JP2017206893A - 建物の接続構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな床材を用いずに大きな変位に対応可能な建物の接続構造を提供する。【解決手段】建物の接続構造は、間を空けて対向配置された2つの棟12、22と、棟12、22の間に架け渡され、棟12、22に対してスライド及び回動可能に連結された複数の連結手段と、棟12、22の間に配置され、複数の連結手段に支持されると共に複数の連結手段に回動可能に連結された梁材(受梁40)と、棟12と梁材との間に、及び棟22と梁材との間に架け渡され、一端部が梁材の長手方向へスライド可能に支持され、他端部が棟12、22にスライド可能に支持された一対の床材と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、建物の接続構造に関する。
下記特許文献1のエキスパンションジョイントでは、2構造物(建物A、B)間に跨るように1枚の可動板(床材)を設置し、地震によって各構造物が変位した際には、可動板が各構造物に対してスライドすることにより、2構造物間の相対変位を吸収している。
特開2004−44205号公報
しかし、上記特許文献1では2構造物間に1枚の可動板(床材)しか架け渡されていないため、各構造物間に生じる大きな変位を吸収するためには、可動板を大きくする必要がある。可動板を大きくすると重量が大きくなるので、地震時に可動板がスライドし難くなるなど、動作が不安定になる。
本発明は上記事実を考慮して、大きな床材を用いずに建物の大きな変位を吸収できる建物の接続構造を提供することを目的とする。
請求項1に記載の建物の接続構造は、間を空けて対向配置された2つの棟と、前記棟の間に架け渡され、前記棟に対してスライド及び回動可能に連結された複数の連結手段と、前記棟の間に配置され、複数の前記連結手段に支持されると共に前記複数の連結手段に回動可能に連結された梁材と、一方の前記棟と前記梁材との間に、及び他方の前記棟と前記梁材との間に架け渡され、一端部が前記梁材の長手方向へスライド可能に支持され、他端部が前記棟にスライド可能に支持された一対の床材と、を有する。
請求項1に記載の建物の接続構造によると、2つの棟は、間を空けて対向配置されているので、地震時には独立して変位する。2つの棟の間には連結手段が架け渡されているが、連結手段は棟に対してスライド及び回動可能に連結されているので、棟は連結手段に拘束されず損傷しない。
また、棟の間には梁材が配置され、この梁材は複数の連結手段によって支持され、連結手段に回動可能に連結されている。このため、地震時に各棟が変位しても、梁材は各棟の間に保持される。
さらに、この梁材と一方の棟及びこの梁材と他方の棟との間にはそれぞれ床材が架け渡されている。この床材は、各棟に対してスライド可能に支持されているので、2つの棟が対向面を接離させる方向へ変位した場合、各棟が床材に対してスライドし、棟の変位を吸収することができる。すなわち、2枚の床材によって2つの棟の相対変位を吸収することができる。このため、1枚の床材を2つの棟に架け渡す場合と比較して、大きな床材を用いずに建物の大きな変位を吸収できる。
また、この床材は梁材の長手方向へスライド可能に支持されているので、2つの棟が、対向面がずれる方向(対向面に沿った方向)へ変位した場合、それぞれの床材が梁材の長手方向へ互いに異なる方向へずれる。すなわち、2枚の床材によって2つの棟の相対変位を吸収することができる。このため、1枚の床材を2つの棟に架け渡し2つの棟の相対変位を吸収する場合と比較して、床材1枚当たりのずれ量すなわち変位吸収量が約半分となる。したがって床材は、2つの棟の対向面がずれる方向の大きな変位を吸収することができる。
請求項2に記載の建物の接続構造は、前記連結手段は、前記棟のスラブに延設され前記スラブの対向面と平行に配置された長溝部に両端部に設けられた可動軸がスライド及び回動可能に連結された複数の第1連結梁と、前記スラブに固定された固定軸に対して長手方向に形成された長溝部がスライド及び回動可能に連結された複数の第2連結梁と、を有する。
請求項2に記載の建物の接続構造によると、各棟のスラブに延設された長溝部には、第1連結梁の端部の可動軸がスライド及び回動可能に連結されている。このため、2棟が対向面を接離させる方向へ変位した場合、第1連結梁が2棟の変位に追随してスライドおよび回動する。この第1連結梁は複数設けられており、これらの第1連結梁に1本の梁材が回動可能に連結されている。このため、第1連結梁がスライドおよび回動しても、梁材は各棟に対しては移動せず、2棟の間に保持される。
また、各棟のスラブに固定された固定軸には、第2連結梁の長溝部がスライド及び回動可能に連結されている。このため、2棟がそれぞれ対向面がずれる方向へ変位した場合、第2連結梁が、2棟の固定軸を結ぶ直線に沿うようにスライド及び回動する。このとき第2連結梁に梁材が回動可能に連結された連結位置は、2棟の固定軸の間に配置されるので、梁材は変位した2棟の間に保持される。
したがって、梁材は常に2棟の間の所定の位置に配置される。このため、床材を確実に支持することができる。
請求項3に記載の建物の接続構造は、前記梁材の端部には間柱が立設され、前記間柱には平常時に一方の前記棟と前記間柱との間を覆う第1壁パネルが取付けられ、他方の前記棟には平常時に他方の前記棟と前記間柱との間を覆う第2壁パネルが取付けられている。
請求項3に記載の建物の接続構造によると、2棟の間の壁パネルが、第1壁パネルと第2壁パネルによって構成されている。このため、2棟の間の壁パネルを1枚で構成する場合と比較して、パネル1枚あたりの重量が小さく支持機構を簡易にすることができる。また、パネル1枚あたりの面積が小さく風圧による影響を受けにくい。
請求項4に記載の建物の接続構造は、一方の前記床材の端部と他方の前記床材の端部とを梁材の長手方向にスライド可能に連結するジョイント部と、前記梁材の長手方向に沿って延設された板材と、前記ジョイント部に形成され前記板材と係合する係合部と、を備えた床材落下防止機構を有する。
請求項4に記載の建物の接続構造によると、梁材の板材と床材のジョイント部に形成された係合部が係合する。これにより、一方及び他方の床材は梁材の長手方向に沿ってスライドする。また、これらの床材同士の間に隙間が生じることを抑制でき、これらの床材が梁材から脱落することを抑制できる。
本発明に係る建物の接続構造によると、大きな床材を用いずに建物の大きな変位を吸収できる。
(A)は本発明の実施形態に係る建物の接続構造における第2連結梁を示した立断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。 (A)は本発明の実施形態に係る建物の接続構造における第1連結梁を示した立断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。 本発明の実施形態に係る建物の接続構造における受梁と床材との接合構造を示した部分断面図である。 本発明の実施形態に係る建物の接続構造が適用される2棟の平常時における状態を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る建物の接続構造が適用される2棟が互いに離れる方向に変位した場合における状態を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る建物の接続構造が適用される2棟が互いに近づく方向に変位した場合における状態を示した平面図である。 本発明の実施形態に係る建物の接続構造が適用される2棟が互いにずれる方向に変位した場合における状態を示した平面図である。 (A)は本発明の実施形態に係る建物の接続構造が適用される2棟が何れも免震構造とされた例を示す立面図であり、(B)は免震構造とされた2棟が地震により互いに変位した状態を示す立面図であり、(C)は2棟のうち一方が免震構造とされ他方が非免震構造とされた例を示す立面図であり、(D)は免震構造とされた1棟が地震により変位した状態を示す立面図である。
(棟)
図1(A)に示すように、本実施形態の建物の接続構造は、棟12、22が互いに間を開けて対向配置された建物10に適用される。棟12の外周部には、棟12と棟22との対向面に平行な大梁14が延設されており、大梁14の上部にはスペーサー16を介してスラブ18が載置されている。同様に棟22の外周部には、棟12と棟22との対向面に平行な大梁24が延設されており、大梁24の上部には、スペーサー26を介してスラブ28が載置されている。
スペーサー16は上プレート16Aと、下プレート16Bと、上プレート16A及び下プレート16Bを連結する円筒状の固定軸16Cとを備えている。同様にスペーサー26は上プレート26Aと、下プレート26Bと、上プレート26A及び下プレート26Bを連結する円筒状の固定軸26Cとを備えている。
(連結梁)
図4に示すように、棟12の大梁14と棟22の大梁24には、第1連結梁30及び第2連結梁32がそれぞれ複数架け渡されている。なお、図4において大梁14、24は、その他の構成をわかりやすくするため、適宜省略して示されている。
図2(A)、(B)に示すように、第1連結梁30はウェブが対向するように間隔をあけて配置されたチャンネル材30A、30Bと、チャンネル材30A、30Bの端部が接合された2枚のエンドプレート30Cと、エンドプレート30Cよりも材軸方向内側の部分でチャンネル材30A、30Bに接合された可動軸30Dと、を含んで構成されている。なお、チャンネル材30A、30Bは、アングル材や鋼管などとしてもよい。また、エンドプレート30Cは必ずしも必要ではなく、チャンネル材30A、30Bの間に可動軸30Dが固定された形状を保持することができれば、適宜別の部材(例えばボルト及びナット、各種形鋼や折板等)でチャンネル材30A、30Bを固定したり、あるいは省略することができる。
図2(A)に示すように、可動軸30Dは第1連結梁30の上下方向に突出した円柱状の部材であり、一方の可動軸30Dは下端部が大梁14から張り出したブラケット14Bに溶接されたレール14Aに係合し、可動軸30Dの上端部がスラブ18の下面に埋設されたレール18Aに係合している。レール14Aとレール18Aは平面位置が略一致したチャンネル材であり、大梁14の延設方向に沿って配置されている。
同様に他方の可動軸30Dは下端部が大梁24から持ち出したブラケットに溶接されたレール24Aに係合し、上端部がスラブ28の下面に埋設されたレール28Aに係合している。レール24Aとレール28Aは平面位置が略一致したチャンネル材であり、大梁24の延設方向に沿って配置されている。
これにより、第1連結梁30の端部に形成された可動軸30Dは、棟12、22の対向面と平行にスライド及び回動可能とされている。なお、レール18A、28Aは本発明における長溝部の一例であり、図4に示すように、可動軸30Dのスライド範囲は棟12、22の想定される変位を吸収できる大きさとされている。
なお、図4に示すように、第1連結梁30は後述する受梁40の長手方向に沿って複数設けられ、隣接する第1連結梁30同士は受梁40の長手方向に対して傾斜する角度が異なるように配置されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば柱などの躯体などとの干渉を考慮して、隣接する第1連結梁30同士が受梁40の長手方向に対して傾斜する角度が等しくなる(第1連結梁30同士が平行になる)ように配置してもよい。
図1(A)、(B)に示すように、第2連結梁32はウェブが対向するように間隔をあけて配置されたチャンネル材32A、32Bと、チャンネル材32A、32Bの端部が接合された2枚のエンドプレート32Cによって構成されている。
図1(B)に示すように、第2連結梁32は、大梁14に載置されたスペーサー16の固定軸16Cを、チャンネル材32Aのウェブとチャンネル材32Bのウェブの間に形成された長溝部で挟み込むようにして配置されている。固定軸16Cと第2連結梁32とは互いに接合されていない。同様に第2連結梁32は、大梁24に載置されたスペーサー26の固定軸26Cを、チャンネル材32Aのウェブとチャンネル材32Bのウェブの間に形成された長溝部で挟み込むようにして配置されている。固定軸26Cと第2連結梁32とは互いに接合されていない。
これにより、第2連結梁32は固定軸16Cと固定軸26Cとを通る直線上をスライド可能とされている。また、第2連結梁32は固定軸16Cと固定軸26Cとを軸として回動可能とされている。
このため、例えば棟12、22が互いに離れる方向に変位した場合、棟12の固定軸16C、棟22の固定軸26Cは、第2連結梁32に沿ってスライドする。また、棟12、22が互いにずれる方向に変位した場合、固定軸16C、26Cの移動に伴って、第2連結梁32は回動する。
なお、図4に示すように、第2連結梁32は受梁40の長手方向に沿って複数設けられ、平常時においては互いに平行に配置されている。つまり、隣接するスペーサー16同士の間隔と隣接するスペーサー26同士の間隔とが等しく形成され、スペーサー16の固定軸16Cとスペーサー26の固定軸26Cとを繋ぐ複数の第2連結梁32がそれぞれ、棟12に対する角度が等しく、かつ棟22に対する角度が等しく配置されている。なお、図4において第2連結梁32は2本配置されているが、3本以上配置されていてもよい。また、エンドプレート32Cは必ずしも必要ではなく、チャンネル材32A、32Bの間で固定軸16Cと固定軸26Cとがスライド及び回動できれば、適宜別の部材(例えばボルト及びナット、各種形鋼や折板等)でチャンネル材32A、32Bを固定したり、あるいは省略することができる。
(受梁)
図4に示すように、棟12と棟22との間には、平常時において棟12と棟22との対向面に対して平行にH形鋼の受梁40が配置されている。受梁40は本発明における梁材の一例であり、棟12と棟22との空間の中央部に配置されている。
図1(A)、図2(A)に示すように、受梁40は、支持脚42を介して第1連結梁30及び第2連結梁32に載置されている。支持脚42の下端部からは回転軸44が下向きに突出しており、第1連結梁30のチャンネル材30A、30Bの間及び第2連結梁32のチャンネル材32A、30Bの間を貫通している。
なお、本実施形態において受梁40は第1連結梁30及び第2連結梁32の双方に載置されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば受梁40は第2連結梁32に載置して、第1連結梁30は受梁40から吊下げて支持する構成としてもよい。あるいは例えば受梁40は第1連結梁30に載置して、第2連結梁32を受梁40から吊下げて支持する構成とすることもできる。すなわち、受梁40は第1連結梁30及び第2連結梁32の少なくとも一方に支持させればよい。
図2(A)に示すように、第1連結梁30において回転軸44が貫通する位置は、第1連結梁30の材軸方向の中心と略一致しており、チャンネル材30A、30B間には回転軸44の位置がずれないように、振れ止め30Eが接合されている。これにより、第1連結梁30は回転軸44を中心に回動可能とされている。
同様に図1(A)に示すように、第2連結梁32において回転軸44が貫通する位置は、第2連結梁32の材軸方向の中心と略一致しており、チャンネル材32A、32B間には回転軸44の位置がずれないように、振れ止め32Eが接合されている。これにより、第2連結梁32は回転軸44を中心に回動可能とされている。なお、第2連結梁32の振れ止め32Eは必ずしも必要ではなく、回転軸44は第2連結梁32の材軸方向の中心とずれた位置に配置してもよい。
(床材)
図1(A)に示すように、棟12と受梁40との間には床材52が架け渡され、棟22と受梁40との間には床材54が架け渡されている。
床材52の端部52Aは、棟12のスラブ18の外周部に形成された凹部18Bに載せ掛けられており、上方から床プレート19によって被覆されている。同様に、床材54の端部54Aは、棟22のスラブ28の外周部に形成された凹部28Bに載せ掛けられており、上方から床プレート29によって被覆されている。床プレート19、29はそれぞれスラブ18、28に固定されており、地震時には棟12、22に追随して動く。このため床プレート19、29は棟12、22に対しては動かないので、床プレート19、29の上部には床仕上げ材が適宜敷設することができる。
なお、平常時において床材52がスラブ18に載せ掛けられている幅L1は、固定軸16Cの中心から第2連結梁32のエンドプレート32Cまでの距離L2よりも大きく形成されている。これにより、棟12、22が互いに離れる方向に変位した際に、床材52がスラブ18から脱落することが抑制されている。床材54とスラブ28についても同様である。
(床材落下防止機構)
図3に示すように、床材52の端部52B、床材54の端部54Bには、床材52と床材54とを接合するジョイント部56が形成されている。
ジョイント部56は、床材52の端部52Bに接合された溝形鋼56Aと、床材54の端部54Bに接合された溝形鋼56Bとが互いに係合することにより形成されている。これにより、床材52と床材54とは、互いに離れる方向(図3に矢印Hで示す方向)へ移動することが規制されている。
また、溝形鋼56Aと溝形鋼56Bとの間の隙間には係合溝56Cが形成され、係合溝56Cには、受梁40の上フランジから突出し、受梁40の長手方向に沿って延設された板材46が挿入されている。これにより床材52と床材54とは、受梁40の長手方向に沿ってスライド可能とされている。また、床材52と床材54とのジョイント部56が、受梁40の上部に保持されている。
(壁パネル)
図4に示すように、受梁40の端部には間柱60が立設されている。間柱60の上端部は受梁40と平行に延設された図示しない梁材によって繋がれており、間柱60は棟12及び棟22とは構造的に切り離されている。
間柱60と棟12との間は、壁パネル62によって覆われている。壁パネル62の一端は、ヒンジ62Aによって間柱60に固定されており、他端は非固定とされている。このため、壁パネル62は図4に破線で示すようにヒンジ62Aを中心として回動可能とされている。
また、間柱60と棟22との間は、壁パネル64によって覆われている。壁パネル64の一端は、ヒンジ64Aによって棟22の外壁に固定されており、他端は非固定とされている。このため、壁パネル64は図4に破線で示すようにヒンジ64Aを中心として回動可能とされている。
また、間柱60と棟12との間、間柱60と棟22との間にはそれぞれ、壁パネル62、64の内側に防水シート66が設けられており、屋外から棟12、22が連結された建物10の内部へ雨水が浸入することを抑制している。防水シート66は平常時においてたるみを持たせて設置されており、棟12、22が互いに離れる方向に変位した際や、ずれる方向に変位した場合にも破断しにくい。
なお、本実施形態においては、壁パネル62は間柱60に固定され壁パネル64は棟22の外壁に固定されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば壁パネル62を棟12の外壁に固定したり、壁パネル64を間柱60に固定してもよい。すなわち、棟12と棟22との間の隙間を覆う壁パネルが2分割されていればよい。このようにすることで、壁パネル1枚当たりの重量が小さくなるので、大きなスパンの隙間を壁パネルで覆うことができる。
また、本実施形態において間柱60は受梁40の端部に立設されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば受梁40の端部に代えて、又は受梁40の端部に加えて、端部以外の場所に間柱を設置してもよい。この場合、該間柱と、棟12、22の内壁との間に内壁用の壁パネルを設置することで、棟12、22の内壁を、地震時の変位に追随させることができる。
(下床材)
図1(A)に示すように、床材52、54の下方には、下床材70が設けられている。下床材70の端部70Aは受梁40に接合され、端部70Bはスラブ18、28に形成されたスリット18C、28Cにスライド可能に挿入されている。下床材70は受梁40の端部にのみ接合されており、図4に示すように、端部70Bが端部70Aよりも短い台形状とされている。なお、図4〜図7において下床材70は床材52の下方のみに描かれているが、図1(A)に示すように、床材54の下方にも設けられている。
(作用・効果)
本実施形態の建物の接続構造によると、図4に矢印で示すように、第1連結梁30は回転軸44を中心に回動可能とされている(矢印M1)。さらに、第1連結梁30の端部に形成された可動軸30Dは、レール18A、28Aに沿って、棟12、22の対向面と平行にスライド可能とされている(矢印N1)。
また、第2連結梁32は回転軸44を中心に回動可能とされている(矢印M2)。さらに、固定軸16C、26Cは、第2連結梁32に沿ってスライド可能とされている(矢印N2)。
なお、図4における矢印M1、M2の方向は第1連結梁30、32の回動方向の一例であり、それぞれ逆向きにも回動可能である。同様に矢印N1、N2の方向は可動軸30D、固定軸16C、26Cのスライド方向の一例であり、それぞれ任意の方向にスライド可能である。第1連結梁30、32は、このような回動機構、スライド機構を備えることにより、棟12、22が互いに離れる方向、近づく方向、ずれる方向の何れの方向に相対変位した場合においても、当該変位に追随して変形することができる。
図4には、地震力が作用していない平常時の状態が示されているが、建物10に地震による水平力が作用して、棟12、22がそれぞれ互いに離れる方向に相対変位した場合、棟12、22の位置関係は図5に示す状態になる。
つまり、図4に示す状態から、第1連結梁30の両端部の可動軸30Dがレール18Aに沿ってスライドし、第1連結梁30が受梁40の回転軸44を中心に回動し、また、棟12、22の固定軸16C、26Cが第2連結梁32に沿ってスライドして、図5に示す状態になる。このとき、回転軸44は第1連結梁30の材軸方向の中心に配置されているため、受梁40は棟12と棟22との隙間の中心に保持される。
これにより、受梁40と棟12に架け渡された床材52と、受梁40と棟22に架け渡された床材54とがそれぞれ、棟12と棟22に対してスライドし、棟12と棟22の変位を吸収する。
したがって、本実施形態の建物の接続構造は、受梁40を設けず1枚の床材で2棟間の相対変位を吸収する従来のエキスパンションジョイントと比較して、床材のサイズを小さくすることができる。
次に、図4に示す状態から、建物10に地震による水平力が作用して、棟12、22がそれぞれ互いに近づく方向に相対変位した場合、棟12、22の位置関係は図6に示す状態になる。
つまり、図4に示す状態から、第1連結梁30の両端部の可動軸30Dがレール18A、28Aに沿ってスライドし、第1連結梁30が受梁40の回転軸44を中心に回動し、また、棟12、22の固定軸16C、26Cが第2連結梁32に沿ってスライドして、図6に示す状態になる。このとき、回転軸44は、第1連結梁30の材軸方向の中心に配置されているため、受梁40は棟12と棟22との隙間の中心に保持される。
これにより、受梁40と棟12に架け渡された床材52と、受梁40と棟22に架け渡された床材54とがそれぞれ、棟12と棟22に対してスライドし、棟12と棟22の変位を吸収する。
なお、図8(A)に示すように、本実施形態において棟12と棟22とは、互いに免震支承で支持された免震構造とされている。このため図8(C)に示すような一方の棟のみが免震構造とされている場合や、何れの棟も免震構造とされてない場合と比較して、地震時における棟12と棟22との相対的な変位が大きい。
すなわち、図8(B)に示す棟12と棟22とが互いに近づく方向に変位したときの変位量は、図8(D)に示す免震構造の棟と非免震構造の棟とが互いに近づく方向に変位したときの変位量よりも大きい。
本実施形態の建物の接続構造では、受梁40(図4等参照)を設けることにより、棟12と棟22とを繋ぐ床材1枚当たりが吸収する変位量を小さくしている。このため、受梁40を設けず1枚の床材で2棟間の相対変位を吸収する従来のエキスパンションジョイントと比較して、床材のサイズを小さくすることができる。
なお、本実施形態の建物の免震構造が適用される建物10の棟12、22は何れも免震構造とされているが、何れか一方を非免震構造としてもよいし、双方を非免震構造としてもよい。また、本実施形態の建物の免震構造は、建物10の下階部分に適用してもよいし、上階部分に適用してもよい。あるいは下階部分から上階部分の各階に適用してもよい。
次に、図4に示す状態から、建物10に地震による水平力が作用して、棟12、22がそれぞれ互いにずれる方向(受梁40の長手方向)に相対変位した場合、棟12、22の位置関係は図7に示す状態になる。
つまり、図4に示す状態から、第1連結梁30の両端部の可動軸30Dがレール18A、28Aに沿ってスライドし、第2連結梁32が受梁40の回転軸44を中心に回動し、棟12、22の固定軸16C、26Cが第2連結梁32に沿ってスライドして、図7に示す状態になる。このとき、回転軸44は、第1連結梁30の材軸方向の中心に配置されているため、受梁40は棟12と棟22との空間の中央部に保持される。
また、受梁40が棟12と棟22との空間の中央部に保持されるため、受梁40の回転軸44から棟12の固定軸16Cまでの第2連結梁32に沿った距離と、回転軸44から棟22の固定軸26Cまでの第2連結梁32に沿った距離とが等しく保持される。したがって、回転軸44から固定軸16Cまでの受梁40の長手方向に沿った距離と、回転軸44から固定軸26Cまでの受梁40の長手方向に沿った距離とが等しく保持される。このため、棟12と受梁40との相対位置のずれ量と、棟22と受梁40との相対位置のずれ量が等しく保持される。
これにより、受梁40と棟12に架け渡された床材52と、受梁40と棟22に架け渡された床材54とがそれぞれ、受梁40の上で受梁40の長手方向へスライドし、棟12と棟22の変位を吸収する。このとき吸収する変位量(棟12と棟22とが互いにずれる方向の変位量)δ3は、棟12と棟22との相対変位量(δ3+δ3)の半分となる。
したがって、本実施形態の建物の接続構造は、受梁40を設けず1枚の床材で2棟間の相対変位を吸収する必要がある従来のエキスパンションジョイントと比較して、大きな変位を吸収することができる。
なお、本実施形態においては、第1連結梁30の材軸方向の中心に受梁40の回転軸44が配置され、受梁40が棟12と棟22との隙間の中心に保持されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば第1連結梁30の材軸方向の中心以外の位置に受梁40の回転軸44を配置してもよい。この場合、一方の可動軸30Dから回転軸44までの距離と他方の可動軸30Dから回転軸44までの距離との比に応じて、受梁40が保持される位置が決まる。回転軸44をこのように配置することで、隣接する2棟の変位が異なる場合に、これらの変位を効率よく吸収することができる。
また、受梁40の端部には、下床材70が接合されている。このため、棟12と棟22とが互いにずれる方向に変位することにより、例えば床材52が受梁40の長手方向に沿って受梁40の端部から離れる方向へスライドした場合においても、床材52の幅方向(受梁40の長手方向)の端部に発生する隙間の下部に下床材70を位置させることができる。同様に、例えば床材54が受梁40の長手方向に沿って受梁40の端部から離れる方向へスライドした場合においても、床材54の幅方向の端部に発生する隙間の下部に下床材70を位置させることができる。
さらに、下床材70の端部70Bが、受梁40に接合される端部70Aよりも短く形成されているので、棟12、22の端部に配置された上下階を貫通する柱との干渉を避けることができる。
なお、本実施形態においては、受梁40の端部に下床材70が接合されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば下床材70に代えて床材52、54の端部に手摺などを設けてもよい。
12、22 棟
16C、26C 固定軸
18、28 スラブ
18A、28A レール(長溝部)
30 第1連結梁
30D 可動軸
32 第2連結梁
40 受梁(梁材)
46 板材
52、54 床材
56 ジョイント部
56C 係合溝
60 間柱
62 壁パネル(第1壁パネル)
64 壁パネル(第2壁パネル)

Claims (4)

  1. 間を空けて対向配置された2つの棟と、
    前記棟の間に架け渡され、前記棟に対してスライド及び回動可能に連結された複数の連結手段と、
    前記棟の間に配置され、複数の前記連結手段に支持されると共に前記複数の連結手段に回動可能に連結された梁材と、
    一方の前記棟と前記梁材との間に、及び他方の前記棟と前記梁材との間に架け渡され、一端部が前記梁材の長手方向へスライド可能に支持され、他端部が前記棟にスライド可能に支持された一対の床材と、
    を有する建物の接続構造。
  2. 前記連結手段は、前記棟のスラブに延設され前記スラブの対向面と平行に配置された長溝部に両端部に設けられた可動軸がスライド及び回動可能に連結された複数の第1連結梁と、前記スラブに固定された固定軸に対して長手方向に形成された長溝部がスライド及び回動可能に連結された複数の第2連結梁と、
    を有する請求項1に記載の建物の接続構造。
  3. 前記梁材の端部には間柱が立設され、前記間柱には平常時に一方の前記棟と前記間柱との間を覆う第1壁パネルが取付けられ、他方の前記棟には平常時に他方の前記棟と前記間柱との間を覆う第2壁パネルが取付けられている、請求項1又は請求項2に記載の建物の接続構造。
  4. 一方の前記床材の端部と他方の前記床材の端部とを梁材の長手方向にスライド可能に連結するジョイント部と、
    前記梁材の長手方向に沿って延設された板材と、
    前記ジョイント部に形成され前記板材と係合する係合溝と、
    を備えた床材落下防止機構を有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の建物の接続構造。
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