以下、本実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態の関与物質総量算出装置を示す図である。関与物質総量算出装置1は、物品の関与物質総量(TMR)の算出に用いられる。TMRは、該当の元素をある量だけ地球から得るために所要される物質の総量を表わす量である。TMRは、質量の単位(例えば、“g”(グラム)や“t”(トン))で表わされる。関与物質総量算出装置1は、記憶部1aおよび演算部1bを有する。
記憶部1aは、RAM(Random Access Memory)などの揮発性記憶装置でもよいし、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置でもよい。演算部1bは、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを含み得る。演算部1bはプログラムを実行するプロセッサであってもよい。ここでいう「プロセッサ」には、複数のプロセッサの集合(マルチプロセッサ)も含まれ得る。関与物質総量算出装置1は、「コンピュータ」と呼ばれるものでもよい。
記憶部1aは、物品マスタ2、原単位情報3および係数情報4を記憶する。物品マスタ2は、物品の識別情報(物品ID(IDentifier))に対して、物品の質量やサイズが対応付けられた情報である。あるいは、例えば、物品として電子機器の部品を考える場合、物品マスタ2は、当該部品のピン数や特定の素子の数などの要素数を含んでもよい。また、物品として電子機器の部品を考える場合、着目する元素を金属元素としてもよい。電子機器に用いられる元素の中でも、金属元素は資源として重要だからである。
原単位情報3は、物品に含まれる元素の含有量に関する情報である。例えば、原単位情報3は、テーブル3a,3bを含む。ここで、原単位は、ある製品を生産するために所要する原料の基準量ということもできる。
テーブル3aは、物品IDおよび元素含有比の項目を含む。物品IDの項目には、物品の識別情報が登録される。元素含有比の項目には、物品の質量に対し、当該物品に含まれる元素の質量比が登録される。例えば、テーブル3aには、物品ID“ID1”に対して、Au(金)が“R1(wt%)”であり、Ag(銀)が“R2(wt%)”であるという情報が登録されている。例えば、テーブル3aは、物品に添付されるAIS(Article Information Sheet)などを基に予め作成して記憶部1aに格納される。
テーブル3bは、物品種類および元素含有目安の項目を含む。物品種類の項目には、物品の種類が登録される。物品の種類は、例えば、プリント板、集積回路(IC:Integrated Cirucuit)、抵抗およびコンデンサなどのように区分することが考えられる(プリント板や集積回路などを更に細かく区分して物品種類を設けてもよい)。元素含有目安の項目には、該当の種類の物品に含まれる元素の含有目安(線密度、面密度、体積密度、ピン当たりの含有量など)が登録される。例えば、テーブル3bには、物品種類“t1”に対して、Cu(銅)の面密度が“X(g/cm2)”であるという情報が登録されている。後述するように、テーブル3bは、テーブル3aで元素含有比を得られない物品の元素の含有量を求めるために用いられる(同種の他の物品の元素の含有量を流用する)。このため、テーブル3bをテーブル3aに対する補完情報ということができる。
係数情報4は、元素毎の関与物質総量係数が登録された情報である。以下では、関与物質総量係数をTMR係数と称することがある。TMR係数は、元素を単位質量(例えば、1t)だけ得るために所要される物質の質量の総量(単位はt)を表わす量である。第1の実施の形態の例では、TMR係数の単位を“t/t”(トン毎トン)であるとする。係数情報4の例によれば、Au(金)のTMR係数は“a1”である。Ag(銀)のTMR係数は“a2”である。Cu(銅)のTMR係数は“a3”である。
演算部1bは、物品の情報が入力されると、原単位情報に基づいて、物品に含まれる元素の含有量と元素の関与物質総量係数(TMR係数)との積を物品に含まれる元素毎に算出する。演算部1bは、元素毎に算出した積の総和を求めることで、物品の関与物質総量(TMR)を算出する。
具体的には、まず、演算部1bは、物品の情報として、当該物品の物品ID(図1では「ID」と略記している箇所がある)および当該物品が属する物品種類(図1では「種類」と略記している箇所がある)の入力を受け付ける。演算部1bは、物品の情報のユーザによる入力を受け付けてもよい。例えば、ユーザは、関与物質総量算出装置1に接続されたマウスやキーボードなどの入力デバイスを操作して、関与物質総量算出装置1に、TMRを求めたい物品の情報を入力できる。
演算部1bは、ある物品のTMRjを、式(1)により算出する。式(1)において、miは、物品に含まれるi番目の元素の質量である。aiは、当該i番目の元素のTMR係数である。
第1の例として、物品5のTMRを算出することを考える。例えば、物品5の物品IDは、“ID1”である。物品5が属する物品種類は、“tx”である。演算部1bは、物品ID“ID1”および物品種類“tx”を受け付けると、テーブル3aを参照して、物品ID“ID1”をキーに、物品5の元素含有比を検索する。テーブル3aには、物品ID“ID1”のレコードが登録されている。このため、演算部1bは、テーブル3aから、物品ID“ID1”に対応する元素含有比として、Au(金)が“R1(wt%)”、Ag(銀)が“R2(wt%)”という情報を得る。演算部1bは、物品マスタ2に登録された物品5の質量M(g)を取得し、物品5に含まれる元素の含有量を求める。具体的には、物品5に含まれるAu(金)の含有量は、M*R1/100=m1(g)である(アスタリスク記号“*”は乗算を示す)。物品5に含まれるAg(銀)の含有量は、M*R2/100=m2(g)である。
この場合、演算部1bは、物品5に含まれる元素の含有量と当該元素のTMR係数との積を、物品5に含まれる元素毎に算出する。すなわち、物品5のAu(金)に関するTMRは、m1*a1(m1とa1との積)である。物品5のAg(銀)に関するTMRは、m2*a2(m2とa2との積)である。演算部1bは、元素毎の積の総和(m1*a1+m2*a2)を、物品5の関与物質総量TMR1(=m1*a1+m2*a2)とする。
第2の例として、物品6のTMRを算出することを考える。例えば、物品6の物品IDは、“IDx”である。物品6が属する物品種類は、“t1”である。演算部1bは、物品ID“IDx”および物品種類“t1”を受け付けると、テーブル3aを参照して、物品ID“IDx”をキーに、物品6の元素含有比を検索する。テーブル3aには、物品ID“IDx”のレコードが登録されていない。このため、演算部1bは、テーブル3bを参照して、物品種類“t1”をキーに、物品6の元素含有目安を検索する。テーブル3bには、物品種類“t1”のレコードが登録されている。このため、演算部1bは、テーブル3bから、物品種類“t1”に対応する元素含有目安として、Cu(銅)が“X(g/cm2)”という情報を得る。演算部1bは、物品マスタ2に登録された物品6の面積S(cm2)を取得し、物品6に含まれる元素の含有量を求める。具体的には、物品6に含まれるCu(銅)の含有量は、S*X=m3(g)である。この場合、物品6のCu(銅)に関するTMRは、m3*a3(m3とa3との積)である。演算部1bは、元素毎の積の総和(m3*a3)を、物品6の関与物質総量TMR2(=m3*a3)とする。
演算部1bは、関与物質総量算出装置1に接続された表示装置を用いて、物品5,6のTMRの算出結果を表示することができる。ユーザは、表示内容を閲覧して、物品5,6のTMRを確認することができる。
ところで、例えば、物品5のTMRを求めるために、物品5を分解、粉砕、粉砕物に対する元素の定量分析(蛍光X線分析やICP分析など)を行う方法も考えられる。しかし、この方法では各手順に伴う作業コストが問題となる。作業者が各手順を行う手間とコストは多大なものとなっている。
そこで、関与物質総量算出装置1は、原単位情報3および係数情報4に基づいて、物品に含まれる元素の含有量と元素のTMR係数との積を元素毎に求め、元素毎の積の総和を求めることで、物品のTMRを算出する。これにより、非破壊で物品のTMRを行えるようになる。このため、物品の分解、粉砕、粉砕物に対する元素の定量分析などの作業を行うよりも、簡便に物品のTMRを評価できる。その結果、資源利用という観点における環境負荷影響を効率的に評価できるようになる。
なお、物品5,6を部品として含む合成品7のTMRを考えるとき、物品5,6それぞれに対して求めたTMRを用いることができる。具体的には、演算部1bは、合成品7のTMRpを式(2)により求めることもできる。TMRpは、合成品7に含まれる各部品のTMRの総和である。
このように、演算部1bは、物品5,6を部品として含む合成品7単位のTMRを求めてもよい。例えば、合成品7の識別情報に対応付けて、合成品7に対応する部品表(合成品7に含まれる部品の物品IDや物品種類を示す)を、記憶部1aに予め格納しておくことが考えられる。すると、演算部1bは、合成品7の識別情報を受け付けることで、合成品7に含まれる物品5,6などを、部品表を基に特定し、上記と同様の方法により物品5,6それぞれのTMRを算出できる。そして、演算部1bは、物品5,6を含む合成品7の各部品のTMRの総和を求めることで、合成品7のTMRを算出できる。こうして、関与物質総量算出装置1は、合成品7についても非破壊で簡便にTMRを評価できる。
[第2の実施の形態]
図2は、第2の実施の形態のTMR算出装置のハードウェア例を示す図である。TMR算出装置100は、電子機器、および、電子機器に含まれる各部品のTMRを効率的に算出する機能を提供する。TMR算出装置100は、第1の実施の形態の関与物質総量算出装置1の一例である。
TMR算出装置100は、プロセッサ101、RAM102、HDD103、画像信号処理部104、入力信号処理部105、媒体リーダ106および通信インタフェース107を有する。各ユニットはTMR算出装置100のバスに接続されている。
プロセッサ101は、TMR算出装置100の情報処理を制御する。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU、DSP、ASICまたはFPGAなどである。プロセッサ101は、CPU、DSP、ASIC、FPGAなどのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
RAM102は、TMR算出装置100の主記憶装置である。RAM102は、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部を一時的に記憶する。また、RAM102は、プロセッサ101による処理に用いる各種データを記憶する。
HDD103は、TMR算出装置100の補助記憶装置である。HDD103は、内蔵した磁気ディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データを記憶する。TMR算出装置100は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの他の種類の補助記憶装置を備えてもよく、複数の補助記憶装置を備えてもよい。
画像信号処理部104は、プロセッサ101からの命令に従って、TMR算出装置100に接続されたディスプレイ11に画像を出力する。ディスプレイ11としては、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイなどを用いることができる。
入力信号処理部105は、TMR算出装置100に接続された入力デバイス12から入力信号を取得し、プロセッサ101に出力する。入力デバイス12としては、例えば、マウスやタッチパネルなどのポインティングデバイス、キーボードなどを用いることができる。
媒体リーダ106は、記録媒体13に記録されたプログラムやデータを読み取る装置である。記録媒体13として、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)やHDDなどの磁気ディスク、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光ディスク、光磁気ディスク(MO:Magneto-Optical disk)を使用できる。また、記録媒体13として、例えば、フラッシュメモリカードなどの不揮発性の半導体メモリを使用することもできる。媒体リーダ106は、例えば、プロセッサ101からの命令に従って、記録媒体13から読み取ったプログラムやデータをRAM102またはHDD103に格納する。
通信インタフェース107は、ネットワーク10を介して他の装置と通信を行う。通信インタフェース107は、有線通信インタフェースでもよいし、無線通信インタフェースでもよい。
図3は、TMR算出装置の機能例を示す図である。TMR算出装置100は、記憶部110、TMR検索部120、TMR算出部130および表示制御部140を有する。
記憶部110は、RAM102またはHDD103に確保された記憶領域として実現される。TMR検索部120、TMR算出部130および表示制御部140は、RAM102に記憶されたプログラムを、プロセッサ101が実行することで実現される。
記憶部110は、部品表、原単位情報およびTMR係数情報を記憶する。部品表は、電子機器に含まれる部品の一覧である。第2の実施の形態の例では、部品表は、各部品の質量、サイズ、製造年などの部品に関する基本情報も含む(第2の実施の形態の部品表は第1の実施の形態の物品マスタ2の内容を含んでいる)。部品表には、ある部品に対して算出済のTMRも記録される。原単位情報は、部品に含まれる元素の含有量に関する情報である。第2の実施の形態の例では、資源元素(資源として扱われる元素)として金属元素に着目する。電子機器に用いられる元素の中でも、金属元素は資源として重要だからである。TMR係数情報は、金属元素毎のTMR係数が登録された情報である。
TMR検索部120は、TMRの取得対象とする電子機器の識別情報(例えば、電子機器の型番)を受け付ける。TMR検索部120は、該当の電子機器に対するTMRを記憶部110から検索する。TMR検索部120は、電子機器に対するTMRを検索できた場合には、検索したTMRを表示制御部140に通知する。TMR検索部120は、電子機器に対して計算済のTMRを検索できなかった場合には、TMR算出部130に電子機器のTMRの算出を指示する。
TMR算出部130は、TMRの算出を行う。TMR算出部130は、部品単位のTMRの算出に、第1の実施の形態で例示した式(1)を用いる。TMR算出部130は、複数の部品を含む電子機器単位のTMRの算出に、第1の実施の形態で例示した式(2)を用いる。
TMR算出部130は、TMR検索部120から電子機器の情報を受け付けると、記憶部110に記憶された部品表を参照して、電子機器に含まれる部品を特定する。TMR算出部130は、記憶部110に記憶された原単位情報に基づいて、特定した部品に含まれる金属元素の含有量を求める。TMR算出部130は、該当の金属元素のTMR係数を記憶部110に記憶されたTMR係数情報から取得する。TMR算出部130は、金属元素の含有量と、当該金属元素のTMR係数との積を、部品に含まれる金属元素毎に求める。TMR算出部130は、金属元素毎に求めた積の総和(式(1)の計算に相当)を、該当の部品のTMRとする。
更に、TMR算出部130は、部品毎のTMRの総和(式(2)の計算に相当)を、電子機器のTMRとする。TMR算出部130は、算出したTMRを電子機器の識別情報に対応付けて記憶部110に格納する。例えば、TMR算出部130は、PC(Personal Computer)、携帯端末装置(スマートフォンなど)、HDD、マザーボード、LCD(Liquid Crystal Display)モジュールおよび電源などの電子機器のユニット単位でTMRを保持する。TMR算出部130は、算出したTMRを表示制御部140に通知する。
表示制御部140は、TMR検索部120またはTMR算出部130から通知された電子機器のTMRをディスプレイ11に出力し、当該TMRを表示させる。
図4は、部品表の例を示す図である。部品表111は、記憶部110に記憶される。部品表111は、製品型番、部品型番、TMR、質量、ピン数、面積、製造年および部品種類の項目を含む。
製品型番の項目には、電子機器の製品型番が登録される。製品型番は、電子機器を識別する識別情報である。部品型番の項目には、部品型番が登録される。部品型番は、部品を識別する識別情報である。TMRの項目には部品のTMRが登録される。ただし、TMRを未取得の部品については、TMRの項目の設定値はなし(図中ハイフン“−”で表わす)である。例えば、TMRの単位は、kgである。質量の項目には、部品の質量が登録される。例えば、質量の単位は、gである。ピン数の項目には、部品が備えるピンの数が登録される。ピン数の単位は、本である。ピンは、回路部品に対する信号の入力や、回路部品からの信号の出力に用いられる部材である。ピンには、ある特定の金属が利用されることが多い。面積の項目には、部品のある面の面積が登録される。例えば、板状に形成されたプリント板であれば、配線パターンが施された面の面積が登録される。面積の単位は、cm2である。製造年の項目には、部品の製造年が登録される。ピン数、面積および製造年の項目は設定値なし(“−”)の場合もある。部品種類の項目には、該当の部品が属する部品の種類が登録される。
例えば、部品表111には、製品型番が“A1”、部品型番が“pa1”、TMRが“xa1”、質量が“ya1”、ピン数が“−”(設定値なし)、面積が“−”(設定値なし)、製造年が“2010”、部品種類が“プリント板A”という情報が登録される。
これは、製品型番“A1”で示される電子機器が、部品型番“pa1”の部品を含むことを示す。また、当該部品のTMRが“xa1(kg)”(TMR算出済)、質量が“ya1(g)”であることを示す。更に、当該部品が、2010年製造であり、部品種類“プリント板A”に属することを示す。
部品表111では、製品型番“A1”に対して複数の部品が対応付けられている。製品型番“A1”の電子機器は、部品型番“pa1”、“pa2”、“pa3”、“pa4”、“pa5”それぞれで示される各部品の合成品ということになる。部品表111の例によれば、製品型番“A1”の電子機器に含まれる全ての部品について、TMRを算出済である。
また、部品表111には、製品型番が“B1”、部品型番が“pb1”、TMRが“−”(設定値なし)、質量が“yb1”、ピン数が“−”(設定値なし)、面積が“wb1”、製造年が“2000”、部品種類が“プリント板B”という情報が登録される。
これは、製品型番“B1”で示される電子機器が、部品型番“pb1”の部品を含むことを示す。また、当該部品のTMRを未算出であること、当該部品の質量が“yb1(g)”であること、面積が“wb1(cm2)”であることを示す。更に、当該部品が、2000年製造であり、部品種類“プリント板B”に属することを示す。
部品表111では製品型番“B1”に対して複数の部品が対応付けられている。製品型番“B1”の電子機器は、部品型番“pb1”、“pb2”、“pb3”、“pb4”、“pb5”それぞれで示される各部品の合成品ということになる。部品表111の例によれば、製品型番“B1”の電子機器に含まれる全ての部品について、TMRを未算出である。
なお、部品表111の例では、部品のサイズとして、面積を登録するものとしたが、面積の他、長さや体積などを登録してもよい。
図5は、原単位情報の例を示す図である。原単位情報112は、記憶部110に格納される。原単位情報112は、部品に含まれる金属元素の含有量に関する情報である。原単位情報112は、原単位管理テーブル112aおよび原単位補完テーブル112bを含む。
原単位管理テーブル112aは、電子機器や部品に添付されるAISなどを基に予め作成されるデータであり、部品型番と、各部品に含まれる金属元素の含有比との対応を示すデータである。
原単位補完テーブル112bは、原単位管理テーブル112aを補完するデータであり、部品の種類と、金属元素の密度やピン1つ当たりの金属元素の含有量の目安と、の対応を示すデータである。例えば、部品の中には、AISなどの情報が添付されていないものも存在する。その場合、TMR算出部130は、原単位管理テーブル112aに代えて、原単位補完テーブル112bを参照することで、着目する部品と同種の他の部品における既知の金属元素の含有量の目安を用いて、着目する部品における金属元素の含有量を取得できる。
図6は、原単位管理テーブルの例を示す図である。原単位管理テーブル112aは、部品型番および金属元素含有割合の項目を含む。
部品型番の項目には、部品型番が登録される。金属元素含有割合の項目には、金属元素毎の含有割合(部品の質量に対する金属元素の質量の割合であり、単位はwt%)が登録される。原単位管理テーブル112aの例では、金属元素として、Cu(銅)、Au(金)、Ni(ニッケル)、Sn(スズ)、Ag(銀)、Fe(鉄)を例示している。ただし、これら以外の金属元素の含有割合を原単位管理テーブル112aに登録してもよい。また、該当の金属元素が含まれていない場合、当該金属元素の含有割合は設定なしとなりハイフン“−”で図示している。
例えば、原単位管理テーブル112aには、部品型番が“pb1”の部品について、銅の含有割合が“B1cu(wt%)”、金の含有割合が“B1au(wt%)”、ニッケルの含有割合が“B1ni(wt%)”、スズの含有割合が“B1sn(wt%)”、銀の含有割合が“B1ag(wt%)”、鉄の含有割合が“B1fe(wt%)”という情報が登録される。
図7は、原単位補完テーブルの例を示す図である。原単位補完テーブル112bは、部品種類、年代および単位要素当たりの金属元素含有量の項目を含む。
部品種類の項目には、部品種類が登録される。年代の項目には、年代の範囲が登録される。年代に応じて単位要素当たりの金属元素含有量が変わらない部品種類の場合、年代の項目は設定なし(“−”)でもよい。単位要素当たりの金属元素含有量の項目には、単位要素の金属元素の含有量が登録される。ここで、単位要素としては、単位サイズ(単位長さ、単位面積、単位体積)、1つの部材(1つのピンや部品内の1つの素子)などが考えられる。単位長さ当たりの含有量は線密度とも呼べる。単位面積当たりの含有量は面密度とも呼べる。単位体積当たりの含有量は体積密度とも呼べる。
例えば、原単位補完テーブル112bには、次のような情報が登録されている。
第1の例として、部品種類が“プリント板A”、年代が“〜2000”、単位要素当たりの金属元素含有量が“Cu:X1(g/cm2)”という情報が登録されている。これは、部品種類“プリント板A”である部品の製造年が西暦2000年以前の場合には、当該部品に銅が含まれ、銅の面密度が“X1(g/cm2)”であることを示す。
第2の例として、原単位補完テーブル112bには、部品種類が“プリント板A”、年代が“2000〜”、単位要素当たりの金属元素含有量が“Cu:X2(g/cm2)”という情報が登録されている。これは、部品種類“プリント板A”である部品の製造年が西暦2000年よりも後の場合には、当該部品に銅が含まれ、銅の面密度が“X2(g/cm2)”であることを示す。
第3の例として、原単位補完テーブル112bには、部品種類が“IC−A”、年代が“〜2010”、単位要素当たりの金属元素含有量が“Au:Y1(g/ピン)”という情報が登録されている。これは、部品種類“IC−A”である部品の製造年が西暦2010年以前の場合には、当該部品に金が含まれ、金のピン当たりの含有量がY1(g/ピン)であることを示す。
第4の例として、原単位補完テーブル112bには、部品種類が“IC−A”、年代が“2010〜”、単位要素当たりの金属元素含有量が“Au:Y2(g/ピン)”という情報が登録されている。これは、部品種類“IC−A”である部品の製造年が西暦2010年よりも後の場合には、当該部品に金が含まれ、金のピン当たりの含有量がY2(g/ピン)であることを示す。
第5の例として、原単位補完テーブル112bには、部品種類が“IC−B”、年代が設定なし(“−”)、単位要素当たりの金属元素含有量が“Au:Y3(g/ピン)”という情報が登録されている。これは、部品種類“IC−B”である部品には、製造年に拘わらず、金が含まれ、金のピン当たりの含有量が“Y3(g/ピン)”であることを示す。
図8は、TMR係数テーブルの例を示す図である。TMR係数テーブル113は、元素毎のTMR係数が登録されたTMR係数情報である。TMR係数テーブル113は、記憶部110に格納される。TMR係数テーブル113は、元素およびTMR係数の項目を含む。
元素の項目には、元素名が登録される。TMR係数の項目には、TMR係数が登録される。TMR係数の単位は、例えば、“t/t”(トン毎トン)である。ただし、単位の分母と分子とが質量を表わす同じ次元であるため、TMR係数は無次元量と考えてもよい(本例では、TMR係数で示される内容が分かり易いよう、単位を明記している)。
例えば、TMR係数テーブル113には、元素が“Ag”、TMR係数が“4800”という情報が登録されている。これは、銀のTMR係数が4800(t/t)であることを示す。TMR係数テーブル113には、他の元素についても同様にTMR係数が登録される。TMR係数テーブル113の例によれば、元素によってTMR係数の値は異なる。例えば、金のように希少性が高く取得にコストがかかる金属元素ほどTMR係数も大きな値となる。
次に、TMR算出装置100によるTMR算出の手順を説明する。
図9は、TMR算出の例を示すフローチャートである。以下、図9に示す手順をステップ番号に沿って説明する。
(S1)TMR検索部120は、電子機器情報を受け付ける。電子機器情報は、電子機器の製品型番を含む。電子機器情報は、電子機器の製造年や仕様などの情報を含んでもよい。例えば、TMR検索部120は、調査対象の電子機器の電子機器情報の、ユーザによる入力を受け付ける。例えば、ユーザは、調査対象の電子機器の電子機器情報を、入力デバイス12を操作することで、TMR算出装置100に入力できる。
(S2)TMR検索部120は、入力された電子機器情報に対応する電子機器のTMRを取得済であるか否かを判定する。該当の電子機器のTMRを取得済である場合、TMR検索部120は取得済のTMRを表示制御部140に通知して、処理をステップS11に進める。該当の電子機器のTMRを取得済でない場合、処理をステップS3に進める。TMR検索部120は、記憶部110を参照して、電子機器の製品型番に対応するTMRが記録されているか否かを確認することで、ステップS2の判定を行える。当該製品型番に対応するTMRが記憶部110に記録されている場合、当該TMRを取得済である。当該製品型番に対応するTMRが記憶部110に記憶されていない場合、当該TMRを取得済でない。
(S3)TMR算出部130は、電子機器に含まれる部品の部品型番を取得する。例えば、TMR算出部130は、記憶部110に記憶された部品表111を参照することで、ステップS1で受け付けた製品型番に対応する部品型番を取得できる。部品表111の例によれば、製品型番“A1”の電子機器に含まれる部品の部品型番は“pa1”、“pa2”、“pa3”、“pa4”、“pa5”である。あるいは、製品型番“B1”の電子機器に含まれる部品の部品型番は“pb1”、“pb2”、“pb3”、“pb4”、“pb5”である。TMR算出部130は、以下のステップの処理対象とする部品の部品型番を1つ取得する。以下では、各ステップで処理対象となっている部品の部品型番を「着目する部品型番」と称する。
(S4)TMR算出部130は、着目する部品型番について、部品固有のTMRを取得済であるか否かを判定する。部品固有のTMRを取得済である場合、処理をステップS9に進める。部品固有のTMRを取得済でない場合、処理をステップS5に進める。TMR算出部130は、部品表111に基づいて、ステップS4の判定を行える。具体的には、部品表111において、着目する部品型番に対し、TMRに値が登録されていれば、部品固有のTMRを取得済である。部品表111において、着目する部品型番に対し、TMRに値が登録されていなければ(すなわち、TMRが設定なし(“−”)であれば)、部品固有のTMRを取得済でない。部品表111の例でいえば、部品型番“pa1”は、TMR“xa1”が登録されているので、部品固有のTMRを取得済みである。一方、部品型番“pb1”は、TMRが設定なし(“−”)なので、部品固有のTMRを取得済ではない。
(S5)TMR算出部130は、記憶部110に記憶された原単位管理テーブル112aに基づいて、着目する部品型番に対し、部品特有の元素含有量の情報があるか否かを判定する。部品特有の元素含有量の情報がある場合、処理をステップS6に進める。部品特有の元素含有量の情報がない場合、処理をステップS7に進める。例えば、着目する部品型番および金属元素毎の含有割合が、原単位管理テーブル112aに登録されていれば、TMR算出部130は、着目する部品型番に対して、部品特有の元素含有量の情報があると判定する。一方、着目する部品型番および金属元素毎の含有割合が、原単位管理テーブル112aに登録されていなければ、TMR算出部130は、着目する部品型番に対して、部品特有の元素含有量の情報がないと判定する。例えば、原単位管理テーブル112aの例では、部品型番“pb1”に対しては、部品特有の元素含有量の情報がある。一方、部品型番“pb2”に対しては、部品特有の元素含有量の情報がない。
(S6)TMR算出部130は、部品特有の元素含有量の情報を基に、着目する部品型番に対応する部品のTMRを計算する。TMR算出部130は、TMRの計算に式(1)を用いる。前述のように、miは金属元素の含有量であり、部品表111における、着目する部品型番に対応する質量の設定値と、原単位管理テーブル112aにおける金属元素含有割合との積である。aiは該当の金属元素のTMR係数である。例えば、部品表111によれば、部品型番“pb1”の部品の質量は“yb1(g)”である。また、原単位管理テーブル112aによれば、部品型番“pb1”の銅の含有割合は、“B1cu(wt%)”である。したがって、当該部品における銅の含有量は、“yb1*B1cu/100(g)”である。TMR係数テーブル113によれば、銅のTMR係数は“360”である。このため、該当の部品の銅由来のTMRは、“(yb1*B1cu/100)*360(g)”である。TMR算出部130は、着目する部品型番に対応する全ての金属元素について同様の計算を行い、各金属元素由来のTMRの総和を求めることで、当該部品型番に対応する部品のTMRを算出する。TMR算出部130は、算出したTMRを、部品型番に対応付けて部品表111に登録する。そして、処理をステップS9に進める。
(S7)TMR算出部130は、部品表111に基づいて、着目する部品型番に対し、部品情報を取得する。具体的には、TMR算出部130は、着目する部品型番に対応する、質量、ピン数、面積、製造年、部品種類などの情報を部品表111から取得する。
(S8)TMR算出部130は、記憶部110に記憶された原単位補完テーブル112bに基づいて、ステップS7で取得した部品種類に対応する補完情報を取得する。TMR算出部130は、取得した補完情報を基に、着目する部品型番に対応する部品のTMRを計算する。TMR算出部130は、TMRの計算に式(1)を用いる。例えば、部品表111によれば、部品型番“pb2”の部品種類は“IC−B”である。また、部品型番“pb2”のピン数は“zb2(本)”である。更に、原単位補完テーブル112bによれば、部品種類“IC−B”では、製造年に拘わらず、金のピン当たりの含有量が“Y3(g/ピン)”である。このため、該当の部品に含まれる金の含有量は、“zb2*Y3(g)”である。TMR係数テーブル113によれば、金のTMR係数は“1100000”である。このため、該当の部品の金由来のTMRは、“(zb2*Y3)*1100000(g)”である。TMR算出部130は、着目する部品型番に対応する全ての金属元素について同様の計算を行い、各金属元素由来のTMRの総和を求めることで、当該部品型番に対応する部品のTMRを算出する。TMR算出部130は、算出したTMRを、部品型番に対応付けて部品表111に登録する。そして、処理をステップS9に進める。
(S9)TMR算出部130は、ステップS1で受け付けた電子機器の製品型番に対応付けられた全部品についてTMRを取得済であるか否かを判定する。該当の電子機器の全部品についてTMRを取得済である場合、処理をステップS10に進める。該当の電子機器の全部品についてTMRを取得済でない場合、処理をステップS3に進める。
(S10)TMR算出部130は、電子機器のTMRを計算する。TMR算出部130は、TMRの計算に式(2)を用いる。TMRjは、ステップS3〜S9を実行することで求められた各部品のTMRである。TMR算出部130は、算出したTMRを、電子機器の製品型番に対応付けて、記憶部110に記録する。TMR算出部130は、算出したTMRを表示制御部140に通知する。
(S11)表示制御部140は、電子機器に対して求められたTMRをディスプレイ11に出力し、表示させる。例えば、ユーザは、ディスプレイ11に表示されたTMRを視認して、調査対象の電子機器のTMRを把握できる。
このようにして、TMR算出装置100は、電子機器および電子機器に含まれる部品のTMRを算出する。
ここで、ステップS8では、TMR算出に使用する原単位補完情報が、部品の製造年に応じて変わることもある。例えば、部品型番“pb1”の部品を考える。部品表111によれば、部品型番“pb1”の部品は、部品種類が“プリント板B”であり、面積が“wb1(cm2)”、製造年が“2000(年)”である。また、原単位補完テーブル112bによれば、部品種類“プリント板B”では、製造年が2010年以前か、2010年よりも後かで、使用する面密度が異なる。原単位補完テーブル112bによれば、TMR算出部130は、製造年が2000年の場合(2010年以前の場合)、銅の面密度“X3(g/cm2)”を用いる。すなわち、TMR算出部130は、部品型番“pb1”の部品の銅の含有量を、“wb1*X3(g)”と求めることができる。
他方、原単位補完テーブル112bによれば、部品種別が“プリント板B”で製造年が2010年よりも後である場合、TMR算出部130は、銅の面密度“X4(g/cm2)”を用いて、銅の含有量を求めることができる。このように、TMR算出部130は、各部品が製造された年代に応じて、TMRの算出に用いる金属元素または金属元素の含有量を変更する。
また、上記の例では、TMR算出部130は、ステップS5の判定により、着目する部品型番に対する金属元素含有割合の情報が、原単位管理テーブル112aに登録されていない場合に、原単位補完テーブル112bを用いるものとした。一方、TMR算出部130は、着目する部品型番に対する金属元素含有割合の情報が、原単位管理テーブル112aにある場合に、当該部品型番について原単位管理テーブル112aには登録されていない金属元素の原単位を原単位補完テーブル112bから抽出してもよい。
例えば、TMR算出部130は、部品型番“pb3”について、原単位管理テーブル112aから銅の含有割合“B3cu(wt%)”を取得できる。この場合に、TMR算出部130は、原単位補完テーブル112bを参照して、部品型番“pb3”の部品種類“IC−E”に対する補完情報を検索してもよい。例えば、原単位補完テーブル112bにおいて、部品種類“IC−E”に対し、“Au:Y4(g/ピン)”のような補完情報の登録があるとする(このとき、銅に関する補完情報があっても、原単位管理テーブル112aの情報を優先する)。すると、TMR算出部130は、着目する部品に対して、原単位管理テーブル112aを基に銅由来のTMRを算出する。また、TMR算出部130は、同部品に対して、原単位補完テーブル112bを基に金由来のTMRを算出する。そして、TMR算出部130は、両TMRの和を、当該部品のTMRとして求める。こうして、TMRの算出の精度を向上することもできる。
図10は、TMR算出結果の例(その1)を示す図である。図10では、電子機器として携帯端末装置(スマートフォン)を例にとり、TMRを算出した結果を示している。携帯端末装置は、基板およびカメラなどの付属部品、LCDモジュールおよびバッテリなどのユニットを含む。
図10では、TMR算出装置100によるTMR算出結果として2つのパターンを例示し、当該2つのパターンと共に、携帯端末装置に対する素材分析の結果を利用してTMR算出を行った結果を図示している(合計で3パターンを図示)。特に、部品を、基板、LCDモジュール、バッテリ、および、その他の部品に区分して、各部品に対して求めたTMRも図示している。なお、図10の例では、TMRの単位をkgとしている。
TMR算出装置100によるTMR算出結果の1つ目のパターンは、原単位管理テーブル112aのみを用いて、各部品および携帯端末装置のTMRを算出した場合である。
TMR算出装置100によるTMR算出結果の2つ目のパターンは、原単位管理テーブル112aに加えて、原単位補完テーブル112bを用いて、各部品および携帯端末装置のTMRを算出した場合である。
また、携帯端末装置に対する素材分析では、携帯端末装置の分解、粉砕および粉砕物に対する元素の定量分析を行って、携帯端末装置の各部品に対する金属元素の含有量を精密に計測する。素材分析結果を利用した場合のTMRは、このように精密に計測された金属元素の含有量を用いて計算されたTMRである。このため、図10で例示している3つのパターンのうち、素材分析結果を利用して求めたTMRが、TMRの算出精度としては最高である。
原単位補完テーブル112bを用いて求められたTMRの精度が2番目に高い。なぜなら、原単位管理テーブル112aのみでは、AIS情報の欠落などによって求められないTMR(例えば、LCDモジュールのTMR)を、原単位補完テーブル112bを用いて補完できるからである。また、前述のように、基板やその他部品などにおいて、一部の金属元素の情報がAIS情報から欠落している場合にも、原単位補完テーブル112bを用いて当該金属元素分のTMRを補完できるからである。
このように、TMR算出装置100を用いることで、素材分析を行う場合に比べて、電子機器の分解、粉砕、粉砕物の定量分析といった手順を行わなくて済むため、TMR調査に伴う作業コストを減らせる。すなわち、電子機器や部品のTMRを効率的に求めることができる。また、TMR算出装置100は、原単位管理テーブル112aおよび原単位補完テーブル112bの両方を用いてTMRを算出することで、TMRの算出精度を向上できる。
図11は、TMR算出結果の例(その2)を示す図である。携帯端末装置の部品のうち、基板には、CPUなどの各種IC、コネクタ、ダイオード、トランジスタおよびオシレータなどが搭載されており、様々な金属元素が使用されている。図11では、3つの条件により基板のTMRを算出した結果を例示している。
第1の条件は、金属元素全種類を考慮してTMRを求めた場合である。第2の条件は、含有量上位5種類の金属元素(具体的には、Au(金)、Cu(銅)、Sn(スズ)、Ni(ニッケル)、Ag(銀))を用いてTMRを求めた場合である。第3の条件は、Au(金)およびCu(銅)のみを用いてTMRを求めた場合である。図11の例では、TMRの単位をkgとしている。
金属元素全種類を用いてTMRを求める場合が、TMRの算出精度としては最高である。図11の例では、金属元素全種類を用いて求めたTMRは42(kg)である。一方、含有量上位5種類の金属元素に絞ってTMRを求めると、41.2(kg)であった。また、金および銅に絞ってTMRを求めると、38(kg)であった。
すなわち、上位5種類の金属元素に絞っても全体のTMRの98%を占め、金と銅のみに絞っても全体のTMRの90%を占めることが分かった。したがって、原単位情報112では、少なくとも金および銅の原単位、好ましくは上記5種類程度の金属元素の原単位を格納し、TMR算出に用いることが考えられる。こうして、原単位情報112に登録する金属元素を絞り込むことで、原単位管理テーブル112aや原単位補完テーブル112bを作成する作業コストを削減できる。
次に、表示制御部140によるTMR算出結果の表示方法の具体例を説明する。
図12は、TMR算出結果の表示例を示す図である。図12(A)では、プリント基板のTMRの表示例を示している。図12(A)の横軸は、面積(cm2)である。同縦軸は、TMR(kg)である。図12(A)に示すように、例えば、表示制御部140は、プリント基板の製品分野毎に、TMRの算出結果を表示してもよい。具体的には、表示制御部140は、プリント基板を製品分野A,B,C(例えば、PC分野、デジタルカメラ分野、スマートフォン分野など)のように区分して、面積とTMRとの関係を表示することが考えられる。なお、このような表示を行うために、各プリント基板が属する製品分野の情報を、部品表111に予め登録しておいてもよい。
図12(B)では、ICのTMRの表示例を示している。図12(B)の横軸は、接続ピン数である。同縦軸は、TMR(kg)である。図12(B)に示すように、例えば、表示制御部140は、ICの属性毎に、TMRの算出結果を表示してもよい。具体的には、表示制御部140は、ICの属性を高密度ICおよび低密度ICなどのように区分して、接続ピン数との関係を表示することが考えられる。なお、このような表示を行うために、各ICの属性の情報を、部品表111に予め登録しておいてもよい。
図12(C)では、回路内の小部品(コンデンサや抵抗)のTMRの表示例を示している。図12(C)の横軸は、質量(g)である。同縦軸は、TMR(kg)である。図12(C)に示すように、例えば、表示制御部140は、コンデンサや抵抗といった部品毎に、質量に対するTMRの関係を表示してもよい。
例えば、TMR算出装置100は、図12(A)、(B)、(C)に示すグラフをディスプレイ11に表示させ、ユーザに提示する。こうして、各部品とTMRとの関係のユーザによる把握を支援できる。また、製品分野などで区分してTMRを表示することで、各区分に応じた環境負荷の傾向のユーザによる把握を支援できる。
なお、第2の実施の形態では、原単位補完情報として、原単位補完テーブル112bを例示した。例示したように、プリント板やIC部品などは、含有される金属元素の割合が製造年によって変化することがある。原単位補完テーブル112bに、部品種類毎に製造年に応じた原単位を登録しておくことで、このような変化に応じたTMRを算出可能となる。
また、TMR算出装置100は、上記のようにテーブル形式で原単位補完情報を保持する他、年代に対する金属元素の面密度、ピン数当たりの質量などの関係を表わす関数を原単位補完情報として保持してもよい。例えば、ある種類のICの接続ピンには、製造年が古いほど金を多く含み、製造年が新しいほど金が少なく、銅、パラジウム、銀といった他の金属元素を多く含むという傾向がみられることがある。TMR算出装置100は、このような各金属元素の含有量の製造年に対する変遷を表わす関数を、部品種類毎の原単位補完情報として保持し、TMR算出に用いることも考えられる。このようにすれば、部品の製造年に応じたTMRの評価精度を更に向上することができる。
ところで、第1の実施の形態の情報処理は、演算部1bにプログラムを実行させることで実現できる。また、第2の実施の形態の情報処理は、プロセッサ101にプログラムを実行させることで実現できる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体13に記録できる。
例えば、プログラムを記録した記録媒体13を配布することで、プログラムを流通させることができる。また、プログラムを他のコンピュータに格納しておき、ネットワーク経由でプログラムを配布してもよい。コンピュータは、例えば、記録媒体13に記録されたプログラムまたは他のコンピュータから受信したプログラムを、RAM102やHDD103などの記憶装置に格納し(インストールし)、当該記憶装置からプログラムを読み込んで実行してもよい。
(付記1) 物品に含まれる元素の含有量に関する原単位情報と、前記元素の関与物質総量係数とを記憶する記憶部と、
前記物品の情報が入力されると、前記原単位情報に基づいて、前記物品に含まれる前記元素の含有量を算出し、前記元素の含有量と前記元素の前記関与物質総量係数との積を前記物品に含まれる元素毎に算出し、元素毎に算出した前記積の総和を求めることで、前記物品の関与物質総量を算出する演算部と、
を有する関与物質総量算出装置。
(付記2) 前記原単位情報は、前記物品の識別情報に応じた前記元素の含有量に関する第1の情報と前記物品の種類に応じた前記元素の含有量に関する第2の情報とを含み、
前記演算部は、入力された前記物品の識別情報に対する前記第1の情報がない場合、入力された前記物品の種類に対する前記第2の情報に基づいて、前記物品に含まれる前記元素の含有量を求める、
付記1記載の関与物質総量算出装置。
(付記3) 前記第2の情報は、前記物品の単位サイズまたは前記物品に含まれる部材当たりの前記元素の含有量を含み、
前記演算部は、前記物品のサイズまたは前記物品に含まれる部材個数と、前記第2の情報とに基づいて前記物品の前記元素の含有量を算出する、
付記2記載の関与物質総量算出装置。
(付記4) 前記演算部は、入力された前記物品の識別情報に応じた第1の元素の含有量に関する情報を前記第1の情報から取得し、当該物品の種類に応じた第2の元素の含有量に関する情報を前記第2の情報から取得して、前記物品に含まれる前記第1および前記第2の元素それぞれの含有量を求める、付記2または3記載の関与物質総量算出装置。
(付記5) 前記演算部は、前記物品が製造された年代に応じて、前記関与物質総量の算出に用いる前記元素または前記元素の含有量を変更する、付記1乃至4の何れか1項に記載の関与物質総量算出装置。
(付記6) 前記演算部は、複数の物品を含む合成品の情報が入力されると、前記複数の物品それぞれに対する前記関与物質総量を算出し、前記複数の物品それぞれの前記関与物質総量の総和を求めることで、前記合成品の前記関与物質総量を算出する、付記1乃至5の何れか1項に記載の関与物質総量算出装置。
(付記7) 前記元素は金属元素である、付記1乃至6の何れか1項に記載の関与物質総量算出装置。
(付記8) コンピュータに、
物品の情報が入力されると、前記物品に含まれる元素の含有量に関する原単位情報と前記元素の関与物質総量係数とを記憶する記憶部を参照して、前記物品に含まれる前記元素の含有量を算出し、
前記元素の含有量と前記元素の前記関与物質総量係数との積を前記物品に含まれる元素毎に算出し、元素毎に算出した前記積の総和を求めることで、前記物品の関与物質総量を算出する、
処理を実行させる関与物質総量算出プログラム。
(付記9)
コンピュータが、
物品の情報が入力されると、前記物品に含まれる元素の含有量に関する原単位情報と前記元素の関与物質総量係数とを記憶する記憶部を参照して、前記物品に含まれる前記元素の含有量を算出し、
前記元素の含有量と前記元素の前記関与物質総量係数との積を前記物品に含まれる元素毎に算出し、元素毎に算出した前記積の総和を求めることで、前記物品の関与物質総量を算出する、
関与物質総量算出方法。