JP2017113698A - 紙パルプ排水の生物処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】紙パルプ排水の生物処理を可能とする方法を提供する。特に、浄化水のBOD及びCODの除去率を向上させ、さらに、余剰汚泥の削減効果も向上させる生物処理法を提供する。
【解決手段】本発明の紙パルプ排水の生物処理方法は、活性汚泥を保持する曝気槽中で紙パルプ排水を曝気する工程を含み、前記曝気槽に腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加することを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、紙パルプ排水の生物処理方法に関し、より詳細には、白色腐朽菌及び腐植を用いた紙パルプ排水の生物処理方法に関する。
我が国の紙パルプ排水の生物処理に関するアンケート調査(調査対象工場49工場)によれば、KP排水等の排水のBOD(生物化学的酸素要求量)は、200〜400mg/Lの工場が多く、1000mg/L以上の高濃度排水を対象としている工場もある。
製紙工場等で排出される紙パルプ排水には、パルプの構成物質であるリグニン、セルロース、ヘミセルロース、グルコース等の炭水化物が含まれている。これらの成分のうち、リグニンは、主としてフェニルプロパノイドからなるリグニンモノマーが三次元かつ高度に重合して三次元網目構造を形成した生体高分子結合体であり、生物的に非常に安定である。
このリグニンに対して生物的分解能を有する代表的な微生物は、キノコ(担子菌)の一種である白色腐朽菌である。白色腐植菌は、リグニンオキシターゼ(以後、LiPと略す)、マンガンペルオキシターゼ(以後、MnPと略す)、ラッカーゼ(以後、LaCと略す)等のリグニン分解酵素の少なくとも一種を菌体外に分泌して、リグニンやリグニンフラグメントを生物分解する。
従来、白色腐朽菌は、紙やパルプの製造(バイオパルピング、バイオブリーチング等)、木材の糖化、アルコール発酵の前処理、セルロース繊維製造、農業・畜産業等に使用されてきた。
しかし、白色腐朽菌で紙パルプ排水を効率よく生分解することは容易でない。白色腐朽菌を含む木材腐朽菌の繁殖は、適度の水分(例えば木材含水率20%以上)、湿度(例えば85%以上)、温度(例えば20〜30℃)、酵素及び栄養分(セルロース及びヘミセルロースのような多糖類、リグニン等)が必要なためである。例えば、ヒラタケのオガコ栽培では、過剰な水分がキノコの菌糸生長に障害を起こすことが知られている。さらに、100%水分の下では白色腐朽菌の生息はなおさら困難である。このように、高い水分がリグニン分解に障害をきたすので、紙パルプ排水の生物的処理によるリグニン分解は容易に成立し得ない。
従来、有機質を含む下水やし尿の処理方法として、標準活性汚泥法が公知である。この標準活性汚泥法は、汚水やし尿を含む曝気槽中に、有機物分解機能を有する好気性微生物を含む活性汚泥を投入し、曝気を行うことで微生物を活性化させ、汚水やし尿中の有機物を二酸化酸素と水に分解させる方法である。
実際、紙パルプ排水の処理方法の大半に、活性汚泥法が用いられている。活性汚泥法は、糖類等のBODの除去に有効である。紙パルプ排水の活性汚泥法処理の調査統計では、BOD除去率は84〜97%(平均90%)である。活性汚泥法はリグニンの分解ができないので、COD(化学的酸素要求量)除去率は、34〜89%(平均59%)と低い。その結果、活性汚泥法による排水処理後の水の色度は、リグニン由来の褐色を呈している。
上記活性汚泥法にリグニンを生物分解する白色腐朽菌を組み込んでも、CODの除去率は改善されない。それは、上記したとおり、紙パルプ排水は、白色腐朽菌が生息しやすい環境にないためである。
このように、活性汚泥法で紙パルプ排水を処理すると、紙パルプ排水中のリグニンが生物分解できず、COD除去率が低いのが現状である。多種多様な細菌を用いて多種多様な栄養成分を持つ紙パルプ排水生物処理する方法において、栄養成分のすべてを生物分解し、さらにリグニンを分解することはこれまで達成できていない。生物処理法でBOD除去率に加えてCOD除去率も上昇させるには、生物分解を伴う何らかの改善策が必須である。
活性汚泥法では、また、余剰汚泥が発生する。余剰汚泥の過剰な発生は、その処理負担の労力、時間、及びコストの点で問題となる。
そこで、本発明の目的は、紙パルプ排水中のリグニンの生物処理を可能とする方法を提供する。特に、浄化水のBOD及びCODの除去率を向上させ、さらに、余剰汚泥の削減効果も向上させる生物処理法を提供する。
本発明者等は、上記課題を鋭意検討した結果、リグニン分解機能を有する白色腐朽菌の生息環境を改善することで、紙パルプ排水中でリグニン分解菌を増殖させることが可能であることを発見し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、活性汚泥を保持する曝気槽中で紙パルプ排水を曝気する工程を含む紙パルプ排水の生物処理方法であって、前記曝気槽に腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加することを特徴とする、前記紙パルプ排水の生物処理方法を提供する。
リグニン分解酵素であるLiP、MnP、及びLacは、すべて過酸化水素を基質として反応する酵素である。酵素によるリグニン分解の反応機構の概略は、酵素が過酸化水素によって酸化されて、活性化状態となり、この活性化物質がさらにリグニンを酸化分解する。MnPは、リグニンを直接分解するだけでなく、過酸化水素によるMn2+からMn3+への酸化を触媒する。ここで生成したMn3+は、キレート化されて安定してから、リグニンを酸化分解する。
しかし、酸化水素の供給源である銅ラジカル酸化酵素によって過酸化水素濃度が必要以上に高くなると、リグニン分解酵素は不活性となり、リグニン分解反応が停止してしまう。
本発明の方法は、MnP酵素を過酸化水素によって活性化するのではなく、腐植物質による活性化とキレート反応によって、Mnを荷電状態(Mn3+)にし、かつその活性化状態をキレート反応により安定に維持する。例えばエリンギのような白色腐朽菌が、曝気槽内でMnPを活性化してリグニンを分解する際に、キレート反応により腐植とリグニンとMnPとが接近して共同結合体を形成し、その結果、リグニン分解酵素MnPによるリグニン分解が進行しやすくなる。
リグニン分解反応は、リグニンのみを分解することもあるが、リグニンとセルロース、グルコース等の炭水化物と酸素が共存している状態がリグニンを最も分解しやすい環境である。本発明者等は、酸素供給を適切に管理することで、白色腐朽菌の生長障害を減らすことが可能であることをつきとめた。これらの工夫を積み重ねて、上記した本発明は、紙パルプ排水という水系であっても、白色腐朽菌の生息とそれが分泌する酵素によるリグニンの生物分解が可能となったのである。
活性汚泥を保持する曝気槽中に腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加することを特徴とする本発明の紙パルプ排水の生物処理方法によれば、曝気槽内全体で白色腐朽菌を増殖させ、その結果、白色腐朽菌がリグニン分解酵素を多量に生成し、リグニンによる工業レベルでの生物分解が可能となる。
白色腐朽菌は、菌増殖に有機物を必要とする従属栄養微生物である。本発明の方法は、白色腐朽菌が旺盛に増殖する環境を提供するので、リグニン分解によるCOD除去率の向上だけでなく、紙パルプ排水中の有機物の生物分解によるBOD除去率の一層の向上も可能となる。このBOD及びCODの同時除去は、BOD及びCOD処理施設の簡素化につながる。
さらに、本発明の生物処理方法は、活性汚泥法で生成する余剰汚泥を削減する効果も奏する。
本発明の紙パルプ排水の生物処理方法を実施する装置の一例のフローである。このフローは、調整槽1、曝気槽2及び沈殿槽3を含む。 本発明の紙パルプ排水の生物処理方法を実施する装置の別の例のフローである。このフローは、調整槽1、曝気槽2、沈殿槽3及び汚泥槽4を含む。
本発明の紙パルプ排水の生物処理方法は、紙パルプ排水を活性汚泥法で処理する曝気槽に、さらに腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加することを必須とする。以下、本発明の紙パルプ排水の生物処理方法を、「菌添加腐植活性汚泥法」ということにする。
本発明の方法が浄化の対象とする紙パルプ排水は、パルプ工場廃液や故紙再生工場排水を含み、具体的にはKP排水、漂白排水、CGP排水、SP排水、RGP排水、故紙排水、抄紙排水等である。
本発明の方法は、活性汚泥法をベースとするため、有機物分解機能を有する好気性微生物を含む活性汚泥を曝気槽に保持する。活性汚泥法は周知であるので、その説明は省略する。また、活性汚泥に含まれる微生物は、従来公知のものを特に制限なく使用できる。
白色腐朽菌は、木材の成分を分解する酵素を菌体外に分泌して、木材を腐らせる木材腐朽菌の一種である。木材腐朽菌には、木材を白色に腐らせる白色腐朽菌と褐色に腐らせる褐色腐朽菌とがある。木材の主成分であるセルロースやヘミセルロースは白色を呈し、リグニンは黒褐色を呈する。木材中にセルロース、ヘミセルロース及びリグニンが共存している状態で、白色腐朽菌(例えばエリンギ)が褐色のリグニンを分解していくと、木材は白色に腐っていく。一方、褐色腐朽菌(例えばオオウズラタケ、キチリメンタケ)が、白色のセルロースやヘミセルロースを中心に分解してゆくと、木材は黒褐色を残したまま腐っていく。本発明では、リグニン分解性の高い白色腐朽菌を用いることが重要である。
白色腐朽菌の具体例として、カワラタケ、ヤケイロタケ、シイタケ、エリンギ、エノキタケ、ヒラタケ、マイタケ、ナメコ、スギヒラタケ、タモギタケ、スエヒロタケ、シュタケ、ホシゲタケ、ヒイロタケ等が挙げられる。本発明の方法は、白色腐朽菌にMnPの分泌を促進するように仕向けることが重要である。そこで、本発明の方法では、Mnを含む酢酸マンガン(II)と共に、MnPを多く分泌可能なエリンギ菌を使用することが好ましい。
白色腐朽菌は、MnPを分泌可能であれば、種菌、菌糸体及び子実体のいずれでもよい。種菌は、市販品を特に制限なく使用可能であり、例えばエリンギ種菌((株)キノックス製)が挙げられる。菌糸体は、常法により、種菌の液体培養及び固体培養により得られる。子実体は、定法により、自然栽培したキノコにより得られる。
白色腐朽菌の使用量は、紙パルプ排水中の紙パルプ濃度にもよるが、通常、曝気槽の容量に対して、100〜2,200ppmでよく、好ましくは200〜800ppmであり、特に好ましくは200〜500ppmである。
本発明の方法で使用する腐植は、落葉樹の落ち葉、樹木等の有機物由来の分解・生合成物が、通常、例えば約8000年間以上の間、地下に埋蔵されて、腐植化されたものである。腐植土の年代は、例えば共存する花粉で年数測定すれば求まる。
本発明の方法は、腐植がタンニンやリグニンと類似した高分子有機物であり、その給源がリグニンや微生物遺骸であること、また、腐植には官能基が豊富にあり、金属イオンとキレート反応をする特徴を持つことを利用して、腐植を、腐植活性汚泥法とともに、リグニン分解酵素を分泌する白色腐朽菌増殖の進行のために使用する。
前記腐植の形状は、腐植粉剤、腐植ペレットのいずれでもよい。腐植粉剤は、リグニンとMnPと腐植との共同結合体が形成し易いという特徴を有する。腐植ペレットは、徐々に共同結合体を形成するという特徴を有する。また、活性汚泥法では、余剰汚泥の引き抜き(系外排出)をするので、供給された腐植粉剤は余剰汚泥と共に系外排出されて、曝気槽に残留する腐植粉剤の量が減少し易い。腐植ペレットは系外排出されないので、腐植粉剤の減少分を補って、正常な反応系を維持する。両方の特徴を活かすために、腐植粉剤及び腐植ペレットを併用することが好ましい。腐植粉剤や腐植ペレットは、市販のものでもよく、例えば、腐植粉剤としてSP−70(エンザイム株式会社製)、そして腐植ペレットとしてSP−201(エンザイム株式会社製)が挙げられる。
腐植の使容量は、紙パルプ排水中の紙パルプ濃度にもよるが、通常、曝気槽の容量に対して、500〜2,000ppmでよく、好ましくは1,000〜1,800ppm、特に好ましくは1,500ppmである。
本発明の方法は、曝気槽に酢酸マンガン(II)(Mn(OCOCH)を必須に添加する。酢酸マンガン(II)は、MnPへのMnの給源であるとともに、カルボン酸によるキレート化を補助する。すなわち、曝気槽内に酢酸マンガン(II)を添加すると、リグニンと腐植(特に腐植粉剤)とMnとがキレート化される。旺盛に増殖した白色腐朽菌が分泌するキレート状態のMnPが曝気槽内全体に安定的に拡散され、その結果、MnPによるリグニン分解が槽内全体で行われるようになる。
酢酸マンガン(II)の使用量は、紙パルプ排水中の紙パルプ濃度にもよるが、通常、曝気槽の容量に対して、100〜1,200ppmでよく、好ましくは200〜800ppm、特に好ましくは200〜400ppmである。
ブロワーによる曝気槽2への単位容量当たりの吹込空気量は、通常、0.3〜0.7L−空気/L・時でよく、好ましくは0.4〜0.6L−空気/L・時、特に好ましくは0.5〜0.6L−空気/L・時である。曝気槽内の溶存酸素(DO)をあまり変化させず、2〜4ppmの一定濃度を維持することが好ましい。吹込空気量が、通常、上記範囲の量であると、DOを2〜4ppmに保持することができる。しかし、DOは、BOO負荷、液温度、曝気槽の構造と寸法、活性汚泥濃度等によって変化するので、例えば曝気槽内に溶存酸素計を設置する等の施策により、DOを2〜4ppmに維持するようにブロワーの管理をすることが重要である。
曝気槽の温度は、通常、20〜40℃でよく、好ましくは20〜30℃、特に好ましくは25〜28℃である。
曝気槽内での処理時間は、通常、5〜20時間でよく、好ましくは7〜20時間、特に好ましくは8〜20時間である。
本発明の方法を実施するための装置のフローの例を、図1及び図2に示す。
図1は、調整槽1、曝気槽2及び沈殿槽3を含む装置のフローである。この例は、紙パルプ排水が曝気槽2内を通過する時間が比較的長い場合(例えば8時間以上)に適している。
調整槽1に、紙パルプ排水が流入され、ここで排水中の紙パルプ濃度、pH、流入量等が調整される。
調整槽1を出た排水は、活性汚泥を保持し、さらに腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)が添加された曝気槽2に受け入れられる。
曝気槽2内で紙パルプ排水が曝気処理を受ける間に、排水中のリグニン及び有機物が、活性汚泥、腐植、及び白色腐朽菌による生物分解作用と凝集作用によって、汚泥と水との懸濁液に変わる。
上記懸濁液を沈殿槽3に導く。沈殿槽3で、懸濁液は、汚泥と処理水とに沈降分離される。上澄み液である処理水は、適宜、滅菌され、系外へ放流される。沈降した汚泥は、その一部を返送汚泥として曝気槽2へ戻される。残りの余剰汚泥は、系外にて脱水処理の後、適宜、処分される。
図2は、調整槽1、曝気槽2、沈殿槽3及び汚泥槽4を含む装置のフローである。この例は、紙パルプ排水が曝気槽2内を通過する時間が比較例短い場合(例えば8時間以内)に適している。曝気槽2に腐植(腐植粉剤及び腐植ペレット)のみを添加し、リグニン−腐植物質複合体を形成しておく。その後、リグニン含有率の多くなっている沈殿汚泥を汚泥槽4に入れて、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)の添加で、リグニン分解を進める。
調整槽1に、紙パルプ排水が流入され、ここで排水中の紙パルプ濃度、pH、流入量等が調整される。
調整槽1を出た排水は、活性汚泥を保持し、さらに腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)が添加された曝気槽2に受け入れられる。
図2では、曝気槽2に腐植のみが添加されている。後述するように、汚泥槽4に、腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)が添加され、そして、汚泥槽4の一部の汚泥が曝気槽2に戻される。この返送汚泥の戻りによって、曝気槽2にも白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)が添加されることになる。
曝気槽2内で紙パルプ排水が曝気処理を受ける間に、排水中のリグニン及び有機物が、活性汚泥、腐植、及び白色腐朽菌による生物分解作用と凝集作用によって、汚泥と水との懸濁液に変わる。
上記懸濁液を沈殿槽3に導く。そこで、懸濁液は、汚泥と処理水とに沈降分離される。上澄み液である処理水は、適宜、滅菌され、系外へ放流される。沈降した汚泥は、その一部を返送汚泥として曝気槽2へ戻される。一部の汚泥は、汚泥槽4に送られてリグニン分解をしてから、曝気槽2へ戻される。汚泥槽4からの汚泥返送により、曝気槽2内にMnPが流入するので、曝気槽2でもリグニン分解が行われる。
曝気槽2で生成した腐植汚泥の少なくとも一部を、汚泥槽4に導く。沈殿槽3で発生する余剰汚泥の一部を、直に汚泥槽4に導いてもよい。汚泥槽4内では、腐植汚泥が減量化される。汚泥槽4には、腐植汚泥を捕食する習性を有する原生動物や後生動物のような微小動物(ミミズ、ヤスデ、ワラジムシ、ゾウリムシ、センチュウ、ミジンコ等)を生息させると、微小動物が腐植汚泥を栄養源として捕食することで、腐植汚泥の減量化が一層促進される。
汚泥槽4で生成した腐植汚泥は、曝気槽2に返送するようにする。こうすると、汚泥槽4内で増殖した土壌微生物が系全体に配分される結果、系全体の活性化と汚泥の改質がなされる。
汚泥槽4に貯留される汚泥の一部は曝気槽に返送されるが、一部は脱水後、適宜、処分されてもよい。
上記の実施態様は、本発明の方法を実施する装置の例示であり、その他の変更や応用は本発明の技術的範囲に属する。例えば、本発明の方法を回分式やバッチ式で行うものも本発明に属する。
以下に、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
活性汚泥法処理機(形式:容量20Lの回分式曝気槽)からなる実験槽を3槽準備した。No.1実験槽は、標準活性汚泥法(比較例1)に用い、No.2実験槽は、標準活性汚泥法に腐植土資材を供給した腐植活性汚泥法(比較例2)に用い、そして、No.3実験槽は、腐植活性汚泥法にエリンギの白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加した本発明の菌添加腐植活性汚泥法(実施例1)に用いた。
腐植として、腐植粉剤(製品名:SP−70、エンザイム株式会社製)、及び腐植ペレット(製品名SP−201、エンザイム株式会社製))を用意した。腐植粉剤及び腐植ペレットの物性、それぞれ、表1及び表2に示す。
エリンギ白色腐朽菌には、(株)キノックスのエリンギ種菌850cc瓶(約500g)入り製品を入手した。酢酸マンガン(II)は、酢酸マンガン(II)四水和物(Mn(CH3COO)2・4HO)を昭和化学(株)より入手した。
上記活性汚泥法処理機に、腐植汚泥、白色腐朽菌及び酢酸マンガンを表3に示す量で添加し、大手紙パルプ工場の紙パルプ排水を連続供給し、表3に示す条件で、曝気処理を行った。
上記実験槽は、槽容量が小さいので、空気吹込量に対して液に吸収されるO2吸収効率が低い。そのため、吹込空気量が最大量となっている。実規模では、吸収効率が高くなるので、吹込空気量は上記数値よりも低くなる。
実施例1の腐植粉剤使用量は、1,500ppm(=15g/曝気槽10L)、
腐植ペレット使用量は、500ppm(=5g/曝気槽10L)、
エリンギ菌使用量は、200ppm(=2g/曝気槽10L)、及び
酢酸Mn(II)使用量は、200ppm(=2g/曝気槽10L)となる。
各処理法の水質分析値を表3に示す。
表4の結果から、実施例1の菌添加腐植活性汚泥法の処理水は、色度がその他の活性汚泥法よりも低下していることがわかる。この低下は、黒褐色のリグニンの減少を意味する。実施例1の菌添加腐植活性汚泥法は、CODMnが、比較例1の標準活性汚泥法より顕著に低く、また比較例2の腐植活性汚泥法より相対的に低い。以上のことから、本発明の方法は、紙パルプ排水中のリグニンを分解したといえる。
実施例1の菌添加腐植活性汚泥法は、BODが、原水(紙パルプ排水)よりも格段に低下し、比較例よりも減少した。アンモニヤ性窒素(NH)の硝化もまた、顕著に進行した。したがって、本発明の方法は、COD及びBODの同時除去が可能となった。
実施例1のBOD除去の傾向から、本発明の菌添加腐植活性汚泥法は、リグニンを分解するに際し、リグニン以外の炭水化物もまた消費しているといえる。このことは、エリンギ菌の白色腐朽菌が、増殖に有機物を必要とする従属栄養微生物 (Heterotrophs)として機能したことを証明している。本発明の方法は、菌の増殖に有機物が必要不可欠であり、BODを消費しながらリグニンを分解することを基本としていることになる。
《実施例2》
実施例1の実験後、曝気槽No.3(菌添加腐植活性汚泥法)に、さらにエリンギ菌20gと酢酸マンガン(II)10gを追加して、曝気を継続した。
実施例2のエリンギ菌使用量は、2,200ppm(=22g/曝気槽10L)、そして、酢酸Mn(II)使用量は、1,200ppm(=12g/曝気槽10L)となる。COD除去率はさらに増大し、曝気混合液及び上澄処理水の色相は、褐色がさらに薄くなった。上記添加剤の増量により、リグニン分解がさらに旺盛となったといえる。

Claims (5)

  1. 活性汚泥を保持する曝気槽中で紙パルプ排水を曝気する工程を含む紙パルプ排水の生物処理方法であって、
    前記曝気槽に腐植、白色腐朽菌及び酢酸マンガン(II)を添加することを特徴とする、前記紙パルプ排水の生物処理方法。
  2. 前記生物処理は、BOD及びCODの除去率を向上させる、請求項1に記載の紙パルプ排水の生物処理方法。
  3. 前記生物処理は、さらに余剰汚泥を削減する、請求項2に記載の紙パルプ排水の生物処理方法。
  4. 前記白色腐朽菌は、カワラタケ、ヤケイロタケ、シイタケ、エリンギ、エノキタケ、ヒラタケ、マイタケ、ナメコ、スギヒラタケ、タモギタケ、スエヒロタケ、シュタケ、ホシゲタケ、及びヒイロタケからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の紙パルプ排水の生物処理方法。
  5. 前記腐植は、腐植粉剤及び腐植ペレットの形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙パルプ排水の生物処理方法。
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