JP2017178891A - 毛髪用化粧料および製造方法 - Google Patents

毛髪用化粧料および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原液中に固体ワックスを含有する、使用性が良く安定なエアゾール式の毛髪用化粧料を提供すること。【解決手段】原液と噴射剤とからなるエアゾールの毛髪用化粧料は、前記原液中に脂肪酸とアルカリとを含有しているから、脂肪酸とアルカリにより形成された石鹸が固体ワックスを安定に乳化することができる。また、エアゾール式の毛髪用化粧料は、毛髪に直接噴射して使用することができるから、塗布時における手の汚れが少なく使用性が良好である。【選択図】 なし

Description

本発明は、安定かつ使用性の良好な固体ワックス成分を含有するエアゾール式の毛髪用化粧料に関する。
毛髪用化粧料の一つとしてヘアワックスがあり、当該ヘアワックスには、整髪後、時間経過した後でも再整髪が容易であるという利点がある。ヘアワックスには種々の剤型のものがあるが、ボトル(ジャー)に入ったクリーム状のものが一般的である。
クリーム状のヘアワックスには、ボトルから取り出す際に手が汚れやすく、ヘアワックスで手を汚すことなく毛髪に伸ばして均一に塗布することが困難であるという問題がある。このため、スプレー式ヘアワックスが提案されている(特許文献1および2)。
特許文献1には、毛髪に塗布したときに、毛髪のまとまりが良好で、かつ毛髪のべたつきが少なく、てかりがでない好適な外観に毛髪を整えることを目的とする、ラウロイルリシンの配合量が0.1〜5質量部であるスプレー式ヘアワックスが記載されている。
特許文献2には、べたつきが少なく、手指が汚れず、ヘアスタイルの持続性および再整髪性を優れたものとすることを目的とする、(a)被膜形成性樹脂、(b)液状エステル油、(c)半固形油(常温で半固体の油剤)を含有し、実質的に水を含有しないスプレー式ヘアワックスが記載されている。
特開2003−113044号公報 特開2005−314365号公報
エアゾール式の毛髪用化粧料は、原液を噴射する際、容器中において原液と噴射剤とが均一な状態となっていることが必要である。このため、ジャー式のクリーム状の剤型と比較して、原液に配合することができる成分に制約がある。
上記特許文献1および2に記載されているスプレー式ヘアワックスには、常温で固体である固体ワックス成分が配合されていない。固体ワックス成分は、毛髪用化粧料の仕上がりに大きく影響するから、エアゾール式の毛髪用化粧料に所望の整髪性を付与し、ヘアワックスに特有の使用感などを実現するために重要な成分である。このため、固体ワックスを含有する安定なエアゾール式の毛髪用化粧料が望まれている。
そこで、本発明は、固体ワックス成分を含有する安定なエアゾール式の毛髪用化粧料およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために提供される本発明は次のとおりである。
[1]原液と噴射剤とからなるエアゾール式の毛髪用化粧料であって、前記原液が、固体ワックス、脂肪酸、アルカリおよび水を含有する毛髪用化粧料。
[2]前記原液100質量部中に、前記脂肪酸を4質量部以上含有する[1]に記載の毛髪用化粧料。
[3]前記固体ワックス100質量部中の動物由来ワックスの含有量が0〜20質量部である[1]または[2]に記載の毛髪用化粧料。
[4]前記固体ワックスが、イソパラフィン(分岐炭化水素)である、[1]または[2]に記載の毛髪用化粧料。
[5]前記原液が粉体を含有している[1]〜[4]のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
[6]前記粉体は、表面がシリル化処理されたシリル化無水ケイ酸の粉体である[5]に記載の毛髪用化粧料。
[7]前記粉体の含有量が、前記原液100質量部中に0.1質量部以上1.0質量部未満である[5]または[6]に記載の毛髪用化粧料。
[8]前記脂肪酸が、炭素数14以上の飽和脂肪酸である[1]〜[7]のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
[9]前記噴射剤が液化石油ガス(LPG、Liquefied Petroleum Gas)である[1]〜[8]のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
[10]ヘアワックスである[1]〜[9]のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
[11]エアゾール式の毛髪用化粧料の原液の製造方法であって、固体ワックス、脂肪酸、および紛体を含有する油相と、アルカリおよび水を含有する水相とを混合する工程を含んでいることを特徴とする原液の製造方法。
[12]原液と噴射剤とからなるエアゾール式の毛髪用化粧料の製造方法であって、[11]に記載の原液の製造方法により製造した原液と、前記噴射剤とを容器に充填する工程を含んでいることを特徴とする毛髪用化粧料の製造方法。
本発明の毛髪用化粧料は、原液中に脂肪酸とアルカリとを含有しているから、固体ワックスを石鹸乳化し、エアゾール式の毛髪用化粧料中に安定に配合することができる。したがって、頭髪に直接噴射することができ、手の汚れが少ない使用性の良好なものとなる。
また、原液に粉体を配合することにより、毛髪に噴射された際の発泡を抑制し、固体ワックス特有の整髪性を備えた、容易に毛髪に均一に伸ばすことができる使用性の良好な毛髪用化粧料となる。
(毛髪用化粧料)
本発明に係る毛髪用化粧料の実施形態について、以下に説明する。
本実施形態の毛髪用化粧料は、噴射剤と原液とを詰めた容器のボタンを押すと、噴射剤と原液が容器内から吐出されるエアゾール製剤として実施される。
(原液)
原液は、固体ワックス、脂肪酸、アルカリおよび水を含有している。脂肪酸とアルカリにより形成される石鹸が固体ワックスの乳化剤として機能することにより、固体ワックスを含有する原液を乳化し、乳化状態を安定に維持することができる。
(固体ワックス)
固体ワックスとは、常温(25℃)において固体である油性成分をいう。
例えば、原油の精製により得られる分岐炭化水素(イソパラフィン)、直鎖状炭化水素、飽和環状炭化水素、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの石油由来ワックス、蜜蝋(ミツロウ)、羊毛蝋などの動物由来ワックス、カルバナワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の植物由来ワックスなどが挙げられる。なお、本実施形態において、常温で固体である高級脂肪酸および高級飽和脂肪族アルコールは、動物由来ワックスまたは動物由来ワックスの成分として含まれるものを除き、固体ワックスに含まない。
粒状の固体ワックス成分が析出すること等を防止し、原液を安定に乳化する観点から、蜜蝋などの動物由来ワックスの含有量は小さいことが好ましい。固体ワックス100質量部中における動物由来ワックスの含有量は、20質量部以下であることが好ましく、0質量部(含有しない)であることがより好ましい。原液を安定に乳化する観点から、固体ワックス成分は、石油由来ワックスであることが好ましく、分岐炭化水素であることがより好ましい。
原液100質量部中の固体ワックスの含有量は、0.1〜50.0質量部であることが好ましく、2.0〜30.0質量部であることがより好ましく、3.0〜15.0質量部であることがさらに好ましい。固体ワックスは、1種のみを含有しても、複数種を混合したものとして含有してもよい。
(脂肪酸)
脂肪酸としては、固体ワックスを安定に乳化する観点から、不飽和結合を有さない飽和脂肪酸が好ましく、炭素数10以上の高級飽和脂肪酸がより好ましい。本実施形態の毛髪用化粧料をヘアワックスとする場合、ヘアワックスに特有のねっとりした使用感を付与する観点から、炭素数14以上の高級飽和脂肪酸が好ましい。
原液100質量部中の脂肪酸の含有量は、1.0〜15.0質量部であることが好ましく、2.0〜10.0質量部であることがより好ましく、3.0〜8.0質量部であることがさらに好ましい。脂肪酸は、一種のみであっても、複数種を混合したものであってもよい。
脂肪酸の含有量は、原液中の固体ワックス1質量部に対して、0.1〜2質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1.0質量部であることがさらに好ましい。原液が脂肪酸と固体ワックスとを上記の比率で含有することにより、原液を安定に乳化することができる。
(アルカリ)
アルカリは、脂肪酸をけん化して石鹸を生成するものをいい、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられる。これらのうち、アルカノールアミンが好ましく、トリエタノールアミンが特に好ましい。
アルカリは、水酸基当量として、脂肪酸のカルボキシル基1当量に対して、0.3〜1.5当量であることが好ましく、0.6〜1.4当量であることがより好ましく、0.8〜1.2当量であることがさらに好ましい。
(粉体)
本実施形態の毛髪用化粧料は、原液が粉体を含有するものであることが好ましい。原液に粉体を配合することにより、毛髪に噴射された際に激しく泡立つことが抑制されるから、手が汚れることが少なく、毛髪に均一に塗布することが容易な、使用性の良い毛髪用化粧料となる。粉体としては、例えば、表面がシリル化処理されたシリル化無水ケイ酸、タルク、無水ケイ酸、ナイロン末、ポリエチレン末、などが挙げられるが、噴射時の泡立ちを抑える消泡性が良好であることから、シリル化無水ケイ酸が好ましい。
原液100質量部における粉体の含有量は、噴射時の泡立ちを抑える観点から、0.1質量部以上であることが好ましく、0.3質量部以上であることがより好ましく、0.4質量部以上であることがさらに好ましい。また、噴射剤となじんで容器中の毛髪用化粧料を均一にする観点から、1.0質量部未満であることが好ましく、0.7質量部未満であることがより好ましく、0.6質量部未満であることがさらに好ましい。
(製造方法)
毛髪用化粧料に粉体を配合する場合、原液中の水以外の成分からなる油相に粉体を添加する粉体添加工程の後に、粉体が添加された油相に水相を添加して乳化する乳化工程を行うことが好ましい。乳化工程の前に粉体添加工程を実施し、油相中にあらかじめ粉体を添加することにより、乳化工程の後の乳化物に紛体を添加するよりも、噴射された際における泡立抑制効果の良好な毛髪用化粧料となる。
(噴射剤)
原液と共に充填される噴射剤としては、一般に用いられている、液化ガス、圧縮ガスおよびこれらの混合物等を用いることができる。液化ガスとしては、液化石油ガス、ジメチルエーテルなどが挙げられ、圧縮ガスとしては、炭酸ガス、窒素、亜酸化窒素、圧縮空気などが挙げられる。また、HFC−152a、HFO−1234ze(E)などを用いることもできる。
上述した成分を含有する原液との相溶性が良好であるという観点から、液化石油ガスが好ましい。
噴射剤は、単品で用いても、2つ以上を組み合わせて用いてもよい。原液と噴射剤との含有量(質量)比(原液/噴射剤)は、0.1〜9.0であることが好ましく、0.2〜3.0であることがより好ましく、0.4〜1.5であることがさらに好ましい。
(容器)
本実施形態の毛髪用化粧料の原液を充填する容器としては、一般に用いられている耐圧容器を用いることができる。耐圧容器を構成する金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ブリキ、鋼等が挙げられる。
(界面活性剤)
本実施形態の毛髪用化粧料は、原液中に界面活性剤を含有していても良い。界面活性剤は、上述した脂肪酸とアルカリとの石鹸とともに、固体ワックスを含む油相と水相との乳化を安定化する。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシプロピレンアルキルエーテル等の非イオン性界面剤(ノニオン界面活性剤)や、スルホン酸塩、硫酸エステル塩等の陰イオン性界面剤(アニオン性界面活性剤)等が挙げられる。界面活性剤は、単独で用いても複数を併用してもよい。
本実施形態の毛髪用化粧料の原液は、上述した成分以外に、医薬品や化粧品の分野において一般に用いられている成分を含有してもよい。このような成分としては、水;クエン酸およびクエン酸ナトリウム等のpH調整剤;フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウムおよびパラベンなどの防腐剤;ビーズポリマー等の滑材;ピロリドンカルボン酸ナトリウム塩、グリセリンなどの保湿剤;ビタミン類;無機フィラー;香料;などが挙げられる。これら成分の含有量は、本実施形態の毛髪用化粧料の特性に悪い影響を与えない範囲とすればよい。
以上説明した実施形態に関する記載は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するためのものではない。したがって、実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[原液の調製]
表1〜3は、実施例および比較例のクラッキング製剤に用いた各原液100質量部の各成分の含有量(質量部)を示したものである。表1に示した各成分および含有量により、原液1〜28を調製した。

表1〜3に示した各成分は、以下のとおりである。
[油相]
[脂肪酸]
パルミチン酸
ステアリン酸
ミリスチン酸
[高級アルコール(セチルアルコール)]
NAA−44(日本油脂株式会社製)
[固体ワックス(動物由来ワックス)]
ミツロウCY−100
[固体ワックス(イソパラフィン)]
SP−0165(日本精蝋株式会社製)
Hi−Mic−1045(日本精蝋株式会社製)
Hi−Mic−1090(日本精蝋株式会社製)
[エステル油]
クロダモル−OSU−LQ−(JP)(クローダ・ジャパン株式会社製)
[シリコーン]
SH200C−10CS(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
SH200C−100CS(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
SH200C−500CS(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
[ノニオン界面活性剤]
EMALEX HC−100(日本エマルジョン株式会社製)
EMALEX GMS−F(日本エマルジョン株式会社製)
NIKKOL TL−10(日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL BL−9EX(日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL BC−20TX(日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL MGS−AV(日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL MGS−DEX(日光ケミカルズ株式会社製)
NIKKOL MGS−BV2(日光ケミカルズ株式会社製)
[シリコーン(消泡成分)]
SH245(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
SM5571(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
BY22−029(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
BY11−030(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製)
YMR7212(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)
[粉体]
AEROSIL R972(日本アエロジル株式会社製、シリル化無水ケイ酸の粉体)
ニップシール(東ソー・シリカ株式会社製)
ハイフィラー#13(松村産業株式会社製、タルクの粉体)
[ロウ、高級アルコールおよび界面活性剤の混合物]
エマコール HW−7604(山栄化学株式会社製)
[水相]
[アルカリ]
トリエタノールアミン(日光ケミカルズ株式会社製)
[多価アルコール]
1,3−ブチレングリコール
[高重合PEG]
PEO−18P(住友精化株式会社製)
[評価方法]
実施例および比較例の毛髪用化粧料を、下記に示す方法および基準を用いて評価した。
[乳化具合]
原液の乳化状態を以下の基準を用いて評価した。
×:乳化しない。
△:調製直後は乳化しているが、室温になったときに白粒が析出する。
○:調製直後に乳化し、室温になっても乳化状態が維持されている。
[相溶性]
〇:LPGやDME等の噴射剤を加えたときに乳化状態が維持される。
×:LPGやDME等の噴射剤を加えたときに乳化状態が崩れる。
各表の相溶性の欄に記載した60wt%または70wt%は、原液と噴射剤との乳化状態を維持することができた系における噴射剤の配合割合を示す。
[噴射状態]
〇:霧状
×:棒状
[泡立ち]
〇:微発泡または発泡しない
△:やや発泡する
×:発泡する
[実施例1〜27]
噴射剤としてLPGを用い、原液1と噴射剤とを40:60(wt%)の割合(重量比)で充填して実施例1の毛髪用化粧料を作製した。
原液1の代わりに原液2〜27を用いて、実施例2〜27の毛髪用化粧料を作製した。各実施例の毛髪用化粧料は、原液と噴射剤とを40:60または30:70(wt%)の割合(重量比)で充填した。各実施例の充填割合について、表4〜6の相溶性の欄に記載した。
実施例1〜27の毛髪用化粧料について、原液の乳化具合、噴射剤との相溶性、噴射状態および噴射後の泡立ちについて、上述した評価方法を用いて評価した。表4〜6は各項目の評価結果を示している。
[比較例1]
原液1の代わりに原液28を用いて、比較例1の毛髪用化粧料を作製した。
比較例1の毛髪用化粧料を実施例と同様の方法で評価した結果を表4に示している。

脂肪酸とアルカリの代わりに、ロウ、高級アルコールおよび界面活性剤の混合物(エマコール HW−7604)を用いた比較例1の毛髪用化粧料は、原液中の固体ワックスを乳化することができなかった。対して、脂肪酸とアルカリとにより生成された石鹸を含む実施例1〜6はいずれも、固体ワックスを含有する原液を乳化することができた。
固体ワックスとして動物由来ワックスであるミツロウを含有する実施例1〜3のうち、ミツロウの含有量が大きい1および2は乳化した原液と噴射剤との相溶性が悪かった。この結果から、原液中のミツロウの含有量を1質量%以下とすることが好ましく、固体ワックスとしてミツロウを含まないことがより好ましいといえる。固体ワックスとしては、原液と噴射剤とを安定的に均一に混合する観点から、イソパラフィンが好ましい。
炭化水素基の炭素数が14の脂肪酸であるパルミチン酸と、炭素数が16の脂肪酸であるステアリン酸との混合物を用いた実施例3および4と、炭素数が12の脂肪酸であるミリスチン酸を用いた実施例5および6との結果から、泡立ちの観点からは、ミリスチン酸が好ましいといえる。しかし、実施例3および4は、実施例5および6よりも、ねっとりとした使用感という点において優れていた。このことから、毛髪用化粧料をヘアワックスとして用いる場合、パルミチン酸とステアリン酸等の炭化水素基の炭素数が14以上の飽和脂肪酸を用いることが好ましいといえる。

上記の表に示されるように、飽和脂肪酸としてパルミチン酸とステアリン酸とを用いた実施例7〜18の毛髪用化粧料は、乳化状態が良好でありかつ噴射剤との相溶性が良好であった。飽和脂肪酸としてパルミチン酸とステアリン酸とを用いると、ヘアワックスに特有のねっとりとした使用感を付与することができたが、容器から噴射した際における泡立ちが激しいという問題が生じた。毛髪になじませる時間を短縮し、毛髪用化粧料が手に付着する量を少なくして、使用性を向上させるためには、泡立ちを適度に抑えることが好ましい。また、毛髪用化粧料をヘアワックスとして用いる場合、視覚を介して与える印象の観点からも、容器から噴射した際における泡立ちを適度に抑えることが好ましい。そこで、泡立ちを抑えるために種々の消泡成分を検討したが、消泡剤として一般に用いられている種々の消泡成分(シリコーン:実施例7、8、16〜18、環状シリコーン:実施例14、15、親油性界面活性剤:実施例9〜12、植物油:実施例13〜14)を配合することによって噴射時における激しい泡立ち(発泡)を抑えることができなかった。
そこで、原液に紛体を配合したところ、実施例19〜21の結果に示すように、噴射時における激しい泡立ちを抑制することができた。粉体の中でも、実施例19のシリル化無水ケイ酸が最も発泡を抑制する効果が高かった。実施例19〜21では、乳化後の原液(乳化物)に各紛体を添加して、毛髪用化粧料の原液を調製した。上述したように、乳化物に各紛体を添加することにより泡立ちを抑制できた。しかし、表6に△(やや発泡する)と記載しているように、いずれも発泡抑制の効果が十分ではなかった。
実施例22〜27の原液は、乳化後の乳化系ではなく、乳化前の油相に発泡抑制効果が最も高かったシリル化無水ケイ酸を添加することにより調製した。このように、あらかじめ紛体が添加された油相と、水相と混合、乳化して得られた実施例22〜27の原液はいずれも、噴射時における泡立ちが十分に抑制されたものであった。すなわち、固体ワックス、脂肪酸、および紛体を含有する油相と、アルカリおよび水を含有する水相とを混合して乳化することにより、紛体の発泡抑制効果が十分に発揮され、噴射時における泡立ちが十分に抑制された原液を得ることができた。
ただし、実施例22〜24の結果に示すように、粉体の含有量が大きくなると原液と噴射剤との相溶性が低下した。したがって、原液中における粉体の含有量は、原液と噴射剤との相溶性が良好となる範囲とすることが好ましい。
本発明によれば、固体ワックスを含有する原液を安定に乳化し、また噴射剤との相溶性を良好にすることができるから、固体ワックスに特有の整髪性、使用感を有するエアゾール式の毛髪用化粧料を提供できる。また、噴出時における泡立ちを抑制することにより、毛髪になじませる時間が短く、手の汚れの少ない使用性の良好な毛髪用化粧料となり、例えば、エアゾール式のヘアワックスとして好適に用いることができる。

Claims (12)

  1. 原液と噴射剤とからなるエアゾール式の毛髪用化粧料であって、前記原液が、固体ワックス、脂肪酸、アルカリおよび水を含有する毛髪用化粧料。
  2. 前記原液100質量部中に、前記脂肪酸を4質量部以上含有する請求項1に記載の毛髪用化粧料。
  3. 前記固体ワックス100質量部中の動物由来ワックスの含有量が0〜20質量部である請求項1または2に記載の毛髪用化粧料。
  4. 前記固体ワックスが、イソパラフィンである請求項1または2に記載の毛髪用化粧料。
  5. 前記原液が粉体を含有している請求項1〜4のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
  6. 前記粉体は、表面がシリル化処理されたシリル化無水ケイ酸の粉体である請求項5に記載の毛髪用化粧料。
  7. 前記粉体の含有量が、前記原液100質量部中に0.1質量部以上1.0質量部未満である請求項5または6に記載の毛髪用化粧料。
  8. 前記脂肪酸が、炭素数14以上の飽和脂肪酸である請求項1〜7のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
  9. 前記噴射剤が液化石油ガスである請求項1〜8のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
  10. ヘアワックスである請求項1〜9のいずれか1項に記載の毛髪用化粧料。
  11. エアゾール式の毛髪用化粧料の原液の製造方法であって、
    固体ワックス、脂肪酸、および紛体を含有する油相と、アルカリおよび水を含有する水相とを混合する工程を含んでいることを特徴とする原液の製造方法。
  12. 原液と噴射剤とからなるエアゾール式の毛髪用化粧料の製造方法であって、
    請求項11に記載の原液の製造方法により製造した原液と、前記噴射剤とを容器に充填する工程を含んでいることを特徴とする毛髪用化粧料の製造方法。
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