JP2017128826A - 紙力増強剤および紙の製造方法 - Google Patents
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本発明の一実施形態の紙力増強剤は、未溶解のアニオン性澱粉と、アニオン性澱粉の表面に吸着されたカチオン化グァーガムとを含む。紙力増強剤は、従来のような澱粉粒子を水中で加熱溶解させてから紙原料液(パルプスラリー)に添加されるのではなく、アニオン性澱粉が未溶解状態のまま、水中にパルプが分散された紙原料液に添加して使用される。以下、それぞれについて説明する。
アニオン性澱粉は、得られる紙の紙力を向上させるために添加される成分である。アニオン性澱粉は、生の澱粉にアニオン性の官能基を導入した澱粉であり、澱粉粒子の表面がアニオン性を示す。
カチオン化グァーガムは、未溶解のアニオン性澱粉の表面に吸着させて使用される成分である。カチオン化グァーガムは、グァーガムにカチオン性の官能基を導入したグァーガムである。
アニオン性澱粉に吸着されたカチオン化グァーガムの分子径は、0.01〜20μm程度であると推察される。一方、アニオン性澱粉の粒子径は1〜100μm程度である。
本発明の一実施形態の紙の製造方法は、未溶解のアニオン性澱粉の表面にカチオン化グァーガムを吸着させて吸着物を得る吸着工程と、得られた吸着物を、パルプを水に分散させた紙原料液に添加して澱粉混合液を得る添加工程と、澱粉混合液中のアニオン性澱粉を溶解させる溶解工程とを含む。なお、本実施形態の紙の製造方法は、これら工程を含んでいればよく、その他の工程は特に限定されない。そのため、以下の説明における紙の製造方法は例示であり、適宜設計変更し得る。
(アニオン性澱粉)
ST-100(三晶(株)製)
(カチオン化グァーガム)
メイプロボンド111(三晶(株)製)
(カチオン性PAM)
フロックスターPC−23(三晶(株)製)
(紙原料液)
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)および広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を2:8となるよう混合した混合パルプ(カナダ標準濾水度(CSF):445mL)を含む、紙料濃度を1.01質量%に調整し、紙原料液とした。紙原料液のpHは6.4、導電率は0.19mS/cm、温度は25℃に調整した。なお、これらの濃度や特性値は、いずれもヘッドボックスに移送された時点における数値である。
10質量%のST-100のスラリー(500g)を、ジャーテスター(宮本理研工業(株)製)内にて250rpmで攪拌しながら、1質量%のメイプロボンド111(75g)とを添加し、2分間攪拌して、吸着物を調製した(吸着工程)。製紙業界にて汎用的に使用されるブリット式ダイナミックドレイネージジャーテスター(以下、ブリットジャーと略す)に60メッシュの金網を取り付け、紙原料液500gを入れて750rpmで攪拌した。得られた吸着物を、紙原料液中のパルプに対してST-100が10質量%、メイプロボンド111が0.15質量%となるよう紙原料液に添加し(添加工程)、750rpmにて10秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、スクリーン36の前段にて添加する場合を想定)し、パルプに吸着物を定着させた。その後脱水を開始した。最初の白水の20mlを捨て、その後の100mlを採取した。また、別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
メイプロボンド111を使用せず、10質量%のST-100のスラリーを使用し、紙原料液中のパルプに対してST-100が10質量%となるよう紙原料液に添加し、750rpmにて70秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、ファンポンプFPの前段にて添加する場合を想定)した以外は、実施例1と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
ST-100とメイプロボンド111を混合せず、別々に添加した。すなわち、10質量%のST-100のスラリーを使用し、紙原料液中のパルプに対してST-100が10質量%となるようブリットジャーの紙原料液に添加し、750rpmにて60秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、ファンポンプFPの前段にて添加する場合を想定)した。更に、1質量%のメイプロボンド111の溶液を使用し、紙原料液中のパルプに対しメイプロボンド111が0.15質量%となるよう紙原料液に添加し、750rpmにて10秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、スクリーン36の前段にて添加する場合を想定)した。これら以外は、実施例1と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
メイプロボンド111に代えて、フロックスターPC−23を使用した以外は比較例2と同様の方法によって紙を製造した。すなわち、10質量%のST-100のスラリーを使用し、ブリットジャーの紙原料液中のパルプに対してST-100が10質量%となるよう紙原料液に添加し、750rpmにて60秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、ファンポンプFPの前段にて添加する場合を想定)した。また、0.1質量%のフロックスターPC−23の溶液を使用し、紙原料液中のパルプに対しフロックスターPC−23が150ppmとなるよう紙原料液に添加し、750rpmにて10秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、スクリーン36の前段にて添加する場合を想定)した。これら以外は、比較例2と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
0.2質量%のフロックスターPC−23のスラリーを使用し、ブリットジャーの紙原料液中のパルプに対しフロックスターPC−23が0.15質量%となるよう紙原料液に添加し、750rpmにて10秒間攪拌した以外は、比較例3と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
メイプロボンド111に代えて、フロックスターPC−23を使用した以外は実施例1と同様の方法によって紙を製造した。すなわち、10質量%のST-100のスラリー(500g)と0.2質量%のフロックスターPC−23のスラリー(37.5g)とをあらかじめ混合し、得られた混合液を、紙原料液中のパルプに対しST-100が10質量%、フロックスターPC−23が150ppmとなるようブリットジャーの紙原料液に添加し(添加工程)、750rpmにて10秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、スクリーン36の前段にて添加する場合を想定)した以外は、実施例1と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
0.2質量%のフロックスターPC−23の溶液(375g)を使用し、紙原料液中のパルプに対しフロックスターPC−23が0.15質量%となるようあらかじめST-100と混合してからブリットジャーの紙原料液に添加し、750rpmにて10秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、スクリーン36の前段にての添加を想定)した以外は、比較例5と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
混合物を、ブリットジャーの紙原料液に対して添加し、750rpmにて70秒間攪拌(図5に示される抄紙機3において、ファンポンプFPの前段にて添加する場合を想定)した以外は、比較例5と同様の方法によって白水を得た。また別途、ブリットジャーを用いて同様に薬品を添加して攪拌後、TAPPIスタンダード角形シートマシンにて常法により抄紙・乾燥して坪量約100g/m2の試験紙を作製した。
得られた白水から白水中の澱粉量をアミラーゼ分解し、次いで、白水を濾過して、得られた濾液中の全糖量を硫酸アンスロン法にて測定して、澱粉の歩留り率を算出した。なお、アミラーゼ分解は、得られた白水にアミラーゼ酵素を添加して、80℃で2時間反応という条件で行った。また、硫酸アンスロン法は、予めST-100を用いて検量線を作成して常法により行なった。
得られた試験紙の紙力測定として裂断長および比破裂をJIS P 8113およびJIS P 8112に準拠して測定した。また、地合は目視判定により、以下の評価基準に沿って評価した。
(地合の評価基準)
○:得られた紙はパルプ繊維が大きなフロックを形成することなく、地合が良好であった。
△:得られた紙はパルプ繊維がやや大きなフロックを形成しており、地合がやや不良であった。
×:得られた紙はパルプ繊維が大きなフロックを形成しており、地合が不良であった。
2 カチオン化グァーガム
3 抄紙機
31 ミキシングチェスト
32 マシンチェスト
33 スタッフボックス
34 白水ピット
35 クリーナー
36 スクリーン
37 ヘッドボックス
38 ワイヤーパート
39 プレスパート
40 ドライヤーパート
A 吸着物
F パルプ
FP ファンポンプ
P ポンプ
Claims (4)
- 未溶解のアニオン性澱粉と、前記アニオン性澱粉の表面に吸着された水に溶解したカチオン化グァーガムとを含み、
前記アニオン性澱粉が未溶解状態のまま、水中にパルプが分散された紙原料液に添加して使用される、紙力増強剤。 - 前記アニオン性澱粉は、尿素リン酸化澱粉である、請求項1記載の紙力増強剤。
- 前記カチオン化グァーガムは、前記アニオン性澱粉に対して、澱粉固形分当たり0.2〜2.0質量%となるよう吸着されている、請求項1または2記載の紙力増強剤。
- 未溶解のアニオン性澱粉の表面にカチオン化グァーガムを吸着させて吸着物を得る吸着工程と、
得られた吸着物を、パルプを水に分散させた紙原料液に添加して澱粉混合液を得る添加工程と、
前記澱粉混合液中の前記アニオン性澱粉を溶解させる溶解工程とを含む、紙の製造方法。
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