電気メッキ装置用の電解液を生成するための装置が提供されている。装置は、所望の濃度の金属イオン、および、いくつかの実施形態においては所望の濃度の酸を有する電解液を生成するよう構成される。装置は、低アルファ線スズアノードからの酸性低アルファ線スズ電解液の生成を一例として用いて説明されているが、ニッケルアノードからのニッケルイオンを含む電解液、銅アノードからの銅イオンを含む電解液など、様々な電解液を生成するために利用可能であることがわかる。装置は、7を超えるpHの電解液(例えば、錯化剤を含む塩基性電解液)などの非酸性電解液を生成するために利用することもできる。
いくつかの実施形態において、装置は、生産される電解液中の金属イオン濃度が、所望の濃度の約10%以下(例えば、約7%以下)など、約15%以下だけ変動する電解液を生成できる。例えば、電解液中のスズイオンの所望の濃度が300g/Lである場合、装置は、255〜345g/Lの範囲内(270〜330g/Lの範囲内など)、より好ましくは280〜320g/Lの範囲内のスズ濃度を有する電解液を生成できる。所与の目的について許容可能な濃度の範囲は、本明細書では目標濃度範囲および「広い目標濃度範囲」と呼ぶこととする。例えば、電気メッキ装置は、300g/Lの所望のスズイオン濃度および7%以下の許容可能な濃度変動を有するスズ電解液のストックを必要としうる。この場合、電気メッキ装置は、約280〜320g/Lの間の広い目標濃度範囲のスズイオン(Sn2+)を有する電解液を生成するよう構成される。
いくつかの実施形態において、電解液生成装置は、安定した濃度の酸(例えば、硫酸、MSAなどのアルキルスルホン酸、および、それらの混合物)を有する電解液を生成することもできる。所与の目的について許容可能な酸濃度の範囲は、本明細書では目標酸濃度範囲および「広い目標酸濃度範囲」と呼ぶこととする。いくつかの実施形態において、電解液産物中の酸の濃度は、所望の酸濃度の20%以下など、25%以下だけ変動する。例えば、いくつかの実施形態において、電気メッキ溶液は、10g/L以下の変動で目標MSA濃度45g/Lを有することが好ましい。この場合、電解液生成器は、約35〜55g/Lの広い目標濃度範囲を有する電解液を生成する。いくつかの実施形態において、電解液産物中のMSA濃度の変動は、MSAの濃度が約40〜50g/Lの間の広い目標濃度範囲内になるように、5g/L以下であることが好ましい。
「広い目標濃度範囲」という用語に加えて、本明細書では、所望の濃度に十分に近く、電解液生成処理パラメータの補正が必要ないような電解液成分の濃度範囲を示すために、用語「狭い目標濃度範囲」が用いられる。例えば、スズイオンの広い目標濃度範囲が280〜320g/Lであり、狭い目標濃度範囲が約290〜310g/Lの間である場合、300g/Lのスズイオン濃度(広い範囲および狭い範囲の両方に含まれる)を持つ電解液産物は、装置の補正動作を全くトリガしないが、315g/Lのスズイオン濃度(広い範囲に含まれるが狭い範囲の外)を持つ電解液産物は、生成された電解液が産物として許容可能であるが、狭い目標範囲までスズイオン濃度を下げるために次の電解液生成で補正動作を実行することが好ましいと示す。
「広い目標範囲」および「狭い目標範囲」という用語は、濃度自体だけではなく、電解液成分の濃度と相関する電解液特性(密度、導電率、および、光学濃度など)にも適用される。これらの用語の意味は、上述したのと同様である。したがって、「広い目標範囲」は、この範囲が許容可能で、処理の停止を必要としないことを示しており、「狭い目標範囲」は、測定時に許容可能であるだけではなく、将来のバッチの生成のためのプロセスパラメータ調整をトリガするレッドフラグも立てないことを示す。例えば、生成される産物の広い目標密度範囲が約1.48〜1.52g/cm3の間である場合、この範囲を外れた密度を持つ電解液が産物として許容不可能であることを意味する。狭い目標密度範囲が約1.49〜1.51g/cm3である場合、この範囲を外れているが広い目標範囲内にある密度を持つ電解液は産物として許容可能であるが、将来のバッチの電解液中の密度を狭い目標密度範囲に収めるために、装置が補正動作を行い、電解液生成処理パラメータを修正する必要があることを意味する。
いくつかの実施形態において、電解液の生成は、部分的または完全に自動化される。本明細書で用いられている自動化とは、手作業を削減または排除して処理工程(1以上の化学成分の追加、および/または、生成電解液の排出など)を実行することである。例えば、以下の自動化の例の内の1以上が、1つの装置で用いられうる。いくつかの実施形態では、製造中の電解液の1または複数の物理化学的特性が、1または複数のセンサによって自動的に測定され、これらは、電解液の生成中に電解液中の金属イオンの濃度を決定するために用いられ(すなわち、電解液特性が自動的に測定され)、これらのデータは、処理コントローラに電気的に通信され、ここで、処理コントローラは、金属イオンの濃度が目標濃度に達すると電解液を貯蔵コンテナに移すためのプログラム命令、および/または、濃度が目標濃度範囲を超えた場合に電解液を希釈するためのプログラム命令を有する。いくつかの実施形態において、コントローラは、所定の量の電荷が装置を通った後に電解液の一部を貯蔵コンテナに移すようプログラムされており、ここで、電荷の所定の量は、電解液中の金属イオン濃度を広い目標濃度範囲に収めるのに必要な電荷の量である。必要な電荷の計算は、ファラデーの法則に基づいてなされる。コントローラは、電解液が貯蔵コンテナに移される前に、電解液中の金属濃度(金属濃度と相関する任意の特性を含む)を測定するセンサからのデータを処理するようプログラムされてもよい。コントローラは、濃度が広い目標範囲内にある場合に移送を許可し、濃度が広い目標範囲を外れている場合に移送を許可しない。コントローラは、測定された金属濃度が狭い目標範囲を外れているが広い目標範囲内にある場合に、将来の電解液生成に向けて処理パラメータを修正するようプログラムされてもよい。
いくつかの実施形態において、酸の濃度は、電解液の生成中に1または複数のセンサによって自動的に測定され、これらのデータは、酸の濃度が不十分である場合にさらなる酸を自動的に追加するためのプログラム命令、または、酸の濃度が高すぎる場合に水で電解液を自動的に希釈するためのプログラム命令を有するコントローラに送られる。
センサによる「濃度測定」は、濃度と相関する任意の特性の測定を指しうることがわかる。例えば、スズイオンの濃度測定は、(酸濃度が既知であるとすれば)電解液の濃度を測定することによって実行でき、酸濃度の測定は、(スズイオン濃度が既知であるとすれば)電解液の導電率を測定することによって実行できる。いくつかの実施形態では、電解液(例えば、陽極液)の導電率および密度の両方が金属イオン濃度および酸濃度と正の相関を持つため、それらのパラメータ両方を測定することが好ましい。したがって、密度および導電率の両方が測定される場合、電解液中の金属イオン濃度および酸濃度の両方を正確に決定するために、組み合わせたデータを利用できる。いくつかの実施形態において、酸の濃度が電解液生成処理中に比較的安定していることがわかっている場合、電解液中の金属イオン濃度を正確に測定するのに、電解液の密度測定のみで十分でありうる。いくつかの実施形態において、特に、電解液中の酸濃度が比較的低い場合、電解液の密度が、金属イオン濃度に最も強く依存するので、金属イオンの濃度を近似的に測定するために密度測定を利用できるが、導電率は、測定する必要がない、または、密度ほど頻繁には測定しなくてもよい。好ましい実施形態の1つでは、酸性スズ電解液の密度および導電率の両方が、陽極液中のスズ濃度および陽極液中の酸濃度の両方を決定するために測定される。
「電解液生成中」または「電解液が生成されている時」の電解液特性の測定は、(例えば、生成処理が、「電流オン」および「電流オフ」期間を有するサイクルを含む場合)電流の印加中および電流の停止後の両方に行うことができるので、電流が電解液生成器の電極に印加されている時だけに電解液特性が測定されることを示唆するものではない。
自動化の別の例は、アノード材料の自動補充である。いくつかの実施形態では、ペレットの形態の金属が、アノードコンテナに自動的に追加され、ここで、自動化は、重力送りホッパを用いて達成される:アノード金属が電解液生成中に溶解するので、ホッパからの追加のペレットが、アノードコンテナに重力で落下し、溶解したペレットのあった空間を満たす。さらに、センサが、ホッパ内のペレットの充填レベルを自動的に測定してよく、ホッパの補充が必要な時または追加のペレットの量が多すぎる場合に、オペレータに信号を送信してよい。いくつかの実施形態において、電解液生成中に手動で実行される工程は、重力送りホッパに定期的に(例えば、週に1回)金属ペレットを追加すること、および、電解液生成装置に酸溶液を供給する酸搬送コンテナ(トート)を満タンのルコンテナに交換ことだけである。
一態様において、システムが提供されており、そのシステムは、金属イオンを含む電解液を利用する電気メッキ装置と、電解液の自動生成のために構成された電解液生成装置とを備え、電解液生成装置は、電気メッキ装置と連絡している。連絡は、流体連通、信号通信、もしくは、それら両方であってよい。電気メッキ装置および電解液生成装置が流体連通している場合、システムは、電解液生成器で生成された電解液を電気メッキ装置に供給するよう構成された流体要素(電解液供給ライン、電解液貯蔵コンテナ、バルブ、ポンプなど)を備える。電解液生成装置および電気メッキ装置の間に流体連通がある場合、既知の濃度を有する定量の(所定の)量の電解液が、電解液生成装置によって提供および供給されるので、電解液を電気メッキツールのコンテナに手動で運んで注ぐ必要はない。電気メッキ装置および電解液生成装置の間に信号通信がある場合、電気メッキ装置は、電解液が必要な時に電解液生成装置に信号を送るよう構成される。例えば、システムは、電気メッキ装置から電解液生成装置へ電解液の要求を伝えるためのプログラム命令、および、目標濃度の金属イオンを有する電解液を生成するためのプログラム命令を有するシステムコントローラ(1または複数のコントローラを含みうる)を備えてよい。いくつかの実施形態において、単一のシステムコントローラが、電気通信または無線通信を用いて電気メッキ装置および電解液生成装置の両方と通信すると共に、両方のツールの動作およびツール間の通信のためのすべての命令を提供するよう構成されてよい。別の実施形態において、各ツール(電気メッキ装置および電解液生成装置)は、各ツールをそれぞれ動作させるためのプログラム命令を有する独自のコントローラを有しており、ここで、一方のツールのコントローラ(例えば、電気メッキツールのコントローラ)は、他方のツール(例えば、電解液生成/供給ツール)と通信するよう構成され、他のツールから動作を要求するよう構成される。例えば、電気メッキツールのコントローラは、電解液生成ツールに電解液の供給を要求するよう構成されてよく、生成された電解液が電解液生成ツールから要求側の電気メッキツールおよびその関連電気メッキ浴に流れるようにポンプをオンにして供給バルブを開くための命令を備えてよい。供給される電解液の「1回の添加量(ドーズ量)」は、さらなる中間システムコントローラ、ドーズを受け入れる電気メッキツールのコントローラ、または、供給側の電解液生成ツールのコントローラによって調整されうる。
提供されている方法および装置は、不活性の(寸法安定性の)アノードを備えた装置、および、活性低アルファ線スズアノードを含む装置など、様々な電気メッキ装置で利用する低アルファ線スズ電解液を生成するために利用できる。提供されている電解液は、不活性アノードが用いられる場合に、主要な電解液として利用されてもよいし、活性スズアノードが用いられる場合に、メーキャップ流またはその他の追加流のための追加電解液として利用されてもよい。活性アノードを利用する電気メッキ装置の例が、Mayer et al.による2011年11月28日出願の米国特許出願公開第2012/0138471 号「ELECTROPLATING APPARATUS AND PROCESS FOR WAFER LEVEL PACKAGING」、および、Lee Peng Chua et al.による2013年5月24日出願の米国特許出願公開第2013/0334052号「PROTECTING ANODES FROM PASSIVATION IN ALLOY PLATING SYSTEMS」に提供されており、これらの出願は、参照によって本明細書に全体が組み込まれる。
本明細書で提供されている電解液生成装置は、一実施形態において、カリフォルニア州フレモントのLam Research社製のSABRE 3D(商標)装置と連動するよう構成され、要求に応じて所望の量かつ所望の組成で(所望の成分および濃度で)電気メッキ装置に電気メッキ電解液を供給するよう構成される。電気メッキ生成装置から電気メッキツールに供給された電解液は、電気メッキセルに入る前に、例えば、希釈、濃縮、酸または電気メッキ添加剤(促進剤、平滑剤、湿潤剤、搬送剤、および、抑制剤など)との混合によって、修正されてもよいし、修正なしに電気メッキセルに入ってもよい。
電解液を生成、貯蔵して、電気メッキ装置に供給するための自動システムの一例の概略図が、図1Aに示されている。図の例では、システムは、電解液生成装置101を備えており、電解液生成装置101は、金属ペレット源103、酸源105(例えば、メタンスルホン酸、硫酸、スルファミン酸、および、それらの組み合わせなど、コンテナに入れた酸の濃縮水溶液)、および、水源107に接続されている。電解液生成装置101は、電解液貯蔵コンテナ109に流体接続された流出口を有しており、電解液貯蔵コンテナ109は、電解液が電解液貯蔵コンテナ109から要求に応じて供給される3つの電気メッキ装置113、115、および、117に流体接続されている。電解液は、各ツールが要求する量で、電気メッキツール113、115、および、117のメッキ槽に別個に供給されるよう構成されている。図の実施形態で提供されているシステムは、2つのシステムコントローラを備える:電解液生成装置のコントローラ119、ならびに、電気メッキツール113、115、および、117のコントローラ120(別の実施形態においては、各電気メッキツールが独自のコントローラを有する)。コントローラ119は、電解液生成ツールの構成要素すべてと信号通信し(例えば、電気的におよび/または無線で)、水源および酸源から酸および水を電解液生成装置に自動的に供給するためのプログラム命令と、金属イオンの目標濃度が達成された時に貯蔵コンテナ109に電解液を移すためのプログラム命令とを備える。コントローラ120は、コントローラ119と信号通信しており、電気メッキツール113、115、および、117からの要求を通信し、要求に応じて、貯蔵コンテナ109から電気メッキツール113、115、および、117の槽に電解液を供給するようプログラムされている。
本明細書で提供されている電解液生成装置は、半導体製造施設で用いるモジュラーシステムに統合できる。図1Bは、モジュラー設計のシステム構成要素の配置の一例を示す。この例において、スズ電解液は、スズ生成器コンパートメント123に収容されたスズ電解液生成装置121で生成される。スズ生成器コンパートメント123は、電解液貯蔵タンク125をさらに収容しており、電解液貯蔵タンク125は、電解液生成装置121から電解液産物を受け入れる。生成された電解液は、電解液生成器121からポンプで出され、スズ生成器コンパートメント123に収容されたフィルタを通され、複数の流体接続127の1つを通して貯蔵タンク125に流される。電解液は、貯蔵コンテナに貯蔵され、電気メッキ装置が電解液を要求した時に流体導管を通して電気メッキ装置(図示せず)に流される。スズ生成器コンパートメント123に隣接して、酸貯蔵コンパートメント129があり、酸バッファコンテナに任意選択的に接続されてよい濃縮酸溶液(例えば、MSA)を含む着脱可能なコンテナを収容するよう構成されている。酸バッファコンテナの役割は、着脱可能なコンテナ(酸トート)を交換する間、または、酸を補充する間に、中断なく酸源を提供することである。いくつかの実施形態において、酸トートは、酸貯蔵コンパートメント129の酸トート用引き出しに収容される。酸バッファコンテナおよび着脱可能な酸コンテナは、複数の流体導管127の1つを通して電解液生成装置121に流体接続されており、装置は、要求に応じて、電解液生成装置に規定量の酸溶液を供給するよう構成されている。さらに、いくつかの実施形態において、酸貯蔵コンパートメント129から、同じ酸源(バッファ酸コンテナおよび/または着脱可能な酸コンテナ)が、電気メッキ装置(図示せず)に流体接続されており、装置は、要求に応じて電気メッキ装置に規定量の酸溶液を供給するよう構成されている。別の実施形態において、電気メッキ装置は、電解液生成装置と共有しない別個の酸源を用いてもよい。
コンパートメント131は、異なる電気メッキ液の供給源、酸貯蔵コンパートメント129とは異なる酸の供給源、または、電気メッキ添加剤源を収容するよう構成されている。様々な実施形態において、この電気メッキ液は、銅、ニッケル、インジウム、鉄、スズ(125内のものとは異なる供給源から、または、異なる濃度のスズ)、コバルトのイオン、または、これらのイオンのいずれかの混合物を含んでよい。いくつかの実施形態において、このコンパートメントに収容された電気メッキ液は、上記の金属のいずれかの塩の酸溶液である。この異なる電解液の供給源は、電気メッキ装置に流体接続された製造前の電解液を収容する着脱可能コンテナ(トート)および/またはバッファコンテナであってよい。いくつかの実施形態において、この異なる電解液を含むトートは、コンパートメント131内のトート引き出し133に収容され、ここで、トートは、同じく131に収容された電解液バッファタンクに流体接続されている。装置は、要求に応じて電気メッキ装置に規定量の電解液を供給するよう構成されている。コンパートメント131に加えて、図のモジュラーシステムは、異なる電気メッキ液の供給源、酸貯蔵コンパートメント129とは異なる酸の供給源、または、電気メッキ添加剤源を収容するよう構成されたコンパートメント132を備えており、ここで、コンパートメント132に収容された化学物質は、コンパートメント131に収容された化学物質とは異なる。コンパートメント132は、コンパートメント131と同様に構成されており、提供された電気メッキ溶液、酸、または、添加剤を含む着脱可能トートを収容するよう構成された引き出し134を備える。着脱可能トートは、電気メッキ装置に流体接続されたバッファタンクに流体接続されてよい。したがって、図の構成において、コンパートメント131および132は、電気メッキツールのための異なる電気メッキ化学物質の供給源として機能する。
本明細書に示されたモジュラー構成は、オペレータが、生成されたスズ電解液、製造前の異なるタイプの電解液、および、酸源を、複数のコンパートメントにコンパクトに収容することを可能にする。さらに、提供されているシステムは、コンパートメント135を備えてもよく、これは、着脱可能コンテナ(トート)を収容し、電解液生成装置121によって生成された電解液でこのトートを満たすよう構成された引き出しである。装置は、スズ電解液貯蔵タンク125から電解液を引き出して、引き出し135に収容された空のトートに移動させることを可能にするよう構成されている。例えば、さらなる貯蔵容量を提供するために、または、スズ電解液で満たされたトートからスズ電解液生成器121に接続されていないメッキツールに電解液を手動供給するために、スズ電解液貯蔵タンクからステーション135に配置された空のトートに20リットルのスズ電解液を引き出すことができる。
いくつかの実施形態において、電解液生成器および着脱可能な酸トートの間に流体的に配置された酸バッファタンクの存在は、中断なく電解液生成器に酸を自動供給することを可能にする。いくつかの実施形態において、装置は、着脱可能な酸トート内の酸の液位が低い時を決定するか、または、トート内の酸が利用されたことを別の方法で検出して、酸トートを満タンのトートと交換するための信号を提供するよう構成されている。酸バッファタンクは、酸トートから酸を受け取り、電解液生成器(陽極液チャンバおよび/または陰極液チャンバ)に酸を供給するよう構成され、通例は、電解液生成中に酸を使い果たさないように構成されている。
システムは、さらに、プログラムロジックコントローラ(PLC)などのコントローラを備えており、そのコントローラは、電解液の生成および供給を実行するためのプログラム命令、様々なエラーおよびインターロック安全装置について装置を監視するためのプログラム命令を有する。コントローラは、出力ディスプレイ137(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)と電気接続されており、出力ディスプレイ137は、オペレータがシステムの動作を監視し、必要な時に命令をコントローラに提供することを可能にする。システムは、設備139に接続されており、設備139は、システムの動作中に利用されうる脱イオン水と、不活性および/または希釈ガス(窒素および圧縮乾燥空気)との供給源を提供する。液体冷却水(LCW)も、内部熱交換コイルを介して生成器熱除去の手段として供給される。あるいは、冷却循環流体が、液体冷却水再循環冷却ユニットによって供給されてもよい。
電解液生成装置のいくつかの実施形態について説明する。一実施形態において、電解液生成装置は、活性アノードおよび陽極液を含むよう構成された陽極液チャンバを備えており、ここで、装置は、活性アノードを陽極液中に電気化学的に溶解することにより、金属イオンを含む電解液を形成するよう構成されている。換言すると、活性アノードは、反応(1)に従って、電気化学的に酸化されて陽極液内で金属イオンを形成する金属を含み、ここで、Mは金属、e−は電子、nは酸化中に金属から除去された電子の数である:
M→Mn++ne− (1)
活性アノードがスズアノードである場合、スズは、反応(2)に従って、電気化学的に酸化されて、スズ(II)イオンを形成する。
Sn→Sn2++2e− (2)
低アルファ線スズがスズアノードとして用いられる場合、アノード材料は、アルファ放射不純物を少量だけ含み、結果として生じる低アルファ線スズ金属の電気化学溶解が、所望の低濃度のアルファ粒子放射体を有する低アルファ線スズ電解液を形成する。
陽極液チャンバは、1または複数の流体を受け入れるための流入口と、陽極液を排出するための流出口と、陽極液中の金属イオンの濃度を測定するよう構成された少なくとも1つのセンサとを有する。流入口を通して陽極液チャンバに導入されうる流体の例は、水、酸の濃縮水溶液、より低濃度の酸水溶液、酸および金属塩を含む電解液、ならびに、それらの組み合わせを含む。装置は、通例、これらの流体の内の1または複数を陽極液チャンバに供給するよう構成された1または複数のポンプを備える。陽極液チャンバの流出口は、陽極液チャンバから陽極液の一部(この一部は、様々なサイズを有してよい)を排出するよう機能する。ポンプは、通例、陽極液チャンバから陽極液を排出するために用いられる。例えば、陽極液中の金属イオン濃度が目標濃度範囲に達した時に、陽極液の一部が、陽極液チャンバ流出口を通して陽極液チャンバからポンプで出される。いくつかの実施形態において、陽極液チャンバは、洗浄および排出システムをさらに備えており、そのシステムは、陽極液が再循環されて、再循環中にフィルタリングされることを可能にする。同じシステムが、必要に応じて陽極液の一部をドレーンに排出するように適合されてもよい。陽極液再循環の一例では、陽極液の一部が、陽極液チャンバの流出口を通して陽極液チャンバから排出され、粒子を除去するためにフィルタを通され、濾過後に陽極液チャンバに戻される。
いくつかの実施形態において、陽極液チャンバは、2以上のセンサを備えてもよい。例えば、陽極液中の酸および金属イオンの濃度を測定するよう構成された1セットのセンサを備えてもよい。かかるセンサセットの一例は、密度計および導電率計の組み合わせである。金属イオン濃度および酸濃度を測定するよう構成されたセンサは、一般に、金属イオン濃度および酸濃度と相関しうる陽極液の任意のセットの特性を測定できる。例えば、スズ電解液が生成される場合、スズイオン濃度を測定するためのセンサは、陽極液の密度を測定する密度計でありうる。密度計を導電率計と併用すれば、スズイオン濃度および酸濃度の両方を正確に決定できる。
陽極液中の酸の濃度が比較的低い場合、および/または、濃度の変動が小さい変動のみであることがわかっている場合、密度計のみを用いて、スズイオン濃度を測定できる。これは、陽極液密度のみが重金属(例えば、スズ)イオンの濃度と強い相関を持っており、酸濃度への密度の依存が比較的弱いことによる。図12Aからわかるように、酸の様々な固定濃度における金属イオン濃度への密度の依存を示す実験のグラフによると、酸濃度への密度の依存が比較的弱いことが示されている。同じ溶液で密度に加えて導電率が測定される場合、酸の様々な固定濃度における金属イオン濃度への導電率の依存を示すプロットを用いて、金属イオン濃度のより正確な決定を行うことができる。電解液生成器が、分光光度的に活性なイオン(銅イオンまたはニッケルイオンなど)を有する電解液を生成するために用いられる場合、金属イオン濃度を測定するセンサは、密度を利用したスズイオン濃度の測定よりもはるかに容易に金属イオン濃度の測定を可能にする分光光度計であってよい。分光光度的に活性なイオンの場合には、金属イオン濃度への吸光度の依存のプロットを用いて、陽極液中の金属イオン濃度を正確に決定できる。さらに、様々な金属イオン濃度および酸濃度に対する導電率のデータを用いて、酸濃度を決定することもできる。
電解液生成装置は、さらに、カソードおよび陰極液を含むよう構成された陰極液チャンバを備えており、ここで、陰極液チャンバは、アニオン透過膜によって陽極液チャンバから分離されている。この分離は、直接的または間接的であってよい。例えば、分離が直接的である場合、カソード収容チャンバおよびアノード収容チャンバは互いに直接隣接しており、これら2つのチャンバ間に膜がある。分離が間接的である時場合、アノード収容チャンバおよびカソード収容チャンバの間には、1または複数のさらなるチャンバがあってよい。これらのチャンバも、通例、アニオン透過膜によって互いに分離される。
カソードチャンバは、不活性水素生成触媒カソードを含むことが好ましい。かかるカソードの例は、プラチナまたは酸化イリジウムで被覆されたチタンまたはステンレス鋼のカソードを含み、ここで、被覆は、陰極反応を触媒するかかる被覆は、例えば、カリフォルニア州カマリロのOptimum Anode Technologies社によって提供されている。陰極反応を式(3)に示す。
2H++2e−→H2 (3)
分離膜は、アニオンが膜を通ることを許容するが、金属イオンの通過を防ぐことが好ましい。膜の目的は、陰極液が実質的に金属のイオンを含まないように維持することであり、金属のイオンが存在する場合、カソードで還元され、カソードの劣化につながる。膜は、電極に電流が印加された時に、アニオン(メタンスルホン酸塩および硫酸塩など)が膜を通過することを許容する。いくつかの実施例において、電流が印加されると、水および酸(例えば、MSA)が、膜を通りうる。適切なアニオン膜の例は、担体構造に設けられた第4級アンモニウム部分で官能化されたポリマを含む。かかるポリマ官能化アニオン膜の一例は、ドイツのビーティッヒハイム=ビッシンゲンのFumatech社製のFumasep(登録商標)FAB−PK−130 PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)強化アニオン交換膜である。
電解液生成装置の一実施形態が図2に示されており、図2は、アノード保持チャンバ201およびカソード保持チャンバ203がアニオン透過膜205によって直接分離された装置の概略断面図を示す。低アルファ線スズアノード207が、陽極液209内にあり、最初は(電流が電極に印加される前は)、酸(例えば、メタンスルホン酸および/または硫酸)の水溶液で構成されており、いくつかの実施形態においては、酸に加えてSn2+イオンを含んでもよい。アノード207が電解液生成処理中に溶解するにつれ、陽極液中のSn2+イオンの濃度が上昇する。スズイオンの濃度は、コントローラ213と通信する密度計211によって生成処理中に測定される。あるいは、スズイオンの濃度は、密度計および導電率計を組み合わせて測定される。陽極液チャンバ201は、酸源217からの酸(例えば、メタンスルホン酸または硫酸)の水溶液および脱イオン水源219からの脱イオン水を受け入れるための流入口215を有する。陽極液が最初にSn2+イオンを含む実施形態においては、スズ塩および好ましくは酸を含む事前に作成したまたは市販されている溶液を最初に流入口を通して陽極液チャンバに追加して、スズイオンおよび酸の開始濃度を所望の範囲にする。
陽極液チャンバ201は、さらに、(例えば、スズイオン濃度が目標濃度に達した時に)電解液貯蔵タンク223またはドレーンに陽極液209を移すための流出口221を備える。いくつかの実施形態では、さらに、陽極液チャンバに関連する陽極液再循環ループがある。陽極液の一部が、流出口を通して陽極液チャンバから排出されてよく、濾過後、流入口を通して陽極液チャンバに戻されてよい。
陰極液チャンバ203は、陰極液225(通例、同じタイプであるが、しばしば高濃度である酸を陽極液として含む)と、水素生成カソード227とを含む。図の例において、陰極液チャンバは、酸源217からの酸および脱イオン水源219からの脱イオン水を受け入れるための流入口229を有する。いくつかの実施形態において、陰極液チャンバは、さらに、流出口と、陰極液の一部をドレーンに排出することを可能にする関連の流体導管とを備える。膜205は、アニオンに対して透過性であるが、金属カチオンに対しては実質的に非透過性である。したがって、陰極液中のスズイオンの濃度は、無視できるレベルに維持される。電源231が、アノード207およびカソード227と電気的に接続されており、アノードに対してカソードを負にバイアスして、スズアノードを陽極液中に溶解させるよう構成されている。コントローラ213は、電気メッキ装置と通信し、陽極チャンバから電解液貯蔵タンクへの電解液の移動、酸および水を陽極液および陰極液へ選択的に追加、電源による電流の印加期間、印加される電流のレベルなど、電解液生成処理のパラメータのいずれかを調整するためのプログラム命令を有する。
図2に示した電解液生成装置は、本明細書に提供されたいくつかの実施形態に従って、1またはいくつかの態様において改良されうる。改良は、電解液中のスズイオン分布の管理、試薬ドーズおよびフィードバックの自動化、放出された水素の除去、ならびに、放出された熱の管理に関連しうる。装置は、本明細書に記載の特徴の任意の組み合わせを備えてよいので、図3〜図5を参照して記載された改良すべてが単一の装置に存在する必要はないことがわかる。
陽極液チャンバおよび陰極液チャンバの間の単一のアニオン透過膜では、スズイオンの陽極液から陰極液への移動を防止するのに完全に十分ではない場合があることが観察された。スズイオンはカソードでスズ金属に還元される傾向があり、大量になればカソードが使えなくなる可能性があるので、陰極液中にスズイオンが存在することは非常に望ましくない、。この問題に対処するために、カソード収容陰極液チャンバに加えて1または複数のさらなる陰極液チャンバを備えた装置構成が提供される。したがって、かかる装置は、第1の陰極液を含むよう構成され、第1のアニオン透過膜によって陽極液チャンバから分離された第1の陰極液チャンバと、カソードおよび第2の陰極液を含むよう構成された第2の陰極液チャンバとを備え、ここで、第2の陰極液チャンバは、第2のアニオン透過膜によって第1の陰極液チャンバから分離されている。アニオン透過膜は両方とも、膜を通してのカチオン(スズイオンなど)の移動を阻害するよう構成されているので、カソードへのスズイオンの移動は、単一の膜を備えた構成よりも大幅に少なくなる。第1の陰極液チャンバおよび陽極液チャンバを分離する膜は、直接的または間接的にそれらを分離してよいことがわかる。分離が直接的である場合、陽極液チャンバは、第1の陰極液チャンバに直接隣接する。分離が間接的である場合、1または複数のさらなる陰極液チャンバが、第1の陰極液チャンバと陽極液チャンバとの間に存在しうる。
一実施形態において、電解液生成装置は、陰極液−陽極液カスケードを備えており、装置は、第1の陰極液チャンバから陽極液チャンバへ電解液を供給するよう構成された流体導管を備える。この導管の目的は、2つある。第1に、陽極液に酸を補充するために利用できる(酸性スズ電解液が生成される一実施形態では陰極液が酸溶液であるため)。外部の酸源から陽極液に酸を直接追加する代わりに、または、それと組み合わせて用いることができる。第2に、第1の陰極液チャンバは、第1のアニオン透過膜を通して意図せずに移動した少量のスズイオンを含みうる。第1の陰極液の一部の排出は、第1の陰極液からスズイオンをフラッシュするのに役立ち、それにより、第2のアニオン透過膜を通してカソードを収容する第2の陰極液チャンバへスズイオンが移動する可能性を低減する。この装置構成は、陰極液−陽極液カスケードおよび陽極液冷却能力を有する電解液生成器の概略断面図を示す図3Aに図示されている。
図3Aを参照すると、装置は、大型の陽極液チャンバ301を備えており、そのチャンバは、低アルファ線スズアノード303および陽極液を収容する。陽極液チャンバは、2つの部分に分けられる:すなわち、アノード反応領域に近接する部分305、および、冷却構造309による陽極液の冷却を主に行うための部分307である。部分305および部分307は、図の実施形態においては膜によって分離されていないが、これらの部分の間の拡散はあまり速くなく、装置は、関連のポンプ(図示せず)を備えた流体導管311を備えており、その導管は、部分305の陽極液流出口313から冷却部分307の陽極液チャンバ流入口315へ陽極液を供給するよう構成されている。アノード近傍から冷却部分への陽極液チャンバ内の陽極液の移送は、(抵抗性電解液で生成されたオーム熱で加熱された)陽極液の熱交換および冷却を促進し、さらに、陽極液チャンバの異なる部分でのスズイオン濃度の変動を避けて、スズイオン濃度の正確な測定を保証すると共に、陽極液チャンバ内の陽極液の物質移動を促進するために実行される。陽極液流出口313は、電解液産物貯蔵タンク319への流体導管317にも接続されており、装置は、必要に応じて、電解液産物貯蔵タンク319へ陽極液を供給するよう構成されている。例えば、装置は、陽極液中のスズイオンの濃度が目標濃度に達した後(例えば、規定量の電荷が装置を通過し、密度計が目標濃度範囲に達したことを確認した後)に、貯蔵タンクに陽極液を供給するよう構成されてよい。
図3Aに示した装置は、着脱可能なカソード収容アセンブリ321を有しており、これは、第1の陰極液チャンバ323および第2の陰極液チャンバ325を備え、第2の陰極液チャンバ325はカソード327を収容する。アセンブリ321は、部分305および冷却部分307の間で陽極液チャンバに挿入され、陽極液チャンバに着脱可能に取り付けることができる。陰極液収容アセンブリの位置と、着脱可能であるということが、小型化、設計の簡潔さ、および、陽極液チャンバおよび陰極液チャンバ両方の保守のための人間工学的アクセスなど、多くの利点を提供する。さらに、かかる設計は、陽極液チャンバおよび陰極液チャンバの間のシーリングの必要性を排除する。
カソード収容アセンブリは、図の実施形態において陽極液チャンバおよび第1の陰極液チャンバを直接分離する第1のアニオン透過膜329を備える。膜は、1または複数の開口部を有する壁の上に取り付けられてよく、開口部は、膜の取り付け後に膜によって被覆される。第1の陰極液チャンバ321および第2の陰極液チャンバ325は、第2のアニオン透過膜331によって分離され、この膜も、開口部を備えた壁上に取り付けられてよい。第1の陰極液チャンバは、流出口333と、陽極液チャンバ流入口337を通して第1の陰極液チャンバ321から陽極液チャンバへ陰極液を供給するよう構成された流体導管335とを有する。例えば、図の実施形態において、第1の陰極液は、陽極液よりも酸性度が高く、酸源として利用できるため、陽極液中の酸の濃度が低くなりすぎた場合に、陽極液に第1の陰極液チャンバからの第1の陰極液がドーズされてよい。第1の膜を通して陽極液から意図せずに移動したスズイオンを第1の陰極液チャンバからフラッシュする必要がある時に、陽極液に第1の陰極液チャンバから第1の陰極液をドーズしてもよい。第1の陰極液が第1の陰極液チャンバから陽極液チャンバへ移動されると、第1の陰極液の液位が低下するため、第1の陰極液は補充される必要がある。図の実施形態において、第1の陰極液は、第2の陰極液チャンバを第1の陰極液チャンバに接続する流体導管339を介して補充される。いくつかの実施形態において、流体導管339は、両端が開いた中空管であり、両方のチャンバ内の圧力が等しくなるまで、第2の陰極液が第1の陰極液チャンバに自動的に移動することを許容する。いくつかの実施形態において、流体導管339は、細長い直線であり、第1の陰極液の第2の陰極液チャンバへの拡散を妨げることにより、第2の陰極液チャンバへのスズイオンの意図せぬ移動を妨げる。
第2の陰極液チャンバは、流入口と、この流入口に接続された流体導管341とを有しており、流体導管は、酸源343および水源345と接続されている。必要に応じて、導管341を通して第2の陰極液チャンバの第2の陰極液に酸および水を追加することができる。水源345は、図の実施形態において、導管347を介して陽極液チャンバにも流体接続されており、装置は、陽極液に水をドーズすることを可能にする。スズアノード303およびカソード327は、電源349に電気的に接続されており、電源349は、アノードを溶解させるのに十分な電位にアノードを正にバイアスするよう構成されている。
図3に示した流体構成は、カスケード構成と呼ばれる。この構成において、第2の陰極液は、第2の陰極液チャンバから導管を通して第1の陰極液チャンバへ流れ、次に、第1の陰極液は、第1の陰極液チャンバから導管を通して第1の陽極液チャンバ内の陽極液に流れる。第2の陰極液チャンバは、酸源および水源を通して酸および水を供給される。
カスケード構成の一変形例において、装置は、さらに、酸源343を陽極液チャンバ301に接続する流体導管を備える。したがって、この構成において、陽極液は、第1の陰極液チャンバおよび酸源の両方から酸溶液を受け入れることができる。いくつかの実施形態において、酸源は、中断のない酸の供給を提供するよう構成されたバッファタンクを通して陽極液チャンバおよび第2の陰極液チャンバに流体接続された着脱可能なトートである。
別の流体構成においては、図3Bに示すように、装置は、酸源343を陽極液チャンバ301と接続する流体導管を備えるが、第1の陰極液チャンバを陽極液チャンバに接続する導管335を持たない。その代わり、装置は、流出口333で第1の陰極液チャンバと接続され、第1の陰極液の一部または全部をドレーンに供給するかまたは電解液生成装置の外で再利用するよう構成された流体導管336を備える。この構成において、陽極液は、酸源343からのみ酸を補充される。
図3Aおよび図3Bに示した構成において、第1の陰極液チャンバ323は、酸溶液の導入のための専用流入口を持たず、その代わり、導管339を通して第2の陰極液チャンバ325からすべての必要な酸を受け取る。別の流体配置(図3Aおよび図3Bに示した両方の構成に適用可能である)では、導管321はなく、その代わり、第1の陰極液チャンバ325が、酸源343と流体連通する流入口を備え、装置は、この供給源からの酸をチャンバ325内の第1の陰極液にドーズするよう構成される。任意選択的に、水源345は、この実施形態において、第1の陰極液チャンバ流入口に流体接続されてもよく、装置は、必要な時に、第1の陰極液チャンバに水を供給するよう構成されてよい。
いくつかの実施形態において、図3Aに示したものと同じカスケード原理を、図2に示した単一の陰極液チャンバを有する装置の変形に利用できることに注意されたい。いくつかの実施形態において、この装置は、陰極液を陽極液に供給するよう構成された(膜以外の)流体導管を備える。この流体導管は、陽極液供給ラインへの酸源の代わりに、または、この供給ラインに加えて用いられてよい。別の実施形態において、図2に示した装置は、廃棄するかまたは装置の外で再利用するために陰極液の一部を供給するよう構成された流体ラインを備える。
図3Aおよび図3Bに示した流体ラインに加えて、装置は、陽極液チャンバから陽極液の一部を排出し、濾過後に陽極液チャンバに陽極液を再導入するよう構成された陽極液再循環/濾過システムを備えてもよい。さらに、装置は、必要に応じて、電解液(例えば、陽極液、第1の陰極液、第2の陰極液、および、それらの組み合わせ)の一部をドレーンに排出するよう構成された流体ラインを備えてもよい。
図3Aおよび図3Bを参照して説明した流体ラインは、1または複数のポンプと接続されており、流体を異なる送り先に制御下で選択的に導入することを可能にするバルブまたはバルブマニホルドと連動して利用できる。これらのポンプ、バルブ、および、関連の流量計は、明瞭さを保持するために図示していない。いくつかの実施形態において、装置は、流体流の各々を別個に制御するよう構成される。例えば、流体のドーズのタイミング、および、ドーズされる流体の量が、システムコントローラに接続された流量計およびバルブの組み合わせを用いて別個に制御されうる。いくつかの実施形態において、第1および第2の陰極チャンバを接続する導管339を除いて、図3Aおよび図3Bに示した流体導管がすべて、ポンプに接続され、導管の開閉を維持するよう構成されたバルブを備える。導管339は、いくつかの実施形態において、ポンプまたはバルブなしに機能し、第2の陰極液の第1の陰極液チャンバへの移動は、第1および第2の陰極液チャンバの間の圧力差だけで達成される。いくつかの実施形態では、装置の1または複数の流体導管が、フィルタに接続され、システム内の様々な流体流の濾過を可能にする。例えば、陽極液チャンバから電解液貯蔵タンクに向かう陽極液は、いくつかの実施形態において、任意の不溶性不純物を除去するために、電解液貯蔵タンクへ入る前にフィルタを通される。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の装置は、さらに、電解液を脱酸素化するよう構成される。脱酸素化は、陽極液チャンバで実行されることが好ましく、主にSn2+イオンからSn4+イオンへの酸化を防ぐために用いられる。Sn4+イオンの形成は、電解液における沈殿、および、一般には形成された電解液の品質低下につながる可能性があるため、非常に望ましくない。いくつかの実施形態において、脱酸素化は、例えば陽極液チャンバ内で、陽極液を通して不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)をバブリングすることによって実行される。したがって、いくつかの実施形態において、装置は、陽極液チャンバ内の陽極液を通して不活性ガスをバブリングするよう構成された不活性ガス源に接続された導管を備える。さらに、いくつかの実施形態では、同様の脱酸素化が、電解液貯蔵タンクでも実行され、いくつかの例では、陰極液チャンバ(例えば、第1および/または第2の陰極液チャンバ)でも実行される。
電解液生成装置の流体要素は、いくつかの実施形態において、システムコントローラと通信し、ここで、コントローラは、電解液生成装置の1または複数のセンサとも通信するよう構成される。センサは、コントローラにフィードバックを提供し、コントローラは、センサによって提供されたデータに応じて1または複数の処理パラメータを調整するための命令を備えるようプログラムされている。図4は、電解液生成装置の概略断面図であり、電解液の完全または部分的な自動生成のためにコントローラにデータを提供するのに利用可能な異なるタイプのセンサを図示している。図4に示す装置は、図3Aの装置と同様であり、図3Aおよび図3Bに示した流体要素が、図4に示す1または複数のセンサと共に利用されることがわかる。図3Aの低アルファ線スズアノードは、シングルピースの低アルファ線スズ金属(日本の東京のMitsubishi Materials社製またはニュージャージー州モリスタウンのHoneywell International社製)であるが、図4に示した装置は、イオン透過性のコンテナに配置された複数の低アルファ線スズペレットを用いており、ペレットがアノードとして機能する点で、図4に示した装置は、図3に示した装置とは異なる。通例、ペレットは、(最大寸法を参照すると)6mm未満であり、例えば、3mm未満である。ペレットは、円柱形、球形、または、ランダムな形状のペレットの混合物など任意のその他の形状の粒子であってよい。適切なペレットの一具体例は、円柱形ペレットであり、各ペレットは、約2.5mmの直径と、約2.5mmの長さとを有する。あるいは、同じ呼び寸法の球形ペレットが用いられる。図3Aおよび図3Bに示した流体要素を有する装置内で、図4に示したセンサと共に(ペレットベースのアノードにのみ用いられるペレットレベルセンサを除く)、両タイプのアノードを利用できる。
図4を参照すると、装置は、陽極液チャンバ301と、アノードコンテナ403に低アルファ線スズペレットを供給する重力送りホッパ401とを備える。電源349と電気的に接続する荷電板が、アノードコンテナ403と一体化されており、陽極液で覆われた低アルファ線スズペレットを電気的にバイアスするよう機能する。陽極液で湿潤され荷電板によってバイアスされたペレットは、集合的にアノード303として機能し、電解液生成処理中に溶解されて、陽極液に放出されるスズイオンを形成する。したがって、スズイオンを陽極液内に放出するために、アノードコンテナ403はイオン透過性である。いくつかの実施形態において、荷電板は、アノードコンテナとして機能する。別の実施形態において、コンテナは、荷電板として機能しないイオン透過膜(例えば、ポリスルホン材料製)であり、アノードは、ペレットと接触すると共に電源に接続された導電ロッドを用いてバイアスされる。
スズペレットが、重力ホッパ401内に入れられ、陽極液で覆われたペレットが電解液生成中に溶解するにつれて、スズペレットの充填レベルが徐々に下がり、ホッパから乾燥ペレットが重力下で沈んで陽極液で覆われるようになり、アノードとして機能し始める。図4に示した装置は、ペレットが臨界レベルより下に沈んだか否かを判定し、沈んだ場合にペレットの補充が必要である旨の信号を送るよう構成されたセンサ405を備える。センサ405は、ケンタッキー州フローレンスのBalluff社製の光学スルービームセンサまたは容量センサなどの、光学センサまたは容量センサであってよい。ホッパへのスズペレットの補充は、自動的または手動で行うことができる。例えば、ペレットの充填レベルが臨界になったとセンサによって判定された後、ホッパには、約5〜30kgのスズペレットが手動または自動的に再び装填されてよい。
陽極液チャンバ301は、図の実施形態において、さらに、スズイオン濃度を決定するためのセンサ407(1または複数のセンサ)と、酸濃度を決定するためのセンサ409(1または複数のセンサ)と、陽極液レベルセンサ411とを備える。好ましい実施形態の1つでは、密度計が、スズイオン濃度を決定するために主に用いられるセンサであり、導電率計が、陽極液中の酸の濃度を決定するために主に用いられるセンサである。陽極液の濃度は、酸濃度よりもスズイオン濃度に大きく依存しており、陽極液密度および陽極液導電率の同時測定が陽極液中のスズイオンおよび酸の両方の濃度を正確に決定するために利用可能であることがわかった。異なるタイプの酸について、異なるスズイオン濃度および酸濃度での電解液の密度および導電率を予め集計して、導電率センサおよび密度計によって提供されたデータからスズイオンおよび酸の実際の濃度をコントローラによって決定するために利用できる。あるいは、コントローラは、目標濃度範囲に対応する密度および導電率の値を有するようプログラムされてもよく、濃度の実際の計算は不必要でありうる。適切な密度計の一例は、ミシガン州アナーバーのIntegrated Sensing Systems社製のMicro−LDS密度計、または、ヴァージニア州アッシュランドのAnton−Paar社製の同等機能の装置である。高導電性の電解液(酸電解液など)においては、トロイダル導電率センサ(例えば、カリフォルニア州アーバインのRosemout Analytical(Emerson Process Management)社製のモデル228)などの誘導式導電率計を用いることが好ましいことがわかった。いくつかの実施形態では、2つの電極間での導電率の測定に依存する従来の導電率計が利用されうるが、高導電性の溶液では、正確な測定値を得るために電極間の距離がかなり大きいことが好ましいので、誘導式導電率計は、よりコンパクトであるという利点を有する。陽極液の固有特性を測定するために、別の測定センサまたはシステム(分光光度計、屈折率センサ、IR、または、ラマン分光装置)、もしくは、センサの組み合わせ(例えば、バランス/重量センサと流体体積センサとの組み合わせ)を用いてもよいことがわかる。陽極液レベルセンサ411は、陽極液の液位が臨界レベル未満に低下したかど否かを判定するよう構成されている。陽極液レベルセンサ411は、いくつかの実施形態において、光学センサである。
第2の陰極液チャンバ325は、酸濃度を測定するよう構成されたセンサ413(例えば、誘導式導電率センサ)と、陰極液チャンバ内の陰極液の液位が臨界レベル未満になった時を決定するよう構成された陰極液レベルセンサ415(例えば、光学センサ)とを備える。センサ405、407、409、411、413、および、415は、センサからのデータを受信して処理するコントローラ417と通信する。
いくつかの実施形態において、本明細書で提供されている電解液生成装置は、水素管理システムを備えている。陰極液チャンバ内の不活性陰極液が、空気と爆発性混合物を形成しうる水素ガスを生じるので、水素を安全な濃度まで(爆発下限界すなわちLELより十分に低く)希釈し、希釈された水素を装置から除去するよう構成された水素管理システムを提供することが有利である。水素管理システムは、単一の陰極液チャンバを有する装置(図2に示した装置など)、または、複数の陰極液チャンバを有する装置(図3Aおよび図3Bに示した装置など)と一体化されてよい。
一実施例において、水素管理システムは、陰極液の上方の空間に希釈ガスを供給して、その空間にたまる水素ガスを希釈するよう構成された希釈ガス導管を備え、ここで、陰極液の上方の空間は、第1の蓋で覆われており、第1の蓋は、希釈された水素を第1の蓋の上方の空間に移すことを可能にする1または複数の開口部を有する。例えば、図3Aおよび図3Bに示した装置において、かかる蓋は、水素ガスを生成するカソードを収容する第2の陰極液チャンバを覆うことができる。いくつかの実施形態において、水素管理システムは、さらに、第1および第2の蓋の間に空間があるように第1の蓋の上に第1の蓋から離間して配置された第2の蓋と、第1および第2の蓋の間の空間に希釈ガスを供給し、希釈された水素ガスを第1および第2の蓋の間の空間から排気口へ移すよう構成された第2の希釈ガス導管とを備える。第1および第2の導管を通して提供される希釈ガスは、同じであっても異なっていてもよい。希釈ガスは、混合ガスまたは単一ガスであってよい。希釈ガスの例は、空気および不活性ガス(窒素、アルゴンなど)を含む。好ましい実施形態の1つでは、LELより下への水素の安全な最初の希釈を保証するために、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスが第1の希釈ガスとして用いられる。水素が、最初に不活性ガスで希釈された後、第2の希釈ガスとして空気を安全に用いることができる。別の実施形態では、不活性ガスが、第1および第2の希釈ガスの両方として用いられる。
図5は、水素管理システムを備えた陰極液チャンバの一例を示す概略断面図である。陰極液チャンバ501は、(流体レベル505で示された)陰極液に浸漬された不活性水素生成カソード503を収容する。陰極液チャンバは、希釈ガス導管509に接続された流入口507を有しており、希釈ガス源511からこの流入口を通して陰極液の上方の空間に供給された希釈ガスを収容するよう構成されている。第1の蓋513が、陰極液の上方に配置されており、希釈された水素ガスを上に移すための1または複数の開口部515を有する。第2の蓋517が、第1の蓋513の上方に配置されており、第1および第2の蓋の間の空間は、希釈ガス源511からこの空間へ希釈ガスを供給すると共に、この空間を通して水平方向に、希釈された水素ガスを装置から除去する排出口523まで、希釈された水素ガスを移動させるよう構成された希釈ガス導管521に接続された流入口519を備える。
電解液生成装置の具体例が、図6A〜図6Iおよび図7A〜図7Cに図示されている。図6Aおよび図6Bは(2つの反対側からの)装置の側面図、図6Cは装置の断面図、図6Dは別の断面図を提供する。図6Eは、装置の斜視図を提供する。
図の装置は、着脱可能なカソード収容アセンブリを備えており、ここで、そのアセンブリは、第1の陰極液チャンバおよび第2のカソード収容陰極液チャンバを有し、2つのチャンバは、アニオン透過膜によって分離されている。装置は、陰極液−陽極液の流体カスケードと、二重蓋水素管理システムと、冷却システムとを備える。図6F〜図6Iは、カソード収容アセンブリの異なる図を示しており、図6Fは、カソード収容アセンブリの等角図を、図6G〜図6Iは、水素管理システムの異なる側面を示す同じアセンブリの異なる断面図を示す。図7A〜図7Bは、陽極液チャンバおよび第1の陰極液チャンバ間の界面の図を提供する。図7Cは、溢れた陽極液を濾過アセンブリへ排出するための排液路を備えた一実施形態を示す装置の一部を図示したものである。
図6A〜図6Eに示す装置は、多くの有利な特徴を備える。装置は、(図3Aおよび図3Bの膜329および331によって以前に図示したように)アノードおよびカソードを分離する2つのアニオン透過膜を備える。単一のセパレータが図2の実施形態に示したように用いられる場合(セパレータがアニオン透過膜であるとすれば)、セパレータは、しばしば、スズイオンに対して完全には不透過性でない。したがって、スズイオンが、陽極液から陰極液へ移動し、カソードを汚染しうる。図3および図6A〜Eに示した実施形態は、さらなる中央の陰極液チャンバを提供しており、中央の陰極液チャンバは、中央の陰極液チャンバに意図せず移動した任意のスズイオンを除去するために、酸溶液でフラッシュできる。図の実施形態において、第1の陰極液チャンバ(中央のチャンバ)からの陰極液は、陽極液チャンバに移送され、中央のチャンバは、第2の陰極液チャンバから引き出された陰極液で補充される。かかる逆二重膜カスケードでは、金属カチオン(および、酸からの比較液的程度の少ないプロトン)の移動を阻害する2つのアニオン膜が、好ましいセパレータとして用いられる。
本明細書に提供されたいくつかの実施形態において、装置は、(図2および図3Aおよび図3Bに示したような)固体の一体成形アノードを備えるが、固体の金属アノードを利用すると、アノード金属の効率的な自動補充が可能にならない。(図4および図6A〜図6Eに示した)本明細書に記載のいくつかの実施形態において、この問題は、金属ペレットを含む重力ホッパを設けることによって対処されている。ホッパは、アノード金属が溶解されている間に、アノード活性領域にペレットを供給する。すなわち、ペレットが電解液によって湿潤されるアノード活性領域に直接供給するホッパの上部に、乾燥した金属ペレットがある。湿潤したアノードペレットが反応で溶解するにつれて、乾燥したペレットが、重力下でアノード活性領域へ移動し、湿潤されて、反応中に溶解する。
さらに、以前に注意したように、カソードでの水素ガスの発生は、水素と空気との混合物が爆発しうるため危険でありうる。(図6A〜図6Fに示した)いくつかの実施形態において、装置は、水素含有ガスの組成を安全な仕様に維持するよう構成された二重蓋設計を備える。例えば、不活性ガス(例えば、N2)を装置へ供給するための導管が用いられてよい。
最後に、図6A〜図6Fで示した装置では、自動的な電解液生成、貯蔵、および、供給を提供するよう構成された多くの特徴が提供される。
図6A〜図6Fを参照すると、自動電解液分配/生成装置が提供されている。装置は、電解液生成器600を備えており、電解液生成器600は、生成された電解液を生成器から受け入れて、生成された電解液を貯蔵するよう構成された電解液貯蔵トート601と流体連通する。生成器は、ライン604を介して濃酸を電解液生成器600に供給するよう構成された濃酸トート603とも流体連通している。別の実施形態において、生成器は、酸バッファコンテナを通して濃酸トートと連通しており、これにより、電解液生成処理を停止することなしにトートを交換または補充することができる。いくつかの実施形態において、濃酸トートまたはバッファコンテナは、MSAの水溶液、硫酸、スルファミン酸、または、これらの酸の任意の組み合わせを含む。具体的な一実施形態において、濃酸溶液は、基本的に、約900〜1000g/Lの間の濃度を有するMSA溶液からなる。図の実施形態において、電解液生成器600は、金属アノード反応物質の垂直多孔質ベッドへの金属(例えば、低アルファ線スズ)ペレットの流量を測定してアノード反応物質カラム606を形成する自己制御重力送りホッパ605を備える。別の実施形態において、オージェ制御されたホッパを用いてもよい。ペレットは、ペレットベースのアノードの電気化学溶解中に消費されるので、上方からの新しいペレットによって置き換えられる。装置は、さらに、アノードペレットベッドを正に分極する電源に電気接続されたアノード電力バスに電気接続されたペレット拘束および/または保持荷電板607を備える。図の実施形態において、荷電板は、生成された金属イオンが陽極液に放出されうるように、アノードのペレットを所定位置に物理的に収容し、電力バスからペレットに電荷を伝導し、ペレットと陽極液との間のイオン連通を提供するよう機能する。したがって、図の実施形態において、荷電板は、電解液生成条件下で不溶性(不活性ともいう)である多孔質、イオン透過性、導電性の要素である。別の実施形態において、ペレットは、(例えば、ポリエーテルスルホン材料製の)イオン透過膜と共に収容されており、イオン透過膜は、支持構造で強化されうるが、必ずしも、電力バスに接続されて荷電板として機能する必要はない。この実施形態において、電荷は、ペレットと接触すると共に電源に接続された導電性のバスバーによって搬送される。いくつかの実施形態において、装置は、不活性の電流コレクタバスバーと、アノードペレットを含むよう構成された支持フレームを備えた微細アノード膜(例えば、多孔質ポリエーテルスルホン(PES)膜)とを備えており、バスバーに電気接続された導電性の多孔質電流コレクタメッシュスクリーン(荷電板)を任意選択的に備えてもよい。
装置は、されに、アノードベッド再循環流を供給する注入マニホルド609を備えており、マニホルド609は、再循環する陽極液流の一部または全部をアノードの底部から上方へ移動させるように図の実施形態において構成されている。次いで、この陽極液は、電解液生成器の上部の多孔質の堰および排液路を通って陽極液チャンバを出て、濾過され、その後、マニホルド609を備えたアノードベッドの底部で陽極液チャンバに戻される。
いくつかの実施形態において、重力ホッパは、ホッパの金属ペレット供給量が少なく、補充を必要とする時に、システムコントローラおよび/または装置オペレータに知らせるために、センサ(例えば、容量センサまたは光学センサ)をさらに備える。
図の実施形態において、アノードベッドは、固定された充填ベッドであり、ここで、金属粒が、重力によってパッキングされ、ベッドの底部から注入された陽極液によって湿潤される。図の実施形態において、金属粒は、陽極液の流れによって実質的に移動されない。別の実施形態において、金属粒子の流動ベッドが用いられてもよい。流動ベッド内で、金属粒子は、パッキングされず、陽極液の流れの影響を受けて連続的に移動している。パッキングされた固定ベッドの利用は、流動ベッドの利用に勝るいくつかの利点を提供する。第1に、充填ベッドでは流動ベッドよりも粒子の電気接点を保証することが容易である。第2に、流動ベッドを利用すると、粒子の追加のために計測デバイスが必要になる。かかる計測デバイスがなければ、金属粒子を追加しすぎて、粒子の移動性が損なわれ、ベッドを非流動的な充填形態に変化させることになる。粒子の追加が少なすぎると、流動ベッド内の粒子は、荷電板および互いとの十分な電気接触をなすことができなくなる。したがって、流動ベッドでは、計算された消費金属量を正確に補うのに必要な量の粒子をベッドに提供するために、自己制御重力ホッパの代わりに、計量装置(オージェホッパまたは計量ゲート/バルブなど)を備えたホッパを用いることが好ましい。逆に、固定された充填ベッドを用いる場合、金属粒子は、消費された粒子を自動的に補充する重力ホッパを通して供給されうる。追加の粒子は、ホッパセンサがホッパ内の粒子のレベルが低すぎることを示した時に重油力ホッパに追加されうるが、追加される粒子の量は、充填ベッド実施形態において、消費粒子の量と正確に一致する必要はない。流動ベッドは、さらに、粒子のサイズが異なることに関連する問題を生じうる。粒子が消費されるにつれ、より小さい粒子が上昇すると共に、新たに追加された粒子が流動ベッドの底部に沈む傾向があり、これは、ベッドの不安定化につながりうる。さらに、異なるサイズの粒子は、流動ベッド内で陽極液の流れによって流動のしかたが異なるため、かかる異なる粒子の速度を制御することは困難でありうる。
図の装置は、さらに、陽極液チャンバ613内に挿入される着脱可能なカソード収容アセンブリ611を備える。カソード収容アセンブリ611は、アニオン透過膜によって互いに分離された2つのチャンバを有する。第1の陰極液チャンバ615(中央チャンバとも呼ぶ)は、第1のアニオン透過膜617によって陽極液チャンバ613から分離されている。第2の陰極液チャンバ619は、第1の陰極液チャンバ615から第2のアニオン透過膜621によって分離されており、不活性水素生成カソード623を収容するよう構成されている。分離は、完全である(圧力勾配下でのすべての流体の移動を防ぐ)必要はなく、いくつかの実施形態では、第1および第2の陰極液チャンバの間の流体連通および圧力平衡化を可能にすると同時に、第2のカソードチャンバに到達しないように中央チャンバ内の化合物(例えば、中央チャンバに漏れるSn4+副生成物およびSn2+金属)を移送するための長い拡散経路を提供する長くて狭い流路(641)がある。カソード収容アセンブリ611(第1の陰極液チャンバ615および第2の陰極液チャンバ619を含む)は、電解液生成器600および陽極液チャンバ613から完全なサブアセンブリとして取り外し可能である。カソード収容アセンブリ611は、上方から陽極液チャンバ613の開口部内に設置されて、陽極液チャンバ内の容積に収まるように設計されている。陽極液チャンバ613は、陰極液チャンバの挿入、取り付け、および、排出を可能にするのに十分な容積および必要なハードウェアを含む。陽極液チャンバ613は、様々な処理監視センサと、脱酸素要素と、陽極液中の低酸素濃度を維持するための要素とを備える。例えば、不活性ガスバブラ624が、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスの供給源に接続され、陽極液チャンバ内に配置されてよく、陽極液の脱酸素化のために陽極液を通して不活性ガスをバブリングするよう構成されてよい。陽極液チャンバ613は、処理熱を除去するよう構成されてよく、熱交換器625を備えてよい。図の実施形態において、装置は、さらに、電解液生成中に陽極液成分の濃度を測定するよう構成されている。濃度は、密度計で陽極液の濃度を測定すると共に陽極液導電率計626などの導電率計で陽極液の導電率を測定することによって測定される。これらの2つのパラメータ(密度および導電率)は、組み合わせることができ、陽極液中の金属イオン濃度および酸濃度が、これらのパラメータに基づいて計算されうる。これら2つのパラメータから計算された濃度(またはパラメータ自体)は、成分の濃度が目標範囲に収まる産物(電解液)が製造されるように、電解液生成処理を監視して実行するために用いられる。測定されたパラメータが目標範囲内にあるか否かの計算および/または判定は、コントローラによって自動的に実行できる。陽極チャンバ613は、アノードおよび関連ホッパ、着脱可能なカソード収容アセンブリを受け入れるのに十分な容積を含んでおり、生成された陽極液を貯蔵するための容積(ここで、陽極液の冷却、陽極液の脱酸素化、ならびに、密度、導電率、pH、および、吸光度などの陽極液パラメータの測定が行われる)も有する。図の実施形態において、陽極液チャンバ613は、アノードの近傍の部分627と、冷却部分629を有するように図示されており、カソード収容アセンブリ611がこれらの2つの部分の間に位置するように構成されている。
図の実施形態において、装置は、さらに、第1の陰極液チャンバ(中央チャンバ)から陽極液チャンバへの陰極液(基本的に微量のスズイオンしか含まない酸からなる)のカスケードを可能にするためのメカニズムおよび流体要素を備える。このカスケードは、スズイオンが水素発生カソードに到達するのを防ぐことができるので、スズイオンの陰極液への移動を阻害するのに有利である。これにより、カソード上へのスズメッキおよびカソード効率の損失を避けることができる。さらに、このカスケードは、スズイオンがカソード収容チャンバ内で還元された場合にスズ粒子が形成されうるので、第2のカソード収容チャンバ内で粒子生成を防ぐ。したがって、かかるカスケードは、オペレータ介入およびメンテナンスの合間の電解液生成器の寿命を延ばす。別の実施形態では、第1の陰極液チャンバからの陰極液の一部が、中央チャンバから排出されて、廃棄(ドレーン)へ移され、第1の陰極液チャンバには、新しい酸が供給されるため、その結果、第1の陰極液中の残留スズイオン濃度の低下につながる。
生成器の側面図(図6Aおよび図6B)を参照すると、電解液生成器600は、単純な生成器格納容器630(任意選択的)の中に図示されている。より典型的には、格納は、電子機器、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)およびコンピュータ、化学物質供給アクセスポイント、ならびに、一般的な設備を収容するツール/システム筐体全体の一部であり、ここで、一般的な設備は、脱イオン水源、冷却水供給部、圧縮乾燥空気源、窒素源、電力源、および、排出部を含む。
ドーズ/流体移送ポンプ631が、生成器の壁に取り付けられている様子が図6Aに示されており、複数のポンプ源およびポンプ送り先制御バルブ(例えば、633および635)に接続されており、その結果、この単一のポンプは、複数の生成器関連流体移送動作タスクを生成処理中の異なる時間に提供できる。ドーズ/流体転移送ポンプ631は、濃縮液体酸原料源603に接続されている。いくつかの実施形態において、酸源603は、濃酸(例えば、98%硫酸)もしくは酸水溶液(例えば、70%メタスルホン酸または30%スルファミン酸溶液)を含む。別の実施形態において、生成される電解液のタイプに応じて、異なるタイプの原料溶液がトート603へロードされてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、非酸電解液が生成される場合、中性塩溶液、アルカリ溶液、または、金属キレート剤を含む溶液が、原料トートにロードされてよい。空気バルブの位置を適切な組み合わせの状態に設定することにより、酸トート603からカソード収容アセンブリチャンバ611または陽極液チャンバ613に濃酸溶液を移送できる。アノード反応領域606を通過せずに陽極液チャンバ613へ戻る陽極液再循環流全体の一部が、フィルタ117によって濾過される前または後に、流量計637によって監視される。
同じドーズ/移送ポンプ631が、カソード収容アセンブリ611から既知の量の流体を引き出して、ドレーンまたは陽極液チャンバ613のいずれかに移すよう構成される。図3Aを参照して以前に説明した一実施形態において、ポンプ631は、陽極液チャンバ613の陽極液産物を酸性化するために、カソード収容アセンブリの第1の陰極液チャンバ(中央チャンバ)から陰極液を引き出して、その酸性陰極液を移送する。
この処理は、3つの主要な機能を奏する。第1に、アニオン透過膜617および621は、電解セルに印加された電場の影響下で正イオン(金属イオンおよび水素イオン)が膜を通じて移動するのを阻害するのに完全に効果的であるとは限らないので、少量の移動した金属イオンおよびプロトンが、(アノードに最も近い)第1のアニオン透過膜617を通して移動して、第1の陰極液チャンバ(中央チャンバ)615に集積し始める場合がある。金属イオンが第2の膜621を通して第2の陰極液チャンバ619へ移動して、第2の陰極液チャンバ619内のカソードで金属に還元されることを最終的に可能にする十分に高い濃度まで、第1の陰極液チャンバ615に金属イオン蓄積するのを避けるために、陰極液は、第1の陰極液チャンバ615から定期的に引き出され、廃棄に送られるか、または、いくつかの実施形態においては、陽極液チャンバ613へ移送される。第1の陰極液チャンバ615は、カソード収容チャンバと比べて比較的少量の陰極液を含むことが好ましい。いくつかの実施形態において、(第1および第2のチャンバ内の陰極液を含む)陰極液の総体積は約30Lであり、その内、第1のチャンバ内の陰極液の体積は1.5Lのみである。いくつかの実施形態において、第1の陰極液チャンバ内の陰極液の体積は、陰極液の総体積(第1および第2チャンバを組み合わせた陰極液)の約10%未満など、約20%未満である。いくつかの実施形態において、装置における第1の陰極液チャンバの体積は、陰極液チャンバの総体積の約10%未満など、約20%未満である。大量の液体を移送することなしに、容易にチャンバをフラッシュしてスズイオンを除去できるので、小容量の第1の陰極液チャンバが有利である。第1の陰極液(中央)チャンバ615の存在は、漏れた金属イオンがカソード623と実質的に接触しないように、イオン的または機械的に漏れた金属イオンを陰極液から陽極液に戻すことを可能にする。この構成は、電解液生成処理のロバスト性を大幅に改善して、メンテナンスの労力を削減すると共に、電解液生成器の長期的な信頼性を高める。
陰極液−陽極液カスケードの第2の利点は、酸の管理に関する。酸性陰極液は、第1の陰極液チャンバ615から陽極液チャンバ613へ移送されると、電解処理中に陽極液チャンバから第1の陰極液チャンバへ引き出されるプロトンと置き換わる機能を奏する。第1の陰極液チャンバから陽極液チャンバに酸性陰極液を物理的に移すのは、このアニオン膜のプロトン「漏れ」の影響を低減するコスト効率のよい方法である。
陰極液−陽極液カスケードの第3の利点も、陽極液への酸の補充に関する。生成された電解液の小バッチが陽極液チャンバから貯蔵タンクへ移されると、電解液の次のバッチが生成される前に、失われた体積を補充する必要がある。陽極液の体積減少が水の追加だけで補われた場合、陽極液の酸性度が低下する。この酸性度の低下は、電解液のいくつかのバッチが生成されて陽極液から貯蔵場所に移された後に、重要かつ問題になりうる。酸性度が低下し続けると、アノードの溶解によって生成される金属イオンの溶解度が減少する傾向がある。したがって、第1の陰極液チャンバから陽極液チャンバへの酸性陰極液の移送は、アノードチャンバ内の酸を補充すると共に酸バランスおよび処理安定性を維持するのに役立つ。陽極液内の酸バランスは、陽極液中の酸含有量が目標レベルの50%を超えて変動しないように維持されることが好ましい。例えば、MSAまたは硫酸を用いる場合、酸含有量は、(個々のバッチの生成中およびバッチ生成の合間を含む)電解液生成処理中に目標濃度45g/Lから15g/Lを超えて変動しないことが好ましい。スズ電解液が生成される場合、陽極液の酸含有量は、(MSAまたは硫酸含有量を参照すると)15g/L未満になることを許可されないことが好ましい。
陰極液が第1の陰極液チャンバから引き出されると、このチャンバ内の陰極液の液位が時間と共に低下し、第1の陰極液チャンバは、最終的に完全に乾燥する。したがって、装置は、酸および水を第1の陰極液チャンバに補充するための流体要素を備える。好ましい実施形態の1つにおいて、第1の陰極液チャンバは、第2の陰極液チャンバを第1の陰極液チャンバと流体接続する(膜以外の)流体導管を介して補充される。図の実施形態において、カソード収容アセンブリ611のベースは、第1の陰極液チャンバ615を第2の陰極液チャンバ619に流体接続する長くて狭い導管すなわち流路641を含む。例えば、流路は、約30.5cmの長さと、2cm2未満の流れ断面積とを有してよい。この流路は、第1の陰極液チャンバ615とカソードを収容する第2の陰極液チャンバ619との間のフローバラスト接続として機能し、2つのチャンバ内の陰極液の液位を等しく保つよう効果的に作用する。好ましい実施形態の1つにおいて、陰極液が、第1の陰極液チャンバ615から引き出されて陽極液チャンバ613へ移送されると、カソード収容アセンブリ内の陰極液は、(陰極液が第1の陰極液チャンバから引き出された後に若干高いレベルを有する)第2の陰極液チャンバ619から接続導管641を通して第1の陰極液チャンバ615へ自然に流れる。一実施形態において、導管流入口643が、カソード収容アセンブリのベースにおいて第1の陰極液チャンバに対する遠位端に配置されており、それにより、第1の陰極液チャンバ615から第2の陰極液チャンバ619へ導管641内を拡散することによって移動してカソード623へ到達しうる任意の金属イオンに対する距離および拡散抵抗が最大になる。第1の陰極液チャンバから排出された材料(例えば、水および酸)の体積および質量は、例えば、ドーズ/移送ポンプ631を用いて測定されて、等しい体積および質量の材料を第2の陰極液チャンバに追加することによって補充される。これは、酸トート603から酸を引き出して第2の陰極液チャンバ619にこの酸を移送するよう構成されたバルブ633および635の適切な構成を用いることによって達成できる。別の実施形態では、導管641が設けられず、新しい酸溶液および脱イオン(DI)水は、酸供給源およびDI水供給部源から第1の陰極液チャンバへ直接追加される。
図6A〜図6Eに図示した装置は、さらに、陽極液チャンバ613および第2の陰極液チャンバ619の両方に脱イオン水を供給するよう構成されている。拡散防止バルブ645が、脱イオン水を陰極液チャンバまたは陽極液チャンバへ方向付けるために、その他のバルブと併用される。拡散防止バルブ645は、脱イオン水供給源の水停滞および逆汚染を防ぐよう設計されている。陽極液チャンバ613は、その基部にドレーン647を有しており、ドレーン647を通して、陽極液が主循環ポンプ649によって引き出される。引き出された陽極液は、多くの行き先のいずれかにライン651を介して方向付けられうる。陽極液が、生成される電解液に指定された要求濃度に達すると、陽極液チャンバ流出口からの陽極液産物は、電解液貯蔵コンテナトート601に移送されうる。陽極液中の金属イオンの要求濃度に達していない場合、または、何らかの理由のために産物の移送が望まれない場合、流出口からの陽極液は、熱交換器が配置された陽極液チャンバの冷却部分629に移送されてもよいし、陽極液のアノード多孔質ベッド領域606に戻されてもよい。流出口からの陽極液流の方向は、バルブの設定を定期的に調節することによって制御できる。例えば、陽極液が成分の目標濃度を有する場合、定期的に、再循環する陽極液が電解液貯蔵トートに方向付けられる。
流量計653が、再循環に用いられる陽極液の総流量の内の割合を測定する。その流れは、流出口647から始まり、ポンプ649を通過する。反応領域の底部のマニホルド655を介してアノード反応領域606に、または、陽極液チャンバの冷却部分629に向かう流れの流量および/または割合が、制御バルブ657によって調節される。図の例において、この調節は、アノード反応流分岐のニードルバルブノブ659を開くことによって達成される。
ダイヤフラムポンプ661が、メンテナンスおよび洗浄のために電解液生成器から物質を除去するために用いられる。二方バルブ663の状態に応じて、ポンプ661は、ライン665を介して第2の陰極液チャンバから陰極液を排出することもできるし、陽極液流出ラインが主循環ポンプ649に達する前に、そのラインから陽極液を排出することもできる。
以前に述べたように、金属ペレットは、金属ペレットホッパ605を介してアノード反応領域606に供給される。ホッパは、蓋667と、上部から底部へ向かって傾斜した1または複数の表面とを有しており、上部の開口部から供給されたペレットが収容され、ペレットの流れは反応チャンバのペレット入口(すなわち、スロート)669を通してアノード反応領域606へ方向付けられる。電解液生成器が「オン」であり、アノード電流および電位がアノードバス671に印加されると、電流は、アノード荷電板607上およびペレットに流れる。2つのアノードバス671は、アノード反応領域606の周囲に沿って伸びており、接続ボルトを用いてアノードホッパ605のプラスチック壁に通されている。
図6A〜図6Fに示した装置は、爆発下限界(LEL)未満の水素レベルを維持するよう構成されている。装置は、主アクセス蓋673を備えており、その蓋は、電解液生成リアクタの上部を覆い、蓋の下のチャンバ内の水素ガスレベルが空気中の水素のLEL未満にとどまるように空気の流量を制御する機能を奏する。希釈空気(この場合には希釈ガスとして作用する)が、1セットの流入口開口部677(図6Eに示した装置の図に見られる)を通して、上部蓋673と、カソード収容アセンブリ611を覆う内部蓋675との間でチャンバに入る。希釈ガスは、蓋673および675の間の空間で水平面に実質的に平行に移動し、内部蓋675の開口部678を通してカソード収容アセンブリ611を出た水素含有ガスと混合する。次いで、混合ガスは、排気マニホルド分配プレート679に到達し、排気マニホルド681に入り、排気管683を通して出る。
図の実施形態において、さらなる希釈ガスの流れが、カソード623の上方および内部蓋675の下方の陰極液の上の空間に方向付けられる。内部蓋およびカソード収容アセンブリの構造は、図6F〜図6Iで見られる。第2の陰極液チャンバ619は、電解液生成中に水素ガスを生成する水素生成カソード623(寸法安定性カソード(DSC:dimensionally stable cathode)とも呼ばれる)を含んでいる。カソードは、電解液生成中にカソードを負にバイアスする電源に接続された外部接続バスポイント685を有する。不活性DSCカソードは、電気合成および燃料電池の応用例において水素生成電極として、ならびに、クロルアルカリ工業のためのカソードとして、一般に利用されている。これらのカソードは、クロルアルカリ工業における電解採取および塩素生産で一般に用いられる寸法安定性アノード(DSA:dimensionally stable anode)とは異なる。DSCは、一般に、下層のチタン、もしくは、同様の電気化学的に不活性な基板、もしくは、水および酸電解液の反応(より一般的には、水素形成)のための触媒特性を有する材料の比較的薄い膜(例えば、10〜90ミクロン厚など、100ミクロン未満の厚さ)で被覆されたプレートで製造される。一般的な被覆材料は、プラチナ、ニオブ、ルテニウム、二酸化イリジウム、および、それらの混合物を含む。電解液生成器の動作中、水素の泡が、カソードのアノード対向面と第2のアニオン透過膜621との間のギャップ687においてカソード623で形成される。内部蓋675の下のカソード収容アセンブリ611の雰囲気は、不活性カソード623で生成された水素と、ライン689、継手691、および、陰極液チャンバマニホルド693を通してカソード収容アセンブリに導入された希釈ガス(例えば、希釈空気)との混合物で構成される。希釈ガスは、1セットのマニホルドホール695を通して、発生した水素の泡の位置のすぐ上に均一に導入される。希釈ガスの流量は、内部蓋の下のチャンバ内の水素濃度が(完全かつ均一な混合を仮定して)水素の爆発下限界より十分に低くなるように構成される。いくつかの実施形態において、内部蓋の下の水素の濃度は、水素のLELより4倍低いか、または、空気中のH2の濃度4%未満(すなわち40000ppm未満)である。希釈空気の必要流量は、電解液生成中に用いられる電流の量(カソードでの水素生成の速度と相関する)から計算することができる。例えば、リアクタ電流がIアンペアである場合、水素生成の予測体積流量(R)(L/分)は:
R=22.4×I×60/(n×F),
ここで、22.4Lは、標準的な温度および圧力(1気圧、20℃)でのガス1モルの体積であり、60は1分間の秒数、nは、生成された水素産物1モルあたりに必要な電子数(2電子)であり、Fはファラデー定数(電子1モルあたり96500クーロン)である。100アンペアで動作中のシステムについて、この式に従って計算された水素ガス生成速度は、毎分約0.007リットルである。(0.007×4)/0.04=0.7lpmの体積流量を持つ空気希釈流がマニホルド693に導入されると、水素の濃度は、そのチャンバ内では平均してLELレベルの1/4になる。好ましい実施形態の1つでは、動作の安全性を高めるために、不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)が、空気の代わりに希釈ガスとして用いられる。この場合、チャンバ内には基本的に酸素がなく、チャンバを出る混合物は、希釈剤が空気であった場合に必要な希釈よりもはるかに低い希釈レベルである。この場合、その後に空気で希釈すると、常に、水素濃度をLEL未満に低下させることになる。この構成は、電解液生成器内のカソード収容アセンブリおよび他の場所の両方での火災および爆発のリスクを大幅に低減する。
いくつかの実施形態において、任意選択的な要素697が、内部蓋675のカソード側に設けられており、その要素は、飛び散り流分離ガードとして機能する。水素気泡が、ギャップ687から上がる際に破裂するので、陰極液の液滴が、内部蓋675に飛び散り、特にギャップの真上で、表面張力の影響下で蓋の内部に蓄積しうる。実施形態の1つにおいて、内部蓋675は、水平面に対して或る角度(好ましくは、約5〜20°の間の角度)に配置される。蓋675の傾斜は、蓄積した陰極液滴が重力によって、概して内部蓋流出口699の方向に移動することを可能にする。飛び散り流分離ガード697は、液滴が、流出口を通して飛んだり内部蓋の表面に沿って流れたりすること、および、内部蓋675の反対側の面(上面)に引き上げられることを防ぐように配置される。また、飛び散りガード697は、内部蓋675の底面上に飛び散った陰極液の流れを下方に向けなおして、陰極液を下へ戻す。これは、飛び散った陰極液が陰極液チャンバからガス流によって潜在的に引き上げられることを防ぐ。
陽極液チャンバおよび第2の陰極液チャンバ内の流体の液位は、(電解液の液位低下および電解液の越流など)信頼性の問題について、図の装置で積極的に監視される。監視は、装置コントローラと通信する流体レベルセンサによって実行される。特に有用な低コストのレベルセンサの一例は、ラインにT字挿入されガスバブリングライン701に接続された圧力変換器(例えば、ノースカロライナ州ウィルミントンのDwyer社製)の組み合わせであり、ここで、検知された圧力は、以下の式によって、バブリングライン管開口部の端部より高い流体表面レベル「h」に相関する:
ΔP=ρgh
不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)がこのタイプのセンサ内でバブリングに用いられる場合、かかるバブリングセンサは、測定されている流体(例えば、陽極液または陰極液)のための脱酸素化装置として機能するというさらなる利点を有する。したがって、いくつかの実施形態では、不活性ガスが、不活性ガス源からセンサへ供給され、流体を通ってバブリングされる。連続的レベル監視センサの別の例は、超音波反射式深度センサである。これらのセンサおよび類似した機能のセンサは、流体の液位が目標レベルの設定の上または下になった時に固有の信号を送信するトリップレベル型のセンサとは対照的に、流体(例えば、陽極液および陰極液)の実際の液位を連続的に測定することができる。トリップレベル型のセンサは、提供した装置のいくつかの実施形態で利用できることがわかる。目標(トリップ)レベルセンサの例は、容量レベルセンサおよびフロートスイッチを含む。
好ましい実施形態の1つにおいて、電解液生成装置は、陽極液の密度および導電率の両方を測定するよう構成された密度計および導電率計を備える。密度および導電率の組み合わせは、陽極液中の金属および酸の含有量を同時に決定および制御するために、陽極液の組成データに相関される。インライン密度計(ミシガン州イプシランティのIntegrated Sensing Systems社製のインラインMEMSベース密度計ユニットなど)は、0.0005g/cm3の精度で陽極液の流体密度を測定できる。一実施形態において、スズ陽極液の目標密度は、所望のスズイオン濃度に到達し、産物電解液になった時に、約1.50g/cm3である。金属を含む産物電解液の密度は、金属イオンの部分モル密度が比較的大きいため、通例、酸含有量よりも金属イオン含有量に強く依存する。(様々な一定の酸濃度で)金属イオン含有量の関数として導電率および密度の一群のデータ曲線を取得して、組成が未知の量(例えば、金属イオン濃度および/または酸濃度)を連続的かつ正確に決定するために利用できる。したがって、密度および導電率の監視は、2つの組成濃度(例えば、酸および金属の含有量)を決定するのに有用であり、処理の調整(酸、水の追加、または、さらなる金属イオンの生成のための追加の荷電の供給)を可能にする。同様の処理が、異なる測定された固有特性の測定値ペアを用いる場合に利用されうる。測定値の最低数は、測定される材料(イオン対)の数に等しい(1つのアニオンを用いる2成分システムでは2、または、3成分と1つのアニオンとを用いる3成分では3)。組み合わせて利用/測定できる固有特性の例は、密度、粘度、浸透圧、導電率、屈折率、pH、および、所与の周波数での吸光度を含む。これらの固有の変数の一部は、強い温度依存を有しうるので(ただし、流体の密度および吸光度は明らかな例外である)、温度が測定中に一定ではない場合に温度を測定して、特性の反応の変化を温度と共に記録し、温度に対する反応の変化の差を知ることも重要である。多くのセンサは、埋め込み熱電対およびサーミスタを備える。
リアクタ内の抵抗性電解液に電流を通すと、熱が発生する。いくつかの実施形態において、熱交換器が、陽極液チャンバ、陰極液チャンバ、または、両方に設けられる。図の例において、熱交換器は、陽極液チャンバ613の冷却部分629のみに設けられる。図の熱交換器は、主要なチタンパイプ流入マニホルド703で構成され、マニホルド703は、陽極液リアクタの冷却領域で曲がりくねるより小さい直径のいくつかの(例えば、4つの)溶接接合された熱交換チタンパイプ704に供給する。チャンバの反対側で、より小さい管704は、流出マニホルド705に接続する。冷却流体(給水設備の液体冷却水、または、外部冷却ユニットにより生成および循環される冷却流体など)が、熱交換器を通して循環して陽極液を冷却し、目標温度(例えば、約40℃未満)に維持する。一実施形態において、陽極液の温度は、目標最大温度を超えた時に、液体冷却水流入バルブを開くことによって制御される。他の例において、温度は、検知された温度および外部流体冷却ユニットのフィードバックコントローラを用いて能動的に制御される。陽極液温度センサが、この目的のために設けられる。
図の電解液生成リアクタは、さらに、越流堰707を備える。アノード反応領域に入り、多孔質アノード粒子を上向きに通った流体が、越流多孔質領域すなわち「堰」707に向かって上方に流れる。その流れは、堰に到達した後、方向を変え、水平方向にアノード収容プレートアセンブリを通して流れる。実施形態の1つにおいて、装置は、越流堰707を流れ出た流体を収集および収容して、周辺の粗粒子フィルタリングアセンブリ711に方向付けるよう構成された傾斜収集面を有する流体/粒子排液溝すなわち「排液路」709を備える。この流体は、通例、濾過によって除去されることが好ましいアノードで形成された粒子を含む。排液路709は、流体から粗粒子を除去するよう構成された着脱可能なソックスタイプフィルタユニット(図示せず)へ流体を流し込む。流体は、ソックスタイプフィルタの開いた部分に入り、濾過後に、主アノードチャンバ713の壁の開口部を通してフィルタアセンブリ711を出る。フィルタソックスは、取り外して洗浄または廃棄交換することができる。アクセス可能な着脱可能フィルタソックスを備えた粗粒子フィルタリングアセンブリ711は、産物中の粗粒子の分離のために再循環流を迂回させ、精密濾過フィルタアセンブリ639に対する負荷を低減し、リアクタからの排液もリアクタをオフにすることもなしに、フィルタを迅速かつ容易に取り外すことを可能にする。排液路は、装置の一部の断面図を示す図7Cを主に参照して説明されており、その断面は、図6Cで用いた断面と垂直である。
電解液生成処理
金属電解液生成処理および制御処理を、図8A〜図8Bおよび図9A〜図9Fに示す。これらの処理は、本明細書に記載の電解液生成システムで実行される。図8Aに示すバッチ処理では、処理は、膜によって分離された活性アノード(例えば、低アルファ線スズアノード)および水素生成カソードを有する装置に電流を通すことによって工程801で始まる。装置(陽極液チャンバおよび陰極液チャンバ)は、最初、電解液で(例えば、酸の水溶液で)満たされており、電源が、アノードを溶解させるのに十分な電流をアノードおよびカソードに供給する。一例において、スズアノードを有する最初に空だった陽極液チャンバは、所定の適切な量の酸(例えば、メタンスルホン酸および/または硫酸)および水で満たされ、1または複数の陰極液チャンバも、所定の量の酸で満たされる。いくつかの実施形態において、電流が印加される前の陽極液中の酸濃度は、陰極液中の酸濃度よりも低い。さらに、好ましい実施形態の1つにおいて、(電流が印加される前の)陽極液は、酸に加えてスズ(II)塩を含む。例えば、一実施形態において、陽極液は、最初、メタンスルホン酸スズ(II)およびMSAを含むが、陰極液は、陽極液中のMSA濃度よりも高い濃度でMSAのみを含む。少なくとも約60%、より好ましくはスズ目標濃度の少なくとも約80%、特に好ましくはスズ目標濃度の少なくとも約90%である陽極液中のスズイオンを提供することによって処理を開始し、約0.3〜0.7Mの間(例えば0.5〜0.7M)など、1M未満の陽極液中の酸濃度で開始することが(必須ではないが)好ましいことがわかった。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも約200g/L(例えば、少なくとも約250g/L)の陽極液中のスズイオン濃度(電流印加前)を提供することが好ましい。電流印加前の陽極液にスズイオンを供給することは、陽極液およびシステムの安定性が向上するという利点がある。具体的には、低濃度のスズイオン(および、二次的に高い濃度の酸)を含む溶液は、スズイオン濃度の高い(および、酸濃度の低い)溶液に比べて安定性が低いことがわかった。電流が印加される前に比較的高い濃度のスズイオンを提供することにより、電流が印加された後にのみスズイオンの濃度が高くなり、陽極液が非常に安定したままであることが保証される。望ましくないSn4+イオン形成および関連粒子の生成は、一般に、これらの好ましい動作陽極液濃度下で抑制される。さらに、電流印加前にスズイオンが陽極液中にない場合、スズイオン濃度は、ゼロから目標濃度(例えば、300g/L)まで上昇し、これは、望ましくない浸透圧効果を引き起こし、より穏やかなスズイオン濃度上昇(例えば、250g/Lから300g/L)よりも大きい影響を膜に与えうる。陽極液中の比較的低い酸濃度(例えば、0.3M〜1M濃度)を維持することも、陽極液に高い安定性を与える。
図8Aを再び参照すると、工程801において、金属(例えば、低アルファ線スズ)アノードの溶解を引き起こすために、電流がリアクタに供給される。電流は、システムに供給される全電荷が陽極液中に目標濃度範囲のスズイオンを生成するのに十分であるように供給される。例えば、スズの広い目標濃度範囲が約280〜320g/Lである場合、陽極液中に必要な量のスズイオンを生成し、既知の体積の陽極液で目標濃度に達するのに必要な期間にわたって、電流が供給される。期間は、供給電流のレベルおよび陽極液の体積が既知のパラメータであると仮定して、電解液のファラデーの法則に基づいて計算される。装置は、通例、装置コントローラとインターフェースをとるタイマーを備えており、ここで、コントローラは、タイマーからの入力に基づいて、電流印加を開始および停止するための命令を提供する。一例において、陽極液中に456gのスズイオンを生成するのに必要な電荷は、約206A.hである。この例において、電流は、約124分間、100Aのレベルで印加されうる。装置に供給される電流のレベルは様々でありえ、一般に、リアクタの循環流量、および、対電極に対するアノードペレットの投影面積に依存する。
陽極液中の金属イオンの濃度が、工程803で測定される。例えば、スズイオンの濃度は、密度計を単独で用いて、または、陽極液の導電率の測定と組み合わせて測定されうる。濃度は、電流の印加前、印加中、および、印加後に、連続的に、もしくは、間欠的に測定されうる。いくつかの実施形態において、金属イオンの濃度は、電流の印加が停止された直後に測定される。金属の目標濃度に達し、金属濃度センサで確認された後、陽極液は、工程805において電解液貯蔵コンテナに移される。任意選択的に、陽極液中の酸濃度も測定され、陽極液を電解液貯蔵コンテナに移す前に調整されてよい。酸の濃度は、(金属イオンの濃度が既知であるとすれば)陽極液の導電率を測定する導電率センサを用いて測定できる。陽極液中の金属イオンの目標濃度に到達した後、その時点の残留酸濃度は、目標レベルであるか、高すぎるか、または、低すぎるかでありうる酸の濃度が目標レベルであった場合、バッチ処理は完了し、陽極液(全部または一部のみ)が、工程805で電解液貯蔵コンテナに移される。酸の濃度が低い場合、酸の目標レベルに到達するのに必要な量だけ、追加の酸が陽極液に移送される。酸の追加による希釈が、金属イオン濃度を制御目標下限より低く(広い金属イオン目標濃度範囲より低く)しないほど十分に小さかった場合、バッチ生成サイクルは完了し、陽極液は電解液貯蔵コンテナへ移される。追加された酸の量が、金属イオン濃度を目標金属イオン濃度範囲より低くするほどに陽極液を希釈した場合、金属イオン濃度を広い目標濃度範囲に収めるように、さらなる電荷がシステムに印加される。調整処理(陽極液への酸の追加、および、システムへのさらなる電荷の印加)は、反復可能であり、必要であれば、金属イオンおよび酸の目標濃度に達するまで、リアクタから廃棄に陽極液の一部を排出することを含んでもよい。酸濃度が高すぎる場合、1つの回復方法は、陽極液の一部を排出して廃棄し、排出された体積の一部または全部を水に置き換え、金属および酸の濃度の両方が広い目標濃度制御限界の範囲に収まるまでさらなる電流を装置に通すことによってさらなる金属イオンを生成する方法である。その後のサイクルにおいて、このサイクルの補正動作に関する情報が、サイクルに対する酸/水および電荷の初期量を修正するために用いられる。金属イオン濃度センサの役割は、金属イオン濃度が広い目標範囲に収まっていない場合に、貯蔵コンテナへの電解液の移送を防ぐために、電解液中の金属イオン濃度を監視すること、および、金属イオン濃度が広い目標範囲内にあるが狭い目標範囲を外れている場合に、電解液生成中のその後のバッチにおける処理パラメータの調整のためのデータを収集することであってよい。さらに、いくつかの実施形態において、金属濃度センサは、金属イオンの目標濃度範囲(例えば、目標密度範囲)に達した後に電流の印加を停止するために、コントローラに直接信号を送る。この実施形態において、センサは、「電流オフ」信号を提供するために、タイマーの代わりに利用できる。
いくつかの実施形態において、電解液生成処理は、複数のサイクルを用いて連続t的に実行され、ここで、各サイクルは、1バッチの電解液を生成する。図8Bに示す処理フローチャートは、電解液生成のためのサイクル処理を示しており、ここで、各サイクルは、生成された電解液産物の一部のみを電解液貯蔵コンテナへ移す工程を含む。処理は、図8Aに示した処理と同様に、活性金属アノードおよび不活性水素生成カソードを有する装置に電流を流す工程809で始まり、工程811で金属イオンの濃度を監視する。次に、陽極液中の金属イオンの濃度が目標濃度に到達した後、陽極液(電解液産物)の一部のみが、工程813で電解液貯蔵コンテナに移される。好ましい実施形態の1つにおいて、移される陽極液は、比較的少量であり、陽極液の総体積の約20%未満(約15%未満、約1〜10%(例えば、約5%)など)が好ましい。次に、工程815で、陽極液チャンバに酸が補充される。この工程において、適切な量の酸および水が、陽極液に追加される。次に、陽極液の濃度が広い目標制御範囲に戻るまで、電流が電解セルに再び供給され、電解液の一部が、貯蔵コンテナに再び移される。したがって、工程817に示すように、工程809〜813が繰り返される。いくつかの実施形態において、各サイクルは、必要な量の酸を陰極液へ追加する工程をさらに備える。
単一のサイクルで少量の電解液産物を貯蔵場所に移すことは、陽極液全体を移すこと、および、多量の陽極液を移すことよりも、多くの利点を有する。少量の電解液産物が貯蔵場所に移される場合、サイクルの開始時の希釈量が小さく(例えば、5%)、サイクルにわたってイオン強度の変化ひいては陰極液に対する陽極液の浸透圧が小さいので、酸および金属イオン両方の目標濃度からのずれは、各サイクルにわたって小さい。処理は、陰極液側の浸透圧が陽極液側の圧力とほぼ同一であり、浸透作用による水の移動が最小化されうるように設計することができる。移動するイオン(この例では、アニオン膜を通して移動するアニオン)と共に水を移送する傾向がある電気浸透抗力が重要でありうるが、処理シーケンスの各々に対して測定可能、計算可能、および、反復可能である。したがって、各サイクルで電気浸透抗力のために陽極液によって失われた水の量がわかり、失われた水は、容易に補充することができる。したがって、いくつかの実施形態において、処理は、陽極液中のSn2+の濃度が、いくつかの生成サイクル(例えば、5生成サイクル)にわたって10%(3%など)を超えて変動しないように実行される。また、陽極液中の酸の濃度は、いくつかの生成サイクル(例えば、5生成サイクル)にわたって100%(50%など)を超えて変動しないことが好ましい。
サイクルごとに少量の電解液のみを排出することの別の利点は、サイクルにわたって金属イオンの濃度を比較的高いレベルに維持できることである。高濃度のSn2+と対イオンとしてのメタンスルホン酸塩とを有する電解液は、低濃度のSn2+を有する電解液よりもSn4+種への酸化に対してはるかに高い抵抗性を持つことがわかった。したがって、いくつかの実施形態において、Sn2+イオンの濃度は、1サイクル中または複数サイクル中に、少なくとも250g/L(より好ましくは少なくとも270g/L)に維持される。いくつかの実施形態において、各サイクルの開始時のスズイオン濃度は、目標スズイオン濃度の少なくとも約90%である。一例において、スズイオンの濃度は、目標スズイオン濃度の約95%である。例えば、サイクルの開始時に、スズイオンの濃度が285g/Lであってよく、生成の完了後に、陽極液は300g/Lの目標スズイオン濃度に達する。処理にわたって高い陽極液スズ濃度を維持することは、得られる電解液の純度および処理の効率に関する大きい利点を有する。
サイクル処理が用いられる場合、電流は、生成器の電極へ連続的または間欠的に印加されうる。実施形態の1つにおいて、電流が電極に印加される時、装置には酸も水も追加されず、電解液産物は貯蔵タンクに移送されない。この実施形態は、電流が印加されない時に陽極液中の金属イオンの濃度が一定であることから、平衡状態の成分濃度を維持し、流体の移送を調整するのが容易である点で有利である。別の実施形態において、電流を停止することなしに、酸が陽極液に追加されてもよい。この実施形態の利点は、少量の酸を高頻度で陽極液に追加することにより、陽極液中の酸濃度の変動を最小化し、関連の浸透圧効果を最小化できることである。最後に、別の実施形態において、電流の印加は連続的であってもよく、電解液産物が貯蔵コンテナに移送される時にも、陽極液および陰極液に酸および水がドーズされる時にも停止されない。この実施形態の利点は、高い効率性である。
図8Aおよび図8Bに示した方法は、装置の説明に関連して上述した工程のいずれかをさらに組み込むことができることがわかる。したがって、方法は、生成された水素ガスを希釈し、希釈されたガスを排気口を通して除去するために、1または複数の希釈ガスを電解液生成装置に供給する工程を備えてもよい。方法は、さらに、例えば、不活性ガスをバブリングすることによって、陽極液および/または陰極液を脱酸素化する工程を備えてもよい。さらに、方法は、第2の陰極液チャンバから第2の陰極液(例えば、第2の陰極液の一部)を定期的に排出する工程と、新しい酸溶液を第2の陰極液チャンバに満たす工程とを備えてもよい。
自動マルチサイクル電解液生成処理の重要な特徴の1つは、陽極液および陰極液の成分の安定した濃度を維持すること、ならびに、サイクルを通してこれらの成分の質量バランスを維持することである。質量バランスの維持は、陽極液および陰極液に規定量の酸および水を追加して、陽極液チャンバおよび陰極液チャンバにおいて消費および移送された酸および水を正確に補う工程を含む。例えば、陽極液内でスズイオンを生成するために電極に電流を印加し、その後、陽極液から貯蔵タンクへ陽極液産物の一部を移送し、次いで、陽極液および陰極液に酸溶液(および、任意選択的に水)を追加することを含むサイクル処理において、追加される水および酸の量は、電流印加前の陽極液中のスズイオンおよび酸の量ならびに陰極液中の酸の量が、サイクルの終わり(電流が印加され、電解液の一部が移送され、酸および/または水が陽極液チャンバおよび陰極液チャンバに追加された後)のスズおよび酸の対応する量と実質的に同じになるように計算される。スズイオンおよび酸の量が実質的に同じであるだけでなく、スズイオンおよび酸の濃度も実質的に同じであることがより好ましい。
複数のサイクルにわたって質量および濃度のバランスを維持するために陽極液および陰極液に追加される必要のある酸および水の量を計算して、システムコントローラにプログラムできる。例えば、スズイオン、メタンスルホン酸(MS)イオン、および、MSAと、アニオン透過膜とを用いる実施形態の1つでは、規定量の電荷の印加中に、既知の量のMSAが陽極液チャンバから陰極液チャンバへ移動し、既知の量のMSがいくらかの量の水と共に陰極液チャンバから陽極液チャンバへ逆向きに移動するという事実に基づいて、酸および水の量が計算される。さらに、計算は、陽極液内で電荷の印加中に生成されるスズの既知の量、荷電の印加中に陰極液から失われて水素ガスを生成する酸の既知の量、および、産物貯蔵タンクへの移送中に除去される酸およびスズの量を考慮する。
3つの異なるサイクル処理における質量バランス維持の3つの例を図9A〜図9Fに示す。これらのスキームは、処理の異なる段階における陽極液および陰極液中の成分の濃度および量を示している。図9A〜図9Bは、電流が電極に印加された時に材料の移動が起こっておらず、陰極液(第1の陰極液チャンバ)が、陽極液の酸源として機能するサイクル(カスケード実施形態)を示す。図の処理は、目標スズイオン濃度304g/Lの電解液が陽極液で生成された組成901で始まる。電解液が生成されると、陽極液中のスズイオンおよび酸の濃度が、導電率センサおよび密度センサによって測定される。スズイオンおよび酸の濃度が生成の終わりに高すぎた場合、濃度を目標濃度にするために、水が陽極液に追加される。スズの濃度が低すぎた場合、目標濃度に達するように、さらなる電荷がシステムに通される。酸の濃度が不十分であった場合、酸が陽極液に追加される。スズイオンおよび酸の濃度が両方とも広い目標レベルにある場合、陽極液の総体積の5%(30Lの陽極液の内の1.5L)が、図9Aに示すように、電解液貯蔵コンテナに移される。次に、組成903で、陽極液の一部が貯蔵場所に移された後、陽極液の体積は小さく、28.5Lである。陽極液の導電率がチェックされ、高すぎる場合には、さらなる水が陽極液に追加される。導電率が低すぎる場合には、さらなる酸が追加される。導電率が広い目標レベルにある場合、1.17Lの陰極液(酸)が陽極液に移される。1.17Lの陰極液は、産物電解液と共に陽極液から貯蔵コンテナへ移された0.165Lの酸、および、スズイオン生成中に膜を通して陽極液から陰極液へ移動した1.005Lの酸を補うために用いられる。その結果、陽極液が必要量の酸を有する組成905になる。次に、元々の陽極液の体積(30L)に達するまで、陽極液に水が追加され、その結果、陽極液に電流を印加できる状態の組成907になる。次の工程において、陽極液に移されて電解液と共に貯蔵場所へ排出された酸(0.072L)、および、次の稼働時に水素ガスの生成に用いられる酸(0.781L)を補うために、酸を陰極液に追加する必要がある。したがって、0.853Lの70%MSAが、酸トートから陰極液にドーズされ、組成909の結果となる。最後に、陰極液が30Lになるまで脱イオン水が追加され、その結果、陽極液および陰極液の両方で電解液生成の準備が整った組成911となる。次に、陽極液でさらなるスズイオンを生成するために、電力がアノードおよびカソードに印加され、予め計算された量の電荷(205.9Ah)がシステムに通される。電力の印加中に、416.9gのMSAが陽極液から陰極液に移送され、730.8gのメタンスルホン酸塩が膜を通して陰極液から陽極液へ移送される。また、電解液生成中に、456gのスズイオンが陽極液内でアノードから形成され、7.7gの水素が陰極液から除去される。電流印加の最後に結果として得られる陽極液および陰極液の組成913は、以前の電流印加後901と同じである。要するに、806.8gのMSAが酸トートから電解液生成器へ追加され、456gのスズイオンがアノードから溶液へ追加され、追加された材料の合計は1262.8gになる一方で、1255.2gの産物電解液が貯蔵場所へ排出され、7.7gの水素が装置から除去され、結果として1262.9gの材料が除去されることにより、実質的に質量バランスが達成される。
図9Aおよび図9Bで示した実施形態では、電力が電極に供給されていない時に、陽極液への酸および水の追加が実行されるが、別の実施形態では、電解液の生成中に(電極に電力を印加している間に)酸を装置に追加することも可能である。この実施形態は、図9Cおよび図9Dを参照して説明される。この方法の工程921〜923は、図9Aおよび9Bに示した工程と同様であるが、陽極液および陰極液にドーズされる酸の量は、図9Aおよび図9Bに示した方法において印加された電荷量の10%のみを反映するように減らされている。したがって、電荷が(10%のレベルで)印加される間に、酸が(10%に対応する適切なレベルで)陽極液および陰極液にドーズされる。この間欠的な酸のドーズは、さらなる電荷が印加される間に、例えば、10回実行されうる。この方法を、分割酸方法と呼ぶこととし、電流が印加される時に100%の酸が陽極液および陰極液に追加される以前に説明した方法と異なり、この方法では、電流が装置の電極に印加されている間に一定の間隔で追加される10の部分に酸を分割することを示す。電流が停止された後に、産物を貯蔵タンクに移送できる。
いくつかの実施形態では、図9A〜図9Dで説明したように陽極液チャンバに移す代わりに、陰極液の一部を第1の陰極液チャンバからドレーンへ排出することが、より好ましい場合がある。これらの実施形態において、第1の陰極的チャンバは、陽極液のための酸源として機能しない。その代わり、酸が、酸貯蔵タンクなどの酸源から陽極液および陰極液の両方に追加される。第1の陰極液チャンバ内の陰極液はSn4+イオンで汚染されうるので、陰極液の一部を第1の陰極液チャンバからドレーンに排出することは有効でありえ、システムからこれらの部分を除去することは、より経済的に実現可能でありうる。かかる実施形態での質量バランス維持を示す処理スキームの一例を、図9Eおよび図9Fに示す。図9Eを参照すると、所定の量の電荷が生成器を通った後、処理は、陽極液が十分な濃度を有しており貯蔵タンクに移送される準備ができていることを示す941で始まる。この時点で、陽極液の密度および導電率がチェックされ、両方が広い目標レベル内にあれば、陽極液を移送できると判定される。図の例において、(移送前の)941において、陽極液チャンバは、Sn2+イオン(9120g)、メタンスルホン酸イオン(14615g)、メタンスルホン酸(1368g)を含む30Lの水溶液を収容している。(第1および第2の陰極液を含む)陰極液は、メタンスルホン酸(12445g)を含む29.4Lの水溶液である。この例において、陰極液は、電流が前のサイクルでセルに印加された時に水がメタンスルホン酸塩イオンと共に陰極液から陽極液へ膜を通して移送されたので、前のサイクル中に約0.6Lの体積を陽極液に失っている。電流が停止された後、陽極液の総体積の5%が貯蔵タンクに移され、943に示すように低体積の陽極液が残る。次の工程で、陰極液の導電率がチェックされ、導電率が広い目標レベル内にあれば、第1の陰極液チャンバから陰極液の一部がドレーンに排出される。945に示すように、42.3gのメタンスルホン酸を含む0.1Lの陰極液が第1の陰極液チャンバから排出され、陰極液の総体積は29.3Lとなり、(膜以外の導管を通して流体連通する第1および第2の陰極液チャンバ内の陰極液を含む)陰極液中に12403gのMSAが残る。次の工程は、質量バランスを維持するように陽極液を補充する工程である。この工程では、追加される酸の量が、陽極液から電解液貯蔵タンクへ排出された酸の量(68.4gのMSA)および電圧が印加される時に膜を通して陽極液から陰極液へ移送される酸の量(416.9g)の合計と実質的に等しくなるように、陽極液に酸がドーズされる。後者の量は、1回の稼働中に電解液生成器を通る既知の量の電荷に基づいて、利用される膜の具体的なタイプに対してわかる。したがって、約458gのMSAを含むMSAの水溶液が、酸タンクから陽極液へ追加される。陽極液は、その体積が29.38Lに達するまでさらに水(0.37L)を追加される。この工程で追加される水の量は、セルへの電流印加中に陰極液から陽極液へ水が移送された後に、陽極液の体積が所望の目標(この例では30L)に達するように決定される。酸および水が陽極液に追加された後、陽極液は、947に示すように、電解液生成の準備が整う。次に、陰極液に酸が補充される。この工程では、363.7gのMSAが、MSA溶液タンクから第2の陰極液チャンバへ追加される。この追加される酸の量は、このサイクル中に陰極液から失われてH2を生成するMSAの量に、945のフラッシュで第1の陰極液チャンバからドレーンに移送されたMSAの量を足して、電流印加時にこのサイクル中に陰極液から陽極液へ移動するMSAの量を引いたものと実質的に等しい。結果として得られる陰極液の組成を949に示す。次に、陰極液には、陰極液の体積が30Lになるように、0.32Lの水が追加される。この時点で、陰極液は、951で示すように準備完了となる。次に、所定の量の電荷(205.9Ah)がセルに通され、結果として、陽極液内で456gのSn2+イオンが生成され、カソードで7.7gのH2が除去される。また、電極への電流の印加中に、416.9gのMSAが膜を通して陽極液から陰極液へ移送され、730.8gのメタンスルホン酸塩が0.62Lの水と共に膜を通して陰極液から陽極液へ移送される。所定の量の電荷が通された後、サイクルは完了し、953の陽極液および陰極液の組成は、941のサイクルの開始時と実質的に同じである。合計すると、1サイクル中に生成器に入るMSAおよびスズイオンの質量は、サイクル中に(排気口、産物貯蔵場所、および、ドレーンに向かって)生成器を出るH2、MSA、および、スズイオンの質量と等しい。図の例では、1305.2gの材料が、説明の通りシステムに入って出た。
提供されている電解液生成装置の顕著な特徴の1つは、1または複数のセンサ(陽極液密度計、陽極液導電率計、陰極液導電率計、または、それらの組み合わせなど)を用いて電解液組成に関するフィードバックを提供できることである。いくつかの実施形態では、許容できない電解液組成の変動が検出された場合に、センサを用いて、電解液生成処理パラメータを調整する。また、センサは、1または複数の電解液特性が広い所望の範囲外にある場合に、処理を停止する必要がある旨の信号を送るために用いられる。例えば、密度計によって測定された陽極液密度が広い目標範囲の外にあった場合、陽極液中のスズイオンの濃度が許容不可能であり、生成されたスズ電解液を産物タンクに移すべきではないことを示す。一方で、陽極液濃度が広い目標範囲内にあるが、狭い目標範囲外にある場合、陽極液が許容可能なスズイオンの濃度を有し、産物貯蔵タンクに移送可能ではあるが、密度を狭い目標範囲内に戻して、密度の変動をなくすように、その後の生成サイクルの処理パラメータを調整すべきであることを示す。
図10は、陽極液密度の読み取り値に基づいて電解液生成処理パラメータを調整する方法の図を提供する。図10は、サイクル回数の関数として陽極液密度値を示す。各サイクルにおいて、プロットされる密度は、電流が停止された後、かつ、陽極液および陰極液の濃度が調整される前に測定される。図の例において、密度範囲1.480〜1.520g/cm3が、広い目標密度範囲であり、密度範囲1.490〜1.510g/cm3が狭い目標密度範囲である。最初の11回のサイクルでは、陽極液密度は、狭いおよび広い目標範囲の両方に収まっているため、調整の必要はない。12回目のサイクルでは、陽極液の測定密度が1.511g/cm3であり、狭い目標範囲外にあるが、まだ広い目標範囲内にある。したがって、12回目のサイクルからの陽極液は、産物タンクに移送されるが、処理パラメータの調整が、この密度読み取り値によってトリガされる。密度は、12回のサイクルで1.500から1.511g/cm3まで変動したことがわかり、これは、0.011g/cm3の正の変動に対応する。かかる密度の変動は、6.6g/Lのスズイオン濃度の超過に対応する。この例では、陽極液の体積は約30Lであるため、6.6g/L×30L=198gの超過スズイオンが12回のサイクルで生成される。また、観察された変動では、198g/12cycles=16.5gの超過スズイオンが1サイクルで生成される。
まず、次のサイクル13におけるパラメータが、通常サイクルよりも198g少ないスズイオンを生成するように調整され、それにより、陽極液の密度を目標レベル1.500g/cm3に合わせる。1つの標準的なサイクルが450gのスズイオンを生成すると仮定すれば、13回目のサイクルは、198g少ない量、すなわち252gを生成することが好ましい。このサイクルにおいて、電流は、通常稼働時に用いられた時間の252/450=0.56倍にわたって印加されることが好ましい(同じレベルの電流がすべての稼働に対して印加されると仮定する)。次の工程では、すべての後続の稼働のための処理パラメータが、観察された変動(サイクルあたり16.5gのスズ)に基づいて調整される。この変動を補償するために、後続の各稼働の持続時間は:以前の稼働時間の(450−16.5)/450=0.96倍であることが好ましい。あるいは、稼働の持続時間は、同じままであってもよいが、それに応じて、電流のレベルが下げられる。より一般的には、システムを通る電荷の量が、稼働の持続期間、印加電流のレベル、または、両方を調整することによって調整される。
陽極液の導電率および陰極液の導電率の変動も同様に対処されるが、稼働の持続期間を調整するだけでなく、各サイクル中に陽極液および陰極液に追加される酸の量も調整される。
いくつかの実施形態では、最適な処理安定性を提供すると共に処理パラメータの過剰補正を避けるために、以下のルールに従う。最初に、異なる電解液特性が狭い目標範囲外にあるが広い目標範囲内にあることを、いくつかのセンサが示した場合でも、サイクルあたり1特性の変動のみを調整することが好ましい。例えば、或るサイクルにおいて、陽極液密度、陽極液導電率、および、陰極液導電率のすべてが、狭い目標範囲外(ただし、広い目標範囲内)にあった場合、このサイクルでのパラメータの調整は、陽極液密度の変動に対処するためだけになされ、陽極液および陰極液の導電率の変動については行われない。陽極液密度が狭い目標範囲内にあるが、陽極液および陰極液の導電率が両方とも狭い目標範囲外にある場合、陽極液導電率の変動のみが1サイクルで対処される。したがって、陽極液密度の変動に対処するためのパラメータの調整は、陽極液導電率および/または陰極液導電率の変動に対処する前に実行される。陽極液導電率の変動に対処するためのパラメータの調整は、陰極液導電率の変動に対処する前に実行され、調整は、サイクルあたり1変動補正のみがなされるように行われる。さらに、1つのタイプのパラメータに頻繁な補正を行わないことが好ましい。例えば、1つのパラメータ(例えば、陽極液密度)を3サイクル中に2回以上補正する必要があることをセンサが示唆した場合(すなわち、パラメータが3サイクル中に2回以上狭い目標範囲外になった場合)、パラメータの自動補正は行われず、その問題はエンジニアによって対処される。優先度の低いパラメータ(陽極液および陰極液の導電率)は、優先度の高いパラメータ調整後の3サイクルを許容するために、狭い目標範囲を外れることを許容される(ただし、広い目標範囲は外れない)。図の例において、陽極液密度の優先度は、陽極液導電率の優先度よりも高く、後者の湯鮮度は、陰極液導電率の優先度よりも高い。最後に、電解液特性(陽極液密度、陽極液導電率、または、陰極液導電率)が広い目標限界を外れていることを、いずれかのセンサが示す場合、処理は停止され、問題はエンジニアによって対処される。
スズ電解液生成の一実施形態において、陽極液密度の広い目標範囲は、約1.4812〜1.5296g/ccであり;陽極液導電率の広い目標範囲は、約92〜96mS/cmであり;陰極液導電率の広い目標範囲は、約451〜491mS/cmである。この実施形態において、これらのパラメータは、セルへの電流の印加が停止された後、かつ、陽極液(陽極液導電率の補正のため)および陰極液(陰極液導電率の補正のため)に酸が追加される前に測定される。
図11A〜図11Dは、スズ電解液生成処理中に電解液特性を監視して処理パラメータを調整するためのアルゴリズムの例を提供する。各サイクルにおいて、電流の印加が停止された後、図11Aの工程1101に示すように、陽極液密度が狭い目標範囲内にあるか否かが最初に判定される。範囲内にある場合、工程1103に示すように、陽極液導電率が狭い目標範囲内にあるか否かが判定される。次に、陽極液導電率が狭い目標範囲内にある場合、陰極液導電率が工程1105でチェックされる。陰極液導電率が狭い目標範囲内にある場合、処理は、工程1107で次の稼働に進むことができ、この工程は、次のサイクルで陽極液および陰極液に酸を補充して電流を印加することを含む。工程1101において、陽極液密度が狭い目標範囲外にあると判定された場合、図11Bに示すアルゴリズムに続く。図11Bを参照すると、まず、陽極液密度が広い目標範囲内にあるか否かが工程1201で判定される。陽極液密度が広い目標範囲外にある場合、それは、工程1209でエンジンアに伝えられる。通例は、この場合、装置のオペレータは、コントローラからエラーメッセージを受信し、装置は、さらに続行しないよう構成される。陽極液密度が広い目標範囲内にある場合、工程1203で、最後の密度補正以来、3サイクルより多く実施されたか否かが判定される。最後の密度補正から3サイクル以下であった場合、密度の変動があまりに速いため、この問題は、工程1209でエンジニアに伝えられ、処理は、エンジニアが速い変動の問題を解決するまで続行を許可されない。最後の密度補正から3サイクルより多く実施されている場合、処理は、密度変動に基づいて処理パラメータの新しい定数を計算し、陽極液の密度を調整し、さらなる稼働のために新たに計算された定数を保存する工程1205に進む。計算は、図10を参照して示したように実行できる。新たに計算された定数は、電流の新たな印加期間または電流の新たなレベルを含んでよい。陽極液密度の調整は、電流をセルに通すことによって実行できる。陽極液の密度が高すぎる場合、追加の短いサイクル(陽極液の一部をストレージに排出し、陽極液に酸をドーズし、密度を目標値にするのに必要な期間にわたって電流を流すことを含む)を実行することによって目標値に回復できる。密度が低すぎる場合、陽極液に酸がドーズされ、電流がオンにされ、スズイオン生成が密度を目標値にするのに必要な期間にわたって実行される。新しい処理定数(例えば、印加される電流レベルおよび/または電流印加の持続期間)が保存された後、最後の密度補正からのサイクル回数を監視するカウンタがリセットされ、処理は工程1207で次の稼働に進む。
図11Aを参照すると、工程1103において、陽極液の導電率が狭い目標範囲外にある場合、図11Cに示すアルゴリズムに進むことが好ましい。まず、陽極液導電率が広い目標範囲内にあるか否かが工程1301で判定される。広い目標範囲外であった場合、これは、工程1309においてエンジニアに伝えられ、処理は続行を許可されない。次に、工程1303において、最後の陽極液導電率の補正以来、3サイクルより多く実施されたか否かが判定される。3サイクル以下である場合、エンジニアは工程1309で通知される。処理は続行を許可されず、エンジニアが過度に速い陽極液導電率変動の問題に対処する。最後の陽極液導電率補正から3サイクルより多く実施されていた場合、工程1305において、最後の陽極液密度の補正から3サイクルより多く実施されたか否かが判定される。最後の陽極液密度補正から3サイクル以下であった場合、このサイクルでは陽極液導電率への補正を行わず、工程1311において、旧定数を保持しつつ、次の稼働が開始される。最後の陽極液密度補正から3サイクルより多く実施されていた場合、工程1307において、新しい定数が、陽極液導電率変動に基づいて計算され、陽極液の導電率が、目標値に回復され、新しい定数サイクルは、後続のサイクルで利用するために保存される。密度および導電率の両方のデータにより、スズイオン濃度は狭い目標範囲内にあるが、酸陽極液濃度は狭い目標範囲外にあることが示唆される場合、所与のサイクルで追加される酸の量が、例えば酸濃度の変動を補償するために、調整(増加または減少)される。陽極液の密度が良好に制御されている(例えば、1.48〜1.52g/cm3の範囲内)場合、後続のサイクルで追加される酸の量を調整すべきか否かを判定するために、陽極液導電率値だけを考慮すればよく、追加される酸の量のための新しい定数が生成される。次に、新たな稼働が、新たに計算された処理定数を用いて工程1303で開始される。
図11Aを参照すると、工程1105において、陰極液の導電率が狭い目標範囲外にある場合、図11Dに示すアルゴリズムに進むことが好ましい。まず、陰極液導電率が広い目標範囲内にあるか否かが工程1401で判定される。広い目標範囲外であった場合、これは、工程1409においてエンジニアに伝えられ、処理は停止される。次に、工程1403において、最後の陰極液導電率の補正以来、3サイクルより多く実施されたか否かが判定される。3サイクル以下である場合、エンジニアは工程1409で通知される。処理は続行を許可されず、エンジニアが過度に速い陰極液導電率変動の問題に対処する。最後の陽極液導電率補正から3サイクルより多く実施されていた場合、工程1405において、最後の陽極液導電率の補正から3サイクルより多く実施されたか否かが判定される。最後の陽極液導電率補正から3サイクル以下であった場合、このサイクルでは陰極液導電率への補正を行わず、工程1411において、旧定数を保持しつつ、次の稼働が開始される。最後の陽極液導電率補正から3サイクルより多く実施されていた場合、工程1407において、新しい定数が、陰極液導電率変動に基づいて計算され、陰極液の導電率が目標値に回復され、新しい定数(陰極液に追加される酸の量)は、後続のサイクルでの利用するために保存される。陰極液導電率の変動が観察されると、各サイクルにおいて(導電率が測定され、陰極液の一部が第1の陰極液チャンバから排出された後に)陰極液に追加される酸の量は、陰極液に水を追加した後に酸濃度が狭い目標範囲に収まるように調整される(導電率が高すぎる場合には増大され、導電率が低すぎる場合には減少される)。次に、新たな稼働が、新たに計算された処理定数を用いて工程1403で開始される。
上述のように、本明細書に開示したシステムおよび装置は、本明細書で提供されている方法のいずれかを実行するためのプログラム命令または埋め込みロジックを備えてよい。具体的には、コントローラは、1または複数のセンサ(密度計、導電率計、電解液レベルセンサなど)から情報を受け取り、これらのパラメータを処理し、1または複数のセンサから取得したデータに基づいて、装置への命令を生成するよう構成されている。さらに、1または複数のコントローラは、電解液生成器と、1または複数の電気メッキ装置とを備えた統合システムにプログラム命令を提供するようプログラムされてよく、要求に応じて所望の量の電解液を提供するよう構成されてよい。
いくつかの実施例において、コントローラは、システムの一部であり、システムは、上述の例の一部であってよい。かかるシステムは、1または複数の処理ツール、1または複数のチャンバ、処理のための1または複数のプラットフォーム、および/または、特定の処理構成要素(ウエハペデスタル、ガスフローシステムなど)など、半導体処理装置を備えうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および、処理後に、システムの動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれてもよく、システムの様々な構成要素または副部品を制御しうる。コントローラは、処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、高周波(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ならびに、ツールおよび他の移動ツールおよび/または特定のシステムと接続または結合されたロードロックの内外へのウエハ移動など、本明細書に開示の処理のいずれを制御するようプログラムされてもよい。
概して、コントローラは、命令を受信する、命令を発行する、動作を制御する、洗浄動作を可能にする、エンドポイント測定を可能にすることなどを行う様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を格納するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1または複数のマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含みうる。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形態でコントローラに伝えられて、半導体ウエハに対するまたは半導体ウエハのための特定の処理を実行するための動作パラメータ、もしくは、システムへの動作パラメータを定義する命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態において、ウエハの1または複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ダイの加工中に1または複数の処理工程を達成するために処理エンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
コントローラは、いくつかの実施例において、システムと一体化されるか、システムに接続されるか、その他の方法でシステムとネットワーク化されるか、もしくは、それらの組み合わせでシステムに結合されたコンピュータの一部であってもよいし、かかるコンピュータに接続されてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよいし、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にできるファブホストコンピュータシステムの全部または一部であってもよい。コンピュータは、現在の処理のパラメータを変更する、現在の処理に従って処理工程を設定する、または、新たな処理を開始するために、システムへのリモートアクセスを可能にして製造動作の現在の進捗を監視する、過去の製造動作の履歴を調べる、複数の製造動作からの傾向または性能指標を調べうる。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)が、ネットワーク(ローカルネットワークまたはインターネットを含みうる)を介してシステムに処理レシピを提供してよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを備えてよく、パラメータおよび/または設定は、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データの形式で命令を受信し、命令は、1または複数の動作中に実行される処理工程の各々のためのパラメータを指定する。パラメータは、実行される処理のタイプならびにコントローラがインターフェース接続するまたは制御するよう構成されたツールのタイプに固有であってよいことを理解されたい。したがって、上述のように、コントローラは、ネットワーク化されて共通の目的(本明細書に記載の処理および制御など)に向けて動作する1または複数の別個のコントローラを備えることなどによって分散されてよい。かかる目的のための分散コントローラの一例は、チャンバでの処理を制御するために協働するリモートに配置された(プラットフォームレベルにある、または、リモートコンピュータの一部として配置されるなど)1または複数の集積回路と通信するチャンバ上の1または複数の集積回路である。
限定はしないが、システムの例は、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、蒸着チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属メッキチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層蒸着(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに、半導体ウエハの加工および/または製造に関連するかまたは利用されうる任意のその他の半導体処理システムを含みうる。
上述のように、ツールによって実行される1または複数の処理工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近くのツール、工場の至る所に配置されるツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、もしくは、半導体製造工場内のツール位置および/またはロードポートに向かってまたはそこからウエハのコンテナを運ぶ材料輸送に用いられるツール、の内の1または複数と通信してもよい。
上述の装置/処理は、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの加工または製造のために、リソグラフィパターニングツールまたは処理と共に用いられてもよい。通例、必ずしもそうとは限らないが、かかるツール/処理は、共通の製造施設で一緒に利用または実行されている。薄膜のリソグラフィパターニングは、通例、以下の工程の一部または全部を含み、各工程は、複数の可能なツールで実現される:(1)スピンオンまたはスプレーオンツールを用いて、ワークピース(すなわち、基板)上にフォトレジストを塗布する工程;(2)ホットプレートまたは炉またはUV硬化ツールを用いて、フォトレジストを硬化させる工程;(3)ウエハステッパなどのツールで可視光またはUVまたはX線にフォトレジストを暴露させる工程;(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、選択的にレジストを除去することによってパターニングするためにレジストを現像する工程;(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、下層の膜またはワークピースにレジストパターンを転写する工程;ならびに、(6)RFプラズマまたはマイクロ波プラズマレジストストリッパなどのツールを用いて、レジストを除去する工程。
一態様において、電解液生成/分配ツールの制御のためのプログラム命令を含む非一時的なコンピュータマシン読み取り可能媒体が提供されており、ここで、命令は、本明細書に提示された方法のいずれかを実行するためのコードを含む。
密度および導電率の測定実験
いくつかの実施形態では、陽極液中の金属および酸の濃度が目標範囲内にある時を決定するために、密度センサおよび導電率センサの両方が用いられる。Sn2+塩を含む溶液の密度がSn2+イオンの濃度に線形に依存し、酸濃度の変動と共に比較的小さい変化を表すことがわかった。図12Aは、メタンスルホン酸スズ(II)を含む水溶液の密度が、Sn2+イオンの濃度に依存することを示す実験のグラフを提供する。図12Aは、4つの線形依存を示しており、ここで、各線形関数は、一定濃度(0、30、45、および、60g/L)のメタンスルホン酸を有する溶液に対応する。すべての4つの場合において、スズイオン濃度への線形依存が広いスズイオン濃度範囲(0〜300g/LのSn2+)にわたって観察されること、および、異なる酸濃度を有するが同じスズイオン濃度を有する溶液の密度の変動が比較的小さいことがわかる。図12Bは、45g/Lの濃度のメタンスルホン酸と、285〜304g/Lの範囲のスズイオンとを含む溶液について、スズイオン濃度に対する溶液密度の依存性を示す。いくつかの実施形態において、これらの濃度は、陽極液の動作範囲である(すなわち、MSAの濃度が約45g/Lであり、スズイオンの濃度が約285〜305g/Lである)。
また、酸およびスズ塩を含む溶液の導電率は、様々なスズイオン濃度で酸の濃度に線形依存することが示された。図12Cは、スズイオンを含むMSA水溶液中のMSA濃度に対する導電率の依存を示す一群の線形曲線である。最大の傾きを持つ線形曲線は、スズイオンを含まないMSA溶液に対応し、最小の傾きを持つ線形曲線は、304g/Lのスズイオンを含むMSA溶液に対応する。残りの線形曲線は、50、100、150、200、250、および、300g/Lのスズイオンを含むMSA溶液に対応しており、ここで、線形曲線の傾きは、スズイオン濃度の上昇と共に小さくなる。図12Dは、30〜60g/LのMSA濃度範囲について、250、300、および、304g/Lの濃度のスズイオンを含むMSA溶液に対応する線形曲線を示す。これらの濃度は、いくつかの実施形態において、電解液生成中に陽極液中のMSAおよびスズイオンの動作濃度として見られる。スズイオンの濃度が安定している時には、導電率だけを用いて、陽極液中の酸の濃度を決定し、酸濃度の調整が必要であるか否かを判定してもよい。
カソード収容アセンブリは、図の実施形態において陽極液チャンバおよび第1の陰極液チャンバを直接分離する第1のアニオン透過膜329を備える。膜は、1または複数の開口部を有する壁の上に取り付けられてよく、開口部は、膜の取り付け後に膜によって被覆される。第1の陰極液チャンバ323および第2の陰極液チャンバ325は、第2のアニオン透過膜331によって分離され、この膜も、開口部を備えた壁上に取り付けられてよい。第1の陰極液チャンバは、流出口333と、陽極液チャンバ流入口337を通して第1の陰極液チャンバ323から陽極液チャンバへ陰極液を供給するよう構成された流体導管335とを有する。例えば、図の実施形態において、第1の陰極液は、陽極液よりも酸性度が高く、酸源として利用できるため、陽極液中の酸の濃度が低くなりすぎた場合に、陽極液に第1の陰極液チャンバからの第1の陰極液がドーズされてよい。第1の膜を通して陽極液から意図せずに移動したスズイオンを第1の陰極液チャンバからフラッシュする必要がある時に、陽極液に第1の陰極液チャンバから第1の陰極液をドーズしてもよい。第1の陰極液が第1の陰極液チャンバから陽極液チャンバへ移動されると、第1の陰極液の液位が低下するため、第1の陰極液は補充される必要がある。図の実施形態において、第1の陰極液は、第2の陰極液チャンバを第1の陰極液チャンバに接続する流体導管339を介して補充される。いくつかの実施形態において、流体導管339は、両端が開いた中空管であり、両方のチャンバ内の圧力が等しくなるまで、第2の陰極液が第1の陰極液チャンバに自動的に移動することを許容する。いくつかの実施形態において、流体導管339は、細長い直線であり、第1の陰極液の第2の陰極液チャンバへの拡散を妨げることにより、第2の陰極液チャンバへのスズイオンの意図せぬ移動を妨げる。
図3Aおよび図3Bに示した構成において、第1の陰極液チャンバ323は、酸溶液の導入のための専用流入口を持たず、その代わり、導管339を通して第2の陰極液チャンバ325からすべての必要な酸を受け取る。別の流体配置(図3Aおよび図3Bに示した両方の構成に適用可能である)では、導管339はなく、その代わり、第1の陰極液チャンバ325が、酸源343と流体連通する流入口を備え、装置は、この供給源からの酸をチャンバ323内の第1の陰極液にドーズするよう構成される。任意選択的に、水源345は、この実施形態において、第1の陰極液チャンバ流入口に流体接続されてもよく、装置は、必要な時に、第1の陰極液チャンバに水を供給するよう構成されてよい。
電解液生成装置の流体要素は、いくつかの実施形態において、システムコントローラと通信し、ここで、コントローラは、電解液生成装置の1または複数のセンサとも通信するよう構成される。センサは、コントローラにフィードバックを提供し、コントローラは、センサによって提供されたデータに応じて1または複数の処理パラメータを調整するための命令を備えるようプログラムされている。図4は、電解液生成装置の概略断面図であり、電解液の完全または部分的な自動生成のためにコントローラにデータを提供するのに利用可能な異なるタイプのセンサを図示している。図4に示す装置は、図3Aの装置と同様であり、図3Aおよび図3Bに示した流体要素が、図4に示す1または複数のセンサと共に利用されることがわかる。図3Aの低アルファ線スズアノードは、シングルピースの低アルファ線スズ金属(日本の東京のMitsubishi Materials社製またはニュージャージー州モリスタウンのHoneywell International社製)であるが、図4に示した装置は、イオン透過性のコンテナに配置された複数の低アルファ線スズペレットを用いており、ペレットがアノードとして機能する点で、図4に示した装置は、図3Aに示した装置とは異なる。通例、ペレットは、(最大寸法を参照すると)6mm未満であり、例えば、3mm未満である。ペレットは、円柱形、球形、または、ランダムな形状のペレットの混合物など任意のその他の形状の粒子であってよい。適切なペレットの一具体例は、円柱形ペレットであり、各ペレットは、約2.5mmの直径と、約2.5mmの長さとを有する。あるいは、同じ呼び寸法の球形ペレットが用いられる。図3Aおよび図3Bに示した流体要素を有する装置内で、図4に示したセンサと共に(ペレットベースのアノードにのみ用いられるペレットレベルセンサを除く)、両タイプのアノードを利用できる。
ドーズ/流体移送ポンプ631が、生成器の壁に取り付けられている様子が図6Aに示されており、複数のポンプ源およびポンプ送り先制御バルブ(例えば、633および635)に接続されており、その結果、この単一のポンプは、複数の生成器関連流体移送動作タスクを生成処理中の異なる時間に提供できる。ドーズ/流体転移送ポンプ631は、濃縮液体酸原料源603に接続されている。いくつかの実施形態において、酸源603は、濃酸(例えば、98%硫酸)もしくは酸水溶液(例えば、70%メタスルホン酸または30%スルファミン酸溶液)を含む。別の実施形態において、生成される電解液のタイプに応じて、異なるタイプの原料溶液がトート603へロードされてもよい。例えば、いくつかの実施形態において、非酸電解液が生成される場合、中性塩溶液、アルカリ溶液、または、金属キレート剤を含む溶液が、原料トートにロードされてよい。空気バルブの位置を適切な組み合わせの状態に設定することにより、酸トート603からカソード収容アセンブリチャンバ611または陽極液チャンバ613に濃酸溶液を移送できる。アノード反応領域606を通過せずに陽極液チャンバ613へ戻る陽極液再循環流全体の一部が、フィルタによって濾過される前または後に、流量計637によって監視される。
以前に述べたように、金属ペレットは、金属ペレットホッパ605を介してアノード反応領域606に供給される。ホッパは、蓋667と、上部から底部へ向かって傾斜した1または複数の表面とを有しており、上部の開口部から供給されたペレットが収容され、ペレットの流れは反応チャンバのペレット入口(すなわち、スロート)を通してアノード反応領域606へ方向付けられる。電解液生成器が「オン」であり、アノード電流および電位がアノードバス671に印加されると、電流は、アノード荷電板607上およびペレットに流れる。2つのアノードバス671は、アノード反応領域606の周囲に沿って伸びており、接続ボルトを用いてアノードホッパ605のプラスチック壁に通されている。