JP2017174600A - 膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体、並びに固体高分子形燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体の製造方法及び膜電極接合体、並びに固体高分子形燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】反応ガスの拡散性を高めるとともに、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す電極触媒層を備えた膜電極接合体及びその製造方法、ならびに固体高分子形燃料電池を提供する。【解決手段】高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を挟持する一対の電極触媒層2,3とを備え、電極触媒層2,3の少なくとも一方は、第1の電極触媒部(2a又は3a)と、高分子電解質膜1の平面方向において第1の電極触媒部(2a又は3a)に隣接する第2の電極触媒部(2b又は3b)とを有している。また、第2の電極触媒部(2b又は3b)の直径1.0μm以下の細孔容積の値が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、第1の電極触媒部(2a又は3a)の直径1.0μm以下の細孔容積の値よりも大きくなっている。【選択図】図1

Description

本発明は、膜電極接合体とその製造方法及びその膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池に関する。
燃料電池は、水素を含有する燃料ガスと酸素を含む酸化剤ガスとを用いて、触媒を含む電極で水の電気分解の逆反応を起こさせ、熱と同時に電気を生み出す発電システムである。この発電システムは、従来の発電方式と比較して高効率で低環境負荷、低騒音などの特徴を有し、将来のクリーンなエネルギー源として注目されている。用いるイオン伝導体の種類によってタイプがいくつかあり、プロトン伝導性高分子膜を用いた電池は、固体高分子形燃料電池と呼ばれる。
燃料電池の中でも固体高分子形燃料電池は、室温付近で使用可能なことから、車載用電源や家庭据置用電源などへの使用が有望視されており、近年、様々な研究開発が行われている。固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly:以下、MEAと称すことがある)を、一対のセパレータ板で挟持した電池である。一方のセパレータ板には、電極の一方に水素を含有する燃料ガスを供給するためのガス流路が形成されており、他方のセパレータ板には、電極の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路が形成されている。ここで、燃料ガスが供給される上述した他方の電極を燃料極、酸化剤ガスが供給される上述した一方の電極を空気極とする。これらの電極は、高分子電解質と白金系の貴金属などの触媒物質を担持したカーボン粒子とを積層してなる電極触媒層、及びガス通気性と電子伝導性とを兼ね備えたガス拡散層を備えている。また、これらの電極は、ガス拡散層がセパレータと対向するように配置されている。
ここで、電極触媒層に対しては、燃料電池の出力密度を向上させるため、ガス拡散性を高める取り組みがなされてきた。電極触媒層中の細孔は、セパレータ板からガス拡散層を通じた先に位置し、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす。燃料極は、酸化還元の反応場である三相界面に燃料ガスを円滑に供給するだけでなく、生成したプロトンを高分子電解質膜内で円滑に伝導させるための水を供給する機能を果たす。空気極は、酸化剤ガスの供給と共に、電極反応で生成した水を円滑に除去する機能を果たす。固体高分子形燃料電池では、燃料極及び空気極における物質輸送の妨げにより発電反応が停止する、いわゆる「フラッディング」と呼ばれる現象を防止するため、これまで排水性を高める構成が検討されてきた(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、固体高分子形燃料電池の実用化に向けての課題は、出力密度や耐久性の向上などが挙げられるが、最大の課題は低コスト化(コスト削減)である。
この低コスト化の手段の一つに、加湿器の削減が挙げられる。膜電極接合体の中心に位置する高分子電解質膜には、パーフルオロスルホン酸膜や炭化水素系膜が広く用いられている。そして、優れたプロトン伝導性を得るためには飽和水蒸気圧雰囲気に近い水分管理が必要とされており、現在、加湿器によって外部から水分供給を行っている。そこで、低消費電力やシステムの簡略化のために、加湿器を必要としないような、低加湿条件下であっても、十分なプロトン伝導性を示す高分子電解質膜の開発が進められている。
しかしながら、排水性を高めた電極触媒層では、低加湿条件下において高分子電解質がドライアップするため、電極触媒層構造の最適化を行い、保水性を向上させる必要がある。これまで、低加湿条件下における燃料電池の保水性を向上させるため、例えば、電極触媒層とガス拡散層の間に、湿度調整フィルムを挟み込む方法が提案されている。
例えば、特許文献5には、導電性炭素質粉末とポリテトラフルオロエチレンから構成された湿度調整フィルムが、湿度調節機能を示してドライアップを防止する方法が開示されている。
また、特許文献6には、高分子電解質膜と接する触媒電極層の表面に溝を設ける方法が開示されている。すなわち、触媒電極層の表面に0.1〜0.3mmの幅を有する溝を形成することで、低加湿条件下における発電性能の低下を抑制する方法が開示されている。
特開2006−120506号公報 特開2006−332041号公報 特開2007−87651号公報 特開2007−80726号公報 特開2006−252948号公報 特開2007−141588号公報
しかしながら、特許文献1〜6に記載された膜電極接合体は、反応ガスの拡散性を高めると共に、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下においても発電性能に改善の余地があった。また、製造方法が煩雑でありコストが高いという問題があった。
そこで、本発明にあっては、低コストで、反応ガスの拡散性を高めると共に、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す電極触媒層を備える膜電極接合体及びその膜電極接合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の膜電極接合体の製造方法の一態様は、触媒インクを作製する触媒インク作製工程と、前記触媒インク作製工程で作製した前記触媒インクを基材に塗布して、前記基材上に前記電極触媒層となる電極膜を形成する電極膜形成工程と、前記電極膜を高分子電解質膜の一方の面に加圧しながら転写して、一方の前記電極触媒層を形成する第1の電極触媒層形成工程と、前記電極膜を前記高分子電解質膜の他方の面に加圧しながら転写して、他方の前記電極触媒層を形成する第2の電極触媒層形成工程と、を含み、前記第1の電極触媒層形成工程及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方において、前記電極膜を前記高分子電解質膜に加圧しながら転写して、前記高分子電解質膜の平面方向において隣接する位置に第1の電極触媒層部と第2の電極触媒層部を形成し、かつ前記第1の電極触媒層形成工程、及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方における転写時よりも高い圧力で前記第1の電極触媒層部を加圧処理する。
また、本発明の膜電極接合体の製造方法の他の態様は、触媒インクを作製する触媒インク作製工程と、前記触媒インク作製工程で作製した前記触媒インクを基材に塗布して、前記基材上に前記電極触媒層となる電極膜を形成する電極膜形成工程と、前記電極膜を高分子電解質膜の一方の面に加熱しながら転写して、一方の前記電極触媒層を形成する第1の電極触媒層形成工程と、前記電極膜を前記高分子電解質膜の他方の面に加熱しながら転写して、他方の前記電極触媒層を形成する第2の電極触媒層形成工程と、を備え、前記第1の電極触媒層形成工程及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方において、前記電極膜を前記高分子電解質膜に加熱しながら転写して、前記高分子電解質膜の平面方向において隣接する位置に第1の電極触媒層部と第2の電極触媒層部を形成し、前記第1の電極触媒層形成工程、及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方における転写時よりも高い温度で前記第1の電極触媒層部を加熱処理する。
また、本発明の膜電極接合体の一態様は、高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟持する一対の電極触媒層と、を備え、少なくとも一方の前記電極触媒層は、第1の電極触媒部と、前記高分子電解質膜の平面方向において前記第1の電極触媒部に隣接する第2の電極触媒部とを有し、前記第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、前記第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値よりも大きくなっている。
また、本発明の固体高分子形燃料電池の一態様は、上述した膜電極接合体を備える。
本発明の一態様によれば、反応ガスの拡散性を高めると共に、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す電極触媒層を備える膜電極接合体を効率良く経済的に容易に製造することができる。
膜電極接合体の一実施形態における構造を模式的に示す分解斜視図である。 固体高分子形燃料電池の一実施形態における構造を模式的に示す分解斜視図である。
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、以下に記載の実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうるものである。
(膜電極接合体)
まず、本実施形態の膜電極接合体11について説明する。
図1に示すように、膜電極接合体11は、高分子電解質膜1と、高分子電解質膜1を高分子電解質膜1の上下各面から狭持する電極触媒層2(図1中、上側に示す)及び電極触媒層3(図1中、下側に示す)とを備える。
<高分子電解質膜>
高分子電解質膜1としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、フッ素系高分子電解質膜、炭化水素系高分子電解質膜を用いることができる。フッ素系高分子電解質膜の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)、旭硝子(株)製Flemion(登録商標)、旭化成(株)製Aciplex(登録商標)、ゴア社製Gore Select(登録商標)等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。特に、高分子電解質膜1として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。
<電極触媒層>
2つの電極触媒層2、3の少なくとも一方が、触媒物質担持粒子と高分子電解質とを備える。
2つの電極触媒層2、3は、それぞれ高分子電解質膜1の平面方向に2分割されている。より詳細には、図1中、上側に示す電極触媒層2は、ガスの入口側に位置する第1の電極触媒部2aと、ガスの出口側に位置する第2の電極触媒部2bとを有する。第1の電極触媒部2aと第2の電極触媒部2bは、それぞれの重なりや隙間がなく、高分子電解質膜1の平面方向に連続している。
同様に、図1中、下側に示す電極触媒層3は、ガスの入口側に位置する第1の電極触媒部3aと、ガスの出口側に位置する第2の電極触媒部3bとを有する。第1の電極触媒部3aと第2の電極触媒部3bは、それぞれの重なりや隙間がなく、高分子電解質膜1の平面方向に連続している。
ここで、電極触媒層2,3は、触媒インクを用いて高分子電解質膜1の両面に形成される。触媒インクは、少なくとも高分子電解質及び溶媒を含む。
上述の触媒インクに含まれる高分子電解質としては、プロトン伝導性を有するものであれば良く、高分子電解質膜1と同様の材料を用いることができ、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質を用いることができる。フッ素系高分子電解質の例として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料等を用いることができる。また、炭化水素系高分子電解質としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質を用いることができる。特に、フッ素系高分子電解質として、デュポン社製Nafion(登録商標)系材料を好適に用いることができる。なお、電極触媒層2,3と、高分子電解質膜1との密着性を考慮すると、触媒インクに含まれる高分子電解質には高分子電解質膜1と同一の材料を用いることが好ましい。
<触媒物質>
上記触媒物質(以下、触媒粒子あるいは触媒と称すことがある)としては、白金、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、オスミウムの白金族元素の他、鉄、鉛、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウムもしくはアルミニウム等の金属又はこれらの合金、酸化物もしくは複酸化物等を用いることができる。触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極反応性に優れ、電極反応を効率良く安定して行うことができる。触媒粒子が、白金、金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及び、イリジウムから選ばれた1種又は2種以上の金属である場合、電極触媒層2,3を備えた固体高分子形燃料電池12が高い発電特性を示すので好ましい。
また、上述した触媒粒子の平均粒子径は、0.5nm以上20nm以下が好ましく、1nm以上5nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、カーボン粒子などの担体に担持された触媒であれば、X線回折法から求めた平均流径である。また、担体に担持されていない触媒であれば、粒度測定から求めた算術平均流径である。触媒粒子の平均粒子径が0.5nm以上20nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。
上述の触媒物質を担持する電子伝導性の粉末としては、一般的にカーボン粒子が使用される。カーボン粒子の種類は、微粒子状で導電性を有し、触媒におかされないものであれば限定されるものではないが、カーボンブラックやグラファイト、黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、フラーレンを用いることができる。
カーボン粒子の平均粒子径は、10nm以上1000nm以下程度が好ましく、10nm以上100nm以下がより好ましい。ここで、平均粒子径とは、SEM像から求めた平均流径である。カーボン粒子の平均粒子径が10nm以上1000nm以下の範囲にある場合、触媒の活性及び安定性が向上するため好ましい。電子伝導パスが形成されやすくなり、また、2つの電極触媒層2、3のガス拡散性や触媒の利用率が向上するため好ましい。
触媒インクの分散媒として使用される溶媒は、触媒物質担持粒子や高分子電解質を浸食することがなく、高分子電解質を流動性の高い状態で溶解又は微細ゲルとして分散できるものあれば特に限定されるものではない。しかしながら、溶媒には、揮発性の有機溶媒が少なくとも含まれていることが望ましい。触媒インクの分散媒として使用される溶媒の例として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ペンタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、ペンタノン、メチルイソブチルケトン、へプタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、メトキシトルエン、ジブチルエーテル等のエーテル系溶剤、その他ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジアセトンアルコール、1−メトキシ−2−プロパノール等の極性溶剤等を用いることができる。また、溶媒は、上述の材料のうち二種以上を混合させた混合溶媒を用いても良い。
また、触媒インクの分散媒として使用される溶媒として、低級アルコールを用いたものは発火の危険性が高いため、低級アルコールを用いる場合は、水との混合溶媒にするのが好ましい。更に、高分子電解質となじみが良い水(親和性が高い水)が含まれていても良い。水の添加量は、高分子電解質が分離して白濁を生じたり、ゲル化したりしない程度であれば特に制限されるものではない。
触媒物質担持粒子を分散させるために、触媒インクに分散剤が含まれていても良い。分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。
アニオン界面活性剤の例として、アルキルエーテルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アルカノイルザルコシン、アルカノイルグルタミン酸塩、アシルグルタメート、オレイン酸・N−メチルタウリン、オレイン酸カリウム・ジエタノールアミン塩、アルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート・トリエタノールアミン塩、特殊変成ポリエーテルエステル酸のアミン塩、高級脂肪酸誘導体のアミン塩、特殊変成ポリエステル酸のアミン塩、高分子量ポリエーテルエステル酸のアミン塩、特殊変成リン酸エステルのアミン塩、高分子量ポリエステル酸アミドアミン塩、特殊脂肪酸誘導体のアミドアミン塩、高級脂肪酸のアルキルアミン塩、高分子量ポリカルボン酸のアミドアミン塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等のカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホサクシネート、スルホコハク酸ジアルキル塩、1,2−ビス(アルコキシカルボニル)−1−エタンスルホン酸塩、アルキルスルホネート、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホネート、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホネート、ポリナフチルメタンスルホン酸塩、ナフタレンスルホネート−ホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホネート、アルカノイルメチルタウリド、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩、セチル硫酸エステルナトリウム塩、ステアリル硫酸エステルナトリウム塩、オレイル硫酸エステルナトリウム塩、ラウリルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸型界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート、アルキルポリエトキシ硫酸塩、ポリグリコールエーテルサルフェート、アルキルポリオキシエチレン硫酸塩、硫酸化油、高度硫酸化油等の硫酸エステル型界面活性剤、リン酸(モノ又はジ)アルキル塩、(モノ又はジ)アルキルホスフェート、(モノ又はジ)アルキルリン酸エステル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、アルキルエーテルホスフェート、アルキルポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、リン酸アルキルフェニル・ポリオキシエチレン塩、アルキルフェニルエーテル・ホスフェート、アルキルフェニル・ポリエトキシ・リン酸塩、ポリオキシエチレン・アルキルフェニル・エーテルホスフェート、高級アルコールリン酸モノエステルジナトリウム塩、高級アルコールリン酸ジエステルジナトリウム塩、ジアルキルジチオリン酸亜鉛等のリン酸エステル型界面活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の例として、ベンジルジメチル{2−[2−(P−1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノオキシ)エトキシ]エチル}アンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、牛脂トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、ヤシジメチルベンジルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−牛脂イミダゾリン4級塩、2−ヘプタデセニルーヒドロキシエチルイミダゾリン、ステアラミドエチルジエチルアミン酢酸塩、ステアラミドエチルジエチルアミン塩酸塩、トリエタノールアミンモノステアレートギ酸塩、アルキルピリジウム塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、ポリアクリルアミドアミン塩、変成ポリアクリルアミドアミン塩、パーフルオロアルキル第4級アンモニウムヨウ化物等が挙げられる。
両性界面活性剤の例として、ジメチルヤシベタイン、ジメチルラウリルベタイン、ラウリルアミノエチルグリシンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチン、3−[ω−フルオロアルカノイル−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン等が挙げられる。
非イオン界面活性剤の例として、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:2型)、牛脂肪酸ジエタノールアミド(1:1型)、オレイン酸ジエタノールアミド(1:1型)、ヒドロキシエチルラウリルアミン、ポリエチレングリコールラウリルアミン、ポリエチレングリコールヤシアミン、ポリエチレングリコールステアリルアミン、ポリエチレングリコール牛脂アミン、ポリエチレングリコール牛脂プロピレンジアミン、ポリエチレングリコールジオレイルアミン、ジメチルラウリルアミンオキサイド、ジメチルステアリルアミンオキサイド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、ポリビニルピロリドン、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビットの脂肪酸エステル、ソルビタンの脂肪酸エステル、砂糖の脂肪酸エステル等が挙げられる。
上述した界面活性剤の中でも、アルキルベンゼンスルホン酸、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、油溶性アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩等のスルホン酸型の界面活性剤は、カーボンの分散効果、分散剤の残存による触媒性能の変化等を考慮すると、分散剤として、好適に用いることができる。
触媒インク中の高分子電解質の量を多くすると細孔容積は一般に小さくなる。一方、触媒インク中のカーボン粒子の量を多くすると、細孔容積は大きくなる。また、分散剤を使用すると、細孔容積は小さくなる。
また、触媒インクは必要に応じて分散処理が行われる。触媒インクの粘度と、触媒インクに含まれる粒子のサイズとを、触媒インクの分散処理の条件によって制御することができる。分散処理は、様々な装置を採用して行うことができる。特に、分散処理の方法は限定されるものではない。例えば、分散処理としては、ボールミルやロールミルによる処理、せん断ミルによる処理、湿式ミルによる処理、超音波分散処理等が挙げられる。また、遠心力で攪拌を行うホモジナイザー等を採用しても良い。細孔容積は、分散時間が長くなるのに伴い、触媒物質担持粒子の凝集体が破壊されて小さくなる。
触媒インク中の固形分含有量は、多すぎると触媒インクの粘度が高くなるため、電極触媒層2及び3の表面にクラックが入りやすくなる。一方、触媒インク中の固形含有量が、少なすぎると成膜レートが非常に遅く、生産性が低下してしまう。したがって、触媒インク中の固形含有量は、1質量%(wt%)以上50質量%以下であることが好ましい。また、固形分は、触媒物質担持粒子と高分子電解質からなるが、固形分のうち、触媒物質担持粒子の含有量を多くすると、同じ固形分含有量でも粘度は高くなる。一方、固形分のうち、触媒物質担持粒子の含有量を少なくすると、同じ固形分含有量でも粘度は低くなる。したがって、固形分に占める触媒物質担持粒子の割合は10質量%以上80質量%以下が好ましい。また、触媒インクの粘度は、0.1cP以上500cP以下(0.0001Pa・s以上0.5Pa・s以下)程度が好ましく、5cP以上100cP以下(0.005Pa・s以上0.1Pa・s以下)がより好ましい。また触媒インクの分散時に分散剤を添加することで、粘度の制御をすることもできる。
また、触媒インクに造孔剤が含まれていても良い。造孔剤は、電極触媒層の形成後に除去することで、細孔を形成することができる。酸やアルカリ、水に溶ける物質や、ショウノウ等の昇華する物質、熱分解する物質等を挙げることができる。造孔剤が、温水で溶ける物質であれば、発電時に発生する水で取り除いても良い。
酸やアルカリ、水に溶ける造孔剤としては、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の酸可溶性無機塩類、アルミナ、シリカゲル、シリカゾル等のアルカリ水溶液に可溶性の無機塩類、アルミニウム、亜鉛、スズ、ニッケル、鉄等の酸又はアルカリに可溶性の金属類、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム等の水溶性無機塩類、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の水溶性有機化合物類等が挙げられる。また、上述した造孔剤は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いても良いが、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
触媒インクを基材上に塗布する塗布方法としては、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法等を採用することができる。
電極触媒層2,3の製造に用いる基材としては、転写シートを用いることができる。
基材として用いられる転写シートとしては、転写性が良い材質であれば良く、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂を用いることができる。また、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリアミド(ナイロン)、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート等の高分子シート、高分子フィルムを転写シートとして用いることができる。また、基材として転写シートを用いた場合には、高分子電解質膜1に溶媒除去後の塗膜である電極膜を接合した後に転写シートを剥離し、高分子電解質膜1の両面に電極触媒層2,3を備える膜電極接合体11とすることができる。
[細孔]
膜電極接合体11の電極触媒層2,3は、それぞれ、複数の物質を輸送する通路の役割を果たす細孔を有している。膜電極接合体11では、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、ガスの入口側に設ける第1の電極触媒部2aの細孔容積の値が、ガスの出口側に設ける第2の電極触媒部2bの細孔容積の値よりも小さいことが好ましい。
また、ガスの入口側に設ける第1の電極触媒部2aの細孔容積の値が、ガスの出口側に設ける第2の電極触媒部2bの細孔容積の値よりも小さいことが好ましい。言い換えると、ガスの上流側の第1の電極触媒部2a(又は3a)の細孔容積の値よりも、ガスの下流側の第2の電極触媒部2b(又は3b)の細孔容積の値が大きくなっていることが好ましい。ここで、「細孔容積」とは、水銀圧入法で求められる、細孔の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積の値をいう。
ガスの入口側に設ける第1の電極触媒部2a,3aを、ガスの出口側に設ける第2の電極触媒部2b、3bと比較して密な構造にすることによって、ガスの入口側に設ける第1の電極触媒部2a、3aで保水性を高め、ガスの出口側に設ける第2の電極触媒部2b,3bで水の除去を促進している。このように、膜電極接合体11は、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立している。
また、電極触媒層2、3における第1の電極触媒部2a、3aと第2の電極触媒部2b、3bで重なりや隙間がないため、これによる発電特性や耐久性の低下を抑制している。
さらに、膜電極接合体11では、従来の湿度調整フィルムの適用や、電極触媒層表面への溝の形成によって低加湿化を図る場合と異なり、界面抵抗の増大による発電特性の低下が見られない。このことより、従来の膜電極接合体を備えた固体高分子形燃料電池に比べ、膜電極接合体11を備える固体高分子形燃料電池は、低加湿条件下でも高い発電特性を示すという顕著な効果を奏する。
また、第2の電極触媒部2b(又は3b)の直径1.0μm以下の細孔容積の値と、第1の電極触媒部2a(又は3a)の直径1.0μm以下の細孔容積の値との差が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、0.1mL/g以上1.0mL/g以下であることが好ましい。上述した細孔容積の値の差が0.1mL/gに満たない場合にあっては、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。また、上述した細孔容積の値の差が1.0mL/gを超える場合にあっても、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性を両立することが困難となる場合がある。
なお、各電極触媒層2、3の分割数は2つ(例えば第1の電極触媒部2a及び第2の電極触媒部2b)に限定されるものではない。各電極触媒層2、3の分割数は3つ以上であっても良い。各電極触媒層2、3の分割数を3つ以上にする場合、電極触媒層2、3における、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値での直径1.0μm以下の細孔容積が、ガスの上流側からガスの下流側に、段階的に変化する。言い換えると、電極触媒層の分割数が3つ以上であっても、電極触媒層2、3のガスの上流側の領域の細孔容積の値よりも、ガスの下流側の領域の細孔容積の値が大きくなるように変化させる。
また、高分子電解質膜1の両面に形成される2つの電極触媒層2、3のうちの一方のみ(電極触媒層2又は3)が、異なる細孔容積を有する2以上の領域に分割されていても良い。
電極触媒層2又は3の一方のみを異なる細孔容積を有する2以上の領域に分割する場合、異なる細孔容積を有する2以上の領域に分割した電極触媒層は、電極反応により水が発生する空気極(カソード)(図1中、上側の電極触媒層2で示す)側に配置されることが好ましい。但し、低加湿条件下における高分子電解質膜1の水分保持の点から、異なる細孔容積を有する2以上の領域に分割した電極触媒層は、高分子電解質膜1の両面に形成されることが、より好ましい。
(固体高分子形燃料電池)
次に、本実施形態の固体高分子形燃料電池12について説明する。
図2に示すように、固体高分子形燃料電池12は、膜電極接合体11の電極触媒層2と対向するように配置される空気極側のガス拡散層4と、電極触媒層3と対向するように配置される燃料極側のガス拡散層5とを備える。
すなわち、電極触媒層2と、ガス拡散層4とが、空気極(カソード)6を形成する。また、電極触媒層3とガス拡散層5とが、燃料極(アノード)7を形成する。
ガス拡散層4,5としては、ガス拡散性と導電性とを有する材質を用いることができる。例えば、ガス拡散層4,5として、カーボンクロス、カーボンペーパー、不織布等のポーラスカーボン材を用いることができる。
また、ガス流通用のガス流路8(8a,8b)と、冷却水流通用の冷却水流路9(9a,9b)とを備えた、導電性及び不透過性を有する材料よりなる一組のセパレータ10(10a、10b)が、ガス拡散層4及び5の外側にそれぞれ配置される。
燃料極7側のセパレータ10bのガス流路8bからは、燃料ガスとして例えば水素ガスが供給される。一方、空気極6側のセパレータ10aのガス流路8aからは、酸化剤ガスとして例えば酸素ガスが供給される。燃料ガスの水素と、酸化剤ガスの酸素とを触媒の存在下で電極反応させることにより、燃料極と空気極の間に起電力を生じさせることができる。
ここで、セパレータ10aは、ガス流路8aの形成方向(ガスが流れる方向)が電極触媒層2の分割方向(第1の電極触媒部2a及び第2の電極触媒部2bの境界の方向)と略直交するように配置される。また、セパレータ10bは、ガス流路8bの形成方向(ガスが流れる方向)が電極触媒層3の分割方向(第1の電極触媒部3a及び第2の電極触媒部3bの境界の方向)と略直交するように配置される。これにより、電極触媒層2の第1の電極触媒部2aがガス流路8aの上流側に位置し、第1の電極触媒部2aの細孔容積よりも大きい細孔容積を有する第2の電極触媒部2bがガス流路8aの下流側に位置する。同様に、電極触媒層3の第1の電極触媒部3aがガス流路8bの上流側に位置し、第1の電極触媒部3aの細孔容積よりも大きい細孔容積を有する第2の電極触媒部3bがガス流路8bの下流側に位置する。
セパレータ10(10a,10b)としては、カーボンタイプあるいは金属タイプのもの等を用いることができる。なお、ガス拡散層4,5とセパレータ10(10a,10b)はそれぞれ一体構造となっていても良い。
固体高分子形燃料電池12は、一組のセパレータ10a、10bに、高分子電解質膜1と、2つの電極触媒層2、3と、ガス拡散層4及び5とが狭持されている。
ここで、固体高分子形燃料電池12は単セル構造の燃料電池であるが、セパレータ10a又は10bを介して複数のセルを積層して固体高分子形燃料電池としても良い。すなわち、セパレータ10(10a,10b)もしくは電極触媒層2,3が、ガス拡散層4,5の機能を果たす場合は、ガス拡散層4,5は省略しても良い。固体高分子形燃料電池12は、ガス供給装置、冷却装置等、その他付随する装置を組み立てることにより製造することができる。
(膜電極接合体の製造方法)
次に、本実施形態の膜電極接合体11の製造方法について説明する。
本実施形態の膜電極接合体11の製造方法は、以下の第1〜第4工程を含む。なお、本実施形態の膜電極接合体11の製造方法では、膜電極接合体11の電極触媒層2が、第1の電極触媒部2a及び第2の電極触媒部2bを有し、電極触媒層3が、第1の電極触媒部3a及び第2の電極触媒部3bを有している。
(第1工程)触媒を担持した粒子と高分子電解質とを溶媒に分散させて触媒インクを作製する工程
(第2工程)触媒インクを基材に塗布して、空気極(カソード)6を構成する電極触媒層2となる電極膜と、基材上に燃料極(アノード)7を構成する電極触媒層3となる電極膜と、を形成する工程
(第3工程)空気極(カソード)6を構成する電極触媒層2となる電極膜及び燃料極(アノード)7を構成する電極触媒層3となる電極膜を転写して、第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程
(第4工程)電極触媒層2を構成する第1の電極触媒部2a及び電極触媒層3を構成する第1の電極触媒部3aを加圧・加熱処理する工程
なお、第1工程は触媒インク作製工程に対応し、第2工程は電極膜形成工程に対応する。
また、第3工程は、第1の電極触媒層形成工程における第1の電極触媒部と第2の電極触媒部の形成及び第2の電極触媒層形成工程における第1の電極触媒部と第2の電極触媒部の形成を同時に行う工程である。
また、第4工程は、第1の電極触媒層形成工程における第1の電極触媒部の加圧・加熱処理及び第2の電極触媒層形成工程における第1の電極触媒部の加圧・加熱処理を同時に行う工程である。
各電極触媒層2,3は、触媒を担持した粒子と高分子電解質とを溶媒に分散させた触媒インクを基材に塗布して塗膜を形成し、該塗膜中の溶媒を除去し、溶媒除去後の塗膜(以下、電極膜と称することがある)を高分子電解質膜1に転写することにより形成される。このとき、電極触媒層に対する加圧処理をすることで、処理後の各電極触媒層2,3の細孔容積を調整することができる。すなわち、加圧処理の圧力を大きくした場合、形成される電極触媒層2,3の細孔容積を小さくすることができる。
このため、第3工程における第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)の形成時の転写圧力よりも、第4工程における第1の電極触媒部(2a,3a)加圧処理の圧力を高くする。これにより、細孔容積の異なる電極触媒部(第1の電極触媒部(2a,3a)、第2の電極触媒部(2b,3b))を形成することができる。
膜電極接合体11の製造方法では、第1の電極触媒部(2a,3a)を加圧処理する工程(第4工程)における圧力を、第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程(第3工程)における電極膜の転写圧力よりも大きくする。これにより、第4工程において加圧処理して形成される第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積を、第3工程において転写して形成される第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積よりも小さくすることができる。
第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程(第3工程)における転写圧力と、第1の電極触媒部(2a,3a)を加圧処理する工程(第4工程)における圧力の比率は、1:1.25以上1:5以下の範囲内であることが好ましい。第3工程における転写圧力と第4工程における圧力との比率が1:1.25に満たない場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が小さくなる。このため、膜電極接合体11において、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。また、第3工程における転写圧力と第4工程における転写圧力との比率が1:5を超える場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が大きくなる。このため、膜電極接合体11において、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。
また、各電極触媒部は、触媒を担持した粒子と高分子電解質とを溶媒に分散させた触媒インクを基材上に塗布して塗膜を形成し、該塗膜中の溶媒を除去し、溶媒除去後の塗膜(電極膜)を高分子電解質膜1に転写することにより形成される。このとき、電極触媒層に対する加熱処理することで、処理後の各電極触媒部の細孔容積を調整することができる。すなわち、加熱処理の温度を高くした場合、形成される電極触媒部の細孔容積を小さくすることができる。
このため、第3工程における第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)の形成時の転写温度よりも、第4工程における第1の電極触媒部(2a,3a)加熱処理の温度を高くする。これにより、細孔容積の異なる電極触媒部(第1の電極触媒部(2a,3a)、第2の電極触媒部(2b,3b))を形成することができる。
膜電極接合体11の製造方法では、第1の電極触媒部(2a,3a)を加熱処理する工程(第4工程)における温度を、第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程(第3工程)における電極膜の転写温度よりも高くする。
これにより、第4工程において加熱処理して形成される第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積を、第3工程において転写して形成される第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積よりも小さくすることができる。
第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程(第3工程)における転写温度と、第1の電極触媒部(2a,3a)を加圧処理する工程(第4工程)における温度の差は、2℃以上20℃以下の範囲内であることが好ましい。第3工程における転写温度と第4工程における温度の差が2℃に満たない場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が小さくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。また、第3工程における転写温度と第4工程における温度の差が20℃を超える場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が大きくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。
第1の電極触媒部(2a,3a)における直径1.0μm以下の細孔容積の値と、第2の電極触媒部(2b,3b)における直径1.0μm以下の細孔容積の値との差が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、0.1mL/g以上1.0mL/g以下となるように、電極膜の転写圧力又は転写温度を調整することが好ましい。上述した細孔容積の値の差が0.1mL/gに満たない場合は、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。また、上述した細孔容積の値の差が1.0mL/gを超える場合であっても、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。
以下に、本実施形態における固体高分子形燃料電池用電極触媒層の製造方法について具体的な実施例及び比較例を挙げて説明するが、本実施形態は下記の実施例及び比較例によって制限されるものではない。
(実施例1)
<触媒インクの調整>
白金担持量が50質量%である白金担持カーボン触媒(商品名:TEC10E50E、田中貴金属工業社製)と、20質量%高分子電解質溶液(商品名:Nafion(登録商標)、デュポン社製)とを溶媒中で混合し、遊星型ボールミルで分散処理を行った。このとき、分散時間を30分間とし、触媒インクを調整した。調整した触媒インクの出発原料の組成比は、カーボン担体:高分子電解質を質量比で1:1とした。触媒インクの溶媒は、超純水と1−プロパノールを体積比で1:1とした。また、触媒インクにおける固形分含有量は10質量%とした。
〔基材〕
転写シートである、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを基材として用いた。
<基材上への電極触媒層の形成>
ドクターブレード法により、上述したようにして調整した触媒インクを基材上に塗布し、大気雰囲気中80℃で乾燥させた。触媒インクの塗布量は、燃料極(アノード)となる電極触媒層では白金担持量0.1mg/cmとし、空気極(カソード)となる電極触媒層では白金担持量0.3mg/cmとなるようにそれぞれ調整した。
<膜電極接合体の作製>
アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜いた。高分子電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)、デュポン社製)上に、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で転写して形成した。第1の電極触媒部をガスの入口側に、第2の電極触媒部をガスの出口側に配置するように、ガスの入口側の5cm×2.5cmを加圧処理した。第1の電極触媒部は、温度130℃、圧力9.0×10Paの条件で加圧処理した。
温度130℃、圧力9.0×10Paの条件で処理した第1の電極触媒部と、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で処理した第2の電極触媒部の細孔容積の測定を水銀ポロシメータで行った。その結果、ガスの入口側に設けた第1の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積よりも、ガスの出口側に設けた第2の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が大きくなり、その差は0.16mL/gであった。
(実施例2)
<触媒インクの調整>
実施例1の触媒インクと同様に調整した。
<基材>
実施例1の基材と同様にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いた。
<基材上への電極触媒層の形成>
実施例1の電極触媒層と同様に、アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した。
<膜電極接合体の作製>
アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜いた。高分子電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)、デュポン社製)上に、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で転写して形成した。第1の電極触媒部をガスの入口側に、第2の電極触媒部をガスの出口側に配置するように、ガスの入口側の5cm×2.5cmを加熱処理した。第1の電極触媒部は、温度140℃、圧力4.0×10Paの条件で加熱処理した。
温度140℃、圧力4.0×10Paの条件で処理した第1の電極触媒部と、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で処理した第2の電極触媒部の細孔容積の測定を水銀ポロシメータで行った。その結果、ガスの入口側に設けた第1の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積よりも、ガスの出口側に設けた第2の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が大きくなり、その差は0.19mL/gであった。
(実施例3)
<触媒インクの調整>
実施例1の触媒インクと同様に調整した。
<基材>
実施例1の基材と同様にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いた。
<基材上への電極触媒層の形成>
実施例1の電極触媒層と同様に、アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した。
<膜電極接合体の作製>
アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜いた。高分子電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)、デュポン社製)上に、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で転写して形成した。第1の電極触媒部をガスの入口側に、第2の電極触媒部をガスの出口側に配置するように、ガスの入口側の5cm×2.5cmを加圧処理した。第1の電極触媒部は、温度130℃、圧力21×10Paの条件で加圧処理した。
温度130℃、圧力21×10Paの条件で処理した第1の電極触媒部と、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で処理した第2の電極触媒部の細孔容積の測定を水銀ポロシメータで行った。その結果、ガスの入口側に設けた第1の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積よりも、ガスの出口側に設けた第2の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が大きくなり、その差は0.82mL/gであった。
(実施例4)
<触媒インクの調整>
実施例1の触媒インクと同様に調整した。
<基材>
実施例1の基材と同様にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いた。
<基材上への電極触媒層の形成>
実施例1の電極触媒層と同様に、アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した。
<膜電極接合体の作製>
アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した基材を5cm×5cmにそれぞれ打ち抜いた。高分子電解質膜(商品名:Nafion(登録商標)、デュポン社製)上に、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で転写して形成した。第1の電極触媒部をガスの入口側に、第2の電極触媒部をガスの出口側に配置するように、ガスの入口側の5cm×2.5cmを加熱処理した。第1の電極触媒部は、温度165℃、圧力4.0×10Paの条件で加熱処理した。
温度165℃、圧力4.0×10Paの条件で処理した第1の電極触媒部と、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で処理した第2の電極触媒部の細孔容積の測定を水銀ポロシメータで行った。その結果、ガスの入口側に設けた第1の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積よりも、ガスの出口側に設けた第2の電極触媒部の円筒近似による換算での直径1.0μm以下の細孔容積が大きくなり、その差は0.75mL/gであった。
(比較例1)
<触媒インクの調整>
実施例1の触媒インクと同様に調整した。
<基材>
実施例1の基材と同様にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートを用いた。
<基材上への電極触媒層の形成>
実施例1の電極触媒層と同様に、アノードとなる電極触媒層と、カソードとなる電極触媒層を形成した。
<膜電極接合体の作製>
電極触媒部を形成した基材を25cm(5cm×5cm)の正方形に打ち抜き、高分子電解質膜の両面に対面するように電極触媒部を配置させ、転写温度130℃、転写圧力4.0×10Paの条件で転写して膜電極接合体を得た。すなわち、ガスの上流側と下流側の電極触媒層との間に細孔容積の違いを形成しなかった。
(評価)
<発電特性>
実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、及び比較例1で作製した膜電極接合体を挟持するように、ガス拡散層として用いるカーボンペーパーを貼りあわせ、発電評価セル内に設置した。燃料電池測定装置を用いて、セル温度80℃とし、以下に示す2つの運転条件で電流電圧測定を行った。燃料ガスとして水素、酸化剤ガスとして空気を用い、利用率一定による流量制御を行った。なお、背圧は100kPaとした。
〔運転条件〕
1.フル加湿:相対湿度 アノード100%RH、カソード100%RH
2.低加湿:相対湿度 アノード30%RH、カソード30%RH
〔測定結果〕
実施例1、実施例2、実施例3、及び実施例4で作製した膜電極接合体は、比較例1で作製した膜電極接合体よりも、低加湿の運転条件下で優れた発電性能を示した。
また、実施例1、実施例2、実施例3、及び実施例4で作製した膜電極接合体は、低加湿の運転条件下においても、フル加湿の運転条件下と同等レベルの発電性能であった。特に電流密度0.5A/cm付近の発電性能が向上した。
実施例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて69mV高い発電特性を示した。
また、実施例2で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて47mV高い発電特性を示した。
また、実施例3で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて22mV高い発電特性を示した。
また、実施例4で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて28mV高い発電特性を示した。
このように、実施例1、実施例2、実施例3、及び実施例4で作製した膜電極接合体と、比較例1で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、ガスの入口側に設けた第1の電極触媒部の細孔容積の値よりも、ガスの出口側に設けた第2の電極触媒部の細孔容積の値を大きくした膜電極接合体は保水性が高まり、低加湿の運転条件下における発電特性が、フル加湿の運転条件下と同等の発電特性を示すことが確認された。
また、フル加湿の運転条件下では、実施例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて41mV高い発電特性を示した。
また、実施例2で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて32mV高い発電特性を示した。
また、実施例3で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて13mV高い発電特性を示した。
また、実施例4で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧は、比較例1で作製した膜電極接合体の電流密度0.5A/cmにおけるセル電圧と比べて21mV高い発電特性を示した。
このように、実施例1、実施例2、実施例3、及び実施例4で作製した膜電極接合体と、比較例1で作製した膜電極接合体との発電特性の結果から、反応ガスの拡散性、電極反応で生成した水の除去等を阻害していないことが確認された。
以上説明したように、本実施形態は、低加湿条件下で高い発電特性を示す膜電極接合体とその製造方法及びその膜電極接合体を備えてなる固体高分子形燃料電池に関するものである。
本実施形態に係る膜電極接合体は、高分子電解質膜を一対の電極触媒層で挟持した膜電極接合体である。ここで、少なくとも一方の電極触媒層は、第1の電極触媒部と、高分子電解質膜の平面方向において第1の電極触媒部に隣接する第2の電極触媒部との少なくとも2つに分割されている。そして、第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値が、第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値よりも大きくなっている。
上述した膜電極接合体の製造方法は、触媒インクを作製する工程と、触媒インクを基材上に塗布して電極膜を形成する工程と、電極膜を高分子電解質膜に転写して第1の電極触媒層と第2の電極触媒層を形成する工程と、第1の電極触媒層を加圧処理する工程とを有する。
また、いずれかの電極触媒層形成時において、第1の電極触媒部と第2の電極触媒部を形成する工程における転写圧力と、第1の電極触媒部を加圧処理する工程における圧力の比率を、1:1.25以上1:5以下の範囲内としている。
また、第1の電極触媒部と第2の電極触媒部を形成する工程における転写温度と、第1の電極触媒部を加圧処理する工程における温度の差を2℃以上20℃以下の範囲内としている。
第1の電極触媒部(2a,3a)と第2の電極触媒部(2b,3b)を形成する工程(第3工程)における転写温度と、第1の電極触媒部(2a,3a)を加圧処理する工程(第4工程)における温度の差は、2℃以上20℃以下の範囲内であることが好ましい。第3工程における転写温度と第4工程における温度の差が2℃に満たない場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が小さくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。また、第3工程における転写温度と第4工程における温度の差が20℃を超える場合は、形成された第1の電極触媒部(2a,3a)の細孔容積と第2の電極触媒部(2b,3b)の細孔容積との差が大きくなり、電極反応で生成した水の排水性と低加湿条件下における保水性とを両立することが困難となる場合がある。
また、本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法で製造された膜電極接合体は、第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、前記第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値よりも大きくなるように第1及び第2の電極触媒部が形成されている。さらに、本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法で製造された膜電極接合体は、第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積と、第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積との差が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、0.1mL/g以上1.0mL/g以下となるように第1及び第2の電極触媒部が形成されている。
また、本実施形態に係る固体高分子形燃料電池は、上述の膜電極接合体を備えている。
このため、本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法で製造された膜電極接合体は、電極反応で生成した水の除去等を阻害せずに保水性を高め、低加湿条件下でも高い発電特性を示す。また、本実施形態に係る膜電極接合体の製造方法は、上述したような膜電極接合体を効率良く経済的に容易に製造することができる。
以上、本発明の実施形態を詳述してきたが、実際には、上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変更があっても本発明に含まれる。
1…高分子電解質膜
2…電極触媒層
2a…第1の電極触媒部
2b…第2の電極触媒部
3…電極触媒層
3a…第1の電極触媒部
3b…第2の電極触媒部
4…ガス拡散層
5…ガス拡散層
6…空気極(カソード)
7…燃料極(アノード)
8,8a,8b…ガス流路
9,9a,9b…冷却水流路
10,10a,10b…セパレータ
11…膜電極接合体
12…固体高分子形燃料電池

Claims (8)

  1. 触媒インクを作製する触媒インク作製工程と、
    前記触媒インク作製工程で作製した前記触媒インクを基材に塗布して、前記基材上に前記電極触媒層となる電極膜を形成する電極膜形成工程と、
    前記電極膜を高分子電解質膜の一方の面に加圧しながら転写して、一方の前記電極触媒層を形成する第1の電極触媒層形成工程と、
    前記電極膜を前記高分子電解質膜の他方の面に加圧しながら転写して、他方の前記電極触媒層を形成する第2の電極触媒層形成工程と、
    を含み、
    前記第1の電極触媒層形成工程、及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方において、前記電極膜を前記高分子電解質膜に加圧しながら転写して、前記高分子電解質膜の平面方向において隣接する位置に第1の電極触媒層部と第2の電極触媒層部とを形成し、かつ前記第1の電極触媒層形成工程、及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方における転写時よりも高い圧力で前記第1の電極触媒層部を加圧処理する膜電極接合体の製造方法。
  2. 前記第1の電極触媒部及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方の形成時における転写圧力と、前記第1の電極触媒部の加圧処理における圧力との比率が、1:1.25以上1:5以下の範囲内にある請求項1に記載の膜電極接合体の製造方法。
  3. 触媒インクを作製する触媒インク作製工程と、
    前記触媒インク作製工程で作製した前記触媒インクを基材に塗布して、前記基材上に前記電極触媒層となる電極膜を形成する電極膜形成工程と、
    前記電極膜を高分子電解質膜の一方の面に加熱しながら転写して、一方の前記電極触媒層を形成する第1の電極触媒層形成工程と、
    前記電極膜を前記高分子電解質膜の他方の面に加熱しながら転写して、他方の前記電極触媒層を形成する第2の電極触媒層形成工程と、
    を含み、
    前記第1の電極触媒層形成工程及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方において、前記電極膜を前記高分子電解質膜に加熱しながら転写して、前記高分子電解質膜の平面方向において隣接する位置に第1の電極触媒層部と第2の電極触媒層部を形成し、かつ前記第1の電極触媒層形成工程、及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方における転写時よりも高い温度で前記第1の電極触媒層部を加熱処理する膜電極接合体の製造方法。
  4. 前記第1の電極触媒部及び前記第2の電極触媒層形成工程の少なくとも一方における転写温度と、前記第1の電極触媒部の加熱処理における温度との差が、2℃以上20℃以下の範囲内にある請求項3に記載の膜電極接合体の製造方法。
  5. 高分子電解質膜と、
    前記高分子電解質膜を挟持する一対の電極触媒層と、
    を備え、
    少なくとも一方の前記電極触媒層は、第1の電極触媒部と、前記高分子電解質膜の平面方向において前記第1の電極触媒部に隣接する第2の電極触媒部とを有し、
    前記第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、前記第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値よりも大きくなっている膜電極接合体。
  6. 前記第2の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積と、前記第1の電極触媒部の直径1.0μm以下の細孔容積の値との差が、水銀圧入法で求められる細孔の円筒近似による換算値で、0.1mL/g以上1.0mL/g以下である請求項5に記載の膜電極接合体。
  7. 請求項5又は6に記載の膜電極接合体を備える固体高分子形燃料電池。
  8. 前記膜電極接合体を挟持し、前記電極触媒層に対してガスを供給するガス流路を有する一対のセパレータを備え、
    前記第1の電極触媒部は、前記ガス流路の上流側に配設され、前記第2の電極触媒部は、前記ガス流路の下流側に配設される請求項7に記載の固体高分子形燃料電池。
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