JP2017158365A - バッテリ電圧の監視装置 - Google Patents

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龍彦 梅谷
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大吾 岡本
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Abstract

【課題】セル電圧の実際値に対してモニター値が乖離している場合であっても使用範囲からのセル電圧の逸脱を未然に回避でき、これにより過剰な充放電に起因するバッテリの劣化等の不具合を防止できるバッテリ電圧の監視装置を提供する。
【解決手段】予めセル電圧の使用範囲の上限電圧より低電圧側に充電抑制点を設定し、使用範囲の下限電圧より高電圧側に放電抑制点を設定しておく。バッテリ5の充放電中において、使用範囲内で何れかのセルの電圧が上昇して充電抑制点に達したときにバッテリ5への充電電流を低減し、何れかのセルの電圧が下降して放電抑制点に達したときにバッテリ5からの放電電流を低減する。これによりセル電圧を上限電圧や下限電圧に緩やかに接近させて、使用範囲を逸脱したときの充放電の中止遅れを防止する。
【選択図】図4

Description

本発明は、バッテリ電圧の監視装置に係り、詳しくはバッテリを構成するセルの過剰な充放電を防止するための監視装置に関する。
例えば電気自動車やハイブリッド車両等の電動車両では、モータ2を駆動するためのバッテリとして多数のセルを接続した組電池が用いられており、全てのセルはバッテリの充放電に伴って一括して充放電されるようになっている。使用可能な電圧の範囲(以下、使用範囲という)を外れたセルの過剰な充放電は劣化等の要因になることから、セルの電圧が使用範囲を外れたときにはバッテリの充放電を中止する対処を実施している。製造バラツキ等に起因するセルの固体差により、バッテリが充放電されるときの各セルの電圧変化が相違することから、上記した電圧監視は全てのセルに対して実行されている。
より具体的に述べると、例えば、各セルの電圧の計測処理はセルモニターユニット(以下、CMUという)により実行され、所定周期で計測した全セルの電圧情報がCMUから上位の制御ユニットであるバッテリECUに送信される。バッテリECUではバッテリのSOC(充電率:State Of Charge)の算出等のバッテリ管理に関する処理が実行されると共に、そのSOC情報等と共にセル電圧の情報が上位の制御ユニットである車両ECUに送信される。受信したSOC情報等に基づき、車両ECUによりモータ2の力行制御や回生制御が実行されると共に、セル電圧の情報に基づき何れかのセル電圧が使用範囲を逸脱していると判定したときにはバッテリの充放電が中止される。
しかしながら、車両ECUで充放電の中止処理に適用される各セルの電圧(以下、モニター値という)は実際のセル電圧(以下、実際値という)に対し遅延方向に乖離を生じ、これに起因して、モニター電圧が使用範囲を外れたときの充放電中止の対処が遅れるという問題がある。このような乖離現象は、CMUによるセル電圧の周期的な計測、及びCMUと車両ECUとの間の通信遅れの2つの要因により生じる。
図2に示すように、バッテリの充電時には上昇中の実際値が所定周期でモニター値として計測され、図3に示すように、バッテリの放電時には下降中の実際値が所定周期でモニター値として計測される。何れの場合もモニター値は計測周期毎に実際値と一致するものの、そのモニター値が次の計測タイミングまで適用されることで実際値との間に周期的な遅延方向の乖離が生じる。
また、上記CMU、バッテリECU及び車両ECUは、例えばCAN(Controller Area Network)を介して相互通信している。その関係を図1に示すが、セル電圧の送受信は互いの制御ユニットの演算周期に応じて実行されるため、CMU6からバッテリECU7への送受信の際、及びバッテリECU7から車両ECU8への送受信の際にそれぞれ遅延が発生し、この点も実際値に対するモニター値の乖離を助長する要因となる。
結果として、実際値に対して遅れをもって追従するモニター値に基づき、車両ECUによるバッテリの充放電中止が実施される。よって、図4に破線で示すように、バッテリの充電時には充電中止の対処が遅れることによりセル電圧(実際値)が一時的に上限電圧を超えてしまい、放電時には放電中止の対処が遅れることによりセル電圧が一時的に下限電圧を超えてしまう。
このような不具合に着目した技術として、特許文献1の技術を挙げることができる。当該特許文献1の技術は、充電器によるバッテリへの充電を終了する際に、充電電流の低下遅れに起因してバッテリの過充電が発生する不具合への対策として、現在のセル電圧の上昇状況に基づき、充電器の電流制御が追従可能な応答時間後のセル電圧を予測し、その予測値が所定の上限値に達した時点で充電器の出力電流を低下させ、これにより充電終了のタイミングの最適化を図っている。
特開平09−200968号公報
上記した特許文献1の技術は、セル電圧を予測することにより実際値に対する予測値(モニター値)の乖離を解消する趣旨であるが、充電中のセル電圧の上昇状況には、例えばバッテリのSOHやバッテリ温度等の多数の要件が影響することから、正確にセル電圧を予測するのは現実的に不可能である。このため実際値に対するモニター値の乖離を解消できず、依然として最適なタイミングで充電を終了できずにセルが過充電されてしまい、問題解決にはなり得なかった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、セル電圧の実際値に対してモニター値が乖離している場合であっても使用範囲からのセル電圧の逸脱を未然に回避でき、これにより過剰な充放電に起因するバッテリの劣化等の不具合を防止することができるバッテリ電圧の監視装置を提供することにある。
上記の目的を達成するため、本発明のバッテリ電圧の監視装置は、バッテリ充放電手段により充放電制御されるバッテリの各セルの電圧を所定周期でそれぞれ計測するセル電圧計測手段と、前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの充電に伴って前記セル電圧計測手段により計測された何れかのセルの電圧が予め設定された使用範囲の上限電圧を超えたとき、又は前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの放電に伴って前記何れかのセルの電圧が前記使用範囲の下限電圧を超えたときに、前記セルの電圧を前記使用範囲内にとどめるべく前記バッテリの充放電を中止する充放電中止手段と、前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの充放電中において、前記使用範囲内で前記何れかのセルの電圧が上昇して前記上限電圧よりも低電圧側に設定された充電抑制点に達したときには、前記バッテリへの充電電流を低減し、前記使用範囲内で前記何れかのセルの電圧が下降して前記下限電圧よりも高電圧側に設定された放電抑制点に達したときには、前記バッテリからの放電電流を低減する充放電抑制手段とを備えたことを特徴とする(請求項1)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、セル電圧計測手段による各セルの電圧の周期的な計測に起因して、セルの電圧の実際値に対して充放電中止手段の充放電中止に適用されるモニター値が遅延方向に乖離し、充放電の中止を遅らせる要因になる。本発明では、使用範囲内で何れかのセルの電圧が上昇して充電抑制点に達すると、バッテリへの充電電流の低減により上昇速度が低められてセルの電圧が緩やかに上限電圧に接近する。また何れかのセルの電圧が下降して放電抑制点に達すると、バッテリへの放電電流の低減により下降速度が低められてセルの電圧が緩やかに下限電圧に接近する。よって、実際値に対し遅れをもって追従するモニター値に基づく場合であっても充放電の中止が遅滞なく実施され、セルの電圧が使用範囲から逸脱する事態を回避可能となる。
その他の態様として、前記セル電圧計測手段と前記充放電中止手段とが通信線により接続され、該通信線を介して前記セル電圧計測手段により計測された前記セルの電圧を前記充放電中止手段に送信することが好ましい(請求項2)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、セル電圧計測手段と充放電中止手段との間の通信遅れに起因して、実際値に対するモニター値の乖離がより助長されるが、この場合でも充放電中止手段による充放電の中止が遅滞なく実施される。
その他の態様として、前記バッテリの劣化指標を算出するバッテリ劣化推定手段、又は前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段の少なくとも一方と、前記バッテリ劣化推定手段による劣化指標が劣化側であるほど、又は前記バッテリ温度検出手段によるバッテリ温度が低いほど、前記充電抑制点を低電圧側に補正し、前記放電抑制点を高電圧側に補正する抑制点補正手段とをさらに備え、前記充放電抑制手段が、前記抑制点補正手段による補正後の前記充電抑制点及び前記放電抑制点に基づき前記充電電流及び放電電流を低減することが好ましい(請求項3)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、バッテリが劣化するほど、或いはバッテリ温度が低いほど、実際値に対するモニター値の乖離が顕著化するが、それに応じて充電抑制点が低電圧側に補正され、放電抑制点が高電圧側に補正される。このため、セルの電圧が上昇したときの充電電流の低減、及びセルの電圧が下降したときの放電電流の低減がより早期に開始され、セルの電圧の使用範囲からの逸脱が一層確実に防止される。
その他の態様として、前記バッテリの劣化指標を算出するバッテリ劣化推定手段、又は前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段の少なくとも一方と、前記バッテリ劣化推定手段による劣化指標が劣化側であるほど、又は前記バッテリ温度検出手段によるバッテリ温度が低いほど、前記充放電抑制手段による充電電流及び放電電流の低減度合いを高める低減度合い設定手段とをさらに備え、前記充放電抑制手段が、前記低減度合い設定手段により設定された低減度合いに基づき前記充電電流及び放電電流を低減することが好ましい(請求項4)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、バッテリが劣化するほど、或いはバッテリ温度が低いほど、実際値に対するモニター値の乖離が顕著化するが、それに応じて充電電流及び放電電流の低減度合いが高められる。このため、セルの電圧が上昇したときの充電電流の低減、及びセルの電圧が下降したときの放電電流の低減がより急激に行われ、セルの電圧の使用範囲からの逸脱が一層確実に防止される。
その他の態様として、前記抑制点補正手段が、同一の劣化指標及び同一のバッテリ温度において、前記放電抑制点よりも前記充電抑制点をより大きく補正することが好ましい(請求項5)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、放電側に比較してバッテリの劣化やバッテリ温度の低下の影響を受け易い充電側では、より早期に充電電流が低減される。このため、充放電の特性に応じて充電電流及び放電電流の低減を一層適切なタイミングで開始可能となる。
その他の態様として、前記低減度合い設定手段が、同一の劣化指標及び同一のバッテリ温度において、前記放電電流の低減度合いよりも前記充電電流の低減度合いをより高めることが好ましい(請求項6)。
このように構成したバッテリ電圧の監視装置によれば、放電側に比較してバッテリの劣化やバッテリ温度の低下の影響を受け易い充電側では、より急激に充電電流が低減される。このため、充放電の特性に応じて充電電流及び放電電流を一層適切な速度で低減可能となる。
本発明のバッテリ電圧の監視装置によれば、セル電圧の実際値に対してモニター値が乖離している場合であっても使用範囲からのセル電圧の逸脱を未然に回避でき、これにより過剰な充放電に起因するバッテリの劣化等の不具合を防止することができる。
実施形態のハイブリッド車両用のバッテリ電圧の監視装置を示す全体構成図である。 バッテリの充電に伴ってセル電圧が上昇したときの実際値に対するモニター値の乖離を示すタイムチャートである。 バッテリの放電に伴ってセル電圧が下降したときの実際値に対するモニターの乖離を示すタイムチャートである。 セル電圧が上昇及び下降したときの制御状況を実施形態と特許文献1の技術とで比較したタイムチャートである。 車両ECUにより実行されるバッテリ電圧監視ルーチンを示すフローチャートである。 充電及び放電抑制処理による充電電流及び放電電流の抑制状況を示す特性図である。 実際値とモニター値との偏差ΔVに対するSOH及びバッテリ温度の影響を示す特性図である。 充電時における充電抑制点の補正量を設定するためマップを示す説明図である。 放電時における放電抑制点の補正量を設定するためマップを示す説明図である。
以下、本発明をハイブリッド車両用のバッテリ電圧の監視装置に具体化した一実施形態を説明する。
図1は本実施形態のハイブリッド車両用のバッテリ電圧の監視装置を示す全体構成図である。
本実施形態の車両1は、走行用動力源としてモータ2及びエンジン3を備えたハイブリッド車両であり、モータ2及びエンジン3は変速機4を介して車両1の駆動輪に連結されている。モータ2はバッテリ5からの電力供給により駆動されると共に、ジェネレータとしても機能して発電電力をバッテリ5に充電し、この充放電の際のバッテリ5の電圧(詳しくは、後述するセル電圧)を監視するためにバッテリ電圧の監視装置が搭載されている。但し、車両1の種別はこれに限るものではなく、例えば走行用動力源としてモータを搭載した電気自動車として具体化してもよい。
車両1の制御系は複数の制御ユニットにより分担されており、最も下位の制御ユニットの1つとしてCMU(セルモニターユニット)6が備えられている。このCMU6はバッテリ5の各種情報を取得する役割を果たし、そのためにバッテリ5の上部に設置されている。バッテリ5は多数のセルから構成される組電池であり、それらのセルをバッテリパックに収容して構成されている。それぞれのセルに対してCMU6は電気的に接続されており、各セルの電圧や温度(以下、セル情報と総称する場合もある)を計測するようになっている(セル電圧計測手段)。
CMU6には、上位の制御ユニットとしてバッテリECU7がCAN10(通信線)により接続されており、このバッテリECU7はCAN10を介してCMU6から受信されるセル情報に基づきバッテリ5のSOCの算出等の各種処理を実行すると共に、以下に述べる車両ECU8に対してCMU6からのセル情報を中継する役割も果たす。
バッテリECU7には、最も上位の制御ユニットとして車両ECU8がCAN10により接続されており、この車両ECU8が車両1全体の総合的な制御を実行する。例えば車両ECU8は、モータ2及びエンジン3の回転速度、変速機4の変速段、車速、運転者によるアクセル操作やブレーキ操作等の検出情報を各種センサ類9から入力すると共に、上記CMU6により計測されたセル情報やバッテリECU7により算出されたSOC等の情報も入力する。
そして、それらの情報に基づき、車両ECU8はバッテリECU7やCMU6等の下位の制御ユニットに各種指令を送信し、これによりモータ2及びエンジン3の運転制御、変速機4の変速制御等を実行する。モータ2の運転制御に関しては、例えば車両1の走行中にバッテリ5からの放電電力によりモータ2を力行制御して運転者のアクセル操作に応じたトルクを発生させたり、或いは、アクセルオフによる車両1の減速中にモータ2を回生制御して回生電力をバッテリ5に充電したりする(バッテリ充放電手段)。
セル情報の1つとしてCMU6が行うセル電圧の計測処理は、以下の手順で実行される。
図2はバッテリ5の充電に伴ってセル電圧が上昇したときの実際値に対するモニター値の乖離を示すタイムチャート、図3はバッテリ5の放電に伴ってセル電圧が下降したときの実際値に対するモニターの乖離を示すタイムチャート、図4はセル電圧が上昇及び下降したときの制御状況を実施形態と特許文献1の技術とで比較したタイムチャートである。
CMU6はバッテリ5を構成する全てのセルの電圧を所定周期でそれぞれ計測しており、図2に示すバッテリ5の充電時には上昇中のセル電圧が計測され、図3の放電時には下降中のセル電圧が計測される。そして計測の完了毎に、各セル電圧はモニター値としてCMU6からバッテリECU7を経て車両ECU8に逐次送信される。車両ECU8側では、受信したセル電圧に基づき、何れかのセル電圧が予め設定された使用範囲の上限電圧を超えたり下限電圧を超えたりして使用範囲内から逸脱すると、そのセル電圧を使用範囲内にとどめるべくバッテリ5の充放電を中止する対処を実施する(充放電中止手段)。
しかし、[背景技術]で説明したように、CMU6によるセル電圧の周期的な計測、及びCMU6と車両ECU8との間の通信遅れに起因して実際値からモニター値が乖離し、この乖離現象により車両ECU8による充放電中止の対処が遅れ、図4中に破線で示すように、セル電圧(実際値)が上限電圧や下限電圧を超えて使用範囲から逸脱してしまう。また、その対策として、セル電圧の予測により実際値に対する予測値(モニター値)の乖離解消を図った特許文献1の技術では、正確な電圧予測が不可能であることから問題解決にはなり得ない。
以上の不具合を鑑みて本発明者は、実際値からのモニター値の乖離はやむを得ないものと見なし、セル電圧が使用範囲を逸脱する際のセル電圧の変化速度に着目した。即ち、たとえ乖離現象により実際値に対し遅れをもってモニター値が追従していたとしても、使用範囲を逸脱する直前に実際値の変化速度が低下すれば、モニター値に基づき使用範囲内からの実際値の逸脱を防止できるとの知見に至った。
この知見に基づき車両ECU8により実行されるバッテリ電圧監視制御を、以下に第1及び第2実施形態として説明する。
[第1実施形態]
本実施形態ではバッテリ電圧監視制御を実行するために、図4に示すように、予めセル電圧の使用範囲の上限電圧より若干低電圧側に充電抑制点を設定し、使用範囲の下限電圧より若干高電圧側に放電抑制点を設定しており、これらの抑制点に基づきセル電圧の上昇及び下降を抑制することにより使用範囲からの逸脱を防止している。
図5は車両ECU8により実行されるバッテリ電圧監視ルーチンを示すフローチャートであり、車両1のイグニションスイッチがONされているときに当該ルーチンが所定の制御インターバルで実行される。
車両ECU8は、まずステップS1でセル電圧(モニター値)が充電抑制点に達したか否かを判定する。この判定処理は全てのセルの電圧に対して行われ、何れのセル電圧も充電抑制点に達していない場合には、No(否定)の判定を下してステップS2に移行する。ステップS2ではセル電圧が放電抑制点に達したか否かを判定し、Noのときには一旦ルーチンを終了する。このステップS2の判定処理も、全てのセル電圧を対象として行われる。
このように全てのセル電圧が充電抑制点及び放電抑制点を達していない場合、換言すれば、使用範囲よりも狭い充電抑制点と放電抑制点との間の領域に保たれている場合には、何らバッテリ5の充放電制御への介入は行われない。
また、ステップS1で何れか1つでもセル電圧が充電抑制点に達しているときには、Yes(肯定)の判定を下してステップS3に移行する。ステップS3では現在モータ2の回生制御によりバッテリ5が充電中であるか否かを判定し、Noのときにはルーチンを終了する。このようにバッテリ5が充電中でない場合、何れかのセル電圧が充電抑制点に達していたとしても、さらに上昇して上限電圧に達する可能性はない。よって、この場合もバッテリ5の充放電制御への介入は行われない。
また、ステップS3でバッテリ5が充電中であるとしてYesの判定を下したときには、ステップS4に移行する。ステップS4では充電抑制処理を実行し、バッテリ5への充電電流(ひいては充電電力)を低減する(充放電抑制手段)。例えば、現在実行されているモータ2の回生制御のトルク目標値を減少補正することにより充電電流の低減を図り、その後にルーチンを終了する。
また、ステップS2で何れか1つでもセル電圧が放電抑制点に達しているときには、Yesの判定を下してステップS5に移行する。ステップS5では現在モータ2の力行制御によりバッテリ5が放電中であるか否かを判定し、Noのときにはルーチンを終了する。ステップS5の趣旨は上記したステップS3と同様であり、バッテリ5が放電中でない場合には、何れのセル電圧も下限電圧に達する可能性がないとの知見に基づく。
また、ステップS5でYesの判定を下したときにはステップS4に移行し、放電抑制処理としてバッテリ5からの放電電流(ひいては放電電力)を低減する(充放電抑制手段)。例えば、現在実行されているモータ2の力行制御のトルク目標値を減少補正することにより、放電電流の低減を図る。
図6は充電及び放電抑制処理による充電電流及び放電電流の抑制状況を示す特性図であり、その横軸はSOCの使用範囲(0〜100%)を示し、縦軸は0を境界として上側に充電電流(充電電力)を、下側に放電電流(放電電力)を示している。
基本的に充電電流及び放電電流はSOC及びバッテリ温度(-30℃、0℃、25℃)に応じて上限が制限されるが、上記した充電抑制点(SOC換算値)を超えた100%側の領域では充電抑制処理が実行され、図中に実線で示す所定の勾配に従ってSOCが100%に接近するほど充電電流が低減されている。また、放電抑制点(SOC換算値)を超えた0%側の領域では放電抑制処理が実行され、実線で示す所定の勾配に従ってSOCが0%に接近するほど放電電流が次第に低減されている。
従って、図4に実線で示すように、何れかのセルの電圧が使用範囲内で上昇して充電抑制点に達した時点で、セル電圧は上昇速度を低められて緩やかに上限電圧に接近する。また、何れかのセル電圧が使用範囲内で下降して放電抑制点に達した時点で、セル電圧は下降速度を低められて緩やかに下限電圧に接近する。車両ECU8は、実際値に対し遅れをもって追従するモニター値と上限電圧及び下限電圧との比較に基づきバッテリ5の充放電を中止するが、このようにセル電圧の上昇及び下降速度が低められているため、充放電中止を遅滞なく実施できる。よって、セル電圧が使用範囲から逸脱する事態を未然に回避でき、過剰な充放電に起因するバッテリ5の劣化等の不具合を防止することができる。
なお、充電電流及び放電電流の低減手法はこれに限るものではなく、例えば、充電抑制点を超えた100%側の領域では充電電流をステップ的に一定値まで低減し、放電抑制点を超えた0%側の領域では放電電流をステップ的に一定値まで低減してもよい。
[第2実施形態]
次に第2実施形態を説明するが、その説明に先立ち、本実施形態の趣旨を述べる。端的に表現すると本実施形態は、セル電圧の実際値に対するモニター値の乖離がバッテリ5のSOH(劣化指標:State of Health)及びバッテリ温度の影響を受けることに着目したものである。
図7は実際値とモニター値との偏差ΔVに対するSOH及びバッテリ温度の影響を示す特性図である。この図に示すように、CMU6によるセル電圧の計測の時点で乖離により偏差ΔVが発生しており、基本的に、その偏差ΔVはCMU6と車両ECU8との間のCAN通信速度が遅いほど助長されている。そして、同一のCAN通信速度であってもバッテリ5の劣化に伴いSOHが0%(新品時)から50%に増加すると偏差ΔVは拡大されている。このような偏差ΔVの傾向はバッテリ温度に関しても同様であり、バッテリ温度が低下すると偏差ΔVは拡大される。結果として、SOHの増加及びバッテリ温度の低下に応じて実際値に対するモニター値の乖離が顕著化し、その対策である充電及び放電抑制処理をより早期に開始する必要性があることが判る。
そこで本実施形態では、SOH及びバッテリ温度に応じて充電抑制点及び放電抑制点を変化させている(抑制点補正手段)。なお、バッテリ温度は、CMU6により計測された全てのセル温度の平均値を用いればよい(バッテリ温度検出手段)。また、SOHは、バッテリ5の使用に伴って次第に低下する総容量と相関する指標であり、その推定手法は、例えば特開2000−131404号公報や特開2010−78530号公報に記載されているように、バッテリ5の満充電時の容量とバッテリ5の内部抵抗とから推定すればよい(バッテリ劣化推定手段)。
また、SOH及びバッテリ温度を共に考慮する必要は必ずしもなく、何れか一方のみに応じて充電抑制点及び放電抑制点を変化させてもよい。
図8は充電時における充電抑制点の補正量を設定するためマップを示す説明図、図9は放電時における放電抑制点の補正量を設定するためマップを示す説明図である。これらの図に示すように、本実施形態においてはSOHが増加(劣化側)するほど補正量が増加設定されると共に、バッテリ温度が低下するほど補正量が増加設定される。
そして、図6に矢印で示すように、充電抑制点は所定のベース値から補正量に応じて低電圧側に補正され、放電抑制点はベース値から補正量に応じて高電圧側に補正され(抑制点補正手段)、補正後の充電抑制点及び放電抑制点に基づきそれぞれの抑制処理が実行される。このためバッテリ5のSOHが増加するほど、或いはバッテリ温度が低下するほど、セル電圧が上昇したときの充電電流の低減がより早期に開始されると共に、セル電圧が下降したときの放電電流の低減がより早期に開始される。
実際値に対するモニター値の乖離が大であるほど、実際値から大きく遅れたモニター値に基づき車両ECU8が充放電中止の要否を判定することになるため、充放電中止の遅れによりセル電圧が使用範囲を逸脱する可能性が高まる。本実施形態では、このような乖離が大の場合ほど充電及び放電抑制処理がより早期に開始されるため、バッテリ5のSOHや温度に関わらずセル電圧の使用範囲からの逸脱を一層確実に防止することができる。
また、図8,9のマップの比較から判るように、同一SOH及び同一バッテリ温度において放電抑制点よりも充電抑制点の方がより大きな補正量が導出される。この補正量の相違は、充電側と放電側との特性の相違に対応するものであり、放電側に比較してSOHの低下やバッテリ温度の低下の影響を受け易い充電側では、より大きな補正量に基づき充電抑制処理を早期に開始している。これにより充放電の特性の相違に関係なく、充電抑制処理と放電抑制処理とをそれぞれ一層適切なタイミングで開始することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、ハイブリッド車両1用のバッテリ電圧の監視装置に具体化したが、車両用に限るものではなく、例えば定置型のバッテリ装置に適用し、そのバッテリを構成する各セルの電圧監視に利用してもよい。
また上記実施形態では、車両ECU8、バッテリECU7及びCMU6をCAN10で接続し、CAN10を介してCMU6側から送信されるセル電圧に基づき、車両ECU8側で使用範囲を逸脱したときの充放電の中止処理を実施したが、これに限るものではない。例えば、単一の制御ユニットによりセル電圧の計測処理及び充放電の中止処理を実施するようにしてもよい。この場合には制御ユニット間の通信遅れは生じないものの、セル電圧の周期的な計測に起因する実際値とモニター値との乖離は依然として発生するため、本発明を適用すれば、この乖離現象による上記した不具合を解消することができる。
またCMU6を省略し、その機能をバッテリECU7に担わせてもよい。この場合にはバッテリECU7の演算処理に関する負担が増大するため、仕様によっては実際値とモニター値との乖離が助長される可能性もあるが、本発明の適用により不具合を解消することができる。
また第2実施形態では、SOH及びバッテリ温度に応じて充電抑制点及び放電抑制点を変化させることにより、セル電圧が使用範囲を逸脱したときの充電抑制処理及び放電抑制処理の開始タイミングを変えたが、これに限るものではない。例えば、充電抑制点及び放電抑制点を固定値とした上で、SOH及びバッテリ温度に応じて充電電流及び放電電流の低減度合いを変化させてもよい(低減度合い設定手段)。
より具体的には、第2実施形態では図6に基づき説明したように、所定の勾配に従って充電電流及び放電電流を低減したが、この勾配を、バッテリ5のSOHが増加するほど或いはバッテリ温度が低下するほど、図6中に破線で示すように急勾配に変化させる(低減度合いを高める)。SOHの増加やバッテリ温度の低下により実際値に対してモニター値が乖離するほど充放電の中止が遅れ易くなるが、それに応じて充電電流及び放電電流が急激に低減されるため、第2実施形態と同じく、セル電圧の使用範囲からの逸脱を確実に防止することができる。
また、このとき、同一SOH及び同一バッテリ温度において放電電流の低減度合いよりも充電電流の低減度合いをより高めるようにしてもよい。放電電流に比較して充電電流はより急激に低減されるようになり、充放電の特性に応じて充電電流及び放電電流を一層適切な速度で低減することができる。
5 バッテリ
6 CMU(セル電圧計測手段、バッテリ温度検出手段)
8 車両ECU(バッテリ充放電手段、充放電中止手段、充放電抑制手段、
バッテリ劣化推定手段、抑制点補正手段、低減度合い設定手段)

Claims (6)

  1. バッテリ充放電手段により充放電制御されるバッテリの各セルの電圧を所定周期でそれぞれ計測するセル電圧計測手段と、
    前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの充電に伴って前記セル電圧計測手段により計測された何れかのセルの電圧が予め設定された使用範囲の上限電圧を超えたとき、又は前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの放電に伴って前記何れかのセルの電圧が前記使用範囲の下限電圧を超えたときに、前記セルの電圧を前記使用範囲内にとどめるべく前記バッテリの充放電を中止する充放電中止手段と、
    前記バッテリ充放電手段による前記バッテリの充放電中において、前記使用範囲内で前記何れかのセルの電圧が上昇して前記上限電圧よりも低電圧側に設定された充電抑制点に達したときには、前記バッテリへの充電電流を低減し、前記使用範囲内で前記何れかのセルの電圧が下降して前記下限電圧よりも高電圧側に設定された放電抑制点に達したときには、前記バッテリからの放電電流を低減する充放電抑制手段と
    を備えたことを特徴とするバッテリ電圧の監視装置。
  2. 前記セル電圧計測手段と前記充放電中止手段とが通信線により接続され、該通信線を介して前記セル電圧計測手段により計測された前記セルの電圧を前記充放電中止手段に送信する
    ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ電圧の監視装置。
  3. 前記バッテリの劣化指標を算出するバッテリ劣化推定手段、又は前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段の少なくとも一方と、
    前記バッテリ劣化推定手段による劣化指標が劣化側であるほど、又は前記バッテリ温度検出手段によるバッテリ温度が低いほど、前記充電抑制点を低電圧側に補正し、前記放電抑制点を高電圧側に補正する抑制点補正手段とをさらに備え、
    前記充放電抑制手段は、前記抑制点補正手段による補正後の前記充電抑制点及び前記放電抑制点に基づき前記充電電流及び放電電流を低減する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ電圧の監視装置。
  4. 前記バッテリの劣化指標を算出するバッテリ劣化推定手段、又は前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段の少なくとも一方と、
    前記バッテリ劣化推定手段による劣化指標が劣化側であるほど、又は前記バッテリ温度検出手段によるバッテリ温度が低いほど、前記充放電抑制手段による充電電流及び放電電流の低減度合いを高める低減度合い設定手段とをさらに備え、
    前記充放電抑制手段は、前記低減度合い設定手段により設定された低減度合いに基づき前記充電電流及び放電電流を低減する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリ電圧の監視装置。
  5. 前記抑制点補正手段は、同一の劣化指標及び同一のバッテリ温度において、前記放電抑制点よりも前記充電抑制点をより大きく補正する
    ことを特徴とする請求項3に記載のバッテリ電圧の監視装置。
  6. 前記低減度合い設定手段は、同一の劣化指標及び同一のバッテリ温度において、前記放電電流の低減度合いよりも前記充電電流の低減度合いをより高める
    ことを特徴とする請求項4に記載のバッテリ電圧の監視装置。
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