JP2017204337A - サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法 - Google Patents

サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サイクロトロンを長時間に亘って連続運転しても重荷電粒子ビームをターゲットに正確に照射し続けることが可能な技術を提供する。【解決手段】マグネット電流制御部18は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流を制御する。出力モニタ部14は、指標値を測定または演算により経時的に取得する。指標値は、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された重荷電粒子ビームがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示すパラメータである。照射状態判定部16は、出力モニタ部14が取得した指標値を第一閾値と比較して乖離度合いを判定する。マグネット電流制御部18は、照射状態判定部16により乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、マグネット電流を増大させる。【選択図】図2

Description

本発明は、サイクロトロン制御装置、サイクロトロン、サイクロトロン制御プログラムおよび放射性薬剤の製造方法に関する。
サイクロトロンは代表的な粒子加速器であり、磁場中で円運動している荷電粒子を高周波電場によって加速して高エネルギーの粒子ビームを生成する装置である。電子よりも質量が大きい荷電粒子を重荷電粒子といい、サイクロトロンで生成および照射される陽子線、重陽子線、α線などの粒子線は重荷電粒子のビーム(ヘビーイオンビーム)である。サイクロトロンは種々の目的に用いられているが、その一例として放射性薬剤の製造に用いられる放射性核種の生成が挙げられる。粒子ビームはターゲットに照射されて核反応を発生させる。このため、ターゲットの種類を選定することで所望の放射性核種が生成される。
特許文献1および2には従来のサイクロトロンが開示されている。特許文献1には、互いに対向配置された下部電磁石および上部電磁石と呼ばれるメイン電磁石で静磁場を形成し、この静磁場中で加速電極(ディー電極)によって高周波電場を生成することにより負イオンを加速して重荷電粒子ビームとするサイクロトロンが記載されている。特許文献2にも、対向配置された円盤状の磁極(メイン電磁石)およびその周囲に配置されたコイルで静磁場を形成し、この静磁場中に配置された加速電極で負イオンを加速して重荷電粒子ビームを生成するサイクロトロンが記載されている。特許文献2には、磁極の対向する面にセクタと呼ばれる谷領域と山領域を交互に形成して磁場に強弱をつけることで、セクターフォーカシングにより重荷電粒子ビームの収束が良好となることが記載されている。
サイクロトロンを、ビームを構成する粒子の電荷の正負によって分類すると、正イオン加速型と負イオン加速型とに大別される。正イオン加速型は、正の電荷を帯びた粒子ビームに静電デフレクタで電場を印加することにより軌道変更して加速器から取り出す方式である。負イオン加速型は、負の電荷を帯びた粒子ビームをストリッパフォイルと呼ばれる薄膜に衝突させて電子を剥ぎ取ることによって軌道変更して加速器から取り出す方式である。負イオン加速型は取り出し効率が高いことから現在主流となっている。
特開平5−144597号公報 特開2010−287419号公報
重荷電粒子は、メイン電磁石が形成する静磁場と加速電極が形成する高周波電場からローレンツ力を受けて周期的に加速されて高速の重荷電粒子ビームとなる。このため、メイン電磁石が形成する静磁場の強度が変動すると、重荷電粒子の回転半径やビームの収束具合が敏感に変動する。たとえばメイン電磁石に同じ強度の直流電流を印加していても、磁極の温度が上昇するとキュリーの法則に従って磁極の磁化が低下し、重荷電粒子が受ける磁場も小さくなる。このため重荷電粒子ビームの収束は緩くなり、取り出されるビームのうちターゲットに正確に照射されるものの比率が低下するため、ターゲットにおいて所望の核反応を持続することは困難となる。
一方で、放射性薬剤を大量に製造する場合など、サイクロトロンを長時間に亘って連続運転することが近年は求められている。この場合、メイン電磁石の発熱は顕著になる。しかしながら、メイン電磁石は強い放射線環境下にあり温度センサーにとって過酷な環境であるため、温度センサーを用いてメイン電磁石の温度を計測および制御することは極めて困難である。また、温度センサーは静磁場に対する異物になり重荷電粒子ビームの収束を損なうという観点からも温度センサーの使用は困難である。
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、サイクロトロンを長時間に亘って連続運転しても重荷電粒子ビームをターゲットに正確に照射し続けることが可能なサイクロトロンおよびその制御装置等を提供するものである。
本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を制御するマグネット電流制御手段と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得する出力モニタ手段と、前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、前記マグネット電流制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させることを特徴とするサイクロトロン制御装置が提供される。
また、本発明によれば、イオン源と、前記イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、上記のサイクロトロン制御装置と、を備えるサイクロトロンが提供される。
また、本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、前記プログラムが、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する判定処理と、前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を増大させる電流制御処理と、を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラムが提供される。
また、本発明によれば、イオン源から供給される重荷電粒子をメイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、前記重荷電粒子ビームを前記ターゲットに照射して放射性核種を生成する照射ステップと、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定し、前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させる調整ステップと、生成された前記放射性核種および標識前駆体化合物を用いて前記放射性薬剤を製造する標識ステップと、を備え、前記照射ステップを前記調整ステップの前後に亘って連続して行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法が提供される。
本発明によれば、ビーム電流値とターゲット電流値との乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、メイン電磁石に印加するマグネット電流を増大させる。このため、メイン電磁石が温度上昇して磁化が低下した分をマグネット電流の増大によって補償することができる。よって本発明によれば、サイクロトロンを長時間に亘って連続運転してメイン電磁石が温度上昇しても重荷電粒子ビームをターゲットに正確に照射し続けることが可能である。
本発明の実施形態のサイクロトロンの構造を模式的に示す平面図である。 サイクロトロンの機能ブロック図である。 サイクロトロン制御装置の表示画面の一例を示す図である。 サイクロトロン制御装置における処理を示すフローチャートである。 マグネット電流の印加量の時間変化を模式的に示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。図1は本実施形態のサイクロトロン100の構造を模式的に示す平面図である。図2は本実施形態のサイクロトロン100の機能ブロック図である。
はじめに、サイクロトロン100の概要について説明する。サイクロトロン100は、イオン源20と、このイオン源20から供給される重荷電粒子Pを、メイン電磁石50にマグネット電流IMを印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、本実施形態のサイクロトロン制御装置10と、を備えている。
サイクロトロン制御装置10は、サイクロトロン100のための制御装置である。本実施形態の10は、マグネット電流制御部18、出力モニタ部14および照射状態判定部16を備えている。
マグネット電流制御部18は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流IMを制御する制御手段である。
出力モニタ部14は、後述するトランスミッション値TRなどに例示される指標値を測定または演算により取得する手段である。指標値は、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームPBの量を示すビーム電流値EPRと、出射された重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGと、の乖離度合いを示すパラメータであり、詳細には後述する。以下、単に「乖離度合い」と表記する場合は、ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとが乖離している度合いを表す。出力モニタ部14は、この指標値を経時的に取得する。
照射状態判定部16は、出力モニタ部14が取得した指標値を第一閾値と比較して乖離度合いを判定する手段である。
本実施形態のサイクロトロン制御装置10においては、マグネット電流制御部18が、照射状態判定部16により乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、マグネット電流IMを増大させることを特徴とする。
次に、本実施形態のサイクロトロン制御装置10およびサイクロトロン100について詳細に説明する。
サイクロトロン100は、加速器30で加速された高速で高エネルギーの重荷電粒子ビームPBを、ビーム管32の内部に配置されたターゲット34に照射し、核反応を発生させて放射性同位体を生成する装置である。サイクロトロン100は全体が鉛などの金属材料で作成されて放射性を遮蔽するシールド(図示せず)の内部に配置されていてもよい。図1では、加速器30に2個のビーム取出部40が設けられ、2式のビーム管32に対して重荷電粒子ビームPBを取出可能である。ビーム管32の長さや形状は特に限定されず、図1では中間部を図示省略している。
本実施形態では陰イオン加速型のサイクロトロン100を例示する。陰イオン加速型のサイクロトロン100は放射性同位体の大量生産に適している。加速器30で加速される重荷電粒子Pは電子よりも重い荷電粒子であり、たとえば陽子や重陽子である。本実施形態では重荷電粒子Pとして負水素イオン(H)を例示する。重荷電粒子Pは加速器30で周回運動しながら加速されて重荷電粒子ビームPB(図1にて二点鎖線で示す)となる。
陰イオン加速型のサイクロトロン100の特徴として、ビーム取出部40は、重荷電粒子ビームPBを衝突させて重荷電粒子Pから電子を捕捉するストリッパフォイル42を備えている。ストリッパフォイル42は炭素製の薄膜などで構成されている。
加速器30で加速された負水素イオン(H)を、ストリッパフォイル42を通過させることで負水素イオンから電子が剥ぎ取られて瞬時に陽イオン(H)に変換される。このため、重荷電粒子ビームPBに負荷されるローレンツ力の向きが瞬時に反転して、重荷電粒子ビームPBは加速器30の磁場から外向きの力を受けて軌道変更され、ビーム管32に取り出される。
イオン源20にアーク電圧を印加して生成される重荷電粒子Pのビームをアーク電流といい、このビームの量をアーク電流値と呼称する。アーク電流値を上昇させることでより多くの重荷電粒子Pのビームがビーム取出部40で取り出されてターゲット34に向けて照射される。ビーム取出部40は、上述したように正イオン加速型の場合は静電デフレクタであり、負イオン加速型の場合はストリッパフォイルである。ビーム取出部40で軌道変更されて加速器から取り出される重荷電粒子ビームPBの量をビーム電流といい、このビームの量をビーム電流値EPRと呼称する。負イオン加速型の場合、ストリッパフォイル42で重荷電粒子Pから剥ぎ取られた電子の量がビーム電流値EPRに対応する。そして、ターゲット34に実際に照射されるビームの量をターゲット電流といい、このビームの量をターゲット電流値TGと呼称する。
加速器30は、メイン電磁石50および高周波電極52を備えている。加速空間31には真空ポンプが接続され、実質的に真空状態に保たれている。メイン電磁石50および高周波電極52は、重荷電粒子ビームPBが周回運動する加速空間31を挟んでそれぞれ対向配置されている。高周波電極52はディー電極とも呼称される。図1では、便宜上、対向配置されたメイン電磁石50および高周波電極52のうち、加速空間31の上方に配置される側を図示省略している。
メイン電磁石50は、磁極51、コイル56および直流電源58で構成されている。コイル56は磁極51の周囲に巻き付けられており、また直流電源58が接続されてマグネット電流IMが印加される。直流電源58にはサイクロトロン制御装置10が信号接続されている。
磁極51は、厚さが小さい谷領域51aと、この谷領域51aよりも厚さ大きい山領域51bとが各複数箇所、周回状に交互に繰り返して形成されている。谷領域51aは山領域51bよりも磁束密度が低い領域となる。これにより重荷電粒子ビームPBの収束が良好になる。図1では、便宜上、山領域51bにハッチングを付している。高周波電極52は、磁極51の谷領域51aに対応する位置に配置されている。メイン電磁石50にマグネット電流IMを印加することで一様な磁場環境が形成される。磁場の向きは図1における紙面前後方向である。サイクロトロン制御装置10は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流IMを制御するマグネット電流制御部18(図2参照)の機能を有している。
高周波電極52には高周波電源54が接続されて高周波信号が供給される。高周波電源54の周波数は重荷電粒子ビームPBの回転周期と同期するように設定される。メイン電磁石50が形成する一様な磁場環境下で高周波電源54が周期的な電場を形成することで重荷電粒子Pは周回運動しながら連続して加速される。
加速された重荷電粒子ビームPBの回転半径は加速と共に大きくなる。重荷電粒子ビームPBが十分に加速されると重荷電粒子ビームPBの軌道は加速空間31の最外周となる。ビーム取出部40のストリッパフォイル42は加速空間31の最外周に配置されており、十分に加速された重荷電粒子ビームPBがストリッパフォイル42に衝突して上述のように重荷電粒子ビームPBの軌道は変更される。本実施形態では、一対のビーム管32に対応して、一対のビーム取出部40およびストリッパフォイル42が加速空間31の周囲に設けられている。
ビーム取出部40は、ストリッパフォイル42およびフォイル駆動部43を備えている。ストリッパフォイル42はフォイル駆動部43の先端に突出して取り付けられ、加速器30の加速空間31に対して内向きかつ水平方向に突き出すように配置されている。フォイル駆動部43はストリッパフォイル42の向きおよび突出長さを調整する。ビーム取出部40は、ストリッパフォイル42で重荷電粒子ビームPBから剥ぎ取られた電子の量をビーム電流値EPRとして検出するプローブである。ビーム取出部40はサイクロトロン制御装置10と信号接続されており、検出したビーム電流値EPRをサイクロトロン制御装置10に送信し、またサイクロトロン制御装置10からの制御信号に基づいてフォイル駆動部43はストリッパフォイル42を駆動する。
図1には、外部イオン供給型のサイクロトロン100を図示している。外部イオン供給型のサイクロトロン100では、イオン源20が加速器30の外部に配置されている。イオン源20の具体的な構造や配置は特に限定されず、加速器30の内部にイオン源20が配置された内部イオン供給型としてもよい。
イオン源20には種々のものが提案されている。負イオン源としてはフィラメント24やRFアンテナなどの金属線に通電して熱電子を放出させる体積生成型のものが広く知られている。具体的には、イオン源20では水素ガスなどの原料ガス雰囲気中に配置されたフィラメント24やRFアンテナに電流を印加することにより放出される熱電子にアーク電圧を印加してソースプラズマを生成し、このソースプラズマに高電圧を印加して負イオンのビームを取り出す。
本実施形態ではフィラメント駆動型のイオン源20を例示する。イオン源20は、空洞状のプラズマ生成部22と、このプラズマ生成部22の内部に露出するように配置されたフィラメント24とを備えている。このほか、高周波駆動型のイオン源20を用いる場合、フィラメント24に代えてRFアンテナをプラズマ生成部22に配置してもよい。プラズマ生成部22には水素ガスなどの原料ガスが供給される。原料ガス雰囲気下でフィラメント24に電流(フィラメント電流)を印加して熱電子を放出させ、この熱電子にアーク電圧を印加して加速して原料ガスに衝突させることでアーク放電が発生してプラズマが生成される。フィラメント24の通電により、プラズマ生成部22の内部は、たとえば3000℃程度まで加熱される。生成されたプラズマに引出電極25で高電圧を印加することで、水素イオン(H)などの負イオンの重荷電粒子Pのビーム(重荷電粒子ビームPB)がプラズマ生成部22から向けてイオン供給口26に引き出される。イオン供給口26は加速器30の加速空間31の内部に配置され、重荷電粒子Pがイオン供給口26を通じて加速空間31に放出されて加速される。プラズマ生成部22に配置されたフィラメント24に通電するフィラメント電流を増加することでフィラメント24から放出される熱電子の量は増加し、結果としてイオン供給口26に供給される重荷電粒子Pの量が増大する。
サイクロトロン制御装置10は、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量を制御する供給制御部12を備えている。供給制御部12は、重荷電粒子Pの供給量を所定の設定量に至るまで増大させた後に、当該設定量で維持する機能を少なくとも有している。本実施形態の供給制御部12は、プラズマ生成部22に印加するフィラメント電流値を増減調整することにより、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子ビームPBの量、すなわちアーク電流値を増減調整する。図2に示すように、イオン源20はサイクロトロン制御装置10の供給制御部12と信号接続されている。
イオン供給口26から加速空間31に供給された重荷電粒子ビームPBは、上記のようにメイン電磁石50が生成する静磁場および高周波電極52が生成する交番電界によって加速され、ストリッパフォイル42に衝突して加速空間31から取り出される。加速空間31から取り出された重荷電粒子ビームPBには、磁場の誤差や重荷電粒子ビームPB同士の電荷による反発、ストリッパフォイル42に衝突したことによる散乱などの影響により、所望のビーム幅を超えた粒子(ビームハローという)が発生する。ストリッパフォイル42からターゲット34に至る軌道中に配置されたコリメータ44は、このビームハローを低減する。コリメータ44は、ターゲット34に向かってビーム管32の軸心方向に進行する重荷電粒子ビームPBのビーム幅を絞る装置である。
アーク電流値を上昇させることで、重荷電粒子ビームPBの量が増大するため、ビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGも上昇する傾向にある。しかしながら、ビーム取出部40で取り出されたビームの全量がターゲット34に照射されるわけではなく、ビーム電流とターゲット電流との間には様々な要因により差異が生じる。その要因の一つは、ビーム取出部40とターゲット34との間に配置されて重荷電粒子ビームPBが通過するコリメータ44における損失(以下、「コリメータ損失」と呼称する場合がある)である。このほか、ストリッパフォイル42に衝突するなどして軌道変更された重荷電粒子ビームPBはコリメータ44によるコリメーションを受けてもその100%がターゲット34に照射されるわけではなく、ターゲット34以外の各所に照射されて損失(以下、「外部損失」と呼称する場合がある)となる。
本実施形態のコリメータ44はビーム管32の入り口の近傍に配置されている。コリメータ44の構造は特に限定されないが、本実施形態では多ステージのコリメーションシステムを用いることができる。本実施形態のコリメータ44は、たとえば、最上流に配置されるプローブコリメータ44a、バッファコリメータ44bおよびターゲット34に最も近い最下流に配置されるターゲットコリメータ44cの三ステージで構成されている。プローブコリメータ44aは偏向電磁石を備え、プローブコリメータ44aに当たった重荷電粒子ビームPBのビームハローはエネルギーが一部損失するとともに散乱を受けてある方向に振幅が増大する。散乱したビームハローは主としてバッファコリメータ44bで除去されて更にエネルギーが損失する。ターゲットコリメータ44cは四極電磁石を備え、ビームハローを更に削減して重荷電粒子ビームPBのビーム幅を絞り込む。ターゲットコリメータ44cを通過する際にも重荷電粒子ビームPBのエネルギーは一部損失する。コリメータ44の各ステージはサイクロトロン制御装置10とそれぞれ信号接続されており、各ステージでのコリメータ損失の量を示す情報(コリメータ電流値)はサイクロトロン制御装置10に送信される。
コリメータ44を通過した重荷電粒子ビームPBはビーム管32に導入されてターゲット34に衝突する。ターゲット34は液体または気体の冷却溶媒により冷却されている。ターゲット34は固体でも液体でもよい。重荷電粒子ビームPBはターゲット34に衝突して核反応を発生させる。放射性核種としては、11C、13N、15O、18Fなどが例示される。ターゲット34に衝突した重荷電粒子ビームPBの量にあたるターゲット電流値TGはエレクトロメータ(図示せず)などを用いて測定される。エレクトロメータはサイクロトロン制御装置10と信号接続されており、測定したターゲット電流値TGをサイクロトロン制御装置10に送信する。
サイクロトロン制御装置10はサイクロトロン100の制御部であり、ビーム取出部40、コリメータ44およびターゲット34(エレクトロメータ)とそれぞれ信号接続されてビーム電流値EPR、コリメータ電流値およびターゲット電流値TGをそれぞれ取得する。
サイクロトロン制御装置10は、コンピュータプログラムを読み取って対応する処理動作を実行できるように、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)ユニット、等の汎用デバイスで構築されたハードウェアとして実施することができる。また、サイクロトロン制御装置10は、各種の情報を表示する出力装置である表示画面DPを備えている。
また、サイクロトロン制御装置10の機能としては、図2に示すように供給制御部12、出力モニタ部14、照射状態判定部16およびマグネット電流制御部18のほか、演算処理部や記憶部を備えている。
図3は、サイクロトロン制御装置10の表示画面DPの一例を示す図である。表示画面DPにはサイクロトロン100の状態を示す各種の情報が表示される。本実施形態の表示画面DPは、アーク電流表示部62、ビーム電流値表示部63、コリメータ電流値表示部64、ターゲット電流値表示部65、トランスミッション値表示部66およびマグネット設定表示部70を備えている。
アーク電流表示部62は、イオン源20にフィラメント電圧およびアーク電圧を印加して生成される重荷電粒子ビームPBの量を示すアーク電流値を表示する。
ビーム電流値表示部63は、ビーム取出部40から送信されたビーム電流値EPRを表示する。本実施形態のサイクロトロン100は一対のビーム取出部40を備えており、各ビーム取出部40から送信されたビーム電流値EPRを、表示画面DPではEPR1およびEPR2として個別に表示する。
コリメータ電流値表示部64は、一対のビーム取出部40から取り出された重荷電粒子ビームPBがそれぞれ通過するコリメータ44で損失した電流値を表示する。コリメータ電流値表示部64は、プローブコリメータ44aでのコリメータ電流値を取得して表示するPCL1およびPCL2、バッファコリメータ44bでのコリメータ電流値を取得して表示するBF1およびBF2、ターゲットコリメータ44cでのコリメータ電流値を取得して表示するTCL1およびTCL2を含んで構成されている。
ターゲット電流値表示部65は、一対のビーム管32にそれぞれ入射した重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGを、TG1およびTG2として表示する。
トランスミッション値表示部66は、ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いを示すパラメータである指標値を表示する。ビーム電流値EPRとターゲット電流値TGとの乖離度合いとしては、両者の相対的な比率もしくは差分、またはこれらと相関する数値を用いることができる。本実施形態の出力モニタ部14は、重荷電粒子ビームPBを照射している全工程、すなわち第一供給ステップST10、第二供給ステップST18および第三供給ステップST26(図4および図5参照)に亘って、指標値を経時的に算出してトランスミッション値表示部66に表示する。
かかる指標値としては種々のパラメータを選択することが可能であるが、本実施形態において出力モニタ部14が取得する指標値は、ビーム電流値EPRに対するターゲット電流値TGの比率(=ターゲット電流値TG/ビーム電流値EPR)を示すトランスミッション値TRである。トランスミッション値表示部66は、ターゲット電流値TG1,TG2およびビーム電流値EPR1,EPR2に基づいて個別に算出されるトランスミッション値TRをTR1およびTR2として表示する。
図3に示す例では、トランスミッション値TR1=87/113=0.77であり、トランスミッション値TR2=100/123=0.81である。
トランスミッション値TRは、ストリッパフォイル42に当たって取り出された重荷電粒子ビームPBのうちターゲット34に照射されたものの比率を示している。したがって、トランスミッション値TRが高い場合は重荷電粒子ビームPBが効率的にターゲット34に照射されていることになり、言い換えるとビームのロスが少ないことを意味する。ビームのロスの要因としては、コリメータ44の通過によりビームハローが除去されることに起因するコリメータ損失と、コリメータ44およびターゲット34以外の外部にビームが照射されることによりエネルギーを逸失する外部損失とが考えられる。
供給制御部12は、指標値であるトランスミッション値TRが所定以下であり、すなわちターゲット電流値TGとビーム電流値EPRとの乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、照射工程に応じて異なる制御を行なう。照射工程については図5を用いて後述するが、具体的には、初期の照射工程にあたる第一供給ステップST10では、マグネット電流IMを一定に維持した状態で、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量の増大を抑制する。そして、中期以降の照射工程にあたる第三供給ステップST26では、重荷電粒子Pの供給量を一定に維持した状態、すなわちアーク電流を一定に維持した状態で、直流電源58からコイル56に印加させるマグネット電流IMの印加量を増大させる。
これにより、初期の照射工程にあっては、サイクロトロン100の条件設定が不十分でありコリメータ44または外部にビームが集中的に照射されてコリメータ損失や外部損失が大きくなっていると推定して重荷電粒子Pの供給量を抑制する。これにより、サイクロトロン100が損傷したり、所望のターゲット電流値TGを得るために過剰なビーム電流値EPRを発生させてサイクロトロン100に過負荷を与えたりすることを回避できる。一方、中期以降の照射工程にあっては、メイン電磁石50の磁極51の温度が上昇して磁化が低下し、重荷電粒子ビームPBの収束が低下して軌道がずれたものと推定してマグネット電流IMを増大させる。これにより、メイン電磁石50が形成する静磁場の強度が回復して重荷電粒子ビームPBの軌道が修正される。
出力モニタ部14は、一対のビーム取出部40およびターゲット34に対応してTR1およびTR2の二つのトランスミッション値TRを算出し、これをトランスミッション値表示部66に表示する。供給制御部12は、これらのTR1およびTR2のいずれか少なくとも一方が所定以下、すなわちTR1とTR2がそれぞれ表す乖離度合いのいずれか少なくとも一方が所定以上と判定された場合に、重荷電粒子Pの供給過剰を抑制し、またはマグネット電流IMの印加量を増大させる制御を行なう。
このほか指標値としては、ビーム電流値EPRからコリメータ電流値およびターゲット電流値TGを減算したビーム差分値を用いてもよい。この場合、指標値(ビーム差分値)が大きいほどビームのロスが大きいことを意味する。そしてサイクロトロン制御装置10の供給制御部12は、ビーム差分値が所定以上であり、すなわちターゲット電流値TGとビーム電流値EPRとの乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの供給量が過剰にならないように制御してもよい。これにより、外部損失が過大となってサイクロトロン100の内部の不特定の箇所に損傷が生じることを未然に防止でき、またサイクロトロン100の過負荷を回避することができる。
具体的には、指標値(ビーム差分値)=ビーム電流値EPR1−プローブコリメータ電流値PCL1−バッファコリメータ電流値BF1−ターゲットコリメータ電流値TCL1−ターゲット電流値TG1とすることができる。上式においてEPR1、PCL1、BF1、TCL1、TG1に代えて、EPR2、PCL2、BF2、TCL2、TG2を用いてもよい。
表示画面DPは、その他の表示部として、真空度表示部67、マグネット電流値表示部68、高周波電圧値表示部69およびマグネット設定表示部70を備えている。サイクロトロン制御装置10は、イオン供給口26や加速空間31の内部で測定された真空度を示す情報を取得して真空度表示部67で表示する。また、サイクロトロン制御装置10は、マグネット電流値表示部68は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流の設定値を表示する。サイクロトロン制御装置10はメイン電磁石50と信号接続され、またマグネット電流制御部18の機能を有している。マグネット電流制御部18は、ユーザーの操作に基づいて可変に設定された設定値に対応するマグネット電流制御部18を、直流電源58よりメイン電磁石50に印加させる。高周波電圧値表示部69は、高周波電源54から高周波電極52に印加される高周波電圧の値を表示する。かかる高周波電圧はユーザーの操作に基づいて可変に設定することができる。
マグネット設定表示部70は、中期以降の照射工程でマグネット電流IMを増大させるための判定を行なう基準値としての第一閾値を設定し、また表示する。第一閾値は、ユーザーの操作に基づいて可変に設定してもよく、またはサイクロトロン制御装置10により自動的に設定してもよい。第一閾値の具体的な設定方法については後述する。
図4はサイクロトロン制御装置10における処理を示すフローチャートである。図5はマグネット電流IMの印加量の時間変化を模式的に示すグラフである。図5の縦軸は直流電源58からコイル56に通電されるマグネット電流IMの大きさを表し、横軸は通電開始からの経過時間を表す。以下、図1から図5を参照してサイクロトロン制御装置10の動作およびサイクロトロン制御装置10で実行されるプログラムについて説明する。
サイクロトロン制御装置10で実行されるプログラムは、すなわちサイクロトロン100を制御するためのプログラムである。サイクロトロン100は、上述したようにイオン源20から供給される重荷電粒子Pを、メイン電磁石50にマグネット電流IMを印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、を備えている。
サイクロトロン制御装置10のプログラムは、判定処理(判定ステップST32)とマグネット電流増大処理(マグネット電流増大ステップST34)とをサイクロトロン100に実行させる。
出力モニタ部14は、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームPBの量を示すビーム電流値EPRと、出射された重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGと、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得する(ステップST30)。そして判定処理(判定ステップST32)において照射状態判定部16は、ステップST30で取得された指標値を第一閾値と比較して乖離度合いを判定する。
マグネット電流増大処理(マグネット電流増大ステップST34)では、上記の判定処理(判定ステップST32)で乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、マグネット電流制御部18は、メイン電磁石50に印加するマグネット電流IMを増大させる。
つぎに、サイクロトロン制御装置10における制御処理について詳細に説明する。
サイクロトロン制御装置10のマグネット電流制御部18は、図5に示すように、マグネット電流IMを多段階で制御する。具体的には、初期の照射工程にあたる第一供給ステップST10と、第一供給ステップST10の後に実行されて重荷電粒子Pの供給量を第二設定量に至るまで更に増大させる第二供給ステップST18と、第二供給ステップST18の後に実行されて重荷電粒子Pの供給量を第二設定量にて維持する第三供給ステップST26と、を実行する。第三供給ステップST26は、アーク電流値が安定して以降、重荷電粒子ビームPBの照射を終了するまでの工程の総称である。第三供給ステップST26では、指標値に基づいてマグネット電流IMを増大させる処理を経時的に繰り返す。このため、第三供給ステップを電流制御ステップと呼称する場合がある。
初期の照射工程にあたる第一供給ステップST10は時刻T0からT1まで行なわれる。第一供給ステップST10ではマグネット電流IMは初期値IM0で一定とする。第一供給ステップST10において供給制御部12は、重荷電粒子Pの供給量を、僅かな初期量から第一設定量に至るまで増大させる。第一供給ステップST10では、イオン源20のフィラメント24に所定のフィラメント電流を印加し、プラズマ生成部22の内部で重荷電粒子Pを発生させてイオン供給口26から加速空間31に供給する。供給制御部12は、フィラメント24に印加するフィラメント電流を漸増させることで、重荷電粒子Pの供給量を初期量から第一設定量まで増大させる(ステップST11)。
供給制御部12は、重荷電粒子Pの単位時間あたりの供給量(すなわちアーク電流値)が第一設定量未満である間(ステップST12:NO)、フィラメント電流値を漸増して第一供給ステップST10を継続する。
ステップST14において重荷電粒子Pの単位時間あたりの供給量を判定する処理は種々の態様を選択することができる。たとえば、アーク電流値の到達目標値である第一設定量と、重荷電粒子ビームPBの照射開始からアーク電流値を第一設定量に到達させるまでの到達時間とを予め設定しておき、この到達時間(たとえば40秒間)に亘ってフィラメント電流値を強制的に増大させてアーク電流値を第一設定量まで増大させることができる。この場合、出力モニタ部14はステップST12においては照射開始からの経過時間を監視し、この経過時間が到達時間の設定値に到達したか否かを判定するとよい。
このほかイオン供給口26から加速空間31に供給される重荷電粒子Pの量を測定する手段を設け、この測定手段による測定値を出力モニタ部14は取得して重荷電粒子Pの供給量が第一設定量に到達したことを判定してもよい。
第一供給ステップST10において出力モニタ部14は、十分に短い所定の時間間隔ごとにビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGをビーム取出部40およびターゲット34からそれぞれ取得してトランスミッション値TR(指標値)を算出して取得する。
イオン源20から加速器30に供給される重荷電粒子Pの量が第一設定量に到達すると(ステップST12:YES)、第一供給ステップST10は終了する。つぎに照射状態判定部16は、トランスミッション値TRを第二閾値と大小判定する(ステップST14)。第二閾値は、コリメータ44の配置や、メイン電磁石50が生成する磁場環境、ストリッパフォイル42の状態などが正常である場合にトランスミッション値TRが十分にこれを上回る数値に設定することが好ましい。第二閾値はサイクロトロン制御装置10に予め設定されて記憶されており、たとえば0.6から0.8などとすることができる。第二閾値はユーザーにより可変に設定可能としてもよい。トランスミッション値TRが第二閾値よりも小さいと照射状態判定部16により判定された場合には、供給制御部12は重荷電粒子Pの供給の増大を停止して各種調整を行なうとよい(図示せず)。各種調整としては、コリメータ44(プローブコリメータ44a、バッファコリメータ44b、ターゲットコリメータ44c)の向きを調整したり、ストリッパフォイル42の向きやフォイル駆動部43からの突出長さを調整したり、メイン電磁石50に印加するマグネット電流を増減調整したりするとよい。これらの各種調整により、ビームハローを低減させて重荷電粒子ビームPBの指向性を向上させたり、ターゲット34に向けてより正確に重荷電粒子ビームPBを照射させたりすることができる。各種調整は、表示画面DPのトランスミッション値表示部66等に表示されるパラメータの数値を目視確認しながらユーザーが手動で行なってもよく、またはサイクロトロン制御装置10によりトランスミッション値TRの最適値を探索するように自動調整してもよい。
ステップST14において指標値であるトランスミッション値TRが第二閾値以上であり乖離度合いが所定未満であると判定されると、マグネット電流制御部18はマグネット電流IMを最適化する(ステップST16:図4および図5参照)。マグネット電流IMの最適化にあたっては、マグネット電流IMを僅かずつ昇降調整しながら出力モニタ部14でトランスミッション値TRを監視し、トランスミッション値TRが最大となるマグネット電流IMを最適値IM1として決定するとよい。図5では最適値IM1が初期値IM0よりも大きい場合を例示しているが、これに限られない。マグネット電流IMの最適値IM1は、400A以上600A以下が好ましく、たとえば500Aである。
マグネット電流IMが最適値IM1に設定された時刻T2から、第二供給ステップST18を行なう。第二供給ステップST18では、フィラメント24に印加するフィラメント電流を更に漸増することで、重荷電粒子Pの供給量を第一設定量から更に増大させる(ステップST19)。出力モニタ部14は、重荷電粒子Pの供給量が十分な値となるまで(ステップST20:NO)、これを繰り返す。サイクロトロン制御装置10は、重荷電粒子Pの供給量が第二設定量に到達すると第二供給ステップST18を終了する。第二供給ステップST18の間、マグネット電流IMは最適値IM1にて一定とする。
ステップST20で行なわれる具体的な判定処理は特に限定されないが、本実施形態では、第二供給ステップST18の実行中に、出力モニタ部14がターゲット電流値TGを取得し、当該ターゲット電流値TGを第二設定量と比較することにより重荷電粒子Pの供給量が所望量に到達したことを判定する。第二供給ステップST18を終了すると、イオン源20から加速器30への重荷電粒子Pの供給量の増大を停止し(ステップST22)、それ以降は重荷電粒子Pの供給量を一定とする。第二供給ステップST18の終了時刻をT3とする(図5参照)。
第二供給ステップST18が終了した時刻T3またはそれ以降のタイミングで、出力モニタ部14はビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGを取得し、指標値(トランスミッション値TR)を算出してバッチレコードなどに記録しておく(ステップST24)。照射状態判定部16は、この指標値に基づいて、電流制御ステップST26で用いる第一閾値を設定する。
第一閾値は、重荷電粒子Pの供給量が設定量(第二設定量)に到達した後の所定タイミング(ステップST24)で出力モニタ部14が取得した上記の指標値(トランスミッション値TR)よりも、乖離度合いが大きい値に対応して設定される。これにより、重荷電粒子Pの供給量を安定させた時点と比べて乖離度合いが僅かに悪化した状態を、判定ステップST32における判定の閾値とすることができる。具体的には、たとえば第二供給ステップST18が終了してから10分間が経過した時刻T4の時点でトランスミッション値TRを取得するとよい。この時点でのトランスミッション値TRがたとえば85%であった場合、第一閾値としては、トランスミッション値TRを僅かに低下させた84.5%などとすることができる。第二供給ステップST18の終了時点でのトランスミッション値TRと第一閾値との差分は、5%以下、好ましくは1%以下とするとよい。
第一閾値を設定してから重荷電粒子ビームPBの照射を終了するまでが電流制御ステップ(電流制御ステップ)ST26である。電流制御ステップST26では、所定時間に亘って重荷電粒子ビームPBを照射し(ステップST27)、照射終了判定が否定されて照射を継続する場合(ステップST28:NO)、出力モニタ部14はビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGを取得してトランスミッション値TRを更新する(ステップST30)。
照射状態判定部16は、更新されたトランスミッション値TRを第一閾値(たとえば89.5%)と大小判定する。トランスミッション値TRが第一閾値以上であると判定された場合(判定ステップST32:YES)には、再び所定時間に亘って重荷電粒子ビームPBの照射を継続する(ステップST27)。この所定時間は特に限定されないが、1分間以上、5分間以下とすることができる。これにより、判定ステップST32の頻度が過剰とならず、かつ重荷電粒子ビームPBの収束の悪化をすみやかに検知することができる。
判定ステップST32においてトランスミッション値TRが第一閾値未満と照射状態判定部16が判定した場合(判定ステップST32:NO)、マグネット電流制御部18はマグネット電流IMを増大させる(マグネット電流増大ステップST34)。
マグネット電流増大ステップST34におけるマグネット電流IMの具体的な増大処理は特に限定されないが、本実施形態では予め定められた上昇幅だけマグネット電流IMを増大させる処理を1回または複数回繰り返して行なうことを例示する。上昇幅は、0.001A以上0.02A以下とすることができる。この上昇幅は、マグネット電流IMの最適値IM1(たとえば500A)に比べて10−6(1ppm)以下とすることができる。
本実施形態では、一例として、繰り返し回数の最大値を5回とする。
マグネット電流制御部18は、マグネット電流増大ステップST34でマグネット電流IMを増大させた後に、増大の残り回数を1だけ減算し(ステップST36)、残り回数を判定する。残り回数が1以上である場合は(ステップST38:NO)、出力モニタ部14はビーム電流値EPRおよびターゲット電流値TGを取得して指標値を更新取得する。照射状態判定部16は、更新取得された指標値を第一閾値と比較して乖離度合いを更新判定する(判定ステップST32)。
マグネット電流制御部18は、更新判定された指標値が第一閾値以上になり乖離度合いが所定未満になったと判定された場合には(判定ステップST32:YES)、マグネット電流IMの増大を停止し、ステップST27に戻る。
上記の更新判定の結果、マグネット電流制御部18は、マグネット電流IMの増大幅が所定以上となったとき、更新判定された乖離度合いにかかわらずマグネット電流IMの増大を停止する。具体的には、更新判定された指標値が、なお第一閾値未満であると判定された場合には(判定ステップST32:NO)、マグネット電流増大ステップST34からステップST38を繰り返す。そして、マグネット電流IMの増大を5回繰り返し、残り回数が0になると(ステップST38:YES)、マグネット電流IMの増大を停止してステップST27に戻る。これにより、メイン電磁石50の磁化の低下以外の要因、たとえばコリメータ損失や外部損失の増大などの理由によりトランスミッション値TRが低下している場合に、マグネット電流IMを過剰に印加してしまうことが防止される。
ステップST27に戻ると、再び所定時間に亘って重荷電粒子ビームPBの照射を継続する。このとき、マグネット電流IMの増大の残り回数を初期値(たとえば5回)にリセットしておく。
ステップST27に戻った時刻T5から再び所定時間に亘って重荷電粒子ビームPBを照射して時刻T6に到達すると、照射終了判定(ステップST28)を行なったうえで、出力モニタ部14は改めて指標値(トランスミッション値TR)を算出し、そしてマグネット電流制御部18は指標値を第一閾値と大小判定する(ステップST32)。以降は上記の処理を繰り返す。そして、指標値が第一閾値未満と判定された場合は、その都度、マグネット電流増大ステップST34からステップST38を繰り返してステップST27に戻る(時刻T7:図5参照)。
そして、第三供給ステップST26を継続して所定の照射時間が経過すると(ステップST28:YES)、サイクロトロン制御装置10は重荷電粒子Pの供給および重荷電粒子ビームPBの照射を停止させる。
以上説明したように本実施形態のサイクロトロン制御装置10を用いることで、メイン電磁石50が加熱されて磁極51の磁化が低下したことに起因してトランスミッション値TRが低下したことを高精度に検知し、マグネット電流IMを増大させることによってこれを解消することができる。これにより、安定したターゲット電流値TGを、たとえば2時間以上の長時間に亘って得ることができる。
本実施形態のサイクロトロン制御装置10を用いることでターゲット34において核反応が発生して放射性核種が生成される。放射性核種は放射性薬剤の製造や放射線治療などの用途に用いることができる。
特に本実施形態のサイクロトロン制御装置10を搭載したサイクロトロン100によれば上記のように長時間に亘って重荷電粒子ビームPBをターゲット34に連続照射することができ、放射性薬剤を大量生産することができる。すなわち本実施形態のサイクロトロン制御装置10によれば以下の放射性薬剤の製造方法(以下、本方法と呼称する場合がある)が提供される。
本方法は、イオン源20から供給される重荷電粒子Pをメイン電磁石50にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームPBとする加速器30と、重荷電粒子ビームPBを軌道変更して加速器30から取り出してターゲット34に向けて出射するビーム取出部40と、を備えるサイクロトロン100を用いて放射性薬剤を製造する方法に関する。
本方法は、重荷電粒子ビームPBをターゲット34に照射して放射性核種を生成する照射ステップと、電流制御ステップST26と、標識ステップと、を備え、照射ステップを電流制御ステップST26の前後に亘って連続して行うことを特徴とする。
電流制御ステップST26では、指標値を経時的に取得し、取得された指標値を第一閾値と比較して乖離度合いを判定し、乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、マグネット電流IMを増大させる。指標値は、ビーム取出部40で軌道変更される重荷電粒子ビームPBの量を示すビーム電流値EPRと、出射された重荷電粒子ビームPBがターゲット34に衝突して発生するターゲット電流値TGと、の乖離度合いを示し、上述したようにトランスミッション値TRを用いることができる。そして標識ステップでは、生成された放射性核種および標識前駆体化合物を用いて放射性薬剤を製造する。標識ステップは、生成された放射性核種および標識前駆体化合物を用いて放射性薬剤を製造するステップであり、加水分解や精製などの各種処理を含む工程である。標識ステップには公知の方法を用いることができる。例えば、本方法により、18O水(酸素18標識水)から、放射性核種として18Fを生成し、標識ステップで、標識前駆体化合物としてTATM(1,3,4,6−テトラ−O−アセチル−2−O−トリフルオロメタンスルホニル−β−D−マンノピラノース)を用いて18F−FDG(フルオロデオキシグルコース)を製造することができる。
本方法によれば、重荷電粒子ビームPBのビーム出力が一旦安定して以降、メイン電磁石50の温度上昇によってビーム出力が低下することを抑制し、放射性核種を長時間に亘って安定して製造することができる。
本方法の一例として、上記のように最適値IM1を500Aとし、第一閾値を84.5%に設定し、放射性核種として18Fを生成した。本方法を非適用とし、すなわち電流制御ステップST26においてマグネット電流IMを最適値IM1で固定した場合の18Fの生成収率と、本方法を適用して電流制御ステップST26でマグネット電流IMを増大させた場合の18Fの生成収率とを比較した。結果として、18Fの生成収率の平均値は、本方法を非適用とした場合は3215.3MBq/μAであったのに対し、本方法を適用した結果3449.5MBq/μAhに向上した。また、18Fの生成収率の相対標準偏差(RSD:%)=(標準偏差/平均値)×100は、本方法を非適用とした場合は8.0%であったのに対し、本方法を適用した結果4.5%に改善された。これにより、本方法によれば放射性核種の生成収率が向上するだけでなく、生成収率が安定することも確認された。
本実施形態のサイクロトロン制御装置10、その制御プログラムおよびサイクロトロン制御装置10を備えるサイクロトロン100によれば、温度センサーをメイン電磁石50に装着することなく、メイン電磁石50の加熱に起因して重荷電粒子ビームPBの収束状態が悪化したことをサイクロトロン制御装置10で検知し、マグネット電流IMの僅かな増大によってこれを解消することができる。また、第三供給ステップST26でアーク電流を一定に維持した状態で上記のように重荷電粒子ビームPBの収束状態を最適に維持することができるため、コリメータ44やフィラメント24の負荷を増大させることもない。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を制御するマグネット電流制御手段と、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得する出力モニタ手段と、前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、前記マグネット電流制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させることを特徴とするサイクロトロン制御装置。
(2)前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を、所定の設定量に至るまで増大させた後に前記設定量で維持する供給制御手段を更に備え、前記第一閾値が、前記供給量が前記設定量に到達した後の所定タイミングで前記出力モニタ手段が取得した前記指標値よりも、前記乖離度合いが大きい値に対応して設定されている上記(1)に記載のサイクロトロン制御装置。
(3)前記マグネット電流制御手段が前記マグネット電流を増大させた後に、前記出力モニタ手段は前記指標値を更新取得し、前記照射状態判定手段は更新取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを更新判定し、前記マグネット電流制御手段は、更新判定された前記乖離度合いが所定未満になったと判定された場合に、前記マグネット電流の増大を停止する上記(1)または(2)に記載のサイクロトロン制御装置。
(4)前記マグネット電流制御手段が前記マグネット電流を増大させた後に、前記出力モニタ手段は前記指標値を更新取得し、前記照射状態判定手段は更新取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを更新判定し、前記マグネット電流制御手段は、前記マグネット電流の増大幅が所定以上となったとき、更新判定された前記乖離度合いにかかわらず前記マグネット電流の増大を停止する上記(1)から(3)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
(5)前記出力モニタ手段が取得する前記指標値が、前記ビーム電流値に対する前記ターゲット電流値の比率を示すトランスミッション値である上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
(6)イオン源と、前記イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置と、を備えるサイクロトロン。
(7)イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、前記プログラムが、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する判定処理と、前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を増大させるマグネット電流増大処理と、を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラム。
(8)イオン源から供給される重荷電粒子をメイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、前記重荷電粒子ビームを前記ターゲットに照射して放射性核種を生成する照射ステップと、前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定し、前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させる電流制御ステップと、生成された前記放射性核種および標識前駆体化合物を用いて前記放射性薬剤を製造する標識ステップと、を備え、前記照射ステップを前記電流制御ステップの前後に亘って連続して行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
10 サイクロトロン制御装置
12 供給制御部
14 出力モニタ部
16 照射状態判定部
18 マグネット電流制御部
20 イオン源
22 プラズマ生成部
24 フィラメント
25 引出電極
26 イオン供給口
30 加速器
31 加速空間
32 ビーム管
34 ターゲット
40 ビーム取出部
42 ストリッパフォイル
43 フォイル駆動部
44 コリメータ
44a プローブコリメータ
44b バッファコリメータ
44c ターゲットコリメータ
50 メイン電磁石
51 磁極
51a 谷領域
51b 山領域
52 高周波電極
54 高周波電源
56 コイル
58 コイル電源
62 アーク電流表示部
63 ビーム電流値表示部
64 コリメータ電流値表示部
65 ターゲット電流値表示部
66 トランスミッション値表示部
67 真空度表示部
68 マグネット電流値表示部
69 高周波電圧値表示部
70 マグネット設定表示部
100 サイクロトロン
DP 表示画面
IM マグネット電流
P 重荷電粒子
PB 重荷電粒子ビーム
TG ターゲット電流値
TR トランスミッション値
EPR ビーム電流値

Claims (8)

  1. イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンのための制御装置であって、
    前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を制御するマグネット電流制御手段と、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得する出力モニタ手段と、
    前記出力モニタ手段が取得した前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する照射状態判定手段と、を備え、
    前記マグネット電流制御手段が、前記照射状態判定手段により前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させることを特徴とするサイクロトロン制御装置。
  2. 前記イオン源から前記加速器に供給される前記重荷電粒子の供給量を、所定の設定量に至るまで増大させた後に前記設定量で維持する供給制御手段を更に備え、
    前記第一閾値が、前記供給量が前記設定量に到達した後の所定タイミングで前記出力モニタ手段が取得した前記指標値よりも、前記乖離度合いが大きい値に対応して設定されている請求項1に記載のサイクロトロン制御装置。
  3. 前記マグネット電流制御手段が前記マグネット電流を増大させた後に、前記出力モニタ手段は前記指標値を更新取得し、前記照射状態判定手段は更新取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを更新判定し、
    前記マグネット電流制御手段は、更新判定された前記乖離度合いが所定未満になったと判定された場合に、前記マグネット電流の増大を停止する請求項1または2に記載のサイクロトロン制御装置。
  4. 前記マグネット電流制御手段が前記マグネット電流を増大させた後に、前記出力モニタ手段は前記指標値を更新取得し、前記照射状態判定手段は更新取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを更新判定し、
    前記マグネット電流制御手段は、前記マグネット電流の増大幅が所定以上となったとき、更新判定された前記乖離度合いにかかわらず前記マグネット電流の増大を停止する請求項1から3のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
  5. 前記出力モニタ手段が取得する前記指標値が、前記ビーム電流値に対する前記ターゲット電流値の比率を示すトランスミッション値である請求項1から4のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置。
  6. イオン源と、
    前記イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、
    前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、
    請求項1から5のいずれか一項に記載のサイクロトロン制御装置と、
    を備えるサイクロトロン。
  7. イオン源から供給される重荷電粒子を、メイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを制御するためのプログラムであって、
    前記プログラムが、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定する判定処理と、
    前記判定処理で前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記メイン電磁石に印加する前記マグネット電流を増大させるマグネット電流増大処理と、を前記サイクロトロンに実行させることを特徴とするサイクロトロン制御プログラム。
  8. イオン源から供給される重荷電粒子をメイン電磁石にマグネット電流を印加して形成される磁場環境下で周回させながら加速して重荷電粒子ビームとする加速器と、前記重荷電粒子ビームを軌道変更して前記加速器から取り出してターゲットに向けて出射するビーム取出部と、を備えるサイクロトロンを用いて放射性薬剤を製造する方法であって、
    前記重荷電粒子ビームを前記ターゲットに照射して放射性核種を生成する照射ステップと、
    前記ビーム取出部で軌道変更される前記重荷電粒子ビームの量を示すビーム電流値と、出射された前記重荷電粒子ビームが前記ターゲットに衝突して発生するターゲット電流値と、の乖離度合いを示す指標値を経時的に取得し、取得された前記指標値を第一閾値と比較して前記乖離度合いを判定し、前記乖離度合いが所定以上であると判定された場合に、前記マグネット電流を増大させる電流制御ステップと、
    生成された前記放射性核種および標識前駆体化合物を用いて前記放射性薬剤を製造する標識ステップと、を備え、
    前記照射ステップを前記電流制御ステップの前後に亘って連続して行うことを特徴とする放射性薬剤の製造方法。
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