JP7468067B2 - 非水系電解液二次電池用負極及び非水系電解液二次電池 - Google Patents

非水系電解液二次電池用負極及び非水系電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系電解液二次電池用負極および非水系電解液二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が高く、急速充放電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池が注目されている。特に、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPFやLiBF等のリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用化されている。
この非水系リチウム二次電池の負極材としては種々のものが提案されているが、高容量であること、放電電位の平坦性に優れていること等の理由から、天然黒鉛やコークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材が用いられている。このように、黒鉛を使用した非水系リチウムイオン二次電池は、電極膨張が小さく、サイクル特性に優れる。しかしながら、入出力特性と高温保存特性の両立が課題となっており、これを解決するために黒鉛と結晶性(黒鉛化度)の低い炭素材料を組み合わせた負極材の検討が進んでいる。
例えば、「X線回折法より求めた平均面間隔d002が0.335nm~0.340nm、体積平均粒子径(50%D)が1μm~40μm、最大粒子径Dmaxが74μm以下、及び、空気気流中における示差熱分析において、300℃以上1000℃以下の温度範囲に少なくとも二つの発熱ピークを有する炭素材料を含むリチウムイオン二次電池用負極材」を用いることにより、構造が異なる複数の炭素材料の分布又は配置に関して、ムラがなく均一になって、負極の入出力特性、寿命特性及び熱安定性が向上することが記載されている(特許文献1参照)。
また、「黒鉛粒子と1次粒子径3nm以上500nm以下の炭素微粒子との複合粒子であり、無作為に選んだ30個の複合粒子の顕微ラマンR値を顕微ラマン分光装置にて測定し、下記(式2)で表されるラマンR(90/10)値が1以上4.3以下であることを特徴とする非水系電解液二次電池用炭素材を用いることで、負極活物質表面に均一且つ連続的な微細流路が生成し、低温時における入出力特性を大幅に改善できることが記載されている(特許文献2参照)。
(式2):ラマンR(90/10)値=(顕微ラマンR値を小さい方から順に並べたときの顕微ラマンR値が小さいものから(測定粒子全個数×0.9)番目に小さい粒子の顕微ラマンR値)/(顕微ラマンR値を小さい方から順に並べたときの顕微ラマンR値が小さいものから(測定粒子全個数×0.1)番目に小さい粒子の顕微ラマンR値)
特開2016-131159号公報 特開2014-060148号公報
例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車用に非水系リチウムイオン二次電池を使用する場合、自動車の発進・加速する際に大きなエネルギーを要し、且つ減速・停止する際の
エネルギーを効率良く回生させなければならないため、これまで携帯電話やノートパソコン用で求められてきた高い充放電容量や安全性や耐久性に加えて、非常に高い入出力特性が要求される。特に、非水系リチウムイオン二次電池は低温下において入出力特性が低下する傾向にあるため、低温下でも高い入出力特性を維持し、高温保存特性を両立させる技術が求められている。
本発明者らが検討した結果、特許文献1、2に開示されている発明では、入出力特性と高温保存特性のバランスを向上させることには限界があった。
即ち、本発明は入出力特性と高温保存特性のバランスがさらに向上した、非水系電解液二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、負極表面の粒子間空隙の分布を特定の範囲とすることで、非水系電解液二次電池の低温時における入出力特性と高温保存特性のバランスを大幅に改善できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明がこのような効果を奏する理由については、未だ明らかでないが、以下のとおり推察される。
すなわち、負極表面の粒子間空隙の分布を特定の範囲とすることで、空隙が均一に分布し、リチウムイオンの極板深さ方向への流路が均一となるとともに、粒子間の電子伝導性を確保しているため、活物質粒子群を均一に利用することが可能となり、本発明の効果を奏するものと推察される。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1>集電体と集電体上に形成された負極活物質とを備える非水系電解液二次電池用負極であって、
該負極表面の異なる位置から取得した表面SEM画像を任意に15画像選択し、各画像それぞれを粒子領域と粒子間空隙領域に分け、各画像を二値化処理した処理画像から算出される粒子間空隙領域の、ボックスカウント法によって求めたフラクタル次元の標準偏差が0.1以下である、非水系電解液二次電池用負極。
<2>前記粒子間空隙領域のフラクタル次元の平均値が0.1以上、3以下である、<1>に記載の非水系電解液二次電池用負極。
<3>前記粒子間空隙領域の面積比率の平均値が0.01以上、0.2以下である、<1>または<2>に記載の非水系電解液二次電池用負極。
<4>前記負極活物質が、黒鉛とその表面を被覆する非晶質炭素層とを有する複合粒子を含む、<1>乃至<3>のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用負極。
<5>前記負極活物質を構成する負極活物質粒子の体積基準平均粒径(D50)が、0.1μm以上、50μm以下である、<1>乃至<4>のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用負極。
<6>前記負極活物質のBET比表面積(SA)が、1m/g以上、20m/g以下である、<1>乃至<5>のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用負極。
<7>前記負極活物質のタップ密度が、0.1g/cm以上、2g/cm以下である、<1>乃至<6>のいずれかに記載の非水系電解液二次電池用負極。
<8>金属イオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解液を備える非水系電解液二次電池であって、前記負極が<1>乃至<7>のいずれかに記載の負極である、非水系電解液二次電池。
本発明によれば、低温下においても入出力特性に優れ、高温保存特性にも優れる非水系電解液二次電池を提供することができる。
(a)取得SEM画像、(b)二値化処理画像、(b)フラクタル次元を求めるためのグラフ、の一例をそれぞれ示す。 実施例、比較例、参考例に係る、高温保存特性と低温出力特性の相関を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態である非水系電解液二次電池用負極、並びに非水系電解液二次電池について詳細に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの内容に限定されるものではない。
<1.非水系電解液二次電池用負極>
本発明の一実施形態である非水系電解液二次電池用負極(以下、「本実施形態の負極」と略す場合がある。)は、集電体と集電体上に形成された負極活物質とを備える非水系電解液二次電池用負極である。本実施形態の負極は、負極表面の異なる位置から取得した表面SEM画像を任意に15画像選択し、各画像それぞれを粒子領域と粒子間空隙領域に分け、各画像を二値化処理した処理画像から算出される粒子間空隙領域の、ボックスカウント法によって求めたフラクタル次元の標準偏差が0.1以下である。粒子間空隙領域のフラクタル次元の標準偏差を0.1以下、すなわち電極表面に存在する粒子間空隙の分布を所望の範囲とすることにより、非水系電解液二次電池の低温下における入出力特性と高温保存特性のバランスを大幅に改善できることを本発明者らは見出した。
<1-1.フラクタル次元>
あるパターンが与えられたとして、そのパターンの一部を拡大してみても、もとのパターンと区別がつかないような性質を一種の対称性とみなし、自己相似性という。自己相似性を持つパターンのことを自己相似フラクタルといい、パターンの粗密や入込度合いの程度の差を定量化して数値化したものがフラクタル次元という量である。例えば、宮城県東部にある牡鹿半島の西海岸の海岸線を次々と拡大しても元のパターンと同じように見え、フラクタル次元として数値化することができる(例えば、裳華房フィジックスライブラリー出版「フラクタルの物理(I)基礎編」 ページ9、18、27等を参照)。
<1-1-1.フラクタル次元の標準偏差>
フラクタル次元の標準偏差は、空隙の形状の分布の程度を表し、フラクタル次元の標準偏差が小さいことは、空隙の形状のバラツキが小さく、より均一に空隙が分布していることを意味する。フラクタル次元の標準偏差は0.1以下であり、好ましくは0.09以下、より好ましくは0.08以下、さらに好ましくは0.07以下、特に好ましくは0.06以下、最も好ましくは0.04以下であり、通常0以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは、0.0015以上、さらに好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.015以上であり、最も好ましくは0.018以上である。フラクタル次元の標準偏差が上記の範囲であれば、空隙の形状および分布のバラツキが少なくなり、低温入出力特性と高温保存特性のバランスが良好である。
<1-1-2.フラクタル次元の平均値>
フラクタル次元の平均値は、空隙の形状分布の平均をあらわし、フラクタル次元の平均値が小さいことは、空隙の形状が凹凸の規則性の小さい曲線で囲まれていることを意味する。フラクタル次元の平均値は特に限定されないが0.1以上、3以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5以上、さらに好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上であり、最も好ましくは1.18以上である。より好ましくは2.5以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1.5以下、最も好ましくは1.26以下である。フラクタル次元の平均値が上記の範囲であれば、粒子間の電子伝導性とリチウムイオンの極
板内拡散を両立させることができ、好ましい。
<1-1-3.フラクタル次元、フラクタル次元の標準偏差の測定法>
フラクタル次元の数値化は、以下の手順で実施することができる。
(1)負極表面画像の取得
負極表面のSEM画像(二次電子像)を取得する。測定条件は以下とする。
測定条件:加速電圧5kV、倍率500倍、1280×960ピクセル、8ビット画像、
一画像中に粒子数が200以上含まれることとし、電極の異なる場所の表面画像を任意に15ヶ所以上取得する。
(2)二値化処理
各画像に対して、画像解析ソフトを用いて、粒子領域と粒子間空隙領域に二値化処理を行う。画像解析ソフトはImageJを用い、粒子及び粒子間空隙が明瞭に区別できる様に輝度の閾値を調整する。閾値の設定は、Othu法、Yen法が好適に使用できる。また手動で二値化処理することもできる。
(3)フラクタル次元および標準偏差の取得
二値化処理後の画像に対して、画像解析ソフトを用いてボックスカウント法によるフラクタル次元を求める。ボックスサイズ(ε)は2ピクセルから64ピクセルまでとし、横軸log(ε)、縦軸log(n)グラフの直線領域の傾きを-D(Dはフラクタル次元)とする。15の画像それぞれに対してフラクタル次元Dを求め、その標準偏差σをフラクタル次元の標準偏差とする。
図1に、取得SEM画像、二値化処理画像、フラクタル次元を求めるためのグラフの一例を示す。
<1-1-4.粒子間空隙領域の面積比率の標準偏差>
粒子間空隙領域の面積比率の標準偏差は、粒子間空隙面積が均一に分布していることをあらわし、粒子間空隙領域の面積比率の標準偏差は好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、さらに好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下であり、通常0以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは、0.0015以上、さらに好ましくは0.01以上、特に好ましくは0.015以上であり、最も好ましくは0.018以上である。粒子間空隙領域の面積比率の標準偏差が上記の範囲であれば、局所的な電流集中が起こりにくく活物質粒子群を均一に利用することができため、良好な出力が得られる。
<1-1-5.粒子間空隙領域の面積比率の平均値>
粒子間空隙領域の面積比率の平均値は、電極表面のイオン輸送に係る入口の投影面積比率をあらわし、粒子間空隙領域の面積比率の平均値が小さいことは、極板内へのイオン輸送における電極表面の間口の総量が小さいことを意味する。粒子間空隙領域の面積比率の平均値は特に限定されないが0.01以上、0.2以下であることが好ましい。より好ましくは、0.04以上、さらに好ましくは0.08以上、特に好ましくは0.1以上であり、最も好ましくは0.11以上である。より好ましくは0.19以下、さらに好ましくは0.18以下、特に好ましくは0.17以下、最も好ましくは0.16以下である。粒子間空隙領域の面積比率の平均値が上記の範囲であれば、粒子間の電子伝導性とリチウムイオンの極板内への輸送を両立させることができるため好ましい。
<1-1-6.粒子間空隙領域の面積比率の平均値の測定法>
上記、粒子領域と粒子間空隙領域に二値化処理した画像を用い、粒子間空隙領域のピクセル数/総ピクセル数を、粒子間空隙領域の面積比率とし、15画像の平均を粒子間空隙領域の面積比率の平均値とする。
<1-1-7.フラクタル次元の数値、及び粒子間空隙領域の面積比率を所望の値とする
手段>
本実施形態において、負極のフラクタル次元の数値、具体的にはフラクタル次元の標準偏差、フラクタル次元の平均値を所望の値とすることは、活物質粒子の粒度、形状、非晶質炭素の被覆量、スラリー作成条件、塗布電極乾燥条件、プレス条件を適宜調整することにより達成できる。
また、粒子間空隙領域の面積比率の平均値を所望の値とすることは、活物質粒子の粒度、形状、非晶質炭素の被覆量、スラリー作成条件、塗布電極乾燥条件、プレス条件を適宜調整することにより達成できる。
<1-2.負極活物質>
本実施形態の負極を形成する負極活物質は限定されないが、特に黒鉛質炭素材粒子であることが好ましい。黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛の何れであってもよい。天然黒鉛としては、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の何れであってもよいが、不純物の少ない黒鉛が好ましく、必要に応じて公知の精製処理を施して用いることが好ましい。人造黒鉛としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等の有機物を、通常2500℃以上、通常3200℃以下の範囲の温度で焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。この際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
黒鉛質炭素材粒子は、一部若しくは全面を非晶質炭素が被覆した複層構造炭素材であることが好ましい。複層構造炭素材である場合の非晶質炭素の厚みは、通常0.1nm以上、好ましくは1nm以上、より好ましくは3nm以上であり、通常3μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100nm以下、特に好ましくは50nm以下である。なお、黒鉛粒子の粒径や非晶質炭素の厚みは、SEMやTEM等の電子顕微鏡観察によって測定することができる。また、非晶質炭素の存在の有無は、ラマン分光分析や真密度等々の測定にて存在の有無・量を確認することができる。
負極活物質を構成する粒子の形状は特に限定されないが、球状、紡錘状、棒状、柱状のものを使用することができ、球状であることが好ましい。黒鉛質粒子を球状化する方法として、周知の技術を用いて球形化処理を施すことが可能である。例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いて行うことが挙げられる。また、造粒剤を用いて黒鉛質原料を造粒し球形に賦形することが挙げられる。
負極活物質の表面に凹部あるいは凸部を形成してもよい。複雑な凹凸をもつ活物質の場合、本実施形態明の負極における粒子間空隙部のフラクタル次元の絶対値は大きくなる傾向がある。
負極活物質を構成する粒子の平均円形度は通常0.7以上1.0以下、好ましくは0.8以上0.97以下、さらに好ましくは0.85以上0.95以下である。平均円形度がこの範囲にあると、負極極板内の粒子間の空隙が均一になりやすい傾向があり、上記粒子間空隙領域の面積比率を適切な範囲としやすくなる。
負極活物質を構成する粒子の体積基準平均粒径(D50)は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは4μm以上、最も好ましくは5μm以上、また通常50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が
大きくなり、容量低下するおそれがある。一方、上記範囲を上回ると、入出力特性が低下する傾向があると同時に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、さらに集電体上に塗布する際に膜厚のむらが生じ易くなる。
負極活物質を構成する粒子の体積基準粒径(D10)は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは4μm以上、最も好ましくは5μm以上、また通常30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは9μm以下、最も好ましくは8μm以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が大きくなり、容量低下するおそれがある。一方、上記範囲を上回ると、入出力特性が低下する傾向があると同時に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、さらに集電体上に塗布する際に膜厚のむらが生じ易くなる。
負極活物質を構成する粒子の体積基準粒径(D90)は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以上、最も好ましくは12μm以上、また通常50μm以下、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以下、特に好ましくは18μm以下、最も好ましくは15μm以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が大きくなり、容量低下するおそれがある。一方、上記範囲を上回ると、入出力特性が低下する傾向があると同時に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、さらに集電体上に塗布する際に膜厚のむらが生じ易くなる。
負極活物質を構成する粒子の体積基準粒径(Dmax)は、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは10μm以上、特に好ましくは15μm以上、最も好ましくは20μm以上、また通常60μm以下、好ましくは55μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは45μm以下、特に好ましくは40μm以下、最も好ましくは35μm以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が大きくなり、容量低下するおそれがある。一方、上記範囲を上回ると、入出力特性が低下する傾向があると同時に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、さらに集電体上に塗布する際に膜厚のむらが生じ易くなる。
負極活物質を構成する粒子の体積基準粒径(D10)と(D90)の比(D90/D10)は、通常1以上、好ましくは1.5以上、より好ましくは1.8以上、更に好ましくは2以上、特に好ましくは2.2以上、最も好ましくは2.4以上、また通常10以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3.5以下、特に好ましくは3以下、最も好ましくは2.8以下である。上記範囲を下回ると、不可逆容量が大きくなり、容量低下するおそれがある。一方、上記範囲を上回ると、入出力特性が低下する傾向があると同時に、極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出ることが多く、さらに集電体上に塗布する際に膜厚のむらが生じ易くなる。
なお、体積基準平均粒径は、測定対象に界面活性剤水溶液(約1mL)を混合し、イオン交換水を分散媒としてレーザー回折式粒度分布計(例えば、堀場製作所社製「LA-920」)にて、体積基準の粒径(D10、メジアン径D50、D90、Dmax)を測定した値を用いる。
負極活物質は、平均円形度、体積基準平均粒径の異なる活物質粒子を混合して用いてもよい。負極内の活物質比率を上げることができ、粒子間の空隙の分布が均一になる場合があり、負極を形成する上で好ましい。
負極活物質を構成する粒子のBET比表面積(SA)は、通常1m/g以上、好ましくは2m/g以上、より好ましくは3m/g以上、更に好ましくは4m/g以上、
特に好ましくは4.5m/g以上、また、上限に関しては、特に限定されないが、通常は20m/g以下、好ましくは15m/g以下、より好ましくは10m/g以下、更に好ましくは6m/g以下、特に好ましくは5m/g以下の範囲である。上記範囲であれば、電池の充放電効率および放電容量が高く、高速充放電においてリチウムイオンの出し入れが速く、レート特性に優れるので好ましい。
なお、BET比表面積は、表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用いて、試料に対して窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用いて、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって行なった値を用いる。
負極活物質を構成する粒子の、以下で算出されるラマンR値は0.35以上1以下であることが好ましい。
ラマンR値=(ラマンスペクトル分析における1360cm-1付近のピークPBの強度IB)/(1580cm-1付近のピークPAの強度IA)
また、ラマンR値は、より好ましくは0.40以上、さらに好ましくは0.45以上であり、特に好ましくは0.48以上であり、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.6以下である。上記範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、入出力特性の低下を招く場合がある。一方、上記範囲を上回ると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く場合がある。
負極活物質を構成する粒子のタップ密度は、通常0.1g/cm以上、好ましくは0.5g/cm以上、より好ましくは0.7g/cm以上であり、更に好ましくは0.9g/cm以上であり、通常2g/cm以下、好ましくは1.8g/cm以下、より好ましくは1.6g/cm以下、更に好ましくは1.4g/cm以下、特に好ましくは1.2g/cm以下、最も好ましくは1.1g/cm以下である。上記範囲を下回ると、負極とした場合に充填密度が上がり難く、高容量の電池を得ることができない場合がある。また、上記範囲を上回ると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい場合がある。
なお、タップ密度は、目開き300μmの篩を通過させて、20cmのタッピングセルに試料を落下させてセルの上端面まで試料を満たした後、粉体密度測定器(例えば、セイシン企業社製タップデンサー)を用いて、ストローク長10mmのタッピングを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から測定した値を用いている。
負極活物質が黒鉛質である場合、結晶性(黒鉛化度)は比較的に高い炭素粒子であればその種類や物性は特に限定されないが、具体的にはX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が、0.335nm以上0.340nm未満の炭素粒子を意味するものとする。また、d002値は0.338nm以下であることが好ましく、0.337nm以下であることがより好ましく、0.336nm以下であることが更に好ましい。
<1-3.負極の製造方法>
本実施形態の負極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。なお負極とは集電体と集電体上に形成された負極活物質とを備えた状態にあるものを意味するものとする。例えば、負極活物質に、結着剤、溶媒、必要に応じて増粘剤、導電材、充填材等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることによって形成することができる。
負極の製造に使用する結着剤(バインダー)としては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限されない。
具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
メチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリル酸、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物;EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体又はその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
負極活物質に対する結着剤(バインダー)の割合は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、0.6質量%以上が特に好ましく、また、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、8質量%以下が特に好ましい。負極活物質に対する結着剤の割合が、上記範囲を上回ると、結着剤量が電池容量に寄与しない結着剤割合が増加して、電池容量の低下を招く場合がある。また、上記範囲を下回ると、負極電極の強度低下を招く場合がある。
特に、SBRに代表されるゴム状高分子を主要成分に含有する場合には、負極活物質に対する結着剤の割合は、通常0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がさらに好ましく、また、通常6質量%以下であり、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。また、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分に含有する場合には負極活物質に対する割合は、通常1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がさらに好ましく、また、通常15質量%以下であり、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。
スラリーを形成するための溶媒としては、負極活物質、結着剤、並びに必要に応じて使用される増粘剤及び導電材を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。
水系溶媒としては、水、アルコール等が挙げられ、有機系溶媒としてはN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等が挙げられる。
特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤等を含有させ、SBR等のラテックスを用いてスラリー化することが好ましい。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
増粘剤は、通常、スラリーの粘度を調整するために使用される。増粘剤としては特に限定されないが、具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
さらに増粘剤を用いる場合には、負極活物質に対する増粘剤の割合は、通常0.1質量
%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.6質量%以上がさらに好ましく、また、通常5質量%以下であり、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。負極活物質に対する増粘剤の割合が、上記範囲を下回ると、著しく塗布性が低下する場合がある。また、上記範囲を上回ると、負極活物質層に占める負極活物質の割合が低下し、電池の容量が低下する問題や負極活物質間の抵抗が増大する場合がある。
導電剤は、充放電電位において、化学変化を起こさない電子伝導性材料であれば何でもよい。例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカ-ボンブラック類、炭素繊維、気相成長炭素繊維(VGCF)、金属繊維等の導電性繊維類、フッ化カーボン、銅等の金属粉末類等を単独又はこれらの混合物として含ませることができる。これらの導電剤のなかで、アセチレンブラック、VGCFが特に好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の添加量は、特に限定されないが、負極活物質に対して、1~30質量%が好ましく、特に1~15質量%が好ましい。
負極活物質を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。集電体としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。
また、集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば、金属箔、金属円柱、金属コイル、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル、パンチメタル、発泡メタル等が挙げられる。中でも、好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、さらに好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔があり、どちらも集電体として用いることができる。
集電体の厚さは、通常1μm以上、好ましくは5μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは30μm以下である。負極集電体の厚さが厚過ぎると、電池全体の容量が低下し過ぎることがあり、逆に薄過ぎると取り扱いが困難になることがあるためである。
負極の空隙率は、通常10%以上、好ましくは20%以上、また通常50%以下、好ましくは40%以下である。負極の空隙率がこの範囲を下回ると、負極中の空隙が少なく電解液が浸透し難くなり、好ましい電池特性を得難い場合もある。一方、この範囲を上回ると、負極中の空隙が多く負極強度が弱くなりすぎて、好ましい電池特性を得難い場合もある。負極の空隙率は、負極の水銀ポロシメータによる細孔分布測定によって得られる全細孔容積を、集電体を除いた負極活物質層の見掛け体積で割った値の百分率を用いる。
集電体上に形成される負極活物質の重量は、片面あたり通常1mg/cm以上であることが好ましい。より好ましくは3mg/cm以上であり、更に好ましくは5mg/cm以上である。また、通常30mg/cm以下であり、より好ましくは20mg/cmであり、更に好ましくは15mg/cm以下であり、最も好ましくは12mg/cm以下である。負極活物質の重量がこの範囲を下回ると、活物質の充填量が低くなり、電池の容量が小さくなる。負極活物質の重量がこの範囲を上回ると、負極内のイオン拡散距離が大きくなるため高レートでの容量が小さくなる場合もある。
<2.非水系二次電池>
本実施形態の負極は、非水系電解液二次電池用負極として有用であることを前述したが、本実施形態の負極を用いた非水系電解液二次電池もまた本発明の一態様である(以下、「本実施形態の非水系電解液二次電池」と略す場合がある。)。なお、本実施形態の非水系電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、金属イオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解液を備える。負極としては、前述した本実施形態の負極を用いる。
<2-1.正極>
正極の製造は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のいずれの方法を用いることができる。例えば、正極活物質に、結着剤、溶媒、導電材、増粘剤等を加えてスラリーとし、これを集電体に塗布、乾燥した後にプレスすることにより形成する方法も用いてもよい。
以下に正極に使用される正極活物質(リチウム遷移金属系化合物)について述べる。リチウム遷移金属系化合物とは、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な構造を有する化合物であり、例えば、硫化物やリン酸塩化合物、リチウム遷移金属複合酸化物などが挙げられる。硫化物としては、TiSやMoSなどの二次元層状構造をもつ化合物や、一般式MeMo(MeはPb,Ag,Cuをはじめとする各種遷移金属)で表される強固な三次元骨格構造を有するシュブレル化合物などが挙げられる。リン酸塩化合物としては、オリビン構造に属するものが挙げられ、一般的にはLiMePO(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)で表され、具体的にはLiFePO、LiCoPO、LiNiPO、LiMnPOなどが挙げられる。リチウム遷移金属複合酸化物としては、三次元的拡散が可能なスピネル構造や、リチウムイオンの二次元的拡散を可能にする層状構造に属するものが挙げられる。スピネル構造を有するものは、一般的にLiMe(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表され、具体的にはLiMn、LiCoMnO、LiNi0.5Mn1.5、LiCoVOなどが挙げられる。層状構造を有するものは、一般的にLiMeO(Meは少なくとも1種以上の遷移金属)と表される。具体的にはLiCoO、LiNiO、LiNi1-xCo、LiNi1-x-yCoMn、LiNi0.5Mn0.5、Li1.2Cr0.4Mn0.4、Li1.2Cr0.4Ti0.4、LiMnOなどが挙げられる。
また、リチウム含有遷移金属化合物は、例えば、下記組成式(A)または(B)で示されるリチウム遷移金属系化合物であることが挙げられる。
1)下記組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li1+xMO ・・・(A)
ただし、xは通常0以上、0.5以下である。Mは、Ni及びMn、或いは、Ni、Mn及びCoから構成される元素であり、Mn/Niモル比は通常0.1以上、5以下である。Ni/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。Co/Mモル比は通常0以上、0.5以下である。なお、xで表されるLiのリッチ分は、遷移金属サイトMに置換している場合もある。
なお、上記組成式(A)においては、酸素量の原子比は便宜上2と記載しているが、多少の不定比性があってもよい。また、上記組成式中のxは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のxが-0.65以上、1以下に測定されることがある。
また、リチウム遷移金属系化合物は、正極活物質の結晶性を高めるために酸素含有ガス雰囲気下で高温焼成を行って焼成されたものが電池特性に優れる。
さらに、組成式(A)で示されるリチウム遷移金属系化合物は、以下一般式(A’)のとおり、213層と呼ばれるLiMOとの固溶体であってもよい。
αLiMO・(1-α)LiM’O・・・(A’)
一般式中、αは、0<α<1を満たす数である。Mは、平均酸化数が4である少なくとも一種の金属元素であり、具体的には、Mn、Zr、Ti、Ru、Re及びPtからな
る群より選択される少なくとも一種の金属元素である。M’は、平均酸化数が3である少なくとも一種の金属元素であり、好ましくは、V、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素であり、より好ましくは、Mn、Co及びNiからなる群より選択される少なくとも一種の金属元素である。
2)下記一般式(B)で表されるリチウム遷移金属系化合物である場合
Li[LiaMn2-b-a]O4+δ・・・(B)
ただし、Mは、Ni、Cr、Fe、Co、Cu、Zr、AlおよびMgから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種から構成される元素である。
bの値は通常0.4以上、0.6以下である。bの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度が高い。また、aの値は通常0以上、0.3以下である。また、上記組成式中のaは、リチウム遷移金属系化合物の製造段階での仕込み組成である。通常、市場に出回る電池は、電池を組み立てた後に、エージングを行っている。そのため、充放電に伴い、正極のLi量は欠損している場合がある。その場合、組成分析上、3Vまで放電した場合のaが-0.65以上、1以下に測定されることがある。aの値がこの範囲であれば、リチウム遷移金属系化合物における単位重量当たりのエネルギー密度を大きく損なわず、かつ、良好な負荷特性が得られる。さらに、δの値は通常±0.5の範囲である。δの値がこの範囲であれば、結晶構造としての安定性が高く、このリチウム遷移金属系化合物を用いて作製した電極を有する電池のサイクル特性や高温保存が良好である。
ここでリチウム遷移金属系化合物の組成であるリチウムニッケルマンガン系複合酸化物におけるリチウム組成の化学的な意味について、以下により詳細に説明する。上記リチウム遷移金属系化合物の組成式のa、bを求めるには、各遷移金属とリチウムを誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)で分析して、Li/Ni/Mnの比を求める事で計算される。構造的視点では、aに係るリチウムは、同じ遷移金属サイトに置換されて入っていると考えられる。ここで、aに係るリチウムによって、電荷中性の原理によりMとマンガンの平均価数が3.5価より大きくなる。また、上記リチウム遷移金属系化合物は、フッ素置換されていてもよく、LiMn4-x2xと表記される。
上記の組成のリチウム遷移金属系化合物の具体例としては、例えば、Li1+xNi0.5Mn0.5、Li1+xNi0.85Co0.10Al0.05、Li1+xNi0.33Mn0.33Co0.33、Li1+xNi0.45Mn0.45Co0.1、Li1+xMn1.8Al0.2、Li1+xMn1.5Ni0.5等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属系化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上をブレンドして用いてもよい。
また、リチウム遷移金属系化合物は、異元素が導入されてもよい。異元素としては、B,Na,Mg,Al,K,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Sr,Y,Zr,Nb,Ru,Rh,Pd,Ag,In,Sb,Te,Ba,Ta,Mo,W,Re,Os,Ir,Pt,Au,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Bi,N,F,S,Cl,Br,I,As,Ge,P,Pb,Sb,SiおよびSnの何れか1種以上の中から選択される。これらの異元素は、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれていてもよく、あるいは、リチウム遷移金属系化合物の結晶構造内に取り込まれず、その粒子表面や結晶粒界などに単体もしくは化合物として偏在していてもよい。
正極活物質層中のリチウム遷移金属系化合物粉体の含有割合は、通常10重量%以上、99.9重量%以下である。正極活物質層中のリチウム遷移金属系化合物粉体の割合が多すぎると正極の強度が不足する傾向にあり、少なすぎると容量の面で不十分となることが
ある。
正極活物質層の製造に用いる結着剤(バインダー)としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して安定な材料であればよいが、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体及びその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いてもよい、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層中の結着剤の割合は、通常0.1重量%以上、80重量%以下である。結着剤の割合が低すぎると、正極活物質を十分保持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させてしまう可能性がある一方で、高すぎると、電池容量や導電性の低下につながる可能性がある。
スラリーを形成するための液体媒体としては、リチウム遷移金属系化合物粉体、結着剤、並びに必要に応じて使用される導電材及び増粘剤を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に特に制限はなく、水系溶媒と有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒の例としては水、アルコールなどが挙げられ、有機系溶媒の例としてはN-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジメチルエーテル、ジメチルアセタミド、ヘキサメチルホスファルアミド、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、キノリン、ピリジン、メチルナフタレン、ヘキサン等を挙げることができる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤に併せて分散剤を加え、SBR等のラテックスを用いてスラリー化する。なお、これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよい、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極を保持させる集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。正極の集電体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられるが、加工し易さとコストの点から特にアルミニウムが好ましい。正極活物質と集電体の導電性を向上させるため炭素材料を集電体上に形成してもよい。
正極活物質層の厚さは、通常10~200μm程度である。正極のプレス後の電極密度としては、通常、2.2g/cm以上、4.2g/cm以下である。なお、塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
<2-2.非水電解質>
非水電解質としては、例えば公知の非水系電解液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いることができるが、中でも非水系電解液が好ましい。非水系電解液は、非水系溶媒に溶質(電解質)を溶解させて構成される。
(電解質)
非水系電解液に用いられる電解質には制限はなく、電解質として用いられる公知のものを任意に採用して含有させることができる。非水系電解液を非水系電解液二次電池に用いる場合には、電解質はリチウム塩が好ましい。電解質の具体例としては、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート、フルオロスルホン酸リチウム等が挙げられる。これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
リチウム塩の電解液中の濃度は任意であるが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.8mol/L以上、また、通常3mol/L以下、好ましくは2mol/L以下、より好ましくは1.5mol/L以下の範囲である。リチウムの総モル濃度が上記範囲内にあることにより、電解液の電気伝導率が十分となり、一方、粘度上昇による電気伝導度の低下、電池性能の低下を防ぐことができる。
(非水系溶媒)
非水系電解液が含有する非水系溶媒は、電池として使用した際に、電池特性に対して悪影響を及ぼさない溶媒であれば特に制限されないが、通常使用される非水系溶媒の例としては、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステル、γ-ブチロラクトン等の環状カルボン酸エステル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等の鎖状エーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル等のニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル、エチレンサルファイト、1,3-プロパンスルトン、メタンスルホン酸メチル、スルホラン、ジメチルスルホン等の含硫黄化合物等が挙げられ、これら化合物は、水素原子が一部ハロゲン原子で置換されていてもよい。これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用することが好ましい。例えば、環状カーボネートや環状カルボン酸エステル等の高誘電率溶媒と、鎖状カーボネートや鎖状カルボン酸エステル等の低粘度溶媒とを併用するのが好ましい。
ここで、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、及び、それらの水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置換した化合物が、電解液中に含まれることが好ましい。高誘電率溶媒の電解液に占める割合は、好ましくは15重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは25重量%以上である。高誘電率溶媒の含有量が上記範囲よりも少ないと、所望の電池特性が得られない場合がある。
(助剤)
非水系電解液には、上述の電解質、非水系溶媒以外に、目的に応じて適宜助剤を配合してもよい。負極表面に皮膜を形成するため、電池の寿命を向上させる効果を有する助剤としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、エチニルエチレンカーボネート等の不飽和環状カーボネート、フルオロエチレンカーボネート等のフッ素原子を有する環状カーボネート、4-フルオロビニレンカーボネート等のフッ素化不飽和環状カーボネート等が挙げられる。電池が過充電等の状態になった際に電池の破裂・発火を効果的に抑制する過充電防止剤として、ビフェニル、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエー
テル、t-ブチルベンゼン、t-ペンチルベンゼン、ジフェニルカーボネート、メチルフェニルカーボネート等の芳香族化合物等が挙げられる。サイクル特性や低温放電特性を向上させる助剤として、モノフルオロリン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、フルオロスルホン酸リチウム、リチウムビス(オキサラト)ボレート、リチウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムテトラフルオロオキサラトホスフェート、リチウムジフルオロビス(オキサラト)フォスフェート等のリチウム塩等が挙げられる。高温保存後の容量維持特性やサイクル特性を向上させることができる助剤として、エチレンサルファイト、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄化合物、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸等のカルボン酸無水物、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル等のニトリル化合物が挙げられる。これら助剤の配合量は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。
非水系電解液は、電解液中に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状または、ゴム状、或いは固体シート状の固体電解質としてもよい。この場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピークロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω-メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω-メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート-co-メチルメタクリレート)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
<2-3.セパレータ>
正極と負極との間には、短絡を防止するために、通常はセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、通常はこのセパレータに含浸させて用いる。
セパレータの材料や形状については特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。中でも、非水系電解液に対し安定な材料で形成された、樹脂、ガラス繊維、無機物等が用いられ、保液性に優れた多孔性シート又は不織布状の形態の物等を用いるのが好ましい。
樹脂、ガラス繊維セパレータの材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、芳香族ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルスルホン、ガラスフィルター等を用いることができる。中でも好ましくはガラスフィルター、ポリオレフィンであり、さらに好ましくはポリオレフィンである。これらの材料は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
セパレータの厚さは任意であるが、通常1μm以上であり、5μm以上が好ましく、10μm以上がさらに好ましく、また、通常50μm以下であり、40μm以下が好ましく、30μm以下がさらに好ましい。セパレータが、上記範囲より薄過ぎると、絶縁性や機械的強度が低下する場合がある。また、上記範囲より厚過ぎると、レート特性等の電池性能が低下する場合があるばかりでなく、非水系電解液二次電池全体としてのエネルギー密度が低下する場合がある。
さらに、セパレータとして多孔性シートや不織布等の多孔質のものを用いる場合、セパレータの空孔率は任意であるが、通常20%以上であり、35%以上が好ましく、45%以上がさらに好ましく、また、通常90%以下であり、85%以下が好ましく、75%以下がさらに好ましい。空孔率が、上記範囲より小さ過ぎると、膜抵抗が大きくなってレート特性が悪化する傾向がある。また、上記範囲より大き過ぎると、セパレータの機械的強
度が低下し、絶縁性が低下する傾向にある。
また、セパレータの平均孔径も任意であるが、通常0.5μm以下であり、0.2μm以下が好ましく、また、通常0.05μm以上である。平均孔径が、上記範囲を上回ると、短絡が生じ易くなる。また、上記範囲を下回ると、膜抵抗が大きくなりレート特性が低下する場合がある。
一方、無機物の材料としては、例えば、アルミナや二酸化ケイ素等の酸化物、窒化アルミや窒化ケイ素等の窒化物、硫酸バリウムや硫酸カルシウム等の硫酸塩が用いられ、粒子形状もしくは繊維形状のものが用いられる。
形態としては、不織布、織布、微多孔性フィルム等の薄膜形状のものが用いられる。薄膜形状では、孔径が0.01~1μm、厚さが5~50μmのものが好適に用いられる。上記の独立した薄膜形状以外に、樹脂製の結着材を用いて上記無機物の粒子を含有する複合多孔層を正極及び/又は負極の表層に形成させてなるセパレータを用いることができる。例えば、正極の両面に90%粒径が1μm未満のアルミナ粒子を、フッ素樹脂を結着材として多孔層を形成させることが挙げられる。
セパレータの非電解液二次電池における特性を、ガーレ値で把握することができる。ガーレ値とは、フィルム厚さ方向の空気の通り抜け難さを示し、100mlの空気が該フィルムを通過するのに必要な秒数で表されるため、数値が小さい方が通り抜け易く、数値が大きい方が通り抜け難いことを意味する。すなわち、その数値が小さい方がフィルムの厚さ方向の連通性がよいことを意味し、その数値が大きい方がフィルムの厚さ方向の連通性が悪いことを意味する。連通性とは、フィルム厚さ方向の孔のつながり度合いである。本発明のセパレータのガーレ値が低ければ、様々な用途に使用することが出来る。例えば非水系リチウム二次電池のセパレータとして使用した場合、ガーレ値が低いということは、リチウムイオンの移動が容易であることを意味し、電池性能に優れるため好ましい。セパレータのガーレ値は、任意ではあるが、好ましくは10~1000秒/100mlであり、より好ましくは15~800秒/100mlであり、更に好ましくは20~500秒/100mlである。ガーレ値が1000秒/100ml以下であれば、実質的には電気抵抗が低く、セパレータとしては好ましい。
<2-4.電池設計>
電極群は、上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介してなる積層構造のもの、及び上記の正極板と負極板とを上記のセパレータを介して渦巻き状に捲回した構造のもののいずれでもよい。電極群の体積が電池内容積に占める割合(以下、電極群占有率と称する)は、通常40%以上であり、50%以上が好ましく、また、通常90%以下であり、80%以下が好ましい。
電極群占有率が、上記範囲を下回ると、電池容量が小さくなる。また、上記範囲を上回ると空隙スペースが少なく、電池が高温になることによって部材が膨張したり電解質の液成分の蒸気圧が高くなったりして内部圧力が上昇し、電池としての充放電繰り返し性能や高温保存等の諸特性を低下させたり、さらには、内部圧力を外に逃がすガス放出弁が作動する場合がある。
<2-5.外装ケース>
外装ケースの材質は用いられる非水系電解液に対して安定な物質であれば特に制限されない。具体的には、ニッケルめっき鋼板、ステンレス、アルミニウム又はアルミニウム合金、マグネシウム合金等の金属類、又は、樹脂とアルミ箔との積層フィルム(ラミネートフィルム)が用いられる。軽量化の観点から、アルミニウム又はアルミニウム合金の金属
、ラミネートフィルムが好適に用いられる。
金属類を用いる外装ケースでは、レーザー溶接、抵抗溶接、超音波溶接により金属同士を溶着して封止密閉構造とするもの、若しくは、樹脂製ガスケットを介して上記金属類を用いてかしめ構造とするものが挙げられる。上記ラミネートフィルムを用いる外装ケースでは、樹脂層同士を熱融着することにより封止密閉構造とするもの等が挙げられる。シール性を上げるために、上記樹脂層の間にラミネートフィルムに用いられる樹脂と異なる樹脂を介在させてもよい。特に、集電端子を介して樹脂層を熱融着して密閉構造とする場合には、金属と樹脂との接合になるので、介在する樹脂として極性基を有する樹脂や極性基を導入した変成樹脂が好適に用いられる。
<2-6.保護素子>
保護素子として、異常発熱や過大電流が流れた時に抵抗が増大するPTC(Positive Temperature Coefficient)、温度ヒューズ、サーミスター、異常発熱時に電池内部圧力や内部温度の急激な上昇により回路に流れる電流を遮断する弁(電流遮断弁)等を使用することができる。上記保護素子は高電流の通常使用で作動しない条件のものを選択することが好ましく、保護素子がなくても異常発熱や熱暴走に至らない設計にすることがより好ましい。
<2-7.外装体>
本実施形態の非水系電解液二次電池は、通常、上記の非水系電解液、負極、正極、セパレータ等を外装体内に収納して構成される。この外装体は、特に制限されず、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知のものを任意に採用することができる。具体的に、外装体の材質は任意であるが、通常は、例えばニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミウム又はその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
また、外装体の形状も任意であり、例えば円筒型、角形、ラミネート型、コイン型、大型等のいずれであってもよい。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[画像解析]
実施例/比較例/参考例で得られた負極表面の画像解析は以下のように行った。
(1)負極表面画像の取得
走査型顕微鏡を用いて、負極表面のSEM画像(二次電子像)を取得した。測定条件は以下とする。一画像中に粒子数が200以上含まれるように、電極表面の異なる場所の表面SEM画像を任意に15ヶ所取得した。
条件:加速電圧5kV、倍率500倍、1280×960ピクセル、8ビット画像、
(2)二値化処理
各画像に対して、画像解析ソフト(ImageJ)を用い、粒子及び粒子間空隙が明瞭に区別できるように、Yen法により輝度の閾値を調整し、二値化処理した。
(3)フラクタル次元および標準偏差の取得
二値化処理後の画像に対して、ボックスカウント法によるフラクタル次元を求めた。画像解析ソフトは同様にImage Jを用いた。ボックスサイズ(ε)は2ピクセルから64ピクセルまでとし、横軸log(ε)、縦軸log(n)グラフの直線領域の傾きを-D(Dはフラクタル次元)とした。取得した15画像それぞれに対してフラクタル次元Dを求め、その標準偏差σをフラクタル次元の標準偏差とした。
[比較例1]
<負極活物質の作成>
球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてナフサ熱分解時に得られる石油系重質油を混合し、不活性ガス中で1100℃熱処理を施した後、焼成物を粉砕・分級処理することにより、体積基準平均粒径(D50)が11.6μm、BET比表面積(SA)が4.2m/g、タップ密度が1.08g/cmの、黒鉛とその表面を被覆する非晶質炭素層を有する複合粒子(複層構造炭素材)を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材は、黒鉛100質量部に対して3.5質量部の非晶質炭素で被覆されていることが確認された。結果を表1に示す。
<負極シートの作製>
前述の比較例1で作成した複層構造炭素材を負極活物質として用い、活物質層密度1.20±0.03g/cmの活物質層を有する極板を作製した。具体的には、複層構造炭素材20.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を20.00±0.02g(固形分換算で0.200g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン0.50±0.05g(固形分換算で0.2g)を加えて、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。このスラリーを、集電体である厚さ10μmの銅箔上に、負極活物質が6.0±0.3mg/cm付着するように、ダイコーターで幅5cmに塗布し、熱風乾燥を行った。乾燥後、直径20cmのローラを用いて、プレス荷重(線圧)331kgf/5cmでロールプレスして、活物質層の密度が1.20±0.03g/cmになるよう調整し電極シートを得た。
プレス後の得られた電極シート表面の異なる15ヶ所を任意に選択し、前述の測定条件で表面SEM像を取得した。得られたSEM画像それぞれに対し、前述の画像解析ソフトを用いて二値化し、ボックスカウント法によりフラクタル次元およびフラクタル次元の標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
<正極シートの作製>
正極は、正極活物質としてのニッケル-マンガンーコバルト酸リチウム(LiNiMnCoO)90質量%と、導電材としてのアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N-メチルピロリドン溶媒中で混合してスラリーを得た。
このスラリーを、集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔上に正極活物質が13.7±0.5mg/cm付着するように、塗布し、乾燥した。更にロールプレスを行い、正極密度が2.60±0.05g/cmになるよう調整し電極シートを得た。
<非水電解液二次電池(ラミネート型電池)の作製>
上記方法で作製した正極シートと負極シート、及びポリエチレン製セパレータを、負極、セパレータ、正極の順に積層した。こうして得られた電池要素を筒状のアルミニウムラミネートフィルムで包み込み、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合溶媒(体積比=3:7)に、LiPFを1mol/Lになるように溶解させ、さらにビニレンカーボネート(VC)とリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)を添加した電解液を注入した後で真空封止し、シート状の非水系電解液二次電池を作製した。更に、電極間の密着性を高めるために、ガラス板でシート状電池を挟んで加圧した。
<低温出力特性>
上記作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V
~3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル初期充放電を行った。3サイクル目の放電容量を初期容量とした。
さらに、SOC(充電率)50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、-30℃の低温環境下で、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2.5C、3.5C、5Cの各電流値で10秒間定電流放電させ、各々の条件の充電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から放電下限電圧を3.0Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3.0×I(W)という式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。比較例1の電池の低温出力値を100とし、後述の実施例および参考例の電池は低温出力比で示した。
<高温保存特性>
低温出力測定を実施した電池を25℃の環境下で、SOC80%まで電流値0.2Cで充電を行った後、60℃の環境下で2週間保存を行った。保存後の電池を25℃の環境下で電流値0.2Cで、3.0Vまで放電したときの容量(残存容量)と、さらに電流値0.2Cで4.1V~3.0Vで充放電を行ったときの放電容量(回復容量)を測定した。
60℃保存後の回復容量/初期容量の比を計算し、高温保存容量維持率とした。比較例1の電池の高温保存容量維持率を100とし、後述の実施例および参考例の電池は高温保存容量維持率比で示した。結果を表2に示す。また、図2に高温保存特性と低温出力特性の相関を示す。
<実施例1>
体積基準平均粒径(D50)が10.6μm、BET比表面積(SA)が4.6m/g、タップ密度が1.07g/cmの、黒鉛とその表面を被覆する非晶質炭素層を有する複合粒子を使用し、プレス荷重(線圧)272kgf/5cmでロールプレスしたこと以外は、比較例1と同様の方法で非水系二次電池を作製し、作製した非水系二次電池に対し比較例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例2>
体積基準平均粒径(D50)が8.2μm、BET比表面積(SA)が4.8m/g、タップ密度が1.06g/cmの、黒鉛100質量部に対して4.1質量部の非晶質炭素で被覆されている複合粒子を使用し、プレス荷重(線圧)397kgf/5cmでロールプレスしたこと以外は、比較例1と同様の方法で非水系二次電池を作製し、作製した非水系二次電池に対し比較例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
<参考例1>
体積基準平均粒径(D50)が11.6μm、BET比表面積(SA)が5.3m/g、タップ密度が0.96g/cmの、黒鉛100質量部に対して4.3質量部の非晶質炭素と3質量部のカーボンブラックで被覆されている複合粒子を使用し、プレス荷重(線圧)495kgf/5cmでロールプレスしたこと以外は、比較例1と同様の方法で非水系二次電池を作製し、作製した非水系二次電池に対し比較例と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
<参考例2>
体積基準平均粒径(D50)が8.1μm、BET比表面積(SA)が5.2m/g、タップ密度が1.06g/cmの,黒鉛100質量部に対して3.7質量部の非晶質炭素で被覆されている複合粒子を使用し、プレス荷重(線圧)300kgf/5cmでロールプレスしたこと以外は、比較例1と同様の方法で非水系二次電池を作製し、作製した非水系二次電池に対し比較例と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0007468067000001
Figure 0007468067000002
図2、表2から明らかな様に、電池の高温保存特性と低温出力特性は相反する特性であり、実施例で作製した非水系二次電池は、比較例および参考例で作製した二次電池に対し、高温保存特性と低温出力特性のバランスを向上させている。
本発明の実施形態である負極を用いることにより、高温保存に優れ、低温下においても出力特性に優れる非水系電解液二次電池を実現することができるため、大型の高入出力特性が必要とされ、低温下でも使用される自動車用の二次電池の分野において好適に利用可能である。

Claims (8)

  1. 集電体と集電体上に形成された負極活物質とを備える非水系電解液二次電池用負極であって、
    前記非水系電解液二次電池用負極は粒子間空隙を有し、
    該負極表面の異なる位置から取得した表面SEM画像を任意に15画像選択し、各画像それぞれを粒子領域と粒子間空隙領域に分け、各画像を二値化処理した処理画像から算出される粒子間空隙領域の、ボックスカウント法によって求めたフラクタル次元の標準偏差が0.1以下である、非水系電解液二次電池用負極。
    (ただし、1画像からフラクタル次元を求める場合、前記表面SEM画像の倍率は500倍、及び前記ボックスカウント法のボックスサイズ(ε)は2ピクセルから64ピクセル、並びにnは粒子領域を含むボックスの数とし、横軸log(ε)、縦軸log(n)グラフの直線の傾きに-1を乗じたものをフラクタル次元とする。)
  2. 前記粒子間空隙領域のフラクタル次元の平均値が0.1以上、3以下である、請求項1に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  3. 前記粒子間空隙領域の面積比率の平均値が0.01以上、0.2以下である、請求項1または2に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  4. 前記負極活物質が、黒鉛とその表面を被覆する非晶質炭素層とを有する複合粒子を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  5. 前記負極活物質を構成する負極活物質粒子の体積基準平均粒径(D50)が、0.1μm以上、50μm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  6. 前記負極活物質を構成する負極活物質粒子のBET比表面積(SA)が、1m/g以上、20m/g以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  7. 前記負極活物質を構成する負極活物質粒子のタップ密度が、0.1g/cm以上、2g/cm以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非水系電解液二次電池用負極。
  8. 金属イオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解液を備える非水系電解液二次電池であって、前記負極が請求項1乃至7のいずれか一項に記載の負極である、非水系電解液二次電池。
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