JP2017155353A - 牽切紡用リサイクルポリアミドトウ及びその製造方法 - Google Patents

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拓世 江▲崎▼
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輝彦 笠原
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雄介 木下
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Abstract

【課題】マテリアルリサイクルポリアミドを原料とし、牽切紡において、安定した操業性と高品質のスライバーを得ることができるポリアミドトウを提供する。
【解決手段】マテリアルリサイクルポリアミドを原料として得られた牽切紡用ポリアミドトウであって、単繊維切断伸度が55%以下であり、繊維表面に界面活性剤が付着していることを特徴する牽切紡用ポリアミドトウ。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミドの繊維屑やポリマー屑をマテリアルリサイクルし、得られたポリアミドポリマー(以下、マテリアルリサイクルポリアミド)を、原料として製造した、牽切紡用ポリアミドトウ及びその製造方法に関するものである。
2.25dtex以下のように単糸繊度が細く、70〜130mmのように繊維長が比較的長いポリアミドステープルは、紡績性が大幅に劣るので、特にカード工程において、シリンダー巻付きによる生産性の低下、ネップ発生によるスライバーの品質低下という大きな問題があり、満足のいく細番手の紡績糸を得ることは困難とされている。
一方、細繊度繊維の紡績性向上を狙いとした紡績方法として牽切紡がある。この牽切紡はトウを牽切しながら直接スライバーとする方法であり、このスライバーからバルキースパン糸や高強度スパン糸等が製造される。
この牽切紡は比較的細繊度で繊維長が長いスライバーを容易に得ることが出来ることからアクリル系繊維やポリビニル系繊維において一般に用いられてきている。しかし、単繊維の伸度水準の関係等からポリアミド繊維やポリエステル繊維は牽切紡することが難しく、これら繊維には牽切紡は殆ど適用されていなかった。
そこで、ポリエステル系繊維の牽切紡を可能とするため、低伸度化により牽切性を改善する方法が提案された(特許文献1)。
また、ポリアミド繊維の牽切紡の工業的実施化も検討され、ポリアミドトウを構成する単繊維の繊度や切断伸度等を特定値とする方法が提案された(特許文献2)。この方法により、ポリアミド繊維の牽切紡の工業的実施はある程度可能となり、比較的細繊度で繊維長の長いポリアミドスライバが得られるようになった。
しかしながら、特許文献2で提案されている方法では、工業的に安定生産するという観点から十分な牽切性とは言い難いものであった。牽切性改善を目的として、従来の油剤に、新たに不活性微粒子(シリカ)を加えた油剤を使用し、給油処理を行ったポリアミドトウの製造方法が提案された(特許文献3)。
特許文献3に提案されている製造方法では、牽切性は改善されたものの、6時間以上の長時間生産において、工程途中に脱落した不活性微粒子が熱の影響を受け、固着する。トウ製造時に、ポリアミドトウが固着物に接触し、トウ表面に付着するため、ポリアミドトウの品位低下、およびローラー巻付き等の牽切時のトラブルが発生する場合がある。このため、定期的(1回/6時間)に固着物の除去作業が必要であり、生産効率が良くないといった課題がある。
また、近年、資源の再利用や地球環境保護への関心の高まりから、様々な分野で産業廃棄物量削減の取り組みが盛んに行われている。資源循環型の社会への転換を推進するために、牽切紡用ポリアミドトウ用に使用されているポリマー、いわゆる新鮮なモノマーを重合して得られるバージンポリマーは、石油由来原料を使用しているため、熱可塑性ポリマーの屑をリサイクル原料として再利用するという取り組みが検討されている。
ナイロン6に関しては、モノマーであるカプロラクタムにまで解重合し、解重合で得られたカプロラクタムを再重合してチップ化するというケミカルリサイクルが可能なポリアミドとして知られている。また、解重合は行わず、ポリアミド屑を溶融しチップ化するマテリアルリサイクルも知られている。マテリアルリサイクルで得られたポリアミドチップは、繊維製造工程で発生するポリアミドの繊維屑やポリマー屑を溶融しチップ化するためリサイクル工程は単純であり、コスト面ではバージンポリマーに対し優位性がある。
しかし、マテリアルリサイクルで得られたポリアミドチップを用いた場合、紡糸時の糸切れが起こりやすい。また、得られた繊維は、強度や伸度などの物性が劣る傾向があり、実用に耐えないことが多いなどの課題がある(特許文献4)。
特開昭53−98418号公報 特開平2−41422号公報 特開平5−302218号公報 特開2009−209464号公報
本発明は、上述した従来技術の背景に鑑み、ポリアミド繊維の製造工程などで発生する繊維屑やポリマー屑をマテリアルリサイクルし、原料として再利用することで環境に優しく、低コスト、且つ従来品と同等の繊維物性、および牽切性を有する牽切紡用ポリアミドトウを提供するものである。
さらに本発明は、上記した欠点を解消し、高品質かつ操業よく牽切紡が行うことができるリサイクルポリアミドトウの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、本発明の牽切紡用ポリアミドトウは、マテリアルリサイクルポリアミドポリマーを原料とした牽切紡用ポリアミドトウであり、単繊維切断伸度が55%以下で繊維表面に界面活性剤が付着していることを特徴する。
また、本発明の牽切紡用ポリアミドトウの製造方法は、 溶融紡糸、冷却固化の後に、給油処理し、延伸することにより単繊維切断伸度が55%以下の牽切紡用ポリアミドトウを製造する方法において、前記給油処理を以下の[A]、[B]成分を特定の割合で配合した界面活性剤によって、表面処理されていることを特徴とする牽切紡用ポリアミドトウの製造方法。
[A]陰イオン系界面活性剤 : 70〜90重量%
[B]非イオン系界面活性剤 : 10〜30重量%
ポリアミド繊維の製造工程などで発生する繊維屑やポリマー屑をマテリアルリサイクルし、原料として再利用することで環境に優しく、低コスト、且つ従来品と同等の繊維物性、および牽切性を有する牽切紡用ポリアミドトウを得ることができる。 また、高品質かつ操業よく牽切紡が行うことができるリサイクルポリアミドトウの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明とする。
本発明におけるトウは、マテリアルリサイクポリアミドを原料とした、ポリアミド系繊維からなる。そのポリアミド系繊維としては種々のポリアミド繊維が使用可能であるが、コスト、機械的物性、熱的性質等の点から実質的にナイロン6あるいはナイロン66からなる繊維が最も好ましい。
本発明において、マテリアルリサイクルポリアミドとしては、解重合は行わず、ポリアミドの繊維屑および/またはポリマー屑を溶融して得られたポリアミドをいう。ポリアミドの繊維屑やポリマー屑には、ポリアミドのオリゴマーも含む。
本発明では、マテリアルリサイクルポリアミド100重量%での使用が好ましいが、使用するマテリアルリサイクルポリアミドのチップには、マテリアルポリアミドにバージンポリアミドを含有していても差し支えない。すなわち、溶融紡糸するに際して、マテリアルリサイクルポリアミドのチップに加えて、バージンポリアミドのチップを加えてもよい。
ただ、地球資源の再利用、地球環境保護といった観点から、原料内に含有するバージンポリアミドは、50重量%以下、より好ましくは、25重量%以下である。
本発明において、製糸工程とは、ポリマーを紡出する工程、延伸する工程、収納する工程など繊維の製造に関する全ての工程を含むものである。
本発明では、ポリアミドトウは、製糸工程において発生するポリアミドの繊維屑またはポリマー屑を再度溶融しチップ化したマテリアルリサイクルポリアミドのチップを溶融紡糸することにより、製造される。もちろん、製糸工程において発生するポリアミドの繊維屑とポリマー屑とを混合して再度溶融しチップ化しても良い。
本発明において、マテリアルリサイクルポリアミドの原料としては、繊維形成性のポリアミドであるという点で、製糸工程すなわち繊維製造工程において発生する繊維屑またはポリマー屑、いわゆる工程屑であることが重要である。例えば、口金取り付け前に、配管内を押し流す際に発生するポリマー屑や、口金取り付け後に、紡糸が安定化し製品として採取するまでの間の繊維屑や、紡糸や延伸工程での、巻き付きトラブルなどで発生する繊維屑を好ましく用いることができる。
これらの工程屑は、チップとするため溶融する前に、粉砕し細かく分割しておくことが好ましい。溶融に際しては混練することが好ましく、具体的には2軸ベントエクストルーダーを好ましく使用できるが、1軸エクストルーダーであっても構わない。溶融後、口金を通じ押し出した後に、所定の長さに切断し、チップとなす方法が好ましく用いられる。
この際、工程屑には異物、炭化物や酸化チタン等の添加物の凝集物等が含まれ、そのままチップ化した場合、紡糸性の悪化や紡糸口金パックの濾圧上昇などの原因となる。そのため、溶融後、ポリマー内に混入している異物等を、第1のフィルターを通し濾過することが重要となる。この際のフィルターは紡糸への影響を最小限とするために、紡出口金パックで使用する第2のフィルターより網目が5〜15μm細かいものを用いて濾過することが好ましい。具体的には、紡糸口金パックに網目25〜65μmのフィルターを用いる場合、チップ化の際のフィルターは網目40〜80μmのものを用いるのが好ましい。たとえば、紡糸口金パックに網目70μm(325#)のフィルターを使用する場合には、チップ化の際のフィルターは網目58μm(400#)のものを使用するのである。第1のフィルターの網目が第2のフィルターに比べ、粗すぎると紡糸パックの閉塞が発生しやすく、細かすぎるとチップ化の際にフィルター交換が多くなり、材料のロスや製造コストの悪化等の問題がある。なお、用いるフィルターについては、第1のフィルター、第2のフィルターともに、金属線フィルターや金属線不織布、平板状や波形、山形等いずれであってもかまわない。
本発明において、ポリアミドとしては、一般的に繊維製造に用いられるポリアミドであれば用いることができ、例えばナイロン6やナイロン66あるいは両者の共重合体や、ナイロン12などが好適に用いられる。
一般にポリアミド繊維には、艶消し剤として酸化チタンが用いられることが多いが、本発明におけるマテリアルリサイクルポリアミドにも酸化チタンを含んでいても構わない。通常、繊維の艶消し剤として用いる酸化チタンの粒径は0.1〜10μm程度であり、第1のフィルターでも、ほとんど濾過されないので、工程屑に酸化チタンが含まれていれば、マテリアルリサイクルポリアミドにもそのまま残存することになる。まれに溶融時に凝集した酸化チタンの粗大粒子が発生する場合もあるが、そのような粗大粒子は第1のフィルターにて濾過されるため、操業性へはほとんど影響を与えない。工程屑に含まれる酸化チタンの量のみで不足する場合には、さらに酸化チタンを追加して添加すれば良い。酸化チタンを添加する場合には、チップ化する前に酸化チタンを添加しても、繊維となすため溶融紡糸する際に酸化チタンを高濃度に含む他のチップをブレンドすることにより添加しても良い。マテリアルリサイクルポリアミドに含まれる酸化チタン含有量は、製糸性を悪化させないことを考慮すれば、0.01〜40重量%の範囲内が好ましく、より好ましくは、0.03〜2重量%である。
また、用途によりヨウ化銅などの耐候剤や、銀化合物などの抗菌剤や、その他の添加剤を添加する場合もあるが、これらを含有していても構わない。
本発明で用いるマテリアルリサイクルポリアミドの分子量(重合度)については、製糸性や繊維の物理特性を良好とする観点より、25℃における98%硫酸相対粘度(ηr)が1.8以上で4.5以下であることが好ましい。
本発明で用いるマテリアルリサイクルポリアミドのアミノ末端基量としては、染色性への影響を考慮し、4×10−5モル/g以上、6×10−5モル/g以下であることが好ましい。
本発明のトウを構成する単繊維は、繊維表面に[A]陰イオン系界面活性剤及び[B]非イオン系界面活性剤からなる油剤が付着していることを特徴としている。
[A]陰イオン系界面活性剤としては、高級脂肪酸のカルボン酸塩、高級アルコールや高級アルキルエーテルの硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、パラフィンスルフォン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物リン酸エステル塩などが使用される。なかでも、炭素数が12〜18の高級アルコールリン酸エステルのカリウム塩のような高級アルコールリン酸エステル塩が好ましい。[A]成分の全油剤に占める配合比率は70〜90重量%が好ましく、より好ましくは75〜85重量%である。70重量%未満であると制電性が著しく悪くなるため、牽切時の金属ローラー巻き付きの原因となり、逆に90重量%を越えるとスカム脱落が増加するため、ゴムローラー巻き付きの原因となり、好ましくはない。
また、[B]非イオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型、多加アルコール型などが使用される。なかでも、プロピレンオキサイド/エチレンオキサイドランダムポリーエーテルのようなポリエチレングリコール型が好ましい。[B]成分の全油剤に占める配合比率は10〜30重量%が好ましく、より好ましくは15〜25重量%である。10重量%未満であると、繊維間の平滑性が損なわれるため牽切性が著しく悪くなり、逆に30重量%を越えると、スカム脱落が増加するため、ゴムローラー巻き付きの原因となり、好ましくはない。
トウへの付着量(トウ付着油分量)は0.1〜2.0重量%であることが好ましい。0.1重量%未満の場合、牽切性の十分な向上効果が得られ難く、また、2.0重量%を超える場合は、牽切時にローラーへの界面活性剤脱落が生じ易く、逆にローラーへの巻付き等のトラブルを誘発する。
本発明のトウを構成する単繊維は、その切断伸度(平均値)は55%以下であるものであり、25〜50%が好ましく、より好ましいのは30%〜45%である。単繊維切断伸度が55%を超えると、牽切性が著しく悪くなり、25%未満であると牽切時に単繊維切れを原因とするローラー巻き付きが多発し、工程通過性が著しく悪化するため、好ましくない。
また、その単糸繊度や断面形状は特に限定するものではない。例えば、2.25dtex以下のような比較的細繊度としてカシミヤ獣毛のようなソフトな風合としてもよいし、また、2.7dtex 程度のウール等と混紡して相手素材の風合を活かしながら細番手化を図ってもよい。その断面形状は、丸断面の他、三角断面、四角断面等の多角形断面、偏平断面、中空断面等であってもよい。
本発明のトウの総繊度は操業性、生産性、牽切装置の能力、梱包形態等の観点から、10〜100ktexであることが好ましく、さらに、30〜60ktexであることが好ましい。
本発明のトウの構成する単繊維の平均強度は、抗ピル性を考慮に入れつつ布帛製造時の実用性をも鑑みて3〜9cN/dtexとすることが好ましい。
次に、前記したポリアミドから本発明のトウを製造する方法について説明する。
前記した方法で製造したマテリアルリサイクルポリアミドを溶融紡糸に供する。このマテリアルリサイクルポリアミドは、一旦固化されたチップ状ポリアミドをエクストルーダーやプレッシャメルタ方式等の紡糸機で再溶融させて供するものであってもよいし、また、重合後直接に紡糸に供するものであってもよい。
その溶融ポリアミドは、紡糸口金を介して吐出され繊維状とされる。この際、繊維の断面形状あるいは複合状態等は特に限定されない。紡糸口金から吐出された繊維状物は、通常の方法で冷却固化された後に引取られる。その引取り方法としてはドラムに巻取る方法、缶に収納する方法等がある。また、その引取り速度は特に限定されない。300m/分程度の低速で引取ってもよいし、2500m/分程度以上、さらには、5000m/分以上のような高速で引取ってもよい。
その引取速度が十分に高く高配向が得られている場合は、実質的に延伸することなく牽切紡に供することもできるが、それ以外の未延伸や中間配向の場合は、その後に延伸して牽切紡に供される。
引取られたトウは、通常、延伸後の総繊度が10〜100ktexになるようにその複数本を引揃えた後に延伸される。その延伸方法は、通常、周速の異なるローラー間でトウを延伸する方法が採られる。その延伸の際には、蒸気や熱水で加熱して延伸性を向上させる方法を用いてもよい。
単繊維の切断伸度が55%以下のように低いトウとするためには、例えば、延伸の後に、熱板あるいは熱ドラム上で収縮を制限しながら熱処理する方法をとればよい。その熱処理温度は100〜200℃が好ましく、その間若干の延伸あるいは弛緩を施してもよい。
その後、トウは、紡績性向上等のために、通常、押し込み型捲縮付与装置により捲縮を付与され、さらに必要に応じて100℃以下の温度で乾燥される。
本発明のトウの繊維表面に付着している界面活性剤は、上記製造工程の任意の段階で、それぞれ単独であるいは同時に付与すればよく、なかでも、トウを給油処理する際に両成分を同時に含む油剤液によって付与することが好ましい。
界面活性剤を含む油剤液のトウへの付与は、浸漬法、噴霧法(スプレー法あるいはシャワー法)により行えばよい。その付与工程は、トウの延伸前、延伸後、定長下での熱処理後、捲縮付与後、乾燥後のいずれであってもよく、これらの工程のうちの一箇所あるいは複数箇所にて実施すればよい。特にトウの延伸前に浸漬法にて付与することが好ましい。
この給油処理の油剤液は水エマルジョン液であることが好ましく、その濃度は0.5〜10重量%程度、界面活性剤の含有量は0.5〜10重量%程度であればよい。
本発明の牽切紡用ポリアミドトウはトウ牽切装置により牽切されてスライバーとされ、その後、極細紡績糸等の状態で織物、編物の形態で用途に応じた布帛製品とすればよい。
これら布帛化までの工程で、この合成繊維は、他の合成繊維、例えば、通常のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維あるいは、綿、ウールなどの天然繊維等と混用(例えば、混紡、交編、混織等)して用いてもよい。これら布帛は、アウターやインナー等の衣料用途に好ましく用いることが出来る。
次に、本発明について実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
なお、以下における特性値等は次の方法により測定した。
(1)ポリアミドの25℃における98%硫酸相対粘度(ηr):オストワルド粘度計を用いて、0.01g/mLの98%硫酸溶液/25℃の相対粘度を測定した。
(2)ポリアミドのアミノ末端基量:資料1gを50mLのフェノール/エタノール=8/2混合溶液で溶解、N/50塩酸水溶液でチモールブルーを指示薬として中和滴定し、塩酸消費量からアミノ基濃度を求めた。
(3)トウ総繊度、単繊維繊度:JIS L 1015−7−5−1A(2010年版)の方法に準じた。
(4)単繊維の強度、伸度:JIS L 1015−7−7−1の方法に準じた。
(5)単繊維の捲縮数、捲縮率:JIS L 1015−7−12−1,2の方法に準じた。
(6)トウ付着油分量:JIS L 1015−7−22(2)の方法に準じて抽出分(重量%)を求める。次に、この抽出分を分解してケルダール窒素定量法によりポリアミドポリマーのモノマー、オリゴマー相当量(以下MO量、重量%)を求める。そして、下記式によりトウ付着油分量を算出する。
トウ付着油分量(重量%)=抽出分−MO量
ただし、抽出分の分解には分解剤として硫酸ナトリウム:硫酸カリウム:硫酸銅=1:2:1(重量比)の混合物を使用し、濃硫酸を加えて加熱分解する。
(7)油剤有効成分濃度:油剤約10gをコニカルビーカーにとり90〜98℃の乾燥機中で十分に蒸発乾固させた。その蒸発乾固前の油剤重量(W2)、その蒸発乾固後の油剤重量(W3)をそれぞれ測定し、次式にて算出する。
油剤有効成分濃度(重量%)=(W3/W2)×100
(8)糸切れ発生頻度:1t生産時あたりの糸切れ回数
(9)固着物有無:8時間生産時の固着物の発生状況について評価した。
○:固着物無し
×:固着物有り
(10)牽切性:牽切時の集団切れの発生状況、ローラーへのトウ巻付きの発生状況、及び牽切時の装置停止頻度から、牽切性を相対評価した。
○:良好
×:不良
(11)スライバーの平均繊維長:JIS L 1015A(ステープルダイヤグラム法、2010年版)の方法に準じた。
(12)スライバーの品質:繊維長のばらつき、スライバー斑の程度等から相対評価した。
○:良好
×:不良
なお、それぞれの実施例、比較例において、使用した陰イオン系界面活性剤は、ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩、アルキル(C12〜C14)アルコール系リン酸エステルカリウム塩、ラウリルイミダソリンNa塩、非イオン系界面活性剤は、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリアルキルエーテル、不活性微粒子は、平均粒径15mμのシリカである。
[実施例1]
ナイロン6を用いて紡糸をスタートする際に発生したポリマー屑、製品採取前の繊維屑及び、紡糸及び延伸工程での巻きつき糸を採取し、これを原料として粉砕し細かく分割してから、1軸のエクストルーダーで溶融及び混練を行い、網目58μmの金属線平板状フィルターにて濾過を行い、口金から吐出して切断することにより、原料のマテリアルリサイクルのナイロン6チップ(以下、リサイクルナイロン6チップ)を得た。リサイクルナイロン6チップは、25℃における98%硫酸相対粘度(ηr)が2.7、アミノ末端基量が4.7×10−5モル/g、二酸化チタン含有量が0.30重量%であった。
265℃に加熱した紡糸口金から、リサイクルナイロン6チップを繊維状に溶融吐出し1300m/分で引取った未延伸サブトウを、最終的な総繊度が約45ktexになるように複数本引揃え、未延伸トウとした。
この未延伸トウを、油剤浴中を通過させゴム製ニップローラで挟んで付着量を制御した後、水蒸気中にて3.0倍に延伸した。その油剤液は、次の濃度、組成からなる水エマルジョンであった。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 80重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル 20重量部
その後、170℃の熱ドラム上で熱処理し、前記油剤中と同じ界面活性剤成分を付与した後、押し込み型捲縮付与装置によって捲縮を付与した。得られたトウの物性を表1に示す。
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。
次いで、このトウをオーエム製作所(株)製“トウリアクター”TR−II型を用い、トウ延伸部の全倍率1.1倍、メインカットゾーンの延伸倍率2.6倍の条件で牽切紡を行なった。その牽切紡装置は、トウを延伸、牽切する領域が6段階の多段延伸型になっているもので、トウの延伸を行なうゾーン(トウ延伸部)が3段、次に、メインカットゾーンが1段、さらに次に、構成トウの95%以上を繊維長20cm以下に修正カットするゾーンが2段と、順次配置されていた。
その牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[実施例2]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 70重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル 30重量部
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[実施例3]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 90重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル 10重量部
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[実施例4]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
アルキル(C12〜C14)アルコール系リン酸エステルカリウム塩 80重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリアルキルエーテル 20重量部
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[実施例5]
延伸倍率変更に応じて吐出量を変更し、延伸倍率を3.1倍とした以外は、実施例1と同様の条件で製造し、単繊維切断伸度が45%を下回るナイロン6トウを製造した。
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[実施例6]
リサイクルナイロン6チップと新鮮なモノマーを重合して得られたバージンナイロン6チップを以下の比率で混合し、原料に用いた以外は、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。バージンナイロン6チップは25℃における98%硫酸相対粘度(ηr)が2.6、アミノ末端基量が5.3×10−5モル/g、酸化チタン含有量0.30重量%であった。
リサイクルナイロン6チップ 60重量%
バージンナイロン6チップ 40重量%
トウ製造時の操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。牽切性は良好で、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
実施例1〜6で得られたナイロン6スライバーとウールとをナイロン6:ウール=40:60の割合で混紡し、60番の紡績糸とした。この紡績糸からの布帛は、ウールの風合が十分に発揮され、高級感のある獣毛製品であった。
[比較例1]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 80重量部
ラウリルイミダソリンNa塩 20重量部
平均粒径が15mμのシリカの含有量(対、油剤液)0.1重量%
トウ製造開始時は、操業性およびトウ物性も良好であった。しかし、6時間以上の長期生産を行うと、工程途中に脱落した不活性微粒子が固着し、トウ表面に固着物が接触して、トウの一部が損傷した。結果として、ローラー巻付きが発生し、安定的生産が困難であったため、トウ製造を中止した。
一方、トウの牽切性については良好であったが、集団切れが発生せず、静電気発生やゴムローラーへのトウ巻き付き等のトラブルもなく、順調に牽切紡できた。また得られたスライバーは品質良好であった。
[比較例2]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 80重量部
ラウリルイミダソリンNa塩 20重量部
トウ製造開始時は、操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。しかし、牽切時に、ボトムローラー巻き付きが多発したため、スライバーを得ることができなかった。
[比較例3]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 65重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル 35重量部
トウ製造開始時は、操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。しかし、牽切時に、静電気によって金属ローラー巻き付きが多発したため、スライバーを得ることができなかった。
[比較例4]
未延伸糸に付着させる油剤液中に、次の濃度、組成からなる水エマルジョンを使用し、実施例1と同様の条件でトウを製造し、実施例1同様に牽切紡を試みた。
油剤有効成分濃度:2.0重量%
油剤有効成分組成:
ラウリルアルコール系リン酸エステルカリウム塩 95重量部
エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドランダムポリエーテル 5重量部
トウ製造開始時は、操業性およびトウ物性も良好であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されず、清掃作業は不要であった。しかし、牽切時に、スカム脱落増加により、ゴムローラー巻き付きが多発したため、スライバーを得ることができなかった。
[比較例5]
延伸倍率変更に応じて吐出量を変更し、延伸倍率を2.9倍とし、さらに熱ドラムでの処理を行わなかった以外は、実施例1と同様の条件で製造し、単繊維切断伸度が55%を超えるナイロン6トウを製造した。
トウ製造時の操業性は良好であったが、トウ物性は、表1に示す通りであり、実施例1対比、単繊維切断伸度が68%と高目であった。また、トウ製造時、固着物の発生は確認されなかったため、清掃作業は不要であった。
実施例1同様に牽切紡を試みた。牽切時延伸倍率を2.7〜4.0倍と変更して、トウ構成単繊維の伸度に応じた適正な倍率を探したが、どの倍率でも牽切時の集団切れやノードラフトのトラブルを解消することはできなかった。結果として、単繊維切断伸度が55%を超えているために、スライバーを得ることが出来なかった。
Figure 2017155353

Claims (2)

  1. マテリアルリサイクルポリアミドを原料として、得られた牽切紡用ポリアミドトウであって、単繊維切断伸度が55%以下であり、繊維表面に界面活性剤が付着していることを特徴する牽切紡用ポリアミドトウ。
  2. マテリアルリサイクルポリアミドを原料として、溶融紡糸、冷却固化の後に、給油処理し、延伸することにより単繊維切断伸度が55%以下の牽切紡用ポリアミドトウを製造する方法において、前記給油処理を以下の[A]、[B]成分を特定の割合で配合した界面活性剤によって、表面処理されていることを特徴とする牽切紡用ポリアミドトウの製造方法。
    [A]陰イオン系界面活性剤:70〜90重量%
    [B]非イオン系界面活性剤:10〜30重量%
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