JP2017209758A - 衝撃緩和部材を有するツールを備えたロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】ロボットに取付けられた作業用ツールと人との接触時の危険リスクを低減できる衝撃緩和部材を有するツールを備えたロボットを提供する。
【解決手段】ロボット10は人9と作業空間を共有して作業を行う。ロボット10は、ロボットアーム14に取付けられた作業用ツール16の少なくとも基部16aの周囲を覆う衝撃緩和部材17と、ロボットアーム14に設けられ、衝撃緩和部材17を介して入力された外力を検出する検出器12と、検出された前記外力の情報を基に作業用ツール16が人9と接触したと判定した場合にロボット10を停止させるようにするロボット制御装置20と、を備える。前記外力は、作業用ツール16からロボットアーム14を伝わって検出器12にて検出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、人と作業空間を共有して作業を行う人協調型ロボットに関する。
産業用ロボットおいては、人の安全を確保するため、ロボットの可動領域の周囲に安全柵を設置して、人がロボットの可動領域に立入ることを制限している。しかし近年、安全柵に代って人の安全を十分に確保できる何らかの処置が行われた産業用ロボットに対しては、人と作業空間を共有して作業を実施できることとなった。このため、そのようなロボット、いわゆる人協調型ロボットの要望が高まってきている。
人協調型ロボットシステムを使用することにより、人とロボットとが同じ空間内で別々の作業を実施したり、あるいは、ロボットにより把持されたワークに対して人が作業を実施したりすることが可能となる。但し、人協調型ロボットを使用する場合、人とロボットとが作業空間を共有しているため、人がロボットと接触して負傷してしまうことを防止する必要がある。
とりわけ、ロボットの手首部に取付けられた作業用ツールに作業者が接近して作業を行う可能性が高いため、もし作業用ツールが作業者と接触したとしても、作業者が負傷しないようにする必要がある。
ところで、特許文献1、特許文献2および特許文献3などは、ロボットの一部を覆う構造を開示している。
特許文献1においては、把持爪を有するロボットハンドを袋体によって覆った構造が提案されている。これは、バイオメディカル分野においてロボットを活用できるように、ロボットハンドにクリーン性能と抗菌のための防塵防滴性能とを持たせるための提案である。
特許文献2においては、対象物を把持可能なロボットハンドの指部を弾性変形可能な部材で覆うことにより、対象物を安定して把持できるようにしたロボットが提案されている。
特許文献3においては、ロボットアームを保護部材によって覆った構造を備えた人協調型ロボットが提案されている。
特許第5835276号公報 特開2014−76524号公報 特許第5902664号公報
しかしながら、前述した特許文献1、特許文献2および特許文献3の何れにおいても、ロボットの手首部に取り付けられた作業用ツールと人との接触時の危険リスクを低減することを目的とする技術を開示していない。つまり、従来において、ロボットの作業用ツールと人との接触時の危険リスクを低減させるために、ツール自体に危険リスクの低減対策を施した提案はなされていない。
特許文献1に開示されたロボットハンドを覆う袋体は、人との接触時の衝撃を緩和する部材ではなく、衛生を維持する部材である。特許文献2に開示されたロボットハンドの指部を覆う弾性変形可能な部材は、対象物の安定した把持を実現させる部材であり、人との接触時の衝撃を緩和する部材ではない。さらに、特許文献3に開示された人協調型ロボットにおいては、ロボットアームが保護部材によって覆われているに過ぎない。
前述したように、人協調型ロボットにおいては、ロボットの手首部に取付けられた作業用ツールに作業者が接近して作業を行う可能性が高い。人協調型ロボットの普及が進むにつれて、人の安全を確保するために、作業用ツール自体に接触対策を行うことが今後益々重要になる。また、ロボットアームの最先端に取り付けられた作業用ツールは、ロボット本体のアームよりも高速に動くため、ロボットが動作する際に最大の危険源となる可能性が高い。
そこで、本発明は、人協調型ロボットの普及が今後益々進んでいくと予想される状況に鑑み、ロボットに取付けられた作業用ツールと人との接触時の危険リスクを低減できる衝撃緩和部材を有するツールを備えたロボットを提供することを目的とする。
本発明の第一態様によれば、基部と該基部に設けられた可動部とを有する作業用ツールが取付けられたロボットアームを備え、人と作業空間を共有して作業を行うロボットであって、
前記作業用ツールの少なくとも前記基部の周囲を覆う、前記作業用ツールの基部および前記作業用ツールの可動部よりも剛性の低い材質からなる衝撃緩和部材と、
前記ロボットアームに設けられていて、前記衝撃緩和部材を介して入力された外力を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記外力の情報に基づいて、前記作業用ツールが前記人と接触したか否かを判定し、前記作業用ツールが前記人と接触したと判定した場合に前記ロボットを停止させるようにするロボット制御装置と、を具備し、
前記外力は、前記作業用ツールから前記ロボットアームを伝わって前記検出器にて検出されるように構成された、ロボットが提供される。
本発明の第二態様によれば、上記第一態様のロボットであって、
作業目的を果たすために露出させる必要がある部位の表面を除いた、前記可動部の表面のうちの少なくとも一部が、さらに前記衝撃緩和部材により覆われている、ロボットが提供される。
本発明の第三態様によれば、上記第一態様または第二態様のロボットであって、
前記衝撃緩和部材を前記作業用ツールの前記基部に対して交換可能に固定する固定具をさらに備え、
前記固定具の最外方部は、外側から負荷を受けて圧縮されたときの前記衝撃緩和部材の最外方部よりも内方に位置している、ロボットが提供される。
本発明の第四態様によれば、上記第一態様から第三態様のいずれかのロボットであって、前記衝撃緩和部材は、剛性の異なる複数の層を積層して構成されている、ロボットが提供される。
本発明の第五態様によれば、上記第一態様から第四態様のいずれかのロボットであって、前記衝撃緩和部材の少なくとも最外周部が、高分子化合物からなる弾性体を含む、ロボットが提供される。
本発明の第六態様によれば、上記第一態様から第五態様のいずれかのロボットであって、前記作業用ツールは、少なくとも二つの指部を前記可動部として備えた把持装置である、ロボットが提供される。
上記第一態様によれば、ロボットアームに取付けられた作業用ツールが人と接触した場合に人が怪我を負う危険リスクを低減させることができる。
とりわけ、ロボットアームの最先端に取付けられる作業用ツールはロボット本体のアーム部よりも高速に動くため、ロボットが動作する際に最大の危険源となる可能性が高い。本願発明においては、このような最大の危険源となりうる作業用ツールにおける危険リスクを大きく低減させられるという効果が得られる。これにより、人協調型ロボットにおいて最も重要な機能である安全性を高めることができる。
上記第二態様によれば、作業用ツールの作業目的を妨げることなく、作業用ツールの可動部が人と接触した場合に人が怪我を負う危険リスクを極力下げることができる。
上記第三態様によれば、衝撃緩和部材が経年劣化した場合や、周辺機器と衝突して衝撃緩和部材が破損した場合などにおいて衝撃緩和部材を交換することが容易となる。さらに、上記第三態様においては、衝撃緩和部材の最外周部の表面に外力が作用して凹んだとしても、衝撃緩和部材が作業用ツールの基部に固定された固定具の、当該基部とは反対側に在る端部は、衝撃緩和部材の最外周部の表面よりも常に後退した位置にある。このため、固定具によって人が怪我を負う危険リスクを低減させることができる。
上記第四態様によれば、衝撃緩和部材を構成する複数の層のうちの、人や周辺機器などと接触する最外周部に相当する層を、この層の内側の層より剛性が高く、且つ作業用ツールの基部や可動部よりも剛性の低い材質によって構成することができる。このことにより、衝撃緩和部材に対して、人や周辺機器などが接触するときの衝撃を緩和させる機能を付与しつつ、耐摩耗性のある外表面を構築することができる。
上記第五態様によれば、人と接触する可能性のある衝撃緩和部材の最外周部を高分子化合物からなる弾性体といった比較的柔らかい素材により形成することにより、作業用ツールが人と接触した場合に人が怪我を負う危険リスクを更に低減させることができる。高分子化合物は例えばポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ABSなどの合成樹脂(プラスチック)を使った発泡樹脂や、衣類などに使われるナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムを使った発泡ゴムなどである。もちろん、これらは必ずしも発泡体である必要はない。
上記第六態様によれば、上記第一態様から第五態様と同様の効果を得ることができる。
添付図面に示される本発明の典型的な実施形態の詳細な説明から、本発明のこれらの目的、特徴および利点ならびに他の目的、特徴および利点がさらに明確になるであろう。
本発明の一実施形態のロボットを含む人協調型ロボットシステムの構成を示す図である。 第一実施例の衝撃緩和部材を備えていない作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示す側面図である。 第一実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示す側面図である。 第二実施例の衝撃緩和部材を備えていない作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。 第二実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。 第三実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。 第四実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールとその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。 第五実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールの基部を模式的に示した断面図である。 第六実施例の衝撃緩和部材を備えた作業用ツールの基部を模式的に示した断面図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の図面において、同じ部材には同じ参照符号が付けられている。そして、異なる図面において同じ参照符号が付されたものは同じ機能を有する構成要素であることを意味するものとする。また、理解を容易にするために、これらの図面は縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の一実施形態のロボット10を含む人協調型ロボットシステム1の構成を示す図である。図1に示される人協調型ロボットシステム1においては、人9とロボット10とが作業空間を共有して協調作業を行うため、互いに接近している。
ロボット10は、例えば垂直多関節型マニピュレータである。ロボット10を床部Lに設置するため、床部L上には固定プレート11が固定されている。そして、ロボット10のロボットベース13の下部に力センサ12が配置され、ロボット10のロボットベース13は力センサ12を介して固定プレート11上に配置されている。
ロボット10におけるロボットアーム14の先端にはロボット手首フランジ15が設けられている。ロボット手首フランジ15の先端には、把持ハンドなどの作業用ツール16の基部16aが取付けられている。
さらに、作業用ツール16が人9または周辺機器(図示せず)と接触したときの衝撃を緩和させる衝撃緩和部材17が、図1に点線により示されているように、作業用ツール16の少なくとも基部16aの周囲を覆っている。
作業用ツール16の構造材として、ステンレス、アルミニウム合金、炭素鋼、プラスチックなどが使用される。作業用ツール16が人9または周辺機器と接触したときの衝撃を緩和させるため、衝撃緩和部材17は、作業用ツール16の基部16aや可動部16bのそれぞれに使用された材質よりも剛性の低い材質からなることが好ましい。また、衝撃緩和部材17の最外周部が人9と接触する可能性があるため、衝撃緩和部材17の少なくとも最外周部がポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ABSなどの合成樹脂(プラスチック)を使った発泡樹脂や、衣類などに使われるナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムを使った発泡ゴムなどの、高分子化合物からなる弾性体といった比較的柔らかい素材により形成されるのが好ましい。
このようなロボット10の動作中に、衝撃緩和部材17が近くで作業している人9と接触したとする。このときの接触力(外力)は、作業用ツール16の基部16aから、ロボット手首フランジ15、ロボットアーム14およびロボットベース13を伝わって、力センサ12に入力されるようになっている。なお、図1においては、ワークWを把持および解放する把持ハンドが作業用ツール16として描かれているが、本発明に適用可能な作業用ツールは把持ハンドに限定されない。
力センサ12は、前述のように衝撃緩和部材17を介して入力される外力を検出する。力センサ12内には、外力に起因する力センサ12の歪を検出する歪検出器、例えば歪ゲージ、特に半導体歪ゲージが含まれている。より具体的には、力センサ12は、力センサボディと、力センサボディに貼付けられた歪ゲージとを備えている。このような力センサ12は、前述の外力を計測して外力計測値を出力する。なお、力センサ12はロボットベース13、またはロボット10の他の部分、例えばロボットアーム14間の関節部に取付けられていてもよい。
図1に示されるようにロボット10の近傍には、人9を検出する人検出部18が設置されている。人検出部18はエリアセンサであり、二次元の検出領域19を形成する。人検出部18は、少なくとも人9が検出領域19に進入しているか否かを確認するものである。人検出部18はロボット制御装置20に接続されている。
さらに、ロボット10はロボット制御装置20に接続されている。ロボット制御装置20はデジタルコンピュータであり、ロボット10の動作を制御する。
図1を参照すると、ロボット制御装置20は、力センサ12により出力された外力計測値を監視する外力計測値状態監視部21と、力センサ12により出力された外力計測値から所定の補正値を減算して力検出値を算出する力検出値算出部22と、力検出値算出部22から出力されてくる力検出値を常時監視する力検出値状態監視部23とを含んでいる。
ロボット制御装置20は、力センサ12により検出された前記外力の情報に基づいて、作業用ツール16が人9または周辺機器と接触したか否かを判定する。さらに、ロボット制御装置20は、作業用ツール16が人9または周辺機器と接触したと判定した場合に前記ロボット10を停止させるようにする。
より具体的には、ロボット制御装置20は、図1に示されるように、ロボット動作制御部24と、ロボット内モータ制御部25とを備える。
ロボット動作制御部24は、ロボット10の動作状態(例えば停止状態、加速状態、減速状態、定速状態など)と、力検出値状態監視部23が監視している力検出値の変動状態とを常に比較しながら、ロボット10を動作させる。その比較の結果が所定の条件を満たす場合には、ロボット動作制御部24は、ロボット10が人9または周辺機器と接触したと判断し、ロボット内モータ制御部25に動作停止指令または減速指令を出力してロボット10を停止または減速させる。
ロボット内モータ制御部25は、ロボット動作制御部24からの指令に応じて、ロボット10の各軸のモータ(図示せず)を制御する。また、ロボット制御装置20に接続された出力部29は必要とされる場合にアラームを出力する。
さらに、図1に示されるように、前述した力検出値状態監視部23は、補正値更新部31、力検出値記憶部32、更新許可部33、ロボット停止部34、および力検出値用閾値変更部35を有している。
補正値更新部31は、上記の所定の条件が成立しているときの力検出値を、力検出値算出部22が力検出値を算出するときの補正値として更新する。補正値更新部31が行う補正値の更新処理は、力センサ12のリセットと言い換えることが可能である。
力検出値記憶部32は、上記の所定の条件が成立したときの力検出値を記憶する。なお、力検出値記憶部32は、所定の条件が成立した場合に、力検出値算出部22が力検出値を算出する度に力検出値を順次記憶するようにしてもよい。
更新許可部33は、人検出部18によりロボット10近傍に人9が居ないことが検出された場合には、補正値更新部31が行う補正値の更新処理を許可する。
ロボット停止部34は、補正値更新部31により更新された後の力検出値が停止用閾値を超える場合にはロボット10が人9あるいは周辺機器(図示せず)と接触したと判断し、ロボット10を減速または停止させる。なお、ロボット停止部34は、ロボット制御装置20のロボット動作制御部24に含まれていても良い。
力検出値用閾値変更部35は、補正値更新部31によって補正値が更新されてからの経過時間に応じて力検出値用閾値を変更する。例えば、ロボット10の動作を開始させてから所定時間の間は力検出値が安定しないことがあり、その場合に、力検出値用閾値を第一の値に設定しておき、所定時間を経過したら力検出用閾値を第二の値に変更する。
また、ロボット制御装置20の外力計測値状態監視部21は故障判定部36を含んでいる。この故障判定部36は、力センサ12に含まれる歪検出器が検出した歪量が所定の適正範囲内に収まるか否かを監視し、該適正範囲に収まらない場合は、力センサ12が故障している、または異常な歪量が検出されていると判定する。
故障判定部36により故障または異常が判定された場合、ロボット制御装置20はロボット10を即座に停止させ、ロボット制御装置20に接続された出力部29はアラームを出力する。アラームとしては、光、音、および音声などを単独で、あるいは任意に組合せて使用することができる。
以下に、ロボットアーム14の先端の手首部に取付けられた作業用ツール16と該ツール16を覆う衝撃緩和部材17について、いくつかの実施例を示す。以下の各実施例においては、図1に示されている構成要素と同じものには同一符号を使用しつつ、当該構成要素とは異なる点を主に説明することとする。
(第一実施例)
図2Aは、第一実施例の衝撃緩和部材17を備えていない作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。図2Bは、第一実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。
第一実施例の作業用ツール16はバリ取りリュータ16−1である。バリ取りリュータ16−1は、図2Aに示されるように、ロボットアーム14におけるロボット手首フランジ15の先端に取付けられた基部16aと、基部16aに対して回転する可動部16bとを有する。ロボットアーム14を移動し、バリ取りリュータ16−1の可動部16b(リュータ部)を回転させながら加工物品の被加工部に押付けることにより、被加工部におけるバリが取除かれる。
第一実施例においては、図2Bに示されるように、バリ取りリュータ16−1の、可動部16b(リュータ部)を除いた部分である基部16aの周囲が衝撃緩和部材17により覆われている。このことにより、バリ取りリュータ16−1の、可動部16bを除いた部分が人9と接触する場合に接触力が緩和されるため、バリ取りリュータ16−1によって人9が怪我を負うような危険リスクを低減させることができる。
(第二実施例)
図3Aは、第二実施例の衝撃緩和部材17を備えていない作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。図3Bは、第二実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。
第二実施例の作業用ツール16は、少なくとも二つの指部を備えた把持装置としての把持ハンド16−2である。把持ハンド16−2は、図3Aに示されるように、ロボットアーム14におけるロボット手首フランジ15の先端に取付けられた基部16aと、基部16aに支持されていて互いの間隔を可変するように動作する二つの指部としての可動部16bと、を有する。ロボットアーム14を移動し、把持ハンド16−2の二つの可動部16b(指部)をワークWに対して動作させることにより、ワークWの把持および解放が行われる。
第二実施例においては、図3Bに示されるように、把持ハンド16−2の、可動部16b(指部)を除いた部分である基部16aの周囲が衝撃緩和部材17により覆われている。このことにより、把持ハンド16−2の、可動部16b(指部)を除いた部分が人9と接触する場合に接触力が緩和されるため、把持ハンド16−2によって人9が怪我を負うような危険リスクを低減させることができる。つまり、人の手に相当する把持ハンド16−2(グリッパとも呼ばれる)において、人との接触時の危険リスクを低減することができる。
前述した第一実施例および第二実施例においては、バリ取りリュータ16−1や把持ハンド16−2などといった作業用ツール16の基部16aのみが衝撃緩和部材17により覆われている。しかし本願発明においては、衝撃緩和部材17により覆われる部位は作業用ツール16の基部16aのみに限定されない。作業用ツール16が作業の目的を果たせるならば、追加の衝撃緩和部材17”が作業用ツール16の可動部16bに設けられていてもよい。
作業用ツール16の可動部16bにおける、作業目的を果たすために露出させる必要がある部位の表面を除いた表面のうちの少なくとも一部に追加の衝撃緩和部材17”を設ける例として、以下のような第三実施例および第四実施例を示す。
(第三実施例)
図4は、第三実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。
図4から分かるように、第三実施例は、衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16がバリ取りリュータ16−1である場合の例を示している。バリ取りリュータ16−1の可動部16bは、リュータ軸部16b1とリュータヘッド部16b2とからなる。
第三実施例においては、バリ取りリュータ16−1の基部16aとともに、可動部16bにおけるリュータ軸部16b1の周囲が、衝撃緩和部材17”によって覆われている。つまり、バリ取り作業を行うためにリュータヘッド部16b2を露出させる必要があるので、可動部16bのうちの、リュータヘッド部16b2を除いた部分であるリュータ軸部16b1のみを衝撃緩和部材17”で覆うようにしている。
以上のように、バリ取り作業を行うために必要なリュータヘッド部16b2は露出されており、バリ取り作業の実施に直接影響を与えない部位であるリュータ軸部16b1は衝撃緩和部材17”によって覆われ、基部16aは、衝撃緩和部材17によって覆われている。このことにより、バリ取りリュータ16−1の作業性を低下させることなく、人9がバリ取りリュータ16−1と接触した場合に人9が怪我を負う危険リスクを上記第一実施例よりも小さくすることができる。
さらに、図4に示されるように、衝撃緩和部材17のうち、リュータ軸部16b1を覆う部分の最外周部がリュータヘッド部16b2の最外周部よりも外側に張出していることが好ましい。このことにより、露出しているリュータヘッド部16b2によって人9が怪我を負う危険リスクがより小さくなる。
なお、衝撃緩和部材17”は衝撃緩和部材17と同じく衝撃緩和機能を有するが、衝撃緩和部材17と同一の素材でなくてもよい。衝撃緩和部材17”は可動部の衝撃緩和部材であるので、衝撃緩和部材17より柔らかい素材でもよい。
(第四実施例)
図5は、第四実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16とその周囲の構成要素を模式的に示した側面図である。
図5から分かるように、第四実施例は、衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16が把持ハンド16−2である場合の例を示している。把持ハンド16−2の可動部16bは、基部16aに移動自在に支持された二つの指部16b3からなる。
第四実施例においては、把持ハンド16−2の基部16aとともに、可動部16bにおける指部16b3の外側部が、衝撃緩和部材17”によって覆われている。つまり、ワークWの把持を安定して行うために、指部16b3の、ワークWと接触する内側部は露出させる必要があるので、指部16b3の、ワークWと接触する内側部を除いた部分である外側部のみを衝撃緩和部材17”で覆うようにしている。
以上のように、ワークWを安定して把持するために必要な指部16b3の内側部は露出されており、ワークWの把持に直接関係ない部位である指部16b3の外側部は衝撃緩和部材17”によって覆われ、基部16aは、衝撃緩和部材17によって覆われている。このことにより、ワークWの把持の安定性を確保しつつ、人9が把持ハンド16−2と接触した場合に人9が怪我を負う危険リスクを上記第二実施例よりも小さくすることができる。
なお、作業用ツール16の少なくとも基部16aを覆う衝撃緩和部材17の構造は、上述した第一実施例から第四実施例に示したものに限られない。そこで、衝撃緩和部材17の構造の例として、以下のような第五実施例および第六実施例を示す。
(第五実施例)
図6は、第五実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16の基部16aを模式的に示した断面図である。
第五実施例においては、図6に示されるように、ボルトなどの固定具38を用いて衝撃緩和部材17が作業用ツール16の基部16aに対して着脱可能に固定されている。このことにより、衝撃緩和部材17が長期使用によって経年劣化した場合や、周辺機器と衝突して衝撃緩和部材17が破損した場合などにおいて衝撃緩和部材17を交換することが容易となる。
固定具38により固定された衝撃緩和部材17は柔らかいため、衝撃緩和部材17が人9と接触して外力(負荷)を受けると凹む。外力が大きくなるにつれて、衝撃緩和部材17の凹む量も大きくなる。第一実施例にて前述したように、そのような外力は作業用ツール16からロボットアーム14を伝って力センサ12により検出される。さらに、ロボット制御装置20は、力センサ12により検出された前記外力の情報を基に、作業用ツール16が人9と接触したと判定した場合にロボット10を停止させるようになっている。ここで、作業用ツール16が人9と接触したとロボット制御装置20が判定した場合の前記外力を判定用閾値Fと定義する。
判定用閾値F以上の外力が力センサ12により検出されるとロボット10は停止するものの、判定用閾値F以上の外力によって衝撃緩和部材17の最外周部の表面が凹むので、凹んだ表面17’よりも固定具38の最外方部38a(例えばボルトの頭部)が突出してしまう危険性がある。
この危険性を回避するため、第五実施例においては、図6に示されるように、固定具38の最外方部38aが、作業用ツール16の基部16aに対して、衝撃緩和部材17の最外周部(最外方部)よりも相対的に内方に位置する。さらに、本実施例の固定具38の最外方部38aは、判定用閾値F以上の外力によって圧縮されたときの衝撃緩和部材17の最外周部の表面17’よりも更に内方に位置している。
つまり、図6に示されるように、判定用閾値F以上の外力が衝撃緩和部材17に作用して衝撃緩和部材17の最外周部の表面が凹んだ状態において、凹んだ表面17’と固定具38の最外方部38aとの間に所定の寸法マージンMを確保している。
このことにより、衝撃緩和部材17を介して作業用ツール16が人9と接触した場合に、ボルトのような硬い固定具38に人9が直接接触して怪我を負うといった危険性を回避することができる。
(第六実施例)
図7は、第六実施例の衝撃緩和部材17を備えた作業用ツール16の基部16aを模式的に示した断面図である。
図7に示されるように、衝撃緩和部材17は、剛性の異なる二つの衝撃緩和層17a、17bを積層して構成されている。すなわち、作業用ツール16の基部16aの外周面が第一衝撃緩和層17aで覆われており、その第一衝撃緩和層17aの周囲には、第一衝撃緩和層17aより剛性が高く、且つ基部16aよりも剛性の低い材質からなる第二衝撃緩和層17bが形成されている。言い換えれば、衝撃緩和部材17のうちの、人9や周辺機器などと接触する最外周部に相当する第二衝撃緩和層17bは、内側の第一衝撃緩和層17aより剛性が高く、且つ基部16aよりも剛性の低い材質から構成されている。これにより、衝撃緩和部材17に対して、人9や周辺機器などが接触するときの衝撃を緩和させる機能を付与しつつ、耐摩耗性のある外表面を構築することができる。
なお、衝撃緩和部材17を剛性の異なる三つ以上の衝撃緩和層から構成してもよい。衝撃緩和部材17の一部を複数の衝撃緩和層によって構成してもよい。また、図7においては、第二衝撃緩和層17bの厚みが第一衝撃緩和層17aよりも大きく描かれているが、本発明はその限りでない。すなわち、衝撃緩和部材17を構成するそれぞれの衝撃緩和層の厚みについては、作業用ツール16と人9または周辺機器とが接触したときの衝撃を緩和するように適切な厚みが設定される。
前述した第一衝撃緩和層17aおよび第二衝撃緩和層17bのそれぞれには、ポリウレタン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタラート、ABSなどの合成樹脂(プラスチック)を使った発泡樹脂や、衣類などに使われるナイロン、ポリエステル、アクリルなどの合成繊維、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴムなどの合成ゴムを使った発泡ゴムなどの高分子化合物からなる弾性体などを使用することができる。また、最外周部の第二衝撃緩和層17bによって覆われている第一衝撃緩和層17aのような内側の層にはゲル状素材が使用されてもよい。但し、衝撃緩和部材17の外表面の耐摩耗性を向上させるために、第二衝撃緩和層17bには、第一衝撃緩和層17aより剛性が高く、且つ基部16aよりも剛性の低い材質を選択するのが望ましい。また、衝撃緩和部材17の最外周層に本革や合成皮革、ビニール、ゴムシートなどの被覆材を使用して衝撃緩和部材17の外表面の耐摩耗性を向上させてもよい。
第一衝撃緩和層17aと第二衝撃緩和層17bとを接着剤やボルトなどを用いて一体化することにより、衝撃緩和部材17が構成される。
図7に示されている衝撃緩和部材17は、作業用ツールの基部16aの外周面に密着した状態でバンド37により固定されている。接着剤やボルトなどといった他の固定手段により衝撃緩和部材17を固定することもできる。前述した第五実施例のようにボルトを用いると、衝撃緩和部材17の着脱が容易である。
作業用ツールの基部16aの外周部が人9あるいは周辺機器と接触すると、その外周部に在る衝撃緩和部材17に接触力が作用し、衝撃緩和部材17が押しつぶされる。この接触力(外力P)は、図7に示されている点線領域ARにおいて作業用ツールの基部16aに対して作用する。このとき、前述したように衝撃緩和部材17は作業用ツールの基部16aの外周面に密着固定されている。
このため、外力Pは、作業用ツール16の基部16aに瞬時に伝わり、作業用ツール16の基部16aから、ロボット手首フランジ15、ロボットアーム14およびロボットベース13を伝って、力センサ12に入力される。つまり、力センサ12は、衝撃緩和部材17を介して作業用ツール16の基部16aに作用する外力Pを、良好な感度で検出することができる。さらに、力センサ12を作業用ツール16に配置する必要がなくなるので、作業ツール16へのケーブル類の配線が単純となる。
以上に説明したように、各実施例のロボット10においては、ロボットアーム14の先端のロボット手首フランジ15に取付けられた作業用ツール16の少なくとも基部16aの周囲を衝撃緩和部材17によって覆うようにした。これにより、ロボット10と人9とが作業空間を共有して協調作業を行っているときに作業用ツール16が人9と接触した場合であっても、人9が怪我を負う危険リスクを低減させることができる。
ロボットアーム14の最先端に取付けられる作業用ツール16はロボット本体のアーム部よりも高速に動くため、ロボット10が動作する際に最大の危険源となる可能性が高い。本願発明においては、そのような最大の危険源となる作業用ツール16に着目し、衝撃緩和部材17を作業用ツール16の周囲に設けることにより、作業用ツール16と人9との接触時の危険リスクを低減している。さらに、作業用ツール16が作業目的を果たせるように、衝撃緩和部材17により作業用ツール16の少なくとも基部16aの周囲を覆うようにしている。今後益々普及される人協調型ロボットにおいて、人に対する安全性といった最も重要な機能を高めることができるので、本願発明の技術的な意義は非常に大きいと言える。以上の点において、本願発明は、前述の背景技術に記載した特許第5835276号公報、特開2014−76524号公報、および特許第5902664号公報に開示されている技術とは本質的に異なる。とりわけ、特許第5902664号公報に開示されたようにロボットアームを保護部材によって覆う技術とは本質的に大きく異なっている。
以上では典型的な実施例を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、本発明の思想の範囲から逸脱することなしに、上述の各実施例に変更および種々の他の変更、省略、追加を行うことができるのを理解できるであろう。また、上述の各実施例を適宜組み合わせることは本発明の範囲に含まれる。
1 人協調型ロボットシステム
9 人
10 ロボット
11 固定プレート
12 力センサ
13 ロボットベース
14 ロボットアーム
15 ロボット手首フランジ
16 作業用ツール
16−1 バリ取りリュータ
16−2 把持ハンド
16a 基部
16b 可動部
16b1 軸部
16b2 リュータヘッド部
16b3 指部
17、17” 衝撃緩和部材
17’ 凹んだ表面
17a 第一衝撃緩和層
17b 第二衝撃緩和層
18 人検出部
19 検出領域
20 ロボット制御装置
21 外力計測値状態監視部
22 力検出値算出部
23 力検出値状態監視部
24 ロボット動作制御部
25 ロボット内モータ制御部
31 補正値更新部
32 力検出値記憶部
33 更新許可部
34 ロボット停止部
35 力検出値用閾値変更部
36 故障判定部
37 バンド
38 固定具
38a 固定具の最外方部

Claims (6)

  1. 基部(16a)と該基部(16a)に設けられた可動部(16b)とを有する作業用ツール(16)が取付けられたロボットアーム(14)を備え、人(9)と作業空間を共有して作業を行うロボット(10)であって、
    前記作業用ツール(16)の少なくとも前記基部(16a)の周囲を覆い、前記作業用ツール(16)の前記基部(16a)および前記可動部(16b)よりも剛性の低い材質からなる衝撃緩和部材(17)と、
    前記ロボットアーム(14)に設けられていて、前記衝撃緩和部材(17)を介して入力された外力を検出する検出器(12)と、
    前記検出器(12)により検出された前記外力の情報に基づいて、前記作業用ツール(16)が前記人(9)と接触したか否かを判定し、前記作業用ツール(16)が前記人(9)と接触したと判定した場合に前記ロボット(10)を停止させるようにするロボット制御装置(20)と、を備え、
    前記外力は、前記作業用ツール(16)から前記ロボットアーム(14)を伝わって前記検出器(12)にて検出されるように構成された、ロボット(10)。
  2. 作業目的を果たすために露出させる必要がある部位の表面を除いた、前記可動部(16b)の表面のうちの少なくとも一部が、前記衝撃緩和部材(17)により覆われている、請求項1に記載のロボット(10)。
  3. 前記衝撃緩和部材(17)を前記作業用ツール(16)の前記基部(16a)に対して着脱可能に固定する固定具(38)をさらに備え、
    前記固定具(38)の最外方部(38a)は、外側から負荷を受けて圧縮されたときの前記衝撃緩和部材(17)の最外方部よりも内方に位置している、請求項1または2に記載のロボット(10)。
  4. 前記衝撃緩和部材(17)は、剛性の異なる複数の層(17a、17b)を積層して構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のロボット(10)。
  5. 前記衝撃緩和部材(17)の少なくとも最外周部が、高分子化合物からなる弾性体を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボット(10)。
  6. 前記作業用ツール(16)は、少なくとも二つの指部を前記可動部(16b)として備えた把持装置である、請求項1から5のいずれか一項に記載のロボット(10)。
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