JP2017159558A - 電磁誘導加熱式樹脂成形金型及び該金型を用いた樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

電磁誘導加熱式樹脂成形金型及び該金型を用いた樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電磁誘導加熱式金型においては全面加熱で局所加熱によって意図的に温度傾斜付与できず、本来加熱すべき金型の必要個所に効率よく加熱することができなかった点である。更に電磁誘導加熱のための誘導加熱コイルが、金型と一体に構成されていたため成型品毎に必要とする局所加熱ができなかった点である。【解決手段】電磁誘導加熱式樹脂成形金型において、金型は脱着容易な誘導加熱コイル・カセットを有し、この誘導加熱コイル・カセットはコイル保持板とこのコイル保持板に取付けた誘導加熱コイルにより構成する。この脱着容易な誘導加熱コイル・カセットにより金型を局所加熱すると共に、局所加熱した個所の近傍に配置された冷却孔のみに冷却媒体を流すことで局所冷却が出来るように構成した。【選択図】図2

Description

本発明は、電磁誘導加熱式樹脂成形金型及び該金型を用いた樹脂成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、脱着容易なカセットタイプのコイルによる電磁誘導局所加熱により樹脂成形体に対する局所加熱により温度傾斜加熱、および局所冷却により温度傾斜冷却を可能とする電磁誘導加熱式樹脂成形金型と、この金型を用いて局所加熱、局所冷却を行うことでハイサイクル成形を可能とする樹脂成形体の製造方法に関する。
金型を用いて賦型する樹脂成形法としては、射出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法等が挙げられる。これらは、金型に溶融した原料樹脂を投入した後、熱の授受を行って、樹脂を賦型し、固化させる方法である。そして、金型の加熱方法としては、電熱ヒーターを用いる方法、蒸気またはオイル等の熱媒を用いる方法の他、高周波電磁誘導加熱による方法が知られている。この高周波電磁誘導を加熱手段として用いた樹脂成形用金型は、熱媒を必要としないことから、設備費や運転費の面で優れており、近年注目を集めている。こうした金型の加熱は、ウェルドレス成形と高転写成形には必須の技術である。
このようなウェルドレス成形と高転写成形のための従来技術として、例えば特許第4052600号には、金型の入れ子を、キャビティ表面を有する入れ子表部材と、キャビティ表面を有しない入れ子裏部材に分割して、この入れ子表部材に、キャビティ表面の近傍部位を通過する溝を設け、この溝に電熱ヒーターを収容した金型が開示されている。しかしながらこの構成では、金型毎にウェルドライン発生個所が異なるために、電熱ヒーターを収納する溝を設計する必要があり、多種多様の成型品に対応するのが困難であるという欠点を有していた。
更に同一出願人に係る特許5261283号においても同様な構成により、電熱ヒーターを収納する溝を有し、かつ電熱ヒーターを複数系統に分けて設置し制御ゾーンごとに異なる温度制御を行ない、樹脂成形体のウェルドラインの発生を防ぐ構成が開示されている。しかしながらこの構成も上記引例と同様に、多種多様の成型品に対応するのが困難であるという欠点を有していた。
更に特開2007-8035号には、相対的に開閉する一対の型板と、この一対の型板に各々埋め込まれるキャビティ側金型およびコア側金型と、このキャビティ側金型の内部に設置され、キャビティ側金型を樹脂の熱変形温度以上の高温に加熱する熱源体を収納してウェルドライン発生を防止する成型金型装置が開示されている。しかしながらこの構成でも依然として金型内部に熱源体を収納する基本的な構成は上記引例と変わらず、したがって多種多様の成型品に対応するのが困難であるという欠点を有していた。
同様な構成は同一出願人に係る特開2007-8036号、特開2007-223168号、特開2009-226778号にも開示されているが、いずれの構成も金型内部に熱源体を収納する基本的な構成は上記引例と変わらず、したがってこの構成でも多種多様の成型品に対応するのが困難であるという欠点を有していた。
次に高周波電磁誘導を加熱手段として用いた樹脂成形用金型として、特表2007-535786号には電磁場を、インダクタと加熱される材料との間に配置された中間要素に印加する手段を備えた金型が開示されている。しかしながらこの構成では、金型全体を加熱するもので、金型の形状に応じて必要最小限度の範囲のみを加熱するという構成ではないため加熱エネルギーの無駄となる欠点を有している。
更に同出願人による特表2006-546570号においても複数のキャビティが界磁巻線を囲む金型が開示されている。しかしながらこの構成では成形または変形させるべき部品の形状に応じて界磁巻線の大きさを簡便に変更させることはできず、上記引例と同様に加熱エネルギーの無駄となる欠点を有している。
更にまた同出願人による特表2009-507674号には、上記引例とは異なり高周波電磁誘導により局所加熱を可能とする構成が開示されている。すなわち電流発生器に電気的に接続された誘導器のネットワークが金型ケーシングの周囲に配置され、各金型ケーシングの外面の一部分に遮蔽層を設けて、2つの金型ケーシングの相互に対面する面の一部分を被覆して、局所加熱を可能としている。この遮蔽層に使用される非磁気材料は、エネルギー損失を制限するように低い抵抗率を有する例えば銅またはアルミニウムが用いられる。しかしながらこの構成でも樹脂成形体形状に合わせてまでも局所加熱するということはできず、依然として上記引例と同様に加熱エネルギーの無駄となる欠点を有している。
次に本願出願人による高周波電磁誘導を加熱手段として用いた樹脂成形用金型として特開2012-214040号には、金型を構成する2つの型にキャビティ面を成形し、それぞれキャビティ面を有する部位に磁性金属部を配置し、その磁性金属部の外面に複数の誘導コイルをキャビティ外周縁から所定の範囲内に配するように構成された樹脂成形用電磁誘導加熱式金型装置が開示されている。しかしながらこの構成でも、金型毎に誘導コイルを設けなければならずカセットタイプのコイルによる電磁誘導局所加熱ではなく電磁誘導全面加熱、および局所冷却ではなく全面冷却という構成に留まっている。このような構成では加熱・冷却エネルギーの無駄となり易い。更に誘導コイルはキャビティ外周縁から固定されたギャップを置いて配置されるので、金型キャビティ表面の各部毎に温度傾斜を付与することも困難であるという欠点を有している。
最後に上記引例と同様に本願出願人による特開2013-226810号には、上記引例と類似構成の電磁誘導加熱式金型を用いた連続的な樹脂成形体の製造サイクルにおいて、必要とする時間を安定的に短縮する樹脂成形体の製造方法が開示されている。しかしながらここで用いられる電磁誘導加熱式金型も上述のように局所加熱、加熱コイルのカセット化という技術思想には至っておらず、結局は効率よい樹脂成形体の製造方法とはなっていない欠点を有している。
特許第4052600号公報 特許第5261283号公報 特開2007-8035号公報 特開2007-8036号公報 特開2007-223168号公報 特開2009-226778号公報 特表2007-535786号公報 特表2006-546570号公報 特表2009-507674号公報 特開2012-214040号公報 特開2013-226810号公報
解決しようとする問題点は、従来の電磁誘導加熱式金型においては全面加熱、全面冷却の構造であり、各樹脂成形体の形状により異なるウェルドライン発生個所や転写性不完全個所に対応して、効率よく局所加熱、局所冷却することが出来ないという欠点を有していた。換言すれば無駄に全面加熱、全面冷却する構造であり、効率的にエネルギーの使用が出来ないという欠点を有していた。更に電磁誘導加熱のための誘導加熱コイルが金型と一体的に構成され、各樹脂成形体の形状毎に電磁誘導コイルを簡便に取替えることが出来ないという欠点を有していた。また更に金型・金型キャビティ表面と誘導加熱コイル間のギャップが固定された構造上、金型キャビティ面に微妙な温度傾斜付与が出来ないという欠点を有している。
本願発明に係る電磁誘導加熱式樹脂成形金型は、成形する樹脂成形体の形状に応じて、脱着容易な誘導加熱用のコイル・カセットで、局所加熱により温度傾斜加熱する構成とする。このコイル・カセットはコイル保持板と、このコイル保持板に取付けられた誘導加熱コイルにより構成する。誘導加熱コイルは、成形する樹脂成形体の形状に応じて任意の個数だけ取付可能とし、更に個々の誘導加熱コイルとコイル保持板のギャップも個々に調整可能である。そしてこのコイル・カセットを、金型本体の加熱面から任意のギャップを設けて取付け調整可能としている。また金型冷却についても、この局所加熱の個所に対応して局所冷却により温度傾斜冷却を行う構成としている。更に上記コイル・カセットを金型キャビティ面に対して平行ではなく適度な傾斜を付けることで金型キャビティ面に微妙な温度傾斜を付与するように構成する。この温度傾斜付与は、誘導加熱コイル毎に付加的な磁性材(ソフトフェライト)等を接近配置させる構成としてもよい。
本願発明は誘導加熱コイルをカセット化して局所加熱による熱容量の最小化を図り、また同時に局所加熱の個所に対応して局所冷却を行うことで、樹脂成形体表面のウェルドライン等の不良部を効率良く解消することが出来る。またこのような局所加熱、局所冷却によって、ハイサイクル成形を図ると共に、金型コストの削減及び作業性向上が可能となるという利点を有する。また更に誘導加熱コイル・カセットを金型キャビティ面に対して適度の傾斜を付与することで、自在に温度傾斜を付与して金型キャビティ面の温度を微調整できるという利点を有する。特に従来の全面加熱の構成とは異なり、誘導加熱コイルが取付けられた近傍のみを局所的に加熱でき、またこの個所を局所的に冷却することにより、効率的な金型の加熱・冷却工程を構成することが可能となる。更に本願発明のコイル・カセットはコイル保持板と金型本体の加熱面とのギャップ調整、そして個々の誘導加熱コイルとコイル保持板のギャップも調整可能であるので、成形する樹脂成形体の形状に応じてフレクシブルに加熱、冷却することでエネルギーの効率的な利用が可能となる。
図1は樹脂成形機内に本願発明に係る電磁誘導加熱式樹脂成形金型を収納設置した電磁誘導加熱式樹脂成形装置の概略接続図である。 図2は本願発明の電磁誘導加熱式樹脂成形金型の断面図である。 図3は意匠面金型にコイル・カセットを設置した平面図である。 図4は、誘導加熱コイルの近傍にソフトフェライトを配置した別の実施例を示す平面図である。
図1は、樹脂成形機200内に本願発明に係る電磁誘導加熱式樹脂成形金型100を収納設置した電磁誘導加熱式樹脂成形装置1の概略接続図である。電磁誘導加熱式樹脂成形金型100を収納した樹脂成形機200には、電磁誘導加熱装置300と冷却機構400が各々加熱電力供給のため、冷却水および空気供給のために接続されている。この構成自体は従来の電磁誘導加熱式樹脂成形装置と同一であるので詳細は割愛する。なお誘導加熱に必要な最も原理的な構成は、高周波発信部(インバータ)と加熱コイル(インダクター)と被加熱物質であるが、本願発明ではさらに図示しない整合部と呼ばれる変圧トランスおよびコンデンサーを具備することにより広範囲の加熱コイル形状に最適化が可能となり、複数の加熱コイルとソフトフェライトによる局所加熱と温度傾斜コントロールが実現できるように構成されている。
図2は本願発明の電磁誘導加熱式樹脂成形金型100の断面図であり、図3は意匠面金型100bにコイル・カセット30を設置した平面図である。すなわち金型100は、図2中の左側の非意匠面側金型100aと、右側の意匠面側金型100bで構成されている。非意匠面側金型100aと意匠面側金型100bの間には、樹脂成形体が成形される任意形状の金型キャビティ100cが設けられている。前者の非意匠面側金型100aは従来技術に係る金型と同様に取付板10に一体的に取り付けられ、内部には冷却用に複数個の冷却孔50およびエジェクタ11が設けられている。そして金型100の右側には成形用の金型キャビティ100cを挟んで意匠面側金型100bが設けられている。この意匠面側金型100bには、電磁誘導加熱のためのコイル・カセット30が所定の深さのコイル・カセット収納部20内に取付けられている。また冷却機構からの冷却媒体を流す複数個の冷却孔50が、コイル・カセット30に対して金型キャビティ100c側にある被加熱金属部40内にも複数個が設けられている。
ここでコイル・カセット30は、例えば耐熱温度が100℃以上で、絶縁性、耐熱性の理由により厚さ1〜30mm程度のコイル保持板31と、図示しない例えば非磁性体の取付板を介してコイル保持板31に誘導加熱コイル取付ネジ34で取付けられた誘導加熱コイル33とで構成される。ただし取付方法は、コイルを外側から挟持する等、その取付方法は特に限定しない。厚さを1〜30mm程度に限定するのは、絶縁性、耐熱性を考慮し、かつ機械的強度の点より最適と考えられるからである。なお30mmを超えると、被加熱金属部40に渦電流が生じ難くなり、誘導加熱され難くなるからである。
誘導加熱コイル33は、例えば内寸半径Rが50mm以下である。このような内寸半径Rとするのは、内寸半径Rを50mm以下とすることで被加熱金属のコイル内径部分も均等に加熱され、被加熱金属部40の局所加熱により温度傾斜加熱が可能となる。すなわち内寸半径Rをこの程度の小径にして誘導磁束が被加熱金属部40に垂直となるように構成すれば、温度を高くしたい部位にエネルギーを均等に集中させることが可能となり、内径寸法を50mm以上にすると、コイル内径部分に磁束密度が疎の部分ができ、コイル内径部分の加熱面への投影面の温度が低くなってしまうからである。この内寸半径Rは、金型キャビティ内の樹脂成形体の形状やサイズに応じて適宜決定してもよい。また誘導加熱コイル33の取付位置は、樹脂成形体のウェルドラインが発生し易い個所や、転写性が不完全な個所等の成形不良が発生する蓋然性が高い個所の近傍となるように、前記コイル保持板31上で誘導加熱コイル33を自在に配置変更できるように構成してもよい。例えば図3に示すように樹脂成形体の凸部90の近傍であり、凸部90に対し溶融樹脂の下流側となる個所である。このような個所では分流した溶融樹脂が合流し流速が低下して、十分に融合せずウェルドラインが発生し易い。したがってこの様な個所を、局所的に加熱することにより、全面加熱と異なり効果的にウェルドライン発生を防止することが可能となる。誘導加熱コイル33の大きさ(外径)も、この凸部90のサイズと成形体のサイズ・形状に対応して必要最小限のサイズとし、また誘導加熱コイル33の個数もウェルドライン等の不良発生箇所の数に合わせることにより、加熱電力の最少化を図ることが可能である。またコイル保持板31の厚さも、誘導加熱コイル33の個数等により、適宜変更してもよい。
コイル・カセット30は、図3に示すコイル・カセット取付ネジ32により、図2に示すように被加熱金属部40に対し平面的に取付られている。なお被加熱金属部40との取付ギャップはコイル・カセット取付ネジ32で調整可能とし、この調整された取付ギャップにより加熱調整してもよい。更にコイル・カセット30は、例えば四隅に設けた各コイル・カセット取付ネジ32を調整して、被加熱金属部40に対し(同時に金型キャビティ100cに対し)適度の傾斜角を持たせて自在に温度傾斜を付与してもよい。これにより加熱の微調整が可能となる。このような温度傾斜付与は従来例に係る金型と異なり、本願発明のように意匠面金型100b本体とは別筐体となるコイル・カセット30で構成することにより初めて可能となる。
更にコイル・カセット30について詳述すれば、誘導加熱コイル33はコイル保持板31に誘導加熱コイル取付ネジ34で取付けられているが、複数個取付けられた誘導加熱コイル33の個々は、各々の誘導加熱コイル取付ネジ34にスペーサ等を挟み込む等の調整を行い被加熱金属部40とのギャップを微調整出来るように構成してもよい。なおこの誘導加熱コイル33のコイル保持板31への取付け方は、上述のようなコイル中央で誘導加熱コイル取付ネジ34で取付ける構成に限らず、コイルを外側から挟持する等、その取付方法は特に限定しない。また誘導加熱コイル33は、成形する樹脂成形体の形状に応じて任意の個数だけ取付可能とし、更に個々の誘導加熱コイル33とコイル保持板31のギャップも誘導加熱コイル取付ネジ34を調整することにより個々に調整可能である。この様にコイル・カセット30を構成することで、成形する樹脂成形体の形状に応じてフレクシブルに加熱、冷却することでエネルギーの効率的な利用が可能となる。従ってコイルをカセット化することにより、従来のようにコイルが金型本体に固定設置される構成に比較して自在に温度傾斜を付与することが可能となる。
更に図2に示す被加熱金属部40は、キュリー温度の異なる合金或いはその複合材とし、温度コントロールを行ってもよい。特に加熱温度の上限をコントロールする場合に有効な構成である。
次に本願発明に係る電磁誘導加熱式樹脂成形金型100では、図2に示すように図中左側の非意匠面側金型100aと右側の意匠面側金型100bに複数個の冷却孔50(a,b,c,d)が各々配置されている。特に右側の意匠面側金型100bに設けられた複数個の冷却孔50は、コイル・カセット30の金型キャビティ100c側にある被加熱金属部40内に複数個が設けられている。これに対して従来の電熱ヒーターで加熱するタイプの金型では、冷却孔が電熱ヒーターを挟んでキャビティより離れて設けられていたため冷却効率が低いという欠点を有していた。しかしながら本願発明では、金型キャビティ100cにより近い位置に冷却孔50が設けられているので冷却効率が良いという利点を有する。これはコイル・カセット30が被加熱金属部40とは別筐体で構成されていることで可能となる構成である。各冷却孔50は、図示しない制御部で各々冷却媒体の注入・排出がコントロールできる構成となっている。この実施例では意匠面金型100bには局所加熱による温度傾斜加熱のために2つの誘導加熱コイル33が冷却孔50aと50cの近傍に取付けられている。したがって誘導加熱コイル33で局所加熱により温度傾斜加熱され、溶融樹脂が注入された後、この誘導加熱コイル33の近傍に配置された冷却孔50aと50cのみに冷却媒体を注入し冷却する。換言すれば局所加熱されなかった近傍に配置された冷却孔50b、50dには冷却媒体を注入しない、または50aと50cに比べ冷却媒体の量を少なくする。この様にして本願発明では加熱、冷却とも全面加熱、全面冷却ではなく、局所加熱、局所冷却することで消費エネルギーの最少化を図るのみでなく、成形工程の短縮化を図ることでハイサイクル成形が可能となるように構成されている。また、図1中の冷却機構400のエアーパージは冷却後、加熱工程前に冷却孔内部を空気置換することで冷却媒体を加熱するというエネルギーロスを防ぐものである。
図4は、誘導加熱コイル33の近傍に複数個のソフトフェライトを配置した別の実施例を示す平面図である。このソフトフェライトは、マンガン亜鉛フェライト、ニッケル亜鉛フェライト、銅亜鉛フェライト等が代表的なものである。 透磁率が高く、また電気抵抗が高いことから高周波数領域での渦電流損失が小さいため、“フェライトコア”と言われる高周波用のインダクタやトランスの磁芯材料として用いられる。このようなソフトフェライトを配置することで磁束をコントロールして磁束密度を高め、その結果、渦電流の電流密度も高くなるので図2に示す金型の被加熱金属部40の加熱効率を高くすることが可能である。また必要に応じて、電気抵抗が低く比較的誘導加熱され難い銅板等の金属を誘導加熱コイル周辺に配置してもよい。すなわち銅板上のうず電流による表皮効果を利用して、被加熱金属部40に対して電磁シールドを行い、これにより誘導コイルによる加熱の必要性が低い部分の温度を微調整することが可能となる。換言すれば誘導加熱コイル33の近傍に、電気抵抗が十分に低く厚みが表皮深さ以上ある非磁性導電材である銅板等を配置し、それにより磁束密度を低下させて加熱の必要性が低い部分を実質的に磁気遮蔽することで被加熱金属部40の加熱温度を微調整することが可能となる。いずれの場合にも、誘導加熱コイル33の近傍にフェライトや銅板等を配置することで、更に効率の良い局所加熱により温度傾斜加熱が可能となる利点を有する。(a)は誘導加熱コイル33内部にソフトフェライトを配置したものであり、(b)は誘導加熱コイル33の外部に、(c)は上部に配置したものであり、それぞれ異なる特性の局所加熱により温度傾斜加熱が計測されているので、樹脂成形体の形状等に応じて各々の配置を決定するのがよい。
なお誘導加熱コイル33の大きさ(外径)を変更して、加熱部位に対する加熱エネルギーの集中度を変更し、局所加熱の温度コントロールを行うように構成してもよい。当然、コイルの大きさを小径にすれば加熱エネルギーの集中度は向上し、高温での局所加熱が可能となる。
なお本願発明では、上記電磁誘導加熱式樹脂成形装置1を用いた樹脂成形体の製造方法も併せて開示する。すなわちまず金型100を開いた状態で、誘導加熱コイル33に通電することにより金型キャビティ100cを局所加熱により温度傾斜加熱を行い、傾斜温度を付与して所定温度に昇温する。次に金型100を閉じて金型キャビティ100c内に樹脂を充填すると共に、圧力を保持し、所定時間経過後、金型100に接続した冷却機構400によって局所加熱した部位近傍のみを局所冷却し、降温完了後に樹脂成形体を取り出すようにしてもよい。この場合、誘導加熱コイル33の内部または外部あるいは上部にソフトフェライトを配し、前記金型キャビティ100cの表面温度を10℃〜200℃の傾斜を設けて所定温度に昇温する工程を含むようにしてもよい。
上述のように本願発明に係る電磁誘導加熱式樹脂成形金型100では、誘導加熱用のコイル・カセット30を用いたため、樹脂成形体の形状等に応じて容易に局所加熱する個所を変更することが可能となる。またこの局所加熱に対応した個所のみを局所冷却する構成であるので冷却エネルギーの最少化を図ることが可能となる。また同一のコイル・カセット30を、樹脂成形体の形状に合わせて誘導加熱コイル33の位置設定を変えることにより、各種の金型に流用することが可能となり、金型製造が容易となる利点を有する。更に被加熱金属部40と誘導加熱用のコイル・カセット30のギャップ、或いはコイル保持板31と個々の誘導加熱コイル33のギャップを微調整することで、金型キャビティ100c表面への局所加熱により温度傾斜付与が可能となる利点も有する。さらに誘導加熱コイル近傍に、磁束集中させる目的で磁性材であるフェライトを配置することによっても局所加熱の温度コントロールが可能となる利点を有する。
100 電磁誘導加熱式樹脂成形金型
20 コイル・カセット収納部
30 コイル・カセット
31 コイル保持板
32 コイル・カセット取付ネジ
33 誘導加熱コイル
34 誘導加熱コイル取付ネジ
40 被加熱金属部
50 冷却孔
次に高周波電磁誘導を加熱手段として用いた樹脂成形用金型として特開2012-214040号には、金型を構成する2つの型にキャビティ面を成形し、それぞれキャビティ面を有する部位に磁性金属部を配置し、その磁性金属部の外面に複数の誘導コイルをキャビティ外周縁から所定の範囲内に配するように構成された樹脂成形用電磁誘導加熱式金型装置が開示されている。しかしながらこの構成でも、金型毎に誘導コイルを設けなければならずカセットタイプのコイルによる電磁誘導局所加熱ではなく電磁誘導全面加熱、および局所冷却ではなく全面冷却という構成に留まっている。このような構成では加熱・冷却エネルギーの無駄となり易い。更に誘導コイルはキャビティ外周縁から固定されたギャップを置いて配置されるので、金型キャビティ表面の各部毎に温度傾斜を付与することも困難であるという欠点を有している。
最後に特開2013-226810号には、上記引例と類似構成の電磁誘導加熱式金型を用いた連続的な樹脂成形体の製造サイクルにおいて、必要とする時間を安定的に短縮する樹脂成形体の製造方法が開示されている。しかしながらここで用いられる電磁誘導加熱式金型も上述のように局所加熱、加熱コイルのカセット化という技術思想には至っておらず、結局は効率よい樹脂成形体の製造方法とはなっていない欠点を有している。

Claims (11)

  1. 樹脂成形機(200)と電磁誘導加熱装置(300)と冷却機構(400)とで構成する電磁誘導加熱式樹脂成形装置(1)の樹脂成形機内で用いられる電磁誘導加熱式樹脂成形金型(100)において;
    コイル保持板(31)と該コイル保持板に取付けられた1または複数個の誘導加熱コイル(33)により構成された局所誘導加熱用のコイル・カセット(30)を有し、該コイル・カセットは、コイル・カセット収納部(20)内で被加熱金属部(40)に脱着容易に取付けられ、前記電磁誘導加熱装置により制御された所定の高周波電力により被加熱金属部を局所加熱により温度傾斜加熱するように構成され;
    更に前記冷却機構からの冷却媒体を流す複数個の冷却孔(50)が、前記コイル・カセットと金型キャビティ面の間の被加熱金属部(40)内に設けられ、前記誘導加熱コイルにより局所加熱された被加熱金属部の近傍に設けられた冷却孔のみに、冷却媒体を流して局所冷却により温度傾斜冷却するように構成されたことを特徴とする電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  2. 前記コイル・カセット(30)の誘導加熱コイル(33)は、成形不良が発生する蓋然性が高い個所の近傍に任意の個数だけ配置され、前記コイル保持板(31)上で自在に配置変更できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  3. 前記誘導加熱用のコイル・カセット(30)は、被加熱金属部(40)の加熱面から任意のギャップを置いて被加熱金属部に対して平行または傾斜を付けて取付調整可能として、該ギャップにより加熱面に自在に温度傾斜を付与できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  4. 前記誘導加熱用のコイル・カセット(30)に取付けられた1または複数個の誘導加熱コイル(33)の各々は、前記コイル保持板(31)から任意のギャップを置いて取り付け可能であり、該異なるギャップにより加熱面に自在に温度傾斜を付与するように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  5. 前記誘導加熱コイル(33)は銅線または銅管から成り、前記被加熱金属部(40)の加熱面とのギャップが30mm以下になるように配置し、内寸半径Rが50mm以下とすることでコイル内径部分が均等に加熱され、それにより被加熱金属部のコイル内径部分投影面が温度低下することなく局所加熱により温度傾斜加熱できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  6. 前記コイル保持板(31)は、耐熱温度が100℃以上であって、前記被加熱金属部(40)の加熱面と誘導加熱コイル(33)の間に配され、厚みが1〜30mmとすることで局所加熱により温度傾斜加熱できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  7. 前記誘導加熱コイル(33)の内部、または外部、或いは上部に複数個のソフトフェライトを配置し、磁束をコントロールすること、及び必要に応じて該コイル近傍に電気抵抗が十分に低く、かつ厚みが表皮深さ以上ある非磁性導電材である銅板等を配置して磁束密度を低下させて加熱の必要性が低い部分を実質的に磁気遮蔽することで、前記被加熱金属部(40)に対する局所加熱の温度コントロールを行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  8. 前記誘導加熱コイル(33)の大きさ(外径)を変更して、加熱部位に対する加熱エネルギーの集中度を変更し、局所加熱の温度コントロールを行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  9. 前記被加熱金属部(40)の材質をキュリー温度の異なる合金あるいはその複合材とすることにより、局所加熱の温度コントロールを行うように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型。
  10. 請求項1記載の電磁誘導加熱式樹脂成形金型(100)を開いた状態で誘導加熱コイル(33)に電磁誘導加熱装置(300)から高周波通電することにより、金型キャビティ(100c)を加熱して、所定温度に局所加熱により温度傾斜加熱し、
    金型キャビティ内に樹脂を充填すると共に圧力を保持し、
    所定時間経過後、金型に接続した冷却機構(400)から供給される冷却媒体を流す複数個の冷却孔(50)の内、前記局所加熱した個所の近傍に設けられた冷却孔のみに冷却媒体を流すように制御することで局所冷却により温度傾斜冷却し、降温完了後に樹脂成形体を取り出す樹脂成形体の製造方法。
  11. 前記温度傾斜加熱の工程には、前記誘導加熱コイル(33)の内部または外部あるいは上部にソフトフェライトおよび必要に応じて該コイル近傍に銅板等の電気抵抗の低い金属を配置し、前記金型キャビティの表面温度を10℃〜200℃の傾斜を設けて所定温度に昇温する工程を含むことを特徴とする請求項10記載の樹脂成形体の製造方法。
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