JP2017132997A - ポリ塩化ビニル系樹脂組成物およびポリ塩化ビニル系樹脂シート - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、以下の発明を含む。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、35重量部80重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体に由来する基幹ポリマーと、20重量部以上65重量部以下の塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーに由来するグラフト鎖とのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)、および、当該エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)100重量部に対し10重量部以上200重量部以下の熱可塑性エラストマー(ii)を含む。
上記(1)のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、熱可塑性エラストマー(ii)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、および塩素化ポリエチレンからなる群から選ばれてよい。
上記(1)または(2)のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が(メタ)アクリル系粒子を含んでよい。
上記(1)から(3)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、10重量%以上80重量%以下の無機充填剤を含んでよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、上記(1)から(4)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含むシートである。
上記(5)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、総厚が1.0mm以上5.0mm以下であってよい。
上記(5)または(6)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、強化繊維を含んでよい。
(8)
上記(7)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、強化繊維を含む補強層と、補強層の一方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層と、他方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層または他の層と、を含んでよい。
上記(5)から(8)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、または、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層に被覆層が積層されている場合(つまり上記(8)の場合)はポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層および被覆層の少なくともいずれかが、紫外線遮蔽剤を含むことによって紫外線バリア層を構成してよい。この場合、ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、紫外線バリア層が、シート総厚の20%の肉厚において、300nm以上400nm以下の紫外線透過率にして5%以下の紫外線バリア性を有する。
上記(9)のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、被覆層のみが紫外線バリア層を構成してよい。この場合、被覆層である紫外線バリア層の厚みが、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の20%以下である。
上記(8)から(10)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、被覆層が、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる樹脂に紫外線遮蔽剤を含む。
なお、グラフト塩化ビニル系樹脂は、(メタ)アリルグラフト塩化ビニル系樹脂およびエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)からなる群から選ばれる。
上記(5)から(11)のいずれかのポリ塩化ビニル系樹脂シートは、屋外に設置して用いられる施工資材であってよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートを与えるポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを含む。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを必須成分として含み、さらに、(メタ)アクリル系粒子、可塑剤、紫外線遮蔽剤および無機充填剤の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)は、エチレン-酢酸ビニル共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニルモノマーの重合体グラフト鎖を含んで構成されるグラフト共重合体、および、エチレン-酢酸ビニル共重合体の基幹ポリマーと、塩化ビニル混合モノマー(塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマー以外のモノマーとの混合モノマーをいう)の重合体グラフト鎖とを含んで構成されるグラフト共重合体である。PVC−TG樹脂(i-2)を用いることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐候性を向上させることができる点で好ましい。
なお、平均重合度とは、塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
PVC−TG樹脂(i)の基幹ポリマーを与えるエチレン-酢酸ビニル共重合体の量は、35重量部以上80重量部以下である。当該量が上記下限値以上であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の柔軟性を高めてポリ塩化ビニル系樹脂シートの耐劣化性を向上させる点、および低温柔軟性を維持する点などで好ましく、上記上限値以下であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層の成形性を得やすい点で好ましい。これらの特性をより好ましく得る観点から、エチレン-酢酸ビニル共重合体の量は、40重量部以上75重量部以下であってよい。
なお、エチレン-酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量はJIS K 6924に準拠して測定することができる。
PVC−TG樹脂(i)のグラフト鎖を与える重合性モノマーは、塩化ビニルモノマーのみであってもよいし、塩化ビニル混合モノマー(塩化ビニルモノマーと、塩化ビニルモノマー以外の共重合性モノマーとの混合モノマー)であってもよい。
PVC−TG樹脂(i)は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などいずれの重合法で得られたものであってもよい。
上記分散剤は特に限定されない。上記分散剤の好ましい例としては、ポリ(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸塩/アルキルアクリレート共重合体、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル及びその部分けん化物、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デンプン、並びに無水マレイン酸/スチレン共重合体等が挙げられる。上記分散剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
重合に用いる成分(重合可能な成分)100重量部に対して、上記分散剤の使用量(含有量)は好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。
熱可塑性エラストマー(ii)は、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの引張特性および柔軟性を良好とするため、ならびに、ポリ塩化ビニル系樹脂シートなどの施工資材の溶剤溶着性または熱融着性を高めるために含まれる。特に、総厚が薄膜化されたポリ塩化ビニル系樹脂シートなどの施工資材の溶剤溶着性または熱融着性を確保する場合に有用である。熱可塑性エラストマー(ii)は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。熱可塑性エラストマー(ii)は、後述の(メタ)アクリル系粒子とは区別される。
また、熱可塑性エラストマー(ii)は、可塑剤の使用量を低減または完全排除することができる。本発明ではポリ塩化ビニル系樹脂としてPVC−TG樹脂(i)を用いるため、熱可塑性エラストマー(ii)を用いることによって、可塑剤の含有量を0重量%にしても良好な柔軟性を得ることができる。つまり、良好な柔軟性を得ることができるとともに、機械的特性の低下も有効に防止することができる。
(メタ)アクリル系粒子は、柔軟性を向上させるために含まれてよい。(メタ)アクリル系粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記(メタ)アクリル系粒子とは、(メタ)アクリル化合物から得られる粒子であり、より具体的には(メタ)アクリルゴム粒子である。
また、(メタ)アクリル系粒子は、架橋構造を有するコア部と、単量体成分がコア部にグラフト重合した重合体を主成分とするシェル部からなるコアシェル型グラフト共重合体であってよい。コア部は、たとえば、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエンおよびスチレン−ブタジエンからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体成分を含んで構成される架橋ゴムであってよく、シェル部は、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、芳香族アルケニル化合物およびシアン化ビニルからなる群から選ばれる少なくとも一つの単量体成分がコア部にグラフト重合した重合体であってよい。柔軟性をより良好に得る観点から、コアシェル型グラフト共重合体中、コア部の含有量がシェル部の含有量よりも大きいことが好ましい。
可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、高分子系可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤などが挙げられる。可塑剤は、23℃、1atm環境下で液体状態であり、たとえば熱可塑性エラストマー(ii)のように可塑化作用のある固体高分子とは区別される。
上記の可塑剤は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。
本発明においては、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物に柔軟性の高いPVC−TG樹脂(i)が用いられるため、可塑剤の含有量は0重量%であってもよい。これによって、可塑剤の移行または抜けによる機械的特性の低下を生じさせないことができる。特に、上述した可塑剤のうち、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ化植物油系可塑剤、および高分子系可塑剤(好ましくは重量平均分子量500以上の可塑剤)を除く可塑剤は、可塑剤の移行または抜けによる機械的特性の低下を防ぐ観点から、実質的に含まないことがより好ましい。実質的に含まないとは、完全に排除されることつまり全く含まない(含量が0重量%)ことが好ましいが、上述の本発明の耐候性を損なわない程度の極微量(たとえば、ポリ塩化ビニル系樹脂組成物100重量%中、0重量%超4重量%以下、好ましくは3重量%以下)が混入している態様も許容する。
紫外線遮蔽剤は、顔料、紫外線吸収剤、および無機系紫外線遮蔽剤を含む。紫外線遮蔽剤を用いる場合は顔料を必須とし、紫外線吸収剤および無機系紫外線遮蔽剤は顔料と併用して用いられることが好ましい。紫外線遮蔽剤を含ませることによって、ポリ塩化ビニル系樹脂層自体を紫外線バリア層として機能させることができる。以下、紫外線遮蔽剤を含む場合のポリ塩化ビニル系樹脂層を紫外線バリア層と記載する場合がある。
無機充填剤としては、上述した無機系紫外線遮蔽剤と、紫外線遮蔽効果のない無機物との両方を含む。たとえば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムなどの金属酸化物または金属水酸化物;アルミナけい酸ナトリウム、ハイドロカルマイト、けい酸アルミニウム、けい酸マグネシウム、けい酸カルシウム、ゼオライト等のけい酸金属塩;活性白土、タルク、クレイ、ベンガラ、アスベスト、三酸化アンチモン、シリカ、ガラスビーズ、マイカ、セリサイト、ガラスフレーク、アスベスト、ウオラストナイト、チタン酸カリウム、PMF、石膏繊維、ゾノライト、MOS、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。無機充填剤は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
なお、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物には上述した成分の他、滑剤、加工助剤、安定剤、安定化助剤、光安定剤、および酸化防止剤などが含まれてもよい。
本発明のポリ塩化ビニル樹脂シートは、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物から成形することができる。ポリ塩化ビニル系樹脂シートは、柔軟性が求められるとともに、使用時または保存時に自然環境(光、温度、水分などによる負荷)に晒されうるシートであればよい。たとえば、施工シートおよび役物などの施工資材(好ましくは防水シートおよび防水などの防水資材);合皮生地、エナメル生地、化粧シートなどの生地材が挙げられる。
本発明の塩化ビニル系樹脂シートは、柔軟性および耐候性を奏するため、以下の物性を有していることが好ましい。
なお、引張弾性率は、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、弾性率を測定して得られる。より具体的には、引張速度200mm/分、初期つかみ間距離30mm、23℃の条件下で、引張を行い、変位0.025mmおよび0.125mmの値を用いて引張弾性率を測定して得てよい。
なお、曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して得られる測定値である。
なお、貯蔵弾性率は、JIS K 7244−4に準拠して得られる測定値である。
なお、引張破断伸びは、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、破断時伸びを測定して得られる。より具体的には、引張破断伸び(%)は、引張条件200mm/分、初期つかみ間距離30mm、23℃の条件下、初期つかみ間距離に対するつかみ間距離の増加量の割合(%)として得てよい。なお、成形後のシートが強化繊維(後述)を含む場合は、強化繊維破断時の伸びではなく、強化繊維破断後も樹脂部分が伸び続け、当該樹脂部分が破断したときの伸びを引張破断伸びとする。
なお、引張強度は、JIS K6251に準拠したダンベル8号形試験片を用い、試験室の標準温度及び標準湿度に従って、湿度を調節した環境下での状態調節を行った後、破断時強度を測定して得られる。なお、成形後のシートが強化繊維(後述)を含む場合は、強化繊維破断時の伸びではなく、強化繊維破断後も樹脂部分が伸び続け、当該樹脂部分が破断したときの強度を引張強度とする。
なお、上述のようにポリ塩化ビニル系樹脂層に紫外線遮蔽剤を含ませることで当該ポリ塩化ビニル系樹脂層自体を紫外線バリア層として機能させてもよいし、ポリ塩化ビニル系樹脂層の被覆層(後述)に紫外線遮蔽剤を含ませることで当該被覆層を紫外線バリア層として機能させてもよい。さらに、紫外線遮蔽剤は、ポリ塩化ビニル系樹脂層と被覆層とのいずれか一方のみに含まれてもよいし、両方に含まれてもよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートは、上述のPVC−TG樹脂(i)および熱可塑性エラストマー(ii)を含む本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の成形層(後述図1から図6におけるポリ塩化ビニル系樹脂層200,200a)を少なくとも含む。ポリ塩化ビニル系樹脂シートが施工資材である場合、施工時において溶剤溶着または熱溶着によって施工面に接着することができる。
図2に示すポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100aは、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物に強化繊維(後述)を含むポリ塩化ビニル系樹脂層200aのみで構成されている。ポリ塩化ビニル系樹脂層200aは、強化繊維を含む補強層210の少なくも一方の面に本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が積層された態様で構成されている。したがって、補強層210の一方の面に本発明の本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が積層され、他方の面に本発明の本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220(図2の態様)または他の層(後述図6の態様)が積層されてよい。図2に示された態様では、補強層210の両方に本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220が設けられている。この場合、本発明のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220の一方と他方とは、異なる組成のポリ塩化ビニル系樹脂組成物で構成されることで、それぞれ異なる機能を付してよい。一方のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220は、たとえば熱可塑性エラストマーを他方よりも多く含ませるなどにより、施工時において、施工面に溶剤溶着または熱溶着による接着層としてより適するように機能させることができる。さらにこの場合において、他方のポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層220は、紫外線遮蔽剤を含ませることにより、バリア層として機能させることができる。
これらの態様において、被覆層310および裏層320は、上述の物性を損なわないように積層される。
ポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aは、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物の成形物を含んで構成される。
ポリ塩化ビニル系樹脂層は、強化繊維を含んでよい。強化繊維を含むポリ塩化ビニル系樹脂層200aでは、ポリ塩化ビニル系樹脂層が強化繊維で強化されている。強化繊維を含む層である補強層210では、強化繊維にポリ塩化ビニル系樹脂組成物が含浸されていてもよいし、含浸されていなくてもよい。強化繊維を含むことによって、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの強度および寸法安定性の向上効果が得られる。特に、総厚が薄膜化されたポリ塩化ビニル系樹脂シートの強度を確保する場合に有用である。
ポリ塩化ビニル系樹脂層200,200aの厚みは、低温柔軟性を確保しやすくする観点、または、当該観点とともに、良好な溶剤溶着性または熱融着性を得やすくする観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の80%以上であることが好ましい。
図3から図5に示したようにポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100b,100c,100dが被覆層310を有する場合において、被覆層310が紫外線遮蔽剤を含む場合、被覆層310を構成する樹脂組成物中に含ませることができる紫外線遮蔽剤の具体例としては、上述のポリ塩化ビニル系樹脂組成物に含んでよい紫外線遮蔽剤として述べたものが挙げられる。被覆層310を構成する樹脂組成物中の紫外線遮蔽剤の含量は、上述のポリ塩化ビニル系樹脂層中に含んでよい量と同様である。
ポリ塩化ビニル系樹脂が共重合体である場合、共重合体の態様としては限定されず、ランダム共重合、交互共重合、ブロック共重合、およびグラフト共重合を問わない。
上記のポリ塩化ビニル系樹脂は、1種または複数種のブレンドで用いられてよい。
ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100e全体の厚みは、たとえば1.0mm以上5.0mm以下であってよい。上記下限値以上であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂層による柔軟性を確保しやすくし且つ強度を確保する観点、または当該観点とともに良好な溶剤溶着性または熱融着性を得やすくする観点で好ましく、上記上限値以下であることは、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シート100,100a,〜,100eの重量を最小限にして良好な施工性を得る観点から好ましい。これらの特性をより良好に得る観点から、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの厚みは、好ましくは1.0mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上2.0mm、さらに好ましくは1.0mm以上1.5mm以下であってよい。
本発明のポリ塩化ビニル系樹脂シートへの成形法は、当業者が容易に選択することができる。たとえばポリ塩化ビニル系樹脂防水シートは、カレンダー法または押出法などによってシート成形することで得ることができる。ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートが複層構造である場合、それぞれの層を構成する樹脂組成物を調製した後、たとえば、PVC−TG樹脂(i)と熱可塑性エラストマー(ii)とを含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物をカレンダー法、押出法などによってシート成形し、他の層を構成する樹脂組成物をカレンダー法により積層して一体化してもよいし、それぞれの樹脂組成物を予め個別にカレンダー法または押出法によりシート成形し、その後、ラミネート法などの積層方法で積層一体化してもよい。また、それぞれの樹脂組成物を共押出によって多層化してもよい。ポリ塩化ビニル系樹脂防水役物は、プレス成形などによって、出隅入隅などの屈曲形状または角形状に合わせて成形されてよい。屈曲形状または角形状に対応する部分は、防水シートと接合部分よりも厚肉に形成されてよい。
本発明の塩化ビニル系樹脂シートは、良好な耐候性を有するため、長期使用に付される用途で用いられることができる。
たとえば、屋外のように熱および/または紫外線に曝露される環境で用いられる施工資材である場合に有用である。本発明の塩化ビニル系樹脂シートが施工シートである場合、その施工において、接着剤を裏面に塗布して施工面に貼り付けてもよいし、溶剤で裏面を溶解させて溶剤溶着により施工面に貼り付けてもよいし、専用金具および電磁誘導加熱機の組み合わせまたは温風溶接機を用いて熱融着により施工面に固定してもよい。また、シート同士の接合は、溶剤溶着または熱融着によって行うことができる。本発明の塩化ビニル系樹脂組成物は、長期耐候性によって、施工面に対する再施工の回数を低減することができる。したがって、特に専用金具を使用して施工する場合、長期的には、再施工の都度必要となる専用金具の打ち込み箇所の増加を抑えることができる。
また、本発明の塩化ビニル系樹脂シートが生地材である場合は、たとえば基布の表面に積層された態様で、鞄、靴、服、家具などに加工されてよい。
実施例1から実施例12、および比較例1において、以下のようにポリ塩化ビニル系樹脂組成物およびポリ塩化ビニル系樹脂シートを製造した。ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の配合を表1および表3(それぞれの数値は重量部で表している。)に、およびポリ塩化ビニル系樹脂シートの長期耐性試験などの結果を表2および表4に示す。
エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)としてPVC−TG樹脂(積水化学社製PVC TG−40、エチレン−酢酸ビニル40重量%、ポリ塩化ビニル60重量%、平均重合度650)、熱可塑製エラストマー(ii)としてエチレン−アクリル酸n−ブチル−一酸化炭素共重合体(エルバロイHP441、三井デュポンポリケミカル社製)および塩素化ポリエチレンゴム(タイリン6000、ダウ・ケミカル社製)、無機充填剤として炭酸カルシウム(W305、白石カルシウム社製)、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(Viosorb550、共同薬品社製)、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(Irganox1010、BASFジャパン社製)、アクリル系粒子としてコアシェル型アクリルゴム(カネエースFM−40、カネカ社製)、顔料としてカーボンブラックと酸化チタンとを含む混合物、安定剤としてスズ安定剤(TVS#8570、日東化成社製)、および滑剤(wax−OP、クラリアントケミカルズ社製)をそれぞれ下記表1に示す量で含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形し、図1に相当する層構成の厚み2.0mmのポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。なお、表1中の数値は重量部で表されている(後述の表3についても同様)。
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において熱可塑製エラストマー(ii)の量を表1に記載のとおりに変更し、アクリル系粒子を使用せず、強化繊維としてポリエステルクロス(ESW33130、倉敷紡績社製)を用い、かつ、ポリ塩化ビニル系樹脂防水シートの総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図2に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
ポリエステルクロスを用いなかったことを除いて、実施例2と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
ポリ塩化ビニル系樹脂組成物において熱可塑製エラストマー(ii)をエチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(742、三井デュポンポリケミカル社製)かつ表1に記載の量に変更し、アクリル系粒子を使用せず、総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
顔料の量を表1に記載のとおりに変更し、総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例4と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
総厚を表2に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
塩素化ポリエチレンの量とアクリル系粒子の量とを表3に記載のとおりに変更し、紫外線吸収剤を用いず、かつ、総厚を表4に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例1と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
アクリル系粒子を用いず、総厚を表4に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
強化繊維としてポリエステルクロスを用いたことを除いて、実施例8と同様にして、図2に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
アクリル系粒子を用いなかったことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
アクリル系粒子を用いず、顔料の量を表3に記載のとおりに変更したことを除いて、実施例7と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
炭酸カルシウムの量を表3に記載のとおりに変更し、総厚を表4に記載の通りに変更したことを除いて、実施例11と同様にして、図1に相当する層構成のポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
(非グラフト)ストレート塩化ビニル系樹脂TS1300S(積水化学工業社製)と、スズ安定剤(TVS#KK8570、日東化成社製)と、低分子可塑剤DOP(フタル酸ビス(2−エチルヘキシル))と、炭酸カルシウムと、酸化防止剤としてフェノール系酸化防止剤(Irganox1010、BASFジャパン社製)と、滑剤(wax−OP、クラリアントケミカルズ社製)を下記の表3に示す配合量で混合して、(非グラフト)塩化ビニル系樹脂組成物を得た。
得られた(非グラフト)塩化ビニル系樹脂組成物をシート状に成形し、図1に相当する層構成の厚み1.5mmのポリ塩化ビニル系樹脂防水シートを得た。
以下のようにして、得られたポリ塩化ビニル系樹脂シートを縦100mm、横100mmにカットしたサンプルについて、熱劣化前と熱劣化後とにおける各物性(引張破断伸び、引張強度、引張弾性率、および紫外線透過率)と、熱劣化前における紫外線透過率と、を測定した。熱劣化は、得られたポリ塩化ビニル系樹脂シートを120℃のオーブンで240時間加熱することによって行った。
200,200a…ポリ塩化ビニル系樹脂層(ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層)
210…補強層
220…ポリ塩化ビニル系樹脂組成物(強化繊維なし)の層(補強層の一方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、他方の面に積層されたポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層)
310…被覆層
320…裏層(他方の面に積層された他の層)
Claims (12)
- 35重量部80重量部以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体に由来する基幹ポリマーと、20重量部以上65重量部以下の塩化ビニルモノマーまたは塩化ビニル混合モノマーに由来するグラフト鎖とのエチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)、および、前記エチレン−酢酸ビニルグラフト塩化ビニル系樹脂(i)100重量部に対し10重量部以上200重量部以下の熱可塑性エラストマー(ii)を含むポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 前記熱可塑性エラストマー(ii)が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−一酸化炭素共重合体、および塩素化ポリエチレンからなる群から選ばれる、請求項1に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物が(メタ)アクリル系粒子を含む、請求項1または2に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 10重量%以上80重量%以下の無機充填剤を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物。
- 請求項1から4のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂組成物を含むポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 総厚が1.0mm以上5.0mm以下である、請求項5に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 強化繊維を含む、請求項5または6に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 前記強化繊維を含む補強層と、前記補強層の一方の面に積層された前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層と、他方の面に積層された前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層または他の層と、を含む、請求項7に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層、または、前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層に被覆層が積層されている場合は前記ポリ塩化ビニル系樹脂組成物の層および前記被覆層の少なくともいずれかが、紫外線遮蔽剤を含むことによって紫外線バリア層を構成し、前記紫外線バリア層が、前記ポリ塩化ビニル系樹脂シートの総厚の20%の肉厚における300nm以上400nm以下の紫外線透過率が5%以下の紫外線バリア性を有する、請求項5から8のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 前記被覆層のみが前記紫外線バリア層を構成し、前記紫外線バリア層の厚みが総厚の20%以下である、請求項9に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 前記被覆層が、(メタ)アクリル系樹脂、およびポリ塩化ビニル系樹脂からなる群から選ばれる樹脂に前記紫外線遮蔽剤を含む、請求項8から10のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
- 屋外に設置して用いられる施工資材である、請求項5から11のいずれか1項に記載のポリ塩化ビニル系樹脂シート。
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