JP2017205073A - 給水システム - Google Patents

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Abstract

【構成】 給水システム(10)は、堤体(12)の隧道(16)内に、給水管路(18)を敷設し、取水フロート(24)、取水ホース(22)、接続管路(20)を通して水源池(14)の水を給水管路に導入する。給水管路は接続管路(50)を介して放水管路(52)に接続され、放水管路から圃場に水を供給する。取水ホースの取水フロートの近傍に、取水ホースの軸方向に間隔を隔てて複数の空気抜き孔(64)を形成する。取水ホース内に滞留した空気は、空気抜き孔から大気中に放出され、空気抜きが行われる。【効果】 取水ホース内の滞留空気を空気抜き孔から放出することによって、浮上した取水ホースを沈下させ、通水可能とすることができる。【選択図】 図3

Description

この発明は、給水システムに関し、特にたとえば、堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで水源池とは反対側にある圃場に供給する給水システム、給水システムに関する。
この発明の背景となる従来の給水システムの一例が特許文献1に開示されている。この給水システムでは、溜め池のような水源に浮かべた取水フロートから取水ホースを介して、給水管を構成するサイホン管部へ水を取込む。
特開2013-204278 [E02B 7/20 A01G 25/00]
この給水システムでは、取水ホースが取水フロートの近くで水面から出てしまい、給水管への水の送り込みができなくなる場合がある。つまり、取水ホースが柔軟であるため、ホース内に空気が滞留すると滞留した箇所が浮上して水面より飛び出してしまい、取水口からの水の供給を遮断し、取水できなくなる。
取水ホースが浮上してしまった場合には、浮上した箇所を水面下に押し込むか、取水フロートを吊上げて、空気を取水口より排出し、取水ホースを沈めなければならない。浮上した取水ホースを水面下に押し込むにはボート2隻、作業者4名以上またはダイバー2名以上で行う必要がある。取水フロートを吊上げるにはユニック車等のクレーン車を準備して取水フロートを慎重に水面から上に吊上げる必要がある。
どちらにしても、このような取水ホースの浮上事故が生じたときには、多くの人員、設備、時間を要することになる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、給水システムを提供することである。
この発明の他の目的は、取水ホースの浮き上がりを可及的防止できる、給水システムを提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および捕捉説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで水源池とは反対側にある圃場に供給する給水システムであって、水源池に浮かべられ、取水部から水源池の水を取り込むフロート、フロートに先端が連結されてフロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および水源池内で取水ホースの基端に連結され、取水ホースが取水した水を圃場に導く給水管路を備え、取水ホースはその中の空気を抜くために形成された空気抜き部を含む、給水システムである。
第1の発明では、給水システム(10:実施例において対応する部分を例示する参照符号。以下同様。)は、溜め池のような水源地(14)に貯留している用水を、水源地を堰き止める堤体(12)を挟んで反対側にある圃場に供給する。水源地の水面には取水フロート(24)が係留ロープ(28、30)で係留された状態で浮かべられる。取水フロートは水源地の水を取込み、それを、取水フロートに連結された取水ホース(22)に送る。取水ホースに連結された給水管路(18、50)が、取水ホースからの水を圃場に導く。取水ホースのたとえば上流側には、取水ホース内の空気を、たとえば大気中に放出するなどして抜くための空気抜き部(64)が形成される。取水ホースが水源地の水面(66)から完全に浮き上がってしまっているとき、その部分に滞留している空気は、空気抜き部を通って大気中に放出される。したがって、取水ホースが沈み、やがて取水ホースの内部での水面が水源地の水面と同じレベルとなり、取水ホース内での通水が可能な状態となる
第1の発明によれば、取水ホースがその中に滞留した空気によって水源地の水面から浮き上がったときでも、空気抜き部から空気を放出して、取水ホースを通水可能な状態にすることができる。したがって、従来であれば必要であった多くの人員、設備、時間が節約できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、空気抜き部は、取水ホースの先端と基端との間の中間より先端側に形成される、給水システムである。
第2の発明では、空気抜き部は、取水ホースの中間より上流側(先端側)に形成される。たとえば、取水ホースが10mの長さのものであるとすれば、その上流側の半分(5m)に形成される。取水ホースが浮上して取水ができなくなるのは、多くは取水ホースの上流側が浮上してしまった場合であるからである。
第2の発明では、取水ホースの浮上による取水不能状態を可及的速やかに解消することができる。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、空気抜き部は、取水ホースに、取水ホースの管軸方向に間隔を隔てて形成された複数の空気抜き孔を含む、給水システムである。
第3の発明では、空気抜き部が、取水ホースの管軸方向に間隔を隔てて形成された複数の空気抜き孔(64)を含む。空気抜き孔を管軸方向のある程度の範囲にわたって分散して複数の空気抜き孔を形成したので、取水ホース内の広い範囲から空気を抜くことができる。
第3の発明によれば、複数の空気抜き孔の1つからでも空気を放出することができるので、取水ホース内の空気を効率的に抜くことができる。
第4の発明は、第3の発明に従属し、取水ホースの外面に設けられて、複数の空気抜き孔の対応するものを外面から塞ぐ複数のシートをさらに備える、給水システムである。
第4の発明では、シートが空気抜き孔を取水ホース外面から覆うので、取水ホース内の空気は空気抜き孔から排気されるが、水源池からの逆流をシートが弁として働き遮断できる。
第4の発明によれば、シートによって、水源池から取水ホース内に逆流するのを防止することができる。
第5の発明は、第1ないし第4のいずれかの発明に従属し、給水管路は堤体下を通る給水管路および堤体の外で給水管路に連結される接続管部を含み、水は接続管部に設けられた仕切弁を経て圃場に給水され、さらに仕切弁より上流側の給水管路に形成された加圧注水部を備える、給水システムである。
第5の発明では、給水管路は堤体(12)下を通って堤体外にまで延びる給水管路(18)とこの給水管路と放水管路(52)を接続する接続管路(50)を含み、水は接続管路に設けられた仕切弁(61)を経て放水管路から圃場に給水される。加圧注水部(70、72)が仕切弁より上流側の接続管路に形成され、この加圧注水部から水を加圧注入すると、取水ホース内の滞留空気が上流側へ移動して、空気抜き抜き部(64)から放出できるようになる。
第5の発明によれば、加圧注入部から水を加圧注入すると取水ホース内の滞留空気が移動するので、空気抜き部からの空気抜きを確実に行うことができる。
第6の発明は、堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで水源池とは反対側にある圃場に供給するために、水源池に浮かべられ、取水部から水源池の水を取り込むフロート、フロートに先端が連結されてフロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および水源池内で取水ホースの基端に連結され、取水ホースが取水した水を圃場に導く給水管路を備える給水システムにおいて、浮上した取水ホースを水源池の水面下に沈める方法であって、取水ホースに形成した空気抜き部から空気を放出することによって取水ホースを沈めるようにした、取水ホースを沈める方法である。
第6の発明では、空気抜き部(64)の近傍で取水ホース(22)内に空気が滞留して、取水ホースが水源地(14)の水面(66)から完全に浮き上がってしまっているとき、その部分に滞留している空気は、空気抜き部を通って大気中に放出される。したがって、取水ホースが沈降し、やがて取水ホースの内部での水面が水源地の水面と同じレベルとなり、取水ホース内での通水が可能な状態となる。
第6の発明でも、第1の発明と同様の効果が期待できる。
第7の発明は、第6の発明に従属し、給水管路の下流側から水を加圧注入することによって、取水ホース内の滞留空気を空気抜き部まで移動させる、取水ホースを沈める方法である。
第7の発明では、給水システムの給水管路は、たとえば堤体(12)下を通って堤体外にまで延びる給水管路(18)とこの給水管路と放水管路(52)接続する接続管路(50)を含み、水は接続管路に設けられた仕切弁(61)を経て放水管路から圃場に給水される。加圧注水部(62、72)が仕切弁より上流側の接続管路に形成され、この加圧注水部から水を加圧注入すると、取水ホース内の滞留空気が上流側へ移動して、空気抜き抜き部(64)から放出できるようになる。
第7の発明によれば、取水ホースを効率的に沈めることができる。
第8の発明は、堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで水源池とは反対側にある圃場に供給するために、水源池に浮かべられ、取水部から水源池の水を取り込むフロート、フロートに先端が連結されてフロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および水源池内で取水ホースの基端に連結され、取水ホースが取水した水を圃場に導く給水管路を備え、給水管路は堤体下を通る給水管路および堤体の外で給水管路に連結される接続管部を含み、水は接続管部に設けられた仕切弁を経て圃場に給水される給水システムにおいて、浮上した取水ホースを水源池の水面下に沈める方法であって、仕切弁より上流側の接続管部において加圧注水することによって取水ホースを沈めるようにした、取水ホースを沈める方法である。
第8の発明では、たとえば接続管路(50)に設けた加圧注水部(62、72)で取水ホース(22)の中の空気溜まりを上流側に押し上げて取水ホースの先端まで運ぶことができる。そうすると、空気は取水ホース、取水フロートを経て、大気中へ放出される。そのため、取水ホース内の空気量が減り、取水ホースが沈降して、やがて通水可能な状態になる。
第8の発明によれば、取水ホースを効率的に沈めることができる。
この発明によれば、取水ホースに空気抜き部を設けたので、取水ホース内に滞留した空気が、そこから排出されるため、取水ホースの浮上を防止することができる。そのため、取水ホースが浮上して取水ができなくなるという事態を、多くの人員、設備、時間を要しないで、解消することができる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1はこの発明の一実施例の給水システムを横から見た概略図であり、図1(A)が上流側を示し、図1(B)が下流側を示す。 図2はこの発明の一実施例の給水システムを上から見た概略図であり、図2(A)が上流側を示し、図2(B)が下流側を示す。 図3は図1および図2の実施例の給水システムにおける取水部分を拡大して示す概略図であり、図3(A)が上から見た図であり、図3(B)が横から見た図である。 図4は実施例における空気抜き孔の作用の一例を示す概略図であり、図4(A)は取水ホースが浮上している状態を示し、図4(B)は取水ホースがやや沈下した状態を示し、図4(C)取水ホースが沈下して通水が可能になった状態を示す。 図5は実施例における空気抜き孔の作用の他の例を示す概略図であり、図4(A)と同様に取水ホースが浮上している状態を示す。 図6は取水ホースの空気抜き孔の変形例を示す概略図である。 図7は取水ホースの空気抜き孔の他の変形例を示す概略図である。 図8は加圧注水部の変形例を示す概略図である。
図1および図2を参照して、この発明の一実施例の取水システム10は、堤体12によって堰き止められた水源池14から、圃場(図示せず)へ給水するための設備である。具体的には、堤体12の地下に、たとえばヒューム管によって形成されている隧道16を利用して、水源池14からの水を圃場に設けられた放水ピット(図示せず)に放水(吐出)する。
なお、隧道16は、水源池14を設けるときに必ず堤体12内に作っておくものであり、この実施例では、このような既設の隧道16を利用するようにしているので、工事費を抑制できる。なお、隧道16を形成するヒューム管の呼び径は、一例として600‐800であるが、これに限定されるものではない。
実施例の取水システム10では、隧道16内に、たとえばPE(ポリエチレン)管の突合せ接合(バット融着)によって給水管路18を敷設する。この給水管路18の呼び径は、一例として200‐250であるが、これに限定されるものではない。
なお、給水管路18を隧道16内に敷設する方法は、詳しくは説明しないが、いわゆる「パイプインパイプ方式」を採用する。そのため、堤体12や隧道16の大規模な改修工事は必要なく、比較的安価に設置できる。
なお、水源地を新しく作る場合には、給水管路18は隧道とは別に敷設するようにしてもよい。その場合、給水管路は、たとえば周囲をコンクリートで固めるなどして、堤体を遮水したり、土圧に耐えられる工夫がされている。
給水管路18の入り口側には、接続管路20を介して、取水ホース22が接続される。取水ホース22は、一例として軟質塩ビからなる柔軟な直管であり、その先端が取水フロート24に連結される。接続管路20は、水源池14の側の堤体12の基底部の近傍にたとえばコンクリートで形成される固定台26によって、水源池14の底部に固定的に係止される。ただし、取水ホース22は、蛇腹管のようなフレキシブル管で構成されてもよい。
なお、詳細は図示しないが、接続管路20に接続された給水管路18の入口端と、隧道16の上流コンクリート構造物との貫通部は、たとえばコンクリートによって封止される。同様に、給水管路18の出口端と、隧道16の下流コンクリート構造物との貫通部もたとえばコンクリートによって封止される。つまり、給水管路18は、隧道16内ではいわゆる「転がし配管」であり、両端のみがコンクリート構造物によって固定される。したがって、給水管路18は、PE管であることと相俟って、温度差による伸縮に容易に対応できる。
上述の取水フロート24は、比較的温度が高い表面水を取水するためのものであって、水位の変動に伴って取水ホース22が屈曲することにより上下動する。ただし、取水フロート24の必要以上の搖動を抑制するために、取水フロート24は、係留ロープ28および30によって、係留される。係留ロープ28の基端は、水源池14内に固定された架台32に支持された係留ポール34に係止され、係留ロープ30の基端は、堤体12上に固定された架台36に支持された支持具38に係止される。
図3からよく分かるように、取水フロート24は、上下2つの部材からなり、上側のフロート部40は平面形状が矩形の大小2つの中空密封パイプからなり、この取水フロート24に浮力を付与する。フロート部40の下側には、平面形状がたとえば「十」の字に形成された取水部42が取り付けられている。この取水部42の各辺のそれぞれの両側に多数の取水口44が分散して形成されている。したがって、取水部42は各取水口44から取水して、その水を取水ホース22に送り込む。
詳しくいうと、取水ホース22の先端には矩形箱状の受水部46が取り付けられ、この受水部46が取水部42の中央に形成された送水部48に固着される。したがって、送水部48の底面に形成された送水口(図示せず)および受水部46の天面に形成された受水口(図示せず)が連通するように、受水部46と送水部48が接合され、取水部42が取水した水が、送水口、受水口を通して、取水ホース22に送り込まれる。
このようにして取水ホース22に取り込まれた水源地14の水は、隧道16内の給水管路18に入る。給水管路18は、接続管路50を経て、圃場(図示せず)に放水する放水管路52に接続さる。水は接続管路50を経て放水管路52に供給されるので、「給水管路」というとき、給水管路18および接続管路50の両方を指すことがあることに留意されたい。
給水管路18に接続されている接続管路50には、詳細は図示しないが排気弁装置54が設けられる。この排気弁装置54は圃場側から侵入した空気を排出し、上流への空気の浮上を遮断する。その詳細は、本件出願人の出願に係る同時係属中の特願2016‐93670に詳しく説明されているので、ここではその記載を援用することによって詳細な説明は省略する。
図1および図2では明瞭ではないので、ここでは、便宜上図8を参照して、排気弁装置54を簡単に説明する。排気弁装置54はタンク56を有し、そのタンク56の上端に、それぞれがフロート58の上下動によって開閉される2つの排気弁60が形成される。ただし、この実施例では、フロート58の上端に固着したゴムパッキンのような弁体と、この弁体がフロート58の上下動に応じて接離する弁座からなる。したがって、タンク56内に溜まっている水に空気が混じっていてその水位が低下すると、フロート58が下がり、排気弁60が開けられて、タンク56中の水から放出された空気が、排気弁60から大気中へ放出される。さらに、給水管路18すなわち接続管路50からの給水が減少しまたは途絶したときに、タンク56内の水位が流出側以下になると、タンク56からの水の流出が止まる。
また、排気弁装置54のタンク56における接続管路50からの流入側が放水管路52への流出側に比べて低位にあるため、タンク56内水位が流出側以下になっても、流入側は未だタンク56内の水位より下にあるため、流入側が塞がれたトラップが形成される。したがって、空気が給水管路18を逆流することはない。
接続管路50の排気弁装置54のさらに少し上流側には、仕切弁61が設けられ、さらに上流には加圧注水部62が配置される。加圧注水部62は、接続管路50すなわち給水管路18内に水を注入するために利用されるものであるが、その作用は、取水ホース22の管頂に形成された空気抜き孔64(図3)の作用とともに、後述する。
なお、加圧注水部62は、たとえばフランジ継手で接続管路50内に介挿され、たとえば仕切弁または逆止弁を経た管端に、たとえば加圧ポンプ(図示せず)を連結して、接続管路50内に加圧注水する。
図3に示すように、取水ホース22の取水フロート24の近傍の管頂に、取水ホース22の管壁を貫通する複数の(実施例では5つの)空気抜き孔64を形成する。一例として、この実施例では、取水フロート24の長さ(図3における左右方向または長さ)が3.6mであり、送水部48がその中心であるので、送水部48を挟んで左右それぞれ1.8mである。そして、その取水フロート24の送水部48から2‐4mの範囲に0.5mの間隔を隔てて5つの空気抜き孔64を形成する。つまり、この実施例では、空気抜き孔64は、送水部48から2.0m、2.5m、3.0m、3.5mおよび4.0mの位置に形成される。
ただし、その孔64のサイズ(直径)は一例として1mm程度とした。この空気抜き孔64のサイズをあまり大きくすると、取水ホース22のその部分での強度の低下を招来する、空気抜き孔64の数を多くしすぎても同様の不都合が生じる。さそらに、空気抜き孔64の間隔を小さくしすぎて空気抜き孔64を密集させてしまうと、その密集部分での取水ホース22の強度低下が問題になるばかりでなく、空気抜き孔64から空気を抜くことができる、取水ホース22の軸方向長さが短くなり、広範囲の空気滞留に十分対処できないという懸念がある。そこで発明者は、実験を通して、上述のような仕様を決めた。ただし、これらの数値は一例であって、そのままこの発明を限定するものではないことは、もちろんである。
先に説明したように、取水ホース22が浮上して給水ができなくなるという問題があるが、現状の給水システムでは、水源地(溜め池)の水の貯留時に取水ホース22の浮上を防ぐために、予め取水ホース22および給水管路18内に用水を注入して空気の排出を行っているが、排気が十分に行われず、取水ホース22が浮上する事態が発生している。また、溜め池によっては池干しや、干ばつによる用水涸れが発生することがあり、この場合には取水ホース22および給水管路18への用水注水が行われず、溜め池への水の貯留が始まり、取水ホース22が浮上することもある。
現状の取水ホ-ス22では、取水フロート24の移動に追従できるように柔軟性を確保しているが、その中の滞留空気が取水ホース上流(池底から取水フロート24側)に移動する過程で、取水ホース22を浮上させ水面66上にホースの一部を押し曲げて浮かせてしまう。その状態が図4(A)に示される。
図4(A)の状態では、空気抜き孔64の近傍で空気が滞留して、取水ホース22が水源地の水面66から完全に浮き上がってしまっている。しかしながら、この実施例では、この浮き上がった取水ホース22の場所に、空気抜き孔64がある。そのため、浮き上がっている部分に滞留している空気は、1つ以上の空気抜き孔64を通って大気中に放出される。したがって、取水ホース22が図4(B)で示すように、やや沈下する。
その後、取水ホース22の空気抜き孔64から空気がさらに放出され、取水ホース22はさらに沈下する。そうすると、図4(C)に示すように、取水ホース22の内部での水面が水源地14の水面66と同じレベルとなり、取水ホース22内での通水が可能な状態となる。図4(C)の状態になれば、以後は取水ホース22内に水が送り込まれるので、その水の水流で空気を押し流し取水ホース22が水源地14の水面66より下に沈み、通常の給水状態となる。
なお、図5に示すように、取水ホース22内において空気が滞留している領域が、空気抜き孔64より下流側にあるとき、図4に示す場合とは異なり、そのまま放置していても空気溜まりから空気が抜けることはない。そこで、この実施例では、図1および図2に示す加圧注水部62に注水ポンプ(図示せず)を接続して、この注水ポンプから接続管路50を経て、取水ホース22内に水を注入する。取水ホース22の下流から注水加圧されることで、取水ホース22内に滞留した空気溜まりは空気抜き孔64のある取水ホース22の上流まで移動し、たとえば図4(A)で示した状態のようになり、空気抜き孔64からの排気が可能になる。それ以後、注水を止めても、図4(B)、図4(C)のように、最終的に通水可能状態とすることができる。ただし、このときの加圧注水の他に必要な水は、好ましくは、水源池14からではなく、圃場(図示せず)から取得する。
このように注水ポンプを用いて加圧注水部62によって取水ホース22の下流側から加圧注水できる給水システムであれば、空気抜き孔64は不要となる可能性がある。
つまり、上述のように加圧注水部で取水ホース22の中の空気溜まりを上流側に押し上げることができるなら、空気溜まりを取水ホース22の先端の受水部46の位置まで運ぶことができる。そうすると、空気は受水口から送水口を経て、取水部42の送水部48を経て取水口44から大気中へ放出される。そのため、取水ホース22内の空気量が減り、やがて図4(C)のように通水可能な状態、すなわち取水ホース22内の水面が水源地14の水面66と同じレベルになる。つまり、空気抜き孔64がなくても、加圧注水部だけで、取水ホース22内の滞留空気による取水ホース22の浮き上がり、取水不能を解消することができる。
なお、加圧注水部62による注水がなくても、つまり、空気抜き孔64を形成するだけでも、取水ホース22内の滞留空気による取水ホース22の浮き上がり、取水不能を解消することができることは、図4を参照して説明したとおりである。
図6は空気抜き部の他の例を示す概略図であり、取水ホース22に図3(A)と同様の空気抜き孔64を形成し、その空気抜き孔64を外側から覆うように、軟質樹脂からなるシート68をそれぞれの対応する空気抜き孔64の部分に貼り付ける。たとえば、シート68は適当な大きさの矩形であり、そのうちの1辺(図6で上の1辺)を取水ホース22に接着する。そうすると、シート68はその1辺で支持されて、空気抜き孔62を開閉する。そうすると、取水ホース22内の空気は空気抜き孔64から排気されるが、水源池14(図1および図2)の用水の逆流や、大気からの空気の逆流は、シート68が弁として働き、遮断できる。
図7は空気抜き部のさらに他の例を示す概略図であり、取水ホース22の管壁を貫通するたとえば十字の切り込みによって空気抜き孔64を形成する。このような切り込みによって空気抜き孔64を形成すると、図6の実施例のシート68と同様に、取水ホース22内の空気は空気抜き孔64から排気されるが、水源池14の用水や、大気からの空気の逆流は、切り込みによって形成した片が弁として働き、遮断できる。
図1および図2に示す実施例では、接続管路50に加圧注水部62を設けて、そこにたとえばポンプを接続して加圧注水部として機能させている。しかしながら、この加圧注水部62は、図8の実施例のように、変形することができる。すなわち。接続管路50に三方継手70を用いてホース72を接続し、そのホース72に仕切弁または逆止弁を介挿し、その管端を加圧注水口としてもよい。その場合、加圧注水口に注水ポンプ(図示せず)を接続して、そのホース72から加圧注水する。この図8の実施例では、適宜の長さのホース72を適宜の位置に引き廻すことができるので、加圧注水口を任意の場所に設置できる。しかも、加圧注水口を排水路(図示せず)まで配管延長すれば、加圧注水口として使用しない場合、排泥管路としても利用できる。ただし、排泥管路として利用する場合、ホース72に介挿する弁は仕切弁である。
上述の実施例では給水管路18は隧道内管路で構成したが、この発明は特許文献1のようなサイホン管路を用いた給水システムにも利用可能である。その場合、取水ホース22が、水源池14内の基端部において、サイホン管路と接続される。そして、取水ホースの所定位置には先に挙げた空気抜き孔64(図3、図6、図7)を形成する。したがって、取水ホースが滞留空気のために水源地14の水面から浮き上がってしまって、取水できなくなったとき、上で説明したように、その空気抜き孔からの空気抜きをすれば、取水ホースが通水可能になる。
なお、サイホン管路を用いた場合、サイホン注水口を加圧注水口として利用することができる。ただし、サイホン注入口とは、サイホン管路を最初にサイホン状態にするために水を注入するための部分のことである。
なお、上で挙げた具体的な材料や寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
10 …給水システム
12 …堤体
14 …水源池
16 …隧道
18 …給水管路
22 …取水ホース
24 …取水フロート
62 …加圧注水部
64 …空気抜き孔
66 …水面
68 …シート
72 …ホース(加圧注水部)

Claims (8)

  1. 堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで前記水源池とは反対側にある圃場に供給する給水システムであって、
    前記水源池に浮かべられ、取水部から前記水源池の水を取り込むフロート、
    前記フロートに先端が連結されて前記フロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および
    前記水源池内で前記取水ホースの基端に連結され、前記取水ホースが取水した水を前記圃場に導く給水管路を備え、
    前記取水ホースはその中の空気を抜くために形成された空気抜き部を含む、給水システム。
  2. 前記空気抜き部は、前記取水ホースの前記先端と前記基端との間の中間より前記先端側に形成される、請求項1記載の給水システム。
  3. 前記空気抜き部は、前記取水ホースに、前記取水ホースの管軸方向に間隔を隔てて形成された複数の空気抜き孔を含む、請求項1または2記載の給水システム。
  4. 前記取水ホースの外面に設けられて、前記複数の空気抜き孔の対応するものを外面から塞ぐ複数のシートをさらに備える、請求項3記載の給水システム。
  5. 前記給水管路は前記堤体下を通る給水管路および前記堤体の外で前記給水管路に連結される接続管部を含み、前記水は前記接続管部に設けられた仕切弁を経て前記圃場に給水され、さらに
    前記仕切弁より上流側の前記接続管部に形成された加圧注水部を備える、請求項1ないし4のいずれかに記載の給水システム。
  6. 堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで前記水源池とは反対側にある圃場に供給するために、前記水源池に浮かべられ、取水部から前記水源池の水を取り込むフロート、前記フロートに先端が連結されて前記フロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および前記水源池内で前記取水ホースの基端に連結され、前記取水ホースが取水した水を前記圃場に導く給水管路を備える給水システムにおいて、浮上した前記取水ホースを前記水源池の水面下に沈める方法であって、
    前記取水ホースに形成した空気抜き部から空気を放出することによって前記取水ホースを沈めるようにした、取水ホースを沈める方法。
  7. 前記給水管路の下流側から水を加圧注入することによって、前記取水ホース内の滞留空気を前記空気抜き部まで移動させる、請求項6記載の取水ホースを沈める方法。
  8. 堤体で堰き止められた水源池の水を、堤体を挟んで前記水源池とは反対側にある圃場に供給するために、前記水源池に浮かべられ、取水部から前記水源池の水を取り込むフロート、前記フロートに先端が連結されて前記フロート内に取り込まれた水が送り込まれる取水ホース、および前記水源池内で前記取水ホースの基端に連結され、前記取水ホースが取水した水を前記圃場に導く給水管路を備え、前記給水管路は前記堤体下を通る給水管路および前記堤体の外で前記給水管路に連結される接続管部を含み、前記水は前記接続管部に設けられた仕切弁を経て前記圃場に給水される給水システムにおいて、浮上した前記取水ホースを前記水源池の水面下に沈める方法であって、
    前記仕切弁より上流側の前記接続管部において加圧注水することによって前記取水ホースを沈めるようにした、取水ホースを沈める方法。
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