JP2017117663A - 固体酸化物型電池セル及びその評価装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体酸化物型燃料電池セルの出力特性について、容易に評価を行うことができる固体酸化物型燃料電池セル及びその評価装置を提供する。【解決手段】カソード層2と、カソード層2の一方側に設けられ、かつ、ジルコニア(ZrO2)を含む電解質層3と、電解質層3の一方側に設けられたアノード層1と、カソード層2と電解質層3との間に設けられ、かつ、セリア(CeO2)を含むバリア層4と、を備え、電解質層3とバリア層4との間には、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアと前記セリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層5が設けられている。【選択図】図1
Description
本発明は、固体酸化物型燃料電池セル及びその評価装置に関する。
固体電解質としては、ジルコニア(ZrO2)系の材料が周知されている。イットリア(Y2O3)を固溶させて安定化したジルコニア(以下、YSZとも記す)は代表的な固体酸化物型電解質材料である。特許文献1には、電解質層にYSZを、カソード層にSSC(SmxSr(1−x)CoO3)を、電解質層とカソード層との間のバリア層に対応する多孔質中間層にSDC(サマリウムドープセリア:(Ce,Sm)O2)を、用いたSOFCが開示されている。特許文献2には、電解質層にYSZを、カソード層にLSFC(LaxSr(1−x)FeyCo(1−y)O3)を、電解質層とカソード層との間のバリア層にGDC(ガドリニウムドープセリア:(Ce,Gd)O2)を、用いたSOFCが開示されている。
特許文献3、4には、電解質として電子導電性を発現しにくいジルコニア系材料と酸素イオン伝導性に優れたセリア系材料の長所を生かすべく、双方の材料を用いて電解質層を成形する技術が開示されている。ジルコニア系材料及びセリア系材料を高温共焼成する際に、ジルコニアとセリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)が生成し、電解質層中にこの固溶体を含有する低酸素イオン伝導層が形成され得る問題が指摘されている。
しかしながら、特許文献1、2では、バリア層と電解質層との間に生成する抵抗成分については言及されていない。特許文献2では、バリア層と電解質層との間に設けられる中間層に生成するセリウム(又はセリア)とジルコニウム(又はジルコニア)との固溶体に関して、両者が固溶体を構成していることが好ましいとの記載がある(段落[0024]参照)。
一方で、特許文献3,4には、「セリア系電解質及びジルコニア系電解質を高温焼成すると、セリア系電解質とジルコニア系電解質とが互いに固溶することによって低イオン伝導性層が形成され」「電解質膜の導電率が低下するおそれがある」等の記載がある(特許文献3の[0020]等)。
各特許文献の記載を参照しても、セリア系材料を主成分とするバリア層前駆体とジルコニア系材料を主成分とする電解質層前駆体とを積層して焼成することで生成するジルコニア−セリア固溶体に関して、一意に把握することが難しいという実情があった。よって、ジルコニア−セリア固溶体が生成する固体酸化物型燃料電池セルの出力特性を評価することが、容易でないという問題があった。
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、固体酸化物型燃料電池セルの出力特性について、容易に評価を行うことができる固体酸化物型燃料電池セル及びその評価装置を提供することを目的としている。
本発明の固体酸化物型燃料電池セルは、カソード層と、前記カソード層の一方側に設けられ、かつ、ジルコニア(ZrO2)を含む電解質層と、前記電解質層の一方側に設けられたアノード層と、前記カソード層と前記電解質層との間に設けられ、かつ、セリア(CeO2)を含むバリア層と、を備え、前記電解質層と前記バリア層との間には、前記ジルコニアと、前記セリアと、前記ジルコニアと前記セリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層が設けられている。
本発明の固体酸化物型燃料電池セルによれば、固体酸化物型燃料電池セルが、電解質層とバリア層との間に、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体と、が共存する共存層を有するので、ジルコニアとセリアとの固溶体が存在することによってイオン伝導が低下し、固体酸化物型燃料電池セルのIR損が増大する。ここで、共存層の厚みが大きければ、焼成時にジルコニウム(又はジルコニア)又はセリウム(又はセリア)が広範囲に拡散してジルコニア−セリア固溶体がより多く生成している可能性が高まり、IR損がより大きくなり得る。よって、共存層の厚みを固体酸化物型燃料電池セルの出力特性の評価指針とすることで、より容易にセルの評価を行うことができる。
また、本発明の固体酸化物型燃料電池セルの評価装置は、IR損を計測する計測部と、前記IR損と前記共存層の厚みとの相関関係を使用して前記計測部で測定されたIR損に対応する前記共存層の厚みを算出する算出部と、を備える。
本発明の固体酸化物型燃料電池セルの評価装置によれば、IR損を計測する計測部と、前記IR損と前記共存層の厚みとの相関関係を使用して前記計測部で測定されたIR損に対応する厚みを算出する算出部とを備えるので、IR損を計測することによって、前記IR損と前記共存層の厚みとの相関関係を介して共存層の厚みを求めることができ、セルを多角的に評価することができる。
以下、本明細書中に記載する「IR損」は、JIS R 1684 3.5の規定に基づき、「ガルバニ電池に外部から直流電圧又は電流を印加した場合に現れる分極成分中の時間依存性のない直流抵抗成分で、主に電解質部分のイオン伝導に起因する直流抵抗成分」に基づいた電圧損失をいう。
以下、本発明の固体酸化物型燃料電池(以下、単に「SOFC」とも記す)セルについて詳しく説明する。
(SOFC)
まず、SOFCセルの本実施形態に係る単セルCの構成について説明する。図1に示すとおり、単セルCは、それぞれ平らな薄膜状のアノード層1とカソード層2との間に、電解質層3とバリア層4とが積層された、いわゆる平板型のセル構成を有する。単セルCは、アノード層1、電解質層3、バリア層4、カソード層2の順に積層される。本実施形態に係る電解質層3はジルコニアを含有する固体酸化物型電解質材料よりなる。バリア層4はセリアを含有する。電解質層3とバリア層4との間には、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層5が存在する。なお、各図面中では、各電池要素層の実際の寸法比は無視されている。また単セルCは、平板型に限定されず円筒型でもよい。
まず、SOFCセルの本実施形態に係る単セルCの構成について説明する。図1に示すとおり、単セルCは、それぞれ平らな薄膜状のアノード層1とカソード層2との間に、電解質層3とバリア層4とが積層された、いわゆる平板型のセル構成を有する。単セルCは、アノード層1、電解質層3、バリア層4、カソード層2の順に積層される。本実施形態に係る電解質層3はジルコニアを含有する固体酸化物型電解質材料よりなる。バリア層4はセリアを含有する。電解質層3とバリア層4との間には、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層5が存在する。なお、各図面中では、各電池要素層の実際の寸法比は無視されている。また単セルCは、平板型に限定されず円筒型でもよい。
(アノード層)
アノード層1は、燃料ガスと電解質層3中を移動してきた酸素イオンとが接して、燃料ガスの酸化と電子の授受を伴う電極反応が進行する燃料極である。燃料ガスとしては主に水素を用いることができ、電極反応の結果水蒸気が生成する。なお、アノード層1は、単セルCの他層を支持する基板(換言すれば「支持体」)としての機能を有していてもよい。
アノード層1は、燃料ガスと電解質層3中を移動してきた酸素イオンとが接して、燃料ガスの酸化と電子の授受を伴う電極反応が進行する燃料極である。燃料ガスとしては主に水素を用いることができ、電極反応の結果水蒸気が生成する。なお、アノード層1は、単セルCの他層を支持する基板(換言すれば「支持体」)としての機能を有していてもよい。
アノード層1の材料としては、触媒活性やコスト等を考慮した金属粉末材料に、熱膨張挙動の整合性の観点等から、適当な電解質層中のセラミックス材料粉末を混合した公知のサーメット材料を用いることができる。代表的には、金属材料としての酸化ニッケル(NiO)にセラミックス材料としてYSZを混合したNi−YSZ材料を挙げることができる。セラミックス材料として、YSZに代えて、ScSZ、イットリア(Y2O3)、GDC、SDC等を用いることができる。金属材料として、Niに代えて、Fe、Co、Ru、PD、Pt等を含むものであっても良い。
アノード層1の厚みは、例えば10μm〜300μm程度であればよい。アノード層1を単セルCを構成する他層の支持体とする場合には、その際のアノード層1の厚みを他層の厚みよりも大きく形成することができる。
(電解質層)
電解質層3は、アノード層1の一方側に接合するように設けられる。電解質層3には、還元・酸化両雰囲気下で作動温度にて安定で、高いイオン伝導性、低い電子導電性及び緻密な電解質膜を容易に調整できる等の条件が要求される。蛍石型構造の安定化ジルコニアは、電解質材料として広い利用実績と高い信頼性を有する。本実施形態の電解質層3は、ジルコニアを含有する。更に、ジルコニアを主成分とすることが好ましい。
電解質層3は、アノード層1の一方側に接合するように設けられる。電解質層3には、還元・酸化両雰囲気下で作動温度にて安定で、高いイオン伝導性、低い電子導電性及び緻密な電解質膜を容易に調整できる等の条件が要求される。蛍石型構造の安定化ジルコニアは、電解質材料として広い利用実績と高い信頼性を有する。本実施形態の電解質層3は、ジルコニアを含有する。更に、ジルコニアを主成分とすることが好ましい。
ジルコニアは、CaやY等の2価や3価の異原子価酸化物を添加することで立方晶蛍石型相が低温下でも安定化され、空孔濃度を増加させることが知られている。電解質層3のジルコニアには、異原子価の金属酸化物が添加されていることが好ましい。異原子価金属として具体的には、Y2O3、Yb2O3、Sc2O3、Gd2O3、Sm2O3、Nd2O3等から選択される1種以上を用いることができる。中でも、Y2O3で安定化したYSZを好ましく用いることができる。更に好ましくは、ジルコニアに対して、Y2O3を3〜20〔mol〕%程度添加しても構わない。Y2O3を8〔mol〕%添加してしたジルコニア(以下、単に「8YSZ」とも記す)を特に好ましく用いることができる。また、電解質層3の厚みは、例えば30〔μm〕以下程度であればよい。
(バリア層)
バリア層4は、電解質層3とカソード層2との間において、電解質層3の一方側及びカソード層2の他方側に接合するように設けられる。バリア層4は、後述するLSC、SSC、LSFCのような低温動作が期待される材料を含むカソード層2中に電解質層3中のジルコニアに由来するジルコニウムが拡散し、高抵抗層成分(La2Zr2O7,SrZrO3)が生成する界面反応を抑制するために介在される。
バリア層4は、電解質層3とカソード層2との間において、電解質層3の一方側及びカソード層2の他方側に接合するように設けられる。バリア層4は、後述するLSC、SSC、LSFCのような低温動作が期待される材料を含むカソード層2中に電解質層3中のジルコニアに由来するジルコニウムが拡散し、高抵抗層成分(La2Zr2O7,SrZrO3)が生成する界面反応を抑制するために介在される。
バリア層4には、セリウム酸化物を含有するセリア系材料を用いることができる。具体的には、Ce1−xFxO2(FはCa、Y、Sm、Gd、La、Mg、Sc、Nd、Yb、Pr、Pb、Sr、Eu、Dy、Ba、Beのうち、少なくとも1種以上であり、0≦x≦0.50)の組成式で表わされる。好ましくは、SDC、GDCを用いることができる。バリア層4の厚みは、例えば30〔μm〕以下、或いは20〔μm〕以下程度であれば好ましい。
(共存層)
共存層5は、ジルコニアを含む電解質前駆体31又は電解質層3に、セリアを含むバリア層前駆体41を積層して焼成した後に、電解質層3とバリア層4との間に生成する層であり(図2a、2b参照)、電解質層3とバリア層4との間に設けられる。共存層5中には、ジルコニアとセリアとジルコニア−セリア固溶体とが共存する。共存層5中のジルコニウムの濃度は、電解質層3からバリア層4に向けて積層方向Lyに沿って徐々に低下する。共存層5は、電解質層3とバリア層4との間に、積層方向Lyに沿った所定の間隔(厚み)を有する領域を占める。
共存層5は、ジルコニアを含む電解質前駆体31又は電解質層3に、セリアを含むバリア層前駆体41を積層して焼成した後に、電解質層3とバリア層4との間に生成する層であり(図2a、2b参照)、電解質層3とバリア層4との間に設けられる。共存層5中には、ジルコニアとセリアとジルコニア−セリア固溶体とが共存する。共存層5中のジルコニウムの濃度は、電解質層3からバリア層4に向けて積層方向Lyに沿って徐々に低下する。共存層5は、電解質層3とバリア層4との間に、積層方向Lyに沿った所定の間隔(厚み)を有する領域を占める。
図5に、単セルCを積層方向Lyに切断した断面の観察部位に対して、EDX分析(エネルギー分散型X線分析)を行った結果を示した。電解質層3とバリア層4との間を積層方向Lyに沿ってライン分析し、この間のジルコニウムの濃度勾配を計測した。図示のとおり、ジルコニウムの濃度は、電解質層3の内方(アノード層側)においてほぼ一定の最大値を示し、緩やかに減少した後に急傾斜をなして減少し、再び緩やかに減少しながらバリア層4の内方(カソ−ド層側)においてほぼ一定の最小値を示す。ここで、電解質層3に含まれるジルコニウムの最大濃度から減少方向に濃度変化する間の領域を、共存層として把握することもできる。実施例で後述するとおり、例えば、ジルコニウムの最大濃度に対して10〜90%のジルコニウム濃度を示す領域の積層方向Lyの間隔を、共存層の厚みと規定することができる。この場合に、共存層5の好ましい厚みは、3〔μm〕以下であり、より好ましくは1.5〔μm〕以下である。なお、図5には、エネルギー分散型Xライン分析を行った評価結果例を示したが、ジルコニウム濃度を積層方向Lyに沿ってライン分析できる所定の元素分析装置を用いて同様に計測を行うことができる。
また、セリウムの濃度は、バリア層4の内方(カソ−ド層側)においてほぼ一定の最大値を示し、緩やかに減少した後に急傾斜をなして減少し、再び緩やかに減少しながら電解質層3の内方(アノード層側)においてほぼ一定の最小値を示す。
また、セリウムの濃度は、バリア層4の内方(カソ−ド層側)においてほぼ一定の最大値を示し、緩やかに減少した後に急傾斜をなして減少し、再び緩やかに減少しながら電解質層3の内方(アノード層側)においてほぼ一定の最小値を示す。
(カソ−ド層)
カソード層2は、空気中の酸素を電極中に導電される電子によって還元し、その酸素イオンをジルコニア系の電解質層3に移動させる空気極である。空気中の酸素分子は、気相から電極粒子の表面に拡散し、電極粒子の表面に吸着し、解離し、電極粒子の表面又は内部を拡散しながら電子を受け取って還元される電極反応を経て電解質層3に達する。この電極反応の際に、後述する反応抵抗Raが生じる。燃料電池の出力特性を考察する際には、内部抵抗であるIR損と反応抵抗Raとを個別に検討することが望まれている。なお、アノード層1における電極反応においても同様に、反応抵抗Raが考慮されるべきである。
カソード層2は、空気中の酸素を電極中に導電される電子によって還元し、その酸素イオンをジルコニア系の電解質層3に移動させる空気極である。空気中の酸素分子は、気相から電極粒子の表面に拡散し、電極粒子の表面に吸着し、解離し、電極粒子の表面又は内部を拡散しながら電子を受け取って還元される電極反応を経て電解質層3に達する。この電極反応の際に、後述する反応抵抗Raが生じる。燃料電池の出力特性を考察する際には、内部抵抗であるIR損と反応抵抗Raとを個別に検討することが望まれている。なお、アノード層1における電極反応においても同様に、反応抵抗Raが考慮されるべきである。
カソード層2に用いられる材料としては、特に限定されず公知の空気極材料を用いることができる。具体的には、La、Sr、及びSm等のうち、少なくとも1種をAサイトに含有し、Ca、Mn、Co、Fe、Cr、及びNi等のうち少なくとも1種をBサイトに含有し、ペロブスカイト型(ABO3)の結晶構造を有する公知の希土類金属酸化物を用いることができる。Bサイト元素として、Coを含有するものであれば好ましい。Bサイト元素としてCoを含むペロブスカイト型希土類酸化物は、低温作動条件でのカソード層2の構成材料として適している。具体的には、LSC、SSC、LSFC、等を挙げることができる。
(SOFCセルの製造)
次に、本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法について説明する。本実施形態の単セルCの製造方法は、公知の製法による。例えば、後述する実施例に係る図2aを援用すると、アノード前駆体11、電解質前駆体31及びバリア層前駆体41を積層し、予め共焼成して得られたアノード層1、電解質層3及びバリア層4から成るハーフセル積層体のバリア層4上に、カソード前駆体21を積層して焼成する方法によって製造することができる。
次に、本発明の固体酸化物形燃料電池セルの製造方法について説明する。本実施形態の単セルCの製造方法は、公知の製法による。例えば、後述する実施例に係る図2aを援用すると、アノード前駆体11、電解質前駆体31及びバリア層前駆体41を積層し、予め共焼成して得られたアノード層1、電解質層3及びバリア層4から成るハーフセル積層体のバリア層4上に、カソード前駆体21を積層して焼成する方法によって製造することができる。
アノード前駆体11は、例えば、以下のように作製することができる。平均粒径0.1〜1μmのアノード層1を形成するセラミックス材料粉末と金属材料粉末とを所定の重量比で混合して得られた混合粉末に、バインダと溶剤を加えて混合することによりスラリーを調製する。次に、このスラリーでグリーンシートを作製し、所定の形状に切断した後に、空気中で十分に乾燥する。これにより、図2a(1)に示されるように、グリーンシート状のアノード前駆体11が得られる。スラリーを調整するためのバインダとして、ポリビニルブチラールやエチルセルロース等を、溶剤として、トルエン、ブタノールまたはエタノール等を好適に用いることができ、後述する各層前駆体のスラリーの調整に関しても同様である。
電解質前駆体31は、アノード前駆体11と同様に、平均粒径0.1〜1μmのジルコニアを含む電解質材料粉末を用いてスラリーを調製する。次に、このスラリーをスクリーン印刷によってアノード前駆体11の表面上に積層し、乾燥させる。図2a(1)に示すように、アノード前駆体11の上面に積層された電解質前駆体31を形成できる。
バリア層前駆体41は、アノード前駆体11と同様に、平均粒径0.1〜1μmのセリア系材料粉末を用いてスラリーを調製する。次に、このスラリーをスクリーン印刷によって電解質前駆体31の表面上に積層し、乾燥させる。図2a(1)に示されるように、電解質前駆体31の上面に積層されたバリア層前駆体41を形成できる。
そして、アノード前駆体11、電解質前駆体31及びバリア層前駆体41を積層した材料を、これらの焼結に適した温度(例えば1300℃以上)及び時間をかけて共焼成し、アノード層1、電解質層3及びバリア層4が積層されたハーフセル積層体を得る(図2aの(2)参照)。
カソード前駆体21は、アノード前駆体11と同様に、平均粒径0.1〜1μmのカソード層2用の希土類金属酸化物粉末を用いてスラリーを調製する。次に、このスラリーをスクリーン印刷によってハーフセル積層体の電解質層3側の表面上に積層し、乾燥させる。図2aの(2)で図示したように、ハーフセル積層体の上面にカソード前駆体21が積層された単セルCの前駆体を形成できる。
そして単セルCの前駆体を、好ましくは1000℃以上1350℃以下の温度で、好ましくは1時間以上12時間以下の時間だけ保持することによって焼結する。これにより、図2の(3)で示したSOFCの単セルCを製造できる。
なお、各前駆体に接合させる他の前駆体を順に積層する方法については特に限定はなく、上記したスクリーン印刷法の他に、スラリーコート法、テープキャスティング法、ドクタブレード法などを用いて積層することができる。また、EVD-CVD法、RFスパッタリング法などを用いることもできる。また、後述するように、バリア層前駆体41を積層するタイミングは、アノード及び電解質の各前駆体を共焼結した後であっても構わない。
以下、本発明の実施例について説明する。以下の実施例は、本発明を具体的に実施した一つの例を示すものであり、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
(アノード前駆体11の作製)
市販の酸化ニッケル(NiO)粉末と、8YSZ(Y2O3:8〔mol〕%)粉末と、を重量比で、60:40で混合して混合粉体を得た。このアノード材料の混合粉体と、分散剤としてポリカルボン酸系重合体と、バインダとしてポリビニルブチラールと、可塑剤としてフタル酸エステルと、溶剤としてエタノールと、を重量比で、56:6:6:1:31の割合で加え、エタノール中に分散させ、ボールミルで混練してスラリーを作製した。
このスラリーからドクタブレード法によってPETの基材シート上にシートを成形し、当該シートを乾燥させ、直径46〔mm〕の円板状に切り抜いた。乾燥後に、膜厚600〔μm〕のアノード前駆体11を作製した。
市販の酸化ニッケル(NiO)粉末と、8YSZ(Y2O3:8〔mol〕%)粉末と、を重量比で、60:40で混合して混合粉体を得た。このアノード材料の混合粉体と、分散剤としてポリカルボン酸系重合体と、バインダとしてポリビニルブチラールと、可塑剤としてフタル酸エステルと、溶剤としてエタノールと、を重量比で、56:6:6:1:31の割合で加え、エタノール中に分散させ、ボールミルで混練してスラリーを作製した。
このスラリーからドクタブレード法によってPETの基材シート上にシートを成形し、当該シートを乾燥させ、直径46〔mm〕の円板状に切り抜いた。乾燥後に、膜厚600〔μm〕のアノード前駆体11を作製した。
(電解質層用ペーストの作製)
市販のYSZ(Y2O3:8〔mol〕%−92〔mol〕%ZrO2)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、40:4:1:55の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌して電解質層用ペーストを作成した。
市販のYSZ(Y2O3:8〔mol〕%−92〔mol〕%ZrO2)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、40:4:1:55の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌して電解質層用ペーストを作成した。
(バリア層用ペーストの作製)
市販の10GDC(Gd2O3:10〔mol〕%−90〔mol〕%CeO2)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、40:4:1:55の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌してバリア層用ペーストを作成した。
市販の10GDC(Gd2O3:10〔mol〕%−90〔mol〕%CeO2)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、40:4:1:55の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌してバリア層用ペーストを作成した。
(カソ−ド層用ペーストの作製)
市販のLSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、76:2:1:21の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌してバリア層用ペーストを作成した。
市販のLSCF(La0.6Sr0.4Co0.2Fe0.8O3)粉末に、バインダとしてエチルセルロースと、分散剤としてポリカルボン酸系共重合体と、溶剤としてα−テルピネオールと、を重量比で、76:2:1:21の割合で加え、α−テルピネオール中に分散させ、十分攪拌してバリア層用ペーストを作成した。
[SOFCセルの製造]
以下の(試験例1)又は(試験例2)の方法でSOFCセルを製作した。
(試験例1)
図2aの(1)に示すように、上記のアノード前駆体11を用いて、その片側の表面上に上記の電解質用ペーストをスクリーン印刷、乾燥し、厚み3〜12〔μm〕の電解質前駆体31を積層した。さらに、電解質前駆体31の表面に上記のバリア層用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥し、厚み3〜7〔μm〕のバリア層前駆体41を積層した。アノード/電解質/バリア層の積層体前駆体を得た。
以下の(試験例1)又は(試験例2)の方法でSOFCセルを製作した。
(試験例1)
図2aの(1)に示すように、上記のアノード前駆体11を用いて、その片側の表面上に上記の電解質用ペーストをスクリーン印刷、乾燥し、厚み3〜12〔μm〕の電解質前駆体31を積層した。さらに、電解質前駆体31の表面に上記のバリア層用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥し、厚み3〜7〔μm〕のバリア層前駆体41を積層した。アノード/電解質/バリア層の積層体前駆体を得た。
次に、上記のアノード/電解質/バリア層の積層体前駆体を1350〔℃〕で個々のサンプルに応じて2〜7時間共焼成した。アノード層1、電解質層3及びバリア層4が、順に積層された円板状のハーフセル積層体を製作した。
次に、図2aの(2)に示すように、上記のハーフセル積層体のバリア層4の表面にカソード用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥し、直径16〔mm〕、厚み30〜40〔μm〕のカソード前駆体21を積層した。ハーフセル積層体/カソ−ドの積層体前駆体を得た。
次に、上記のハーフセル積層体/カソ−ドの積層体前駆体を1100〔℃〕で2時間共焼成した。図2aの(3)に示すアノード層1、電解質層3、バリア層4及びカソード層2が、順に積層された単セルCを製作した。
(試験例2)
図2bの(1)に示すように、上記のアノード前駆体11を用いて、その片側の表面上に電解質用ペーストをスクリーン印刷、乾燥し、厚み3〜12〔μm〕の電解質前駆体31を積層した。アノード/電解質の積層体前駆体を得た。
(試験例2)
図2bの(1)に示すように、上記のアノード前駆体11を用いて、その片側の表面上に電解質用ペーストをスクリーン印刷、乾燥し、厚み3〜12〔μm〕の電解質前駆体31を積層した。アノード/電解質の積層体前駆体を得た。
次に、上記のアノード/電解質の積層体前駆体を1350〔℃〕で5時間共焼成した。アノード層1、電解質層3が、順に積層された円板状の第1ハーフセル積層体を製作した。
次に、図2bの(2)に示すように、上記の第1ハーフセル積層体の電解質層3の表面に、バリア層用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥し、厚み3〜6〔μm〕のバリア層前駆体41を積層した。第1ハーフセル/バリア層の積層体前駆体を得た。
次に、上記の第1ハーフセル/バリア層の積層体前駆体を個々のサンプルに応じて1200〜1350〔℃〕で5時間共焼成した。アノード層1、電解質層3及びバリア層4が、順に積層された円板状の第2ハーフセル積層体を製作した。
次に、図2bの(3)に示すように、上記の第2ハーフセル積層体のバリア層4の表面にカソード用ペーストをスクリーン印刷し、乾燥し、直径16〔mm〕、厚み30〜40〔μm〕のカソード前駆体21を積層した。第2ハーフセル/カソ−ドの積層体前駆体を得た。
次に、上記の第2ハーフセル/カソ−ドの積層体前駆体を1100〔℃〕で2時間共焼成した。図2bの(4)に示すアノード層1、電解質層3、バリア層4及びカソード層2が、順に積層された単セルCを製作した。
[SOFCセルの評価]
(発電試験)
各試験例1、2で得られた単セルCを用い、図3に示すSOFCセルの評価装置を用い、以下の条件にて発電試験を行い、電流遮断法で各単セルCのIR損を測定した。図3において、電子負荷装置Lは、単セルCが発電する電力を消費する電子負荷である。電子負荷装置Lは、電子負荷を制御する負荷制御部等を備え、単セルCの電流密度を制御する。評価装置本体Mは、IR損の測定の他、必要に応じた各種の計測を行う計測部m1を備える。評価装置本体Mは、発電試験では、電流値の監視と電圧変化を測定し、電流遮断時には瞬間的な電圧変化の追跡及び記録機能を備える。符号Nは、燃料供給ユニットであり、所定の流量のH2ガス及びO2を供給する。
試験温度:700〔℃〕
電流密度:0.5〔A/cm2〕
水素供給流量:200〔cc/分〕(加湿3%)
空気供給流量:200〔cc/分〕
(発電試験)
各試験例1、2で得られた単セルCを用い、図3に示すSOFCセルの評価装置を用い、以下の条件にて発電試験を行い、電流遮断法で各単セルCのIR損を測定した。図3において、電子負荷装置Lは、単セルCが発電する電力を消費する電子負荷である。電子負荷装置Lは、電子負荷を制御する負荷制御部等を備え、単セルCの電流密度を制御する。評価装置本体Mは、IR損の測定の他、必要に応じた各種の計測を行う計測部m1を備える。評価装置本体Mは、発電試験では、電流値の監視と電圧変化を測定し、電流遮断時には瞬間的な電圧変化の追跡及び記録機能を備える。符号Nは、燃料供給ユニットであり、所定の流量のH2ガス及びO2を供給する。
試験温度:700〔℃〕
電流密度:0.5〔A/cm2〕
水素供給流量:200〔cc/分〕(加湿3%)
空気供給流量:200〔cc/分〕
(IR損測定)
ここで、電流遮断法によるIR損測定に関して、確認的に説明する。図4に燃料電池の電気的な等価回路について示した。燃料電池の内部には、オーム抵抗Rsと反応抵抗Raとが存在すると考えられる。オーム抵抗Rsは、主として燃料電池の電解質を酸素イオンが移動する際の通りにくさに対応する抵抗成分である。反応抵抗Raは、各電極で酸化還元反応が起こることにより生じる抵抗成分であり、各電極に形成される電気二重層のキャパシタ成分Cに並列接続する。反応抵抗Raの測定により電極の反応状態を知ることができる。燃料電池の出力特性に係る電圧効率を考察する際には、基本的には、内部抵抗すなわちIR損に対応するオーム抵抗Rsと反応抵抗Raとを考慮する必要がある。IR損はオーム抵抗を測定することによって知ることができる。
ここで、電流遮断法によるIR損測定に関して、確認的に説明する。図4に燃料電池の電気的な等価回路について示した。燃料電池の内部には、オーム抵抗Rsと反応抵抗Raとが存在すると考えられる。オーム抵抗Rsは、主として燃料電池の電解質を酸素イオンが移動する際の通りにくさに対応する抵抗成分である。反応抵抗Raは、各電極で酸化還元反応が起こることにより生じる抵抗成分であり、各電極に形成される電気二重層のキャパシタ成分Cに並列接続する。反応抵抗Raの測定により電極の反応状態を知ることができる。燃料電池の出力特性に係る電圧効率を考察する際には、基本的には、内部抵抗すなわちIR損に対応するオーム抵抗Rsと反応抵抗Raとを考慮する必要がある。IR損はオーム抵抗を測定することによって知ることができる。
具体的には、スイッチSwをオンとして、単セルCから負荷装置Lに供給される負荷電流Iを測定する。この負荷電流Iが0.5〔A/cm2〕で一定値になるように制御される。負荷装置Lの負荷がかかった状態の単セルCの端子間電圧V0を測定する。
次に、スイッチSwを瞬間的にオフとして負荷電流Iを遮断し、単セルCの開放電圧V1を測定する。負荷電流Iが0〔A〕になる瞬間にIR損に相当するオーム抵抗Rsでの電圧降下Vsが0となり、単セルCの瞬間的な開放電圧V1は(V0+Vs)に上昇する。反応抵抗Raでの電圧降下Vaは急激に低下せず、キャパシタ成分の時定数により徐々に低下する。したがって、単セルCの最終的な開放電圧V2は(V0+Vs+Va)〔V〕となる。計測部m1の電圧波形測定部(図示せず)によって経時的に開放電圧V1,V2を測定することにより、Vs、Vaが求められる。オーム抵抗Rsは(Vs/I)で求められる。試験例1,2で作成したそれぞれの単セルCについて電流遮断法により求めたIR損の測定データを評価装置本体Mのデータ記憶部(図示せず)に記録した。
(元素分析)
次に、発電試験及びIR損の測定を行ったそれぞれの単セルCについて、SEM−EDX装置(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光装置)を用いて、発電後の単セルC断面のジルコニウム及びセリウムのシグナル強度を、積層方向Lyに沿ってライン測定した。単セルCの断面は、焼成前の電解質前駆体31とバリア層前駆体41との元界面の境界線を含む面である。図5に、任意の単セルCについて、SEMで撮影した断面写真を模式的に図示し、EDXで計測したシグナル強度を重ね合わせて示した。Zrシグナルの最大強度を100としたときにZrシグナルの強度が10%を示した測定ライン上の位置P1から、90%を示した測定ライン上の位置P2までの、積層方向Lyに沿った間隔に相当する、共存層5の厚みTの計測を行った。また、計測を行った共存層5の厚みTのデータを評価装置本体Mのデータ記憶部(図示せず)に記録した。
次に、発電試験及びIR損の測定を行ったそれぞれの単セルCについて、SEM−EDX装置(走査型電子顕微鏡/エネルギー分散型X線分光装置)を用いて、発電後の単セルC断面のジルコニウム及びセリウムのシグナル強度を、積層方向Lyに沿ってライン測定した。単セルCの断面は、焼成前の電解質前駆体31とバリア層前駆体41との元界面の境界線を含む面である。図5に、任意の単セルCについて、SEMで撮影した断面写真を模式的に図示し、EDXで計測したシグナル強度を重ね合わせて示した。Zrシグナルの最大強度を100としたときにZrシグナルの強度が10%を示した測定ライン上の位置P1から、90%を示した測定ライン上の位置P2までの、積層方向Lyに沿った間隔に相当する、共存層5の厚みTの計測を行った。また、計測を行った共存層5の厚みTのデータを評価装置本体Mのデータ記憶部(図示せず)に記録した。
評価装置本体Mのデータ記憶部(図示せず)に記録された各単セルCについての上記のIR損のデータと、共存層5の厚みTのデータをプロットして、両者の相関関係を示す図6の結果を得た。また図6のプロットP11とP21に対応する単セルC11とC21の製造条件の詳細データを表1に示した。
(本例の効果)
上記本例の単セルC(固体酸化物型燃料電池セル)は、カソード層2と、カソード層2の一方側に設けられ、かつ、ジルコニア(ZrO2)を含む電解質層3と、電解質層3の一方側に設けられたアノード層1と、カソード層2と電解質層3との間に設けられ、かつ、セリア(CeO2)を含むバリア層4と、を備え、電解質層3とバリア層4との間には、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層が設けられている。
上記本例の単セルC(固体酸化物型燃料電池セル)は、カソード層2と、カソード層2の一方側に設けられ、かつ、ジルコニア(ZrO2)を含む電解質層3と、電解質層3の一方側に設けられたアノード層1と、カソード層2と電解質層3との間に設けられ、かつ、セリア(CeO2)を含むバリア層4と、を備え、電解質層3とバリア層4との間には、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層が設けられている。
本例によれば、単セルCが、電解質層3とバリア層4との間に、ジルコニアと、セリアと、ジルコニアとセリアとの固溶体と、が共存する共存層5を有するので、ジルコニアとセリアとの固溶体が存在することによってイオン伝導が低下し、単セルCの抵抗成分が増大すると考えられる。共存層5の厚みが大きければ、ジルコニウム(又はジルコニア)又はセリウム(又はセリア)が焼成時に広範囲に拡散することによりジルコニア−セリア固溶体がより多く生成している可能性が高まり、抵抗成分がより大きくなり得る。よって、共存層5の厚みTを単セルCの出力特性の評価指針とすることで、より容易に単セルの評価を行うことができる。
さらに、共存層5のジルコニウム(Zr)濃度は、電解質層3に含まれるジルコニウム濃度よりも減少しており、共存層5の厚みを、電解質層3に含まれるジルコニウムの濃度に対して10〜90%のジルコニウムの濃度を有する領域Rに対応させて規定する。よって、共存層5の厚みTを容易かつ明確に求めることができ、更に単セルCの出力特性評価を行い易くなる。なお、本例の単セルCの共存層5の厚みの規定方法は、10〜90%のジルコニウムの濃度範囲に限定されない。例えば電解質層3に含まれるジルコニウムの濃度に対して20〜80%の範囲であっても構わない。
ここで、所定の温度、圧力等の環境下で単セルCを作動させる際の理想的な標準起電力は、例えば燃料の熱化学データ等に基づいて1〔V〕程度と知られている。同様に、理想的な理論効率は、80%程度と知られている。燃料電池の理論効率は高い値を示すが、実際に運転すると多くの点でエネルギー損失が起こる。エネルギー効率は電流効率と電圧効率とに分けて考察され、燃料電池の出力特性に影響を与える。IR損の大きさは電圧効率に大きな影響を与える。
本例によれば、共存層5の厚みTが3〔μm〕以下であれば好ましく、1.5〔μm〕以下であれば更に好ましいことが分かった。図6のグラフより、共存層5の厚みTが3〔μm〕以下の場合には、160〔mV〕程度のIR損を有すると予想できる。IR損が160〔mV〕程度より大きくなると、燃料電池として十分な出力が得られない事態が設定されていれば、それより小さいIR損であれば望ましい。一方、IR損が100〔mV〕程度より小さければ、現実的に好ましい出力が得られるという設定があれば、共存層5の厚みTが1.5〔μm〕以下であれば好ましいとの指標を有することができる。
本例によれば、図6に示したとおり、共存層5の厚みTは、破線Kで示したようなIR損との線形な比例関係を有するとみなせる。よって、例えば任意の共存層の厚みT1〔μm〕を有する単セルCに対して、IR1〔mV〕程度のIR損を有すると見当をつけることができる。IR損の予測値を得ることで、セルの評価をはかどらせることができる。
本例によれば、共存層5の厚みTが単セルCの標準起電力の所定割合のIR損に対応する基準厚み以下であるサンプルを選別できる。よって、単セルCの理想的な理論上の標準起電力に対して、実際的で適切な所定値以下のIR損に止まる単セルCを用いて、好ましい出力特性をより確実に得ることができる。
具体的には、諸条件を総合的に勘案して、上記の「単セルCの標準起電力」を1〔V〕、「標準起電力の所定割合」を15%と仮定すれば、この所定割合に相当するIR損は0.15〔V〕である。このIR損に対応する基準厚みT0は、図6のグラフより2.7〔μm〕と求められる。よって、共存層5の厚みTが2.7〔μm〕以下の単セルCを用いれば、諸条件下で好ましい出力特性をより確実に得ることができる。
具体的には、諸条件を総合的に勘案して、上記の「単セルCの標準起電力」を1〔V〕、「標準起電力の所定割合」を15%と仮定すれば、この所定割合に相当するIR損は0.15〔V〕である。このIR損に対応する基準厚みT0は、図6のグラフより2.7〔μm〕と求められる。よって、共存層5の厚みTが2.7〔μm〕以下の単セルCを用いれば、諸条件下で好ましい出力特性をより確実に得ることができる。
例えば、所定の共存層の厚みとIR損との比例関係のデータベースを管理して、SOFCセルの製造時の単セルの品質管理用の検査項目として利用することができる。また、SOFCセルの電圧効率を低減する反応抵抗Raと切り分けてオーム抵抗RsすなわちIR損(内部抵抗)を予測評価できることにより、反応系又は内部抵抗系のSOFCセルの開発課題に応じた評価効率を向上することもできる。
更に、IR損を計測する計測部m1と、IR損と共存層5の厚みTとの相関関係を示すマップを用いて計測部m1で測定されたIR損に対応する共存層5の厚みTを算出する算出部m2と、を備える評価装置本体Mを構成することもできる。マップとしては、図6の破線Kに対応するデータや線形な比例関係の計算式を、評価装置本体M内に予め記録したマップ等を使用できる。上記した方法でサンプル単セルCのIR損を計測した後に、マップを介してIR損の計測値から共存層の厚みを求めることができ、単セルCを多角的に評価することができる。なお、前記相関関係は、マップ以外に演算式で示すようにしてもよい。
1…アノード層、2…カソード層、3…電解質層、4…バリア層、5…共存層、11…アノード前駆体、21…カソード前駆体、31…電解質前駆体、41…バリア層前駆体、C…単セル(固体酸化物型燃料電池セル)。
Claims (7)
- カソード層と、
前記カソード層の一方側に設けられ、かつ、ジルコニア(ZrO2)を含む電解質層と、
前記電解質層の一方側に設けられたアノード層と、
前記カソード層と前記電解質層との間に設けられ、かつ、セリア(CeO2)を含むバリア層と、を備え、
前記電解質層と前記バリア層との間には、
前記ジルコニアと、前記セリアと、前記ジルコニアと前記セリアとの固溶体((Zr,Ce)O2)と、が共存する共存層が設けられた固体酸化物型燃料電池セル。 - 前記共存層のジルコニウム(Zr)濃度は、前記電解質層に含まれるジルコニウム濃度よりも減少しており、前記共存層の厚みを、前記電解質層に含まれるジルコニウムの濃度に対して10〜90%のジルコニウムの濃度を有する領域に対応させて規定する請求項1に記載の固体酸化物型燃料電池セル。
- 前記共存層の厚みが、3〔μm〕以下である請求項2に記載の固体酸化物型燃料電池セル。
- 前記共存層の厚みが、1.5〔μm〕以下である請求項2又は3に記載の固体酸化物型燃料電池セル。
- 前記共存層の厚みが、IR損に比例する請求項1ないし4のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池セル。
- 前記共存層の厚みが、単セルの標準起電力の所定割合のIR損に対応する基準厚み以下である請求項1ないし5のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池セル。
- 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の固体酸化物型燃料電池セルの評価装置であって、
IR損を計測する計測部と、
前記IR損と前記共存層の厚みとの相関関係を使用して前記計測部で測定されたIR損に対応する前記共存層の厚みを算出する算出部と、を備える固体酸化物型燃料電池セルの評価装置。
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