JP2017183236A - リチウムイオン二次電池用負極及びこれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用負極及びこれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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和徳 小関
和樹 田川
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和樹 田川
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Daisuke Ikeda
大佐 池田
克公 松本
Katsumasa Matsumoto
克公 松本
永田 辰夫
Tatsuo Nagata
辰夫 永田
山本 浩司
Koji Yamamoto
浩司 山本
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Abstract

【課題】負極体積エネルギー密度と入出力特性とに優れると共に、安全性も高いリチウムイオン二次電池用負極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】炭素材料からなる負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を集電体上に備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、前記負極活物質層は、その空隙率が50%以下であり、且つガーレー式デンソメーターで測定される透気度が0.80〜1.40μm/secであり、当該リチウムイオン二次電池用負極の負極体積エネルギー密度〔E(mAh/cm3)〕が、前記透気度との関係において下記の数式1を満たすことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極及びそれを用いたリチウムイオン二次電池である。[数式1]0.95<E/(−145X+545)〔但し、Xは、ガーレー式デンソメーターで測定される負極活物質層の透気度(μm/sec)を示す。〕【選択図】なし

Description

本発明は、エネルギー密度が高く安全性及び入出力特性をも向上させたリチウムイオン二次電池用負極及びこれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。この電池は、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、電動工具などの幅広い用途に適する。
電気エネルギーによって支えられている現代社会において、充放電が可能であり、かつ繰り返し使用が可能な二次電池は今やなくてはならない存在となっている。特に、リチウムイオン二次電池は、作動電位が高いこと、電池容量が大きいこと、及びサイクル寿命が長い等の優れた特徴を有することに加え、環境汚染が少ないことから、従来主流であったニッケル・カドミウム電池やニッケル水素電池に代わって広範囲で用いられている。
リチウムイオン二次電池の主な用途はノートパソコンやスマートフォンに代表される小型携帯電子機器の電源であるが、近年では、エネルギー問題や環境問題に対応するために、電気自動車や、モーターとガソリンエンジンとを組み合わせたハイブリッド電気自動車や、プラグインハイブリッド電気自動車の大型電池としても多く利用されている。これに加えて、太陽光発電や風力発電のように出力の変動する発電機と併用して、変動の吸収緩和あるいは出力が一定となるように制御する目的、又は需要側での変動緩和やピークシフトの目的での定置向け蓄電池としての利用が注目されており、今後これらエネルギー、環境問題に関連した各種用途における需要増大に伴い、その要求特性は益々高くなっていくものと予想されている。
リチウムイオン二次電池の負極を構成する負極活物質は、黒鉛をはじめとする炭素材料やチタン酸リチウム、シリコン、スズなどが挙げられるが、安全性及び寿命の面から炭素材料が一般的に用いられている。炭素材料のなかでも黒鉛材料は、高エネルギー密度を持つ優れた材料であることから、小型携帯電子機器の電源だけではなく、現在はハイブリッド電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車の電源、定置用蓄電池としてのリチウムイオン二次電池の負極活物質としての利用、及び研究開発が進んでいる。
そして、上記のハイブリッド電気自動車やプラグインハイブリッド自動車では、高いエネルギー密度だけでなく、安全性能、急速充電、急速放電性能も求められている。すなわち、安全かつ高入出力特性に優れた電池が必要であるが、リチウムイオンを利用した電池ではリチウムイオンの拡散性が安全性および入出力特性を支配しており、これを改良することが望まれている。
ここでリチウムイオン電池の安全性とは、充電時に負極に生じるリチウム(Li)析出に対する耐性を指している。負極にLiが析出すると、セパレータを突き破り正極と接触することによって局部絡を引き起こし、電流集中が生じて発熱・発火が生じてしまう。繰り返し充放電することによって負極にLiが析出してしまう問題がリチウムイオン電池には潜在しているが、これは負極内に電位分布があるために局所的にLi析出が生じると考えられ、負極内の電位緩和性を高め、負極内の電位分布をいかに解消させるかが課題となっている。また、リチウムイオン電池の入出力特性については、いかに正極・負極間をリチウムイオンがスムーズに移動できるかがポイントとなっている。リチウムイオンの移動は電解液中の拡散が律速となっており、これをいかに高めるかがが課題となっている。
このような従来の課題のもと、例えば、特許文献1では、非水電解質二次電池の負極において、負極活物質粒子内部の空隙率(A)と負極活物質外の空隙率(B)との合計に対する負極活物質粒子内部の空隙率(A)の割合を特定し負極活物質粒子の内部に所定量の空隙を設けることにより、空隙の内部についてもリチウムイオンの拡散に利用することが可能として出力特性を向上できるとしている。また特許文献2では、圧力型の電流遮断機構と、過充電添加剤を備えた非水電解質二次電池において、正極電極における合材層の透気抵抗度について着目している。
しかしながら、特許文献1に記載の発明においては、前記のような空隙率にのみ着目しており、イオンの拡散という観点では不十分である。空隙率だけではなく、空隙の繋がりや空隙分布等によって変化する電解液の浸透しやすさが重要であり、これらを合わせて電極設計することが入出力特性向上には必要である。また特許文献2では電極の透気抵抗度にこそ注目しているが、この特許文献2に記載の発明は、高密度な正極を有する非水電解質二次電池において、過充電添加剤の添加量を抑えつつ電流遮断機構を作動させるのに必要なガス発生量を確保する上で正極の合材層の透気抵抗度などに着目して適正化したものであり、電解液の流動性(リチウムイオンの拡散性)評価を目的としているものではなかった。それゆえ、集電体上に塗布された負極合剤層について透気度を測定して、これによりリチウムイオン二次電池の入出力特性を向上させるという発想はこれまで一切見出されてこなかった。
特開2014−53154号公報 特開2013−196798号公報
このような状況のもと、本発明者らは鋭意研究を進めた結果、リチウムイオン二次電池の入出力特性すなわちリチウムイオンの拡散性を向上させるためには、単に負極活物質層の空隙率(空隙体積)のみを制御することだけでは足らず、それと共に負極活物質層内への電解液の浸透しやすさ、すなわち負極活物質層の透気度も重要であることを突き止めた。そして、これらの特性を特定することによって、負極内においてより効率的なリチウムイオンの拡散性を評価・設計することができ、それにより、容量密度、入出力特性も高めることができるリチウム二次電池用の負極が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
したがって本発明の目的は、エネルギー密度が高くて安全性かつ入出力特性にも優れたリチウムイオン二次電池を得ることができるリチウムイオン二次電池用の負極を提供することである。また、本発明の別の目的は、このような負極を用いて、特に、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車等の電源、定置型蓄電池として好適なリチウム二次電池を提供することである。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)炭素材料からなる負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を集電体上に備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、
前記負極活物質層は、その空隙率が50%以下であり、且つガーレー式デンソメーターで測定される透気度が0.80〜1.40μm/secであり、
当該リチウムイオン二次電池用負極の負極体積エネルギー密度〔E(mAh/cm3)〕が、前記透気度との関係において下記の数式1を満たすことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
[数式1]
0.95<E/(−145X+545)
〔但し、Xは、ガーレー式デンソメーターで測定される負極活物質層の透気度(μm/sec)を示す。〕
(2)前記炭素材料からなる負極活物質は、平均粒子径(D50)が8〜15μmであり楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値(a)が0.35を超える黒鉛粒子と、平均粒子径(D50)が5〜20μmであり楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値(b)が0.20を超える低結晶炭素粒子とが、95:5〜70:30の質量比で混合されたものであることを特徴とする前記(1)に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
(3)前記黒鉛粒子の楕円相当長短比の平均値(a)と前記低結晶炭素粒子の楕円相当長短比の平均値(b)との比率(b/a)が0.5〜1.1であり、また、前記低結晶炭素粒子の平均粒子径(D50)と前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50)との比率(低結晶炭素粒子の平均粒子径/黒鉛粒子の平均粒子径)が0.5〜2.5であり、さらに、前記低結晶炭素粒子の真比重が1.90〜2.16g/cmであることを特徴とする前記(2)に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
(4)前記黒鉛粒子は、鱗片状の天然黒鉛粒子が球状化された球状化天然黒鉛粒子であり、且つその真比重が2.22〜2.26g/cmであることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極と、セパレータと、当該セパレータを介して対向する正極とを有するリチウムイオン二次電池であって、
当該負極の初期容量N(mAh/cm)と、当該正極の初期容量P(mAh/cm)との初期容量比率(N/P)が1.0〜1.5となるように構成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、負極活物質層の空隙率が50%以下であり、電極透気度が0.80〜1.40μm/secであることを特徴とするリチウムイオン二次電池用の負極を使用することによって、より効率的なリチウムイオンの拡散を実現することができ、それにより、エネルギー密度も高くて安全性かつ入出力特性にも優れるリチウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池を与えることができる。このリチウムイオン二次電池は、ハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、電動工具などの幅広い用途に適するものとなる。
図1は、本願の参考例1並びに比較例1及び2でそれぞれ作成された、黒鉛粒子を単独で負極活物質に使用した負極における、負極活物質層の透気度(μm/sec)と負極体積エネルギー密度(mAh/cm)との関係を示すグラフである。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、金属箔からなる集電体上に形成された炭素材料からなる負極活物質層が、前記負極活物質層のガーレー式デンシメーターで測定される透気度が0.80〜1.40μm/secであり、且つ、負極活物質層の空隙率が50%以下であることを特徴とする。
リチウムイオン二次電池は、電極活物質層の空隙に存在する電解液を介し、電極活物質にLiイオンの授受を行うことによって充放電が行われる。そのため、電極活物質層は空隙を有する多孔質層となるように集電体上に形成される。このとき、急速充電性といった電池性能を向上させるためには、活物質層内に電解液を行き渡らせる必要があるが電極活物質層の空隙内部に電解液が浸透しにくい空隙分布であると空隙率が高くても急速充電性は向上しない。しかし、電極の活物質層のガーレー式デンソメーターで測定される透気度を上記範囲に制御することによって、電解液が活物質層内部に浸透しやすい本発明のリチウムイオン二次電池用電極を得ることができる。ここで、本発明において負極活物質層の透気度とは、6mmφの試料面積に対し、25mLの空気を透過させた際、透過する空気が1秒あたりの透過する距離(μm/sec)にて表すことでき、当該透気度は0.80〜1.40μm/secであることが必要であり、好ましくは、1.00〜1.40μm/secである。負極活物質層の透気度が1.40μm/sec超過であると負極活物質同士の導通がとれず、充放電時の電子の授受がうまくいかないため、入出力特性が低下してしまい、一方で、0.80μm/sec未満であると電極空隙中のリチウムイオンの拡散がスムーズに行われず、入出力特性が低下してしまうため、いずれも電池性能が低下してしまうことになる。
一方、本発明において、負極活物質層の空隙率は50%以下であることが必要である。当該負極活物質層の空隙率は、負極活物質層の厚みと単位面積当たりの負極活物質層の質量とから算出される電極密度と、負極活物質層の真比重とから算出される。空隙率が50%超過であると活物質同士の導通がとれないため、充放電時の電子の授受がうまくいかない他、空隙率があまりにも小さい場合にも電極中に保液される電解液量が少なくなってしまうので、いずれも電池とした場合の急速充電性の低下を招くことから、負極活物質層の空隙率は40〜50%とすることが好ましい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、前記透気度〔X(μm/sec)〕と、負極体積エネルギー密度〔E(mAh/cm)〕との関係において、黒鉛粒子を単独で使用した負極活物質層の透気度と負極体積エネルギー密度より求められた以下の数式1を満たす必要がある。
[数式1]
0.95<E/(−145X+545)
〔但し、Xは、ガーレー式デンソメーターで測定される負極活物質層の透気度(μm/sec)を示す。〕
すなわち、上記数式1は、負極活物質として黒鉛粒子を単独で用いた後述の参考例1並びに比較例1及び2における負極活物質層の透気度と負極体積エネルギー密度との線形近似式(図1)に基づいて定められたものであり、上記数式1を満たす本発明のリチウムイオン二次電池負極は、従来の黒鉛粒子を単独で使用した場合の負極活物質層を備えた負極と同じ程度の透気度の場合でも、負極体積エネルギー密度はそれとほぼ同等以上(95%より大きい)であるものである。所定の空隙率及び透気度を有しながらも、上記関係式を満足するリチウムイオン二次電池用負極を使用することにより、負極の高いリチウムイオンの活物質層内での拡散性から高入出力特性や金属Li析出耐性に優れ、尚且つ負極体積エネルギー密度も高い高容量のリチウムイオン二次電池を得ることが可能となる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、好ましくは、特定の形状パラメーターを有する2種以上の炭素材料を配合した負極活物質を用いることによって、上記の範囲内の電極の透気度と空隙率を容易に得ることができる。
すなわち、炭素材料は、黒鉛および低結晶炭素(易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素等)のいずれかを単独で、又はそれらを2種以上組み合わせて使用することが可能であるが、黒鉛粒子だけで電極を構成しようとしても圧密時に粒子が変形しやすいため、所望の透気度を得ることが難しい傾向があり、一方で、低結晶炭素粒子のみでは粒子が変形しづらく所望の透気度が得られない場合がある。このため、黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極を与えるための負極活物質に用いられる黒鉛粒子は、真比重が2.22〜2.26g/cmで、高い結晶性を持つ黒鉛であることが好ましい。真比重は炭素材料の結晶構造の発達を示し、一般に結晶構造が発達すればするほど、質量当たりの電気容量密度が向上する。そのため、2.23g/cm以上であることがより望ましい。上記真比重を与える黒鉛としては、人造黒鉛、天然黒鉛が挙げられるが、低コストと電極作製のし易さとの点から、天然黒鉛がより好ましい。
黒鉛は、副反応の抑制の面から不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。天然黒鉛としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられるが、これらの天然黒鉛の中で、土壌黒鉛は一般に粒径が小さいうえ、純度が低い。これに対して、鱗片状黒鉛や鱗状黒鉛は、黒鉛化度が高く不純物量が低い等の長所があるため、本発明において好ましく使用することができる。
人造黒鉛としては、例えば、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を焼成し、2500℃〜3200℃の温度で黒鉛化したものが挙げられる。なお、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いたり、リン又はリン化合物を添加したりしてもよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の活物質に用いる黒鉛粒子の形状については、薄片状、繊維状、不定形粒子などから適宜選択して用いることができるが、球状化されていることが好ましい。黒鉛粒子は一般的に平板状であるがために比表面積が高く、高充填化が難しいほか、リチウムイオンの吸脱着がエッジ面でしか起きないことが課題であった。このため、比表面積の低減と、等方的な結晶構造を取らせることを目的に球状化処理が行われる。この球状化処理を行うことにより、黒鉛粒子の形状を制御することもできる。球状化処理は、機械的な処理であっても、ピッチ等を使用して造粒を行う方法のいずれによっても良い。
ここで、当該黒鉛粒子については、その平均粒子径D50(累積50体積%径、メディアン径)が8〜15μmであることが好ましく、より好ましくは8〜10μmである。黒鉛粒子のD50が上記の範囲であると、球状化処理における黒鉛粒子の形状および比表面積の制御という観点において好ましいからである。なお、黒鉛粒子はその形状が楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値(算術平均値)が0.35を超えるものであって、好ましくは0.35超過1.0未満であると良い。楕円相当長短比が上記範囲内であることにより、電極製造工程における外力で黒鉛粒子の過度の変形および破壊が抑制されるため、本発明の所定の電極構造が得やすくなる。特に、低結晶性炭素粒子を配合した際には、低結晶性炭素粒子の形状と相まって好適な粒子充填状態を得ることができるために好ましい。
黒鉛粒子は、BET比表面積が3.0〜8.0m2/gであることが好ましい。このBET比表面積は黒鉛粒子の形状によって決まる。黒鉛粒子が後述のように低結晶炭素の被膜を有する場合は、BET比表面積は黒鉛粒子の形状及び表面被膜の性状によって決まる。BET比表面積が小さ過ぎるとリチウムイオンの充放電速度が遅くなり、大き過ぎるとタップ密度が上がらず電極密度が十分に上がりにくい。BET比表面積は、リチウムイオンが炭素構造に出入りする際の表面反応の速度に影響するため、適切な値に制御することがよい。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の負極活物質として使用される低結晶炭素粒子は、易黒鉛化炭素粒子、難黒鉛化炭素粒子のいずれも使用することができるが、難黒鉛化炭素は一般的に真比重1.50〜1.80g/cmと低く、質量当たりのエネルギー密度を十分に高められない場合がある。そのため真比重が1.90〜2.16g/cmの範囲にある易黒鉛化炭素に分類される低結晶炭素粒子であることが好ましい。
低結晶炭素粒子の真比重が低すぎると、リチウムイオン二次電池の充放電の際に副反応が発生し、効率の低下につながる恐れがあり、高すぎると放電容量を低下させる恐れがある。また、真比重が高すぎる場合は、炭素の結晶成長が進むため、粒子内部で積層した黒鉛結晶が外圧により層間で滑りやすくなり、圧密時の耐粒子変形性が低下する。本発明では、好ましくは、変形しやすい黒鉛粒子に、黒鉛粒子よりも破壊されにくい低結晶炭素粒子を添加することにより、圧密時の黒鉛粒子の内部空隙の閉塞の抑制を可能としているが、黒鉛粒子に添加する低結晶炭素粒子の耐粒子変形性が低いと圧密時に負極活物質の粒子変形を引き起こし、結果としてこの抑制効果を低下させて急速充電性を低下させる恐れがある。
ここで、当該低結晶炭素粒子については、その平均粒子径D50(累積50体積%径、メディアン径)が5〜20μmであることが好ましく、より好ましくは8〜20μmである。低結晶炭素粒子のD50が上記の範囲であると、比表面積の制御や、電極製造時の活物質層表面の平坦性の確保の観点において好ましいからである。なお、低結晶炭素粒子の形状は、楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値が0.20を超えることが好ましく、0.20超過0.50以下であることがより好ましい。楕円相当長短比が上記範囲内であることによって、電極製造工程における外力による低結晶炭素粒子の平面方向へ過度の配向が抑制され、それにより活物質層内における外部から連通した空隙が閉塞されるようなことがなくなることから、透気度を高くすることができるため好ましい。
低結晶炭素粒子としては、石炭若しくは石油系の生コークスを900〜1500℃で焼成処理して得られるものであってX線回折装置により測定した(002)面の層間距離(d002)が0.340〜0.350nmであるコークス、石炭若しくは石油系のか焼コークスか、又は該か焼コークスを更に900〜1500℃で焼成処理して得られるものであってX線回折装置により測定した(002)面の層間距離(d002)が0.340〜0.350nmであるコークスが適する。これらは、単独で、あるいは混合されて使用される。なお、石炭系、石油系は、石炭系油と石油系油の混合物から得られるものを含む。
本発明に好適な低結晶炭素粒子を得る方法について詳述すれば、最初に、石油系、石炭系等の重質油を、例えばディレードコーカー等のコークス化設備を用い、最高到達温度が400℃〜700℃程度の温度で24時間程度、熱分解・重縮合反応を進めることによって生コークスを得る。
ここで使用される重質油は、石油系重質油であっても石炭系重質油であってもよいが、石炭系重質油の方が芳香属性に富んでおり、硫黄、バナジウム、鉄等の不純物が少なく、揮発分も少ないため、好ましい。石炭系油と石油系油の混合物も好ましい。また、これらの重質油はキノリン不溶成分が多いことが好ましい。重質油中のキノリン不溶成分が多いと炭素の結晶成長が阻害され、それにより負極活物質としたときに楕円相当長短比を制御しやすい等方性の生コークスが得られるためである。したがって、これらから得られる石炭系のコークスがより好ましい。
得られた石炭系又は石油系の生コークスは、必要に応じて所定の大きさ、例えば5μm〜20μmに粉砕される。粉砕には、工業的に用いられる粉砕機を使用することができる。上記、炭素の結晶成長が進んでいない生コークス段階で粉砕することによって前記楕円相当長短比が0.20を超えるような丸みを帯びた形状の粒子が多い低結晶炭素粒子を得ることができる。
次に、上記生コークスを、低酸素雰囲気で最高到達温度800℃〜1500℃でか焼し、か焼コークスとする。か焼温度は、好ましくは900℃〜1500℃、より好ましくは1000℃〜1400℃の範囲である。か焼処理は、生コークス中の水分、揮発分を除去するとともに、高分子成分として残存する炭化水素をコークスに転化し、結晶の成長を促進する。生コークスのか熱処理には、大量熱処理が可能なリードハンマー炉、シャトル炉、トンネル炉、ロータリーキルン、ローラーハースキルンあるいはマイクロウェーブ等の設備を用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらのか熱処理設備は、連続式及びバッチ式のどちらでもよい。次いで、得られたか焼コークスの塊を、工業的に用いられるアトマイザー等の粉砕機を用いて所定の大きさ、例えば5〜20μmに粉砕する。また、粉砕したコークス粉は分級により微粉をカットしたり、粗粉を篩などで除去したりすることによって所定の粒度に整粒することがよい。
低結晶炭素粒子は、BET比表面積が1.0〜10.0m/gであることが好ましい。より好ましくは2.0〜10.0m/gである。このBET比表面積は炭素材料の結晶状態起因による粉砕時の形状、及び粉砕後の粒度分布によって決まる。BET比表面積が小さいとリチウムイオンの充放電速度が遅くなり、逆に大きすぎるとタップ密度が上がらず電極密度が上がらない。BET比表面積は、リチウムイオンが炭素構造に出入りする際の表面反応の速度に影響するため、適切な値に制御することがよい。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用負極に使用される負極活物質において、上記黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とを混合して用いる場合における黒鉛粒子(A)と低結晶炭素粒子(B)の配合量は、A:Bの質量比で、70:30〜95:5であることが好ましく、より好ましくは80:20〜90:10である。黒鉛粒子と低結晶性炭素粒子の配合比率が上記範囲内であると、黒鉛粒子単独時とほぼ同等の負極体積エネルギー密度を維持できるほか、急速充電性も向上することから、電極製造工程における外力で活物質粒子全体でも粒子の過度の変形・破壊を抑制し、負極活物質層を適切な空隙率と透気度を両立した構造の実現に寄与すると見られるため、好ましい。
ここで、本発明のリチウムイオン二次電池用負極に使用される負極活物質における黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とを混合して用いる場合、黒鉛粒子の前記楕円相当長短比の平均値(a)と低結晶炭素粒子の前記楕円相当長短比の平均値(b)との比率(b/a)は、0.5〜1.1であることが好ましく、より好ましくは、0.6〜1.0であることがよい。当該比率(b/a)は、黒鉛粒子に対する低結晶炭素粒子の粒子形状の比を示すものであるが、上記の範囲であると、負極活物質層内への電解液の均一な拡散を可能とする、連続した空隙の多い多孔体の形成という観点で好ましいからである。また、同じく黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とを混合して用いる場合、前記低結晶炭素粒子の平均粒子径(D50)と前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50)との比率(低結晶炭素粒子の平均粒子径/黒鉛粒子の平均粒子径)は、0.5〜2.5であることが好ましく、より好ましくは0.5〜2.4であることがよい。当該比率(低結晶炭素粒子の平均粒子径/黒鉛粒子の平均粒子径)が、上記の範囲であると、負極活物質層内で電解液が拡散するための流路の狭窄などを抑制できるという観点で好ましい。
また、本発明のリチウム二次電池用負極の負極活物質は、その混合物が全体として、真比重2.13〜2.23g/cm、BET比表面積が3〜6m/g、平均粒子径(D50)=5〜20μmの範囲が好適である。平均粒子径(D50)は前記同様にメディアン径である。負極活物質を上記範囲内の真比重、BET比表面積及び平均粒子径とすることによって、電極製造時の負極活物質のスラリー化に必要なバインダー量を減らして活物質割合を多くすることができるほか、初回充電時の負極活物質表面に生じる電解液の還元分解による容量減少を抑制することができるため好ましい。
更に、上記負極活物質を構成する粒子の表面には、低結晶炭素による被膜(表面の一部付着を含む)を設けることが好ましい。負極活物質表面に低結晶炭素被膜を設けることにより、リチウムイオンの吸脱着性能の向上を図れるほか、負極活物質粒子の耐変形性能を向上させる効果が期待できる。なお、低結晶炭素被膜の形成は、黒鉛粒子および低結晶炭素粒子の両方に行うことが好ましく、CVDによる気相法やピッチ等を用いた液相法等の従来公知の方法により両者同時に処理してもよく、又は別々に処理したのちに配合を行うこともできる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、銅箔等の集電体上に、炭素材料(好ましくは、上記黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とを混合した混合物)からなる負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を形成して得られる。集電体上への負極活物質層の形成は、負極活物質とバインダーとを、溶媒〔例えば、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアムド、水、アルコール等〕を用いてスラリーを作製し、それを集電体上に塗布、乾燥し、その後、任意の条件で圧密することにより行なわれる。なお、圧密後に得られる負極活物質層の厚みについては、通常30〜150μmとされる。
より具体的には、例えば、負極活物質とバインダーとを質量比で93:7〜99:2(負極活物質:バインダー)で溶媒に分散し、混錬してスラリーを得る。このスラリーを所定厚みの銅箔上に塗布し、60〜150℃の乾燥条件で溶媒を乾燥し、その後、圧密することによって負極活物質層を有する電極(負極)とすることができる。圧密工程はロールプレス装置等による従来公知の方法によって行われるが、このとき負極活物質層の空隙率が50%以下となるようプレス条件を設定することが望ましい。
このとき、圧密後の電極活物質層は密度が1.00〜1.30g/cmの範囲にあることが好ましい。活物質層の空隙率に加えて密度についても上記範囲内に制御することによって、黒鉛粒子と低結晶炭素粒子とのブレンドによる効果がより顕著となり、高い負極体積エネルギー密度や短い緩和時間といった優れた特性を有するリチウムイオン二次電池用負極を得ることができる。
なお、バインダーには、一般的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂粉末、ポリイミド(PI)系樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の水溶性粘結剤が用いられるがこれらに限定されない。
本発明のリチウムイオン二次電池で用いられる正極電極としては、通常の二次電池と同様に、正極活物質、結着剤、導電材等を有機溶媒又は水でスラリー化したものを集電体に塗布し、乾燥してシート状にしたものが使用される。正極活物質は、遷移金属とリチウムを含有するものであり、1種の遷移金属とリチウムを含有する物質が好ましく、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム含有遷移金属リン酸化合物等が挙げられ、これらを混合して用いてもよい。上記リチウム遷移金属複合酸化物の遷移金属としてはバナジウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅等が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2等のリチウムコバルト複合酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO2、LiMn24、Li2MnO3等のリチウムマンガン複合酸化物、これらのリチウム遷移金属複合酸化物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。置換されたものの具体例としては、例えば、LiNi0.5Mn0.52、LiNi0.80Co0.17Al0.032、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiMn1.8Al0.24、LiMn1.5Ni0.54等が挙げられる。また、上記リチウム含有遷移金属リン酸化合物の遷移金属としては、バナジウム、チタン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましく、具体例としては、例えば、LiFePO4等のリン酸鉄類、LiCoPO4等のリン酸コバルト類、これらのリチウム遷移金属リン酸化合物の主体となる遷移金属原子の一部をアルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、マグネシウム、ガリウム、ジルコニウム、ニオブ等の他の金属で置換したもの等が挙げられる。
正極電極の結着剤及びスラリー化する溶媒としては、上記負極電極で用いられるものと同様でよい。正極電極の結着剤の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.001〜20質量部が好ましく、0.01〜10質量部が更に好ましく、0.02〜8質量部が最も好ましい。正極電極の溶媒の使用量は、正極活物質100質量部に対し、30〜300質量部が好ましく、50〜200質量部が更に好ましい。
正極電極の導電材としては、グラファイトの微粒子、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等、カーボンナノファイバー等が使用されるが、これらに限定されない。正極電極の導電材の使用量は、正極活物質100質量部に対し、0.01〜20質量部が好ましく、0.1〜10質量部が更に好ましい。なお、正極電極の集電体としては、通常、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
このようにして製造された負極及び正極を用いて本発明のリチウムイオン二次電池とすることができる。本発明のリチウムイオン二次電池は、上記した負極と正極との間に分離膜が存在するように配置されている。
当該得られたリチウムイオン二次電池については、負極の初期容量N(mAh/cm)と、正極の初期容量P(mAh/cm)との初期容量比(N/P)が1.0〜1.5が好ましく、1.0〜1.2がより好ましい。通常、リチウムイオン二次電池は、リチウムを保有する正極電極に対し、リチウムを受け入れる負極電極が多めに搭載される。すなわち、正極に比べて負極活物質量を多くした負極電極を使用する。これは負極電極が低温充電時にリチウムイオンを受け入れられず、電極上にリチウム金属が析出してしまうことを防止するための措置である。しかし、N/Pが1.5を超えて負極電極を搭載し過ぎると、負極の厚みが増してしまい、電極自体の出力及び入力特性が低下してしまう問題や、負極を過剰に搭載することによるコストアップや全体的な体積容量密度の低下という問題がある。一方で、負極電極の過剰搭載分が小さすぎると、負極が様々な環境で劣化した際に実効容量として正極を下回り、充電時に負極上に金属リチウムが析出してしまう可能性があるため、N/Pが1.0以上であることが望ましい。
また、上記正極と負極との間には、通常、電解質と非水系電解液を含む電解液が満たされる。電解質としては、従来公知のものを使用することができ、例えばLiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiB(CF3SO34、LiB(C242、LiBF2(C24)、LiSbF6、LiSiF5、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlF4、LiAlCl4、及びこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiC(CF3SO23並びにLiCF3SO3の誘導体及びLiC(CF3SO23の誘導体からなる群から選ばれる1種以上を用いることが、電気特性に優れるため好ましい。
非水系電解液としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,1−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ―ブチロラクタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル‐1,3−ジオキソラン、アニソール、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、クロロニトリル、プロピオニトリル、ホウ酸トリメチル、ケイ酸テトラメチル、ニトロメタン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、酢酸エチル、トリメチルオルトホルメート、ニトロベンゼン、塩化ベンゾイル、臭化ベンゾイル、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、3−メチル‐2−オキサゾリドン、エチレングリコール、サルファイト、ジメチルサルファイト等の単独溶媒又はそれらの2種類以上の混合溶媒を使用できる。
本発明のリチウムイオン二次電池では、正極電極と負極電極との間に分離膜を用いることが好ましく、該分離膜としては、通常用いられる高分子の微多孔フィルムを特に限定なく使用できる。該フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピルセルロース等の種々のセルロース類、ポリ(メタ)アクリル酸及びその種々のエステル類等を主体とする高分子化合物やその誘導体、これらの共重合体や混合物からなるフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、単独で用いてもよいし、これらのフィルムを重ね合わせて複層フィルムとして用いてもよい。更に、これらのフィルムには、種々の添加剤を用いてもよく、その種類や含有量は特に制限されない。これらのフィルムの中でも、本発明のリチウムイオン二次電池には、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンからなるフィルムが好ましく用いられる。
これらのフィルムは、電解液がしみ込んでイオンが透過し易いように、微多孔化がなされている。この微多孔化の方法としては、高分子化合物と溶剤の溶液をミクロ相分離させながら製膜し、溶剤を抽出除去して多孔化する相分離法と、溶融した高分子化合物を高ドラフトで押し出し製膜した後に熱処理し、結晶を一方向に配列させ、更に延伸によって結晶間に間隙を形成して多孔化をはかる延伸法等が挙げられ、用いられるフィルムによって適宜選択される。
本発明のリチウムイオン二次電池は、その形状には特に制限を受けず、コイン型、円筒型、角型等、種々の形状とすることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。実施例及び比較例において、リチウムイオン二次電池用負極、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池は、以下の作製手順に従って作製された。
[参考例1、比較例1〜2]
黒鉛粒子(A)として、真比重2.24g/cm、平均粒子径(D50)8.6μmである球状化処理された鱗片状の天然黒鉛粒子(中央電気工業株式会社製)を用いた。この球状化天然黒鉛粒子47.25質量部に、導電材としてアセチレンブラック0.50質量部、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム1.00質量部、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース0.75質量部を混合し、その混合物を水50.00質量部に分散させてスラリー状とした。このスラリーを銅製の負極集電体に、全自動アプリケーターを用いてGAP150μmにて塗布し、70℃で6分間予備乾燥した後、120℃、2分間熱風オーブンにて乾燥を行った。その後、それを、ロールプレス機により、10〜100kg/cmの線圧でそれぞれ所望の空隙率になるよう圧密し、90〜120μmの負極電極を作製した。
[実施例1〜8、比較例3〜5]
前記同様の黒鉛粒子(A)に対して、以下の表1のよう真比重及び平均粒子径(D50)などを有する低結晶炭素粒子(B1)〜(B8)をそれぞれ10質量部、15質量部又は20質量部配合して総量を100質量部とした計11水準の負極活物質のそれぞれ47.25質量部に、導電材としてアセチレンブラック0.50質量部、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム1.0質量部、及び増粘剤としてカルボキシメチルセルロース0.75質量部を混合し、その混合物を水50.00質量部に分散させてスラリー状とした。このスラリーを銅製の負極集電体に塗布し、全自動アプリケーターを用いてGAP150μmにて塗布し、70℃で6分間予備乾燥した後、120℃、2分間熱風オーブンにて乾燥を行った。その後、ロールプレス機により、10〜100g/cmの線圧で負極活物質層がそれぞれ所望の空隙率になるよう圧密することによって90〜120μmの負極電極を作製した。
なお、正極活物質としては、Li(NiMnCo)O(ここで、x+y+z=1)44質量部、導電材としてアセチレンブラック2.5質量部、及びバインダーとしてポリフッ化ビニリデン3.5質量部を混合した後、混合物をN−メチルピロリドン50質量部に分散させてスラリー状とした。このスラリーをアルミニウム製の集電体に負極の初期容量比(N)と正極の初期容量(P)の比(N/P)が1.2となるように塗布し、熱風オーブンで乾燥後、ロールプレス機にて圧密し正極電極を作製した。
また、エチレンカーボネート30体積%、エチルメチルカーボネート40体積%、及びジメチルカーボネート30体積%からなる混合溶媒に、LiPF6を1mol/Lの濃度で溶解し電解質溶液を調製した。
得られた負極電極と正極電極を、厚さ25μmのポリプロピレン製の微多孔フィルム(分離膜)を介してはさんでアルミパック内に保持した。その後、上記電解質溶液をアルミパック内に注入し、パックを密閉、封止して、参考例1、実施例1〜8及び比較例1〜5の各電極を組み込んだリチウムイオン二次電池を製作した。
なお、特に断わりのない限り、各種測定、評価は下記によるものである。
平均粒子径(D50)の測定は、LA−920(HORIBA社製)の装置を用いて、分散媒は水+活性剤(ライオン社製、商品名ママレモン)を用いて測定をおこなった。粒子の存在比率の基準としては、レーザー回折・散乱法を用いて体積分布を測定し、累積50体積%径の値を本発明における「平均粒子径(D50)」とした。
真比重は、液相置換法(ピクノメータ法)により測定した。具体的にはピクノメータ(ビートレックス社製)に各黒鉛粒子又は低結晶炭素粒子の粉体を入れ、蒸留水を加えて、真空脱気により粉体表面の空気と溶媒液を置換し、正確な粉体質量と体積を求めることで真比重値を算出した。
電極空隙率は、活物質層の空隙割合をさす。活物質層の厚みと単位面積当たりの活物質層の質量から算出される電極密度と活物質の真比重から算出した。具体的には得られた電極を50×50mmにカットし、精密天秤にて質量測定およびマイクロゲージにて厚み測定を行う。また、電極の塗工基材に用いられた集電体についても同様の面積の測定をおこない、次式にて算出した。
電極密度 = (電極質量 − 集電体質量)/(電極面積×活物質層厚み)
電極空隙率 = 1−(電極密度 / 活物質の真比重)
負極活物質層の透気度は、ガーレー式デンソメーター(東洋精機社製)を用いて測定を行った。この測定に使用した各負極活物質層は、前記参考例1、実施例1〜8及び比較例1〜5で作製した各負極から集電体をエッチングすることにより除去して得たものである。得られた負極活物質層の透気度は、上記ガーレー式デンソメーターを用いて、透過直径を6mmφに設定し、透過空気量25mLが負極活物質層の厚みに対して透過直径を通過する時間を測定し、下記の数式2にて算出した。
[数式2]
透気度(μm/sec)=負極活物質層厚み(μm)/25mLの透過空気が6mmφ
の透過直径を通過する時間(sec)
初期容量比N/Pは、正極及び負極についてそれぞれ単独に充電容量を測定し、負極の充電容量N(mAh)を正極の充電容量P(mAh)で割った値である。具体的には、上記正極の充電容量P(mAh)及び負極の充電容量N(mAh)は、次のようにして算出した。まず、正極活物質の充電容量p(mAh/g)及び負極活物質の充電容量n(mAh/g)を以下のように測定した。すなわち、正極活物質の充電容量p(mAh/g)は、対極をリチウム金属とし、電流密度30mA/cmの定電流で2.5Vから4.2Vまで充電したときの活物質重量あたり充電容量である。負極活物質の充電容量n(mAh/g)は、対極をリチウム金属とし、電流密度30mA/cm2の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、90分間定電圧充電した際の活物質重量あたり充電容量である。
容量比N/P =n(mAh/g) / p(mAh/g)
負極体積エネルギー密度は、以下のように求めた。すなわち、先ず、対極をリチウム金属とし、電流密度30mA/cm2の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、その後90分間定電圧充電した。次いで、30分間休止した後に電流密度30mA/cm2の定電流で0Vから1.5Vまで放電したときの活物質重量あたり放電容量を求め、次式にて算出した。
負極体積エネルギー密度(mAh/cm3) = 放電容量(mAh/g) × 電極密度(g/cm3
緩和時間は以下のように求めた。すなわち、先ず、対極をリチウム金属とし、電流密度30mA/cm2の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、その後90分間定電圧充電した。次いで、30分間休止した後に電流密度30mA/cm2の定電流で0Vから1.5Vまで放電し、30分間休止した。そして、ふたたび電流密度30mA/cm2の定電流で1.5Vから0Vまで充電し、その後90分間定電圧充電し、30分間休止した後に電流密度30mA/cm2の定電流で0Vから1.5Vまで放電し、再び30分間休止し、最後の30分間休止時間中の電圧変化の時間依存性を測定し、(dV/dT)が0.001(V/min)を下回った時間を緩和時間とした。評価基準は以下の通りとした。
◎:緩和時間が15分未満
○:緩和時間が15分以上19分未満
×:緩和時間が19分以上
楕円相当長短比平均はCP(Cross−section Polisher)法により電極断面を作製し、走査型電子顕微鏡(FE-SEM S4700日立ハイテク社製)を用いて500倍の倍率にて各黒鉛粒子及び低結晶炭素粒子を観察した。それぞれ観察した粒子は、300個以上とした。粒子の楕円相当長短比の測定については画像解析ソフト(WinRooF:三谷商事株式会社製)用いて解析し、それぞれについて平均値(算術平均値)を算出した。
参考例、実施例及び比較例の各々について、作成した負極活物質層及びそれを用いた負極の特性と、電池性能とをまとめて表1に示す。
Figure 2017183236
表1から明らかなように、実施例1〜8のリチウムイオン二次電池用負極は、所定の関係式を満足して高い透気度と負極体積エネルギー密度を両立しているため、急速充電性に優れるとともに金属Liの析出が抑えられた安全性の高い、高容量のリチウムイオン二次電池を得ることができた。

Claims (5)

  1. 炭素材料からなる負極活物質とバインダーとを混合してなる負極活物質層を集電体上に備えたリチウムイオン二次電池用負極であって、
    前記負極活物質層は、その空隙率が50%以下であり、且つガーレー式デンソメーターで測定される透気度が0.80〜1.40μm/secであり、
    当該リチウムイオン二次電池用負極の負極体積エネルギー密度〔E(mAh/cm3)〕が、前記透気度との関係において下記の数式1を満たすことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
    [数式1]
    0.95<E/(−145X+545)
    〔但し、Xは、ガーレー式デンソメーターで測定される負極活物質層の透気度(μm/sec)を示す。〕
  2. 前記炭素材料からなる負極活物質は、平均粒子径(D50)が8〜15μmであり楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値(a)が0.35を超える黒鉛粒子と、平均粒子径(D50)が5〜20μmであり楕円相当長短比(楕円相当短軸長さ/楕円相当長軸長さ)の平均値(b)が0.20を超える低結晶炭素粒子とが、95:5〜70:30の質量比で混合されたものであることを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  3. 前記黒鉛粒子の楕円相当長短比の平均値(a)と前記低結晶炭素粒子の楕円相当長短比の平均値(b)との比率(b/a)が0.5〜1.1であり、また、前記低結晶炭素粒子の平均粒子径(D50)と前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50)との比率(低結晶炭素粒子の平均粒子径/黒鉛粒子の平均粒子径)が0.5〜2.5であり、さらに、前記低結晶炭素粒子の真比重が1.90〜2.16g/cmであることを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用負極
  4. 前記黒鉛粒子は、鱗片状の天然黒鉛粒子が球状化された球状化天然黒鉛粒子であり、且つその真比重が2.22〜2.26g/cmであることを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウムイオン二次電池用負極。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のリチウムイオン二次電池用負極と、セパレータと、当該セパレータを介して対向する正極とを有するリチウムイオン二次電池であって、
    当該負極の初期容量N(mAh/cm)と、当該正極の初期容量P(mAh/cm)との初期容量比率(N/P)が1.0〜1.5となるように構成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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