JP2017109385A - 微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池、及び微多孔フィルムの製造方法 - Google Patents

微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池、及び微多孔フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】融点が異なる2種類以上の樹脂からなる多孔膜を積層しなくとも優れたシャットダウン機能を有する微多孔フィルムを提供する。
【解決手段】微小孔部を有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムと、前記オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び前記微小孔部の壁面に形成された被覆層とを含み、前記被覆層が前記オレフィン系樹脂の融点より低い融点である変性ポリプロピレンを含有する微多孔フィルム。前記オレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、前記変性ポリプロピレンの融点が70〜130℃である微多孔フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、微多孔フィルム、非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池、及び微多孔フィルムの製造方法に関する。
従来から携帯用電子機器の電源としてリチウムイオン二次電池が用いられている。このリチウムイオン二次電池内では、正極、セパレータ、及び負極がこの順で積層されており、正極と負極とを仕切るようにセパレータを配設することによって、正極と負極との短絡を防止している。そして、リチウムイオン電池の充電時には、正極からリチウムイオンが放出されて負極内に移動する。一方、リチウムイオン電池の放電時には、負極からリチウムイオンが放出されて正極に移動する。
このようなリチウムイオンの移動は、非水電解液を介して行われる。したがって、正極、セパレータ、及び負極にそれぞれ含まれている空隙中には非水電解液が高密度で充填されている。なかでも、電池の放電容量や寿命を向上させるために、セパレータには、多くの非水電解液を均一に保持できることが特に必要とされている。
セパレータとしては、絶縁性及びコスト性に優れていることから、オレフィン系樹脂微多孔フィルムが用いられている。オレフィン系樹脂微多孔フィルムの中でポリエチレン系樹脂微多孔フィルムは、環境温度が130℃付近まで上昇すると微多孔が閉塞され、リチウムイオンの移動ができなくなるシャットダウン機能を有するため、融点以下では熱安全性が高い。しかし、融点が約136℃と低いため融点を超える高温環境下では熱収縮が発生し、その結果、正極と負極とを短絡させる可能性が指摘されている。一方、ポリプロピレン系樹脂微多孔フィルムは、融点が約168℃と高いためポリエチレン系樹脂微多孔フィルムより高温環境下での熱収縮が抑制されるが、異常発熱時におけるリチウムイオン移動を遮断するシャットダウン機能が無いため、効果的に発熱を抑制することができない。したがって、オレフィン系樹脂微多孔フィルムには、熱収縮が抑制されており、シャットダウン機能を有していることが望まれている。
そこで、特許文献1には、ポリエチレン系樹脂微多孔フィルムとポリプロピレン系樹脂微多孔フィルムを積層した積層フィルムが開示されている。また、特許文献2には、ガラス繊維性不職布とポリオレフィン微多孔膜を積層した積層フィルムが開示されている。
特表2010−502471号公報 特開2013−89563号公報
しかしながら、積層フィルムは孔構造が異なる2種類以上のフィルムが接合されているため、イオンの移動が阻害され電池の性能が低下してしまう。
また、ガラス繊維性不職布とポリオレフィン微多孔膜を積層した積層フィルムは硬いガラス繊維によりオレフィン系微多孔膜に貫通孔(ピンホール)ができやすいため、安全性が低下する可能性がある。また、電池の中に存在する微量のフッ化水素とガラス繊維が反応し、その結果、電解液変質や電極の劣化が促進され電池の性能が低下する可能性が高い。
したがって、本発明は、低融点の樹脂をオレフィン系微多孔膜表面に被覆することによりシャットダウン機能を有するとともに、熱収縮を抑制することができる微多孔フィルムを提供することを目的とする。さらに、本発明は、上記微多孔フィルムを用いた非水電解液二次電池用セパレータ、非水電解液二次電池、及び微多孔フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の微多孔フィルムは、微小孔部を含んでいるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムと、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの及び前記微小孔部に形成された被膜層とを含み、前記被膜層が前記オレフィン系樹脂の融点より低い融点である変性ポリプロピレンを含有することを特徴とする。
(オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム)
本発明に用いられるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムとしては、特に制限されず、従来の電池用セパレータに用いられているオレフィン系樹脂微多孔フィルムを用いることができる。プロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂は、安価であり、機械的強度に優れるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを提供することができる。
プロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体などが挙げられる。なかでも、ホモポリプロピレンが好ましい。プロピレン系樹脂は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。また、プロピレンと他のオレフィンとの共重合体は、ブロック共重合体又はランダム共重合体の何れであってもよい。
なお、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィンなどが挙げられ、エチレンが好ましい。
オレフィン系樹脂の重量平均分子量は、特に限定されないが、25万〜50万が好ましく、28万〜48万がより好ましい。重量平均分子量が25万以上であるオレフィン系樹脂を用いることにより、微小孔部が均一に形成されたオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを提供することができる。また、重量平均分子量が50万以下であるオレフィン系樹脂を用いることにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを安定して製膜することができる。
オレフィン系樹脂の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、特に限定されないが、7.5〜12が好ましく、8〜11がより好ましい。分子量分布が7.5以上であるオレフィン系樹脂によれば、表面開口率が高く、イオン透過性に優れているオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを提供することができる。分子量分布が12以下であるオレフィン系樹脂によれば、機械的強度に優れているオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを提供することができる。
ここで、オレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、オレフィン系樹脂6〜7mgを採取し、採取したオレフィン系樹脂を試験管に供給した上で、試験管に0.05重量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo−DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてオレフィン系樹脂濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転数25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてオレフィン系樹脂をBHTを含むo−DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってオレフィン系樹脂の重量平均分子量及び数平均分子量を測定することができる。
オレフィン系樹脂における重量平均分子量及び数平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC−8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR−H(20)HT×3本
TSKguardcolumn−HHR(30)HT×1本
移動相:o−DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500〜8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
オレフィン系樹脂の融点は、特に限定されないが、160〜170℃が好ましく、160〜165℃がより好ましい。融点が160℃以上であるオレフィン系樹脂を用いることにより、耐熱性に優れているオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。また、融点が170℃以下であるオレフィン系樹脂を用いることにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを安定して製膜することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂の融点は、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社 装置名「DSC220C」など)を用い、下記手順に従って測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂10mgを25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで加熱し、250℃にて3分間に亘って保持する。次に、オレフィン系樹脂を250℃から降温速度10℃/分にて25℃まで冷却して25℃にて3分間に亘って保持する。続いて、オレフィン系樹脂を25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで再加熱し、この再加熱工程における吸熱ピークの頂点の温度を、オレフィン系樹脂の融点とする。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムにおける微小孔部の開口端は、最大長径が100nm〜1μmで且つ平均長径が10〜500nmであることが好ましく、最大長径が100nm〜900nmで且つ平均長径が10nm〜400nmであることがより好ましい。開口端の最大長径及び平均長径が上記範囲内である微小孔部内には塗工液が浸入し易く、したがって、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面だけでなく微小孔部の壁面も被膜層により均一に被覆された微多孔フィルムを得ることができる。
なお、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムにおける微小孔部の開口端の最大長径及び平均長径は次のようにして測定される。先ず、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面をカーボンコーティングする。次に、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面における任意の10個所を走査型電子顕微鏡を用いて倍率1万にて撮影する。なお、撮影範囲は、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面において縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形の範囲とする。
得られた写真に現れている各微小孔部の開口端の長径を測定する。微小孔部における開口端の長径のうち、最大の長径を微小孔部の開口端の最大長径とする。各微小孔部における開口端の長径の相加平均値を微小孔部の開口端の平均長径とする。なお、微小孔部の開口端の長径とは、この微小孔部の開口端を包囲し得る最小径の真円の直径とする。撮影範囲と、撮影範囲でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、測定対象から除外する。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面開口率は、25〜55%が好ましく、30〜50%がより好ましい。オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面開口率が上記範囲内であれば、微小孔部内に塗工液が浸入し易く、したがって、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面だけでなく微小孔部の壁面も被膜層により均一に被覆された微多孔フィルムを得ることができる。
なお、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面開口率は下記の要領で測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム表面の任意の部分において、縦9.6μm×横12.8μmの平面長方形状の測定部分を定め、この測定部分を倍率1万倍にて写真撮影する。
次いで、測定部分内に形成されている各微小孔部を長方形で囲む。この長方形は、長辺及び短辺が共に最小寸法となるように調整する。上記長方形の面積を各微小孔部の開口面積とする。各微小孔部の開口面積を合計して微小孔部の総開口面積S(μm2)を算出する。この微小孔部の総開口面積S(μm2)を122.88μm2(9.6μm×12.8μm)で除して100を乗じた値を表面開口率(%)とする。なお、測定部分と、測定部分でない部分とに跨がって存在している微小孔部については、微小孔部のうち測定部分内に存在している部分のみを測定対象とする。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの空隙率は、30〜70%が好ましく、35〜67%がより好ましい。本発明に係る微多孔フィルムは、被膜層を形成した後でも、微小孔部の閉塞が低減されている。したがって、このような微多孔フィルムは、高い空隙率を維持することができ、透気性に優れている。
なお、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム及び後記する微多孔フィルムの空隙率は下記の要領で測定することができる。先ず、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム又は微多孔フィルムを切断することにより縦10cm×横10cmの平面正方形状(面積100cm2)の試験片を得る。次に、試験片の重量W(g)及び厚みT(cm)を測定し、下記式(I)により見掛け密度ρ(g/cm3)を算出する。なお、試験片の厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いて、試験片の厚みを15箇所測定し、その相加平均値とする。そして、この見掛け密度ρ(g/cm3)及びプロピレン系樹脂自体の密度ρ0(g/cm3)を用いて下記式(II)に基づいて微多孔フィルム又はオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの空隙率P(%)を算出することができる。
見掛け密度ρ(g/cm3)=W/(100×T) (I)
空隙率P[%]=100×[(ρ0−ρ)/ρ0] (II)
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムは、従来公知の湿式法又は延伸法によって製造することができる。オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを湿式法により製造する方法としては、例えば、オレフィン系樹脂と、充填剤や可塑剤とを混合してなるオレフィン系樹脂組成物を成形することによりオレフィン系樹脂フィルムを得、このオレフィン系樹脂フィルムから充填剤や可塑剤を抽出することにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得る方法が挙げられる。一方、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを延伸法により製造する方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを、延伸させることにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得る方法が挙げられる。延伸方法としては、特に制限されず、一軸延伸及び二軸延伸などが挙げられる。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムとしては、延伸法によって製造されてなるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムがより好ましい。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを延伸法により製造する方法として、具体的には、(1)オレフィン系樹脂を押し出すことによりオレフィン系樹脂フィルムを得、このオレフィン系樹脂フィルム中にラメラ結晶を発生及び成長させた後、オレフィン系樹脂フィルムを延伸してラメラ結晶間を離間させることにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得る方法、(2)オレフィン系樹脂と充填剤とを混合してなるオレフィン系樹脂組成物を押し出すことによりオレフィン系樹脂フィルムを得、このオレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸又は二軸延伸してオレフィン系樹脂と充填剤との界面を剥離させることにより微小孔部が形成されてなるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得る方法などが挙げられる。微小孔部が均一に且つ多数形成されているオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムが得られることから、(1)の方法が好ましい。このようなオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムであれば、微小孔部を閉塞することなく、その表面及び上記微小孔部の壁面の少なくとも一部に、被膜層を均一に形成することができる。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの製造方法として、特に好ましくは、下記工程;
オレフィン系樹脂を、押出機にてオレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下にて溶融混練し、上記押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを得る押出工程と、上記押出工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを上記オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下で養生する養生工程と、上記養生工程後の上記オレフィン系樹脂フィルムを、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸する第一延伸工程と、 上記第一延伸工程において延伸が施された上記オレフィン系樹脂フィルムを、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸する第二延伸工程と、 上記第二延伸工程において延伸が施されたオレフィン系樹脂フィルムをアニールするアニーリング工程とを有する方法が挙げられる。
上記工程を有する製造方法によれば、相互に高く連通している微小孔部が多数形成され、これにより被覆層が均一に形成されているオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。
(押出工程)
オレフィン系樹脂を含むオレフィン系樹脂フィルムは、オレフィン系樹脂を押出機に供給して溶融混練した上で、押出機の先端に取り付けたTダイから押出すことにより製造することができる。
オレフィン系樹脂を押出機にて溶融混練する際のオレフィン系樹脂の温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも80℃高い温度以下がより好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃高い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも50℃高い温度以下が特に好ましい。溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも20℃高い温度以上とすることにより、均一な厚みを有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。また、溶融混練時のオレフィン系樹脂の温度をオレフィン系樹脂の融点よりも100℃高い温度以下とすることにより、オレフィン系樹脂の配向性を向上させて、ラメラの生成を促進させることができる。
オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比は、50〜300が好ましく、65〜250がより好ましく、70〜250が特に好ましい。オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を50以上とすることにより、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂を押出機からフィルム状に押出す際におけるドロー比を300以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの製膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。
なお、ドロー比とは、TダイのリップのクリアランスをTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みで除した値をいう。Tダイのリップのクリアランスの測定は、JIS B7524に準拠したすきまゲージ(例えば、株式会社永井ゲージ製作所製 JISすきまゲージ)を用いてTダイのリップのクリアランスを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。又、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みは、ダイヤルゲージ(例えば、株式会社ミツトヨ製 シグナルABSデジマチックインジケータ)を用いてTダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムの厚みを10箇所以上測定し、その相加平均値を求めることにより行うことができる。
オレフィン系樹脂フィルムの製膜速度は、10〜300m/分が好ましく、15〜250m/分がより好ましく、15〜30m/分が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの製膜速度を10m/分以上とすることによって、オレフィン系樹脂に加わる張力を向上させ、これによりオレフィン系樹脂分子を十分に配向させてラメラの生成を促進させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの製膜速度を300m/分以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの製膜安定性を向上させて、均一な厚みや幅を有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを得ることができる。
そして、Tダイから押出されたオレフィン系樹脂フィルムをその表面温度が上記オレフィン系樹脂の融点よりも100℃低い温度以下となるまで冷却することにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂が結晶化してラメラを生成する。本発明では、溶融混練したオレフィン系樹脂を押出すことにより、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂分子を予め配向させた上で、オレフィン系樹脂フィルムを冷却することにより、オレフィン系樹脂が配向している部分がラメラの生成を促進させることができる。
(養生工程)
次いで、上述した押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを養生する。このオレフィン系樹脂の養生工程は、押出工程においてオレフィン系樹脂フィルム中に生成させたラメラを成長させるために行う。これにより、オレフィン系樹脂フィルムの押出方向に結晶化部分(ラメラ)と非結晶部分とが交互に配列してなる積層ラメラ構造を形成させることができ、後述するオレフィン系樹脂フィルムの延伸工程において、ラメラ内ではなく、ラメラ間において亀裂を発生させ、この亀裂を起点として微小な貫通孔(微小孔部)を形成することができる。
養生工程は、押出工程により得られたオレフィン系樹脂フィルムを、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つ上記オレフィン系樹脂の融点より1℃低い温度以下にて養生することにより行う。
オレフィン系樹脂フィルムの養生温度は、オレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下が好ましく、オレフィン系樹脂の融点よりも25℃低い温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも30℃低い温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムの結晶化を促進させて、後述する延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムのラメラ間において微小孔部を形成し易くすることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度をオレフィン系樹脂の融点よりも1℃低い温度以下にすることによって、オレフィン系樹脂フィルムを構成しているオレフィン系樹脂の分子配向の緩和によってラメラ構造が崩れることを低減することができる。
なお、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度である。しかしながら、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を測定できないような場合、例えば、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合には、オレフィン系樹脂フィルムの養生温度とは、雰囲気温度とする。例えば、熱風炉などの加熱装置内部でオレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生を行う場合には、加熱装置内部の温度を養生温度とする。
オレフィン系樹脂フィルムの養生は、オレフィン系樹脂フィルムを走行させながら行ってもよく、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で行ってもよい。
オレフィン系樹脂フィルムの養生をオレフィン系樹脂フィルムを走行しながら行う場合、オレフィン系樹脂フィルムの養生時間は、1分以上が好ましく、5分〜60分がより好ましい。
オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させる場合、養生時間は、1時間以上が好ましく、15時間以上がより好ましい。このような養生時間でロール状に巻き取った状態のオレフィン系樹脂フィルムを養生させることにより、ロールの表面から内部まで全体的にオレフィン系樹脂フィルムをその温度を上述した養生温度にして十分に養生させることができ、オレフィン系樹脂フィルムのラメラを十分に成長させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの熱劣化を抑制するために、養生時間は、35時間以下が好ましく、30時間以下がより好ましい。
なお、オレフィン系樹脂フィルムをロール状に巻き取った状態で養生させた場合、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムロールからオレフィン系樹脂フィルムを巻き出して、後述する延伸工程及びアニーリング工程を実施すればよい。
(第一延伸工程)
次に、養生工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が−20℃以上100℃未満にて延伸倍率1.2〜1.6倍に一軸延伸を施す第一延伸工程を実施する。第一延伸工程では、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルム中のラメラは殆ど溶融しておらず、延伸によってラメラ同士を離間させることによって、ラメラ間の非結晶部において効率的に微細な亀裂を独立して生じさせ、この亀裂を起点として多数の微小孔部を確実に形成させることができる。
第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、−20℃以上100℃未満が好ましく、0〜80℃がより好ましく、10〜40℃が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を−20℃以上とすることにより、延伸時におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を低減することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を100℃未満とすることにより、ラメラ間の非結晶部において亀裂を発生させることができる。
第一延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.2〜1.6倍が好ましく、1.25〜1.5倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.2倍以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部を形成することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.6倍以下とすることにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムに微小孔部を均一に形成することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率とは、延伸後のオレフィン系樹脂フィルムの長さを延伸前のオレフィン系樹脂フィルムの長さで除した値をいう。
オレフィン系樹脂フィルムの第一延伸工程における延伸速度は、20〜500%/分がより好ましく、20〜70%/分が特に好ましい。延伸速度を20%/分以上とすることにより、ラメラ間の非結晶部において微小孔部を均一に形成することができる。延伸速度を500%/分以下とすることにより、第一延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの破断を抑制することができる。
なお、本発明において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度とは、単位時間当たりのオレフィン系樹脂フィルムの延伸方向における寸法の変化割合をいう。
上記第一延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(第二延伸工程)
次いで、第一延伸工程後のオレフィン系樹脂フィルムに、その表面温度が100〜150℃にて延伸倍率1.2〜2.2倍に一軸延伸処理を施す第二延伸工程を実施する。第二延伸工程においても、オレフィン系樹脂フィルムを好ましくは押出方向にのみ一軸延伸する。このような第二延伸工程における延伸処理を行うことによって、第一延伸工程にてオレフィン系樹脂フィルムに形成された多数の微小孔部を成長させることができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、100〜150℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を100℃以上とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部を成長させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を150℃以下とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率は、1.2〜2.2倍が好ましく、1.5〜2倍がより好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を1.2倍以上とすることによって、第一延伸工程時にオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部を成長させて、優れた透気性を有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを提供することができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの延伸倍率を2.2倍以下とすることによって、第一延伸工程においてオレフィン系樹脂フィルムに形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
第二延伸工程において、オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度は、500%/分以下が好ましく、400%/分以下がより好ましく、15〜60%/分が特に好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの延伸速度を上記範囲内とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムに微小孔部を均一に形成することができる。
上記第二延伸工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの延伸方法としては、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸することができれば、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂フィルムを一軸延伸装置を用いて所定温度にて一軸延伸する方法などが挙げられる。
(アニーリング工程)
次に、第二延伸工程において一軸延伸が施されたオレフィン系樹脂フィルムにアニール処理を施すアニーリング工程を行う。このアニーリング工程は、上述した延伸工程において加えられた延伸によってオレフィン系樹脂フィルムに生じた残存歪みを緩和して、得られるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムに加熱による熱収縮が生じるのを抑えるために行われる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの表面温度は、第二延伸工程時のオレフィン系樹脂フィルムの表面温度以上で且つオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの表面温度を第二延伸工程時のオレフィン系樹脂フィルムの表面温度以上とすることによって、オレフィン系樹脂フィルム中に残存した歪みを十分に緩和して、得られるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの加熱時における寸法安定性を向上させることができる。また、オレフィン系樹脂フィルムの表面温度をオレフィン系樹脂の融点よりも10℃低い温度以下とすることによって、延伸工程で形成された微小孔部の閉塞を抑制することができる。
アニーリング工程におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮率は、25%以下が好ましい。オレフィン系樹脂フィルムの収縮率を25%以下とすることによって、オレフィン系樹脂フィルムのたるみの発生を低減して、オレフィン系樹脂フィルムを均一にアニールすることができる。なお、オレフィン系樹脂フィルムの収縮率とは、アニーリング工程時における延伸方向におけるオレフィン系樹脂フィルムの収縮長さを、第二延伸工程後の延伸方向におけるオレフィン系樹脂フィルムの長さで除して100を乗じた値をいう。
本発明の微多孔フィルムは、上述したオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部を、オレフィン系微多孔の融点より低い融点を有する樹脂、好ましくは、30℃以上低い融点を有する樹脂により被覆される。当該低融点樹脂は変性ポリプロピレンを含んでおり、これによりオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムにシャットダウン機能を付与することができる。
なお、変性ポリプロピレンの融点は、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツル社 装置名「DSC220C」など)を用い、下記手順に従って測定することができる。先ず、変性ポリプロピレン樹脂10mgを25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで加熱し、250℃にて3分間に亘って保持する。次に、変性ポリプロピレン樹脂を250℃から降温速度10℃/分にて25℃まで冷却して25℃にて3分間に亘って保持する。続いて、変性ポリプロピレン樹脂を25℃から昇温速度10℃/分にて250℃まで再加熱し、この再加熱工程における吸熱ピークの頂点の温度を、変性ポリプロピレン樹脂の融点とする。
また、変性ポリプロピレンによれば、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムが有している微小孔部を閉塞することなく、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面を被覆することができる。したがって、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムに、透気性を低下させることなくシャットダウン機能を付与することができる。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部は変性ポリプロピレンで被覆されている。変性ポリプロピレンは、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面、及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。特に、変性ポリプロピレンにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面全面、及びこの表面に続く微小孔部の壁面全面を被覆していることがより好ましい。なお、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面とは、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの上面、下面、正面、背面、左側面及び右側面をいう。
シャットダウン機能付与に用いられる変性ポリプロピレンとは、主鎖を構成するホモポリプロピレン鎖の側鎖であるメチル基が塩素原子で部分的に置換されたものをいう。
変性ポリプロピレンにおけるメチル基が塩素原子で置換されたプロピレン単位の総含有量は、10〜50モル%が好ましく、15〜40モル%がより好ましく、20〜30モル%が特に好ましい。メチル基が塩素原子で置換されたプロピレン単位の総含有量が50モル%を超えると、融点が低くなりすぎ、電池の正常作動温度範囲でシャットダウンが起きてしまい、電池の性能が落ちる可能性が高い。メチル基が塩素原子で置換されたプロピレン単位の総含有量が10モル%より低くなると、融点が高くなり、好ましい温度範囲でシャットダウンが起きなくなり、熱安全性が低くなる可能性が高い。変性ポリプロピレンにおけるメチル基が塩素原子で置換されていないプロピレン単位の総含有量は、50〜90モル%が好ましく、60〜85モル%がより好ましく、70〜80モル%が特に好ましい。メチル基が塩素原子で置換されていないプロピレン単位の総含有量が90モル%を超えると、融点が高くなり、好ましい温度範囲でシャットダウンが起きなくなり、熱安全性が低くなる可能性が高い。メチル基が塩素原子で置換されていないプロピレン単位の総含有量が50モル%より低くなると融点が低くなりすぎ、電池の正常作動温度範囲でシャットダウンが起きてしまい、電池の性能が落ちる可能性が高い。
変性ポリプロピレンは無水マレイン酸変性部分を含んでも良い。無水マレイン酸変性部分は5モル%以下であることが好ましい。5モル%以上含まれると融点が高くなり、シャットダウン機能を良好に発現できない場合がある。
変性ポリプロピレンの重量平均分子量は25000〜220000が好ましく、45、000〜170000がより好ましい。重量平均分子量が25000より低いと、溶融温度がブロードになり、シャットダウン温度の設計(制御)が難しくなる。重量平均分子量が220000より高いと、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部内部に浸透せず、変性ポリプロピレンによる被覆の効果が著しく低下する虞がある。
変性ポリプロピレンの被覆形成方法としては、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部に、変性ポリプロピレンを含む塗工液を塗工させる方法が用いられる。
変性ポリプロピレンを含む塗工液は、変性ポリプロピレンを溶媒に溶解または懸濁させることにより調製することができる。当該溶媒としては、特に限定されないが、メチルシクロヘキサン、酢酸ブチル、キシレン、酢酸エチル等を例示することができる。特に本発明においては、変性ポリプロピレンの溶解性や溶媒の除去性の観点から、メチルシクロヘキサン50重量%と酢酸エチル50重量%を含有する溶媒を用いることが好ましい。
塗工液中における変性ポリプロピレンの含有量は、溶媒100重量部に対して、1〜25重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましく、2〜5重量部が特に好ましい。変性ポリプロピレンの含有量が少な過ぎると、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム表面を十分に被覆することができない虞れがある。また、変性ポリプロピレンの含有量が多過ぎると、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部を閉塞して、微多孔フィルムの透気度を低下させる虞れがある。
塗工液を、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部に被覆させる方法としては、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗工液を塗工し、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部内に塗工液を浸入させる方法などが用いられる。塗工液は、変性ポリプロピレンを含んでいることにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルム表面との馴染み性に優れている。したがって、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗工液を塗工することで、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部内にまで塗工液が高度に浸入することができる。これにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面や微小孔部の壁面までも均一に塗工液を被覆させることができ、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面だけでなく微小孔部の壁面までも均一に被覆することができる。
オレフィン系微多孔基材フィルムの表面のうちの少なくとも一方の面に形成された被覆層に無機微粒子が含有されていることが好ましく、オレフィン系微多孔基材フィルムの表面のうちの双方の面に形成された被覆層に無機微粒子が含有されていることがより好ましい。
一方、オレフィン系微多孔基材フィルムの微小孔部の壁面には無機微粒子が含有されていないことが好ましい。微小孔部の壁面に無機微粒子を含有させないことによって、オレフィン系微多孔フィルムのイオン透過性を向上させることができる。
無機微粒子としては、特に限定されないが、二酸化珪素、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びチタン酸バリウムからなる群から選ばれた一種以上の無機微粒子が好ましい。なお、無機微粒子は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
無機微粒子の平均粒子径は、0.05〜2.0μmが好ましく、0.2〜1.0μmがより好ましい。無機微粒子の平均粒子径が0.05μm以上であると、微多孔フィルムの更なる耐熱性向上が出来、電池内部が高温となった場合であっても電極間の電気的な短絡をより抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。無機微粒子の平均粒子径が2.0μm以下であると、被覆層中に無機微粒子を微分散させることができ、耐高電位性の向上及び微多孔フィルムの機械的強度が向上し、電池の安全性をより向上することができる。なお、無機微粒子の平均粒子径は、JIS Z 8825:2013にしたがって測定された値をいう。
オレフィン系微多孔基材フィルムの表面のうちの一方の面に形成された被覆層中における無機微粒子の含有量は、変性ポリプロピレン100重量部に対して100〜600重量部が好ましく、100〜400重量部がより好ましく、100〜300重量部が特に好ましい。無機微粒子の含有量が100〜600重量部であると、オレフィン系微多孔フィルムの耐熱性及び機械的強度が向上し、電極間の電気的な短絡をより抑制することができる非水電解液二次電池を提供することができる。
オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面に塗工液を塗工する方法としては、特に制限されず、例えば、スプレー法、カーテンコーター法、フローコーター法、ロールコーター法、刷毛塗り法、及び浸漬法などが挙げられる。
塗工液をオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムに被覆させた後に乾燥させることが好ましい。これにより、塗工液に含まれている溶媒を除去して、変性ポリプロピレンにより、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面を被覆することができる。
塗工液の乾燥方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、及び減圧乾燥などが挙げられる。なかでも、加熱乾燥が好ましい。塗工液を加熱乾燥する場合、塗工液を塗工したオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを加熱することにより乾燥させる。加熱温度は、60〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。また加熱時間は0.5〜60分が好ましい。
(微多孔フィルム)
本発明の微多孔フィルムは、上述した通り、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムを基材とし、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び上記表面に続く上記微小孔部の壁面の少なくとも一部を変性ポリプロピレンにより被覆している。
皮膜層を有する微多孔フィルム中における変性ポリプロピレンの含有量は、塗工液を塗工して乾燥した後の皮膜層を有する微多孔フィルム全量に対して、10〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜30重量%が特に好ましい。変性ポリプロピレンの含有量が低過ぎると、シャットダウン機能を十分に発現させることができない虞れがある。また、変性ポリプロピレンの含有量が高過ぎると、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部を閉塞し、微多孔フィルムの透気性が低下する虞れがある。
なお、皮膜層を有する微多孔フィルム中における変性ポリプロピレンの含有量は、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの重量(W0)と、皮膜層を有する微多孔フィルムの重量(W1)とから、下記式に基づいて算出された値とする。
変性ポリプロピレンの含有量(重量%)=100×(W1−W0)/W1
本発明の微多孔フィルムは、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部
に由来する微小孔部を有している。シャットダウン機能を有する微多孔フィルムが有している微小孔部は、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部の壁面が変性ポリプロピレンにより被覆されることによって形成されたものである。変性ポリプロピレンによれば、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部を閉塞することなく、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び微小孔部の壁面を均一に被覆することができる。したがって、本発明のシャットダウン機能を有する微多孔フィルムは、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムと同等の、微小孔部の形状、空隙率、及び透気性などの物性を維持することができる。
微多孔フィルムの透気度は、30〜800sec/100mLが好ましく、100〜400s/100mLがより好ましく、100〜200s/100mLが特に好ましい。変性ポリプロピレンを用いることによって、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの微小孔部が変性ポリプロピレンによって閉塞されることを高く低減することができ、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの優れた透気性を維持することができる。
なお、本発明において、微多孔フィルムの透気度は、JIS P8117に準拠して、温度23℃、相対湿度65%の環境下にて測定された値をいう。
微多孔フィルムの厚みは、5〜50μmが好ましく、20〜35μmが好ましい。厚みが上記範囲内である微多孔フィルムは、機械的強度及びイオン透過性に優れている。
微多孔フィルムの空隙率は、30〜70%が好ましく、35〜60%がより好ましく、40〜60%が特に好ましい。微多孔フィルムは、変性ポリプロピレンによりその微小孔部が被覆されていても、微小孔部の閉塞を低減されている。したがって、このような微多孔フィルムは、高い空隙率を維持することができ、透気性に優れている。
本発明の変性ポリプロピレン含浸微多孔フィルムは、非水電解液二次電池用セパレータとして好適に用いられる。非水電解液二次電池としては、リチウムイオン二次電池、及びリチウムイオン一次電池などが挙げられる。
非水電解液とは、水を含まない溶媒に電解質塩を溶解させた電解液である。リチウムイオン二次電池に用いられる非水電解液としては、例えば、非プロトン性有機溶媒に、リチウム塩を溶解した非水電解液が挙げられる。非プロトン性有機溶媒としては、プロピレンカーボネート、及びエチレンカーボネートなどの環状カーボネートと、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、及びジメチルカーボネートなどの鎖状カーボネートとの混合溶媒などが挙げられる。また、リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、及びLiN(SO2CF32などが挙げられる。
本発明の微多孔フィルムは、微小孔部を含んでいるオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムと、オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及びこの表面に続く微小孔部の壁面の少なくとも一部を、変性ポリプロピレン系樹脂により被覆していることにより、シャットダウン機能の付与ができ優れた熱安全性を有する非水電解液二次電池を提供することができる。
以下に、本発明の実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
[実施例1〜9、比較例1]
1.ホモポリプロピレン微多孔フィルムの作製
(押出工程)
ホモポリプロピレン(重量平均分子量413000、数平均分子量44300、及び融点163℃)を押出機に供給して、樹脂温度200℃にて溶融混練した後、押出機の先端に取り付けられたTダイからフィルム状に押出し、表面温度が30℃となるまで冷却して、長尺状のホモポリプロピレンフィルム(厚み28μm、幅200mm)を得た。なお、押出量は12kg/時間、製膜速度は22m/分、ドロー比は70であった。
(養生工程)
次に、長尺状のホモポリプロピレンフィルムを芯体にロール状に巻取ることによりホモポリプロピレンフィルムロールを得た。このホモポリプロピレンフィルムロールを、その軸芯方向が水平となるように保持した状態で、芯体の軸芯を中心として周方向に回転数0.1rpmで回転させながら、ホモポリプロピレンフィルムロールを設置している場所の雰囲気温度が155℃である熱風炉中で24時間に亘って放置して養生した。
(第一延伸工程)
次に、養生を施したホモポリプロピレンフィルムロールからホモポリプロピレンフィルムを0.5m/分の巻出速度で連続的に巻き出し、ホモポリプロピレンフィルムの表面温度が23℃となるようにして50%/分の延伸速度にて延伸倍率1.2倍に押出方向にのみ一軸延伸装置を用いて一軸延伸した。
(第二延伸工程)
続いて、ホモポリプロピレンフィルムを一軸延伸装置を用いて表面温度が120℃となるようにして42%/分の延伸速度にて延伸倍率2倍に押出方向にのみ一軸延伸した(第二延伸工程)。
(アニーリング工程)
しかる後、ホモポリプロピレンフィルムを熱風炉に供給し、ホモポリプロピレンフィルムをその表面温度が130℃となるように且つホモポリプロピレンフィルムに張力が加わらないようにして1分間に亘って走行させて、ホモポリプロピレンフィルムにアニールを施すことにより、長尺状のホモプロピレン微多孔フィルム(坪量9.5g/m2、厚み25μm)を得た。なお、アニーリング工程におけるホモポリプロピレンフィルムの収縮率は5%とした。
ホモプロピレン微多孔フィルムにおける微小孔部の開口端は、最大長径が610nmで且つ平均長径が360nmであった。ホモポリプロピレン微多孔フィルムは、表面開口率が38%であり、空隙率が55%であった。
2.変性ポリプロピレン被覆工程
メチルシクロヘキサン50重量%及びエチルアセテート50重量%を含有する溶媒に、変性ポリプロピレン単独、又は、変性ポリプロピレンと無機微粒子であるアルミナ微粒子との混合体を表1に示した所定量溶解させて被覆用の塗工液を作製した。この塗工液をホモポリプロピレン微多孔フィルムの表面に塗工して変性ポリプロピレンが塗工された合成樹脂微多孔フィルムを得た。なお、表1において、「塩素化率」とは、変性ポリプロピレンを構成しているモノマー単位において、主鎖を構成しているポリプロピレン鎖の側鎖であるメチル基が塩素原子で置換されているプロピレン単位の含有量(モル%)をいう。
しかる後、ホモポリプロピレン微多孔フィルムを60℃にて30分間に亘って加熱することにより溶媒を蒸発させて除去した。ホモポリプロピレン微多孔フィルム中の変性ポリプロピレンの乾燥後の塗布量を表1にまとめた。
[評価]
3)セパレータの作製
実施例及び比較例で作製された合成樹脂微多孔フィルムを、打ち抜き機を用いてφ16mmの大きさで打ち抜くことによって、試験用のセパレータを得た。
4)試験用コインセル作製
電極としてφ14mmの大きさで打ち抜いた銅箔2枚とセパレータを減圧下、60℃で24時間に亘って乾燥した後、Arガスが充満されたグローブボックス(露点−70℃以下)内にて銅箔2枚を、セパレータを介して積層することにより積層体を得た。積層体を2032コイン電池の底缶に入れた後、電解液を常温常圧下で注液した。電解液は、溶媒としてエチレンカーボネート(E)とジメチルカーボネート(D)とを3:7の体積比(E:D)で含むLiPF6溶液(1mol/L)を用いた。電解液を注液した後、上蓋をセットしカシメることにより試験用のコイン電池を得た。
5)シャットダウン機能評価
上記の要領で作製された試験用電池を3℃/分の速度で180℃まで昇温しながら内部抵抗を測定した。シャットダウン機能有無の判断は電池の内部抵抗が初期値より2桁以上大きくなるものを、シャットダウン機能を有すると判断した。また、シャットダウン温度は電池の内部抵抗が2桁以上になる温度をシャットダウン開始温度と定義した。
〔最大熱収縮率〕
ホモポリプロピレン微多孔フィルムから、縦2cm×横10cmの平面長方形状の試験片を5枚切り出した。この時、試験片の横方向がホモポリプロピレン微多孔フィルムの長さ方向(押出方向)と平行となるようにした。次に、試験片の横方向に長さ8cm(L0)の標線を引き、試験片を130℃で1時間加熱し、室温にて30分間放置した後、標線の長さ(L1)を測定した。そして、下記式に基づいて加熱熱収縮率を算出し5枚のサンプルの相加平均値を熱収縮率とした。
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
Figure 2017109385

Claims (10)

  1. 微小孔部を有するオレフィン系樹脂微多孔基材フィルムと、前記オレフィン系樹脂微多孔基材フィルムの表面及び前記微小孔部の壁面に形成された被覆層とを含み、
    前記被覆層が前記オレフィン系樹脂の融点より低い融点である変性ポリプロピレンを含有する
    ことを特徴とする微多孔フィルム。
  2. 前記オレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、
    前記変性ポリプロピレンの融点が70〜130℃であることを特徴とする請求項1に記載の微多孔フィルム。
  3. 前記微多孔フィルムの少なくとも一方の面には、無機微粒子を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微多孔フィルム。
  4. 前記無機微粒子の平均粒子径が0.05〜2.0μmであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の微多孔フィルム。
  5. 前記無機微粒子が、アルミナ、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム及びチタン酸バリウムからなる群から選択される一種以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の微多孔フィルム。
  6. 透気度が50〜600sec/100mLであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の微多孔フィルム。
  7. 表面開口率が30〜55%であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の微多孔フィルム。
  8. 厚さが5〜40μmであり、空孔率が35〜65%であることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の微多孔フィルム。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の微多孔フィルムを含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用セパレータ。
  10. 正極と、負極と、電解液と、前記正極と負極との間に配置されたセパレータと、を含み、
    前記セパレータが前記請求項9記載のリチウムイオン二次電池用セパレータであることを特徴とする、リチウムイオン二次電池。
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