JP2017190736A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】水噴射による過剰な燃焼抑制とその結果生じる失火のリスクを回避することができる内燃機関の制御装置を提供すること。【解決手段】筒内圧力を把握するための筒内圧センサ30と、水を収容した水タンク46と、水タンク46内の水を水噴射インジェクタ43へ圧送するポンプ45と、開弁することで燃焼室7内に水を噴射する水噴射インジェクタ43と、SI燃焼からHCCI燃焼へ切り替える場合、新気が気筒内に流入して安定なリーンHCCI運転となるまでの所定サイクル数Yの間、最大筒内圧が目標最大筒内圧になるように水噴射を行なわせるECU3と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、ガソリンエンジン等の内燃機関の燃焼形態としては、点火プラグからの火花放電により強制的に混合気を着火させるSI(Spark Ignition)燃焼が広く一般的であったが、近年、気筒内に高温の既燃ガスを導入して混合気を自着火させる予混合圧縮自着火燃焼を燃焼形態として利用するガソリンエンジンの開発が進められている。ここで、予混合圧縮自着火燃焼は、HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)燃焼と称される。
このようなHCCI燃焼機能を備える内燃機関において、排気行程から吸気行程にかけて吸気弁と排気弁とをともに閉じて、排ガスを内部EGR(Exhaust Gas Recirculation)ガスとして燃焼室に封鎖させる負のバルブオーバーラップ(NVO:Negative Valve Overlap)期間を設け、内部EGRガスにより燃焼室内の温度である筒内温度を高温にするものがある。
SI燃焼とHCCI燃焼を切り替える内燃機関において、SI燃焼からHCCI燃焼へ切り替える際に、NVO期間を増やすことで内部EGR量を増やしている。SI燃焼からHCCI燃焼への切り替え直後は、SI燃焼による排気の温度が高いため、HCCI燃焼開始時の着火時期が許容値以上に早期化する。この着火時期の早期化によって、燃焼温度が高温となるとともに圧力上昇率が増大することにより、振動の増大や騒音の悪化が発生する。
特許文献1では、火花点火式燃焼から圧縮着火式燃焼へ切り替える際に、排気温度に基づいて内部EGR量等の操作量を補正し、排気温度が所定値以内となったときに各操作量を圧縮着火式燃焼の設定値としている。
また、特許文献2では、火花点火運転から自着火運転へと運転を切り換えるとき、運転切換え直前の最後の火花点火に基づく燃焼により生成された燃焼ガスが燃焼室から排出され始めた後の所定のタイミングにて水などの液体を1回または2回噴射するようにしている。
噴射する水は、車両内の水タンクに貯蔵され、そこへユーザが水を充填したり、外部EGRや排気管で凝縮する水をタンクに貯めたりして運用されている。また、水の噴射量は、エンジン負荷やエンジン回転数によって決定される(段落0084参照)。
特開2007−247479号公報 特開2006−17082号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載のものでは、内燃機関が高負荷で運転されている場合は、内部EGRガス温度が高いため、HCCI燃焼開始時に急峻な燃焼が発生する。その結果、最大筒内圧が増加し、燃焼騒音の悪化や振動の増大が発生する。
また、上述の特許文献2に記載のものでは、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替えを多用するような状況では、水タンク中の水量が不足し、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替え時に必要な水を噴射できず、上述の問題を解決できない。
一方、内燃機関の冷却水温や吸気温が低く、HCCI燃焼が発生しにくい状況では、水噴射により失火する恐れがある。
そこで、本発明は、水噴射による過剰な燃焼抑制とその結果生じる失火のリスクを回避することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため本発明は、火花点火燃焼と圧縮自着火燃焼とが切り替え可能に構成された内燃機関の制御装置であって、前記内燃機関の気筒内の圧力を検出する筒内圧センサと、前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼へ切り替える場合に、前記気筒内の新気量が前記圧縮自着火燃焼に必要な量となるまで、前記気筒内の最大筒内圧が目標値となるように前記気筒内へ水噴射を行なわせる制御部と、を備えるものである。
このように本発明によれば、水噴射による過剰な燃焼抑制とその結果生じる失火のリスクを回避することができる内燃機関の制御装置を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の概略構成図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の目標最大筒内圧を求めるマップの例を示すグラフである。 図3は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の噴射指令時間を求めるマップの例を示すグラフである。 図4は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の着火前筒内温度予測マップの例を示すグラフである。 図5は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の水噴射量マップの例を示すグラフである。 図6は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の水噴射制御処理の手順を示すフローチャートである。 図7は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の水噴射量決定ロジックの手順を示すフローチャートである。 図8は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の水噴射制御処理による水噴射インジェクタの動作を示すタイムチャートである。 図9は、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置の水噴射制御処理による最大筒内圧の変化を示すタイムチャートである。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る内燃機関の制御装置について詳細に説明する。
図1において、本発明の一実施形態に係る内燃機関の制御装置を搭載した車両1は、内燃機関型のエンジン2と、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)3とを含んで構成される。
エンジン2には、気筒としてのシリンダ5が形成されている。シリンダ5には、このシリンダ5内を上下に往復動可能なピストン6が収納されている。また、シリンダ5の上部には、燃焼室7が設けられている。この燃焼室7には、シリンダ5の内部の圧力である筒内圧力を把握するための筒内圧センサ30が設けられている。
エンジン2は、シリンダ5内でピストン6が2往復する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行なう、いわゆる4サイクルのガソリンエンジンである。
また、ピストン6は、不図示のコネクティングロッドを介してクランクシャフトと連結している。コネクティングロッドは、ピストン6の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換するようになっている。
また、燃焼室7には、点火プラグ8と、インジェクタ9が設けられている。点火プラグ8は、燃焼室7内に電極を突出させた状態で配設され、ECU3によってその点火時期が制御されるようになっている。インジェクタ9は、図示しない燃料タンクから燃料ポンプによって供給された燃料を燃焼室7内に噴射する、いわゆる筒内噴射式の燃料噴射弁である。
エンジン2には、吸気ポート11と、排気ポート21が設けられている。吸気ポート11は、燃焼室7と後述する吸気通路16aとを連通するようになっている。また、吸気ポート11には、吸気弁12が設けられている。
吸気弁12は、吸気通路16aと燃焼室7とを連通または遮断するように開閉されるようになっている。吸気弁12の開閉は、吸気側可変動弁機構13によって行なわれるようになっている。
吸気側可変動弁機構13としては、例えば電磁石とスプリング等から構成された電磁アクチュエータにより吸気弁12の開閉を行なう電磁式の可変動弁機構を用いることができる。具体的には、吸気側可変動弁機構13は、電磁石の励磁によって吸気弁12に固定された可動部を吸引することで、スプリングによって常時閉弁方向に付勢されている吸気弁12を開弁方向に移動させるようになっている。
なお、吸気側可変動弁機構13としては、電磁アクチュエータに替えて油圧アクチュエータを用いた油圧式の可変動弁機構を用いてもよい。また、吸気側可変動弁機構13として、主カムおよび副カム等のカム部材を用いて吸気弁12の開閉時期を変更可能な機械式の可変動弁機構を用いても構わない。
さらに、この吸気側可変動弁機構13は、例えば電磁石に対する励磁電流がECU3によって調整されることにより、吸気弁12の開閉時期とともに吸気弁12のリフト量を連続的に変化させることが可能な構成であってもよい。
また、吸気ポート11には、吸気マニホールド14が接続されている。吸気マニホールド14の吸気が流れる吸気方向の上流側には、サージタンク15が設けられている。
サージタンク15の吸気方向の上流側には、吸気管16が接続されている。この吸気管16の内部には、吸気ポート11と連通する吸気通路16aが形成されている。吸気通路16aには、電子制御式のスロットルバルブ17が設けられている。スロットルバルブ17は、ECU3に電気的に接続されている。
スロットルバルブ17は、ECU3からの指令信号に応じてスロットル開度が制御されることで、エンジン2の吸入空気量を調整するようになっている。スロットルバルブ17には、スロットル開度を検出するスロットル開度センサ18が設けられている。
一方、排気ポート21には、排気弁22が設けられている。排気弁22は、後述する排気通路24aと燃焼室7とを連通または遮断するように開閉されるようになっている。排気弁22の開閉は、排気側可変動弁機構23によって行なわれるようになっている。
排気側可変動弁機構23は、上述した吸気側可変動弁機構13と同様の構成であるため、詳細な説明を省略するが、電磁石の励磁、非励磁がECU3によって制御されることで、排気弁22の開閉時期が任意に変更される。なお、排気側可変動弁機構23として、電磁アクチュエータに替えて油圧アクチュエータを用いた油圧式の可変動弁機構を用いてもよい。また、排気側可変動弁機構23として、主カムおよび副カム等のカム部材を用いて排気弁22の開閉時期を変更可能な機械式の可変動弁機構を用いても構わない。したがって、ECU3は、排気弁22の開弁期間を容易に調整することができる。
また、排気ポート21には、排気管24が接続されている。この排気管24の内部には、排気ポート21と連通する排気通路24aが形成されている。
このエンジン2には、吸気通路16aと排気通路24aとを連通する排気還流管41が設けられている。排気還流管41は、排気の一部を吸気側に還流させるEGRを行なわせるようになっている。この排気還流管41には、排気の還流量を調整する排気還流制御弁としてのEGRバルブ42が設けられている。
EGRバルブ42は、ECU3に電気的に接続されている。EGRバルブ42は、ECU3からの指令信号に応じてバルブ開度が制御されることで、吸気側に還流させる排気ガスの量を調整するようになっている。
燃焼室7には、水噴射インジェクタ43が設けられている。水噴射インジェクタ43は、水供給管44を介してポンプ45に接続されている。ポンプ45は、水を収容した水タンク46に接続されている。水タンク46には、水タンク46内の水の量を検出する水量センサ47が設けられている。
ポンプ45は、水タンク46内の水を水噴射インジェクタ43へ圧送する。これにより、水噴射インジェクタ43は、ECU3からの駆動信号に応答して開弁したとき、燃焼室7内に水を噴射する。
水タンク46は、水補給管48を介してフィルタ49に接続されている。フィルタ49は、サージタンク15に接続される。これにより、排気還流管41で発生した凝縮水が、サージタンク15を介してフィルタ49に流入し、フィルタ49によってろ過されて、水タンク46に貯められる。
ECU3は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、フラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
このコンピュータユニットのROMには、各種制御定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU3として機能させるためのプログラムが記憶されている。すなわち、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することにより、当該コンピュータユニットは、ECU3として機能する。
ECU3の入力ポートには、上述した、スロットル開度センサ18、筒内圧センサ30、水量センサ47に加え、アクセル開度センサ31、クランク角度センサ32等の各種センサ類が接続されている。
アクセル開度センサ31は、例えば加速要求時等に運転者によって操作される図示しないアクセルペダルの開度であるアクセル開度を検知するようになっている。また、クランク角度センサ32は、クランクシャフトの回転角度を検知するようになっている。ECU3は、クランク角度センサ32から入力される検知結果に基づきエンジン回転数を算出するようになっている。
一方、ECU3の出力側には、前述した点火プラグ8、インジェクタ9、吸気側可変動弁機構13、スロットルバルブ17、排気側可変動弁機構23、EGRバルブ42、水噴射インジェクタ43等の各種制御対象類が接続されている。
ECU3は、エンジン2の運転状態に応じてSI燃焼とHCCI燃焼とを切り替えるようになっている。具体的には、ECU3は、エンジン回転数及びエンジン負荷をパラメータとする燃焼領域マップを参照することにより、エンジン2の運転領域がSI燃焼領域およびHCCI燃焼領域のいずれにあるかを判断し、この判断に基づきSI燃焼を行なうかHCCI燃焼を行なうかを選択するようになっている。燃焼領域マップは、予め実験等により求められ、ECU3のROMに記憶されている。
ECU3は、アクセル開度センサ31から入力されたアクセル開度やクランク角度センサ32から入力される検知結果から算出したエンジン回転数などに基づき機関負荷としてのエンジン負荷を算出するようになっている。
ECU3は、HCCI燃焼を行なうHCCIモードでは、エンジン回転数及びエンジン負荷に基づいて、運転者から要求されたエンジン負荷を出力するための吸気弁12及び排気弁22のバルブタイミングやインジェクタ9による燃料噴射量を決定する。
また、ECU3は、HCCIモードでは、排気行程から吸気行程にかけて吸気弁12及び排気弁22をともに閉じる封鎖期間(NVO期間)を設定するようになっている。
ECU3は、SI燃焼からHCCI燃焼へ切り替えるとき、燃焼室7内に水を噴射させて筒内圧を目標の筒内圧まで下げて、安定なリーンHCCI燃焼とする。
ECU3は、エンジン2の運転領域がHCCI燃焼領域であると判定してから、予め設定された所定サイクルの間、水噴射インジェクタ43により燃焼室7に水を噴射させる。ECU3は、火花点火の燃焼による燃焼ガスが燃焼室7から排出され始めた後の所定のタイミングで水噴射インジェクタ43により燃焼室7に水を噴射させる。
所定サイクルは、HCCI燃焼への切り替えが開始されることによるスロットル開度の増加によって大量の新気が気筒内に流入し、安定なリーンHCCI運転となるまでのサイクル数である。このサイクル数は、吸気行程から排気行程までの4行程を1サイクルとしている。
ECU3は、例えば、新気がピストン速度と同じ速度で気筒内に入るとして、スロットルバルブ17から吸気弁12までの距離をL[m]、ピストン速度をv[m/s]、エンジン回転数をNe[rpm]として、以下の数1により所定サイクル数Yを算出する。
Figure 2017190736
所定のタイミングは、予め実験等により求められ、ECU3のROMに記憶されている。
これにより、安定なリーンHCCI運転となるまでの所定サイクル数の間に水噴射を行なうことができるとともに、所定サイクルをエンジン諸元やエンジン回転数に応じて一意的に決めることができる。
ECU3は、エンジン2の運転領域がHCCI燃焼領域であると判定したとき、水量センサ47の検出する水タンク46の水量が、予め設定された所定量未満であれば、HCCI燃焼を行なわない。
水タンク46の水量の所定量は、例えば、水噴射インジェクタ43による燃焼室7への水噴射の水量を記憶しておき、水量の平均値と標準偏差σを求め、平均値に2σを加算した値を水量の所定量とする。つまり、正規分布に当てはめたときの切り替え毎の噴射水量のバラつきを求め、切り替えの95%の回数で水量が不足しないようにする。
これにより、水噴射ができない状況下でのSI燃焼からHCCI燃焼への切り替えによる筒内圧増大を抑えることができる。
ECU3は、エンジン2の運転領域がHCCI燃焼領域であると判定したときのエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて、HCCI燃焼への切り替え時の目標となる最大筒内圧である目標最大筒内圧を算出する。
ECU3は、例えば、図2に示すような、エンジン負荷とエンジン回転数とから目標最大筒内圧が決まるマップにより目標最大筒内圧を算出する。このマップは、予め実験等により求められ、ECU3のROMに記憶されている。目標最大筒内圧は、エンジン負荷が高いほど高く、エンジン回転数が高いほど高く設定される。
ECU3は、エンジン2の運転領域がHCCI燃焼領域であると判定したときのエンジン負荷とエンジン回転数に基づいて最初の水噴射の水噴射量を算出する。
ECU3は、例えば、図3に示すような、エンジン負荷とエンジン回転数とから水噴射インジェクタ43への噴射指令時間が決まるマップにより噴射指令時間を求め、水噴射量を決める。このマップは、予め実験等により求められ、ECU3のROMに記憶されている。水噴射の噴射指令時間は、エンジン負荷が高くエンジン回転数が低い程、長くなるように設定される。
エンジン負荷が高い程、噴射指令時間を長くするのは、燃料噴射量が多いので最大筒内圧が増加しやすいためである。エンジン回転数が低い程、噴射指令時間を長くするのは、混合気が圧縮される時間が長いため、燃焼が急峻となり最大筒内圧が増加しやすいためである。
ECU3は、2回目以降の水噴射量は、エンジン負荷とエンジン回転数と最大筒内圧の現在値と目標最大筒内圧とに基づいて算出する。
ECU3は、例えば、図4に示すような、エンジン負荷とエンジン回転数と最大筒内圧とから着火前筒内温度が決まる着火前筒内温度予測マップにより、現在の最大筒内圧による着火前筒内温度と、目標最大筒内圧による着火前筒内温度との偏差を算出する。着火前筒内温度予測マップは、予め実験等により求められ、ECU3のROMに記憶されている。着火前筒内温度は、最大筒内圧が高いほど高く設定される。
ECU3は、例えば、図5に示すような、エンジン負荷とエンジン回転数と着火前筒内温度偏差から噴射水量が決まる水噴射量マップにより水噴射量を算出する。水噴射マップは、噴射した水が持つ蒸発潜熱が筒内ガスを冷却する温度幅に対応したもので、熱力学に基づいた計算によって求めることができる。水噴射量マップは、ECU3のROMに記憶されている。
ECU3は、算出した水噴射量に基づいて水噴射インジェクタ43の噴射指令時間を算出し、水噴射インジェクタ43を制御する。
ECU3は、最大筒内圧の現在値が目標最大筒内圧を下回る場合は、水噴射が必要ないと判定し、水噴射を行なわないようにしてもよい。
これにより、水噴射による過剰な燃焼抑制とその結果生じる失火のリスクを回避することができる。
ECU3は、エンジン2の運転領域がHCCI燃焼領域であると判定して水噴射を始めてから水噴射を続けている間、積算水噴射量を算出する。ECU3は、積算水噴射量が最小筒内容積に調整係数Xを乗算した積算水噴射量所定値を超えた場合、水噴射を停止する。調整係数Xは、安全係数に対応しており、ゼロから1の間の値をとる。調整係数Xは、0.8程度の値とするのが好適である。
これにより、ウォーターハンマーのリスクを回避しつつ、水噴射を利用したSI燃焼からHCCI燃焼への切り替えを行なうことができる。
以上のように構成された本実施形態に係る内燃機関の制御装置による水噴射制御処理について、図6及び図7を参照して説明する。なお、以下に説明する水噴射制御処理は、ECU3が動作を開始すると開始され、予め設定された時間間隔で実行される。
ステップS1において、ECU3は、エンジン負荷及びエンジン回転数がHCCI運転領域内か否かを判定する。HCCI運転領域内でないと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
HCCI運転領域内であると判定した場合、ステップS2において、ECU3は、水タンク46の水量が所定量以上であるか否かを判定する。水タンク46の水量が所定量以上でないと判定した場合、ECU3は、処理を終了する。
水タンク46の水量が所定量以上であると判定した場合、ステップS3において、ECU3は、エンジン負荷とエンジン回転数とから目標最大筒内圧を算出する。このとき、SI燃焼からHCCI燃焼への切替制御が始まったことを示すフラグをオンにして、他の処理が識別できるようにしてもよい。
ステップS4において、ECU3は、排気弁22の閉時期を進角させる。
ステップS5において、ECU3は、吸気弁12の開時期を遅角させる。
このようにして、ECU3は、HCCI運転に必要な残留ガスを気筒内に多く捕捉するためのNVO期間を設ける。
ステップS6において、ECU3は、スロットル開度を増し、リーンなHCCI運転への移行を開始する。
ステップS7において、ECU3は、エンジン負荷とエンジン回転数とから初回の水噴射の噴射指令時間を算出する。
ステップS8において、ECU3は、水噴射インジェクタ43を開弁させる。ステップS9において、ECU3は、水噴射の噴射指令時間によりタイマーをかけ待ち合わせる。タイマーの時間が満了すると、ECU3は、ステップS10において、水噴射インジェクタ43を閉弁させる。
ステップS11において、ECU3は、積算水噴射量が最小筒内容積に調整係数Xを乗算した値未満であるか否かを判定する。積算水噴射量が最小筒内容積に調整係数Xを乗算した値未満でないと判定した場合、ECU3は、ステップS16に処理を進める。
積算水噴射量が最小筒内容積に調整係数Xを乗算した値未満であると判定した場合、ステップS12において、ECU3は、水噴射を行なったサイクルの最大筒内圧を現在の最大筒内圧として取得する。
ステップS13において、ECU3は、図7に示す水噴射量決定ロジックにより算出された噴射指令時間を次回の水噴射の噴射指令時間として更新する。
ステップS14において、ECU3は、次サイクルの水噴射時期まで待機する。
次サイクルの水噴射時期になると、ステップS15において、ECU3は、水噴射を所定サイクル数Yだけ行なったか否かを判定する。水噴射を所定サイクル数Yだけ行なっていないと判定した場合、ECU3は、ステップS8に戻って処理を続ける。
水噴射を所定サイクル数Yだけ行なったと判定した場合、ステップS16において、ECU3は、点火プラグ8による火花点火をオフにする。
ステップS17において、ECU3は、積算水噴射量をゼロにリセットして、処理を終了する。
次に、図7を参照して、水噴射量決定ロジックを説明する。
ステップS21において、ECU3は、着火前筒内温度予測マップを用いて着火前筒内温度偏差を算出する。
ステップS22において、ECU3は、水噴射量マップを用いて水噴射量を算出する。
ステップS23において、ECU3は、水噴射量から水噴射の噴射指令時間を算出して、処理を終了する。
このような燃焼安定化処理による動作について図8及び図9を参照して説明する。図8に示すように、T1において、エンジン負荷及びエンジン回転数がHCCI運転領域内であると判定されると、排気弁22の閉時期が進角され、吸気弁12の開時期が遅角され、NVO期間が設けられる。
同時にスロットル開度が開けられ、新気が導入される。この新気が気筒内に流入して安定なリーンHCCI運転となるまでの所定サイクル数Yの間水噴射が行なわれる。
初回の水噴射の噴射指令時間は、エンジン負荷とエンジン回転数に基づいて算出される。
2回目以降の噴射指令時間は、水噴射を行なったサイクルの最大筒内圧と目標最大筒内圧とに基づいて、最大筒内圧を目標最大筒内圧にするように算出される。
これにより、図9に示すように、内部EGR量は上昇し、最大筒内圧は低下していく。
そして、所定サイクル数Yの間水噴射が行なわれると、最大筒内圧が目標最大筒内圧に近づき、内部EGRガス温度は低下し、A/F(空燃比)は上昇する。
所定サイクル数Yの水噴射が終了すると、T2において点火プラグ8による火花点火がオフにされて、HCCI運転への移行が完了する。
このように、上述の実施形態では、SI燃焼からHCCI燃焼へ切り替える場合、新気が気筒内に流入して安定なリーンHCCI運転となるまでの所定サイクル数Yの間、最大筒内圧が目標最大筒内圧になるように水噴射を行なわせるECU3を備える。
これにより、水噴射による過剰な燃焼抑制とその結果生じる失火のリスクを回避することができる。また、安定なリーンHCCI運転となるまで水噴射を行なうことができる。
また、ECU3は、水タンク46の水量が所定値未満の場合、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替えを行なわない。
これにより、水タンク46の水量が不足して水噴射を行なえなくなり、最大筒内圧が増大するリスクを回避することができる。
また、ECU3は、過去のSI燃焼からHCCI燃焼への切り替え時の水噴射量を記憶しておき、過去の水噴射量の平均と標準偏差から所定値を求める。
これにより、水タンク46の水量の所定値を必要最低限とすることができ、多くの機会でSI燃焼からHCCI燃焼への切り替えを可能とすることができる。
また、ECU3は、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替えを開始してからの積算水噴射量が一定値以上となった場合、水噴射を停止する。
これにより、ウォーターハンマーのリスクを回避しつつ、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替え時の水噴射を実行することができる。
また、ECU3は、所定サイクル数Yをスロットルバルブ17から吸気弁12までの距離L、ピストン速度v、エンジン回転数Neから求める。
これにより、所定サイクル数Yをエンジン諸元やエンジン回転数に応じて一意的に決めることができる。
なお、本実施形態においては、SI燃焼からHCCI燃焼への切り替え時の水噴射時について示したが、水噴射を用いた急加速時の燃焼抑制やプレイグニッション抑制においても適用できる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 ECU(制御部)
18 スロットル開度センサ
30 筒内圧センサ
31 アクセル開度センサ
32 クランク角度センサ
43 水噴射インジェクタ
44 水供給管
45 ポンプ
46 水タンク
47 水量センサ

Claims (4)

  1. 火花点火燃焼と圧縮自着火燃焼とが切り替え可能に構成された内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関の気筒内の圧力を検出する筒内圧センサと、
    前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼へ切り替える場合に、前記気筒内の新気量が前記圧縮自着火燃焼に必要な量となるまで、前記気筒内の最大筒内圧が目標値となるように前記気筒内へ水噴射を行なわせる制御部と、を備える内燃機関の制御装置。
  2. 前記制御部は、前記水噴射に使用する水の量が所定量未満である場合は、前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り替えを行なわない請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記制御部は、過去の前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り替え時の前記水噴射の水量に基づいて前記使用所定量を算出する請求項2に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記制御部は、1回の前記火花点火燃焼から前記圧縮自着火燃焼への切り替え時の積算水噴射量が、積算水噴射量所定値以上となった場合、前記水噴射を停止させる請求項1から3のいずれか1項に記載の内燃機関の制御装置。
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