JP2017198732A - 調光フィルム、合わせガラス及び調光フィルムの製造方法 - Google Patents

調光フィルム、合わせガラス及び調光フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上する。
【解決手段】少なくとも配向層23A、23Bを備えてなる第1及び第2の積層体13、12により液晶層14を挟持し、第1及び又は第2の積層体13、12に設けられた電極22B、22Aの駆動により液晶層14に係る液晶分子14Aの配向を制御して透過光を制御する調光フィルム10である。第1の積層体13は、透明フィルム材による基材21Bに、液晶層14の厚みを保持するビーズスペーサー24が設けられ、第1及び第2の積層体13、12は、ビーズスペーサー24が当接する第2の積層体12の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であり、第1の積層体13を平面視した状態で、第1の積層体13上でビーズスペーサー24が占める面積の比率である占有率Aと、ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上である。
【選択図】図2

Description

本発明は、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光フィルム、この調光フィルムを使用した合わせガラスに関する。
従来、例えば窓に貼り付けて外来光の透過を制御する電子ブラインド等に利用可能な調光フィルムに関する工夫が種々に提案されている(特許文献1、2)。このような調光フィルムの1つに、液晶を利用したものがある。この液晶を利用した調光フィルムは、透明電極を製造した透明板材により液晶材料を挟持して液晶セルが製造され、この液晶セルを直線偏光板により挟持して作成される。これによりこの調光フィルムは、液晶に印加する電界の可変により液晶の配向を可変して外来光を遮光したり透過したりし、さらには透過光量を可変したりし、これらにより外来光の透過を制御する。
このような調光フィルムは、液晶セルを構成する透明基材にスペーサーを設け、このスペーサーにより液晶層を一定の厚みに保持するように構成される。またスペーサーは、画像表示パネルで広く利用されている構成が適用され、例えばビーズスペーサーを適用することができる。特許文献3、4には、このビーズスペーサーに関する工夫が提案されている。
ところで従来の調光フィルムでは、使用中の押圧力等により、ビーズスペーサーが対向する面に貫入したりする場合がある。その結果、従来の調光フィルムは、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生したりし、これにより均一に調光することが困難になる場合があった。また液晶層の液晶材料が漏れ出す場合もあった。これらにより従来の調光フィルムでは、ビーズスペーサーに関して信頼性の点で実用上未だ不充分な問題があった。
特開平03−47392号公報 特開平08−184273号公報 特開昭62−286023号公報 特開平02−120719号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、ビーズスペーサーが当接する面のビッカース硬度値B、平面視した状態でビーズスペーサーが占める面積の割合である占有率Aと硬度値Bとの乗算値A×Bを選定する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 少なくとも配向層を備えてなる第1及び第2の積層体により液晶層を挟持し、前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極の駆動により前記液晶層に係る液晶分子の配向を制御して透過光を制御する調光フィルムにおいて、
前記第1の積層体は、
透明フィルム材による基材に、前記液晶層の厚みを保持するビーズスペーサーが設けられ、
前記第1及び第2の積層体は、
前記ビーズスペーサーが当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であり、
前記第1の積層体を平面視した状態で、前記第1の積層体上で前記ビーズスペーサーが占める面積の比率である占有率Aと、前記ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上である調光フィルム。
(1)によれば、ビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であることにより、使用中の押圧力等により、対向する面にビーズスペーサーが貫入したりする状況を低減して、セルギャップの不均一化、局所的な配向不良を低減し、さらは液晶材料の漏出を有効に回避することができる。またさらに基材の傷つきを低減し、また全体が屈曲した際のクラックの発生を低減することができる。また占有率Aと、ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが0.42以上であることにより、占有率Aが小さい場合にはビッカース硬度値Bが大きくなるように設定して、ビーズスペーサーへの応力集中に応じた硬度Bによりセルギャップを保持することができ、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
(2) (1)に記載の調光フィルムを板ガラスにより挟持して形成された合わせガラス。
(2)によれば、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上してなる調光フィルムにより合わせガラスを構成することができる。
(3) 少なくとも配向層を備えてなる第1の積層体を製造する第1の積層体製造工程と、
少なくとも配向層を備えてなる第2の積層体を製造する第2の積層体製造工程と、
前記第1の積層体、液晶層、前記第2の積層体を積層してなる液晶セルを製造する液晶セル製造工程とを備え、
前記第1の積層体製造工程は、
基材に、前記液晶層の厚みを保持するビーズスペーサーを配置するビーズスペーサー配置工程を備え、
前記第2の積層体製造工程は、
前記ビーズスペーサーが当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であるように前記第2の積層体を製造し、
前記ビーズスペーサー配置工程は、
前記第1の積層体を平面視した状態で、前記第1の積層体上で前記ビーズスペーサーが占める面積の比率である占有率Aと、前記ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上であるように前記ビーズスペーサーを配置する調光フィルムの製造方法。
(3)によれば、ビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であることにより、使用中の押圧力等により、対向する面にビーズスペーサーが貫入したりする状況を低減して、セルギャップの不均一化、局所的な配向不良を低減し、さらは液晶材料の漏出を有効に回避することができる。また占有率Aと、ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが0.42以上であることにより、占有率Aが小さい場合にはビッカース硬度値Bが大きくなるように設定して、ビーズスペーサーへの応力集中に応じた硬度Bによりセルギャップを保持することができ、これにより一段と対向する面にビーズスペーサーが貫入したりする状況を低減して、セルギャップの不均一化、局所的な配向不良を低減し、さらは液晶材料の漏出を有効に回避することができる。これらによりビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
本発明によれば、液晶を利用した調光フィルムに関して、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
本発明の第1実施形態に係る合わせガラスを示す図である。 図1の合わせガラスに使用される調光フィルムを示す図である。 図2の調光フィルムの動作の説明に供する図である。 図2の調光フィルムの製造工程を示すフローチャートである。
〔第1実施形態〕
〔合わせガラス〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る合わせガラスを示す断面図である。この合わせガラス1は、例えば車両のウインドウに適用される合わせガラスであり、中間層4及び5をそれぞれ介して板ガラス2及び3により調光フィルム10を挟持して構成される。ここで板ガラス2、3は、この種の合わせガラスに適用可能な種々の材料を広く適用することができる。また中間層4、5は、調光フィルム10と板ガラス2、3との接着層として機能する構成であり、この種の合わせガラスに適用される種々の構成を広く適用することができ、例えば熱線遮蔽材としての機能を備えるようにしてもよい。
合わせガラス1は、板ガラス2、3にそれぞれ中間層4、5を設けて調光フィルム10と積層した後、加熱して加圧することにより、中間層4、5を介して板ガラス2、3、調光フィルム10を一体化すると共に、全体を所望の曲面形状に整形する。これにより合わせガラス1は、例えば車両のリアウインド等に適用可能に製造され、調光フィルム10により透過光を制御できるように構成される。なおこれにより合わせガラス1の製造工程は、それぞれ中間層4、5を設けた板ガラス2、3を調光フィルム10と積層する積層工程、その結果得られる積層体を加熱、加圧する加熱加圧工程を備える。
〔調光フィルム〕
図2は、調光フィルムを示す断面図である。この調光フィルム10は、フィルム形状により形成され、合わせガラスに使用される場合の他、例えば調光を図る部位に貼り付けて使用される。なおこのような調光を図る部位に貼り付けて使用される場合は、例えば車両の各部のウインドウ、建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション等に配置して透過、不透明を切り替える場合等である。
この調光フィルム10は、液晶を利用して透過光を制御する調光フィルムであり、フィルム形状による第1及び第2の積層体である下側積層体13及び上側積層体12により液晶層14を挟持して液晶セル15が製造され、この液晶セル15を直線偏光板16、17により挟持して作成される。ここでこの実施形態において、液晶層14の駆動には、TN(Twisted Nematic)方式が適用されるものの、例えばVA(Virtical Alignment)方式、IPS(In−Place−Switching)方式等、種々の駆動方式を適用することができる。調光フィルム10には、液晶層14の厚みを一定に保持するためのビーズスペーサー24が上側積層体12及び又は下側積層体13に設けられる。直線偏光板16、17は、それぞれ液晶セル15側に光学補償に供する位相差フィルム18、19が設けられる。積層体12、13は、それぞれ基材21A、21Bに電極22A、22B、配向層23A、23Bを順次作成して形成される。なお位相差フィルム18、19は、必要に応じて省略してもよい。また調光フィルム10は、ゲストホスト方式により製造してもよく、この場合、直線偏光板は必要に応じて液晶セルの一方或いは両方に配置されてもよい。
これによりこの調光フィルム10は、電極22A、22Bの印加電圧の可変により、図3に示すように、外来光L1の透過を制御し、透明状態と非透明状態とで状態を切り替えるように構成される。なお図3(A)は、電極22A、22B間に電圧を印加しない状態を示し、図3(B)は、電極22A、22Bに電圧を印加した状態を示し、これによりこの実施形態では、いわゆるノーマリーホワイトにより液晶層14を駆動する。なおこれに代えてノーマリーブラックにより駆動するようにしてもよい。またIPS方式による場合、電極22A、22Bは、配向層23A又は23B側に纏めて製造されることは言うまでも無く、これに対応するように積層体12、13が構成されることになる。
なお調光フィルム10は、例えば建築物の窓ガラス、ショーケース、屋内の透明パーテーション等に貼り付けて使用する場合等においては、直線偏光板16及び又は17の、液晶セル15とは逆側の面に、ハードコート層等による保護層が設けられる。
ここで基材21A、21Bは、液晶セル15に適用可能な可撓性を有する各種の透明フィルム材を適用することができ、この実施形態では、両面にハードコート層が製造されてなるポリカーボネートによるフィルム材が適用される。電極22A、22Bは、液晶層14にほぼ均一な電界を印加可能であって、透明と知覚される種々の構成を適用することができるものの、この実施形態では、透明電極材であるITO(Indium Tin Oxide)による透明導電膜を基材21A、21Bの全面に製造して形成される。なお上述したように、IPS方式等において、電極は所望の形状によりパターンニングされて製造される。
配向層23A、23Bは、光配向層により形成される。ここでこの光配向層に適用可能な光配向材料は、光配向の手法を適用可能な各種の材料を広く適用することができるものの、この実施形態では、例えば光2量化型の材料を使用する。この光2量化型の材料については、「M.Schadt, K.Schmitt, V. Kozinkov and V. Chigrinov : Jpn. J. Appl.Phys., 31, 2155 (1992)」、「M. Schadt, H. Seiberle and A. Schuster : Nature, 381, 212(1996)」等に開示されている。なお光配向層に代えて、ラビング処理により製造してもよい。ラビング処理により製造する場合、配向層23A、23Bは、ポリイミド等の配向層に適用可能な各種材料層を製造した後、この材料層の表面にラビングロールを使用したラビング処理により微細なライン状凹凸形状を製造して形成される。またこのようなラビング処理による配向層、光配向層に代えて、ラビング処理により製造した微細なライン状凹凸形状を賦型処理により製造して配向層を製造してもよい。
ビーズスペーサー24は、液晶層14の厚みを規定するために設けられる。ビーズスペーサー24は、シリカ等による無機材料による構成、有機材料による構成、これらを組み合わせたコアシェル構造の構成等を広く適用することができる。また球形状による構成の他、円柱形状、角柱形状等によるロッド形状により構成してもよい。ビーズスペーサー24は、上側積層体12に設けるようにしてもよく、上側積層体12及び下側積層体13の双方に設けるようにしてもよい。またビーズスペーサー24は、配向層23Bの上に設けるようにしてもよい。またビーズスペーサー24は、透明部材により製造されるものの、必要に応じて着色した材料を適用して色味を調整するようにしてもよい。
液晶層14は、この種の調光フィルムに適用可能な各種の液晶材料を広く適用することができる。具体的に、液晶層14には、例えば、特開2003−366484号に記載の液晶化合物を用いることができる。また、上市品としては、例えばメルク社製MLC2166等の液晶材料を適用することができる。なお、ゲストホスト方式による場合、液晶層には、液晶材料と調光に供する色素とが混入されるものの、ゲストホスト方式について提案されている液晶材料と色素との混合物も広く適用することができる。液晶セル15は、液晶層14を囲むように、シール材25が配置され、このシール材25により液晶の漏出が防止される。ここでシール材25は、例えばエポキシ樹脂、紫外線硬化性樹脂等を適用することができる。
〔製造工程〕
図4は、調光フィルム10の製造工程を示すフローチャートである。液晶セル15は、第1の積層体製造工程SP2において、第1の積層体13が製造される。第1の積層体製造工程SP2においては、電極製造工程SP2−1において、基材21Bにスパッタリング等によりITOによる透明電極22Bが製造される。続くスペーサー配置工程SP2−2において、ビーズスペーサー24を配置する。
ここでビーズスペーサー24は、湿式/乾式散布に加え、種々の配置方法を広く適用することができる。この実施形態では、ビーズスペーサー24は、ビーズスペーサー24を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を部分的に塗工した後、乾燥、焼成の処理を順次実行することにより、電極22B上にランダムにビーズスペーサー24を配置して移動困難に保持し、これによりビーズスペーサー24を配置する。
調光フィルムの製造工程は、続いて配向層製造工程SP2−3において、配向層23Bに係る塗工液が塗工して乾燥した後、紫外線の照射により硬化させ、これにより配向層23Bが製造される。これらによりこの実施形態では、第1の積層体13が製造される。
調光フィルム10の製造工程は、続く第2の積層体製造工程SP3において、第1の積層体製造工程SP2と同様にして、第2の積層体12が製造される。すなわち第2の積層体製造工程SP3では、基材21Aにスパッタリング等によりITOによる透明電極22Aが製造され、配向層23Aに係る塗工液を塗工、乾燥、硬化して配向層23Aが製造され、これらにより第2の積層体12が製造される。
この製造工程は、続く液晶セル製造工程SP4において、ディスペンサを使用して枠形状によりシール材25を塗工した後、この枠形状により囲まれた部位に液晶材料を配置して上側積層体12、下側積層体13を積層押圧してシール材25を紫外線の照射等により硬化させ、これにより液晶セル15を製造する。なお液晶材料の配置にあっては、上側積層体12、下側積層体13を先に積層するようにして、上側積層体12、下側積層体13を積層して形成される空隙に配置するようにしてもよい。
調光フィルム10は、続く積層工程SP5において、直線偏光板16、17と積層されて形成される。なお液晶セル15は、基材21A、21Bがロールに巻き取られた長尺フィルム形態により提供され、これら工程SP2〜SP5の全て、又はこれら工程SP2〜SP5のうちの一部が、ロールから基材21A、21Bを引き出して搬送しながら実行される。なおこれにより液晶セル15は、必要に応じて、途中の工程から枚葉の処理により各工程が実行されることになる。
〔ビーズスペーサーの詳細構成〕
ここでこの実施形態では、図4に示す工程によりビーズスペーサー24を配置して調光フィルムを製造するようにして、ビーズスペーサー24が当接する上側積層体12の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であるように設定され、ビーズスペーサー24の占有率Aと、ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上であるように設定される。なおここで占有率Aは、下側積層体13を平面視した状態(鉛直方向から見た状態)で、下側積層体13の面積に対するビーズスペーサー24の面積の占める割合である。これによりこの実施形態では、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上する。なお、ビッカース硬度の値は、以下の実施例、比較例に記載の条件における測定値である。
ビーズスペーサー24の先端が当接する第2の積層体12の部位のビッカース硬度値Bが11.8未満の場合、使用中の押圧力により、ビーズスペーサー24の先端が対向する面に貫入し、その結果、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生する。また当該部位のビッカース硬度値Bが35.9を超える場合、全体を屈曲した際にクラックが生じる。
またビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42未満の場合には、ビーズスペーサー24の先端が対向する面に貫入し、その結果、セルギャップが不均一化したり、局所的な配向不良が発生する。
しかしながらビーズスペーサー24が当接する上側積層体12の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であり、占有率Aとビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが0.42以上であるように設定すれば、これらの問題を一挙に解決してビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
すなわちビーズスペーサー24が当接する上側積層体12の部位のビッカース硬度値Bを11.8以上35.9以下とすれば、使用中の押圧力により、ビーズスペーサー24の先端が対向する面に貫入しないようにし、またクラックの発生を防止することができる。またさらに占有率Aと、ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが0.42以上であることによっても、一段とビーズスペーサーが貫入したりする状況を低減し、さらには屈曲した際のクラックの発生を低減することができる。
すなわちビッカース硬度値Bが小さい場合には、当該部位が柔らかいと言え、これによりビーズスペーサーが貫入し易くなる。これとは逆に、ビッカース硬度値Bが大きい場合には、当該部位が硬いことになり、屈曲した際にクラックが発生し易くなる。これにより硬度値Bは11.8以上35.9以下とすることによりビーズスペーサーが貫入したりする状況を低減し、さらには屈曲した際のクラックの発生を低減することができる。
しかしながらこのように硬度値Bを設定しても、1つのスペーサーへの応力の大きさは、スペーサーの数で変化し、その指標である占有率Aが小さい場合には、1つのスペーサーへの応力集中が大きくなり、その結果、硬度値Bが11.8以上35.9以下の場合であっても、乗算値A×Bが0.42未満となると、ビーズスペーサーが貫入し易くなる。また占有率Aが小さい場合には、スペーサーの数が少ないことにより、曲げに係る応力集中も大きくなり、これにより硬度値Bは11.8以上35.9以下の場合であっても、乗算値A×Bが0.42未満となると、クラックが発生し易くなる。これによりビッカース硬度値Bを11.8以上35.9以下とし、乗算値A×Bを0.42以上とすることにより、ビーズスペーサーに関する信頼性を従来に比して一段と向上することができる。
〔試験結果〕
表1、表2は、このビーズスペーサーに関する構成の確認に供した試験結果を示す図表である。この表1、表2における実施例、比較例は、ビーズスペーサー及びこのビーズスペーサーが当接する配向層に関する構成が異なる点を除いて、同一に構成される。より具体的に、これら実施例、比較例の調光フィルムは、下側積層体13にのみビーズスペーサー24を設けるようにし、このビーズスペーサー24の大きさの選定、塗布量により占有率Aを可変した。また配向層23Aを製造する際の条件により、ビーズスペーサー24の先端が当接する第2の積層体12の部位のビッカース硬度値Bを設定した。
すなわちビーズスペーサー24は、ビーズスペーサー24を樹脂成分と共に溶剤に分散して製造した塗工液を塗工した後、乾燥、紫外線照射による硬化、焼成の処理を順次実行することにより、電極22B上にランダムにビーズスペーサー24を配置して移動困難に保持して配置される。ビーズスペーサー24は、この塗工液への投入量、塗工液の塗工膜厚の調整により、占有率を調整した。
実施例、比較例では、ビーズスペーサー24の密度を40個/mm、50個/mm、100個/mmに設定し、またビーズスペーサー24には、直径が3μm、6μmによる球形状を適用した。これにより占有率Aを0.028%、0.035%、0.071%、0.113%、0.141%により下側積層体13を製造した。なお、ビーズスペーサー24は、積水化学社製ミクロパールEXシリーズを適用した。
基材21Bは、厚み100μmであり、ハードコート層を備えたCOP(シクロオレフィンポリマー)フィルムである。電極22Bは、厚み20nmにより製造した。
配向層23Bは、塗工液を乾燥膜厚100nmになるよう塗工し、さらに熱硬化することにより製造した。
これに対してこのビーズスペーサー24が当接する面である上側積層体12の配向層23Aにあっては、配向層23Bと同様に、塗工液を塗工して乾燥した後の熱硬化の条件(加熱温度、加熱時間)等の設定によりビッカース硬度値Bを設定した。これにより実施例、比較例では、ビッカース硬度値Bが10.2、11.8、35.9、38.5である上側積層体12を製造した(表3)。なおこの硬度Bは、配向層23Aの作成条件をそれぞれ設定して配向層23Aについて硬さの異なる上側積層体12を製造し、この上側積層体12により調光フィルム10を一旦製造した後、分解して計測した計測値である。またこの計測は、12点を計測し、最大値及び最小値を除いて残る10点の平均値による計測結果である。
なおビッカース硬度値Bは、ヘルムートフィッシャー社製PICODENTOR HM500を使用して計測した。計測は、押し込み速度300mN/20sec、リリース速度300mN/20sec、クリープ時間5秒により、最大荷重を100mNの測定条件とした。
なお上側積層体12の基材21A、電極22Aは、下側積層体13の基材21B、電極22Bと同一に構成した。なお配向層23Aは、硬度Bを調整した点を除いて、配向層23Bと同一に構成した。
表1、表2の各実施例、比較例では、このようにして製造した上側積層体12、下側積層体13により調光フィルムを製造して試験した。表1、表2の試験では、定盤による硬度の高い平滑面に調光フィルムを載置した状態で、1kg/cmの加重を1分間印加した後、液晶セルを駆動してセルギャップの減少を判断した。またこのように加重した後、上側積層体及び下側積層体を剥離してビーズスペーサーが当接する部位を顕微鏡により観察してビーズスペーサー先端の貫入を観察した。
ここでビーズスペーサー24が当接する部位をSEM等の手法を用いて斜視した場合、窪み(凹部)が確認された場合、「フィルム貫入」を「×」により示し、凹部が認められない場合、「フィルム貫入」を「○」により示す。
また調光フィルムの状態で、JIS K5600−5−1の曲げ試験の規定に従って、直径2mmの円柱マンドレルに巻き付けてクラックの発生を確認した。この試験で複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認された場合、「クラック」を「×」により示し、これとは逆に、複数サンプルの半数以上で、基材にクラックの発生が確認されない場合、「クラック」を「○」により示す。
Figure 2017198732
Figure 2017198732
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この表1、表2の計測結果では、ビーズスペーサー24が当接する第2の積層体12の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であり、占有率Aとビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上である場合、フィルム貫入を防止でき、またクラックも発生しないことが確認され、これにより充分にビーズスペーサーに関して信頼性を確保できることが確認された。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態を種々に変更することができる。
1 合わせガラス
2、3 板ガラス
4、5 中間層
10 調光フィルム
12 上側積層体
13 下側積層体
14 液晶層
14A 液晶分子
15 液晶セル
16、17 直線偏光板
18、19 位相差フィルム
21A、21B 基材
22A、22B 電極
23A、23B 配向層
24 ビーズスペーサー
25 シール材

Claims (3)

  1. 少なくとも配向層を備えてなる第1及び第2の積層体により液晶層を挟持し、前記第1及び又は第2の積層体に設けられた電極の駆動により前記液晶層に係る液晶分子の配向を制御して透過光を制御する調光フィルムにおいて、
    前記第1の積層体は、
    透明フィルム材による基材に、前記液晶層の厚みを保持するビーズスペーサーが設けられ、
    前記第1及び第2の積層体は、
    前記ビーズスペーサーが当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であり、
    前記第1の積層体を平面視した状態で、前記第1の積層体上で前記ビーズスペーサーが占める面積の比率である占有率Aと、前記ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上である
    調光フィルム。
  2. 請求項1に記載の調光フィルムを板ガラスにより挟持して形成された
    合わせガラス。
  3. 少なくとも配向層を備えてなる第1の積層体を製造する第1の積層体製造工程と、
    少なくとも配向層を備えてなる第2の積層体を製造する第2の積層体製造工程と、
    前記第1の積層体、液晶層、前記第2の積層体を積層してなる液晶セルを製造する液晶セル製造工程とを備え、
    前記第1の積層体製造工程は、
    基材に、前記液晶層の厚みを保持するビーズスペーサーを配置するビーズスペーサー配置工程を備え、
    前記第2の積層体製造工程は、
    前記ビーズスペーサーが当接する前記第2の積層体の部位のビッカース硬度値Bが11.8以上35.9以下であるように前記第2の積層体を製造し、
    前記ビーズスペーサー配置工程は、
    前記第1の積層体を平面視した状態で、前記第1の積層体上で前記ビーズスペーサーが占める面積の比率である占有率Aと、前記ビッカース硬度値Bとの乗算値A×Bが、0.42以上であるように前記ビーズスペーサーを配置する
    調光フィルムの製造方法。
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