JP2017192911A - 燃料電池用脱硫剤 - Google Patents

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雅史 大橋
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好孝 馬場
本道 正樹
Masaki Hondo
正樹 本道
寛子 中野
Hiroko Nakano
寛子 中野
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Yasushiro Gomi
保城 五味
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Abstract

【課題】ガス中に含まれる硫黄化合物を効率良く吸着除去し、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成が抑制される燃料電池用脱硫剤を提供する。
【解決手段】活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、銅とモリブデンとを含む燃料電池用脱硫剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、燃料電池用脱硫剤に関する。
都市ガス、液化石油(LP:liquefied petroleum)ガス、天然ガス等の燃料ガスは、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の低級炭化水素ガスを含むため、工業用燃料や家庭用燃料として用いられるだけでなく、水素の製造用原料としても用いられる。
水素の工業的製造方法の1つである水蒸気改質法では、上記のような低級炭化水素ガスを、触媒の存在下で水蒸気を加えて改質することによって、水素を主成分とする改質ガスを生成させる。しかし、水蒸気改質法で用いられる触媒は、硫黄化合物によって被毒すると、触媒機能が低下する。
例えば、燃料電池システムの場合には、改質器の触媒だけでなく、発電セル内の電極触媒も硫黄化合物による被毒の影響を受けることから、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、予めできるだけ除去されることが望ましい。
また、燃料電池システムでは、発電するセルスタックに空気が供給されるが、空気中に含まれるSO等の硫黄酸化物も発電セルに悪影響を与え得る。そのため、空気中に含まれる硫黄酸化物についても、やはり予め除去されることが望ましい。
従来、ガス中の硫黄化合物を除去する技術としては、活性炭に金属を担持(「添着」ともいう。)させた吸着剤を利用する技術(例えば、特許文献1〜4参照)が提案されている。
また、都市ガス、LPガス、天然ガス等の燃料ガス中のサルファイド類及びメルカプタン類を同時に吸着除去する技術として、Y型ゼオライトに銀をイオン交換により担持させてなる硫黄化合物除去用吸着剤を利用する技術(例えば、特許文献5参照)が提案されている。
特開平7−80299号公報 特許第5528234号公報 特公平6−20539号公報 特公昭54−2297号公報 特許第4026700号公報
ガス中の硫黄化合物は、特許文献1〜5に開示されているような吸着剤(「脱硫剤」ともいう。)を利用する技術によって除去することが可能である。
しかしながら、燃料ガス中には、様々な種類の硫黄化合物が含まれている。
例えば、燃料ガス中には、漏洩の検知を目的として添加される付臭剤として、メチルメルカプタン(MM:methyl mercaptan)、エチルメルカプタン(EM:ethyl mercaptan)、tert-ブチルメルカプタン(TBM:tertiary-butyl mercaptan)等のメルカプタン類、ジメチルスルフィド(DMS:dimethyl sulfide)、ジエチルスルフィド(DES:dimethyl sulfide)、ジメチルジスルフィド(DMDS):dimethyl disulfide)等のサルファイド類、テトラヒドロチオフェン(THT:tetrahydrothiophene)等のチオフェン類などの硫黄化合物が含まれている。
一般に添加される付臭剤は、TBM、DMS、及びTHTであり、例えば、都市ガスでは、TBM及びDMSの両方が使用されることが多い。燃料ガス中に含まれるこれらの付臭剤の濃度は、いずれも数ppm程度である。
なお、都市ガス中には、付臭剤以外の硫黄化合物として、硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)等の原料由来のものや、導管を流れる間に混入したものなどが含まれることもある。
特許文献1〜4に開示されている吸着剤では、吸着剤の組成上、これらの複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することは困難である。
また、特許文献5に開示されている銀をゼオライトに担持させた吸着剤は、原料が高価であるため、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物の吸着除去への適用は、コスト高となる。近年、燃料電池システムの普及が現実的なものとなっていることを考えると、脱硫剤については、より低コストに、燃料ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を吸着除去できることが必要であるといえる。
また、燃料ガス中に含まれるチオフェン類等は、脱硫剤上で酸化され、チオフェンとなる場合がある。チオフェンは、吸着による除去が困難な硫黄化合物であることから、燃料ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成を抑制することができる脱硫剤が望ましい。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、ガス中に含まれる硫黄化合物を効率良く吸着除去し、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成が抑制される燃料電池用脱硫剤を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための具体的な手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1>活性炭と、上記活性炭に添着された金属と、を含み、上記金属は、銅とモリブデンとを含む燃料電池用脱硫剤。
<2>上記銅の添着量に対する上記モリブデンの添着量の割合が、質量基準で、0.15〜2.00の範囲である<1>に記載の燃料電池用脱硫剤。
本発明によれば、ガス中に含まれる硫黄化合物を効率良く吸着除去し、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成が抑制される燃料電池用脱硫剤が提供される。
実施例の評価試験に用いた脱硫器の概略図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本明細書において、燃料電池用脱硫剤中の各成分の量は、各成分に該当する物質が、脱硫剤中に複数種存在する場合には、特に断らない限り、脱硫剤中に存在する複数種の物質の合計量を意味する。
[燃料電池用脱硫剤]
本発明の燃料電池用脱硫剤(以下、単に「脱硫剤」ともいう。)は、活性炭と、上記活性炭に添着された金属と、を含み、上記金属は、銅とモリブデンとを含む。
本発明の燃料電池用脱硫剤では、ガス中に含まれる硫黄化合物を効率良く吸着除去し、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成が抑制される。
本発明の燃料電池用脱硫剤が、このような効果を奏し得る理由については明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の燃料電池用脱硫剤では、活性炭に、銅と、特定の金属(即ち、モリブデン)と、を組み合わせて添着させることで、ガス中に含まれる複数種の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができると考えられる。
ガス中に含まれる硫黄化合物としては、硫黄酸化物(SO、SO等)、硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン類〔メチルメルカプタン(MM)、エチルメルカプタン(EM)、tert-ブチルメルカプタン(TBM)等〕、サルファイド類〔ジメチルスルフィド(DMS)、ジエチルスルフィド(DES)、ジメチルジスルフィド(DMDS)等〕、チオフェン類〔テトラヒドロチオフェン(THT)等〕などが挙げられる。
また、銅は、酸化力が強いため、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物(例えば、チオフェン化合物)が含まれると、これらの硫黄化合物を酸化させる傾向にある。本発明の燃料電池用脱硫剤では、金属の大部分が金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等、特に酸化物)として活性炭に添着されていると考えられるが、モリブデンの酸化物は、酸素欠損が多いため、その欠損部にチオフェンを生成し得る硫黄化合物の硫黄が吸着し、その結果、チオフェンの生成が抑制されると考えられる。
酸化等の反応によってチオフェンを生成し得る硫黄化合物としては、テトラヒドロチオフェン(THT)、2−メチルチオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、4−メチルジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等のチオフェン化合物が挙げられる。
以下、本発明の燃料電池用脱硫剤に含まれる成分について、詳細に説明する。
<活性炭>
本発明の燃料電池用脱硫剤は、少なくとも1種の活性炭を含む。
活性炭としては、当該技術分野において、通常用いられる活性炭を特に制限なく用いることができる。
活性炭の原料としては、ヤシ殻、石炭(無煙炭、瀝青炭等)、木粉、ピート炭、竹炭などが挙げられる。
これらの中でも、活性炭の原料としては、平均細孔径が小さく、不純物の含有量が少ないという観点から、ヤシ殻が好ましい。
活性炭は、無機酸で処理された活性炭であることが好ましい。活性炭を無機酸で処理すると、不純物が除去され、比表面積が向上したり、活性炭の表面が親水化されたりするため、添着金属の分散度がより向上し得る。
活性炭を処理する無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
活性炭の形状としては、特に制限されず、粒状、柱状、繊維状、ハニカム状、破砕状等が挙げられる。
これらの中でも、活性炭の形状としては、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状から選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度が高く、かつ、微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
活性炭の形状が粒状である場合、活性炭の平均粒子径は、例えば、ガス流量が10L(リットル)/min以下では、ガスの偏流防止の観点及び脱硫剤の流出防止フィルターのメッシュ間隔の観点から、0.5mm〜5.0mmであることが好ましく、1.0mm〜3.0mmであることがより好ましい。
本明細書において「平均粒子径」とは、体積平均粒子径(Mv)をいい、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される値である。
活性炭の比表面積は、例えば、添着金属の分散度を向上させる観点から、600m/g以上であることが好ましく、1300m/g以上であることがより好ましい。
本明細書において「比表面積」は、BET法により測定される値である。
活性炭の平均細孔径は、例えば、硫黄化合物の分子径に合った孔径であるという観点から、0.9nm〜2.0nmであることが好ましく、0.9nm〜1.5nmであることがより好ましい。
本明細書において、「平均細孔径」は、窒素ガス吸着法により測定される値である。
<金属>
本発明の燃料電池用脱硫剤は、上述した活性炭に添着された金属を含み、該金属が、銅(Cu)とモリブデン(Mo)とを含む。
活性炭に添着された上記の金属の大部分は、金属元素を含む化合物(酸化物、無機酸塩、有機酸塩等)として含まれていると考えられるが、金属単体として含まれていてもよい。
銅の添着量は、例えば、脱硫剤の全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜8質量%であることが更に好ましい。
モリブデンの添着量は、例えば、脱硫剤の全質量に対して、1質量%〜20質量%であることが好ましく、2質量%〜15質量%であることがより好ましく、2質量%〜8質量%であることが更に好ましい。
銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15〜2.00の範囲であることが好ましく、0.15〜1.80の範囲であることがより好ましい。
銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合が、上記範囲内であると、ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去することができ、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成をより抑制することができる。
なお、ガス中に含まれる硫黄化合物をより効率良く吸着除去する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.15〜1.60の範囲であることが更に好ましい。
また、チオフェンの生成をより抑制する観点からは、銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.20〜1.60の範囲であることが更に好ましく、0.30〜1.60の範囲であることが特に好ましい。
銅の添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、30質量%〜85質量%であることが好ましく、35質量%〜85質量%であることがより好ましい。
また、モリブデンの添着量は、例えば、活性炭に添着された金属の全質量に対して、15質量%〜70質量%であることが好ましく、15質量%〜65質量%であることがより好ましい。
本明細書において、活性炭に添着された金属の量(即ち、添着量)は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分光分析法により測定される値である。測定装置としては、例えば、Perkin−Elmer製のOptima 8000(製品名)を好適に用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
<他の成分>
本発明の燃料電池用脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、活性炭、銅、及びモリブデン以外の他の成分を含んでもよい。
本発明の燃料電池用脱硫剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、不可避成分として、銅及びモリブデン以外の金属を含んでいてもよい。
<脱硫剤の形状>
燃料電池用脱硫剤の形状は、特に制限されず、目的に応じて、適宜選択することができる。燃料電池用脱硫剤の形状としては、粒状、柱状、繊維状、ハニカム状、破砕状等が挙げられる。
これらの中でも、燃料電池用脱硫剤の形状としては、コスト面の観点から、粒状、柱状、及び破砕状から選ばれる少なくとも1種の形状が好ましく、また、密度が高く、かつ、微細粉を含まないという観点から、粒状及び柱状から選ばれる少なくとも1種の形状がより好ましい。
<脱硫剤の用途>
本発明の脱硫剤は、燃料ガスを用いて発電する燃料電池用途に用いられる。
燃料電池システムでは、改質器の触媒や発電セル内の電極触媒が硫黄化合物による被毒の影響を受ける。そのため、燃料ガス中に含まれる硫黄化合物は、予めできるだけ除去されることが望ましい。また、燃料電池システムでは、発電するセルスタックに空気が供給されるが、空気中に含まれるSO等の硫黄酸化物も発電セルに悪影響を与え得るため、空気中に含まれる硫黄酸化物についても、やはり予め除去されることが望ましい。さらに、燃料電池システムでは、燃料ガス中に含まれ得るチオフェン類等の硫黄化合物は、脱硫剤上で酸化され、吸着による除去が困難なチオフェンとなる場合があるため、チオフェンの生成を抑制することができる脱硫剤の使用が望ましい。
本発明の燃料電池用脱硫剤は、ガス中に含まれる硫黄化合物を効率良く吸着除去し、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成を抑制できるため、燃料電池に用いられる脱硫剤として好適である。
また、空気中には、HSやNOx(窒素酸化物)も含まれる。さらに、工事現場等で使用される有機系塗料に由来する揮発性有機化合物(例えば、トルエン)が揮発して、空気中に存在することがある。これらの化合物は、いずれも発電セルに悪影響を与え得る。
本発明の燃料電池用脱硫剤は、ガス中に含まれるこれらの化合物についても、効率良く吸着除去することができる。
硫黄化合物を含むガスとしては、空気、都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等が挙げられる。本発明の燃料電池用脱硫剤は、これらの硫黄化合物を含むガスのいずれに対しても適用することができる。
本発明の燃料電池用脱硫剤は、例えば、0℃〜60℃の温度範囲で硫黄化合物を含むガスと接触させ、脱硫剤の表面に物理的又は化学的に硫黄化合物を吸着させることによって、ガス中の硫黄化合物を除去する、いわゆる常温吸着脱硫方式の脱硫剤として好適に用いることができる。
すなわち、本発明の燃料電池用脱硫剤は、ガス中に含まれる硫黄酸化物(SO、SO等)、硫化水素(HS)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン類〔メチルメルカプタン(MM)、エチルメルカプタン(EM)、tert-ブチルメルカプタン(TBM)等〕、サルファイド類〔ジメチルスルフィド(DMS)、ジエチルスルフィド(DES)、ジメチルジスルフィド(DMDS)等〕、チオフェン類〔テトラヒドロチオフェン(THT)等〕などの種々の硫黄化合物を効率良く吸着除去することができ、かつ、ガス中にチオフェンを生成し得る硫黄化合物が含まれる場合には、チオフェンの生成を抑制することができるため、例えば、燃料ガス(都市ガス、LPガス、天然ガス、消化ガス、排ガス等)、空気などを利用した燃料電池システムにおける前処理段階の脱硫器(即ち、常温吸着脱硫器)に使用される脱硫剤として、特に好適である。
本発明の燃料電池用脱硫剤は、0.1cm/秒〜4.0cm/秒の線流速(LV:linear velocity)で流通する燃料ガス中の硫黄化合物を除去する場合に、より好適に用いられる。燃料電池用途においては、硫黄の排出(即ち、硫黄スリップ)濃度を極力低下させることが求められるため、LVは上記のような低い数値範囲に設定されていることが好ましい。
燃料ガスの線流速が0.1cm/秒以上であると、偏流の影響を受け難く、脱硫剤の寿命低下がより抑えることができる。また、燃料ガスの線流速が4.0cm/秒以下であると、吸着帯が伸び難いため、脱硫剤の寿命を延長することができる。
[燃料電池用脱硫剤の製造方法]
本発明の燃料電池用脱硫剤の製造方法は、特に制限されず、活性炭に金属を添着させる方法として公知の方法を採用し、本発明の燃料電池用脱硫剤を製造することができる。
本発明の燃料電池用脱硫剤の製造方法の一例を説明する。本発明の燃料電池用脱硫剤は、例えば、下記の方法により製造することができる。但し、本発明の燃料電池用脱硫剤の製造方法は、これに限定されるものではない。
まず、活性炭に添着させる金属の元素を含む金属化合物を、溶媒に溶解又は分散させた溶液(含浸溶液)を調製する。
含浸溶液に、活性炭を浸漬させる。
含浸溶液に浸漬させた活性炭を乾燥させ、溶媒を除去する。
乾燥した浸漬後の活性炭を焼成して、活性炭上に金属酸化物等を形成させて、金属添着炭(脱硫剤)を得る。
以上の方法により、脱硫剤を製造することができる。
含浸溶液を調製するための金属化合物としては、金属硝酸塩、金属酢酸塩、金属硫酸塩、金属塩化物、金属リン酸塩等の金属塩類が挙げられる。
具体的には、硝酸銅三水和物、酢酸銅一水和物、モリブデン酸アンモニウム四水和物等が挙げられる。
含浸溶液を調製するための溶剤としては、特に制限されず、水、酸性水溶液(硝酸水溶液等)、塩基性水溶液(アンモニア水溶液等)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール等)、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン等)、エーテル系溶剤(ジエチルエーテル等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、炭化水素系溶剤(トルエン等)などが挙げられる。
これらの中でも、含浸溶液を調製するための溶媒としては、焼成後に残留しない等の観点から、水が好ましい。
含浸溶液の調製には、溶媒を1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
含浸溶液における金属化合物の濃度は、特に制限されず、例えば、金属化合物の種類、活性炭に添着させる金属の添着量、活性炭の種類等に応じて、適宜設定することができる。
浸漬温度は、特に制限されず、例えば、10℃〜80℃とすることができる。浸漬時間についても、特に制限されず、例えば、5分間〜2時間とすることができる。
乾燥方法は、特に制限されず、例えば、加熱により乾燥させる方法が挙げられる。
加熱温度は、特に制限されず、例えば、50℃〜150℃とすることができる。
焼成温度は、例えば、金属化合物の分解促進、及び金属添着炭の発火抑制の観点から、150℃〜200℃であることが好ましい。
焼成時間は、特に制限されず、例えば、1時間〜24時間とすることができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例では、破過時間を早期に判断するために、試験時の濃度及び流量を加速させた条件で試験を行っており、試験条件が実使用条件とは異なっている。
[脱硫剤の調製]
<実施例1>
硝酸銅三水和物19質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物9.4質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得た。得られた含浸溶液に、無機酸で処理したヤシ殻活性炭(商品名:粒状白鷺C2x、形状:粒状、比表面積:1200m/g〜1500m/g、大阪ガスケミカル(株)製)100質量部を、5分間浸漬した。浸漬後のヤシ殻活性炭を、ロータリーエバポレーター(型番:N1110型、東京理化器械(株)製)に備えられたフラスコに入れた。浸漬後のヤシ殻活性炭を、フラスコを回転させて撹拌しながら、突沸しないように、50℃の減圧下で120分間乾燥した。フラスコから乾燥処理した浸漬後のヤシ殻活性炭を取り出し、熱風循環乾燥器(型番:FS−60W、東京硝子器械(株)製)に入れ、空気流通下、焼成温度150℃にて15時間焼成し、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、メノウ乳鉢を用いて破砕した後、目開き0.35μm〜0.75μmの篩にかけて整粒し、実施例1の脱硫剤とした。
なお、実施例1の脱硫剤における銅及びモリブデンの添着量を、Perkin−Elmer製のOptima 8000(製品名)を用い、ICP発光分光分析法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ3.9質量%及び2.2質量%であった。また、実施例1の脱硫剤における銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.56であった。
<実施例2>
硝酸銅三水和物19質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物19質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、実施例2の脱硫剤とした。
なお、実施例2の脱硫剤における銅及びモリブデンの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ3.4質量%及び5.2質量%であった。また、実施例2の脱硫剤における銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、1.53であった。
<実施例3>
硝酸銅三水和物38質量部と、モリブデン酸アンモニウム四水和物9.4質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、実施例3の脱硫剤とした。
なお、実施例3の脱硫剤における銅及びモリブデンの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ7.8質量%及び2.0質量%であった。また、実施例3の脱硫剤における銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(モリブデンの添着量/銅の添着量)は、質量基準で、0.26であった。
<比較例1>
硝酸銅三水和物38質量部を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅が添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例1の脱硫剤とした。
なお、比較例1の脱硫剤における銅の添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して6.8質量%であった。
<比較例2>
モリブデン酸アンモニウム四水和物19質量部を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭にモリブデンが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例2の脱硫剤とした。
なお、比較例2の脱硫剤におけるモリブデンの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して5.9質量%であった。
<比較例3>
硝酸銅三水和物38質量部と、硝酸コバルト六水和物49質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びコバルトが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例3の脱硫剤とした。
なお、比較例3の脱硫剤における銅及びコバルトの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ6.2質量%及び6.1質量%であった。
<比較例4>
硝酸銅三水和物38質量部と、硝酸マグネシウム六水和物11質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びマグネシウムが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例4の脱硫剤とした。
なお、比較例4の脱硫剤における銅及びマグネシウムの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ6.4質量%及び3.1質量%であった。
<比較例5>
硝酸銅三水和物38質量部と、硝酸クロム九水和物77質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及びクロムが添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例5の脱硫剤とした。
なお、比較例5の脱硫剤における銅及びクロムの添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ5.9質量%及び5.5質量%であった。
<比較例6>
硝酸銅三水和物38質量部と、硝酸鉄九水和物72質量部と、を水500質量部に溶解させて、含浸溶液を得たこと以外は、実施例1と同様にして、ヤシ殻活性炭に銅及び鉄が添着された金属添着炭(即ち、脱硫剤)を得た。得られた金属添着炭を、実施例1と同様にして、破砕し、整粒して、比較例6の脱硫剤とした。
なお、比較例6の脱硫剤における銅及び鉄の添着量を、実施例1と同様の方法により測定したところ、脱硫剤の全質量に対して、それぞれ7.0質量%及び5.6質量%であった。
[評価1]
上記で得られた実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例6の脱硫剤を用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図1に示すような、円筒管10(内径:8.0mm)内に、脱硫剤20を充填層高38mmとなるように充填した。脱硫剤の充填量としては、約2cmとなる。なお、円筒管10は、出口部に目皿30を有している。
−硫黄化合物(1)の吸着量の測定−
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を60℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、脱硫済みの都市ガス13Aに下記の表1に示す組成の硫黄化合物を添加した供試ガスを1.0L/minの流量で流した。なお、供試ガスの露点温度は、−60℃である。
表1中、「TBM」は、tert-ブチルメルカプタンを表し、「MDS」は、メチルサルファイドを表し、「HS」は、硫化水素を表し、「MM」は、メチルメルカプタンを表し、「DMDS」は、ジメチルジスルフィドを表し、「THT」は、テトラヒドロチオフェンを表し、「COS」は、シクロへキセンを表す。
全ての硫黄化合物の破過点(破過基準:20ppb)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してから各硫黄化合物の破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、各硫黄化合物の脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、硫黄化合物の破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、各硫黄化合物に帰属されるピークの検出により確認した。
また、ガスクロマトグラフィの測定条件は、以下の通りである。
(測定条件)
ガスクロマトグラフィシステム:(株)島津アクセス製のGC−2014A(型番)
検出器:水素炎イオン化検出器
分析カラム:Shimalite 80/100 AW−AMDS−ST(商品名、4.1m×3.2mmI.D.、信和化工(株)製)
インジェクション量:3mL
カラム温度:170℃
代表として、TBM、THT、及びDMDSの吸着量の測定結果を下記の表2及び表3に示す。
なお、TBM、THT、及びDMDSの3種類合計の吸着量の値が高いほど、脱硫剤が硫黄化合物の吸着能に優れることを意味する。
−チオフェンの生成濃度の測定−
上記の硫黄化合物の吸着量の測定において、TBM又はMMの破過点が確認されるまでに、評価試験用脱硫器の出口から3時間毎に採取したガス中のチオフェン濃度を、TBM又はMMの破過点までの時間の平均濃度に換算したものをチオフェンの生成濃度とした。
チオフェンの生成濃度の測定は、ガスクロマトグラフィによる絶対検量線法により行った。ガスクロマトグラフィの測定条件は、上記の硫黄化合物の吸着量の測定における測定条件と同様である。なお、検量線は、上記のガスクロマトグラフィの測定条件により、標準チオフェンを用いて作成した。
チオフェンの生成濃度の測定結果を下記の表2及び表3に示す。
表2において、「吸着量」の値は、破過点までに脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す。
表2に示すように、活性炭に銅とモリブデンとが添着された実施例1の脱硫剤は、TBM、THT、及びDMDSを良好に吸着することができ、かつ、チオフェンの生成も顕著に抑制することができた。
一方、比較例1〜6の脱硫剤は、TBM、THT、及びDMDSの吸着能とチオフェンの生成抑制能との少なくとも一方が、実施例1の脱硫剤と比較して劣っていた。
実施例1の脱硫剤は、活性炭に添着金属として銅のみが添着された比較例1の脱硫剤と比較して、チオフェンの生成抑制能が顕著に優れていた。また、実施例1の脱硫剤は、活性炭に添着金属としてモリブデンのみが添着された比較例2の脱硫剤と比較して、TBM、THT、及びDMDSの吸着能が顕著に優れていた。
表3において、「吸着量」の値は、破過点までに脱硫剤に吸着した硫黄化合物の量を、吸着前の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す。
表3では、脱硫剤における銅の添着量に対するモリブデンの添着量の割合(質量基準)を「添着比率(Mo/Cu)」と表記する。
表3に示すように、銅及びモリブデンの添着比率が異なる実施例1〜実施例3の脱硫剤は、いずれもTBM、THT、及びDMDSを良好に吸着することができ、かつ、チオフェンの生成も良好に抑制することができた。
[評価2]
上記で得られた実施例1、比較例1、及び比較例2の脱硫剤を用いて、評価試験用脱硫器を作製した。図1に示すような、出口部に目皿を有する円筒管10(内径:16.0mm)内に、脱硫剤20を充填層高15mmとなるように充填した。なお、脱硫剤の充填量としては、3.0cmとなる。
−硫黄化合物(2)の吸着量の測定−
上記で作製した評価試験用脱硫器を恒温槽内に配置し、槽内を25℃に保温した。そして、評価試験用脱硫器内に、硫黄化合物としてSOを含む供試ガスを2.0L/minの流量で流した。
供試ガスは、脱硫済みの都市ガス13Aに、SOを硫黄濃度として1.0ppm〜10.0ppmとなるように添加するとともに、水を約1800ppm添加したものである。なお、供試ガスの露点温度は、−10℃である。
SOの破過点(破過基準:20ppb)が確認されるまで、供試ガスを流した。そして、供試ガスを流してからSOの破過点が確認されるまでの時間、供試ガスの流量、及び供試ガスの組成から、SOの脱硫剤への吸着量を算出した。
なお、SOの破過点は、3時間毎に、評価試験用脱硫器の出口から排出されたガスを採取し、ガスクロマトグラフィを用いて、SOに帰属されるピークの検出により確認した。ガスクロマトグラフィの測定条件は、評価1と同様である。
結果を表4に示す。
表4において、「吸着量」の値は、破過点までに脱硫剤に吸着したSOの量を、吸着前の脱硫剤の質量で除し、得られた値を硫黄元素に換算した値(単位:質量%S)を示す。
表4に示すように、活性炭に銅とモリブデンとが添着された実施例1の脱硫剤は、SOを良好に吸着することができ、その効果は、活性炭に銅のみが添着された比較例1の脱硫剤及び活性炭にモリブデンのみが添着された比較例2の脱硫剤と比べて顕著なものであった。
10・・・円筒管、20・・・脱硫剤、30・・・目皿

Claims (2)

  1. 活性炭と、前記活性炭に添着された金属と、を含み、前記金属は、銅とモリブデンとを含む燃料電池用脱硫剤。
  2. 前記銅の添着量に対する前記モリブデンの添着量の割合が、質量基準で、0.15〜2.00の範囲である請求項1に記載の燃料電池用脱硫剤。
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