以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下の説明において、同一又は相当部分には同一符号を付す場合があり、重複する説明は省略する。
[被覆導電性粒子]
本実施形態に係る被覆導電性粒子は、導電性粒子と、導電性粒子の表面の少なくとも一部を被覆する有機金属錯体と、を備える。
導電性粒子は、遷移金属、貴金属及び導電性カーボンから選ばれる少なくとも一種を導電性成分として含有することができる。遷移金属としては、Ni、Cu等が挙げられる。貴金属としては、Au、Ag及び白金族元素が挙げられる。導電性粒子は、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ(上記導電性成分を含む合金)等の金属粒子、導電性カーボン粒子などであってよい。導電性粒子は、保存安定性に更に優れる観点から、最表面に、好ましくはAu、Ag又は白金族元素で構成された貴金属層、より好ましくはAu層を備えている。具体的には、例えば、導電性粒子は、Ni等の遷移金属で構成された粒子の表面をAu等の貴金属で被覆した粒子であってよい。また、導電性粒子は、ガラス、セラミック、プラスチック等の非導電性成分で構成された粒子の表面を上記の導電性成分で被覆した粒子であってもよい。この場合にも、導電性粒子の最表面には貴金属層を設けることが好ましい。
導電性粒子としては、プラスチック等の非導電性成分で構成された粒子の表面を導電性成分で被覆した粒子、又は熱溶融金属粒子が好ましい。この場合、加熱・加圧によりこれらの導電性粒子が変形するため、被覆導電性粒子を含有する回路接続材料を用いた回路部材の接続時に、被覆導電性粒子と電極との接触面積が増加し、回路部材の回路端子の厚みばらつきを吸収し、接続信頼性が更に向上する傾向がある。
導電性粒子の最表面に貴金属層を設ける場合、貴金属層の厚みは、良好な抵抗を得る観点から、10nm以上であることが好ましい。Ni等の遷移金属で構成された粒子の表面に貴金属層を設ける場合には、貴金属層の欠損(例えば、被覆導電性粒子の樹脂等への混合分散時に生じる貴金属層の欠損)等により生じる酸化還元作用で遊離ラジカルが発生し、保存安定性の低下を引き起こすおそれがある。このような保存安定性の低下を抑制する観点から、貴金属層の厚みは、30nm以上であることが好ましい。被覆層の厚みの上限は、特に制限されないが、例えば1μm以下であることが好ましい。
導電性粒子を被覆する有機金属錯体は、その錯体を構成する中心金属イオンとして、アルミニウム、チタン、ジルコニウム等のキレート錯体を形成する金属イオンを有していてよい。有機金属錯体は、例えば、金属イオンに有機基からなる配位子等が結合した分子である。金属イオンと配位子との結合は、水素結合及び配位結合のいずれであってもよい。有機基は、例えば、炭素原子、水素原子及び酸素原子から構成される基等であってよく、硫黄原子、窒素原子等を更に含んでいてもよい。
有機金属錯体は、例えば、下記一般式(1)又は(2)で表される有機金属錯体であってよい。
一般式(1)、(2)中、Mは金属イオンを表し、L1、L2、L3及びL4は、それぞれ独立に、アルコキシ陰イオン、β−ジケトンの共役陰イオン又はβ−ケトエステルの共役陰イオンを表す。一般式(1)におけるMは、好ましくはアルミニウムイオンである。一般式(2)におけるMは、好ましくはチタンイオン又はジルコニウムイオンである。
Mで表される金属イオンがアルミニウムイオンである場合、一般式(1)で表される有機アルミニウム錯体の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムイソプロポキシド等が挙げられる。
Mで表される金属イオンがチタンイオンである場合、一般式(2)で表される有機チタン錯体の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、トリス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジオクチルパイロホスフェートチタネート、イソプロピルトリス(ドデシルベンゼンスルフォニル)チタネート、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンテトラ−2−エチルヘキソキシド、チタンテトラアセチルアセトネート等が挙げられる。
Mで表される金属イオンがジルコニウムイオンである場合、一般式(2)で表される有機ジルコニウム錯体の具体例としては、テトラノルマルプロピルジルコネート、テトラノルマルブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシモノアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジルコニウムトリブトキシモノステアレート等が挙げられる。
これらの有機金属錯体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
被覆導電性粒子においては、導電性粒子の表面の一部又は全部が有機金属錯体によって被覆されている。導電性粒子の表面における有機金属錯体の被覆率は、例えば被覆導電性粒子全量に対して1.0質量%以上であってよい。導電性粒子の表面における有機金属錯体の被覆率は、被覆導電性粒子を溶媒に溶解させて、有機金属錯体を構成する金属量を定量することで算出される。
有機金属錯体によって構成される被覆層の厚みは、例えば0.5〜10.0nmであってよい。有機金属錯体によって構成される被覆層の厚みは、被覆導電性粒子を表面側からスパッタリングにより削りながらX線光電子分光測定(XPS)を行い、有機金属錯体を構成する金属が検出される部分を被覆層としたときのその厚みとして測定される。
被覆導電性粒子の粒径は、例えば2.0〜20.0μmであってよい。被覆導電性粒子が球状でない場合は、被覆導電性粒子の最大径が2.0〜30.0μmであってよい。
被覆導電性粒子は、例えば以下の方法により得られる。まず、有機金属錯体を溶解することができる有機溶剤で溶解し、その溶液中に導電性粒子を投入する。その後、50〜100℃にて1〜5時間加熱攪拌した後、室温(25℃)に冷却し、24〜120時間室温(25℃)で攪拌する。攪拌終了後、被覆導電性粒子をろ過し、有機溶剤で洗浄、更に乾燥することにより、被覆導電性粒子が得られる。
[回路接続材料]
本実施形態に係る回路接続材料は、少なくとも上述の被覆導電性粒子を含有する。図1は、回路接続材料の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、回路接続材料1は、例えば、接着剤成分2中に上述の被覆導電性粒子3が分散されてなるフィルム(フィルム状導電性接着剤)であってよい。
回路接続材料1の厚さは、10〜50μmであることが好ましい。回路接続材料1の厚さが10μm以上であることにより、接続する回路電極間に回路接続材料がより好適に充填される。回路接続材料1の厚さが50μm以下であることにより、接続する回路電極間から回路接続材料がはみ出すことを抑制できる。
回路接続材料1は、例えば、接着剤成分2及び被覆導電性粒子3を溶媒に加えたものを支持体(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等)上に塗工装置を用いて塗布し、接着剤成分2が硬化しない温度で所定時間熱風乾燥することにより作製することができる。
接着剤成分2は、例えば、カチオン重合性化合物と、スルホニウム塩型カチオン発生剤等のカチオン発生剤とを含有する。
カチオン重合性化合物としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。エポキシ化合物としては、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ化合物は、分子中にグリシジルエーテル基を有する化合物で、硬化剤の存在下又は非存在下において活性光線の照射又は加熱によって硬化するものであればよい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するグリシジルエーテル型エポキシ化合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなる点で好ましい。グリシジルエーテル型エポキシ化合物としては、公知のグリシジルエーテル型エポキシ化合物であってよく、より具体的には、エピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF等とから誘導されるビスフェノール型エポキシ化合物、ポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ化合物、ビフェニルジグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
脂環式エポキシ化合物としては、分子中に環状炭化水素骨格を構成する炭素原子のうち二つと酸素原子とからなるエポキシ基を有する化合物で、硬化剤の存在下又は非存在下において活性光線の照射又は加熱によって硬化するものであればよい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなる点で好ましい。脂環式エポキシ化合物としては、公知の脂環式エポキシ化合物であってよく、例えば、シクロヘキセン構造、シクロペンテン構造等を有する化合物を酸化して得られるシクロヘキセンオキシド構造、シクロペンテンオキシド構造等を有する化合物が挙げられる。より具体的には、脂環式エポキシ化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタジオキサン、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロエキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ジシクロペンタジエンジエポキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
エポキシ化合物は、グリシジルエーテル型エポキシ化合物及び脂環式エポキシ化合物以外のその他のエポキシ化合物であってもよい。その他のエポキシ化合物としては、ポリグリシジルエステル、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、グリシジルアミン系エポキシ化合物、グリシジルエステル系エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート及びこれと共重合可能なビニル単量体の共重合体等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、分子中にオキセタニル基を有しているオキセタン化合物で、硬化剤の存在下又は非存在下において活性光線の照射又は加熱によって硬化するものであればよい。中でも、オキセタン環を2個以上有するオキセタン化合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなる点で好ましい。オキセタン化合物としては、硬化性に優れる観点から、分子中にオキセタン環を2〜6個有し、水酸基を1〜6個有する脂肪族系又は脂環系化合物がより好ましい。オキセタン化合物としては、1,4−ジ[(3−オキセタニル−n−ブトキシ)メチル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−オキセタニル−n−ブトキシ)メチル]ビフェニル、3−エチル−3{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン、3−エチル3−ヒドロキシメチルオキセタン、2−エチルヘキシルオキセタン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
ビニルエーテル化合物としては、分子中にビニルエーテル基を有する化合物で、硬化剤の存在下又は非存在下において活性光線の照射又は加熱によって硬化するものであればよい。中でも、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するビニルエーテル化合物は、硬化させた際の架橋密度が高くなる点で好ましい。ビニルエーテル化合物としては、1,4−ブタンジオールジビニエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテ等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
接着剤成分2において、カチオン重合性化合物は、1種単独で用いられてもよく2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
カチオン重合性化合物におけるカチオン重合性置換基当量は、好ましくは43〜1000、より好ましくは50〜800、更に好ましくは73〜600である。カチオン重合性置換基当量が43未満又は1000を超えると、後述する回路部材の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。なお、カチオン重合性置換基当量は、カチオン重合性化合物一分子の平均分子量をカチオン重合性化合物一分子中のカチオン重合性置換基の数で割った商、つまり単位カチオン重合性置換基あたりの平均分子量を意味する。
カチオン重合性化合物としては、腐食防止の観点から、不純物イオン(Na+、Cl−等)、加水分解性塩素等の含有量を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが好ましい。
カチオン重合性化合物の含有量は、接着剤成分の総量基準で、10〜90質量%であることが好ましく、25〜75質量%であることがより好ましい。カチオン重合性化合物の含有量が10質量%未満であると、硬化物の物性(ガラス転移温度、弾性率等)に乏しい接着剤成分となるおそれがあり、カチオン重合性化合物の含有量が90質量%を超えると、硬化収縮が大きくなり接着力が低下するおそれがある。
スルホニウム塩型カチオン発生剤は、例えば一般式(3)で表される化合物であってよい。
一般式(3)中、R1は、置換若しくは無置換のアリールメチル基、又は置換若しくは無置換のアリル基を示し、R2及びR3は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示し、X−は対アニオンを示す。ただし、R2及びR3は、互いに連結して環を形成していてもよい。
アルキル基としては、例えば、炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基の置換位置は特に限定されるものではなくいずれの位置であってもよい。
アリール基としては、例えば、炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。より具体的には、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基の置換位置は特に限定されるものではなくいずれの位置であってもよい。
アリールメチル基としては、例えば、メチル基における水素原子の1つが上述のアリール基により置換されたものが挙げられ、より具体的には、ベンジル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基が挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、置換基の置換位置は特に限定されるものではなくいずれの位置であってもよい。
R
2及びR
3が互いに連結して環を形成している場合、スルホニウム塩型カチオン発生剤は、例えば一般式(4)、(5)又は(6)で表される化合物である。一般式(4)、(5)又は(6)における環は置換基を有していてもよく、置換基の置換位置は特に限定されるものではなくいずれの位置であってもよい。
[一般式(4)、(5)、(6)中、R
1及びX
−は、それぞれ一般式(3)におけるR
1及びX
−と同一の定義内容を示す。]
上述したR1、R2又はR3で表される各基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基等のアルコキシカルボニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンゾイルオキシ基等のエステル基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基が挙げられる。なお、置換基を有するアリル基がシス−トランス異性体を有する場合には、当該アリル基はどちらの異性体であってもよい。
X−で示される対アニオンは、例えば、[P(R4)a(F)6−a]−(式中、R4はアルキル基の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されている置換アルキル基を示し、aは1〜6の整数を示す。aが2以上の整数である場合、複数存在するR4は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)、又は[C((R5)SO2)3]−(式中、R5はアルキル基の水素原子の少なくとも一部がフッ素原子で置換されている置換アルキル基を示す。複数存在するR5は、互いに同一であっても異なっていてもよい。)である。X−は、求核性の低いアニオンであることが好ましい。
[P(R4)a(F)6−a]−において、R4は、アルキル基における水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されている置換アルキル基であることが好ましく、アルキル基における水素原子の90%以上がフッ素原子で置換されている置換アルキル基であることがより好ましく、直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。具体的には、[P(CF3)3(F)3]−、[P(C2F5)3(F)3]−、[P(n−C3F7)3(F)3]−等が挙げられる。これらの対アニオンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[C((R5)SO2)3]−において、R5は、アルキル基における水素原子の80%以上がフッ素原子で置換されている置換アルキル基であることが好ましく、アルキル基における水素原子の90%以上がフッ素原子で置換されている置換アルキル基であることがより好ましく、直鎖又は分岐のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。具体的には、[C(CF3SO2)3]−、[C(C2F5SO2)3]−、[C(n−C3F7SO2)3]−等が挙げられる。これらの対アニオンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スルホニウム塩型カチオン発生剤としては、R1が置換又は無置換のアリールメチル基であり、R2が置換又は無置換のアリール基であり、R3がメチル基であるスルホニウム塩化合物が好ましい。このようなスルホニウム塩化合物を含有する接着剤成分は、保存安定性及び低温速硬化性の点で更に優れる。
R1が置換又は無置換のアリル基であり、R2及びR3が置換若しくは無置換のアルキル基、又はR2及びR3が互いに連結して環を形成しているスルホニウム塩化合物も好ましい。このようなスルホニウム塩化合物を含有する接着剤成分は、保存安定性及び低温速硬化性の点で更に優れる。
スルホニウム塩型カチオン発生剤として、例えば、α−ナフチルメチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム トリス(パーフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、3−メチル−2−ブテニルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、シンナミルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、3−メチル−2−ブテニルテトラメチレンスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、シンナミルテトラメチレンスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネートを含有する接着剤成分は、保存安定性及び低温速硬化性の点でより一層優れる。
スルホニウム塩型カチオン発生剤の含有量は、カチオン重合性化合物の総量100質量部に対して、0.5〜50質量部であることが好ましく、2〜25質量部であることがより好ましい。スルホニウム塩型カチオン発生剤の含有量が0.5質量部以上であると、より充分な硬化が得られる傾向にあり、50質量部以下であると、接着力がより向上する傾向にある。
被覆導電性粒子は、上述したようなカチオン重合性化合物及びカチオン発生剤(スルホニウム塩型カチオン発生剤)と共に好適に用いられ、特にこの場合に、低温速硬化が可能であって接続信頼性に優れ、かつ保存安定性にも優れる回路接続材料が実現できる。これは、カチオン重合性化合物の重合開始温度未満では、接着剤成分の流動性が低下していること等から、有機金属錯体が被覆導電性粒子上に停滞しているため、保存安定性に優れるためと考えられ、一方、カチオン重合性化合物の重合開始温度以上では、カチオン発生剤がルイス酸としてカチオン重合を促進すると共に、接着剤成分中を被覆導電性粒子が流動するため、有機金属錯体が接着剤成分中に拡散しやすい状態となり、低温速硬化が可能であって接続信頼性に優れるためと推察される。
接着剤成分は、被着体の腐食を防止することを目的として、金属水酸化物又は金属酸化物からなる腐食防止剤を更に含有していてもよい。より具体的には、接着剤成分は、腐食防止剤として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化マンガン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種以上を含有することが好ましい。腐食防止剤が粒子状である場合には、接着剤成分への分散、被着体への高接着化及び被着体の腐食防止能の観点から、腐食防止剤粒子の粒径は、10μm以下であることが好ましい。
腐食防止剤の含有量は、スルホニウム塩型カチオン発生剤の総量100質量部に対して、0.1〜60質量部であることが好ましく、1〜30質量部であることがより好ましい。腐食防止剤の含有量が0.1質量部以上であると、腐食防止効果を充分に発揮することができ、60質量部以下であると、分散性が高まり、回路接続材料の接続信頼性がより向上する傾向にある。
接着剤成分は、1分子中に2個以上のエーテル結合を有する鎖状エーテル化合物又は環状エーテル化合物を更に含有してもよい。特に、接着剤成分がカチオン重合性化合物として脂環式エポキシ化合物を含有する場合、接着剤成分が鎖状又は環状エーテル化合物を更に含有することによって、脂環式エポキシ化合物の硬化挙動をより容易にかつ確実に制御することができる。
鎖状又は環状エーテル化合物としては、公知の鎖状又は環状エーテル化合物を使用できる。鎖状エーテル化合物としては、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等のポリエチレングリコール;ポリエチレングリコールの末端水酸基をエーテル結合又はエステル結合で官能化したポリエチレングリコール誘導体;エチレンオキシド、プロピレンオキシド、シクロヘキセンオキシド等の単官能エポキシ化合物の重合体;多官能エポキシ化合物の重合体;単官能又は多官能オキセタン化合物の重合体;単官能又は多官能テトラヒドロフランの重合体などが挙げられる。環状エーテル化合物としては、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、24−クラウン−8−エーテル、30−クラウン−7−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、トリベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ポリエチレングリコールの環化物、エポキシ化合物の重合体の環化物等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のうち、反応調節能の観点から、環状エーテル化合物が好ましく、12−クラウン−4−エーテル、14−クラウン−4−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−6−エーテル、21−クラウン−7−エーテル、24−クラウン−8−エーテル、30−クラウン−7−エーテル、ベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル又はトリベンゾ−18−クラウン−6−エーテルがより好ましい。
鎖状又は環状エーテル化合物の含有量は、スルホニウム塩型カチオン発生剤の総量100モルに対して、0.005〜10モルであることが好ましく、0.01〜5モルであることがより好ましい。鎖状又は環状エーテル化合物の含有量が0.005モル以上であると、接着強度がより向上し、10モル以下であると、硬化が促進され、架橋密度がより高まる傾向にある。
接着剤成分は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、公知の各種添加剤、例えば、無機充填剤;強化剤;着色剤;安定剤(熱安定剤、耐候性改良剤等);増量剤;粘度調節剤;テルペンフェノール共重合体、テルペン樹脂、ロジン誘導体及び脂環族系炭化水素樹脂等に代表される粘着付与剤;難燃剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;変色防止剤;抗菌剤;防黴剤;老化防止剤;帯電防止剤;可塑剤;滑剤;発泡剤;離型剤などを更に含有していてもよい。
着色剤としては、直接染料、酸性染料、塩基性染料、金属錯塩染料等の染料;カーボンブラック、マイカ等の無機顔料;カップリングアゾ系、縮合アゾ系、アンスラキノン系、チオインジゴ系、ジオキサゾン系及びフタロシアニン系等の有機顔料などが挙げられる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系、ヒドラジン系、リン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、オキザリックアシッドアニリド系等の化合物が挙げられる。無機充填剤としては、ガラス繊維;アスベスト繊維;炭素繊維;シリカ繊維;アルミナ繊維;ジルコニア繊維;窒化ホウ素繊維;窒化珪素繊維;塩基性硫酸マグネシウム繊維;ホウ素繊維;ステンレス鋼繊維;アルミニウム、チタン、銅、真鍮、マグネシウム等の無機質及びこれらからなる金属繊維;銅、鉄、ニッケル、亜鉛、錫、鉛、ステンレス鋼、アルミニウム、金、銀等の金属粉末;木粉;珪酸アルミニウム;タルク;クレイ;炭酸塩;硫酸塩;リン酸塩;ホウ酸塩;ホウ珪酸塩;アルミノ珪酸塩;チタン酸塩;塩基性硫酸塩、塩基性炭酸塩等の塩基性塩;ガラス中空球、ガラスフレーク等のガラス材料;炭化珪素;窒化アルミ;ムライト;コージェライトなどが挙げられる。
接着剤成分は、増粘化及びフィルム化を目的として、種々のポリマーを更に含有してもよい。ポリマーは、カチオン重合性化合物の硬化を大きく阻害しないものであれば制限はなく、公知のポリマーであってよい。このようなポリマーとしては、フェノキシ樹脂、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリビニルブチラール、SBS(スチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)及びそのエポキシ変性体、SEBS(スチレンエチレンブチレンスチレンブロック共重合体)及びその変性体等が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリマーは、分子中にはシロキサン結合又はフッ素置換基を有していてもよい。これらは、混合される樹脂同士が完全に相溶するか又はミクロ相分離が生じて白濁する状態であると、接着剤成分としては好適に用いることができる。特にフィルム化を目的とする場合には、接着剤成分は、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール等のフィルム形成性ポリマーを含有することが好ましい。
上記ポリマーの分子量が大きいとフィルム形成性が容易に得られ、また、接着剤成分の流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。上記ポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、5000〜150000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましい。重量平均分子量が5000以上であると、フィルム形成性がより優れる傾向にあり、150000以下であると、他の成分との相溶性がより良くなる傾向にある。ここで、重量平均分子量とは、下記に示す測定条件に従ってゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC−8020
検出器:東ソー株式会社製 RI−8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GL−A−160−S+GL−A150
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.9MPa(30kgf/cm2)
流量:1.00mL/min
上記ポリマーの含有量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、20〜320質量部であることが好ましく、50〜150質量部であることがより好ましい。上記ポリマーの含有量が20〜320質量部であると、接着剤成分の流動性及び接着性がより向上する傾向にある。
接着剤成分は、加熱により硬化することができる。加熱温度は、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜150℃である。加熱温度が40℃以上であると硬化速度がより向上する傾向にあり、180℃以下であると望まない副反応が抑制され、接続信頼性がより向上する傾向にある。加熱時間は、好ましくは0.1秒間〜10時間、より好ましくは、1秒間〜1時間である。加熱時間が0.1秒間以上であると硬化反応が進行しやすくなる傾向にあり、10時間以下であると硬化物の生産性がより向上するとともに、望まない副反応が進行しにくくなり、接続信頼性がより向上する傾向にある。
接着剤成分は、加熱及び加圧を併用して被着体同士を接着させることができる。加熱及び加圧を併用して接着する場合の加熱温度は、特に制限されないが、50〜190℃であることが好ましい。圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、TCP及びチップオンフレックス(COF)の場合、0.1〜30MPaであることが好ましく、COG実装の場合、10〜100MPaであることが好ましい。これらの加熱及び加圧は、0.5秒間〜120秒間で行うことが好ましい。
回路接続材料1は、同種の被着体同士を接着するための接着剤として使用することができ、熱膨張係数の異なる異種の被着体同士を接着するための接着剤としても使用することができる。具体的には、回路接続材料1は、回路電極を有する回路部材同士を接着する回路接続用接着剤、半導体素子と回路パターンを有する半導体素子搭載用基板とを互いに接着する半導体素子接続用接着剤として使用することができる。
回路接続材料1は、第一の基板上に第一の回路電極が形成されてなる第一の回路部材と、第二の基板上に第二の回路電極が形成されてなる第二の回路部材とを、第一の回路電極と第二の回路電極とが互いに電気的に接続されるように接着するための接着剤として好適に使用される。
[接続構造体]
図2は、接続構造体の一実施形態を示す模式断面図である。図2に示すように、接続構造体10は、相互に対向する第一の回路部材20及び第二の回路部材30を備えており、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間には、これらを接続する回路接続部材40が設けられている。
第一の回路部材20は、基板(第一の基板)21と、基板21の主面21a上に形成された回路電極(第一の回路電極)22とを備えている。基板21の主面21a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
第二の回路部材30は、基板(第二の基板)31と、基板31の主面31a上に形成された回路電極(第二の回路電極)32とを備えている。基板31の主面31a上には、場合により絶縁層(図示せず)が形成されていてもよい。
第一の回路部材20及び第二の回路部材30としては、電気的接続を必要とする電極が形成されているものであれば特に制限はない。具体的には、第一の回路部材20及び第二の回路部材30は、液晶ディスプレイに用いられる、ITO等の電極が形成されているガラス又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップ等であってよい。これらは、必要に応じて、第一の回路部材20及び第二の回路部材30として組み合わせて使用される。このように、本実施形態では、プリント配線板、及びポリイミド等の有機物からなる材質をはじめ、銅、アルミニウム等の金属、又はITO(indiumtinoxide)、窒化ケイ素(SiNX)、二酸化ケイ素(SiO2)等の無機材料からなる材質のように、多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
回路接続部材40は、上記回路接続材料1の硬化物からなっており、絶縁性成分(接着剤成分2の硬化物)41及び硬化処理後の被覆導電性粒子42(以下、単に「被覆導電性粒子42」ともいう)を含有している。被覆導電性粒子42は、対向する回路電極22と回路電極32との間のみならず、回路電極22,32が設けられていない第一の基板21の主面21aと第二の基板31の主面31aとの間にも配置されている。接続構造体10においては、回路電極22と回路電極32とが、被覆導電性粒子42を介して互いに電気的に接続されている。すなわち、被覆導電性粒子42が回路電極22及び回路電極32の双方に直接接触している。このため、回路電極22と回路電極32との間の接続抵抗が充分に低減される。したがって、この接続構造体10では、回路電極22と回路電極32との間の電気の流れを円滑にすることができ、回路部材20,30の持つ機能が充分に発揮される。
[接続構造体の製造方法]
次に、上述した接続構造体10の製造方法について説明する。
まず、第一の回路部材20と、回路接続材料1を用意する(図3(a)参照)。次に、回路接続材料1を第一の回路部材20の回路電極22が形成されている主面21a上に載せる。なお、回路接続材料1が支持体(図示せず)上に設けられている場合は、支持体と回路接続材料1とからなる積層体の回路接続材料1側を第一の回路部材20に向けるようにして第一の回路部材20上に載せる。このとき、回路接続材料1はフィルム状であるため、取り扱いが容易である。したがって、第一の回路部材20と第二の回路部材30との間に回路接続材料1を容易に介在させることができ、第一の回路部材20と第二の回路部材30との接続作業を容易に行うことができる。
そして、回路接続材料1及び第一の回路部材20を、図3(a)の矢印A及びB方向に加圧し、回路接続材料1を第一の回路部材20に仮接続する(図3(b)参照)。このとき、加熱しながら加圧してもよい。
続いて、図3(c)に示すように、第二の回路部材30を、第二の回路電極32を第一の回路部材20側に向け、第一の回路電極22と第二の回路電極32とが対向配置される状態にして、回路接続材料1上に載せる。なお、回路接続材料1が支持体(図示せず)上に設けられている場合は、支持体を回路接続材料1から剥離した後に、第二の回路部材30を回路接続材料1上に載せる。
そして、回路接続材料1、第一の回路部材20及び第二の回路部材30を加熱しながら、図3(c)の矢印A及びB方向に加圧する。これにより、回路接続材料1が硬化され、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが、回路接続部材(回路接続材料1の硬化物)40を介して互いに本接続され、図2に示すような接続構造体10が得られる。
上記のようにして、接続構造体10を製造すると、得られる接続構造体10において、被覆導電性粒子3を対向する回路電極22及び回路電極32の双方に接触させることが可能となり、回路電極22及び回路電極32間の接続抵抗を充分に低減することができる。
また、回路接続材料1の加熱により、回路電極22と回路電極32との間の距離を充分に狭くした状態で接着剤成分2が充分に硬化して絶縁性成分41となり、第一の回路部材20と第二の回路部材30とが回路接続部材40を介して強固に接続される。すなわち、得られる接続構造体10においては、第一の回路部材20又は第二の回路部材30に対する回路接続部材40の接着強度が充分に大きくなる。したがって、得られる接続構造体10は、第一の回路電極22と第二の回路電極32との間の電気特性の長期信頼性に優れる。
加熱温度は、好ましくは40〜180℃、より好ましくは50〜150℃である。加熱温度が40℃以上であると硬化速度がより向上する傾向にあり、180℃以下であると望まない副反応が抑制され、接続信頼性がより向上する傾向にある。加熱時間は、好ましくは0.1秒間〜10時間、より好ましくは、1秒間〜1時間である。加熱時間が0.1秒間以上であると硬化反応が進行しやすくなる傾向にあり、10時間以下であると硬化物の生産性がより向上するとともに、望まない副反応が進行しにくくなり、接続信頼性がより向上する傾向にある。加圧する際の圧力は、被着体に損傷を与えない範囲であれば特に制限されないが、TCP及びチップオンフレックス(COF)の場合、0.1〜30MPaであることが好ましく、COG実装の場合、10〜100MPaであることが好ましい。加圧は、0.5秒間〜120秒間で行うことが好ましい。
上記実施形態では、フィルム状の回路接続材料1を用いて接続構造体を製造しているが、フィルム状に形成されていない回路接続材料を用いてもよい。この場合、例えば回路接続材料を溶媒に溶解させ、その溶液を、第一の回路部材20又は第二の回路部材30のいずれかに塗布し乾燥させれば、第一の回路部材20及び第二の回路部材30間に回路接続材料を介在させることができる。
[半導体装置]
次に、本実施形態に係る半導体装置について説明する。図4は、半導体装置の一実施形態を示す模式断面図である。図4に示すように、半導体装置50は、半導体素子51と、半導体素子の支持部材となる基板52とを備えており、半導体素子51と基板52との間には、これらを電気的に接続する半導体素子接続部材53が設けられている。半導体素子接続部材53は基板52の主面52a上に積層され、半導体素子51は更にその半導体素子接続部材53上に積層されている。
基板52は回路パターン54を備えており、回路パターン54は、基板52の主面52a上で半導体素子接続部材53を介して又は直接に半導体素子51と電気的に接続されている。半導体装置50は、これらの部材が封止材55により封止されることにより形成されている。
半導体素子51の材料としては、特に制限されないが、シリコン、ゲルマニウム等の4族の半導体素子、GaAs、InP、GaP、InGaAs、InGaAsP、AlGaAs、InAs、GaInP、AlInP、AlGaInP、GaNAs、GaNP、GaInNAs、GaInNP、GaSb、InSb、GaN、AlN、InGaN、InNAsP等のIII−V族化合物半導体素子、HgTe、HgCdTe、CdMnTe、CdS、CdSe、MgSe、MgS、ZnSe、ZeTe等のII−VI族化合物半導体素子、CuInSe(CIS)などが用いられる。
半導体素子接続部材53は、上述した回路接続材料の硬化物により形成され、絶縁性成分41及び硬化処理後の被覆導電性粒子42を含有している。被覆導電性粒子42は、半導体素子51と回路パターン54との間のみならず、半導体素子51と回路パターン54が形成されていない基板52の主面52aとの間にも配置されている。半導体装置50においては、半導体素子51と回路パターン54とが、被覆導電性粒子42を介して電気的に接続されている。このため、半導体素子51及び回路パターン61間の接続抵抗が充分に低減される。したがって、この半導体装置50では、半導体素子51と回路パターン54との間の電気の流れを円滑にすることができ、半導体素子51が有する機能を充分に発揮することができる。
半導体素子接続部材53は、上述した回路接続材料の硬化物により構成されている。このことから、半導体素子51及び基板52に対する半導体素子接続部材53の接着強度が充分に高くなり、かつ、半導体素子51と回路パターン54との間の接続抵抗を充分に低減することができる。そして、この状態を長期間にわたって持続させることができる。また、低温短時間での加熱により半導体素子接続部材53を形成できるため、半導体素子51等への影響を小さくすることができる。したがって、半導体素子51と基板52との間の電気特性の長期信頼性を充分に高めることが可能となる。
以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[有機金属錯体による導電性粒子の被覆処理(製造例1〜5)]
ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた。これにより、平均粒径3μm、比重2.5の導電性粒子Xが得られた。
次に、メチルエチルケトン溶剤中に10質量%溶液となるように導電性粒子Xを添加し、導電性粒子分散溶液を調製した。次いで、表1に示す各有機金属錯体を導電性粒子100質量部に対して5質量部となるように添加し、60℃にて1時間加熱攪拌後、室温(25℃)にて3日間攪拌した。攪拌後、トルエンを用いて被覆導電性粒子をろ過及び洗浄し、80℃で1時間加熱乾燥した。
[回路接続材料の作製]
(実施例1)
被覆導電性粒子として製造例1で作製した被覆導電性粒子Aを、カチオン重合物質としてビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER828、三菱化学(株)製)を、スルホニウム塩型カチオン発生剤としてα−ナフチルメチル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートを、フィルム形成材としてフェノキシ樹脂(商品名:YP−70、新日鉄住金化学(株)製)を、シランカップリング剤としてγ−グリシドキシトリメトキシシラン(商品名:KBM−403、信越化学(株)製)をそれぞれ用いた。表2に示した混合比(質量比)となるよう各成分を配合して接着剤組成物を調製し、厚み50μmのPET樹脂フィルム上に塗工装置を用いて接着剤組成物を塗布し、70℃で5分間の熱風乾燥によって接着剤層の厚みが20μmである接着フィルム(回路接続材料)を得た。
(実施例2)
被覆導電性粒子として、被覆導電性粒子Aの代わりに製造例2で作製した被覆導電性粒子Bを用いたこと以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
(実施例3)
被覆導電性粒子として、被覆導電性粒子Aの代わりに製造例3で作製した被覆導電性粒子Cを用いたこと以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
(実施例4)
被覆導電性粒子として、被覆導電性粒子Aの代わりに製造例4で作製した被覆導電性粒子Dを用いたこと以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
(実施例5)
被覆導電性粒子として、被覆導電性粒子Aの代わりに製造例5で作製した被覆導電性粒子Eを用いたこと以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
(比較例1)
被覆導電性粒子Aの代わりに導電性粒子X(被覆処理のない導電性粒子)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして回路接続材料を得た。
[示差走査熱量測定]
実施例1〜5及び比較例1の回路接続材料について、示差走査熱量測定を実施した結果を表3に示す。測定は、示差走査熱量測定装置(製品名:DSC Pyris、(株)パーキンエルマージャパン製)を用いて、窒素雰囲気下(20mL/分)、昇温速度5℃/分の条件で行った。この測定を、作製した直後(「初期」という)の回路接続材料と、40℃にて24時間保管した後(「24時間保存後」という)の回路接続材料について行った。初期に対する24時間保存後の発熱量の減少量(発熱量減少率)も併せて表3に示す。
有機金属錯体によって導電性粒子を処理した被覆導電性粒子を用いた実施例1〜5では、被覆処理のない導電性粒子を用いた比較例1に対して、回路接続材料の発熱ピークが低温側にシフトするにも関わらず、24時間保存後の発熱量減少率が比較例1よりも低下しており、保存安定性が向上していることが分かる。
[接続構造体の作製]
ガラス基板(コーニング#1737、外形38mm×28mm、厚さ0.5mm、表面にITO(酸化インジウム錫)配線パターン(パターン幅50μm、ピッチ50μm)を有するもの)に、PET樹脂フィルムから実施例1〜5及び比較例1の各回路接続材料を2×20mmの大きさで転写した。ICチップ(外形1.7mm×17.2mm、厚さ0.55mm、バンプの大きさ50μm×50μm、バンプのピッチ50μm)を、160℃5秒間及び150℃5秒間のそれぞれの接続条件で、80MPa(バンプ面積換算)の荷重をかけて加熱・加圧して実装した。また、24時間保存後の回路接続材料についても同様に実装した。
[接続抵抗の評価]
上記のようにして作製した接続構造体の隣接回路間の抵抗値(14端子測定した中の最大値)を評価した。得られた結果を表4に示す。
実施例1〜5の回路接続材料を用いた場合では、初期及び24時間保存後の両方とも、160℃5秒間及び150℃5秒間のいずれの接続条件においても、接続抵抗は5Ω未満と良好な値を示した。比較例1の回路接続材料を用いた場合では、160℃5秒間の接続条件では24時間保存後の接続抵抗が10Ωに上昇し、150℃5秒間の接続条件では、初期の接続抵抗が高くなり、かつ24時間保存後の接続ができなかった。