JP2017100149A - 超硬合金ワークロールおよびその運用方法 - Google Patents

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Yukihiro Matsubara
行宏 松原
植野 雅康
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雅康 植野
高嶋 由紀雄
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由紀雄 高嶋
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Abstract

【課題】ロール原単位を著しく悪化させることなく、超硬合金の長所である高ヤング率の効果を享受する超硬合金ワークロールおよびその運用方法を提供すること。【解決手段】外周が超硬合金であるロール部とCrめっき層を備える超硬合金ワークロールであって、前記ロール部の外周に前記Crめっき層を備え、前記Crめっき層の厚さが10μm以上200μm以下である、超硬合金ワークロール。【選択図】なし

Description

本発明は、超硬合金ワークロールおよびその運用方法に関する。
冷間圧延の際、ワークロールは、被圧延材との接触によるヘルツ圧により、扁平する。ワークロールの扁平量が大きいほど、圧延荷重が大きくなるために、冷間圧延が困難になることは周知である。ワークロールの扁平量はワークロールのヤング率の影響を大きく受け、特許文献1に記載のように、特に、ワークロール外周部のヤング率、及び、その厚み比率が重要である。
鉄鋼、銅などの金属材料の冷間圧延において、ワークロールの耐磨耗性向上(ロール原単位の向上)によるワークロールの高品質化、製品表面品質の向上への要求から、ワークロールの高平坦度化とその維持の長期化が進んでいる。さらに、近年では、地球環境問題への対応など、鋼板等の製品の高強度化、薄物化に対する要求が強くなってきている。高強度材、薄物材を圧延しようとすると、ワークロールの扁平が増大して圧延荷重が増加し圧延が困難となる場合がある。そこで、ヤング率が高く、ロール扁平し難い超硬合金のワークロールが使用されている。
例えば、特許文献2には、外層を超硬合金とし軸心を鋼系の材料で構成した複合ロールが提案されている。この複合ロールは、良好な耐磨耗性や高ヤング率という超硬合金ワークロールの長所を維持しながら、大径長尺のワークロールを製作可能という特徴がある。
しかしながら、一般的に、超硬合金ワークロールには、冷間圧延のワークロールとして利用する際、以下のような欠点がある。すなわち、超硬合金ワークロールとバックアップロール、あるいは、超硬合金ワークロールと被圧延材の間に異物が挟まり、圧延時のヘルツ圧により、超硬合金ワークロールが局所的に凹んでしまい、深さ数十μm程度の凹み疵が発生するという問題である。超硬合金ワークロールが凹むと、後続の被圧延材に転写し、製品表面にワークロール回転周期ごとに疵、模様が発生するため、表面品質に厳しい冷延鋼板では、製品にならない。
このため、超硬合金ワークロールに凹み疵が発生すると、超硬合金ワークロールを交換する等の対処が必要となる。
なお、熱間圧延では、被圧延材は冷間圧延に比べ軟質であるため、超硬合金ワークロールと被圧延材間に異物が挟まった場合も、被圧延材側が凹むことが多い。また、超硬合金ワークロールが凹んだとしても、熱間圧延後の鋼板は表面にスケールが生成しており凹みは該スケールにより吸収され、その後スケールは酸洗除去されるため、問題にならない場合が多い。
上記のような問題に対し、特許文献3には、WC含有量を増加させ、超硬合金の外層における押し込み硬さHRAを86以上とすることにより、凹み疵が発生し難い超硬合金ロールが提案されている。しかしながら、特許文献3にも記載のように、凹みを完全に防止するには至っていない。凹みが発生すると、圧延機から外してロール研磨により凹みを除去、平坦化しなければならず、超硬合金は高価であるため、ロールコストが著しく悪化する。更に、超硬合金は硬質であるため、研磨コストも著しく高額になる。よって、超硬合金適用のメリットがなくなってしまうのである。
特開平10−5825号公報 特開平10−263628号公報 特開2004−136296号公報
上記従来技術に鑑み、ロール原単位を著しく悪化させることなく、超硬合金の長所である高ヤング率の効果を享受する超硬合金ワークロールおよびその運用方法を提供することを、本発明の課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、超硬合金であるロール部の外層に凹みが発生した場合、Crめっきにより凹みを平坦化でき、その結果凹み疵が鋼板に転写しないこと、及び、ヤング率の低いCrめっき層をワークロール最外層にした場合も、超硬合金の有する高ヤング率の効果を阻害しないことを知見し、本発明を完成させるに至った。本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]外周が超硬合金であるロール部とCrめっき層を備える超硬合金ワークロールであって、前記ロール部の外周に前記Crめっき層を備え、前記Crめっき層の厚さが10μm以上200μm以下である、超硬合金ワークロール。
[2]前記超硬合金ワークロールの外径が50mm以上150mm未満であり、前記ロール部は超硬合金からなる、[1]に記載の超硬合金ワークロール。
[3]前記超硬合金ワークロールの外径が50mm以上700mm以下であり、前記ロール部は、超硬合金を外層とし、これが鋼軸心に固定された構成を有する、[1]に記載の超硬合金ワークロール。
[4]外周が超硬合金であるロールの表面に発生した凹みを、超硬合金の研磨により平坦化することなく、Crめっきにより平坦化する、超硬合金ワークロールの運用方法。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載した超硬合金ワークロールの表面に発生した凹みを、超硬合金の研磨により平坦化することなく、Crめっきにより平坦化する、超硬合金ワークロールの運用方法。
本発明によれば、ロール原単位を著しく悪化させることなく、超硬合金の長所である高ヤング率の効果を享受し、高強度材、薄物材の冷間圧延が可能になる。
図1は、ワークロールの圧延特性を示す図である。 図2は、ワークロールの凹み性を示す図である。 図3は、Crめっきによる凹みの平坦化を示す図面である。 図4は、Crめっきにより凹みを平坦化したワークロールで圧延した鋼板のプロフィールを示す図である。
以下に、本発明の実施形態を説明する。
超硬合金の外周にCrめっき層を設けた場合の圧延特性を調査した。外径100mm、バレル幅300mmのワークロールを用意し、圧延特性を評価した。ワークロールは以下の3種とした。
(1)5%Cr鋼:一般的に冷間圧延で使用されるCrを5質量%程度有する材質、ヤング率;21,000kgf/mm
(2)複合ロール:外層は厚さ6mmの超硬合金、超硬合金のWC合金量は80質量%、超硬合金のヤング率は48,000kgf/mm、軸心は上記(1)と同質の5%Cr鋼。
(3)Crめっき複合ロール:上記の(2)の複合ロールの外周に厚さ50μmのCrめっき層を備えたもの。
いずれもワークロール表面を0.2μmRaに円筒研磨したものであり、これらを圧延特性の評価に用いた。供試材は、3.2質量%Si含有の珪素鋼板とし、板厚0.30mm・板幅150mmのコイルを、圧延荷重60tonf、張力20kgf/mmの一定条件で圧延し、板厚0.15mmまで圧延するのに必要なパス数を調査した。なお、市販の冷間圧延油を濃度5%で供給(エステルを基油とした圧延油で、水で5%に希釈して供給)しながら、圧延速度5mpmで圧延した。
図1に得られた評価結果を示す。図1では、複合ロールとCrめっき複合ロールのグラフがほぼ重なっている。5%Cr鋼では4パス必要であるのに対し、複合ロールでは2パスで圧延可能になっており、超硬合金の優れた圧延特性が確認できる。これに対し、Crめっき複合ロールの場合も、複合ロールと同じパス数で圧延できた。すなわち、ワークロール最外層のCrめっき層は、ヤング率が低いものの、ワークロールとしてのヤング率を低下させないことを知見した。また、厚さ50μm程度の薄いCrめっき層の場合、ワークロール全体の扁平への影響は小さく、荷重をほとんど増大させないことをも発見した。
次に、ワークロール凹みに対する対処法を調査した。まず、上述のように、冷間圧延において、ワークロールとバックアップロール間、あるいは、ワークロールと被圧延材間に異物が噛み込むと、ワークロールが凹むことは避け難い。これは、上記(1)〜(3)のいずれのワークロールであっても同様である。上記複合ロールの場合、外層が超硬合金であるため、研磨コストが高い、及び、ロール原単位が高いことが問題であった。本発明者らは、超硬合金の凹みを防止するのではなく、また、凹みを研磨して平坦化するのでもなく、Crめっきにより、凹みを平坦化することに想到した。
異物噛み込みによる、ワークロールの凹みの程度、及び、ワークロール凹みの鋼板への転写性を評価した。外径70mm、バレル幅40mmのワークロールと外径140mm、バレル幅40mmのバックアップロールを用意し、異物としてφ1mmの鋼線(JISG 3521号に規定のSW−B)を用意してワークロールとバックアップロールの間に噛み込ませ、10tonfの荷重(実機製造ライン相当の240kgf/mmのヘルツ圧)を負荷し、ワークロールの凹み量(凹み深さ)を調査した。ワークロールは上記実験と同様に、(1)5%Cr鋼、(2)複合ロール、(3)Crめっき複合ロールの3種とした。
図2に得られた結果を示す。複合ロールの凹み量が25μm程度と最も大きく、5%Cr鋼は凹み量が15μm程度であり、Crめっき複合ロールは凹み量が13μm程度と最も小さく、複合ロールと比べて半減した。しかしながら、いずれの場合も凹みは発生している。この凹んだワークロールを用いて冷間圧延すると、ワークロールの凹みは鋼板に転写し、品質不適合となることが予想される。
これに対し、異物噛み込みにより凹みの発生した(2)複合ロールに厚さ150μmのCrめっきを施し、更に厚さ100μm分を研磨した場合のワークロール幅方向のプロフィールを測定した。また、比較のため、同一箇所について、Crめっき前のプロフィールも併せて測定した。なお、それぞれ、3ヶ所について幅方向のプロフィールを測定した。図3に結果を示す。Crめっきにより、凹みを解消しワークロール表面を平坦化できている。このワークロールを用い、2.0mm厚の鋼板に、圧下率50%の冷間圧延を施し、得られた鋼板について幅方向のプロフィールを測定した。図4に結果を示すように、鋼板に凹凸は確認できず、実機製造ラインにおいても、品質不適合になることはないと判断できる。
以上の実験により、複合ロールの表面に凹みが発生した場合、超硬合金を研磨せず、Crめっきをすることで、表面が平坦な鋼板を圧延できた。また、ワークロール最外層のCrめっき層は、ヤング率が低いものの、ワークロールとしてのヤング率を低下させないことをも知見した。また、Crめっき層に凹みが生じた場合は、該Crめっき層を剥がして、再度、新たにCrめっき層を形成すればよいと考えた。
本発明の超硬合金ワークロールは、外周が超硬合金であるロール部とCrめっき層を備える超硬合金ワークロールであって、前記ロール部の外周に前記Crめっき層を備える。外周のCrめっき層は、ロール部外周の超硬合金に対して直接設ける必要がある。その理由は、ヤング率の低下を抑制する、凹みが生じたCrめっき層の剥離/再度のCrめっき処理という簡便なCrめっき層の入れ替えを実現するためである。
本発明において、Crめっき層の厚さは10μm以上200μm以下である。厚さ10μm未満では表面の平坦度を制御することが困難な上、凹みを平坦化することが不可能となる。よって、Crめっき層の厚さは10μm以上とし、好ましくは20μm以上である。一方、厚さが200μmを超えると、Crめっきのコスト増を招くとともに、超硬合金とCrめっき層の密着性が低下し、圧延時にCrめっき層が剥離しやすくなる。よって、Crめっき層の厚さは200μm以下とし、好ましくは50μm以下である。
超硬合金は特に限定されず、例えば、主成分がWCのもの(以下WC系とも称する。)、サーメット等を使用可能であり、好ましくは、WC系である。WC系超硬合金におけるWC含有量は75質量%以上が好ましい。超硬合金はバインダーを含んでも含まなくてもよい。なお、WC系超硬合金がバインダーを含む場合、該バインダー成分として、例えば、Co、Cr、Ni等がある。
本発明の超硬合金ロールの外径は特に限定されず、好ましくは50mm以上700mm以下である。本発明は超硬合金ワークロールのロール部の構成を適宜選択してよい。例えば、ワークロールは超硬合金からなってもよい。また、超硬合金製円筒スリーブを外層として鋼製軸心に固定したロール部とすることもできる。該固定の方法は特に限定されず、焼き嵌め、金属結合等がある。外層として超硬合金を有する場合、厚さは5〜200mmとすることが好ましい。なお、超硬合金ワークロールの外径が50mm以上の場合、超硬合金製円筒スリーブを鋼製軸心に固定したロール部とすることもできる。また、外径が150mm未満の場合、ロール部を超硬合金製とすることもできる。他の観点では、製造性や製造コストを勘案し、ロール部の構造を適宜決定すればよい。
本発明の超硬合金ワークロールの運用方法は、上記超硬合金ワークロールの表面に発生した凹みを、超硬合金の研磨により平坦化することなく、Crめっきにより平坦化する。上記超硬合金ワークロールは外周が超硬合金であるロール部と該ロール部の外周に備えられたCrめっき層を有する。よって、仮に表面に重度の凹みが発生した場合、例えば、凹みが発生したCrめっき層を剥がし、次いでロール部外周にCrめっきを施し、表面を研磨して平坦化する、という簡便な作業で超硬合金ワークロールの表面を平坦化できる。
以下に、本発明の実施例を説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
(実施例1)
外径130mm、幅1400mmの5%Cr鋼ロール、同サイズの複合ロール(外層:厚さ6mmの超硬合金、超硬合金のWC合金量;80質量%、残部バインダーをCo、超硬合金のヤング率;48,000kgf/mm、軸心:5%Cr鋼)の2種のワークロールを用い、SUS304ステンレス鋼帯を3.0mmから0.3mmまで冷間圧延するのに必要なパス数を比較した。
また、荷重1,000ton圧延する際のロール運用コストを比較した。すなわち、両ワークロールについて、凹みが発生した場合、研磨により除去する方法とCrめっきにより平坦化する方法のそれぞれを比較した。なお、ワークロールの運用中にCrめっき層に凹みが発生した場合、Crめっき層を剥がして、再度、Crめっきした。本実施例において、ワークロールに形成するCrめっき層の厚さは25μmとした。
なお、ロール運用コストの比較において、従来例の5%Cr鋼+研磨(5%Cr鋼ロールを使用し、表面に凹みが生じた場合は研磨により表面を平坦化することを意味する)の場合を1.0とし、各条件のロール運用コストを算出した。表1に結果をまとめて示す。
従来例の5%Cr鋼+研磨の場合に対し、比較例の5%Cr鋼+Crめっき(5%Cr鋼ロールを使用し、表面に凹みが生じた場合はCrめっきおよびCrめっき層の研磨により表面を平坦化することを意味する。)の場合、パス数は同じであった。しかし、Crめっきのコストに伴い、ロール運用コストが増加した。
同じく比較例の複合ロール+研磨の場合、パス数は削減できた。しかし、凹みが発生した場合、それを研磨で平坦化するコストと超硬合金の研削ロスによるロール運用コストの大幅増加を招いた。結果として、上記パス数削減のメリットを享受できなくなった。
本発明例の複合ロール+Crめっきの場合、パス数を削減できるとともに、凹みが発生した場合も、硬質・高価な超硬合金を研磨することなく(ロール原単位の向上)Crめっきをやり直すだけですむので、ロール運用コストの増加はわずかであった。また、ロールの凹みが生じた場合も、Crめっきすることにより、凹みが製品表面に転写することはなかった。よって、パス数削減のメリットを十分に享受できるようになった。
以上、外周が超硬合金であるロールとCrめっきを併用することにより、超硬合金製ロールの欠点を補い、ロール運用コストを著しく劣化させることなく、パス数を削減できることを示した。
(実施例2)
実施例1における本発明例(複合ロール+Crめっき)において、Crめっき層の厚さを5μmとしたところ、表面の平坦度を制御することが困難な上、凹みを平坦化することが不可能であったため、ステンレス鋼帯の表面に疵や模様が発生してしまった。
また、Crめっき層の厚さを250μmとしたところ、ロール運用中にCrめっき層が剥離してしまい、円滑なロール運用ができなかった。

Claims (5)

  1. 外周が超硬合金であるロール部とCrめっき層を備える超硬合金ワークロールであって、
    前記ロール部の外周に前記Crめっき層を備え、
    前記Crめっき層の厚さが10μm以上200μm以下である、超硬合金ワークロール。
  2. 前記超硬合金ワークロールの外径が50mm以上150mm未満であり、
    前記ロール部は超硬合金からなる、請求項1に記載の超硬合金ワークロール。
  3. 前記超硬合金ワークロールの外径が50mm以上700mm以下であり、
    前記ロール部は、超硬合金を外層とし、これが鋼軸心に固定された構成を有する、請求項1に記載の超硬合金ワークロール。
  4. 外周が超硬合金であるロールの表面に発生した凹みを、超硬合金の研磨により平坦化することなく、Crめっきにより平坦化する、超硬合金ワークロールの運用方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載した超硬合金ワークロールの表面に発生した凹みを、超硬合金の研磨により平坦化することなく、Crめっきにより平坦化する、超硬合金ワークロールの運用方法。
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