JP2017209652A - ロール塗工装置、及び塗工膜が形成されたウェブの製造方法 - Google Patents

ロール塗工装置、及び塗工膜が形成されたウェブの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】連続して搬送されるウェブに塗工ロールを用いて塗工を施すにあたって、製造コストや保守コストを抑制し、塗工膜にセルのパターンが転写されず、幅方向における塗工膜の膜厚のバラツキを抑制すること。
【解決手段】本発明のロール塗工装置は、塗工液を供給する塗工液供給手段と、当該手段から供給された塗工液を表面に付着させて回転し、当該ウェブの一面の全幅に前記塗工液を転移させる塗工ロールと、前記塗工ロールの表面に向けて配置されたブレードと、前記塗工ロールが前記ウェブの一面に接触する位置で、前記ウェブの他面の全幅を押圧する押圧手段と、を備え、前記塗工ロールは、ロール表面に液溜め用凹部を設けておらず、前記ブレードは、前記塗工ロールの表面には接触せず、前記塗工ロールの表面に付着した前記塗工液に、前記ウェブの幅以上の幅にわたって接触する。
【選択図】図1

Description

本発明は、連続して搬送されるウェブに塗工ロールを用いて塗工を施すロール塗工装置、及び塗工膜が形成されたウェブの製造方法に関する。
連続して搬送されるウェブに塗工膜を形成する塗工装置として、塗工液を前記ウェブに連続的に転移させるための塗工ロールを用いるロール塗工装置が知られており、様々な分野に用いられている。このようなロール塗工装置の方式としては、グラビア塗工方式、及び、キス塗工方式が知られている。
グラビア塗工方式のロール塗工装置(以下、「グラビアコーター」という。)では、図6で示すように、ウェブ1は、導入側ガイドロールF1、及び導出側ガイドレールF2によりガイドされつつ連続的に搬送され、回転する塗工ロールAであるグラビアロールGを、塗工液槽H内の塗工液2に浸漬した後、連続して搬送されるウェブ1に接触させる。グラビアロールG表面には、微細な液溜め用凹部(以下、「セル」ともいう)gが多数形成されており、グラビアロールGを回転させつつ塗工液2に浸漬して、個々のセルに塗工液を充填する。さらに、浸漬の直後に、ドクターブレードDをグラビアロールGの表面に接触させ、余分な塗工液をロール表面から擦り落として、一定量の塗工液がセル内に留まるようにする。さらに、グラビアロールGがウェブに接触する地点で、ウェブを裏面側から押圧ローラEによって高い圧力で押圧する。これにより、毛細管現象及び押圧力によって、セル内の塗工液がウェブ表面に転移され、ウェブ上に精度よく塗工膜を形成することができる(例えば、特許文献1参照)。
キス塗工方式等のロール塗工装置(以下、「キスコーター」という。)は、図7で示すように、ウェブ1は、導入側ガイドロールF1、及び導出側ガイドレールF2によりガイドされつつ連続的に搬送され、回転する塗工ロールAである、表面に凹凸が形成されていない塗工ロール3を、塗工液槽H内の塗工液2に浸漬した後、連続して搬送されるウェブ1に接触させることで、塗工液をウェブ表面に転移させる。塗工ロール3の表面は、グラビアロールGの表面が有する微細な液溜め用凹部を有しておらず、滑らかな曲面である。キスコーターでは、ロール表面に液溜め用凹部を設けていないことから、グラビアコーターで使用する押圧ローラは使用されていない。
特開平5−317771号公報
図6に示すグラビアコーターでは、グラビアロールG表面のセルg及びドクターブレードDにより正確に計量された塗工液をウェブに転移させることができるため、精度よく、膜厚が均一な塗工膜を形成することができる。このため、高品質な塗工膜が要求される製品に広く適用することができる。しかしながら、グラビアロールGの表面に、多数の微細なセルをレーザ彫刻、化学的エッチング、機械加工等により形成する必要があるため、設備コストが増大する傾向がある。また、運転過程においてセルの詰まりが発生する恐れがあるため、品質を安定させるためには、頻繁なメンテナンスが必要となる。さらに、ドクターブレードDをグラビアロールGの表面に接触させつつロールを回転させるため、ドクターブレード又はロール表面に摩耗や欠けが発生する恐れがあり、この点でも頻繁なメンテナンスが必要である。さらにまた、セル内の塗工液をウェブ表面に転移させるため、ウェブ上の塗工膜にセルのパターンが転写される恐れもある。
一方、図7に示すキスコーターでは、ロール表面にセルを設けておらず、ドクターブレードも使用しないことから、設備コスト及び保守コストを抑制することができ、セルのパターンが転写される問題も発生しない。その反面、グラビアコーターのようにウェブに転移させる塗工液を正確に計量する手段を有していないため、幅方向(搬送方向に対し垂直な方向)において塗工膜の膜厚にバラツキが生じる問題がある。この問題は、特に、生産性向上を目的に高速度でウェブの搬送及び塗工を行う際に顕著になる。
本発明は、上記現状に鑑み、連続して搬送されるウェブに塗工ロールを用いて塗工を施すにあたって、製造コストや保守コストを抑制し、塗工膜にセルのパターンが転写されないという利点を有しながら、幅方向における塗工膜の膜厚のバラツキを抑制することを目的とする。
本発明は、連続して搬送されるウェブに塗工を施すロール塗工装置であって、
塗工液を供給する塗工液供給手段と、
前記塗工液供給手段から供給された塗工液を表面に付着させて回転し、前記搬送されるウェブの一面の全幅に接触することで、当該ウェブの一面の全幅に前記塗工液を転移させる塗工ロールと、
前記ウェブに転移する前の前記塗工液が付着している前記塗工ロールの表面に向けて配置されたブレードと、
前記塗工ロールが前記ウェブの一面に接触する位置で、前記ウェブの他面の全幅を、前記塗工ロールに向かって押圧する押圧手段と、を備え、
前記塗工ロールは、ロール表面に液溜め用凹部を設けていないものであり、
前記ブレードは、前記塗工ロールの表面には接触せず、前記塗工ロールの表面に付着した前記塗工液に、前記ウェブの幅以上の幅にわたって接触するように配置されていることを特徴とする、
ロール塗工装置に関する。
好ましくは、前記ブレードと前記塗工ロールの表面とのあいだの隙間の幅は、5〜100μmである。
また本発明は、前記ロール塗工装置を用いて、連続して搬送されるウェブに塗工を施すことを特徴とする、塗工膜が形成されたウェブの製造方法にも関する。
好ましくは、前記押圧手段により、線圧200N/m未満で前記ウェブの他面を押圧する。
好ましくは、前記ウェブは、20m/min以上の搬送速度で搬送される。
本発明に係るロール塗工装置、及び塗工膜が形成されたウェブの製造方法によれば、以下の顕著な効果を有する。
(1)表面に微細なセルを多数設けたグラビアロールも、ロール表面に接触するドクターブレードも使用しないため、製造コスト及び保守コストを抑制することができ、塗工膜にセルのパターンが転写される恐れがなく平坦な塗工膜を形成できる。さらには、頻繁なメンテナンスが不要となるため、連続生産性が高く、連続生産時における品質安定性が高い。
(2)塗工ロールの表面には接触していないものの、塗工ロール表面の塗工液膜に全幅にわたって接触するように配置した近接ブレードを、塗工ロールがウェブに接触する前に設けているため、ウェブへの塗工液の転移前に、塗工ロール上の塗工液膜の厚みを幅方向に均すことができ、その結果、幅方向における塗工膜の膜厚のバラツキを抑制できる。特に高速度でウェブの搬送及び塗工を行う場合においても、幅方向における塗工膜の膜厚のバラツキを抑制できる。
(3)塗工ロールがウェブに接触する位置で、ウェブの裏面を押圧手段によって押圧しながら、塗工液をウェブに転移させるため、連続して搬送されるウェブに対して塗工液膜を幅方向に均一に、所望の厚みで転移させることができる。
本発明の一実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図 本発明の一実施形態に係るロール塗工装置における塗工ロール及び押圧ロールの具体的構成の一例を示す縦断面図 本発明の別の実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図 本発明のさらに別の実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図 各実施例及び比較例で測定した、幅方向における塗工膜の膜厚分布を示す図 従来のグラビアコーターの構成を示す概念図 従来のキスコーターの構成を示す概念図
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のロール塗工装置は、帯状のウェブを連続して搬送しながら、ウェブ表面に連続的に塗工を施すための装置であって、少なくとも、塗工液供給手段と、塗工ロールと、ブレードと、押圧手段と、ウェブの搬送装置とを備えている。さらに、ウェブ表面の塗工液を加熱する加熱手段や、ウェブを巻き取る巻取り手段を有していてもよい。
(ウェブ)
本発明におけるウェブは、厚みが均一で可撓性のあるフィルム又はシート状の基材を長尺帯状に形成したものである。前記基材を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、樹脂、紙、布、金属等が挙げられ、用途に応じて適宜選択することができる。樹脂の具体例としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリカーボネート系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、環状またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル系ポリマー;ナイロン(脂肪族ポリアミド)や芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;ポリイミド系ポリマー;これらポリマーのブレンド物等が挙げられる。
(塗工液供給手段)
本発明における塗工液供給手段とは、図1〜3で示す場合には所要量の塗工液を貯留する塗工液槽2であるか、又は、図4で示す場合には塗工液槽2及び汲み上げロール10である。塗工ロールの下部又は汲み上げロール10の下部を塗工液槽内の塗工液に浸漬できるよう、塗工液槽は、その上部に、塗工ロールの下部又は汲み上げロール10の下部が進入することができる開放部を有している。
本発明における塗工液は、ウェブへの塗工後に乾燥、硬化等を行なって塗工膜を形成しうる樹脂液である。該塗工液に含まれる樹脂材料については特に限定されず、例えば、ポリウレタン、ポリシクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミド−イミド又はポリエステル−イミド等の各種ポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、いずれか一種類を単独で使用しても良いし、例えば、ポリエーテルケトンとポリアミドとの混合物のように、異なる官能基を持つ2種類以上の混合物として使用してもよい。さらには、カーボンブラック、金属、セラミクス等のフィラーが混合されていても良い。乾燥、硬化の条件は特に限定されず、一般的な条件であってよい。また、これらの材料を硬化させる際には、乾燥固化、熱硬化、紫外線硬化など、材料に応じた硬化工程を選択することができる。
前記樹脂液は、前記樹脂材料を溶解させる溶剤、又は、前記樹脂材料を分散させる分散媒を含有することができる。そのような溶媒又は分散媒としては特に限定されず、使用する樹脂材料及びウェブに応じ適宜選択することができる。具体的には、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;フェノール、p−クロロフェノール等のフェノール類;メタノール、エタノール等のアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、酢酸エチル、t−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、アセトニトリル、ブチロニトリル、メチルイソブチルケトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサン、シクロペンタノン、二硫化炭素、水等を用いることができる。これら溶剤又は分散媒は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
(塗工ロール)
本発明における塗工ロールは、前記塗工液供給手段から塗工液を供給されて、その表面に塗工液を付着させて回転し、ウェブに接触して、ウェブに塗工液を転移させる回転体である。本発明における塗工ロールは、グラビアロールが有する微細な液溜め用凹部をロール表面に有しておらず、ロール表面は滑らかに成形されている。塗工ロールは、その幅が、ウェブの幅よりも大きく、ウェブの全幅に接触し、ウェブの全幅に塗工液を転移させることができる。
図1で示すように、塗工ロールを塗工液槽2内の塗工液に浸漬して、塗工液槽2から塗工ロールに直接塗工液が供給されてもよいし、図4で示すように、塗工ロールを塗工液槽2内の塗工液に浸漬せず、塗工液槽2内の塗工液に浸漬した汲み上げロール10と塗工ロールが接触回転して、当該汲み上げロール10を通じて塗工液が塗工ロールに供給されてもよい。
(ブレード)
本発明におけるブレードは、その先端が、ウェブに転移する前の塗工液が付着している塗工ロールの表面に向けて配置されている。本発明におけるブレードは、グラビアコーターで使用するドクターブレードとは異なって、塗工ロールの表面には接触していない。しかし、塗工ロールに近接して配置されており、塗工ロール表面に付着している塗工液に接触する程度に、塗工ロールとの間に隙間を設けて配置されている。そのため、本発明のブレードは、「近接ブレード」ともいうことができる。近接ブレードは、その先端部の幅がウェブの幅よりも大きいと共に、前記ウェブの幅以上の幅にわたって塗工ロール表面の塗工液に接触して、塗工ロール表面の塗工液膜の厚みを均すことができる。
近接ブレードは、塗工ロール表面の塗工液膜の厚みを均一化することが目的であるので、近接ブレードと塗工ロールとの間の隙間の幅は、幅方向に一定になるように設定されている。また、近接ブレードは、少なくとも、次の段階でウェブに塗工液が転移される幅分の塗工液膜において、その厚みを均すことになるが、塗工ロールの全幅にわたって塗工液膜の厚みを均すことができるように構成されることが好ましい。
近接ブレードの形状は特に限定されない。例えばグラビアコーターで使用するドクターブレードを、本発明における近接ブレードとして使用することができる。近接ブレードを構成する材料も特に限定されず、例えば、金属、樹脂、FRP、ゴム等が挙げられる。
近接ブレードはいずれかの端部に保持部を設け、この保持部によって近接ブレードを支持する。近接ブレードは、送りねじ、エアシリンダ等の推力を用いて移動可能なように配置される。これにより、近接ブレードと塗工ロールとの間の隙間の幅を任意に設定することができる。
近接ブレードと塗工ロールとの間の隙間の幅は特に限定されず、塗工ロール表面での塗工液膜の厚みや、塗工液の粘度、塗工ロールの回転方向に対する近接ブレードの角度等を考慮して適宜設定することができる。しかし、隙間の幅が大きくなりすぎると、塗工ロール表面に付着している塗工液膜の厚みを均す効果が得られにくくなるため、その点を勘案して隙間の幅を決定することが好ましい。具体的には、前記隙間の幅は200μm未満が好ましく、180μm以下がより好ましく、150μm以下がさらに好ましく、100μm以下が特に好ましい。下限値は特に限定されないが、前記隙間の幅が小さくなりすぎると近接ブレードと塗工ロールが接触する可能性が生じるため、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上がさらに好ましい。
(押圧手段)
本発明における押圧手段は、塗工ロールがウェブに接触する位置で、ウェブの裏面に接触して、当該裏面を塗工ロールに向かって押圧するものである。これにより、塗工液膜を、所望の厚みで、幅方向に均一にウェブ上に転移させることができる。押圧手段は、塗工液膜を幅方向に均一に転移させるため、ウェブの全幅にわたって同じ押圧でウェブの裏面を押圧する。
ウェブ表面に転移される塗工液膜の厚みは、実質的に、この押圧手段による押圧力によって決定される。押圧手段によって、所望の厚みの塗工液膜をウェブの幅方向に均一に転移させる観点から、塗工液の粘性や表面張力等を勘案して、押圧力を適宜決定することができる。しかし、従来のグラビアコーターではセル内の塗工液をウェブに転写するため、押圧手段による押圧力は高く設定する必要があったが、本発明では、塗工ロールが滑らかな表面を有するもので、押圧手段による押圧力はグラビアコーターほど高くする必要はない。逆に押圧力が高くなりすぎると、塗工抜け又は裏回りが発生する恐れがある。この観点から、本発明では押圧手段による押圧力は、線圧で200N/m未満に設定することが好ましく、150N/m以下がより好ましく、100N/m以下がさらに好ましい。また、前記押圧力は低すぎると、ウェブに転移する塗工液膜の厚みの均一化を図るという効果が得られにくくなるので、線圧で30N/m以上に設定することが好ましく、40N/m以上がより好ましく、50N/m以上がさらに好ましい。
押圧手段の具体的な構成としては、ウェブの全幅を塗工ローラに向かって押圧できるものであれば特に限定されず、押圧ロール、押圧板等の接触式の押圧手段であってもよいし、空気や窒素等の気体の圧力を利用して押圧する非接触式の押圧手段であってもよい。
押圧ロールを構成する材料としては特に限定されず、金属、樹脂、ゴム等のいずれか1種類であってもよく、あるいは複数の組み合わせであってもよい。押圧ロールは、ロール表面に弾性層を有する弾性ロールであることが好ましい。前記弾性層を形成する弾性体としては特に限定されないが、例えば、天然ゴム、スチレンブダジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
(搬送装置)
本発明のロール塗工装置は、ウェブを連続して搬送するための搬送装置をさらに有するものである。ウェブを搬送する速度は特に限定されないが、低速であっても高速であっても本発明の効果が得られる。従来法では例えば10m/min以上という高速で搬送した場合に特に幅方向における塗工膜の膜厚のバラツキという問題が発生しやすかったが、本発明によると、このような高速搬送の場合でも塗工膜の膜厚のバラツキを抑制することができる。本発明における搬送速度は10m/min以上が好ましく、15m/min以上がより好ましく、20m/min以上がさらに好ましい。
また、本発明のロール塗工装置は、ウェブに塗工液を転移させた後に、塗工液を乾燥又は硬化させるための加熱手段をさらに有していてもよく、塗工膜が形成されたウェブを巻き取るための巻取り手段をさらに有していてもよい。
(製造方法)
本発明のロール塗工装置を稼働させることにより、帯状のウェブを連続して搬送しながら、ウェブ表面に連続的に塗工を施すことができる。本発明の製造方法によると、まず、塗工液が塗工液供給手段から塗工ロールに供給されて、塗工ロールは塗工液を表面に付着させて回転する。次いで、回転している塗工ロール表面に付着している塗工液は近接ブレードに接触して、塗工液膜の厚みがウェブの幅方向に均一化される。厚みが均一化された塗工液膜を表面に有する塗工ロールはさらに回転を続け、ウェブに接触するが、その接触位置でのウェブ裏面は押圧手段によって押圧される。以上の各工程を連続的に行うことで、塗工液膜を、連続的に、幅方向に均一な厚みでウェブ上に転移させることができる。
(第一実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図である。ここでは、塗工液槽H内の塗工液2に浸漬して回転する塗工ロールAである、表面に液溜め用凹部が無い塗工ロール3から、連続して搬送されるウェブ1に塗工液を転移させ、ウェブ1の下面に塗工液膜4を形成している。
ウェブ1は、導入側ガイドロールF1、塗工ロール3、及び導出側ガイドレールF2に、この順で接触するように案内される。ウェブ1と導入側ガイドロールF1の接触面、及び、ウェブ1と導出側ガイドレールF2の接触面が、ウェブ1と塗工ロール3との接触面よりも鉛直方向で下になるように、各ロールは配置される。この配置によって、ウェブ1は、図1で示すように塗工ロール3との接触面が上に突き出しているような経路で案内される。
塗工ロール3の回転方向に沿って説明すると、塗工ロール3は、塗工液槽H内の塗工液2に潜水して当該塗工液内を移動した後、当該塗工液2から浮上する。浮上した塗工ロール3表面には、塗工液が付着している。塗工液が付着した塗工ロール3表面に向けて、近接ブレード11が塗工ロール3の回転方向と垂直に配置されている。近接ブレード11が塗工ロール3表面に付着している塗工液に接触することで、ロール表面の塗工液膜の厚みが幅方向に均される。その後、塗工ロール3表面がウェブ1の下面に接触するが、その裏面(上面)が、押圧手段Bである押圧ロール5に接触している。塗工ロール3と押圧ロール5はウェブ1を挟み込むように配置されており、塗工ロール3及び押圧ロール5の幅はウェブ1の幅よりも大きく、ウェブ1の全幅が塗工ロール3及び押圧ロール5により挟み込まれている。押圧ロール5は、塗工ロール3とは反対方向に回転しながら、ウェブ1を押圧する。これにより、塗工ロール3表面の塗工液がウェブに転移される。
図2は、本発明の一実施形態に係るロール塗工装置における塗工ロール及び押圧ロールの具体的構成の一例を示す縦断面図である。ここでは、押圧ロール5による押圧力を調整するための調整手段Cを設けている。固定部材であるフレーム7は、塗工ロール3の回転軸3Aを軸受(図示せず)により支持している。さらにフレーム7は、押圧ロール5の回転軸5Aを軸受(図示せず)により支持する軸支持体8を上下方向にスライド可能に支持している。軸支持体8は、調整手段Cであるエアシリンダ6によって上下方向に駆動可能とされている。押圧ロール5は、その軸受及び軸支持体8を含む自重、並びにエアシリンダ6の推力により、塗工ロール3及びウェブ1に向かって押し付けられている。エアシリンダ6の推力を調整することにより、押圧ロール5による押圧力を調整することができる。
エアシリンダ6は複動形を採用し、例えば、前記自重(W)以上の押圧力を加えたい場合には、エアシリンダ6のロッドにより下方へ推力(F)を発生させることにより、前記自重(W)に推力(F)が加わった合力(W+F)をウェブ1に作用させることができる。逆に前記自重(W)より小さい押圧力を加えたい場合には、エアシリンダ6のロッドにより上方へ推力(F)を発生させることにより、前記自重(W)から推力(F)を引いた力(W−F)をウェブ1に作用させることができる。そして、エアシリンダ6に供給する空気圧を調整することにより、推力(F)の大きさを調整することができる。このように、押圧力の調整手段Cをエアシリンダ6で構成することにより、例えば工場内のエア設備を利用して押圧力の調整手段Cを簡素にかつ確実に構成することができる。
(第二実施形態)
図3は、本発明の別の実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図である。この実施形態では、押圧ロール5の上部に、押圧ロール5と接触して反対方向に回転するバックアップロール9を備えており、この点以外は図1で示した実施形態と同じである。このバックアップロール9により、押圧ロール5の撓みを防止することができる。バックアップロール9は、押圧ロール5の撓みを防止できるよう押圧ロール5に圧力をかけられるロールである限り、その具体的な構成は特に限定されない。
(第三実施形態)
図4は、本発明のさらに別の実施形態に係るロール塗工装置の構成を示す縦断面図である。この実施形態では、塗工ロール3の下部に、塗工ロール3と接触して反対方向に回転する汲み上げロール10を備えている。ここでは、塗工ロール3は塗工液槽H内の塗工液2に潜水せず、代りに、汲み上げロール10が潜水し、その後、浮上する。浮上した汲み上げロール10の表面に付着した塗工液は、汲み上げロール10と塗工ロール3の接触によって、塗工ロール3の表面に転移される。その後は、図1で示した実施形態と同じである。汲み上げロール10としては、塗工ロール3と同様、グラビアロールが有する微細な液溜め用凹部を表面に有しておらず、表面が滑らかに成形されているロールを使用することができる。
本発明のロール塗工装置、及び塗工膜が形成されたウェブの製造方法は、光学フィルム、磁気記録テープ、接着テープ、写真用印画紙、オフセット版材、電池極板、燃料電池触媒層等の各製造において好適に用いることができる。光学フィルムの一例としては、ウェブ上に、接着層、反射防止層、屈折率調整層、及び防眩層を有する光学フィルムが挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、ロール塗工装置でウェブに連続的に塗工を施し、形成された塗工膜を評価した。
(ロール塗工装置)
図1に示す構成のロール塗工装置を使用した。塗工ロールとしては、表面にハードクロムめっきを施した炭素鋼製ロールであって直径が180mmで幅が400mmのロールを使用し、押圧ロールとしては、直径が60mmで幅が400mmのゴムロールを使用した。近接ブレードとしては、幅が390mm、先端の厚みが0.2mm、材質がSUS420の板状のブレードを使用した。
(ウェブ)
ウェブとしては、厚み40μm、幅350mmのアクリルフィルムを用いた。
(塗工液)
水系ウレタン樹脂(第一工業製薬株式会社製、商品名:スーパーフレックス210、固形分:33%)200gに対して、架橋剤(株式会社日本触媒製、商品名:エポクロスWS700、固形分:25%)40gを添加して攪拌し、塗工液を得た。
<実施例及び比較例>
(実施例1)
近接ブレードと塗工ロールのあいだの隙間の幅が、ウェブの幅方向の全幅にわたって5μmになるように両者を配置し、ウェブの搬送速度を20m/minに、押圧ロールの押圧力を線圧100N/mに設定して連続的に塗工を行った。その後、乾燥させて、片面に、長さが約50mの塗工膜が形成されたウェブを得た。
(実施例2)
近接ブレードと塗工ロールのあいだの隙間の幅を50μmに変更した以外は実施例1と同様にして、片面に塗工膜が形成されたウェブを得た。
(実施例3)
近接ブレードと塗工ロールのあいだの隙間の幅を100μmに変更した以外は実施例1と同様にして、片面に塗工膜が形成されたウェブを得た。
(比較例1)
近接ブレードを使用しなかった以外は実施例1と同様にして、片面に塗工膜が形成されたウェブを得た。
<評価試験方法>
各実施例及び比較例で得られた、片面に塗工膜が形成されたウェブについて、幅方向(搬送方向に対して垂直な方向)における塗工膜の膜厚分布を測定した。塗工膜の膜厚分布の測定は、塗工開始点から40mの地点で、フィルメトリクス株式会社製のF20を使用して分光干渉法により行った。得られた結果を図5に示した。
<評価試験結果>
実施例1〜3では、いずれも、塗工膜の膜厚は、ウェブの全幅にわたってほぼ均一であり、最大膜厚と最小膜厚の差がわずか約30nmにすぎない。これら実施例では、近接ブレードを、塗工ロール表面の塗工液膜に、全幅にわたって接触するように配置しているため、ロール中央部での塗工液付着量とロール両端部での塗工液付着量との均一化が図られ、その結果、塗工膜の膜厚を均一にすることができたと考えられる。
一方、比較例1では、実施例1〜3と比較すると、ウェブの全幅にわたって塗工膜の膜厚が増加しており、また、明らかに、ウェブの中央部における膜厚がウェブの両端部における膜厚よりも大きく、最大膜厚と最小膜厚の差が約200μmもあった。これは、比較例1では近接ブレードを使用していないため、塗工ロールに対する塗工液付着量が、ロール両端部よりもロール中央部において多くなってしまい、結果、ウェブ中央部での塗工液の転移量が、ウェブ両端部でのそれよりも多くなってしまうためと考えられる。
なお、ウェブの搬送を低速で行う場合には、比較例1のように近接ブレードを使用しなくとも押圧ロールのみを使用することで、塗工膜の膜厚の均一化を図ることは可能である。しかし、比較例1では搬送速度が20m/minと高速でウェブを搬送しているため、押圧ロールのみでは、塗工膜の膜厚の均一化を図ることができなかったものと考えられる。
また、実施例1〜3では、近接ブレードと塗工ロールのあいだの隙間の幅が5〜100μmと大きく異なっているが、形成される塗工膜の膜厚はいずれも300nm程度と同程度であり、前記隙間の幅の大きさが最終的な塗工膜の膜厚に影響していないことが分かる。最終的な塗工膜の膜厚は、近接ブレード後の押圧ロールによる押圧によって調節されているためである。
1 ウェブ
2 塗工液
3 表面が滑らかな塗工ロール
3A 回転軸
4 塗工液膜
5 押圧ロール
5A 回転軸
6 エアシリンダ
7 フレーム
8 軸支持体
9 バックアップロール
10 汲み上げロール
11 近接ブレード
A 塗工ロール
B 押圧手段
C 押圧力の調整手段
D ドクターブレード
E 押圧ロール
F 推力
F1,F2 ガイドロール
G グラビアロール
g 液溜め用凹部
H 塗工液槽
W 自重

Claims (5)

  1. 連続して搬送されるウェブに塗工を施すロール塗工装置であって、
    塗工液を供給する塗工液供給手段と、
    前記塗工液供給手段から供給された塗工液を表面に付着させて回転し、前記搬送されるウェブの一面の全幅に接触することで、当該ウェブの一面の全幅に前記塗工液を転移させる塗工ロールと、
    前記ウェブに転移する前の前記塗工液が付着している前記塗工ロールの表面に向けて配置されたブレードと、
    前記塗工ロールが前記ウェブの一面に接触する位置で、前記ウェブの他面の全幅を、前記塗工ロールに向かって押圧する押圧手段と、を備え、
    前記塗工ロールは、ロール表面に液溜め用凹部を設けていないものであり、
    前記ブレードは、前記塗工ロールの表面には接触せず、前記塗工ロールの表面に付着した前記塗工液に、前記ウェブの幅以上の幅にわたって接触するように配置されていることを特徴とする、
    ロール塗工装置。
  2. 前記ブレードと前記塗工ロールの表面とのあいだの隙間の幅は、5〜100μmである、請求項1記載のロール塗工装置。
  3. 請求項1又は2に記載のロール塗工装置を用いて、連続して搬送されるウェブに塗工を施すことを特徴とする、塗工膜が形成されたウェブの製造方法。
  4. 前記押圧手段により、線圧200N/m未満で前記ウェブの他面を押圧する、請求項3に記載の塗工膜が形成されたウェブの製造方法。
  5. 前記ウェブは、20m/min以上の搬送速度で搬送される、請求項3又は4に記載の塗工膜が形成されたウェブの製造方法。


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