JP2017114477A - 車両用冷却装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却装置の小型化を図るとともに、冷却性能および潤滑性能の両立を図ること。【解決手段】オイル循環回路200を備える冷却装置100において、インバータ21および各モータ2,3に供給される冷媒としてのオイルを吐出する電動オイルポンプ102と、インバータ21および各モータ2,3に供給されるオイルを冷却するHVラジエータ103と、を有する第1回路210と、HVラジエータ103を経由せずに潤滑必要部30に供給されるオイル吐出する機械式オイルポンプ101を有する第2回路220と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、車両用冷却装置に関する。
エンジンと電動機を搭載したハイブリッド車両の冷却装置として、電動機と電気的に接続されたインバータを冷却するためのインバータ冷却回路が知られている。インバータ冷却回路は、冷媒として冷却水(ハイブリッド冷却水)を循環させることが知られている。
また、ハイブリッド冷却水とは異なる冷却水(エンジン冷却水)を冷媒とするエンジン冷却回路が周知である。特許文献1には、エンジン冷却回路と、オイルを冷媒とするトランスアクスル冷却回路とを有する冷却装置として、熱交換器でエンジン冷却水とオイルとの間での熱交換を行うものが開示されている。
特開2013−199853号公報
ハイブリッド車両では、インバータ冷却回路、エンジン冷却回路、およびトランスアクスル冷却回路を有する冷却装置を搭載することが考えられる。上述した各冷却回路では、ハイブリッド冷却水、エンジン冷却水、およびオイルという専用の液体を、それぞれに独立した流路に循環させている。そのため、各冷却回路を構成する部品の点数が多くなるとともに、全体として冷却装置が大型化してしまう。
また、特許文献1に記載されたトランスアクスル冷却回路では、オイルの供給先であるトランスアクスルケース内に、オイルによる潤滑および暖機が必要な部位(潤滑必要部)と、オイルによる冷却が必要な部位(冷却必要部)とが含まれる。潤滑必要部であるトランスミッションのギヤ等には、オイルによる撹拌抵抗を低減するために、温かいオイルを供給する必要がある。一方、冷却必要部である電動機には、電動機を冷却するために、低温のオイルを供給する必要がある。
しかしながら、特許文献1の構成では、トランスアクスル冷却回路のオイルが、トランスアクスルケース内で潤滑必要部と冷却必要部の区別なく供給される。そのため、潤滑よりも冷却を優先する場合、冷却したい部位(冷却必要部)と同時に、温めたい部位(潤滑必要部)も冷却されてしまう。一方、冷却よりも潤滑を優先する場合、温めたい部位(潤滑必要部)と同時に、冷却したい部位(冷却必要部)も温められてしまう。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、冷却装置の小型化を図るとともに、冷却性能および潤滑性能の両立を図ることができる車両用冷却装置を提供することを目的とする。
本発明は、電動機と、前記電動機と電気的に接続されたインバータと、前記電動機から出力された動力を車輪に伝達する動力伝達機構と、を備える車両に搭載され、オイル貯留部を有するオイル循環回路を備える車両用冷却装置において、前記オイル循環回路は、前記オイル貯留部に貯留されているオイルを吸入し、前記インバータおよび前記電動機に供給される冷媒としての前記オイルを吐出する第1オイルポンプと、前記第1オイルポンプと前記インバータまたは前記電動機との間に設けられ、前記インバータおよび前記電動機に供給される前記オイルを冷却するオイルクーラと、を備える第1回路と、前記オイル貯留部に貯留されている前記オイルを吸入し、前記オイルクーラを経由せずに前記動力伝達機構に含まれる潤滑必要部に供給される前記オイルを吐出する第2オイルポンプを備える第2回路と、を有することを特徴とする。
本発明では、インバータと電動機とを含むオイル循環回路に、オイルのみを循環させている。これにより、車両用冷却装置の小型化を図れる。また、第1回路は、冷却回路として、第1オイルポンプから吐出されたオイルをオイルクーラで冷却してインバータまたは電動機に供給する。第2回路は、潤滑回路として、第2オイルポンプから吐出されたオイルをオイルクーラで冷却せずに潤滑必要部に供給する。これにより、冷却性能および潤滑性能の両立を図ることができる。
上記発明において、前記第1回路は、前記第1オイルポンプの下流側で、前記インバータと前記電動機とが直列に接続され、前記電動機は前記インバータの下流側に設けられていることが好ましい。
本発明では、第1回路は、第1オイルポンプの下流側で、オイルクーラと電動機との間にインバータを有する。電動機とインバータとで耐熱温度を比較すると、インバータの耐熱温度の方が低い。冷却装置によれば、第1回路によって、オイルクーラで冷却されたオイルを、電動機よりも先にインバータに供給することができる。
上記発明において、前記第1回路は、前記第1オイルポンプの下流側で、前記インバータと前記電動機とが並列に接続されていることが好ましい。
本発明では、第1回路は、第1オイルポンプの下流側で、オイルクーラで冷却されたオイルを、インバータを経由せずに、電動機に供給することができる。これにより、電動機に供給されるオイルの温度は、インバータとの熱交換によって温度上昇していないことになり、低温のオイルで電動機を冷却できる。
上記発明において、前記インバータは、前記第1オイルポンプから吐出された前記オイルが冷媒として内部を流れるように構成されていることが好ましい。
本発明では、第1オイルポンプから吐出されたオイルによってインバータの内部を冷却することができる。これにより、インバータの冷却性能が向上するとともに、耐熱性能が向上する。
上記発明において、前記オイルクーラは、前記オイルと空気との間で熱交換を行う空冷式のオイルクーラであることが好ましい。
本発明では、第1オイルポンプから吐出されたオイルが空冷式のオイルクーラによって冷却されるため、そのオイルの冷却性が向上する。
上記発明において、前記電動機とエンジンとを動力源として備える車両に搭載され、前記第1オイルポンプは、電動モータによって駆動される電動オイルポンプであり、前記第2オイルポンプは、前記エンジンによって駆動される機械式オイルポンプであることが好ましい。
本発明では、第1オイルポンプが電動オイルポンプにより構成されているため、エンジンが停止している場合でも、第1オイルポンプを駆動させることが可能である。また、電子制御装置などの制御装置によって第1オイルポンプの吐出量を制御することができる。
上記発明において、前記第2回路は、エンジン冷却水と前記第2オイルポンプから吐出された前記オイルとの間で熱交換可能、かつエンジンオイルと前記第2オイルポンプから吐出された前記オイルとの間で熱交換可能に構成された三相型の熱交換器を、さらに有することが好ましい。
本発明では、三相型の熱交換器によって、エンジン冷却水と第2オイルポンプから吐出されたオイルとの間で熱交換を行えるとともに、エンジンオイルと第2オイルポンプから吐出されたオイルとの間で熱交換を行える。これにより、三相型の熱交換器を経由したオイルを潤滑必要部に供給することができる。
上記発明において、前記エンジン冷却水が循環する回路中に設けられ、前記熱交換器を経由する前記エンジン冷却水の流通が可能な開状態と、前記熱交換器を経由する前記エンジン冷却水の流通が不可能な閉状態とを切り替える第1切替弁と、前記エンジンオイルが循環する回路中に設けられ、前記熱交換器を経由する前記エンジンオイルの流通が可能な開状態と、前記熱交換器を経由する前記エンジンオイルの流通が不可能な閉状態とを切り替える第2切替弁と、をさらに備えていることが好ましい。
本発明では、第1切替弁および第2切替弁の開閉状態を切り替えることによって三相型の熱交換器での熱交換状態を制御できる。
上記発明において、前記オイルの温度を検出する第1油温センサと、前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサと、前記エンジンオイルの温度を検出する第2油温センサと、前記第1油温センサよって検出された前記オイルの温度、前記水温センサによって検出された前記エンジン冷却水の温度、前記第2油温センサによって検出された前記エンジンオイルの温度に基づいて、前記第1切替弁および前記第2切替弁の開閉動作を制御する制御装置と、をさらに備え、前記制御装置は、前記オイルの温度が所定油温よりも低い場合、前記第1切替弁と前記第2切替弁とのうちの少なくとも前記第2切替弁を開状態に制御し、前記熱交換器での熱交換によって前記オイルの温度を上昇させる暖機制御を実施することが好ましい。
本発明では、潤滑必要部に供給されるオイルが、エンジン冷却水およびエンジンオイルのうちの少なくとも一方から熱を受け取って温められる。そのため、そのオイルの温度上昇が早くなり、潤滑必要部を早期に暖機できる。これにより、オイルによって潤滑必要部で生じる引き摺り損失や撹拌損失を低減でき、燃費を向上させることができる。
上記発明において、前記制御装置は、前記暖機制御を実施する際、前記エンジン冷却水の温度が所定水温よりも高い場合には、前記第1切替弁および前記第2切替弁を開状態に制御することが好ましい。
本発明では、潤滑必要部に供給されるオイルが、エンジン冷却水およびエンジンオイルの熱を受け取って温められるため、そのオイルの温度上昇が早くなり、潤滑必要部を早期に暖機できる。これにより、オイルによって潤滑必要部で生じる引き摺り損失や撹拌損失を低減でき、燃費を向上させることができる。さらに、エンジン冷却水の温度を考慮して三相型の熱交換器での熱交換状態を切り替えているため、その熱交換器での熱交換によるエンジン側への悪影響を抑制できる。
上記発明において、前記制御装置は、前記暖機制御を実施する際、前記エンジン冷却水の温度が所定水温以下である場合、かつ前記オイルの温度が前記エンジンオイルの温度よりも低い場合には、前記第1切替弁を閉状態に制御し、かつ前記第2切替弁を開状態に制御することが好ましい。
本発明では、エンジン冷却水の温度を考慮して三相型の熱交換器での熱交換状態を切り替えているため、その熱交換器での熱交換によるエンジン側への悪影響を抑制できる。つまり、エンジン冷却水の温度が所定水温よりも低くエンジン冷却水を温めたい場合には、第2回路のオイルを温める暖機制御を実施時でも第1切替弁を閉じることによって、エンジン冷却水の熱が第2回路内のオイルに奪われることを抑制できる。
本発明では、オイル循環回路が、インバータおよび電動機を含む第1回路(冷却回路)と、潤滑必要部を含む第2回路(潤滑回路)と、を有する。オイル循環回路はオイルのみを循環させるため、従来の冷却水を循環させるインバータ冷却回路とオイルを循環させるトランスアクスル冷却回路とが別構造の場合よりも、車両用冷却装置を小型化できる。また、第1回路によってオイルクーラで冷却後のオイルをインバータと電動機とに供給でき、第2回路によってオイルクーラを経由しないオイルを潤滑必要部に供給できる。これにより、冷却装置は、冷却性能および潤滑性能を両立できる。
図1は、車両用冷却装置が搭載される車両の一例を示すスケルトン図である。 図2は、第1実施形態の冷却装置の概略構成を示す模式図である。 図3は、第1実施形態の冷却装置で使用されるオイルの動粘度と従来オイルの動粘度を比較説明するための図である。 図4は、ポンプ吐出量とオイル温度との関係を説明するための図である。 図5は、変形例の冷却装置の概略構成を示す模式図である。 図6は、第2実施形態の冷却装置の概略構成を示す模式図である。 図7は、T/Mユニット損失とT/Mオイル温度との関係を説明するための図である。 図8は、通常走行状態における液体の温度推移を示す図である。 図9は、第2実施形態における熱交換制御の一例を示すフローチャートである。 図10は、参考例の冷却装置の概略構成を示す模式図である。 図11は、別の参考例の冷却装置を説明するための図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態における車両用冷却装置について具体的に説明する。
[第1実施形態]
[1.車両]
図1は、車両用冷却装置が搭載される車両の一例を示すスケルトン図である。車両Veは、動力源として、エンジン1と、第1モータ(MG1)2と、第2モータ(MG2)3とを備えたハイブリッド車両である。エンジン1は、周知の内燃機関である。各モータ2,3は、モータ機能と発電機能とを有する周知のモータ・ジェネレータである。各モータ2,3は、インバータ21を介してバッテリ22に電気的に接続されている。また、各モータ2,3は、トランスアクスルケース40内の冷却必要部である。インバータ21は、トランスアクスルケース40の外部に配置されている。
車両Veは、エンジン1から車輪(駆動輪)4に至る動力伝達経路中に、動力分割機構5を備える。車両Veでは、動力分割機構5によって、エンジン1が出力した動力を第1モータ2側と車輪4側とに分割する。その際、第1モータ2はエンジン1が出力した動力によって発電し、その電力がバッテリ22に蓄電され、あるいはインバータ21を介して第2モータ3に供給される。
エンジン1のクランクシャフトと同一軸線上に、入力軸6と動力分割機構5と第1モータ2とが配置されている。クランクシャフトと入力軸6とは、図示しないトルクリミッタなどを介して連結されている。第1モータ2は、動力分割機構5に隣接し、軸線方向でエンジン1とは反対側に配置されている。第1モータ2は、コイルが巻き回されたステータ2aと、ロータ2bと、ロータ軸2cとを備えている。
動力分割機構5は、複数の回転要素を有する差動機構であって、図1に示す例ではシングルピニオン型の遊星歯車機構によって構成されている。動力分割機構5は、三つの回転要素として、外歯歯車のサンギヤ5Sと、サンギヤ5Sに対して同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ5Rと、これらサンギヤ5Sとリングギヤ5Rとに噛み合っているピニオンギヤを自転可能かつサンギヤ5Sの周りに公転可能に保持しているキャリア5Cとを備えている。
サンギヤ5Sには、第1モータ2のロータ軸2cが一体回転するように連結されている。キャリア5Cには、入力軸6が一体回転するように連結されている。エンジン1は、入力軸6を介してキャリア5Cに連結されている。リングギヤ5Rには、動力分割機構5から車輪4側へ向けてトルクを出力する出力ギヤ7が一体化されている。出力ギヤ7は、リングギヤ5Rと一体回転する外歯歯車であり、カウンタギヤ機構8のカウンタドリブンギヤ8bと噛み合っている。
出力ギヤ7は、カウンタギヤ機構8を介してデファレンシャルギヤ機構9に連結されている。カウンタギヤ機構8は、入力軸6と平行に配置されたカウンタシャフト8aと、出力ギヤ7と噛み合っているカウンタドリブンギヤ8bと、デファレンシャルギヤ機構9のリングギヤ9aと噛み合っているカウンタドライブギヤ8cとを有する。カウンタシャフト8aには、カウンタドリブンギヤ8bとカウンタドライブギヤ8cとが一体回転するように取り付けられている。デファレンシャルギヤ機構9には、左右のドライブシャフト10を介して車輪4が連結されている。
車両Veは、エンジン1から車輪4に伝達されるトルクに、第2モータ3が出力したトルクを付加するように構成されている。第2モータ3は、コイルが巻き回されたステータ3aと、ロータ3bと、ロータ軸3cとを備えている。ロータ軸3cは、カウンタシャフト8aと平行に配置されている。ロータ軸3cには、カウンタドリブンギヤ8bと噛み合っているリダクションギヤ11が一体回転するように取り付けられている。
また、車両Veには、エンジン1によって駆動する機械式オイルポンプ(MOP)101が設けられている。機械式オイルポンプ101は、エンジン1のクランクシャフトと同一軸線上に配置され、入力軸6と一体回転するポンプロータ(図示せず)を備えている。例えば、車両Veがエンジン1の動力によって前進走行する場合、入力軸6のトルクによって機械式オイルポンプ101のポンプロータが正方向に回転し、機械式オイルポンプ101は吐出口からオイルを吐出する。機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルは、トランスアクスルケース40内の潤滑必要部30(図2等に示す)に供給されて潤滑油として機能する。潤滑必要部30とは、車両Veの動力伝達機構のうち、トランスアクスルケース40内でオイルによる潤滑および暖機が必要な部位(主にギヤ)のことである。その動力伝達機構は、車両Veの動力源(エンジン1,第1モータ2,第2モータ3)から出力された動力を車輪4に伝達する機構である。潤滑必要部30は、図1に示す車両Veでは、動力分割機構5、出力ギヤ7、カウンタギヤ機構8を含む。
[2.冷却装置]
図2は、第1実施形態の車両用冷却装置100の概略構成を示す模式図である。車両用冷却装置(以下単に「冷却装置」という)100は、図1に示す車両Veに搭載されるものであり、トランスミッションの潤滑オイル(T/M潤滑オイル)によってインバータ21を冷却するように構成されている。なお、この説明では、トランスミッションの潤滑オイル(T/M潤滑オイル)を単にオイルと記載する。
図2に示すように、冷却装置100は、オイルを循環させるオイル循環回路200を備えている。オイル循環回路200は、インバータ21および各モータ2,3を冷却するための第1回路(以下、冷却回路という)210と、潤滑必要部30を潤滑および暖機するための第2回路(以下、潤滑回路という)220とを有する。
詳細には、オイル循環回路200は、インバータ21に冷媒としてのオイルを供給する油路(インバータ油路)と、トランスアクスル油路に含まれるトランスアクスルケース40内の冷却必要部にオイルを供給する冷却油路と、を連通させた構造を有する。すなわち、インバータ油路とトランスアクスル油路を含むオイル循環回路200内には、オイルという同一の液体のみが循環する。また、冷却装置100は、二つのオイルポンプによって、オイル循環回路200内のオイルを供給先に向けて圧送する。
[2−1.冷却回路]
冷却回路210は、第1オイルポンプとしての電動オイルポンプ102と、ハイブリッド専用ラジエータ(以下「HVラジエータ」という)103と、冷却対象のインバータ21と、冷却対象の各モータ2,3と、オイル貯留部104と、を有する。冷却回路210は、電動オイルポンプ102から吐出されたオイルを、HVラジエータ103で冷却させた後、インバータ21および各モータ2,3に供給する。
電動オイルポンプ102は、電動モータ(図示せず)によって駆動する。その電動モータは、制御装置(ECU)150の制御によって駆動する。制御装置150は、周知の電子制御装置により構成され、電動オイルポンプ102を駆動制御する。電動オイルポンプ102は、制御装置150の制御によって駆動するものであり、オイル貯留部104に貯留されているオイルを吸入し、吐出口から吐出する。電動オイルポンプ102は、冷却対象(インバータ21および各モータ2,3)に冷媒として供給されるオイルを吐出する。電動オイルポンプ102の吐出口には、第1吐出油路201が接続されている。電動オイルポンプ102が第1吐出油路201内に吐出したオイルは、電動オイルポンプ102の吐出圧によって、冷却回路210内をオイル供給先のインバータ21および各モータ2,3に向けて圧送される。
HVラジエータ103は、冷却回路210内を流通するオイルと、空気(例えば車両Veの外気)との間で熱交換を行う熱交換器である。すなわち、HVラジエータ103は、トランスアクスルケース40の外部に配置された空冷式のオイルクーラである。HVラジエータ103内を流通するオイルは、車両Veの外気と熱交換することによって放熱する。HVラジエータ103は、冷却回路210内で、電動オイルポンプ102とインバータ21および各モータ2,3との間に設けられている。冷却回路210は、電動オイルポンプ102からインバータ21および各モータ2,3に向けて圧送されるオイルを、HVラジエータ103によって空冷(冷却)する。HVラジエータ103の入口には、第1吐出油路201が接続され、HVラジエータ103の出口には、第1供給油路202が接続されている。
第1供給油路202は、HVラジエータ103とインバータ21との間の油路であって、HVラジエータ103で空冷された後のオイルをインバータ21に供給する油路である。インバータ21のケース入口には、第1供給油路202が接続されている。HVラジエータ103で空冷されたオイルは、第1供給油路202からインバータ21のケース内部に流入し、インバータ21の発熱部に接触して直接熱交換することによって、インバータ21を冷却する。
インバータ21のケース出口には、第2供給油路203が接続されている。第2供給油路203は、インバータ21と各モータ2,3との間の油路であって、HVラジエータ103で空冷されたオイルを各モータ2,3に供給する油路である。冷却回路210では、電動オイルポンプ102の下流側で、インバータ21と各モータ2,3とが直列に接続され、インバータ21の下流側に各モータ2,3が設けられている。各モータ2,3はトランスアクスルケース40の内部に配置されているため、各モータ2,3に供給されるオイルは、HVラジエータ103およびインバータ21を経由する際に一旦トランスアクスルケース40の外部を流れている。
また、図2に示す例では、第2供給油路203は、下流側が分岐している油路である。第2供給油路203は、MG1冷却パイプ203aと、MG2冷却パイプ203bとを含む。MG1冷却パイプ203aは、一方の分岐油路を形成し、第1モータ2にオイルを供給する。MG2冷却パイプ203bは、他方の分岐油路を形成し、第2モータ3にオイルを供給する。詳細には、MG1冷却パイプ203aは、第1モータ2のうち、特に通電中に発熱するステータ2aを冷却するために、ステータ2aに向けてオイルを吐出する吐出孔を有する構造に形成されている。MG2冷却パイプ203bは、第2モータ3のうち、特に通電中に発熱するステータ3aを冷却するために、ステータ3aに向けてオイルを吐出する吐出孔を有する構造に形成されている。各冷却パイプ203a,203bは、トランスアクスルケース40の内部に配置されている。
冷却回路210内を電動オイルポンプ102から各モータ2,3に向けて流通したオイルは、各モータ2,3を冷却した後、トランスアクスルケース40内のオイル貯留部104に流入する。オイル貯留部104は、トランスアクスルケース40の底部に形成されたオイル溜まりや、オイルパンなどにより構成される。例えば、各モータ2,3を冷却した後のオイルは、重力などによって、トランスアクスルケース40の底部に設けられたオイル貯留部104に戻される。このように、冷却回路210内をオイルが循環する際、オイル貯留部104に貯留されているオイルは、電動オイルポンプ102によって冷却回路210内をインバータ21および各モータ2,3に向けて圧送され、各モータ2,3を冷却後、再びオイル貯留部104に戻る。
[2−2.潤滑回路]
潤滑回路220は、第2オイルポンプとしての機械式オイルポンプ101と、潤滑対象の潤滑必要部30と、オイル貯留部104と、を有する。潤滑回路220は、機械式オイルポンプ101から吐出されたオイルを、HVラジエータ103で空冷せずに、潤滑必要部30に供給する。
機械式オイルポンプ101は、エンジン1(図1に示す)によって駆動するものであり、オイル貯留部104に貯留されているオイルを吸入し、吐出口から吐出する。機械式オイルポンプ101は、潤滑必要部30(ギヤ)に潤滑油として供給されるオイルを吐出する。機械式オイルポンプ101の吐出口には、第3供給油路204が接続されている。第3供給油路204は、機械式オイルポンプ101の吐出口に接続された第2吐出油路と、その第2吐出油路の下流側でオイルを潤滑必要部30に供給する潤滑油路とを含む。機械式オイルポンプ101から第3供給油路204に吐出されたオイルは、機械式オイルポンプ101の吐出圧によって、潤滑回路220内を潤滑必要部30に向けて圧送される。また、機械式オイルポンプ101はトランスアクスルケース40の内部に設けられているため、潤滑回路220は、全体経路がトランスアクスルケース40の内部に形成されている。例えば、第3供給油路204(潤滑油路)は、図1に示す入力軸6の内部に形成された油路(軸芯油路)であって、その入力軸6に形成された吐出孔を含む。潤滑回路220内を機械式オイルポンプ101から潤滑必要部30に向けて圧送されたオイルは、第3供給油路204(入力軸6の吐出孔)から、動力分割機構5(潤滑必要部30)に向けてオイルを吐出する。その第3供給油路204から吐出されたオイルが、トランスアクスルケース40内の複数のギヤを潤滑する。
潤滑必要部30を潤滑した後のオイルは、トランスアクスルケース40内のオイル貯留部104内に流入する。例えば、潤滑必要部30を潤滑後のオイルは、重力やギヤの回転力(遠心力)などによって、オイル貯留部104に戻される。このように、潤滑回路220内をオイルが循環する際、オイル貯留部104に貯留されているオイルは、機械式オイルポンプ101によって潤滑回路220内を圧送されて、潤滑必要部30を潤滑後、再びオイル貯留部104に戻る。
なお、潤滑必要部30は、あるギヤを潤滑した後のオイルによって潤滑される別のギヤを含む。例えば、図1に示す車両Veでは、第3供給油路204(主に潤滑油路)を入力軸6内部に形成し、入力軸6側から動力分割機構5(サンギヤ5S、リングギヤ5R、ピニオンギヤ)を潤滑した後のオイルが、重力や遠心力などによって移動し、他のギヤ(出力ギヤ7、カウンタギヤ機構8)を潤滑する。デファレンシャルギヤ機構9は、ギヤの一部がオイル貯留部104内のオイルに浸かり、掻きあげ潤滑をするように構成できる。また、トランスアクスルケース40の構造によっては、動力分割機構5を潤滑後のオイルが、デファレンシャルギヤ機構9を潤滑する前に、オイル貯留部104に戻される場合もある。そのため、潤滑必要部30には、デファレンシャルギヤ機構9が含まれなくてもよい。
[3.参考例との比較]
ここでは、冷却装置100の優位性を説明するために、冷却装置100と参考例とを比較する。まず、図10を参照して、参考例の冷却装置について説明する。次いで、冷却装置100と参考例との比較を記載する。
[3−1.参考例]
図10は、参考例の冷却装置300の概略構成を示す模式図である。参考例の冷却装置300では、インバータ冷却回路310と、トランスアクスル油路320とが、それぞれ独立した流路によって形成されている。インバータ冷却回路310は、冷媒としてハイブリッド冷却水(LLC)を循環させる水路によって形成されている。トランスアクスル油路320は、冷媒としてオイル(T/M潤滑オイル)を循環させる油路によって形成されている。
詳細には、インバータ冷却回路310は、電動ウォータポンプ(EWP)311と、ハイブリッド冷却水(以下「HV冷却水」という)と空気との間で熱交換を行うHVラジエータ312と、各モータ2,3と電気的に接続されたインバータ313と、HV冷却水とトランスアクスル油路320内のオイルとの間で熱交換を行う熱交換器314と、HV冷却水を貯留するリザーバタンク315と、を含む。そのインバータ冷却回路310は、HV冷却水によってインバータ313を冷却するための循環水路である。
インバータ冷却回路310において、電動ウォータポンプ311は、リザーバタンク315内に貯留されているHV冷却水を吸入し、吐出口から吐出する。電動ウォータポンプ311から吐出されたHV冷却水は、HVラジエータ312で空冷された後、インバータ313に供給される。インバータ313は、HVラジエータ312で空冷された後のHV冷却水によって冷却される。そのHV冷却水は、インバータ313を冷却後、熱交換器314内に流入してオイルとの間で熱交換を行ってから、リザーバタンク315へ圧送される。
トランスアクスル油路320は、機械式オイルポンプ321と、熱交換器314と、第1モータ2と、第2モータ3と、潤滑必要部30と、オイル貯留部322と、を含む。トランスアクスル油路320は、機械式オイルポンプ321から吐出されたオイルを、熱交換器314でHV冷却水との間で熱交換させた後、各モータ2,3に供給することができる油路(冷却油路)を含む。また、トランスアクスル油路320は、機械式オイルポンプ321から吐出されたオイルを、熱交換器314でHV冷却水との間で熱交換させずに、潤滑必要部30に供給することができる油路(潤滑油路)を含む。なお、オイル貯留部322に貯留されるオイルは、上述した第1実施形態のオイル貯留部104とは異なり、HVラジエータ312およびインバータ313に供給されないオイルである。
[3−2.比較]
参考例の冷却装置300に対する第1実施形態の冷却装置100の優位性として、第1に冷却性能、第2に構造、第3にオイルの流動性が挙げられる。
[3−2−1.冷却性能]
インバータの冷却性能に注目する。第1実施形態と参考例との共通点として、インバータ21,313の内部において、通電されているインバータ素子が発熱部(熱源)である点を挙げることができる。
参考例のインバータ冷却回路310では、冷媒であるHV冷却水が導電性を有するため、安全性を考慮して、通電されているインバータ素子(インバータ発熱部)にHV冷却水を接触させられない。インバータ発熱部とHV冷却水との間の熱交換では、放熱板などの絶縁プレート(介在部材)を介する必要がある。そのため、HV冷却水によるインバータ発熱部の冷却状態は絶縁プレートを介する間接冷却であるため、HV冷却水とインバータ発熱部との間では絶縁プレートの分だけ熱抵抗が大きくなる。例えば、インバータ素子から絶縁プレート(放熱板)に至る熱輸送経路内に熱伝達部材を設けた場合、その熱輸送経路の分だけ熱抵抗が増大してしまう。また、その熱輸送経路を形成する部材同士間の熱伝達率だけなく、その部材自体の熱伝導率によっても、インバータ素子の放熱性が低下する虞がある。
第1実施形態の冷却装置100では、冷媒であるオイルが絶縁性を有するため、インバータ21を冷却する際、通電されているインバータ素子(インバータ発熱部)にオイルを接触させることが可能になる。冷却装置100では、インバータ発熱部とオイル(冷媒)との間で直接的に熱交換することが可能である。すなわち、冷却装置100によれば、絶縁性を有する冷媒によってインバータ素子を直接的に冷却することが可能になる。これにより、冷却装置100では、参考例のように放熱板等の絶縁プレートが不要となり、参考例よりも、冷媒(オイル)とインバータ発熱部との間の熱抵抗を低減できる。よって、第1実施形態によれば、参考例よりも、インバータ素子の冷却性が向上し、インバータ21の冷却性能が向上する。加えて、インバータ素子の冷却性が向上することによって、インバータ21の耐熱性能が向上する。なお、インバータ素子は、筐体に覆われたパッケージである。
また、参考例の冷却装置300では、一つの機械式オイルポンプ321によって、各モータ2,3(冷却必要部)と潤滑必要部30の両方にオイルを圧送する構成である。そのため、冷却必要部に供給されるオイル量と、潤滑必要部30に供給されるオイル量との制御が困難になる。例えば、車両Veの冷間始動時など、オイルにより潤滑必要部30の暖機が必要な車両状態の場合(暖機重視)、潤滑必要部30にオイルを供給するために機械式オイルポンプ321を駆動させているにも拘らず、そのオイルの一部が冷却必要部(各モータ2,3)に供給されることになる。これでは、暖機のためのオイル供給量が減ってしまう虞がある。この場合、冷却の必要性が低い冷却必要部にオイルが供給されることになる。これでは、各モータ2,3の回転中のロータがオイルを撹拌することにより生じる損失(撹拌損失)およびオイルに引き摺られることにより生じる損失(引き摺り損失)が大きくなってしまう虞がある。あるいは、第1モータ2と第2モータ3の少なくとも一方の冷却が必要な車両状態の場合(冷却重視)、冷媒としてのオイルを冷却必要部(各モータ2,3)に供給するために機械式オイルポンプ321を駆動しているにも拘らず、そのオイルの一部が潤滑必要部30に供給されることとなる。これでは、冷媒としてのオイル供給量が減ってしまい、各モータ2,3の冷却性が低下する虞がある。加えて、潤滑必要部30に供給されるオイル量が過剰になり、潤滑必要部30で生じる撹拌損失および引き摺り損失が大きくなってしまう虞がある。このように、オイルに起因してモータ系(各モータ2,3)や潤滑系(潤滑必要部30)での撹拌損失および引き摺り損失が大きくなると、燃費を悪化させてしまう虞がある。
さらに、参考例の冷却装置300では、トランスアクスル油路320内のオイルが熱交換器314を介してインバータ冷却回路310内のHV冷却水に放熱している。つまり、HV冷却水はHVラジエータ312によって空冷されているが、オイルの熱はHV冷却水を介してHVラジエータ312で放熱されていることになる。そのため、オイルの放熱効率が良くない。これでは、オイルによる各モータ2,3の冷却効果が小さくなってしまう。
第1実施形態では、冷却回路210と潤滑回路220を含むオイル循環回路200によって、冷却が必要な要素(インバータ21、各モータ2,3)と、暖機が必要な要素(潤滑必要部30)とに分けて、異なる温度のオイルを供給することができる。また、冷却回路210に設けられた第1オイルポンプとしての電動オイルポンプ102と、潤滑回路220に設けられた第2オイルポンプとしての機械式オイルポンプ101とを、別々に駆動させることができる。例えば、車両Veが高車速で走行時や登坂路を走行時など、各モータ2,3の冷却が必要な車両状態の場合(冷却重視)、制御装置150の制御によって電動オイルポンプ102を駆動させることができる。これにより、冷却装置100の冷却性能および潤滑性能を両立できる。
また、第1実施形態の冷却装置100において、電動オイルポンプ102は、冷却回路210内のインバータ21および各モータ2,3にオイルを供給するものであり、制御装置150によって制御可能である。そのため、電動オイルポンプ102によって、インバータ温度とモータ温度を含めた油温管理が可能になる。これに対して、参考例では、インバータ冷却回路310用の電動ウォータポンプ311と、トランスアクスル油路320用の機械式オイルポンプ321とを備えているため、インバータ温度とモータ温度を別々に管理していた。よって、第1実施形態によれば、参考例に比べて、車両Veの走行状態に応じて最適な油温に管理しやすくなる。
[3−2−2.構造]
また、構造については、第1実施形態によれば、参考例よりも要素部品を削減できる。例えば、参考例の熱交換器314、リザーバタンク315、水路を形成していた一部の配管を削減できる。さらに、第1実施形態によれば、参考例ではインバータ冷却回路310専用の構成要素であるHV冷却水も不要となるため、冷媒を一つ削減できる。要するに、第1実施形態の冷却装置100では、冷媒が一つ(オイルのみ)になることによって、重複していた要素部品が不要になり、小型かつ軽量なシステム構成を実現できる。さらに、構成部品(HV冷却水を含む)を削減できることによって、コストも削減できる。加えて、大型の冷却装置300では車両への搭載性が悪く組み付け性が悪化してしまう。
[3−2−3.オイルの流動性]
図3、図4を参照して、オイルの流動性について説明する。図3は、第1実施形態の冷却装置100で使用されるオイルの動粘度と従来オイルの動粘度を比較説明するための図である。図4は、ポンプ吐出量とオイル温度との関係を説明するための図である。なお、この説明では、冷却装置100で使用されるオイルを「本オイル」と記載し、従来の冷却装置で使用されるオイルを「従来オイル」と記載する。また、図3に示す実線は本オイルの動粘度を表し、破線は従来オイルの動粘度を表す。図4に示す実線は本オイルでの吐出量(流量)を表し、破線は従来オイルでの吐出量(流量)を表す。
図3に示すように、本オイルの動粘度は、どの油温で比較しても従来オイルの動粘度に比べて低く、特に低温域での粘度低下が大きい。具体的には、油温がマイナスの油温域において、本オイルは従来オイルに比べて大幅に低粘度化されている。油温がプラスの油温域においても、本オイルの粘度低下が大きい。例えば、約10〜30℃の油温域内において、本オイルは従来オイルに対して約60%動粘度が低減されている。
そのため、低粘度オイルである本オイルを冷却装置100に使用することによって、本オイルがオイル循環回路200内を流れる際に生じる圧力損失を低減することができる。これにより、圧力損失の増大を抑制しつつインバータ21の内部に冷媒としての本オイルを流すことが可能になる。また、オイルに触れる各モータ2,3のロータや潤滑必要部30などの回転部材において、オイルによる引き摺り抵抗が低減される。これにより、電動オイルポンプ102が作動可能な油温域は、極低温域まで拡大可能になる。すなわち、電動オイルポンプ102の作動限界油温は、極低温まで下がる。その作動限界油温とは、電動オイルポンプ102の吐出量(単位時間当たりの流量)が必要吐出量となる油温である。電動オイルポンプ102の作動限界油温について、本オイルと従来オイルとの違いを図4に示す。
図4に示すように、本オイルを吐出する電動オイルポンプ102の作動限界油温Tlimは、マイナス数十度(例えば約−20〜−40℃)の極低温となる。一方、従来オイルを吐出する電動オイルポンプ102の作動限界油温は、零度付近となる。このように、電動オイルポンプ102が作動可能な油温域は、マイナス数十度を含む極低温域まで拡大する。そのため、外気温がマイナス30℃付近の極低温であっても本オイルの流動性は確保される。また、本オイルを使用時の吐出量は、どの油温で比較しても従来オイルを使用時の吐出量よりも多くなり、特に低温域では大幅に増大している。
以上説明した通り、第1実施形態の冷却装置100では、オイルのみをインバータ油路とトランスアクスル油路に循環させるオイル循環回路200を備えている。これにより、冷却装置100の小型化が図れる。オイル循環回路200では、冷却回路210によってHVラジエータ103で空冷後のオイルをインバータ21と各モータ2,3(冷却必要部)に供給し、かつ潤滑回路220によってHVラジエータ103で空冷しないオイルを潤滑必要部30に供給することができる。これにより、冷却装置100は冷却性能および潤滑性能の両立を図れる。また、HVラジエータ103で、オイルを冷却(空冷)することができるため、オイルの冷却性が向上する。加えて、その空冷後のオイルが、各モータ2,3に供給されるため、各モータ2,3の冷却性が向上する。また、冷却回路210内では、インバータ21と、各モータ2,3のうちいずれか一方とが、直列に配置されている。これにより、各モータ2,3に供給されるオイル量の低減を抑制できる。
また、オイルの冷却性が向上することにより、各モータ2,3の損失(銅損、鉄損)を低減でき、燃費が向上するとともに各モータ2,3の耐熱性が向上する。また、インバータ21の冷却性も向上するため、インバータ21の損失(銅損など)を低減でき、燃費が向上するとともにインバータ21の耐熱性が向上する。
[4.変形例]
図5は、変形例の冷却装置100の概略構成を示す模式図である。なお、変形例の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、その参照符号を引用する。
図5に示すように、変形例の冷却装置100は、オイル循環回路200の冷却回路210内において、電動オイルポンプ102の下流側でインバータ21と各モータ2,3とが並列に接続されている。詳細には、冷却回路210内で、インバータ21と、第1モータ2と、第2モータ3とが、並列に配置されている。
詳細には、HVラジエータ103の出口には、空冷後油路205が接続されている。空冷後油路205は、下流側の油路が分岐点Pで分岐している。分岐点Pでは、空冷後油路205と第1供給油路202と第2供給油路203(MG1冷却パイプ203a,MG2冷却パイプ203b)とが連通している。つまり、インバータ21のケース内部の油路は、第1供給油路202および空冷後油路205を介して、HVラジエータ103と連通している。第1モータ2のMG1冷却パイプ203aは、空冷後油路205を介して、HVラジエータ103と連通している。第2モータ3のMG2冷却パイプ203bは、空冷後油路205を介して、HVラジエータ103と連通している。つまり、変形例の冷却回路210では、各モータ2,3に供給されるオイルは、インバータ21を経由することなく、HVラジエータ103を経由するために一旦トランスアクスルケース40の外部を流れるように構成されている。
この変形例の冷却装置100によれば、HVラジエータ103で空冷後のオイルを、インバータ21を経由せずに、各モータ2,3に供給することができる。これにより、各モータ2,3に供給されるオイルの温度は、インバータ21の冷却によって温度上昇していないことになり、低温のオイルで各モータ2,3を冷却できる。よって、各モータ2,3の冷却性が向上する。
また、上述した第1実施形態のように、インバータ21と各モータ2,3とが直列に配置された場合と、この変形例のように、インバータ21と各モータ2,3とが並列に配置された場合とを比較する。冷却回路210において、インバータ21と各モータ2,3が直列に配置された場合には、インバータ21と各モータ2,3とが並列に配置された場合よりも、各モータ2,3に供給されるオイル量が多く、かつオイル温度が高い。冷却回路210において、インバータ21と各モータ2,3が並列に配置された場合には、インバータ21と各モータ2,3とが直列に配置された場合よりも、各モータ2,3に供給されるオイル量が少なく、かつオイル温度が低い。
なお、本発明に係る車両用冷却装置は、上述した第1実施形態や変形例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、機械式オイルポンプ101の構造および配置は、トランスアクスルケース40の内部に形成可能なものであれば特に限定されない。例えば、機械式オイルポンプ101は、エンジン1のクランクシャフトと同一軸線上に配置されていなくてもよい。この場合、機械式オイルポンプ101と入力軸6とは、ギヤ機構やチェーン機構などの機構を介して、動力伝達可能に接続されている。
また、冷却装置100に含まれる二つのオイルポンプは、その種類が上述した第1実施形態に限定されない。つまり、冷却回路210に含まれる第1オイルポンプが電動オイルポンプ102、かつ潤滑回路220に含まれる第2オイルポンプが機械式オイルポンプ101に限定されない。例えば、第1オイルポンプおよび第2オイルポンプは、両方とも、電動オイルポンプであってもよい。この場合、潤滑回路220のオイルを圧送する第2オイルポンプが電動オイルポンプとなり、制御装置150によって潤滑回路220内の第2オイルポンプを制御可能となる。また、冷却装置100によれば、車両Veが停止している状態で、電動オイルポンプからなる第2オイルポンプを駆動させることが可能になる。さらに、冷却装置100を搭載する車両は、ハイブリッド車両に限定されず、モータのみを動力源とする電気自動車(EV車)を含む。
さらに、冷却装置100では、冷却必要部に含まれるモータの数が限定されず、二つ以外の数のモータを冷却対象としてもよい。上述した第1実施形態では、車両Veがツーモータ式のハイブリッド車両である場合を説明したが、車両は、ワンモータ式のハイブリッド車両でもよい。あるいは、冷却装置100は、三つ以上のモータを冷却対象としてもよい。
また、冷却装置100は、空冷式のオイルクーラであるHVラジエータ103の代わりに、水冷式のオイルクーラを有する構成であってもよい。冷却装置100は、冷却対象のインバータ21および各モータ2,3に供給されるオイルを、冷却することができるオイルクーラを備えていればよい。そのため、そのオイルクーラが空冷式か水冷式かは限定されない。例えば、冷却装置100が水冷式のオイルクーラを有する場合、水冷式のオイルクーラは、冷却回路210内を流通するオイルと、エンジン冷却水との間で熱交換を行う熱交換器であってよい。
また、潤滑必要部30には、デファレンシャルギヤ機構9が含まれてもよい。要するに、デファレンシャルギヤ機構9が潤滑必要部30に含まれるか否かは特に限定されない。
[第2実施形態]
次に、図6〜図9を参照して、第2実施形態の冷却装置100について説明する。第2実施形態の冷却装置100は、第1実施形態とは異なり、エンジン冷却水(以下「ENG冷却水」という)とエンジンオイル(以下「ENGオイル」という)とT/M潤滑オイル(以下「T/Mオイル」という)とが熱交換を行う三相型の熱交換器を備えている。なお、第2実施形態の説明では、第1実施形態と同様の構成については説明を省略し、その参照符号を引用する。
[5.冷却装置]
図6は、第2実施形態の冷却装置100の概略構成を示す模式図である。図6に示すように、第2実施形態の冷却装置100は、ENG冷却水とENGオイルとT/Mオイルとの間で熱交換を行う三相型の熱交換器(以下単に「熱交換器」という)105を備えている。また、オイル循環回路200は、潤滑回路220内を流れるT/Mオイルが熱交換器105内に流入するものの、冷却回路210内を流れるT/Mオイルは熱交換器105内には流入しないように構成されている。また、熱交換器105には、潤滑回路220、ENG冷却回路410、およびENGオイル回路420が接続されている。
[5−1.潤滑回路]
潤滑回路220は、機械式オイルポンプ101と、熱交換器105と、潤滑必要部30と、オイル貯留部104と、を有する。潤滑回路220は、機械式オイルポンプ101から吐出されたT/Mオイルを、熱交換器105を経由させて、潤滑必要部30に供給する。
機械式オイルポンプ101の吐出口には、第2吐出油路206が接続されている。機械式オイルポンプ101が第2吐出油路206内に吐出したT/Mオイルは、機械式オイルポンプ101の吐出圧によって潤滑回路220内を熱交換器105に向けて圧送されるとともに、その熱交換器105を経由して潤滑必要部30に圧送される。
熱交換器105は、T/Mオイル、ENG冷却水、ENGオイルの三つの液体の間で、それぞれに熱交換を行うことが可能に構成された熱交換器である。つまり、T/MオイルとENG冷却水との間で熱交換可能、かつT/MオイルとENGオイルとの間で熱交換可能に構成されている。また、ENG冷却水とENGオイルとの間で熱交換可能に構成されている。潤滑回路220における熱交換器105の入口には、第2吐出油路206が接続されている。潤滑回路220における熱交換器105の出口には、第4供給油路207が接続されている。第4供給油路207は熱交換器105の下流側でオイルを潤滑必要部30に供給する潤滑油路である。
また、潤滑回路220には、T/Mオイルの温度Ttmを検出する第1油温センサ151が設けられている。例えば、第1油温センサ151は、潤滑回路220内の第2吐出油路206に設けられており、機械式オイルポンプ101から吐出されたT/Mオイルの温度Ttmを検出する。そして、第1油温センサ151で検出されたT/Mオイルの温度(以下「T/M油温」という)Ttmは検出信号(温度情報)として制御装置150に入力される。
[5−2.ENG冷却回路]
ENG冷却回路410は、ENG冷却水が循環する回路である。図6に示すように、ENG冷却回路410は、熱交換器105と、熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENG冷却水の流通を選択的に遮断する第1切替弁(ON−OFFバルブ)411と、を有する。なお、ENG冷却回路410にはウォータポンプ等(図示せず)の周知の構成が含まれる。
エンジン1の冷却水出口、および熱交換器105の冷却水入口には、ENG冷却水を熱交換器105に供給する第1水路412が接続されている。また、熱交換器105の冷却水出口、およびエンジン1の冷却水入口には、熱交換器105で熱交換後のENG冷却水をエンジン1に供給する第2水路413が接続されている。図6に示す例では、第2水路413に第1切替弁411が設けられている。
第1切替弁411は、熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENG冷却水の流通が可能な開状態(ON)と、熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENG冷却水の流通が不可能な閉状態(OFF)とを切り替える。その第1切替弁411は、例えば電磁弁などにより構成されており、制御装置150によって開閉動作が制御される。第1切替弁411が開状態である場合、第1水路412内をエンジン1から熱交換器105に向けてENG冷却水が流れるとともに、第2水路413内を熱交換器105からエンジン1に向けてENG冷却水が流れる。一方、第1切替弁411が閉状態である場合、ENG冷却回路410では熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENG冷却水の流れは発生しない。
また、ENG冷却回路410には、ENG冷却水の温度(以下「ENG冷却水温」という)Thwを検出する水温センサ152が設けられている。水温センサ152は、ENG冷却回路410内で熱交換器105の上流側に設置されている。また、水温センサ152で検出されたENG冷却水温Thwの情報は検出信号として制御装置150に入力される。
[5−3.ENGオイル回路]
ENGオイル回路420は、ENGオイルが循環する回路である。図6に示すように、ENGオイル回路420は、熱交換器105と、その熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENGオイルの流通を選択的に遮断する第2切替弁(ON−OFFバルブ)421と、を有する。
エンジン1のENGオイル出口および熱交換器105のENGオイル入口には、ENGオイルを熱交換器105に供給する第1油路422が接続されている。また、熱交換器105のENGオイル出口、およびエンジン1のENGオイル入口には、熱交換器105での熱交換後のENGオイルをエンジン1に供給する第2油路423が接続されている。図6に示す例では、第2油路423に第2切替弁421が設けられている。
第2切替弁421は、熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENGオイルの流通が可能な開状態(ON)と、熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENGオイルの流通が不可能な閉状態(OFF)とを切り替える。その第2切替弁421は、例えば電磁弁などにより構成されており、制御装置150によって開閉動作が制御される。第2切替弁421が開状態である場合、第1油路422内をエンジン1から熱交換器105に向けてENGオイルが流れるとともに、第2油路423内を熱交換器105からエンジン1に向けてENGオイルが流れる。一方、第2切替弁421が閉状態である場合、ENGオイル回路420では熱交換器105を経由してエンジン1に戻るENGオイルの流れは発生しない。
また、ENGオイル回路420には、ENGオイルの温度(以下「ENG油温」という)Toilを検出する第2油温センサ153が設けられている。第2油温センサ153は、ENGオイル回路420内で熱交換器105よりも上流側に設置されている。第2油温センサ153で検出されたENG油温Toilの情報は検出信号として制御装置150に入力される。
[6.制御装置]
制御装置150は、各センサ151〜153から入力された検出信号(T/M油温Ttm、ENG冷却水温Thw、ENG油温Toil)に基づいて、第1切替弁411および第2切替弁421の開閉動作を制御する。すなわち、制御装置150は、第1切替弁411および第2切替弁421の開閉状態を切り替える切替制御を実施することによって、熱交換器105の熱交換状態を制御する。具体的には、制御装置150は、T/M油温Ttm、T/M油温Ttmについての所定油温Ttm_1、ENG冷却水温Thw、ENG冷却水温Thwについての所定水温Thw_1、ENG油温Toilを比較して切替制御を実施する。
所定油温Ttm_1は、T/Mユニット損失を考慮して設定される値である。T/Mユニットとは、トランスアクスルケース40に収容された駆動装置(第1モータ2、第2モータ3、動力伝達機構)、および各モータ2,3に接続された電気系(インバータ21など)を含む。そのため、TMユニット損失には、各モータ2,3を駆動する際に生じる鉄損や銅損に加え、動力伝達機構で生じる損失(例えばオイルの引き摺り抵抗により潤滑必要部30で生じる損失など)が含まれる。さらに、T/Mユニット損失は、T/M油温Ttmが変化するにつれてその大きさが変化する特性(温度特性)を有する。
図7は、T/Mユニット損失とT/M油温Ttmとの関係を説明するための図である。図7に示すように、T/M油温Ttmが所定油温Ttm_1よりも低い油温域に含まれる場合、時間経過に伴いT/M油温Ttmが上昇するにつれてT/Mユニット損失は連続的に低減する。反対に、T/M油温Ttmが所定油温Ttm_1よりも高い油温域に含まれる場合には、時間経過に伴い油温が上昇するにつれてT/Mユニット損失は連続的に増大する。そのため、T/M油温Ttmに起因するT/Mユニット損失の大きさは、所定油温Ttm_1において極小値となる。これは、T/Mユニット損失がフリクション損失とモータ損失とに分類でき、フリクション損失は油温上昇により低減し、モータ損失は油温上昇により増大するためである。そこで、制御装置150は、T/M油温Ttmについての所定油温Ttm_1を閾値に用いて、各切替弁411,421の切替制御(熱交換器105での熱交換制御)を実施する。
図8は、通常走行状態における液体の温度推移を示す図である。通常走行状態とは、エンジン1の動力によって走行している状態である。図8に示すように、車両Veが通常走行状態である場合、液体の温度は「T/M油温Ttm<ENG油温Toil<ENG冷却水温Thw」の大小関係となっている。また、ENG冷却水温Thwが所定水温Thw_1以上に上昇すると、エンジン1に対する燃費制御(以下「ENG燃費制御」という)が全て実施される。すなわち、所定水温Thw_1は閾値である。ENG燃費制御とは、燃費を向上させる目的として実施される制御である。例えば、一時停車時にエンジン1を自動停止する制御や、エンジン1の動作点(エンジン回転数、エンジントルク)を効率が最もよい最適燃費線上に設定する制御や、各モータ2,3の動力によって走行するEV走行を許可するEV走行制御などがENG燃費制御に含まれる。また、図8には示さないが、高負荷走行状態において、ENG油温ToilがT/M油温TtmおよびENG冷却水温Thwよりも高い状態となっている。例えば、図8に示す通常走行状態を長時間(例えば数時間)継続した後に高負荷走行状態となる。なお、通常走行状態には、エンジン1および各モータ2,3の動力によって走行するHV走行と、エンジン1の動力のみによって走行するエンジン走行とが含まれる。
[7.熱交換制御]
図9は、熱交換制御の一例を示すフローチャートである。なお、図9に示す制御ルーチンは、制御装置150によって実施される。
図9に示すように、制御装置150はT/M油温Ttmが所定油温Ttm_1よりも低いか否かを判定する(ステップS1)。所定油温Ttm_1は予め設定されている閾値である。
T/M油温Ttmが所定油温Ttm_1よりも低いことによりステップS1で肯定的に判定された場合(ステップS1:Yes)、制御装置150はT/Mオイルを温める目的で熱交換器105での熱交換状態を制御する暖機制御を実施する(ステップS2)。この場合、制御装置150は、ENG冷却水温Thwが所定水温Thw_1よりも高いか否かを判定する(ステップS3)。所定水温Thw_1は予め設定されている閾値である。
ENG冷却水温Thwが所定水温Thw_1よりも高いことによりステップS3で肯定的に判定された場合(ステップS3:Yes)、制御装置150は第1切替弁411をONかつ第2切替弁421をONに制御する(ステップS4)。ステップS4が実施されると、第1切替弁411および第2切替弁421が開くため、T/MオイルとENG冷却水との間での熱交換が行われるとともに、T/MオイルとENGオイルとの間での熱交換が行われる。制御装置150はステップS4を実施後に制御ルーチンを終了する。
このように、ステップS3で肯定的に判定された場合、上述した図8に示すようにENG冷却水温ThwおよびENG油温ToilはT/M油温Ttmよりも高い状態である。そして、ステップS4が実施されると、ENG冷却水およびENGオイルの熱がT/Mオイルに移動してT/Mオイルが温められる。そのため、ENG冷却水の熱およびENGオイルの熱によってT/Mオイルを早期に温めることができる。これにより、熱交換器105を経由したT/Mオイルによって潤滑必要部30を早期に暖機することができる。
ENG冷却水温Thwが所定水温Thw_1以下であることによりステップS3で否定的に判定された場合(ステップS3:No)、制御装置150はT/M油温TtmがENG油温Toilよりも低いか否かを判定する(ステップS5)。
T/M油温TtmがENG油温Toilよりも低いことによりステップS5で肯定的に判定された場合(ステップS5:Yes)、制御装置150は第1切替弁411をOFFかつ第2切替弁421をONに制御する(ステップS6)。ステップS6が実施されると、第2切替弁421が開かれるためT/MオイルとENGオイルとの間で熱交換が行われるが、第1切替弁411は閉じられるためT/MオイルとENG冷却水との間では熱交換が行われない。制御装置150はステップS6を実施後に制御ルーチンを終了する。
このように、ステップS5での判定後にステップS6が実施される場合、T/M油温TtmはENG油温Toilよりも低い状態であるため、熱交換器105においてENGオイルの熱がT/Mオイルに移動してT/Mオイルが温められる。そのため、ENGオイルの熱によってT/Mオイルを早期に温めることができる。これにより、熱交換器105を経由したT/Mオイルによって潤滑必要部30を早期に暖機することができる。さらに、ステップS5での判定後にステップS6が実施される場合には、ENG冷却水はT/Mオイルに熱を与えないため、ENG冷却水温Thwが所定水温Thw_1に上昇するまでENG冷却水は優先的に温められる。これにより、ENG冷却水によるエンジン1の暖機が実施される。
T/M油温TtmがENG油温Toil以上であることによりステップS5で否定的に判定された場合(ステップS5:No)、制御装置150は、第1切替弁411および第2切替弁421をOFFに制御する(ステップS7)。ステップS7が実施されると、第1切替弁411および第2切替弁421が閉じるため、T/MオイルとENG冷却水との間でも、T/MオイルとENGオイルとの間でも熱交換は行われない。すなわち、T/MオイルはENG冷却水からもENGオイルからも熱を受け取らないことになる。制御装置150はステップS7を実施後に制御ルーチンを終了する。
このように、ステップS5での判定後にステップS7が実施される場合、T/M油温TtmはENG油温Toilよりも高い状態であるため、第2切替弁421を閉じることによってT/Mオイルの熱がENGオイルに移動することを防げる。これにより、T/Mオイルを温める際にT/Mオイルの熱がENGオイルに奪われることを防止できる。そのため、熱交換器105を経由したT/Mオイルによって潤滑必要部30を早期に暖機することができる。
一方、T/M油温Ttmが所定油温Ttm_1以上であることによりステップS1で否定的に判定された場合(ステップS1:No)、制御装置150はT/Mオイルを冷却する目的で熱交換器105での熱交換状態を制御する冷却制御を実施する(ステップS8)。この場合、制御装置150はENG油温ToilがENG冷却水温Thwよりも低いか否かを判定する(ステップS9)。
ENG油温ToilがENG冷却水温Thwよりも低いことによりステップS9で肯定的に判定された場合(ステップS9:Yes)、制御装置150はT/M油温TtmがENG油温Toilよりも低いか否かを判定する(ステップS10)。
T/M油温TtmがENG油温Toilよりも低いことによりステップS10で肯定的に判定された場合(ステップS10:Yes)、制御装置150は上述したステップS7を実施して第1切替弁411および第2切替弁421をOFFに制御する。
このように、ステップS10での判定後にステップS7が実施される場合、T/M油温TtmはENG冷却水温ThwおよびENG油温Toilよりも低い状態であるため、第1切替弁411および第2切替弁421を閉じることによって、ENG冷却水の熱がT/Mオイルに移動することも、ENGオイルの熱がT/Mオイルに移動することも防げる。これにより、T/Mオイルを冷却させる場合にENG冷却水およびENGオイルによってT/Mオイルが温められることを防止できるため、T/Mオイルの冷却性を確保できる。
T/M油温TtmがENG油温Toil以上であることによりステップS10で否定的に判定された場合(ステップS10:No)、制御装置150は上述したステップS6を実施して第1切替弁411をOFFかつ第2切替弁421をONに制御する。
このように、ステップS10での判定後にステップS6が実施される場合、T/M油温TtmはENG油温Toilよりも高い状態であるため、第1切替弁411を閉じることによってENG冷却水の熱がT/Mオイルに移動することを防げるとともに、第2切替弁421を開くことによってT/Mオイルの熱をENGオイルに移動させることができる。これにより、T/Mオイルを冷却させる場合にENG冷却水によってT/Mオイルが温められることを防止でき、かつENGオイルによってT/Mオイルを冷却することができるため、T/Mオイルの冷却性を確保できる。
ENG油温ToilがENG冷却水温Thw以上であることによりステップS9で否定的に判定された場合(ステップS9:No)、制御装置150はT/M油温TtmがENG冷却水温Thwよりも低いか否かを判定する(ステップS11)。
T/M油温TtmがENG冷却水温Thwよりも低いことによりステップS11で肯定的に判定された場合(ステップS11:Yes)、制御装置150は上述したステップS7を実施して第1切替弁411および第2切替弁421をOFFに制御する。
このように、ステップS11での判定後にステップS7が実施される場合、各液体の温度は「T/M油温Ttm<ENG冷却水温Thw≦ENG油温Toil」の大小関係が成立している。そのため、第1切替弁411および第2切替弁421を閉じることによって、ENG冷却水の熱がT/Mオイルに移動することも、ENGオイルの熱がT/Mオイルに移動することも防げる。これにより、T/Mオイルを冷却させる場合にENG冷却水およびENGオイルによってT/Mオイルが温められることを防止でき、T/Mオイルの冷却性を確保できる。
T/M油温TtmがENG冷却水温Thw以上であることによりステップS11で否定的に判定された場合(ステップS11:No)、制御装置150は第1切替弁411をONかつ第2切替弁421をOFFに制御する(ステップS12)。ステップS12が実施されると、第1切替弁411が開かれるためT/MオイルとENG冷却水との間では熱交換が行われるが、第2切替弁421は閉じられるためT/MオイルとENGオイルとの間では熱交換が行われない。制御装置150はステップS12を実施後に制御ルーチンを終了する。
このように、ステップS11で否定的に判定された場合、T/M油温TtmはENG冷却水温Thwよりも高い状態であるため、第1切替弁411を開くことによってT/Mオイルの熱をENG冷却水に移動させられるとともに、第2切替弁421を閉じることによってENGオイルの熱がT/Mオイルに移動することを防げる。これにより、T/Mオイルを冷却させる場合にENG冷却水に放熱してT/Mオイルを冷却できるとともにENGオイルによってT/Mオイルが温められることを防止でき、T/Mオイルの冷却性を確保できる。
[8.参考例との比較]
ここでは、第2実施形態の冷却装置100の優位性を説明するために、図11を参照して、冷却装置100と参考例とを比較する。なお、図11に示す冷却装置500について、上述した図10に示す冷却装置300と同様の構成については説明を省略しその参照符号を引用する。
図11は、参考例の冷却装置500の概略構成を示す模式図である。図11に示すように、参考例の冷却装置500は、上述した熱交換器105を備えていない。つまり、冷却装置500ではT/Mオイルとエンジン1側の液体(ENG冷却回路410内のENG冷却水、ENGオイル回路420内のENGオイル)との間で熱交換が行われない。そのため、冷却装置500では、潤滑必要部30の暖機時にエンジン1側の液体(ENG冷却水、ENGオイル)によってT/Mオイルを温めることができず、T/Mオイルの温度上昇が遅くなってしまう。そのため、通常走行状態では、潤滑必要部30で生じる撹拌損失および引き摺り損失が大きくなる虞がある。また、高負荷走行状態では、T/Mオイルの冷却性が低下してしまうため、モータ系の損失(銅損、鉄損)が大きくなる虞がある。
第2実施形態の優位性として、上述した第1実施形態と同様の優位性(冷却性能および構造)に加えて、暖機性能および燃費が挙げられる。第2実施形態によれば、暖機時に、エンジン1側の液体(ENG冷却水、ENGオイル)とT/Mオイルとの間で熱交換が行われるため、T/M油温Ttmの上昇が早くなり、早期に暖機が完了することが可能になる。これにより、潤滑必要部30での撹拌損失および引き摺り損失(T/Mフリクション)を低減でき、燃費を向上させることができる。
さらに、ENG冷却水温Thwを考慮して切替制御を実施することで、エンジン1でのフリクション(以下「ENGフリクション」という)およびENG燃費制御への悪影響を最小限に抑えることができる。また、ENGオイルに対するENGフリクションの油温感度とT/Mオイルに対するT/Mフリクションの油温感度とを比較すると、T/Mフリクションの油温感度がENGフリクションの油温感度よりも大きい。そのため、ENG油温ToilがT/M油温Ttmよりも高い状態である場合、ENGオイルの熱をT/Mオイルに移動させると、T/Mフリクションが低減するため燃費を向上させることができる。なお、ENGフリクションはENG油温Toilの上昇により低減する。
このように、T/Mオイルによる圧力損失の低減と電動オイルポンプ102の作動限界油温域の拡大とによって、T/Mオイルの流量の十分な確保(必要流量分の確保)と、電動オイルポンプ102の自由度が向上する。これにより、インバータ回路とトランスアクスル油路とが一体化された回路構成であるオイル循環回路200が可能になる。
以上説明した通り、第2実施形態によれば、上述した第1実施形態による効果に加えて、T/Mオイルを早期に温めることができ、動力伝達機構の暖機が早期に完了するため、T/Mフリクションが低減して燃費を向上させることができる。
なお、本発明に係る車両用冷却装置は、上述した第2実施形態に限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、各切替弁411,421は電磁弁に限らず、制御装置150による制御が可能なON−OFFバルブにより構成されてもよい。
また、第1油温センサ151は、潤滑回路220内で熱交換器105よりも上流側に設置されていればよい。例えば、第1油温センサ151はオイル貯留部104に設けられており、オイル貯留部104に貯留されているT/Mオイルの温度Ttmを検出してもよい。同様に、水温センサ152は、ENG冷却回路410内で熱交換器105よりも上流側であれば、その設置個所は特に限定されない。第2油温センサ153も、ENGオイル回路420内で熱交換器105よりも上流側であれば、その設置個所は特に限定されない。
1 エンジン
2 第1モータ(MG1)
3 第2モータ(MG2)
21 インバータ
30 潤滑必要部
40 トランスアクスルケース
100 冷却装置(車両用冷却装置)
101 機械式オイルポンプ(第2オイルポンプ)
102 電動オイルポンプ(第1オイルポンプ)
103 HVラジエータ(オイルクーラ)
104 オイル貯留部
105 三相型の熱交換器
150 制御装置(ECU)
151 第1油温センサ
152 水温センサ
153 第2油温センサ
200 オイル循環回路
201 第1吐出油路
202 第1供給油路
203 第2供給油路
203a MG1冷却パイプ
203b MG2冷却パイプ
204 第3供給油路
205 空冷後油路
206 第2吐出油路
207 第4供給油路
210 第1回路(冷却回路)
220 第2回路(潤滑回路)
410 ENG冷却回路
411 第1切替弁
420 ENGオイル回路
421 第2切替弁
Ve 車両

Claims (11)

  1. 電動機と、前記電動機と電気的に接続されたインバータと、前記電動機から出力された動力を車輪に伝達する動力伝達機構と、を備える車両に搭載され、
    オイル貯留部を有するオイル循環回路を備える車両用冷却装置において、
    前記オイル循環回路は、
    前記オイル貯留部に貯留されているオイルを吸入し、前記インバータおよび前記電動機に供給される冷媒としての前記オイルを吐出する第1オイルポンプと、前記第1オイルポンプと前記インバータまたは前記電動機との間に設けられ、前記インバータおよび前記電動機に供給される前記オイルを冷却するオイルクーラと、を備える第1回路と、
    前記オイル貯留部に貯留されている前記オイルを吸入し、前記オイルクーラを経由せずに前記動力伝達機構に含まれる潤滑必要部に供給される前記オイルを吐出する第2オイルポンプを備える第2回路と、を有する
    ことを特徴とする車両用冷却装置。
  2. 前記第1回路は、前記第1オイルポンプの下流側で、前記インバータと前記電動機とが直列に接続され、前記電動機は前記インバータの下流側に設けられている
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
  3. 前記第1回路は、前記第1オイルポンプの下流側で、前記インバータと前記電動機とが並列に接続されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両用冷却装置。
  4. 前記インバータは、前記第1オイルポンプから吐出された前記オイルが冷媒として内部を流れるように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
  5. 前記オイルクーラは、前記オイルと空気との間で熱交換を行う空冷式のオイルクーラであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
  6. 前記電動機とエンジンとを動力源として備える車両に搭載され、
    前記第1オイルポンプは、電動モータによって駆動される電動オイルポンプであり、
    前記第2オイルポンプは、前記エンジンによって駆動される機械式オイルポンプである
    ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両用冷却装置。
  7. 前記第2回路は、エンジン冷却水と前記第2オイルポンプから吐出された前記オイルとの間で熱交換可能、かつエンジンオイルと前記第2オイルポンプから吐出された前記オイルとの間で熱交換可能に構成された三相型の熱交換器を、さらに有する
    ことを特徴とする請求項6に記載の車両用冷却装置。
  8. 前記エンジン冷却水が循環する回路中に設けられ、前記熱交換器を経由する前記エンジン冷却水の流通が可能な開状態と、前記熱交換器を経由する前記エンジン冷却水の流通が不可能な閉状態とを切り替える第1切替弁と、
    前記エンジンオイルが循環する回路中に設けられ、前記熱交換器を経由する前記エンジンオイルの流通が可能な開状態と、前記熱交換器を経由する前記エンジンオイルの流通が不可能な閉状態とを切り替える第2切替弁と、をさらに備えている
    ことを特徴とする請求項7に記載の車両用冷却装置。
  9. 前記オイルの温度を検出する第1油温センサと、
    前記エンジン冷却水の温度を検出する水温センサと、
    前記エンジンオイルの温度を検出する第2油温センサと、
    前記第1油温センサよって検出された前記オイルの温度、前記水温センサによって検出された前記エンジン冷却水の温度、前記第2油温センサによって検出された前記エンジンオイルの温度に基づいて、前記第1切替弁および前記第2切替弁の開閉動作を制御する制御装置と、
    をさらに備え、
    前記制御装置は、前記オイルの温度が所定油温よりも低い場合、前記第1切替弁と前記第2切替弁とのうちの少なくとも前記第2切替弁を開状態に制御し、前記熱交換器での熱交換によって前記オイルの温度を上昇させる暖機制御を実施する
    ことを特徴とする請求項8に記載の車両用冷却装置。
  10. 前記制御装置は、前記暖機制御を実施する際、前記エンジン冷却水の温度が所定水温よりも高い場合には、前記第1切替弁および前記第2切替弁を開状態に制御する
    ことを特徴とする請求項9に記載の車両用冷却装置。
  11. 前記制御装置は、前記暖機制御を実施する際、前記エンジン冷却水の温度が所定水温以下である場合、かつ前記オイルの温度が前記エンジンオイルの温度よりも低い場合には、前記第1切替弁を閉状態に制御し、かつ前記第2切替弁を開状態に制御する
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の車両用冷却装置。
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