図1は、車両に搭載される撮像システム1を示す。実施例の撮像システム1は、カメラ10、加熱部18および処理装置20を備える。カメラ10は車両内に取り付けられ、車両2のガラス越しに車外を撮像する。図1に示す例では、カメラ10はフロントガラス12越しに車両2の前方を撮像する。カメラ10は撮像部13を備え、単眼カメラ、ステレオカメラ、赤外カメラとして構成されてよい。またカメラ10は、温度センサ19および物体検出センサ(不図示)を同じ筐体に備える。カメラ10の筐体は、撮像部13の光軸14が車両前方を向くように、フロントガラス12、バックミラーまたは車室天井などに取り付けられる。
カメラ10は車外を周期的に撮像して、撮像画像を処理装置20に供給する。撮像範囲15は、撮像部13の左右方向の視野角を表現し、撮像領域16は、カメラ10の撮像範囲15に含まれるフロントガラス12の領域、つまり撮像部13により撮像されるフロントガラス12の領域を示す。
加熱部18が、少なくとも撮像領域16を加熱するために撮像領域16の周囲に設けられる。たとえば加熱部18は、電力の供給を受けて発熱する熱線であってよい。加熱部18である熱線は、フロントガラス12の内面に形成されてもよく、またフロントガラス12の内部に形成されてもよい。また加熱部18である熱線は、撮像領域16の周囲ではなく、透明素材により撮像領域16の内側に形成されてもよい。なお加熱部18は、カメラ10側に設けられてもよく、たとえばカメラ10のフードに設けられる熱線であってもよく、また撮像領域16に対して熱風を供給する構成であってもよい。
加熱部18は、処理装置20による制御によって出力を変化させる調整が可能である。加熱部18の加熱により撮像領域16に付いた水や氷を除去して、撮像領域16を鮮明にできる。
温度センサ19は、カメラ10に設けられるため、カメラ10の温度と、カメラ10に近接するフロントガラス12の撮像領域16の温度を含むカメラ10周辺の温度を検知する。温度センサ19により、加熱部18により加熱されたフロントガラス12の撮像領域16が過剰に高温になってないか検知でき、カメラ10が過剰に高温になってないか検知できる。なお、温度センサ19は、カメラ10と同じ筐体に設けられる態様に限られず、カメラ10と別体に設けられてよく、フロントガラス12の撮像領域16に設けられてよい。
図2は、処理装置20を含む撮像システム1の機能構成を示す。処理装置20は、画像処理部22、温度取得部24および制御部26を備える。図2において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
画像処理部22は、撮像部13で周期的に撮像された撮像画像を取得し、撮像画像の曇り度合いを検出する機能をもつ。曇り度合いは、フロントガラス12の撮像領域16が曇っている状態を不鮮明さを表す数値として示す。フロントガラス12の撮像領域16は、撮像部13により撮像されるため、撮像領域16が曇っていたり、また着氷していたりすると、撮像部13は、良好に外部を撮像できず、撮像画像は不鮮明になる。
実施例において、カメラ10により取得された撮像画像は、運転支援システムによる運転支援処理に利用される。画像処理部22は、運転支援処理のために、撮像画像から、車両や人などの物体を検出する機能をもつ。具体的に画像処理部22は、撮像画像に含まれるエッジや角などを特徴点として検出し、テンプレートマッチングを利用して撮像画像に含まれる物体を検出する。なお画像処理部22は、時間的に連続する複数の撮像画像において特徴点をトラッキングして、物体と自車両との速度差などの情報を検出してもよい。このような情報をもとに、運転支援システムは、検出された物体と自車両との衝突可能性を判定し、運転者に対して警報を出力するなどの運転支援処理を実施する。なお構造物などの静止物の特徴点は複数の撮像画像における差分から抽出するため、画像処理部22が特徴点を検出するためには、車両2が所定の速度(たとえば5km/h)以上で走行していることが好ましい。ここで新たな図面を参照して曇り度合いの検出処理を説明する。
図3(a)および図3(b)は、撮像部13による撮像画像の例を示す。図3(a)に示す撮像画像10aは良好に撮像されており、画像処理部22は、撮像画像10aを画像解析して特徴点を検出し、撮像画像に含まれる物体を検出する。一方で図3(b)に示す撮像画像10bは良好に撮像されておらず、画像処理部22は、撮像画像10bから好適に特徴点を検出できない。
実施例の画像処理部22は、図3(a)および図3(b)に示すように撮像画像を複数の領域に分割し、特徴点を検出できた分割領域と、特徴点を検出できなかった分割領域を特定する。この例では撮像画像を25(5×5)個の領域に分割している。図3(a)の撮像画像10aは良好に撮像されているため、画像処理部22は、撮像画像10aの全ての分割領域で特徴点を検出する。一方、図3(b)の撮像画像10bは良好に撮像されておらず、画像処理部22は、撮像画像10bのいくつかの分割領域で特徴点を検出できない。
実施例の画像処理部22は、特徴点を検出できた分割領域の数と、特徴点を検出できなかった分割領域の数とに応じて、曇り度合いを検出する。たとえば、画像処理部22は、複数の分割領域の総数に対する、特徴点が検出できなかった分割領域の割合を曇り度合いとして検出する。たとえば、画像処理部22は、25個の分割領域のうち、5個の分割領域で特徴点が検出できなければ、曇り度合いを20%として検出する。画像処理部22は検出した曇り度合いを制御部26に送出する。
温度取得部24は、温度センサ19が検知した温度に関する情報を取得し、取得した温度に関する情報を検出温度として制御部26に送出する。
制御部26は、加熱部18が熱線である場合、熱線を通電して発熱させる制御を行う。制御部26は、検出した曇り度合いと検出温度とにもとづいて加熱部18の出力を調整してフロントガラス12の撮像領域16を加熱する。制御部26は、加熱部18に供給するパルス信号のデューティ比(平均電圧)を複数段階に保持し、デューティ比を変えることで加熱部18の出力を調整する。制御部26による加熱部18の制御を、以下では「加熱制御」と呼ぶ。制御部26による加熱制御は、加熱部18の出力を大きくすることで加熱量を増し、加熱部18の出力を小さくすることで加熱量を減らす。
制御部26は、撮像画像の曇り度合いが所定の閾値以上である場合に、撮像画像が不鮮明であるとして加熱の実行開始を決定する。曇り度合いが所定の閾値以上であるかが、加熱の実行開始条件である。たとえば、制御部26は、曇り度合いが50%より大きい場合に、つまり特徴点を検出できない領域数が25個のうち13個以上である場合、加熱の実行開始が決定される。このように、制御部26は、撮像画像の曇り度合いにもとづいて加熱の実行開始を決定する。なお制御部26は、時間的に連続する複数枚の撮像画像において、曇り度合いが所定の閾値以上であることを連続して検出した場合に、撮像画像が不鮮明であると判定して、加熱の実行開始を決定してよい。
一方で、特徴点を検出できない領域数が総数の50%以下である場合、つまり特徴点を検出できない領域数が12個以下である場合、制御部26は、撮像画像が鮮明であるとして、加熱の実行を開始しない。
制御部26は、曇り度合いが大きければ加熱部18の出力を大きくして早く曇りを除去し、曇り度合いが小さければ加熱部18の出力を小さくして電力消費を抑える。制御部26は、検出温度が所定温度以上であれば、加熱部18の出力を小さくしてカメラ10が過剰に加熱することを抑える。つまり、制御部26は、曇り度合いが大きく検出温度が低いほど加熱部18の出力を大きくして、曇りを早く除去する。また、制御部26は、曇り度合いが小さく、または/および、検出温度が高くなれば加熱部18の出力を小さくして、過度な加熱を抑える。制御部26は、曇り度合いおよび検出温度の絶対値と、曇り度合いおよび検出温度の変化量とをそれぞれ用いて制御してよい。
制御部26は、曇り度合いが所定の基準値以下で、検出温度が一定に保たれるように加熱部18の出力を調整する。温度センサ19による検出温度が保たれるように加熱するため、加熱部18のオン/オフの回数を減らし、フロントガラス12に対して急加熱および急冷却を繰り返すことを抑えることができる。ここで、新たな図面を参照して検出温度を一定に保った状態について説明する。
図4は、フロントガラス12の温度について説明するための図である。一般にガラスの曇りは、車外の気温が低い場合に、ガラス近傍の空気温度が下がり、ガラス近傍の空気に含まれる水分がガラス面に放出されることにより生じる。そのためガラスの曇りが生じた場合には、制御部26が加熱部18を作動させて撮像領域16を加熱させることで、撮像領域16の曇りはすみやかに除去される。
フロントガラス12は、加熱部18の加熱と、室内側熱21により加熱される。室内側熱21は、エアコンで温められた車室内の空気熱や、カメラ10の熱である。加熱されたフロントガラス12は、外へ放熱する。このように、フロントガラス12の温度は、加熱量と放熱量により決定される。
つまり、フロントガラス12への加熱量とフロントガラス12の放熱量が釣り合った状態となるように制御部26が加熱部18の出力を調整することで、温度センサ19による検出温度を一定に保つことができる。
図2に戻る。制御部26は、検出温度が所定の第1温度以上に高まると、加熱部18への通電を一時的に停止してよい。カメラ10の回路には駆動停止温度以上に高くなると自動的に駆動を停止する機能があるが、制御部26が検出温度を所定の第1温度を超えないように制御することで、カメラ10の回路の停止を回避することができる。第1温度は、カメラ10の回路の駆動停止温度より低く設定される。加熱を一時停止にする場合は、加熱の実行開始条件を満たさなくても、温度が低くなれば再度加熱を行う。
制御部26は、所定の終了条件を満たした場合、たとえばイグニッションスイッチがオフとなった場合に加熱制御を終了する。また、加熱の終了条件として検出温度が所定の第2温度以上であることを含んでよい。加熱の終了条件を満たした場合は、加熱の実行開始条件を満たすまで、加熱は実行されない。
図5は、加熱制御の一例について説明するための図である。図5(a)は加熱部18の出力を示し、図5(b)は温度センサ19の検出温度を示し、図5(c)は撮像領域16の曇り度合いを示す。なお、図5には一点鎖線で、比較技術の加熱制御を示す。
図5(c)に示すように、時刻t0において、曇り度合いが所定の閾値以上であるため、制御部26は、曇り度合いと検出温度にもとづいて加熱部18出力P1を決定し、出力P1で加熱制御を開始する。
時刻t0から時刻t1では、曇り度合いが低下し、検出温度が高くなる。時刻t1になると、曇り度合いが低下し、検出温度が上昇したことで、制御部26は、加熱部18の出力を出力P1から出力P2に小さくする。
時刻t1から時刻t2では、曇り度合いが低下し、検出温度が高くなるものの、時刻t0から時刻t1の変化量と比べて、曇り度合いおよび検出温度の変化量が小さい。時刻t2になると、曇り度合いがほぼゼロ%となり、制御部26は、加熱部18の出力を出力P2から出力P3に小さくする。
時刻t2以降は、検出温度が一定であり、曇り度合いがゼロ%に維持されているため、制御部26は出力P3での加熱を維持する制御をする。このように、実施例の加熱制御では、曇りが除去された後も加熱を継続する。制御部26は、イグニッションスイッチがオフとなった場合に加熱制御を終了する。
一点鎖線で示す比較技術の加熱制御では、加熱部18の出力は固定値であり、加熱部18のオン/オフ制御でフロントガラス12の曇りを除去する。比較技術によれば、加熱部18をオフした後、再びフロントガラス12が冷却されて曇り、フロントガラス12を加熱することになり、フロントガラス12の冷却と加熱を繰り返す。
実施例の加熱制御により、検出温度が一定になるように加熱することで、加熱部18のオン/オフの回数を減らし、フロントガラス12に対して急加熱および急冷却を繰り返すことを抑えることができる。また、時刻t0から時刻t1では比較技術の加熱制御と比べて出力の大きな加熱で曇り度合いを早く下げることができ、時刻t1以降では加熱部18への出力を下げることで過度な加熱や電力消費を抑えることができる。また、検出温度を監視することで、カメラ10が高温になることを抑えることができる。
図6は、加熱制御処理のフローチャートを示す。制御部26は、所定の開始条件を満たすか判定する(S10)。加熱制御処理は、実施条件が成立している場合に(S10のY)実行される。この実施条件は、少なくとも車両2のスタートスイッチが操作されてIG(イグニッション)オンとなっていることを含む。また上記したように画像処理部22による特徴点の検出は、車両2が所定の速度(たとえば5km/h)以上で走行しているときに好適に実行されるため、撮像状態判定処理は、IGオンであり且つ車両2の速度が所定速度(たとえば5km/h)以上となったときに実施されてもよい。開始条件を満たさない場合、制御部26は本処理を終了する(S10のN)。
制御部26は、加熱制御を開始すると、画像処理部22から曇り度合いを取得し(S12)、温度取得部24から検出温度を取得する(S14)。制御部26は、曇り度合いにもとづいて撮像領域16の撮像画像が不鮮明であるか判定する(S16)。不鮮明でなければ(S16のN)、本処理を終了する。
不鮮明であれば(S16のY)、すなわち曇り度合いが所定の閾値以上であれば、制御部26は加熱を開始する。制御部26は、曇り度合いおよび検出温度にもとづいて加熱部18の出力を決定し、加熱部18の出力を調整する(S18)。
制御部26は、所定の終了条件を満たした場合に(S20のY)、たとえばIGオフされた場合に、本処理を終了する。制御部26は、所定の終了条件を満たさない場合に(S20のN)、不鮮明でなくとも加熱を継続する。
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
実施例でも説明したように、ガラスの曇りは、外気温が低い場合に、ガラス近傍の空気に含まれる水分がガラス面に放出されることにより生じる。そこで車両2は、外気温を測定する温度センサを有し、制御部26は、温度センサにより測定された外気温が所定の温度以下の低温の場合に、ガラス曇りが生じやすい状況にあることを判断して、加熱部18を加熱制御してもよい。
実施例では、カメラ10が車両前方を撮像するように車両2に取り付けられた例を示したが、他の方向、たとえば車両後方、車両側方を撮像するようにカメラ10が車両2に取り付けられてもよい。
実施例では、制御部26は、曇り度合いおよび検出温度にもとづいて加熱部18の出力を調整する態様を示したが、この態様に限られない。たとえば制御部26は、検出温度を用いず、曇り度合いにもとづいて加熱部18の出力を調整してもよい。
実施例では、加熱部18はデューティ比を変えることで出力を調整される態様を示したが、この態様に限られない。たとえば加熱部18は、電気系統が独立した複数の熱線で構成され、通電される熱線の本数により出力を調整されてよい。
実施例では、フロントガラス12の撮像領域16の曇り度合いを検出する曇り度合い検出部として、撮像部13の撮像画像を処理する画像処理部22を示したが、この態様に限られない。例えば、カメラ10に物体検出センサとしてレーザなどを設けて、その検知結果により曇り度合いを検出してよい。
実施例では、曇り度合いが50%より高い場合に、加熱の実行を開始する態様を示したが、この態様に限られない。例えば、ゼロ%より大きい曇り度合いが検出されれば、検出された曇り度合いに応じて加熱の実行を開始してもよい。