JP2017195848A - イネ科植物の生育方法 - Google Patents

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文雄 赤堀
茂秋 山田
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茂秋 山田
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Yasuyuki Uozumi
保幸 魚住
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Akihiko Ishikawa
彰彦 石川
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Abstract

【課題】イネ科植物の生育量および発芽量を著しく向上させることができるイネ科植物の生育方法の提供。【解決手段】2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を酸化して酸化処理後液と沈殿を形成させる酸化工程と、前記酸化処理後液を中和して中和処理後液と鉄分富有殿物を得る中和工程と、前記鉄分富有殿物を土壌と混合し、鉄分富有殿物含有土壌を得る混合工程と、前記鉄分富有殿物含有土壌を用いてイネ科植物を生育する生育工程と、を含むイネ科植物の生育方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、イネ、芝草等のイネ科植物の生育方法に関する。
近年、大気中の炭酸ガス増加は排気ガスやその他の化学物質によるものであり、都市部において著しい。この炭酸ガスの減少には植物の存在が効果的であり、他にも土埃の飛散緩和、騒音の削減、気温の調節、光の反射の減少、アレルギー物質の制御などの効果もあるとして、例えば、グラウンドや公園などへのイネ科植物である芝草の生育が注目されている。
また、鋳物用キューポラ溶解工程で発生する溶融スラグを用いた芝育成人工用土が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この提案の技術では、溶融スラグを芝生面に散布することで質量が10%〜20%増加することが報告されている。
特開昭62−155022号公報
しかし、植物の生長や発芽は、気温、雨量、日射量等の外部環境などにより悪影響を被る場合があり、より影響の大きいイネや芝草等のイネ科植物の生育量および発芽量を大幅に向上させることができるイネ科植物の生育方法の提供が望まれている。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、イネ科植物の生育量および発芽量を著しく向上させることができるイネ科植物の生育方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水から得られた鉄分富有殿物を土壌と混合することにより、前記課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、
本発明のイネ科植物の生育方法は、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を酸化して酸化処理後液と沈殿を形成させる酸化工程と、
前記酸化処理後液を中和して中和処理後液と鉄分富有殿物を得る中和工程と、
前記鉄分富有殿物を土壌と混合し、鉄分富有殿物含有土壌を得る混合工程と、
前記鉄分富有殿物含有土壌を用いてイネ科植物を生育する生育工程と、
を含むことを特徴とする。
この場合、前記中和工程後に、前記中和処理後液と前記鉄分富有殿物を固液分離する固液分離工程、を含むことが好ましい。
前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水は、pH2.6以上3.7以下であることが好ましい。
前記酸化工程において、鉄酸化細菌を用いることが好ましい。
前記酸化工程の前に、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水中の重金属を除去する除去工程を行うことが好ましい。
前記除去工程において、第二鉄塩を用いることが好ましい。
前記除去工程で用いる第二鉄塩が、ポリ硫酸第二鉄であることが好ましい。
前記酸化工程後の酸化処理後液は、pH2.0以上2.5以下であることが好ましい。
前記中和工程において前記酸化処理後液に、炭酸カルシウムを添加してpH4.0以上4.4以下の懸濁液を得て、更に前記懸濁液に消石灰を添加してpH7.0以上8.0以下とすることが好ましい。
前記鉄分富有殿物の平均粒径は、10cm以下であることが好ましい。
前記鉄分富有殿物の土壌に対する添加量が、1g/m3以上2kg/m3以下であることが好ましい。
前記イネ科植物が、芝草であることが好ましい。
本発明によると、イネ科植物の生育量および発芽量を著しく向上させることができるイネ科植物の生育方法を提供することができる。
図1は、原料から鉄分富有殿物を得るまでの作業工程を示すフロー図である。
(イネ科植物の生育方法)
本発明のイネ科植物の生育方法は、酸化工程と、中和工程と、混合工程と、生育工程とを含み、除去工程、及び固液分離工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明のイネ科植物の生育方法においては、イネ科植物を生育(播種も含む)する土壌と鉄分富有殿物を混合することで、目的とするイネ科植物の生育量が増大し、発芽率が向上する。
前記鉄分富有殿物は、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を酸化して酸化処理後液と沈殿を形成させ、前記酸化処理後液を中和することで発生する沈殿を回収して得られる。
<除去工程>
前記除去工程は、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水中の重金属を除去する工程であり、前記酸化工程の前に、必要に応じて行われる。
前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水としては、例えば、(1)金属鉱山から発生する鉱山廃水、(2)鋼板表面のスケール、汚れ、酸化膜、錆等を除去するため硫酸または塩酸による鋼板の洗浄後の排水、(3)亜鉛めっき、錫めっき等により表面処理鋼板を製造する際の洗浄排水などが挙げられる。
前記2価鉄鉱床鉱水中の2価鉄の濃度は、特に制限はなく、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水の種類などによって異なり一概には規定できないが、1,000mg/L以上1,200mg/L以下が好ましい。
前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水としては、2価鉄を含有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バクテリア酸化や中和処理を考慮すると該鉱水のpHは、2.6以上3.7以下が好ましい。
前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水は、2価鉄以外に重金属を含んでいてもよい。前記重金属としては、例えば、銅、鉛、鉄、亜鉛、マンガン、カドミウム、アンチモン、ウラニウムなどが挙げられる。このような重金属を含む場合は、酸化工程前に除去すれば良く、具体的には、第二鉄塩の凝集作用を利用して、重金属を除去できる。
−第二鉄塩−
前記第二鉄塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリ硫酸第二鉄が好ましい。
前記ポリ硫酸第二鉄は、式:[Fe2(OH)n(SO4)3−n/2]m〔ただし、式中、n<2であり、m>10である。〕で表される化合物である。
前記ポリ硫酸第二鉄としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば、ポリテツ R(日鉄鉱業株式会社製)、バイオフェリック(卯根倉鉱業株式会社製)などが挙げられる。
前記第一鉄及び該第一鉄以外の重金属を含有する硫化鉄鉱床鉱水に前記ポリ硫酸第二鉄を添加すると、水酸化第二鉄(Fe(OH)3)が析出し、この析出した水酸化第二鉄が凝集して沈降する。水酸化第二鉄が析出して凝集する際に、第一鉄及び該第一鉄以外の重金属を含有する液中の前記第一鉄以外の、例えば、亜ヒ酸(H3AsO3)等と共沈するなどして、重金属を捕捉するものと考えられる。
前記第二鉄塩としてのポリ硫酸第二鉄の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第一鉄及び該第一鉄以外の重金属を含有する硫化鉄鉱床鉱水に対して、10g/L以下が好ましく、0.5g/L以上10g/L以下がより好ましく、1g/L以上5g/L以下が更に好ましい。
前記添加量が、0.5g/L未満であると、第一鉄以外の重金属の除去効果が低下してしまうことがあり、10g/Lを超えると、アルカリ消費量が多くなり、コストが高くなってしまう。
前記第二鉄塩を添加した後、アルカリを加えてpH3.2以上とし、該pH3.2以上の状態を保持しながら水酸化第二鉄の沈殿を形成させ、固液分離により該水酸化物沈殿を除去する。
前記pHが、3.2未満であると、第一鉄以外の重金属の除去能力が低下してしまうことがあり、pHが4.5を超えると、第一鉄の殿物の量が徐々に増加し、pHが6以上になると澱物の発生量が急激に増加するので、pH3.6以上4.5以下がより好ましい。前記pHが、前記より好ましい範囲であると、第一鉄以外の重金属の除去の観点から有利である。
前記pHは、例えば、市販のpHメーターにより測定することができる。
前記アルカリとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、苛性ソーダ(NaOH)、苛性カリ(KOH);石灰、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH)2)、炭酸カルシウム等のカルシウム(Ca)系アルカリ剤;酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等のマグネシウム(Mg)系アルカリ剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<酸化工程>
前記酸化工程は、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を酸化して酸化処理後液と沈殿を形成させる工程である。
前記酸化処理としては、前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水中に含まれる2価の鉄イオンを、3価の鉄イオンに酸化することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化剤の添加による酸化処理、空気、酸素ガス、オゾンなどの曝気、または過酸化物による化学酸化処理、鉄酸化細菌による生物酸化処理などが挙げられる。これらの中でも、鉄酸化細菌による生物酸化処理が好ましい。
ここで、前記鉄酸化細菌の添加は、一度に行ってもよいが、数回に分けて行ってもよい。
また、連続酸化処理を行う場合には、鉄酸化細菌を適宜補充することが好ましい。鉄酸化細菌の添加および補充方法としては、鉄酸化細菌を用いたバクテリア酸化処理により生成する鉄酸化物を回収し、返送する方法が好適である。
前記鉄酸化細菌による2価鉄の酸化反応は、以下の式で表される。
前記鉄酸化細菌としては、2価鉄含有水中で酸化力を有するものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チオバチルス・フェロオキシダンス(Thiobachillus ferrooxidans)などが挙げられる。これらの中でも、チオバチルス・フェロオキシダンスが特に好ましい。
前記チオバチルス・フェロオキシダンスは、pH2以上3以下で生息し、酸化活性を有するので、pHが低い環境下で2価鉄を3価鉄まで迅速に酸化することができる。そして、3価鉄をpH3以上4以下として水酸化第二鉄として沈殿除去し、回収することができる。このpHでは、2価鉄含有水中に含まれる亜鉛、錫等の金属は水酸化物を作らないので、鉄のみを分離して回収できる。
前記チオバチルス・フェロオキシダンスは、排水処理におけるシックナー槽などで発生する沈降殿物泥中に生息しているので、沈降殿物泥をそのまま添加することで鉄酸化細菌を添加することができる。
前記鉄酸化細菌の前記2価鉄含有水中への添加量は、2価鉄含有水中の2価鉄の濃度などに応じて適宜選択することができ、例えば、反応槽内部のスラッジを60分間沈降させた時の安定堆積(SV60)が10v/v%以上20v/v%以下となるように添加することが最適である。
前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水は、pH2.6以上3.7以下の範囲にあれば、前記酸化処理により得られる3価の鉄イオンが、前記沈殿物として溶液中に析出され、例えば、生物酸化処理およびその後の中和処理によって生成する鉄分富有殿物は、下記一般式(1)で表されるシュベルトマナイトとなる。
ただし、前記一般式(1)中、Xは、1≦X≦1.75である。
前記鉄酸化細菌を使用する際は、曝気処理を行うことが好ましい。前記曝気とは、前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を空気に曝し、該鉄鉱床鉱水中に空気を供給することを意味し、例えば、ブロワなどにより空気を鉄酸化槽内にそのまま吹き込むことを意味する。
前記ブロワ(送風機)としては、空気に圧力をかけて送り出すことができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、吐出圧が0.1kgf/cm2以上1.0kgf/cm2以下のものが好ましい。
前記ブロワによる空気量は、処理水量と含有2価鉄濃度により決まる。空気量の効率は、0.3〜3m3(air)/m3(鉱水)/min/kg−Fe(II)が好ましい。
前記効率が、0.3m3(air)/m3(鉱水)/min/kg−Fe(II)未満であると、鉄酸化細菌による鉄の酸化に必要な空気を補えなく、かつ鉄酸化槽内部のスラッジを混合できないため鉄を完全に酸化できなくなることがあり、3m3(air)/m3(鉱水)/min/kg−Fe(II)を超えると、余剰な曝気により動力費が嵩むことがある。
前記曝気を行いながら撹拌を行うことが好ましい。前記鉱水に添加した鉄酸化細菌の状態によっては、撹拌を行わず曝気のみを行ってもよい。
前記撹拌に用いる撹拌機としては、曝気による空気をせん断できればよく、インペラ(撹拌翼)を有する撹拌機が好ましい。前記撹拌機としては、空気をせん断するためのインペラと、該鉱水を撹拌するためのインペラとに機能別としたものを用いてもよい。前記インペラとしては、例えば、プロペラ型、タービン型などが挙げられる。
前記撹拌機のインペラの回転により曝気で導入した空気をせん断し、気泡化すると共に、生じた乱流により該鉱水の撹拌が行われ、発生した気泡が鉄酸化槽内に拡散される。
本発明においては、撹拌機の撹拌によるせん断力で空気を気泡化するため、大小さまざまな直径の気泡が生じる。大径気泡は鉄酸化槽内の沈殿物と該鉱水の撹拌を促進する。一方、小径気泡は鉄酸化細菌の栄養、または鉄酸化に寄与する。前記気泡が小さすぎると、沈殿物が巻き上がらず、酸化効率が悪くなることがあり、前記気泡が大きすぎると、鉄酸化細菌への酸素供給効率が悪くなることがある。
前記撹拌機の回転数は、100rpm以上500rpm以下が好ましく、150rpm以上300rpm以下がより好ましい。前記回転数が、100rpm未満であると、空気のせん断が不十分となり、溶存酸素の増加が低下する結果となることがあり、500rpmを超えると、鉄酸化槽内部の沈殿物をせん断し、発生殿物の沈降性を低下させるため、沈殿物の回収に大型の設備を要する結果となることがある。
以上のように、ブロワによる曝気および曝気をしつつ、攪拌機による撹拌を行うことにより、ブロワから吹き出される空気を大小さまざまな直径の気泡にせん断でき、該鉱水の溶存酸素濃度を上昇させ、鉄酸化細菌による酸化効率を向上させることができる。
前記酸化工程後の酸化処理後液は、pH2.0以上2.5以下が好ましく、pH2.3以上2.5以下がより好ましい。
<中和工程>
前記中和工程は、前記酸化処理後液を中和して中和処理後液と鉄分富有殿物を得る工程である。
前記中和工程では、前記酸化処理後液を段階的に中和させることが好ましく、代表的には、前記酸化処理後液に、炭酸カルシウムを添加し、好ましくはpH4.0以上4.4以下、より好ましくはpH4.0以上4.3以下として懸濁液を製造する。前記懸濁液に更に消石灰を添加し、好ましくはpH7.0以上8.0以下、より好ましくはpH7.4以上7.9以下に調整することが特に好ましい。このような段階的な中和処理により鉄富有殿物を製造する効率を向上できる。即ち、炭酸カルシウムと消石灰を用いた段階的な中和処理により効率良く固液分離可能な中和処理後液と鉄分富有殿物が得られる。
なお、前記中和工程においても上述のブロワによる曝気および攪拌機による撹拌を行うことにより、処理効率を高めることができる。
<固液分離工程>
前記固液分離工程は、前記中和処理後液と前記鉄分富有殿物を固液分離する工程であり、前記中和工程後に、必要に応じて行われる。
前記固液分離手段としては、例えば、フィルタープレス、真空脱水機、ベルトプレス、スクリュープレス、スクリューデカンタ、多重円板脱水機など既存の装置を適宜選択して使用できる。もっとも前記中和処理後液を含む鉄分富有殿物スラリーとして土壌と混合してもよい。
<混合工程>
前記混合工程は、前記鉄分富有殿物を土壌と混合し、鉄分富有殿物含有土壌を得る工程である。
得られた前記鉄分富有殿物を土壌と混合することにより、鉄分富有殿物含有土壌を得る。
前記鉄分富有殿物の平均粒径は、混和の際の取扱性、および混和しやすさの観点から、10cm以下が好ましく、1.5μm以上5mm以下がより好ましい。
前記鉄分富有殿物の平均粒径は、土壌との混和性より小さいほど好適であり、10cmより大きいと土壌との接触面積が減少しやすくなり所望の効果が望めない。
前記鉄分富有殿物と前記土壌との混合は、前記鉄分富有殿物を前記土壌に散布後に表面から30cm程度までに掻き混ぜてもよいし、前記鉄分富有殿物を水に含ませた液状態で土壌へ散布して浸み込ませてもよい。
前記土壌との混合深さや浸透深さは前記鉄分富有殿物の効果がイネ科植物に効果を与えうる深さ方向に応じて適宜設定できる。
前記鉄分富有殿物の土壌に対する添加量は、1g/m3以上2kg/m3以下であることが好ましく、0.1kg/m3以上1kg/m3以下がより好ましい。前記添加量が、1g/m3未満であると、生育量や発芽量の向上が発揮されないことがあり、2kg/m3を超えても更なる効果が望めない。
前記鉄分富有殿物を土壌に散布する場合には、散布量の目安としては、例えば、目土の層厚が2mm以上20mm以下となる量が一例として挙げられる。質量基準の場合は、土壌1m2あたり、0.001kg以上2kg以下の散布量が目安となる。
なお、土壌と混合する鉄分富有殿物とともに、固着剤、展着剤等をそれらの有する特徴を付加する目的で混合することもできる。
<生育工程>
前記生育工程は、前記鉄分富有殿物含有土壌を用いてイネ科植物を生育する工程である。
前記鉄分富有殿物含有土壌を用いてイネ科植物を生育することで、イネ科植物の生育量や発芽量が著しく向上する。
前記イネ科植物とは、植物分類学上のイネ科に属する植物をいい、例えば、イネ、コムギ、ライコムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、芝草などが挙げられる。これらの中でも、芝草が特に好ましい。
前記芝草は、日本芝と西洋芝に大別される。前記日本芝としては、例えば、ノシバ、コウライシバ、ヒメコウライシバなどが挙げられる。前記西洋芝としては、例えば、バミューダグラス、ティフトン、ウィーピングラブグラス、ライグラス、ペレニアルライグラスなどが挙げられる。
前記イネ科植物の生育方法としては、特に制限はなく、イネ科植物の種類、量などに応じて適宜選択することができるが、普通の行われている方法により行うことができる。
以下、本発明を実施例により更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1に示す組成及びpHの硫化鉄鉱床の鉱水を用い、図1に示す工程フローにより、水酸化鉄と硫酸塩を含有する固形分を含む鉄分富有殿物を製造した。
まず、硫化鉄鉱床の鉱水に28℃で、第二鉄塩としてのポリ硫酸第二鉄(バイオフェリック、卯根倉鉱業株式会社製)を0.7g/L添加した。ポリ硫酸第二鉄を含む排水を撹拌し、次いで、48質量%苛性ソーダを添加しながら、pHを3.6とした。pH3.6の状態を保持しながら水酸化第二鉄の沈殿を形成させ、シックナーにより殿物スラリーと上澄液とに分離することで、Cd、Cr、As等の重金属を除去した(除去工程)。なお、pHは、pHメーター(株式会社堀場製作所製、HORIBA 9625−10D)を用いて測定した。
次に、前記上澄液の酸化処理に、主としてチオバチルス・フェロオキシダンス(Thiobachillus ferrooxidans)を含む鉄酸化細菌を用い、前記除去工程後の濾液に含まれる2価鉄を3価鉄に酸化した(酸化工程)。このとき出力7.5kWのブロワを用いて9.6m3/minで90分間の曝気を行った。
次に、酸化処理後の溶液をシックナーによりバクテリア酸化殿物スラリーと上澄液に分離した。この上澄液のpHは2.39であった。
次に、前記酸化工程後の上澄液に炭酸カルシウムを添加してpH4.24とする1次中和処理を行い懸濁液を得た。続けて1次中和処理後の懸濁液に消石灰を添加してpH7.70とする2次中和処理を同一槽内で行った。このとき出力15kWのブロワを用いて6.85m3/minで曝気を行いながら調整した(中和工程)。
その後、シックナーで沈殿物を回収し、フィルタープレスにより含水率60%以下の水酸化鉄と硫酸塩を含有する固形分を含む鉄分富有殿物を得た(固液分離工程)。
得られた鉄分富有殿物の固形分の組成を下記表2に示した。
表2の結果から、得られた鉄分富有殿物は、全鉄(Total Fe)20.58質量%、Ca 12.19質量%、Al 4.21質量%、硫酸(H2SO4)15.24質量%、水分を54.81質量%程度含み、Cd、Cr、As等の重金属は、分析の検出限界以下であることがわかった。なお、鉄富有殿物の残部は、主に水酸化物や酸化物を形成に寄与しているHやOと考えられる。
ここで、前記鉄分富有殿物中のFeの含有量はJIS K0102−57.4に基づき分析・測定し、全てのFeがFe(OH)3であるとして算出した。前記鉄分富有殿物中のCaはJIS K0102−50.3に基づき分析・測定し、全てのCaがCaSO4、CaOであるとして算出した。前記鉄分富有殿物中のAlの含有量はJIS K0102−58.4に基づき分析・測定し、全てのAlがAl2O3であるとして算出した。前記鉄分富有殿物中の硫酸はJIS K0102−41.3に基づき分析・測定した。
なお、前記鉄分富有殿物中のFe(OH)3、CaSO4、CaO等の化合物形態は固形分のX線回折分析等により同定、確認した。
得られた鉄分富有殿物を平均粒径10μmの大きさとし、鳥取県東伯郡琴浦町内の研究圃場にて、播種前の土壌に散布し、表面から7cmの深さまでに混合して0.25kg/m3とした(混合工程)後、イネ科植物の1つである寒地型芝草のペレニアルライグラスを播種し、生育した(生育工程)。播種後73日目の地上部と地下部を採取し、70℃で72時間乾燥させた後、全乾物重量を測定した。
その結果、地下部の乾物重量は0.0067g/本であり、地上部の乾物重量は0.0084g/本であった。
また、発芽率の測定として播種後73日目に残った本数を、30g/m2(200粒)に対する割合として算出したところ、44.8%であった。
(実施例2)
実施例1において、得られた鉄分富有殿物を播種前の土壌と0.50kg/m3で混合した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、同様にして全乾物重量を測定した。
その結果、地下部の乾物重量は0.0085g/本であり、地上部の乾物重量は0.0085g/本であった。また、同様にして算出した発芽率は52.9%であった。
(比較例1)
実施例1において、実施例1で用いた土壌のみを用い、鉄分富有殿物と混合しなかった以外は、実施例1と同様の操作を繰り返し、同様にして全乾燥物重量を測定した。
その結果、地下部の乾物重量は0.0029g/本であり、地上部の乾物重量は0.0045g/本であった。また、同様にして算出した発芽率は33.4%であった。
表3の結果から、鉄分富有殿物を土壌と混合した鉄分富有殿物含有土壌を用いて、イネ科植物の1つである寒地型芝草のペレニアルライグラスを生育することにより、生育量および発芽量が著しく向上することがわかった。

Claims (12)

  1. 2価鉄を含む鉄鉱床鉱水を酸化して酸化処理後液と沈殿を形成させる酸化工程と、
    前記酸化処理後液を中和して中和処理後液と鉄分富有殿物を得る中和工程と、
    前記鉄分富有殿物を土壌と混合し、鉄分富有殿物含有土壌を得る混合工程と、
    前記鉄分富有殿物含有土壌を用いてイネ科植物を生育する生育工程と、
    を含むことを特徴とするイネ科植物の生育方法。
  2. 前記中和工程後に、前記中和処理後液と前記鉄分富有殿物を固液分離する固液分離工程を含む請求項1に記載のイネ科植物の生育方法。
  3. 前記2価鉄を含む鉄鉱床鉱水が、pH2.6以上3.7以下である請求項1または2に記載のイネ科植物の生育方法。
  4. 前記酸化工程において、鉄酸化細菌を用いる請求項1から3のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  5. 前記酸化工程の前に、2価鉄を含む鉄鉱床鉱水中の重金属を除去する除去工程を含む請求項1から4のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  6. 前記除去工程において、第二鉄塩を用いる請求項5に記載のイネ科植物の生育方法。
  7. 前記除去工程で用いる第二鉄塩が、ポリ硫酸第二鉄である請求項6に記載のイネ科植物の生育方法。
  8. 前記酸化工程後の酸化処理後液が、pH2.0以上2.5以下である請求項1から7のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  9. 前記中和工程において前記酸化処理後液に、炭酸カルシウムを添加してpH4.0以上4.4以下の懸濁液を得て、更に前記懸濁液に消石灰を添加してpH7.0以上8.0以下とする請求項1から8のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  10. 前記鉄分富有殿物の平均粒径が、10cm以下である請求項1から9のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  11. 前記鉄分富有殿物の土壌に対する添加量が、1g/m3以上2kg/m3以下である請求項1から10のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。
  12. 前記イネ科植物が、芝草である請求項1から11のいずれかに記載のイネ科植物の生育方法。

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