以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《発明の実施形態》
図1は、蓄熱式空気調和機(10)の概略の配管系統図である。実施形態に係る蓄熱式空気調和機(10)は、室内の冷房と暖房とを切り換えて行う。蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒によって蓄熱媒体を冷却することで、蓄熱媒体に、いわゆる冷熱を蓄積できる。蓄熱媒体の冷熱は室内の冷房に利用される。
蓄熱式空気調和機(10)は、室外ユニット(20)、蓄熱ユニット(40)、及び複数の室内ユニット(80)を備えている。図1では、3台の室内ユニット(80)を図示しているが、室内ユニット(80)の数は1つ以上であればよい。
蓄熱式空気調和機(10)は、冷媒回路(11)を有している。冷媒回路(11)は、充填された冷媒が循環することで冷凍サイクルが行われる。冷媒回路(11)は、室外回路(21)、中継回路(41)、及び複数の室内回路(81)を有している。
〈室外ユニット〉
室外ユニット(20)は、室外に設置される。室外ユニット(20)は、室外回路(21)及び室外ファン(22)を有している。
室外回路(21)には、圧縮機(23)、室外熱交換器(24)、室外膨張弁(25)、第1過冷却部(30)、及び四方切換弁(26)が接続される。
圧縮機(23)は、容量可変式に構成される。つまり、圧縮機(23)は、回転数が可変な電動機(図示省略)を有している。圧縮機(23)の吐出部は、四方切換弁(26)の第1ポートと接続する。圧縮機(23)の吸入部は、四方切換弁(26)の第2ポートと接続する。
室外熱交換器(24)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式に構成される。室外熱交換器(24)のガス端部は、第3ポートと接続する。室外熱交換器(24)の液端部は、中継回路(41)の液中継管(42)と接続する。室外熱交換器(24)の近傍には、室外ファン(22)が設置される。室外熱交換器(24)では、室外ファン(22)が搬送する空気と冷媒とが熱交換する。
室外膨張弁(25)は、第1過冷却部(30)と第1過冷却熱交換器(31)との間に接続される。室外膨張弁(25)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。室外膨張弁(25)は、例えば電子膨張弁で構成される。
第1過冷却部(30)は、液冷媒を冷却可能に構成される。第1過冷却部(30)は、第1過冷却熱交換器(31)、第1導入路(32)、及び第1過冷却弁(33)を有している。
第1過冷却熱交換器(31)は、高圧流路(31a)と低圧流路(31b)とを有している。第1過冷却熱交換器(31)は、高圧流路(31a)を流れる冷媒と、低圧流路(31b)を流れる冷媒とを熱交換させる。
第1導入路(32)の始端は、第1過冷却熱交換器(31)の高圧流路(31a)と室外膨張弁(25)との間に接続される。第1導入路(32)の終端は、圧縮機(23)の吸入部と四方切換弁(26)の第2ポートとの間に接続される。第1導入路(32)の途中には、第1過冷却熱交換器(31)の低圧流路(31b)が接続される。
第1過冷却弁(33)は、第1導入路(32)における低圧流路(31b)の上流側に接続される。第1過冷却弁(33)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。第1過冷却弁(33)は、例えば電子膨張弁で構成される。
四方切換弁(26)は、第1から第4までのポートを有する。四方切換弁(26)の第4ポートは、中継回路(41)のガス中継管(43)と接続する。四方切換弁(26)は、第1状態(図1の実線で示す状態)と第2状態(図1の破線で示す状態)とに切り換わる。第1状態の四方切換弁(26)は、第1ポートと第3ポートとを連通させ且つ第2ポートと第4ポートとを連通させる。第2状態の四方切換弁(26)は、第1ポートと第4ポートとを連通させ且つ第2ポートと第3ポートとを連通させる。
〈蓄熱ユニット〉
蓄熱ユニット(40)は、例えば室外に設置される。蓄熱ユニット(40)は、例えば室外ユニット(20)に隣接している。蓄熱ユニット(40)は、冷媒が流れる中継回路(41)と、蓄熱媒体が循環する蓄熱回路(70)とを有している。
〔中継回路〕
中継回路(41)は、室外回路(21)と室内回路(81)との間に接続される。中継回路(41)は、液中継管(42)、ガス中継管(43)、及び冷媒側蓄熱回路(44)を有している。
[液中継管]
液中継管(42)の一端は、室外回路(21)の液端部に接続する。液中継管(42)の他端は、室内回路(81)の液端部に接続する。液中継管(42)には、第1開閉弁(45)及び第2過冷却部(46)が接続される。第1開閉弁(45)は、例えば開閉可能な電磁弁で構成される。
第2過冷却部(46)は、液冷媒を冷却可能に構成される。第2過冷却部(46)は、第2過冷却熱交換器(47)、第2導入路(48)、及び第2過冷却弁(49)を有している。
第2過冷却熱交換器(47)は、高圧流路(47a)と低圧流路(47b)とを有している。第2過冷却熱交換器(47)は、高圧流路(47a)を流れる冷媒と、低圧流路(47b)を流れる冷媒とを熱交換させる。
第2導入路(48)の始端は、第2過冷却熱交換器(47)の高圧流路(47a)と第1開閉弁(45)との間に接続される。第2導入路(48)の終端は、ガス中継管(43)に接続される。第2導入路(48)の途中には、第2過冷却熱交換器(47)の低圧流路(47b)が接続される。
第2過冷却弁(49)は、第2導入路(48)における低圧流路(47b)の上流側に接続される。第2過冷却弁(49)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。第2過冷却弁(49)は、例えば電子膨張弁で構成される。
[ガス中継管]
ガス中継管(43)の一端は、室外回路(21)のガス端部に接続する。ガス中継管(43)の他端は、室内回路(81)のガス端部に接続する。ガス中継管(43)には、その一端から他端に向かって順に、冷媒側蓄熱回路(44)の主流路(50)、冷媒側蓄熱回路(44)の補助流路(51)、及び第2導入路(48)が接続される。
[冷媒側蓄熱回路]
冷媒側蓄熱回路(44)は、複数の室内回路(81)と並列になるように冷媒回路(11)に接続される。冷媒側蓄熱回路(44)は、主流路(50)、補助流路(51)、第1バイパス管(52)、及び第2バイパス管(53)を有している。
主流路(50)の一端は、液中継管(42)における室外回路(21)の接続部と第1開閉弁(45)の間に接続される。主流路(50)の他端は、ガス中継管(43)における補助流路(51)の接続部と室外回路(21)の接続部との間に接続される。
主流路(50)には、その液端部からガス端部に向かって順に、予熱熱交換器(54)、蓄熱膨張弁(55)、蓄熱熱交換器(56)、及び第2開閉弁(57)が接続される。
予熱熱交換器(54)は、冷媒回路(11)の冷媒側蓄熱回路(44)に接続される冷媒流路(54a)と、蓄熱回路(70)に接続される蓄熱流路(54b)とを有する。予熱熱交換器(54)は、冷媒流路(54a)を流れる冷媒と、蓄熱流路(54b)を流れる蓄熱媒体とを熱交換させる。
蓄熱膨張弁(55)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。蓄熱膨張弁(55)は、例えば電子膨張弁で構成される。
蓄熱熱交換器(56)は、冷媒回路(11)の冷媒側蓄熱回路(44)に接続される冷媒流路(56a)と、蓄熱回路(70)に接続される蓄熱流路(56b)とを有する。蓄熱熱交換器(56)は、冷媒流路(56a)を流れる冷媒と、蓄熱流路(56b)を流れる蓄熱媒体とを熱交換させる。
第2開閉弁(57)は、例えば開閉可能な電磁弁で構成される。
補助流路(51)の一端は、蓄熱熱交換器(56)の冷媒流路(56a)と、第2開閉弁(57)の間に接続する。補助流路(51)の他端は、ガス中継管(43)に接続する。補助流路(51)には、圧力調節弁(66)が接続される。圧力調節弁(66)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。蓄熱膨張弁(55)は、例えば電子膨張弁で構成される。圧力調節弁(66)は、冷房蓄冷運転時に、蓄熱熱交換器(56)の冷媒流路(56a)を流出した冷媒の圧力を調節する圧力調節機構を構成する。
第1バイパス管(52)及び第2バイパス管(53)は、主流路(50)における予熱熱交換器(54)と蓄熱熱交換器(56)の間に接続される。第1バイパス管(52)及び第2バイパス管(53)は、蓄熱膨張弁(55)をバイパスするように構成される。
第1バイパス管(52)には、第3開閉弁(58)と第1逆止弁(59)とが接続される。第3開閉弁(58)は、例えば開閉可能な電磁弁で構成される。第1逆止弁(59)は、予熱熱交換器(54)側から蓄熱熱交換器(56)側へ向かう冷媒の流れを許容し、その逆の冷媒の流れを禁止する。第2バイパス管(53)には、圧力逃がし弁(60)が接続される。
[その他の配管]
中継回路(41)は、第3バイパス管(61)と分岐管(62)とを有している。
第3バイパス管(61)は、液中継管(42)に接続される。第3バイパス管(61)は、第1開閉弁(45)をバイパスするように構成される。第3バイパス管(61)には、第2逆止弁(63)が接続される。第2逆止弁(63)は、室内ユニット(80)側から室外ユニット(20)側への冷媒の流れを許容し、その逆の冷媒の流れを禁止する。
分岐管(62)の一端は、液中液管(42)における第1開閉弁(45)と第2過冷却熱交換器(47)との間に接続される。分岐管(62)の他端は、主流路(50)における蓄熱熱交換器(56)と第2開閉弁(57)との間に接続される。分岐管(62)には、第4開閉弁(64)と第3逆止弁(65)とが接続される。第4開閉弁(64)は、例えば開閉可能な電磁弁で構成される。第3逆止弁(65)は、冷媒側蓄熱回路(44)側から液中継管(42)側への冷媒の流れを許容し、その逆の冷媒の流れを禁止する。
〔蓄熱回路〕
蓄熱回路(70)は、冷媒回路(11)と分離された閉回路である。蓄熱回路(70)では、充填された蓄熱媒体(詳細は後述する)が循環する。蓄熱回路(70)には、蓄熱タンク(71)及びポンプ(72)が接続される。
蓄熱タンク(71)は、蓄熱媒体を貯留する中空容器である。蓄熱タンク(71)の上部には、流出管(73)が接続される。蓄熱タンク(71)の下部には、流入管(74)が接続される。ポンプ(72)は、蓄熱回路(70)の蓄熱媒体を搬送して循環させる。
蓄熱熱交換器(56)の蓄熱流路(56b)は、ポンプ(72)と流入管(74)との間に接続される。予熱熱交換器(54)の蓄熱流路(54b)は、流出管(73)とポンプ(72)との間に接続される。
蓄熱回路(70)に充填される蓄熱媒体について詳細に説明する。蓄熱媒体には、冷却によって包接水和物が生成される蓄熱材、即ち流動性を有する蓄熱材が採用される。蓄熱媒体の具体例としては、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム(TBAB:Tetra Butyl Ammonium Bromide)水溶液、トリメチロールエタン(TME:Trimethylolethane)水溶液、パラフィン系スラリーなどが挙げられる。例えば、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、安定的に冷却されて当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも低くなった過冷却状態でもその水溶液の状態を維持するが、この過冷却状態にて何らかのきっかけが与えられると、過冷却の溶液が包接水和物を含んだ溶液(即ち水和物スラリー)へと遷移する。即ち、臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、過冷却状態を解消して、臭化テトラnブチルアンモニウムと水分子とからなる包接水和物(水和物結晶)が生成されて粘性の比較的高いスラリー状となる。ここで、過冷却状態とは、蓄熱媒体が水和物生成温度以下の温度となっても包接水和物が生成されずに溶液の状態を保っている状態を言う。逆に、スラリー状となっている臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液は、加熱により当該水溶液の温度が水和物生成温度よりも高くなると、包接水和物が融解して流動性の比較的高い液状態(溶液)となる。
本実施形態では、上記蓄熱媒体として、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液を採用している。特に、上記蓄熱媒体は、調和濃度の近傍の濃度を有する媒体であることが好ましい。本実施形態では、調和濃度を約40%とする。この場合の臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液の水和物生成温度は、約12℃である。
〈室内ユニット〉
複数の室内ユニット(80)は、室内に設置される。複数の室内ユニット(80)は、室内回路(81)と室内ファン(82)とをそれぞれ有している。各室内回路(81)には、その液端部からガス端部に向かって順に、室内膨張弁(83)と室内熱交換器(84)とが接続される。
室内膨張弁(83)は、その開度が調節されることで、冷媒の圧力や流量を調節する。室内膨張弁(83)は、例えば電子膨張弁で構成される。
室内熱交換器(84)は、例えばクロスフィンアンドチューブ式に構成される。室内熱交換器(84)の近傍には、室内ファン(82)が設置される。室内熱交換器(84)では、室内ファン(82)が搬送する空気と冷媒とが熱交換する。
厳密には、複数の室内ユニット(80)は、第1から第3までの室内ユニット(80a,80b,80c)で構成される。第1室内ユニット(80a)は、第1の室内膨張弁(83a)及び第1の室内熱交換器(84a)を有している。第2室内ユニット(80b)は、第2の室内膨張弁(83b)及び第2の室内熱交換器(84b)を有している。第3室内ユニット(80c)は、第3の室内膨張弁(83c)及び第3の室内熱交換器(84c)を有している。
〈センサ〉
蓄熱式空気調和機(10)は、各種のセンサを備えている。
室外回路(21)には、吐出圧力センサ(91)及び吸入圧力センサ(92)が接続される。吐出圧力センサ(91)は、圧縮機(23)の吐出側の冷媒の圧力を検出する。吸入圧力センサ(92)は、圧縮機(23)の吸入側の冷媒の圧力を検出する。この冷媒の圧力に相当する飽和温度は、冷媒回路(11)のいわゆるシステムの蒸発温度Te-sとなる。つまり、吸入圧力センサ(92)は、システム蒸発温度Te-sを検出するシステム蒸発温度検出部を構成する。
中継回路(41)の主流路(50)には、第1中間温度センサ(93)及び第2中間温度センサ(94)が設けられる。第1中間温度センサ(93)は、例えば蓄熱膨張弁(55)と蓄熱熱交換器(56)の間に設けられる。第2中間温度センサ(94)は、蓄熱熱交換器(56)の流出部に設けられる。
第1中間温度センサ(93)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、蓄熱熱交換器(56)で蒸発する冷媒の温度を検出する。つまり、第1中間温度センサ(93)は、蓄熱熱交換器(56)の冷媒の蒸発温度Te-aを検出するための蓄熱側蒸発温度検出部を構成する。
第2中間温度センサ(94)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、蓄熱熱交換器(56)で蒸発した後の冷媒の温度Tp-aを検出する。従って、上記蒸発温度Te-aから温度Tp-aを引いた値は、蓄熱熱交換器(56)を通過した直後の冷媒の過熱度ΔTsh-aとなる。つまり、第1中間温度センサ(93)及び第2中間温度センサ(94)は、蓄熱熱交換器(56)を流出した冷媒の過熱度ΔTsh-a(蓄熱側過熱度)を検出するための蓄熱側過熱度検出部を構成する。
蓄熱回路(70)には、第1蓄熱温度センサ(95)及び第2蓄熱温度センサ(96)が設けられる。第1蓄熱温度センサ(95)は、蓄熱タンク(71)の流出管(73)と予熱熱交換器(54)との間に設けられる。第2蓄熱温度センサ(96)は、蓄熱タンク(71)の流入管(74)と蓄熱熱交換器(56)との間に設けられる。
第1蓄熱温度センサ(95)は、蓄熱タンク(71)から流出した蓄熱媒体の温度Ta1を検出する。つまり、第1蓄熱温度センサ(95)は、実質的には、蓄熱タンク(71)内の蓄熱媒体の温度を検出するタンク温度検出部を構成する。
第2蓄熱温度センサ(96)は、蓄熱熱交換器(56)で冷却された直後の蓄熱媒体の温度Ta2を検出する。つまり、第2蓄熱温度センサ(96)は、蓄熱熱交換器(56)の蓄熱流路(56b)の出口部の蓄熱媒体の温度を検出する出口温度検出部を構成する。
各室内回路(81)には、それぞれ第1室内温度センサ(97)及び第2室内温度センサ(98)が設けられる。第1室内温度センサ(97)は、室内膨張弁(83)と室内熱交換器(84)との間に設けられる。第2室内温度センサ(98)は、室内熱交換器(84)の流出部に設けられる。
第1室内温度センサ(97)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、室内熱交換器(84)で蒸発する冷媒の温度を検出する。つまり、第1室内温度センサ(97)は、室内熱交換器(84)の冷媒の蒸発温度Te-rを検出するための室内側蒸発温度検出部を構成する。
本例において厳密にいうと、この蒸発温度Te-rは、第1室内熱交換器(84a)に対応する第1室内側蒸発温度Te-r1と、第2室内熱交換器(84b)に対応する第2室内側蒸発温度Te-r2と、第3室内熱交換器(84c)に対応する第3室内側蒸発温度Te-r3とがある。
第2室内温度センサ(98)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、室内熱交換器(84)で蒸発した後の冷媒の温度Tp-rを検出する。従って、上記蒸発温度Te-rから温度Tp-rを引いた値は、室内熱交換器(84)を通過した直後の冷媒の過熱度ΔTsh-rとなる。つまり、第1室内温度センサ(97)及び第2室内温度センサ(98)は、室内熱交換器(84)を流出した冷媒の過熱度ΔTsh-rを検出するための室内側過熱度検出部を構成する。
本例において厳密にいうと、過熱度ΔTsh-rは、第1室内熱交換器(84a)に対応する第1室内側過熱度ΔTsh-r1と、第2室内熱交換器(84b)に対応する第2室内側過熱度ΔTsh-r2と、第3室内熱交換器(84c)に対応する第3室内側過熱度ΔTsh-r3とがある。
上述した、システム蒸発温度検出部、蓄熱側蒸発温度検出部、蓄熱側過熱度検出部、タンク温度検出部、出口温度検出部、室内側蒸発温度検出部、室内側過熱度検出部においては、他のセンサの種類、他の検出位置、他の算出方法を採用してもよい。
〈制御部〉
蓄熱式空気調和機(10)は、制御部(100)を備えている。制御部(100)について図2を参照しながら説明する。図2は、蓄熱式空気調和機(10)のシステム構成を示すブロック図である。制御部(100)は、室内制御部(110)、蓄熱制御部(120)、及び室外制御部(130)を有している。
〔室内制御部〕
室内制御部(110)は、室内ユニット(80)に設けられる。本例の室内制御部(110)は、各室内ユニット(80)に対応して1つずつ設けられる。室内ユニット(80)は、例えばメモリ及び演算装置を有しており、室内ユニット(80)を制御する。各室内制御部(110)は、温度設定部(111)、室内側出力部(112)、及び室内側弁制御部(113)をそれぞれ有している。
温度設定部(111)には、室内ユニット(80)毎の室内の目標温度が設定温度Tsetとして入力される。この設定温度Tsetは、例えばユーザがリモートコントローラを操作することで決定される。本例において厳密にいうと、第1室内ユニット(80a)の温度設定部(111)には、第1設定温度Tset1が入力される。第2室内ユニット(80b)の温度設定部(111)には、第2設定温度Tset2が入力される。第3室内ユニット(80c)の温度設定部(111)には、第3設定温度Tset3が入力される。
各室内側出力部(112)は、各温度設定部(111)に入力された設定温度に関する信号を室外制御部(130)へそれぞれ出力する。これらの設定温度は、複数の室内ユニット(80)全体の蒸発温度の目標値(室内側目標蒸発温度To-r)を決定するための指標となる。この室内側目標蒸発温度To-rは、室内熱交換器(84)の蒸発温度の目標値を示す指標(室内側目標値)である。また、この設定温度は、冷媒回路(11)のシステムの蒸発温度の目標値(システム側目標蒸発温度To-s)を決定するための指標となる。
室内側弁制御部(113)は、各室内膨張弁(83)の開度を制御する。室内側弁制御部(113)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、各室内膨張弁(83)を過熱度制御する。つまり、第1室内膨張弁(83a)の開度は、第1室内熱交換器(84a)に対応する第1室内側過熱度ΔTsh-r1が所定の目標値となるように調節される。第2室内膨張弁(83b)の開度は、第2室内熱交換器(84b)に対応する第2室内側過熱度ΔTsh-r2が所定の目標値となるように調節される。第3室内膨張弁(83c)の開度は、第3室内熱交換器(84c)に対応する第3室内側過熱度ΔTsh-r3が所定の目標値となるように調節される。
〔蓄熱制御部〕
蓄熱制御部(120)は、蓄熱ユニット(40)に設けられる。蓄熱制御部(120)は、例えばメモリ及び演算装置を有しており、蓄熱ユニット(40)を制御する。本例の蓄熱制御部(120)は、目標値設定部(121)、蓄熱側出力部(122)、及び蓄熱側弁制御部(123)を有している。
目標値設定部(121)には、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度の目標値(蓄熱側目標蒸発温度To-a)が設定される。この蓄熱側目標蒸発温度To-aは、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度の目標値を示す指標(蓄熱側目標値)である。本例では、蓄熱側目標蒸発温度To-aとして、第1蒸発温度To-a1(第1値)と、第2蒸発温度To-a2(第2値)とが設定される。第1蒸発温度To-a1は、第2蒸発温度To-a2よりも所定温度だけ低い。
蓄熱側出力部(122)は、蓄熱側目標蒸発温度に関する信号(例えば上記第1蒸発温度To-a1及び第1蒸発温度To-a2)を室外制御部(130)へそれぞれ出力する。この蓄熱側目標蒸発温度は、システム側目標蒸発温度To-sを決定するための指標となる。
蓄熱側弁制御部(123)は、蓄熱膨張弁(55)の開度を制御する。蓄熱側弁制御部(123)は、少なくとも冷房蓄冷運転において、蓄熱膨張弁(55)を過熱度制御する。つまり、蓄熱膨張弁(55)の開度は、蓄熱熱交換器(56)の蓄熱側過熱度ΔTsh-aが所定の目標値となるように制御する。
〔室外制御部〕
室外制御部(130)は、室外ユニット(20)に設けられる。室外制御部(130)は、例えばメモリ及び演算装置を有しており、室外ユニット(20)を制御する。室外ユニット(20)は、入力部(131)、蒸発温度決定部(132)、及び圧縮機制御部(133)を有している。
入力部(131)には、室内側出力部(112)から出力される信号、及び蓄熱側出力部(122)から出力される信号が入力される。このような信号の授受は、無線又は有線式の通信手段によって実現される。
蒸発温度決定部(132)は、入力部(131)に入力された信号に基づいて、冷媒回路(11)のシステムの蒸発温度の目標値To-sを決定する。
蒸発温度決定部(132)は、冷房蓄冷運転において、室内ユニット(80)から出力された設定温度T-setに基づいて、室内側目標蒸発温度To-rを算出する(詳細は後述する)。
蒸発温度決定部(132)は、室内側目標蒸発温度To-rと蓄熱側目標蒸発温度To-aとを比較する。具体的には、蒸発温度決定部(132)は、冷房蓄冷運転において、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも低いと、システム側目標蒸発温度To-sをTo-rとする。一方、蒸発温度決定部(132)は、冷房蓄冷運転において、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも高いと、システム側目標蒸発温度To-sをTo-aとする。なお、蒸発温度決定部(132)は、冷房蓄冷運転において、室内側目標蒸発温度To-rと蓄熱側目標蒸発温度To-aとが等しいときには、システム側目標蒸発温度To-sを、To-r及びTo-aのいずれかとする。
圧縮機制御部(133)は、圧縮機(23)の回転数を制御する。これにより、冷媒回路(11)の冷媒の循環量が調節可能となる。ひいては、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度が調節可能となる。
圧縮機制御部(133)は、冷房蓄冷運転において、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sが、蒸発温度決定部(132)で決定したシステム側目標蒸発温度To-sに近づくように、圧縮機(23)の回転数を調節する。
−運転動作−
蓄熱式空気調和機(10)の基本的な運転動作について説明する。蓄熱式空気調和機(10)は、単純冷房運転、単純暖房運転、蓄冷運転、利用冷房運転、及び冷房蓄冷運転を行う。
〈単純冷房運転〉
図3示す単純冷房運転では、蓄熱回路(70)が停止状態となり、室内ユニット(80)が室内の冷房を行う。単純冷房運転では、室外熱交換器(24)が凝縮器となり、各室内熱交換器(84)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、単純冷房運転では、四方切換弁(26)が第1状態になる。第2開閉弁(57)、第3開閉弁(58)、及び第4開閉弁(64)が閉状態に、第1開閉弁(45)が開状態になる。室外膨張弁(25)が全開状態に、蓄熱膨張弁(55)、第2過冷却弁(49)、及び圧力調節弁(66)が全閉状態になる。第1過冷却弁(33)及び室内膨張弁(83)の開度が適宜調節される。圧縮機(23)、室外ファン(22)、及び室内ファン(82)が運転状態となる。蓄熱回路(70)のポンプ(72)は停止状態となる。
圧縮機(23)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(24)を流れる。室外熱交換器(24)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。凝縮した冷媒のほとんどは、第1過冷却熱交換器(31)の高圧流路(31a)を流れる。凝縮した冷媒の残りは、第1過冷却弁(33)で減圧された後、第1過冷却熱交換器(31)の低圧流路(31b)を流れる。第1過冷却熱交換器(31)では、低圧流路(31b)の冷媒が高圧流路(31a)の冷媒から吸熱して蒸発する。これにより、高圧流路(31a)の液冷媒が冷却される。低圧流路(31b)で蒸発した冷媒は、圧縮機(23)に吸入される。
第1過冷却熱交換器(31)で冷却された冷媒は、液中継管(42)を流れ、各室内回路(81)へ分流する。各室内回路(81)に流入した冷媒は、各室内膨張弁(83)で減圧された後、各室内熱交換器(84)を流れる。各室内熱交換器(84)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内の冷房が行われる。
各室内熱交換器(84)で蒸発した冷媒は、ガス中継管(43)で合流した後、圧縮機(23)に吸入されて再び圧縮される。
〈単純暖房運転〉
図4に示す単純暖房運転では、蓄熱回路(70)が停止状態となり、室内ユニット(80)が室内の暖房を行う。単純暖房運転では、室内熱交換器(84)が凝縮器となり、室外熱交換器(24)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、単純暖房運転では、四方切換弁(26)が第2状態になる。第1開閉弁(45)、第2開閉弁(57)、第3開閉弁(58)、及び第4開閉弁(64)が閉状態になる。第1過冷却弁(33)、蓄熱膨張弁(55)、第2過冷却弁(49)、及び圧力調節弁(66)が全閉状態になる。室外膨張弁(25)及び室内膨張弁(83)の開度が適宜調節される。圧縮機(23)、室外ファン(22)、及び室内ファン(82)が運転状態となる。蓄熱回路(70)のポンプ(72)は停止状態となる。
圧縮機(23)から吐出された冷媒は、ガス中継管(43)を流れ、各室内回路(81)へ分流する。各室内回路(81)に流入した冷媒は、各室内熱交換器(84)を流れる。各室内熱交換器(84)では、冷媒が室内空気へ放熱する。これにより、室内の暖房が行われる。
各室内熱交換器(84)で凝縮した冷媒は、液中継管(42)で合流し、室外膨張弁(25)で減圧された後、圧縮機(23)に吸入されて再び圧縮される。
〈蓄冷運転〉
図5に示す蓄冷運転では、蓄熱回路(70)で冷熱を蓄える動作が行われ、室内ユニット(80)が停止状態となる。蓄冷運転では、室外熱交換器(24)が凝縮器となり、予熱熱交換器(54)が放熱器となり、蓄熱熱交換器(56)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、蓄冷運転では、四方切換弁(26)が第1状態になる。第1開閉弁(45)、第3開閉弁(58)、及び第4開閉弁(64)が閉状態に、第2開閉弁(57)が開状態になる。室外膨張弁(25)が全開状態に、第1過冷却弁(33)、第2過冷却弁(49)、圧力調節弁(66)、及び室内膨張弁(83)が全閉状態になる。蓄熱膨張弁(55)の開度が適宜調節される。圧縮機(23)及び室外ファン(22)が運転状態となる。蓄熱回路(70)のポンプ(72)は運転状態となる。
圧縮機(23)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(24)を流れる。室外熱交換器(24)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、予熱熱交換器(54)の冷媒流路(54a)を流れる。予熱熱交換器(54)では、冷媒流路(54a)の冷媒が蓄熱流路(54b)の蓄熱媒体へ放熱する。これにより、蓄熱タンク(71)から流出した蓄熱媒体中の包接水和物の核が融解する。
予熱熱交換器(54)で冷却された冷媒は、蓄熱膨張弁(55)で減圧された後、蓄熱熱交換器(56)の冷媒流路(56a)を流れる。蓄熱熱交換器(56)では、冷媒流路(56a)の冷媒が蓄熱流路(56b)の蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。これにより、蓄熱媒体が冷却される。冷却された蓄熱媒体は、蓄熱タンク(71)に貯留される。
蓄熱熱交換器(56)で蒸発した冷媒は、圧縮機(23)に吸入されて再び圧縮される。
〈利用冷房運転〉
図6に示す利用冷房運転では、蓄熱回路(70)の蓄熱媒体の冷熱が冷媒に付与される動作が行われ、室内ユニット(80)が冷房を行う。利用冷房運転では、室外熱交換器(24)が凝縮器となり、予熱熱交換器(54)及び蓄熱熱交換器(56)が放熱器となり、室内熱交換器(84)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、利用冷房運転では、四方切換弁(26)が第1状態になる。第1開閉弁(45)及び第2開閉弁(57)が閉状態に、第3開閉弁(58)及び第4開閉弁(64)が開状態になる。室外膨張弁(25)及び蓄熱膨張弁(55)が全開状態に、第1過冷却弁(33)及び圧力調節弁(66)が全閉状態になる。第2過冷却弁(49)及び室内膨張弁(83)の開度が適宜調節される。圧縮機(23)、室外ファン(22)、及び室内ファン(82)が運転状態となる。蓄熱回路(70)のポンプ(72)は停止状態となる。
圧縮機(23)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(24)を流れる。室外熱交換器(24)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、予熱熱交換器(54)の冷媒流路(54a)を流れる。予熱熱交換器(54)では、冷媒流路(54a)の冷媒が蓄熱流路(54b)の蓄熱媒体へ放熱する。これにより、予熱熱交換器(54)で冷媒が冷却される。
冷却された冷媒は、蓄熱熱交換器(56)の冷媒流路(56a)を流れる。蓄熱熱交換器(56)では、冷媒流路(56a)の冷媒が蓄熱流路(56b)の蓄熱媒体へ放熱する。これにより、蓄熱熱交換器(56)で冷媒が冷却される。
冷媒側蓄熱回路(44)で冷却された冷媒は、液中継管(42)を流れ、各室内回路(81)へ分流する。各室内回路(81)に流入した冷媒は、各室内膨張弁(83)で減圧された後、各室内熱交換器(84)を流れる。各室内熱交換器(84)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内の冷房が行われる。
各室内熱交換器(84)で蒸発した冷媒は、ガス中継管(43)で合流した後、圧縮機(23)に吸入されて再び圧縮される。
〈冷房蓄冷運転〉
図7に示す冷房蓄冷運転では、蓄熱タンク(71)の蓄熱媒体に冷熱が蓄積されながら、室内の冷房が行われる。冷房蓄冷運転では、室外熱交換器(24)が凝縮器となり、蓄熱熱交換器(56)及び室内熱交換器(84)が蒸発器となる冷凍サイクルが行われる。
具体的に、冷房蓄冷運転では、四方切換弁(26)が第1状態になる。第3開閉弁(58)及び第4開閉弁(64)が閉状態に、第1開閉弁(45)が開状態になる。室外膨張弁(25)が全開状態に、第1過冷却弁(33)が全閉状態になる。蓄熱膨張弁(55)、第2過冷却弁(49)、及び室内膨張弁(83)の開度が適宜調節される。
なお、冷房蓄冷運転では、後述する第1制御動作において、圧力調節弁(66)の開度が適宜調節される、第2開閉弁(57)は閉状態となる。第1制御動作において、第2開閉弁(57)を開状態としてもよい。冷房蓄冷運転では、後述する第2制御動作において、圧力調節弁(66)が例えば全開状態となり、第2開閉弁(57)が開状態となる。
圧縮機(23)、室外ファン(22)、及び室内ファン(82)が作動する。蓄熱回路(70)のポンプ(72)は運転状態となる。なお、冷房蓄冷運転において、第2開閉弁(57)を開状態としてもよい。
圧縮機(23)から吐出された冷媒は、室外熱交換器(24)を流れる。室外熱交換器(24)では、冷媒が室外空気へ放熱して凝縮する。凝縮した冷媒の一部は、冷媒側蓄熱回路(44)に分流し、予熱熱交換器(54)の冷媒流路(54a)を流れる。予熱熱交換器(54)では、冷媒流路(54a)の冷媒が蓄熱流路(54b)の蓄熱媒体へ放熱する。これにより、蓄熱タンク(71)から流出した蓄熱媒体中の包接水和物の核が融解する。
予熱熱交換器(54)で冷却された冷媒は、蓄熱膨張弁(55)で減圧された後、蓄熱熱交換器(56)の冷媒流路(56a)を流れる。蓄熱熱交換器(56)では、冷媒流路(56a)の冷媒が蓄熱流路(56b)の蓄熱媒体から吸熱して蒸発する。これにより、蓄熱媒体が冷却される。冷却された蓄熱媒体は、蓄熱タンク(71)に貯留される。冷媒側蓄熱回路(44)の冷媒は、補助流路(51)の圧力調節弁(66)を通過し、ガス中継管(43)へ流出する。
室外熱交換器(24)で凝縮した冷媒の一部は、液中継管(42)を流れ、各室内回路(81)へ分流する。各室内回路(81)に流入した冷媒は、各室内膨張弁(83)で減圧された後、各室内熱交換器(84)を流れる。各室内熱交換器(84)では、冷媒が室内空気から吸熱して蒸発する。これにより、室内の冷房が行われる。
各室内熱交換器(84)で蒸発した冷媒は、蓄熱熱交換器(56)で蒸発した冷媒とガス中継管(43)で合流した後、圧縮機(23)に吸入されて再び圧縮される。
−冷房蓄冷運転の詳細な動作−
上述した冷房蓄冷運転時の詳細な動作について説明する。
〈第1制御動作及び第2制御動作〉
まず、冷房蓄冷運転の第1制御動作、及び第2制御動作について、図2及び図8を参照しながら説明する。図8は、冷房蓄冷運転の制御動作の一例を示すフローチャートである。
冷房蓄冷運転中には、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sが、目標値(システム側目標蒸発温度To-s)に近づくように、制御部(100)が冷媒回路(11)を制御する。
ステップSt1において、蒸発温度決定部(132)は、入力部(131)に入力された信号に基づきシステム室内側目標蒸発温度To-sを決定する。具体的に、入力部(131)には、第1室内ユニット(80a)に対応する第1目標設定温度Tset1と、第2室内ユニット(80b)に対応する第2目標設定温度Tset2と、第3室内ユニット(80c)に対応する第3目標設定温度Tset3とが入力される。蒸発温度決定部(132)は、これらの設定温度のうち最も低い設定温度Tset-minを求める。この最も低い設定温度Tset-minに対応する室内ユニット(80)(室内熱交換器(84))の目標とする蒸発温度を算出する。この蒸発温度が室内側目標蒸発温度To-rとなる。
ここで、この室内側目標蒸発温度To-rは、室内ユニット(80)で必要とされる冷房能力(例えば室内温度と設定温度との差)、室内ユニット(80)の設定温度(設定温度Tset-min)、室内ユニット(80)の設定湿度、室内の環境情報(例えば内部発熱負荷)、室内ユニット(80)の過去の運転履歴、室内ユニット(80)に対応する連絡配管の長さ(圧力損失)等を指標として算出される。
ステップSt2において、蒸発温度決定部(132)は、入力部(131)に入力された信号に基づき蓄熱側目標蒸発温度To-aを決定する。具体的に、入力部(131)には、例えば第1蒸発温度To-a1又は第2蒸発温度To-a2が入力される。ここで、第1蒸発温度To-a1は、冷房蓄冷運転の冷却動作(詳細は後述する)が実行されているときの、蓄熱熱交換器(56)の目標とする蒸発温度である。従って、冷却動作中であれば、蒸発温度決定部(132)は、蓄熱側目標蒸発温度To-aを第1蒸発温度To-a1とする。
第2蒸発温度To-a2は、冷房蓄冷運転の急冷動作(詳細は後述する)が実行されているときの、蓄熱熱交換器(56)の目標とする蒸発温度である。従って、急冷動作中であれば、蒸発温度決定部(132)は、蓄熱側目標蒸発温度To-aを第2蒸発温度To-a2とする。
ステップSt3において、蒸発温度決定部(132)は、ステップSt1で決定した室内側目標蒸発温度To-rと、ステップSt2で決定した蓄熱側目標蒸発温度To-aとを比較する。ステップSt3において、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも低いときには、ステップSt4に移行し、第1制御動作が実行される。
第1制御動作では、システム側目標蒸発温度To-sが、室内側目標蒸発温度To-rとなる。そして、圧縮機制御部(133)は、検出したシステム蒸発温度Te-sが、システム側目標蒸発温度To-s(即ち、室内側目標蒸発温度To-r)に近づくように、圧縮機(23)の回転数(運転周波数)を調節する。これにより、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sが、室内側目標蒸発温度To-rに維持される。
また、第1制御動作では、室内側弁制御部(113)が、室内膨張弁(83)の開度を過熱度制御する。同時に、蓄熱側弁制御部(123)は、蓄熱膨張弁(55)の開度を過熱度制御する。
加えて、蓄熱側弁制御部(123)は、第1制御動作において、圧力調節弁(66)の開度を調節する。具体的には、蓄熱側弁制御部(123)は、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度Te-aが、蓄熱側目標蒸発温度To-aに近づくように、圧力調節弁(66)の開度を制御する。これにより、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sを室内側目標蒸発温度To-rに維持しつつ、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度Te-aがTo-aを下回ってしまうことも回避できる。
一方、ステップSt3において、蓄熱側目標蒸発温度To-aが室内側目標蒸発温度To-rよりも低いときには、ステップSt6へ移行し、第2制御動作が実行される。第2制御動作では、システム側目標蒸発温度To-sが、蓄熱側目標蒸発温度To-aとなる。そして、圧縮機制御部(133)は、検出したシステム蒸発温度Te-sが、システム側目標蒸発温度To-s(即ち、蓄熱側目標蒸発温度To-a)に近づくように、圧縮機(23)の回転数(運転周波数)を調節する。これにより、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sが、蓄熱側目標蒸発温度To-aに維持される。
また、第2制御動作では、室内側弁制御部(113)が、室内膨張弁(83)の開度を過熱度制御する。同時に、蓄熱側弁制御部(123)は、蓄熱膨張弁(55)の開度を過熱度制御する。
以上のように、冷房蓄冷運転では、室内側目標蒸発温度To-rが、蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも低いときには、システム蒸発温度Te-sが室内側目標蒸発温度To-rに近づくように、圧縮機(23)の回転数が制御される(第1制御動作)。このため、システム蒸発温度Te-sが、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回ることを回避でき、ひいては蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度Te-aが、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回ることを回避できる。従って、冷房蓄冷運転において、蓄熱媒体を所望とする温度まで冷却できる。
第1制御動作では、圧力調節弁(66)の開度を調節することで、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度Te-aを蓄熱側目標蒸発温度To-aに維持できる。このため、蓄熱熱交換器(56)での蓄熱媒体の冷却能力が過剰となることも回避できる。
また、冷房蓄冷運転では、室内側目標蒸発温度To-rが、蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも高いときには、システム蒸発温度Te-sが蓄熱側目標蒸発温度To-aに近づくように、圧縮機(23)の回転数が制御される(第2制御動作)。このため、システム蒸発温度Te-sが、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回ることを回避でき、ひいては蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度Te-aが、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回ることを回避できる。
第2制御動作では、室内膨張弁(83)の開度が過熱度制御される。このため、第2制御動作では、室内膨張弁(83)の開度が絞り気味となり、各室内熱交換器(84)を流れる冷媒の流量が少なくなる。この結果、蓄熱側目標蒸発温度To-aを目標値として圧縮機(23)の回転数を制御したとしても、各室内ユニット(80)の冷房能力が過剰となってしまうことを防止できる。
〈冷却動作及び急冷動作〉
次いで、冷房蓄冷運転時の冷却動作及び急冷動作について図9を参照しながら説明する。図9は、冷房蓄冷運転における冷却動作及び急冷動作のタイムチャートである。なお、冷却動作及び急冷動作のいずれの動作においても、図8に示す制御が実行される。
蓄熱冷却運転が実行されると、まず、冷却動作が行われる。
冷却動作(第1動作)は、室内の冷房を行いながら、蓄熱熱交換器(56)から流出する蓄熱媒体の温度Ta2を水和物生成温度未満の所定温度(例えば第1温度Tp1)まで冷却する動作である。ここで、例えばこの所定温度Tp1は、蓄熱媒体の水和物生成温度(例えば12℃)未満の所定温度(例えば9℃)に設定される。つまり、冷却動作では、蓄熱媒体に所定温度の過冷却度(例えば3℃)がつくように、蓄熱媒体が冷却される。
冷却動作では、蓄熱タンク(71)の蓄熱媒体の温度をTp1まで冷却するための蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度の目標値(蓄熱側目標蒸発温度To-a)として、第1蒸発温度To-a1が用いられる。即ち、冷却動作では、蓄熱側目標蒸発温度To-aが比較的高い温度となる。
冷却動作において、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも低いときには、上述の第1制御動作が行われる。従って、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sは室内側目標蒸発温度To-rに収束する。この第1制御動作では、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度が蓄熱側目標蒸発温度To-aに近づくように圧力調節弁(66)の開度が調節される。このため、冷却動作において、蓄熱媒体の温度が過剰に低下することはない。
冷却動作において、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも高いときには、上述の第2制御動作が行われる。
冷却動作が継続して行われると、蓄熱タンク(71)内の蓄熱媒体の温度が徐々に低くなり、蓄熱タンク(71)の流出側の蓄熱媒体の温度Ta1も低くなっていく。この温度Ta1が所定温度Tp3に達すると、冷却動作が終了し、急冷動作が実行される。この所定温度Tp2は、蓄熱熱交換器(56)から流出する蓄熱媒体の温度Ta2が所定温度Tp2に至るような値に設定される。
急冷動作(第2動作)は、室内の冷房を行いながら、蓄熱熱交換器(56)から流出する蓄熱媒体の温度Ta2を、冷却動作の終了時の温度よりも更に低い所定温度まで急激に低下させる動作である。ここで、この所定温度Tp2は、例えば第1温度(=9℃)よりも低い第2温度(=6℃)に設定される。
急冷動作では、蓄熱タンク(71)の蓄熱媒体の温度をTp2まで冷却するための蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度の目標値(蓄熱側目標蒸発温度To-a)として、第2蒸発温度To-a2が用いられる。即ち、急冷動作では、蓄熱側目標蒸発温度To-aが比較的低い温度となる。
急冷動作が実行されると、蓄熱熱交換器(56)の蓄熱流路(56b)では、蓄熱媒体の温度が急低下する。すると、蓄熱熱交換器(56)の蓄熱流路(56b)では、蓄熱媒体中で包接水和物が生成される。従って、急冷動作では、蓄熱熱交換器(56)において、包接水和物を含む水和物スラリーを生成できる。この水和物スラリーは、蓄熱媒体の過冷却状態を解消するための核となる。この結果、蓄熱タンク(71)において、過冷却状態が解消された水和物スラリーを蓄えることができる。
急冷動作の終了の判定は、例えば次の条件に基づいて行われる。
1)蓄熱回路(70)の圧力損失の増大、2)蓄熱熱交換器(56)の流出側の蓄熱媒体の温度Ta2の上昇、3)蓄熱タンク(71)の流出側の蓄熱媒体の温度Ta1の温度が水和物生成温度以下の所定温度に達すること。つまり、急冷動作において、蓄熱媒体の過冷却状態が解消されると、水和物スラリーの生成に起因して、蓄熱回路(70)の圧力損失が増大したり、蓄熱熱交換器(56)の流出側の蓄熱媒体の温度Ta2が上昇したりする。このため、1)や2)の条件が成立することで、過冷却状態が解消されたと判断し、急冷動作を終了させる。なお、1)の圧力損失の増大は、例えばポンプ(72)をON状態とした際の蓄熱回路(70)の蓄熱媒体の流量に基づいて判定できる。
また、上記3)の条件が成立すると、蓄熱タンク(71)の蓄熱媒体の温度が低くなりすぎて、流出管(73)が包接水和物により閉塞してしまうおそれがある。このため、3)の条件が成立すると、速やかに急冷動作を終了し、冷却動作を再び行うことで、このような配管の閉塞を未然に回避できる。
急冷動作から冷却動作への移行(復帰)は、上記1)、2)、3)の条件のいずれか1つの条件が成立することで行ってもよいし、これらの2つ、あるいは3つの条件が成立するとことで行ってもよい。
このように、冷房蓄冷運転では、冷却動作の後に急冷動作を行うことで、過冷却状態の蓄熱媒体の温度を急激に低下させ、過冷却状態を解消する核(包接水和物)を生成できる。この結果、室内の冷房を行いながら、蓄熱タンク(71)内に速やかに水和物スラリーを蓄えることができる。
冷房蓄冷運転において急冷動作を行うと、上述したように、蓄熱側目標蒸発温度To-aが比較的低い温度(第2蒸発温度)となるため、蓄熱側目標蒸発温度To-aが、室内側目標蒸発温度To-rよりも低くなり易い。しかし、このような条件下においては、第2制御動作が行われ、蓄熱側目標蒸発温度To-aを目標値として圧縮機(23)の回転数が制御される。従って、蓄熱媒体の温度Ta2を確実に所望とする温度(例えば6℃)まで冷却できる。
−実施形態の効果−
実施形態によれば、冷房蓄冷運転において、冷媒回路(11)のシステム蒸発温度Te-sが、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回らないように冷媒回路(11)が制御されるため、室内の冷房を行いつつ、冷媒によって蓄熱媒体を所望とする状態まで確実に冷却できる。
具体的に、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも低いときには、システム蒸発温度Te-sが室内側目標蒸発温度To-rに近づく制御(第1制御動作)が行われる。また、室内側目標蒸発温度To-rが蓄熱側目標蒸発温度To-aよりも高いときには、システム蒸発温度Te-sが蓄熱側目標蒸発温度To-aに近づく制御(第2制御動作)が行われる。このため、第1制御動作と第2制御動作との双方において、蓄熱熱交換器(56)の蒸発温度が、蓄熱側目標蒸発温度To-aを上回ってしまうことを確実に回避できる。
第1制御動作及び第2制御動作では、室内熱交換器(84)の蒸発温度が、室内側目標蒸発温度To-rを上回ってしまうことも回避できる。従って、冷房蓄冷運転において、室内熱交換器(84)の冷房能力が不足してしまうことも回避できる。
冷房蓄冷運転の第2制御動作では、室内膨張弁(83)を過熱度制御することにより、室内熱交換器(84)の冷房能力が過剰になってしまうことも回避できる。
冷却動作、及び急冷動作を行うことで、水和物スラリーを生成する装置や部品等を追加することなく、蓄熱タンク(71)に多くの水和物スラリーを貯めることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態では、図8に示す第1制御動作と第2制御動作とを行うことで、システム蒸発温度が蓄熱側目標蒸発温度を上回らないようにしている。しかし、例えば冷房蓄冷運転でのシステム蒸発温度の制御範囲の上限値として、蓄熱側目標蒸発温度を設定することで、システム蒸発温度が蓄熱側目標蒸発温度を上回らないようにしてもよいし、他の制御方法を採用してもよい。
上記実施形態に係る蒸発温度を示す種々の指標は、蒸発温度だけでなく、この蒸発温度に相当する飽和圧力(蒸発圧力)であってもよい。
蓄熱媒体は、臭化テトラnブチルアンモニウムを含有する臭化テトラnブチルアンモニウム水溶液以外であってもよいし、蓄熱媒体の濃度は、40%に限定されない。