JP2017179478A - オーステナイト系耐熱合金部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
C:0.02%を超えて0.15%以下、
Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、
P:0.030%以下、
S:0.010%以下、
Cr:28.0〜38.0%、
Ni:40.0%を超えて60.0%以下、
W:3.0%を超えて15.0%以下、
Ti:0.05〜1.0%、
Zr:0.005〜0.2%、
Al:0.01〜0.3%、
N:0.02%以下、
Mo:0.50%未満、
B:0.005%以下、
Co:0〜20.0%、
残部:Feおよび不純物
である化学組成を有する鋼塊または鋳片に、熱間加工が施された合金部材であって、
前記合金部材の長手方向と垂直な断面において、中心部から外面部までの長さが40mm以上であり、
前記外面部におけるオーステナイト結晶粒度番号が−2.0〜4.0であり、
抽出残渣分析によって得られるCr析出量が下記(i)式を満足し、
常温での機械的特性が下記(ii)式および(iii)式を満足し、
前記中心部における前記長手方向の700℃における10,000時間クリープ破断強度が130MPa以上である、オーステナイト系耐熱合金部材。
CrPB/CrPS≦10.0 ・・・(i)
YSS/YSB≦1.5 ・・・(ii)
TSS/TSB≦1.2 ・・・(iii)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
CrPB:中心部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
CrPS:外面部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
YSB:中心部における0.2%耐力
YSS:外面部における0.2%耐力
TSB:中心部における引張強さ
TSS:外面部における引張強さ
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.050%以下、Ca:0.050%以下およびREM:0.50%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下
その後、1100〜1250℃の範囲の熱処理温度T(℃)まで加熱し、1150D/T〜1500D/T(min)保持した後、水冷する熱処理を施す工程とを備える、オーステナイト系耐熱合金部材の製造方法。
但し、Dは、合金部材の長手方向と垂直な断面における、当該断面の外縁上の任意の点と該外縁上の他の任意の点との直線距離の最大値(mm)である。
各元素の限定理由は下記のとおりである。なお、以下の説明において含有量についての「%」は、「質量%」を意味する。
Cは、炭化物を形成して高温環境下で使用される際に必要となる引張強さおよびクリープ破断強度を確保する作用を有する。この効果を発揮させるためには、0.02%を超える量のCを含有させる必要がある。しかしながら、C含有量が0.15%を超えると、固溶化熱処理後の未固溶炭化物の量が増加するだけで、高温強度の向上に寄与しなくなり、さらに、靱性など他の機械的性質および溶接性も劣化させる。したがって、C含有量は0.02%を超えて0.15%以下とする。Cは、0.03%を超えて含有させるのが好ましく、0.05%を超えて含有させるのがより好ましい。また、C含有量は0.13%以下であるのが好ましく、0.12%以下であるのがより好ましい。
Siは、脱酸元素として含有される。また、Siは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性等を高めるためにも有効な元素である。しかしながら、Si含有量が高くなって、特に、2.0%を超えると、σ相等の金属間化合物の生成を促進するので、高温における組織の安定性が劣化して靱性および延性の低下を招く。さらに、溶接性および熱間加工性も低下する。したがって、Si含有量は2.0%以下とする。靱性および延性が重視される場合には、Si含有量は1.0%以下にすることが好ましい。なお、他の元素で脱酸作用が十分確保されている場合、特にSi含有量について下限を設ける必要はない。しかし、脱酸作用、耐酸化性、耐水蒸気酸化性等を重視する場合は、Si含有量は0.05%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましい。
Mnは、Siと同様に脱酸作用を有するとともに、合金中に不可避的に含有されるSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有する。しかしながら、Mn含有量が3.0%を超えると、σ相等の金属間化合物の析出を助長するので、組織安定性および高温強度などの機械的性質が劣化する。したがって、Mn含有量は3.0%以下とする。Mn含有量は2.0%以下であるのが好ましく、1.5%以下であるのがより好ましい。なお、Mn含有量について下限を設ける必要はないが、熱間加工性改善作用を重視する場合、Mn含有量は0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。
Pは、不純物として合金中に不可避的に混入し、熱間加工性を著しく低下させる。したがって、P含有量を0.030%以下とする。P含有量は極力低くすることがよく、0.020%以下とするのが好ましく、0.015%以下とするのがより好ましい。
Sは、Pと同様に不純物として合金中に不可避的に混入し、熱間加工性を著しく低下させる。したがって、S含有量を0.010%以下とする。なお、良好な熱間加工性を確保したい場合には、S含有量は0.005%以下とするのが好ましく、0.003%以下とするのがより好ましい。
Crは、耐酸化性、耐水蒸気酸化性、耐高温腐食性などの耐食性改善作用を有する。さらに、Crは、α−Cr相として析出してクリープ破断強度を高めるため、本発明においては必須の元素である。しかしながら、その含有量が28.0%未満では、これらの効果が得られない。一方、Cr含有量が多くなって、特に、38.0%を超えると、熱間加工性が劣化し、さらに、σ相の析出などによる組織の不安定化を招く。したがって、Cr含有量は28.0〜38.0%とする。なお、30.0%を超える量のCrを含有させることが好ましい。
Niは、安定なオーステナイト組織を確保するために必須の元素である。28.0〜38.0%のCrを含有する本発明において、σ相の析出を抑制するとともにα−Cr相を安定に析出させるためには、40.0%を超える量のNiを含有させる必要がある。しかしながら、Ni含有量が過剰になって、特に、60.0%を超えると、Crの含有量によってはα−Cr相が十分に析出せず、さらに、経済性も損なわれる。したがって、Ni含有量は40.0%を超えて60.0%以下とする。
Wは、マトリックスに固溶して固溶強化元素としてクリープ破断強度の向上に寄与するばかりでなく、Fe2W型のLaves相またはFe7W6型のμ相として析出し、クリープ破断強度を大幅に向上させる極めて重要な元素である。さらに、Wは、28.0〜38.0%のCrを含有する本発明において析出するα−Cr相中に固溶して、高温での長時間使用中のα−Cr相の成長粗大化を抑制し、長時間側でのクリープ破断強度の急激な低下を抑止する作用を有する。しかしながら、W含有量が3.0%以下では、前記した効果が得られない。一方、15.0%を超える量のWを含有させても、前記の効果が飽和してコストが嵩むだけであり、しかも、組織安定性および熱間加工性が劣化する。したがって、W含有量は3.0%を超えて15.0%以下とする。W含有量は13.0%以下とするのが好ましい。なお、クリープ破断強度の向上効果をさらに重視する場合、6.0%を超える量のWを含有させるのが好ましい。
Tiは、α−Cr相の析出を促進させてクリープ破断強度を高める重要な元素である。特に、Tiを後述のZrと複合して含有させることで、α−Cr相の析出が一層促進されて、クリープ破断強度をより高めることが可能になる。しかしながら、Ti含有量が0.05%未満では十分な効果が得られず、一方、1.0%を超えると熱間加工性が低下する。したがって、Ti含有量は0.05〜1.0%とする。Ti含有量は0.1%以上とするのが好ましく、0.2%以上とするのがより好ましい。また、Ti含有量は0.9%以下とするのが好ましく、0.5%以下とするのがより好ましい。
Zrは、Tiと同様に、α−Cr相の析出を促進させてクリープ破断強度を高める重要な元素である。特に、Zrを上述のTiと複合して含有することで、α−Cr相の析出が一層促進されて、クリープ破断強度をより高めることが可能になる。しかしながら、Zr含有量が0.005%未満では十分な効果が得られず、一方、0.2%を超えると熱間加工性が低下する。したがって、Zr含有量は0.005〜0.2%とする。Zr含有量は0.01%以上であるのが好ましい。また、Zr含有量は0.1%以下であるのが好ましく、0.05%以下であるのがより好ましい。
Alは、脱酸作用を有する元素であり、その効果を発揮するには0.01%以上の含有量が必要である。なお、Alを多量に含有させることによって、γ’相が析出してクリープ破断強度を高めることができるが、本発明においては、適正量のW、TiおよびZrを含有させ、α−Cr相とLaves相等による複合析出強化でクリープ破断強度を飛躍的に高めることができるため、γ’相による強化は不要である。しかも、Al含有量が0.3%を超えると、熱間加工性、延性および靱性が劣化することがある。そのため、Al含有量を0.01〜0.3%とする。
前述のように、本発明においては、α−Cr相の析出促進のためにZrおよびTiを必須の元素として含有させている。通常の溶解法では不可避的に含まれる元素であるNは、ZrNおよびTiNを形成し、ZrおよびTiを消費してしまう。このことを避けるためには、N含有量は極力低減する必要がある。しかしながら、N含有量の極端な低減は、特殊溶解法の適用または高純度原料の使用を必要とし経済性を損なう。したがって、N含有量は0.02%以下とする。なお、N含有量は0.015%以下であるのが好ましい。
従来、Moは、マトリックスに固溶して、固溶強化元素としてクリープ破断強度の向上に寄与する元素として、Wと同等の作用を有する元素と考えられてきた。しかしながら、本発明者らの検討によって、前述した量のWとCrとを含む合金にMoが複合して含まれている場合には、長時間使用した際にσ相が析出することがあり、このため、クリープ破断強度、延性および靱性の低下をきたすことがあることが判明した。このため、Mo含有量は極力低くすることが望ましく、0.50%未満とする。なお、Mo含有量は0.20%未満に制限することがより好ましい。
Bは、B単体で粒界に、または炭窒化物中に存在し、高温での使用中における粒界強化による粒界すべり抑制および炭窒化物の微細分散析出促進によって、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。しかしながら、B含有量が0.005%を超えると、溶接性が劣化する。したがって、B含有量は0.005%以下とする。
Coは、Niと同様にオーステナイト組織を安定にする作用を有するとともに、クリープ破断強度の向上にも寄与する元素であるので、前記の効果を得るためにCoを含有させてもよい。しかしながら、20.0%を超えてCoを含有させても上記の効果が飽和してコストが嵩むばかりであり、しかも、熱間加工性も低下する。したがって、Co含有量は20.0%以下とする。なお、Co含有量は15.0%以下とすることが好ましい。一方、前記したCoのオーステナイト組織を安定にする効果およびクリープ破断強度の向上効果を確実に得るためには、Co含有量を0.05%以上とすることが好ましく、0.5%以上とすることがより好ましい。
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.050%以下、Ca:0.050%以下およびREM:0.50%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下
Nbは、炭窒化物を形成して高温強度およびクリープ破断強度を向上させるとともに結晶粒を微細化して延性を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにNbを含有させてもよい。しかしながら、Nb含有量が1.0%を超えると、熱間加工性および靱性が低下する。したがって、含有させる場合のNbの量は1.0%以下とする。Nb含有量は0.9%以下とするのがより好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Nb含有量は0.05%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましい。
Vは、炭窒化物を形成して高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにVを含有させてもよい。しかしながら、V含有量が1.5%を超えると、耐高温腐食性が低下し、さらに脆化相の析出に起因した延性および靱性の劣化をきたす。したがって、含有させる場合のVの量は1.5%以下とする。V含有量は1.2%以下とするのがより好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、V含有量は0.02%以上とするのが好ましく、0.04%以上とするのがより好ましい。
Hfは、炭窒化物として析出強化に寄与し高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにHfを含有させてもよい。しかしながら、Hf含有量が1.0%を超えると、加工性および溶接性が損なわれる。したがって、含有させる場合のHfの量は1.0%以下とする。Hf含有量は0.8%以下とするのがより好ましく、0.5%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Hf含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.02%以上とするのがより好ましい。
Mgは、合金中に不可避的に含有されるSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有するので、この効果を得るためにMgを含有させてもよい。しかしながら、Mg含有量が0.050%を超えると、清浄性が低下し、かえって熱間加工性および延性が損なわれる。したがって、含有させる場合のMgの量は0.050%以下とする。Mg含有量は0.020%以下とするのがより好ましく、0.010%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Mg含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましい。
Caは、熱間加工性を阻害するSを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有するので、この効果を得るためにCaを含有させてもよい。しかしながら、Ca含有量が0.050%を超えると、清浄性が低下し、かえって熱間加工性および延性が損なわれる。したがって、含有させる場合のCaの量は0.050%以下とする。Ca含有量は0.020%以下とするのがより好ましく、0.010%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ca含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましい。
REMは、Sを硫化物として固定して熱間加工性を改善する作用を有する。また、REMには、鋼表面のCr2O3保護皮膜の密着性を改善し、特に、繰り返し酸化時の耐酸化性を改善する作用、さらには、粒界強化に寄与して、クリープ破断強度およびクリープ破断延性を向上させる作用もある。しかしながら、REM含有量が0.50%を超えると、酸化物などの介在物が多くなり加工性および溶接性が損なわれる。したがって、含有させる場合のREMの量は0.50%以下とする。REM含有量は0.30%以下とするのがより好ましく、0.15%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、REM含有量は0.0005%以上とするのが好ましく、0.001%以上とするのがより好ましく、0.002%以上とするのがさらに好ましい。
Taは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、炭窒化物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにTaを含有させてもよい。しかしながら、Ta含有量が8.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のTaの量は8.0%以下とする。Ta含有量は7.0%以下とするのがより好ましく、6.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ta含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましく、0.5%以上とするのがさらに好ましい。
Reは、マトリックスであるオーステナイトに固溶して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにReを含有させてもよい。しかしながら、Re含有量が8.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のReの量は8.0%以下とする。Re含有量は7.0%以下とするのがより好ましく、6.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Re含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.1%以上とするのがより好ましく、0.5%以上とするのがさらに好ましい。
Irは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにIrを含有させてもよい。しかしながら、Ir含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のIrの量は5.0%以下とする。Ir含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ir含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Pdは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにPdを含有させてもよい。しかしながら、Pd含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のPdの量は5.0%以下とする。Pd含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Pd含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Ptも、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有するので、これらの効果を得るためにPtを含有させてもよい。しかしながら、Pt含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のPtの量は5.0%以下とする。Pt含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Pt含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
Agは、マトリックスであるオーステナイトに固溶するとともに、含有量に応じて一部は微細な金属間化合物を形成して、高温強度およびクリープ破断強度を向上させる作用を有する。このため、これらの効果を得るためにAgを含有させてもよい。しかしながら、Agの含有量が5.0%を超えると、加工性および機械的性質が損なわれる。したがって、含有させる場合のAgの量は5.0%以下とする。Ag含有量は4.0%以下とするのがより好ましく、3.0%以下とするのがさらに好ましい。一方、上記の効果を確実に得るためには、Ag含有量は0.01%以上とするのが好ましく、0.05%以上とするのがより好ましく、0.1%以上とするのがさらに好ましい。
外面部におけるオーステナイト結晶粒度番号:−2.0〜4.0
外面部におけるオーステナイト結晶粒度が粗すぎると、常温での0.2%耐力および引張強さが低くなり、一方、細かすぎると、高温における高いクリープ破断強度を保持することができなくなる。したがって、外面部におけるオーステナイト結晶粒度番号は−2.0〜4.0とする。なお、オーステナイト系耐熱合金部材の製造工程において、熱間加工後の熱処理温度および保持時間ならびに冷却方法を適切に調整することで、最終熱処理後の外面部の結晶粒度番号を上記の範囲とすることができる。
中心部から外面部までの長さ:40mm以上
上述のように、大型の構造部材では、常温における0.2%耐力および引張強さが低くなることに加えて、部位によってクリープ破断強度のばらつきが生じるという問題もある。しかしながら、本発明に係るオーステナイト系耐熱合金部材は、大型の構造部材として十分な常温での0.2%耐力および引張強さ、ならびに、高温でのクリープ破断強度を発現する。すなわち、本発明の効果は、厚肉の合金部材に対して顕著に発揮される。したがって、本発明のオーステナイト系耐熱合金部材においては、長手方向と垂直な断面において、中心部から外面部までの長さを40mm以上とする。
CrPB/CrPS≦10.0 ・・・(i)
但し、(i)式中の各記号の意味は以下のとおりである。
CrPB:中心部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
CrPS:外面部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
合金部材の製造工程において、熱間加工後の熱処理を施した後の結晶粒界または粒内には未固溶のCrの析出物(主として、炭化物)が生じる。特に、合金部材の中心部では外面部と比べて冷却速度が遅くなるため、析出物の量が増す傾向にある。そのため、合金部材の外面部に対して中心部でのCr析出量が多くなり、CrPB/CrPSの値が10.0を超えると高温における高いクリープ破断強度を保持することができなくなる。一方、CrPB/CrPSの下限値は定める必要はないが、中心部が外面部よりも析出物の量が増す傾向にあることから1.0以上とすることが好ましい。
YSS/YSB≦1.5 ・・・(ii)
TSS/TSB≦1.2 ・・・(iii)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
YSB:中心部における0.2%耐力
YSS:外面部における0.2%耐力
TSB:中心部における引張強さ
TSS:外面部における引張強さ
大型の構造部材では、熱処理時の冷却速度が部位により異なることに起因して、部位ごとの機械的性質に大きなばらつきが生じる傾向にある。大型構造部材において、その中心部と外面部とで、常温での0.2%耐力および引張強さが大きく異なると、部位によって仕様を満たさないという問題が生じる。したがって、本発明に係るオーステナイト系耐熱合金部材は、常温での機械的特性が上記の(ii)式および(iii)式を満足するものとする。なお、それぞれ下限値は定める必要はないが、中心部の機械特性の方が外面部の機械特性よりも劣る傾向にあることから、(ii)式および(iii)式ともに1.0以上とすることが好ましい。
本発明のオーステナイト系耐熱合金部材は、高温環境下で使用するため、高い高温強度、特に、高いクリープ破断強度が求められる。そのため、本発明の合金部材は、その中心部において、長手方向の700℃における10,000時間クリープ破断強度が130MPa以上である必要がある。
本発明のオーステナイト系耐熱合金部材は、上述の化学組成を有する鋼塊または鋳片に、熱間加工を施すことによって製造される。なお、上記の熱間加工工程においては、合金部材の最終形状における長手方向が、素材となる鋼塊または鋳片の長手方向と一致するように処理が施される。熱間加工は、長手方向のみに行ってもよいが、より高い加工度を与えて、より均質な組織とするため、上記長手方向と略垂直な方向に対して、熱間加工を1回以上施してもよい。また、当該熱間加工の後に、必要に応じて熱間押出等の異なる方法の熱間加工をさらに施してもよい。
Claims (4)
- 質量%で、
C:0.02%を超えて0.15%以下、
Si:2.0%以下、
Mn:3.0%以下、
P:0.030%以下、
S:0.010%以下、
Cr:28.0〜38.0%、
Ni:40.0%を超えて60.0%以下、
W:3.0%を超えて15.0%以下、
Ti:0.05〜1.0%、
Zr:0.005〜0.2%、
Al:0.01〜0.3%、
N:0.02%以下、
Mo:0.50%未満、
B:0.005%以下、
Co:0〜20.0%、
残部:Feおよび不純物
である化学組成を有する鋼塊または鋳片に、熱間加工が施された合金部材であって、
前記合金部材の長手方向と垂直な断面において、中心部から外面部までの長さが40mm以上であり、
前記外面部におけるオーステナイト結晶粒度番号が−2.0〜4.0であり、
抽出残渣分析によって得られるCr析出量が下記(i)式を満足し、
常温での機械的特性が下記(ii)式および(iii)式を満足し、
前記中心部における前記長手方向の700℃における10,000時間クリープ破断強度が130MPa以上である、オーステナイト系耐熱合金部材。
CrPB/CrPS≦10.0 ・・・(i)
YSS/YSB≦1.5 ・・・(ii)
TSS/TSB≦1.2 ・・・(iii)
但し、上記式中の各記号の意味は以下のとおりである。
CrPB:中心部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
CrPS:外面部において抽出残渣分析によって得られるCr析出量
YSB:中心部における0.2%耐力
YSS:外面部における0.2%耐力
TSB:中心部における引張強さ
TSS:外面部における引張強さ - 前記鋼塊または鋳片の化学組成が、質量%で、さらに下記の<1>〜<3>のグループから選択される1以上のグループに属する1種以上の元素を含有する、請求項1に記載のオーステナイト系耐熱合金。
<1>Nb:1.0%以下、V:1.5%以下およびHf:1.0%以下
<2>Mg:0.050%以下、Ca:0.050%以下およびREM:0.50%以下
<3>Ta:8.0%以下、Re:8.0%以下、Ir:5.0%以下、Pd:5.0%以下、Pt:5.0%以下およびAg:5.0%以下 - 請求項1または請求項2に記載の化学組成を有する鋼塊または鋳片に、熱間加工を施す工程と、
その後、1100〜1250℃の範囲の熱処理温度T(℃)まで加熱し、1150D/T〜1500D/T(min)保持した後、水冷する熱処理を施す工程とを備える、オーステナイト系耐熱合金部材の製造方法。
但し、Dは、合金部材の長手方向と垂直な断面における、当該断面の外縁上の任意の点と該外縁上の他の任意の点との直線距離の最大値(mm)である。 - 前記熱間鍛造を施す工程において、熱間鍛造の長手方向と略垂直な方向に鍛造を1回以上施す、請求項3に記載のオーステナイト系耐熱合金部材の製造方法。
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