JP2017174751A - 電子顕微鏡および収差補正方法 - Google Patents

電子顕微鏡および収差補正方法 Download PDF

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【課題】時間変化する収差を補正することができる電子顕微鏡および収差補正方法を提供する。【解決手段】電子顕微鏡100は、光学系の収差を補正するための収差補正素子を備えた電子顕微鏡であって、収差の時間変化を記録する収差記録部612と、収差記録部612によって記録された収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行う収差補正素子制御部614と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、電子顕微鏡および収差補正方法に関する。
高分解能STEM観察の際には、二回非点や、コマ収差、フォーカスなどの低次の収差を、頻繁に補正する必要がある。二回非点は、スティグマコイル、もしくは球面収差補正装置の二段の多極子レンズの間に配置された偏向コイルを用いて補正することができる。コマ収差は、偏向コイルを用いて補正することができる。フォーカスは、対物レンズの励磁を変化させることで補正することができる。
STEMにおいて収差の補正を行う際には、一般的に、ロンチグラムの形状から収差の情報を取得する。例えば、特許文献1には、アモルファス試料のロンチグラム図形の局所領域の自己相関をとり、当該自己相関または当該自己相関のフーリエ解析から開口面上における局所角度領域から計算される電子線の収差を検出し、当該検出結果に基づいて各収差を計算することを特徴とするロンチグラムを用いた収差測定方法が開示されている。
特開2007−180013号公報
高分解能STEM観察において、装置が安定するまでの間、二回非点や、コマ収差、フォーカスなどの収差が時間とともに変化してしまい、観察に支障をきたす場合がある。このような場合には、装置が安定するまで、観察を中断しなければならない。
図13は、電子顕微鏡においてレンズに流す電流を大きく変更した後に、コマ収差が時間とともに変化する様子を示す図である。
装置のモードを切り替える実験や、時間が限られている実験において、装置が安定する前から観察可能になることは、ユーザーの多くが望むことである。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、時間変化する収差を補正することができる電子顕微鏡および収差補正方法を提供することにある。
(1)本発明に係る電子顕微鏡は、
光学系の収差を補正するための収差補正素子を備えた電子顕微鏡であって、
前記収差の時間変化を記録する収差記録部と、
前記収差記録部によって記録された前記収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差が補正されるように前記収差補正素子を動作させる制御を行う制御部と、
を含む。
このような電子顕微鏡では、制御部が収差記録部によって記録された収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行うため、時間変化する収差を補正することができる。したがって、このような電子顕微
鏡では、光学系の収差が時間変化している場合であっても、収差が補正された状態を保つことができる。
(2)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記制御部は、
前記収差の時間変化の情報に基づいて、前記収差の時間変化を予測する処理と、
前記収差の時間変化の予測結果に基づいて、前記収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、
を行ってもよい。
このような電子顕微鏡では、収差補正素子を、時間変化する収差が補正されるように動作させることができる。
(3)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記収差記録部は、
ロンチグラムを取得して前記収差を測定し、測定された前記収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第1記録処理と、
前記第1記録処理の後に、再び、ロンチグラムを取得して前記収差を測定し、測定された前記収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第2記録処理と、
を行ってもよい。
(4)本発明に係る電子顕微鏡は、
光学系の収差を補正するための収差補正素子を備えた電子顕微鏡であって、
前記収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する動作状態記録部と、
前記動作状態記録部によって記録された前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差が補正されるように前記収差補正素子を動作させる制御を行う制御部と、
を含む。
このような電子顕微鏡では、制御部が、動作状態記録部によって記録された収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる。ここで、後述するように、収差補正素子の動作状態の時間変化は、収差の時間変化に対応させることができる。したがって、このような電子顕微鏡によれば、時間変化する収差を補正することができる。
(5)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記制御部は、
前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、前記収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する処理と、
前記収差補正素子の動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、前記収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、
を行ってもよい。
このような電子顕微鏡では、収差補正素子を、時間変化する収差が補正されるように動作させることができる。
(6)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記動作状態記録部は、ユーザーの記録指示に応じて、前記収差補正素子の動作状態を記録するとともに、前記収差補正素子の動作状態を記録した時間を記録する処理を行って
もよい。
(7)本発明に係る収差補正方法は、
電子顕微鏡における光学系の収差を補正するための収差補正方法であって、
前記収差の時間変化を記録する収差記録工程と、
前記収差記録工程で記録された前記収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差を補正する収差補正工程と、
を含む。
このような収差補正方法では、時間変化する収差を補正することができる。
(8)本発明に係る収差補正方法は、
電子顕微鏡における光学系の収差を補正するための収差補正方法であって、
前記収差を補正するための収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する動作状態記録工程と、
前記動作状態記録工程で記録された前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、前記収差補正素子を動作させて時間変化する前記収差を補正する収差補正工程と、
を含む。
このような収差補正方法では、時間変化する収差を補正することができる。
第1実施形態に係る電子顕微鏡を模式的に示す図。 電子顕微鏡本体の光学系を模式的に示す図。 第1実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 本体制御装置の制御GUIの一例を示す図。 本体制御装置の収差補正処理の流れを示すフローチャート。 第2実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 本体制御装置の収差補正処理の流れを示すフローチャート。 第3実施形態に係る電子顕微鏡の構成を示す図。 本体制御装置の制御GUIの一例を示す図。 TEMモードからSTEMモードに移行したときのコマ収差の時間変化を示すグラフ。 TEMモードからSTEMモードに移行したときのコマ収差の時間変化を示すグラフ。 時間変化するコマ収差の補正を行った結果を示す図。 電子顕微鏡においてレンズに流す電流を大きく変更した後に、コマ収差が時間とともに変化する様子を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡
まず、第1実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100を模式的に示す図である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子顕微鏡本体2と、収差補正装置4と、本体制御装置6と、収差補正装置制御装置8と、収差補正装置電源9と、を含む。電子顕微鏡100は、透過電子顕微鏡(TEM)である。また、電子顕微鏡100は、走査透過電子顕微鏡(STEM)としても機能する。
電子顕微鏡本体2は、光学系や、試料を保持する試料ステージ、TEM像やSTEM像を撮影するための検出器などを含んで構成されている。
収差補正装置4は、電子顕微鏡本体2の光学系(照射系)に組み込まれている。収差補正装置4は、球面収差を補正するための球面収差補正装置である。収差補正装置4は、負の球面収差を作り出し、光学系の正の球面収差を打ち消すことで、光学系の球面収差を補正する。
本体制御装置6は、電子顕微鏡本体2を制御する。また、本体制御装置6は、電子顕微鏡本体2の検出器から出力された信号を受け取り、TEM像やSTEM像を生成する。本体制御装置6は、LANなどのネットワークを介して、収差補正装置制御装置8に接続されている。本体制御装置6は、収差補正装置制御装置8を介して、収差補正装置4を動作させることができる。
本体制御装置6は、時間変化する光学系の収差を補正するための収差補正処理を行う。この収差補正処理については、後述する「1.2. 電子顕微鏡の動作」で説明する。
収差補正装置制御装置8は、収差補正装置4を制御する。収差補正装置制御装置8は、収差補正装置4に所定の電源が供給されるように収差補正装置電源9を制御する。
図2は、電子顕微鏡本体2の光学系を模式的に示す図である。電子顕微鏡本体2の光学系は、図2に示すように、電子銃20と、3段のレンズからなる第1集束レンズ22と、転送レンズ24と、偏向コイル25a,25bと、第2集束レンズ26と、対物レンズ27と、中間レンズ28と、投影レンズ29と、を含んで構成されている。また、電子顕微鏡本体2の光学系には、収差補正装置4が組み込まれている。
収差補正装置4は、第1多極子40と、第1転送レンズ42と、偏向コイル44a,44b,44cと、第2転送レンズ46と、第2多極子48と、を含んで構成されている。収差補正装置4では、第1多極子40および第2多極子48が発生させる2段の多極子場で光学系の球面収差を補正する。
電子顕微鏡100が走査透過電子顕微鏡として機能する場合(STEMモードの場合)、電子銃20から放出された電子線は、第1集束レンズ22で集束されて、収差補正装置4に入射する。収差補正装置4では、収差(球面収差)が補正される。収差補正装置4を通過した電子線は、転送レンズ24によって転送され、第2集束レンズ26および対物レンズ27で集束されて、試料Sに照射される。電子顕微鏡100は、走査コイル(図示せず)を備えており、走査コイルによって集束された電子線を試料S上で走査する。試料Sを透過した電子線は、中間レンズ28、投影レンズ29を介して、検出器(図示せず)で検出される。これにより、STEM像を取得することができる。
STEMモードにおいて、二回非点は、収差補正装置4の第1多極子40と第2多極子48との間に配置された2段の偏向コイル44a,44b(二回非点を補正するための収差補正素子)を用いて、補正することができる。また、二回非点は、1段の偏向コイル44cを用いて補正することもできる。なお、二回非点は、スティグマコイル(図示せず)を用いて補正することもできるし、多極子コイルをスティグマコイルに見立てて補正する
こともできる。また、コマ収差は、転送レンズ24と第2集束レンズ26との間に配置された偏向コイル25a,25b(コマ収差を補正するための収差補正素子)を用いて補正することができる。また、フォーカスは、対物レンズ27(フォーカスを補正するための収差補正素子)を用いて補正することができる。
電子顕微鏡100が透過電子顕微鏡として機能する場合(TEMモードの場合)、電子銃20から放出された電子線は、第1集束レンズ22および第2集束レンズ26で集束されて試料Sに照射される。試料Sを通過した電子線は、対物レンズ27、中間レンズ28、および投影レンズ29を通り、検出器上にTEM像が結像される。これにより、TEM像を取得することができる。
図3は、電子顕微鏡100の構成を示す図である。
本体制御装置6は、処理部610と、操作部620と、表示部630と、記憶部640と、を含む。
操作部620は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部610に送る処理を行う。操作部620の機能は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどにより実現できる。
表示部630は、処理部610によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部630には、STEM像や、TEM像、収差を測定する際に用いられるロンチグラムなどが表示される。
記憶部640は、処理部610が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部640は、処理部610の作業領域として用いられ、処理部610が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するためにも使用される。記憶部640の機能は、ハードディスク、RAMなどにより実現できる。
処理部610は、電子顕微鏡本体2の制御や、時間変化する収差を補正するための収差補正処理などの処理を行う。処理部610の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)でプログラムを実行することにより実現してもよいし、ASIC(ゲートアレイ等)などの専用回路により実現してもよい。処理部610は、収差記録部612と、収差補正素子制御部614と、本体制御部616と、を含む。
収差記録部612は、光学系の収差の時間変化を記録する。
ここで、補正の対象となる収差は、二回非点、コマ収差、およびフォーカスの少なくとも1つである。これらの収差は、光学系を構成するレンズに流す電流を大きく変更した場合に、時間とともに変化する。TEMモードからSTEMモードに切り替えた場合や、電子銃20から放出される電子を加速するための高圧電源を切り替えた場合などに、レンズに流れる電流は大きく変更される。
収差記録部612は、ロンチグラムを取得して収差を測定し、測定された収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第1記録処理と、第1記録処理の後に、再び、ロンチグラムを取得して収差を測定し、測定された収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第2記録処理と、を行う。これにより、収差の時間変化を記録することができる。
収差記録部612は、例えば、SRAM(Segmental−Ronchigram−Autocorrelation−Function Matrix)法により、収差を測定する。具体的には、収差記録部612は、電子顕微鏡本体2で撮像されたロンチグラムを取得すると、ロンチグラムを小領域に分割したうえで各小領域について自己相関関数(auto correlation function)を取得し、各自己相関関数の形状から、収差を計算する。ロンチグラムから、二回非点の収差量、コマ収差の収差量、およびデフォーカス量を測定することができる。
収差記録部612は、時間を計測するタイマー(時計としての機能を有する)を有しており、当該タイマーによってロンチグラムを取得した時間を記録する。
収差記録部612は、第1記録処理および第2記録処理で得られた収差の時間変化の情報を記憶部640に記憶させる処理を行う。
なお、ここでは、収差記録部612が収差を記録する処理を2回行う場合について説明したが、収差記録部612が収差を記録する処理を行う回数は特に限定されない。例えば、収差記録部612は、収差を記録する処理を3回以上行ってもよい。
収差補正素子制御部614は、収差記録部612で記録された収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行う。具体的には、収差補正素子制御部614は、収差の時間変化の情報に基づいて、収差の時間変化を予測する処理と、収差の時間変化の予測結果に基づいて、収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、を行う。
収差の時間変化を予測する処理は、収差の時間変化の情報および以下で説明する収差変動関数から、収差の時間変化を予測することで行われる。
ここで、例えば、TEMモードからSTEMモードに移行する場合などにレンズ電流が変動する場合、収差の時間変化は所定の関数で近似できる(この収差の時間変化を近似する関数を収差変動関数と呼ぶ)。そのため、収差変動関数と収差の時間変化の情報から、収差の時間変化を予測することができる。例えば、後述する実施例で示すように、TEMモードからSTEMモードに移行した場合、切り替えた直後から所定時間内は、コマ収差の時間変化が線形で近似できる。そのため、コマ収差の時間変化を記録することで、その後のコマ収差の時間変化を予測することができる。収差変動関数は、収差が変化する原因に応じてあらかじめ複数用意されており、例えば記憶部640に記憶されている。
収差補正素子制御部614は、収差の時間変化の予測結果から、時間変化する収差を打ち消すように収差補正素子を動作させるための制御信号を生成し、収差補正素子を制御する。
本体制御部616は、電子顕微鏡本体2を制御する。本体制御部616は、例えば、操作部620からの操作信号に基づいて、電子顕微鏡本体2の光学系や、試料ステージ等の制御を行う。
図4は、本体制御装置6の制御GUI(Graphical User Interface)70の一例を示す図である。
制御GUI70には、記録開始ボタン72a、記録終了ボタン72b、記録時間入力部74、収差補正開始ボタン76a、収差補正終了ボタン76b、収差補正時間入力部78が表示される。
記録開始ボタン72aは収差の測定を開始するためのボタンである。記録開始ボタン72aが押下されると、収差記録部612は上述した第1記録処理を行う。
記録終了ボタン72bは収差の測定を終了するためのボタンである。記録終了ボタン72bが押下されると、収差記録部612は上述した第2記録処理を行う。
記録時間入力部74は、収差の測定を終了する時間を入力するためのものである。記録時間入力部74に時間が入力された後に、記録開始ボタン72aが押下されると、収差記録部612は第1記録処理を行った後、入力された時間が経過したタイミングで、第2記録処理を行う。
収差補正開始ボタン76aは、収差補正を開始するためのボタンである。収差補正開始ボタン76aが押下されると、収差補正素子制御部614は、収差補正素子を動作させる制御を開始する。
収差補正終了ボタン76bは、収差補正を終了するためのボタンである。収差補正終了ボタン76bが押下されると、収差補正素子制御部614は、収差補正素子を動作させる制御を終了する。
収差補正時間入力部78は、収差補正を終了する時間を入力するためのものである。収差補正時間入力部78に時間が入力された後に、収差補正開始ボタン76aが押下されると、収差補正素子制御部614は収差補正素子を動作させる制御を開始した後、入力された時間が経過したタイミングで、収差補正素子を動作させる処理を終了する。
1.2. 電子顕微鏡の動作
次に、電子顕微鏡100の動作について説明する。ここでは、本体制御装置6が、電子顕微鏡本体2の光学系の収差を補正する処理を行う場合について説明する。図5は、本体制御装置6の収差補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、収差記録部612は、ユーザーが記録開始の指示を行ったか否かを判定する(ステップS100)。収差記録部612は、制御GUI70の記録開始ボタン72aに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが記録開始の指示を行ったと判定する。
記録開始の指示が行われたと判定された場合(ステップS100でYESの場合)、収差記録部612は、ロンチグラムを取得して二回非点、コマ収差、およびフォーカスを測定し、測定されたこれらの収差を記録する(ステップS102)。また、収差記録部612は、ロンチグラムを取得した時間を記録する(ステップS104)。収差の情報とロンチグラムを取得した時間の情報は、記憶部640に記憶される。なお、収差記録部612は、記録開始からの経過時間を表示部630に表示してもよい。
次に、収差記録部612は、ユーザーが記録終了の指示を行ったか否かを判定する(ステップS106)。収差記録部612は、制御GUI70の記録終了ボタン72bに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが記録終了の指示を行ったと判定する。
記録終了の指示が行われたと判定された場合(ステップS106でYESの場合)、収差記録部612は、ロンチグラムを取得して二回非点、コマ収差、およびフォーカスを測定し、測定されたこれらの収差を記録する(ステップS108)。また、収差記録部612は、ロンチグラムを取得した時間を記録する(ステップS110)。収差の情報とロンチグラムを取得した時間の情報は、記憶部640に記憶される。
次に、収差補正素子制御部614は、収差の時間変化の情報に基づいて、収差の時間変化を予測する(ステップS112)。
収差補正素子制御部614は、二回非点の時間変化の情報と二回非点の収差変動関数から、二回非点の時間変化を予測する。また、収差補正素子制御部614は、同様に、コマ収差の時間変化の情報とコマ収差の収差変動関数から、コマ収差の時間変化を予測する。また、収差補正素子制御部614は、同様に、フォーカスの時間変化の情報とフォーカスの収差変動関数から、フォーカスの時間変化を予測する。
収差補正素子制御部614が収差の時間変化を予測する処理を行った後、処理部610は、ユーザーに対して、収差補正が開始できることを通知する処理を行ってもよい。例えば、処理部610は、制御GUI70の収差補正開始ボタン76aを色づけする処理や、点灯させる処理等を行い、ユーザーに収差補正が開始できることを通知してもよい。
次に、収差補正素子制御部614は、ユーザーが収差補正開始の指示を行ったか否かを判定する(ステップS114)。収差補正素子制御部614は、制御GUI70の収差補正開始ボタン76aに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが収差補正開始の指示を行ったと判定する。
収差補正開始の指示が行われたと判定された場合(ステップS114でYESの場合)、収差補正素子制御部614は、収差の時間変化の予測結果に基づいて、収差補正素子を動作させる制御を行う(ステップS116)。
具体的には、収差補正素子制御部614は、二回非点の時間変化の予測結果に基づいて、時間変化する二回非点が打ち消されるように偏向コイル44a,44bまたは偏向コイル44cを制御するための制御信号を生成して収差補正装置制御装置8に出力し、偏向コイル44a,44bまたは偏向コイル44cを動作させる。
また、収差補正素子制御部614は、コマ収差の時間変化の予測結果に基づいて、時間変化するコマ収差が打ち消されるように偏向コイル25a,25bを制御するための制御信号を生成して電子顕微鏡本体2に出力し、偏向コイル25a,25bを動作させる。
また、収差補正素子制御部614は、フォーカスの時間変化の予測結果に基づいて、デフォーカス量の時間変化がなくなるように対物レンズ27を制御するための制御信号を生成して電子顕微鏡本体2に出力し、対物レンズ27を動作させる。
次に、収差補正素子制御部614は、収差補正の終了時間の設定が行われているか否かを判定する(ステップS118)。収差補正素子制御部614は、制御GUI70の収差補正時間入力部78に時間が入力されている場合に、収差補正の終了時間の設定が行われていると判定する。
収差補正の終了時間が設定されていると判定された場合(ステップS118でYESの場合)、収差補正素子制御部614は、設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS120)。設定時間が経過したと判定された場合(ステップS120でYESの場合)、収差補正素子制御部614は、収差補正素子を動作させる制御を終了する。
一方、収差補正の終了時間が入力されていないと判定された場合(ステップS118でNOの場合)、収差補正素子制御部614は、ユーザーが収差補正終了の指示を行ったか否かを判定する(ステップS122)。収差補正素子制御部614は、制御GUI70の
収差補正終了ボタン76bに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが収差補正終了の指示を行ったと判定する。
収差補正終了の指示が行われたと判定された場合(ステップS122でYESの場合)、収差補正素子制御部614は、収差補正素子を動作させる処理を終了する。
以上の処理を行うことにより、時間変化する収差(二回非点、コマ収差、およびフォーカス)を補正することができる。
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100では、収差記録部612が光学系の収差の時間変化を記録し、収差補正素子制御部614が収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行う。そのため、電子顕微鏡100によれば、時間変化する収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡100では、収差が時間変化している場合であっても、収差が補正された状態を保つことができる。これにより、例えば、TEMモードからSTEMモードに切り替えた場合や、電子銃20から放出される電子を加速するための高圧電源を切り替えた場合などに、装置が安定するまで長時間待つ必要がなく、装置が安定する前から、高い分解能での観察や、高い位置精度での分析を行うことができる。
電子顕微鏡100では、収差補正素子制御部614が、収差の時間変化に基づいて収差の時間変化を予測する処理と、収差の時間変化の予測結果に基づいて、収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、を行う。そのため、電子顕微鏡100では、収差補正素子を、時間変化する収差が補正されるように動作させることができる。
電子顕微鏡100では、収差記録部612が、ロンチグラムを取得して収差を測定するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第1記録処理と、第1記録処理の後に、再び、ロンチグラムを取得して収差を測定するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第2記録処理と、を行う。これにより、収差の時間変化を記録することができる。
2. 第2実施形態
2.1. 電子顕微鏡
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、図3に示すように、処理部610は収差記録部612を含み、収差記録部612は収差の時間変化を記録した。
これに対して、電子顕微鏡200では、図6に示すように、処理部610は動作状態記録部618を含み、動作状態記録部618は収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する。
動作状態記録部618は、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する。ここで、収差補正素子の動作状態は、補正の対象となる収差が二回非点の場合、例えば偏向コイル44a,44bに印加される電圧値(または電流値)である。また、収差補正素子の動作状態は、補正の対象となる収差がコマ収差の場合、例えば偏向コイル25a,25bに印加
される電圧値(または電流値)である。また、収差補正素子の動作状態は、補正対象となる収差がフォーカスである場合、例えば対物レンズ27に印加される電圧値(または電流値)である。
動作状態記録部618は、例えば、ユーザーから記録指示があった場合に、収差補正素子の動作状態を記録するとともに、収差補正素子の動作状態を記録した時間を記録する処理を行う。この処理を複数回行うことで、動作状態記録部618は、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録することができる。
動作状態記録部618は、偏向コイル44a,44bに印加される電圧値(または電流値)、偏向コイル25a,25bに印加される電圧値(または電流値)、および対物レンズ27に印加される電圧値(または電流値)を読み取ることで、それぞれの素子の動作状態の情報を記録する。また、動作状態記録部618は、時間を計測するタイマー(時計としての機能を有する)を有しており、当該タイマーによって収差補正素子の動作状態を記録した時間を記録する。
ここで、電子顕微鏡200では、ユーザーが操作部620を操作して収差補正素子に印加される電圧値(または電流値)を調整することで、収差を補正することができる。すなわち、電子顕微鏡200では、手動で収差を補正することができる。ユーザーが手動で収差を補正したときの収差補正素子の動作状態は、当該収差の収差量に対応する。そのため、時間変化する収差をユーザーが手動で補正したときの収差補正素子の動作状態の時間変化は、収差の時間変化に対応する。
したがって、収差補正素子制御部614は、動作状態記録部618によって記録された収差補正素子の動作状態の時間変化に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行うことができる。
本実施形態では、収差補正素子制御部614は、動作状態記録部618によって記録された収差補正素子の動作状態の情報に基づいて、収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する処理と、収差補正素子の動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、を行う。
なお、上記では、動作状態記録部618が収差補正素子の動作状態を記録する処理を2回行う場合について説明したが、動作状態記録部618が収差補正素子の動作状態を記録する処理を行う回数は特に限定されない。例えば、動作状態記録部618は、収差補正素子の動作状態を記録する処理を3回以上行ってもよい。
本実施形態では、図4に示す制御GUI70の記録開始ボタン72aは、収差補正素子の動作状態の記録を開始するためのボタンとして機能する。また、記録終了ボタン72bは、収差補正素子の動作状態の記録を終了するためのボタンとして機能する。
2.2. 電子顕微鏡の動作
次に、電子顕微鏡200の動作について説明する。図7は、本体制御装置6の収差補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
まず、動作状態記録部618は、ユーザーが記録開始の指示(記録指示)を行ったか否かを判定する(ステップS200)。動作状態記録部618は、制御GUI70の記録開始ボタン72aに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが記録開始の指示を行ったと判定する。
ユーザーは、手動で、二回非点、コマ収差、およびフォーカスを補正する。そして、ユーザーは、これらの収差が補正されたと判断した場合に、制御GUI70の記録開始ボタン72aを押下する。
記録開始の指示が行われたと判定された場合(ステップS200でYESの場合)、動作状態記録部618は、偏向コイル44a,44b、偏向コイル25a,25b、および対物レンズ27の動作状態を記録する(ステップS202)。また、動作状態記録部618は、これらの収差補正素子の動作状態を取得した時間を記録する(ステップS204)。収差補正素子の動作状態の情報と収差補正素子の動作状態を記録した時間の情報は、記憶部640に記憶される。なお、動作状態記録部618は、記録開始からの経過時間を表示部630に表示してもよい。
次に、動作状態記録部618は、ユーザーが記録終了の指示(記録指示)を行ったか否かを判定する(ステップS206)。動作状態記録部618は、制御GUI70の記録終了ボタン72bに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが記録終了の指示を行ったと判定する。
ユーザーは、再び、手動で、二回非点、コマ収差、およびフォーカスを補正する。そして、ユーザーは、これらの収差が補正されたと判断した場合に、制御GUI70の記録終了ボタン72bを押下する。
記録終了の指示が行われたと判定された場合(ステップS206でYESの場合)、動作状態記録部618は、偏向コイル44a,44b、偏向コイル25a,25b、および対物レンズ27の動作状態を記録する(ステップS208)。また、動作状態記録部618は、これらの収差補正素子の動作状態を取得した時間を記録する(ステップS210)。収差補正素子の動作状態の情報と収差補正素子の動作状態を記録した時間の情報は、記憶部640に記憶される。
次に、収差補正素子制御部614は、収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する(ステップS212)。
収差補正素子制御部614は、偏向コイル44a,44bの動作状態の時間変化の情報と二回非点の収差変動関数から、偏向コイル44a,44bの時間変化を予測する。また、収差補正素子制御部614は、同様に、偏向コイル25a,25bの動作状態の時間変化の情報とコマ収差の収差変動関数から、偏向コイル25a,25bの動作状態の時間変化を予測する。また、収差補正素子制御部614は、同様に、対物レンズ27の動作状態の時間変化の情報とフォーカスの収差変動関数から、対物レンズ27の動作状態の時間変化を予測する。
収差補正素子制御部614が収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する処理を行った後、処理部610は、ユーザーに対して、収差補正が開始できることを通知する処理を行ってもよい。
次に、収差補正素子制御部614は、ユーザーが収差補正開始の指示を行ったか否かを判定する(ステップS214)。収差補正素子制御部614は、制御GUI70の収差補正開始ボタン76aに対する押下操作が行われた場合に、ユーザーが収差補正開始の指示を行ったと判定する。
収差補正開始の指示が行われたと判定された場合(ステップS214でYESの場合)、収差補正素子制御部614は、収差補正素子の動作状態の時間変化の予測結果に基づい
て、収差補正素子を動作させる制御を行う(ステップS216)。
具体的には、収差補正素子制御部614は、偏向コイル44a,44bの動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、時間変化する二回非点が打ち消されるように偏向コイル44a,44bを制御するための制御信号を生成して収差補正装置制御装置8に出力し、偏向コイル44a,44bを動作させる。
また、収差補正素子制御部614は、偏向コイル25a,25bの動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、時間変化するコマ収差が打ち消されるように偏向コイル25a,25bを制御するための制御信号を生成して電子顕微鏡本体2に出力し、偏向コイル25a,25bを動作させる。
また、収差補正素子制御部614は、対物レンズ27の動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、デフォーカス量の時間変化がなくなるように対物レンズ27を制御するための制御信号を生成して電子顕微鏡本体2に出力し、対物レンズ27を動作させる。
以降のステップS218、ステップS220、およびステップS222の処理は、それぞれ上述したステップS118、ステップS120、およびステップS222の処理と同様であり、その説明を省略する。
以上の処理を行うことにより、時間変化する収差(二回非点、コマ収差、およびフォーカス)を補正することができる。
電子顕微鏡200は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡200では、動作状態記録部618が収差補正素子の動作状態の時間変化を記録し、収差補正素子制御部614が動作状態記録部618によって記録された収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、時間変化する収差が補正されるように収差補正素子を動作させる制御を行う。ここで、上述したように、収差補正素子の動作状態の時間変化は、収差の時間変化に対応させることができる。したがって、電子顕微鏡200によれば、上述した電子顕微鏡100と同様に、時間変化する収差を補正することができる。
電子顕微鏡200では、収差補正素子制御部614は、収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する処理と、収差補正素子の動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、を行う。そのため、電子顕微鏡200では、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録することで、時間変化する収差を補正することができる。したがって、電子顕微鏡200では、ロンチグラムを取得して収差を測定することなく、時間変化する収差を補正することができる。
電子顕微鏡200では、動作状態記録部618は、ユーザーから記録指示があった場合に、収差補正素子の動作状態を記録するとともに、収差補正素子の動作状態を記録した時間を記録する処理を行う。そのため、電子顕微鏡200では、例えば、ユーザーが手動で収差を補正して記録指示を行い、所定時間経過後、再び、ユーザーが手動で収差を補正して記録指示を行うことで、収差補正素子の動作状態の時間変化を収差の時間変化に対応させることができる。これにより、収差補正素子の動作状態の時間変化から、時間変化する収差を補正することができる。
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図8は、第3実施形態に係る電子顕微鏡300の構成を示す図である。以下、第3実施形態に係る電子顕微鏡300において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100および第2実施形態に係る電子顕微鏡200の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
電子顕微鏡300では、図8に示すように、処理部610は、収差記録部612と、動作状態記録部618と、を含む。そのため、電子顕微鏡300では、収差の時間変化を記録して収差を補正するモード(収差記録部612を用いるモード)と、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録して収差を補正するモード(動作状態記録部618を用いるモード)と、を選択することができる。
図9は、電子顕微鏡300の本体制御装置6の制御GUI70の一例を示す図である。
本実施形態の制御GUI70には、さらに、モード選択ボタン79が表示されている。モード選択ボタン79は、収差の時間変化を記録するモードと、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録するモードと、を選択するためのボタンである。例えば、モード選択ボタン79が押下された場合、電子顕微鏡300は、収差の時間変化を記録するモードで動作する。一方、モード選択ボタン79が押下されていない場合、電子顕微鏡300は、収差補正素子の動作状態の時間変化を記録するモードで動作する。
4. その他
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
上述した実施形態では、補正の対象となる収差が、二回非点、コマ収差、およびフォーカスである場合について説明したが、本発明は、二回非点、コマ収差、およびフォーカス以外のその他の収差を対象にする収差補正にも適用できる。
また、例えば、上述した実施形態では、図2に示すように、収差補正装置4が照射系に組み込まれている例について説明したが、収差補正装置4は結像系に組み込まれていてもよい。
5. 実施例
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により限定されるものではない。
本実施例では、透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製原子分解能電子顕微鏡JEM−ARM300F)を用いて、TEMモードからSTEMモードに移行した直後のコマ収差の時間変化に対する補正を実施した。
(1)コマ収差の時間変化
まず、JEM−ARM300Fにおいて、TEMモードからSTEMモードに移行したときのコマ収差の時間変化を記録した。
具体的には、まず、STEMモードからTEMモードに移行させて10分間待機させて装置の光学系をTEMモードの条件に安定させた。次に、TEMモードからSTEMモードに移行させた。そして、レンズの緩和(lens relaxation)を行い、その後のコマ収差の時間変化を調べた。
図10および図11は、TEMモードからSTEMモードに移行したときのコマ収差の時間変化を示すグラフである。なお、図10および図11に示すグラフの横軸は時間であり、縦軸はコマ収差が補正された状態でのCLA表示値(コマ収差を補正するための収差補正素子に印加される電圧値に相当する値)である。すなわち、縦軸は、コマ収差の収差量に相当する。また、図10は、コマ収差のX方向の成分を表すグラフであり、図11は、コマ収差のY方向の成分を表すグラフである。X方向およびY方向は、互いに直交する方向である。
図10および図11に示すグラフから、TEMモードからSTEMモードに移行後、4分〜15分の間は、コマ収差は、線形に変化していることがわかる。
(2)時間変化するコマ収差の補正
JEM−ARM300Fにおいて、TEMモードからSTEMモードに移行させて、時間変化するコマ収差の補正を行った。
具体的には、まず、STEMモードからTEMモードに移行させて10分間待機させて装置の光学系をTEMモードの条件に安定させた後、TEMモードからSTEMモードに移行させた。次に、STEMモードに移行してから、6分から8分までの間、コマ収差が補正された状態での収差補正素子のCLA表示値の変化量を記録した。次に、この変化量の記録から8分以降のコマ収差の時間変化に対応するCLA表示値の変化を予測した。そして、8分以降は予測結果に基づきコマ収差の補正を行った。
ここで、8分以降のCLA表示値の変化の予測は、図10および図11に示すグラフから行った。図10および図11に示すグラフから、コマ収差は、TEMモードからSTEMモードへの移行後15分程度は線形に変化するため、CLA表示値も同様に線形に変化すると予測した。そのため、6分から8分までの間のCLA表示値の変化量から単位時間あたりのCLA表示値の変化量を求め、8分以降も同様の変化量でCLA値が変化していくものとして、収差補正素子を動作させた。
図12は、時間変化するコマ収差の補正を行った結果を示す図である。図12では、予測結果に基づいてコマ収差の補正を行った場合(「Correct」参照)と、コマ収差の補正を行わなかった場合(「Non Correct」参照)と、を比較している。なお、図12には、予測結果に基づいてコマ収差の補正を行った場合、およびコマ収差の補正を行わなかった場合の各々について、2分経過後、4分経過後、6分経過後のロンチグラムを示している。
図12に示す結果から、予測結果に基づいてコマ収差の補正を行った場合には、良好なロンチグラムを維持できていることがわかる。なお、コマ収差の補正を行わなかった場合には、コマ収差が時間とともに大きくなり、観察や分析に支障をきたす状態となっている。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
2…電子顕微鏡本体、4…収差補正装置、6…本体制御装置、8…収差補正装置制御装置、9…収差補正装置電源、20…電子銃、22…第1集束レンズ、24…転送レンズ、25a…偏向コイル、25b…偏向コイル、26…第2集束レンズ、27…対物レンズ、28…中間レンズ、29…投影レンズ、40…第1多極子、42…第1転送レンズ、44a…偏向コイル、44b…偏向コイル、46…第2転送レンズ、48…第2多極子、70…制御GUI、72a…記録開始ボタン、72b…記録終了ボタン、74…記録時間入力部、76a…収差補正開始ボタン、76b…収差補正終了ボタン、78…収差補正時間入力部、79…モード選択ボタン、100…電子顕微鏡、200…電子顕微鏡、300…電子顕微鏡、610…処理部、612…収差記録部、614…収差補正素子制御部、616…本体制御部、618…動作状態記録部、620…操作部、630…表示部、640…記憶部

Claims (8)

  1. 光学系の収差を補正するための収差補正素子を備えた電子顕微鏡であって、
    前記収差の時間変化を記録する収差記録部と、
    前記収差記録部によって記録された前記収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差が補正されるように前記収差補正素子を動作させる制御を行う制御部と、
    を含む、電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記制御部は、
    前記収差の時間変化の情報に基づいて、前記収差の時間変化を予測する処理と、
    前記収差の時間変化の予測結果に基づいて、前記収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、
    を行う、電子顕微鏡。
  3. 請求項1または2において、
    前記収差記録部は、
    ロンチグラムを取得して前記収差を測定し、測定された前記収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第1記録処理と、
    前記第1記録処理の後に、再び、ロンチグラムを取得して前記収差を測定し、測定された前記収差を記録するとともに、ロンチグラムを取得した時間を記録する第2記録処理と、
    を行う、電子顕微鏡。
  4. 光学系の収差を補正するための収差補正素子を備えた電子顕微鏡であって、
    前記収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する動作状態記録部と、
    前記動作状態記録部によって記録された前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差が補正されるように前記収差補正素子を動作させる制御を行う制御部と、
    を含む、電子顕微鏡。
  5. 請求項4において、
    前記制御部は、
    前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、前記収差補正素子の動作状態の時間変化を予測する処理と、
    前記収差補正素子の動作状態の時間変化の予測結果に基づいて、前記収差補正素子を動作させる制御を行う処理と、
    を行う、電子顕微鏡。
  6. 請求項4または5において、
    前記動作状態記録部は、ユーザーの記録指示に応じて、前記収差補正素子の動作状態を記録するとともに、前記収差補正素子の動作状態を記録した時間を記録する処理を行う、電子顕微鏡。
  7. 電子顕微鏡における光学系の収差を補正するための収差補正方法であって、
    前記収差の時間変化を記録する収差記録工程と、
    前記収差記録工程で記録された前記収差の時間変化の情報に基づいて、時間変化する前記収差を補正する収差補正工程と、
    を含む、収差補正方法。
  8. 電子顕微鏡における光学系の収差を補正するための収差補正方法であって、
    前記収差を補正するための収差補正素子の動作状態の時間変化を記録する動作状態記録工程と、
    前記動作状態記録工程で記録された前記収差補正素子の動作状態の時間変化の情報に基づいて、前記収差補正素子を動作させて時間変化する前記収差を補正する収差補正工程と、
    を含む、収差補正方法。
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