JP2017149792A - 極性脂質を含有する精製脂質組成物の製造方法 - Google Patents

極性脂質を含有する精製脂質組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物から、遊離脂肪酸を低減した精製脂質組成物を提供すること。【解決手段】下記工程(1)〜(4)を有する、極性脂質を含有する精製脂質組成物の製造方法により解決できる。(1)少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を、非極性有機溶媒に溶解させて脂質含有液を調製する工程、(2)上記脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる工程、(3)脂質含有液である有機層から、水層及び沈殿物を分離する工程、(4)有機層から非極性有機溶媒を除去する工程【選択図】なし

Description

本発明は、生理学的に種々の機能性を有するリン脂質などの極性脂質を高濃度で含有する脂質組成物から、遊離脂肪酸を除去し、より効率的に、かつ安全に精製脂質組成物を得るための製造方法に関する。
リン脂質、スフィンゴ脂質、糖脂質などに代表される極性脂質は、動植物の細胞に存在し、生体膜を構成する主成分となっている。これらは細胞の機能保持や増殖に作用するほか、一部には細胞間シグナル分子としての機能を有するものもあり、様々な生体活動に関与する。
極性脂質は、親水基部分と疎水基部分から成り、親水基には、リン酸、塩基、アルコール類、単糖類、オリゴ糖、スルホン酸などが結合し、疎水基には、各種脂肪酸や長鎖アルコールなどが結合している。
リン脂質の種類にはコリン型リン脂質、セリン型リン脂質、エタノールアミン型リン脂質、が知られ、脳の神経伝達や記憶、肝機能、脂質代謝異常症の改善作用があることが報告されており、機能性食品に利用されている。また、その界面活性作用から、乳化剤として食品添加物、医薬品、化粧品、塗料等にも利用される。
一方、ガングリオシドの糖脂質は、膜表面に集中して存在し、細胞のシグナル伝達を調節していることが報告されているが、腫瘍細胞の抗原や病原菌の抗原にもなることから、その抗体をがんの診断及び治療に利用されている。
これらの極性脂質を得る方法としては、上記のような脂質を多く含有する動植物組織から有機溶媒を使用して脂質画分を抽出し、溶媒を除去することで回収する方法が行われている。最も一般的な方法としては、Folch法(非特許文献1参照)、Bligh & Dyer法(非特許文献2参照)が行なわれており、また、食品利用の場合の安全性を考慮して、アルコール系溶媒が用いられる。天然物から極性脂質を抽出した場合、その他の脂質も多量に混合するため、精製する方法が数多く知られる。一般的には、アセトン沈殿法(山川民夫監修:生化学実験講座3,脂質の化学(日本生化学会編),p.19−20,1963,東京化学同人)、溶媒向流分配法(Therriault et al.:J. Amer. Oil Chem. Soc., 40, 395, 1963)、カラムクロマトグラフィー法(James et al.:Lipids, 23, 1146-1149, 1988)等により、分離精製することができる。
一方、遊離脂肪酸は脂質組成物に含有される成分の一つであるが、脂質を加熱や酸化劣化したときに加水分解した場合、あるいはリパーゼやホスホリパーゼなどの酵素で反応した場合、アルカリ触媒で反応した場合にも生じる。遊離脂肪酸は風味や臭気を悪化させる要因でもあり、酸化物や重合物の要因ともなりうるため、食品や医薬品中の含量は低減する必要がある。
しかしながら、遊離脂肪酸とリン脂質が多い脂質組成物から遊離脂肪酸を低減させようとしても、上記のアセトン分別法ではリン脂質と遊離脂肪酸とが会合して沈殿が生じにくくなる問題があった。また、カラムクロマトグラフィーでは、大量に溶媒を使用するため、効率的に極性脂質を回収することは困難であった。
一般の食用油脂中の遊離脂肪酸除去法としては、蒸留法やアルカリ脱酸法が行われている。しかし、蒸留法は高真空下で150℃以上の高温下で行うため、極性脂質を高含有する場合、変質や変色が生じてしまう。アルカリ脱酸法は油脂組成物中、あるいは油脂組成物の有機溶剤の溶解液中に塩基性水溶液を添加して脂肪酸塩を形成させ、脂肪酸塩を沈殿物として分画する方法であり、いくつかの変法も知られている(特許文献1−4)。しかしながら、その対象とする組成物は、トリアシルグリセロールを主成分とするものであり、極性脂質を高く含有する脂質組成物中の遊離脂肪酸を除去するためには適用できない方法であった。すなわち、極性脂質は脂肪酸塩と相互作用し、共沈殿あるいは水層への分配が生じて回収率が低下する、また、塩基性水溶液との接触頻度が高いために加水分解を生じることが問題となった。
特開平2−214798号公報 特開平8−81692号公報 特開2002−212586号公報 特開2008−239658号公報
Folch et al.:J. Biol. Chem., 226, 497-505, 1957 Bligh et al.:Can. J. Biochem. Physiol., 37, 911-917, 1959
従って本発明の目的は、極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物から遊離脂肪酸を低減した精製脂質組成物の製造方法、及び精製脂質組成物を提供することにある。
本発明者らは、極性脂質を含有する脂質組成物から前述の問題点を解決すべく鋭意比較検討を重ねた結果、特定の有機溶媒と塩基性水溶液処理を組み合わせることで、上記目的を達成し得ることを知見した。
本発明は、上記知見を基に得られたものであり、以下の(1)〜(4)の工程からなる精製脂質組成物の製造方法を提供するものである。
(1)少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を、非極性有機溶媒に溶解させて脂質含有液を調製する工程
(2)上記極性脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる工程
(3)有機層から水層及び沈殿物を分離する工程
(4)有機層から非極性有機溶媒を除去する工程
本発明によれば、極性脂質を含有する脂質組成物から、不純物として存在する遊離脂肪酸を効率的に除去し、効率的に精製脂質組成物を得ることができる。
以下、本発明の精製脂質組成物の製造方法について詳細に説明する。
本発明の精製脂質組成物の製造方法は、以下の工程(1)〜(4)を有するものである。
(1)少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を、非極性有機溶媒に溶解させて脂質含有液を調製する工程
(2)上記極性脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる工程
(3)有機層から水層及び沈殿物を分離する工程
(4)有機層から非極性有機溶媒を除去する工程
工程(1)について:
(1)の工程では、少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を、非極性有機溶媒に溶解させて脂質含有液を調製する。
まず、脂質組成物について説明する。
上記脂質組成物は、少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有するものである。
極性脂質としては、例えばホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、およびスフィンゴエリン等のリン脂質、モノガラクトシルジアシルグリセロール、ジガラクトシルジアシルグリセロール、モノグリコシルジアシルグリセロール等の糖脂質、スフィンゴシンと脂肪酸とが結合したセラミド及びセラミドと糖とが結合したスフィンゴ糖脂質等のスフィンゴ脂質等が挙げられ、中でも極性脂質のうち、極性脂質基準でリン脂質を50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有することがより本発明の効果が大きい点で好ましい。
脂質組成物中の極性脂質の好ましい含有量は、0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、最も好ましくは1.0質量%以上である。0.1質量%よりも少ないと、本発明の効果が十分に発揮されない場合がある。
上記遊離脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノエライジン酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸等が挙げられる。
本発明においては、上記遊離脂肪酸のうち、遊離脂肪酸基準で不飽和脂肪酸が30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、最も好ましくは50質量%以上である。不飽和脂肪酸が30質量%よりも少ない(すなわち飽和脂肪酸が多い)と作業性が大きく低下する場合があり、好ましくない。
上記脂質組成物中の遊離脂肪酸は、不飽和脂肪酸を上記特定の範囲とするために、その含有量をあらかじめ定量しておくことが好ましい。定量する方法としては、塩基性溶液での適定法、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーによる方法、TLC−FIDによる方法等、いずれの公知の方法でもよいが、簡便性から適定法が望ましい。
なお、脂質組成物中の遊離脂肪酸として不飽和脂肪酸が30質量%よりも少ない場合は、別途遊離脂肪酸を添加することにより好ましい範囲となるよう調整してもよい。
上記脂質組成物には、極性脂質、遊離脂肪酸のほか、精製前の脂質組成物等に一般に含まれるその他の成分を含有してもよい。
その他の成分としては、中性脂質としてトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド等のアシルグリセロール類、ステロール類、炭化水素類、テルペン類、アルコール類、アルデヒド類、ワックス類、トコフェロール等が挙げられる。
本発明において使用することのできる非極性有機溶媒としては、例えばヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル、トルエン、ベンゼン、四塩化炭素等を挙げることが出来るが、食品用途の脂質として精製する場合は、ヘキサンを使用することが望ましい。
脂質組成物を溶解させるのに使用する非極性溶媒の量としては、脂質組成物1質量部に対し、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは30〜150質量部、さらに好ましくは40〜100質量部である。
溶媒量が少ない場合、塩基性水溶液を添加した場合に、乳化物を生じて分離が困難になり、過剰である場合、操作性が低下する。
工程(2)について:
(2)の工程では、上記脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる。
好ましい形態としては、あらかじめ極性脂質および遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を溶解した非極性溶媒に、塩基性水溶液を混合して脂肪酸塩を形成させ、極性脂質を含んだ非極性溶媒が上層に、遊離脂肪酸塩を含んだ水層が下層になるように分離する方法が挙げられ、極性脂質は清澄に溶解した状態であり、かつ、遊離脂肪酸塩は水層に溶解した状態でもよく、あるいは固形分として分散した状態でもよい。
本発明で使用することのできる塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどの強塩基性物質の水溶液、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどの弱塩基性物質の水溶液が用いられるが、十分な脂肪酸塩形成が可能となる点で強塩基性物質を用いることが好ましい。また、脂肪酸塩の溶解性を高めることができる点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の一価の強塩基性物質を用いることがより好ましい。塩基性水溶液の濃度としては、好ましくは0.05〜6N、さらに好ましくは、0.1〜2Nである。
濃度が低い場合、脂肪酸塩を形成させる量に対する水分量が多くなるため、反応系が大きくなる問題があり、濃度が高い場合、滴下量が少なく、遊離脂肪酸と十分な接触ができずに下層に移行してしまい、脂肪酸塩の形成が不十分になる。
上記脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる方法としては、非極性有機溶媒に塩基性水溶液を滴下して接触させる方法、塩基性水溶液に非極性有機溶媒の油滴を上昇させて接触させる方法があるが、後者は、乳化が生じやすいため、前者が望ましい。
上記接触させる塩基性水溶液の量は、上記脂質含有液中に含まれる遊離脂肪酸量に基づいて決定することが好ましく、有機脂肪酸量に対して0.9〜5当量となる量を接触させることがより好ましく、1.0〜2.0当量となる量を接触させることがさらに好ましい。
過剰に脂肪酸塩を形成させた場合、それを含有する水層の粘度が上昇して非極性溶媒の界面が不明瞭になり、分離が困難になる。
上記塩基性水溶液を接触させる際は、数回に分けて接触させることが好ましい。一回に接触させる塩基性水溶液の量は、あらかじめ測定した遊離脂肪酸の含有量を基準として、好ましくは、0.1〜0.8当量、より好ましくは0.3〜0.6当量であり、脂肪酸塩を含む水層を除去した後、さらに塩基性水溶液を添加して脂肪酸塩を含む水層を除去する操作を2〜4回繰り返すことが好ましい。
脂質組成物中の遊離脂肪酸の含有量は、脂質組成物の酸価を測定することにより簡単に確認することができる。酸価は油脂1g中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数で表され、測定は常法にしたがって行うことができる。
上記脂質含有液に塩基性水溶液を接触させた後、必要に応じて撹拌・混合を行う。このとき、好ましくは10〜40℃以下、さらに好ましくは15〜30℃の温度範囲で攪拌する。40℃を超えての加熱は、非極性溶剤の揮発による引火等の恐れがあり、10℃以下になると脂肪酸塩の水溶液がゲル化して攪拌できなくなる問題がある。
攪拌方法については、充分に液滴が拡散し、界面が多く生じるように攪拌されるのであれば特に限定はなく、公知の攪拌機、振盪器等を用いることができる。
攪拌時間については、反応液量によって適宜調整することができるが、5分以内が好ましく、さらに好ましくは3分以内、最も好ましくは塩基性水溶液を接触させた後、速やかに撹拌を停止する。
撹拌時間が長くなると、塩基性水溶液と極性脂質との接触が多くなり、加水分解反応を生じるため回収率が低下する。すなわち、脂肪酸と塩基の反応は瞬時に反応するが、極性脂質中のエステル基が加水分解する反応はそれよりも穏和に行われるため、接触時間は短いほうが好ましい。
脂質組成物と非極性有機溶媒を含む有機層と、塩基性水溶液を含む水層の比は、有機層1質量部に対して、水層が好ましくは、0.01〜0.5質量部、より好ましくは0.03〜0.2質量部、さらに好ましくは0.05〜0.15質量部である。有機層が少ない場合、乳化が生じて分離ができなくなる場合がある。有機層が過剰である場合、反応系が大きくなり操作性が低下する場合がある。
工程(3)について:
本発明において、脂質組成物の溶解した有機層と、水層とを分離する方法としては、数分ないし数十分間静置して2層にさせることでよいが、遠心分離機や油水分離機などを使用してもよい。また、分離前にろ過処理して固形分を除去した後に分離操作を行ってもよい。
工程(4)について:
(4)の工程では、上記(3)の工程で得られた有機層から、非極性有機溶媒を除去して、精製脂質組成物を得る。
有機層から非極性有機溶媒を除去する方法としては、例えば、非極性有機溶媒を留去させる方法が挙げられる。留去させる際には、上記抽出液を常法により適宜減圧及び/又は加熱してもよく、特に制限されるものではないが、例えばエバポレーターを使用すれば容易に非極性有機溶媒を留去させることができる。
本発明の精製脂質組成物の製造方法では、上記(1)〜(4)の工程の途中及び/又は工程とともに、その他の操作を行うこともできる。
例えば、(3)の工程終了後に、溶媒を除去せずに非極性溶媒中に油脂が溶解したまま、連続して他の精製操作に供することも可能である。
本発明の精製脂質組成物の製造方法により、効率的に遊離脂肪酸を除去することができ、酸価を好ましくは10未満、より好ましくは5未満、最も好ましくは3未満へ低下させることができる。
本発明による精製脂質組成物は、その化学構造を損なうことなく遊離脂肪酸が除去され、風味がよく、保存安定性が高い。従って、そのままの形態でも油中水型乳化組成物あるいは水中油型乳化組成物等の形態でも、飲食品や経口医薬品、健康食品に広く、好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
脂質組成物の準備・調製
〔製造例1〕
大豆レシチン(SIGMA社製、以下同じ)とオレイン酸(東京化成社製、以下同じ)を質量比1:9となるように60℃下で混合し、リン脂質/遊離脂肪酸混合物を調製した(脂質組成物A)。酸価及び脂質成分の組成を表1に示す。
〔製造例2〕
大豆精製油と大豆レシチンとオレイン酸を質量比6:1.5:2.5となるように60℃下で混合し、トリアシルグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物を調製した(脂質組成物B)。酸価及び脂質成分の組成を表1に示す。
〔製造例3〕
冷凍ボイルオキアミの捏練品(オキアミCPM−MD、ADEKAファインフーズ社製)2000質量部(水分含有量87質量%)に、ヘキサン:エタノール=60:40で混合した混合溶媒4900質量部を加え、10分間攪拌した。その後、吸引濾過により得たろ液の上層であるヘキサン層を脂質抽出液として回収した。続いて、ろ液下層と濾過残渣を合わせ、それに新たにヘキサン2600質量部を加え、攪拌・混合して脂質画分を抽出後、上記同様に抽出液を回収した。さらに、ろ液下層と濾過残渣に同一の操作をもう1回繰り返し、回収した合計3回分の抽出液を併せ、エバポレータを使用して混合溶媒を除去し、残渣としてオキアミ油70質量部を得た。
ホスホリパーゼA1(三菱化学フーズ社製)をイオン交換水に30.8kU/gとなるよう溶解させ、酵素液を調製した。続いて、上記オキアミ油6.5質量部に、上記酵素液0.65質量部を添加し、40℃で2時間攪拌し、リン脂質の分解反応を行った。反応物をヘキサン85質量部に溶解して、ろ過により酵素を除去した後、エバポレータを使用して溶媒を除去し、残渣としてオキアミ由来のトリアシルグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物を調製した(脂質組成物C)。酸価及び脂質成分の組成を表1に示す。
〔酸価の測定方法〕
上記脂質組成物A〜Cのいずれか約0.2gを測り取り、ジエチルエーテル/エタノール(1:1)100mlにBTBエタノール溶液(終濃度0.0005%)を加えた溶液に溶解した。0.05mol/Lエタノール性KOH溶液(WAKO社製)により中和までの滴定をし、以下の式により、酸価を計算した。
酸価(mg−KOH/g) = 適定量(ml)× 2.805/ 脂質組成物量(g)
Figure 2017149792
〔実施例1〕
製造例1で調製した脂質組成物A0.27質量部に、ヘキサン18質量部を加えて溶解した。0.2質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.31質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Aとして回収した。得られた精製脂質組成物Aを分析した結果を表2に示す。
〔実施例2〕
製造例1で調製した脂質組成物A0.27質量部に、ヘキサン18質量部を加えて溶解した。0.2質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.91質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Bとして回収した。得られた精製脂質組成物Bを分析した結果を表2に示す。
〔実施例3〕
製造例1で調製した脂質組成物A0.27質量部に、ヘキサン18質量部を加えて溶解した。1.66質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.31質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Cとして回収した。得られた精製脂質組成物Cを分析した結果を表2に示す。
〔実施例4〕
製造例1で調製した脂質組成物A0.27質量部に、ヘキサン18質量部を加えて溶解した。0.62質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液0.87質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Dとして回収した。得られた精製脂質組成物Dを分析した結果を表2に示す。
〔実施例5〕
製造例2で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物0.27質量部に、ヘキサン18質量部を加えて溶解した。1.09質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液0.38質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Eとして回収した。得られた精製脂質組成物Eを分析した結果を表2に示す。
〔実施例6〕
製造例2で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物0.27質量部に、ヘキサン7.2質量部を加えて溶解した。0.21質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液0.38質量部を滴下・混合した。静置後、2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Fとして回収した。得られた精製脂質組成物Fを分析した結果を表2に示す。
〔実施例7〕
製造例3で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物1.00質量部に、ヘキサン26質量部を加えて溶解した。1.16質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.04質量部を滴下・混合した。2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Gとして回収した。得られた精製脂質組成物Gを分析した結果を表2に示す。
〔実施例8〕
製造例3で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物1.00質量部に、ヘキサン26質量部を加えて溶解した。1.16質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.04質量部を滴下・混合したのち、撹拌を続けた(30分間)。2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Hとして回収した。得られた精製脂質組成物Hを分析した結果を表2に示す。
〔実施例9〕
製造例3で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物1.00質量部に、ヘキサン26質量部を加えて溶解した。1.99質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、6N NaOH水溶液0.20質量部を滴下・混合した。2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Iとして回収した。得られた精製脂質組成物Iを分析した結果を表2に示す。
〔比較例1〕
製造例3で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物1.00質量部に1.16質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、1N NaOH水溶液1.04質量部を滴下・混合した後、静置したが、2層に分離しなかった。
〔比較例2〕
製造例3で調製したトリグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物1.00質量部に、ヘキサン26質量部を加えて溶解した。1.16質量部の純水を添加後、攪拌・混合しながら、純水1.04質量部を滴下・混合した。2層になった上層について、減圧しながら溶媒留去した残渣を精製脂質組成物Jとして回収した。得られた精製脂質組成物Jを分析した結果を表2に示す。
Figure 2017149792
安定性試験
実施例7で得られた残渣であるリン脂質を含む混合物(精製脂質組成物G)、および製造例3で得られたオキアミ由来のトリアシルグリセリド/リン脂質/遊離脂肪酸混合物(脂質組成物C)について、密閉20mlアルミキャップバイアルに1.0g相当量の組成物を封入したものを40℃下に保存し、7日後の品質を評価した。結果について表3に記載した。
(風味の評価基準)
○:良好である
△:やや異味を感じる
×:異味を感じる
(劣化臭の評価基準)
○:良好である
△:酸化劣化臭を感じる
×:酸化劣化臭が激しい
(色の評価基準)
○:変化していない
△:褐色を帯びる
×:濃い褐色
Figure 2017149792

Claims (5)

  1. 以下の工程(1)〜(4)を有することを特徴とする、極性脂質を含有する精製脂質組成物の製造方法。
    (1)少なくとも極性脂質と遊離脂肪酸を含有する脂質組成物を、非極性有機溶媒に溶解させて脂質含有液を調製する工程
    (2)上記脂質含有液に塩基性水溶液を接触させる工程
    (3)脂質含有液である有機層から、水層及び沈殿物を分離する工程
    (4)有機層から非極性有機溶媒を除去する工程
  2. 上記極性脂質としてリン脂質を含有する、請求項1記載の精製脂質組成物の製造方法。
  3. 上記遊離脂肪酸に占める不飽和脂肪酸が30質量%以上である、請求項1又は2記載の精製脂質組成物の製造方法。
  4. 上記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムの0.1〜2N水溶液である請求項1〜3いずれか一項記載の精製脂質組成物の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれか一項記載の精製脂質組成物の製造方法により得られた精製脂質組成物。
JP2016030710A 2016-02-22 2016-02-22 極性脂質を含有する精製脂質組成物の製造方法 Pending JP2017149792A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN117820362A (zh) * 2023-12-27 2024-04-05 浙江万盛股份有限公司 一种磷酸二辛酯的提纯方法

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