以下、添付図面に従って本発明の実施の形態について詳説する。
[ラインヘッド型インクジェット印刷装置のスジ欠陥について]
図1はラインヘッド型インクジェット印刷装置における異常ノズルに起因するスジ欠陥を説明するための模式図である。ラインヘッド型インクジェット印刷装置とは、ラインヘッドを備えたインクジェット印刷装置を指す。ここでは説明を簡単にするために、モノクロ濃淡画像を例に説明する。
ラインヘッド10は、インクジェット方式でインクを吐出する複数個のノズル12が並んだノズル列14を有するインクジェットヘッドである。ラインヘッド10に対して媒体20を搬送し、かつ、ノズル12からインクの液滴を吐出することにより、媒体20上にインクの液滴が付着してドット22が記録される。
ラインヘッド10に対して媒体20を搬送する方向である媒体搬送方向をY方向とし、Y方向に直交する媒体20の幅方向である媒体幅方向をX方向とする。ラインヘッド10の複数個のノズル12はX方向に並んでおり、各ノズル12は媒体20のX方向の異なる位置の記録を担う。ノズル12の並び方向であるX方向をノズル列方向と呼ぶ場合がある。
媒体搬送方向は、ラインヘッド10を媒体20に対して相対的に走査する方向であり、走査方向という場合がある。また、X方向は走査直交方向という場合がある。媒体20は記録媒体の一例である。Y方向は相対移動方向の一例である。Y方向は第1方向の一例であり、X方向は第2方向の一例である。なお、ここではラインヘッド10に対して媒体20を搬送することにより、両者の相対的な移動を行っているが、媒体20に対してラインヘッド10を移動させることにより、ラインヘッド10と媒体20とを相対的に移動させる構成を採用してもよい。
図1では10個のノズル12が並んだノズル列14を例示している。異常ノズルの例として、図1の左から3番目の第3番ノズルNz3が不吐ノズルとなっている。また、左から8番目の第8番ノズルNz8に吐出曲がりが発生している例が示されている。不吐ノズルは、インクの吐出が不能なノズルである。「不吐」は「不吐出」と同義である。「異常」は「不良」と読み替えてもよい。
吐出曲がりとは、液滴の吐出方向が逸れ、ドットが形成されるべき理想的位置に対して実際にドットが形成される位置がずれる現象である。ドットが形成されるべき理想的位置は、設計上の目標位置であり、正常なノズルが液滴を吐出した場合に想定されるドット形成位置を指す。
図1に示した状況の場合、異常ノズルである第3番ノズルNz3の位置に対応する媒体20の位置AにY方向に伸びるスジ欠陥が発生する。また、異常ノズルである第8番ノズルNz8の位置に対応する媒体20の位置BにY方向に伸びるスジ欠陥が発生する。スジ欠陥とは、スジ状の画像欠陥を指す。スジ欠陥には、連続的なスジの他、断続的なスジも含まれる。スジ欠陥を単に「スジ」という場合がある。
ラインヘッド10に対して相対的に媒体20を移動させ、1回の走査で規定の記録解像度の画像の記録を完成させる行うシングルパス方式のインクジェット印刷装置では、異常ノズルによって印刷画像上に走査方向に伸びるスジが発生する。
[実施形態の概略]
実施形態に係る画像形成装置は、ラインヘッドを備えたシングルパス方式のインクジェット印刷装置であり、ノズルの異常に起因する画像の異常を検出する画像異常検出手段と、ノズルを不吐化して不吐部分を不可視化するように補正する補正手段とを備える。
本実施形態における補正手段は、単独不吐補正手段と複数不吐補正手段とを含んで構成される。単独不吐補正手段は、1つノズルの異常に対して特定した1つの異常ノズルを不吐化して補正する手段である。複数不吐補正手段は、1つのノズルの異常に対して2つ以上のノズルを不吐化して補正する手段である。2つ以上のノズルの集まりをノズル群という。
不吐化とは、ノズルを強制的に使用禁止状態にする処理をいう。不吐化されたノズルは液滴を吐出することができない状態となり、不吐ノズルとなる。不吐化は、吐出不能化、或いは、不使用化と言い換えることができる。不吐化されたノズルを不吐化ノズルという。
不吐部分を不可視化するように補正するとは、印刷の際にノズルが不吐となることによって発生するスジが目立たないようにスジの視認性を低下させる補正を行うことをいう。不吐部分は不吐化によって記録が欠落する欠落部分である。シングルパス方式の場合、不吐部分はスジとなる。すなわち、本実施形態における補正手段は、画像異常検出手段による検出結果を基に、複数のノズルのうち一部のノズルを不吐化して不吐化による記録の欠落部分を他のノズルからの記録によって補うことにより、欠落部分の視認性を低下させる補正を行う。不吐ノズルに起因するスジの画像欠陥を改善するための補正技術は「不吐補正」と呼ばれる。本実施形態における補正手段は不吐補正を行う手段であると理解することができる。
単独不吐補正手段によって補正を行う動作モードを単独不吐補正モードという。複数不吐補正手段によって補正を行う動作モードを複数不吐補正モードという。本実施形態における補正手段は単独不吐補正モードと複数不吐補正モードとの2種類の補正を実施し得る。本実施形態において2種類の補正を使い分ける具体的な動作の一例は次のとおりである。すなわち、ノズル異常に起因する画像の異常が発生している状態で画像異常検出手段において異常なノズルを1つに特定できない場合は、異常を含む領域に対応するノズル範囲に属するノズル群を不吐化して補正する複数不吐補正モードが使用される。
さらに、補正手段は、異常ノズルを含むノズル群を特定するノズル群特定手段と、特定したノズル群の中から1つの異常ノズルを特定する単独ノズル特定手段とを有し、単独ノズル特定手段によって1つの異常ノズルを特定した場合には、異常ノズルの特定結果を基に、複数不吐補正モードにおいて不吐化したノズル群のうち異常ノズルでないノズルの不吐化を解除する。そして、特定した異常ノズルに対して単独不吐補正モードによる補正を実施する。
画像の異常箇所に対応するノズルを特定する際に、通常、1つのノズルを特定するのに要するプロセスと、ノズル群を特定するのに要するプロセスでは後者のほうがより短いプロセスで実施可能である。例えば、スキャナから得られる読取画像から画像の異常箇所が見つかり、その画像異常の原因となっている異常ノズルを特定する場合を考える。具体例として、ラインヘッドの記録解像度が1200dpiであり、印刷結果を読み取るスキャナの解像度が400dpiであるとすると、スキャナの1画素あたりに3ノズル分の打滴点が含まれることになる。「dpi」は、dot per inch を意味し、1インチあたりのドット(点)の数を表す単位表記である。1インチは25.4ミリメートル[mm]である。1つのノズルによって1つの画素のドットを記録することができるため、記録解像度のdpiはnpiに置き換えて理解することができる。「npi」は、nozzle per inch を意味し、1インチあたりのノズルの数を表す単位表記である。記録解像度は、印刷解像度と同義である。
仮に、検出された異常を含む領域が読取画像上で2画素分の範囲であるとすると、その画像異常の原因となっている異常ノズルとして疑われる候補ノズルの数は6つとなる。異常ノズルの候補が6ノズルである場合、特許文献2の技術を用いて6つの候補ノズルの中から真に異常な1つのノズルを特定するために最大で5枚の損紙が発生する。
これに対し、本実施形態に係る画像形成装置においては、まず、異常ノズルを含むノズル群を特定し、異常ノズルを含むノズル群の単位で複数不吐補正モードにより補正を行う。複数不吐補正モードによる補正が早期に機能することにより損紙の発生が抑制される。その後、複数不吐補正モードによるノズル群単位の不吐補正を実施しながら、異常ノズルの特定を行うことができる。
ノズル群特定手段によるノズル群の特定方法の一例として、異常ノズルが含まれる複数の候補ノズルのノズル範囲について、ノズル番号が偶数のノズル群とノズル番号が奇数のノズル群との2種類のノズル群に分ける構成を採用し得る。ノズル番号が偶数のノズル群を偶数ノズル群といい、ノズル番号が奇数のノズル群を奇数ノズル群という。異常ノズルは、偶数ノズル群又は奇数ノズル群のどちらかに含まれることになる。
すなわち、異常ノズルが属するノズル群を特定する際に、偶数ノズル群と奇数ノズル群との2種類のノズル群に分けた場合は、偶数ノズル群に対する複数不吐補正モードを適用した印刷結果と、奇数ノズル群に対する複数不吐補正モードを適用した印刷結果との2枚の印刷物によって、どちらのノズル群に異常ノズルが含まれるかを特定することができ、かつ、その2枚のうち1枚は補正が適切になされているので、この場合に発生する損紙は1枚で済む。
その後、異常ノズルを含むノズル群に対する補正を実行して印刷を継続したまま、真に異常な1本の異常ノズルを特定する処理を行うことにより、以後、複数不吐補正モードの補正の効果により、損紙が発生することはない。ただし、異常ノズルを含むノズル群の中から真に異常な1本の異常ノズルを特定する際に、ユーザ画像上で1本の異常ノズルを特定する場合は、不吐化を解除するノズルを順次に切り替えて行う試行のうち1回は異常ノズルの不吐化を解除することになり得るため、追加で1枚の損紙が発生し得る。それでも、特許文献2に記載の従来方法に比べると損紙の発生を大幅に減らすことができる。
よって、実施形態に係る画像補正方法を適用することにより、異常ノズルを1回で特定できないような低解像の読み取りを行う場合、或いは、異常ノズルを特定し得る特殊なテストチャートを使用しない検査方法を採用した場合などにおいても、損紙を多数発生させることなく、異常ノズルに起因するスジを補正することができる。
[画像補正方法の第1例]
図2は実施形態に係る画像形成装置における画像補正方法の第1例の手順が示されたフローチャートである。図2のフローチャートはユーザ画像を複数枚印刷するジョブの実行中に画像の異常の検出とスジを不可視化する補正とを実施する動作の一例である。
図2に示されたフローチャートの各ステップは、制御装置を含むインクジェット印刷装置によって実行される。インクジェット印刷装置は印刷後の画像を読み取るスキャナを備えている。制御装置は、印刷出力の対象として指定されたユーザ画像及びスキャナから得られる読取画像を処理する画像処理部を含んで構成される。画像処理部は、印刷された画像の異常を検出する処理、異常ノズルを含むノズル群を特定する処理、異常ノズルを特定する処理、複数不吐補正モードの補正処理、及び単独不吐補正モードの補正処理を含む各種の信号処理を行う。
制御装置は例えばコンピュータのハードウエア及びソフトウエアの組み合わせによって構成することができる。また、画像処理部の処理機能の一部又は全部は集積回路によって実現してもよい。ソフトウエアは「プログラム」と同義である。制御装置はプログラムを実行して図2のフローチャートの動作を実現する。
ジョブが開始されると、ステップS11において、インクジェット印刷装置はジョブの指定に係る画像を印刷する。ステップS11はジョブを実行して印刷を行う通常の印刷ステップである。
ステップS12において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS12において制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS13に進む。
ステップS13において、画像処理部は印刷後の画像に異常があるか否かを検査する画像検査を行う。ノズルに異常が発生すると、ステップS13の画像検査ステップにより画像の異常が検出される。ステップS13は「画像異常検出ステップ」の一形態に相当する。
ステップS14において、制御装置はステップS13の画像検査ステップの検査結果を基に、画像の異常の有無を判定する。画像検査ステップにより画像内に異常が検出されなかった場合はステップS14にて「異常なし」と判定され、この場合はステップS11に戻る。
一方、画像検査ステップにより画像内に異常を検出した場合はステップS14にて「異常あり」と判定され、この場合はステップS15に進む。
ステップS15において、制御装置は異常ノズルの特定が可能か否かを判定する。次の印刷を行うことなく異常の原因である異常ノズルを特定できる場合は、ステップS15の判定がYes判定となり、ステップS22に進む。
ステップS22において、インクジェット印刷装置は特定された1つの異常ノズルを不吐化してスジを補正する単独不吐補正を行い、補正された画像の印刷を行う。ステップS22の単独不吐補正ステップは補正に必要な信号処理を行う動作と画像を印刷する動作とを含む。
一方、ステップS15において、次の印刷を行うことなく異常の原因である異常ノズルを特定することが不可能である場合には、ステップS15においてNo判定となり、ステップS16に進む。
ステップS16において、インクジェット印刷装置は異常を含む領域のノズル群を不吐化し不吐部分を不可視化する複数不吐補正を行い、補正された画像の印刷を行う。ステップS16の複数不吐補正ステップは、補正に必要な信号処理を行う動作と画像を印刷する動作とを含む。
ステップS17において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS17において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS18に進む。
ステップS18において、制御装置は異常ノズルを含むノズル群が特定できたか否かを判定する。例えば、制御装置はステップS16の複数不吐補正ステップにより印刷された画像の検査結果から、ステップS16の複数不吐補正の処理にて不吐化したノズル群の中に異常ノズルが含まれているか否かを判定する。
ステップS16にて不吐化したノズル群の中に異常ノズルが含まれていなければ、ステップS16によって印刷された画像はスジが残る不良画像となる。この場合、異常ノズルを含むノズル群は未特定となり、ステップS18の判定はNo判定となる。
ステップS18にてNo判定の場合、ステップS16に戻り、不吐化するノズル群を変更して、複数不吐補正モードによる補正を行い、補正された画像の印刷を行う。例えば、奇数のノズル番号のノズル群を不吐化して複数不吐補正を実施した際にスジが残っていた場合には、奇数のノズル番号のノズル群の不吐化を解除し、かつ、偶数のノズル番号のノズル群を不吐化して複数不吐補正モードによる補正を行い、補正された画像の印刷を行う。
一方、ステップS16にて不吐化したノズル群の中に異常ノズルが含まれている場合はステップS16によって印刷された画像はスジが補正された良好な画像となる。この場合、異常ノズルを含むノズル群が特定されたことになり、ステップS18の判定はYes判定となる。
ステップS16からステップS18の処理ループは、異常ノズルを含むノズル群を探索するノズル群探索印刷のプロセスを含む。すなわち、ステップS16からステップS18は、異常ノズルを含むノズル群を特定するノズル群特定処理のステップに相当する。ステップS16からステップS18のノズル群特定処理により、異常ノズルが含まれるノズル群が特定され、特定されたノズル群を不吐化した複数不吐補正が行われる。
ステップS18の判定にてYes判定となった段階で、すでに異常ノズルに起因する画像の異常は補正されており、以後、複数不吐補正モードの効果により損紙は発生しなくなる。ステップS18にてYes判定となると、ステップS19に進む。
ステップS19からステップS21において、インクジェット印刷装置は、特定されたノズル群のノズルの中から異常ノズルを特定する処理を行う。
ステップS19において、インクジェット印刷装置はステップS18にて特定されたノズル群のノズルの中から、異常ノズルではないことが確認されていない1つのノズルを選択して、その選択した1つのノズルの不吐化を解除し、かつ、同ノズル群の残余のノズルの不吐化を維持して不吐部分を不可視化する残余不吐補正を行う。残余ノズルが2ノズル以上である場合、残余不吐補正は複数不吐補正モードの補正となる。残余ノズルが1ノズルである場合、残余不吐補正は単独不吐補正モードの補正となる。ステップS19の残余不吐補正ステップは補正に必要な信号処理を行う動作と画像を印刷する動作とを含む。
ステップS20において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS20において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS21に進む。
ステップS21において、制御装置は異常ノズルを特定できたか否かを判定する。例えば、制御装置はステップS19の残余不吐補正ステップにより印刷された画像の検査結果から、ステップS19の残余不吐補正の処理にて不吐化を解除したノズルが異常ノズルであるか否かを判定する。
ステップS19により印刷された画像に異常が無ければ、不吐化を解除したノズルは異常ノズルではないと判定される。一方、ステップS19により印刷された画像にスジの異常があれば、不吐化を解除したノズルが異常ノズルであると特定される。
ステップS21において、制御装置が異常ノズルを特定できていないと判定した場合は、ステップS19に戻り、別のノズルの不吐化を解除して残余不吐補正を行う。
ステップS19からステップS21の処理の期間中、ステップS18で特定されたノズル群に属するノズルのうち異常ノズルではないことが確認されていない未確認ノズルは、原則として、不吐化されたままであり、不吐化に対応した不吐補正が有効に機能している。ただし、ノズル群の中から異常ノズルを特定するために、試行的に選択される1ノズルは例外的に不吐化が解除される。
したがって、ステップS19からステップS21の処理の期間中、異常ノズルに起因するスジは原則補正されており、その補正の効果により画像に異常が発生することはない。例外として、異常ノズルを特定する際に、異常ノズルの不吐化を解除した状態で残余不吐補正を行って印刷した画像はスジが発生する。
ステップS19からステップS21の処理の過程で異常ノズルではないことが確認されたノズルは不吐化を解除され、通常の印刷可能状態に戻される。
ステップS19からステップS21の処理ループは、異常ノズルを探索する単独ノズル探索印刷のプロセスを含む。すなわち、ステップS19からステップS21は、異常ノズルを特定する単独ノズル特定処理のステップに相当する。ステップS19からステップS21の単独ノズル特定処理により、異常ノズルが特定される。
ステップS21において、制御装置が異常ノズルを特定できたと判定した場合は、ステップS22に進み、単独不吐補正モードによる補正が行われる。こうして、最終的には異常ノズルのみが不吐化されて補正された状態となる。ステップS21の単独不吐補正ステップは補正に必要な信号処理を行う動作と画像を印刷する動作とを含む。
ステップS23において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS23において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS11に戻る。
なお、ステップS23からステップS11に戻った場合には、以後、ステップS22の単独不吐補正は維持され、新たなノズル異常の発生に対して、ステップS11からステップS23の処理が行われる。
ステップS12、ステップS17、ステップS20又はステップS23のいずれかのステップにて、制御装置がジョブを終了すると判定した場合には、ジョブを終了させて図2のフローチャートを終了する。
ステップS16の複数不吐補正ステップとステップS19の残余不吐補正ステップのそれぞれは「複数不吐ステップ」の一形態に相当する。
ステップS16の複数不吐補正ステップとステップS19の残余不吐補正ステップとステップS22の単独不吐補正ステップとの組み合わせが「補正ステップ」の一形態に相当する。
[画像異常検出方法について]
ステップS13の画像検査ステップに適用することができる画像異常検出方法の例を説明する。インクジェット印刷装置によって印刷された画像上の異常を検出する方法、特にスジを検出する方法の例として、次のような第1の検出方法と第2の検出方法とがある。
第1の検出方法は、印刷後の画像をスキャナで読み取り、得られた読取画像を基準画像と比較する方法である。基準画像は例えば入力画像であってよい。また、別の方法である第2の方法は、ノズル検査パターンなどの専用のテストチャートを出力して異常を検出する方法である。ここでは第1の検出方法の概要を説明する。
図3は画像異常検出処理の例を示したフローチャートである。図3の各ステップは制御装置の画像処理部によって実行される。図3に示す画像異常検出処理が開始されると、画像処理部は、ステップS30の検査画像取得ステップにて取得した検査画像に対して、モルフォロジー処理(ステップS32)と、差分処理(ステップS34)と、ノイズ除去処理(ステップS36)とを行い、ノイズ除去後の画像を基にスジ欠陥の検出を行う(ステップS38)。
ステップS30の検査画像取得ステップは、検査の対象となる検査画像を取り込むステップである。検査画像は、インクジェット印刷装置によって印刷された印刷物を撮像手段によって撮像することによって得られる。
撮像手段は、CCD(charge-coupled device)センサやCMOS(complementary metal-oxide semiconductor device)センサに代表される撮像デバイスを用いて、光学像を電子画像データに変換する装置である。撮像デバイスは、二次元イメージセンサであってもよいし、ラインセンサであってもよい。また、カラー撮像デバイスを採用してもよいし、モノクロ撮像デバイスを採用してもよく、これらを組み合わせた構成でもよい。
撮像手段の一形態としてスキャナを用いることができる。また、撮像手段の一形態としてカメラを用いることができる。「撮像」は「読み取り」の概念を含む。撮像手段という用語は、印刷物を読み取る画像読取手段と同義に理解される。本実施形態では撮像手段としてスキャナが用いられる。スキャナは、インクジェット印刷装置の媒体搬送経路に設置されたインラインスキャナであってもよいし、フラットベット型のオフラインスキャナであってもよい。本実施形態ではインラインスキャナを用い、印刷物を撮像して検査画像を取得するものとして説明する。
検査画像の取得形態には、撮像手段から直接的に取得する形態の他、撮像手段によって得られている検査画像のデータを有線又は無線の通信インターフェースを介して取得する形態、メモリカードその他の可搬型記憶媒体に記憶されている検査画像のデータを可搬型記憶媒体からメディアインターフェースを介して取得する形態などがあり得る。
ステップS32のモルフォロジー処理とステップS34の差分処理は、検査画像からスジ情報を抽出する処理である。
図4は検査画像からスジ情報を抽出する処理の内容を示したフローチャートである。スジ情報抽出処理は、検査画像から画像欠陥であるスジの情報を抽出する処理であり画像欠陥検出処理と理解することもできる。
スジ情報抽出処理は、走査方向以外の方向の直線構造要素によるオープニング処理(ステップS32A)と、最大値画像作成処理(ステップS32B)と、差分処理(ステップS34)と、を含む。この実施形態では、オープニング処理(ステップS32A)から最大値画像作成処理(ステップS32B)までをモルフォロジー処理と呼ぶ。
図3のステップS32で示したモルフォロジー処理は、図4のステップS32AとステップS32Bを含む。
図4の処理が開始されると、まず、取得された検査画像に対して、走査方向以外の方向の直線構造要素によるオープニング処理(ステップS32A)を行う。オープニング処理(ステップS32A)を実施するにあたり、予め画像の構造要素として、走査方向以外の方向の直線構造要素を少なくとも1つ定めておく。
図5(a)から図5(g)は走査方向以外の方向の直線構造要素の例を示す図である。図6は走査方向の直線構造要素の例を示す図である。なお、図6は参考のために示したものであり、実施形態におけるオープニング処理(ステップS32A)には使われない。
直線構造要素とは、画像の直線構造に対応した構造要素の空間フィルタを指す。直線構造要素は、定められたフィルタサイズの画素範囲において概ね直線状の構造を示していればよい。図5(a)、図5(c)、図5(e)及び図5(g)についても画素の分解能の範囲で直線構造として把握される。走査方向以外の方向とは、走査方向と非平行の方向を意味する。走査方向以外の方向の直線構造要素を「非走査方向直線構造要素」と呼ぶ。
図5(a)から図5(g)では7種類の非走査方向直線構造要素を示している。非走査方向直線構造要素は、少なくとも1つ定められる。すなわち、非走査方向直線構造要素の数は1以上の任意の数とすることができる。検査の精度を上げるためには、複数の非走査方向直線構造要素を定めることが好ましい。また、構造要素のフィルタサイズは、図面に例示の11×11画素のサイズに限らない。構造要素のフィルタサイズは3×3画素以上の任意のサイズとすることができる。
図5(a)から図5(g)に示されるような、少なくとも1つの非走査方向直線構造要素を用いて、モルフォロジー処理の1つである濃淡画像のオープニング処理(ステップS32A)を実施する。濃淡画像とは、多値の連続調画像を指し、例えば、256階調で表される8ビット画像などが該当する。もちろん、濃淡画像の階調は8ビットに限らず、14ビットなどでもよい。
ある特定方向の直線構造要素を用いてオープニング処理を実施すると、その特定方向の直線構造を保存した状態で画像の平滑化が行われる。オープニング処理は、膨張(dilation)の処理と収縮(erosion)の処理を組み合わせた処理である。
画像信号fの構造要素gによるオープニング処理は、次の式1によって定義される。なお、説明を簡単にするため、一次元で表す。
式1中のFは信号fの定義域である。Gは構造要素gの定義域である。gsはgの対称集合であることを示す。gsはgの左右上下を反転させたものとして定義される。
予め定められた少なくとも1つの非走査方向直線構造要素の各々について、オープニング処理を実施する。図5(a)から図5(g)の例では、7種類の非走査方向直線構造要素が定義されているため、これら7種類の非走査方向直線構造要素の各々によるオープニング処理が実施され、各々のオープニング処理からそれぞれオープニング処理後画像が得られ、合計で7種類のオープニング処理後画像が得られる。
次に、図4のステップS32Bにおいて、最大値画像作成処理が行われる。最大値画像作成処理(ステップS32B)では、オープニング処理後の画像群を画素ごとに比較し、それぞれの画素位置の最大値を採用した最大値画像を作成する。最大値画像作成処理(ステップS32B)は、式2で表される。
式2におけるMは構造要素の数を表す整数である。iは構造要素を区別するためのインデックスである。最大値画像作成処理(ステップS32B)により作成される最大値画像は、走査方向の直線構造は平滑化され、その他の直線構造は平滑化されていないものとなる。
最大値画像作成処理(ステップS32B)により作成される最大値画像は、第1の平滑化後検査画像に相当する。オープニング処理(ステップS32A)と最大値画像作成処理(ステップS32B)とを組み合わせたモルフォロジー処理のステップが第1の平滑化後検査画像作成ステップの一形態に相当する。
ステップS32Bの最大値画像作成処理の後、差分処理(ステップS34)に進む。差分処理(ステップS34)では、ステップS14で作成された最大値画像を、元の検査画像から差し引いた差分画像を作成する。最大値画像を元の検査画像から引いて差分画像を得る処理は、トップハット変換と呼ばれる。差分処理(ステップS34)は、トップハット変換処理ということができる。
差分処理(ステップS34)、すなわちトップハット変換処理は、式3で表される。
差分処理(ステップS34)の結果、元の検査画像から、走査方向の直線構造のみ平滑化された最大値画像を差し引くことになり、スジ欠陥のような、走査方向に伸びる直線的な成分を抽出することができる。
図3のノイズ除去処理(ステップS36)は、差分処理(ステップS34)で得られる差分画像から、基準画像に含まれている走査方向直線構造成分を除去する処理である。
ノイズ除去処理(ステップS36)は、印刷画像の絵柄に走査方向に伸びる直線構造成分が含まれていた場合に、この絵柄の直線構造成分を「スジ」として抽出してしまう誤検出を抑制するための処理である。そのために、基準画像を利用し、基準画像に含まれている走査方向直線構造成分をスジ情報から除外する処理を加える。
具体的には、基準画像に対しても、図4で説明した処理と同様の一連のモルフォロジー処理を施し、抽出された成分をノイズとして、差分処理(図3のステップS34)の結果から取り除くことを行う。
基準画像をr(x,y)とし、基準画像に対してモルフォロジー処理を行って得られた最大値画像を、rの文字の上にオーバーラインを付けた表記でrg(x,y)とすると、式4における右辺の第4項が最大値画像であり、ノイズ除去後画像s(x,y)は、例えば次の式4の演算で取得できる。
基準画像に対してモルフォロジー処理を行って得られた最大値画像は第1の平滑化後基準画像の一形態に相当する。基準画像から第1の平滑化後基準画像を作成するステップは第1の平滑化後基準画像作成ステップと理解することができる。
ノイズ除去処理(ステップS36)は式4で説明した処理に相当する。ノイズ除去処理(ステップS36)を実施するにあたり、予め基準画像60を用意し、基準画像60に対してモルフォロジー処理(ステップS42)を実施して、モルフォロジー処理結果画像62を作成しておく。
図3のフローチャートでは、ステップS40の基準画像取得ステップにて取得した基準画像60にモルフォロジー処理(ステップS42)を実施して、処理結果の画像データであるモルフォロジー処理結果画像62を得る流れが示されている。
基準画像60は、例えば、インクジェット印刷装置に入力する印刷用の画像データを元に作成することができる。基準画像60として、入力画像データそのものを用いてもよいし、入力画像データに対して検査画像と比較しやすくするための何らかの画像処理を実施したものを用いてもよい。「何らかの画像処理」として、例えば、解像度変換、ガンマ変換、色変換、幾何学変換、空間フィルタリングなどの各種基本画像処理のいずれか若しくは組み合わせの処理があり得る。なお、入力画像データはハーフトーン処理前のものであってもよいし、ハーフトーン処理後のものであってもよい。また、基準画像60は、実際の印刷物においてスジ欠陥が発生しなかった良品の印刷画像を読み取って得られる基準読取画像を用いることもできる。入力画像データを元に基準画像を作成する処理や、スジ欠陥の無い印刷物を読み取って基準読取画像を作成する処理は、基準画像作成処理として把握することができる。
基準画像取得ステップ(ステップS40)は、基準画像作成処理によって基準画像を作成することで基準画像を取得すると理解してもよいし、基準画像作成処理で作成された基準画像のデータを、有線又は無線の信号伝達手段や可搬型記憶媒体を通じて取得すると理解してもよい。
モルフォロジー処理(ステップS42)は、図4のステップS32A及びステップS32Bの内容と同様である。モルフォロジー処理結果画像62は、第1の平滑化後基準画像に相当する。
ノイズ除去処理(図3のステップS36)は、基準画像60とモルフォロジー処理結果画像62を用いて、式4で説明したように、差分画像からノイズ除去を行う。
ステップS38のスジ欠陥検出ステップは、ノイズ除去処理(ステップS36)によって得られたノイズ除去後の差分画像からスジ欠陥の検出を行う。ステップS36によって得られるノイズ除去後の差分画像を用いて、スジ欠陥の検出を行う方法には、様々な方法が考えられる。ここでは、一例として、以下の方法を紹介する。すなわち、ノイズ除去後の差分画像に対して、演算処理の対象領域とする複数の区画を設定し、各々の区画内で画像の画素値を縦方向である走査方向に積算し、又は平均値化し、一次元プロファイルを得る。一次元プロファイル上で信号値が、予め定められた閾値を越えた場合にスジ欠陥があると判定する。
スジ欠陥検出ステップ(ステップS38)では、上述のようにして差分画像から一次元プロファイルを作成するなどして、スジ欠陥の有無を判定するスジ欠陥検出処理を行う。
なお、図3では、ノイズ除去処理(ステップS36)に対して、基準画像60と、基準画像60のモルフォロジー処理結果画像62とを提供しているが、式4が示しているように、元の基準画像60からモルフォロジー処理結果画像62を差し引いた差分画像を提供してもよい。この場合は、モルフォロジー処理(ステップS42)の後、図3のステップS34と同様に差分処理(トップハット変換処理)を行い、差分画像である基準差分画像を作成しておく。この基準差分画像を予め用意しておき、ノイズ除去処理(ステップS36)に活用する形態とすることができる。
[不吐補正方法について]
ここで、図2のステップS16、ステップS19、又はステップS22に示した補正ステップに適用することができる画像補正方法の例である不吐補正方法を説明する。
本実施形態では、ノズルの異常に起因するスジの視認性を抑制するための画像補正方法として、ノズルの異常を検出して、異常箇所に対応するノズルを不吐化し、不吐化したノズルの部位を近傍のノズルからの打滴で埋める方法を使用する。異常ノズルによって発生するスジを補正する方法としては、例えば特許第5597680号に示された方法を使用することができる。特許第5597680号に示された方法においては、各ノズルが不吐であるケースを模擬したチャートを出力し、このチャートを平坦化するように不吐ノズルの周辺ノズルの強度を決定することで、不吐発生時の補正パラメータを決定している。
図7は本実施形態において用いられる単独不吐補正パラメータ算出用チャート70の模式図である。実際には、同図のような白スジは視認できるものではないが、説明のためにわかりやすく表現している。また、図7においては、画素のセルが描かれているが、実際のチャートにはセルの区画線は存在しない。図8も同様である。
図7に示された単独不吐補正パラメータ算出用チャート70は、最適化したい階調におけるベタ画像領域に対して、N本間隔に不吐が模擬的に与えられた模擬不吐領域を有するパターンがN段配置されている。Nは自然数であり、図7ではN=5の例が示されている。「ベタ画像領域」とは「一定濃度領域」を意味している。また、各模擬不吐領域に隣接する領域である不吐補正領域は、一定濃度領域の濃度に対して不吐補正パラメータが適用された濃度となっている。
この単独不吐補正パラメータ算出用チャート70を形成するために、チャートの1つの段のデータは、用紙の搬送方向に直交する方向にN個おきの第1のノズルがインクを吐出せずに模擬不吐領域を形成し、第1のノズルの両隣の第2のノズルが不吐補正パラメータによって補正された指令値によって不吐補正領域を形成し、第1のノズル及び第2のノズル以外の第3のノズルが補正されない指令値によって一定濃度領域を形成するデータとなっている。
用紙の搬送方向に直交する方向をノズル配列方向という場合がある。ノズル配列方向はX方向に相当する。第1のノズルは「模擬不吐ノズル」に相当する。第2のノズルは「不吐補正ノズル」に相当する。
すなわち、単独不吐補正パラメータ算出用チャートは、第1のノズルにより形成される模擬不吐領域と、第1のノズルの両隣のノズルである第2のノズルにより形成される不吐補正領域と、第1のノズル及び第2のノズル以外の第3のノズルにより形成される一定濃度領域と、を有し、模擬不吐領域が第1の方向に所定の間隔で配置された1つの段が第1の方向に直交する第2の方向に複数段配置され、複数段の模擬不吐領域は第1の方向についてそれぞれ異なる位置に配置されている。また、この単独不吐補正パラメータ算出用チャートのデータは、第1のノズルにはインクを吐出させず、第3のノズルには所定の濃度の指令値でインクを吐出させ、第2のノズルには所定の濃度の指令値を隣接する第1のノズルの不吐補正パラメータで補正した指令値でインクを吐出させるデータである。
具体的には、最適化したい階調の指令値をD、第1のノズルのノズル番号をiとすると、第1のノズルにはインク吐出させず、ノズル番号i−1、i+1の第2のノズルには指令値をD×miとして吐出させ、ノズル番号i−N+1、…、i−3、i−2、i+2、i+3、…、i+N−1、の第3のノズルには指令値をDとして吐出させるデータとなっている。ノズル番号は、インクジェットヘッドにおけるX方向のノズルの並び順に従い各ノズルに対して一意に付与される整数による番号である。miはノズルごとの補正強度を示す不吐補正パラメータである。
また、単独不吐補正パラメータ算出用チャートの各段は、第1のノズルがノズル配列方向にずらして配置されている。図7の例では、第1のノズルのノズル番号が、段毎にi、i+1、i+2、i+3、i+4のように1つずつ配置されている。このように、各段の第1のノズルをノズル配列方向にずらして配置することで、全てのノズルを模擬不吐ノズルにすることができる。これにより、全てのノズルの不吐補正パラメータを評価することができる。
単独不吐補正パラメータ算出用チャート70には、図7に示すようにレファレンス濃度段71を設けてもよい。レファレンス濃度段71とは、最適化したい階調における一定濃度領域を全てのノズルで描画したものである。レファレンス濃度段71を設けた場合、補正強度評価値として、模擬不吐領域近傍のスキャン濃度とレファレンス濃度段のスキャン濃度との差分を用いることができる。これにより、スキャナのシェーディングや解像度のノズル方向へのムラを相殺することができ、シングルパス方式特有の低周波スジムラの影響を低減することができる。なお、スキャン濃度は読取画像信号を基に算出される平均濃度とすることができる。
図7の例では、模擬不吐ノズルの両隣のノズルを不吐補正ノズルとし、この不吐補正ノズルに模擬不吐ノズルの不吐補正パラメータを適用しているが、不吐補正ノズルはこの態様に限られない。例えば、模擬不吐ノズルの両隣のノズルに加え、さらにそのノズルに隣接するノズルを不吐補正ノズルとしてもよい。即ち、ノズル番号iのノズルを模擬不吐ノズルとした場合に、ノズル番号i−2、i−1、i+1、i−2のノズルを不吐補正ノズルとする態様も可能である。
本実施形態においては、予め図7のような単独不吐補正パラメータ算出用チャート70を用いて各ノズルの単独不吐補正パラメータを求めておき、ノズルに異常が発生した際に、対象ノズルを不吐化し、前述の補正パラメータを使用して補正することでノズル異常に起因するスジを不可視化することが可能である。
単独不吐補正モードの補正パラメータは、上述の方法により生成することが可能である。複数不吐補正モードの補正パラメータは、単独不吐補正モードの補正パラメータを流用することが可能である。
或いはまた、図8に示すように複数不吐補正モード用の複数不吐補正パラメータ算出用チャート74を出力し、複数不吐補正モード専用の補正パラメータを求める構成も可能である。図8に例示した複数不吐補正パラメータ算出用チャート74は、最適化したい階調におけるベタ画像領域に対して、偶数ノズル群を模擬不吐ノズルに設定した模擬不吐領域を有するパターンと、奇数ノズル群を模擬不吐ノズルに設定した模擬不吐領域を有するパターンと、が2段に配置されている。また、複数不吐補正パラメータ算出用チャート74は、レファレンス濃度段71を有している。偶数ノズル群とは偶数のノズル番号のノズル群を指す。奇数ノズル群とは奇数のノズル番号のノズル群を指す。
図8のようなチャートを用いることにより、複数不吐補正モードに関して、より精度の高い補正パラメータを求めることができる。
[複数不吐補正の補正処理におけるマスク処理及びハーフトーン処理について]
ノズル群を不吐化すると、不吐が密集し画像が汚くなり補正が適切に効かなくなる場合も起こりうる。このような課題を解決するために、特開2014−144610号公報に開示された方法、若しくは、特許第5791155号に開示された方法、又はこれらの組み合わせを実施することができる。
特開2014−144610号公報に開示された画像処理方法の一態様は、複数の記録素子が配列された記録ヘッドにおける不良記録素子の情報を取得する不良情報取得工程と、不良情報取得工程で取得した不良記録素子情報に基づき不良記録素子を使用不能にするマスク処理を行うマスク処理工程と、マスク処理に伴うスジ状の画像欠陥の視認性を下げるために、入力画像データのうちマスク処理された不良記録素子に対応する画素列に隣接する画素列の画像濃度を補正する画像補正工程と、画像補正工程による濃度補正後の画像データを量子化し、濃度補正後の画像データよりも階調数の少ない2値又は多値の画像データに変換する量子化処理工程と、を含み、量子化処理工程は、マスク処理された不良記録素子に対応する画素列及びこれに隣接する画素列を含む第1の画像領域について第1の量子化方法を適用して量子化を行う第1の量子化工程と、第1の画像領域以外の第2の画像領域について第1の量子化方法とは異なる第2の量子化方法を適用して量子化を行う第2の量子化工程と、を有し、少なくとも一部の階調において、第1の量子化方法を適用した量子化によって得られる第1の量子化パターンは、第2の量子化方法を適用した量子化によって得られる第2の量子化パターンと比較して、記録ヘッドに対する記録媒体の相対移動方向と平行な第1の方向の空間周波数成分のうちの低周波成分が、第1の方向と直交する第2の方向のすべての空間周波数成分に対して抑制された第1のパターン特性を持つ画像処理方法である。
特開2014−144610号公報における「記録素子」は本実施形態ではノズルに対応し、「マスク処理」は不吐化に相当している。なお「工程」は「ステップ」と同義である。
特許第5791155号に開示された画像処理方法の一態様は、入力画像データに対して入力画像データが有する階調数よりも小さい階調数を有する画像データに変換する量子化処理に用いられる閾値マトリクスが記憶される閾値マトリクス記憶工程と、異常記録素子情報を取得する異常記録素子情報取得工程と、取得された異常記録素子情報に基づき、異常記録素子にマスク処理を施すマスク処理工程と、マスク処理がされた異常記録素子によって形成されるべき画素の処理が除外され、かつ、閾値マトリクスのパターンの連続性が維持されるように、記録素子と閾値との対応関係を修正する閾値マトリクス修正工程と、修正された閾値マトリクスを用いて量子化処理を行う量子化処理工程と、を含む画像処理方法である。
複数不吐補正モードを適用してユーザ画像を印刷する際に、特開2014−144610号公報に開示された方法、若しくは、特許第5791155号に開示された方法、又はこれらの組み合わせによる画像処理を適用する形態が好ましい。
[ノズル特定可能判定処理について]
次に、図2のステップS15に示したノズル特定可能判定処理に適用することができる判定方法の例を説明する。
図9は本実施形態のインクジェット印刷装置において印刷される印刷物80の例である。本実施形態に適した例としては、図9に示されるように、印刷物80はユーザ画像領域82と、ノズル検査領域84とを有している。ユーザ画像領域82は、ユーザ画像を印刷する領域である。ノズル検査領域84はユーザ画像領域外の領域である。ノズル検査領域84はノズルの吐出状態を検査するためのノズル検査パターン86を印刷する領域である。ノズル検査パターン86は、例えば、ノズルごとの吐出状態を調べるために個々のノズルでY方向に伸びるラインを記録するラインパターンのチャートであり、ノズル検査用ラインチャートとも呼ばれる。ノズル検査パターン86として、例えば、1オンnオフの吐出制御によるラダーパターンを用いることができる。ノズル検査パターン86の記録結果を基に、異常ノズルを特定することができる。各ノズルの吐出状態を検査することができるノズル検査用ラインチャートは「第2テストチャート」の一形態に相当する。
図9では記録媒体として枚葉の用紙を用いる例が示されているが、記録媒体として連続紙が用いられてもよい。図10は連続紙を用いた場合の例である。連続紙の場合も、図9と同様に、ユーザ画像領域82とノズル検査領域84とを有する構成が可能である。
本実施形態に係るインクジェット印刷装置は、印刷後の画像を読み取る手段として、インラインスキャナを具備している。インラインスキャナは、ノズル検査領域84及びユーザ画像領域82のそれぞれの領域の画像を読み込む。それぞれの領域では異なる検査方法が採用され、それぞれ異なる検査項目が検査される。
ノズル検査領域84から読み込まれる検査画像は、ノズル検査用ラインチャートであり、具体的な検査方法には、例えば、特許第5725597号に開示された方法を用いることができる。ノズル検査領域84の検査における検査項目は、ノズルの異常の有無、及び、異常ノズルのノズル番号である。ノズル検査領域84の検査では、ノズルの検査に特化した専用のチャートを使用できるため、異常ノズルを特定することができる。その一方で、ノズル検査領域84の検査で発見されるノズルの異常と、ユーザ画像の異常とが必ずしも対応するとは限らない。
ユーザ画像領域82から読み込まれる検査画像は、ユーザ画像を印刷した印刷画像である。具体的な検査方法には、図3及び4で説明した方法を用いることができる。ユーザ画像領域82の検査における検査項目は、画像の異常の有無、及び、異常領域である。ユーザ画像領域82の検査を1回行うだけでは、異常ノズルのノズル番号を特定することはできず、異常ノズルが含まれるノズル番号の範囲に相当する異常領域が把握されるに留まる。ユーザ画像領域82の検査では、ユーザ画像を使用するため、1回の検査のみで異常ノズルを特定することはできない。その一方で、ユーザ画像の異常有無は確実に特定することが可能である。
ノズル検査領域84の検査と、ユーザ画像領域82の検査との2種類の検査においては、それぞれの検査方法により、異常ノズルが特定できるか否かが異なる。ノズル検査領域84のチャートにおいてはノズルの検査に特化したチャートを使用できる分、異常が発生したノズルを特定することができるのに対して、ユーザ画像領域82の検査では同様なことができないことが注目すべき点の1つである。
ノズルの異常発生は必ずしも安定的ではなく、瞬間的に変化する場合がある。例えば、ノズル検査領域84とユーザ画像領域82の両方の領域においてノズル異常が発生した場合は、ノズル検査領域84の検査によって異常ノズルを特定することができる。
図11はノズル検査領域84とユーザ画像領域82の両方においてノズル異常が発生した場合の印刷物の例である。図11の例ではノズル検査領域84に印刷したチャートの破線円で示した箇所にノズル異常が検出される。また、ユーザ画像領域82のユーザ画像からノズル異常に起因するスジの異常が検出される。図11に例示したケースでは、異常が発生したノズルを特定可能なノズル検査領域84において異常が発生しているため、異常ノズルを特定することができる。
異常ノズルが特定できれば、既に説明した図2のステップS15でYes判定となり、ステップS22よる単独不吐補正を行うことができる。すなわち、特定された異常ノズルを不吐化し単独不吐補正モードの補正を実行することによりスジを不可視化することができる。
その一方で、ユーザ画像領域82のみで異常が発生し、ノズル検査領域84では異常が発生しない場合は、ノズル異常が発生したことは判別できるが、どのノズルが異常ノズルであるかを特定できないため、直ちに単独不吐補正モードによる補正を行うことはできない。
図12はノズル検査領域84においてノズル異常が発生せず、ユーザ画像領域82のみにおいてノズル異常が発生した場合の印刷物の例である。図12の例ではノズル検査領域84からは異常が検出されず、ユーザ画像領域82のみで異常が検出される。図12に例示したケースでは、ユーザ画像領域82のみで異常が発生しているため、異常ノズルを特定することができない。
このように検査する領域とその検査方法によって異常ノズルが特定できるか否かが変わることから、2種類の検査の検査結果の情報を利用して、異常ノズルが特定できるか否かを判定することができる。
また、別の構成例としては、ノズル検査領域の検査方法を、異常ノズルが特定可能な第1のノズル検査方法と、異常ノズルが特定不可能な第2のノズル検査方法との切り替え可能な構成としてもよい。第1のノズル検査方法には、上述した特許第5725597号に記載の方法を採用し得る。第2のノズル検査方法として、ノズル検査用ラインチャートのジョブ中の差分を検出する方法を採用し得る。第2のノズル検査方法による検査項目は、注目する各ノズル群の変動の有無である。例えば、ユーザ画像を印刷するごとにノズル検査用ラインチャートを印刷し、ノズル検査用ラインチャートを読み取り、チャートの読み取り画像の差分から各ノズル群の変動の有無を検出する。第2のノズル検査方法は、異常ノズルの特定は困難であるが、一度に多くのノズルを検査することができる。
第1のノズル検査方法と第2のノズル検査方法と切り替えながら併用する場合、異常ノズルが特定できる第1のノズル検査方法によって異常が検出されれば、異常ノズルを特定でき、異常ノズルが特定不能な第2のノズル検査方法によって異常が検出されると異常ノズルを特定することはできない。異常ノズルを特定できるケースは、図2のステップS15からステップS22に移行し、特定された異常ノズルを不吐化して単独不吐補正を行う。
その一方、異常ノズルを特定できないケースは、図2のステップS15からステップS16に移行し、ノズル群に対する複数不吐補正を行い、かつ、異常ノズルが含まれるノズル群を特定する。
[画像の異常検出と異常領域の設定方法について]
図13は印刷された画像に異常が発見された場合の印刷画像を模式的に表した図である。各セルは印刷画像の画素を表している。図13の横方向はX方向、縦方向がY方向である。X方向に並ぶ各画素に対して、それぞれの画素の記録を担うノズルが対応付けられている。したがって、X方向の画素の位置はノズルの位置と理解することができる。
図13の左から8列目の画素位置の記録を担うノズルが異常ノズルとなっている。異常ノズルによって、対応する画像位置にY方向に伸びるスジが現れる。図13ではスジとなる画像部分の画素列が薄い網掛けによって表示されている。
図14は異常ノズルの位置を含む異常領域を設定する様子を示した模式図である。図14においては、画像上において異常ノズルと疑われる6ノズルのノズル範囲に対応する画像領域が異常領域に設定されることを示している。図14の例ではX方向に連続する6画素分の領域を異常領域としているが、異常領域として設定する画素範囲はスキャナの解像度に応じて1画素以上の適宜の範囲とすることができる。
異常領域を設定する処理は、図2で説明したフローチャートのステップS16の複数不吐補正を行う際に実施される。
[異常ノズルを含むノズル群の特定方法について]
次に、異常ノズルを含むノズル群を特定するためのノズル群探索方法の具体例について説明する。図15は異常領域に対応するノズル範囲に属する第1のノズル群を不吐化して複数不吐補正を行った様子を示す模式図である。図15において不吐化した第1のノズル群は、例えば奇数ノズル群である。説明を簡単にするために、図15の左端から第1列目の画素列の記録を担当するノズルのノズル番号が「1」、第2列目がノズル番号2という具合に、画素の列番号とノズル番号が一致しているものとする。異常領域はノズル番号6から11の範囲に対応している。異常領域における奇数ノズル群は、ノズル番号7、9及び11のノズルである。
図15の例では、ノズル番号7、9及び11の奇数ノズル群が不吐化され、不吐化したノズルに隣接ノズルを用いて不吐補正を行う様子が図示されている。この場合、異常ノズルであるノズル番号8のノズルが不吐出補正に使用されている。しかし、補正に用いたノズル番号8のノズルは異常ノズルであることから、適正な補正効果が得られず、スジが視認される画像となる。つまり、奇数ノズル群に対する複数不吐補正モードによる不吐補正は失敗する。
図16は異常領域に対応するノズル範囲に属する第2のノズル群を不吐化して複数不吐補正を行った様子を示す模式図である。図16において不吐化した第2のノズル群は、例えば偶数ノズル群である。異常領域における偶数ノズル群は、ノズル番号6、8及び10のノズルである。
図16の例では、ノズル番号6、8及び10の偶数ノズル群が不吐化され、不吐化したノズルに隣接ノズルを用いて不吐補正を行う様子が図示されている。この場合、異常ノズルであるノズル番号8のノズルが不吐化され、他の正常なノズルによって不吐補正が行われることから、不吐補正の効果により、スジが不可視化された良好な画像が得られる。つまり、偶数ノズル群に対する複数不吐補正モードによる不吐補正は成功する。これにより、異常ノズルは偶数ノズル群に属していることが把握される。
図15及び図16によって説明したように、どのノズル群に異常ノズルが属するかは、ノズル群を切り替えて不吐補正を行うことによって判定できる。異常ノズルが不吐化したノズル群に含まれる場合は適切に補正され、含まれない場合はスジとなる。適切に補正されるか、されないかは、ユーザ画像領域82の画像を読み取り、読取画像を解析する検査を行うことにより判定することができる。
奇数ノズル群を不吐化して補正する補正モードを奇数ノズル群補正モードという。偶数ノズル群を不吐化して補正する補正モードを偶数ノズル群補正モードという。本実施形態の複数不吐補正手段は、偶数ノズル群不吐補正モードによる補正動作と奇数ノズル群不吐補正モードによる補正動作とを選択的に実施し得る。
なお、異常ノズルが回復しないと仮定すれば、異常ノズルは偶数ノズル群か奇数ノズル群のどちらかに必ず属しているため、偶数ノズル群補正モード又は奇数ノズル群補正モードのどちらか一方の補正モードで補正を実施すれば、補正後の画像の異常の有無によって、異常ノズルが属するノズル群を特定できる。したがって、例えば、図15のように奇数ノズル群不吐補正モードによって不吐補正が失敗したことが確認されたら、異常ノズルは偶数ノズル群に属すると判定してもよい。
奇数ノズル群補正モードと偶数ノズル群補正モードのそれぞれは、X方向にノズルを1ノズルおきに不吐化する構成となっている。なお、図15及び図16では奇数ノズル群と偶数ノズル群の2種類のノズル群に分けたが、ノズル群の定め方はこの例に限らず、2ノズルおきのノズル群若しくは3ノズルおきのノズル群など、3種類以上のノズル群を用いてもよい。本実施形態の複数不吐補正手段による複数不吐補正は、ノズルのX方向の並び順において不連続な複数のノズルを不吐化し、不吐化したノズル以外の残余ノズルを用いて欠落部分の視認性を低下させる補正を行う。
[異常ノズルを含むノズル群を特定する他の方法]
異常ノズルを含むノズル群を特定する別の方法としては、ノズル検査領域84においてノズル群特定のための専用のテストチャートを使用する方法がある。図17はノズル群特定用チャートの一例である。図17に示したノズル群特定用チャートは「第1テストチャート」の一形態に相当する。
図17において、第1段目のパターンは、ブラックのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける奇数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。第2段目のパターンは、ブラックのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける偶数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。ブラックはKと表記される。
第3段目のパターンは、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける奇数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。第4段目のパターンは、シアンのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける偶数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。シアンはCと表記される。
第5段目のパターンは、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける奇数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。第6段目のパターンは、マゼンタのインクを吐出するインクジェットヘッドにおける偶数ノズル群によって記録されるライン群のパターンである。マゼンタはMと表記される。ノズル群特定用チャートには、ノズル群間で吐出するインクの色が異なるものが含まれている。
なお、図17は模式的に示した拡大図であり、一部のライン群のみを示しているが、インクジェットヘッドにおける全ノズルを使用してノズル群特定用チャートが印刷される。
図17に例示されているように、ノズル群ごとに異なる段構成を持つラインチャートを出力し、どの段で異常が発生したかを特定して、対応するノズル群と関連付けることにより、異常ノズルを含むノズル群を特定することが可能である。
ユーザ画像領域82の検査から画像に異常があることが検出された際に、何色のノズルに異常があるのか特定できる場合と、できない場合とがあり得る。何色のノズルに異常があるのか特定できない場合には、ノズル検査領域84に図17のようなノズル群特定用チャートを印刷することにより、異常ノズルの色と異常ノズルが属するノズル群を判定することができる。
図15から図17を用いて例示したノズル群探索方法は図2のステップS16からステップS18の過程において実施される。
[単独ノズル特定方法について]
次に、異常ノズルを特定するための単独ノズル特定方法の具体例について説明する。1つの異常ノズルである単独ノズルは、ノズル群探索中、或いは、ノズル群探索後に、ノズル検査領域84の検査結果から判定することが可能である。異常ノズルは不安定なため、必ずしもノズル検査領域84の検査によって検出されない可能性がある。
しかし、一度異常ノズルを含むノズル群を特定してこのノズル群に対して複数不吐補正を行うと、ユーザ画像上はスジが発生しないため、以後、ノズル検査領域84に対して異常ノズルが発生するまで複数回ノズル検査パターン86を印刷することができる。この場合、損紙は追加的に発生しない。
また、ノズル検査領域84において異常ノズルが特定できない検査方法を使用している場合は、異常ノズルが特定できる検査方法に切り替えることにより、単独ノズルを特定することが可能である。具体的には、既に説明した第2のノズル検査方法から第1のノズル検査方法に切り替える形態があり得る。
さらに別の方法として、ユーザ画像上において、複数不吐補正を実施しているノズル群に属する不吐化ノズルについて1つずつ不吐化を順次解除して、それぞれの補正後の画像を解析して画像の異常を検出することにより、異常ノズルを特定することが可能である。この場合、異常ノズルを解除したときのみ損紙が発生し結果として、1枚損紙が増えることとなる。
ユーザ画像上から異常ノズルを特定する方法について、図18から図21を参照して説明する。
図18は図16で説明したノズル群の複数不吐補正が成功している状態からノズル番号6の不吐化を解除した様子が示されている。図18の例では、異常領域における異常ノズルを含むノズル群はノズル番号6、8及び10の3つのノズルである。したがって、異常ノズルの候補ノズルはこれら3つのノズルである。ノズル番号6、8及び10の順番に、候補ノズル1、2及び3と呼ぶことにする。図18に示した「1」、「2」及び「3」の表示は、それぞれ候補ノズル1、2及び3の位置を表している。図19から図21において同様である。
図18に示すように、候補ノズル1の不吐化を解除し、かつ候補ノズル2及び3の不吐化は維持して候補ノズル2及び3のノズル群に対する複数不吐補正モードによる補正を行うと、不吐補正の効果により、スジが不可視化された良好な画像が得られる。つまり、候補ノズル1は異常ノズルではないことが判定され、異常ノズルは未特定のままである。
図19は図16で説明したノズル群の複数不吐補正が成功している状態から候補ノズル2、つまりノズル番号8の不吐化を解除した様子が示されている。図19に示すように、候補ノズル1の不吐化を解除し、かつ候補ノズル1及び3の不吐化は維持して候補ノズル1及び3のノズル群に対する複数不吐補正モードによる補正を行うと、不吐化を解除した候補ノズル2が異常ノズルであることから、スジが視認される画像となる。つまり、不吐補正は失敗し、候補ノズル2が異常ノズルであることが特定される。
図20は図16で説明したノズル群の複数不吐補正が成功している状態から候補ノズル3、つまりノズル番号10の不吐化を解除した様子が示されている。図20に示すように、候補ノズル3の不吐化を解除し、候補ノズル1及び2の不吐化は維持して候補ノズル1及び2のノズル群に対する複数不吐補正モードによる補正を行うと、不吐補正の効果により、スジが不可視化された良好な画像が得られる。つまり、候補ノズル3は異常ノズルではないことが判定され、異常ノズルは未特定となる。
図18、図19及び図20の実施順番は問わない。候補ノズル1、2及び3の順番に不吐化を順次解除する場合、候補ノズル2の不吐化を解除した段階で異常ノズルが特定されるため、図20で説明した候補ノズル3の不吐化を解除する複数不吐補正の実施は省略することができる。つまり、異常ノズルが特定されたら、残りの候補ノズルについての処理は省略することができる。
また、図18において候補ノズル1が異常ノズルではないと確定した場合に、次の候補ノズル2の不吐化を解除する際に、候補ノズル1について不吐化しなくてもよい。候補ノズルのうち異常ノズルではないことが確認されたノズルは、以後、不吐化を解除してよい。異常ノズルの特定完了後は、特定した異常ノズルを残して他のノズルは不吐化を解除することが望ましい。そして、特定した異常ノズルを不吐化して単独不吐補正モードによる補正を行う。
図21は特定された異常ノズルを不吐化して単独不吐補正を実施した様子を示している。図21では候補ノズル1及び3の不吐化が解除されている。異常ノズルが不吐化され単独不吐補正の効果により、スジが不可視化された良好な画像が得られる。
上述のような方法を採用することにより、損紙を最低限に抑えながらユーザ画像上に発生するスジを特定し、補正することが可能である。
[画像補正方法の第2例:異常ノズルを特定できない場合の対処]
これまでの説明では異常ノズルが特定できた場合について記載した。しかし、異常ノズルは不安定であり、異常な状態が回復して正常に戻ってしまう場合がある。異常ノズルが回復した場合、後続のノズル群特定処理、或いは異常ノズル特定処理において異常ノズルを含むノズル群の特定、或いは、異常ノズルの特定ができない可能性がある。このような場合は、ノズル群に対する不吐化を解除してよい。
図22はノズルの異常が再現しない場合の対応を含んだフローチャートである。図22において図2で説明したフローチャートと同一又は類似するステップには同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
図22に示したフローチャートでは、ステップS18においてNo判定となった場合にステップS18Bに進む。ステップS18Bにおいて制御装置はノズルの異常が回復したか否かの判定を行う。例えば、制御装置は、異常ノズルを含むノズル群の候補の中に未確認のノズル群が残っているか否かに基づいてステップS18Bの判定を行う。偶数ノズル群と奇数ノズル群の2種類のノズル群に分ける例の場合、異常ノズルを含むノズル群の候補は、偶数ノズル群と奇数ノズル群の2つのノズル群である。
複数のノズル群の候補のうち1つのノズル群を不吐化して複数不吐補正を実施した際にスジが発生している場合は、ステップS18及びステップS18Bの各ステップにおいてそれぞれNo判定となる。
ステップS18BにおいてNo判定となった場合、ステップS16に戻り、不吐化するノズル群を変更して複数不吐補正を行う。
また、複数のノズル群の候補のうち1つのノズル群を不吐化して複数不吐補正を実施した際にスジが不可視化されている場合であっても、他に未確認のノズル群の候補が残っている場合にはステップS18及びステップS18BにおいてそれぞれNo判定となる。
その一方、複数のノズル群の候補をそれぞれ不吐化して複数不吐補正を実施した際に、いずれの場合もすべてスジが不可視化されていた場合には、ステップS18Bにおいて異常が回復したと判定することができる。例えば、奇数ノズル群を不吐化して複数不吐補正を実施した場合にもスジが不可視化され、かつ、偶数ノズル群を不吐化して複数不吐補正を実施した場合にスジが不可視化された場合には、ステップS18Bにおいて異常が回復したと判定することができる。
ステップS18Bにおいて異常が回復したと判定された場合は、複数不吐補正モードによるノズル群の不吐化を解除して、ステップS11に戻り、通常の印刷を実施する。
また、図22に示したフローチャートでは、ステップS21においてNo判定となった場合にステップS21Bに進む。ステップS21Bにおいて制御装置はノズルの異常が回復したか否かの判定を行う。例えば、制御装置は、ノズル群の中に未確認の候補ノズルが残っているか否かに基づいてステップS21Bの判定を行う。
複数の候補ノズルの候補のうち1つの候補ノズルの不吐化を解除して残余不吐補正(ステップS19)を実施した際にスジが不可視化されている場合であって、かつ、他に未確認の候補ノズルが残っている場合には、ステップS21及びステップS21Bの各ステップにおいてそれぞれNo判定となる。
ステップS21BにおいてNo判定となった場合、ステップS19に戻り、不吐化を解除する候補ノズルを変更して残余不吐補正を行う。
その一方、複数の候補ノズルについてそれぞれ不吐化を解除して残余不吐補正を実施した際に、いずれの場合もすべてスジが不可視化されていた場合には、ステップS21Bにて異常が回復したと判定することができる。図18から図20によって説明した例においては、候補ノズル1の不吐化を解除して残余不吐補正を実施した際にスジが不可視化され、かつ、候補ノズル2の不吐化を解除して残余不吐補正を実施した際にスジが不可視化され、かつ、候補ノズル3の不吐化を解除して残余不吐補正を実施した場合にスジが不可視化された場合には、ステップS21Bにおいて異常が回復したと判定することができる。
ステップS21Bにおいて異常が回復したと判定された場合は、複数不吐補正モードによるノズル群の不吐化を解除して、ステップS11に戻り、通常の印刷を実施する。
なお、図22の変形例として、ステップS18Bを省略する形態も可能である。
[画像補正方法の第3例]
図23は実施形態に係る画像形成装置における画像補正方法の第3例の手順が示されたフローチャートである。図23では図2で説明したフローチャートよりも上位概念的に表現されており、1つのジョブの処理に限定されず、複数のジョブにまたがる処理の形態も包含している。図23に示されたフローチャートの各ステップは、制御装置を含むインクジェット印刷装置によって実行される。
ステップS101において、インクジェット印刷装置は画像を印刷する。ステップS101の印刷ステップでは、ジョブの指示に従い指定されたユーザ画像の印刷が行われる。
ステップS102において、インクジェット印刷装置は、印刷された画像の検査を行う。ステップS102の画像検査ステップの内容は、図2のステップS13と同様である。図23のステップS102の画像検査ステップにおいて画像の異常が検出されなければ、通常の印刷処理が続けられる。ステップS102の画像検査ステップにおいて画像の異常が検出されると、ステップS103に進む。
ステップS103において、制御装置は異常ノズルの特定が可能か否かの判定を行う。ステップS103のノズル特定可能判定ステップの内容は、図2のステップS15と同様である。
図23のステップS103において、制御装置が異常ノズルを特定ができないと判定した場合は、ステップS104に進み、ノズル群を特定する処理が行われる。
ステップS104のノズル群特定ステップでは、例えば、図15から図17を用いて例示したノズル群探索方法によってノズル群が特定される。なお、ステップS104の中で複数不吐補正モードによる補正が実施され得る。
ステップS104により異常ノズルを含むノズル群が特定されると、ステップS105に進む。ステップS105では、ステップS104にて特定されたノズル群を不吐化して補正する複数不吐補正が行われる。
その後、ステップS106において、異常ノズルを特定する単独ノズル特定処理が実施される。ステップS106の単独ノズル特定ステップは、ノズル検査領域84のノズル検査パターンから異常ノズルを特定してもよいし、図18から図20で説明したようにユーザ画像から異常ノズルを特定してもよい。
図23のステップS106を実施した後、ステップS107において制御装置は、異常ノズルが特定されたか否かを判定する。ステップS106の単独ノズル特定ステップにより異常ノズルを特定できた場合は、ステップS107の判定がYes判定となり、ステップS108に進む。ステップS108の単独不吐補正ステップの内容は、図2のステップS22と同様である。また、ステップS103において異常ノズルが特定可能である場合はステップS108に進む。
一方、ステップS106の単独ノズル特定ステップにより、最終的に異常ノズルを特定できなかった場合は、ステップS107の判定がNo判定となり、ステップS109に進む。ステップS109において、制御装置は、ステップS104で特定されたノズル群を不吐化した複数不吐補正を解除する。すなわち、ステップS109においてノズル群の不吐化が解除される。ステップS109の複数不吐補正解除ステップは、図22のステップS21Bにて異常が回復したと判定された場合の処理に対応している。
図23のステップS108又はステップS109の後、制御装置は、ステップS110において印刷を終了するか否かを判定する。ここでいう終了可否の判定は、1つのジョブの終了判定であってもよいし、複数のジョブにまたがる印刷動作の終了判定であってもよい。
例えば、制御装置は、指定されたジョブの印刷枚数の印刷が未完了である場合に、ステップS110において印刷を続けると判定し得る。また、制御装置は、1つのジョブが完了した場合であっても、別のジョブを続けて実行するような場合に、ステップS110において印刷を続けると判定し得る。ステップS110において、制御装置が印刷を続けると判定した場合は、ステップS101に戻る。ステップS110からステップS101に戻った場合には、以後、ステップS108の単独不吐補正は維持され、新たなノズル異常の発生に対して、ステップS101からステップS110の処理が行われる。
ステップS110において、制御装置が印刷を終了すると判定した場合は、図23のフローチャートを終了する。
ステップS105の複数不吐補正ステップとステップS108の単独不吐補正ステップとの組み合わせが「補正ステップ」の一形態に相当する。
[画像補正方法の第4例]
図24及び図25は実施形態に係る画像形成装置における画像補正方法の第4例の手順が示されたフローチャートである。
図24及び図25のフローチャートに示した第4例は、図2で説明した第1例の変形例である。第4例は、異常ノズルを含むノズル群の特定処理、並びに、単独ノズル(すなわち異常ノズル)の特定処理がどちらもユーザ画像上の検査に基づいて実施される例である。
図24のステップS111、S112、S113、S114及びS115の各ステップは、図2のステップS11、S12、S13、S14及びS15の各ステップと同様であるため、説明を省略する。ただし、図24のステップS115においてノズル特定可能と判定された場合には図25のステップS129に進む。
図24のステップS115において、ノズル特定不能と判定されると、ステップS116に進む。
ステップS116において、制御装置はノズル群を選出する。ステップS116のノズル群選出ステップでは、複数のノズル群の候補の中から1つのノズル群を選出する処理が行われる。例えば、奇数ノズル群と偶数ノズル群の2つのノズル群の候補がある場合に、いずれか一方のノズル群を選出する処理が該当する。
次いで、ステップS117において、複数不吐補正が実施される。ステップS117の複数不吐補正ステップでは、ステップS116により選出されたノズル群を不吐化して複数不吐補正を行う。
ステップS118において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS118において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS119に進む。
ステップS119において、制御装置はステップS117の複数不吐補正ステップによって補正が行われて印刷された画像の検査を行う。ステップS119の画像検査ステップは、ステップS113の画像検査ステップと同様に、ユーザ画像領域82の画像について異常があるか否かを検査するステップである。
ステップS120において、制御装置はステップS119の検査結果を基に、画像の異常があるか否かを判定する。
ステップS120において「異常あり」と判定された場合は、ステップS116に戻り、ノズル群の選出をやり直す。ステップS120からステップS116に戻った場合は、前回選出したノズル群とは異なるノズル群が選出される。
ステップS120において「異常無し」と判定された場合は、図25のステップS121に進む。図24のステップS120における「異常無し」の判定は、異常ノズルを含むノズル群が特定されたことを示す判定であると理解することができる。
図25のステップS121において、制御装置は不吐化を解除するノズルを選出する。図16の例では、候補ノズル1、2及び3のうち、いずれか1つの候補ノズルを選出することに相当する。
図25のステップS122において、制御装置はステップS121の不吐化解除ノズル選出ステップにて選出したノズルの不吐化を解除する。
ステップS123において、インクジェット印刷装置はノズル群における残余のノズルの不吐化を維持して不吐部分を不可視化する残余不吐補正を行う。
ステップS124において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS124において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合はステップS125に進む。
ステップS125において、制御装置はステップS123の残余不吐補正ステップによって補正が行われて印刷された画像の検査を行う。ステップS123の画像検査ステップは、ステップS113の画像検査ステップ(図24参照)と同様である。
図25のステップS126において、制御装置はステップS125の検査結果を基に、画像の異常があるか否かを判定する。
ステップS126において「異常あり」と判定された場合は、ステップS127に進む。ステップS127において、制御装置は異常ノズルである単独ノズルの選出を行う。制御装置はステップS122にて不吐化を解除して画像の異常が発生したノズルが異常ノズルであると特定する。ステップS126の判定は、異常ノズルが特定できたか否かの判定に相当する。
ステップS128において、制御装置はノズル群の不吐化を解除してステップS129の単独不吐補正ステップに進む。
ステップS129の単独不吐補正ステップは、図2のステップS22と同様である。すなわち、図25のステップS127にて選出された単独ノズルである異常ノズルを不吐化して単独不吐補正モードによる補正を行う。
ステップS130において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS130において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合は、図24のステップS111に戻る。ステップS130からステップS111に戻った場合には、以後、ステップS129の単独不吐補正は維持され、新たなノズル異常の発生に対して、ステップS111以降の処理が行われる。
図25のステップS126の判定処理により「異常なし」と判定された場合は、ステップS131に進む。ステップS131において、制御装置は異常ノズルを判定できる可能性があるか否かを判定する。ステップS131の判定処理は、図22のステップS21Bで説明した判定処理と同様のものである。ノズル群の中に異常ノズルであるか否かが未確定の候補ノズルが残っている場合は、ステップS131の判定処理において異常ノズルを判定できる可能性があるとして「Yes判定」となり、ステップS121に戻って、不吐化を解除するノズルを選出し直す。
その一方、ステップS131の判定処理において、ノズル群に含まれるすべてのノズルが異常ノズルではないと確認された場合には、異常が回復して異常ノズルを判定できないとして「No判定」となり、ステップS132に進む。
ステップS132において、制御装置はノズル群の不吐化を解除し、図24のステップS111に戻る。
図24のステップS115において、ノズル特定可能と判定された場合は、図25のステップS129に進み、特定された異常ノズルを不吐化して単独不吐補正モードによる補正が行われる。
図24のステップS112、S118、図25のステップS124及びS130のいずれかのステップにて、制御装置がジョブを終了すると判定した場合には、ジョブを終了させて図24及び図25のフローチャートを終了する。
図24のステップS117の複数不吐補正ステップと図25のステップS123の残余不吐補正ステップのそれぞれは「複数不吐ステップ」の一形態に相当する。
ステップS117の複数不吐補正ステップとステップS123の残余不吐補正ステップとステップS129の単独不吐補正ステップとの組み合わせが「補正ステップ」の一形態に相当する。
[画像補正方法の第5例]
図26は実施形態に係る画像形成装置における画像補正方法の第5例の手順が示されたフローチャートである。図26のフローチャートに示した第5例は、複数不吐補正モードから単独不吐補正モードに切り替えるタイミングをジョブの切り替えのタイミングに合わせて行う形態の例である。
図26のフローチャートにおいて、図24及び図25に示したフローチャートと同一のステップには同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
図26のステップS115において、ノズル特定不能と判定されると、ステップS211に進む。ステップS211の複数不吐補正ステップは、図23のステップS104で説明したノズル群特定ステップの処理を含み、ステップS105の複数不吐補正ステップと同様の動作を行う。つまり、異常ノズルを含むノズル群を特定して複数不吐補正モードによる補正を行う。
ステップS212において、制御装置はジョブを継続するか否かを判定する。ステップS212において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合は、ステップS211に戻り、複数不吐補正による印刷を続ける。
ステップS212において制御装置がジョブを終了すると判定した場合は、ステップS213に進み、ジョブを終了させる。また、ステップS112において制御装置がジョブを終了すると判定した場合も、ステップS213に進み、ジョブを終了させる。
続いて、ステップS214において、制御装置は、次のジョブがあるか否かを判定する。ステップS214において次のジョブがあると判定された場合は、ステップS215に進み、新しいジョブを実施するための準備が行われる。ジョブの準備には印刷条件の設定及びパラメータ設定など各種の設定が含まれ得る。
また、ステップS216において、異常ノズルを特定する単独ノズル特定処理が実施される。ステップS216の単独ノズル特定ステップの内容は、図23のステップS106と同様である。
図26のステップS217において制御装置は、異常ノズルが特定されたか否かを判定する。ステップS216の単独ノズル特定ステップにより異常ノズルを特定できた場合は、ステップS217の判定がYes判定となり、ステップS218に進む。ステップS218の単独不吐補正ステップの内容は、図23のステップS108と同様である。ステップS218により、単独不吐補正モードにより補正された画像が印刷される。ステップS218により印刷される画像は、ステップS215においてセットされたジョブの指定に係る画像である。
ステップS218による印刷後、制御装置はステップS219において、ジョブを継続するか否かを判定する。ステップS219において、制御装置がジョブを継続すると判定した場合は、ステップS111に戻る。
ステップS219からステップS111に戻った場合は、ステップS218の単独不吐補正は維持され、印刷が継続される。
ステップS217において、異常ノズルを特定できないと判定された場合は、ステップS111に戻り、ノズル群の不吐化が解除された状態で印刷が行われる。
ステップS219において、制御装置がジョブを終了すると判定した場合は、ステップS213に進み、ジョブを終了させる。
ステップS214において、次のジョブがないと判定された場合は、図26のフローチャートを終了する。
ステップS211の複数不吐補正ステップとステップS218の単独不吐補正ステップとの組み合わせが「補正ステップ」の一形態に相当する。
[インクジェット印刷装置の構成例]
図27は実施形態に係るインクジェット印刷装置201の構成を示す側面図である。なお、「印刷装置」という用語は、印刷機、プリンタ、画像記録装置、画像形成装置、画像出力装置などの用語と同義である。
インクジェット印刷装置201は、ラインヘッドによって枚葉の用紙Pにカラー画像を印刷する枚葉式のラインヘッド型インクジェット印刷装置である。インクジェット印刷装置201は、給紙部210と、処理液塗布部220と、処理液乾燥部230と、描画部240と、インク乾燥部250と、集積部260と、を備える。
給紙部210は、用紙Pを1枚ずつ自動で給紙する。給紙部210は、給紙装置212と、フィーダボード214と、給紙ドラム216と、を備える。用紙Pの種類は、特に限定されないが、例えば、上質紙、コート紙、アート紙などのセルロースを主体とする印刷用紙を用いることができる。用紙Pは、画像が記録される媒体の一形態に相当する。用紙Pは、多数枚が積層された束の状態で給紙台212Aに載置される。
給紙装置212は、給紙台212Aにセットされた束の状態の用紙Pを上から順に1枚ずつ取り出して、フィーダボード214に給紙する。フィーダボード214は、給紙装置212から受け取った用紙Pを給紙ドラム216へと移送する。
給紙ドラム216は、フィーダボード214から給紙される用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液塗布部220へと移送する。
処理液塗布部220は、用紙Pに処理液を塗布する。処理液は、インク中の色材成分を凝集、不溶化ないし増粘させる機能を備えた液体である。処理液塗布部220は、処理液塗布ドラム222と、処理液塗布装置224と、を備える。
処理液塗布ドラム222は、給紙ドラム216から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを処理液乾燥部230へと移送する。処理液塗布ドラム222は、周面にグリッパ223を備え、そのグリッパ223で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。
処理液塗布装置224は、処理液塗布ドラム222によって搬送される用紙Pに処理液を塗布する。処理液はローラによって塗布される。
処理液乾燥部230は、処理液が塗布された用紙Pを乾燥処理する。処理液乾燥部230は、処理液乾燥ドラム232と、温風送風機234と、を備える。処理液乾燥ドラム232は、処理液塗布ドラム222から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを描画部240へと移送する。処理液乾燥ドラム232は、周面にグリッパ233を備える。処理液乾燥ドラム232は、グリッパ233で用紙Pの先端部を把持して回転することにより、用紙Pを搬送する。
温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232の内部に設置される。温風送風機234は、処理液乾燥ドラム232によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てて、処理液を乾燥させる。
描画部240は、描画ドラム242と、ヘッドユニット244と、インラインスキャナ248と、を備える。描画ドラム242は、処理液乾燥ドラム232から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pをインク乾燥部250へと移送する。描画ドラム242は、周面にグリッパ243を備え、グリッパ243で用紙Pの先端を把持して回転することにより、用紙Pを周面に巻き付けて搬送する。描画ドラム242は、図示しない吸着機構を備え、周面に巻き付けられた用紙Pを周面に吸着させて搬送する。吸着には、負圧が利用される。描画ドラム242は、周面に多数の吸着穴を備え、この吸着穴を介して内部から吸引することにより、用紙Pを周面に吸着させる。
ヘッドユニット244は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kを備える。インクジェットヘッド246Cは、シアン(C)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Mは、マゼンタ(M)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Yは、イエロー(Y)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246Kは、ブラック(K)のインクの液滴を吐出する記録ヘッドである。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれには、対応する色のインク供給源である不図示のインクタンクから不図示の配管経路を介して、インクが供給される。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙幅に対応したラインヘッドで構成され、各々のノズル面が描画ドラム242の周面に対向して配置される。ここでいう用紙幅は、用紙Pの搬送方向と直交する方向の用紙幅を指す。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kは、描画ドラム242による用紙Pの搬送経路に沿って一定の間隔をもって配置される。
図には示さないが、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々のノズル面には、インクの吐出口である複数個のノズルが二次元配列されている。「ノズル面」とは、ノズルが形成されている吐出面をいい、「インク吐出面」或いは「ノズル形成面」などの用語と同義である。二次元配列された複数個のノズルのノズル配列を「二次元ノズル配列」という。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、複数個のヘッドモジュールを用紙幅方向に繋ぎ合わせて構成することができる。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々は、用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向に関して用紙Pの全記録領域を1回の走査で規定の記録解像度による画像記録が可能なノズル列を有するフルライン型の記録ヘッドである。フルライン型の記録ヘッドはページワイドヘッドとも呼ばれる。規定の記録解像度とは、インクジェット印刷装置201によって予め定められた記録解像度であってもよいし、ユーザの選択により、若しくは、印刷モードに応じたプログラムによる自動選択により設定される記録解像度であってもよい。記録解像度として、例えば、1200dpiとすることができる。用紙Pの搬送方向と直交する用紙幅方向をラインヘッドのノズル列方向と呼び、用紙Pの搬送方向をノズル列垂直方向と呼ぶ場合がある。
二次元ノズル配列を有するインクジェットヘッドの場合、二次元ノズル配列における各ノズルをノズル列方向に沿って並ぶように投影(正射影)した投影ノズル列は、ノズル列方向について、最大の記録解像度を達成するノズル密度で各ノズルが概ね等間隔で並ぶ一列のノズル列と等価なものと考えることができる。「概ね等間隔」とは、インクジェット印刷装置で記録可能な打滴点として実質的に等間隔であることを意味している。例えば、製造上の誤差及び/又は着弾干渉による媒体上での液滴の移動を考慮して僅かに間隔を異ならせたものなどが含まれている場合も「等間隔」の概念に含まれる。投影ノズル列は実質的なノズル列に相当する。投影ノズル列を考慮すると、ノズル列方向に沿って並ぶ投影ノズルの並び順に、各ノズルにノズル位置を表すノズル番号を対応付けることができる。
インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの各々におけるノズルの配列形態は限定されず、様々なノズル配列の形態を採用することができる。例えば、マトリクス状の二次元配列の形態に代えて、一列の直線配列、V字状のノズル配列、V字状配列を繰り返し単位とするW字状などのような折れ線状のノズル配列なども可能である。
描画ドラム242によって搬送される用紙Pに向けて、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kからインクの液滴が吐出され、吐出された液滴が用紙Pに付着することにより、用紙Pに画像が記録される。
描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kと用紙Pとを相対移動させる手段として機能している。描画ドラム242は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kに対して用紙Pを相対的に移動させ、相対移動手段の一形態に相当する。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出タイミングは、描画ドラム242に設置されたロータリエンコーダから得られるロータリエンコーダ信号に同期させる。図27においてロータリエンコーダの図示は省略されており、図28においてロータリエンコーダ382として記載されている。吐出タイミングとは、インクの液滴を吐出するタイミングであり、打滴タイミングと同義である。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色及び色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特色インクなどを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成又は、緑色若しくはオレンジ色などの特色のインクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、また、各色のインクジェットヘッドの配置順序も特に限定はない。
インラインスキャナ248は、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kによって用紙Pに記録された画像を読み取る画像読取部である。インラインスキャナ248は、例えば、CCDラインセンサを用いて構成される。
インラインスキャナ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、画像の異常の検出が行われる。また、インラインスキャナ248によって読み取られた読取画像のデータを基に、画像の濃度やインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kの吐出不良などの情報が得られる。
インク乾燥部250は、描画部240で画像が記録された用紙Pを乾燥処理する。インク乾燥部250は、チェーンデリバリ310と、用紙ガイド320と、温風送風ユニット330と、を備える。
チェーンデリバリ310は、描画ドラム242から用紙Pを受け取り、受け取った用紙Pを集積部260へと移送する。チェーンデリバリ310は、規定の走行経路を走行する一対の無端状のチェーン312を備え、その一対のチェーン312に備えられたグリッパ314で用紙Pの先端部を把持して、用紙Pを規定の搬送経路に沿って搬送する。グリッパ314は、チェーン312に一定の間隔で複数備えられる。
用紙ガイド320は、チェーンデリバリ310による用紙Pの搬送をガイドする部材である。用紙ガイド320は、第1用紙ガイド322と第2用紙ガイド324で構成される。第1用紙ガイド322はチェーンデリバリ310の第1搬送区間を搬送される用紙Pをガイドする。第2用紙ガイド324は、第1搬送区間の後段の第2搬送区間を搬送される用紙をガイドする。温風送風ユニット330は、チェーンデリバリ310によって搬送される用紙Pに温風を吹き当てる。
集積部260は、チェーンデリバリ310によってインク乾燥部250から搬送されてくる用紙Pを受け取り、集積する集積装置262を備える。
チェーンデリバリ310は、所定の集積位置で用紙Pをリリースする。集積装置262は、集積トレイ262Aを備え、チェーンデリバリ310からリリースされた用紙Pを受け取り、集積トレイ262Aの上に束状に集積する。集積部260は排紙部に相当する。
[システム構成の概要]
図28はインクジェット印刷装置201の制御系の要部構成を示すブロック図である。インクジェット印刷装置201は制御装置340によって制御される。制御装置340は、システムコントローラ350と、通信部352と、表示部354と、入力装置356と、画像処理部358と、搬送制御部362と、画像記録制御部364と、を備える。制御装置340における各部の要素は、1台又は複数台のコンピュータによって実現することが可能である。
システムコントローラ350は、インクジェット印刷装置201の各部を統括制御する制御手段として機能し、かつ、各種演算処理を行う演算手段として機能する。システムコントローラ350は、中央処理装置(CPU; Central Processing Unit)370と、リードオンリーメモリ(ROM;read-only memory)372と、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)374と、を備えており、所定の制御プログラムに従って動作する。ROM372には、システムコントローラ350が実行するプログラム、及び、制御に必要な各種データが格納される。
通信部352は、所要の通信インターフェースを備える。インクジェット印刷装置201は、通信部352を介して図示せぬホストコンピュータと接続され、ホストコンピュータとの間でデータの送受信を行うことができる。ここでいう「接続」には、有線接続、無線接続、又はこれらの組み合わせが含まれる。通信部352には、通信を高速化するためのバッファメモリを搭載してもよい。
通信部352は、印刷対象の画像を表す画像データを取得するための画像入力インターフェース部としての役割を果たす。
表示部354と入力装置356によってユーザインターフェースが構成される。入力装置356には、キーボード、マウス、タッチパネル、トラックボールなど、各種の入力装置を採用することができ、これらの適宜の組み合わせであってもよい。なお、表示部354の画面上にタッチパネルを配置した構成のように、表示部354と入力装置356とが一体的に構成されている形態も可能である。
オペレータは、表示部354の画面に表示される内容を見ながら入力装置356を使って印刷条件の入力や、画質モードの選択、その他の設定事項の入力、付属情報の入力及び編集、情報の検索など各種情報の入力を行うことができる。また、オペレータは、入力内容その他の各種情報を表示部354の表示を通じて確認することができる。表示部354は、エラー情報を報知するエラー情報報知手段として機能する。例えば、印刷物からスジ欠陥が検出された場合に、表示部354の画面にスジ欠陥の検出情報を示すスジ欠陥検出情報が表示される。
画像処理部358は、画像異常検出部360を含んでいる。画像異常検出部360は、インラインスキャナ248から得られる読取画像を解析して画像の異常を検出する処理を行う。また、画像処理部358は、印刷対象の画像データに対する各種の変換処理、補正処理、並びにハーフトーン処理を行う。変換処理には、画素数変換、階調変換、色変換などが含まれる。補正処理には、濃度補正、又は不吐ノズルによる画像欠陥の視認性を抑制するための不吐補正などが含まれる。
なお、画像処理部358は、システムコントローラ350を含んだ制御装置とは別のコンピュータによって構成してもよいし、システムコントローラ350を含んだ制御装置の中の機能ブロックとして内包する構成としてもよい。
搬送制御部362は、媒体搬送機構380を制御する。媒体搬送機構380は、図27に示された給紙部210から集積部260までの用紙Pの搬送に関わる用紙搬送部の機構の全体を含んでいる。媒体搬送機構380には、図27に示された給紙ドラム216、処理液塗布ドラム222、処理液乾燥ドラム232、描画ドラム242、及びチェーンデリバリ310などが含まれる。また、媒体搬送機構380には、図示せぬ動力源としてのモータ及びモータ駆動回路などの駆動部が含まれる。
搬送制御部362は、システムコントローラ350からの指令に応じて、媒体搬送機構380を制御し、かつ、給紙部210から集積部260まで滞りなく用紙Pが搬送されるように制御する。
インクジェット印刷装置201は、媒体搬送機構380における描画ドラム242(図27参照)の回転角度を検出する手段としてのロータリエンコーダ382を備えている。インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれは、ロータリエンコーダ382が出力するロータリエンコーダ信号から生成される吐出タイミング信号にしたがって吐出タイミングが制御される。
画像記録制御部364は、システムコントローラ350からの指令に応じてインクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの駆動を制御する。画像記録制御部364は、画像処理部358のハーフトーン処理を経て生成された各インク色のドットデータに基づき、描画ドラム242により搬送される用紙Pに所定の画像を記録するように、インクジェットヘッド246C、246M、246Y、246Kのそれぞれの吐出動作を制御する。
図29は制御装置340の画像検査機能及び画像補正機能に関する主な構成を示したブロック図である。制御装置340は、既に説明した第1例から第5例のいずれか又はこれらの適宜の組み合わせによる画像補正方法を実施し得る。
制御装置340は、画像処理部358の他、画像取得部402と、メモリ404と、検査画像取得部406と、を備える。画像取得部402は、装置の外部又は装置内の他の回路から印刷対象とするユーザ画像440のデータを取り込むインターフェースである。図28で説明した通信部352は、画像取得部402として機能し得る。
検査画像取得部406は、装置の外部又は装置内の他の回路から検査画像450のデータを取り込むインターフェースである。本実施形態の場合、検査画像450は、インクジェット印刷装置201によって印刷された印刷物444をインラインスキャナ248によって撮像することにより得られる画像である。
メモリ404は、画像取得部402を介して取得したユーザ画像440を記憶する記憶部である。また、メモリ404は、検査画像取得部406を介して取得した検査画像450を記憶する記憶部である。メモリ404は、画像処理部358の各種演算を行う際のワークメモリとして機能し得る。
画像処理部358の画像異常検出部360は、ユーザ画像領域検査部410とノズル検査領域検査部412とを含んで構成される。
ユーザ画像領域検査部410はユーザ画像領域82に印刷されたユーザ画像の異常を検査する処理を行う。ノズル検査領域検査部412はノズル検査領域84に印刷されたテストチャートを検査する処理を行う。
また、画像処理部358は、補正部414とハーフトーン処理部416とを含んでいる。補正部414は、画像異常検出部360による検出結果を基に、スジを不可視化する補正処理を行う。補正部414は、ノズル群特定部420と、複数不吐補正部422と、単独不吐補正部424と、単独ノズル特定部426とを含んで構成される。
ノズル群特定部420は異常ノズルを含むノズル群を特定する処理を行う。ノズル群特定部420は互いに異なる複数のノズル群のうち、いずれのノズル群に異常ノズルが含まれるかを特定する。複数不吐補正部422は、複数不吐補正モードによる補正に必要な処理を行う。複数不吐補正部422はノズル群を不吐化する処理と、不吐化による記録不能を補う不吐補正ノズルに対応する画素の信号を補正する処理とを行う。複数不吐補正部422は、画像異常検出部360により検出された異常を含む領域に対応するノズル範囲に属する複数のノズル群のうち一部のノズル群を不吐化して補正する複数不吐補正を実施し得る。
単独不吐補正部424は、単独不吐補正モードによる補正に必要な処理を行う。単独不吐補正部424は、単独ノズル特定部426により特定された異常ノズルを不吐化する処理と、不吐化による記録不能を補う不吐補正ノズルに対応する画素の信号を補正する処理とを行う。単独ノズル特定部426は、異常ノズルを特定する処理を行う。
ハーフトーン処理部416は、補正部414により補正された画像信号を量子化して2値又は多値のドットデータに変換する処理を行う。
また、制御装置340はテストチャート生成部430と情報出力部432とを備えている。テストチャート生成部430は、図7において説明した単独不吐補正パラメータ算出用チャート70、図8において説明した複数不吐補正パラメータ算出用チャート74、図9において説明したノズル検査パターン86、及び第2のノズル検査方法に用いるテストチャート、並びに図17において説明したノズル群特定用チャートのうち、少なくとも1つのテストチャートの印刷用データを生成することができる。
情報出力部432は、制御装置340において生成された情報を出力するための出力インターフェースである。情報出力部432は、制御装置340内の他の処理部等に情報を出力してもよいし、制御装置340の外部に情報を出力してもよい。
テストチャート生成部430により生成されたテストチャートの印刷用データは、情報出力部432を介して画像記録制御部364(図28参照)に送られる。図29に示されたテストチャート生成部430はテストチャート生成手段の一例である。テストチャート生成部430と画像記録制御部364(図28参照)の組み合わせはテストチャート出力制御手段の一例である。
ハーフトーン処理部416により生成されたドットデータによる印刷用データは、情報出力部432を介して画像記録制御部364(図28参照)に送られる。図29に示された補正部414と画像記録制御部364(図28参照)との組み合わせは補正手段の一形態に相当する。
複数不吐補正部422と画像記録制御部364との組み合わせは複数不吐補正手段の一形態に相当する。単独不吐補正部424と画像記録制御部364との組み合わせは単独不吐補正手段の一形態に相当する。ノズル群特定部420はノズル群特定手段の一形態に相当する。単独ノズル特定部426は単独ノズル特定手段の一形態に相当する。
テストチャート生成部430と画像記録制御部364と画像異常検出部360との組み合わせは画像異常検出手段の一形態に相当する。
[実施形態の利点]
(1)本開示の実施形態によれば、ノズルの異常に起因する画像の異常が検出されると、異常ノズルを含むノズル群に対して早期に複数不吐補正モードによる補正が行われる。これにより、損紙の発生を抑えることができる。
(2)本開示の実施形態によれば、複数不吐補正モードによって損紙の発生を抑えた上で、異常ノズルを特定して単独不吐補正モードに移行するため、異常ノズルの特定に時間を要するシステム構成においても損紙が少なく、補正を行うことができる。
(3)本開示の実施形態によれば、低解像度のスキャナを用いる場合にも、損紙が少なく、異常ノズルの特定及びスジを不可視化する補正を行うことができる。
[変形例1]
上述の実施形態では、ハーフトーン処理前の画像データについて不吐補正パラメータを適用して信号値の補正を行い、補正後の画像データをハーフトーン処理する形態を例示したが、発明の実施に際して、ハーフトーン処理後のデータを補正する構成を採用してもよい。また、各ノズルの吐出エネルギー発生素子に印加する駆動信号を補正してもよい。
[変形例2]
図29に例示した構成では、補正部414がノズル群特定部420と単独ノズル特定部426とを含んでいるが、ノズル群特定部420と単独ノズル特定部426の各々は補正部とは別に設けられていてもよい。また、画像異常検出部360の画像検査機能を担う処理部と、補正部414の補正処理機能を担う処理部とを別々の信号処理装置として構成する形態も可能である。制御装置340の機能は、複数台の制御装置及び信号処理装置の組み合わせによって実現してもよい。
[変形例3]
上述の実施形態では、記録媒体の搬送方向に直交するX方向を「第2方向」の一例として説明したが、第2方向は相対移動方向である第1方向と交差する方向であればよい。本明細書における「直交」又は「垂直」という用語には、90°未満の角度、又は90°を超える角度をなして交差する態様のうち、実質的に90°の角度をなして交差する場合と同様の作用効果を発生させる態様が含まれる。
[実施形態及び変形例等の等の組み合わせについて]
上述の実施形態で説明した構成や変形例で説明した事項は、適宜組み合わせて用いることができ、また、一部の事項を置き換えることもできる。
[記録媒体の搬送手段について]
記録媒体を搬送する搬送手段は、図27に例示したドラム搬送方式に限らず、ベルト搬送方式、ニップ搬送方式、チェーン搬送方式、パレット搬送方式など、各種形態を採用することができ、これら方式を適宜組み合わせることができる。
[記録媒体について]
画像の記録に用いられる記録媒体或いは媒体という用語は、用紙、記録用紙、印刷用紙、印刷媒体、印字媒体、被印刷媒体、画像形成媒体、被画像形成媒体、受像媒体、被吐出媒体など様々な用語で呼ばれるものの総称である。用紙の材質や形状等は、特に限定されず、シール用紙、樹脂シート、フィルム、布、不織布、その他材質や形状を問わず、様々なシート体を用いることができる。枚葉の用紙は、予め規定のサイズに整えられたカット紙に限らず、連続用紙から随時、規定のサイズに裁断して得られるものであってもよい。
「画像」は広義に解釈するものとし、カラー画像、白黒画像、単一色画像、グラデーション画像、均一濃度(ベタ)画像なども含まれる。「画像」は、写真画像に限らず、図柄、文字、記号、線画、モザイクパターン、色の塗り分け模様、その他の各種パターン、若しくはこれらの適宜の組み合わせを含む包括的な用語として用いる。「画像の記録」は、画像の形成、印刷、印字、描画、及びプリントなどの用語の概念を含む。
[吐出方式について]
インクジェットヘッドのイジェクタは、液体を吐出するノズルと、ノズルに通じる圧力室と、圧力室内の液体に吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生素子と、を含んで構成される。イジェクタのノズルから液滴を吐出させる吐出方式に関して、吐出エネルギーを発生させる手段は、圧電素子に限らず、発熱素子や静電アクチュエータなど、様々な吐出エネルギー発生素子を適用し得る。例えば、発熱素子による液体の加熱による膜沸騰の圧力を利用して液滴を吐出させる方式を採用することができる。液体吐出ヘッドの吐出方式に応じて、相応の吐出エネルギー発生素子が流路構造体に設けられる。
以上説明した本発明の実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜構成要件を変更、追加、又は削除することが可能である。本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有するものにより、多くの変形が可能である。