー(B)は、分子量調整剤を用いる公知の方法に基づき、あるいは処方のマイナーチェンジによって容易に調製することが可能である(例えば、特開平6−234842号公報、特開平7−173277号公報、特表2004−528403号公報など参照)。後述する実施例においては、特開平7−173277号に記載された実施例に基づいてポリカーボネートオリゴマー(B)を調製した。
本実施形態において、樹脂部材105は、金属部材103と樹脂部材105との線膨張係数差の調整や樹脂部材105の機械的強度を向上させる観点から、充填材(D)をさらに含んでもよい。
これにより、樹脂部材105の剛性を高めながら、ガラス転移温度を低下させることが可能となり、成形時の金型の温度を下げたとしても、樹脂部材105の分子鎖の運動性が低下することを抑制できる。その結果、金属部材103の微細凹凸形状の凹部への樹脂部材105の進入性を維持することができ、金属部材103と樹脂部材105との接合強度の低下を抑制できる。さらに、成形後の樹脂部材105の収縮を抑制することができるため、上記微細凹凸形状の凹部内での金属部材103と樹脂部材105との接合をより強固なものとすることができる。
樹脂部材105には、個々の機能を付与する目的でその他の配合剤を含んでもよい。
上記配合剤としては、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等、耐衝撃性改質剤が挙げられる。
樹脂部材105の製造方法では、樹脂部材105を構成するポリカーボネート樹脂組成物(C)や充填材(D)の種類や含有量等の各因子を高度に制御することが特に重要となる。
例えば、前述したポリカーボネート樹脂組成物(C)、さらに必要に応じて充填材(D)、上記その他の配合剤を、バンバリーミキサー、単軸押出機、2軸押出機、高速2軸押出機等の混合装置を用いて、混合または溶融混合することにより、樹脂部材105が得られる。
つづいて、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106の製造方法について説明する。
金属/樹脂複合構造体106の製造方法は、以下の(i)〜(ii)の工程を含む。
(i)金型のキャビティ部に、微細凹凸表面を有する金属部材103を配置する工程
(ii)上記キャビティ部に樹脂部材105を射出することにより金属部材103と樹脂部材105とを接合する工程
以下、具体的に説明する。
本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、生産性が高く、形状制御の自由度も高いので、様々な用途に展開することが可能である。
さらに、本実施形態に係る金属/樹脂複合構造体106は、高い気密性、水密性が発現するので、これらの特性に応じた用途に好適に用いられる。
図1は、金属部材103と樹脂部材105との金属/樹脂複合構造体106の構造の一例を模式的に示した外観図である。
図2は、金属部材103と樹脂部材105との金属/樹脂複合構造体106を製造する過程の一例を模式的に示した構成図である。具体的には所定形状に加工され、表面に微細凹凸面を有する接合部表面104が形成された金属部材103を金型102内に設置し、射出成形機101により、樹脂組成物をゲート/ランナー107を通して射出し、微細凹凸表面を有する金属部材103と一体化された金属/樹脂複合構造体106を製造する過程を模式的に示している。
表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用し、JIS B0601(対応ISO 4287)に準拠して測定される表面粗さのうち、粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を測定した。なお、測定条件は以下のとおりである。
・触針先端半径:5μm
・基準長さ:0.8mm
・評価長さ:4mm
・測定速度:0.06mm/sec
測定は、金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部についておこなった(図4参照)。なお、本実施例・比較例では、金属部材103の全面について粗化処理をおこなっているため、金属/樹脂複合構造体106の接合部表面104について粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)の測定をおこなっても、図4に示す測定箇所と同様の評価結果が得られることが理解される。
引っ張り試験機「モデル1323(アイコーエンジニヤリング社製)」を使用し、引張試験機に専用の治具を取り付け、室温(23℃)にて、チャック間距離60mm、引張速度10mm/minの条件にて測定をおこなった。破断荷重(N)を金属/樹脂接合部分の面積で除することにより接合強度(MPa)を得た。また、破断後の金属部材側の界面を観察し、界面積の10%以上に樹脂が残っていれば、母材破壊とし、それ以外は界面剥離と判断した。ただし、樹脂自体の機械物性が低下した場合、接合強度が低いにもかかわらず母材破壊となる場合が有る。そこで、接合強度が20MPa以上でかつ、母材破壊のものを○と判定し、それ以外は×と判定した。
<ポリカーボネートオリゴマー(B)の調製方法>
ビスフェノールA8406g(36.87モル)と分子量調節剤としてのp−ターシャリブチルフェノール316.5g(2.11モル)、トリエチルアミン5.994g(0.05935モル)、苛性ソーダ4277g(106.93モル)、ソジウムハイドロサルファイト16.794gを57.06kgの水に溶解させて総重量69.94kgの水系混合物を調製した。この混合物とホスゲン、有機溶媒をそれぞれ129.56g/分、7.638g(0.07715モル)/分、127.37g/分で第一の槽型反応装置に導入した。この槽型反応装置から264.57g/分で反応混合物が排出される。滞留時間は20分とした。連続的に排出された反応混合物を、配管を用い第二の槽型反応装置に供給し、滞留時間40分で重合を行い、更に、反応混合物を第三の槽型反応装置に供給し、滞留時間40分で重合を行なった。第三の槽型反応装置から連続的に排出される反応混合物を、直ちに分液し、塩酸により中和した。得られた有機相を純水で電解質がなくなるまで洗浄した。この連続運転を9時間行い、得られた芳香族ポリカーボネートを含んだ有機溶媒溶液から有機溶媒を蒸発留去することにより、固体の芳香族ポリカーボネートを得た。得られた固体ポリカーボネートを粉砕機で粉砕したものをポリカーボネートオリゴマー(B1)とした。得られたPCオリゴマーの分子量を測定したところ、Mn=1,900、Mw=2,800、Mw/Mnは1.5であった。
ポリカーボネート樹脂(A)として、帝人社製パンライトL1225L(以下、ポリカーボネート樹脂(A1)と呼ぶ)を用いた。ポリカーボネート樹脂(A1)の、GPC測定における数平均分子量(Mn)は16,380、重量平均分子量(Mw)は39,110、Mw/Mnは2.4であった。ポリカーボネート樹脂(A1)に対して、上記の方法で得られたポリカーボネートオリゴマー(B1)を表1に示す割合でテクノベル社製二軸押出機KZW15TW(スクリュー径15mm、L/D=45)を用いて、300℃、300rpmにて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物(C)であるPC−1〜PC−4の樹脂ペレットをそれぞれ得た。
樹脂部材のDSC測定は、DSC装置(SII社製X−DSC7000)を用いて以下の方法でおこなった。
樹脂ペレットから5mgサンプルを切り出し、開始温度30℃、測定温度範囲30〜200℃、昇温速度10℃/min、降温速度10℃/min、窒素雰囲気の条件下でDSC測定をおこなった。ここで、ガラス転移温度は、上記DSC測定において、2ndRunのガラス転移温度(Tg)を採用した。各樹脂部材のTgを表2にまとめた。
ポリカーボネート樹脂(A)およびポリカーボネートオリゴマー(B)についてのGPC測定(分子量測定)は以下の方法でおこなった。
3.0mgのサンプルにクロロホルムを3.0ml加えて十分溶解し、0.45μmの親水性PTFEメンブランフィルターカートリッジ(Millex−LH;メルクミリポア)でろ過し、そのろ液を測定試料とした。GPC装置は、ポンプ、インジェクター、カラム及び検出器から構成され、ポンプの流速を1.0ml/分、カラム計内温度を40℃とし、測定溶液を10μlインジェクターより注入して測定を行った。溶媒にはクロロホルムを用いた。また、カラムにはPolyPore 7.5×300mm(ポリマーラボラトリー社製)を2本直列接続させた。検出器には486 紫外可視検出器(日本ウォーターズ社製)を用いた。
試料の解析にあたっては、単分散ポリスチレン(以下、PS)標準試料により作成した検量線を用いた。検量線はPSの分子量の対数値とPSのピーク検出時間(保持時間)をプロットし、3次式に回帰したものを用いた。検量線作成用の標準PS試料としては、単分散ポリスチレンPS−1(アジレントテクノロジー社)を使用した。
[金属部材の調製方法]
JIS H4000に規定された合金番号5052のアルミニウム板(厚み:2.0mm)を、長さ45mm、幅18mmに切断した。このアルミニウム板を酸系エッチング剤(硫酸:8.2質量%、塩化第二鉄:7.8質量%(Fe3+:2.7質量%)、塩化第二銅:0.4質量%(Cu2+:0.2質量%)イオン交換水:残部)(30℃)中に80秒間浸漬し、揺動させることによってエッチングした。次いで、流水で超音波洗浄(水中、1分)を行い、乾燥させることにより表面処理済みの金属部材を得た。
また、得られた金属部材の表面粗さを、表面粗さ測定装置「サーフコム1400D(東京精密社製)」を使用して測定し、6直線部について、切断レベル10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%および80%における負荷長さ率(Rmr)、十点平均粗さ(Rz)および粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を求めた。このうち、切断レベル20%におけるRmr(20%)値、上記Rmr(20%)値が30%以下となる直線部の本数、切断レベル40%におけるRmr(40%)値、上記Rmr(40%)値が60%以下となる直線部の本数、6直線部のRz値、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)、エッチング処理前後の金属部材の質量比から求めたエッチング率を算出した。
得られた結果を以下に示す。
切断レベル20%におけるRmr(20%)値[%]:17.5、10.3、13.4、10.6、3.8、7.4
Rmr(20%)値が30%以下となる直線部の本数:6
切断レベル40%におけるRmr(40%)値[%]:43.6、26.1、48.0、46.7、33.5、34.2
Rmr(40%)値が60%以下となる直線部の本数:6
6直線部のRz値[μm]:17.8、18.1、19.6、17.8、17.2、18.0
6直線部のRSm値[μm]:104.0、83.0、85.6、98.7、106.6、103.1
エッチング率[質量%]:2.6
日本製鋼所社製の射出成形機J85ADに小型ダンベル金属インサート金型102を装着し、金型102内に金属部材を設置した。金型102の表面温度は、あらかじめ、PC−1の樹脂ペレットのTgよりも10℃低い温度まで加熱した。
次いで、その金型102内に、PC―1の樹脂ペレットを用いて、シリンダー温度300℃、射出速度25mm/sec、保圧120MPa、保圧時間10秒の条件にて射出成形を行い、冷却を行うことで、金属/樹脂複合構造体106を得た。接合強度の評価結果を表2に示す。
樹脂ペレットをそれぞれPC−2の樹脂ペレット、PC−3の樹脂ペレット、PC−4の樹脂ペレットとした以外は、実施例1に示す方法で金属/樹脂複合構造体106を得た。接合強度の評価結果を表2に示す。
一方、比較例で得られた金属/樹脂複合構造体106は、金型温度を下げて成形すると、低い接合強度となり、生産性と接合強度とのバランスに劣っていた。
また、表2から明らかなように、ポリカーボネート樹脂(A)に、特定の分子量特性を有するポリカーボネートオリゴマー(B)が本発明で定義する量比で添加されたポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成された樹脂部材は、樹脂部材のTg以下の金型温度であっても金属部材と十分な接合強度を示すことがわかった。
102 金型
103 金属部材
104 接合部表面
105 樹脂部材
106 金属/樹脂複合構造体
107 ゲート/ランナー
110 表面
Claims (10)
- 微細凹凸表面を有する金属部材と、ポリカーボネート樹脂組成物(C)により構成された樹脂部材と、が接合してなる金属/樹脂複合構造体であって、
前記ポリカーボネート樹脂組成物(C)は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量(Mw)が20,000以上60,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上15.0以下の範囲にあるポリカーボネート樹脂(A)、および
GPCにより測定される重量平均分子量(Mw)が500以上5,000以下の範囲にあり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上5.0以下の範囲にあるポリカーボネートオリゴマー(B)を含み、
前記ポリカーボネートオリゴマー(B)に対する前記ポリカーボネート樹脂(A)の質量比((A)/(B))が90/10以上99/1以下である金属/樹脂複合構造体。 - 前記金属部材の前記微細凹凸表面には間隔周期が5nm以上500μm以下である凸部が林立している、請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記樹脂部材がさらに充填材(D)を含み、
前記樹脂部材中の前記充填材(D)の含有量が5質量%以上50質量%以下である、請求項1または2に記載の金属/樹脂複合構造体。 - 前記充填材(D)がガラス繊維を含む、請求項3に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材がアルミニウムおよびアルミニウム合金から選択される一種または二種以上の金属材料を含む、請求項1乃至4いずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(1)および(2)を同時に満たす、請求項1乃至5いずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
(1)切断レベル20%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が30%以下である直線部を1直線部以上含む
(2)すべての直線部の、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(Rz)が2μmを超える - 前記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、JIS B0601(対応国際規格:ISO4287)に準拠して測定される表面粗さが以下の要件(3)をさらに満たす、請求項6に記載の金属/樹脂複合構造体。
(3)切断レベル40%、評価長さ4mmにおける粗さ曲線の負荷長さ率(Rmr)が60%以下である直線部を1直線部以上含む - 前記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、すべての直線部の前記十点平均粗さ(Rz)が5μmを超える、請求項6または7に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記金属部材の表面上の、平行関係にある任意の3直線部、および当該3直線部と直交する任意の3直線部からなる合計6直線部について、すべての直線部の前記十点平均粗さ(Rz)が15μm以上である、請求項8に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 請求項1乃至9いずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体を製造するための製造方法であって、
金型のキャビティ部に、微細凹凸表面を有する前記金属部材を配置する工程と、
前記キャビティ部に前記樹脂部材を射出することにより前記金属部材と前記樹脂部材とを接合する工程と、
を含む金属/樹脂複合構造体の製造方法。
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