JP2017104802A - シアン含有廃水の処理方法 - Google Patents

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康平 市川
隼人 天田
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隼人 天田
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【課題】特別の薬剤を使用することなく、様々な形態のシアンを含むシアン含有廃水中のシアン成分を、中性域でより効率よく簡便に酸化分解処理することができるシアン含有廃水の処理方法の提供。【解決手段】シアン化物イオン及びWADシアンからなる群から選択される成分を少なくとも含有する廃水に、酸化剤を添加して廃水中のシアンを酸化剤によって酸化分解する際に、前記酸化剤として少なくとも次亜塩素酸又は過酸化水素を用い、且つ、前記酸化分解を、pH6.0以上9以下の中性域で行うシアン含有廃水の処理方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、シアン含有廃水からシアン成分を分解除去するためのシアン含有廃水の処理方法に関し、特に、メッキなどを行う化学工場や、石炭工場、コークス工場、コークスを大量に用いる工場などで生ずる、様々な形態のシアンを含むシアン含有廃水中のシアン成分を、より効率よく経済的に酸化分解処理するシアン含有廃水の処理方法に関する。
従来より、2000ppm以下の数百ppm程度の濃度のシアン含有廃水の処理では、アルカリ塩素法を用いることが一般的である。ここで、上記した工場から生じるシアン含有廃水を構成するシアン成分は、金属のシアン化合物(シアン化水素の塩)、シアンイオン(遊離シアン)、シアノ錯体(錯イオン及びその塩)等を含む。ここで、亜鉛シアノ錯体、ニッケルシアノ錯体、銅シアノ錯体、銀シアノ錯体など、酸性条件下でシアン化水素が容易に遊離するようなシアノ錯体は、WADシアンと呼ばれている。アルカリ塩素法では、処理対象の廃水に、ORP制御で次亜塩素酸ソーダを添加し、pH10以上でシアンをシアン酸にし(1段目)、次に、pHを中性付近にして、シアン酸を窒素と炭酸ガスにまで分解し、シアンを無害化している。シアンが金属と配位結合したシアノ錯体の多くも、この方法で分解処理されている。しかし、この方法では、例えば、鉄シアノ錯体([Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-)等の、金属イオンと大きな結合力をもって錯体化したシアン化合物の分解は難しいことが知られており、この点に対して種々の検討がなされている(例えば、特許文献1、2等参照)。また、次亜塩素酸塩とマンガン化合物との併用によって、上記の方法における煩雑なpH調整を不要にできるとした提案もある(特許文献3参照)。
特開2012−157798号公報 特許第4382556号公報 特許第4106415号公報
しかしながら、煩雑なpH調整を不要とした従来技術ではマンガン化合物を使用しているため、処理水中に生成した水不溶性のマンガン塩を除去する必要が生じるという別の課題があった。
したがって、本発明の目的は、特別の薬剤を使用することなく、様々な形態のシアンを含むシアン含有廃水中のシアン成分を、中性域でより効率よく簡便に酸化分解処理することができるシアン含有廃水の処理方法を提供することにある。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、シアン化物イオン及びWADシアンからなる群から選択される成分を少なくとも含有する廃水に、酸化剤を添加して廃水中のシアンを酸化剤によって酸化分解する際に、前記酸化剤として少なくとも次亜塩素酸又は過酸化水素を用い、且つ、前記酸化分解を、pH6.0以上9以下の中性域で行うことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法を提供する。
本発明の好ましい形態としては、下記のことが挙げられる。前記酸化分解を、35〜80℃の温度範囲で行うこと;前記廃水が、アンモニア或いはチオシアン酸イオンを含有する場合に、前記酸化剤として過酸化水素を使用すること;前記廃水が、アニオン性の金属シアノ錯体を含有する場合に、前記酸化分解の前或いは後に、アルミニウム塩、カチオン性高分子凝集剤及び鉄塩からなる群から選択されるいずれかを加え、金属シアノ錯体を析出させ、その後に析出物を固液分離すること;前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムであること;が挙げられる。
本発明によれば、特別の薬剤を使用することなく、様々な形態のシアンを含むシアン含有廃水中のシアン成分を、中性域でより効率よく簡便に酸化分解処理することができるシアン含有廃水の処理方法が提供される。
酸化剤として次亜塩素酸ソーダを用いた場合の処理結果である。 酸化剤として過酸化水素を用いた場合の処理結果である。 シアンを含有する実廃水について、塩化アルミニウムを用いて凝集処理した結果を示した。 アルミニウム塩を使用して固液分離する前処理を行った後、酸化剤で処理する系の一例を示す処理フローである。
以下、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。上記した従来技術における現状に対し、本発明者らは鋭意検討した結果、下記のことを見出して本発明を達成した。本発明者らは、従来のアルカリ塩素法について鋭意検討した結果、1段目で、次亜塩素酸ソーダを添加し、pH10以上でシアンをシアン酸に分解する、という従来の技術常識に反し、特別の薬剤を用いることなく、pH6以上10未満、より好ましくはpH6以上9以下の中性域で、次亜塩素酸ソーダや過酸化水素等の酸化剤を用いて酸化分解することで、良好に分解できることを見出した。すなわち、本発明は、中性域でシアンを酸化分解するものでありながら、従来技術のように、酸化剤である次亜塩素酸塩に加えてマンガン化合物のような別の薬剤を併用する必要がないことを見出した。
また、本発明者らは鋭意検討する過程で、処理対象の廃水中にはチオシアン酸塩が含有されていることがあるが、その場合に、酸化剤として次亜塩素酸ソーダを用い、且つ、その濃度が高く、次亜塩素酸ソーダを過剰に添加すると、図1−1に示したように、処理水中のT−CN濃度(全シアン濃度、JIS K−0102に規定される方法で測定)が、次亜塩素酸を低い添加濃度で添加した場合の処理水中のT−CN濃度を上回る数値を示すことがわかった。これは、廃水中のチオシアン酸イオンが、酸化剤として添加した次亜塩素酸と反応し、塩化シアン (シアン化合物として検出される)が生成したためと考えられる。
本発明者らは、この点の対応策について検討した結果、酸化剤として次亜塩素酸ソーダを用いることなく、過酸化水素を用い、或いは、次亜塩素酸ソーダに併用して過酸化水素を用いることで解決できることを見出した。すなわち、酸化剤として過酸化水素を用いれば、図1−2に示したように、上記した問題は認められず、過酸化水素を過剰添加したとしても良好な処理がされることがわかった。さらに、アンモニアを含有する場合には、次亜塩素酸がアンモニアと反応することによって次亜塩素酸が消費され、シアンを処理するために多量の次亜塩素酸が必要である場合もあり、この点においても過酸化水素を利用することで効率のよい処理を行うことが可能になる。
さらに、処理対象の廃水中には、フェロシアンやフェリシアン等のアニオン性の金属シアノ錯体を含有する場合が多いが、先述したように、これらについてはアルカリ塩素法で分解することは難しかった。本発明者らは、この点について鋭意検討した結果、酸化分解の前もしくは後に、これらの金属シアノ錯体成分を、効果的に固液分離する方法を見出した。すなわち、アニオン性の金属シアノ錯体を含有する廃水に、アルミニウム塩、カチオン性高分子凝集剤及び鉄塩からなる群から選択されるいずれかを加えることで、効果的にアニオン性の金属シアノ錯体を固液分離することができる。中でも、塩化アルミニウムや硫酸アルミニウムなどのアルミニウム塩、或いは、カチオン性高分子凝集剤を用いることで、原水中のアニオン性の金属シアノ錯体を効果的に固液分離することができることを見出した。固液分離の一般的な方法としては、アニオン性有機高分子凝集剤を用いて固液分離することが知られている。これに対し、本発明者らの検討によれば、上記したように、アルミニウム塩或いはカチオン性高分子凝集剤、特にアルミニウム塩を用いることで、従来行われているアニオン性有機高分子凝集剤を用いた方法では到底得ることができない、アニオン性の金属シアノ錯体についての効果的な固液分離の実現が可能になる。
さらに、本発明者らの検討によれば、上記固液分離の際に、シアン含有廃水中に、石炭、コークス、黒鉛、活性炭、酸化鉄粉又は粘土鉱物のいずれかが含まれているか、或いは、これらのいずれかを添加して含有させた場合に、その処理効率をより向上させることができることがわかった。その理由は、これらの物質が、効率的に不溶化したシアン化合物を吸着できたためと考えている。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。%とあるのは、特に断りがない限り、質量基準である。
(各種シアン化合物の分解と、試験水のpHとの違いについての検討)
水道水200mlに、下記の形態の異なるいずれかのシアン化合物を4mg−CN/Lとなる量で添加して、試験用の各模擬廃水とした。使用したシアン化合物は、[Zn(CN)4]2-、[Fe(CN)6]4-、[Ni(CN)4]2-及びCN-であり、いずれもNa塩である。そして、各模擬廃水について、酸化剤として、12%次亜塩素酸ソーダと、35%過酸化水素とを、添加量を表1に示したように添加し、更に、各模擬廃水のpHを、6.0、7.5、9.0及び10.5にそれぞれ調整し、40℃で30分間撹拌して、それぞれ処理した。
その後、10%チオ硫酸ソーダを適量添加して残った酸化剤を還元し、得られた処理水中の全シアン濃度(T−CN)を、JIS K 0102に規定されている全シアン加熱蒸留法に従って測定した。その結果を表1に示した。
Figure 2017104802
表1に示したように、CN-は、6.0〜10.5のいずれのpHにおいても、酸化剤に、次亜塩素酸ソーダを用いた場合も、過酸化水素を用いた場合も、いずれの場合も良好に分解されることが確認された。また、[Zn(CN)4]2-についても、酸化剤として次亜塩素酸ソーダ及び過酸化水素のいずれを用いた場合も、6.0〜10.5のいずれのpHにおいても良好に分解されることが確認された。一方、[Fe(CN)6]4-については、これらの酸化剤による分解は困難であった。さらに、[Ni(CN)4]2-については、過酸化水素では良好な分解ができなかったものの、酸化剤として次亜塩素酸ソーダを用いることで、6.0〜10.5のいずれのpHにおいても良好に分解されることがわかった。
(実廃水について、酸化剤の種類による処理性の検討)
シアンを含有していることが明らかな工場からの実廃水を原水として用いた。表2に、原水の性状を示した。
Figure 2017104802
<試験方法>
上記した実廃水である原水を用い、中性域のpHのままで酸化剤を用いてシアンの酸化分解処理を行い、酸化剤の種類による酸化分解反応の傾向について確認した。具体的には、前記の原水200mLを40℃に加温し、酸化剤として、35%の過酸化水素と、12%の次亜塩素酸ソーダをそれぞれに用いた。その際、過酸化水素は43.8〜175mg−H22/Lの範囲で段階的に添加し、次亜塩素酸ソーダは、60〜240mg−NaClO/Lの範囲で段階的に添加した。酸化分解処理は、30分間、撹拌することで行った。その後、10%チオ硫酸ソーダを適量添加して残った酸化剤を還元し、得られた処理水中の全シアン濃度(T−CN)を、前記したと同様に、全シアン加熱蒸留法に従って測定した。そして、得られた結果を、図1−1と、図1−2にそれぞれ示した。図1−1は、酸化剤として次亜塩素酸ソーダを用いた場合であり、図1−2は、酸化剤として過酸化水素を用いた場合である。
図1−1に示したように、酸化剤に次亜塩素酸ソーダを用いた場合は、次亜塩素酸ソーダの添加量が増加すると、T−CNの値が増加する傾向が見られた。その理由を検討した結果、後述の表3の結果から、上記の試験に使用した原水は、チオシアン酸イオン(SCN-)の濃度が50mg/Lと高いことに起因していると考えられた。
(チオシアン酸イオン(SCN-)の濃度と、次亜塩素酸ソーダの添加量についての検討)
比較用に、チオシアン酸イオン(SCN-)の濃度がゼロの純水を用意した。また、同様の純水に、1.2mg−SCN/LとなるようにNaSCNを添加し、試験用のSCN溶液を作製した。上記で用意した純水と、SCN溶液に、次亜塩素酸ソーダを表3に示した量それぞれ添加し、pHを7.0に調整して15分間撹拌して得られた反応液を処理水とした。得られた処理水中の全シアン濃度(T−CN)を、前記したと同様にして測定した。得られた結果を、表3に示した。表3の結果から、本発明者らは、次亜塩素酸ソーダの添加量が増加すると、T−CNの値が増加した理由は、廃水中のチオシアン酸イオンが、酸化剤として添加した多量の次亜塩素酸と反応し、塩化シアン(シアン化合物として検出される)が生成したためと考えている。この理由は、図1−1の処理結果が得られた原水は、表2に示したように、原水中のチオシアン酸イオン濃度が50mg/Lと高かったこととも合致する。
Figure 2017104802
(前処理方法についての検討及び結果)
表2に示したように、実廃水には、従来のアルカリ塩素法によっては分解が難しい金属シアノ錯体が含まれていると考えられる。そこで、表2に示した実廃水である原水を用い、金属シアノ錯体を除去することについての検討を行った。
<模擬廃水を用いての凝集剤として機能する物質の検討>
40℃の純水200mLに、それぞれの薬剤を添加して、[Zn(CN)4]2-、[Fe(CN)6]4-、[Fe(CN)6]3-、[Ni(CN)4]2-のうちのいずれか1つが、4mg−CN/Lの濃度で含有された模擬廃水を調製した。そして、各模擬廃水に、凝集剤として機能すると考えられる下記の化合物をそれぞれの濃度で添加した。具体的には、直鎖型カチオン性高分子凝集剤(商品名:NCS−1980、日鉄住金環境社製、エマルジョン型高分子凝集剤)は、20mg−成分/Lの濃度で用い、架橋型カチオン性高分子凝集剤(商品名:NCS−1540、日鉄住金環境社製、エマルジョン型高分子凝集剤)は、50mg/Lの濃度で用い、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、塩化アルミニウム及び硫酸アルミニウムは、それぞれ12.5mg−Al/L又は25mg−Al/Lの濃度で用いた。
そして、模擬廃水に上記物質をそれぞれに添加し、pHを7.5に調整し、40℃で19.5分撹拌した。その後、アニオン性有機高分子凝集剤であるポリマーKEA−520(日鉄住金環境株式会社製)を1mg/Lの濃度となるように添加し、30秒間撹拌した後、5種Aのろ紙で濾過した。そして、得られた処理液(ろ液)について、前記したと同様の方法で、全シアン濃度(T−CN)を測定した。表4に、得られた結果を示した。その結果、鉄シアノ錯体は、塩化アルミニウム或いは硫酸アルミニウムを用いることで、効果的に凝集・沈殿させることができることを確認した。また、特に塩化アルミニウムを用いることで、鉄シアノ錯体等を効果的に凝集・沈殿させることができることを確認した。
Figure 2017104802
<塩化アルミニウムを凝集剤とした場合の実廃水に対する効果の検討>
表2に示した性状の原水を用いて検討を行った。40℃の原水に、塩化アルミニウムを12.5〜50mg−Al/Lの範囲内で段階的に添加し、下記のようにして処理した。具体的には、pHを7.5に調整し、19.5分撹拌後、アニオン性有機高分子凝集剤であるポリマーKEA−520(日鉄住金環境株式会社製)を1mg/Lの濃度となるように添加し、30秒間撹拌した後、5種Aのろ紙で濾過した。そして、得られた処理液(ろ液)について、前記したと同様の方法で、全シアン濃度(T−CN)を測定した。その結果を図2に示した。図2に示したように、シアンを含有する実廃水についても、塩化アルミニウムを用いることで、その一部のシアンを固液分離して除去できることを確認した。具体的には、原水における溶解性の全シアン濃度(T−CN)が2.3mg/Lであったのに対し、塩化アルミニウムを50mg−Al/L添加した系では、その30%程度を除去できた。この結果、酸化剤を適宜に選択することに加え、図3に示したようなフローで処理すれば、様々な形態のシアン成分を含有する実廃水に対して良好な処理ができることが期待される。

Claims (5)

  1. シアン化物イオン及びWADシアンからなる群から選択される成分を少なくとも含有する廃水に、酸化剤を添加して廃水中のシアンを酸化剤によって酸化分解する際に、前記酸化剤として少なくとも次亜塩素酸又は過酸化水素を用い、且つ、前記酸化分解を、pH6.0以上9.0以下の中性域で行うことを特徴とするシアン含有廃水の処理方法。
  2. 前記酸化分解を、35〜80℃の温度範囲で行う請求項1に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  3. 前記廃水が、アンモニア或いはチオシアン酸イオンを含有する場合に、前記酸化剤として過酸化水素を使用する請求項1又は2に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  4. 前記廃水が、アニオン性の金属シアノ錯体を含有する場合に、前記酸化分解の前或いは後に、アルミニウム塩、カチオン性高分子凝集剤及び鉄塩からなる群から選択されるいずれかを加え、金属シアノ錯体を析出させ、その後に析出物を固液分離する請求項1〜3のいずれか1項に記載のシアン含有廃水の処理方法。
  5. 前記アルミニウム塩が、塩化アルミニウム又は硫酸アルミニウムである請求項4に記載のシアン含有廃水の処理方法。
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