本発明は、例えば自動車のスライドドア等に給電を行うためのワイヤハーネスのコルゲートチューブやキャタピラ状部材といったハーネス外装部材の端部をスライドドア側等の部材に離脱なく保持させるハーネス外装部材の保持構造に関するものである。
従来、例えば自動車の車両ボディ(固定構造体)からスライドドア(スライド構造体)にワイヤハーネスを配索して常時給電を行う際に、ワイヤハーネスとして複数本の電線を合成樹脂製のコルゲートチューブやキャタピラ状部材といった外装部材で覆って構成することが知られている。
例えば特許文献1(図示せず)には、スライドドアに縦断面略コの字状の固定部材を固定し、固定部材に首振り部材を上下の軸部で水平方向回動自在に設け、首振り部材にワイヤハーネスのコルゲートチューブの一端部を保持させたことが記載されている。
コルゲートチューブは周方向の凹溝と凸条とをチューブ長手方向に交互に配列したもので、首振り部材の水平なハーネス挿通孔の内周面にリブが突設され、リブに断面長円形のコルゲートチューブの凹溝が係合固定されている(特許文献1の段落番号0049参照)。
また、特許文献2(図示せず)には、スライドドア側のハーネス余長吸収装置から車両ボディ側のハーネス固定部材にワイヤハーネスが配索され、ワイヤハーネスは車両ボディ側においてキャタピラ状の外装部材で覆われ、車両ボディ側のハーネス固定部材は、上下に分割可能なベースとカバーと、ベースとカバーとの間に周方向回転自在に配置される回動体とで構成され、ベースとカバーにキャタピラ状の外装部材の一端部が首振り自在に連結されたことが記載されている。
また、特許文献3(図示せず)には、合成樹脂製コルゲートパイプとして、管本体としての内管部と補強部材としての外管部とで構成することで、曲げ時のパイプの潰れ等を防止したことが記載されている。
特開2007−151377号公報(図1,図2)
特開2005−8010号公報(図1)
特開2004−3618号公報(図1)
しかしながら、上記従来の構造にあっては、例えば図7に示す異なる形態例を用いて説明すると、自動車のスライドドア側の首振り部材41と車両ボディ側の首振り部材42との間に配索されたワイヤハーネスの合成樹脂製の屈曲自在なコルゲートチューブ(ハーネス外装部材)1が、スライドドアの全開時ないし半開時に、乗降する人員によって足踏みされた場合に、図8に示す如く、スライドドア側の首振り部材41の水平な筒状のハーネス保持部41aから外れ兼ねないという懸念があった。
図8の如く、ハーネス保持部41aは内周面に複数(本例で二本)の周方向のリブ56を有し、各リブ56にコルゲートチューブ1の一端部の各凹溝(谷部)4が係合保持されているが、コルゲートチューブ1の長手方向中間部が足踏みされて斜め下向きに引っ張られることで、コルゲートチューブ1の端部に矢印Aの如く下向きの力が作用して、上側の凹溝4がリブ56の上側部分から下向きに離脱しやすくなる。コルゲートチューブ1の端部がハーネス保持部41aから離脱した場合には、スライドドアと車両ボディとの間(渡り部)におけるワイヤハーネスのスムーズな屈曲軌跡の規制ができなくなり、ワイヤハーネスの屈曲耐久性が低下し兼ねないという懸念を生じる。
このことは足踏みによる外力に限らず、例えば他部品等とコルゲートチューブ1が干渉したり、コルゲートチューブ1の径方向(交差方向)に強い外力が作用した場合等においても同様に生じ兼ねないものであり、また、交差方向の外力の方向は下向きに限らず、横方向や上方向に作用する場合もあり得る。
また、ハーネス外装部材としてコルゲートチューブ1に代えて合成樹脂製のキャタピラ状部材を用いた場合にも、外力によってキャタピラ状部材の端部が変形して首振り部材41から外れることもあり得る。また、首振り部材41に限らず首振り不能な固定式部材等にこれらハーネス外装部材1の端部を保持した場合でも、同様に外力によって固定式部材等からハーネス外装部材1の端部が外れることもあり得る。
本発明は、上記した点に鑑み、コルゲートチューブやキャタピラ状部材等といったハーネス外装部材の端部を首振り部材や固定式部材等といったハーネス保持部材に保持した状態で、ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した場合でも、ハーネス保持部材からハーネス外装部材が外れることのないハーネス外装部材の保持構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るハーネス外装部材の保持構造は、ハーネス保持部材のハーネス保持壁部の内面に沿ってハーネス外装部材の端部の外面が配置され、該ハーネス外装部材の端部が該ハーネス保持壁部に係止手段で係止され、該ハーネス外装部材の端部の内面に沿って補強部材が挿入され、該ハーネス外装部材の端部が該ハーネス保持壁部と該補強部材とで挟まれて保持されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した場合でも、ハーネス外装部材の端部がハーネス保持部材のハーネス保持壁部と補強部材とで挟まれたことで、ハーネス外装部材の端部がハーネス保持部材のハーネス保持壁部とによって撓み変形を阻止され、撓み変形に起因するハーネス外装部材の端部とハーネス保持壁部との相互の係止手段の係止の解除が阻止されて、ハーネス外装部材の端部の保持強度が高まる。
請求項2に係るハーネス外装部材の保持構造は、請求項1記載のハーネス外装部材の保持構造において、前記補強部材の先端が前記ハーネス保持壁部の先端よりも突出した状態で前記ハーネス外装部材の端部の内側に挿入されたことを特徴とする。
上記構成により、ハーネス保持部材のハーネス保持壁部と補強部材の後半側部分との間でハーネス外装部材の端部の先端側が挟まれて保持且つ係止手段で係止されると共に、ハーネス保持壁部の先端から前方においてハーネス外装部材の端部の基端側が補強部材の前半側部分のみで支持される。ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した際に、ハーネス外装部材の端部の基端側が補強部材の先端を支点に曲がり(撓み)変形し、前記係止手段には曲がり(撓み)力が及ばないので、ハーネス外装部材の保持強度が一層高まる。
請求項3に係るハーネス外装部材の保持構造は、請求項1又は2記載のハーネス外装部材の保持構造において、前記ハーネス外装部材がコルゲートチューブであり、前記ハーネス保持壁部の前記係止手段である前側のリブが該コルゲートチューブの端部の前記係止手段である凹溝に係合し、前記補強部材の基端側の凹溝部に該ハーネス保持壁部の後側のリブが係合したことを特徴とする。
上記構成により、コルゲートチューブの端部の凹溝にハーネス保持壁部の前側のリブが係合してコルゲートチューブが係止され、補強部材の凹溝部にハーネス保持壁部の後側のリブが係合して、補強部材がハーネス保持壁部に係止される。
請求項4に係るハーネス外装部材の保持構造は、請求項1又は2記載のハーネス外装部材の保持構造において、前記ハーネス外装部材がキャタピラ状部材であり、該キャタピラ状部材の先頭の駒部材の上下の板壁が前記係止手段で前記ハーネス保持壁部に係止され、該上下の板壁の間に前記補強部材の左右一対の側板部が挿入され、該側板部の上下端で該上下の板壁を支持したことを特徴とする。
上記構成により、キャタピラ状部材の先頭の駒部材の上下の板壁が補強部材の左右一対の側板部の上下端で支持されたことで、駒部材の上下の板壁の内向きの撓みが阻止され、上下の板壁の外向きの撓みはハーネス保持壁部の上下の壁部の内面で阻止されて、駒部材とハーネス保持壁部との互いの係止手段の係止の解除が阻止される。駒部材の上下の板壁等の係止手段に邪魔されることなく、補強部材の側板部がハーネス保持部材の内側と先頭の駒部材の内側とにスムーズに挿入される。
請求項1記載の発明によれば、コルゲートチューブやキャタピラ状部材等といったハーネス外装部材の端部を首振り部材や固定式部材等といったハーネス保持部材に保持した状態で、ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した場合でも、ハーネス外装部材の端部がハーネス保持壁部と補強部材との間で撓み方向の動きを阻止されることで、ハーネス外装部材の端部とハーネス保持壁部との係止の解除が阻止されて、ハーネス保持部材からハーネス外装部材が外れることが防止される。これにより、例えばハーネス外装部材の破損等が防止されて、ワイヤハーネスによる給電の信頼性が向上する。
請求項2記載の発明によれば、補強部材の先端でハーネス外装部材の交差方向の外力を受けて、ハーネス保持壁部とハーネス外装部材との係止手段に外力が及ばないので、係止外れが確実に防止され、請求項1記載の発明の効果が促進される。
請求項3記載の発明によれば、コルゲートチューブの端部をハーネス保持壁部と補強部材とで挟んだ状態でハーネス保持壁部に係止すると共に、補強部材をハーネス保持壁部に係止させて、ハーネス保持壁部とコルゲートチューブの端部と補強部材とを相互にしっかりと固定させて、コルゲートチューブの端部の保持強度を高めることができる。
請求項4記載の発明によれば、キャタピラ状部材の端部の駒部材の上下の板壁の撓みを補強部材の左右の側板部の上下端で阻止し、端部の駒部材とハーネス保持壁部との係止の解除を阻止して、キャタピラ状部材の端部の保持強度を高めることができる。
本発明に係るハーネス外装部材の保持構造の第一の実施形態を示す分解斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の組立状態を示す斜視図(枠内は部分拡大図)である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の要部を示す縦断面斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造を示す縦断面斜視図(枠内は部分拡大図)である。
本発明に係るハーネス外装部材の保持構造の第二の実施形態を示す分解斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の組立状態を示す縦断面図である。
既存のハーネス外装部材の配索構造の一形態を動作ごとに実線で示す斜視図である。
同じく既存のハーネス外装部材の保持構造の一形態を示す縦断面斜視図である。
図1〜図4は、本発明に係るハーネス外装部材の保持構造の第一の実施形態を示すものである。
このハーネス外装部材の保持構造は、ハーネス外装部材として合成樹脂製の断面長円形のコルゲートチューブ1(図3)を用い、ハーネス保持部材として合成樹脂製の首振り部材2(図1,図2)を用いて、コルゲートチューブ1の一端部の内側に合成樹脂製の環状(筒状)の補強部材3を挿入し、コルゲートチューブ1の一端部の凹溝(谷部)4と、補強部材3の外周面側の凹溝部6とに首振り部材2の内周面側の各リブ7,8を係合係止させるものである。
図1,図2の如く、首振り部材(ハーネス保持部材)2は、側面視略L字状に形成され、垂直な断面円形の環状壁部9と、環状壁部9に直交する水平な断面長円形の環状(筒状)のハーネス保持壁部(ハーネス保持部)10とを備えている。環状壁部9の上端部分が環状の軸部11として作用し、ハーネス保持壁部10の底壁部分に、上側の軸部11と同心に環状の下側の軸受部12が設けられている。
図1の如く、首振り部材2は上下に二分割され(図1では首振り部材2を縦断面として示している)、図2の如く、不図示の係止手段(例えば一方の係止枠片と他方の係止突起等)で相互に係止固定される。
上側の分割首振り部材2aは、垂直な半割状の環状壁部11と、水平な半割状のハーネス保持壁部10とを有している。半割状の環状壁部11の内側空間13は上下に貫通し、上端にハーネス挿通用の上部開口13aを有し、半割状のハーネス保持壁部10は内周面に前後二つの周方向のリブ(係止手段ないし係止部)7,8を有している。前側のリブ7は半割状のハーネス保持壁部10の水平な内側空間14の正面側の開口14aの近傍に配置され、後側のリブ8は半割状のハーネス保持壁部10の基端側に配置されている。
下側の分割首振り部材2bは、水平な半割状のハーネス保持壁部10と、半割状のハーネス保持壁部10の基端側に一体に湾曲状の壁部15とを有している。半割状のハーネス保持壁部10は上側の半割状のハーネス保持壁部10よりも水平軸心方向に長く延長されて湾曲壁15に続いている。半割状のハーネス保持壁部10の基端側の底面に環状の軸受部12が下向きに突出して設けられ、半割状のハーネス保持壁部10の内周面に前後二つの周方向のリブ7,8が設けられている。前側のリブ7は半割状のハーネス保持壁部10の正面側の開口14aの近傍に配置され、後側のリブ8は前側のリブ7と軸受部12との間に配置されている。
上下の分割首振り部材2a,2bを接合係止することで、上側の環状壁部11の下端面11aと下側の湾曲状の壁部15の上端面15aとが接合し、上側のハーネス保持壁部10の下端面10aと下側のハーネス保持壁部10の上端面10bとが接合し、上側の各リブ7,8の下端面7a,8aと下側の各リブ7,8の上端面7b,8bとが接合する。
コルゲートチューブ(ハーネス外装部材)1は、断面長円形で水平方向(短径方向)の屈曲性を有する既存のものであり(図1ではコルゲートチューブ1を縦断面で示している)、周方向の凹溝(谷部、係止手段ないし係止部)4と凸条(山部)5とをチューブ長手方向に交互に配列して構成され、図7で示したコルゲートチューブ1のように水平方向に長く延長されている(図1〜図3ではコルゲートチューブ1の一部分を図示している)。
補強部材3は、断面長円形の筒状(環状)壁部16と、筒状壁部16の基端(後端)側の外周に設けられた厚肉で環状の鍔壁部17と、鍔壁部17の厚み方向中央に設けられた周方向の一つの凹溝部(係止手段ないし係止部)6とを備えている。筒状壁部16の外径(長径及び短径)はコルゲートチューブ1の内径(長径及び短径)よりも若干小さく規定され、コルゲートチューブ1の一端部の内側空間18に環状壁部16がガタつきなく挿入ないし嵌合可能となっている。図1で補強部材3は縦断面で示している。
補強部材3の軸心方向の長さは、上側の分割首振り部材2aの半割状のハーネス保持壁部19の長さよりも少し長く規定されている。本例の補強部材3の筒状壁部16の板厚は首振り部材2のハーネス保持壁部10の板厚よりも薄く、コルゲートチューブ1の板厚よりも厚い。鍔壁部17の前端面17aと後端面17bとの間の厚みは筒状壁部16の板厚よりも十分に厚く、凹溝部6の幅は首振り部材2の後側のリブ8の板厚よりも若干大きい。凹溝部6の前後に一対の凸条部17cが形成され、前側の凸条部17cの前端面17aが筒状壁部16の外面に交差して続いている。凹溝部6は周方向に連続して長円形環状に形成されている。
凹溝部6は、前後のテーパ状の内側面6aと水平な底面6bと、底面6bよりも幅広な開口6cとを有している。凹溝部6の前後の内側面6aは、首振り部材2の後側の略山型状のリブ8の前後のテーパ状の外面8cに沿ったテーパ形状となっている。凹溝部6の深さは鍔壁部17の径方向の厚みの略半分程度であり、凸条部17cの前端面17aの高さよりも浅く、凹溝部6の底部6dは筒状壁部16よりも厚肉に形成されている。
首振り部材2の前側のリブ7は後側のリブ8と同じないしほぼ同じ大きさ・形状であり、コルゲートチューブ1の凹溝4の前後のテーパ状の内側面に沿ったテーパ状の外面7cを有している。補強部材3の凹溝部6はコルゲートチューブ1の凹溝4と同じないしほぼ同じ大きさ・形状である。なお、前後左右の方向性は説明の便宜上のものである。
補強部材3の鍔壁部17の後端面17bと筒状壁部16の内周面16aとの交差部分には湾曲面20aが形成され、湾曲面20aは補強部材3の後部開口21の全周に渡って環状に配設されている。この湾曲面20aは鍔壁部17の後端面17bから筒状壁部16の内周面16aにかけて径方向に突出した湾曲突部20をなしており、普通の湾曲状の面取とは相違する。湾曲突部20の外面が湾曲面20aとなっている。
図2の如く、首振り部材2は固定部材22に水平方向回動自在に組み付けられる。首振り部材2と固定部材22と補強部材3とで給電装置(給電具)23が構成される。本例の固定部材22は、縦断面略コの字状に形成され、水平な上壁24と下壁25と両壁部24,25を連結する垂直な背壁26とで成る。上壁24に、首振り部材2の上側の環状の軸部11を回動自在に係合させる軸受孔(軸受部)27が設けられ、下壁25に、首振り部材2の下側の環状の軸受部12の内側に係合する軸部30(図4)が立設されている。
固定部材22の例えば上壁24が軸受孔27の中心から前後に分割可能であり、各分割上壁24は例えば一方の係止凹部と他方の係止爪等といった不図示の係止手段で相互に係止固定される。背壁26の左右に固定用のブラケット28とボルト挿通孔28aとが設けられている。上壁24を分割した状態で、固定部材22に首振り部材2が組み付けられ、分割上壁24を相互に接合係止させた状態で、背壁26が例えば自動車のドアインナパネル等にねじ締め等で固定される。
首振り部材2を図1の如く二分割した状態で、首振り部材2に補強部材3とワイヤハーネスのコルゲートチューブ1の一端部とが組み付けられる。同様にワイヤハーネスの複数本の電線29は図4の如く首振り部材2の環状の軸部11の上部開口13aから上向きに導出される。その状態で首振り部材組立体(首振り部材2と補強部材3とワイヤハーネスとで成る組立体)が固定部材22に組み付けられる。
筒状(環状)の補強部材3の内側空間への複数本の電線29の挿通作業を容易化するために、補強部材3を上下ないし左右に分割可能としてもよい。この場合、補強部材3の外面はコルゲートチューブ1の内面に接触するので、補強部材3の内面側や好ましくは補強部材3の板厚の範囲内で一方の係止凹部と他方の係止爪等といった不図示の係止手段を設けて、分割補強部材3を相互に合体(接合)係止させる。
図3の如く、コルゲートチューブ1の一端部の内側に(コルゲートチューブ1の凹溝4の底壁4aの内面に沿って)補強部材3の筒状壁部16が挿入され、その状態でコルゲートチューブ1と補強部材3とが首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側に組み付けられる。
本例の補強部材3においては、コルゲートチューブ1の一端部の先端の凹溝4のテーパ状の先端壁4bの上端でコルゲートチューブ1が切断され(切断部を符号1aで示す)、テーパ状の先端壁4bが補強部材3の鍔壁部17のテーパ状の前端面17aに当接した状態で(鍔壁部17の前端面17aはコルゲートチューブ1の先端壁4bに対するストッパとして作用する)、コルゲートチューブ1と補強部材3とが首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側に組み付けられる。
本例の首振り部材2においては、ハーネス保持壁部10の内面側の前後のリブ7,8の間隔(ピッチ)はコルゲートチューブ1の凹溝4の概ね三つ分の間隔に規定されている。補強部材3の鍔壁部17の凹溝部6に首振り部材2のハーネス保持壁部10の後側のリブ8が係合し、鍔壁部17の前端面17aから数えてコルゲートチューブ1の二つ目の凹溝4にハーネス保持壁部10の前側のリブ7が係合している。後側のリブ8のテーパ状の前後の8c面は鍔壁部17の凹溝部6のテーパ状の前後の面6aに当接ないし接触している。
コルゲートチューブ1の先端の凹溝41は空間として残り、先端の凹溝41の空間はハーネス保持壁部10の内面で塞がれている。先端の凹溝41に隣接して続く一つ目の凸条51の天壁はハーネス保持壁部10の内面に接触している。一つ目の凸条51に隣接して続く二つ目の凹溝4にハーネス保持壁部10の前側のリブ7が係合し、前側のリブ7のテーパ状の前後の面7cが凹溝4のテーパ状の前後の面に当接ないし接触している。前側のリブ7はハーネス保持壁部10の先端(前端)10cから少し後方に位置し、前側のリブ7から突出したハーネス保持壁部10の先端部10cの内面は二つ目の凸条52の天壁に接触している。
補強部材3の筒状壁部16の先端(前端)16aは首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cよりも前方に突出し、補強部材3の軸心方向の全長の概ね半分程度の位置にハーネス保持壁部10の先端10cが位置する。補強部材3の筒状壁部16の外面に沿って軸心方向にコルゲートチューブ1の複数の凹溝(谷部)4及び凸条(山部)5が配置され、本例において四つの凹溝4が補強部材3の筒状壁部16の外面に沿って配置され、概ね四つの凸条5が筒状壁部16の径方向外側に配置されている。
このように、補強部材3の先端(前端)16aが首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cよりも前方に突出して配置され、補強部材3の基端側(鍔壁部17側)から先端16aを経てコルゲートチューブ1が装着されたことで、以下のような作用効果を生じる。
すなわち、コルゲートチューブ1の不図示の長手方向中間部に足踏み等の下向きの外力が作用した際に、コルゲートチューブ1が図2の矢印Aの下向きの押圧力と図3の矢印Bの軸心方向の引張力との合力で斜め下向きに引っ張られるが、その際に、図3の補強部材3の筒状壁部16の突出先端(前端)16aにおいてコルゲートチューブ1に下向きの曲げ力が作用し(コルゲートチューブ1が下向きに曲げられ)、補強部材3の筒状壁部16の外面でコルゲートチューブ1の一端部の内面を受け止めて、下向きの曲げ力を徐々に吸収することで、首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cにおいてコルゲートチューブ1が有害な変形を生じることがなく、ハーネス保持壁部10の先端側のリブ7からコルゲートチューブ1の凹溝4が外れるという不具合が防止される。
すなわち、補強部材3を用いたことで、コルゲートチューブ1がハーネス保持壁部10の先端側のリブ7よりも手前側(前方)において屈曲するので、リブ7とコルゲートチューブ1の凹溝4との外れ(離脱)が確実に防止される。
また、補強部材3の後端の鍔壁部17の凹溝部6に首振り部材2のハーネス保持壁部10の後側のリブ8を係合(係止)させたことで、ハーネス保持壁部10に対して補強部材3が前後方向(軸心方向)に不動に固定され、前側のリブ7に対する補強部材3の先端(前端)16aの位置が精度良く規定され、上記した前側のリブ7からのコルゲートチューブ1の凹溝4の離脱防止の効果が確実に発揮される。
図4に示す如く、水平なコルゲートチューブ1から補強部材3を経て首振り部材2の垂直な環状壁部13の内面に沿ってワイヤハーネスの複数本の電線29が露出して略L字状に屈曲して挿通されるが、補強部材3の鍔壁部17の後端内側に湾曲部20とその外面である湾曲面20aとが設けられているので、電線29が湾曲面20aに沿ってスムーズに湾曲(屈曲)すると共に、湾曲面20aがない場合の補強部材3の後端内側の不図示のエッジで電線29が傷付けられるといった心配が解消される。
また、湾曲部20は補強部材3の内側に向けて突出しているので、電線29が湾曲部20で下向きに押されて補強部材3の軸心寄りに配索され、補強部材3の上部内面と電線29との干渉が防止されて、電線29が首振り部材2の垂直な上側の環状壁部13から水平な下側の補強部材3にかけてスムーズに湾曲する。
図4に示すスライドドア(スライド構造体)側の給電装置23は、例えば図7のスライドドア側の給電装置(首振り部材41のみを示す)及び/又は図7の車両ボディ(固定構造体)側の給電装置(首振り部材42のみを示す)に代えて用いることができる。以下に図4の符号を用いて図7の動作について説明する。
図4の給電装置23の固定部材22はスライドドアインナパネルに固定される。給電装置23を車両ボディ側の給電装置として用いる場合は、ワイヤハーネスの他端部側の電線29を上向きにではなく水平に車両ボディ側に導出させるように、首振り部材2の前端の開口14aとほぼ同軸に後端の不図示のハーネス導出用の開口を水平に設けることもある。
図7の左側の図の如く、車両左側の不図示のスライドドアを車両後方へスライドさせて全開にした際に、車両ボディ側の給電装置の首振り部材42からスライドドア側の給電装置23(図4)の首振り部材2にかけてワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が車両後方へ湾曲状に引っ張られる。
その状態からスライドドアを車両前方へスライドさせて閉じるに伴って、図7の中間の各図の如く、スライドドアの半開時に、スライドドア側の首振り部材23(図4)が車両後方に向けて平面視で時計回りに回動しつつ、ワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が、車両前方へ向けて平面視で時計回りに回動する車両ボディ側の首振り部材42の間で略S字状に屈曲して余長を吸収する。図7の右側の図の如く、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が車両ボディ側の首振り部材42からスライドドア側の首振り部材23(図4)にかけて前方へ直線的に引っ張られる。
図7のスライドドアの全開時ないし半開時に人員が乗降する際にワイヤハーネスのコルゲートチューブ1を足踏みすることも考えられるが、その場合には、図3において説明したように、スライドドア側の給電装置23(図4)において補強部材3が首振り部材2のハーネス保持壁部10よりもコルゲートチューブ長手方向に突出しているので、コルゲートチューブ1が首振り部材2の前側のリブ7よりも手前側で下向きに屈曲して、リブ7からのコルゲートチューブ1の凹溝4の離脱が防止される。
補強部材3は車両ボディ側の給電装置においても適用可能であり、その場合には、スライドドア側の給電装置と同様の作用で、車両ボディ側の給電装置の首振り部材からのコルゲートチューブの離脱が防止される。車両ボディ側の給電装置は必ずしも首振り部材2を用いなくてもよく、この場合は、首振り部材2に代えて、筒状(環状)のハーネス保持壁部を有するハーネス保持部材を用いる。
なお、上記実施形態において、図2の首振り部材2の下側の軸受部12を軸部に代えて、固定部材22の下側の軸部30を軸受部に代えることも可能である。これら軸部30や軸受部12等の形状や配置は必要に応じて適宜設定可能である。
また、図3の首振り部材2の後側のリブ8と補強部材3の凹溝部6を図3のコルゲートチューブ1の先端の凹溝41の位置に配置して、保持するコルゲートチューブ1の長さをさらに短縮させることも可能である。また、凹溝部6内にコルゲートチューブ1の先端等の凹溝4を係合させ、その凹溝4の上からハーネス保持壁部10の後側のリブ8を凹溝部6に嵌合させる(凹溝4を介してリブ8を凹溝部6に係合させる)ことも可能である。
また、上記実施形態においては補強部材3の先端16aを首振り部材3のハーネス保持壁部10の先端10cよりも前方に突出させたが、例えば補強部材3の先端16aを首振り部材3のハーネス保持壁部10の先端10cと同一垂直面上に配置した場合でも、効果は劣るものの、ハーネス保持壁部10と補強部材3との間にコルゲートチューブ1の端部を挟む(コルゲートチューブ1の端部をハーネス保持壁部10と補強部材3との間に入れてコルゲートチューブ1の端部の動きをとれなくする)ことで、コルゲートチューブ1の保持強度は高まる。
上記実施形態によれば、図3の如く、首振り部材2のハーネス保持壁部10よりも補強部材3を突出させて、ハーネス保持壁部10と補強部材3との間にコルゲートチューブ1を挟むように保持することで、コルゲートチューブ1の保持力が高まり、チューブ交差方向の外力に対するコルゲートチューブ1の保持強度が向上する。
また、図4の如く、補強部材3の基端内側の湾曲面20aでワイヤハーネスの電線29を受ける(支える)ことで、コルゲートチューブ1の端部エッジによる電線29の傷付きや折れ曲がりが防止され、電線29の耐久性が向上する。
また、図3の如く、補強部材3の外面に沿ってコルゲートチューブ1を支持することで、首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側のコルゲートチューブ1の端部長さを短縮し、リブ7とコルゲートチューブ1の凹溝4とによるコルゲートチューブ1の係止部分の面積を小さくして保持強度を確保できるので、首振り部材2等の小型化・軽量化が可能となる。
図5〜図6は、本発明に係るハーネス外装部材の保持構造の第二の実施形態を示すものである。
このハーネス外装部材の保持構造は、ハーネス外装部材として合成樹脂製のキャタピラ状部材31を用い、ハーネス保持部材として合成樹脂製の固定式部材32又は可動式部材である首振り部材(何れでも可、以下においては固定式部材32として説明する)を用いて、キャタピラ状部材31の一端部の内側に合成樹脂製の正面視矩形状の補強部材33を挿入し、キャタピラ状部材31の一端部の上下の各孔部34を固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の内面側の各突起36に回動自在に係合させるものである。
キャタピラ状部材(ハーネス外装部材)31は、複数(多数)の駒部材37を上下の軸部38と孔部34とで連結して水平方向に延長させた既存のものである。各駒部材37は正面視矩形状に形成され、上下の水平な板壁39と、上下の板壁39を連結する左右の垂直な側板40と、上下の板壁39の基端(前端)に段差43を介して一体に且つ平行に続く内側の上下の板壁44とで成り、外側の上下の板壁39に円形の孔部34が設けられ、内側の上下の板壁44に円形の突起38が設けられている。
一つの駒部材37の各突起38が隣接の他の駒部材37の各孔部34に係合して、各駒部材37が各突起38を支点に水平方向に屈曲自在である。各駒部材37の内側に複数本の電線29(図4)が挿通され、各駒部材37で成るキャタピラ状部材31と複数本の電線29とでワイヤハーネスが構成される。先頭の駒部材37の上下の板壁39に突起(36)を設け、固定式部材32の上下の壁部35に孔部(34)を設けることも可能である。
固定式部材(ハーネス保持部材)32は、水平な上下の壁部35と、上下の壁部35を連結する垂直な左右の側壁45と、前後の開口46,47(図6)とを有し、上下の壁部35の前部内面に円形の突起36が設けられ、各突起36はキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の孔部34に回動自在に係合する。上下の壁部35の内面の間隔はキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39の外面の間隔よりも若干大きく規定されている。一方の側壁45はキャタピラ状部材31の屈曲方向に対応して前部開口側で切欠されている(切欠部を符号45aで示す)。
補強部材33は、左右一対の垂直で平行な側板部48と、両側板部48の後端側を連結した上下の水平な板部49とを備え、各側板部48の突出先端(前端)側の部分が、段差部51を介して内側に平行に折り曲げられて先端側の内側板部50をなしている。左右の側板部48の高さはキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39の各内面の間隔よりも若干小さく規定されている。
駒部材37の上下の板壁39の外面の間隔は補強部材31の側板部48の高さよりも大きく、固定式部材32の上下の壁部35の内面の間隔よりも若干小さく規定されている。補強部材33の側板部48の先端側の内側板部50の外面の中央には突起52が設けられ、図6の如く、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の左右の側板40の内面に、突起(係止手段ないし係止部)52を係合係止させる水平な溝(係止手段ないし係止部)53が設けられている。
突起52は溝53の前端面に係止される。側板40に突起(52)を設け、内側板部50に溝(53)を設けることも可能である。突起52と溝53を用いずに、固定式部材32の内側に補強部材33を一方の突起と他方の凹部等といった不図示の係止手段ないし係止部で係止させることも可能である。
図5の状態から図6の如く、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37が固定部材32の前部開口46内に挿入され、その際に先頭の駒部材37の上下の板壁39が内向きに撓んで、上下の板壁39の孔部34に固定式部材32の上下の壁部35の突起36が進入係合する。
補強部材33が後部開口47から固定式部材32の内側に挿入され、固定式部材32の側板部48の先端側の内側板部50が固定式部材32の前端(前部開口)46から前方に突出しつつ、先頭の駒部材37の左右の側板40の内面に沿って進入し、先端側の左右の内側板部50の外面が左右の側板40の内面に接触する。
この際、内側板部50の外面の小突起52が側板40の内面の溝53に進入係合して、両者33,37が正確に係止且つ上下方向に正確に位置決めされる。内側板部50の先端(前端)50bは固定式部材32の先端(前端)46すなわち前部開口46と先頭の駒部材37の側板部40の前端40aとの中間に位置する。
さらに、先端側の内側板部50の上下の端面50aと、内側板部50に続く側板部本体48の上下の端面48aとが、先頭の駒部材37の上下の板壁39の内面に接触ないし当接して、先頭の駒部材37の上下の板壁39の内向きの撓みを阻止する。先頭の駒部材37の上下の板壁39の外向きの撓みは固定式部材32の上下の壁部35の内面で阻止される。先頭の駒部材37の上下の板壁39の外面は固定式部材32の上下の壁部35の内面に接触ないし当接する。
これにより、キャタピラ状部材31の長手方向中間部(図示せず)に足踏み等による下向きの外力が作用した場合でも、先頭の駒部材37の上下の板壁39の上下方向の撓みが、補強部材31の垂直な側板部48及び先端側の内側板部50と固定式部材32の水平な上下の壁部35の内面とで阻止されて、固定式部材32の上下の突起36から先頭の駒部材37の上下の孔部34が外れる(離脱する)ことが確実に防止される。なお、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の回動は補強部材33の側板部48で規制されるが、二番目の駒部材37やそれ以降の駒部材37が各突起38を中心に回動するので使用上の問題はない。
図5の固定式部材32と補強部材33とで成る給電装置54は、例えば図7に示す車両ボディ側の給電装置42に代えて使用可能である。図5の例のキャタピラ状部材31は、各駒部材37の上下の内側板部44の前端側のストッパ部55の形状によって一方向にのみ屈曲自在であるので(ストッパ部55は隣接の側板40の内面に当接する)、図7の右側及び中間の図の如くスライドドアの全開から半開にかけて、車両ボディ側の給電装置54(図6)からワイヤハーネスのキャタピラ状部材31を車両後方に湾曲させるために好ましい。
図5のキャタピラ状部材31の各駒部材37の前端側のストッパ部55の形状を変更することで、種々の屈曲形態に対応可能となり、スライドドア側の給電装置として使用することも可能となる。図5のキャタピラ状部材31の内側に挿通された複数本の電線29(図4)は固定式部材32と補強部材33とを水平に貫通して例えば車両ボディ側に導出される。また、図5の固定式部材32の上下の壁部35の外面に不図示の軸部ないし軸受部を設けて、不図示の固定部材の軸受部ないし軸部に係合させれば、固定式部材32を可動式の首振り部材として用いることもできる。
なお、上記実施形態においては、補強部材33の先端50bを固定式部材32の先端46よりも前方に突出させたが、例えば補強部材33の先端30bを固定式部材32の先端46と同一垂直面上に配置した場合でも、固定式部材33の上下の壁部35と補強部材33の左右の側板部48の上下端48a,50aとでキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を挟む(キャタピラ状部材31の板壁39を固定式部材32と補強部材3との間に入れてキャタピラ状部材31の端部の上下方向の動きをとれなくする)ことで、キャタピラ状部材31の保持強度は高まる。
上記実施形態によれば、図6の如く、固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の前端46よりも補強部材33の両側板部48の先端側部分50を前方に突出させ、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の両側板40の内側に補強部材33の両側板部38の先端側部分50を差し込んで、補強部材33の両側板部48及び先端側部分50の上下端48a,50aでキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を支える(受ける)ことで、キャタピラ状部材31の保持力が高まり、キャタピラ状部材交差方向(上下方向や捩り方向等)の外力に対するキャタピラ状部材31の保持強度が向上する。
また、補強部材33の両側板部48とその先端部分50でキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を受ける(支持する)ことで、固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の内側に進入するキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の長さを短縮して、キャタピラ状部材31の保持強度を確保できるので、固定式部材32等の小型化・軽量化が可能となる。
なお、上記各実施形態においては、自動車のスライドドアの常時給電にハーネス外装部材の保持構造を適用した例で説明したが、自動車以外の車両のスライドドアや車両以外の装置等のスライドドア等や、車両ボディ側等の固定式部材や車両ボディ側以外の固定式部材等にも上記ハーネス外装部材の保持構造を適用可能である。
また、上記ハーネス外装部材の保持構造は、例えば一方のコルゲートチューブ1と他方のコルゲートチューブ1とを連結するための不図示のハーネス保持部材にも適用可能である。この場合、連結用のハーネス保持部材の一方のハーネス保持壁部10及び/又は他方のハーネス保持壁部10の内側に補強部材3が装着される。これは、コルゲートチューブ1に代えて一方と他方の各キャタピラ状部材31を相互に連結する場合においても同様である。
本発明に係るハーネス外装部材の保持構造は、例えば自動車用等のワイヤハーネスのコルゲートチューブやキャタピラ状部材等といったハーネス外装部材の端部を、スライドドア側や車両ボディ側の首振り部材や固定式部材等といったハーネス保持部材に保持させた状態で、ハーネス外装部材に足踏み等の交差方向の外力が作用した場合に、ハーネス保持部材からハーネス外装部材が外れるのを防止して、常時給電の信頼性を高めるために利用することができる。
1 コルゲートチューブ(ハーネス外装部材)
2,32 ハーネス保持部材
3,33 補強部材
4 凹溝(係止手段)
6 凹溝部
7 前側のリブ(係止手段)
8 後側のリブ
10,35 ハーネス保持壁部
10c,46 先端
16a,50b 先端
31 キャタピラ状部材(ハーネス外装部材)
34 孔部(係止手段)
36 突起(係止手段)
37 駒部材
39 上下の板壁
48 側板部
48a,50a 上下端
本発明は、例えば自動車のスライドドア等に給電を行うためのワイヤハーネスのハーネス外装部材の端部をスライドドア側等の部材に離脱なく保持させるハーネス外装部材の保持構造に関するものである。
従来、例えば自動車の車両ボディ(固定構造体)からスライドドア(スライド構造体)にワイヤハーネスを配索して常時給電を行う際に、ワイヤハーネスとして複数本の電線を合成樹脂製のコルゲートチューブやキャタピラ状部材といった外装部材で覆って構成することが知られている。
例えば特許文献1(図示せず)には、スライドドアに縦断面略コの字状の固定部材を固定し、固定部材に首振り部材を上下の軸部で水平方向回動自在に設け、首振り部材にワイヤハーネスのコルゲートチューブの一端部を保持させたことが記載されている。
コルゲートチューブは周方向の凹溝と凸条とをチューブ長手方向に交互に配列したもので、首振り部材の水平なハーネス挿通孔の内周面にリブが突設され、リブに断面長円形のコルゲートチューブの凹溝が係合固定されている(特許文献1の段落番号0049参照)。
また、特許文献2(図示せず)には、スライドドア側のハーネス余長吸収装置から車両ボディ側のハーネス固定部材にワイヤハーネスが配索され、ワイヤハーネスは車両ボディ側においてキャタピラ状の外装部材で覆われ、車両ボディ側のハーネス固定部材は、上下に分割可能なベースとカバーと、ベースとカバーとの間に周方向回転自在に配置される回動体とで構成され、ベースとカバーにキャタピラ状の外装部材の一端部が首振り自在に連結されたことが記載されている。
また、特許文献3(図示せず)には、合成樹脂製コルゲートパイプとして、管本体としての内管部と補強部材としての外管部とで構成することで、曲げ時のパイプの潰れ等を防止したことが記載されている。
特開2007−151377号公報(図1,図2)
特開2005−8010号公報(図1)
特開2004−3618号公報(図1)
しかしながら、上記従来の構造にあっては、例えば図7に示す異なる形態例を用いて説明すると、自動車のスライドドア側の首振り部材41と車両ボディ側の首振り部材42との間に配索されたワイヤハーネスの合成樹脂製の屈曲自在なコルゲートチューブ(ハーネス外装部材)1が、スライドドアの全開時ないし半開時に、乗降する人員によって足踏みされた場合に、図8に示す如く、スライドドア側の首振り部材41の水平な筒状のハーネス保持部41aから外れ兼ねないという懸念があった。
図8の如く、ハーネス保持部41aは内周面に複数(本例で二本)の周方向のリブ56を有し、各リブ56にコルゲートチューブ1の一端部の各凹溝(谷部)4が係合保持されているが、コルゲートチューブ1の長手方向中間部が足踏みされて斜め下向きに引っ張られることで、コルゲートチューブ1の端部に矢印Aの如く下向きの力が作用して、上側の凹溝4がリブ56の上側部分から下向きに離脱しやすくなる。コルゲートチューブ1の端部がハーネス保持部41aから離脱した場合には、スライドドアと車両ボディとの間(渡り部)におけるワイヤハーネスのスムーズな屈曲軌跡の規制ができなくなり、ワイヤハーネスの屈曲耐久性が低下し兼ねないという懸念を生じる。
このことは足踏みによる外力に限らず、例えば他部品等とコルゲートチューブ1が干渉したり、コルゲートチューブ1の径方向(交差方向)に強い外力が作用した場合等においても同様に生じ兼ねないものであり、また、交差方向の外力の方向は下向きに限らず、横方向や上方向に作用する場合もあり得る。
また、ハーネス外装部材としてコルゲートチューブ1に代えて合成樹脂製のキャタピラ状部材を用いた場合にも、外力によってキャタピラ状部材の端部が変形して首振り部材41から外れることもあり得る。また、首振り部材41に限らず首振り不能な固定式部材等にこれらハーネス外装部材1の端部を保持した場合でも、同様に外力によって固定式部材等からハーネス外装部材1の端部が外れることもあり得る。
本発明は、上記した点に鑑み、ハーネス外装部材の端部を首振り部材や固定式部材等といったハーネス保持部材に保持した状態で、ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した場合でも、ハーネス保持部材からハーネス外装部材が外れることのないハーネス外装部材の保持構造を提供することを目的とする。
本発明のハーネス外装部材の保持構造は、固定構造体からスライド構造体に配索される電線を覆うハーネス外装部材と、ハーネス保持部材と、を備え、前記ハーネス保持部材のハーネス保持壁部の内面に沿って前記ハーネス外装部材の端部の外面が配置され、前記ハーネス外装部材の端部が前記ハーネス保持壁部に係止手段で係止されるハーネス外装部材の保持構造において、前記ハーネス外装部材がキャタピラ状部材であり、該キャタピラ状部材の先頭の駒部材が前記係止手段で前記ハーネス保持壁部に係止され、前記係止手段が、前記キャタピラ状部材及び前記ハーネス保持壁部の一方に設けられた孔部と、他方に設けられた突起であり、これら孔部と突起とが回動自在に係合することを特徴とする。
本発明によれば、ハーネス外装部材の端部を首振り部材や固定式部材等といったハーネス保持部材に保持した状態で、ハーネス外装部材に交差方向の外力が作用した場合でも、ハーネス外装部材の端部とハーネス保持壁部との係止の解除が阻止されて、ハーネス保持部材からハーネス外装部材が外れることが防止される。これにより、例えばハーネス外装部材の破損等が防止されて、ワイヤハーネスによる給電の信頼性が向上する。
参考例のハーネス外装部材の保持構造を示す分解斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の組立状態を示す斜視図(枠内は部分拡大図)である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の要部を示す縦断面斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造を示す縦断面斜視図(枠内は部分拡大図)である。
本発明に係るハーネス外装部材の保持構造を示す分解斜視図である。
同じくハーネス外装部材の保持構造の組立状態を示す縦断面図である。
既存のハーネス外装部材の配索構造の一形態を動作ごとに実線で示す斜視図である。
同じく既存のハーネス外装部材の保持構造の一形態を示す縦断面斜視図である。
図1〜図4は、本発明の参考となる参考例のハーネス外装部材の保持構造を示すものである。
このハーネス外装部材の保持構造は、ハーネス外装部材として合成樹脂製の断面長円形のコルゲートチューブ1(図3)を用い、ハーネス保持部材として合成樹脂製の首振り部材2(図1,図2)を用いて、コルゲートチューブ1の一端部の内側に合成樹脂製の環状(筒状)の補強部材3を挿入し、コルゲートチューブ1の一端部の凹溝(谷部)4と、補強部材3の外周面側の凹溝部6とに首振り部材2の内周面側の各リブ7,8を係合係止させるものである。
図1,図2の如く、首振り部材(ハーネス保持部材)2は、側面視略L字状に形成され、垂直な断面円形の環状壁部9と、環状壁部9に直交する水平な断面長円形の環状(筒状)のハーネス保持壁部(ハーネス保持部)10とを備えている。環状壁部9の上端部分が環状の軸部11として作用し、ハーネス保持壁部10の底壁部分に、上側の軸部11と同心に環状の下側の軸受部12が設けられている。
図1の如く、首振り部材2は上下に二分割され(図1では首振り部材2を縦断面として示している)、図2の如く、不図示の係止手段(例えば一方の係止枠片と他方の係止突起等)で相互に係止固定される。
上側の分割首振り部材2aは、垂直な半割状の環状壁部11と、水平な半割状のハーネス保持壁部10とを有している。半割状の環状壁部11の内側空間13は上下に貫通し、上端にハーネス挿通用の上部開口13aを有し、半割状のハーネス保持壁部10は内周面に前後二つの周方向のリブ(係止手段ないし係止部)7,8を有している。前側のリブ7は半割状のハーネス保持壁部10の水平な内側空間14の正面側の開口14aの近傍に配置され、後側のリブ8は半割状のハーネス保持壁部10の基端側に配置されている。
下側の分割首振り部材2bは、水平な半割状のハーネス保持壁部10と、半割状のハーネス保持壁部10の基端側に一体に湾曲状の壁部15とを有している。半割状のハーネス保持壁部10は上側の半割状のハーネス保持壁部10よりも水平軸心方向に長く延長されて湾曲壁15に続いている。半割状のハーネス保持壁部10の基端側の底面に環状の軸受部12が下向きに突出して設けられ、半割状のハーネス保持壁部10の内周面に前後二つの周方向のリブ7,8が設けられている。前側のリブ7は半割状のハーネス保持壁部10の正面側の開口14aの近傍に配置され、後側のリブ8は前側のリブ7と軸受部12との間に配置されている。
上下の分割首振り部材2a,2bを接合係止することで、上側の環状壁部11の下端面11aと下側の湾曲状の壁部15の上端面15aとが接合し、上側のハーネス保持壁部10の下端面10aと下側のハーネス保持壁部10の上端面10bとが接合し、上側の各リブ7,8の下端面7a,8aと下側の各リブ7,8の上端面7b,8bとが接合する。
コルゲートチューブ(ハーネス外装部材)1は、断面長円形で水平方向(短径方向)の屈曲性を有する既存のものであり(図1ではコルゲートチューブ1を縦断面で示している)、周方向の凹溝(谷部、係止手段ないし係止部)4と凸条(山部)5とをチューブ長手方向に交互に配列して構成され、図7で示したコルゲートチューブ1のように水平方向に長く延長されている(図1〜図3ではコルゲートチューブ1の一部分を図示している)。
補強部材3は、断面長円形の筒状(環状)壁部16と、筒状壁部16の基端(後端)側の外周に設けられた厚肉で環状の鍔壁部17と、鍔壁部17の厚み方向中央に設けられた周方向の一つの凹溝部(係止手段ないし係止部)6とを備えている。筒状壁部16の外径(長径及び短径)はコルゲートチューブ1の内径(長径及び短径)よりも若干小さく規定され、コルゲートチューブ1の一端部の内側空間18に環状壁部16がガタつきなく挿入ないし嵌合可能となっている。図1で補強部材3は縦断面で示している。
補強部材3の軸心方向の長さは、上側の分割首振り部材2aの半割状のハーネス保持壁部19の長さよりも少し長く規定されている。本例の補強部材3の筒状壁部16の板厚は首振り部材2のハーネス保持壁部10の板厚よりも薄く、コルゲートチューブ1の板厚よりも厚い。鍔壁部17の前端面17aと後端面17bとの間の厚みは筒状壁部16の板厚よりも十分に厚く、凹溝部6の幅は首振り部材2の後側のリブ8の板厚よりも若干大きい。凹溝部6の前後に一対の凸条部17cが形成され、前側の凸条部17cの前端面17aが筒状壁部16の外面に交差して続いている。凹溝部6は周方向に連続して長円形環状に形成されている。
凹溝部6は、前後のテーパ状の内側面6aと水平な底面6bと、底面6bよりも幅広な開口6cとを有している。凹溝部6の前後の内側面6aは、首振り部材2の後側の略山型状のリブ8の前後のテーパ状の外面8cに沿ったテーパ形状となっている。凹溝部6の深さは鍔壁部17の径方向の厚みの略半分程度であり、凸条部17cの前端面17aの高さよりも浅く、凹溝部6の底部6dは筒状壁部16よりも厚肉に形成されている。
首振り部材2の前側のリブ7は後側のリブ8と同じないしほぼ同じ大きさ・形状であり、コルゲートチューブ1の凹溝4の前後のテーパ状の内側面に沿ったテーパ状の外面7cを有している。補強部材3の凹溝部6はコルゲートチューブ1の凹溝4と同じないしほぼ同じ大きさ・形状である。なお、前後左右の方向性は説明の便宜上のものである。
補強部材3の鍔壁部17の後端面17bと筒状壁部16の内周面16aとの交差部分には湾曲面20aが形成され、湾曲面20aは補強部材3の後部開口21の全周に渡って環状に配設されている。この湾曲面20aは鍔壁部17の後端面17bから筒状壁部16の内周面16aにかけて径方向に突出した湾曲突部20をなしており、普通の湾曲状の面取とは相違する。湾曲突部20の外面が湾曲面20aとなっている。
図2の如く、首振り部材2は固定部材22に水平方向回動自在に組み付けられる。首振り部材2と固定部材22と補強部材3とで給電装置(給電具)23が構成される。本例の固定部材22は、縦断面略コの字状に形成され、水平な上壁24と下壁25と両壁部24,25を連結する垂直な背壁26とで成る。上壁24に、首振り部材2の上側の環状の軸部11を回動自在に係合させる軸受孔(軸受部)27が設けられ、下壁25に、首振り部材2の下側の環状の軸受部12の内側に係合する軸部30(図4)が立設されている。
固定部材22の例えば上壁24が軸受孔27の中心から前後に分割可能であり、各分割上壁24は例えば一方の係止凹部と他方の係止爪等といった不図示の係止手段で相互に係止固定される。背壁26の左右に固定用のブラケット28とボルト挿通孔28aとが設けられている。上壁24を分割した状態で、固定部材22に首振り部材2が組み付けられ、分割上壁24を相互に接合係止させた状態で、背壁26が例えば自動車のドアインナパネル等にねじ締め等で固定される。
首振り部材2を図1の如く二分割した状態で、首振り部材2に補強部材3とワイヤハーネスのコルゲートチューブ1の一端部とが組み付けられる。同様にワイヤハーネスの複数本の電線29は図4の如く首振り部材2の環状の軸部11の上部開口13aから上向きに導出される。その状態で首振り部材組立体(首振り部材2と補強部材3とワイヤハーネスとで成る組立体)が固定部材22に組み付けられる。
筒状(環状)の補強部材3の内側空間への複数本の電線29の挿通作業を容易化するために、補強部材3を上下ないし左右に分割可能としてもよい。この場合、補強部材3の外面はコルゲートチューブ1の内面に接触するので、補強部材3の内面側や好ましくは補強部材3の板厚の範囲内で一方の係止凹部と他方の係止爪等といった不図示の係止手段を設けて、分割補強部材3を相互に合体(接合)係止させる。
図3の如く、コルゲートチューブ1の一端部の内側に(コルゲートチューブ1の凹溝4の底壁4aの内面に沿って)補強部材3の筒状壁部16が挿入され、その状態でコルゲートチューブ1と補強部材3とが首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側に組み付けられる。
本例の補強部材3においては、コルゲートチューブ1の一端部の先端の凹溝4のテーパ状の先端壁4bの上端でコルゲートチューブ1が切断され(切断部を符号1aで示す)、テーパ状の先端壁4bが補強部材3の鍔壁部17のテーパ状の前端面17aに当接した状態で(鍔壁部17の前端面17aはコルゲートチューブ1の先端壁4bに対するストッパとして作用する)、コルゲートチューブ1と補強部材3とが首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側に組み付けられる。
本例の首振り部材2においては、ハーネス保持壁部10の内面側の前後のリブ7,8の間隔(ピッチ)はコルゲートチューブ1の凹溝4の概ね三つ分の間隔に規定されている。補強部材3の鍔壁部17の凹溝部6に首振り部材2のハーネス保持壁部10の後側のリブ8が係合し、鍔壁部17の前端面17aから数えてコルゲートチューブ1の二つ目の凹溝4にハーネス保持壁部10の前側のリブ7が係合している。後側のリブ8のテーパ状の前後の8c面は鍔壁部17の凹溝部6のテーパ状の前後の面6aに当接ないし接触している。
コルゲートチューブ1の先端の凹溝41は空間として残り、先端の凹溝41の空間はハーネス保持壁部10の内面で塞がれている。先端の凹溝41に隣接して続く一つ目の凸条51の天壁はハーネス保持壁部10の内面に接触している。一つ目の凸条51に隣接して続く二つ目の凹溝4にハーネス保持壁部10の前側のリブ7が係合し、前側のリブ7のテーパ状の前後の面7cが凹溝4のテーパ状の前後の面に当接ないし接触している。前側のリブ7はハーネス保持壁部10の先端(前端)10cから少し後方に位置し、前側のリブ7から突出したハーネス保持壁部10の先端部10cの内面は二つ目の凸条52の天壁に接触している。
補強部材3の筒状壁部16の先端(前端)16aは首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cよりも前方に突出し、補強部材3の軸心方向の全長の概ね半分程度の位置にハーネス保持壁部10の先端10cが位置する。補強部材3の筒状壁部16の外面に沿って軸心方向にコルゲートチューブ1の複数の凹溝(谷部)4及び凸条(山部)5が配置され、本例において四つの凹溝4が補強部材3の筒状壁部16の外面に沿って配置され、概ね四つの凸条5が筒状壁部16の径方向外側に配置されている。
このように、補強部材3の先端(前端)16aが首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cよりも前方に突出して配置され、補強部材3の基端側(鍔壁部17側)から先端16aを経てコルゲートチューブ1が装着されたことで、以下のような作用効果を生じる。
すなわち、コルゲートチューブ1の不図示の長手方向中間部に足踏み等の下向きの外力が作用した際に、コルゲートチューブ1が図2の矢印Aの下向きの押圧力と図3の矢印Bの軸心方向の引張力との合力で斜め下向きに引っ張られるが、その際に、図3の補強部材3の筒状壁部16の突出先端(前端)16aにおいてコルゲートチューブ1に下向きの曲げ力が作用し(コルゲートチューブ1が下向きに曲げられ)、補強部材3の筒状壁部16の外面でコルゲートチューブ1の一端部の内面を受け止めて、下向きの曲げ力を徐々に吸収することで、首振り部材2のハーネス保持壁部10の先端(前端)10cにおいてコルゲートチューブ1が有害な変形を生じることがなく、ハーネス保持壁部10の先端側のリブ7からコルゲートチューブ1の凹溝4が外れるという不具合が防止される。
すなわち、補強部材3を用いたことで、コルゲートチューブ1がハーネス保持壁部10の先端側のリブ7よりも手前側(前方)において屈曲するので、リブ7とコルゲートチューブ1の凹溝4との外れ(離脱)が確実に防止される。
また、補強部材3の後端の鍔壁部17の凹溝部6に首振り部材2のハーネス保持壁部10の後側のリブ8を係合(係止)させたことで、ハーネス保持壁部10に対して補強部材3が前後方向(軸心方向)に不動に固定され、前側のリブ7に対する補強部材3の先端(前端)16aの位置が精度良く規定され、上記した前側のリブ7からのコルゲートチューブ1の凹溝4の離脱防止の効果が確実に発揮される。
図4に示す如く、水平なコルゲートチューブ1から補強部材3を経て首振り部材2の垂直な環状壁部13の内面に沿ってワイヤハーネスの複数本の電線29が露出して略L字状に屈曲して挿通されるが、補強部材3の鍔壁部17の後端内側に湾曲部20とその外面である湾曲面20aとが設けられているので、電線29が湾曲面20aに沿ってスムーズに湾曲(屈曲)すると共に、湾曲面20aがない場合の補強部材3の後端内側の不図示のエッジで電線29が傷付けられるといった心配が解消される。
また、湾曲部20は補強部材3の内側に向けて突出しているので、電線29が湾曲部20で下向きに押されて補強部材3の軸心寄りに配索され、補強部材3の上部内面と電線29との干渉が防止されて、電線29が首振り部材2の垂直な上側の環状壁部13から水平な下側の補強部材3にかけてスムーズに湾曲する。
図4に示すスライドドア(スライド構造体)側の給電装置23は、例えば図7のスライドドア側の給電装置(首振り部材41のみを示す)及び/又は図7の車両ボディ(固定構造体)側の給電装置(首振り部材42のみを示す)に代えて用いることができる。以下に図4の符号を用いて図7の動作について説明する。
図4の給電装置23の固定部材22はスライドドアインナパネルに固定される。給電装置23を車両ボディ側の給電装置として用いる場合は、ワイヤハーネスの他端部側の電線29を上向きにではなく水平に車両ボディ側に導出させるように、首振り部材2の前端の開口14aとほぼ同軸に後端の不図示のハーネス導出用の開口を水平に設けることもある。
図7の左側の図の如く、車両左側の不図示のスライドドアを車両後方へスライドさせて全開にした際に、車両ボディ側の給電装置の首振り部材42からスライドドア側の給電装置23(図4)の首振り部材2にかけてワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が車両後方へ湾曲状に引っ張られる。
その状態からスライドドアを車両前方へスライドさせて閉じるに伴って、図7の中間の各図の如く、スライドドアの半開時に、スライドドア側の首振り部材23(図4)が車両後方に向けて平面視で時計回りに回動しつつ、ワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が、車両前方へ向けて平面視で時計回りに回動する車両ボディ側の首振り部材42の間で略S字状に屈曲して余長を吸収する。図7の右側の図の如く、スライドドアの全閉時にワイヤハーネスのコルゲートチューブ1が車両ボディ側の首振り部材42からスライドドア側の首振り部材23(図4)にかけて前方へ直線的に引っ張られる。
図7のスライドドアの全開時ないし半開時に人員が乗降する際にワイヤハーネスのコルゲートチューブ1を足踏みすることも考えられるが、その場合には、図3において説明したように、スライドドア側の給電装置23(図4)において補強部材3が首振り部材2のハーネス保持壁部10よりもコルゲートチューブ長手方向に突出しているので、コルゲートチューブ1が首振り部材2の前側のリブ7よりも手前側で下向きに屈曲して、リブ7からのコルゲートチューブ1の凹溝4の離脱が防止される。
補強部材3は車両ボディ側の給電装置においても適用可能であり、その場合には、スライドドア側の給電装置と同様の作用で、車両ボディ側の給電装置の首振り部材からのコルゲートチューブの離脱が防止される。車両ボディ側の給電装置は必ずしも首振り部材2を用いなくてもよく、この場合は、首振り部材2に代えて、筒状(環状)のハーネス保持壁部を有するハーネス保持部材を用いる。
なお、上記参考例において、図2の首振り部材2の下側の軸受部12を軸部に代えて、固定部材22の下側の軸部30を軸受部に代えることも可能である。これら軸部30や軸受部12等の形状や配置は必要に応じて適宜設定可能である。
また、図3の首振り部材2の後側のリブ8と補強部材3の凹溝部6を図3のコルゲートチューブ1の先端の凹溝41の位置に配置して、保持するコルゲートチューブ1の長さをさらに短縮させることも可能である。また、凹溝部6内にコルゲートチューブ1の先端等の凹溝4を係合させ、その凹溝4の上からハーネス保持壁部10の後側のリブ8を凹溝部6に嵌合させる(凹溝4を介してリブ8を凹溝部6に係合させる)ことも可能である。
また、上記参考例においては補強部材3の先端16aを首振り部材3のハーネス保持壁部10の先端10cよりも前方に突出させたが、例えば補強部材3の先端16aを首振り部材3のハーネス保持壁部10の先端10cと同一垂直面上に配置した場合でも、効果は劣るものの、ハーネス保持壁部10と補強部材3との間にコルゲートチューブ1の端部を挟む(コルゲートチューブ1の端部をハーネス保持壁部10と補強部材3との間に入れてコルゲートチューブ1の端部の動きをとれなくする)ことで、コルゲートチューブ1の保持強度は高まる。
上記参考例によれば、図3の如く、首振り部材2のハーネス保持壁部10よりも補強部材3を突出させて、ハーネス保持壁部10と補強部材3との間にコルゲートチューブ1を挟むように保持することで、コルゲートチューブ1の保持力が高まり、チューブ交差方向の外力に対するコルゲートチューブ1の保持強度が向上する。
また、図4の如く、補強部材3の基端内側の湾曲面20aでワイヤハーネスの電線29を受ける(支える)ことで、コルゲートチューブ1の端部エッジによる電線29の傷付きや折れ曲がりが防止され、電線29の耐久性が向上する。
また、図3の如く、補強部材3の外面に沿ってコルゲートチューブ1を支持することで、首振り部材2のハーネス保持壁部10の内側のコルゲートチューブ1の端部長さを短縮し、リブ7とコルゲートチューブ1の凹溝4とによるコルゲートチューブ1の係止部分の面積を小さくして保持強度を確保できるので、首振り部材2等の小型化・軽量化が可能となる。
図5〜図6は、本発明に係るハーネス外装部材の保持構造を示すものである。
このハーネス外装部材の保持構造は、ハーネス外装部材として合成樹脂製のキャタピラ状部材31を用い、ハーネス保持部材として合成樹脂製の固定式部材32又は可動式部材である首振り部材(何れでも可、以下においては固定式部材32として説明する)を用いて、キャタピラ状部材31の一端部の内側に合成樹脂製の正面視矩形状の補強部材33を挿入し、キャタピラ状部材31の一端部の上下の各孔部34を固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の内面側の各突起36に回動自在に係合させるものである。
キャタピラ状部材(ハーネス外装部材)31は、複数(多数)の駒部材37を上下の軸部38と孔部34とで連結して水平方向に延長させた既存のものである。各駒部材37は正面視矩形状に形成され、上下の水平な板壁39と、上下の板壁39を連結する左右の垂直な側板40と、上下の板壁39の基端(前端)に段差43を介して一体に且つ平行に続く内側の上下の板壁44とで成り、外側の上下の板壁39に円形の孔部34が設けられ、内側の上下の板壁44に円形の突起38が設けられている。
一つの駒部材37の各突起38が隣接の他の駒部材37の各孔部34に係合して、各駒部材37が各突起38を支点に水平方向に屈曲自在である。各駒部材37の内側に複数本の電線29(図4)が挿通され、各駒部材37で成るキャタピラ状部材31と複数本の電線29とでワイヤハーネスが構成される。先頭の駒部材37の上下の板壁39に突起(36)を設け、固定式部材32の上下の壁部35に孔部(34)を設けることも可能である。
固定式部材(ハーネス保持部材)32は、水平な上下の壁部35と、上下の壁部35を連結する垂直な左右の側壁45と、前後の開口46,47(図6)とを有し、上下の壁部35の前部内面に円形の突起36が設けられ、各突起36はキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の孔部34に回動自在に係合する。上下の壁部35の内面の間隔はキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39の外面の間隔よりも若干大きく規定されている。一方の側壁45はキャタピラ状部材31の屈曲方向に対応して前部開口側で切欠されている(切欠部を符号45aで示す)。
補強部材33は、左右一対の垂直で平行な側板部48と、両側板部48の後端側を連結した上下の水平な板部49とを備え、各側板部48の突出先端(前端)側の部分が、段差部51を介して内側に平行に折り曲げられて先端側の内側板部50をなしている。左右の側板部48の高さはキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39の各内面の間隔よりも若干小さく規定されている。
駒部材37の上下の板壁39の外面の間隔は補強部材31の側板部48の高さよりも大きく、固定式部材32の上下の壁部35の内面の間隔よりも若干小さく規定されている。補強部材33の側板部48の先端側の内側板部50の外面の中央には突起52が設けられ、図6の如く、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の左右の側板40の内面に、突起(係止手段ないし係止部)52を係合係止させる水平な溝(係止手段ないし係止部)53が設けられている。
突起52は溝53の前端面に係止される。側板40に突起(52)を設け、内側板部50に溝(53)を設けることも可能である。突起52と溝53を用いずに、固定式部材32の内側に補強部材33を一方の突起と他方の凹部等といった不図示の係止手段ないし係止部で係止させることも可能である。
図5の状態から図6の如く、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37が固定部材32の前部開口46内に挿入され、その際に先頭の駒部材37の上下の板壁39が内向きに撓んで、上下の板壁39の孔部34に固定式部材32の上下の壁部35の突起36が進入係合する。
補強部材33が後部開口47から固定式部材32の内側に挿入され、固定式部材32の側板部48の先端側の内側板部50が固定式部材32の前端(前部開口)46から前方に突出しつつ、先頭の駒部材37の左右の側板40の内面に沿って進入し、先端側の左右の内側板部50の外面が左右の側板40の内面に接触する。
この際、内側板部50の外面の小突起52が側板40の内面の溝53に進入係合して、両者33,37が正確に係止且つ上下方向に正確に位置決めされる。内側板部50の先端(前端)50bは固定式部材32の先端(前端)46すなわち前部開口46と先頭の駒部材37の側板部40の前端40aとの中間に位置する。
さらに、先端側の内側板部50の上下の端面50aと、内側板部50に続く側板部本体48の上下の端面48aとが、先頭の駒部材37の上下の板壁39の内面に接触ないし当接して、先頭の駒部材37の上下の板壁39の内向きの撓みを阻止する。先頭の駒部材37の上下の板壁39の外向きの撓みは固定式部材32の上下の壁部35の内面で阻止される。先頭の駒部材37の上下の板壁39の外面は固定式部材32の上下の壁部35の内面に接触ないし当接する。
これにより、キャタピラ状部材31の長手方向中間部(図示せず)に足踏み等による下向きの外力が作用した場合でも、先頭の駒部材37の上下の板壁39の上下方向の撓みが、補強部材31の垂直な側板部48及び先端側の内側板部50と固定式部材32の水平な上下の壁部35の内面とで阻止されて、固定式部材32の上下の突起36から先頭の駒部材37の上下の孔部34が外れる(離脱する)ことが確実に防止される。なお、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の回動は補強部材33の側板部48で規制されるが、二番目の駒部材37やそれ以降の駒部材37が各突起38を中心に回動するので使用上の問題はない。
図5の固定式部材32と補強部材33とで成る給電装置54は、例えば図7に示す車両ボディ側の給電装置42に代えて使用可能である。図5の例のキャタピラ状部材31は、各駒部材37の上下の内側板部44の前端側のストッパ部55の形状によって一方向にのみ屈曲自在であるので(ストッパ部55は隣接の側板40の内面に当接する)、図7の右側及び中間の図の如くスライドドアの全開から半開にかけて、車両ボディ側の給電装置54(図6)からワイヤハーネスのキャタピラ状部材31を車両後方に湾曲させるために好ましい。
図5のキャタピラ状部材31の各駒部材37の前端側のストッパ部55の形状を変更することで、種々の屈曲形態に対応可能となり、スライドドア側の給電装置として使用することも可能となる。図5のキャタピラ状部材31の内側に挿通された複数本の電線29(図4)は固定式部材32と補強部材33とを水平に貫通して例えば車両ボディ側に導出される。また、図5の固定式部材32の上下の壁部35の外面に不図示の軸部ないし軸受部を設けて、不図示の固定部材の軸受部ないし軸部に係合させれば、固定式部材32を可動式の首振り部材として用いることもできる。
なお、上記実施形態においては、補強部材33の先端50bを固定式部材32の先端46よりも前方に突出させたが、例えば補強部材33の先端30bを固定式部材32の先端46と同一垂直面上に配置した場合でも、固定式部材33の上下の壁部35と補強部材33の左右の側板部48の上下端48a,50aとでキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を挟む(キャタピラ状部材31の板壁39を固定式部材32と補強部材3との間に入れてキャタピラ状部材31の端部の上下方向の動きをとれなくする)ことで、キャタピラ状部材31の保持強度は高まる。
上記実施形態によれば、図6の如く、固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の前端46よりも補強部材33の両側板部48の先端側部分50を前方に突出させ、キャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の両側板40の内側に補強部材33の両側板部38の先端側部分50を差し込んで、補強部材33の両側板部48及び先端側部分50の上下端48a,50aでキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を支える(受ける)ことで、キャタピラ状部材31の保持力が高まり、キャタピラ状部材交差方向(上下方向や捩り方向等)の外力に対するキャタピラ状部材31の保持強度が向上する。
また、補強部材33の両側板部48とその先端部分50でキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の上下の板壁39を受ける(支持する)ことで、固定式部材32の上下の壁部(ハーネス保持壁部)35の内側に進入するキャタピラ状部材31の先頭の駒部材37の長さを短縮して、キャタピラ状部材31の保持強度を確保できるので、固定式部材32等の小型化・軽量化が可能となる。
なお、上記実施形態においては、自動車のスライドドアの常時給電にハーネス外装部材の保持構造を適用した例で説明したが、自動車以外の車両のスライドドアや車両以外の装置等のスライドドア等や、車両ボディ側等の固定式部材や車両ボディ側以外の固定式部材等にも上記ハーネス外装部材の保持構造を適用可能である。
1 コルゲートチューブ(ハーネス外装部材)
2,32 ハーネス保持部材
3,33 補強部材
4 凹溝(係止手段)
6 凹溝部
7 前側のリブ(係止手段)
8 後側のリブ
10,35 ハーネス保持壁部
10c,46 先端
16a,50b 先端
31 キャタピラ状部材(ハーネス外装部材)
34 孔部(係止手段)
36 突起(係止手段)
37 駒部材
39 上下の板壁
48 側板部
48a,50a 上下端