本発明のタイヤ用ゴム組成物(使用環境下で大気中にさらされるタイヤ用ゴム組成物)は、80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量が0.5質量%以上である。
ゴム中に含まれる老化防止剤の揮発は、温度が高いほど促進されるが、あまりに高いと市場で実際に使用される場合との相関を保つことができない。いくつかの温度条件と市場で実際に使用される場合との相関を調べた結果、80℃の温度で2週間静置させることによって市場において約2年経過した後の状態と相関が得られることを見出した。更に、80℃の恒温容器に2週間静置した後、ゴム中の残存する老化防止剤の含有量が0.5質量%以上であれば、市場で実際に使用した場合に良好な耐クラック性を保つことができることを見出し、本発明を完成した。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量が、ゴム組成物100質量%中、0.5質量%以上であり、好ましくは0.7質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。良好な耐クラック性を得るという観点からは上限は特に限定されないが、オゾンにより劣化した老化防止剤を原因とする茶変色を抑制でき、良好な耐変色性が得られるという理由から、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
ここで、80℃の恒温容器に2週間静置する方法、残存する老化防止剤の含有量の測定方法は、実施例に記載の方法により行われる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、屋外に6カ月間静置した後、色差計を用いて測定した色差(−(a*+b*)×10)が−20より大きいことが好ましく、−10より大きいことが更に好ましく、0より大きいことが特に好ましく、上限は特に限定されない。これは、オゾンにより劣化した老化防止剤を原因とする茶変色が抑制できていることを意味し、耐変色性、タイヤの外観を改善できることを意味する。
ここで、屋外に6カ月間静置する方法、色差計を用いて色差を測定する方法は、実施例に記載の方法により行われる。
80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量を上記特定量以上とし、更には、屋外に6カ月間静置した後、色差計を用いて測定した色差(−(a*+b*)×10)を−20より大きくするためには、ゴム組成物に特定の非イオン界面活性剤を配合することが好ましい。これにより、老化防止剤の表面への析出速度を抑えつつ、表面に析出した後の老化防止剤の揮発も抑制でき、耐クラック性を改善できる。
更に、特定の非イオン界面活性剤は、老化防止剤やワックスと共にゴム表面にブルームし、老化防止剤やワックスを溶解して平坦化するため、ワックス等の析出により形成されるタイヤ表面(ブルーム層)の凸凹が平滑化され、光の乱反射が抑制される。これにより、上述の茶変色を軽減するなど、耐変色性も向上する。また、タイヤ表面に適度な黒色外観と光沢を与えるなど、タイヤ外観が改善される。
特定の非イオン界面活性剤としては、下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される非イオン界面活性剤、並びにプルロニック型非イオン界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種が挙げられる。非イオン界面活性剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
まず、下記式(1)及び/又は下記式(2)で表される非イオン界面活性剤について説明する。
(式(1)中、R
1は、炭素数6〜26の炭化水素基を表す。dは整数を表す。)
(式(2)中、R
2及びR
3は、同一若しくは異なって、炭素数6〜26の炭化水素基を表す。eは整数を表す。)
式(1)のR1は、炭素数6〜26の炭化水素基を表す。R1の炭化水素基の炭素数が5以下の場合、ゴムへの浸透性が低く、ゴム表面に移行する速度が速くなりすぎる為、ゴム表面の外観が悪くなる傾向がある。またR1の炭化水素基の炭素数が27以上の場合、原料が入手困難または高価であり、不適である。R1の炭化水素基の炭素数が上記範囲内であると、非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより好適に得られる。
R1の炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜24、より好ましくは10〜22、更に好ましくは14〜20である。
R1の炭素数6〜26の炭化水素基としては、炭素数6〜26のアルケニル基、炭素数6〜26のアルキニル基、炭素数6〜26のアルキル基が挙げられる。
炭素数6〜26のアルケニル基としては、例えば、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、イコセニル基、トリコセニル基、ヘキサコセニル基等が挙げられる。
炭素数6〜26のアルキニル基としては、例えば、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基、トリデシニル基、テトラデシニル基、ペンタデシニル基、ヘプタデシニル基、オクタデシニル基、イコシニル基、トリコシニル基、ヘキサコシニル基等が挙げられる。
炭素数6〜26のアルキル基としては、例えば、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、イコシル基、トリコシル基、ヘキサコシル基等が挙げられる。
R1としては、炭素数6〜26のアルケニル基、炭素数6〜26のアルキニル基が好ましく、炭素数6〜26のアルケニル基がより好ましい。
d(整数)は、大きいほど親水親油バランスを表すHLB値が高くなり、ゴム表面に移行する速度が速くなる傾向がある。本発明において、dの値は特に限定されず、使用条件・目的等に応じて適宜選択できる。なかでも、dとしては、好ましくは2〜25、より好ましくは4〜20、更に好ましくは8〜16、特に好ましくは10〜14である。
上記式(1)で表される非イオン界面活性剤としては、エチレングリコールモノオレエート、エチレングリコールモノパルミエート、エチレングリコールモノパルミテート、エチレングリコールモノバクセネート、エチレングリコールモノリノレート、エチレングリコールモノリノレネート、エチレングリコールモノアラキドネート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノセチルエート、エチレングリコールモノラウレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、入手の容易性、コストの点から、エチレングリコールモノオレエート、エチレングリコールモノラウレート、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールモノパルミテートが好ましい。
式(2)のR2及びR3は、同一若しくは異なって、炭素数6〜26の炭化水素基を表す。R2及びR3の炭化水素基の炭素数が5以下の場合、ゴムへの浸透性が低く、ゴム表面に移行する速度が速くなりすぎる為、ゴム表面の外観が悪くなる傾向がある。またR2及びR3の炭化水素基の炭素数が27以上の場合、原料が入手困難または高価であり、不適である。R2及びR3の炭化水素基の炭素数が上記範囲内であると、非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより好適に得られる。
R2及びR3の炭化水素基の炭素数は、好ましくは8〜24、より好ましくは10〜22、更に好ましくは14〜20である。
R2及びR3の炭素数6〜26の炭化水素基としては、炭素数6〜26のアルケニル基、炭素数6〜26のアルキニル基、炭素数6〜26のアルキル基が挙げられる。
炭素数6〜26のアルケニル基、炭素数6〜26のアルキニル基、炭素数6〜26のアルキル基としては、上述のR1の場合と同様の基が挙げられる。
R2及びR3としては、炭素数6〜26のアルケニル基、炭素数6〜26のアルキニル基が好ましく、炭素数6〜26のアルケニル基がより好ましい。
e(整数)は、大きいほど親水親油バランスを表すHLB値が高くなり、ゴム表面に移行する速度が速くなる傾向がある。本発明において、eの値は特に限定されず、使用条件・目的等に応じて適宜選択できる。なかでも、eとしては、好ましくは2〜25、より好ましくは4〜20、更に好ましくは8〜16、特に好ましくは10〜14である。
上記式(2)で表される非イオン界面活性剤としては、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジパルミエート、エチレングリコールジパルミテート、エチレングリコールジバクセネート、エチレングリコールジリノレート、エチレングリコールジリノレネート、エチレングリコールジアラキドネート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジセチルエート、エチレングリコールジラウレート等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、入手の容易性、コストの点から、エチレングリコールジオレエート、エチレングリコールジラウレート、エチレングリコールジステアレート、エチレングリコールジパルミテートが好ましい。
次に、プルロニック型非イオン界面活性剤について説明する。
プルロニック型非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物とも呼ばれ、一般的には、下記式(I)で表わされる非イオン界面活性剤である。下記式(I)で表わされるように、プルロニック型非イオン界面活性剤は、両側にエチレンオキシド構造から構成される親水基を有し、この親水基に挟まれるように、プロピレンオキシド構造から構成される疎水基を有する。
(式(I)中、a、b、cは整数を表す。)
プルロニック型非イオン界面活性剤のポリプロピレンオキシドブロックの重合度(上記式(I)のb)、及びポリエチレンオキシドの付加量(上記式(I)のa+c)は特に限定されず、使用条件・目的等に応じて適宜選択できる。ポリプロピレンオキシドブロックの割合が高くなる程ゴムとの親和性が高く、ゴム表面に移行する速度が遅くなる傾向がある。なかでも、非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、ポリプロピレンオキシドブロックの重合度(上記式(I)のb)は、好ましくは100以下であり、より好ましくは10〜70、更に好ましくは10〜60、特に好ましくは20〜60、最も好ましくは20〜45である。同様に、ポリエチレンオキシドの付加量(上記式(I)のa+c)は、好ましくは100以下であり、より好ましくは3〜65、更に好ましくは5〜55、特に好ましくは5〜40、最も好ましくは10〜40である。ポリプロピレンオキシドブロックの重合度、ポリエチレンオキシドの付加量が上記範囲内であると、非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより好適に得られる。
プルロニック型非イオン界面活性剤としては、BASFジャパン(株)製のプルロニックシリーズ、三洋化成工業(株)製のニューポールPEシリーズ、旭電化工業(株)製のアデカプルロニックL又はFシリーズ、第一工業製薬(株)製のエパンシリーズ、日油(株)製のプロノンシリーズ又はユニルーブ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なかでも、より好適に本発明のタイヤ用ゴム組成物が得られるという理由から、プルロニック型非イオン界面活性剤が好ましい。
上記ゴム組成物が上記非イオン界面活性剤を含有する場合、上記式(1)で表される非イオン界面活性剤、上記式(2)で表される非イオン界面活性剤、及びプルロニック型非イオン界面活性剤の合計含有量(上記非イオン界面活性剤の含有量)は、ゴム組成物100質量%中、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは0.9質量%以上、特に好ましくは1.2質量%以上、最も好ましくは1.5質量%以上である。0.3質量%未満では、本発明の効果が充分に得られないおそれがある。また、上記合計含有量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.5質量%以下である。5.0質量%を超えると、低燃費性、耐摩耗性、タイヤの外観が悪化するおそれがある。
上記非イオン界面活性剤の含有量を上記範囲内とすることにより、80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量を好適に上記特定量以上とでき、更には、屋外に6カ月間静置した後、色差計を用いて測定した色差(−(a*+b*)×10)を好適に−20より大きくすることができる。
本発明のゴム組成物は、オゾンによる亀裂の発生及び進行を抑制するために、老化防止剤を含有する。
老化防止剤としては特に限定されず、例えば、ナフチルアミン系、キノリン系、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系、ヒドロキノン誘導体、フェノール系(モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、ポリフェノール系)、チオビスフェノール系、ベンゾイミダゾール系、チオウレア系、亜リン酸系、有機チオ酸系老化防止剤などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐オゾン性能が良好であり、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、p−フェニレンジアミン系が好ましい。
p−フェニレンジアミン系老化防止剤としては、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,4−ジメチルペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−メチルヘプチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(1−エチル−3−メチルペンチル)−p−フェニレンジアミン、N−4−メチル−2−ペンチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジアリール−p−フェニレンジアミン、ヒンダードジアリール−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐オゾン性能が良好であり、本発明の効果がより好適に得られ、経済性にも優れるという理由から、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンがより好ましい。
老化防止剤の初期含有量(ゴム組成物を調製する際に配合する老化防止剤の配合量)は、ゴム組成物100質量%中、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上である。0.5質量%未満であると、充分な耐クラック性が得られない。老化防止剤の含有量は、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、更に好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下、最も好ましくは1.4質量%以下である。5.0質量%を超えると、老化防止剤のブルーム量が増大し、タイヤの外観が悪化するおそれがある。
老化防止剤の初期含有量の下限値を上記量とすることにより、80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量を好適に上記特定量以上とでき、老化防止剤の初期含有量の上限値を上記量とすることにより、屋外に6カ月間静置した後、色差計を用いて測定した色差(−(a*+b*)×10)を好適に−20より大きくすることができる。
本発明のゴム組成物に使用されるゴム成分としては、例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムが挙げられる。ゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、イソプレン系ゴム、BR、SBRが好ましく、イソプレン系ゴム、BR、SBRを併用することがより好ましい。
イソプレン系ゴムとしては、合成イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、改質天然ゴム等が挙げられる。NRには、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)も含まれ、改質天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等が挙げられる。また、NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、NR、IRが好ましく、NRがより好ましい。
上記ゴム組成物がイソプレン系ゴムを含有する場合、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。該イソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。イソプレン系ゴムの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
BRとしては特に限定されず、例えば、JSR(株)製のBR730、BR51、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B、BR710等の高シス含量BR、日本ゼオン(株)製のBR1250H等の低シス含量BR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等の1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶(SPB)を含有するBR(SPB含有BR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、シス含量が95質量%以上の高シス含量BRが好ましい。
上記ゴム組成物がBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。該BRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。BRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
SBRとしては特に限定されず、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、S−SBRが好ましい。
上記ゴム組成物がSBRを含有する場合、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上である。該SBRの含有量は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。SBRの含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物では、イソプレン系ゴム、BR、及びSBRの合計含有量がゴム成分100質量%中好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。80質量%未満では、耐クラック性、耐オゾン性が悪化するおそれがある。
本発明では、ポリマー鎖に適度な架橋鎖を形成する為に、硫黄が使用される。これにより、上記非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより良好に得られる。硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1.0質量部以上である。0.1質量部未満であると、本発明の効果が充分に得られないおそれがある。硫黄の含有量は、好ましくは6.0質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは4.0質量部以下、特に好ましくは3.0質量部以下である。6.0質量部を超えると、操縦安定性、耐オゾン性、耐変色性、タイヤの外観が悪化するおそれがある。
本発明では、カーボンブラックを配合することが好ましい。これにより、良好な補強性が得られ、良好な操縦安定性、耐クラック性、耐オゾン性が得られる。また、上記非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより良好に得られる。
カーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は20m2/g以上が好ましく、50m2/g以上がより好ましく、80m2/g以上が更に好ましい。20m2/g未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。該N2SAは、180m2/g以下が好ましく、140m2/g以下がより好ましい。180m2/gを超えると、分散させるのが困難となり、操縦安定性、耐クラック性、耐オゾン性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。2質量部未満では、充分な補強性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。60質量部を超えると、操縦安定性、耐オゾン性が悪化する傾向がある。
本発明では、シリカを配合することが好ましい。シリカを配合することにより、タイヤの外観をより改善できる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、更に好ましくは150m2/g以上である。50m2/g未満では、操縦安定性、耐クラック性、耐オゾン性が低下する傾向がある。該N2SAは、好ましくは250m2/g以下、より好ましくは210m2/g以下である。250m2/gを超えると、分散させるのが困難となり、操縦安定性、耐クラック性、耐オゾン性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上、特に好ましくは40質量部以上である。また、シリカの含有量は、好ましくは80質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。シリカの含有量が80質量部を超えると、耐クラック性、耐オゾン性、耐変色性、タイヤの外観が悪化する傾向がある。シリカの含有量を上記範囲内にすることにより、タイヤの外観をより改善できるとともに、補強効果も得られる。
本発明のゴム組成物は、シリカを配合する場合、シリカとともにシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシランなどのビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランのグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシランなどのニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのクロロ系等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドがより好ましい。
上記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。2質量部未満では、操縦安定性、耐クラック性、耐オゾン性が低下する傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。20質量部を超えると、コストの増加に見合った効果が得られない傾向がある。
本発明では、オゾンによる亀裂の発生及び進行を抑制するために、ワックスを配合することが好ましい。本発明では、ワックスを配合しても上述のように、ワックス等の析出により形成されるタイヤ表面(ブルーム層)の凸凹を平滑化でき、光の乱反射が抑制されるため、上述の茶変色やワックスの析出により生じる白変色を軽減できる。また、タイヤ表面に適度な黒色外観と光沢を与えるなど、タイヤ外観が改善される。
ワックスとしては特に限定されず、石油系ワックス、天然系ワックスなどが挙げられ、また、複数のワックスを精製又は化学処理した合成ワックスも使用可能である。これらのワックスは、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。天然系ワックスとしては、石油外資源由来のワックスであれば特に限定されず、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。
上記ゴム組成物がワックスを含有する場合、ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1.0質量部以上である。0.5質量部未満であると、充分な耐オゾン性が得られないおそれがある。また、該ワックスの含有量は、好ましくは12質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5.0質量部以下である。12質量部を超えると、それ以上の耐オゾン性の向上効果が望めず、コストが上昇するおそれがある。
本発明のゴム組成物は、オイルを配合してもよい。オイルを配合することにより、加工性が改善され、タイヤに柔軟性を与える事ができ、本発明の効果がより良好に得られる。オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物を用いることができる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。パラフィン系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のPW−32、PW−90、PW−150、PS−32などが挙げられる。また、アロマ系プロセスオイルとして、具体的には出光興産(株)製のAC−12、AC−460、AH−16、AH−24、AH−58などが挙げられる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生湯、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果が好適に得られるという理由から、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
上記ゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。また、オイルの含有量は、好ましくは60質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは30質量部以下である。自らもタイヤ表面にブルームするオイルの含有量を上記範囲内とすることにより、上記非イオン界面活性剤のブルームを好適にコントロールでき、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物は加硫促進剤を含むことが好ましい。加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、又はキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤が好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、TBBSが好ましい。
上記ゴム組成物が加硫促進剤を含有する場合、加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。該含有量は、好ましくは5.0質量部以下、より好ましくは3.0質量部以下である。加硫促進剤の含有量が上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸、粘着付与剤などを適宜配合することができる。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明のゴム組成物は、使用環境下で大気中にさらされるタイヤ用ゴム組成物として使用される。具体的には、タイヤの表面(外面)を構成し、使用環境下で大気中にさらされ、良好な耐クラック性、耐変色性が要求されるタイヤ部材であるトレッド、サイドウォール、クリンチ及び/又はウイングに使用されるトレッド用ゴム組成物、サイドウォール用ゴム組成物、クリンチ用ゴム組成物及び/又はウイング用ゴム組成物として使用される。
サイドウォールとは、ショルダー部からビード部にかけてケースの外側に配された部材であり、具体的には、特開2005−280612号公報の図1、特開2000−185529号公報の図1等に示される部材である。
クリンチとは、サイドウォール下部に存在するリムとの接触部をカバーするゴム部であり、クリンチエイペックス又はラバーチェーファーともいう。具体的には、例えば、特開2008−75066号公報の図1等に示される部材である。
ウイングとは、ショルダー部において、トレッドとサイドウォールの間に位置する部材であり、具体的には、特開2007−176267号公報の図1、3等に示される部材である。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。
すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド、サイドウォール、クリンチ、ウイング等のタイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成できる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤが得られる。
本発明の空気入りタイヤは、たとえば乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等として用いられる。なお、本明細書における高性能タイヤとは、グリップ性能に特に優れたタイヤであり、競技車両に使用する競技用タイヤをも含む概念である。
本発明はまた、ゴム組成物に配合された老化防止剤の揮発性を予測する手法も提供する。
老化防止剤の含有量の測定方法としては、特開平4−20857号公報には、ゴム試料を薄層クロマトグラフィー・プレート上に直接置き、吸着させることで、ゴム表面に析出した老化防止剤を定量する方法が開示されているが、表面にとどまっている老化防止剤の量を定量することしかできず、老化防止剤の揮発性を評価することはできなかった。
本発明者らは、上述の通り、温度条件と市場で実際に使用される場合との相関を調べた結果、80℃の温度で2週間静置させることによって市場において約2年経過した後の状態と相関が得られることを見出した。更に、80℃の恒温容器に2週間静置した後、ゴム中の残存する老化防止剤の含有量が0.5質量%以上であれば、市場で実際に使用した場合に良好な耐クラック性を保つことができることを見出した。従って、本発明では、この知見に基づいて、以下の方法を提供する。
方法1:ゴム組成物を80℃の恒温容器に2週間静置する工程1と、静置したゴム組成物中に含まれる老化防止剤の含有量を測定する工程2とを含む、ゴム組成物に配合された老化防止剤の揮発性を評価する方法
方法2:ゴム組成物を80℃の恒温容器に2週間静置する工程1と、静置したゴム組成物中に含まれる老化防止剤の含有量を測定する工程2と、工程2で測定した老化防止剤の含有量に基づいて、ゴム組成物の耐クラック性を評価する工程3とを含む、ゴム組成物の耐クラック性を評価する方法
すなわち、方法2は、方法1の方法に更に工程3を加えた方法である。
(工程1)
工程1では、測定対象であるゴム組成物(測定試料)を80℃の恒温容器に2週間静置する。ここで、80℃の恒温容器とは、80±2℃の恒温容器を意味する。
恒温容器(オーブン)は、温度を80℃に維持できるものであれば特に限定されないが、ゴムと空気との接触機会を増やすため、空気循環装置がついている強制循環形熱老化試験機を用いることがより好ましい。
恒温容器の容量は、槽内に揮発した老化防止剤が飽和しないよう5L以上が好ましく、20L以上がより好ましく、また槽内の老化防止剤濃度や温度に差がでないよう80L以下が好ましい。
恒温容器内で空気循環させる場合の風速は、老化防止剤の揮発を促進するため0.25m/s以上であることが好ましく、ゴムの市場での劣化状態との相関を保てる1.5m/s以下であることが好ましい。
測定対象であるゴム組成物(測定試料)の形状、大きさは特に限定されないが、直方体形状が好ましく、幅5〜30mm、長さ60〜200mm、厚さ0.5〜5mmの直方体形状がより好ましい。なお、測定対象であるゴム組成物としては、未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物のいずれも使用できるが、本発明の効果がより好適に得られるという理由から、加硫ゴム組成物が好ましい。
(工程2)
工程2では、工程1により静置した後のゴム組成物について、該ゴム組成物中に含まれる老化防止剤の含有量を測定する。
ゴム組成物中に含まれる老化防止剤の含有量の測定方法は、特に限定されないが、例えば、有機溶媒にてゴム組成物内部の老化防止剤を抽出し、得られた抽出物を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定すればよい。
抽出に使用する有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、アセトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサン、トルエン、メタノール等が挙げられる。
方法1では、ゴム組成物を80℃の恒温容器に2週間静置することにより、試料内部の老化防止剤の揮発を促進し、その後試料中に残存する老化防止剤量を評価することによって、使用環境下で大気中にさらされた際の老化防止剤の揮発性を予測することができる。
(工程3)
方法2では、更に、工程3を実施する。
工程3では、工程2で測定した老化防止剤の含有量、すなわち、ゴム中に残存する老化防止剤の含有量に基づいて、ゴム組成物の耐クラック性を評価する。これにより、あるゴム組成物が、市場で実際に使用した場合に良好な耐クラック性を有するゴム組成物であるか否かを評価でき、市場で実際に使用した場合の耐クラック性をより正確に予測することができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
天然ゴム:RSS#3
SBR:日本ゼオン社製 NS116R(溶液重合SBR、結合スチレン量:23質量%、Tg:−21℃)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量:98質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のシーストN220(N
2SA:114m
2/g)
シリカ:EVONIK−DEGUSSA社製のウルトラジルVN3(N
2SA:175m
2/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
プロセスオイル(アロマオイル):ジャパンエナジー社製のプロセスX−140(アロマ系プロセスオイル)
パラフィンワックス:日本精蝋(株)製 オゾエース0355
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
非イオン界面活性剤1:三洋化成工業(株)製のニューポールPE−64(プルロニック型非イオン界面活性剤(PEG/PPG−25/30コポリマー)(上記式(I)のa+c:25、b:30))
非イオン界面活性剤2:三洋化成工業(株)製のイオネットDO600(主成分が、式(2)のR
2及びR
3:−C
17H
33、式(2)のe:12、下式で表わされる化合物)
非イオン界面活性剤3:三洋化成工業(株)製のイオネットPO600(主成分が、式(1)のR
1:−C
17H
33、式(1)のd:12、下式で表わされる化合物)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(化学名:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド))
1.7Lバンバリーミキサーを用いて、天然ゴム(20部)、SBR(40部)、BR(40部)、カーボンブラック(20部)、シリカ(50部)、シランカップリング剤(5部)、プロセスオイル(20部)、パラフィンワックス(1部)、老化防止剤(表1の老化防止剤量参照)、非イオン界面活性剤(表1の非イオン性界面活性剤量参照)、ステアリン酸(2部)、酸化亜鉛(2部)を混練りした。次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄(2部)及び加硫促進剤(1部)を添加して練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。次に、得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物(加硫ゴムシート)を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物を用いて、トレッドの形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して試験用タイヤを得た。
なお、表1に記載の量(質量%)は、ゴム組成物100質量%中の含有量(質量%)を意味する。
<加硫ゴム組成物の評価>
得られた加硫ゴム組成物を下記により評価し、結果を表1に示した。
厚さ2mmのゴムシートから幅15mm×長さ120mmの長方形状に切り出したサンプルを試験片とし、80℃のオーブンで2週間静置した(恒温容器の容量:64L、恒温容器内の風速:1.0m/s)後、以下の評価を行った。
(残存老化防止剤濃度の計測)
試験片から1mm角の立方体形状に切り出したものを50mg準備し、アセトン(和光純薬工業(株)製の特級アセトン)にて試験片内部の老化防止剤などを抽出した。得られた抽出物を、ガスクロマトグラフィー装置((株)島津製作所製)を用いて成分分析を行った。溶離剤として窒素ガス((株)島津製作所製、純度99.9%)を用い、毎分50mL、50℃の条件で分離した後、概物質の溶出ピークの面積を用いて、概物質の重量分率を見積もった。
(屋外暴露試験)
ゴム試験片を屋外の日の当たる場所(兵庫県神戸市)に6カ月間(3月〜9月)放置した後、色差計を用いて、a*、b*を測定し、その値により、以下の基準にしたがって5段階に分けて評価した。数字が大きいほど、茶変色の度合いが小さいことを示している。なお、a*は赤色の強さを意味しており、b*は黄色の強さを意味している。3以上の場合、耐変色性が良好であると判断した。
(基準)
1:−(a*+b*)×10≦−30
2:−30<−(a*+b*)×10≦−20
3:−20<−(a*+b*)×10≦−10
4:−10<−(a*+b*)×10≦0
5:−(a*+b*)×10>0
<試験用タイヤの市場での耐クラック性評価>
試験用タイヤを2年間使用した後、トレッド溝底の耐クラック性を評価した。評価方法は目視にて確認し、亀裂の長さに応じて下記のように評点付けを行った。結果を表1に示した。
◎:亀裂が発生していない
○:亀裂は発生しているが、長さが1mm未満
△:亀裂の長さが1mm以上〜3mm未満
×:亀裂の長さが3mm以上
80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量が0.5質量%以上である実施例は、良好な耐クラック性を有していた。また、実施例は、耐変色性、ゴム(タイヤ)の外観も良好であった。
実施例及び比較例の比較により、残存老化防止剤量と市場での耐クラック性能には相関があり、80℃の恒温容器に2週間静置した後、残存する老化防止剤の含有量が0.5質量%以上であれば市場での耐クラック性を保てることが分かった。
実施例1と比較例1の比較により、特定の非イオン界面活性剤を配合した実施例1の方が残存する老化防止剤の含有量が多いことから、ゴム組成物に特定の非イオン界面活性剤を配合することにより、老化防止剤の表面への析出速度を抑えつつ、表面に析出した後の老化防止剤の揮発も抑制でき、耐クラック性を改善できることが分かった。