JP2017222911A - 鉄心、再冷延鋼板、再冷延鋼板の製造方法、及び鉄心の製造方法 - Google Patents
鉄心、再冷延鋼板、再冷延鋼板の製造方法、及び鉄心の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このような磁気特性を実現するためには、鉄の磁化容易軸である<001>軸を使用磁界方向に集積させることが有効とされている。
これにより、一方向性電磁鋼板は、圧延方向に対して極めて高い磁気特性を示すことができる。このため、一方向性電磁鋼板は、巻き鉄心のような圧延方向にのみ磁束が流れる用途に適しており、有用な磁性材料として使用されている。
例えば、二方向性電磁鋼板は、クロス圧延による方法によって得られることが知られている(特許文献1)。この方法は、珪素鋼素材を一方向に冷間圧延した後、さらに、この冷間圧延方向と交差方向に冷間圧延を加え、その後、仕上げ焼鈍として、短時間焼鈍と900℃〜1300℃程度の高温焼鈍とを行う方法である。
しかし、仕上げ焼鈍前に交差圧延を行うことは、商業生産上、コイルの状態で幅方向に圧延しなければならず、特殊な装置が必要となる。
しかし、この手法では真空中で焼鈍しなければならず、やはり、特殊な装置が必要となる。
しかし、この手法では、浸炭によりセメンタイトが析出し、鉄損が劣位である。
その結果、本発明者らは、主方位となる{100}<001>から±30度以内の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が50%以上であり、副方位となる結晶の滑り面が板厚と平行な{110}<110>から±30度以内の結晶方位の結晶粒の面積比率が20%以上である集合組織を有する鋼板からなる鉄心とすることで、優れた磁気特性を有するとともに、寸法精度に優れ、占積率の低下が抑制されることを知見した。
<2> 前記鋼板の平均結晶粒径が350μm以下である<1>に記載の鉄心。
<3> 前記鋼板が、質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:2.00%以上4.00%以下、
Mn:0.5%以下、
Sb:0.2%以下、
Sn:0.2%以下、
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
P:0.3%以下、
及びAl:0.5%以下を含有し、並びに、残部としてFeおよび不純物元素を含有する請求項<1>又は<2>に記載の鉄心。
<5> 質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:2.00%以上4.00%以下、
Mn:0.5%以下、
Sb:0.2%以下、
Sn:0.2%以下、
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
P:0.3%以下、
及びAl:0.5%以下を含有し、並びに、残部としてFeおよび不純物元素を含有する<4>に記載の再冷延鋼板。
前記再冷延鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層一体化して、700℃以上の温度域で焼鈍する工程と、
を有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の鉄心の製造方法。
<9> 前記温度域が、700℃〜1000℃である<8>に記載の鉄心の製造方法。
前記再冷延鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層一体化する工程と
を有する<7>に記載の鉄心の製造方法。
<11> <10>に記載の鉄心の製造方法であって、前記積層一体化する工程の後、700℃〜1000℃の温度域で焼鈍する工程をさらに有する鉄心の製造方法。
前記打ち抜き部材を積層一体化する工程と、
を有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の鉄心の製造方法。
なお、本明細書中において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
一方、平均結晶粒径の下限は特に限定されないが、平均結晶粒径が小さすぎると磁気特性が低くなるため、20μm以上にすることがよい。
試験片を板厚断面が観察できるように切断し、ナイタールエッチングにより粒界を腐食させて発現させる。その後、100個以上の結晶粒の結晶粒径を線分法により測定し、平均結晶粒径を求める。
なお、本明細書中において、不純物とは、原材料に含まれる成分、または、製造の過程で混入する成分であって、意図的に鋼板に含有させたものではない成分を指す。
本発明の鉄心に用いられる好適な鋼板としては、{100}<001>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が50%以上であり、{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が20%以上である集合組織を有する二方向性電磁鋼板が挙げられる。
なお、{100}<001>(±30°)は、{100}<001>から±30度以内を表し、{110}<110>(±30°)は、{110}<110>から±30度以内を表す。
まず、本発明の鉄心に用いられる鋼板の有する{100}<001>から±30度以内の結晶方位の結晶粒、及び{110}<110>から±30度以内の結晶方位の結晶粒について、図面を用いて説明する。
なお、図2に示す従来の二方向性電磁鋼板は、歪取り焼鈍を行っていない。
なお、以下の説明において、{100}<001>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率、及び{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率は、それぞれ、「{100}<001>(±30°)の結晶粒の面積比率」、及び「{110}<110>(±30°)の結晶粒の面積比率」と称する場合がある。
本発明の鉄心に用いられる鋼板の結晶方位は、電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて観察する。結晶方位の{}内は圧延面の法線方向のミラー指数を示し、<>内は2次再結晶前の冷延における圧延方向と平行な方向をミラー指数で示している。
・測定装置:電子線後方散乱回折装置付き走査型電子顕微鏡(SEM−EBSD)
(SEMの型番「JSM−6400」(JEOL社製))
・ステップ間隔:10μm
・倍率:100倍
・測定対象:鋼板の圧延面の中心層
・測定領域:7500μm×7500μm
・測定結晶粒数:1000個
また、鉄心の磁気特性、及び寸法精度、並びに占積率の低下抑制の点で、鉄心に用いられる鋼板は、{110}<110>(±30°)の結晶粒の面積比率が、20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。上限は磁気特性の点で、49%以下であることがよい。
また、本発明の鉄心は、占積率の低下が抑制される点については、鉄心を得るための鋼板のr値(引張加工時における(幅減少量)/(板厚減少量))が高いことに起因していると本発明者らは考えている。{100}<001>のr値は{110}<110>のr値よりも低いことが知られている。鉄心を得るための鋼板は、{110}<110>結晶粒を有することで、従来の二方向性電磁鋼板よりもr値が高い。つまり、{110}<110>結晶粒を有する鋼板は、曲げ加工時の板厚が減少しにくくなっていると考えられる。それによって、鉄心の占積率の低下が抑制される。
なお、{110}<110>方位粒が、例えば、螺旋巻き鉄心のような螺旋状等の曲げ加工に適していることは、特許3631523号公報で述べられている。
一方、Siは、含有量が増え過ぎると、磁束密度が低下し、かつ、硬度の上昇を招いて、打ち抜き精度が低下しやすくなる。また、鋼板(二方向性電磁鋼板)の製造工程において、冷延等の作業性の低下、コスト高ともなり得るので、4.00%以下とすることがよい。
図4に示す鉄心100は、本発明の鉄心の一例を表す模式図である。図4に示す鉄心100は、分割鉄心を表す。鉄心100は、図4に示すように、円弧上のヨーク部17と、ヨーク部17の内周面から径方向内側に向かって突出しているティース部15とを備えた分割鉄心用の打ち抜き部材11を有する。そして、鉄心100は、分割鉄心用の打ち抜き部材11を円環状に連結し、複数枚積層して一体化した積層体13として形成されている。なお、分割鉄心用の打ち抜き部材11は、図4に示す形状、個数、積層数等に限らず、目的に応じて設計すればよい。
打ち抜き部材は、例えば、ティース部とヨーク部とを有する所定形状の打ち抜き部材でもよい。また、所定形状の打ち抜き部材は、所定の枚数を打ち抜く。所定形状の打ち抜き部材は、例えば、所定の形状に打ち抜かれるときに、積層して一体化するための凹凸部が形成されてもよい。次に、所定形状の打ち抜き部材を所定の枚数を組み合わせて積層し、積層一体化させて鉄心を得る。積層一体化は、例えば、かしめ加工により、各々の打ち抜き板に形成された凹凸部が機械的に相互に嵌め合わされて固定され、打ち抜き部材が積層一体化される。
螺旋巻き鉄心用の打ち抜き部材は、例えば、帯状の打ち抜き部材の長手方向に沿う方向に連続的に延びているヨーク部と、ヨーク部の短手方向の一端部側に突出して複数個設けられたティース部とを有する。螺旋巻き鉄心用の打ち抜き部材は、例えば、一周分の螺旋状の曲げ加工を行うことが可能な長さでもよく、螺旋状に曲げ加工を行い巻き回しながら積層することが可能な長さでもよい。この打ち抜き部材は、例えば、所定の形状に打ち抜かれるときに、積層して一体化するための凹凸部が形成されてもよい。
螺旋巻き鉄心用の打ち抜き部材は、螺旋状の曲げ加工により、曲げ加工部材とした後、この曲げ加工部材を積層し、積層一体化させて鉄心を得る。例えば、打ち抜き部材を板面方向に、ティース部を内側、ヨーク部を外側にして、螺旋状に曲げ加工を行ってもよい。曲げ加工部材の積層は、複数枚の曲げ加工部材を積層してもよい。この場合、回し積みによって積層してもよい。また、曲げ加工部材を巻き回して積層してもよい。積層一体化は、例えば、かしめ加工により、各々の打ち抜き板に形成された凹凸部が機械的に相互に嵌め合わされて固定され、打ち抜き部材が積層一体化される。
以上の工程を経て、二方向性電磁鋼板を用いた鉄心が得られる。すなわち、二方向性電磁鋼板を用いて得た鉄心は、直交する二方向に優れた磁気特性を有する。
本発明の鉄心に用いられる好適な他の鋼板としては、得られる鉄心が寸法精度に優れる点および占積率の低下を抑制する点で、例えば、{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が85%以上(好ましくは90%〜100%、さらに好ましくは95%〜100%)であり、せん断帯の数が30個/mm以上(好ましくは40個/mm以上、さらに好ましくは50個/mm以上)である再冷延鋼板が挙げられる。
このとき、圧下率が20%未満のときは{100}<001>方位の発生量が少な過ぎる。そのため、この{100}<001>方位の発生量が少な過ぎる再冷延鋼板を用いて鉄心を得た場合、得られた鉄心は磁気特性が低下する。また、再冷延鋼板のせん断帯の数が30個/mm未満となるため、鉄心の寸法精度が劣位となる。
一方、圧下率が50%超のときは{110}<110>方位粒が磁気特性の低い{111}<110>に変化するため、得られる鉄心の磁気特性が低下する。また、鉄心の寸法精度および占積率が低下する。しかも、再冷延鋼板の焼鈍後の方位が、磁気特性の悪い{111}<211>に変化しやすくなるため、得られる鉄心の磁気特性がより低下する。
このように、{110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板を、圧延方向に対して直交する方向に圧下率が20%〜50%となるように冷延した再冷延鋼板を用いると、上記特性を有する再冷延鋼板が得られる。そして、この再冷延鋼板を用いて得られた鉄心は、磁気特性、及び寸法精度に優れ、占積率の低下が抑制される。
また、再冷延鋼板のせん断帯の数は、次のようにして測定する。
試験片を板厚断面が観察できるように圧延方向に平行に切断し、ナイタールエッチングによりせん断帯を腐食させて発現させる。結晶粒径観察に用いた写真の板厚中心部に1mmの線分を描く。その線分とせん断帯との交点を数え、その交点数を個/mmの単位で表す。この時、せん断帯とは結晶粒内に圧延方向から10°から70°傾いた斜め線状のエッチング痕のことを指す。
質量比で、C:0.0000%〜0.0030%、Si:2.00%〜4.00%、Mn:0.0%〜0.5%、Sb:0.0%〜0.2%、Sn:0.0%〜0.2%、Ni:0.0%〜0.5%、Cu:0.0%〜0.5%、Cr:0.0%〜0.5%、P:0.0%〜0.3%、及びAl:0.0%〜0.5%を含有する。そして、残部は、Feおよび不純物元素からなる鋼板である。
再冷延鋼板の化学組成は、前述の鉄心に用いる好適な鋼板(二方向性電磁鋼板)で例示した化学組成と同様の点で、上記範囲の化学組成とすることがよい。
本発明の鉄心の好適な他の製造方法は、例えば、{110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板の圧延方向に対して直交する方向に、圧下率が20%〜50%となるように冷間圧延し、{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が85%以上であり、せん断帯の数が30個/mm以上である再冷延鋼板を得る工程と、再冷延鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、打ち抜き部材を積層一体化して、700℃以上の温度域で焼鈍する工程と、を有する。
具体的には、{110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板のコイルの幅方向に切断された鋼板(以下、「切板」と称する)を準備する。一方向性電磁鋼板としては、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を有しない鋼板を準備してもよい。又は、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を有している鋼板を準備し、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を切削等で機械的に除去した鋼板としてもよい。
このような一方向性電磁鋼板としては、質量比で、C:0.0000%〜0.0030%、Si:2.00%〜4.00%、Mn:0.0%〜0.5%、Sb:0.0%〜0.2%、Sn:0.0%〜0.2%、Ni:0.0%〜0.5%、Cu:0.0%〜0.5%、Cr:0.0%〜0.5%、P:0.0%〜0.3%、及びAl:0.0%〜0.5%を含有する。そして、残部は、Feおよび不純物元素からなる鋼板である。
なお、打ち抜き部材を得る工程は、例えば、所定形状の打ち抜き部材よりも大きい予備打ち抜き部材を得る工程と、予備打ち抜き部材から目的とする所定形状の打ち抜き部材を得る工程とを有する2段階の工程としてもよい。
また、鉄心が螺旋巻き鉄心である場合、螺旋巻き鉄心用の打ち抜き部材は、例えば、帯状の打ち抜き部材であり、長手方向に沿う方向に連続的に延びているヨーク部と、ヨーク部の短手方向の一方の端部側に突出して複数個設けられたティース部とを有する形状の打ち抜き部材が挙げられる。螺旋巻き鉄心用の打ち抜き部材は、例えば、一周分の螺旋状の曲げ加工を行うことが可能な長さでもよく、螺旋状に曲げ加工を行い巻き回しながら積層することが可能な長さでもよい。
これらの打ち抜き部材は、積層一体化する場合に、ティース部とヨーク部とを有する所定の形状に打ち抜かれるときに、例えば、積層して一体化するための凹凸部が形成されてもよい。
例えば、鉄心が分割鉄心である場合、分割鉄心用の打ち抜き部材の所定枚数を組み合わせて環状に連結させ、これを積層する。そして、例えば、かしめ加工により、各々の打ち抜き板に形成された凹凸部が機械的に相互に嵌め合わされて固定され、打ち抜き部材が積層一体化される。
なお、かしめ加工により積層一体化する方法を例に挙げて説明したが、積層一体化する方法は特に限定されず、通常工業的に採用されている方法で行えばよい。
以上の工程を経て、再冷延鋼板を用いた鉄心が得られる。
また、この再冷延鋼板を積層した鉄心は、例えば、700℃〜1000℃の温度域で焼鈍を施してもよい。この温度域で焼鈍することで、鉄心を構成する鋼板は、{100}<001>(±30°)の結晶粒を50%以上有し、{110}<110>(±30°)の結晶粒を20%以上有するものとなる。つまり、鉄心は、前述の直交する二方向に優れた磁気特性を有するものとなる。
−主方位および副方位の確認−
本発明の鉄心を構成する鋼板が、主方位および副方位を有することについて確認試験を行う。
まず、質量%で、C:0.0030%、Si:3.10%、Mn:0.1%、を含有する厚さ0.30mmの一方向性電磁鋼板の切板を準備する。次に、絶縁コーティングを水酸化ナトリウム水溶液で、フォルステライト皮膜を硫酸で除去する。しかる後に、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を除去した切板の幅方向に対して40%の圧下率で冷延を行い、再冷延鋼板を得る。この再冷延鋼板は、{110}<110>から30°以内の結晶粒が91%、せん断帯の数が72個/mmである。
この再冷延鋼板を窒素雰囲気中にて850℃で1秒焼鈍する。焼鈍終了後、鋼板を空冷する。
上記焼鈍後の鋼板の(001)極点図を図3に示す。図3に示すとおり、焼鈍後の鋼板は、主方位である{100}<001>近傍方位1Aと、副方位である{110}<110>近傍方位2Aとの2方位で結晶粒が観察される。この鉄心に用いられる鋼板における各結晶粒の面積比率は、{100}<001>から30°以内の結晶粒は61%であり、{110}<110>から30°以内の結晶粒は37%である。
−圧下率および焼鈍条件の影響−
まず、質量%で、C:0.0002%、Si:3.09%を含有する0.30mmの一方向性電磁鋼板の切板を準備する。次に、水酸化ナトリウム水溶液で絶縁コーティングを除去し、硫酸でフォルステライト皮膜を除去する。その後に、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を除去した切板の幅方向に対して圧下率10%〜60%で冷延を行い、再冷延鋼板を得る。
EBSD観察および平均結晶粒径の測定は、既述の方法により測定を行う。
磁気特性はB50(T)(磁化力5000A/mにおける磁束密度)およびW10/400(W/kg)(磁束密度1.0T、周波数400Hzの時の鉄損)の測定を行う。
B50(T)と、W10/400(W/kg)は、鉄心における径方向に沿う方向と、周の接線方向との平均値である。
寸法精度と曲げ加工性は下記操作方法により評価を行う。
なお、再冷延鋼板の寸法精度、及び曲げ加工性を評価することにより、鉄心の寸法精度、及び占積率が評価される。
内径100mm、外径120mmのリング状試料を打ち抜き、真円からの平均差(真円からのズレ)を求める。平均差が2μm以下であれば、得られる鉄心の寸法精度は良いと考える。
20mm幅×800mm長さの鋼板を作製し、内径200mm、外径240mmの曲げ加工を行う。その際の板厚変化量(%)を測定する。板厚変化量が6%以下であれば、得られる鉄心の占積率の低下が抑制されていると考える。ただし、曲げ加工時に割れが発生しやすい場合は、300℃以下での温間加工をしても良い。
符号2−7及び符号2−8の鉄心の鋼板は{100}<001>(±30°)の結晶粒の面積比率と{110}<110>(±30°)の結晶粒の面積比率が少ない。そのため、符号2−7及び符号2−8の鉄心は磁束密度B50が低い。また、符号2−7の再冷延鋼板は、{110}<110>(±30°)の結晶粒の面積比率が少ない。そのため、曲げ加工性が劣位である。さらに、符号2−8の鉄心の鋼板は、未再結晶部が残存しているため、鉄心のW10/400が著しく劣位である。
また、表1に示すように、圧下率が低すぎると、鉄心の鋼板は{100}<001>(±30°)の結晶粒の面積比率が少ない。圧下率が高すぎる、又は焼鈍温度が低すぎると、鉄心の鋼板は{100}<001>(±30°)の結晶粒の面積比率、及び{110}<110>(±30°)の結晶粒の面積比率が少ない。さらに、同じ圧下率であって、焼鈍温度が高い場合は、鉄心の鋼板は平均結晶粒径が大きくなる傾向がある。
なお、符号2−6の鉄心の鋼板は本発明の範囲内であるが、結晶粒径が320μmと粗大である。そのため、同一再冷延条件の符号2−3の鉄心よりも鉄損が高く、磁気特性的に不利である。
−化学組成による影響−
まず、質量%で、表2に示す化学組成を有し、厚さ0.30mmの一方向性電磁鋼板(鋼板と表記)の切板を準備する。次に、水酸化ナトリウム水溶液で絶縁コーティングを除去し、硫酸でフォルステライト皮膜を除去する。その後に、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を除去した切板の幅方向に圧下率40%で冷延を行い、再冷延鋼板を得る。
しかし、化学成分の推奨範囲を外れると別の課題が発生する。符号3−9の鋼板はCが多く、磁気時効を起こすためモータ鉄心への適用は不向きである。また、符号3−10の鋼板はSiが多く、冷延時の作業性が低下するため、商業生産には向いていない。符号3−11の鋼板はSi量が少なく、相変態をするため、一方向性電磁鋼板を商業的に生産するには不向きである。したがって、これらの鋼板を用いて、鉄心を商業的に製造することは困難であり、鉄心を生産できても、鉄心としての安定した十分な性能が得られ難い。
−他の例による主方位および副方位の確認−
本発明の鉄心が、主方位および副方位を有する二方向性電磁鋼板から製造しても、鉄心を構成する鋼板が、主方位と副方位とを有することについて確認試験を行う。
質量%で、C:0.0030%、Si:3.10%、Mn:0.1%、を含有する厚さ0.30mmの一方向性電磁鋼板の切板を準備する。次に、絶縁コーティングを水酸化ナトリウム水溶液で、フォルステライト皮膜を硫酸で除去する。しかる後に、絶縁コーティング、及びフォルステライト皮膜を除去した切板の幅方向に対して40%の圧下率で冷延を行う。その後、冷延板を窒素雰囲気中にて850℃で1秒焼鈍する。焼鈍終了後、鋼板を空冷し、二方向性電磁鋼板を得る。
Claims (12)
- {100}<001>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が50%以上であり、{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が20%以上である鋼板からなる鉄心。
- 前記鋼板の平均結晶粒径が350μm以下である請求項1に記載の鉄心。
- 前記鋼板が、質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:2.00%以上4.00%以下、
Mn:0.5%以下、
Sb:0.2%以下、
Sn:0.2%以下、
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
P:0.3%以下、
及びAl:0.5%以下を含有し、並びに、残部としてFeおよび不純物元素を含有する請求項1又は2に記載の鉄心。 - {110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が85%以上であり、せん断帯の数が30個/mm以上である再冷延鋼板。
- 質量%で、
C:0.0100%以下、
Si:2.00%以上4.00%以下、
Mn:0.5%以下、
Sb:0.2%以下、
Sn:0.2%以下、
Ni:0.5%以下、
Cu:0.5%以下、
Cr:0.5%以下、
P:0.3%以下、
及びAl:0.5%以下を含有し、並びに、残部としてFeおよび不純物元素を含有する請求項4に記載の再冷延鋼板。 - {110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板の圧延方向に対して直交する方向に、圧下率が20%〜50%となるように冷間圧延して、請求項4又は5に記載の再冷延鋼板を得る工程を有する再冷延鋼板の製造方法。
- 請求項4又は5に記載の再冷延鋼板を積層した鉄心。
- {110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板の圧延方向に対して直交する方向に、圧下率が20%〜50%となるように冷間圧延し、請求項4又は5に記載の再冷延鋼板を得る工程と、
前記再冷延鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層一体化して、700℃以上の温度域で焼鈍する工程と、
を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄心の製造方法。
- 前記温度域が、700℃〜1000℃である請求項8に記載の鉄心の製造方法。
- {110}<001>方位に集積した結晶粒を有する一方向性電磁鋼板の圧延方向に対して直交する方向に、圧下率が20%〜50%となるように冷間圧延し、請求項4又は5に記載の再冷延鋼板を得る工程と、
前記再冷延鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層一体化する工程と
を有する請求項7に記載の鉄心の製造方法。 - 請求項10に記載の鉄心の製造方法であって、前記積層一体化する工程の後、700℃〜1000℃の温度域で焼鈍する工程をさらに有する鉄心の製造方法。
- {100}<001>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が50%以上であり、{110}<110>(±30°)の結晶方位の結晶粒の占める面積比率が20%以上である二方向性電磁鋼板を打ち抜き、打ち抜き部材を得る工程と、
前記打ち抜き部材を積層一体化する工程と、
を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の鉄心の製造方法。
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